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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164062
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】丁合装置管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/20 20060101AFI20231102BHJP
   B65H 39/042 20060101ALI20231102BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65H7/20
B65H39/042
B65H1/26 314E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075370
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【テーマコード(参考)】
3F048
3F050
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA10
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB05
3F048BD07
3F048CA02
3F048CA03
3F048CA05
3F048CC03
3F048DA04
3F048DC12
3F048EB02
3F050CB05
3F050CB06
3F050CF01
3F050LB01
3F343FA01
3F343FC27
3F343FC30
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343HB01
3F343KB05
3F343LA04
3F343MA03
3F343MA13
3F343MA14
3F343MB04
3F343MB13
3F343MB14
3F343MC28
(57)【要約】
【課題】丁合装置が保守管理者による対応を行うべき状態であることを見落とすことを抑制できる丁合装置管理システムを提供する。
【解決手段】
複数の給送部のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を行う丁合機と、通信ネットワークであるインターネット回線を介して丁合機の通信手段と通信し、丁合機に関する装置情報の送受信が可能な外部情報処理手段である管理サーバと、を備え、管理サーバが受信した装置情報が所定の条件であるアラート出力条件を満たした場合に、管理注意情報であるアラートを報知する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給送部のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を行う丁合装置と、
通信ネットワークを介して前記丁合装置の通信手段と通信し、前記丁合装置に関する装置情報の送受信が可能な前記外部情報処理手段と、を備え、
前記外部情報処理手段が受信した前記装置情報が所定の条件を満たした場合に、管理注意情報を報知することを特徴とする丁合装置管理システム。
【請求項2】
請求項1の丁合装置管理システムにおいて、
前記丁合装置での前記シート材が通過するシート材通過経路を形成する通過経路形成部材についての前記管理注意情報を報知する前記所定の条件が前記シート材通過経路での前記シート材の通過回数と、前記シート材通過経路での搬送不良に係るエラー情報との組合せによって設定されることを特徴とする丁合装置管理システム。
【請求項3】
請求項1の丁合装置管理システムにおいて、
前記丁合装置での前記シート材が通過するシート材通過経路を形成する通過経路形成部材についての前記管理注意情報を報知する前記所定の条件が、前記シート材通過経路での前記シート材の通過回数と、前記シート材の物性値に関する情報との組合せによって設定されることを特徴とする丁合装置管理システム。
【請求項4】
請求項1の丁合装置管理システムにおいて、
前記丁合装置の部材の消耗度に関する装置情報に基づいて前記管理注意情報を報知する前記所定の条件を設定することを特徴とする丁合装置管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の丁合装置管理システムにおいて、
前記外部情報処理手段と通信可能な前記丁合装置は複数存在し、
前記装置情報は前記丁合装置毎に対応づけて前記外部情報処理手段に記憶されており、前記管理注意情報は前記丁合装置毎に報知することを特徴とする丁合装置管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁合装置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の給送装置のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合装置が知られている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-048218号公報
【特許文献2】特開2015-193474号公報
【特許文献3】特開2016-026973号公報
