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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164027
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】情報記録媒体用スタンド
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/015 20060101AFI20231102BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G06K7/015
G06K7/10 264
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075322
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】速水 浩治
(72)【発明者】
【氏名】八尋 伸紀
(57)【要約】
【課題】 書類を見やすい状態に保持しつつ、書類のRFタグとリーダライタとの位置関係を適切に設定して、リーダライタによる情報の読み取りや書き込みを確実に行える、情報記録媒体用スタンドを提供する。
【解決手段】 RFタグ52が配設される書類50を支持する支持台10に対し、リーダライタ20を、支持台10に支持された状態の書類50におけるRFタグ52に対向する箇所に配設して、書類50を支持台10で支持するとリーダライタ20でRFタグ52に対する読み書きを行える状態が得られることから、書類50とリーダライタ20の大きさが異なっていても、書類50をリーダライタ20に対し位置合わせする必要がなく、書類50を支持台10に支持させるのみで速やかにリーダライタ20がRFタグ52に対し読み書きを実行できる。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を、所定の拘束状態で支持可能な支持台と、
RFタグに対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを実行可能なリーダライタとを備え、
前記支持台が、板状の主パネル部と、当該主パネル部との間に所定の隙間を介在させて配設される板状の前面パネル部と、前記主パネル部から突出する一又は複数の脚部とを有し、少なくとも脚部の一部を支持台の設置対象の被設置面に当接させて設置状態とされ、
前記前面パネル部が、前記情報記録媒体の取り扱い又は前記リーダライタでの読み書きに係る所定の補助機能を有して、前記主パネル部における一の面の側に配設され、
前記設置状態で、前記支持台が主パネル部を直立又は傾斜させた状態とし、前記前面パネル部と主パネル部との間の隙間に、前記情報記録媒体を挿脱可能とされ、且つ、情報記録媒体を前面パネル部と主パネル部との間に拘束して支持可能とされ、
前記リーダライタが、前記支持台に支持された前記情報記録媒体のRFタグに対し対向する配置として、前記支持台の主パネル部における前記一の面の反対側に配設されることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【請求項2】
前記請求項1に記載の情報記録媒体用スタンドにおいて、
前記情報記録媒体が、所定の情報が視認可能に記載された前記シート体としての台紙に、当該台紙への記載事項に関連する情報を記録したRFタグが一体に配設されてなる書類であり、
前記前面パネル部が、透明又は半透明の材質製とされ、前記支持台への前記書類の支持状態における、書類の台紙上の情報記載部分に重なる所定位置に、前記補助機能として、前記情報記載部分の少なくとも一部への注目を促す所定の表示状態を付与する、注目喚起部を設けられることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【請求項3】
前記請求項2に記載の情報記録媒体用スタンドにおいて、
前記注目喚起部が、前記書類の台紙上における情報記載部分の少なくとも一部を実寸とは異なる大きさで外部から視認可能とする、レンズ部とされることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【請求項4】
前記請求項1に記載の情報記録媒体用スタンドにおいて、
前記前面パネル部が、前記主パネル部に対向する面の所定箇所に、前記補助機能として、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に挿入された前記情報記録媒体を主パネル部側へ寄せる、一又は複数の凸部を、主パネル部に向けて突設されることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【請求項5】
前記請求項4に記載の情報記録媒体用スタンドにおいて、
前記主パネル部が、前記一の面における前記脚部寄りの部位に、前記前面パネル部に向かって突出する一又は複数の底板部を配設され、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に挿入された前記情報記録媒体のさらなる挿入方向への移動を前記底板部で制限して、前記情報記録媒体を支持可能とされ、
前記前面パネル部の凸部が、前記補助機能として、前記底板部先端と前面パネル部との間への情報記録媒体端部の進入を阻止できるように、前面パネル部における底板部に面する所定部位又は当該所定部位より上側に設けられることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【請求項6】
前記請求項1に記載の情報記録媒体用スタンドにおいて、
前記前面パネル部が、前記主パネル部に傾動可能に係合し、前記補助機能として、前面パネル部と主パネル部との間の隙間を前面パネル部の傾動で開放可能とされることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【請求項7】
前記請求項1に記載の情報記録媒体用スタンドにおいて、
前記前面パネル部が、前記支持台への前記情報記録媒体の支持状態におけるRFタグの位置と重なる所定箇所に、前記補助機能として、前記リーダライタで情報の読み取り及び情報の書き込みを前記情報記録媒体とは異なる所定のICカードに対し行えるように、当該ICカードを支持可能とする、カード支持部を配設されることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【請求項8】
所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を、所定の拘束状態で支持可能な支持台を備え、
前記支持台が、板状の主パネル部と、当該主パネル部との間に所定の隙間を介在させて配設される板状の前面パネル部と、前記主パネル部から突出する一又は複数の脚部とを有し、少なくとも脚部の一部を支持台の設置対象の被設置面に当接させて設置状態とされ、
前記前面パネル部が、所定の補助機能を有して、前記主パネル部における一の面の側に配設され、
前記設置状態で、前記支持台が主パネル部を直立又は傾斜させた状態とし、前記前面パネル部と主パネル部との間の隙間に、前記情報記録媒体を挿脱可能とされ、且つ、情報記録媒体を前面パネル部と主パネル部との間に拘束して支持可能とされ、
前記主パネル部が、前記一の面の反対側に、前記支持台に支持された前記情報記録媒体のRFタグに対し対向する配置として、RFタグに対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みが行えるリーダライタを配設可能とされることを
特徴とする情報記録媒体用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体を支持すると共に、情報記録媒体に配設されたRFタグに対し情報の読み取りと書き込みを行える、リーダライタ付きの情報記録媒体用スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
証明書類については、近年、記載事項を視認可能な従来同様の書面としての機能を残しつつ、別途記録された記載事項の情報(データ)を外部から読み取り可能として、こうした情報を証明書類が必要な手続の迅速化などに活用する事例が増えている。こうした読み取り可能な情報を書面と併存させる手法としては、書類をICカードとして発行したり、紙書面である書類にRFタグを配設することなどが挙げられる。
【0003】
一方、書類であるICカードや、書類に配設されたRFタグに記録された情報を読み取ったり、逆に情報を書き込んだりするためには、こうしたICカードやRFタグに対応したリーダライタが用いられる。
【0004】
従来のリーダライタは、ICカードやRFタグを、リーダライタに重ねるなど、リーダライタの通信可能範囲にICカードやRFタグを位置させることで、情報を正しく読み取ったり書き込んだりすることができるものとなっている。
こうした従来のリーダライタの例として、特開2006-113727号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-113727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のリーダライタは、前記特許文献に示される構成とされており、一般的なICカードに対応するものとして、ICカードに近いサイズとされるなど小型化されている。
このため、紙書面にRFタグを配設した書類など、ICカードサイズより大きく、リーダライタより大きくなる書類の場合、従来のリーダライタでは、RFタグをリーダライタで読み書きできるように書類を位置合わせするのが難しく、書類のRFタグとリーダライタの読み書き部がずれるおそれがあった。仮にこれらがずれた場合には、リーダライタで記録情報を正しく読み取ることができない他、読み書きが不安定な状態にかかわらず実行された書き込みが途中で失敗し、RFタグにおける記録情報を壊す事態に繋がるという課題を有していた。
【0007】
また、書類におけるRFタグは、通常、紙書面の全体の大きさに比べて小さいことから、RFタグの位置が書類に明記されず、且つ使用者が書類におけるRFタグの位置をあらかじめ把握していない場合には、リーダライタに対しRFタグを正しく位置合せするのに手間がかかることも予想される。
【0008】
この他、所定の作業者が、書類に記録された電子的情報と印字された記載事項の一致を確認する目的などで、書面の内容を見ようとする場合、リーダライタは小型であることから、リーダライタで電子情報を読み書きできる状態を確保しつつ、書類をその書面記載内容が見やすい状態に保持することは難しいという課題を有していた。
【0009】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、書類等の情報記録媒体におけるRFタグとリーダライタとの位置関係を適切に設定して、リーダライタによる情報の読み取りや書き込みを確実に行える、情報記録媒体用スタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは、所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を、所定の拘束状態で支持可能な支持台と、RFタグに対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを実行可能なリーダライタとを備え、前記支持台が、板状の主パネル部と、当該主パネル部との間に所定の隙間を介在させて配設される板状の前面パネル部と、前記主パネル部から突出する一又は複数の脚部とを有し、少なくとも脚部の一部を支持台の設置対象の被設置面に当接させて設置状態とされ、前記前面パネル部が、前記情報記録媒体の取り扱い又は前記リーダライタでの読み書きに係る所定の補助機能を有して、前記主パネル部における一の面の側に配設され、前記設置状態で、前記支持台が主パネル部を直立又は傾斜させた状態とし、前記前面パネル部と主パネル部との間の隙間に、前記情報記録媒体を挿脱可能とされ、且つ、情報記録媒体を前面パネル部と主パネル部との間に拘束して支持可能とされ、前記リーダライタが、前記支持台に支持された前記情報記録媒体のRFタグに対し対向する配置として、前記支持台の主パネル部における前記一の面の反対側に配設されるものである。
