IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツミ電機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163953
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】回路基板保持機構およびカメラ
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20231102BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20231102BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231102BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231102BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231102BHJP
【FI】
H05K7/14 G
H05K1/14 C
H05K7/14 K
H05K7/14 H
H05K7/20 F
G03B17/02
G02B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075208
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】田村 和也
(72)【発明者】
【氏名】古河 憲一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直喜
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光弘
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
5E322
5E344
5E348
【Fターム(参考)】
2H044AJ03
2H044AJ06
2H100BB06
2H100BB11
5E322AA03
5E322AB01
5E322AB04
5E322FA04
5E344AA01
5E344AA15
5E344BB01
5E344BB04
5E344EE30
5E348AA02
5E348AA03
5E348AA16
5E348AA17
5E348AA21
5E348AA23
5E348AA28
5E348AA30
5E348AA32
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】回路基板を安定した姿勢で保持することのできる回路基板保持機構およびカメラを提供する。
【解決手段】回路基板保持機構700は、フレキシブル基板を介して互いに接続されている第1リジッド基板811、第2リジッド基板812および第3リジッド基板813を備える回路基板800をベースシャーシ210に保持する。また、回路基板保持機構700は、第1リジッド基板811をベースシャーシ210との間に挟み込んで保持する第1保持部材710と、第1保持部材710とスナップフィットにより接続され、第2リジッド基板812を第1保持部材710との間に挟み込んで保持すると共に、第3リジッド基板813を第2リジッド基板812の反対側においてスナップフィットにより保持する第2保持部材720と、を有し、第1リジッド基板811、第2リジッド基板812および第3リジッド基板813を厚さ方向に重ねて配置する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板を介して互いに接続されている第1リジッド基板、第2リジッド基板および第3リジッド基板を備える回路基板を支持部材に保持する回路基板保持機構であって、
前記第1リジッド基板を前記支持部材との間に挟み込んで保持する第1保持部材と、
前記第1保持部材とスナップフィットにより接続され、前記第2リジッド基板を前記第1保持部材との間に挟み込んで保持すると共に、前記第3リジッド基板を前記第2リジッド基板の反対側においてスナップフィットにより保持する第2保持部材と、を有し、
前記第1リジッド基板、前記第2リジッド基板および前記第3リジッド基板を厚さ方向に重ねて配置することを特徴とする回路基板保持機構。
【請求項2】
前記第1保持部材は、前記支持部材にネジを用いて前記第1リジッド基板と共締めされる請求項1に記載の回路基板保持機構。
【請求項3】
前記第1保持部材は、前記第1リジッド基板、前記第2リジッド基板および前記第3リジッド基板が重なる方向からの平面視で枠状である請求項1に記載の回路基板保持機構。
【請求項4】
前記第2保持部材は、前記第1リジッド基板、前記第2リジッド基板および前記第3リジッド基板が重なる方向からの平面視で枠状である請求項1に記載の回路基板保持機構。
【請求項5】
前記回路基板は、さらに、第4リジッド基板を備え、
前記第2保持部材は、前記第4リジッド基板を前記第3リジッド基板の側方において前記第3リジッド基板に対して直交する姿勢でスナップフィットにより保持する請求項1に記載の回路基板保持機構。
【請求項6】
前記回路基板は、展開状態での平面視で、
前記第2リジッド基板の第1方向の一方側に前記第1リジッド基板が位置し、
前記第2リジッド基板の前記第1方向の他方側に前記第4リジッド基板が位置し、
前記第2リジッド基板の前記第1方向に直交する第2方向の一方側に前記第3リジッド基板が位置し、
前記フレキシブル基板として、前記第2リジッド基板と前記第1リジッド基板とを接続する第1フレキシブル基板と、前記第2リジッド基板と前記第3リジッド基板とを接続する第2フレキシブル基板と、前記第2リジッド基板と前記第4リジッド基板とを接続する第3フレキシブル基板と、を備えている請求項5に記載の回路基板保持機構。
【請求項7】
前記支持部材は、撮像素子を備えるカメラのケーシングである請求項6に記載の回路基板保持機構。
【請求項8】
前記第2リジッド基板には、前記撮像素子を制御する制御回路が配置され、
前記第4リジッド基板には、前記撮像素子と接続される内部接続コネクターが配置され、
前記第1リジッド基板には、外部装置と接続される外部接続コネクターが配置され、
前記第3リジッド基板には、電源回路が配置されている請求項7に記載の回路基板保持機構。
【請求項9】
前記第4リジッド基板の前記第2保持部材側を向く面に前記内部接続コネクターが配置されている請求項8に記載の回路基板保持機構。
【請求項10】
前記第1リジッド基板、前記第2リジッド基板および前記第3リジッド基板が重なる方向からの平面視で
前記第2リジッド基板は、前記第3リジッド基板の外側へ突出する突出部を有し、
前記突出部と前記ケーシングとを熱的に接続する放熱シートが配置されている請求項8に記載の回路基板保持機構。
【請求項11】
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置されている撮像素子と、
フレキシブル基板を介して互いに接続されている第1リジッド基板、第2リジッド基板および第3リジッド基板を備え、前記撮像素子と電気的に接続されている配線基板と、
前記配線基板を前記ケーシングに固定する回路基板保持機構と、を有し、
前記回路基板保持機構は、
前記第1リジッド基板を前記支持部材との間に挟み込んで保持する第1保持部材と、
前記第1保持部材とスナップフィットにより接続され、前記第2リジッド基板を前記第1保持部材との間に挟み込んで保持すると共に、前記第3リジッド基板を前記第2リジッド基板の反対側においてスナップフィットにより保持する第2保持部材と、を有し、
前記第1リジッド基板、前記第2リジッド基板および前記第3リジッド基板を厚さ方向に重ねて配置することを特徴とするカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板保持機構およびカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図1に示すように、特許文献1には、回路基板900を折畳んでカメラのケーシング内に収容した構成が開示されている。特許文献1の回路基板900は、フレキシブル基板を介して接続されている複数のリジッド基板910、920、930、940、950を有している。
【0003】
このような構成の回路基板900は、図2に示すように、リジッド基板910が底板となり、リジッド基板920、940が底板の両縁から立ち上がった側板となり、リジッド基板930がリジッド基板920、940を繋ぐ側板となり、リジッド基板950が2枚のリジッド基板920、940の間に折り込まれた状態でカメラに収容されている。
【0004】
