(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163951
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】カメラ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20231102BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20231102BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231102BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20231102BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G02B7/04 D
G03B15/00 T
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075206
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光弘
(72)【発明者】
【氏名】田村 和也
(72)【発明者】
【氏名】古河 憲一
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ02
2H044AJ03
2H044AJ04
2H044AJ06
2H044BD01
2H044BD10
5C122DA27
5C122EA05
5C122FB03
5C122FB08
5C122FB19
5C122FC01
5C122FC02
5C122FD02
5C122FL00
5C122GE06
5C122GE07
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】振動や衝撃の影響を受け難く、光学特性の悪化や破損を効果的に抑制することのできるカメラを提供すること。
【解決手段】カメラ100は、シリンダー300と、シリンダー300に挿入されているレンズアッセンブリー400と、レンズアッセンブリー400から入る光を受光する撮像素子600と、レンズアッセンブリー400に対して光軸方向LLの結像側から光軸方向LLの力を加えることにより、シリンダー300に対してレンズアッセンブリー400を光軸方向LLに移動させる移動機構500と、を有している。また、シリンダー300は、シリンダー300を支持する支持部材としてのステージSTに係合する係合部330を有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーと、
前記シリンダーに挿入されているレンズアッセンブリーと、
前記レンズアッセンブリーから入る光を受光する撮像素子と、
前記レンズアッセンブリーに対して光軸方向の結像側から前記光軸方向の力を加えることにより、前記シリンダーに対して前記レンズアッセンブリーを前記光軸方向に移動させる移動機構と、を有し、
前記シリンダーは、前記シリンダーを支持する支持部材に係合する係合部を有していることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記レンズアッセンブリーは、テレセントリック光学系のレンズユニットを有している請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記係合部は、ネジ孔である請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
前記係合部は、ネジである請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
前記係合部は、前記シリンダーの前記光軸方向の受光側の端部に配置されている請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
前記シリンダーの外周面の前記係合部が配置されている部分は、平坦面である請求項1に記載のカメラ。
【請求項7】
前記係合部は、前記光軸に対して直交する方向からの平面視で、前記光軸の両側に配置されている請求項1に記載のカメラ。
【請求項8】
前記係合部と前記支持部材とを連結する連結具をさらに有している請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項9】
前記移動機構は、前記レンズアッセンブリーの前記光軸方向の結像側に位置し、先端部が前記レンズアッセンブリーに接続されているロッドと、
前記ロッドを前記光軸方向の受光側に送り出す送り装置と、
前記ロッドを前記光軸方向の結像側に付勢する付勢部材と、を有している請求項1に記載のカメラ。
【請求項10】
前記レンズアッセンブリーは、レンズ群を備えるレンズユニットと、前記レンズユニットの基端部に接続されているスリーブと、を有し、
前記スリーブに前記ロッドが接続されている請求項9に記載のカメラ。
【請求項11】
前記送り装置は、
前記ロッドを前記光軸方向の結像側から押圧する押圧子と、
前記押圧子を中心軸まわりに回転させながら前記中心軸に沿って変位させる操作部と、を有している請求項9に記載のカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、
図1に示すようなカメラ900が開示されている。カメラ900は、レンズ交換式のデジタルカメラであって、カメラボディ910と、カメラボディ910に対して着脱可能なレンズ鏡筒920と、を有している。このようなカメラ900によれば、撮影対象に応じて焦点距離や機能等の異なる種々のレンズ鏡筒920をカメラボディ910に換装して撮影することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカメラ900を、例えば、雲台、ステージ等の支持部材990に固定する際は、
図2に示すように、カメラボディ910の底面に形成されたネジ穴911を利用して、カメラボディ910と支持部材990とをネジ止めすることが一般的である。しかしながら、例えば、レンズ鏡筒920として高倍率の望遠レンズ、テレセントリック光学系のレンズ等を用いる場合には、レンズ鏡筒920の全長が長く、かつ、重量が重くなり易い。そのため、カメラボディ910を支持部材990に固定する方法では、レンズ鏡筒920が振動や衝撃の影響を受けて
