IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-織物及び織物の製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163954
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】織物及び織物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/65 20210101AFI20231102BHJP
   D21H 21/14 20060101ALI20231102BHJP
   D03D 15/20 20210101ALI20231102BHJP
   D03D 19/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
D03D15/65
D21H21/14 B
D03D15/20 100
D03D19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075209
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小原 龍
(72)【発明者】
【氏名】守田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】松沢 孝教
(72)【発明者】
【氏名】早川 典
【テーマコード(参考)】
4L048
4L055
【Fターム(参考)】
4L048AA46
4L048AA56
4L048AB37
4L048AC00
4L048BA08
4L048CA00
4L048CA11
4L048DA00
4L048EA00
4L055AH50
4L055BE04
(57)【要約】
【課題】消臭性能及び/又は脱臭性能の向上を図ることが可能な織物を提供する。
【解決手段】本発明の織物1は、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを一体化して構成される紙製の糸2,3を用いて織られている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを一体化して構成される紙製の糸を用いて織られた織物。
【請求項2】
織組織が、前記紙製の糸からなる複数の経糸を絡ませながら、前記紙製の糸からなる緯糸と織り込んだ絡み織である請求項1に記載の織物。
【請求項3】
前記紙製の糸からなる第一経糸と第二経糸との位置が、前記紙製の糸からなる緯糸ごとに交換され、かつ、前記第一経糸と前記第二経糸とが隣り合う前記緯糸の間において絡む請求項1に記載の織物。
【請求項4】
前記紙製の糸における前記消臭剤及び/又は前記脱臭剤の含有量が、前記パルプ状繊維の重量を基準とする重量比で0.06%以上80%以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の織物。
【請求項5】
パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを配合することで一体化して紙製のシート状体に構成する抄紙工程と、
前記紙製のシート状体を帯状に裁断して紙製の帯状体とする裁断工程と、
複数の前記紙製の帯状体を撚り合わせて紙製の糸とする撚糸工程と、
前記紙製の糸を用いて織物を織る織物形成工程と、
を備える織物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物及び織物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂層の表面に微細な凹凸構造を形成し、樹脂層の凹凸構造の凹部に粒状の消臭剤を固着させた消臭フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-205685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の消臭フィルムは、その厚さ方向に通気性を有していない。このため、当該消臭フィルムでは、消臭剤による効果(消臭効果)の範囲が樹脂層の表面上(すなわち2次元平面上)に限られてしまい、消臭効果が十分に発揮されない。したがって、特許文献1の消臭フィルムのように、消臭機能を有するシート状の製品には、消臭性能の改善の余地がある。このような課題は、消臭剤の代わりに粒状の脱臭剤を樹脂層の表面上に固着させた製品であっても同様である。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、消臭性能及び/又は脱臭性能の向上を図ることが可能な織物及び織物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを一体化して構成される紙製の糸を用いて織られた織物である。
【0007】
