(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163949
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】吐出ポンプ付き紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20231102BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20231102BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B11/00 101D
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075203
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【テーマコード(参考)】
3E014
3H075
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC16
3E014PC20
3E014PD12
3E014PE02
3E014PE11
3E014PE30
3E014PF10
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC36
3H075DA01
3H075DB13
3H075DB14
3H075DB40
(57)【要約】
【課題】容器体の底部内の残量を低減させることができる吐出ポンプ付き紙容器を提供する。
【解決手段】紙容器として形成され、かつ有底の胴周壁6の上端8側に付設された頂板10から口頸部14を立設した容器体2と、前記口頸部14の上側に搭載されたシリンダ62の回りに、当該シリンダ62を上方抜出し不能に前記口頸部14側へ装着させるための装着筒67を配備したポンプ式の吐出器60と、前記シリンダ62を抱持する外周壁32の下部側に前記口頸部14と接続する下側ジョイント部24を、当該外周壁32の上部側に前記装着筒67と接続する上側ジョイント部34を有するジョイント部材20とを具備する。前記シリンダ62側から前記容器体2の底板4側へ延びる押圧材50と、前記胴周壁6の下端7側に装着される摺動筒56とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙容器として形成され、かつ有底の胴周壁(6)の上端(8)側に付設された頂板(10)から口頸部(14)を立設した容器体(2)と、
前記口頸部(14)の上側に搭載されたシリンダ(62)の回りに、当該シリンダ(62)を上方抜出し不能に前記口頸部(14)側へ装着させるための装着筒(67)を設けるとともに、前記シリンダ(62)の上方に昇降可能に配置されかつ吐出口(78)を有するヘッド部(76)を備え、このヘッド部(76)の押下げにより作動するポンプ式の吐出器(60)と、
前記シリンダ(62)の少なくとも一部を外周壁(32)で抱持するとともに、この外周壁(32)の下部側に前記口頸部(14)と接続する下側ジョイント部(24)を、当該外周壁(32)の上部側に前記装着筒(67)と接続する上側ジョイント部(34)を有するジョイント部材(20)と
を具備し、
前記シリンダ(62)側から前記容器体(2)の底板(4)側へ押圧材(50)が延設されており、
前記下側ジョイント部(24)に前記口頸部(14)を接続させたときに、前記押圧材(50)が前記底板(4)の中央部(4a)付近を押圧することにより、当該底板(4)を下方への凹状に凹み変形させるように形成したことを特徴とする、吐出ポンプ付き紙容器。
【請求項2】
前記下側ジョイント部(24)は、前記外周壁(32)より下方へ垂設される脚周壁であり、この脚周壁に対して前記口頸部(14)を螺合することが可能に形成されており、
前記押圧材(50)の下端が前記底板(4)に当接している状態から前記脚周壁に対して前記口頸部(14)が螺上昇することにより、当該口頸部(14)を介して前記胴周壁(6)が引き上げられ、少なくとも前記底板(4)が下方へ凹状に凹み変形するように構成したことを特徴とする、請求項1の吐出ポンプ付き紙容器。
【請求項3】
