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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163991
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】力覚センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/02 20060101AFI20231102BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B25J19/02
G01L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075260
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
(72)【発明者】
【氏名】小河路 隆裕
【テーマコード(参考)】
2F051
3C707
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051BA05
3C707AS01
3C707DS01
3C707ES04
3C707EV02
3C707HS27
3C707KS33
3C707KW03
3C707KX08
3C707LV10
3C707MS03
3C707MT09
(57)【要約】
【課題】爪部に近接した位置に配置でき、かつ必要に応じて各種の爪部に取り付け可能なロボットハンド用の力覚センサモジュールを実現する。
【解決手段】ロボットハンドの爪部と当該爪部を駆動する駆動部との間に配置される力覚センサモジュールであって、力覚センサ(110)と、当該力覚センサと駆動部とを直接的又は間接的に接続する第1接続部(101)と、当該力覚センサと爪部とを直接的又は間接的に接続する第2接続部(107)と、を備え、第1接続部(101)は力覚センサの固定部(103)に結合され、第2接続部(107)は力覚センサの受力部(104)に結合されている、力覚センサモジュール(100)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットハンドの爪部と当該爪部を駆動する駆動部との間に配置される力覚センサモジュールであって、
力覚センサと、
当該力覚センサと前記駆動部とを直接的又は間接的に接続する第1接続部と、
当該力覚センサと前記爪部とを直接的又は間接的に接続する第2接続部と、を備え、
前記第1接続部は前記力覚センサの固定部に結合され、
前記第2接続部は前記力覚センサの受力部に結合されている、
力覚センサモジュール。
【請求項2】
前記駆動部は、前記力覚センサと前記爪部とを一体的に旋回又は並進させる、請求項1に記載の力覚センサモジュール。
【請求項3】
前記第1接続部、前記力覚センサ、及び前記第2接続部がこの順で直線状に配列されている、請求項1又は2に記載の力覚センサモジュール。
【請求項4】
前記第1接続部と前記第2接続部とを係止する係止部を更に備える、請求項1又は2に記載の力覚センサモジュール。
【請求項5】
前記力覚センサへの入力端子と前記力覚センサからの出力端子を規格化した入出力端子ユニットを更に備える、請求項1又は2に記載の力覚センサモジュール。
【請求項6】
前記第1接続部の側面に溝部が設けられており、前記第1接続部と接続されるチャックに設けられた開口と、前記溝部とがロックバーにより固定される、請求項1又は2に記載の力覚センサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力覚センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ハウジング内に収容されている直動アクチュエータにより、2本の爪の先端部を開閉動作させる構造のロボットハンドが記載されている。直動アクチュエータにより駆動される2本の直動軸は、ハウジングの側面に形成されている導出穴を介して外部に導出される。爪は、基部がハウジングの外部で直動軸に固定されており、ハウジングの導出穴と直動軸の間にはシール部材が介在している。
【0003】
そして、2本の直動軸にそれぞれの爪の基部が固定されている部位は、2本の爪の先端部を間に挟む位置にある。また、導出穴の少なくとも一方は、爪の先端部よりも下方に設けられている。従って、2本の直動軸にそれぞれの爪の基部が固定されている部位は、2本の爪の先端部を間に挟む位置にあるので、サイズがハウジングの側方寸法よりも小さいワークであっても、先端部によって容易に把持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-175591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなロボットハンドでは、小さいワークであっても、2本の爪の先端部で把持できるが、ワークを把持する把持力を検出することができない。そのため、把持する力加減によっては、ワークを傷つけてしまう可能性がある。一方、2本の爪の先端に力覚センサを装着して把持力を検出することができるが、力覚センサのサイズに爪のサイズが依存してしまい、爪を細くするなど、爪のサイズを自由に変更することが難しくなる。さらに、把持物とセンサの距離が大きいとロボットを動かした際にその距離分のモーメントが発生し、力覚センサが破損する恐れがあるため、そのモーメントを加味した大きい力覚センサを用意する必要があり、高価になるとともに力覚センサの重量が重くなる。