また、本発明は、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを配合することで一体化して紙製のシート状体に構成する抄紙工程と、前記紙製のシート状体を帯状に裁断して紙製の帯状体とする裁断工程と、複数の前記紙製の帯状体を撚り合わせて紙製の糸とする撚糸工程と、前記紙製の糸を用いて織物を織る織物形成工程と、を備える織物の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消臭性能及び/又は脱臭性能の向上を図ることが可能な織物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る織物の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態の織物1は、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを一体化して構成される紙製の糸2,3を用いて織られたものである。
【0011】
パルプ状繊維としては、例えば、グランドウッドパルプ(GP)、プレッシャーライズドグランドウッドパルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP;N材)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP;N材、NB材)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP;L材)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、L材)等の化学パルプ、デインキングパルプ(DIP)、ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプやセミケミカルパルプ(CP)などの木材パルプ、また、木綿、わら、竹、エスパルト、バガス、リンター、マニラ麻、亜麻、麻、黄麻、雁皮等の木材以外の天然繊維を使用できる。パルプ状繊維は、これら繊維の中から一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。特に、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP;N材、NB材)は繊維長が長く紙製の糸の強度が高くなるため好ましい。
【0012】
また、上述した各種繊維を主体繊維とし、補助繊維として、レーヨン、アセテート、トリアセテート、ナイロン6、ナイロン66、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、アラミド、ポリビニルアルコール等の有機高分子繊維、ガラス繊維、炭素繊維、活性炭繊維、アルミナ繊維、ロックウール繊維等の無機繊維、ステンレス等の金属繊維等を適宜選択し一種または二種以上混合して用いることができる。
【0013】
消臭剤、脱臭剤は、少なくとも常温(例えば0℃~40℃)において粒状となる材料であればよい。消臭剤としては、無機系消臭剤、ポリフェノール化合物系消臭剤、窒素化合物系消臭剤等を用いることができる。脱臭剤としては、活性炭、ゼオライト等を用いることができる。紙製の糸2,3は、これら消臭剤及び脱臭剤の一方又は両方を含んでよい。
粒状の消臭剤、脱臭剤の直径(粒径)は、1nm以上0.5mm以下であることがこのましく、5μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。消臭剤、脱臭剤の直径が小さいと、紙製の糸2,3を製造する段階において、消臭剤、脱臭剤の歩留まりが低下して、消臭剤、脱臭剤を設定した量だけ紙製の糸2,3に含有させることが困難となる。一方、消臭剤、脱臭剤の直径が大きいと凝集性が低下し、パルプ状繊維が消臭剤、脱臭剤を十分な強度で保持できないため、乾燥後に、消臭剤、脱臭剤が脱落するおそれがある。
【0014】
消臭剤の直径は、消臭剤の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、ハイブリッド消臭剤(例えばTioTioPREMIUM(登録商標))の直径は、1nm~400nmの間で設定できる。また、無機系消臭剤(例えばケスモン(登録商標))の直径は、1μm~12μmの間で設定できる。また、鉱物系消臭剤(ゼオライト)の粒径は、0.1mm~0.5mmの間で設定できる。
【0015】
紙製の糸2,3における消臭剤及び/又は脱臭剤の含有量は、例えば、パルプ状繊維の重量を基準(100%)とする重量比で、0.06%以上80%以下であることが好ましく、5%以上15%以下であることがさらに好ましい。
織物1の仕様や目的に応じて、消臭剤の種類、コスト、また、撚糸の際の必要な強度などにより、消臭剤の担持量を適宜設定することができる。例えば、ハイブリッド消臭剤であれば紙に対して重量比0.06%以上で消臭効果を得ることができる。また、当該重量比をさらに増やすことで、より短時間で消臭効果を発現することができる。紙に対する消臭剤の担持量は、後述する抄紙工程により重量比で最大80%まで可能である。
【0016】
図1に示すように、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを一体化した紙製の糸2,3を用いて織られる織物1は、織目4(糸2,3同士の隙間)を有する。織物1の織組織(織り方)は、例えば平織、綾織、朱子織などであってよい。本実施形態における織物1の織組織は、紙製の糸2,3からなる複数の経糸2を絡ませながら、紙製の糸2,3からなる緯糸3と織り込んだ絡み織である。絡み織では、複数の経糸2が隣り合う緯糸3の間において絡む。
