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特開2023-164023入出力上下限値決定方法、電源制御装置、及び蓄電システム
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  • 特開-入出力上下限値決定方法、電源制御装置、及び蓄電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164023
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】入出力上下限値決定方法、電源制御装置、及び蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231102BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231102BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231102BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075317
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴之
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA08
5G503CA10
5G503DA06
5G503DA18
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】第2電源のSOCの変動を抑制することができる入出力上下限値決定方法、電源制御装置、及び蓄電システムを提供する。
【解決手段】入出力上下限値決定方法は、容量型電池11と、容量型電池11よりも容量が小さい一方で出力が大きい出力型電池12とを含む蓄電システムの出力型電池12の入出力の上下限値を設定する。入出力上下限値決定方法は、出力型電池12のSOCにおいて各連続入出力時間で最大入出力値を取得する最大入出力値取得ステップと、各連続入出力時間で出力型電池12の入出力要求値を取得する入出力要求値取得ステップと、横軸がSOCであって縦軸が各連続入出力時間の最大入出力値であるグラフと、横軸がSOCであって縦軸が各連続入出力時間の入出力要求値であるグラフとの連続入出力時間が同じである最大入出力値と入出力要求値との交点から出力型電池12の入出力の上下限値を決定する決定ステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源と、前記第1電源よりも容量が小さい一方で出力が大きい第2電源とを含む蓄電システムの前記第2電源の入出力の上下限値を決定する入出力上下限値決定方法であって、
前記第2電源の充電状態を示すSOCにおいて各連続入出力時間でそれぞれ入出力可能である最大入出力値を取得する最大入出力値取得ステップと、
前記各連続入出力時間で前記第2電源が入出力制御を行うときの制御中心となる中心SOCへ前記SOCを戻すのに必要な入出力値である入出力要求値を取得する入出力要求値取得ステップと、
第1軸が前記SOCであって前記第1軸と直交する第2軸が前記各連続入出力時間の前記最大入出力値であるグラフと、前記第1軸が前記SOCであって前記第2軸が前記各連続入出力時間の前記入出力要求値であるグラフとの前記連続入出力時間が同じである前記最大入出力値と前記入出力要求値との交点から前記第2電源の入出力の上下限値を決定する決定ステップと、を含む
入出力上下限値決定方法。
【請求項2】
決定した入出力の上下限値の絶対値は、前記最大入出力値が最大となるSOCの近くでピークを有し、前記ピークから離れるほど減少する
請求項1に記載の入出力上下限値決定方法。
【請求項3】
前記第2電源は、前記第1電源をバックアップするように機能するために、外部から出力要求がないときに前記SOCを前記中心SOCへ戻るように前記第1電源から入力して前記中心SOCへ戻して待機する
請求項1又は2に記載の入出力上下限値決定方法。
【請求項4】
第1電源と、前記第1電源よりも容量が小さい一方で出力が大きい第2電源とを含む蓄電システムを制御する電源制御装置であって、
前記第2電源の充電状態を示すSOCにおいて各連続入出力時間でそれぞれ入出力可能である最大入出力値を取得し、
前記各連続入出力時間で前記第2電源が入出力制御を行うときの制御中心となる中心SOCへ前記SOCを戻すのに必要な入出力値である入出力要求値を取得し、
第1軸が前記SOCであって前記第1軸と直交する第2軸が前記各連続入出力時間の前記最大入出力値であるグラフと、前記第1軸が前記SOCであって前記第2軸が前記各連続入出力時間の前記入出力要求値であるグラフとの前記連続入出力時間が同じである最大入出力値と入出力要求値との交点から決定された前記第2電源の入出力の上下限値にて制御する
電源制御装置。
【請求項5】