【0006】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、爪部に近接した位置に配置でき、かつ必要に応じて各種の爪部に取り付け可能なロボットハンド用の力覚センサモジュールを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る力覚センサモジュールは、ロボットハンドの爪部と当該爪部を駆動する駆動部との間に配置される力覚センサモジュールである。力覚センサモジュールは、力覚センサと、第1接続部と、第2接続部と、を備える。第1接続部は、力覚センサと駆動部とを直接的又は間接的に接続する。第2接続部は、力覚センサと爪部とを直接的又は間接的に接続する。そして、第1接続部は力覚センサの固定部に結合され、第2接続部は力覚センサの受力部に結合されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、爪部に近接した位置に配置でき、かつ必要に応じて各種の爪部に取り付け可能なロボットハンド用の力覚センサモジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る力覚センサモジュールを含むロボットハンドの全体斜視図である。
図2図1のAで示す把持部材のZ軸方向の縦断面図である。
図3図2に示す力覚センサモジュールの拡大断面図である。
図4】力覚センサモジュールが備える係止部の一例を示す断面図である。
図5】力覚センサモジュールとチャックとを連結する方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る力覚センサモジュールを含む、ロボットハンド1の構成の一例を示す全体斜視図である。図1には、互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向を示している。X軸方向とY軸方向は、Z軸方向を法線とする平面を構成する2つの直交する方向である。Z軸方向はロボットハンド1の中心軸P1と平行な方向であって、ロボットハンド1の先端から基端部側への方向をZ軸正方向とする。また、Z軸正方向を上方向、Z軸負方向を下方向と称することがある。
【0012】
ロボットハンド1は、作業用のロボットアームの先端部に装着される部材であり、被把持部材(対象物)を把持する機能を有する。図1に示すように、ロボットハンド1は、それぞれが対象物を把持する爪部を含む把持部材10,20,30を備えている。把持部材10,20,30は、後述するようにそれぞれが力覚センサモジュールを含む。把持部材10,20,30は、それぞれ駆動部40,50,60に接続されている。把持部材10,20,30は、同期して半径方向内側へ移動することにより、対象物を把持し、同期して半径方向外側へ移動することにより、対象物を解放する。なお、本実施形態においては、3つの把持部材10,20,30を備えているが、把持部材の数は限定されず、2つでもよく、4つ以上でもよい。また、把持部材自体に挟み部、取得部等の作業部材が装着されている場合は、把持部材は1つでもよい。
【0013】
駆動部40,50,60はそれぞれ把持部材10,20,30を駆動する部材である。つまり、駆動部40,50,60はそれぞれ爪部(後述)を駆動する。駆動部40,50,60は支持部材70に支持されている。支持部材70は、略円筒状であり、駆動部40,50,60を半径方向に移動可能に支持している。つまり、駆動部40はX1で示す方向に移動可能であり、駆動部50は、X2で示す方向に移動可能である。駆動部40,50,60は、略120°間隔で配置されている。駆動部40,50,60は、それぞれモータを有して駆動可能であってもよいし、駆動部40,50,60が支持部材70に内蔵されたモータで駆動されてもよい。
【0014】
以上のように、図1に示すロボットハンド1は、把持部材10,20,30がそれぞれ支持部材70の半径方向に移動することにより、対象物を把持し、又は解放する。しかし把持部材10,20,30の移動方向はこれに限られない。例えば、把持部材10,20,30はそれぞれが駆動部40,50,60を中心に旋回して対象物を把持し、又は解放してもよい。つまり、駆動部は、力覚センサ(後述)と爪部とを一体的に旋回又は並進させてもよい。
【0015】
次に、把持部材10,20,30の詳細について説明する。把持部材10,20,30の構造は共通であるので、ここでは把持部材10を例にとって説明するが、他の把持部材20,30も同様である。図2は、図1のAで示す把持部材10のZ軸方向の縦断面図である。把持部材10は、力覚センサモジュール100と、チャック200と、爪部300とを備える。