前記押圧材(50)は、前記下側ジョイント部(24)から前記シリンダ(62)の周りを通って前記底板(4)付近に至る押圧筒(51)を含み、この押圧筒(51)の下端側に、周方向の少なくとも一部に前記シリンダ(62)への流路確保用の空隙(g)を存して配備される当接用端部(c)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の吐出ポンプ付き紙容器。
【請求項4】
前記ジョイント部材(20)は、前記外周壁(32)より前記頂板(10)の外周部(10a)側へ突設させて前記胴周壁(6)の上端(8)付近で載支される支承手段(40)を有しており、
この支承手段(40)の先端部(48)に、前記胴周壁(6)の上部に外嵌された摺動筒(56)が破断部(b)を介して連結されており、
当該摺動筒(56)は、下方への引張り操作により前記胴周壁(6)の外面を摺動して、当該胴周壁(6)の下端(7)付近へ下降させることが可能であり、かつ、この下降位置で前記底板(4)の周辺部(4b)に係止する係止手段(58)を有することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吐出ポンプ付き紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ポンプ付き紙容器、特に洗面台や浴室等で使用する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出ポンプ付き紙容器として、紙を基材とする四角筒状の容器の頂板の中央から起立した口頸部に、ノズルヘッド押下げ式の吐出器を装着したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器は、底板が平らであるため、使い続けることにより、容器体の内容物の量が少なくなると、ポンプへの吸い上げが困難となり、使い終わりの段階での残量(吸い上げができずに使い残した量をいう)が多くなる不都合があった。
【0005】
本発明の目的は、容器体の底部内の残量を低減させることができる吐出ポンプ付き紙容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、紙容器として形成され、かつ有底の胴周壁6の上端8側に付設された頂板10から口頸部14を立設した容器体2と、
前記口頸部14の上側に搭載されたシリンダ62の回りに、当該シリンダ62を上方抜出し不能に前記口頸部14側へ装着させるための装着筒67を設けるとともに、前記シリンダ62の上方に昇降可能に配置されかつ吐出口78を有するヘッド部76を備え、このヘッド部76の押下げにより作動するポンプ式の吐出器60と、
前記シリンダ62の少なくとも一部を外周壁32で抱持するとともに、この外周壁32の下部側に前記口頸部14と接続する下側ジョイント部24を、当該外周壁32の上部側に前記装着筒67と接続する上側ジョイント部34を有するジョイント部材20と
を具備し、
前記シリンダ62側から前記容器体2の底板4側へ押圧材50が延設されており、
前記下側ジョイント部24に前記口頸部14を接続させたときに、前記押圧材50が前記底板4の中央部4a付近を押圧することにより、当該底板4を下方への凹状に凹み変形させるように形成した。
【0007】
本手段では、
図1に示す如く、紙容器である容器体2の胴周壁6の上端8側に付設された頂板10から口頸部14を立設するとともに、前記口頸部14の上側に搭載されたシリンダ62の回りに装着筒67を設けている。
また前記シリンダ62を外周壁32で抱持するとともに、この外周壁32の下部側に前記口頸部14と接続する下側ジョイント部24を、当該外周壁32の上部側に前記装着筒67と接続する上側ジョイント部34を有するジョイント部材20を備えている。
そして、前記シリンダ62側から延びる押圧材50で容器体2の底板4の中央部4aを押圧して底板4を凹曲状に変形させるように設けた。
この構造によれば、容器体2の使い終わりの時期に内容物の吸い上げが容易となり、残量を減らすことができる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記下側ジョイント部24は、前記外周壁32より下方へ垂設される脚周壁であり、この脚周壁に対して前記口頸部14を螺合することが可能に形成されており、