【特許文献4】特開2017-178530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の丁合装置を管理するシステムとして、本出願人は、特願2021-209129号において、インターネット回線を介して、丁合装置の稼働情報やエラー情報を外部情報処理手段に送信する丁合装置管理システムを提案している。この丁合装置管理システムでは、外部情報処理手段にアクセス可能な保守管理者が、丁合装置のエラー発生時の迅速な対応、エラー発生前の予防対応、消耗品が消耗し切る前の交換対応が可能となる。
しかしながら、保守管理者が丁合装置から送出されるエラー情報や稼働情報の全てを確認し、各種対応を行うか否かを判断することは困難である。そして、エラー情報や稼働情報の確認し損ないがあると、保守管理者による対応を行うべき状態であることを見落としてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の給送部のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を行う丁合装置と、通信ネットワークを介して前記丁合装置の通信手段と通信し、前記丁合装置に関する装置情報の送受信が可能な前記外部情報処理手段と、を備え、前記外部情報処理手段が受信した前記装置情報が所定の条件を満たした場合に、管理注意情報を報知することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、丁合装置が保守管理者による対応を行うべき状態であることを見落とすことを抑制できる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る丁合機の外観を表す斜視図。
図2】丁合機の内部構造を正面側からみた模式図。
図3】給紙装置の背面図。
図4】給紙装置の正面図。
図5】給紙装置の平面図。
図6】給紙装置の左側面図。
図7】丁合機の制御部を中心とする電気的構成を示すブロック図。
図8】丁合機管理システムの全体構成を示す説明図。
図9】丁合機管理システムでアラートを出力するときのフローの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0009】
以下、本発明に係る丁合装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る丁合機10の外観を表す斜視図であり、図2は、丁合機10の内部構造を正面側からみた模式図である。丁合機10は、筐体9の左右に十段ずつの棚が設けられている。左側の棚には第一~第十の給紙トレイ14(14A~14J)と、第一~第十の給紙機構18(18A~18J)とを備える第一~第十の給紙装置1(1A~1J)が設置されている(便宜的に、「1A」~「1I」及び「18A」~「18I」の符号の図示は省略している)。右側の棚には第十一~第二十の給紙トレイ14(14K~14U)と、第十一~第二十の給紙機構18(18K~18U)とを備える第十一~第二十の給紙装置1(1K~1U)が設置されている(便宜的に、「1L」~「1U」及び「18L」~「18U」の符号の図示は省略している)。左側の最下段の第一給紙トレイ14Aの下方には、折用給紙トレイ14Xと折用給紙機構18Xとを備える折用給紙装置1Xが設置されている。給紙装置1(1A~1X)とこれを構成する給紙トレイ14(14A~14X)及び給紙機構18(18A~18X)は、筐体9への取り付け位置や取り付け方向、大きさ、形状が異なるが、同様の構造を有する。以下の説明においてこれらを特に区別しない場合には、それぞれ「給紙装置1」、「給紙トレイ14」及び「給紙機構18」と総称する。
【0010】
給紙トレイ14及び給紙機構18を備える給紙装置1は、筐体9に取り外し可能に装着されている。具体的には、給紙装置1は、ユーザーによって図示しないロック機構が解除されると、筐体9との係合が解除され、筐体9から取り外すことができるよう構成されている。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。
筐体9の左側面の正面側には、丁合動作を開始させるスタートキー152や丁合動作を停止させるストップキー154が配置されたサブ操作パネル5が設けられている。
【0011】
筐体9の正面にはメイン操作パネル16を備えるタブレット端末4が、丁合機10の装置本体を構成する筐体9に対して着脱可能に設けられている。メイン操作パネル16はタッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、ユーザーが丁合処理のための所定の操作入力を行うことができる。タブレット端末4を筐体9に装着している状態では、USB等の有線接続端子によって有線で接続し、後述する本体制御部50とタブレット制御部6とが有線回線で通信可能となる。一方、タブレット端末4を筐体9から取り外している状態では、Wifi(登録商標)等の無線通信回線によって後述する本体制御部50とタブレット制御部6とが通信可能となる。メイン操作パネル16等の主操作部としては装置本体に着脱可能な構成に限らず、筐体9に固定されたものでも良いし、装置本体に対して装着できず、分離した状態で使用するものでもよい。
【0012】
