IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 石井 康弘の特許一覧

特開2023-163960木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具
<>
  • 特開-木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具 図1
  • 特開-木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具 図2
  • 特開-木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具 図3
  • 特開-木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具 図4
  • 特開-木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具 図5
  • 特開-木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具 図6
  • 特開-木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163960
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具
(51)【国際特許分類】
   B02C 1/12 20060101AFI20231102BHJP
   A47J 43/28 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B02C1/12
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075215
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】509310727
【氏名又は名称】石井 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】石井 康弘
【テーマコード(参考)】
4B053
4D063
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA22
4B053CA30
4D063AA01
4D063AA19
4D063GA10
4D063GB02
4D063GB07
4D063GD04
4D063GD12
4D063GD13
(57)【要約】
【課題】一回の操作で複数箇所同時に細かく折り砕き、作業の労力と手間を軽減し、使用済み竹串等の先端部分の鋭利さを欠損させ、作業員や家庭内での刺創事故や、幼児やペットの誤飲による内蔵穿孔事故の発生を防止し、安全に廃棄可能な、木製串状部材折り砕きペンチ及び折り砕き着脱具の提供。
【解決手段】一対のアーム部11、一対の挟持部12を有し、アーム部の操作により支点を介して挟持部を開閉するペンチ様部材10と、それぞれの挟持部の先端に設けられた、一対の折り砕き部20A、20Bと、を備えてなり、それぞれの折り砕き部は、台座21A、21Bと、台座に対して垂直に立設された折り砕き刃22A、22Bを有し、それぞれの折り砕き部に備わる折り砕き刃同士は、交互に所定間隔をあけて噛み合う位置に配列され、一方の2つの折り砕き刃の間に他方の折り砕き刃が位置する噛み合い箇所が複数存在する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアーム部と一対の挟持部とを有し、前記アーム部の操作により支点を介して前記挟持部を開閉するペンチ様部材と、それぞれの前記挟持部の先端に設けられた、一対の折り砕き部と、を備えてなり、
それぞれの前記折り砕き部は、台座と、前記台座に対して垂直に立設された折り砕き刃を有し、
それぞれの前記折り砕き部に備わる折り砕き刃同士は、交互に所定間隔をあけて、噛み合う位置に配列され、一方の前記折り砕き部に備わる2つの折り砕き刃の間に他方の前記折り砕き部に備わる折り砕き刃が位置する噛み合い箇所が複数箇所存在することを特徴とする木製串状部材折り砕きペンチ。
【請求項2】
それぞれの前記折り砕き部に備わる折り砕き刃は、直線形状に形成され、かつ、前記ペンチ様部材の長手方向に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の木製串状部材折り砕きペンチ。
【請求項3】
それぞれの前記折り砕き部に備わる折り砕き刃は、円形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木製串状部材折り砕きペンチ。