また、上述のように折畳んだ状態では、リジッド基板950に設けられたコネクター951がリジッド基板920に設けられたコネクター921と接続され、リジッド基板950に設けられたコネクター952は、リジッド基板940に設けられたコネクター941と接続されている。このような構成によれば、コネクター921、951を用いてリジッド基板920、950の保持を行い、コネクター941、952を用いてリジッド基板940、950の保持を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2514538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、コネクターを介してリジッド基板同士を保持する構成では、各リジッド基板910、920、930、940、950が不安定でぐらつき易く、回路基板900を折畳んだ状態を安定して保持することが困難である。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、回路基板を安定した姿勢で保持することのできる回路基板保持機構およびカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、以下の本発明(1)および(2)により達成される。
【0009】
(1) フレキシブル基板を介して互いに接続されている第1リジッド基板、第2リジッド基板および第3リジッド基板を備える回路基板を支持部材に保持する回路基板保持機構であって、
前記第1リジッド基板を前記支持部材との間に挟み込んで保持する第1保持部材と、
前記第1保持部材とスナップフィットにより接続され、前記第2リジッド基板を前記第1保持部材との間に挟み込んで保持すると共に、前記第3リジッド基板を前記第2リジッド基板の反対側においてスナップフィットにより保持する第2保持部材と、を有し、
前記第1リジッド基板、前記第2リジッド基板および前記第3リジッド基板を厚さ方向に重ねて配置することを特徴とする回路基板保持機構。
【0010】
(2) ケーシングと、
前記ケーシング内に配置されている撮像素子と、
フレキシブル基板を介して互いに接続されている第1リジッド基板、第2リジッド基板および第3リジッド基板を備え、前記撮像素子と電気的に接続されている配線基板と、
前記配線基板を前記ケーシングに固定する回路基板保持機構と、を有し、
前記回路基板保持機構は、
前記第1リジッド基板を前記支持部材との間に挟み込んで保持する第1保持部材と、
前記第1保持部材とスナップフィットにより接続され、前記第2リジッド基板を前記第1保持部材との間に挟み込んで保持すると共に、前記第3リジッド基板を前記第2リジッド基板の反対側においてスナップフィットにより保持する第2保持部材と、を有し、
前記第1リジッド基板、前記第2リジッド基板および前記第3リジッド基板を厚さ方向に重ねて配置することを特徴とするカメラ。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回路基板保持機構では、第1保持部材が第1リジッド基板を支持部材との間に挟み込んで保持し、第2保持部材が第2リジッド基板を第1保持部材との間に挟み込んで保持すると共に、第3リジッド基板を第2リジッド基板の反対側においてスナップフィットにより保持する。そのため、これら第1、第2、第3リジッド基板を安定して保持することができ、回路基板を折畳んだ状態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来技術の回路基板の一例を示す展開図である。
図2図1の回路基板を折畳んだ状態を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るカメラの斜視図である。
図4図3に示すカメラの断面図である。
図5図3に示すカメラの断面図である。
図6図3のカメラが有する回路基板の表面を示す展開図である。
図7図3のカメラが有する回路基板の裏面を示す展開図である。
図8図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図9図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図10図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図11図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図12図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図13図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図14図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図15図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図16図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図17図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図18図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図19図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図20図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図21図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
図22】本発明の第2実施形態に係るカメラが備える回路基板保持機構を示す斜視図である。
図23】本発明の第2実施形態に係るカメラが備える回路基板保持機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の回路基板保持機構およびカメラを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
<第1実施形態>
まず、本発明のカメラの第1実施形態について説明する。
【0015】
図3は、本発明の第1実施形態に係るカメラの斜視図である。図4および図5は、それぞれ、図3に示すカメラの断面図である。図6は、図3のカメラが有する回路基板の表面を示す展開図である。図7は、図3のカメラが有する回路基板の裏面を示す展開図である。図8ないし図21は、それぞれ、図3のカメラが有する回路基板保持機構を示す斜視図である。
【0016】
なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、X軸に沿う方向を「X軸方向」、Y軸に沿う方向を「Y軸方向」、Z軸に沿う方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」、反対側を「マイナス側」とも言う。また、X軸がカメラ100の光軸Oと一致している。また、X軸方向プラス側が受光側であり、以下では「先端側」、「前方」とも言う。また、X軸方向マイナス側が結像側であり、以下では、「基端側」、「後方」とも言う。
【0017】
図3に示すカメラ100は、FA(ファクトリーオートメーション)用のカメラである。典型的には、カメラ100は、部品の組み立て、加工、検査等を実行するFA用のロボットのアーム等に取り付けられ、部品の形状や位置、部品とロボットのアームとの間の相対関係等を取得するために部品を撮影する。ただし、カメラ100の用途は、これに限定されない。
【0018】
図4に示すように、カメラ100は、ケーシング200と、ケーシング200の前方に装着されているシリンダー300と、シリンダー300内に配置されているレンズアッセンブリー400と、レンズアッセンブリー400をシリンダー300内において光軸Oに沿って移動させる移動機構500と、シリンダー300の前方開口に装着されているレンズカバーLCと、を有している。
【0019】
また、カメラ100は、レンズアッセンブリー400から入った光を受光する撮像素子600と、撮像素子600を支持しているセンサー基板610と、不図示のフレキシブル配線基板を介してセンサー基板610と電気的に接続されている回路基板800と、を有している。これら撮像素子600、センサー基板610および回路基板800は、それぞれ、ケーシング200に収容されている。また、カメラ100は、回路基板800をケーシング200に保持する回路基板保持機構700を有している。なお、以下では、説明の便宜上、光軸Oに沿う方向を「光軸方向LL」とも言う。
【0020】
このようなカメラ100では、移動機構500によってレンズアッセンブリー400を光軸方向LLに移動させることによりレンズアッセンブリー400と撮像素子600との離間距離Dを変更、調整することができる。撮影距離(被写体との距離)に応じて離間距離Dを調整することによりフォーカス調整(ピント合わせ)が可能となる。
【0021】
以下、カメラ100を構成する各部について、順次詳細に説明する。
【0022】
<シリンダー300>
図4に示すように、シリンダー300は、円筒形状を有している。また、シリンダー300の内径は、その軸方向に沿って一定である。また、シリンダー300は、その内周面から中心軸に向けて突出するリング状のフランジ390を有している。フランジ390は、シリンダー300の前方開口付近に設けられている。フランジ390は、シリンダー300の強度を高めるリブとしての機能、レンズカバーLCの度当たりとしての機能、レンズアッセンブリー400のそれ以上の前方側への移動を規制するストッパーとしての機能等、種々の機能を発揮する。また、シリンダー300の前方開口とフランジ390との間の内周面にはネジ溝380が形成されている。ネジ溝380は、レンズカバーLCをシリンダー300に取り付けるのに用いられる。