決定された入出力の上下限値の絶対値は、前記最大入出力値が最大となるSOCの近くでピークを有し、前記ピークから離れるほど減少する
請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記第2電源は、外部から出力要求がないときに前記SOCを前記中心SOCへ戻るように前記第1電源から入力する
請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項7】
第1電源と、
前記第1電源よりも容量が小さい一方で出力が大きい第2電源と、
請求項4~6のいずれか一項に記載の電源制御装置と、を備える
蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力上下限値決定方法、電源制御装置、及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電源システムでは、高容量かつ高出力の要求から、高容量型の電源と高出力型の電源とが電力変換回路等を介して並列に接続されている。この電源システムは、車両に備えられ、走行モードによって2種類の電源の電力分配方法を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-187756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の電源システムは車両に備えられているが、電力網に対して充放電を行う蓄電システムもある。このような蓄電システムでは、電力会社の用途によって電力分配した際の高出力型の電源の充電状態を示すSOCの変動が大きくなることがある。このため、高出力型の電源のSOCの変動を抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する入出力上下限値決定方法は、第1電源と、前記第1電源よりも容量が小さい一方で出力が大きい第2電源とを含む蓄電システムの前記第2電源の入出力の上下限値を決定する入出力上下限値決定方法であって、前記第2電源の充電状態を示すSOCにおいて各連続入出力時間でそれぞれ入出力可能である最大入出力値を取得する最大入出力値取得ステップと、前記各連続入出力時間で前記第2電源が入出力制御を行うときの制御中心となる中心SOCへ前記SOCを戻すのに必要な入出力値である入出力要求値を取得する入出力要求値取得ステップと、第1軸が前記SOCであって前記第1軸と直交する第2軸が前記各連続入出力時間の前記最大入出力値であるグラフと、前記第1軸が前記SOCであって前記第2軸が前記各連続入出力時間の前記入出力要求値であるグラフとの前記連続入出力時間が同じである前記最大入出力値と前記入出力要求値との交点から前記第2電源の入出力の上下限値を決定する決定ステップと、を含む。
【0006】
上記方法によれば、第2電源のSOCにおける各連続入出力時間の最大入出力値を示すグラフと第2電源のSOCにおける各連続入出力時間の入出力要求値を示すグラフとの連続入出力時間が同じである最大入出力値と入出力要求値との交点から第2電源のSOCにおける入出力の上下限値を決定する。このため、最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、電池が劣化しない範囲で入出力を大きく設定することができる。よって、第2電源のSOCの変動を抑制することができる。
【0007】
上記入出力上下限値決定方法について、決定した入出力の上下限値の絶対値は、前記最大入出力値が最大となるSOCの近くでピークを有し、前記ピークから離れるほど減少する。
【0008】
上記入出力上下限値決定方法について、前記第2電源は、前記第1電源をバックアップするように機能するために、外部から出力要求がないときに前記SOCを前記中心SOCへ戻るように前記第1電源から入力して前記中心SOCへ戻して待機することが好ましい。
【0009】
上記方法によれば、第2電源は外部から出力要求があるときに高出力することで第1電源をバックアップするために第1電源から電力が入力される。このため、この電力の入出力において最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、入出力を大きく設定することができる。よって、第2電源のSOCの変動を抑制することができる。
【0010】
上記課題を解決する電源制御装置は、第1電源と、前記第1電源よりも容量が小さい一方で出力が大きい第2電源とを含む蓄電システムを制御する電源制御装置であって、前記第2電源の充電状態を示すSOCにおいて各連続入出力時間でそれぞれ入出力可能である最大入出力値を取得し、前記各連続入出力時間で前記第2電源が入出力制御を行うときの制御中心となる中心SOCへ前記SOCを戻すのに必要な入出力値である入出力要求値を取得し、第1軸が前記SOCであって前記第1軸と直交する第2軸が前記各連続入出力時間の前記最大入出力値であるグラフと、前記第1軸が前記SOCであって前記第2軸が前記各連続入出力時間の前記入出力要求値であるグラフとの前記連続入出力時間が同じである最大入出力値と入出力要求値との交点から決定された前記第2電源の入出力の上下限値にて制御する。
