特開 2023-164045 残渣物の回収コンベヤ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023164045

(43)【公開日】2023-11-10

(54)【発明の名称】残渣物の回収コンベヤ

(51)【国際特許分類】

   B65G 45/26 20060101AFI20231102BHJP

   B65G 15/16 20060101ALI20231102BHJP

【ＦＩ】

B65G45/26 A

B65G15/16

【審査請求】未請求

【請求項の数】1

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022075349

(22)【出願日】2022-04-28

(71)【出願人】

【識別番号】504385982

【氏名又は名称】株式会社ＪＲＣ

(74)【代理人】

【識別番号】100077470

【弁理士】

【氏名又は名称】玉利 冨二郎

(72)【発明者】

【氏名】近藤 實

【テーマコード（参考）】

3F023

【Ｆターム（参考）】

3F023AA01

3F023BA02

3F023BB06

3F023BC01

3F023BC04

3F023EA01

(57)【要約】

【課題】回収した残渣物を広範囲にかつ高く積み上げて回収する方式の残渣物の回収コンベヤを提供する。
【解決手段】荷受け水平部１、垂直部２、払い出し水平部３とで構成した主回収ベルトコンベヤ４と、主回収ベルトコンベヤ４の往行側上面に重なって荷受け残渣物を挟持する押さえ込み水平部５、垂直部２とで残渣物を挟持して下送する垂直部６、払い出し水平部３の上側に向かう押さえ込み部７とで構成した副回収ベルトコンベヤ８と、両垂直部２、６の下部の外側で可逆旋回する旋回台Ｂを設け、旋回台Ｂに先端側に払い出し水平部３を支持し俯仰揺動する揺動フレーム１０の末端を支持し、垂直部２、６の上下にベルトのネジレを阻止するローラ３８を設けた残渣物の回収コンベヤ。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

テール部分の往行側が回収残渣物の荷受け水平部となり、この荷受け水平部から連なって上記残渣物を片面側で荷受け挟持して下送するように設けた垂直部と、この垂直部から連なって前方に突出すると共に、その突出上面に上記残渣物を荷受けして搬出するように設けた払い出し水平部とで構成した主回収ベルトコンベヤと、この主回収ベルトコンベヤのテール部分の往行側上面に重なって荷受け残渣物を挟持するように設けた押さえ込み水平部と、この押さえ込み水平部から連なって上向きに向かうと共に、上記主回収ベルトコンベヤの上記垂直部とで上記回収残渣物を挟持して下送するように設けた垂直部と、この垂直部から連なって前方に突出して上記主回収ベルトコンベヤの払い出し水平部の上側に向かう押さえ込み部とで構成した副回収ベルトコンベヤとからなり、上記両垂直部の下部の外側に可逆旋回手段により平面上で可逆回動する旋回台を設け、この旋回台に上記主回収ベルトコンベヤの前記払い出し水平部を支持する揺動フレームの末端を俯仰揺動するように支持すると共に、上記揺動フレームの俯仰作用手段を設け、また、主回収ベルトコンベヤ及び副回収ベルトコンベヤの垂直部の上下にベルトのネジレを阻止するローラを設けたことを特徴とする残渣物の回収コンベヤ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は、上層階から下層階（地下を含む）の、ある角度の範囲を、主に残渣物を連続的に、そしてある限られたポイントに残渣物を回収するベルトコンベヤに関する。

【背景技術】

【0002】

ベルトコンベヤ設備において、搬送物を排出した後にも帰りベルト側に付着し、各種のクリーナ装置で除去してもなお付着、かつ除去した残渣物のあと処理問題が、操業に与える影響として設備管理者の長年の懸念であり、悲願でもあった。

【0003】

特に、帰り側ベルト（リターンベルト）に付着した残渣物が、リターン側のプーリやローラ部に接触して下方に落下することによる清掃作業あるいは高価な原料や製品が無駄になるロスを少しでも無くすことへの日々の労力と費用は莫大なものと推察される。