【0011】
このように本発明の開示によれば、RFタグが配設される情報記録媒体を、前面パネル部と主パネル部との間に拘束した状態で支持する支持台に対し、リーダライタを、支持台に支持された状態の情報記録媒体におけるRFタグに対向してこれと通信可能となる箇所に配設して、情報記録媒体を支持台で支持するとリーダライタで情報記録媒体のRFタグに対する読み書きを行える状態が得られることにより、RFタグを配設した情報記録媒体とリーダライタの大きさが異なっていても、情報記録媒体をリーダライタに対し位置合わせする必要がなく、情報記録媒体を支持台に支持させるのみで速やかにリーダライタが読み取りや書き込みを実行できることに加え、前面パネル部と主パネル部との間に情報記録媒体を位置させ、情報記録媒体に対し周囲からの影響が及びにくい状態として、情報記録媒体のリーダライタに対するずれを防いで、リーダライタによるRFタグの情報の読み書きを正確に実行させることができる。加えて、前面パネル部の補助機能により、情報記録媒体の取り扱いやリーダライタによる読み書きの利便性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは必要に応じて、前記情報記録媒体が、所定の情報が視認可能に記載された前記シート体としての台紙に、当該台紙への記載事項に関連する情報を記録したRFタグが一体に配設されてなる書類であり、前記前面パネル部が、透明又は半透明の材質製とされ、前記支持台への前記書類の支持状態における、書類の台紙上の情報記載部分に重なる所定位置に、前記補助機能として、前記情報記載部分の少なくとも一部への注目を促す所定の表示状態を付与する、注目喚起部を設けられるものである。
【0013】
このように本発明の開示によれば、補助機能を有する前面パネル部と直立又は傾斜した主パネル部との間に拘束されて支持される情報記録媒体としての書類は、前面パネル部を通じて記載事項を目視しやすい状態とされると共に、リーダライタが書類の背面側に位置して、書類の記載事項がリーダライタに隠れることなく視認可能となっており、リーダライタによるRFタグの情報の読み書きが問題なく行える状態を確保しつつ、書類の記載事項を使用者が容易に且つ正確に読み取ることができ、記載事項に係る情報をRFタグの情報と共に適切に利活用できる。
【0014】
また、前面パネル部に注目喚起部が設けられ、情報記録媒体としての書類の取り扱いに係る補助機能として、書類の台紙上の情報記載部分の少なくとも一部について、注目喚起部で注目を促す表示の変化を生じさせるようにし、注目喚起部を通じて見える部分が他部分から際立った見え方で外部から視認できることにより、前面パネル部を通じて見ることのできる書類の記載事項のうち、例えば重要な情報などの一部記載事項の内容を注目喚起部を通して見せるようにすると、こうした内容部分が他部分より目立って、使用者の注目しやすい状態が得られ、書類の記載事項のうち注目喚起部を通じて見せる箇所の内容を使用者が確実に読み取って把握するように仕向けることができ、書類の記載事項に係る情報の使用者による有効活用が図れる。
【0015】
また、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは必要に応じて、前記注目喚起部が、前記書類の台紙上における情報記載部分の少なくとも一部を実寸とは異なる大きさで外部から視認可能とする、レンズ部とされるものである。
【0016】
このように本発明の開示によれば、前面パネル部に注目喚起部としてレンズ部が設けられ、書類の取り扱いに係る補助機能として、書類の台紙上の情報記載部分の少なくとも一部を、レンズ部を通じて、実寸とは異なる大きさで外部から視認可能とすることにより、直立又は傾斜した主パネル部に沿わせて支持される書類の記載事項のうち、レンズ部を通して見える一部記載事項の内容をより確実に目視しやすい状態に調整することができ、書類の記載事項の内容に使用者が注目しやすく、且つ記載事項の内容を使用者が容易に且つ正確に読み取って把握することができ、記載事項に係る情報を迅速且つ有効に利用できる。
【0017】
また、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは必要に応じて、前記前面パネル部が、前記主パネル部に対向する面の所定箇所に、前記補助機能として、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に挿入された前記情報記録媒体を主パネル部側へ寄せる、一又は複数の凸部を、主パネル部に向けて突設されるものである。
【0018】
このように本発明の開示によれば、支持台における前面パネル部に主パネル部に向かう凸部が設けられ、情報記録媒体の取り扱いに係る補助機能として、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に挿入された情報記録媒体を凸部で案内し、主パネル部側へ寄せることにより、直立又は傾斜した主パネル部に情報記録媒体を沿わせて支持することができ、情報記録媒体が書類である場合にはその書類の記載事項を目視しやすい状態が得られると共に、情報記録媒体を主パネル部に寄せる分、情報記録媒体の背面側に位置するリーダライタに対し、情報記録媒体のRFタグをより近付けた状態とすることができ、リーダライタによるRFタグに対する情報の読み書きの信頼性をより一層向上させられる。
【0019】
また、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは必要に応じて、前記主パネル部が、前記一の面における前記脚部寄りの部位に、前記前面パネル部に向かって突出する一又は複数の底板部を配設され、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に挿入された前記情報記録媒体のさらなる挿入方向への移動を前記底板部で制限して、前記情報記録媒体を支持可能とされ、前記前面パネル部の凸部が、前記補助機能として、前記底板部先端と前面パネル部との間への情報記録媒体端部の進入を阻止できるように、前面パネル部における底板部に面する所定部位又は当該所定部位より上側に設けられるものである。
【0020】
このように本発明の開示によれば、主パネル部に前面パネル部に向かって突出する底板部を設け、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に挿入された情報記録媒体の移動を底板部で制限すると共に、情報記録媒体の取り扱いに係る補助機能として、前面パネル部に突設される凸部が、底板部先端と前面パネル部との間に情報記録媒体端部が進入するのを阻止可能となるように、前面パネル部のうち、底板部に面する部位又はそれより上側に配置されることにより、隙間に挿入された情報記録媒体の端部が、凸部で主パネル部寄りに案内されて、底板部先端と前面パネル部との間に入り込まず、情報記録媒体が適切な支持位置からずれる状態に到ることがなくなり、リーダライタによる情報記録媒体のRFタグに対する情報の読み書き、及び、情報記録媒体が書類である場合にはその書類における台紙の記載事項の目視による読み取りを、安定して行えることとなる。
【0021】
また、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは必要に応じて、前記前面パネル部が、前記主パネル部に傾動可能に係合し、前記補助機能として、前面パネル部と主パネル部との間の隙間を前面パネル部の傾動で開放可能とされるものである。
【0022】
このように本発明の開示によれば、前面パネル部を主パネル部に傾動可能に係合して、情報記録媒体の取り扱いに係る補助機能として、前面パネル部を主パネル部に対し傾動させて、前面パネル部と主パネル部との間の隙間を開放できることにより、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に異物が入り込んでそのままでは取り出せない場合でも、前面パネル部を傾動させて隙間を開放すれば、異物を容易に取り出して除去することができ、情報記録媒体の支持に悪影響が及ぶ事態を避けられ、情報記録媒体を適切に支持できる状態を維持できる。
【0023】
また、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは必要に応じて、前記前面パネル部が、前記支持台への前記情報記録媒体の支持状態におけるRFタグの位置と重なる所定箇所に、前記補助機能として、前記リーダライタで情報の読み取り及び情報の書き込みを前記情報記録媒体とは異なる所定のICカードに対し行えるように、当該ICカードを支持可能とする、カード支持部を配設されるものである。
【0024】
このように本発明の開示によれば、前面パネル部にICカードを支持するカード支持部を設け、リーダライタでの読み書きに係る補助機能として、カード支持部で支持したICカードに対するリーダライタでの情報の読み取り及び情報の書き込みを行えるようにすることにより、情報記録媒体とは異なるICカードに記録された情報についても、ICカードをリーダライタに対し細かく位置合わせする必要がなく、ICカードをカード支持部に支持させるのみで、速やかにリーダライタが読み取りや書き込みを実行できることに加え、カード支持部に支持されたICカードはリーダライタに対しずれにくく、リーダライタによる読み取りや書き込みの信頼性を高められる。
【0025】
また、カード支持部で前面パネル部に沿うように支持されるICカードは、表面に記載事項が存在する場合、その内容を目視しやすい状態とされており、リーダライタによるICカードの内部記録情報の読み書きが問題なく行える状態を確保しつつ、ICカードの記載事項を使用者が容易に且つ正確に読み取ることができ、記載事項に係る情報をICカードの内部記録情報と共に適切に利活用できる。
【0026】
また、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは、所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を、所定の拘束状態で支持可能な支持台を備え、前記支持台が、板状の主パネル部と、当該主パネル部との間に所定の隙間を介在させて配設される板状の前面パネル部と、前記主パネル部から突出する一又は複数の脚部とを有し、少なくとも脚部の一部を支持台の設置対象の被設置面に当接させて設置状態とされ、前記前面パネル部が、所定の補助機能を有して、前記主パネル部における一の面の側に配設され、前記設置状態で、前記支持台が主パネル部を直立又は傾斜させた状態とし、前記前面パネル部と主パネル部との間の隙間に、前記情報記録媒体を挿脱可能とされ、且つ、情報記録媒体を前面パネル部と主パネル部との間に拘束して支持可能とされ、前記主パネル部が、前記一の面の反対側に、前記支持台に支持された前記情報記録媒体のRFタグに対し対向する配置として、RFタグに対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みが行えるリーダライタを配設可能とされるものである。
【0027】