前記押圧材50の下端が前記底板4に当接している状態から前記脚周壁に対して前記口頸部14が螺上昇することにより、当該口頸部14を介して前記胴周壁6が引き上げられ、少なくとも前記底板が下方へ凹状に凹み変形するように構成した。
【0009】
本手段では、
図1に示す如く、前記下側ジョイント部24は、前記外周壁32より下方へ垂設される脚周壁であり、この脚周壁に対して前記口頸部14を螺合することが可能に形成されている。
そして、前記押圧材50の下端が前記底板4に当接している状態から前記脚周壁に対して前記口頸部14が螺上昇することにより、当該口頸部14を介して前記胴周壁6が引き上げられ、少なくとも前記底板が下方へ凹状に凹み変形するように構成した。
この構造によれば、下側ジョイント部24である脚周壁と口頸部14との間のネジ機構により、底板4の中央部4aに対して胴周壁6を確実に引き上げ、底板4を変形させることができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記押圧材50は、前記下側ジョイント部24から前記シリンダ62の周りを通って前記底板付近に至る押圧筒51を含み、この押圧筒51の下端側に、周方向の少なくとも一部に前記シリンダ62への流路確保用の空隙gを存して配備される当接用端部cを有する。
【0011】
本手段では、
図1に示す如く、前記押圧材50は、前記下側ジョイント部24から前記シリンダ62の周りを通って前記底板付近に至る押圧筒51を含む。そして、この押圧筒51の下端側に、周方向の少なくとも一部に前記シリンダ62への流路確保用の空隙gを存して配備される当接用端部cを有している。
この構造によれば、押圧筒51の周囲に配備させた当接用端部cによって、底板4を適切に押圧することができ、シリンダ62側への流路を確保しつつ、前述の陥没部Rを適切に形成することができる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記ジョイント部材20は、前記外周壁32より前記頂板10の外周部10a側へ突設させて前記胴周壁6の上端8付近で載支される支承手段40を有しており、
この支承手段40の先端部48に、前記胴周壁6の上部に外嵌された摺動筒56が破断部bを介して連結されており、
当該摺動筒56は、下方への引張り操作により前記胴周壁6の外面を摺動して、当該胴周壁6の下端7付近へ下降させることが可能であり、かつ、この下降位置で前記底板4の周辺部4bに係止する係止手段58を有する。
【0013】
本手段では、前記ジョイント部材20は、前記外周壁32より前記頂板10の外周部10a側へ突設させて前記胴周壁6の上端8付近により載支される支承手段40を有している。
この支承手段40の先端に、摺動筒56が破断部bを介して連結されている。
この摺動筒56は、胴周壁6の外面を摺動して、胴周壁6の下端7付近へ下降することが可能であり、この下降位置で、前記底板4の外周部10aに係止する。
この構造によれば、また摺動筒56を引き下げるだけで使用の準備ができるので便利であり、また使用する前に紛失するおそれが少ないので、使い勝手もよい。また部材数が増えないので、製造コストを削減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使い終わりの段階で容器体の底部内の残量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る吐出ポンプ付き紙容器の断面図である。
【
図3】
図1に示す容器の各部材を分解して示す図である。
【
図4】
図1に示す容器の部材同士を組み付け、使用可能な状態とする作業の説明図であり、同図(A)はジョイント部材に容器体を装着する作業を、同図(B)は装着作業の後に摺動筒を引き下げる作業を、それぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図4は、本発明の実施形態に係る本発明の実施形態に係る吐出ポンプ付き紙容器を示している。この吐出ポンプ付き紙容器は、
図1に示す如く、容器体2と、ジョイント部材20と、押圧材50と、脚部56と、吐出器60とで形成されている。