図2中の矢印のように揺さぶられ易くなる。そのため、カメラ900は、振動や衝撃の影響を受け易く、光学特性の悪化や破損の可能性が高い。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、振動や衝撃の影響を受け難く、光学特性の悪化や破損を効果的に抑制することのできるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、以下の(1)の本発明により達成される。
【0007】
(1) シリンダーと、
前記シリンダーに挿入されているレンズアッセンブリーと、
前記レンズアッセンブリーから入る光を受光する撮像素子と、
前記レンズアッセンブリーに対して光軸方向の結像側から前記光軸方向の力を加えることにより、前記シリンダーに対して前記レンズアッセンブリーを前記光軸方向に移動させる移動機構と、を有し、
前記シリンダーは、前記シリンダーを支持する支持部材に係合する係合部を有していることを特徴とするカメラ。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカメラでは、シリンダーがシリンダーを支持する支持部材と係合する係合部を有している。そのため、シリンダーと支持部材とを係合することで、支持部材によってシリンダーを支えることができ、シリンダーやシリンダーに挿入されているレンズアッセンブリーが振動や衝撃によって揺さぶられ難くなる。そのため、振動や衝撃の影響を受け難く、光学特性の悪化や破損を効果的に抑制することができるカメラとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来技術のカメラの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すカメラを支持部材に固定した状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るカメラを前方から見た斜視図である。
【
図4】
図3に示すカメラをY軸方向から見た断面図である。
【
図5】
図3に示すカメラをX軸方向から見た断面図である。
【
図6】
図3に示すカメラをY軸方向から見た断面図である。
【
図7】連結具を介してステージに固定された状態のカメラを前方から見た斜視図である。
【
図8】連結具の変形例をX軸方向から見た断面図である。
【
図9】連結具の変形例をX軸方向から見た断面図である。
【
図10】
図3に示すカメラをロボットに装着した状態を示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るカメラをY軸方向から見た断面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係るカメラをX軸方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のカメラを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図3は、本発明の第1実施形態に係るカメラを前方から見た斜視図である。
図4は、
図3に示すカメラをY軸方向から見た断面図である。
図5は、
図3に示すカメラをX軸方向から見た断面図である。
図6は、
図3に示すカメラをY軸方向から見た断面図である。
図7は、連結具を介してステージに固定された状態のカメラを前方から見た斜視図である。
図8は、連結具の変形例をX軸方向から見た断面図である。
図9は、連結具の変形例をX軸方向から見た断面図である。
図10は、
図3に示すカメラをロボットに装着した状態を示す図である。
【0012】
なお、以下では、説明の便宜上、各図に、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸を図示している。そして、X軸がカメラ100の光軸Oと一致している。また、X軸方向プラス側が受光側であり、以下では「先端側」、「前方」とも言う。また、X軸方向マイナス側が結像側であり、以下では、「基端側」、「後方」とも言う。
【0013】
図3に示すカメラ100は、FA(ファクトリーオートメーション)用のカメラである。典型的には、カメラ100は、部品の組み立て、加工、検査等を実行するFA用のロボットのアーム等に取り付けられ、部品の形状や位置、部品とロボットのアームとの間の相対関係等を取得するために部品を撮影する。ただし、カメラ100の用途は、これに限定されない。
【0014】
図3および
図4に示すように、カメラ100は、ケーシング200と、ケーシング200の前方に装着されているシリンダー300と、シリンダー300に挿入されているレンズアッセンブリー400と、レンズアッセンブリー400をシリンダー300に対して移動させる移動機構500と、レンズアッセンブリー400の前方開口に装着されているレンズカバー800と、シリンダー300と支持部材としてのステージSTとを連結する連結具700と、を有している。なお、連結具700は、カメラ100の構成要素であってもよいし、カメラ100の構成要素でなくてもよい。また、支持部材としては、ステージSTに限定されず、カメラ100を支持することができれば、いかなる部材であってもよい。
【0015】
また、カメラ100は、レンズアッセンブリー400から入った光を受光する撮像素子600と、撮像素子600を支持している第1回路基板610と、不図示の配線を介して第1回路基板610と電気的に接続されている第2回路基板620と、を有している。これら撮像素子600、第1回路基板610および第2回路基板620は、それぞれ、ケーシング200に収容されている。なお、以下では、説明の便宜上、光軸Oに沿う方向を「光軸方向LL」とも言う。
【0016】
このようなカメラ100では、移動機構500によってレンズアッセンブリー400を光軸方向LLに移動させることによりレンズアッセンブリー400と撮像素子600との離間距離Dを変更、調整することができる。撮影距離(被写体との距離)に応じて離間距離Dを調整することによりフォーカス調整(ピント合わせ)が可能となる。
【0017】
以下、カメラ100を構成する各部について、順次詳細に説明する。
【0018】
≪シリンダー300≫
図4に示すように、シリンダー300は、円筒形状を有する。また、シリンダー300の内径は、光軸方向LLに沿ってほぼ一定である。
【0019】