このように本発明の開示によれば、RFタグが配設される情報記録媒体を、前面パネル部と主パネル部との間に拘束した状態で支持する支持台に対し、この支持台に支持された状態の情報記録媒体におけるRFタグに対向してこれと通信可能となる箇所にリーダライタを配設できるようにして、リーダライタを配設した支持台で情報記録媒体を支持すると、リーダライタで情報記録媒体のRFタグに対する読み書きを行える状態が得られることにより、リーダライタを支持台に配設した状態では、情報記録媒体を支持台に支持させるのみでリーダライタが読み取りや書き込みを実行できることに加え、前面パネル部と主パネル部との間に情報記録媒体を位置させ、情報記録媒体に対し周囲からの影響が及びにくい状態として、情報記録媒体のずれを防いで、リーダライタによるRFタグの情報の読み書きを正確に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの背面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの平面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの底面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの左側面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの右側面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおけるリーダライタ取り外し状態の背面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおけるリーダライタ取り外し状態の右側面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおける前面パネル部の背面図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおける前面パネル部の右側面図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドへの書類挿入状態説明図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの書類支持状態におけるリーダライタと書類のRFタグとの位置関係説明図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの被設置面への設置状態での書類支持状態説明図である。
図14】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおける前面パネル部の閉止状態説明図である。
図15】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおける前面パネル部の開放状態説明図である。
図16】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおける前面パネル部傾動状態説明図である。
図17】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおける前面パネル部の主パネル部に対する取り外し状態説明図である。
図18図5のA-A断面要部拡大図である。
図19】本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおけるICカード支持状態説明図である。
図20】本発明の第2の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの斜視図である。
図21】本発明の第2の実施形態に係る他の情報記録媒体用スタンドの斜視図である。
図22】本発明の第3の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドを前記図1ないし図19に基づいて説明する。本実施形態においては、情報記録媒体としての書類を取り扱うスタンドであって、さらに、この書類として自動車検査証(車検証)を支持し、これに配設されたRFタグに対し情報の読み取り及び書き込みを行えるスタンドの例について説明する。
【0030】
前記各図において本実施形態に係る情報記録媒体用スタンド1は、RFタグ52付きの書類50を所定の拘束状態で支持可能な支持台10と、RFタグ52に対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを実行可能なリーダライタ20とを備える構成である。
【0031】
本実施形態に係る情報記録媒体用スタンド1の支持対象となる書類50は、シート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体の一種であり、詳細には、所定の情報が文字列や画像、図表、二次元コード等として視認可能に記載されたシート体としての台紙51に、この台紙51への記載事項に関連する情報を記録したRFタグ52が一体に配設されたものである。この書類50は、具体的には、電子化対応仕様としてRFタグ52を備えた自動車検査証である。
【0032】
前記支持台10は、板状の主パネル部11と、この主パネル部11との間に所定の隙間(空間)19を介在させて配設される板状の前面パネル部12と、主パネル部11から突出する脚部13と、リーダライタ20を収める収容部14とを備える構成である。
【0033】
支持台10は、主パネル部11における脚部13に近い端部と、脚部13における主パネル部11から遠い側の端部とを、それぞれこの支持台10の設置対象の被設置面90に当接させて設置状態とされる仕組みである。この設置状態で、支持台10は主パネル部11を傾斜させた状態で自立可能となっている。そして、被設置面90への設置状態にある支持台10が、書類50を前面パネル部12と主パネル部11との間に拘束して支持可能とされる。この支持台10が、書類50を前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に位置させて支持することで、書類50が風等の影響を受けにくく、書類50を支持状態のまま維持しやすい上、書類50にほこりや汚れがつきにくくして、書類50を清浄な状態に保つことができる。
【0034】
前記主パネル部11は、光をあまり透過しない色調(例えば、白色又は乳白色など)とされる、アクリル樹脂(PMMA)やポリプロピレン(PP)等のプラスチック製であって、且つ略矩形状をなす板状体とされる構成である。主パネル部11は、支持台10の被設置面90への設置状態で、長辺を横向きとする向きで保持され、被設置面90上で容易に動かず、書類50を背面側から支持可能な状態となる。
【0035】
主パネル部11は、その一の面の側に前面パネル部12を配設され、この一の面の反対側となる他の面の側に、脚部13と収容部14を配設される構成である。主パネル部11における他の面の側の収容部14には、リーダライタ20が出し入れ可能に収容されることとなる。
【0036】
主パネル部11は、一の面における、脚部13寄りの端部、言い換えると、支持台10の設置状態で主パネル部11の被設置面90に接近する一方の長辺寄り部位に、前面パネル部12に向かって突出する底板部11aを配設される。この底板部11aは、二つを所定間隔で横に並べて配設され、中間に開口11bを生じさせている。
【0037】
また、主パネル部11における一方の長辺側の端部二箇所には、前面パネル部12を傾動可能に支持するための支持軸11cが設けられる。そして、支持軸11cの近傍に位置する底板部11aの下側の所定箇所には、主パネル部11に対する前面パネル部12の傾動時における、前面パネル部12の傾動以外の動き、例えば、前面パネル部12の支持軸11cに対するこの軸と直交する向きへのずれ、を制限する移動規制部11dが設けられる。
【0038】
主パネル部11の両側部には、前面パネル部12の一部を挿入させるようにして、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19の側方を確実に閉塞するための縦溝部11eと、前面パネル部12の他の一部を係合させて、前面パネル部12を主パネル部11に対し動かないよう保持するための係合用孔部11fとが、それぞれ設けられる。
【0039】
主パネル部11は、支持台10の被設置面90への設置状態で、主パネル部11の正面側から見て上部の中央にあたる部位を、一部切欠かれた形状の切欠き部11gとされる。この切欠き部11gに面するものを含む、主パネル部11の正面視で外郭の一部をなす各コーナー部は、いずれも面取り加工により丸面取り形状とされる。なお、この主パネル部11の各コーナー部は、C面取り形状とされてもよい。
【0040】
また、主パネル部11における一の面と各方向(上下方向及び左右方向)の端面の交わる角部についても、丸面取り形状やC面取り形状とすることもでき、特に切欠き部11gのある端面(設置状態での上端面)と前記一の面とが交わる角部を面取り形状とすることで、書類50を上方から下向きに移動させて前面パネル部12と主パネル部11との間に支持させる場合に、書類50が主パネル部11の上端面に突き当たって移動を妨げられる状態になりにくく、書類50を前面パネル部12と主パネル部11間での支持状態にスムーズに移行させられる。
【0041】
なお、書類50を前面パネル部12と主パネル部11との間に支持した状態で、書類50の上端は、主パネル部11の正面側から見て、主パネル部12上端面における面取り部分の下端位置と同じかより上側に位置するようにされ、取り出し時に書類50を指で摘まみやすい状態とされる。
【0042】
主パネル部11における切欠き部11gの周囲部分は、把持部として用いることができる。例えば、支持台10の収容部14に対しリーダライタ20を出し入れする際に、切欠き部11gに手の一部(指など)を入れ、この切欠き部11gの周囲部分を手掛かりとして支持台10を把持することで、外力が加わっても手から支持台10が滑ってずれるようなことはなく、手で支持体10を容易には動かない状態として支えることができ、リーダライタ20の出し入れをスムーズに行えることとなる。
【0043】
また、主パネル部11の切欠き部11gのある支持台10の中央部分は、後述するリーダライタ20のケーブル22を巻き付けて簡易にまとめる部分としても利用することができる。そして、この切欠き部11gが設けられた範囲における主パネル部11や前面パネル部12の下部にも切欠き部を設けるようにすれば、上側の切欠き部11gと同様にケーブル22を巻き付ける際に巻き付けたケーブル22が切欠き部の外にずれにくく、ケーブルをコンパクトにまとめることが可能である。
【0044】
前記前面パネル部12は、これを通して書類50表面の記載事項を視認可能な透明又は半透明とされる、アクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等のプラスチック製であって、且つ矩形状をなす板状体で形成される構成である。
【0045】
前面パネル部12は、主パネル部11より小さい形状、特に主パネル部11に対し短辺方向の大きさの割合を長辺方向の大きさの割合に比べて小さくした矩形状、として形成され、主パネル部11の前記一の面の側に、主パネル部11との間に所定の隙間19を介在させて配設されるものである。
【0046】
前面パネル部12は、書類50の取り扱い又はリーダライタ20での読み書きに係る所定の補助機能を複数有するものであり、後述するようにこうした補助機能を実現可能な構成とされる。
【0047】