容器体2は、本実施形態において、底板4の周端から胴周壁6を起立するとともに、胴周壁6の上端8に付設された頂板10の中心側から口頸部14を立設している。
【0017】
前記底板4は、
図1に示す状態で下方への凹曲状の形状(図示例ではすり鉢形状)を呈している。この形状は、容器体2の成形時の形態ではなく、
図3に示す平坦な初期形状から、後述のように、ジョイント部材20の作用により胴周壁6が引き上げられることにより、このような形に変形したものである。ここで、「凹曲状」とは、残り少ない内容液を底部の中央部付近に集めることができればどのような形でも構わず、例えば逆円錐台形やテーパ形状なども該当する。
【0018】
前記胴周壁6は、例えば四角筒状とし、平板状で垂直な4枚の側壁部分wで形成することができる。その形態は適宜変更することができる。
前記頂板10は、本実施形態において、
図2に示す如く、中央部に挿通孔iを有しており、図示例では、上方から見て四角板状(例えば正方形状)に形成されている。
前記頂板10は、
図1に示す容器の完成形態において、側方から見て、内側に向かってテーパ状に少し隆起した形状を有する。もっとも、前記頂板10は、容器体2の成形段階において、
図3に示す如く、略平坦状であり、後述のジョイント部材20の作用により、テーパ状に隆起した形状に変形している。この点については後述する。
前記口頸部14は、
図2に示す如く、後述のシリンダ62を前記容器体2の内部に連通させるための部位であり、図示例では、垂直筒状の縦筒部14aの下端から外向きフランジ状の横板部14bを一体的に突設してなる。そして、前記縦筒部14aを下側から前記挿通孔iに通すとともに、この挿通孔iの周りで前記横板部14bを前記頂板10の内周部10cに接着(例えば溶着)させている。
前記縦筒部14aの外面には第1オネジ部15が形成されている。
もっともこれらの構造は適宜変形することができる。
【0019】
ジョイント部材20は、前記吐出器60を支え、かつ口頸部14に対して不意の抜出し不能に連係させる部位である。
本実施形態のジョイント部材20は、少なくとも、
図1に示す如く、躯体22と、支承手段40とを具備する。
これら各部位は相互に一体に成形されている。
【0020】
前記躯体22は、シリンダ62の少なくとも一部(図示例では後述の大径シリンダ部62a)の周囲を覆う外周壁32の上下両部に、吐出器60へ接続する上側ジョイント部34及び容器体2へ接続する下側ジョイント部24を有する。
図示例において、上側ジョイント部34は上方開口の筒体、下側ジョイント部24は下方開口の筒体である。本明細書において、「接続」とは、これら筒体を他の部位に対して外嵌又は内嵌させることで当該部位に結合させることを含む。
本実施形態の躯体22は、環状基板28の下面から下側ジョイント部として垂設する脚周壁24を、前記口頸部14の外面に着脱可能に嵌合させるとともに、前記環状基板28の外周端から起立する外周壁32の上部を、後述の装着筒67への上側ジョイント部34としている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
図示例では、
図2に示す如く、前記脚周壁24の内面には、前記第1オネジ部15とかみ合う第1メネジ部26を、また前記外周壁32の上部外面には、前記装着筒67と螺着させるための第2オネジ部36をそれぞれ形成している。
また図示例では、前記口頸部14の上端面が前記環状基板28の適所(被当接部29という)に直接当接されており、当該環状基板28を支えている。
前記外周壁32は、前記大径シリンダ部62aを抱持する部位である。図示例では、
図2に示す如く、大径シリンダ部62aを、前記外周壁32の内側に隙間を介して挿入させるとともに、後述の係止端部64を、パッキンPを介して外周壁32の上端面に係止させる。
なお、「抱持」とは、本明細書において、抱き込む状態で支持することをいい、大径シリンダ部62aの外面が外周壁32の内面に嵌着されていなくても構わない。
図示例では、前記環状基板28の下面の外側寄りの箇所から、前記脚周壁24が、当該環状基板28の下面の径方向中間部から、口頸部14内へ嵌挿される内周壁30がそれぞれ垂設されている。
この内周壁30の内側には、筒状の押圧材50が垂設されており、この押圧材50の内部へ後述の小径シリンダ部62bが挿入されている。