また、シリンダー300は、第1外径部310と、第1外径部310よりも外径が大きい第2外径部320と、を有している。これらは、前方から第1外径部310、第2外径部320の順に光軸方向LLに並び、一体的に形成されている。また、第1外径部310の外周面の上端部と下端部とには、円筒状の外周面の一部を切り欠いた平坦面であるDカット面311が形成されている。また、第2外径部320の外周面の上端部と下端部とには、円筒状の外周面の一部を切り欠いた平坦面であるDカット面321が形成されている。また、
図5に示すように、第2外径部320の外周面のY軸方向両側の端部には、円筒状の外周面の一部を切り欠いた平坦面であるDカット面322が形成されている。各Dカット面311、321は、それぞれ、Z軸を法線とする平坦面であり、各Dカット面322は、それぞれ、Y軸を法線とする平坦面である。
【0020】
シリンダー300は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。そのため、十分な剛性を有するシリンダー300が得られ、内部に収容されたレンズアッセンブリー400を安定して保持することができる。また、シリンダー300は、例えば、NC(Numerical Control)旋盤加工により形成されている。NC旋盤加工を用いることにより、優れた寸法精度でシリンダー300を形成することができる。そのため、シリンダー300内でのレンズアッセンブリー400のガタツキを抑え、かつ、レンズアッセンブリー400をシリンダー300内でスムーズに動かすことができる。
【0021】
以上、シリンダー300について説明したが、シリンダー300の構成、材質、製造方法等は、特に限定されない。
【0022】
≪ケーシング200≫
図4に示すように、ケーシング200は、シリンダー300の後方に位置し、シリンダー300と光軸方向LLに並んで配置されている。また、ケーシング200は、後方上部を切り欠いた形状となっている。そのため、ケーシング200は、シリンダー300を保持する高背部201と、高背部201の後方に位置し、高背部201よりも背が低い低背部202と、を有している。そして、高背部201の後面201bから後述する送り装置550が突出しており、低背部202の後面202bには外部装置との接続を行う端子群690が設けられている。
【0023】
このように、低背部202の後面202bすなわちケーシング200の最後方に位置する部分に端子群690を設けることにより、端子群690の周囲がひらけ、端子群690へのアプローチが容易となる。また、端子群690にケーブルを接続した状態ではケーブルがカメラ100の後方へ延びるため、ケーブルを含めたカメラ100全体の光軸Oに直交する方向への広がり、換言すると、光軸方向LLからの平面視でのカメラ100の輪郭の広がりを抑えることができる。そのため、カメラ100の小型化を図ることができる。
【0024】
また、ケーシング200は、その下側部分を構成するベースシャーシ210と、上側部分を構成するアッパーケース220と、を有している。そして、ベースシャーシ210とアッパーケース220とでシリンダー300の基端部を挟み込むことにより、シリンダー300を保持している。ただし、ケーシング200がシリンダー300を保持する方法は、特に限定されない。
【0025】
また、ベースシャーシ210の底部には複数のネジ孔211が形成されている。そして、ステージSTに形成されているネジ挿通孔に挿通したネジB4をこれらネジ孔211に締結することにより、ケーシング200をステージSTに固定することができる。
【0026】
ベースシャーシ210およびアッパーケース220は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。これにより、十分な剛性を有するケーシング200が得られ、シリンダー300を安定して保持することができる。特に、本実施形態では、ベースシャーシ210およびアッパーケース220は、それぞれ、ダイカストすなわち鋳造品である。ダイカストを用いることにより、安価なベースシャーシ210およびアッパーケース220が得られる。また、二次加工により部分的に高い寸法精度を出すことができる。
【0027】
以上、ケーシング200について説明したが、ケーシング200の構成、材質、製造方法等は、特に限定されない。
【0028】
≪レンズアッセンブリー400≫
図4に示すように、レンズアッセンブリー400は、シリンダー300に挿入され、シリンダー300と同軸的に配置されている。また、レンズアッセンブリー400は、シリンダー300に対して光軸方向LLに移動可能である。このようなレンズアッセンブリー400は、レンズユニット420と、レンズユニット420の基端部に接続されているスリーブ410と、を有している。
【0029】
スリーブ410は、筒状であり、シリンダー300に挿入されている。また、スリーブ410の外径は、光軸方向LLに沿ってほぼ一定である。そして、スリーブ410の外周面がシリンダー300の内周面に接触している。なお、スリーブ410の外周面とシリンダー300の内周面との間には、これらの摺動抵抗を低減するための図示しない潤滑剤が設けられている。そのため、レンズアッセンブリー400をシリンダー300内でスムーズに動かすことができる。潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、モリブテン系、グラファイト系、フッ素系等の各種固体潤滑剤を用いることができる。
【0030】
また、スリーブ410は、その前方開口に臨むレンズユニット挿入部413を有している。そして、レンズユニット挿入部413に鏡筒430の基端部が挿入され、これらが螺合している。なお、本実施形態のレンズユニット挿入部413は、Cマウント規格で構成されている。そのため、Cマウント規格に対応したものであれば、用途に合わせてレンズユニット420を交換することもできる。ただし、レンズユニット挿入部413の規格としては、特に限定されず、例えば、Sマウント規格で構成されていてもよいし、それ以外の規格で構成されていてもよい。
【0031】
レンズユニット420は、円筒状の鏡筒430と、鏡筒430内に配置されたレンズ群440および絞り450と、を有している。レンズユニット420は、テレセントリック光学系のレンズユニットである。テレセントリック光学系は、主光線が光軸Oと平行となり、被写体との距離が変化しても光学倍率が変わらないという計測用途に適した特性を持つ。そのため、テレセントリック光学系のレンズユニット420は、FA用として適している。