前面パネル部12は、その一方の長辺を、主パネル部11の一方の長辺、具体的には支持台10の設置状態で被設置面90に接近する方の長辺の近くに位置させる配置とされる。そして、前面パネル部12は、一方の長辺側の端部に、主パネル部11の端部二箇所に設けられた支持軸11cにそれぞれ着脱可能に係合する二つのフック部12aを有する。これらフック部12aは、主パネル部11の支持軸11c周りに回動可能な状態で係合し、支持軸11cと共にヒンジ機構をなし、前面パネル部12を主パネル部11に対し傾動可能とするものである。このフック部12aと支持軸11cとの係合により、前面パネル部12は、書類50の取り扱いに係る補助機能の一つとして、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19を、前面パネル部12の主パネル部11に対する傾動で開放可能とされる構成である。
【0048】
また、前面パネル部12は、長辺方向の両側端部、すなわち短辺のある端部に、それぞれ側板12bを突出状態で設けられる。前面パネル部12は、突出する側板12bを主パネル部11との間に位置させることで、主パネル部11との間に隙間19を確保している。
【0049】
支持台10の被設置面90への設置状態で、側板12bの上部は、前面パネル部12の他方の長辺より上側に位置し、上側ほど先細となる形状とされる。この先細形状の側板12b上部における、側板12bの内側面及び外側面と各方向の端面とが交わる各角部には面取りが施される構成である。また、側板12bの上部には、側板12bからさらに突出し、主パネル部11の係合用孔部11fに係合可能とされる係止片12cが設けられる。
【0050】
側板12bの上端位置は、主パネル部11上端面における面取り部分の下端位置に略一致するようにされており、側板12bの先細形状とされた上部が主パネル部11の面取り部分と連続する状態となることで、書類50を前面パネル部12と主パネル部11との間に支持させる場合に、書類50が側板12bの上部に突き当たったとしても、主パネル部11の面取り部分と同様に、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19への書類50の移動を促すことができ、書類50を支持状態にスムーズに移行させられる。
【0051】
側板12bは、その端部が主パネル部11の両側部に設けられる縦溝部11eに挿入されることで、側板12bと主パネル部11との間に隙間19を外部に通じさせる開口が生じず、隙間19の側方を閉塞した状態が確保され、側板12bと主パネル部11との間へ書類50が入り込むことを阻止でき、誤って入り込んだ場合のような書類50の正しい支持状態からのずれを未然に防止できる。
【0052】
加えて、側板12bは、突出させた係止片12cを主パネル部11の係合用孔部11fに挿入し係合させることで、前面パネル部12を主パネル部11に対し動かない状態に保持できる。ただし、係止片12cは係合用孔部11fに対し係脱可能であり、係止片12cの係合用孔部11fへの係合を解いて係止片12cを抜脱すれば、前面パネル部12を主パネル部11に対し傾動可能な状態に移行させられる。
【0053】
側板12bの係止片12cは、図18に示すように、その先端部の横に突出させた爪状部分を、縦溝部11eより横に広い矩形孔形状の係合用孔部11fに係止片12cを横に撓ませることで通した上で、この爪状部分を主パネル部11の係合用孔部11fの縁部分に引っ掛けて係合させる仕組みとしている。しかし、これに限られるものではなく、例えば、係止片が、その先端部を上下方向に突出部分が設けられた形状とされると共に、係合用孔部がその側端に係止片の先端部を通過させられる上下に拡張した部分を設けられ、係合用孔部に対し係止片を横に撓ませ、係止片の先端部を係合用孔部の上下拡張部分に通した上で、係止片の先端部を係合用孔部の上下拡張部分ではない部位の上下縁部分に引っ掛けて係合させる仕組みとすることもできる。
【0054】
前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19は、前面パネル部12の係止片12cを主パネル部11の係合用孔部11fに係合させている状態では、側板12bと底板部11aにより側方と下方をそれぞれ閉塞されて、上方のみ開放した状態とされている。こうして、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に、書類50を上から挿入可能且つ上に抜脱可能とすると共に、隙間19に挿入された書類50のさらなる挿入方向への移動を底板部11aで規制し、且つ、書類50の横方向への移動を側板12bで規制して、この前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に書類50を位置させて支持できる仕組みである。
【0055】
前面パネル部12と主パネル部11との間に位置させた書類50は、使用者により出し入れに係る操作を受けて上下方向に移動する以外は、書類50を取り囲む主パネル部11、前面パネル部12、側板12b、及び底板部11aにより、上方以外の向きへ容易に動かないよう前面パネル部12と主パネル部11との間に拘束された状態で支持されることとなる。なお、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に誤って書類以外のもの、例えば小さなゴミや水が入るようなことがあっても、これらを底板部11aの中間に位置する開口11bから取り出すことができ、書類50の支持に支障がない状態を維持しやすい。
【0056】
また、前面パネル部12は、主パネル部11に対向する面の所定箇所に、書類50の取り扱いに係る補助機能として、隙間19に挿入された書類50を主パネル部11側へ寄せると共に、主パネル部11の底板部11a先端と前面パネル部12との間への書類50端部の進入を阻止する凸部12dを、主パネル部11に向けて突設される構成である。
【0057】
詳細には、凸部12dは、前面パネル部12の主パネル部11に対向する面における、前面パネル部12の短辺方向における中心位置よりフック部12a寄りの所定箇所、より好ましくは主パネル部11の底板部11a先端に面する部位のすぐ上側となる箇所(図13図14図16参照)に、前面パネル部12の長辺と平行な向きに所定長さ連続させて設けられる構成である(図9参照)。
【0058】
この凸部12dは、主パネル部11の底板部11a先端を上方から覆って、この底板部11a先端と前面パネル部12との間に仮に隙間が存在していても、そこに書類50が達しないようにすることができる。こうして書類50が主パネル部11の底板部11a先端と前面パネル部12との間に入り込まないことで、書類50の下端部が隙間19から抜け落ちることを防いで、書類50を確実に隙間19に留めて適切に配置することができ、リーダライタ20による書類50のRFタグ52に対する情報の読み書きと、書類50における台紙51の記載事項の読み取りとを安定して行えることとなる。また、誤って主パネル部11の底板部11a先端と前面パネル部12との間に入り込んだ書類50を、無理に引き抜くなどして、書類50を折り曲げる等、変形損傷させるような事態に陥ることもない。
【0059】
凸部12dの突出量は、主パネル部11の一の面とこれに対向する前面パネル部12の背面との間隔の1/2以下とするが、好ましくは1/4以下、さらに好ましくは1/8以下とする。なお、凸部12dは前面パネル部12の長辺と平行に連続させて一つのみ設けているが、断続的に複数設けてもかまわない。また、凸部12dの断面形状は、主パネル部11に近付くにつれて先細となる形状、例えば山型断面や半円形断面など、凸部12dの上部が主パネル部11側に傾いた面をなす形状とするのが好ましい。ただし、こうした凸部12dの大きさや配置、形状については、上記に限られるものではなく、前面パネル部12と主パネル部11との位置関係、あるいは書類50の種類やサイズ等に応じて、凸部が前記補助機能を発揮できるように適宜設定することができる。
【0060】
この凸部12dは、隙間19に挿入された書類50と接することで書類50を主パネル部11側へ寄せる機能も有しており、書類50を主パネル部11に寄せる分、書類50のRFタグ52を主パネル部11の他の面側に位置するリーダライタ20に近付けた状態にでき、リーダライタ20によるRFタグ52に対する情報の読み書きの信頼性を高められることとなる。
【0061】
こうした書類50を主パネル部11側へ寄せる機能のみあればよい場合には、凸部を前面パネル部における主パネル部に対向する面のいずれに設けてもかまわないが、より好ましくは、凸部を前面パネル部の他方の長辺寄り(支持台の被設置面への設置状態における前面パネル部の上部)に設ける構成とする。
【0062】
なお、凸部12dで底板部11a先端と前面パネル部12との間への書類50の進入阻止を図るための他の構成として、前面パネル部12の主パネル部11に対向する面における、主パネル部11の底板部11aに挟まれた開口11b部分に面する位置に、凸部を設けるようにしてもよい。この場合、凸部の上面が底板部11aの上面と略同一平面となるように設けるとより好ましい。
【0063】
前面パネル部12は、係止片12cを主パネル部11の係合用孔部11fに係合させている状態から、係止片12cの係合用孔部11fへの係合を解除すると、前面パネル部12を主パネル部11に対し傾動させて、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19を広げて開放状態とすることができる(図15参照)。
【0064】
こうして前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19を開放可能とすることで、隙間19に誤って異物が入り込んでそのままでは取り出せない場合でも、前面パネル部12を傾動させ、隙間19を開放して異物を容易に取り出すことができ、書類50の支持に悪影響が及ぶ事態を避けられる。
【0065】
前面パネル部12を傾動させるにあたり、主パネル部11の移動規制部11dで前面パネル部12の傾動以外の移動を制限していることにより、傾動中に前面パネル部12のフック部12aが主パネル部11の支持軸11cに対しこの支持軸11cから外れようとする向きにずれて、フック部12aに過度の負荷が加わる状態となるのを阻止できる(図16参照)。
【0066】
前面パネル部12は、フック部12aの外周の所定箇所に主パネル部11の一部に引っ掛かるように当たる突起部12eを有しており、軽い力で前面パネル部12を傾動させると、主パネル部11の一部に突起部12eが当たって止まることで、あらかじめ設定した所定の開き角になった状態を維持できる(図16参照)。こうして前面パネル部12は、通常は前記所定の開き角までの角度範囲内で傾動可能となっている。この前面パネル部12の主パネル部11に対する前記所定の開き角は、約35°とされるが、この開き角については、突起部12eのフック部12aの外周における形成位置や形状によって設定、調整することができる。
【0067】
前面パネル部12が前記所定の開き角になった状態から、さらに強い力で前面パネル部12を主パネル部11に対し前方へ傾動させる(開く)と、フック部12aの突起部12eが主パネル部11の端部を越えて移動し、前面パネル部12をより大きな開き角まで傾動させられる。
【0068】
支持台10を持ち上げるなど、被設置面90に置いていない状態では、前面パネル部12は被設置面90による制約を受けないことで、さらに開き角を大きくする向きに傾動可能となる。
【0069】
前面パネル部12をその主パネル部11に対する開き角が180°以上となるまで傾動させると、前面パネル部12におけるフック部12aの、移動規制部11dなどの主パネル部11各部との位置関係による移動の制約がなくなり、フック部12aを主パネル部11の支持軸11cに対しずらせる状態となる(図17参照)。この状態で、フック部12aが支持軸11cから外れる向きに前面パネル部12を動かすと、前面パネル部12を主パネル部11から取り外して分離することができる。