図1に示す織物1の織組織は、絡み織のうち、第一経糸2Aと第二経糸2Bとの位置が、緯糸3ごとに交換され、かつ、第一経糸2Aと第二経糸2Bとが隣り合う緯糸3の間において絡む紗織である。図1における符号5は、隣り合う緯糸3の間において第一、第二経糸2A,2Bが絡む絡み目を示している。なお、織物1の織組織は、他の絡み織(例えば路織)であってもよい。
【0017】
以上のように構成される本実施形態の織物1は、例えば、住宅内装用のタペストリー、ランプシェード、押し入れなどの収納スペースの床に敷く機能性敷物、天井装飾材として用いることができる。
【0018】
次に、本実施形態の織物1の製造方法について説明する。
織物1を製造する際には、はじめに、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを配合することで一体化して紙製のシート状体に構成する抄紙工程を実施する。抄紙工程では、湿式抄紙法または乾式抄紙法を用いてシート状体を製造する。
【0019】
抄紙工程において、シート状体を湿式抄紙法により製造する場合は、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを配合した材料を水に分散してスラリーを調製し、得られたスラリーを湿式抄紙機で抄造する。主体繊維としてのパルプ状繊維は、あらかじめ、叩解しておくことが好ましい。叩解は、シングルディスクリファイナー(SDR)、ダブルディスクリファイナー(DDR)、ビーター等の叩解機により適宜行なうことができる。叩解度としては、カナダ標準濾水度(CSF:JIS P 8121)で750CSF~100CSF程度が好ましく、500CSF~150CSF程度がより好ましい。
【0020】
抄紙工程においては、凝集剤を適宜使用することができる。凝集剤は、特に限定されるものではないが、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の凝集剤を使用可能である。例えば、ポリアクリルアミド系のカチオン性、ノニオン性、アニオン性及び両性の樹脂、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドポリアミン及びその誘導体、カチオン性及び両性澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、親水性のポリマー粒子等の有機系化合物、及び硫酸バンド、アルミナゾル、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等のアルミ化合物、更に硫酸第一鉄、塩化第一鉄あるいはコロイダルシリカ、ベントナイト等の無機系化合物等を組み合わせて使用することができる。
抄紙工程において、凝集剤の添加およびその添加量は任意であるが、凝集剤を添加する場合は、水分散液中の固形分に対して0.001wt%以上が好ましく、0.005wt%以上がより好ましい。添加量が0.001wt%を下回ると、凝集効果が得られない恐れがある。
【0021】
また、抄紙工程においては、必要に応じてサイズ剤、湿潤紙力剤、填料等の抄紙用薬品を適宜用いることができる。
サイズ剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸性抄紙用のロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性抄紙用にアルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤等の各種サイズ剤が挙げられる。
湿潤紙力増強剤としては、例えば、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、エポキシ系樹脂、ジアルデヒド澱粉、ポリアクリルアミド及びポリエチレンイミン等が挙げられる。
填料としては、例えば、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、ケイソウ土、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫酸マグネシウム、シリカ、アルミノ硅酸塩、ベントナイト等の鉱物質填料やポリスチレン粒子、尿素ホルマリン樹脂粒子等の有機合成填料等が挙げられる。
更に、染料、pH調整剤、スライムコントロール剤、消泡剤、粘剤等の抄紙用の各種添加助剤も用途に応じて使用できる。
【0022】
抄紙工程に用いる湿式抄紙機としては、一般の抄紙技術に適用されている長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜式抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等、特に限定されるものではない。また、抄紙工程において製造される紙製のシート状体は、上記のようにして得られる単層紙のほか、単層紙を重ね合わせた多層の抄き合わせ紙として構成されてもよい。
【0023】
次に、抄紙工程で製造された紙製のシート状体を帯状に裁断して紙製の帯状体とする裁断工程を実施する。裁断工程においては、シート状体を例えば幅2mm~10mmの帯状体に裁断する。シート状体の裁断には、例えばマイクロスリットなどの裁断機を用いればよい。