【0011】
上記構成によれば、第2電源のSOCにおける各連続入出力時間の最大入出力値を示すグラフと第2電源のSOCにおける各連続入出力時間の入出力要求値を示すグラフとの連続入出力時間が同じである最大入出力値と入出力要求値との交点から第2電源のSOCにおける入出力の上下限値にて制御する。このため、最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、電池が劣化しない範囲で入出力を大きく設定することができる。よって、第2電源のSOCの変動を抑制することができる。
【0012】
上記電源制御装置について、決定された入出力の上下限値の絶対値は、前記最大入出力値が最大となるSOCの近くでピークを有し、前記ピークから離れるほど減少する。
上記電源制御装置について、前記第2電源は、外部から出力要求がないときに前記SOCを前記中心SOCへ戻るように前記第1電源から入力することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、第2電源は外部から出力要求があるときに高出力するために、外部から出力要求がないときに第1電源から入力される。このため、この入出力において最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、入出力を大きく設定することができる。よって、第2電源のSOCの変動を抑制することができる。
【0014】
上記課題を解決する蓄電システムは、第1電源と、前記第1電源よりも容量が小さい一方で出力が大きい第2電源と、上記電源制御装置と、を備える。
上記構成によれば、第2電源のSOCにおける各連続入出力時間の最大入出力値を示すグラフと第2電源のSOCにおける各連続入出力時間の入出力要求値を示すグラフとの連続入出力時間が同じである最大入出力値と入出力要求値との交点から第2電源のSOCにおける入出力の上下限値にて制御する。このため、最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、入出力を大きく設定することができる。よって、第2電源のSOCの変動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高出力型の電源のSOCの変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】蓄電システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図。
図2】同実施形態の電源制御装置による出力値の算出処理を示す図。
図3】同実施形態の電源制御装置の第2電源の最大入出力値及び入出力要求値を示すグラフ。
図4】同実施形態の蓄電システムの第2電源の入出力の上下限値を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図4を参照して、電源制御装置及び蓄電システムの一実施形態について説明する。蓄電システムは、電源制御装置によって電源からの出力及び電源への入力が制御される。
【0018】
(蓄電システム10)
図1に示すように、蓄電システム10は、商用電力網1に接続され、商用電力網1に対して電力の入出力を行う。蓄電システム10は、容量型電池11と、出力型電池12と、電源制御装置20と、を備えている。容量型電池11は、第1電源に相当し、容量が出力型電池12よりも大きい。容量型電池11は、例えばリチウムイオン二次電池である。出力型電池12は、第2電源に相当し、出力が容量型電池11よりも大きい。出力型電池12は、例えばニッケル水素二次電池である。出力型電池12は、出力が必要なときに容量型電池11をバックアップするように機能する。このため、電源制御装置20は、急な要求に対応するために充電状態を示すSOCを中心SOCへ戻して待機している。電源制御装置20は、外部である商用電力網1から出力要求がないときに出力型電池12に容量型電池11から電力を入力する。このため、出力型電池12は、SOCを中心SOCへ戻すように電力の入出力が行われる。中心SOCは、入出力制御を行うときの制御中心となるSOCである。中心SOCは、任意に設定可能である。
【0019】
容量型電池11と商用電力網1との接続線には、容量型電池11の電圧及び電流等を計測する第1計測器11Aが設けられている。第1計測器11Aは、計測結果を電源制御装置20に出力する。出力型電池12と商用電力網1との接続線には、出力型電池12の電圧及び電流等を計測する第2計測器12Aが設けられている。第2計測器12Aは、計測結果を電源制御装置20に出力する。電源制御装置20は、第1計測器11Aの計測結果から容量型電池11のSOCを算出する。また、電源制御装置20は、第2計測器12Aの計測結果から出力型電池12のSOCを算出する。
【0020】
(電源制御装置20)