【0070】
前面パネル部12を主パネル部11に取り付ける場合には、上記と逆の手順、すなわち、被設置面90から離した主パネル部11に対し、前面パネル部12を傾動させて前面パネル部12の主パネル部11に対する開き角を180°以上とした状態、に相当する向きとなるよう前面パネル部12を保持した上で、前面パネル部12のフック部12aを、主パネル部11の支持軸11cに係合させればよい。
【0071】
前面パネル部12を主パネル部11に対し着脱可能としていることで、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に誤って異物が入り込んでそのままでは取り出せない場合でも、前面パネル部12を傾動させ、さらに主パネル部11から前面パネル部12を取り外せば、異物を容易に排除できることに加え、隙間19に面する前面パネル部12と主パネル部11の各面の清掃も容易となって、これらの面に付着したゴミやほこり等を無理なく取り除くことができ、書類50の支持に悪影響が及ぶ事態を避けられる。
【0072】
一方、前面パネル部12を主パネル部11に対し傾動させる場合、通常はフック部12a外周の突起部12eの作用により、前面パネル部12は主パネル部11に対し所定の開き角までの角度範囲内で傾動可能としている。前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に入り込んだ異物の除去や、前面パネル部12と主パネル部11の隙間19に面する各面の清掃等を、前面パネル部12を主パネル部11から完全に取り外さなくても問題なく実行できる場合には、こうした作業を、前面パネル部12を傾動させて隙間19を開放状態とするのみで速やかに行うことができ、前面パネル部12を取り外す手間を省けると共に、前面パネル部12を取り外した場合に生じる紛失等のリスクを避けることができる。
【0073】
前面パネル部12は、その他方の長辺、具体的には、支持台10の設置状態で上側となる方の長辺を、主パネル部11の正面側から見て主パネル部11の切欠き部11gより下側に位置するようにされる。詳細には、前面パネル部12の他方の長辺は、主パネル部11の正面側から見て、主パネル部11における切欠き部11gの面取り部分の下端位置と同じか、より下側に位置するようにされる。
【0074】
すなわち、主パネル部11の切欠き部11gは、主パネル部11の正面側から見て前面パネル部12と重ならない配置とされており、主パネル部11の一の面に沿わせて支持された書類50を、切欠き部11gを通じて指でつまみやすい状態としている。なお、前面パネル部の他方の長辺を、主パネル部の正面側から見て主パネル部の他方の長辺に重なる配置とすると共に、前面パネル部に主パネル部と同様の切欠き部を設ける構成としてもかまわない。
【0075】
さらに、前面パネル部12は、支持台10への書類50の支持状態における、書類50の台紙51上の記載事項の少なくとも一部に重なる所定位置に、書類50の取り扱いに係る補助機能の一つとして、台紙上における情報記載部分の少なくとも一部への注目を促す所定の表示状態を付与する、注目喚起部を設けられる構成である。より具体的には、前面パネル部12は、注目喚起部として、台紙51への記載事項(視認可能な情報)の少なくとも一部を実寸とは異なる大きさで外部から視認可能とする、レンズ部12fを設けられる構成である。
【0076】
前面パネル部12における注目喚起部としてのレンズ部12fは、書類50における台紙51上の記載事項としての所定情報を拡大等により外部から見やすい状態とし、使用者の注目を促すものであり、書類50における重要な情報記載箇所と対向する位置に配置するのが好ましい。
【0077】
レンズ部12fは、その厚さを上下方向の各位置ごとに変化させて凸レンズとなるように形成されるが、用途により凹レンズとなるように形成したり、厚さの変化の度合いを小さくしたフレネルレンズとして形成してもよい。また、レンズ部12fの厚さを変化させる部分を、前面パネル部12の主パネル部11に面しない前面側に設定しているが、これに限られるものではなく、前面パネル部12の隙間19や主パネル部11に面する背面側に設定してもかまわない。この場合、レンズ部12fを、主パネル部11側に凸状に突出する形状として、前記凸部12dを兼ねるものとする、すなわち、隙間19に挿入された書類50を主パネル部11側へ寄せたり、主パネル部11の底板部11a先端と前面パネル部12との間への書類50端部の進入を阻止する機能を兼ね備える構成としてもよい。
【0078】
レンズ部12fを用いるにあたって、前面パネル部12の主パネル部11に面する側の凸部12dやこれを兼ねるレンズ部自体が、書類50を主パネル部11側へ寄せて、書類50とレンズ部12fとの位置関係をあらかじめ設定された適切なものに合わせられることで、レンズ部12fを通じて書類50の対応箇所の記載事項を明瞭に視認可能な状態を確保できる。
【0079】
なお、注目喚起部、特にレンズ部12fが前面パネル部12の前面側に凸状に突出するものである場合、支持台10の被設置面90への設置状態において、前面パネル部12が突起部12eで規定される開き角以上に開くように力を加えて、前面パネル部12を前方に最大限傾動させると、前面パネル部12のレンズ部12fが被設置面90に当たり、レンズ部12fに傷を付けてしまうおそれがある。こうしたレンズ部の損傷を防ぐために、前面パネル部における所定箇所、例えば、側板の前端面上部に、前方へ突出する凸部を設けたり、側板の前端面を前面パネル部の前面より前方に位置するように設ける一方、こうした凸部や側板の前端面より後方にレンズ部の頂部が位置するように、レンズ部を配置する構成としてもよい。
【0080】
この他、前面パネル部12は、支持台10への書類50の支持状態におけるRFタグ52の位置と重なる所定箇所に、リーダライタ20での読み書きに係る補助機能の一つとして、書類50とは異なるICカード60を支持して、このICカード60に対するリーダライタ20での情報の読み取り及び情報の書き込みを実行可能とする、カード支持部12gを配設される構成である。
【0081】
カード支持部12gは、前面パネル部12における主パネル部11に面しない前面側の所定箇所に、前面パネル部12の正面視で略L字状となる突出部分として形成され、ICカード60を前面パネル部12の前面に沿うように載せて、ICカード60を、支持台10で書類50を支持した状態における書類50のRFタグ52が位置する箇所に重なるように、すなわち、リーダライタ20で情報の読み取り及び情報の書き込みをICカード60に対しても実行可能となるように、支持するものである(図19参照)。
【0082】
このカード支持部12gで支持され、リーダライタ20による情報の読み書きの対象となるICカード60は、例えば、ICカード型の運転免許証や個人番号カード(マイナンバーカード)など、カードの規格ISO/IEC7810における「ID-1」に相当するものである。
【0083】
カード支持部12gは、前面パネル部12の長辺方向に連続する突出部分で、ICカード60の下部を支えると共に、前面パネル部12の短辺方向に連続する突出部分で、ICカード60の左側部を支える仕組みである。
【0084】
こうしたカード支持部12gの側方且つ上方となる前面パネル部12前面の所定箇所に、このカード支持部12gで支持するICカード60の左右への傾きを抑える傾動防止部を形成することもできる。
【0085】
傾動防止部は、前面パネル部12上で、カード支持部12gをなす略L字状の突出部分のうち、側端部の、前面パネル部12の短辺方向に連続する突出部分と、ICカード60の左側部との接触面を、上方に延長した仮想線上又はこの仮想線より左側となる位置に形成される。この傾動防止部については、前面パネル部12上に他から独立した機能部分として設ける他に、前面パネル部12の主パネル部11に面しない前面側で外方に突出する形状とされたレンズ部12fで兼用する構成としてもかまわない(図19参照)。
【0086】
なお、ICカードを支持するカード支持部は、線状の突出部分として形成される、すなわち、ICカードの下部(下端面)を支える、前面パネル部の長辺方向に連続する突出部分のみで形成される構成とすることもできる。この場合に、傾動防止部は、ICカードの左右の傾きを抑える一方、ICカードの側部を支えて横移動を抑えるなど、一種のカード支持部として機能することとなる。
【0087】
前記脚部13は、主パネル部11同様のアクリル樹脂等のプラスチック製の棒状体で形成され、主パネル部11における前記一の面側とは反対側となる他の面における、主パネル部11の前記一方の長辺寄りの二箇所に、主パネル部11と略直角をなす向きで連結一体化され、主パネル部11から突出する状態として配設される構成である。
【0088】
この脚部13の主パネル部11に対する遠位側の端部が、主パネル部11における脚部13に近い前記一方の長辺のある端部と共に、支持台10の設置対象となるデスク天板面等の被設置面90に当接することで、支持台10は設置状態となる。この支持台10の設置状態では、主パネル部11は脚部13のある側に傾いて、主パネル部11の一の面を直立状態の位置から約20°傾斜させた状態となり、この主パネル部11の傾斜した面に沿わせる状態で書類50を支持することとなる。
【0089】
脚部13の主パネル部11に対する遠位側の端部、すなわち、被設置面90に当接する端部には、図3ないし図6、及び図13に示すように、足部13aが取り付けられる。この足部13aは、ゴムやエラストマーなどの、被設置面90に対し滑りにくい性質を有する材質製とされて、脚部13の被設置面90に対するずれを防ぎ、支持台10の設置状態を安定化するものである。なお、被設置面90に対し滑りにくい状態が確保できれば、足部を設けず、脚部が直接被設置面90に接する構成としてもかまわない。
【0090】
脚部13の主パネル部11への連結位置は、主パネル部11の一方の長辺と収容部14との間の領域における中心位置より収容部14寄りとする。これは、支持台10の被設置面90への設置状態で、主パネル部11の一方の長辺から収容部14下端までの領域における中心位置より上側となる位置であり、支持台10の重心位置を脚部13に対し過度に後方に位置させないようにして支持台13を無理なく自立させつつ、主パネル部11を適切な傾斜状態、具体的には、主パネル部11の一の面を直立状態の位置から20°以上傾斜させる状態、言い換えると、主パネル部11と被設置面90とのなす角を70°以下とするまで傾斜させる状態、とするように連結位置が設定される。
【0091】
脚部13は、棒状のものを二つ配設する構成としているが、これに限られるものではなく、一つのみ又は三つ以上配設する構成とすることもできる。また、脚部13は棒状に限られず、他の形状、例えば板状でもかまわない。
【0092】
また、脚部13は主パネル部11の他の面から略直角に突出する状態として配設する構成としているが、この他、主パネル部の端部を含む所定箇所に、主パネル部を傾斜させたい角度に対応した所定方向に主パネル部から突出する状態となるように配設する構成とすることもできる。この場合、主パネル部に対する脚部の突出方向を可変として、支持台の設置状態における主パネル部の傾斜角度を調整可能としてもよい。
【0093】
さらに、脚部13は、支持台10の被設置面90への設置状態で、主パネル部11を傾斜させるように設けられる構成に限らず、主パネル部を直立させるように設けられる構成としてもかまわない。
【0094】