裁断工程の後には、複数の紙製の帯状体を撚り合わせて紙製の糸2,3とする撚糸工程を実施する。
【0024】
最後に、撚糸工程によって得られた紙製の糸2,3を用いて織物1を織る織物形成工程を実施する。織物形成工程における織物1の織り方は、例えば平織、綾織、朱子織などであってよい。本実施形態の織物形成工程では、紙製の糸2,3からなる複数の経糸2を絡ませながら、紙製の糸2,3からなる緯糸3と織り込む絡み織により、織物1を織る。具体的には、図1に示すように、紙製の糸2,3からなる第一経糸2Aと第二経糸2Bとの位置を、紙製の糸2,3からなる緯糸3ごとに交換し、かつ、隣り合う緯糸3の間ごとに第一経糸2Aと第二経糸2Bとを絡ませる紗織によって、織物1を織る。
以上により、織物1の製造方法が完了する。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の織物1は、パルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを一体化して構成された紙製の糸2,3を用いて織られている。当該紙製の糸2,3においては、パルプ状繊維の間に粒状の消臭剤や脱臭剤を保持することができる。すなわち、紙製の糸2,3には、多くの粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤を含ませることができる。これにより、当該紙製の糸2,3を用いて織られた織物1には、樹脂層の表面に粒状の消臭剤を固着させた従来の消臭フィルムなどと比較して、粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤をより多く含ませることができる。
また、消臭機能及び/又は脱臭機能を有する本実施形態の織物1は、織目4を有するため、従来の消臭フィルムと比較して、良好な通気性を有する。
【0026】
ここで、消臭剤、脱臭剤による消臭性能、脱臭性能は、空気に触れる消臭剤、脱臭剤の面積大きい程、高くなる。したがって、上記したように消臭剤及び/又は脱臭剤をより多く含み、かつ、良好な通気性を有する本実施形態の織物1では、消臭性能及び/又は脱臭性能の向上を図ることができる。
【0027】
また、本実施形態の織物1における織組織は、紙製の糸2,3からなる複数の経糸2を絡ませながら、紙製の糸2,3からなる緯糸3と織り込んだ絡み織である。絡み織においては、複数の経糸2が隣り合う緯糸3の間において絡む。このため、絡み合った複数の経糸2が、緯糸3の長手方向(横方向)に動くことが抑制され、緯糸3の長手方向に間隔をあけて隣り合う経糸2同士の間隔が小さくなることを抑えることができる。また、複数の経糸2が隣り合う緯糸3の間において絡んでいることで、隣り合う緯糸3同士の間隔が小さくなることも抑えることができる。これにより、織物1の織目4が小さくなることを抑制することができる。したがって、織物1の通気性を確保して、織物1の織目4の縮小に伴う織物1の消臭性能及び/又は脱臭性能の低下を抑制することができる。
【0028】
さらに、本実施形態の織物1の織組織は、絡み織の一種である紗織となっている。紗織では、第一、第二経糸2A,2Bが、緯糸3ごとに交換され、隣り合う緯糸3の間ごとに絡む。このため、第一、第二経糸2A,2Bからなる経糸2の組が、緯糸3の長手方向(横方向)に動くことをより効果的に抑制できる。また、第一、第二経糸2A,2Bが隣り合う緯糸3の間ごとに絡んでいることで、隣り合う緯糸3同士の間隔が小さくなることも効果的に抑えることができる。これにより、織物1の織目4が小さくなることをより効果的に抑えて、織物1の通気性をより確実に維持することができる。したがって、織物1の織目4の変化に伴う織物1の消臭性能及び/又は脱臭性能の低下を抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態の織物1の製造方法では、抄紙工程においてパルプ状繊維と粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤とを配合することにより、紙製のシート状体においてパルプ状繊維の間に粒状の消臭剤や脱臭剤を良好に保持することができる。このため、多くの粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤を紙製のシート状体に含ませることができる。これにより、紙製のシート状体を基に作られた紙製の糸2,3には、消臭剤及び/又は脱臭剤を含まない紙製の糸に対して、粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤を固着させる場合と比較して、より多くの粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤を含ませることができる。したがって、粒状の消臭剤及び/又は脱臭剤をより多く含む織物1を得ることができる。
【0030】
また、本実施形態の製造方法によって製造された織物1は、織目4を有するため、良好な通気性を有する。
以上のことから、本実施形態の製造方法によって製造された織物1では、消臭性能及び/又は脱臭性能の向上を図ることができる。
【0031】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 織物
2 経糸
2A 第一経糸
2B 第二経糸
3 緯糸
図1