【請求項4】
それぞれの前記折り砕き部は、それぞれの前記挟持部の先端に着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の木製串状部材折り砕きペンチ。
【請求項5】
請求項4に記載の木製串状部材折り砕きペンチにおけるそれぞれの前記挟持部の先端に着脱可能に構成された一対の前記折り砕き部からなることを特徴とする木製串状部材折り砕き着脱具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヤキトリやおでんや串焼きや串団子などの様々な串付き食品に使用される竹串、爪楊枝など、先端の鋭く尖った細長い木製串状部材による廃棄物収集時における刺傷、誤飲による内蔵穿孔事故などの事故を防止するために用いる木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みの竹串の事故を防止し安全に廃棄するために、折り易くするための細工を施した竹串(特許文献1、特許文献2)や竹串を折り易くするための細工を施す器具(特許文献3)、或いは使用済みの竹串の処理容器(特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-7861号公報
【特許文献2】特開2020-6123号公報
【特許文献3】特開平6-339903号公報
【特許文献4】特開2002-19902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヤキトリやおでんや串焼きや串団子などの様々な串付き食品に広く使用されている竹串や、爪楊枝などの木製串状部材は、先端が鋭く尖っており、廃棄する場合には注意が必要な危険物である。
実際に、ごみ袋から突き出た木製串状部材によるごみ収集作業員や家庭内での刺創事故が発生している。
また、幼児やペットによる木製串状部材の誤飲事故も発生しており、特に誤飲の場合は、木製串状部材の先端の鋭く尖った部分が内臓を穿孔するなど、重篤な症状を引き起こし、治療には開腹手術を行うなど大きな負担を強いられ、さらには死亡例も生じるに至っている。
【0005】
このような使用済み竹串や、爪楊枝などの木製串状部材を廃棄する際の処理方法としては、手で折るなどの方法があるが、手で折る場合は折れる場所が不確定であり、十分な安全性を確保するほどに細かく折ることは困難であり、また、折る際に鋭く裂けた破片で手を負傷する危険がある。
【0006】
この問題に対処するための従来技術としては、竹串に折りやすくするための溝などの細工を施したもの(特許文献1、 特許文献2)や細工を施す器具(特許文献3)が提案されているが、家庭内で発生する使用済み竹串はヤキトリ等の食品に使用されていたものであり、販売されている食品に上記従来技術の竹串が使用されていなければ問題を解消することができない。しかるに、当該食品に折り易い溝などの細工を施した竹串が広く普及しているとは言い難く、危険性を伴った状態の使用済み竹串が発生してしまう。
【0007】
このため、従来、食品に広く使用されている、折り易くするための細工の施されていない通常一般の竹串や、爪楊枝など、先端の鋭く尖った細長い木製串状部材を、安全に廃棄できるようにすることが望まれていた。
【0008】
また、特許文献4には、竹串より細い間隙を持たせて張り合わせ蜂の巣状の筒型にした処理容器が提案されている。また、空の牛乳パックに保管するどの工夫も考えられる。しかし、これらの手段では、竹串の鋭利な先端部分が温存されたままであるため、ごみ収集作業員や家庭内での刺創事故や、特に幼児やペットが拾い出しすることによる誤飲による内蔵穿孔事故の危険性の問題を解消できない。
このため、竹串などの木製串状部材の鋭利な先端部分を安全に処理することが必要とされる。
【0009】
しかるに、竹串等の木製串状部材の先端部分を、従来一般に用いられているペンチで折ることは可能ではあるが、従来一般のペンチを用いる場合、ペンチ先端のくわえ部で木製串状部材を1箇所ずつ挟みながら、ペンチを捩じることで折り砕いて処理する必要がある。複数箇所を細かく折り砕き処理するためには複数回の折り砕き操作が必要となり、多くの手間と労力がかかる。
なお、竹串等の木製串状部材の鋭利な先端部分をペンチで処理する他の方法としては、先端の根元に切断用の刃部を有するペンチを用いて、切断用の刃部で木製串状部材を1箇所ずつ切断する方法もあるが、複数回の切断操作が必要であることに加えて、切断用の刃部で木製串状部材を切断したときの衝撃で、切断片が飛んでしまい易く、切断片の回収の手間や切断片による怪我の虞等の問題が生じる。