【0023】
また、シリンダー300は、小外径部310と、小外径部310よりも外径が大きい中外径部320と、中外径部320よりも外径が大きい大外径部330と、を有している。これらは、前方から小外径部310、中外径部320、大外径部330の順に光軸方向LLに並び、一体的に形成されている。また、シリンダー300は、小外径部310と中外径部320との境界に形成されている段差面340と、中外径部320と大外径部330との境界に形成されている段差面350と、を有している。段差面340、350は、それぞれ、光軸Oに直交する平坦面で構成されており、前方を向いている。
【0024】
また、小外径部310の外周にはネジ溝311が形成されている。ネジ溝311は、不図示のアタッチメントへのカメラ100の固定に用いられる。また、中外径部320の外周面の上部と下部には、円筒状の外周面の一部を切り欠いた平坦面であるDカット面321がそれぞれ形成されている。一対のDカット面321は、光軸Oを介して互いに対向している。同様に、大外径部330の外周面の上部と下部には、円筒状の外周面の一部を切り欠いた平坦面であるDカット面331がそれぞれ形成されている。一対のDカット面331は、光軸Oを介して互いに対向している。これら各Dカット面321、331は、Z軸を法線とする平坦面である。
【0025】
このような構成のシリンダー300は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。そのため、十分な剛性を有するシリンダー300が得られ、内部に収容されたレンズアッセンブリー400を安定して保持することができる。また、シリンダー300は、例えば、NC(Numerical Control)旋盤加工により形成されている。NC旋盤加工を用いることにより、優れた寸法精度でシリンダー300を形成することができる。そのため、シリンダー300内でのレンズアッセンブリー400のガタツキを抑え、かつ、レンズアッセンブリー400をシリンダー300内でスムーズに動かすことができる。
【0026】
以上、シリンダー300について説明したが、シリンダー300の構成、材質、製造方法等は、特に限定されない。
【0027】
<ケーシング200>
図4に示すように、ケーシング200は、シリンダー300の後方に位置し、シリンダー300と光軸方向LLに並んで配置されている。また、ケーシング200は、後方上部を切り欠いた形状となっている。そのため、ケーシング200は、シリンダー300を保持する高背部201と、高背部201の後方に位置し、高背部201よりも背が低い低背部202と、を有している。そして、高背部201の後面201bから後述する送り装置550が突出しており、低背部202の後面202bには外部装置との接続を行う端子群690が設けられている。端子群690には、電源と接続するためのGPIO(General Purpose Input Output)コネクター691と、例えば、コンピュータ等の外部装置と接続するための外部接続コネクター692と、が含まれている。
【0028】
このように、低背部202の後面202bすなわちケーシング200の最後方に位置する部分に端子群690を設けることにより、端子群690の周囲にスペースを確保し易くなり、端子群690へのアプローチが容易となる。また、端子群690にケーブルを接続した状態ではケーブルがカメラ100の後方へ延びるため、ケーブルを含めたカメラ100全体の光軸Oに直交する方向への広がり、換言すると、光軸方向LLからの平面視でのカメラ100の輪郭の広がりを抑えることができる。そのため、カメラ100の小型化を図ることができる。
【0029】
また、ケーシング200は、その下側部分を構成するベースシャーシ210と、上側部分を構成するアッパーケース220と、を有している。そして、ベースシャーシ210とアッパーケース220とでシリンダー300の基端部を挟み込むことにより、シリンダー300を保持している。
【0030】
ベースシャーシ210およびアッパーケース220は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。これにより、十分な剛性を有するケーシング200が得られ、シリンダー300を安定して保持することができる。特に、本実施形態では、ベースシャーシ210およびアッパーケース220は、それぞれ、ダイカストすなわち鋳造品である。ダイカストを用いることにより、安価なベースシャーシ210およびアッパーケース220が得られる。また、二次加工により部分的に高い寸法精度を出すことができる。
【0031】
以上、ケーシング200について説明したが、ケーシング200の構成、材質、製造方法等は、特に限定されない。
【0032】
<レンズアッセンブリー400>
図4に示すように、レンズアッセンブリー400は、シリンダー300に収容されており、シリンダー300と同軸的に配置されている。また、レンズアッセンブリー400は、シリンダー300に対して光軸方向LLに移動(摺動)可能な円筒形状のスリーブ410と、スリーブ410の内側に設けられているレンズユニット420と、を有している。また、レンズユニット420は、スリーブ410に固定されている円筒形状の鏡筒430と、鏡筒430内に配置されているレンズ群440および絞り450と、を有している。
【0033】
なお、本実施形態のレンズユニット420は、単焦点(固定焦点)のレンズユニットである。単焦点のレンズユニット420を用いることにより、ズーム機能を有するレンズユニットを用いる場合と比べてレンズの数を減らすことができる。そのため、その分、レンズユニット420を小型化および低コスト化することができる。また、ズーム機能を有するレンズユニット420を用いる場合と比べて明るい画像を取得し易くなる。ただし、レンズユニット420の構成は、特に限定されない。
【0034】
スリーブ410は、円筒形状である。また、スリーブ410は、外周面から外側へ突出している一対のリング状のフランジ411、412を有している。フランジ411は、スリーブ410の先端部に位置し、フランジ412は、スリーブ410の基端部に位置している。
【0035】
また、スリーブ410は、前方開口に臨むレンズユニット挿入部413を有している。そして、レンズユニット挿入部413にレンズユニット420が挿入、装着されている。また、レンズユニット挿入部413は、その後方の部分よりも内径が大きい。そのため、レンズユニット挿入部413の基端には段差面414が形成されている。段差面414は、レンズユニット420の度当たりとして機能する。そのため、レンズユニット420を段差面414に当接するまでねじ込むことにより、スリーブ410に対するレンズユニット420の位置決めが容易となる。
【0036】
なお、本実施形態のレンズユニット挿入部413は、Sマウント規格で構成されている。そのため、Sマウント規格に対応したものであれば、用途に合わせてレンズユニット420を交換することもできる。また、Sマウント規格で構成することにより、レンズユニット420を小型化することができ、カメラ100の小型化を図ることができる。ただし、レンズユニット挿入部413の規格としては、特に限定されず、例えば、Cマウント規格であってもよい。
【0037】
このような構成のスリーブ410は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。これにより、十分な剛性を有するスリーブ410が得られ、レンズユニット420を安定して保持することができる。特に、本実施形態のスリーブ410は、シリンダー300と同一の材料で構成されている。これにより、シリンダー300とスリーブ410の線膨張係数が等しくなり、環境温度によってシリンダー300とスリーブ410との間にガタが生じたり、反対に、スリーブ410の動きが鈍くなったりするのを効果的に抑制することができる。また、スリーブ410は、例えば、NC旋盤加工により形成されている。NC旋盤加工を用いることにより、優れた寸法精度でスリーブ410を形成することができる。
【0038】
このように、本実施形態では、シリンダー300およびスリーブ410が共にNC旋盤加工により形成されている。そのため、これらのクリアランスを高精度に管理することができ、スリーブ410をシリンダー300に精度よく組み付けることができる。したがって、レンズアッセンブリー400をシリンダー300内でスムーズに動かすことができると共に、シリンダー300内でのレンズアッセンブリー400の光軸Oに対する偏心や傾斜を抑制することができる。
【0039】
なお、シリンダー300の内周面とスリーブ410の外周面との間には、これらの摺動抵抗を低減するための図示しない潤滑剤が設けられていてもよい。これにより、レンズアッセンブリー400をシリンダー300内でスムーズに動かすことができる。潤滑剤としては、特に限定されないが、例えば、モリブテン系、グラファイト系、フッ素系等の各種固体潤滑剤を用いることができる。