図示例では、
図2に示す如く、前記環状基板28の内周端に前記の押圧材50上端(後述の連結端部d)が一体に連設されている。また前記環状基板28には、押圧材50と内周壁30との間に位置させて空気孔nが開口されている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0021】
前記支承手段40は、前記外周壁32から前記頂板10側へ突出させて前記胴周壁6の上端8付近に載支される部位であり、前記押圧材とともに、前記吐出器60からの荷重を支える機能を有する。
なお、「胴周壁6の上端付近」により載支されるとは、当該上端8に載支されること、及び、上端8と隣接する外周部10aに載支されることの双方を含む。
また、本明細書において、「吐出器からの荷重」とは、吐出器自体の荷重の他に、ヘッド部76への押下げ力を含む。
前記ヘッド部76の押下げ力のうちで容器の中心線Оを通る鉛直成分は、押圧材50及び支承手段40で支えることができる。またヘッド部76の押下げ操作に伴うブレが生じたときには、複数の支承箇所Aで支承される支承手段40によって、吐出器60の傾きに抵抗させるとよい。
また前記支承手段40は、前記頂板10の上方を遮蔽する遮水用カバーを兼ねる。
なお、本明細書において、「遮蔽」とは、例えば浴室内で飛散する水(シャワー水など)が陥没部R内へ入ることを或る程度遮ればよく、完全な密閉である必要はない。
本実施形態の支承手段40は、
図1に示す如く、鍔部42と、支持筒部44と、外方張出し部46とで形成されている。
前記鍔部42は、外周壁32の適所(図示例では上側ジョイント部34の寄りの部分)から外方へ突出されている。もっとも鍔部42の配置は適宜変更することができる。図示例の鍔部42は縦孔uを有する。この縦孔は省略してもよい。
前記支持筒部44は、前記鍔部42の外端から垂設されている。
前記外方張出し部46は、前記支持筒部44の下端から環状の隅角部45を介して前記頂板10の外周部10a側へ延びている。図示例の外方張出し部46は、下外方へ拡開するスカート状(テーパ筒状)に形成されているが、その形状は適宜変更することができる。
図示はしないが、一実施例として、上方から見た支承手段40の輪郭は円形とし、この円形が、上方から見て正方形である容器体2の輪郭に内接するように配置することができる。この構成では、前記正方形の四辺の中点箇所のみで、前記支承手段40の先端部48が胴周壁6の上端8に接近する。
図示例の上端8は、側壁部分wと頂板10との稜線部分(角部分)であり、吐出器60からの荷重を支えるのに適した剛性を有する。
そして複数(四角筒の場合には4個)の中点箇所を支承箇所Aとして、吐出器60からの荷重を支承手段40で支えるとよい。
これら支承箇所Aは中心線Оから離れた場所にあるから、ヘッド部76を押し下げるときに、吐出器60がぐらつかないように支承手段40で支えることが可能である。
【0022】
前記外方張出し部46の先端部48は、下面が平らなリング板状の枠部に形成されている。この先端部48は、外方張出し部46の残りの部分より厚肉である。
図示例では、先端部48の下面には、内側から外側へ抜ける複数の水抜き孔49が穿設されている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
図3に示すように前記先端部48と前記環状基板28の被当接部29との高低差H2は、成形時の容器体2の頂板10と口頸部14の上端との高低差h2より大である。これにより、前記口頸部14が下側ジョイント部24に接続されたときに、前記先端部48が前記頂板10の外周部10aを押し下げ、前記頂板10を変形させる。
【0023】
前記押圧材50は、前記シリンダ62側の適所(図示例では環状基板29)から底板4へ延設され、この底板4の中央部4aを押圧する(押さえ付ける)役目を有する。
図示例では、押圧材50はジョイント部材20と一体に成形されているが、別体でも構わない。
なお、本明細書において、「シリンダ側から延設する」とは、シリンダの下部付近から底板側へ突出しているという意味であり、シリンダの下部から突設する構造、或いはシリンダの下部付近でジョイント部材から突設する構造の双方を含むものとする。