【0032】
特に、本実施形態のレンズユニット420は、物体側および像側が共にテレセントリック光学系である両側テレセントリック構造である。ただし、レンズユニット420は、これに限定されず、例えば、物体側のみをテレセントリック構造とした物体側テレセントリック光学系であってもよいし、像側のみをテレセントリック構造とした像側テレセントリック光学系であってもよい。また、テレセントリック光学系以外のレンズユニットであってもよい。
【0033】
鏡筒430は、第1外径部431と、第1外径部431よりも外径が小さい第2外径部432と、第2外径部432よりも外径が小さい第3外径部433と、第3外径部433よりも外径が小さい第4外径部434と、を有している。これらは、前方から第1外径部431、第2外径部432、第3外径部433、第4外径部434の順に光軸方向LLに並び、一体的に形成されている。また、第4外径部434の基端部には、レンズユニット挿入部413と螺合するネジ溝が形成されている。
【0034】
また、鏡筒430の基端側の部分、具体的には第3外径部433および第4外径部434がスリーブ410と共にシリンダー300内に挿入されており、先端側の部分、具体的には第1外径部431および第2外径部432がシリンダー300から突出している。このように、鏡筒430の先端側の部分をシリンダー300から突出させる構成とすることにより、シリンダー300を鏡筒430の基端側の部分の径に合わせて設計することができるため、シリンダー300を短くかつ小径にすることができる。図示の構成では、シリンダー300の外径は、鏡筒430の先端部すなわち第1外径部431の外径よりも小さく、シリンダー300の長さは、レンズアッセンブリー400の長さよりも短い。そのため、カメラ100の軽量化および小型化を図ることができる。特に、カメラ100の先端重量を低減することができるため、カメラ100の重心をカメラ100の中心に寄せることができ、重量バランスの向上を合わせて図ることができる。
【0035】
スリーブ410および鏡筒430は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。これにより、十分な剛性を有するスリーブ410および鏡筒430が得られる。特に、本実施形態では、スリーブ410および鏡筒430は、シリンダー300と同一の材料で構成されている。これにより、シリンダー300、スリーブ410および鏡筒430の線膨張係数が等しくなり、昇温によってスリーブ410とシリンダー300との間にガタが生じたり、反対に、スリーブ410の動きが鈍くなったりするのを効果的に抑制することができる。
【0036】
また、スリーブ410および鏡筒430は、例えば、NC旋盤加工により形成されている。NC旋盤加工を用いることにより、優れた寸法精度でスリーブ410および鏡筒430を形成することができる。ただし、スリーブ410および鏡筒430の材質や形成方法は、特に限定されない。
【0037】
このように、本実施形態では、シリンダー300およびスリーブ410が共にNC旋盤加工により形成されている。そのため、これらのクリアランスを高精度に管理することができ、スリーブ410をシリンダー300に精度よく組み付けることができる。したがって、レンズユニット420をシリンダー300内でスムーズに動かすことができると共に、シリンダー300内でのレンズユニット420の光軸Oに対する偏心や傾斜を抑制することができる。
【0038】
以上、レンズアッセンブリー400について説明したが、レンズアッセンブリー400の構成、材質、製造方法等は、特に限定されない。
【0039】
≪撮像素子600≫
図4に示すように、撮像素子600は、レンズアッセンブリー400の後方に位置しており、レンズアッセンブリー400と光軸方向LLに並んで配置されている。また、撮像素子600の受光面は、光軸Oに直交している。撮像素子600は、レンズアッセンブリー400から入った光を受光し、受光に応じた光電変換信号を出力する。撮像素子600としては、特に限定されず、CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等を用いることができる。また、撮像素子600の素子サイズ、解像度等の各種スペックは、カメラ100に求められるスペックに合わせて適宜設定することができる。
【0040】
以上、撮像素子600について説明したが、撮像素子600の構成は、特に限定されない。
【0041】
≪第1回路基板610≫
図4に示すように、第1回路基板610は、撮像素子600が搭載されているセンサー基板であり、光軸Oに直交する姿勢で配置されている。また、第1回路基板610は、ネジB1によってシリンダー300の基端面にネジ止めされている。上述したように、シリンダー300は、NC旋盤加工により形成されているため、基端面の形成精度が高く、光軸Oに対する垂直度を高精度に管理することができる。そのため、第1回路基板610をシリンダー300の基端面に固定することにより、撮像素子600を光軸Oに対して精度よく位置決めすることができる。また、第1回路基板610には、孔611が形成されており、この孔611には後述するロッド510が挿通されている。
【0042】
また、第1回路基板610は、筒状の支持部材630を介してIRカットフィルター640(赤外線カットフィルター)を支持している。IRカットフィルター640は、レンズアッセンブリー400と撮像素子600との間に位置し、撮像素子600の手前で赤外線をカットする。
【0043】
以上、第1回路基板610について説明したが、第1回路基板610の構成、固定方法、固定される対象等は、特に限定されない。
【0044】
≪第2回路基板620≫
図4に示すように、第2回路基板620は、ケーシング200内において、第1回路基板610の後方に設けられ、光軸Oと平行な向きで配置されている。また、第2回路基板620は、ネジB2によってベースシャーシ210にネジ止めされている。
【0045】
第2回路基板620には、カメラ100の駆動を制御する回路素子であるICチップ650が搭載されている。ICチップ650は、第1回路基板610および端子群690と電気的に接続されている。ICチップ650は、端子群690を介して受信した制御信号に基づいてカメラ100の駆動を制御する。また、ICチップ650は、撮像素子600から出力された光電変換信号に基づいて画像データを生成し、生成した画像データを端子群690から出力する。