【0040】
鏡筒430は、円筒形状を有しており、内部にレンズ群440および絞り450が設けられている。このような構成の鏡筒430は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。これにより、十分な剛性を有する鏡筒430が得られ、レンズ群440および絞り450を安定して保持することができる。また、鏡筒430は、例えば、NC旋盤加工により形成されている。NC旋盤加工を用いることにより、優れた寸法精度で鏡筒430を形成することができる。そのため、鏡筒430をスリーブ410に精度よく組み付けることができる。ただし、鏡筒430の材質や形成方法は、特に限定されない。
【0041】
以上、レンズアッセンブリー400について説明したが、レンズアッセンブリー400の構成、材質、製造方法等は、特に限定されない。
【0042】
<撮像素子600>
図4に示すように、撮像素子600は、レンズアッセンブリー400の後方に位置しており、レンズアッセンブリー400と光軸方向LLに並んで配置されている。また、撮像素子600の受光面は、光軸Oに直交している。撮像素子600は、レンズアッセンブリー400から入った光を受光し、受光に応じた光電変換信号を出力する。撮像素子600としては、特に限定されず、CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等を用いることができる。また、撮像素子600の素子サイズ、解像度等の各種スペックは、カメラ100に求められるスペックに合わせて適宜設定することができる。
【0043】
以上、撮像素子600について説明したが、撮像素子600の構成は、特に限定されない。
【0044】
<センサー基板610>
図4に示すように、センサー基板610は、撮像素子600の後方に位置しており、光軸Oに直交する姿勢で配置されている。また、センサー基板610の先端面には、撮像素子600が実装されている。また、センサー基板610の基端面には、回路基板800との電気的な接続を行うためのコネクター612が実装されている。また、センサー基板610は、ネジB1によってシリンダー300の基端面にネジ止めされている。上述したように、シリンダー300は、NC旋盤加工により形成されているため、基端面の形成精度が高く、光軸Oに対する垂直度を高精度に管理することができる。そのため、センサー基板610をシリンダー300の基端面に固定することにより、撮像素子600を光軸Oに対して精度よく位置決めすることができる。また、センサー基板610には、孔611が形成されており、この孔611には後述するロッド510が挿通されている。
【0045】
また、センサー基板610は、筒状の支持部材630を介してIRカットフィルター640(赤外線カットフィルター)を支持している。IRカットフィルター640は、レンズアッセンブリー400と撮像素子600との間に位置し、撮像素子600の手前で赤外線をカットする。
【0046】
以上、センサー基板610について説明したが、センサー基板610の構成、固定方法、固定される対象等は、特に限定されない。
【0047】
<移動機構500>
移動機構500は、レンズアッセンブリー400を光軸方向LLに移動させ、レンズユニット420と撮像素子600との離間距離Dを変更、調整するための機構である。図4に示すように、移動機構500は、レンズアッセンブリー400に接続されているロッド510と、ロッド510の基端部に接続されているロッドヘッド520と、ロッド510を光軸方向LLに誘導するロッドガイド530と、ロッド510を後方に向けて付勢する圧縮コイルばね540と、圧縮コイルばね540の力に抗してロッド510を前方に向けて送り出す送り装置550と、を有している。
【0048】
ロッド510は、ケーシング200内において、レンズアッセンブリー400の後方に設けられている。また、ロッド510は、棒状であり、光軸方向LLに延在している。また、ロッド510は、光軸方向LLからの平面視で、スリーブ410の基端面と重なっている。ロッド510をこのように配置することにより、カメラ100の光軸Oに直交する方向への広がり、換言すると、光軸方向LLからの平面視でのカメラ100の輪郭の広がりを抑えることができ、カメラ100の小型化を図ることができる。また、ロッド510は、光軸Oから上方にずれている。このように、ロッド510を光軸Oからずらすことにより、ロッド510と撮像素子600との干渉を防ぐことができる。
【0049】
また、ロッド510は、その先端部においてスリーブ410の基端部に接続されている。そのため、ロッド510が前方に移動すると、ロッド510に押されてレンズアッセンブリー400が前方に移動する。反対に、ロッド510が後方に移動すると、ロッド510に引っ張られてレンズアッセンブリー400が後方に移動する。このように、ロッド510をスリーブ410に接続することにより、レンズユニット420がロッド510によって直接押圧されないため、レンズユニット420に加わる負荷を低減することができる。
【0050】
このような構成のロッド510は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。これにより、十分な剛性を有するロッド510が得られ、送り装置550からの押圧力を効率的にレンズアッセンブリー400に伝達することができる。そのため、レンズアッセンブリー400をスムーズに移動させることができる。
【0051】
ロッドヘッド520は、ロッド510の基端部に接続されている。また、ロッドヘッド520は、ロッド510よりも大径な頭部を有する。頭部の先端面は、圧縮コイルばね540が当接する当接面であり、基端面は、送り装置550が当接する当接面である。
【0052】
このような構成のロッドヘッド520は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の各種樹脂材料で構成されている。PEEKで構成することにより、優れた機械的強度、耐摩擦特性を発揮することができるため、圧縮コイルばね540および送り装置550との接点に用いるのに適した材質となる。ただし、これに限定されず、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成してもよい。これにより、PEEKに比べてロッドヘッド520を安価に製造することができる。
【0053】
ロッドガイド530は、ケーシング200内において、センサー基板610の後方に設けられている。ロッドガイド530は、センサー基板610と共に、ネジB1によってシリンダー300の基端面にネジ止めされている。ロッドガイド530は、光軸方向LLに延在する筒状をなし、貫通孔531がセンサー基板610の孔611と連通するように配置されている。
【0054】
そして、ロッドガイド530および孔611にロッド510が挿通されている。そのため、ロッド510は、光軸方向LLへの移動が許容されるが、それ以外の方向への移動、特に光軸Oまわりの回転が規制される。これにより、ロッド510の操作性が向上し、レンズアッセンブリー400を光軸方向LLにスムーズに移動させることができる。
【0055】
また、ロッドガイド530は、圧縮コイルばね540の形状に合わせて円錐台形状となっている。これにより、圧縮コイルばね540を安定して伸縮させることができ、安定した付勢力を得ることができる。
【0056】
圧縮コイルばね540は、ロッド510およびロッドガイド530に巻回されている。また、圧縮コイルばね540は、ロッドガイド530とロッドヘッド520との間に収縮(圧縮)された状態で配置されている。そのため、圧縮コイルばね540の復元力によって、ロッド510が後方に付勢されている。
【0057】
また、圧縮コイルばね540は、前方から後方に向けて径が漸減する円錐形状を有する。そのため、ロッド510の中心軸に向けて力を集中させ易くなる。したがって、当該構成によっても、圧縮コイルばね540からロッド510に光軸Oに対して傾斜する方向の付勢力が加わり難くなる。よって、ロッド510を光軸方向LLにスムーズに移動させることができる。
【0058】
なお、圧縮コイルばね540としては、特に限定されず、例えば、円筒コイルばね、樽型コイルばね、鼓型コイルばね等を用いてもよい。また、圧縮コイルばね540に替えて、引張コイルばね、板バネ等を付勢部材として用いてもよい。また、引張コイルばねを用いてロッド510を後方へ付勢してもよい。
【0059】
送り装置550は、圧縮コイルばね540の力に抗してロッド510を前方に向けて押圧する。本実施形態では、送り装置550として、マイクロメーターヘッド550Aを用いている。マイクロメーターヘッド550Aは、公知の構成であり、例えば、押圧子としてのスピンドル551と、スリーブ552と、操作部としてのシンブル553と、ラチェットストップ554と、を有している。送り装置550としてマイクロメーターヘッド550Aを用いることにより、離間距離Dをより微細にかつ精度よく調整することができる。なお、本実施形態では、ラチェットストップ554を使用しないため、省略してもよい。
【0060】