【0016】
本実施形態に係る力覚センサモジュールは、ロボットハンド1の爪部300と当該爪部300を駆動する駆動部40との間に配置される。なお、本実施形態では、爪部300と駆動部40との間に後述するチャック200を介している。力覚センサモジュール100は、爪部300が受ける力の方向と大きさを検出する力覚センサ110を含む。爪部300は、ロボットハンド1の先端部で対象物を把持する部分であり、力覚センサモジュール100の下端部に螺合されている。爪部300の形状は、円柱を半分に割った形状で、断面の平坦部で対象物を把持する形状である。しかし、爪部300の形状はこれに限定されない。
【0017】
チャック200は、力覚センサモジュール100と駆動部40とを連結する連結部材であり、力覚センサモジュール100の上端部に螺合されている。チャック200の構成と目的については後述する。力覚センサモジュール100は、爪部300が駆動部40によって駆動された際に、爪部300が受ける力を検出することができる。力覚センサモジュール100を爪部300に近接(隣接)した位置に配置することにより、爪部300が対象物等に接触した際に力覚センサモジュール100が受けるモーメントを小さくすることができる。
【0018】
図3は、図2に示す力覚センサモジュール100の拡大断面図である。力覚センサモジュール100は、中央部に力覚センサ110を内蔵している。具体的には、力覚センサ110は、固定部(フレーム)103、受力部(コア)104、及びアーム部105を含む。アーム部105は固定部103と受力部104とを連結する柱状の部材であり、受力部104が受けた力の方向と大きさに応じてアーム部105が変形する。
【0019】
本実施形態で用いる力覚センサ110は、上述の構成を有しているが、力覚センサ110の種類と構造は限定されない。一般に力覚センサは、受力部に掛かる力及びトルクを検出する装置である。力覚センサは、X軸、Y軸、Z軸方向の力を検出する3軸力覚センサ、又はこれに加えて各軸回りのトルクを検出する6軸力覚センサが一般的であるが、各軸方向の力、又は各軸回りのトルクのそれぞれ一部を検出するタイプでもよい。また、検出方法は、公知の圧電式、歪ゲージ式、光学式、静電容量式等を用いることができ、限定されない。
【0020】
アーム部105にはその変形を検出するためのセンサ素子が設けられているが、センサ素子は本実施形態には直接関連しないため図3では省略している。なお、力覚センサモジュール100は、力覚センサ110への入力端子と力覚センサ110からの出力端子を規格化した入出力端子ユニット(図示せず)を備えてもよい。規格化した入出力端子ユニットとは、種類の異なる力覚センサモジュールに共通して使用可能な入出力端子を共通の位置に配置した端子ユニットである。端子ユニットは端子コネクタであってもよい。
【0021】
第1接続部101は、力覚センサ110と駆動部40とを直接的又は間接的に接続する役割を有する。具体的には、図3に示すように、第1接続部101は、内側が円筒形の空洞となっており、空洞の表面にネジ部101aが形成されている。ネジ部101aは、固定部103の上部がZ軸正方向に突き出た延長部102の外周に設けられたネジ部102aと螺合する。つまり、第1接続部101は、力覚センサ110の固定部103に結合されている。また、第1接続部101は、その外周にチャック200と連結するための溝部101bを備える。溝部101bの使用方法については後述する。
【0022】
本実施形態においては、第1接続部101は、チャック200を介して、つまり間接的に駆動部40と接続されている。また、爪部300は、第2接続部107を介して接続されている。チャックと爪部はそれぞれ複数種類あるが、第1接続部101と第2接続部107とを有する力覚センサモジュールを用いることにより、チャックと爪部の組み合わせを自由に変更することができる。例えば、複数種類ある駆動部40とそれぞれ連結可能な構造を有する複数のチャック200がある。各チャック200の下端部をすべて第1接続部101と接続可能な構造としておくことにより、1つの力覚センサモジュール100を任意の駆動部40に装着することができる。また、形式又は大きさの異なる力覚センサ110であっても、第1接続部101のネジ部101aと螺合する延長部102を設けておくことにより、任意の力覚センサ110をチャック200を介して任意の駆動部40に接続することができる。しかし、第1接続部101と多種類の駆動部40との接続部を統一することにより、第1接続部101と駆動部40とを直接接続してもよい。いずれにしても、複数の駆動部40のいずれでも容易に力覚センサモジュール100に接続することができる。
【0023】
第2接続部107は、力覚センサ110と爪部300とを直接的又は間接的に接続する役割を有する。具体的には、図3に示すように、第2接続部107の下部の外周にネジ部107aが設けられている。一方、図2に示すように、爪部300の上部は円筒形にくりぬかれており、その内面にネジ部が設けられている。このネジ部に第2接続部107のネジ部107aが螺合されて力覚センサモジュール100と爪部300が接続されている。