【0046】
ICチップ650は、例えば、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、を有している。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0047】
以上、第2回路基板620について説明したが、第2回路基板620の構成、固定方法、固定される対象等は、特に限定されない。
【0048】
≪移動機構500≫
移動機構500は、レンズアッセンブリー400を光軸方向LLに移動させ、レンズユニット420と撮像素子600との離間距離Dを変更、調整するための機構である。
図4に示すように、移動機構500は、レンズアッセンブリー400に接続されているロッド510と、ロッド510の基端部に接続されているロッドヘッド520と、ロッド510を光軸方向LLに誘導するロッドガイド530と、ロッド510を後方に向けて付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね540と、圧縮コイルばね540の力に抗してロッド510を前方に向けて送り出す送り装置550と、を有している。
【0049】
ロッド510は、ケーシング200内において、レンズアッセンブリー400の後方に設けられている。また、ロッド510は、棒状であり、光軸方向LLに延在している。また、ロッド510は、光軸方向LLからの平面視で、レンズアッセンブリー400と重なっている。ロッド510をこのように配置することで、カメラ100の光軸Oに直交する方向への広がり、換言すると、光軸方向LLからの平面視でのカメラ100の輪郭の広がりを抑えることができ、カメラ100の小型化を図ることができる。また、ロッド510は、光軸Oから上方にずれて配置されている。このように、ロッド510を光軸Oからずらすことで、ロッド510と撮像素子600との干渉を防ぐことができる。
【0050】
また、ロッド510は、その先端部においてスリーブ410の基端部に接続されている。そのため、ロッド510が前方に移動すると、ロッド510に押されてレンズアッセンブリー400が前方に移動する。反対に、ロッド510が後方に移動すると、ロッド510に引っ張られてレンズアッセンブリー400が後方に移動する。このように、ロッド510をスリーブ410に接続することにより、レンズユニット420がロッド510によって直接押圧されないため、レンズユニット420に加わる負荷を低減することができる。
【0051】
ロッド510は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。これにより、十分な剛性を有するロッド510が得られ、送り装置550からの押圧力を効率的にレンズアッセンブリー400に伝達することができる。そのため、レンズアッセンブリー400をスムーズに移動させることができる。
【0052】
ロッドヘッド520は、ロッド510の基端部に接続されている。また、ロッドヘッド520は、ロッド510よりも大径な頭部521を有する。頭部521の先端面は、圧縮コイルばね540が当接する当接面であり、基端面は、送り装置550が当接する当接面である。
【0053】
ロッドヘッド520は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の各種樹脂材料で構成されている。PEEKで構成することにより、優れた機械的強度、耐摩擦特性を発揮することができるため、圧縮コイルばね540および送り装置550との接点に用いるのに適した材質となる。ただし、これに限定されず、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成してもよい。これにより、PEEKに比べてロッドヘッド520を安価に製造することができる。
【0054】
ロッドガイド530は、ケーシング200内において、第1回路基板610の後方に設けられている。ロッドガイド530は、第1回路基板610と共に、ネジB1によってシリンダー300の基端面にネジ止めされている。ロッドガイド530は、光軸方向LLに延在する筒状をなし、ロッドガイド530を貫通する貫通孔531が第1回路基板610の孔611と連通するように配置されている。
【0055】
そして、ロッドガイド530および孔611にロッド510が挿通されている。そのため、ロッド510は、光軸方向LLへの移動が許容されるが、それ以外の方向への移動、特に光軸Oまわりの回転が規制される。これにより、ロッド510の操作性が向上し、レンズアッセンブリー400を光軸方向LLにスムーズに移動させることができる。
【0056】
また、ロッドガイド530は、圧縮コイルばね540の形状に合わせて円錐台形状となっている。これにより、圧縮コイルばね540を安定して伸縮させることができ、安定した付勢力を得ることができる。
【0057】
圧縮コイルばね540は、ロッド510およびロッドガイド530に巻回されている。また、圧縮コイルばね540は、ロッドガイド530とロッドヘッド520との間に収縮した状態で配置されている。そのため、圧縮コイルばね540の復元力によって、ロッド510が後方に付勢されている。
【0058】
また、圧縮コイルばね540は、前方から後方に向けて径が漸減する円錐形状を有する。そのため、ロッド510の中心軸に向けて力を集中させ易くなる。したがって、当該構成によっても、圧縮コイルばね540からロッド510に光軸Oに対して傾斜する方向の付勢力が加わり難くなる。よって、ロッド510を光軸方向LLにスムーズに移動させることができる。
【0059】
なお、圧縮コイルばね540としては、特に限定されず、例えば、円筒コイルばね、樽型コイルばね、鼓型コイルばね等を用いてもよい。また、圧縮コイルばね540に替えて、引張コイルばね、板バネ等を付勢部材として用いてもよい。また、引張コイルばねを用いてロッド510を後方へ付勢してもよい。
【0060】
送り装置550は、圧縮コイルばね540の力に抗してロッド510を前方に向けて押圧する。本実施形態では、送り装置550として、マイクロメーターヘッド550Aを用いている。マイクロメーターヘッド550Aは、公知の構成であり、例えば、押圧子としてのスピンドル551と、スリーブ552と、操作部としてのシンブル553と、ラチェットストップ554と、を有している。送り装置550としてマイクロメーターヘッド550Aを用いることにより、離間距離Dをより微細にかつ精度よく調整することができる。なお、本実施形態では、ラチェットストップ554を使用しないため、省略してもよい。