マイクロメーターヘッド550Aは、スリーブ552においてケーシング200のアッパーケース220に固定されている。本実施形態では、アッパーケース220に形成された挿通孔221にマイクロメーターヘッド550Aが挿通され、さらにイモネジB4によってケーシング200に対して固定、位置決めされている。
【0061】
マイクロメーターヘッド550Aがケーシング200に固定された状態では、スピンドル551がケーシング200内に位置し、その先端面がロッドヘッド520の基端面に当接している。スピンドル551の先端部は、球面形状となっている。そのため、例えば、先端部が平坦面で構成されている場合と比べて、スピンドル551およびロッドヘッド520の摩耗や、マイクロメーターヘッド550Aの傾きによる誤差を抑えることができる。一方、シンブル553およびラチェットストップ554は、ケーシング200外に突出し、露出している。そして、ケーシング200外に突出した部分は、低背部202の上方の切り欠かれた部分に位置している。
【0062】
図5に示すように、シンブル553を順回転させるとスピンドル551がその中心軸J551まわりに順方向に回転しながら中心軸J551に沿って前進し、スピンドル551に押されたロッド510が圧縮コイルばね540の付勢力に抗して前方へ移動し、ロッド510に押されたレンズアッセンブリー400が前方へ移動する。これにより、レンズユニット420と撮像素子600との離間距離Dが大きくなる。反対に、シンブル553を逆回転させるとスピンドル551が中心軸J551まわりに逆回転しながら中心軸J551に沿って後退し、圧縮コイルばね540の付勢力によってロッド510が後方へ移動し、ロッド510に引っ張られたレンズアッセンブリー400が後方へ移動する。これにより、レンズユニット420と撮像素子600との離間距離Dが小さくなる。このように、カメラ100では、マイクロメーターヘッド550Aの操作によってフォーカス調整が可能となる。そのため、カメラ100によれば、レンズユニット420を交換することなく、カメラ100の撮影距離および分解能(物理的解像度)を変更することができる。
【0063】
マイクロメーターヘッド550Aによれば、シンブル553を回転させるだけで離間距離Dを変更することができるため、使用者の操作による過度な応力がカメラ100に加わり難い。そのため、カメラ100を構成する各部品の破損が抑制される。また、マイクロメーターヘッド550Aにはスピンドル551の繰り出し量を表示する不図示の目盛が設けられているため、当該目盛から離間距離Dを読み取ることも可能である。
【0064】
なお、フォーカス調整の方法としては、特に限定されない。例えば、カメラ100で撮像した画像をモニター等に表示し、操作者が当該画像を目視しながらマイクロメーターヘッド550Aを操作することによりフォーカス調整を行ってもよい。また、物理的解像度が最も高くなるようにフォーカス調整を自動で行うソフトウェアを用いてもよい。
【0065】
スピンドル551の中心軸J551は、後方が上側に位置するように、光軸Oに対して傾斜している。このように、中心軸J551を光軸Oに対して傾斜させることにより、マイクロメーターヘッド550Aとケーシング200との干渉を防ぎ、マイクロメーターヘッド550Aを配置し易くなる。また、シンブル553の周囲に操作スペースを確保し易くなり、シンブル553を操作し易くなる。また、中心軸J551が光軸Oと平行な場合と比べて、シンブル553の回転量に対するレンズアッセンブリー400の変位量を小さくすることができ、離間距離Dをより微細に調整することができる。
【0066】
なお、中心軸J551を光軸Oに対して傾斜させることにより、マイクロメーターヘッド550Aに表示されるシンブル553の送り量とレンズアッセンブリー400の実際の変位量との間に誤差が生じるが、前述したように、フォーカス調整の際にマイクロメーターヘッド550Aの表示を使用しないため特段の問題とならない。光軸Oに対する中心軸J551の傾斜角θとしては、特に限定されないが、例えば、5°~10°程度とすることが好ましく、7°~9°程度とすることがより好ましい。これにより、上述した効果を十分に発揮しつつ、マイクロメーターヘッド550Aのケーシング200から突出している部分がケーシング200の上方へ過度に突出するのを抑制することができる。そのため、カメラ100の小型化を図ることができる。
【0067】
以上、移動機構500について説明した。ただし、移動機構500としては、ロッド510を前方に送り出すことができれば、特に限定されない。
【0068】
<回路基板800>
図4に示すように、回路基板800は、回路基板保持機構700によってケーシング200のベースシャーシ210に保持されている。回路基板800は、フレキシブル基板(可撓性基板)を介して複数のリジッド基板(硬質基板)が接続されてなるリジッドフレキシブル基板である。具体的には、回路基板800は、第1リジッド基板811と、第2リジッド基板812と、第3リジッド基板813と、第4リジッド基板814と、これら4枚の第1~第4リジッド基板811~814を接続するフレキシブル基板820と、を有している。
【0069】
ケーシング200に保持された第1リジッド基板811の姿勢を基準にして回路基板800を展開すると、図6および図7に示すように、第2リジッド基板812のY軸方向マイナス側(第1方向の一方側)に第1リジッド基板811が位置し、第2リジッド基板812のY軸方向プラス側(第1方向の他方側)に第4リジッド基板814が位置し、第2リジッド基板812のX軸方向マイナス側(第2方向の一方側)に第3リジッド基板813が位置している。つまり、第2リジッド基板812の三方を囲むように第1、第3、第4リジッド基板811、813、814が配置されている。
【0070】
また、第2リジッド基板812は、X軸方向マイナス側の端部からX軸方向マイナス側に突出する突出部812aを有している。この突出部812aは、後述するように、放熱シート790を介してアッパーケース220に接続される。また、第4リジッド基板814は、X軸方向両側に開放する一対の切り欠き814aを有している。これら各切り欠き814aは、後述するように、回路基板保持機構700と係合する係合部として機能する。
【0071】
また、フレキシブル基板820は、第2リジッド基板812と第1リジッド基板811との間に位置し、これらを機械的かつ電気的に接続している第1フレキシブル基板821と、第2リジッド基板812と第3リジッド基板813との間に位置し、これらを機械的かつ電気的に接続している第2フレキシブル基板822と、第2リジッド基板812と第4リジッド基板814との間に位置し、これらを機械的かつ電気的に接続している第3フレキシブル基板823と、を有している。
【0072】
回路基板800をこのような構成とすることにより、第2リジッド基板812から三方向にフレキシブル基板820が延出するため、第1、第2、第3フレキシブル基板821、822、823同士の干渉を防いで、回路基板800を後述するように折畳むことができる。
【0073】
また、第2リジッド基板812の裏面には、カメラ100の各部の駆動を制御する制御回路831が実装されている。制御回路831としては、特に限定されず、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、マイクロコントローラー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路(IC)を用いることができる。本実施形態の制御回路831にはFPGAが用いられている。FPGAを用いることにより、カメラ100に特化した演算処理が可能となり、例えば、撮像素子600からの出力信号を処理する速度、撮像素子600で取得した画像を転送する速度等を高めることができる。
【0074】
また、第1リジッド基板811には、図示しない外部装置との接続に用いられる外部接続コネクター692が実装されている。第1リジッド基板811には、X軸方向プラス側の外縁に開放する切り欠き811aが形成されており、この切り欠き811aに嵌め込まれるようにして外部接続コネクター692が配置されている。なお、外部接続コネクター692としては、特に限定されないが、本実施形態では、USB type-Cのコネクターが用いられている。
【0075】
また、第1リジッド基板811の裏面には、USBコントローラー833が実装されている。USBコントローラー833は、外部接続コネクター692を介した信号の送受信を制御し、制御回路831からの指示に基づいて外部接続コネクター692と接続された外部装置へデータを送信したり、外部装置からデータを受信したことを制御回路831に通知したりする。
【0076】
また、第3リジッド基板813の表面には、不図示の配線を介してGPIOコネクター691と電気的に接続されるGPIO(General Purpose Input Output)コネクター836と、出荷前検査、監視、メンテナンス等を行うための検査用コネクター837と、が実装されている。また、第3リジッド基板813の裏面には、電源回路834および監視回路835が実装されている。電源回路834は、制御回路831の電源電圧を生成する電力回路である。監視回路835は、制御回路831の電源電圧を管理する回路である。
【0077】