電源制御装置20は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。電源制御装置20すなわちプロセッサにより実行される処理には、入出力上下限値決定方法が含まれる。入出力上下限値決定方法は、後述する最大入出力値取得ステップと入出力要求値取得ステップと決定ステップとを含む。なお、電源制御装置20は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはその組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスすることができるあらゆる利用可能な媒体を含む。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムには入出力決定プログラムが含まれる。入出力決定プログラムは、最大入出力値取得ステップと入出力要求値取得ステップと決定ステップとを電源制御装置20に実行させる。
【0021】
電源制御装置20は、取得部21と、決定部22とを備える。取得部21は、出力型電池12のSOCにおいて各連続入出力時間でそれぞれ入出力可能である最大入出力値を取得する。取得部21は、最大入出力値取得部に相当する。また、取得部21は、各連続入出力時間で出力型電池12が中心SOCへSOCを戻すのに必要な入出力値である入出力要求値を取得する。取得部21は、入出力要求値取得部に相当する。決定部22は、各連続入出力時間の最大入出力値及び入出力要求値に基づいて出力型電池12の入出力の上下限値を決定する。
【0022】
(出力値の算出処理)
次に、図2を併せ参照して、上記電源制御装置20の出力値の算出処理について説明する。商用電力網1から出力要求がある場合には、電源制御装置20は、要求電力に従って出力値を算出する。
【0023】
まず、電源制御装置20は、出力型電池12のSOCを取得して、出力型電池12の入出力指示値を算出する(ステップS1)。すなわち、電源制御装置20は、出力型電池12のSOCが中心SOCへ戻るように出力型電池12の入出力指示値を算出する。電源制御装置20は、出力要求に対して入出力の上下限値に基づいて入出力指示値を算出する。
【0024】
続いて、電源制御装置20は、容量型電池11の要求電力を算出する(ステップS2)。すなわち、商用電力網1の出力要求からステップS1で算出した出力型電池12の入出力指示値を引くことで容量型電池11の要求電力を算出する。
【0025】
続いて、電源制御装置20は、出力型電池12の要求電力を算出する(ステップS3)。すなわち、商用電力網1の出力要求からステップS2で算出した容量型電池11の要求電力を引くことで出力型電池12の要求電力を算出する。
【0026】
続いて、電源制御装置20は、ステップS1において算出した容量型電池11の出力と、ステップS2において算出した出力型電池12の出力と、をそれぞれ出力値として得ることができる。
【0027】
(入出力の上下限値の算出)
次に、図3及び図4を併せ参照して、電源制御装置20の出力型電池12の入出力の上下限値の算出について説明する。入出力の上下限値は、予め算出して設定されている。なお、電源制御装置20は、任意のタイミングで入出力の上下限値の算出を行い、更新してもよい。本実施形態では、出力型電池12の中心SOCは、60%に設定した。図3及び図4は、第1軸である横軸がSOCであって、第1軸と直交する第2軸である縦軸が入出力値である。
【0028】
電源制御装置20は、最大入出力値のグラフA1,A2,A3,…と入出力要求値のグラフB1,B2,B3,…を蓄電システム10に出力型電池12を設置したときに予め取得する。この処理が最大入出力値取得ステップと入出力要求値取得ステップとに相当する。
【0029】
図3に示すように、山型のグラフA1,A2,A3,…は、出力型電池12のSOCにおいて各連続入出力時間でそれぞれ入出力可能である最大入出力値を示しており、最大入出力値が最大となるSOCをピークとする山型になっている。グラフA1,A2,A3,…は、連続入出力時間が長くなるほど、最大入出力値は低くなる。連続入出力時間が3秒までを図示しているが、連続入出力時間が4秒以降も同じようなグラフになる。また、中心SOC60%で入出力値がゼロを通過するグラフB1,B2,B3,…は、各連続入出力時間で出力型電池12が中心SOCへSOCを戻すのに必要な入出力値である入出力要求値を示している。グラフB1,B2,B3,…は、連続入出力時間が長くなるほど、最大入出力値は低くなり、傾きが小さくなる。連続入出力時間が3秒までを図示しているが、連続入出力時間が4秒以降も同じようなグラフになる。
【0030】
なお、図3では、SOC60%以上の放電側のみ最大入出力値と入出力要求値とを示している。SOC60%以下の充電側においても最大入出力値と入出力要求値は存在し、放電側と中心SOCを基準に点対称のようなグラフとなるが省略している。充電側の最大入出力値のグラフは、下に凸の山型となる。充電側の入出力要求値のグラフは、中心SOCからSOCが低くなるほど入力要求値が大きくなる。よって、放電側においても、各連続入出力時間で最大入出力値と入出力要求値との交点を結ぶことで入出力の上下限値を得ることができる。