【0024】
発明の作用との関係で押圧材50の役目を説明すると、前記口頸部14が前記脚周壁24に対して例えば螺上昇することにより、胴周壁6が引き上げられ、胴周壁6と連続する底板4の周辺部4bも引き上げられるが、底板4の中央部4aは押圧材50で押さえ付けられているので、前述の如く、底板4がすり鉢状に変形する。
前記押圧材50の長さは、底板4の十分な変形が得られるように設計する。
図3に示すように、押圧材50の下端から前述の被当接部29までの高低差H1を押圧材50の長さとすると、このH1は、少なくとも容器体の底板4から口頸部14の上端面までの高低差h1より大きくなければならない。
そして
図1に示す如く、押圧材50によって底板4の中央部4aが押し込まれる距離(押込み代)をyとすると、y=H1-h1となる。
所望の底板4の変形の程度により、この押込み代yを設計すればよい。
さらに押圧材50は底板4と下側ジョイント部24との間の支柱の役割を果たすため、容器の形状を安定的に維持し、固定化することができる。
【0025】
本実施形態では、前記押圧材50は、押圧筒51と、複数(図示例では4枚)の羽片52とで形成している。
もっともこの構造へ適宜変更することができ、例えば羽片は省略しても構わない。
前記押圧筒51は、前記環状基板28内周と連結する環状の連結部(連結端部d)を介して底板4付近まで垂設されている。
図示例では、前記押圧筒51は、
図1に示す如く、シリンダ62の外面の輪郭に沿って、大径の上側筒部51aから、下方に向かって縮径するテーパ状の中間筒部51bを経て、小径の下側筒部51cを垂設してなる。
前記複数の羽片52は、前記押圧筒51の周囲に、上方から見て放射状に突出するように配設された垂直平板である。
もっとも羽片52は、複数ではなく、1つの羽片52だけを配備させてもよい。
羽片52と押圧筒51とは相互に結合し、相互に補強しあうので、剛性が高まり、支持力が向上する。
複数の羽片52を放射状に付設した態様では、複数の羽片52が押圧筒51を介して一体化され、かつ全方向に対して押圧材50の耐屈曲性が向上する。
各羽片52は、
図1に示す如く、広幅の下半部52bと狭幅の上半部52aとからなる。下半部52bは前記下側筒部51cに、また上半部52aは前記中間筒部51b及び前記上側筒部51aにそれぞれ連設されている。これら羽片52は、上下方向の全長に亘って前記押圧筒51を介して相互に一体的に結合されている。
前記羽片52の下辺は、
図1に示す如く、胴周壁6の半径方向外側に向かって下方へ傾斜する傾斜辺53に形成されており、この傾斜辺53の下端部を前記底板4に当接させるための当接用端部cに形成している。
これら当接用端部cは、ガタつかずに底板4に当接できるように同一水平面上に配置されている。またこれら当接用端部cは、下方から見てシリンダ62の周方向に等角的に配置されている。
当接用端部c相互の間に押圧材50の外から内(シリンダ62側)へ向かう流路を確保するための空隙gを設けている。
これらの構造は、適宜変更することができる。図示はしないが、前記押圧筒51を前記底板4に当接するまで垂下させ、前記羽片52の下端に代えて、或いは羽片の下端とともに、前記押圧筒51の下端を、当接用端部cとすることができる。
この場合には押圧筒51の外から内へ通ずる流路を確保するため、押圧筒51の下端部の少なくとも周方向の一箇所に、切り欠き(空隙g)を設ける。
この場合には、押圧筒51の下端面のうちで、切り欠き形成箇所以外のC字形の部分が当接端部である。こうした形状であれば、単一の当接端部だけでも、支柱材50を底板4に安定的に支持させることができる。
【0026】
脚部56は、下方への凹曲状に変形した底板4の周辺部4b及び胴周壁6の下端7を支える役割を有し、安定的な自立性を担保する。
この脚部56は、載置面Zと前記変形により載置面から浮き上がった周辺部4bとの間に介在するように構成されている。この脚部56は、前記底板4の周辺部4bに係止する係止手段58を有する。
本実施形態において、前記脚部は、前記胴周壁6の適所(例えば上部)に摺動自在に嵌合された摺動筒56として形成される。
前記脚筒56の内側には、
図1に示す如く、載置面Zから浮き上がった底板4の下面を支える係止手段58が設けられている。