また、第4リジッド基板814の裏面には、不図示の配線を介してセンサー基板610のコネクター612と電気的に接続される内部接続コネクター838が実装されている。
【0078】
以上、回路基板800について説明した。このような回路基板800では、前述したように、中央に位置する第2リジッド基板812に制御回路831を実装している。第2リジッド基板812に制御回路831を実装することにより、制御回路831と、第1リジッド基板811、第3リジッド基板813および第4リジッド基板814に実装されている各回路要素とを容易にかつ短い配線長で接続することができる。ただし、回路基板800の構成は、特に限定されない。例えば、第4リジッド基板814を省略してもよい。
【0079】
≪回路基板保持機構700≫
図4に示すように、回路基板保持機構700は、回路基板800をケーシング200のベースシャーシ210(支持部材)に保持する。回路基板保持機構700は、ベースシャーシ210に接続されている第1保持部材710と、第1保持部材710のZ軸方向プラス側に位置し、第1保持部材710に接続されている第2保持部材720と、を有している。そして、回路基板保持機構700は、第1保持部材710とベースシャーシ210との間に第1リジッド基板811を保持し、第2保持部材720と第1保持部材710との間に第2リジッド基板812を保持し、第2保持部材720に第3リジッド基板813および第4リジッド基板814を保持している。
【0080】
第1、第2保持部材710、720は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料、樹脂材料等の硬質材料により構成することができるが、回路基板保持機構700の軽量化および低コスト化の観点からは、樹脂材料により構成することが好ましい。
【0081】
以下、図8から図21に基づいて回路基板保持機構700について詳細に説明するが、これら各図では、ベースシャーシ210についてはネジ孔だけを図示する。
【0082】
図8および図9に示すように、回路基板800の第1リジッド基板811は、表面を上側に向けた姿勢で、ベースシャーシ210の底部に載置されている。また、第1リジッド基板811は、X軸方向マイナス側の端部において、ネジB2によってベースシャーシ210にネジ止めされている。そして、図10および図11に示すように、第1リジッド基板811上に第1保持部材710が載置される。第1保持部材710と第1リジッド基板811とは、X軸方向プラス側の端部において、ネジB3によってベースシャーシ210に共締めされている。これにより、ベースシャーシ210と第1保持部材710との間に第1リジッド基板811が挟み込まれ、第1リジッド基板811がベースシャーシ210に保持される。第1保持部材710と第1リジッド基板811とをネジB3で共締めすることにより、少ない工程および部品点数で、第1保持部材710と第1リジッド基板811とをベースシャーシ210に固定することができる。ただし、第1保持部材710をベースシャーシ210に固定する方法は、ネジ締めに限定されず、例えば、嵌合、スナップフィット等であってもよい。
【0083】
第1保持部材710は、Z軸方向からの平面視で、枠形状を有している。特に、本実施形態では、第1保持部材710は、U字状の三方枠形状である。このように、第1保持部材710を枠形状とすることにより、第1保持部材710の内側にある空間に、その下側に位置する第1リジッド基板811に搭載された各回路要素や、その上側に位置する第2リジッド基板812に搭載された各回路要素を収容することができる。そのため、第1保持部材710の薄型化を図ることができ、回路基板800をよりコンパクトに折畳んで保持することができる。ただし、第1保持部材710の構成は、特に限定されない。
【0084】
第1保持部材710は、X軸方向に延びる一対の壁部711、712と、Y軸方向に延び、壁部711、712のX軸方向マイナス側の端部同士を接続する壁部713と、Y軸方向に延び、壁部711、712の中央部同士を連結している梁部714と、を有している。このように、梁部714を設けることにより、第1保持部材710を補強することができる。また、壁部711、712のX軸方向プラス側の端部には、ネジB3を挿通するネジ挿通孔711a、712aが形成されている。このように、壁部711、712のX軸方向プラス側の端部にネジ挿通孔711a、712aを配置することにより、U字状の両端部がベースシャーシ210にネジ止めされるため、ベースシャーシ210に固定された状態での第1保持部材710の弾性変形を抑えることができる。そのため、回路基板800を安定して保持することができる。
【0085】
また、第1保持部材710は、壁部713からX軸方向マイナス側へ突出する突出部715を有している。突出部715は、Z軸プラス側を向く載置面715aと、載置面715aの外縁部から立設し、載置面715aのX軸方向マイナス側およびY軸方向両側を囲むように配置されているU字状の側壁部715bと、を有している。載置面715aには、第2リジッド基板812の突出部812aが載置される。
【0086】
また、第1保持部材710は、Y軸方向プラス側に位置する壁部711に形成されている突起状の爪部716を有している。また、爪部716は、壁部711のX軸方向プラス側の端部に配置されている。爪部716は、第2保持部材720とスナップフィットで接続される。
【0087】
また、第1保持部材710は、壁部711に形成されているガイド壁717a、717bを有している。これらガイド壁717a、717bは、爪部716のX軸方向両側に位置し、それぞれ、Z軸方向に延在している。また、各ガイド壁717a、717bは、その上端部が上面710aからZ軸方向プラス側に突出している。また、各ガイド壁717a、717bの上端部の内側角部(対向する側の角部)が切り欠かれ、互いの離間距離が上側に向けて漸増するテーパー状となっている。このようなガイド壁717a、717bは、後述する第2保持部材720の突出片725を爪部716に誘導(案内)するガイドとして機能する。特に、ガイド壁717a、717bの上端部をテーパー状にすることにより、突出片725を爪部716に誘導し易くなる。ただし、ガイド壁717a、717bの構成は、特に限定されない。また、ガイド壁717a、717bは、省略してもよい。
【0088】
また、第1保持部材710は、Y軸方向マイナス側に位置する壁部712に形成されている爪部718を有している。爪部718は、第2保持部材720とスナップフィットで接続される。壁部712には、外側面(Y軸方向マイナス側を向く面)に解放し、上面および下面を貫通する凹部712cが形成されており、凹部712cの底面に爪部718が配置されている。また、凹部712cの上端部が斜めに切り欠かれ、テーパー状となっている。凹部712cは、後述する第2保持部材720の突出片726を爪部718に誘導(案内)するガイドとして機能する。特に、凹部712cの上端部をテーパー状にすることにより、突出片726を爪部718に誘導し易くなる。ただし、凹部712cの構成は、特に限定されない。また、凹部712cは、省略してもよい。
【0089】
また、第1保持部材710は、壁部712に形成され、上面710aからZ軸方向プラス側へ突出する突出片712dを有している。突出片712dは、壁部712のX軸方向プラス側の端部に配置され、ガイド壁717a、717bとY軸方向に対向している。
【0090】
以上、第1保持部材710について説明した。図12および図13に示すように、回路基板800の第2リジッド基板812は、裏面(制御回路831が実装されている面)をZ軸方向プラス側に向けた姿勢で、第1保持部材710の上面710aに載置されている。また、第2リジッド基板812は、第1リジッド基板811とZ軸方向に重なって配置されている。この状態では、第2リジッド基板812の突出部812aは、載置面715aに載置され、その三方が側壁部715bで囲まれている。また、第2リジッド基板812は、ガイド壁717a、717bと突出片712dとの間に位置している。そのため、これら側壁部715b、ガイド壁717a、717bおよび突出片712dによって、第1保持部材710に対する第2リジッド基板812の位置決めが行われる。したがって、第1保持部材710に対する第2リジッド基板812のずれが抑えられ、第1保持部材710上に第2リジッド基板812を適切な姿勢で載置することができる。
【0091】
図12ないし図15に示すように、第2保持部材720は、第2リジッド基板812上に載置され、第1保持部材710とスナップフィットにより接続される。第2保持部材720は、Z軸方向からの平面視で、略矩形の枠形状を有している。第2保持部材720を枠形状とすることにより、第2保持部材720の内側にある空間に、その下側に位置する第2リジッド基板812に搭載された各回路要素や、その上側に位置する第3リジッド基板813に搭載された各回路要素を収容することができる。そのため、第2保持部材720の薄型化を図ることができ、回路基板800をよりコンパクトに折畳んで保持することができる。ただし、第2保持部材720の構成は、特に限定されない。
【0092】