【0061】
マイクロメーターヘッド550Aは、スリーブ552においてケーシング200のアッパーケース220に固定されている。本実施形態では、アッパーケース220に形成された挿通孔221にマイクロメーターヘッド550Aが挿通され、さらにイモネジB3によってケーシング200に対して固定、位置決めされている。
【0062】
マイクロメーターヘッド550Aがケーシング200に固定された状態では、スピンドル551がケーシング200内に位置し、その先端面がロッドヘッド520の基端面に当接している。スピンドル551の先端部は、球面形状となっている。そのため、例えば、先端部が平坦面で構成されている場合と比べて、スピンドル551およびロッドヘッド520の摩耗や、マイクロメーターヘッド550Aの傾きによる誤差を抑えることができる。一方、シンブル553およびラチェットストップ554は、ケーシング200外に突出し、露出している。そして、ケーシング200外に突出した部分は、低背部202の上方の切り欠かれた部分に位置している。
【0063】
図6に示すように、シンブル553を順回転させるとスピンドル551がその中心軸J551まわりに順方向に回転しながら中心軸J551に沿って前進し、スピンドル551に押されたロッド510が圧縮コイルばね540の付勢力に抗して前方へ移動し、ロッド510に押されたレンズアッセンブリー400が前方へ移動する。これにより、レンズユニット420と撮像素子600との離間距離Dが大きくなる。
【0064】
反対に、シンブル553を逆回転させるとスピンドル551が中心軸J551まわりに逆回転しながら中心軸J551に沿って後退し、圧縮コイルばね540の付勢力によってロッド510が後方へ移動し、ロッド510に引っ張られたレンズアッセンブリー400が後方へ移動する。これにより、レンズユニット420と撮像素子600との離間距離Dが小さくなる。
【0065】
このように、カメラ100では、マイクロメーターヘッド550Aの操作によってフォーカス調整が可能となる。そのため、カメラ100によれば、レンズユニット420を交換することなく、カメラ100の撮影距離および分解能(物理的解像度)を変更することができる。
【0066】
マイクロメーターヘッド550Aによれば、シンブル553を回転させるだけで離間距離Dを変更することができるため、使用者の操作による過度な応力がカメラ100に加わり難い。そのため、カメラ100を構成する各部品の破損が抑制される。また、マイクロメーターヘッド550Aにはスピンドル551の繰り出し量を表示する不図示の目盛が設けられているため、当該目盛から離間距離Dを読み取ることも可能である。
【0067】
なお、フォーカス調整の方法としては、特に限定されない。例えば、カメラ100で撮像した画像をモニター等に表示し、操作者が当該画像を目視しながらマイクロメーターヘッド550Aを操作することによりフォーカス調整を行ってもよい。また、物理的解像度が最も高くなるようにフォーカス調整を自動で行うソフトウェアを用いてもよい。
【0068】
スピンドル551の中心軸J551は、後方が上側に位置するように、光軸Oに対して傾斜している。このように、中心軸J551を光軸Oに対して傾斜させることにより、マイクロメーターヘッド550Aとケーシング200との干渉を防ぎ、マイクロメーターヘッド550Aを配置し易くなる。また、シンブル553の周囲に操作スペースを確保し易くなり、シンブル553を操作し易くなる。また、中心軸J551が光軸Oと平行な場合と比べて、シンブル553の回転量に対するレンズアッセンブリー400の変位量を小さくすることができ、離間距離Dをより微細に調整することができる。
【0069】
なお、中心軸J551を光軸Oに対して傾斜させることにより、マイクロメーターヘッド550Aに表示されるシンブル553の送り量とレンズアッセンブリー400の実際の変位量との間に誤差が生じるが、前述したように、フォーカス調整の際にマイクロメーターヘッド550Aの表示を使用しないため特段の問題とならない。光軸Oに対する中心軸J551の傾斜角θ(
図4参照)としては、特に限定されないが、例えば、5°~10°程度とすることが好ましく、7°~9°程度とすることがより好ましい。これにより、上述した効果を十分に発揮しつつ、マイクロメーターヘッド550Aのケーシング200から突出している部分がケーシング200の上方へ過度に突出するのを抑制することができる。そのため、カメラ100の小型化を図ることができる。
【0070】
このような移動機構500によれば、レンズアッセンブリー400に対して、その後方側から光軸方向LLの力を加えることにより、シリンダー300内でレンズアッセンブリー400を光軸方向LLに移動させる。そのため、レンズアッセンブリー400に光軸Oに対して傾斜した力が加わり難くなり、レンズアッセンブリー400が光軸Oに対して偏心したり、傾いたりし難くなる。したがって、安定した撮像特性を発揮し、良質な画像を取得することができるカメラ100となる。
【0071】
以上、移動機構500について説明した。ただし、移動機構500としては、ロッド510を前方に送り出すことができれば、特に限定されない。
【0072】
以上、カメラ100の各部について順に説明した。このようなカメラ100は、
図4に示したように、ネジB4を用いてケーシング200をステージSTに固定することができる。しかしながら、この状態ではシリンダー300がケーシング200に片持ち支持された状態となる。前述したように、レンズアッセンブリー400がテレセントリック光学系のレンズユニット420を備えているため、レンズアッセンブリー400の全長が長くなり易く、かつ、重量が重くなり易い。したがって、ケーシング200をステージSTに固定しただけの状態では、シリンダー300やレンズアッセンブリー400が振動や衝撃によって揺さぶられ易い。そのため、振動や衝撃の影響を受け易く、カメラ100の光学特性の悪化や破損の可能性が高まる。特に、シリンダー300とケーシング200との接続部分に応力が集中し易く、当該部分の破壊を招く可能性が高まる。
【0073】
そこで、カメラ100では、
図7に示すように、さらに、連結具700を介してシリンダー300をステージSTに固定している。これにより、ステージSTによってシリンダー300が支持され、シリンダー300やレンズアッセンブリー400が振動や衝撃によって揺さぶられ難くなる。そのため、シリンダー300やレンズアッセンブリー400が振動や衝撃の影響を受け難くなり、カメラ100の光学特性の悪化や破損を効果的に抑制することができる。