給紙装置1は、それぞれが備える給紙機構18に対応するように給紙操作パネル20を備える。給紙操作パネル20には、ユーザーが給紙処理のための所定の操作入力を行うための複数の操作ボタンが設けられている。その詳細については後述する。
【0013】
図2に示すように、丁合機10は、サブ搬送機構22及びメイン搬送機構24をさらに備える。サブ搬送機構22は各棚の給紙機構18に対応するように設けられる。給紙機構18は、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙を一枚ずつサブ搬送機構22の搬送路に送り出す。サブ搬送機構22は、給紙機構18から送り出された用紙をメイン搬送機構24に送り込む。メイン搬送機構24は、筐体9内に上下方向に延在するように設けられる。メイン搬送機構24は、各サブ搬送機構22から送り込まれた用紙を、単独で、または複数枚を重ね合わせて丁合束を作成しながら下方へ搬送する。
【0014】
丁合機10は、折用紙搬送プレート26、折用紙載置プレート28、折用紙ストッパ30、折ナイフ32、及び一対のローラからなる折ローラ対34をさらに有する。折用給紙トレイ14Xには、メイン搬送機構24により搬送される丁合束を内側に挟むように二つ折りされる用紙(以下、「折用紙」という)が積載される。折用給紙機構18Xは、折用給紙トレイ14Xに積載された折用紙束の最上位の折用紙を一枚ずつ折用紙搬送プレート26に送り出す。
【0015】
折用紙搬送プレート26は、折用紙搬送方向下流側(図2中の右側)の端部がメイン搬送機構24の下端に対してわずかに折用紙搬送方向上流側(図2中の左側)に位置するよう配置される。折用紙載置プレート28は、二枚のプレートが間隔を開けて上下で重なるように設けられている。折用紙載置プレート28は、折用紙搬送方向上流側(図2中の左側)の端部が、メイン搬送機構24の下端に対してわずかに折用紙搬送方向下流側(図2中の右側)に位置するよう配置される。折用紙ストッパ30は、折用紙載置プレート28内に導かれた折用紙の先端が当接するように配置される。折用紙ストッパ30は、モータなどのアクチュエータを作動させることにより、折用紙載置プレート28に沿って折用紙搬送方向の上流側(図2中の左側)及び下流側(図2中の右側)に移動可能に構成されている。
【0016】
丁合機10には、本体制御部50が設けられている。本体制御部50は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、及びデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、丁合機10の内部に設けられたアクチュエータの作動などを制御する。ユーザーは、メイン操作パネル16または給紙操作パネル20にて各種の設定入力を行うことが可能となっている。本体制御部50は、こうしてユーザーに入力された情報を取得し、取得した情報に応じて丁合機10の作動を制御する。
【0017】
丁合機10は、さらにベルト搬送機構36、排出ローラ対38及びスタッカトレイ40を有する。折用給紙トレイ14Xに積載された折用紙に丁合束を挟むようにして丁合する場合、まず折用給紙トレイ14Xから折用紙載置プレート28に向けて折用紙が搬送され、折用紙ストッパ30に突き当たって停止する。メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された丁合束は、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙に先端が突き当たる。本体制御部50は、このタイミングで折ナイフ32を回動させて、その先端を折用紙載置プレート28上で停止した折用紙に突き当て、折ローラ対34に向けて押し付ける。こうして丁合束は、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙とともに折ローラ対34によって挟持され、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙が丁合束を挟むように折りたたまれ、折紙付きの丁合束を形成し、ベルト搬送機構36に搬送される。
【0018】
ベルト搬送機構36は、さらに下流に丁合束を搬送する。排出ローラ対38は、搬送された丁合束をスタッカトレイ40に排出する。スタッカトレイ40は、筐体9に対して着脱可能に取り付けられており、作成された丁合束が積載され蓄積される。なお、上述のように折用紙に丁合束を挟まない場合には、折用給紙トレイ14Xから折用紙は供給されず、メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された丁合束は、そのまま折ローラ対34によって挟持されてベルト搬送機構36に搬送される。
【0019】
本体制御部50は、ユーザーがメイン操作パネル16を介して指定した部数(以下、「丁合設定部数」ともいう)にしたがって用紙の丁合処理を実行する。また、本体制御部50は、丁合処理に先立って給紙機構18によるサバキ圧を適正に調整するための初期調整処理を実行させる信号を給紙装置1に送信したり、丁合処理中においてはサバキ圧を適宜再調整する追加調整処理を実行させる信号を給紙装置1に送信したりできる。
【0020】
次に、サバキ圧調整機構を含む給紙機構18を備える給紙装置1の構成及び動作について説明する。