第2保持部材720は、X軸方向に延びる一対の壁部721、722と、Y軸方向に延びる一対の壁部723、724と、を有している。このうち、壁部721は、第1保持部材710の壁部711と重なり、壁部722は、第1保持部材710の壁部712と重なり、壁部723は、第1保持部材710の壁部713と重なる。また、壁部722は、他の壁部721、723、724よりも背高で、第2保持部材720の上面720aからZ軸方向プラス側に突出している。
【0093】
また、第2保持部材720は、Y軸方向プラス側に位置する壁部721に形成されている突出片725を有している。突出片725は、壁部721のX軸方向プラス側の端部に配置され、Z軸方向マイナス側に突出している。そして、突出片725の先端部には、第1保持部材710の爪部716と係合する係合穴725aが形成されている。また、第2保持部材720は、Y軸方向マイナス側に位置する壁部722に形成されている突出片726を有している。突出片726は、壁部722のX軸方向マイナス側の端部に配置され、Z軸方向マイナス側に突出している。そして、突出片726の先端部には第1保持部材710の爪部718と係合する係合穴726aが形成されている。
【0094】
このような第2保持部材720を第1保持部材710に上側から押し付けると、突出片725が弾性変形して爪部716を乗り越え、係合穴725aが爪部716と係合すると共に、突出片726が弾性変形して爪部718を乗り越え、係合穴726aが爪部718と係合する。その結果、第2保持部材720と第1保持部材710とがスナップフィットで接続される。スナップフィットによれば、ネジ等の連結部材を用いることなく第1保持部材710と第2保持部材720とを接続することができる。そのため、第1保持部材710と第2保持部材720とを簡単に接続することができる。特に、本実施形態では、スナップフィットで接続される2箇所を対角線上に配置しているため、第1保持部材710と第2保持部材720との接続状態が安定する。また、スナップフィットは、可逆的な接続であるため、第1保持部材710と第2保持部材720との接続を簡単に解除することができる。そのため、回路基板800の交換等のメンテナンスを容易に行うこともできる。
【0095】
また、第2保持部材720は、壁部721、722のX軸方向プラス側の端部から下側へ突出する一対の突出片721b、722bを有している。各突出片721b、722bは、第1保持部材710と第2保持部材720とが接続された状態において、第2リジッド基板812のX軸方向プラス側に位置する。そのため、第2保持部材720が第1保持部材710に接続された状態では、第2リジッド基板812の四方(X軸方向両側およびY軸方向両側)に突出片721b、722bと、側壁部715bと、ガイド壁717a、717bと、突出片712dと、が位置する。その結果、第2リジッド基板812のX軸方向およびY軸方向への変位が規制され、第2リジッド基板812が第1保持部材710と第2保持部材720との間に適正な姿勢で、かつ、安定して保持される。
【0096】
また、第2保持部材720は、壁部723に形成され、X軸方向マイナス側へ突出している一対の突出片723a、723bを有している。これら一対の突出片723a、723bは、第2保持部材720が第1保持部材710に接続された状態において、突出部715の根元部分に当接し、第2リジッド基板812の突出部812aのY軸方向両側に位置している。
【0097】
また、第2保持部材720は、壁部721に形成され、Z軸方向プラス側へ突出する突出片721cと、壁部722に形成され、Y軸方向プラス側(第2保持部材720の内側)へ突出する突出片722cと、壁部724に形成され、Z軸方向プラス側へ突出する突出片724cと、を有している。突出片724cは、L字状に屈曲しており、上面720aからZ軸方向プラス側へ延出する基端部と、基端部からX軸方向マイナス側へ延出する先端部と、を有している。また、第2保持部材720は、壁部723に形成され、Z軸方向プラス側へ突出する爪部727を有している。
【0098】
図16および図17に示すように、回路基板800の第3リジッド基板813は、表面をZ軸方向プラス側に向けた姿勢で、第2保持部材720の上面720aに載置されている。つまり、第3リジッド基板813は、第2保持部材720に対して、第2リジッド基板812と反対側に位置している。また、第3リジッド基板813は、第1、第2リジッド基板811、812とZ軸方向に重なって配置されている。また、爪部727が第3リジッド基板813にスナップフィットにより係合している。
【0099】
第3リジッド基板813が上面720aに載置された状態では、第3リジッド基板813のY軸方向両側に突出片721cと壁部722とが位置し、第3リジッド基板812のX軸方向両側に突出片724cと爪部727とが位置し、第3リジッド基板813のZ軸方向プラス側に突出片724cと爪部727とが位置している。その結果、第3リジッド基板813のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向への変位が規制され、第3リジッド基板813が第2保持部材720に適切な姿勢で、かつ、安定して保持される。
【0100】
ここで、第3リジッド基板813の第2保持部材720への接続は、次のようにして行われる。まず、第1ステップとして、図18に示すように、第3リジッド基板813を斜めにした姿勢で、X軸方向マイナス側から第2保持部材720上に挿入し、第3リジッド基板813の挿入方向先端部を突出片722cの下方を通過させて突出片724cの基端部に当接させる。次に、第2ステップとして、第3リジッド基板813のX軸方向マイナス側の端部を下方に押し込む。すると、爪部727が弾性変形して第3リジッド基板813を乗り越え、第3リジッド基板813に係合する。以上の2つのステップにより、第3リジッド基板813が第2保持部材720に接続される。
【0101】
本実施形態では、特に、第1ステップを行い易くするために、突出片722cの下面をX軸方向マイナス側が高い傾斜面としている。また、第2保持部材720の上面720aに段差Kを形成し、X軸方向プラス側の部分をX軸方向マイナス側の部分よりも一段低くしている。このような形状によれば、第3リジッド基板813を第2保持部材720上に挿入し易くなり、第1ステップを容易に行うことができる。
【0102】
このように、スナップフィットによれば、ネジ等の連結部材を用いることなく第3リジッド基板813と第2保持部材720とを接続することができる。そのため、第3リジッド基板813と第2保持部材720とを簡単に接続することができる。また、スナップフィットによれば、第3リジッド基板813と第2保持部材720との接続を簡単に解除することができるため、回路基板800の交換等のメンテナンスを容易に行うこともできる。
【0103】
また、図14ないし図17に示すように、第2保持部材720は、壁部722に形成され、壁部722の外面側に第4リジッド基板814を保持する保持部728を有している。保持部728は、第4リジッド基板814を載置する載置台728aと、載置台728aに載置された第4リジッド基板814を間に挟み込む内壁部728bおよび外壁部728cと、を有している。
【0104】
保持部728は、第4リジッド基板814を第3リジッド基板813の側方(Y軸方向マイナス側)において、立てた状態、つまり、第1、第2、第3リジッド基板811、812、813に対して直交する姿勢で保持する。このような位置および姿勢で第4リジッド基板814を保持することにより、例えば、第4リジッド基板814をさらに第3リジッド基板813の上側に重ねて配置する場合と比較して低背化でき、回路基板800をコンパクトに折畳むことができる。また、第4リジッド基板814を第3リジッド基板811の側方で保持することにより、第3リジッド基板813上のGPIOコネクター836および検査用コネクター837が露出し、これらコネクター836、837への配線の接続が容易となる。
【0105】
また、第4リジッド基板814は、内部接続コネクター838が実装されている裏面を第2保持部材720側つまりY軸方向プラス側に向けた姿勢で第2保持部材720に保持されている。そのため、内部接続コネクター838が回路基板保持機構700の外側に突出せず、折畳んだ状態の回路基板800がよりコンパクトになる。また、内部接続コネクター838の正面に広い空間が確保されるため、内部接続コネクター838への配線の接続が容易となる。
【0106】
載置台728aは、壁部722の外面からY軸方向マイナス側に突出している。そして、載置台728aの先端部から外壁部728cがZ軸方向プラス側に突出している。一方、内壁部728bは、壁部722の上面からZ軸方向プラス側へ突出している。また、内壁部728bおよび外壁部728cは、それぞれ、X軸方向に離間した一対の突起で構成されている。このように、内壁部728bおよび外壁部728cをそれぞれ一対の突起で構成することにより、第4リジッド基板814に接続されている第3フレキシブル基板823や、第4リジッド基板814に実装されている内部接続コネクター838との干渉を防ぐことができる。
【0107】