【0004】

そして、地上に落下して無駄になる前にこれらを少しでも回収して所定の位置に戻す努力は、過去にも種々考えられ取り組まれてきたが（例えば、特許文献１，２，３参照）、設備のおかれている現状からもスペースの上からも、回収することが困難な場合が多く効率よく回収できる方法が少なかった。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】実用新案登録第３１９５６５３号公報

【特許文献2】特許第６９７８０３１号公報

【特許文献3】特開２００１－３１２３２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

ところで、特許文献１、２及び３の方式によると、二条の平行するキャリヤ側ベルトで挟持する搬送物を上送しながら、次の二次搬送ベルトコンベヤ上に荷受けして搬出する方式であり、また、いずれも上送方式で、下方に搬送する下送方式は未だ出現されていない。

【0007】

そこで、この発明は、上層から下層階（地下階を含む）に回収した残渣物を搬出すると共に、下層階に回収した残渣物を移送して下層階に払い出し、そして、この払い出した残渣物を積み上げて止め置き、或いは止め置いたのち払い出すようにしたものである。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上述の課題を解決するために、この発明は、テール部分の往行側が回収残渣物の荷受け水平部となり、この荷受け水平部から連なって上記残渣物を片面側で荷受け挟持して下送するように設けた垂直部と、この垂直部から連なって前方に突出すると共に、その突出上面に上記残渣物を荷受けして搬出するように設けた払い出し水平部とで構成した主回収ベルトコンベヤと、この主回収ベルトコンベヤのテール部分の往行側上面に重なって荷受け残渣物を挟持するように設けた押さえ込み水平部と、この押さえ込み水平部から連なって上向きに向かうと共に、上記主回収ベルトコンベヤの上記垂直部とで上記回収残渣物を挟持して下送するように設けた垂直部と、この垂直部から連なって前方に突出して上記主回収ベルトコンベヤの払い出し水平部の上側に向かう押さえ込み部とで構成した副回収ベルトコンベヤとからなり、上記両垂直部の下部の外側に可逆旋回手段により平面上で可逆回動する旋回台を設け、この旋回台に上記主回収ベルトコンベヤの前記払い出し水平部を支持する揺動フレームの末端を俯仰揺動するように支持すると共に、上記揺動フレームの俯仰作用手段を設け、また、主回収ベルトコンベヤ及び副回収ベルトコンベヤの垂直部の上下にベルトのネジレを阻止するローラを設けた構成を採用する。

【発明の効果】

【0009】

以上のように、この発明によれば、主回収ベルトコンベヤと副回収ベルトコンベヤとで回収残渣物を挟持しつつ下送しながら、主回収ベルトコンベヤの払い出し水平部のヘッドプーリの部分で集積地（場所）に払い出し、回収残渣物は、集積地で山状に積み上がっていく。

【0010】

回収残渣物の山状の積み上がりが高くなって、山状の頂部にヘッドプーリが近づき、かつ埋没するおそれがあると、作用手段によりヘッドプーリに上昇するように揺動フレームを俯仰揺動させることで、揺動フレームのヘッドプーリ側が埋没するのを阻止し、この埋没防止を繰り返すことで回収残渣物の搬出作業を連続して行うことができる。

【0011】

なお、回収する残渣物の山形積み上がりが最大になると、積み上がった残渣物を人手や機械などを用いて取り除くことで、払い出し側ヘッドプーリの埋没防止ができ、連続回収作業が可能になり、残渣物の回収作業が長時間極めてスムーズに、かつ能率よく行うことができる。

【0012】

また、旋回台を旋回させてヘッドプーリの払い出し水平部を平面上で旋回させることにより、回収残渣物の落下排出点（場所）が左右に大きく分散させることができるので、払い出し点が一箇所（一点）に限定されることなく、左右方向に広くなって分散することができる。