そして、従来、一回の操作で安全に木製串状部材の複数箇所を細かく折り砕くことの可能なペンチは存在しなかった。
【0010】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、使用済み竹串や、爪楊枝など、細長い木製串状部材における鋭く尖った先端部分を、一回の操作で複数箇所同時に細かく折り砕くことが可能で、折り砕き作業の労力と手間を軽減しながら、木製串状部材における先端部分の鋭利さを欠損させて、ごみ収集作業員や家庭内での刺創事故や、家庭内における幼児やペットの誤飲による内蔵穿孔事故の発生を防止し、安全に廃棄できるようにすることの可能な、木製串状部材折り砕きペンチ及びペンチに着脱可能な木製串状部材折り砕き着脱具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明による木製串状部材折り砕きペンチは、一対のアーム部と、一対の挟持部と、を有し、前記アーム部の操作により支点を介して前記挟持部を開閉するペンチ様部材と、それぞれの前記挟持部の先端に設けられた、一対の折り砕き部と、を備えてなり、それぞれの前記折り砕き部は、台座と、前記台座に対して垂直に立設された折り砕き刃を有し、それぞれの前記折り砕き部に備わる折り砕き刃同士は、交互に所定間隔をあけて、噛み合う位置に配列され、一方の前記折り砕き部に備わる2つの折り砕き刃の間に他方の前記折り砕き部に備わる折り砕き刃が位置する噛み合い箇所が複数箇所存在することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の木製串状部材折り砕きペンチにおいては、それぞれの前記折り砕き部に備わる折り砕き刃は、直線形状に形成され、かつ、前記ペンチ様部材の長手方向に対して平行に配置されているのが好ましい。
【0013】
また、本発明の木製串状部材折り砕きペンチにおいては、それぞれの前記折り砕き部に備わる折り砕き刃は、円形状に形成されているのが好ましい。
【0014】
また、本発明の木製串状部材折り砕きペンチにおいては、それぞれの前記折り砕き部は、それぞれの前記挟持部の先端に着脱可能に構成されているのが好ましい。
【0015】
また、本発明による木製串状部材折り砕き着脱具は、上記本発明の木製串状部材折り砕きペンチにおけるそれぞれの前記挟持部の先端に着脱可能に構成された一対の折り砕き部からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用済み竹串や、爪楊枝など、細長い木製串状部材における鋭く尖った先端部分を、一回の操作で複数箇所同時に細かく折り砕くことが可能で、折り砕き作業の労力と手間を軽減しながら、木製串状部材における先端部分の鋭利さを欠損させて、ごみ収集作業員や家庭内での刺創事故や、家庭内における幼児やペットの誤飲による内蔵穿孔事故の発生を防止し、安全に廃棄できるようにすることの可能な、木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態にかかる木製串状部材折り砕きペンチの全体構成を側方から示す図である。
図2図1の木製串状部材折り砕きペンチにおける折り砕き部の構成を正面から拡大して示す図である。
図3図1の木製串状部材折り砕きペンチの構成部材を分解して示す図である。
図4図1の木製串状部材折り砕きペンチにおける折り砕き部の使用形態を示す図で、(a)は木製串状部材を折り砕き部にセットした状態を正面から示す図、(b)は木製串状部材を折り砕き部で折り砕いた状態を正面から示す図、(c)は折り砕き後に、一方の折り砕き部に残る、折り砕かれた状態の木製串状部材を他方の折り砕き部側から示す図である。
図5】本発明の第2実施形態にかかる木製串状部材折り砕きペンチの構成を示す図で、(a)は要部の構成部材を分解して示す図、(b)は木製串状部材を折り砕き部で折り砕いた状態を正面から示す図、(c)は折り砕き後に、一方の折り砕き部に残る、折り砕かれた状態の木製串状部材を他方の折り砕き部側から示す図である。
図6図5の木製串状部材折り砕きペンチにおける折り砕き部の変形例を分解して示す図である。
図7図6の折り砕き部がペンチ様部材における挟持部の先端に取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1実施形態
図1は第1実施形態にかかる木製串状部材折り砕きペンチの全体構成を側方から示す図、図2図1の木製串状部材折り砕きペンチにおける折り砕き部の構成を正面から拡大して示す図、図3図1の木製串状部材折り砕きペンチの構成部材を分解して示す図である。図4図1の木製串状部材折り砕きペンチにおける折り砕き部の使用形態を示す図で、(a)は木製串状部材を折り砕き部にセットした状態を正面から示す図、(b)は木製串状部材を折り砕き部で折り砕いた状態を正面から示す図、(c)は折り砕き後に、一方の折り砕き部に残る、折り砕かれた状態の木製串状部材を他方の折り砕き部側から示す図である。