前記収容部14は、主パネル部11の前記他の面における主パネル部11の一方の短辺近くの所定部位に配設され、リーダライタ20を出し入れ可能に収容するものである。この収容部14に収められるリーダライタ20は、矩形の略厚板状の外形を有し、読み取り面25となる所定の表面をRFタグ52に接近させた状態で、このRFタグ52に対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを実行するものであり、詳細については後述する。
【0095】
収容部14は、主パネル部11の他の面における前記所定部位に、主パネル部11の短辺方向に所定間隔をなすように取り付けられ、リーダライタ20の対向する二つの側面にそれぞれ接する第一部材14a及び第二部材14bと、前記所定部位における主パネル部11の他方の短辺寄りとなる箇所に取り付けられ、リーダライタ20の他の側面に接する第三部材14cとを有する。
【0096】
この収容部14は、支持台10の被設置面90への設置状態で、収容部14の上下方向の中心を、支持台10の収容部以外の部分、具体的には主パネル部11、における上下方向の中心位置と略同じ位置としている。ただし、これに限られるものではなく、収容部14の上下方向の中心を前記中心位置より下側に位置させる配置とすることもできる。この場合、情報記録媒体用スタンド1の中で比較的重量のあるリーダライタ20を収容状態ではできるだけ下寄りに位置させて、スタンド全体における重心位置を下げ、情報記録媒体用スタンド1が安定して倒れにくい状態を得ることができる。
【0097】
収容部14をなす第一部材14a、第二部材14b及び第三部材14cは、主パネル部11同様のアクリル樹脂等のプラスチック製部材であり、このうち第一部材14aと第二部材14bは、それぞれ長手方向が主パネル部11の長辺と平行になるようにして配設される。これら第一部材14a及び第二部材14b、並びに第三部材14cに囲まれた領域に、リーダライタ20がその読み取り面25を主パネル部11の他の面にほぼ接する状態で収容可能とされる。この収容部14をなす第一部材14a、第二部材14b及び第三部材14cに対し、リーダライタ20はその長手方向を主パネル部11の長辺方向と一致させて、主パネル部11の長辺方向と同じ向きに出し入れ可能とされ、支持台10の被設置面90への設置状態で、リーダライタ20は、書類50の挿脱方向とは異なり、横向きの収容部14に対し同じ横方向に出し入れされることとなる。
【0098】
ただし、収容部14におけるリーダライタの出入り口は、主パネル部11の一方の短辺に沿って配置され、また、第三部材14cの主パネル部11の一方の短辺からの距離は、リーダライタ20の長手方向寸法より小さくされていることで、リーダライタ20の収容状態で、リーダライタ20における一方の短辺寄り所定範囲部分が、第一部材14a及び第二部材14bから長手方向にはみ出すと共に、主パネル部11からもはみ出すこととなる。具体的には、支持台10の被設置面90への設置状態で、主パネル部11の正面側から見て右寄りに位置する収容部14に収容されるリーダライタ20は、その一方の短辺寄り所定範囲部分が主パネル部11の正面側から見て右辺となる主パネル部11の一方の短辺から横にはみ出す。
【0099】
収容部14の第一部材14aは、リーダライタ20の収容部14への収容状態で、リーダライタ20の一方の長辺側の端面の一部と、リーダライタ20の他方の短辺側の端面の一部に重なるように配設される。この第一部材14aは、例えば、主パネル部11の背面側から見た状態で、細長い矩形部分と、この矩形部分から右側に円弧状に延びた部分と、そこからさらに下方に直線状に延びた部分とを有する構成とすることができる。
【0100】
また、第二部材14bは、リーダライタ20の収容状態で、リーダライタ20の他方の長辺側の端面の一部と、リーダライタ20の他方の短辺側の端面の一部に重なるように配設される。この第二部材14bは、例えば、主パネル部11の背面側から見た状態で、細長い矩形部分と、この矩形部分から右側に円弧状に延びた部分と、そこからさらに上方に直線状に延びた部分とを有する構成とすることができる。
【0101】
また、第三部材14cは、リーダライタ20の収容状態で、リーダライタ20における読み取り面25の反対側の面の、他方の短辺寄りの所定箇所に当接するように配設される。
【0102】
こうして、収容部14をなす第一部材14a、第二部材14b及び第三部材14cが、収容状態のリーダライタ20の各面と接すると共にリーダライタ20の一部に嵌合することで、リーダライタ20はこれを出し入れする方向以外には動かせない状態に拘束される。
【0103】
収容部14を第一部材14a、第二部材14b及び第三部材14cで構成し、各部材間に間隙が生じるようにしていることで、リーダライタ20を収容部14に収容する際に、リーダライタ20に連結されるケーブル22を間隙部分に通して収容部14内から収容部14の外に無理なく引き出すことができ、リーダライタ20にケーブル22が直結する場合でもリーダライタ20を収容部14に問題なく収容し、且つケーブル22を収容部14の外で接続等のために支障なく取り扱える状態が得られる。
【0104】
収容部14では、リーダライタ20の収容状態で、リーダライタ20の読み取り面25とは反対側の面の一部に設けた凹部に、第三部材14cが嵌脱可能に嵌まり込むように、第三部材14cを設ける構成とすることもできる。この場合、リーダライタ20を収容部14に挿入して収容する際に、収容部14の最奥部までリーダライタ20が達すると、第三部材14cがリーダライタ20の他方の短辺側の端面に設けられている凹部に嵌まり込んだ状態となる。これにより、収容部14の奥まで到達させたリーダライタ20を収容部14から抜脱しようとすると、第三部材14cの嵌合に基づく抵抗を受けることとなり、リーダライタ20が収容部14から容易に外れない状態を得ることができ、支持台11の収容部14からリーダライタ20が意図せず脱落することを防止できる。
【0105】
なお、収容部14は、第一部材14a、第二部材14b及び第三部材14cの三つからなる構成としているが、これに限られるものではなく、リーダライタ20を主パネル部11に対し出し入れ以外の動きを許容しないように収容でき、且つ、リーダライタ20の収容部への出し入れに際し所定の抵抗力が加わることで、一旦収容部に収容されたリーダライタ20は収容部から容易に外れない状態となるように、収容部を形成できるのであれば、収容部を三つより少ない部材、すなわち、一つ又は二つの部材からなる構成としてもよく、収容部の構造をより簡略化してコストを抑えられることとなる。
【0106】
この他、収容部14の第一部材14a及び第二部材14bは、主パネル部11の長辺と平行な向きに連続する部材としてそれぞれ形成される構成としているが、これに限らず、これら第一部材14aと第二部材14bの少なくとも一方が、複数の部材を断続的に並べて形成される構成としてもかまわない。
【0107】
前記リーダライタ20は、RFタグ52に対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを非接触で実行可能なものであり、支持台10に支持された書類50のRFタグ52に対し対向するように支持台10に配設される構成である。
【0108】
このリーダライタ20は、支持台10の主パネル部11における書類50を支持する側の一の面とは反対側にある収容部14に対し、読み取り面25となる表面を、主パネル部11に面する向きとして、出し入れ可能に収容される。これにより、リーダライタ20は、支持台10に動かない状態で配設されると共に、支持台10に支持された状態の書類50におけるRFタグ52の配設位置に、主パネル部11を介してちょうど重なり、主パネル部11越しに書類50のRFタグ52と問題なく通信を行える状態とされる仕組みである。
【0109】
また、リーダライタ20は、支持台10に書類50が支持されておらず、代わりに前面パネル部12のカード支持部12gにICカード60が支持されている場合には、主パネル部11及び前面パネル部12越しにICカード60と通信を行い、情報の読み取り及び情報の書き込みを実行可能とされる。
【0110】
これは、カード支持部12gに支持されたICカード60が、支持台10への書類50の支持状態における書類50のRFタグ52が位置する箇所と重なり、リーダライタ20の通信可能範囲に位置していることによるものである。
【0111】
このリーダライタ20における、RFタグ52やICカード60に対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを非接触で実行する仕組みについては、ICカードやRFタグと無線通信を行うと共に電力供給を行い、これらに搭載されたICチップに対し情報の読み書きを実行する、近距離無線通信技術を採用した公知のリーダライタと同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0112】
また、リーダライタ20は、コンピュータ等の情報処理装置(図示を省略)と接続され、書類50のRFタグ52又はICカード60から読み取った情報やRFタグ52又はICカード60に書き込む情報を情報処理装置とやり取りする点についても、公知のリーダライタと同様であり、詳細な説明を省略する。
【0113】
リーダライタ20には、その一方の短辺寄りの所定範囲に、このリーダライタ20の状態を示す表示部21が設けられる。
表示部21は、リーダライタ20の一方の長辺寄りとなる箇所に電源ランプ21aを配置され、リーダライタ20の他方の長辺寄りとなる箇所に通信状態確認ランプ21bを配置される構成である。
【0114】
リーダライタ20の表示部21は、収容部14への収容状態で支持台10の主パネル部11及び収容部14からはみ出す部分に相当しており、支持台10の各部及び支持台10に支持された状態の書類50と重ならない位置に視認可能に露出する。
こうして表示部21は、支持台10の被設置面90への設置状態で、主パネル部11の横にはみ出し、支持台10の側方に現れて常に視認可能となる仕組みである。
【0115】
なお、表示部21に代えて、又は表示部21と併設する形で、表示部以外の別の報知手段、例えば、読み取り完了や、ICカード60や書類50の取り出しでICカード60やRFタグ52がリーダライタ20の通信可能範囲から外れたことを示すブザー等の音出力部を設けるようにしてもよい。
【0116】
リーダライタ20は、RFタグ52又はICカード60から読み取った情報やRFタグ52又はICカード60に書き込む情報を処理する情報処理装置との接続用のケーブル22を有する。このケーブル22は、リーダライタ20の表示部21のある一方の短辺側とは反対側となる他方の短辺側の端部に、直結状態で連結し、電気的に接続されている。
【0117】
このリーダライタ20のケーブル22は、支持台10の被設置面90への設置状態で、脚部13の下側、具体的には、脚部13と主パネル部11下部と被設置面90に囲まれた空間部分、に通した状態とすることで、ケーブル22が不用意に動かない状態を簡易に得ることができる。
【0118】
なお、リーダライタ20は、公知のリーダライタと同様に、接続された情報処理装置から電力を供給されて作動する構成とされるが、これに限らず、内蔵される電池、又は、直接若しくはACアダプタ等を介して接続される商用電源を、電源として電力を供給される構成としてもかまわない。
【0119】
次に、本実施形態に係る情報記録媒体用スタンドの使用状態について説明する。前提として、情報記録媒体用スタンド1は、デスク天面等の被設置面90に設置された状態にあるものとする。また、リーダライタ20は支持台10の収容部14に収容され、リーダライタ20のケーブル22は情報処理装置に接続されており、リーダライタ20が作動に必要な電力の供給を受け、電源ランプ21aを点灯させているものとする。
【0120】
情報記録媒体用スタンド1が、被設置面90に設置されている状態では、支持台10の主パネル部11と脚部13とが被設置面90に当接して、支持台10は容易には倒れない自立状態となっている。