【0013】

このため、残渣物の回収払い出し点が広くなることで撤去作業性よくなって大幅な作業能率の向上をはかるすぐれた効果がある。

【0014】

また、揺動フレームの俯仰揺動による払い出し側ヘッドプーリの埋没防止と、旋回台の旋回によるヘッドプーリの払い出し水平部の左右横方向への移動を併用したり順次行うことで、作業能率の更なる向上をはかることが可能になる。

【0015】

そして、主回収ベルトコンベヤ及び副回収ベルトコンベヤの回収ベルトによる残渣物の挟持ベルトは、両コンベヤの各垂直部の上下に設けられたベルトのネジレを阻止するローラにより下送走行が安定し、かつ旋回台を旋回させた時も両コンベヤのベルトの各垂直部による挟持残渣物の安定した挟持走行が保障されて安定走行が続行されているので、挟む残渣物の落荷が少なく、安定した下送ができる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】この発明の実施形態を示す側面図である。

【図2】下送搬送の上部を示す拡大側面図である。

【図3】同上の平面図である。

【図4】下送搬送の下部を示す拡大側面図である。

【図5】残渣物の払い出し部分を示す側面図である。

【図6】残渣物の払い出し旋回部分を示す拡大平面図である。

【図7】同上を旋回させた平面図である。

【図8】ベルトを緊張させる部分を示す拡大側面図である。

【図9】下送ベルトを示す側面図である。

【図10】図９のＸ－Ｘ線に沿う断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

次に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図１から図７に示すように、テール部分の往行側が回収残渣物の荷受け水平部１となり、この荷受け水平部１から連なって残渣物を片面側で荷受け挟持して下送するように設けた垂直部２と、この垂直部２から連なって前方に突出して突出上面に残渣物を荷受けして搬送するように設けた払い出し水平部３とで構成した主回収ベルトコンベヤ４と、この主回収ベルトコンベヤ４のテール部分の往行側上面に重なって荷受け残渣物を挟持する押さえ込み水平部５と、この押さえ込み水平部５から連なって下向きに向かうと共に、上記主回収ベルトコンベヤ４の垂直部２とで回収残渣物を挟持して下送するように設けた垂直部６と、この垂直部６から連なって前方に突出して上記主回収ベルトコンベヤ４の払い出し水平部３の上側に向かう押さえ込み部７とで構成した副回収ベルトコンベヤ８とからなり、また、上記主回収ベルトコンベヤ４の払い出し水平部３のヘッドプーリ９の軸承先端とヘッドプーリ９の手前側迄揺動フレーム１０が別形成されて、この揺動フレーム１０のヘッドプーリ９の反対側末端が柱材１１に支軸１２を介し前記揺動フレーム１０の先端（ヘッドプーリ９の反対側）が俯仰揺動するようになっている。

【0018】

また、上記の揺動フレーム１０は、上記支軸１２を支点として作用手段Ａの作用によって俯仰揺動するようになっている。

【0019】

上記の作用手段Ａとしては、図示の場合、ワイヤ１３の巻き取り巻き戻し機１４で、ワイヤ１３を巻き取り、巻き戻して揺動フレーム１０が作用するようになっているが、限定されず、その他の手段で揺動フレーム１０を俯仰させるてもよい。

【0020】

なお、ヘッドプーリ９は、揺動フレーム１０のヘッドプーリ９側に設けた支持ベース１５にモーター１６を据え付けて、このモーター１６とヘッドプーリ９のスプロケット１７にチェーン１８をかけ渡してドライブするようになっているが、伝達方式はこれに限定されない。

【0021】

また、両垂直部２、６の下部外側には、平面上で可逆回動する旋回台Ｂが設けてある。
上記の旋回台Ｂは、図示の場合、平面四角形の上枠１９及び下枠２０と、この上下の上枠１９及び下枠２０の各上下のコーナー同士を連結する柱材２１とで形成され、この旋回台Ｂの下部内に定置式で旋回台Ｂの旋回を阻害しない水平な梁材２２上に環状のレール２３を設けて、このレール２３に旋回台Ｂの点在位置に配置した車輪２４を係合することで、旋回台Ｂが旋回するようになっている。