本実施形態の木製串状部材折り砕きペンチは、図1に示すように、ペンチ様部材10と、一対の折り砕き部20A、20Bと、を備えている。
ペンチ様部材10は、一対のアーム部11と一対の挟持部12とを有し、アーム部11の操作により支点を介して挟持部12を開閉可能に構成されている。
折り砕き部20A(20B)は、ペンチ様部材10における、それぞれの挟持部の先端に設けられ、図2に示すように、台座21A(21B)と、折り砕き刃22A(22B)を有している。
台座21A(21B)は、例えば樹脂を材料として成形され、折り砕き刃22A(22B)を配置可能な大きさの所定形状(図1図4の例では小判状)の外形を有するとともに、表面側に折り砕き刃22A(22B)を立設するための溝(不図示)を有している。
折り砕き刃22A(22B)は、例えば金属を材料として加工され、図3に示すように、直線形状に形成され、かつ、ペンチ様部材10の長手方向に対して平行に配置され、刃の根元を台座21A(21B)の表面側の溝(不図示)に挿し込むことによって、図2に示すように、台座21A(21B)に対して垂直に立設されている。
また、折り砕き部20A(20B)に備わる折り砕き刃22A(22B)同士は、交互に所定間隔をあけて、噛み合う位置に配列され、一方の折り砕き部20A(20B)に備わる2つの折り砕き刃22A(22B)の間に他方の折り砕き部20B(20A)に備わる折り砕き刃22B(22A)が位置する噛み合い箇所が複数箇所(図示の例では、5箇所)存在する。
【0019】
このように構成された本実施形態の木製串状部材折り砕きペンチを用いて、木製串状部材の先端部分を折り砕く場合は、まず、アーム部11の操作により挟持部12を開いて、木製串状部材30の先端部分を、折り砕き刃22A(22B)に対して垂直となる向きにセットし、次いで、アーム部11の操作により挟持部12を閉じ方向に移動させて、図4(a)に示すように、木製串状部材30の先端部分を挟む。木製串状部材30の先端部分を、折り砕き刃22A(22B)に対して垂直となる向きにセットするのは、折り砕き刃22A(22B)による木製串状部材30に対する折り砕く力が最も強く働くからである。次いで、木製串状部材30を挟んだ状態でアーム部11を操作して挟持部12を閉じ方向にさらに移動するように力を加えると、折り砕き部20Aと折り砕き部20Bとに交互に所定間隔をおいて配列された、折り砕き刃22Aと折り砕き刃22Bとが、互いに噛み合わさる方向に移動し、木製串状部材30の複数箇所を互い違いの方向から同時に押圧して、図4(b)に示すように、山谷状に折り砕く。折り砕かれた木製串状部材30は、先端の鋭利さが欠損した状態となり、事故等の危険性が減少するため、安全に廃棄できるようになる。
木製串状部材30の先端部分折り砕いた後は、アーム部11を操作して挟持部12を開き方向に移動させて、図4(c)に示す、一方の折り砕き部20A(又は20B)の上に載置されている、山谷状に折り砕かれた木製串状部材30を廃棄する。
【0020】
本実施形態の木製串状部材折り砕きペンチによれば、折り砕き部20A(20B)の台座に対して垂直に立設された折り砕き刃22A、22B同士が、交互に所定間隔をあけて、噛み合う位置に配列され、一方の折り砕き部20A(20B)に備わる2つの折り砕き刃22A(22B)の間に他方の折り砕き部20B(20A)に備わる折り砕き刃22B(22A)が位置する噛み合い箇所が複数箇所存在する構成としたので、木製串状部材30の先端部分を折り砕くとき、折り砕き刃22Aと折り砕き刃22Bとが相互に梃子の原理を働かせ易く、小さな押圧力で木製串状部材30の複数箇所を折り砕き易くなる。また、小さな押圧力で木製串状部材30を折り砕くことで、折り砕き時の衝撃を抑えることができるため、従来一般のペンチ先端に設けられた切断用の刃部で切断したときのように切断片が飛んでしまうことがない。また、折り砕き刃22Aと折り砕き刃22Bは、交互に所定間隔をおいて配置されていることにより、木製串状部材30の山谷状に折り砕かれた部分を折り砕き刃22Aと折り砕き刃22Bとの隙間に退避させることができる。
このため、本実施形態の木製串状部材折り砕きペンチによれば、使用済み竹串や、爪楊枝など、細長い木製串状部材における鋭く尖った先端部分を、一回の操作で複数箇所同時に細かく折り砕くことができ、折り砕き作業の労力と手間を軽減しながら、木製串状部材における先端部分の鋭利さを欠損させて、ごみ収集作業員や家庭内での刺創事故や、家庭内における幼児やペットの誤飲による内蔵穿孔事故の発生を防止し、安全に廃棄できるようにすることができる。