また、内壁部728bは、外壁部728cよりもZ軸方向プラス側に突出している。そして、内壁部728bの先端部(外壁部728cよりも上側の部分)には、Y軸方向マイナス側へ突出している円柱状の突起728dが形成されている。この突起728dは、第4リジッド基板814に形成されている切り欠き814aに係合する。
【0108】
なお、第4リジッド基板814の第2保持部材720への接続は、次のようにして行われる。まず、第1ステップとして、図19に示すように、第4リジッド基板814を立てた状態で外壁部728cと内壁部728bの間に斜めに挿入し、載置台728a上に載置する。次に、第2ステップとして、第4リジッド基板814の上端部をY軸方向プラス側に押し込む。すると、第4リジッド基板814あるいは内壁部728bが弾性変形し、図20および図21に示すように、突起728dが第4リジッド基板814の切り欠き814aに係合する。このような2つのステップによって、第4リジッド基板814がスナップフィットにより第2保持部材720に保持される。
【0109】
スナップフィットによれば、ネジ等の連結部材を用いることなく第4リジッド基板814と第2保持部材720とを接続することができる。そのため、第4リジッド基板814と第2保持部材720とを簡単に接続することができる。また、スナップフィットによれば、第4リジッド基板814と第2保持部材720との接続を簡単に解除することができるため、回路基板800の交換等のメンテナンスを容易に行うこともできる。
【0110】
以上、回路基板保持機構700について説明した。このような回路基板保持機構700によれば、第1保持部材710が第1リジッド基板811をベースシャーシ210との間に挟み込んで保持し、第2保持部材720が第2リジッド基板812を第1保持部材710との間に挟み込んで保持すると共に、第3、第4リジッド基板813、814を保持する。そのため、これら第1、第2、第3、第4リジッド基板811、812、813、814を安定して保持することができる。さらには、第1、第2、第3リジッド基板811、812、813がZ軸方向に重なって配置されるため、回路基板800の折畳んだ状態がコンパクトになる。また、第2保持部材720を第1保持部材710にスナップフィットで接続することにより、これらの接続を簡単に行うことができる。
【0111】
回路基板800が回路基板保持機構700に保持された状態では、図21に示すように、Z軸方向プラス側(第1、第2、第3リジッド基板811、812、813が重なる方向)からの平面視で、第2リジッド基板812の突出部812aが第3リジッド基板813の外側へ突出している。そして、突出部812aの上面が回路基板保持機構700外に露出している。
【0112】
さらに、突出部812a上には放熱シート790が配置されており、この放熱シート790を介して第2リジッド基板812とケーシング200のアッパーケース220とが熱的に接続されている(図4参照)。放熱シート790を介して第2リジッド基板812とアッパーケース220とを熱的に接続することにより、第2リジッド基板812に実装されている制御回路831の熱をアッパーケース220から効率的に放出することができる。そのため、制御回路831を冷却することができ、カメラ100を安定して駆動させることができる。
【0113】
放熱シート790は、例えば、低硬度のゴムシートで構成されており、第2リジッド基板812とアッパーケース220とによって厚さ方向に圧縮されている。放熱シート790を圧縮することにより、放熱シート790と第2リジッド基板812およびアッパーケース220との密着性が高まって接触熱抵抗を低減することができる。そのため、制御回路831の冷却効率が向上する。このような放熱シート790としては、特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム製のシート、アクリルゴム製等の非シリコーンゴム製のシート等を用いることができる。
【0114】
<第2実施形態>
次に、本発明のカメラの第2実施形態について説明する。
【0115】
図22および図23は、それぞれ、本発明の第2実施形態に係るカメラが備える回路基板保持機構を示す斜視図である。
【0116】
本実施形態のカメラ100は、回路基板保持機構700の構成が異なっていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。そのため、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態における各図において、前述した実施形態と同様の構成については同一符号を付している。
【0117】
図22および図23に示すように、本実施形態の第1保持部材710では、壁部711に形成されている爪部716が上面710aからZ軸方向プラス側に突出した形状となっている。また、壁部712から凹部712cおよび爪部718が省略され、その代わりに、壁部712を貫通する貫通孔712gが形成されている。
【0118】
一方、第2保持部材720では、壁部721から突出片725が省略され、その代わりに壁部721にガイド壁721f、721gが形成されている。また、ガイド壁721f、721gは、X軸方向に並んで配置され、それぞれ、Z軸方向に延在している。第2保持部材720を第1保持部材710に接続する際、ガイド壁721fは、爪部716とガイド壁717aとの間に挿入され、ガイド壁721gは、爪部716とガイド壁717bとの間に挿入される。そして、爪部716が弾性変形して壁部721を乗り越え、壁部721の上面と係合する。
【0119】
また、突出片726から係合穴726aが省略され、その代わりに爪部726bが形成されている。第2保持部材720を第1保持部材710に接続する際、突出片726が貫通孔712gに挿通され、爪部726bが突出片726を弾性変形させながら壁部712を乗り越え、壁部712の下面と係合する。
【0120】
以上のような構成によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0121】
以上、本発明の回路基板保持機構およびカメラを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0122】
100…カメラ 200…ケーシング 201…高背部 201b…後面 202…低背部 202b…後面 210…ベースシャーシ 220…アッパーケース 221…挿通孔 300…シリンダー 310…小外径部 311…ネジ溝 320…中外径部 321…Dカット面 330…大外径部 331…Dカット面 340…段差面 350…段差面 380…ネジ溝 390…フランジ 400…レンズアッセンブリー 410…スリーブ 411…フランジ 412…フランジ 413…レンズユニット挿入部 414…段差面 420…レンズユニット 430…鏡筒 440…レンズ群 450…絞り 500…移動機構 510…ロッド 520…ロッドヘッド 530…ロッドガイド 531…貫通孔 540…圧縮コイルばね 550…送り装置 550A…マイクロメーターヘッド 551…スピンドル 552…スリーブ 553…シンブル 554…ラチェットストップ 600…撮像素子 610…センサー基板 611…孔 612…コネクター 630…支持部材 640…IRカットフィルター 690…端子群 691…GPIOコネクター 692…外部接続コネクター 700…回路基板保持機構 710…第1保持部材 710a…上面 711…壁部 711a…ネジ挿通孔 712…壁部 712a…ネジ挿通孔 712c…凹部 712d…突出片 712g…貫通孔 713…壁部 714…梁部 715…突出部 715a…載置面 715b…側壁部 716…爪部 717a…ガイド壁 717b…ガイド壁 718…爪部 720…第2保持部材 720a…上面 721…壁部 721b…突出片 721c…突出片 721f…ガイド壁 721g…ガイド壁 722…壁部 722b…突出片 722c…突出片 723…壁部 723a…突出片 723b…突出片 724…壁部 724c…突出片 725…突出片 725a…係合穴 726…突出片 726a…係合穴 726b…爪部 727…爪部 728…保持部 728a…載置台 728b…内壁部 728c…外壁部 728d…突起 790…放熱シート 800…回路基板 811…第1リジッド基板 811a…切り欠き 812…第2リジッド基板 812a…突出部 813…第3リジッド基板 814…第4リジッド基板 814a…切り欠き 820…フレキシブル基板 821…第1フレキシブル基板 822…第2フレキシブル基板 823…第3フレキシブル基板 831…制御回路 833…USBコントローラー 834…電源回路 835…監視回路 836…GPIOコネクター 837…検査用コネクター 838…内部接続コネクター 900…回路基板 910…リジッド基板 920…リジッド基板 921…コネクター 930…リジッド基板 940…リジッド基板 941…コネクター 950…リジッド基板 951…コネクター 952…コネクター B1…ネジ B2…ネジ B3…ネジ B4…イモネジ D…離間距離 J551…中心軸 K…段差 LC…レンズカバー LL…光軸方向 O…光軸 θ…傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23