(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163973
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】車両用照明構造
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/30 20170101AFI20231102BHJP
B60Q 3/64 20170101ALI20231102BHJP
B60Q 3/78 20170101ALI20231102BHJP
【FI】
B60Q3/30
B60Q3/64
B60Q3/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075235
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮平
(72)【発明者】
【氏名】小島 鉄温
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA03
3K040CA05
3K040DB01
3K040JA04
3K040JB02
(57)【要約】
【課題】車両後部の荷室を後部開口部の下縁近傍から照明し得る照明構造を提供する。
【解決手段】
車両用の照明構造において、車両後部の荷室の入口の下部に延設されるフィニッシュプレートを備えるものとし、前記フィニッシュプレートが第1の導光体を内蔵しており、該導光体から出光する光により、荷室内を照明するものとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部の荷室の入口の下部に延設されるフィニッシュプレートを備え、
前記フィニッシュプレートが第1の導光体を内蔵しており、
該導光体から出光する光により、荷室内を照明する、
車両用照明構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用照明構造において、
前記荷室の床面を形成するフロアボードの上部の空間を照明するとともに、
該フロアボードを取り除いた時に、
フロアボード下部の空間を照明するよう構成されている、
車両用照明構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用照明構造において、
前記フィニッシュプレートが、第2の導光体を備え、
前記第2の導光体により、荷室へのアプローチ部位を照明する、車両用照明構造。
【請求項4】
請求項1または2に記載の車両用照明構造において、
前記フィニッシュプレートが導光体を保持するハウジングと、
該ハウジングに設けられた透光部を覆う光透過性部材と、を備える、
車両用照明構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明構造に関し、より具体的には、荷室などの車両後部の空間を従来の照明とは異なる位置から、高い意匠性で効果的に照明し得る照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は通常、搭乗者の座席の後方に荷物収納用のスペース(荷室)を備えており、トランク等の荷物を荷室に収納する場合、バックドアを開放して荷物の積み下ろしが行われる。そのため、荷室内を照明する機構が各種検討されている。例えば、特許文献1では、荷室上方に設けたランプからの落射光により、荷室内部を証明する構造を記載している。
【0003】
導光体を使用した荷室の照明も検討されている。特許文献2は、荷室カバー(トノカバー)の側縁に沿って配設された導光体の側面からの漏光と、端面から射出される光により、荷室内部を照明する構造を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-193804号公報
【特許文献2】特許第6751813号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の照明構造は、ルーフからの落射光を利用するものであり、特許文献2に記載の照明構造も、荷室の下段を斜め上から照明する形となる。そのため、荷室内に積み上げた荷物の上面は見えるが、床面からの高さを認識したり、床付近に置かれた荷物の状態を観察する上では不利となる。また近年では介護用車両などで車椅子を荷室に搭載固定する場合があるが、床面近傍からの照明を提供すれば、夜間や暗い場所で固定位置を確認する上で便利である。さらに近年では、車室内の照明に間接光を使用し、意匠性に優れた車内空間を作る試みが行われており、統一的な美観の形成のため、荷室の照明でも意匠性を考慮することが好ましい。
【0006】