【0024】
本実施形態では、力覚センサ110と爪部300とが第2接続部107により直接接続されている。これは、力覚センサ110と爪部300とを近接させたほうが力覚センサ110に掛かる爪部300のモーメントが小さくなり、力覚センサ110に与える負荷が小さくなるためである。形状又は大きさの異なる複数の爪部300のいずれにも第2接続部107のネジ部107aと螺合するネジ部を設けておくことにより、複数の爪部300のいずれでも力覚センサモジュール100に接続することができる。しかし、上述のチャック200を用いる理由と同様に、他種類の力覚センサモジュールと多種類の爪部との組み合わせを任意に選択可能とするため、図示しない連結部材を介して間接的に力覚センサモジュール100と爪部300とを接続してもよい。いずれにしても、複数の爪部300のいずれでも容易に力覚センサモジュール100に接続することができる。
【0025】
第2接続部107は、上部が力覚センサ110を収容するために円筒形にくりぬかれており、その底面にネジ穴が設けられている。一方、力覚センサ110の受力部104の中央には貫通孔が設けられている。そして、受力部104の貫通孔にボルト106を挿入して第2接続部107のネジ穴と螺合させることにより、受力部104と第2接続部107とが固定される。つまり、第2接続部107は、力覚センサ110の受力部104に固定されている。
【0026】
なお、図3のB部分拡大図に示すように、固定部103と第2接続部107との間には、Z軸方向にHa、半径方向にHbだけ隙間が設けられている。これは、受力部104が力を受けた場合にアーム部105が変形することができるようにするための隙間である。これらの隙間Ha、Hbの大きさは、アーム部105が変形限度内で変形することができるように適宜設計することができる。
【0027】
つまり、隙間Ha、Hbの大きさを適切に設定することにより、アーム部105が変形限度以上に変形することを防止することができる。言い換えれば、隙間Ha及び隙間Hbの少なくともいずれかを所定の大きさに設定した、固定部103と第2接続部107の組み合わせにより、力覚センサ110の受力部104の変形抑制部として機能させることができる。なお、力覚センサ110が過度の負荷を検出した場合は、アラームを発する等の警報設定をしておいてもよく、ロボットハンドの作動を停止する緊急停止設定をしておいてもよい。
【0028】
上述の実施形態では、第1接続部101は、力覚センサ110の固定部103に結合されており、第2接続部107は、力覚センサ110の受力部104に結合されている。ただし、本実施形態において固定部103及び受力部104との用語は、固定部は受力部を支持する部材であり、受力部は爪部300から力を受けてアーム部を変形させる部材である、という機能的関係を示す用語であり、形状を指す用語ではない。従って、本実施形態において、力覚センサ110における固定部103と受力部104の形状とこれらの連結構造は限定されない。つまり、固定部103と受力部104の形状とこれらの連結構造は、力覚センサ110の種類と大きさ等により異なってもよい。
【0029】
上述の実施形態では、第1接続部101、力覚センサ110、及び第2接続部107がこの順で直線状に配列されている例を説明した。これにより、簡易な構造で交換が容易な力覚センサモジュール100を形成することができる。しかし、第1接続部101、力覚センサ110、及び第2接続部107が直線状に配列されていなくてもよい。例えば、駆動部、又は把持部材の使用環境と使用目的に応じて、第1接続部101、力覚センサ110、及び第2接続部107の一部が軸を外した位置に配置されていてもよい。また、直線状ではなく、屈曲して配列されていてもよい。
【0030】
図4は、力覚センサモジュール100が備える係止部の一例を示す断面図である。係止部は、第1接続部101と第2接続部107とを係止することにより、力覚センサ110を保護する役割を有する。具体的には、力覚センサモジュール100は、係止部として第1接続部101に貫通した係止孔101cと第2接続部107に貫通した係止孔107bを備えている。係止孔101cと係止孔107bは相対して配置されており、ノックピン108を2つの係止孔101c,107bに挿入することができる。ノックピン108を2つの係止孔101c,107bに挿入することにより、第1接続部101と第2接続部107との相対的な移動を限定することができる。
【0031】
例えば、力覚センサモジュール100を搭載したロボットハンド1をティーチングする際など、力覚センサ110を作動させる必要がない場合に、図4の401に示すように、2つの係止孔101c,107bにノックピン108を挿入することができる。ノックピンによって第1接続部101と第2接続部107の相対的動きが制限されることにより、力覚センサ110にはあまり力が伝わらない。そのため、作業中に不測の衝突等が発生しても、力覚センサ110には過度の応力が加わらないため、破損することを防止することができる。力覚センサ110を作動させる必要がある場合は、図4の402に示すように、ノックピン108を外すことにより、力覚センサ110は通常通りに作動する。