図示例として、前記係止手段58は、前記摺動筒56の内面の上下方向中間部に周設させた係止リブとしている。
この係止リブは、前述の摺動筒56の摺動を妨げない程度の大きさに設ける。
また本実施形態では、前記支承手段40と摺動筒56とは、
図3に示す如く、予め、一体的に成形されている。そして、前記支承手段40の先端部48から破断部bを介して摺動筒56が垂設されている。
この構成によれば、
図4(B)に示す如く、前記摺動筒56を前記胴周壁6の外面に嵌合した状態で、当該摺動筒56を指で引き下げることにより、破断部bが切れる。そして、摺動筒56が下方に摺動して、
図1に示すように、胴周壁6を支える支持位置まで移動し、使用の準備が整う。
簡単な一動作で使用可能となるので使い勝手がよい。また、意図的に破断しない限り、支承手段40と一体であるので、紛失のおそれを回避できる。更にジョイント部材20と摺動筒56とを一部品として成形するので、部品数が増えず、製造コストを低減できる。
【0027】
吐出器60は、シリンダ62と、装着部材66と、作動部材70とを具備する。
図示例の吐出器60は、フォーマーポンプ(泡吐出器)として構成されているが、この構造は適宜変更することができ、例えばスプレー式のディスペンサー等でもよい。
【0028】
前記シリンダ62は、前記口頸部14の上側に搭載されている。この構成によれば、シリンダ62を容器体2に内蔵する構造に比べて、液体の収容に使用できるよう容量が大となる。
本明細書において、「搭載」とは、シリンダ62の大半の部分が口頸部14の上側に組み付けられているという程度の意味であり、シリンダ62の一部(小径シリンダ部62b)が口頸部14内へ垂下していても構わない。
図示例のシリンダ62は、大径シリンダ部62aから小径シリンダ部62bを垂設させてなる。そして、前記大径シリンダ部62aの上端部を大外径の係止端部64として、当該係止端部64を前記外周壁32の上端に載置させる。また、前記小径シリンダ部62bが前記押圧材50内に挿入され、容器体2の内部に配置されるように形成している。
前記小径シリンダ部62bの下端からはパイプ取付け用筒63が垂設されている。
このパイプ取付け用筒63には吸い上げパイプ65が取り付けられている。この吸い上げパイプ65は、前記パイプ取付け用筒63の内面に嵌合され、この内面から前記底板4の底板4付近まで延びている。
前記吸い上げパイプ65は底板4に当接させてもよい。この場合には、吸い上げパイプの下端面に、切り欠き部を形成し、流路確保のための空隙を形成する。
前記大径シリンダ部62aには、通気孔mが開口されており、この通気孔mは、前記内前記空気孔nを介して容器体2の内部へ連通している。
【0029】
前記装着部材66は、シリンダ62及び後述の作動部材70が不意に上方へ抜出すことを防止する役割を有する。
前記装着部材66は、前記上側ジョイント部34に接続された装着筒67の上端から内向きフランジ69を内方へ突設しており、口頸部14内からのシリンダ62の抜出し及びシリンダ62からの作動部材70の抜出しを防止している。前記装着筒67の内面には第2オネジ部36とかみ合う第2メネジ部68が形成されている。
【0030】
前記作動部材70は、従来公知の構造であるため、簡単に説明すると、前記シリンダ62内から起立するステム74の上端に、吐出口78付きのヘッド部76を付設しており、全体として上方に付勢されている。そして、作動部材70は、シリンダ62に対する上下動により、容器体2内の液体をシリンダ62内へ吸い上げ、シリンダ62内の液体を吐出口78から外部へ吐出するように構成されている。
図示例の作動部材70は、前記小径シリンダ部62b内に嵌合された小径ピストン72B及び大径シリンダ部62a内に嵌合された大径ピストン72Aを有し、小径シリンダ部62b内の液体と大径シリンダ部62a内の空気を混合して泡化し、吐出口78から吐出するように設けられている。
【0031】
前記構成において、前記ジョイント部材20の脚周壁(下側ジョイント部24)内に口頸部14を螺合させる際に、シリンダ62側から垂設された押圧材50が前記底板4の中央部4aを押圧する。