本発明は、従来照明の設置されていなかった荷室床面近傍からの照明を提供し、かつ美観の形成にも寄与し得る車両用照明構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の構成は、車両用照明構造であって、車両後部の荷室の入口の下部に延設されるフィニッシュプレートを備え、前記フィニッシュプレートが第1の導光体を内蔵しており、該導光体から出光する光により、荷室内を照明する、車両用照明構造である。
【0008】
上記構成の照明構造によれば、フィニッシュプレートの位置から照明を行うので、荷室内に積み上げた荷物の高さを視認しやすくなり、また安定性の悪い荷物を積み込むときにも、床面位置を把握しやすい。さらに、導光体から発する光により間接照明を行い、意匠性の高い照明を演出できる。
【0009】
上記の車両用照明構造は、荷室の床面を形成するフロアボードから上の空間を照明するとともに、該フロアボードを取り除いた時に、フロアボード下部の空間を照明するよう構成されていてもよい。
【0010】
落射光により照明する場合、持ち上げたフロアボードが障害となって、フロアボードの下の空間を照明する上では効率が悪いが、上記照明構造では、荷室の入口下部のフィニッシュプレートの位置から照明することにより、フロアボード下部の空間も効果的に照明できる。
【0011】
上記の車両用照明構造において、前記フィニッシュプレートが、第2の導光体を備え、該第2の導光体により、荷室へのアプローチ部位を照明してもよい。この構成の照明構造によれば、荷室床面と外部空間との境界を明確に認識でき、かつ車両に接近する人の足元を照明することができるので、夜間等における荷物の積み下ろしを効率よく行うことができる。
【0012】
上記の車両用照明構造は、前記フィニッシュプレートが導光体を保持するハウジングと、該ハウジングに設けられた透光部を覆う光透過性部材と、を備える物であってもよい。光透過性部材で透光部を覆うことにより、雨水や泥などがかかりやすいフィニッシュプレートでも、照明効率の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の照明構造によれば、車両後部の開口の下縁付近から荷室内を照明することにより、床面近傍の視認や、荷物の高さの視認が容易となる。また間接照明を用いて意匠性の高い照明構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る照明構造を備える車両を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す車両に設置されるフィニッシュプレートの構成例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る照明構造の要部を示す概略断面図である。
【
図4】
図3に示す照明構造の一変形例を示す概略断面図である。
【
図5】
図3に示す照明構造の別の変形例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用照明構造20を説明するための斜視図であり、車両の一例として自動車100の後部を略図で示している。通常、自動車100は、後部座席1の後方に、通常一定の空間2を有しており、この空間(以下、荷室2と呼ぶ)は、搭乗者の荷物(図示せず)等を置くために使用される。比較的大きな荷物を扱う場合、バックドア(車両後部のドア)3を開けて、荷物の積み下ろしが行われる。自動車100の設計によるが、荷室2の底には、フロアボード2aが設置されており、フロアボード2aより上の空間2Aと下の空間2Bとを隔てている。下方の空間2Bには、例えば、スペアタイヤ(図示せず)などが収納される。
【0016】
荷室2の入口2bの下部、バックドア3のフレームを構成するパネル4の開口部4aの下縁部4bには、加飾と滑り止めをかねて、通常フィニッシュプレート5と呼ばれるプレートが延設されている。図のように、バックドア3が跳ね上げ式の場合、フィニッシュプレート5の中央部付近には、バックドア3のロック機構3aに係合するパネル4側の係合体(ストライカー:図示せず)を収容するための蓋つき開口5aが設けられている。本発明の照明構造20では、このフィニッシュプレート5が照明装置としての機能も有し、フィニッシュプレート5に内蔵された導光体(図示せず)から出光する光Lにより、荷室2内の照明が行われる。
【0017】
図2は、本発明で使用されるフィニッシュプレート5の一例を説明するための斜視図である。フィニッシュプレート5は、自動車10の後部のパネル開口部4の最低辺と同程度の長さ有している。
【0018】
自動車100後部のパネル開口部4aの下縁4bは、荷室2に荷物を積み下ろす際に一時荷物を預け置いたり、踏み台として使用したりする、この部分にフィニッシュプレート5を配置することにより、滑り止め機能を付与するとともに、パネル4を保護することができる。