【0032】
図5は、力覚センサモジュール100とチャック200とを連結する方法の一例を示す図である。本実施形態においては、第1接続部101の側面に溝部101bが設けられており、第1接続部101と接続されるチャック200に設けられた開口201と、溝部101bとがロックバーにより固定される構造になっている。具体的には、まず、図5の501に示すように、力覚センサモジュール100の第1接続部101をチャック200の下部に差し込む。チャック200の下部には、第1接続部101の溝部101bに対応する位置に開口201が設けられている。この際、ノックピン108を装着しておくことが好ましい。次に、図5の502に示すように、開口201から溝部101bにロックバー210を差し込む。これにより、図5の503に示すように、溝部101bにロックバー210が係合して力覚センサモジュール100とチャック200が連結される。なお、チャック200と支持部材70との接続方法は任意である。ただし、接続構造は複数のチャックと複数の支持部材とで共通化することが好ましい。
【0033】
以上の構成を有する力覚センサモジュール100によれば、爪部に近接した位置に配置でき、かつ必要に応じて各種の爪部に取り付け可能なロボットハンド用の力覚センサモジュールを実現することができる。また、故障又は破損した場合の交換も容易である。この力覚センサモジュールを組み込んだ把持部材を装着することにより、ロボットアームの先端に力覚センサを個別に配置する必要がない。また、必要に応じたロボットハンドの把持部材の選択と組立が容易となる。また、把持部材を複数備える場合は複数の力覚センサモジュールを備えることになり、取得する力情報の数も多くなる。そのため、把持力、把持物の重量、重心、嵌合や位相合わせ等の力、モーメント等を精度良く検出することが可能となる。また、1つの力覚センサに比べて、例えば3つの力覚センサを用いることにより、力を3等分に分離することができる。これにより、力覚センサの分解能を変えることなく最小検出加重を3分の1に減らすことができる。
【0034】
〔まとめ〕
(態様1)ロボットハンドの爪部と当該爪部を駆動する駆動部との間に配置される力覚センサモジュールであって、力覚センサと、当該力覚センサと前記駆動部とを直接的又は間接的に接続する第1接続部と、当該力覚センサと前記爪部とを直接的又は間接的に接続する第2接続部と、を備え、前記第1接続部は前記力覚センサの固定部に結合され、前記第2接続部は前記力覚センサの受力部に結合されている、力覚センサモジュール。
上記の構成により、爪部に近接した位置に配置でき、かつ必要に応じて各種の爪部に取り付け可能なロボットハンド用の力覚センサモジュールを実現することができる。
【0035】
(態様2)前記駆動部は、前記力覚センサと前記爪部とを一体的に旋回又は並進させる、態様1に記載の力覚センサモジュール。
上記の構成により、爪部が旋回して対象物を把持するロボットハンドと爪部が並進して対象物を把持するロボットハンドのいずれにも力覚センサモジュール適用することができる。
【0036】
(態様3)前記第1接続部、前記力覚センサ、及び前記第2接続部がこの順で直線状に配列されている、態様1又は2に記載の力覚センサモジュール。
上記の構成により、簡易な構成で各種の駆動部又は爪部に力覚センサモジュールを適用することができる。
【0037】
(態様4)前記第1接続部と前記第2接続部とを係止する係止部を更に備える、態様1から3のいずれか一に記載の力覚センサモジュール。
上記の構成により、力覚センサモジュールに過度の応力が掛かることを防止することができる。
【0038】
(態様5)前記力覚センサへの入力端子と前記力覚センサからの出力端子を規格化した入出力端子ユニットを更に備える、態様1から4のいずれか一に記載の力覚センサモジュール。
上記の構成により、力覚センサモジュールの交換をさらに容易にすることができる。
【0039】
(態様6)前記第1接続部の側面に溝部が設けられており、前記第1接続部と接続されるチャックに設けられた開口と、前記溝部とがロックバーにより固定される、態様1から5のいずれか一に記載の力覚センサモジュール。
【0040】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…ロボットハンド 10,20,30…把持部材 40,50,60…駆動部 70…支持部材 100…力覚センサモジュール 101…第1接続部 101a,107a,102a…ネジ部 101b…溝部 101c,107b…係止孔 102…延長部 103…固定部(フレーム) 104…受力部(コア) 105…アーム部 106…ボルト 107…第2接続部 108…ノックピン 110…力覚センサ 200…チャック 201…開口 210…ロックバー 300…爪部
図1
図2
図3
図4
図5