【0074】
図5に示すように、シリンダー300には、シリンダー300に連結具700を連結するための係合部330が配置されている。係合部330は、連結具700を連結することができれば、特に限定されないが、本実施形態では、シリンダー300の外周面に開口するネジ孔331で構成されている。
【0075】
また、ネジ孔331は、一対形成されている。これら一対のネジ孔331は、光軸Oを介して対向配置され、一方が光軸Oに対してY軸方向プラス側に位置するDカット面322に位置し、他方が光軸Oに対してY軸方向マイナス側に位置するDカット面322に位置している。なお、以下では、光軸Oに対してY軸方向プラス側に位置するDカット面322をDカット面322a、Y軸方向マイナス側に位置するDカット面322をDカット面322bとも言う。また、Dカット面322aに位置するネジ孔331をネジ孔331a、Dカット面322bに位置するネジ孔331をネジ孔331bとも言う。
【0076】
図8に示すように、連結具700は、長尺な板部材をその途中の複数個所で略直角に屈曲させてなる略U字状である。連結具700は、Dカット面322aと対向しZ軸方向に延びる脚部710と、Dカット面322bと対向しZ軸方向に延びる脚部720と、脚部710、720の上端部同士を連結する連結部730と、脚部710の下端部に接続された固定部740と、脚部720の下端部に接続された固定部750と、を有している。また、脚部710、720には、それぞれ、ネジを挿通するネジ挿通孔711、721が形成され、固定部740、750には、それぞれ、ネジを挿通するネジ挿通孔741、751が形成されている。このような連結具700は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。
【0077】
そして、ネジ挿通孔711に挿通したネジB51をネジ孔331aに締結し、ネジ挿通孔721に挿通したネジB52をネジ孔331bに締結することにより連結具700とシリンダー300とが連結される。また、ネジ挿通孔741、751に挿通したネジB61、B62をそれぞれステージSTに形成されたネジ孔に締結することにより連結具700とステージSTとが連結される。これにより、連結具700を介してシリンダー300とステージSTとが連結され、シリンダー300が連結具700を介してステージSTに支持された状態となる。このような連結具700によれば、簡単な構成で、かつ、簡単な方法で、シリンダー300とステージSTとを連結することができる。
【0078】
ただし、連結具700とシリンダーとの連結方法および連結具700とステージSTとの連結方法は、ネジ止めに限定されず、例えば、弾性爪と係合孔とを用いたスナップフィットによる連結であってもよい。この場合、連結具700が弾性爪を備えていれば、係合部330を係合孔で構成すればよく、反対に、連結具700が係合孔を備えていれば、係合部330を弾性爪で構成すればよい。
【0079】
特に、本実施形態では、ネジ孔331a、331bが光軸Oに対してY軸方向両側に位置している。そのため、連結具700がシリンダー300の両側に連結され、シリンダー300は、より安定した姿勢でステージSTに支持される。そのため、シリンダー300やレンズアッセンブリー400が振動や衝撃の影響をより受け難くなり、カメラ100の光学特性の悪化や破損をより効果的に抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態では、ネジ孔331a、331bは、シリンダー300の先端部、具体的には第2外径部320の先端部に配置されている。このように、ネジ孔331a、331bをシリンダー300のなるべく自由端側に配置することで、シリンダー300の自由端部がステージSTに支持される。そのため、シリンダー300やレンズアッセンブリー400が振動や衝撃の影響をより受け難くなり、カメラ100の光学特性の悪化や破損をより効果的に抑制することができる。なお、ここで言う「先端部」は、例えば、シリンダー300の先端面から、シリンダー300の全長の20%程度までの領域とすることができる。ただし、ネジ孔331a、331bの位置は、特に限定されず、例えば、シリンダー300の中央部であってもよいし、シリンダー300の基端部であってもよい。
【0081】
また、本実施形態では、前述したように、ネジ孔331a、331bがDカット面322a、322bに配置されている。そのため、シリンダー300に連結具700が連結された状態では、脚部710、720とDカット面322a、322bとが面接触する。したがって、シリンダー300と連結具700との摩擦抵抗を高めることができ、これらをより強固に締結することができる。また、シリンダー300の外周面に沿った脚部710、720の変形が実質的に生じない。そのため、連結具700の強度低下を抑制することができると共に、連結具700とステージSTとの締結をスムーズに行うことができる。ただし、ネジ孔331a、331bは、Dカット面322a、322bに配置されていなくてもよい。言い換えると、Dカット面322a、322bを省略してもよい。
【0082】
なお、ネジ孔331a、331bは、有底の孔であることが好ましい。これにより、ネジB51、B52がシリンダー300を貫通して内部のレンズアッセンブリー400に接触してダメージを与えることを防止することができる。また、ネジ孔331a、331bを介してゴミ、塵、水分等の異物がシリンダー300内に侵入するのを防止することができる。
【0083】
また、図示の構成では、ネジ挿通孔711、721が丸穴で構成されているが、これに限定されず、例えば、
図8に示すように、Z軸方向に延びる長孔であってもよい。これにより、シリンダー300とステージSTとの離間距離に合わせて連結具700の高さを調整することができる。そのため、カメラ100の個体差、ステージSTの種類等に影響を受けることなく、シリンダー300をステージSTにより確実に連結することができる。また、
図9に示すように、各ネジ挿通孔711、721がZ軸方向に並んで複数配置されており、シリンダー300とステージSTとの離間距離に合わせていずれかのネジ挿通孔711、721を選択して使用してもよい。ネジ挿通孔741、751についても同様に、図示の構成では、丸穴で構成されているが、これに限定されず、例えば、Y軸方向に延びる長孔であってもよいし、Y軸方向に並んで複数配置されていてもよい。