【0019】
フィニッシュプレート5は、本体5bと、本体5bの上面にとりつけられる加飾プレート5cとを備えている。本実施形態では、フィニッシュプレート本体5bは、荷室側壁面(側面)5dと、車外側壁面5eと、上壁面5fとからなり、荷室側壁面5dには、導光体を保持するハウジング5gが形成されている。ハウジング5gには、導光体6からの光を出光する出光部5hが設けられている。本実施形態では、フィニッシュプレート5の中央部には、バックドア3のロック機構3aを挿通する開口5aが設けられている。開口5aには、バックドアの開け閉めに応じて開閉される、公知の構成の蓋5iが設置されていてもよい。
【0020】
フィニッュプレート5のハウジング5gには、左右一対の導光体(第1の導光体)6が両側から挿通される。導光体6の基端には光源7が接続され、ハーネス8を介して電源(図示せず)に接続されている。光源7は、センサ(図示せず)により、バックドア3の開閉に応じて点灯、消灯するように構成されていてもよい。
【0021】
図3は、
図1にIII-III線で示す部分で後部開口下部4bを切断した状態を示す概略断面図であり、本発明の照明構造20の基本的構成を示す図である。フィニッシュプレート本体5bは、パネル4に被せる形で、固定具5jによりパネル4にとりつけられ、本体5bの上壁面5fには、加飾プレート5cがとりつけられている。本体5bの荷室側壁面には、断面略コの字型のハウジング5gが設けられ、第1の導光体6が装着されている。ハウジング5gは荷室側に開口部5hを持ち、第1の導光体6を荷室側側面6aと、その背面6bとの間で反射しながら導光され、荷室側側面6aから出光した光Lは、荷室2のフロアボード(デッキボード)2aを照射し、フロアボード2aから反射した間接光により荷室2内を照明する。本実施形態では、フロアボード2aの下にさらにトリム部材9で覆われた空間2Bがあるが、次の
図4に示すようにフロアボード2aを持ち上げると、この空間2Bも第1の導光体6で照明される。
【0022】
図4は、
図3で示した照明構造20の変形例を示す図である。この構成ではフィニッシュプレート本体5bの外側壁面(車外側壁面)5eにもハウジング5kが形成され、第2の導光体10が挿入されている。これによって荷室へのアプローチ部位200にある荷室下の地面や荷室に接近する人の足元、荷室外に置かれた荷物などを照明することができる。
【0023】
図5は、
図3で示した照明構造20のさらに別の変形例を示す図である。この構成では、導光体6のハウジング5gは断面が略四角形となり、荷室側は壁面5dで塞がれ、その一部をなす透明部材が透光部5lを形成している。これによって、雨水や泥水がフィニッシュプレート5にかかった場合にも、ハウジング5gに汚れがたまることを防止できる。
【0024】
フィニッシュプレート本体5bは、ポリプロピレン、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックで形成されていてもよく、アルミニウム、アルミニウム合金等の軽金属で形成されていてもよい。加飾プレート5cもエンジニアリングプラスチック、軽金属等で形成されていてもよい。
【0025】
導光体6、8は、透明アクリル製の棒材でもよく、シリコーン等の光拡散性の粒子が分散されたものでもよい。また発光部6aに対向する面(背面)6bには、溝や凹部などの光学パターンが設けられていてもよい。導光体に入光する光源としては、LEDなどをもちいることができる。
【0026】
上の説明では、普通乗用車の照明構造を例として説明したが、本発明の照明構造は、例えばワゴン車の荷室の照明にも用いることができる。上の例ではフィニッシュプレートをバックドアが跳ね上げ式の車両に設置しているが、サイド開き式の車両に設置してもよく、その場合、第1の導光体、第2の導光体はそれぞれ一本でもよい。フィニッシュプレートを用いた照明構造をルーフやサイドトリムからの照明と組み合わせてもよい。また、近年は介護用の車両などで、荷室に折りたたんだ車椅子を固定したり、人を車椅子に座らせたまま後部空間に搭乗させる場合があるが、そのような用途で車両の後部空間を用いる場合にも、本発明の照明構造を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、車両への荷物の積み下ろしの利便性を向上できるので、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0028】
1 後部座席
2 荷室
2a フロアボード
2A フロアボード上部の空間
2B フロアボード下部の空間
3 バックドア
4 パネル
5 フィニッシュプレート
5g,5k ハウジング
5l 透光部
6 第1の導光体
10 第2の導光体
20 照明構造
100 車両(自動車)
200 荷室へのアプローチ部位