【0121】
この支持台10における前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に対し、この隙間19の上部の開放部分から読み書き対象の書類50を挿入する(図11参照)。
この時、隙間19に挿入された書類50は前面パネル部12の凸部12dにより案内されて、主パネル部11に寄った状態となり、書類50の下端部が主パネル部11の底板部11a先端と前面パネル部12との間に入り込むことはない。
【0122】
書類50を隙間19に位置させると、書類50の主パネル部11に沿った支持状態が得られ、合わせて書類50は前面パネル部12、側板12b及び底板部11aによる拘束を受けて、使用者の抜脱操作で上下方向に移動する場合以外では容易に動かない状態となる。
【0123】
この書類50の支持状態では、書類50に配設されたRFタグ52が、支持台10の収容部14に収容されているリーダライタ20の正面側に位置しており、リーダライタ20が主パネル部11を介してRFタグ52と通信可能となっている。また、書類50の支持状態では、透明な前面パネル部12を介して、書類50表面の記載事項を使用者が視認可能となっている。
【0124】
リーダライタ20は、支持台10に対しあらかじめ適切に配置されていることで、この書類50の支持状態に際して既に作動可能となっている場合には、通信可能範囲内にあるRFタグ52との通信を問題なく成立させ、例えば表示部21の通信状態確認ランプ21bを点灯させるなどして、RFタグ52と正常に通信可能であることを示す。
【0125】
こうした表示部21の表示等から、リーダライタ20が正常に作動可能な状態にあることを確認した上で、使用者がガイダンスに従って情報処理装置を通じた操作を行うと、リーダライタ20がRFタグ52と通信を行って情報の読み書きを実行する。この他、リーダライタ20がRFタグ52との通信を成立させたら、直ちに、使用者による何らかの操作を要することなく自動的に、リーダライタ20がRFタグ52と通信を行って情報の読み書きを実行するようにしてもよい。
【0126】
読み取りの場合は、リーダライタ20で読み取った情報のデータがリーダライタ20から情報処理装置に送られて所定の処理が行われる。
また、書き込みの場合は、あらかじめ情報処理装置で書き込み用に調整処理された書き込み対象の情報のデータがリーダライタ20に送られ、リーダライタ20によりRFタグ52に情報の書き込みが行われる。
こうした読み取りや書き込みの実行中は、リーダライタ20における表示部21の通信状態確認ランプ21bが点灯又は点滅状態となることで、使用者は実行を認識できる。
【0127】
そして、リーダライタ20における読み取りや書き込みの完了は、表示部21の通信状態確認ランプ21bにおける読み取りや書き込みの実行を示していた点灯又は点滅状態を終了させたり、通信状態確認ランプ21bをそれまでとは異なる点灯又は点滅状態に移行させたり、表示部以外の別の報知手段による報知、例えば、ブザー等の音出力部から完了を示す音を出力することで使用者に示すことができる。この他、情報処理装置の表示手段による状況表示等で、リーダライタ20における読み取りや書き込みの完了を使用者に通知するようにしてもよい。
【0128】
使用者は、リーダライタ20における表示部21の表示や、情報処理装置における表示等から、リーダライタ20によるRFタグ52への書き込みの終了を確認したり、書類50から直接視認可能な情報及びリーダライタ20で読み取った情報の利活用、例えば、リーダライタ20で読み取られて情報処理装置の表示手段に表示された、RFタグ52に記録されている情報と、書類50表面に記載された情報との照合、確認などの作業、が完了したら、支持台10に支持されている書類50を前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19から抜き取って回収する。
【0129】
この書類50の隙間19からの抜き取りは、主パネル部11の切欠き部11gを通じて使用者が書類50を指で確実に挟持できることで、スムーズに実行でき、書類50を出すために支持台10を動かす必要はない。
【0130】
リーダライタ20による情報の読み書きを含む作業を要する同様の書類50が複数ある場合は、支持台10で支持する書類50を入れ替えつつ上記手順が繰り返されることとなる。
【0131】
続いて、他の使用状態として、ICカード60に対し情報の読み書きを行う場合について説明する。
このICカード60に対する情報の読み書きを行うにあたり、支持台10における前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に書類50が存在している場合には、この隙間19の上部の開放部分から書類50を抜脱して、隙間19に書類50がない状態としておく。
【0132】
隙間19に書類50がない状態で、読み書き対象のICカード60を、前面パネル部12前面側のカード支持部12gに載せる(図19参照)。このカード支持部12gにおける、前面パネル部12の長辺方向に連続する突出部分に、ICカード60の下部が接すると共に、前面パネル部12の短辺方向に連続する突出部分に、ICカード60の左側部が接して、ICカード60がカード支持部12gに正しく支持された状態とすると、ICカード60が、支持台10の収容部14に収容されているリーダライタ20の正面側に位置して、リーダライタ20が主パネル部11及び前面パネル部12を介してICカード60と通信可能となる。
【0133】
リーダライタ20は、ICカード60の支持状態に際して既に作動可能となっている場合には、通信可能範囲内にあるICカード60との通信を問題なく成立させ、例えば表示部21の通信状態確認ランプ21bを点灯させるなどして、ICカード60と正常に通信可能であることを示す。
【0134】
こうした表示部21の表示等から、リーダライタ20が正常に作動可能な状態にあることを確認した上で、使用者がガイダンスに従って情報処理装置を通じた操作を行うと、リーダライタ20がICカード60と通信を行って情報の読み書きを実行する。この他、リーダライタ20がICカード60との通信を成立させたら、直ちに、使用者による何らかの操作を要することなく自動的に、リーダライタ20がICカード60と通信を行って情報の読み書きを実行するようにしてもよい。
【0135】
読み取りの場合は、リーダライタ20でICカード60から読み取った情報のデータがリーダライタ20から情報処理装置に送られて所定の処理が行われる。
また、書き込みの場合は、あらかじめ情報処理装置で書き込み用に調整処理された書き込み対象の情報のデータがリーダライタ20に送られ、リーダライタ20によりICカード60に情報の書き込みが行われる。
【0136】
使用者は、リーダライタ20における表示部21の表示や、情報処理装置における表示等から、リーダライタ20によるICカード60への書き込みの終了を確認したり、リーダライタ20で読み取った情報の利活用、例えば、リーダライタ20で読み取られて情報処理装置の表示手段に表示された、ICカード60に記録されている情報の目視確認などの作業、が完了したら、支持台10に支持されているICカード60を前面パネル部12のカード支持部12gから取って回収する。
【0137】
リーダライタ20による情報の読み書きを必要とする同様のICカード60が複数ある場合は、カード支持部12gで支持するICカード60を置き換えつつ上記手順が繰り返されることとなる。
【0138】
このように、本実施形態に係る情報記録媒体用スタンドは、RFタグ52が配設される書類50を、前面パネル部12と主パネル部11との間に拘束した状態で支持する支持台10に対し、リーダライタ20を、支持台10に支持された状態の書類50におけるRFタグ52に対向してこれと通信可能となる箇所に配設して、書類50を支持台10で支持するとリーダライタ20で書類50のRFタグ52に対する読み書きを行える状態が得られることから、RFタグ52を配設した書類50とリーダライタ20の大きさが異なっていても、書類50をリーダライタ20に対し位置合わせする必要がなく、書類50を支持台10に支持させるのみで速やかにリーダライタ20が読み取りや書き込みを実行できることに加え、前面パネル部12と主パネル部11との間に書類50を位置させ、書類50に対し周囲からの影響が及びにくい状態として、書類50の記載事項を視認可能な状態を確保しつつ、書類のリーダライタ20に対するずれを防いで、リーダライタ20によるRFタグ52の情報の読み書きを正確に実行させることができる。
【0139】
また、補助機能を有する前面パネル部12と傾斜した主パネル部11との間に拘束されて支持される書類50は、記載事項を目視しやすい状態とされると共に、リーダライタ20が書類50の背面側に位置して、書類50の記載事項がリーダライタ20に隠れることなく視認可能となっており、リーダライタ20によるRFタグ50の情報の読み書きが問題なく行える状態を確保しつつ、書類50の記載事項を使用者が容易に且つ正確に読み取ることができ、記載事項に係る情報をRFタグ52の情報と共に適切に利活用できる。加えて、前面パネル部12の各補助機能により、書類50の取り扱いやリーダライタ20による読み書きの利便性を向上させることができる。
【0140】
なお、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいては、支持台10の支持対象となる情報記録媒体として、文字等の情報が台紙51に視認可能に記載された書類50を取り扱う構成としているが、これに限られるものではなく、書類以外の情報記録媒体として、視認可能な情報が記載されていない台紙等のシート体にRFタグが一体に配設されたものを、支持台で支持し、そのRFタグに対しリーダライタによる情報の読み書きを可能とする構成としてもかまわない。この場合、支持台の前面パネル部は、透明や半透明の材質以外の、支持された情報記録媒体が前面パネル部を通して見えないような材質で形成されていてもかまわない。
【0141】
また、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいては、支持台10の主パネル部11と脚部13を被設置面90に当接させ、支持台10を自立させることで、支持台10の安定した設置状態を得て、書類50の支持に使用可能とする構成としているが、支持台における主パネル部の他の面側に磁石を有する壁固定部を設けて、鉄等の磁石が吸着可能な材質からなる壁などの被設置面に壁固定部を介して支持台を取り付けた壁掛け設置状態で使用する構成とすることもできる。
【0142】
壁固定部を支持台10に配設するにあたっては、スタンドにおいて重量のあるリーダライタ20が主パネル部11の一方の短辺寄りに存在して、スタンド全体の重心が主パネル部11の中心から一方の短辺側(主パネル部11の背面側から見て左側)に偏った状態となっているのに対応して、壁固定部を主パネル部11の中心から一方の短辺側に少しずれた位置に配設して、スタンド1の壁固定部を介した取り付け状態で、壁固定部の位置にスタンド全体の重心位置をできるだけ近付け、壁固定部に重心のずれに基づく過大なモーメントが作用しないようにするのが望ましい。
【0143】
また、支持台における主パネル部に壁掛け用の孔を設け、この孔に通した紐を壁に取り付けられたフックに掛けたり、あるいは孔に壁のフックを通すようにして主パネル部を直接フックに掛けたりすることで、情報記録媒体用スタンドを被設置面としての壁に対し壁掛け設置状態として使用する構成とすることもできる。壁掛け用の孔は、主パネル部の上部に(設けたり、主パネル部の他の面側の収納部に)設けることができる。この壁掛け用の孔に通した紐を壁のフック等に掛けて情報記録媒体用スタンドを使用する場合、支持台における脚部の後ろ側の側面を壁に当接させつつ、主パネル部が前傾姿勢となるようにすると、情報記録媒体用スタンドの安定性が向上し、好ましい。合わせて、紐をフックに掛ける際に、フックに紐を二重、三重に巻き掛けるようにすると、紐とフックとの摩擦が増える分、紐が滑りにくくなり、支持の安定度を増大させられ、好ましい。