【0084】
最後にロボット3000の一例を簡単に説明するが、ロボット3000としては、特に限定されない。
図10に示すロボット3000は、樹脂塗装用のロボットであり、ベース3100と、ベース3100に対して水平方向に移動可能に連結された第1アーム3200と、第1アーム3200に対して鉛直方向に移動可能に連結された第2アーム3300と、を有している。また、第2アーム3300には、樹脂塗布用のディスペンサー3500が所定の姿勢で固定されている。
【0085】
また、第2アーム3300には可動機構3400を介してステージSTが設けられている。また、ステージSTにはカメラ100が固定されている。可動機構3400は、ステージSTを第2アーム3300に対して水平方向および鉛直方向にそれぞれ独立して変位させることができる。このような可動機構3400により、ディスペンサー3500に対してカメラ100が可変となるため、カメラ100に所望の視野を確保させることができる。
【0086】
<第2実施形態>
次に、本発明のカメラの第2実施形態について説明する。
【0087】
図11は、本発明の第2実施形態に係るカメラをY軸方向から見た断面図である。
【0088】
本実施形態のカメラ100は、係合部330の構成が異なっていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。そのため、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態における各図において、前述した実施形態と同様の構成については同一符号を付している。
【0089】
図11に示すように、本実施形態の係合部330は、シリンダー300の底面すなわちZ軸方向マイナス側に位置するDカット面321に配置されている。また、係合部330は、ネジ孔331で構成されている。また、ネジ孔331は、シリンダー300の先端部と基端部とにそれぞれ1つずつ位置している。ただし、ネジ孔331の数や配置は、特に限定されない。
【0090】
このようなカメラ100では、ステージSTに形成されたネジ挿通孔に挿通したネジB7を各ネジ孔331に締結することにより、シリンダー300を直接ステージSTに固定することができる。そのため、前述した第1実施形態のように連結具700を用いる場合と比べて、シリンダー300をステージSTに固定する作業が容易となる。また、連結具700を用いない分、カメラ100およびステージSTを含めたユニットの小型化を図ることができる。
【0091】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0092】
<第3実施形態>
次に、本発明のカメラの第3実施形態について説明する。
【0093】
図12は、本発明の第3実施形態に係るカメラをX軸方向から見た断面図である。
【0094】
本実施形態のカメラ100は、係合部330の構成が異なっていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。そのため、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態における図において、前述した実施形態と同様の構成については同一符号を付している。
【0095】
図12に示すように、本実施形態のカメラ100では、係合部330は、シリンダー300から突出したネジ332(雄ネジ)で構成されている。また、ネジ332は、一対形成されている。これら一対のネジ332は、光軸Oを介して対向配置され、一方がDカット面322aに位置し、他方がDカット面322bに位置している。なお、以下では、Dカット面322aに位置するネジ332をネジ332a、Dカット面322bに位置するネジ332をネジ332bとも言う。
【0096】
このような構成のカメラ100では、ネジ332aを連結具700のネジ挿通孔711に挿通し、ネジ332bを連結具700のネジ挿通孔721に挿通し、ネジ332a、332bにナットNを締結することにより、シリンダー300と連結具700とが連結される。
【0097】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0098】
以上、本発明のカメラを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0099】
100…カメラ 200…ケーシング 201…高背部 201b…後面 202…低背部 202b…後面 210…ベースシャーシ 211…ネジ孔 220…アッパーケース 221…挿通孔 300…シリンダー 310…第1外径部 311…Dカット面 320…第2外径部 321…Dカット面 322…Dカット面 322a…Dカット面 322b…Dカット面 330…係合部 331…ネジ孔 331a…ネジ孔 331b…ネジ孔 332…ネジ 332a…ネジ 332b…ネジ 400…レンズアッセンブリー 410…スリーブ 413…レンズユニット挿入部 420…レンズユニット 430…鏡筒 431…第1外径部 432…第2外径部 433…第3外径部 434…第4外径部 440…レンズ群 450…絞り 500…移動機構 510…ロッド 520…ロッドヘッド 521…頭部 530…ロッドガイド 531…貫通孔 540…圧縮コイルばね 550…送り装置 550A…マイクロメーターヘッド 551…スピンドル 552…スリーブ 553…シンブル 554…ラチェットストップ 600…撮像素子 610…第1回路基板 611…孔 620…第2回路基板 630…支持部材 640…IRカットフィルター 650…ICチップ 690…端子群 700…連結具 710…脚部 711…ネジ挿通孔 720…脚部 721…ネジ挿通孔 730…連結部 740…固定部 741…ネジ挿通孔 750…固定部 751…ネジ挿通孔 800…レンズカバー 900…カメラ 910…カメラボディ 911…ネジ穴 920…レンズ鏡筒 990…支持部材 3000…ロボット 3100…ベース 3200…第1アーム 3300…第2アーム 3400…可動機構 3500…ディスペンサー B1…ネジ B2…ネジ B3…イモネジ B4…ネジ B51…ネジ B52…ネジ B61…ネジ B62…ネジ B7…ネジ D…離間距離 J551…中心軸 LL…光軸方向 N…ナット O…光軸 ST…ステージ θ…傾斜角