【0021】
第2実施形態
図5は本発明の第2実施形態にかかる木製串状部材折り砕きペンチの構成を示す図で、(a)は要部の構成部材を分解して示す図、(b)は木製串状部材を折り砕き部で折り砕いた状態を正面から示す図、(c)は折り砕き後に、一方の折り砕き部に残る、折り砕かれた状態の木製串状部材を他方の折り砕き部側から示す図である。図6図5の木製串状部材折り砕きペンチにおける折り砕き部の変形例を分解して示す図、図7図6の折り砕き部がペンチ様部材における挟持部の先端に取り付けられた状態を示す図である。
【0022】
本実施形態の木製串状部材折り砕きペンチでは、折り砕き部20A(20B)に備わる折り砕き刃22A(22B)は、図5(a)に示すように、円形状に形成され、折り砕き刃22A(22B)同士は、交互に所定間隔をあけて、噛み合う位置に配列され、一方の折り砕き部20A(20B)に備わる2つの折り砕き刃22A(22B)の間に他方の折り砕き部20B(20A)に備わる折り砕き刃22B(22A)が位置する噛み合い箇所が複数箇所(図示の例では、7箇所)存在する。
なお、台座21A(21B)の形状は、図5の例では、小判状であるが、図6図7に示すように、円形状にすると、折り砕き刃22A(22B)の形状に適合した形状となり、台座を極力小型化できるので好ましい。
その他の構成は、第1実施形態の木製串状部材折り砕きペンチと略同じである。
【0023】
このように構成された本実施形態の木製串状部材折り砕きペンチを用いて、木製串状部材の先端部分を折り砕く場合も、第1実施形態と略同様であるが、まず、アーム部11の操作により挟持部12を開いて、木製串状部材30の先端部分をセットする際、360度どの方向から木製串状部材30を挟んでも、木製串状部材30の先端部分が折り砕き刃22A(22B)に対して垂直となる向きにセットされる。次いで、アーム部11の操作により挟持部12を閉じ方向に移動させて、木製串状部材30の先端部分を挟み、次いで、アーム部11を操作して挟持部12を閉じ方向にさらに移動するように力を加え、折り砕き部20Aと折り砕き部20Bとに交互に所定間隔をおいて配列された、折り砕き刃22Aと折り砕き刃22Bとを、互いに噛み合わさる方向に移動させ、木製串状部材30の複数箇所を互い違いの方向から同時に押圧させて、図5(b)に示すように、山谷状に折り砕く。木製串状部材30の先端部分を折り砕いた後は、アーム部11を操作して挟持部12を開き方向に移動させて、図5(c)に示す、一方の折り砕き部20A(又は20B)の上に載置されている、山谷状に折り砕かれた木製串状部材30を廃棄する。
【0024】
本実施形態の木製串状部材折り砕きペンチによれば、360度どの方向から木製串状部材30を挟んでも、木製串状部材30の先端部分が折り砕き刃22A(22B)に対して垂直となる向きにセットされ、折り砕き刃22A(22B)による木製串状部材30に対する折り砕く力を最も強く働かせることができ、操作性が向上する。
その他の作用効果は、第1実施形態の木製串状部材折り砕きペンチと略同じである。
【0025】
以上、本発明の木製串状部材折り砕きペンチの実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるのではなく、請求項に記載の範囲内でどのような形態にも構成することが可能である。
例えば、ペンチ様部材10は、一対の挟持部12の先端にくわえ部や切断用の刃部を備えた、一般のペンチであってもよいし、一対の挟持部12の先端にくわえ部や切断用の刃部を備えていない部材であってもよい。
また、本実施形態では、台座21A(21B)の形状として、小判状や円形状のものを例として示したが、台座21A(21B)は、折り砕き刃22A(22B)を配置できる形状であれば、どのような形状でもよく、例えば、矩形状、六角形状、八角形状などの形状に形成されていてもよい。但し、角部のある形状の場合は、手が接触したときの怪我を防止するため、角部は円弧状に形成されているのが好ましい。
また、本実施形態では図示していないが、台座21A(21B)には、表面側に折り砕き刃22A(22B)を立設するための溝の他、台座21A(21B)の表面側の溝(不図示)に挿し込んだ折り砕き刃22A(22B)の立設状態を補強するために、溝の周囲の表面を盛り上げた形状に形成してもよい。
また、本実施形態では、台座21A(21B)を、樹脂を材料として構成したが、折り砕き刃22A(22B)を備えることができれば、樹脂以外の材料で構成してもよい。