【0144】
さらに、主パネル部の上部の孔に通した紐をフック等に掛けた状態では、紐がリーダライタの上方に位置して、例えば紐を机の側面に取り付けたフック等に掛けて情報記録媒体用スタンドを使用する場合に、紐がリーダライタの上方で一種の防護材として機能することとなり、仮に机の上から物が落ちて情報記録媒体用スタンドに達しても、紐で落下物がリーダライタに当たることを防いで、リーダライタの落下物との衝突による損傷や故障などを回避することができる。
【0145】
また、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいて、支持台10における前面パネル部12を主パネル部11に対し傾動可能に係合させて、前面パネル部12を主パネル部11に対し両者間に隙間19が介在するように配設する構成としているが、この他、主パネル部に対する前面パネル部の配設構造として、主パネル部と前面パネル部のいずれか一方に設けられる凸部分が他方に設けられる凹部分に嵌まって互いにずれないように配設される、いわゆるインロー構造を採用する構成とすることもできる。この場合も、前記実施形態同様、前面パネル部を主パネル部に対し動かない状態に保持して、これら前面パネル部と主パネル部との間に書類を拘束して支持でき、書類を外部の影響が及びにくい状態に維持することができる。また、主パネル部と前面パネル部との嵌合を解いて前面パネル部を主パネル部から取り外せば、前面パネル部と主パネル部との間の隙間に入り込んで取り出せなかった異物を容易に排除できると共に、隙間に面する前面パネル部と主パネル部の各面に付着したゴミやほこり等を無理なく取り除くことができ、こうした異物やゴミ等が書類の支持に悪影響を及ぼす事態を回避できる。
【0146】
また、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいて、支持台10における前面パネル部12前面の、正面視で直接又は透過により間接的に見える範囲に、凸部12dやレンズ部12f、カード支持部12g以外のものを特に設けない構成としているが、この他、前面パネル部に、ブランドロゴや書類挿入方向案内などの、文字や記号の表示部分を形成する構成とすることもできる。この表示部分は、文字や記号にあたる領域と、その周囲の領域との間に、段差や表面性状の差異等を加工付与することにより、文字や記号を区別可能とする仕組みである。例えば、文字の領域をシボ加工面とする一方、周囲の領域を平滑面とすることで、文字を識別可能に形成できる。なお、前面パネル部の透過性に基づいて、前面パネル部の前面側から見える、書類や主パネル部の色によっては、表示部分に形成された文字や記号が見えにくくなる場合も起り得る。こうした場合でも、文字や記号の領域をその周囲の領域に対し凸部として浮き出た状態に形成すれば、識別性を確保でき、好ましい。
【0147】
また、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいて、前面パネル部12に設ける注目喚起部として、レンズ部12fを採用する構成としているが、これに限られるものではなく、注目喚起部として、書類の台紙上における情報記載部分の少なくとも一部への注目を促す所定の表示状態を付与できる他の構成を採用してもかまわない。例えば、前面パネル部における、書類の重要な情報記載箇所と対向する箇所の前面を、その周囲部分に対し隆起させたり、あるいは陥没させたりして差異を生じさせ、周りに対して異質な隆起部分や陥没部分を通じて見える情報への注目を促す構成としたり、前記情報記載箇所と対向する箇所の前面部分の近傍や周囲に、凸部又は凹部を線状又は枠状に配設して、周りに対して異質な凸部や凹部に目を向けさせることで、その近くに透過して見える情報への注目を促す構成とすることもできる。
【0148】
また、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいては、支持台10における前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に書類50を挿入され、これを支持する構成としているが、この他、支持台における前面パネル部と主パネル部との間の隙間の大きさを広げて、この隙間に書類をこれが収められたカバーごと挿入して支持可能な構成とすることもできる。この場合、書類を普段収容しているカバーから取り出すことなく、支持台に支持されてリーダライタで読み書き可能な状態にでき、手間をかけずに書類に対する情報の読み取りや書き込みを行える。
【0149】
また、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいては、リーダライタ20のケーブル22を脚部13の下側に位置させる以外、特に支持台10への拘束は行わない構成としているが、この他、ケーブル22のうち、リーダライタ20に近い所定範囲部分を、リーダライタ20の収容部14への収容状態で、リーダライタ20と同様に支持台10に保持して動かないよう拘束する構成とすることもできる。
【0150】
例えば、リーダライタ20のケーブル22に対し、支持台10における収容部14の第二部材14bと脚部13との間隔を、ケーブル22の太さとほぼ同じ大きさとするなど適切な大きさに設定する。これら第二部材14bと脚部13との間にケーブル22の一部を収めると、第二部材14bと脚部13でケーブル22を挟持拘束して、ケーブル22の不要な動きを抑制できる。
【0151】
また、主パネル部11におけるリーダライタ20を配設している他の面に、リーダライタ20のケーブル22を係止する係止部を一又は複数配設し、こうした係止部にケーブルを係止して保持する構成とすることもできる。この場合、係止部によりケーブルが主パネル部の他の面に沿って保持され、主パネル部からケーブルが離れない状態とすることができる。
【0152】
また、前記実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいて、リーダライタ20における情報の読み取りや書き込みの実行やそれらの完了については、リーダライタ20における表示部21の表示によって使用者に報知する構成としているが、この他、リーダライタ20によるRFタグ52やICカード60への読み取りや書き込みの完了後、所定時間経過してからも、RFタグ52やICカード60がまだリーダライタ20の通信可能範囲内に位置して通信可能な状態にあることをリーダライタ20で検出されて、RFタグ52やICカード60の取り忘れが想定される状況では、こうした取り忘れの通知や、書類又はICカードの取り出しを喚起する所定の報知を、リーダライタ20の表示部21、又は、リーダライタ20に設けられた表示部以外の別の報知手段、例えば、ブザー等の音出力部により、行うようにすることもできる。
【0153】
加えて、前面パネル部12と主パネル部11との間の隙間19に書類50が二枚以上挿入されたり、ICカード60がカード支持部12gに二枚以上置かれたり、書類50の支持とICカード60の支持が同時に行われるなど、リーダライタ20が情報の読み取りや書き込みを正しく行えない状態にある場合、すなわち、RFタグ52やICカード60などの通信対象がリーダライタ20の通信可能範囲内に複数存在し、リーダライタ20との通信が複数通り生じることで、通信データの衝突が発生し、通信を正常に維持継続できない状態にあることがリーダライタ20で検出される場合にも、そうした状態についての通知や警告を示す所定の報知を、前記同様にリーダライタ20の表示部21等により行うようにしてもよい。また、この場合、リーダライタ20で、RFタグ52やICカード60に対するさらなる読み取りや書き込みを実行しないよう設定することもできる。
【0154】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいては、前面パネル部12における書類50の取り扱い又はリーダライタ20での読み書きに係る所定の補助機能を実現する手段として、前面パネル部12に凸部12d、レンズ部12f、及びカード支持部12gを設けると共に、前面パネル部12を主パネル部11に対し傾動可能に係合させる構成としているが、全ての補助機能を前面パネル部によって実現可能とする必要はなく、少なくとも一つの補助機能を実現するように上記各手段を選択的に採用する構成としてもかまわない。
例えば、図20に示すように、カード支持部を主パネル部に設けて前面パネル部からは省略した構成としたり、図21に示すように、さらにレンズ部を省略した構成とすることもできる。
【0155】
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係る情報記録媒体用スタンドにおいて、主パネル部11の他の面に、脚部13やリーダライタ20を配設するための収容部14以外は特に設けない構成としているが、この他、図22に示すように、主パネル部11における他の面や側面に、ペン等の筆記具を収納したり、リーダライタ20のケーブル22を束ねたものを収納したり、フェライトコアや端子部などのケーブル22の一部を収納したり、鍵や輪ゴムを収納する収納部17、18を設ける構成とすることもできる。この場合、収納部17、18にこうした各種の被収納物が収納されることで、これらが被設置面90上に散らばった状態とならず、取り扱いも容易となる。
【0156】
なお、収納部18は前面パネル部12に設けてもよく、特に、前面パネル部12にレンズ部を設ける場合に、収納部18を前面パネル部12の前面や側板12bの前端面に設けるようにすれば、前面パネル部12を前方に最大限傾動させた際に、収納部18が防護材としての機能を果たして、前面パネル部12のレンズ部が被設置面90に当たることはなく、レンズ部の損傷を防ぐことができる。
【0157】
前記第1ないし第3の実施形態で具体的に示した、本発明の開示に係る情報記録媒体用スタンドは、国際連合で定められた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」で示される17の目標のうち、例えば、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう(強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る)」や「12:つくる責任つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」といった一部の目標の達成に寄与することが期待できる。
【符号の説明】
【0158】
1 情報記録媒体用スタンド
10 支持台
11 主パネル部
11a 底板部
11b 開口
11c 支持軸
11d 移動規制部
11e 縦溝部
11f 係合用孔部
11g 切欠き部
12 前面パネル部
12a フック部
12b 側板
12c 係止片
12d 凸部
12e 突起部
12f レンズ部
12g カード支持部
13 脚部
13a 足部
14 収容部
14a 第一部材
14b 第二部材
14c 第三部材
17、18 収納部
19 隙間
20 リーダライタ
21 表示部
21a 電源ランプ
21b 通信状態確認ランプ
22 ケーブル
25 読み取り面
50 書類
51 台紙
52 RFタグ
60 ICカード
90 被設置面
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