この押圧状態でさらに脚周壁24内を前記口頸部14が螺上昇すると、この口頸部14に容器体2全体が引き上げられる。この際に、胴周壁6が引き上げられることで、底板4の周辺部4bが上方へ引っ張られ、底板4の中央部4aは前記押圧材50で押さえ付けられているため、前記底板4は、下方への凹曲状に変形する。
こうなることで、容器体の内容物が残り少なくなったときに内容物が吸い上げパイプ65の下端付近に集まるので、吸い上げることができない内容物の量が少なくなる。
本実施形態では、前記口頸部14が脚周壁24内を螺上昇する工程の途中で、
図4(A)に示す胴周壁6の上端8の高さまで前記頂板10が上昇することにより、前記支承手段40の先端部48が頂板10の外周部10aに当たる。
この状態から口頸部14がさらに上昇すると、前記頂板10がテーパ状(上方への凹曲状)に変形する。仮に支承手段40と頂板10との間に水が入った場合でも、テーパ状の頂板10の上面を水滴が下側(下外方)へ流れ、水抜き孔49を通って外部へ排出される。
また吐出操作に先立ち、
図4に示すように、胴周壁6の上部に嵌合されていた摺動筒56を指で引き下げ、胴周壁6の下端7側へ移動させる。そうすると、摺動筒56の内面に付設した係止手段58が前記底板4の外周部に係止し、紙容器の自立性を担保する。
【0032】
図1の吐出ポンプ付き紙容器を組み立てるときには、
図3に示す如く、吐出器60を前記ジョイント部材20の上に移動させ、吐出器60の吸い上げパイプ65を、前記外周壁32の上端開口から前記押圧筒51内へ挿入する。
そして前記装着筒67に上側ジョイント部材20を接続して、吐出器60及びジョイント部材20を結合させる。
次にこれら吐出器60及びジョイント部材20を容器体2の上方へ移動し、押圧材50を容器体2の口頸部14へ挿入し、下側ジョイント部24である脚周壁内に、前記口頸部14を螺着させる。
これにより、底板4を凹み変形させ、前記摺動筒56を引き下げればよい。
【0033】
前記構成及び作用によれば、吐出器60のシリンダ62側から延びる押圧材50で容器体2の底板4の中央部4aを押圧して底板4を下方への凹曲状に変形させたから、容器体2の使い終わりの時期に内容物の吸い上げが容易となり、残量を減らすことができる。
また押圧材50が支柱的な役割を有することで容器の形状を安定的に維持・固定することができ、底部の形状(すり鉢形状)も維持できる。
前記ジョイント部材20の下側ジョイント部24に口頸部14を螺着させる操作により、容器体2の胴周壁6を引き上げるので、前記底板4を確実に変形させることができる。
また胴周壁6の下端7を支えるための摺動筒56を設けたから、前記凹曲状の変形状態を保持しつつ、容器の自立性を確保でき、この摺動筒56が破断部bを介して支承手段40に連結されているから、摺動筒56を引き下げるだけで、胴周壁6を摺動して胴周壁6を支える位置に移動させることができ使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0034】
2…容器体(紙容器) 4…底板 4a…中央部 4b…周辺部 6…胴周壁
7…下端 8…上端 10…頂板 10a…外周部 10b…中間部 10c…内周部
14…口頸部 14a…縦筒部 14b…横板部 15…第1オネジ部
20…ジョイント部材 22…躯体 24…下側ジョイント部(脚周壁)
26…第1メネジ部 28…環状基板 29…被当接部 30…内周壁
32…外周壁 34…上側ジョイント部 36…第2オネジ部
40…支承手段 42…鍔部 44…支持筒部 45…隅角部
46…外方張出し部 48…先端部 49…水抜き孔
50…押圧材 51…押圧筒 51a…上側筒部 51b…中間筒部
51c…下側筒部 52…羽片 52a…上半部 52b…下半部
53…傾斜辺(下辺) 56…脚部(摺動筒) 58…係止リブ(係止手段)
60…吐出器 62…シリンダ 62a…大径シリンダ部 62b…小径シリンダ部
63…パイプ取付け用筒 64…係止端部 65…吸上げパイプ 66…装着部材
67…装着筒 68…第2メネジ部 69…内向きフランジ 70…作動部材
72A、72B…ピストン 74…ステム 76…ヘッド部 78…吐出口
A…支承箇所 b…破断部 c…当接用端部 d…連結端部 g…空隙
i…挿通孔 j…連結板部 m…通気孔 n…空気孔 О…中心線
P…第パッキン u…縦孔 w…側壁部分 y…押込み代 Z…載置面