また、本実施形態では、折り砕き刃22A(22B)を、金属を材料として構成したが、木製串状部材を折り砕くことができれば、金属以外の材料で構成してもよい。
また、本実施形態では、台座21A(21B)と折り砕き刃22A(22B)とを異なる材料で構成したが、台座21A(21B)に対して折り砕き刃22A(22B)を垂直に立設することができれば、台座21A(21B)と折り砕き刃22A(22B)とを同じ材料で一体的に構成してもよい。
また、例えば、折り砕き刃22A(22B)は、木製串状部材を切断することなく、山谷状に折り砕き易くするため、さらには、手が接触したときの怪我を防止するため、刃先が尖ってなく、ある程度の幅を有する面となっているのが好ましい。
また、例えば、折り砕き刃22A(22B)同士が、噛み合う位置に配列されるときの、交互にあける所定間隔は、折り砕き刃22Aと折り砕き刃22Bとによる相互の梃子の原理を働かせ易くするために、少なくとも木製串状部材の径の2倍以上離れているのが好ましい。
また、本実施形態では、折り砕き刃22A(22B)の形状として、直線状のものと、円形状のものを例として示したが、折り砕き刃22A、22B同士は、交互に所定間隔をあけて、噛み合う位置に配列されたものであれば、どのような形状でもよく、例えば、矩形状、六角形状、八角形状などの形状に形成されていてもよい。この場合、それぞれの折り砕き刃22A、22Bは、互いに相似形状となる。このようにしても、多方向から木製串状部材の先端部分を折り砕き刃22A(22B)に対して垂直となる向きにセットして、折り砕き刃22A(22B)による木製串状部材に対する折り砕く力を最も強く働かせることができ、操作性が向上する。
また、本実施形態では、折り砕き刃22A(22B)同士を、一方の折り砕き部に備わる2つの折り砕き刃の間に他方の折り砕き部に備わる折り砕き刃が位置する噛み合い箇所が7箇所存在するように、台座21A(21B)に設けたが、7箇所よりもさらに多く存在するように、それぞれの折り砕き刃22A(22B)の刃数を多く設けても勿論よい。そのようにすれば、一回の操作で折り砕くことのできる箇所及び範囲を増やすことができ、長さの異なる多様な木製串状部材に対する折り砕き作業の労力と手間をより一層軽減できる。
【0026】
さらに、本発明の木製串状部材折り砕きペンチは、折り砕き部20A(20B)が、ペンチ様部材10における、挟持部の先端に着脱可能に構成されているのが好ましい。
その場合、例えば、本件発明者が提案した特許第6085269号公報に記載の刻印果菜用ピンチの図4図5に示す例の構成を応用して、ペンチ様部材10における挟持部の先端内側に嵌合凹部(不図示)(さらには、嵌合凹部を含む先端部にねじ穴(不図示))を設けるとともに、折り砕き部20A(20B)に備わる台座21A(21B)に嵌合凸部(不図示)(さらには、嵌合凸部にねじ穴(不図示))を設け、嵌合凹部に嵌合凸部(不図示)を嵌合する(さらには、嵌合部のねじ穴をビス等で締結する)ことによって、折り砕き部20A(20B)を、ペンチ様部材10における、挟持部の先端に取り付けることができるようにするとよい。
折り砕き部20A(20B)を、ペンチ様部材10における、挟持部の先端に着脱可能に構成すれば、木製串状部材の径や長さに応じて、折り砕き刃22Aと折り砕き刃22Bの配列間隔等、態様の異なる一対の折り砕き部20A、20Bを木製串状部材折り砕き着脱具として用いることができる。
【0027】
また、ペンチ様部材10として、一対の挟持部12の先端にくわえ部や切断用の刃部を備えた、一般のペンチを用いる場合は、折り砕き部20A(20B)に備わる台座21A(21B)に、側方から挟持部12の先端を嵌入させることが可能な、嵌入部(不図示)を形成するのが好ましい。その場合の嵌入部(不図示)は、所定の深さの穴として形成されていてもよいし、挟持部12の先端を囲む輪状に形成されていてもよい。
このようにすると、一対の折り砕き部20A、20Bからなる木製串状部材折り砕き着脱具としての用途がより一層広がる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の木製串状部材折り砕きペンチ及び木製串状部材折り砕き着脱具は、使用済み竹串や、爪楊枝など、先端の鋭く尖った細長い木製串状部材による廃棄物収集時における刺創、誤飲による内蔵穿孔等の事故を防止するために、木製串状部材を安全に廃棄することが必要とされる分野に有用である。
【符号の説明】
【0029】
10 ペンチ様部材
11 アーム部
12 挟持部
20A、20B 折り砕き部
21A、21B 台座
22A、22B 折り砕き刃
30 木製串状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7