【0031】
なお、図3では、最大入出力値が最大となるSOCと中心SOCとが一致しているが、これらは一致しなくともよい。つまり、最大入出力値が最大となるSOCは電池によって決定され、中心SOCは使用者によって設定される。特に、グラフA1,A2,A3,…は、最大入出力値が最大となるSOCの近くでピークを有し、ピークから離れるほど減少することになる。図4のグラフは一例であって、中心SOCの設定が変わると、グラフの形状も変わる。
【0032】
決定部22は、連続入出力時間が同じである最大入出力値のグラフA1,A2,A3,…と入出力要求値のグラフB1,B2,B3,…との交点を算出する。そして、決定部22は、この算出した交点を繋ぐことで、入出力の上下限値を決定することができる。この処理が決定ステップに相当する。
【0033】
図4に示すように、決定した入出力の上下限値の絶対値は、最大入出力値が最大となるSOCの近くで充電側と放電側とのそれぞれでピークを有し、ピークから離れるほど減少する。
【0034】
電源制御装置20は、決定した入出力の上下限値と出力要求とに基づいて入出力指示値を決定する。電源制御装置20は、出力要求の入出力値が上下限値よりも小さければ、出力要求を入出力指示値とし、出力要求の入出力値が上下限値よりも大きければ、上下限値を入出力指示値とする。
【0035】
上記によれば、最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、入出力を大きく設定することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0036】
(1)出力型電池12のSOCにおける各連続入出力時間の最大入出力値を示すグラフA1,A2,A3,…と出力型電池12のSOCにおける各連続入出力時間の入出力要求値を示すグラフB1,B2,B3,…との連続入出力時間が同じである最大入出力値と入出力要求値との交点から出力型電池12のSOCにおける入出力の上下限値を決定する。このため、最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、電池が劣化しない範囲で入出力を大きく設定することができる。よって、出力型電池12のSOCの変動を抑制することができる。
【0037】
(2)出力型電池12は外部から出力要求があるときに高出力することで容量型電池11をバックアップするために、外部から出力要求がないときに容量型電池11から電力が入力される。このため、この電力の入出力における最大入出力値を考慮した入出力の上下限値を決定することができ、入出力を大きく設定することができる。よって、出力型電池12のSOCの変動を抑制することができる。
【0038】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0039】
・上記実施形態では、決定した入出力の上下限値の絶対値が、最大入出力値が最大となるSOCと中心SOCとが一致するため、中心SOCの近くでピークを有し、ピークから離れるほど減少する。しかしながら、例えば、最大入出力値が最大となるSOCと中心SOCとが一致しない場合等は、決定した入出力の上下限値の絶対値が、中心SOCでゼロとなり、中心SOCの近くでピークを有し、ピークから離れても減少しないようになるが、このような入出力の上下限値でもよい。このような入出力の上下限値であっても、入出力を大きく設定することができるので、出力型電池12のSOCの変動を抑制することができる。
【0040】
・上記実施形態では、SOCの第1軸を横軸とし、入出力値の第2軸を縦軸とした。しかしながら、SOCの第1軸を縦軸とし、入出力値の第2軸を横軸としてもよい。
・上記実施形態では、電源制御装置20が入出力の上下限値を決定した。しかしながら、電源制御装置20は、取得部21及び決定部22を備えず、予め他の装置で同様に決定された入出力の上下限値にて制御してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、第1電源である容量型電池11をリチウムイオン二次電池とし、第2電源である出力型電池12をニッケル水素二次電池とした。しかしながら、第1電源と第2電源との組み合わせは、第2電源が第1電源よりも容量が小さい一方で出力が大きければ、他の電源の組み合わせでもよい。
【0042】
・上記実施形態では、蓄電システム10を商用電力網1に接続した。しかしながら、蓄電システム10の接続先は商用電力網1に限らず、電源を必要とする他のものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…商用電力網
10…蓄電システム
11…第1電源である容量型電池
11A…第1計測器
12…第2電源である出力型電池
12A…第2計測器
20…電源制御装置
21…取得部
22…決定部
図1
図2
図3
図4