【0022】

そして、旋回台Ｂの可逆旋回手段Ｃとして、旋回台Ｂに載置したモーター２５から回動伝達手段２６で車輪２４をドライブすることで、旋回台Ｂがある範囲内で可逆回転するようになっている。

【0023】

すると、ヘッドプーリ９から払い出された回収残渣物が地下階のピットＤや、ピットＤの床面上に払い出されて山状に積み上がる。

【0024】

上記山状に積み上がった山積み高さは、作用手段Ａの作用により揺動フレーム１０のヘッドプーリ９側を昇降させることで調整する。

【0025】

すなわち、ヘッドプーリ９が回収残渣物に埋没するおそれがあると、作用手段Ａによりヘッドプーリ９が上昇するように調整すればよい。

【0026】

なお、ピットＤ内に払い出された残渣物は、ベルトコンベヤＥで所定位置（場所）に搬出する。

【0027】

また、旋回台Ｂの柱材２１に揺動フレーム１０を支持させて、旋回台Ｂの旋回にともない揺動フレーム１０が共に旋回するので、この揺動フレーム１０のヘッドプーリ９が共に旋回することで、ヘッドプーリ９の位置が大きく左方向、右方向に旋回して、ヘッドプーリ９側からの残渣物の払い出し点が大きく変位し、その結果、払い出し点の大きな変位にともない払い出し位置を大きく変位させて集積場所が大きく、かつ広くなる特有な効果がある。

【0028】

なお、図１及び図４に示すように、主回収ベルトコンベヤ４及び副回収ベルトコンベヤ８の上下の垂直部２、６のベルトの内面を支持材３９に支持したローラ３８で挟み込んで走行をガイドすることで、垂直部２、６のベルトのねじれを阻止して、ベルトの安定した走行を保障することができる。

【0029】

そして、この上下のローラ３８は旋回台Ｂの旋回に伴い主回収ベルトコンベヤ４と副回収ベルトコンベヤ８の各垂直部２、６が上下でねじれても、両垂直部２、６の挟み込みを保障する効果もある

【0030】

また、この発明の搬送手段は、並列ベルトの挟持搬送方式で行うので、階上から階下に搬送する場合など、数台のコンベヤをコンベヤの許容傾斜角でジグザグに迂回しながら乗り継いでいる従来の搬送方式のように多くのエリアを占有しながら搬送するのに比べて、格段に占有面積が少なくて済む特有の効果がある。

【0031】

図中４０は、主回収ベルトコンベヤ４及び副回収ベルトコンベヤ８のベルトの走行ガイドローラ、４１は主回収ベルトコンベヤ４及び副回収ベルトコンベヤ８のベルトの緊張手段で、この緊張手段４１は公知につき詳細な説明を省略する。

【0032】

図中４２は、主回収ベルトコンベヤ４及び副回収ベルトコンベヤ８の各ベルト表面に設けた回収残渣物のスベリ止め突条である。

【符号の説明】

【0033】

１ 荷受け水平部
２ 垂直部
３ 払い出し水平部
４ 主回収ベルトコンベヤ
５ 押さえ込み水平部
６ 垂直部
７ 押さえ込み部
８ 副回収ベルトコンベヤ
９ ヘッドプーリ
１０ 揺動フレーム
１１ 柱材
１２ 支軸
１３ ワイヤ
１４ 巻き取り巻き戻し機
１５ 支持ベース
１６ モーター
１７ スプロケット
１８ チェーン
１９ 上枠
２０ 下枠
２１ 柱材
２２ 梁材
２３ レール
２４ 車輪
２５ モーター
２６ 回転伝達手段
３８ ローラ
３９ 支持部材
Ａ 作用手段
Ｂ 旋回台
Ｃ 可逆旋回手段
Ｄ ピット
Ｅ ベルトコンベヤ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】