図3図6は、給紙装置1とサブ搬送機構22とを示す説明図である。図3は、図1及び図2に示す左側の棚に設置される給紙装置1の背面図であり、図4は左側の棚に設置される給紙装置1の正面図である。さらに、図5は当該給紙装置1の平面図であり、図6は当該給紙装置1の左側面図である。ただし、各図においては説明の便宜上、一部の構造の図示を適宜省略している。例えば、図5及び図6では、給紙装置1の一部であって給紙機構18からサブ搬送機構22の位置まで延在するガイド板41の図示を省略している。
【0021】
給紙トレイ14は「載置部」として機能し、ユーザーによりセットされる用紙束が積載される。給紙トレイ14が斜めに傾斜するように設置されるため、給紙トレイ14上の用紙束は、上位の用紙ほど前方(給紙方向下流側)にずれて位置するよう斜めに捌いた状態で積載される。図3図6は、用紙束がセットされる前の状態の給紙装置1を示している。
【0022】
給紙トレイ14の給送方向下流側には、ガイド板41及び給紙機構18が設けられている。ガイド板41は、サブ搬送機構22が設けられる横搬送路を構成し、給紙機構18によって送り出される用紙を下方から支持し、メイン搬送機構24に向けてガイドする。ガイド板41は、その両サイドに設けられ、給紙装置1の筐体を構成する一対のフレーム(図示せず)によって支持されている。ガイド板41は、給紙方向下流側(図4中の右側)の端部であって、幅方向(図4の手前奥方向、図4の紙面に直交する方向)においてサブ搬送機構22のローラ部材(68、70)等が位置する部分に切り欠きが設けてある。この切り欠きによって、給紙装置1側のガイド板41と丁合機10の装置本体側のサブ搬送機構22とが互いに干渉することなく給紙装置1を筐体9に装着することができる。
【0023】
給紙機構18は、給紙ローラ42、補助給紙ローラ44、サバキ板46等を含む。給紙ローラ42及び補助給紙ローラ44は、各々の軸がブラケット48により支持されている。給紙ローラ42は、図示しないモータ(後述の給紙モータ77)により回転駆動される駆動ローラであり、用紙束の最上面に圧接して回転し、最上位の用紙を送り出す。補助給紙ローラ44は、給紙ローラ42とタイミングベルト52を介して接続される従動ローラであり、用紙束の最上面に当接して回転する。ブラケット48が給紙ローラ42と同軸状の支点軸(図示せず)に回動可能に支持されているため、補助給紙ローラ44の高さ位置が用紙束の枚数に応じた位置に適宜調整される。
【0024】
サバキ板46は、「サバキ部材」として機能し、用紙束の最上位から二枚目以降の用紙が一枚目と同時に送り出されたときは、一枚ずつに分離するサバキ機構を構成する。サバキ板46は、給紙ローラ42の下方に対向配置され、給紙ローラ42との間に用紙を挟む給紙ニップを形成する。サバキ板46は、例えばウレタンゴムにて形成された板状の部材である。サバキ板46の下方には、給紙ローラ42に対して接離する方向のサバキ板46の位置を調整することで、サバキ板46と給紙ローラ42との間に生じる圧力をサバキ圧として調整するサバキ圧調整機構54が設けられている。サバキ圧調整機構54は、上述した一対のフレームに固定された収容部材55に収容されている。
【0025】
このような構成により、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙が補助給紙ローラ44によって給紙ローラ42とサバキ板46との間に送り込まれると、給紙ローラ42がその用紙をさらに下流側に送り出す。この用紙は、給紙ローラ42とサバキ板46との間に適度な圧力にて挟持されつつ送り出される。このとき、給紙ローラ42と用紙との摩擦力とサバキ板46と用紙との摩擦力との差異により、最上位から二枚目以降の用紙の送り出しが防止される。それにより、最上位の一枚の用紙のみが給紙ローラ42とサバキ板46との間を抜けて送り出されるようになる。
【0026】
収容部材55内におけるサバキ板46に対して給紙方向のやや下流側には、タイミングセンサ56が設けられている。タイミングセンサ56は反射型の光センサであり、サバキ圧の低下によって最上位から二枚目以降の用紙が給紙機構18の下流側近傍に滞留した場合にこれを検知するためのものである。
【0027】
図3及び図4に示すように、給紙機構18に対して給紙方向下流側に隣接するように重送検知機構60が設けられている。重送検知機構60は、基準ローラ62及び変位ローラ64を有する。変位ローラ64は、「測定ローラ」として機能し、基準ローラ62に対して上方から当接する。基準ローラ62の軸は、その両端が上述した一対のフレームに固定されている。一方、変位ローラ64の軸は、レバー部材65の一端側に固定されている。レバー部材65の他端側がフレームに設けられた図示しない支点軸に回動可能に支持されているため、変位ローラ64は、基準ローラ62に対して相対変位可能となっている。レバー部材65の一端部(上部)には検知面67(上面)が設けられており、フレームにはその検知面67の変位を検出する変位センサ69が設けられている。
【0028】
基準ローラ62の下方には転動ローラ66が設けられている。重送検知機構60の下流側には、サブ搬送機構22を構成する一対の搬送ローラとして、搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とが上下に設けられている。搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とは互いに当接可能であり、転動ローラ66は搬送下ローラ70及び基準ローラ62のそれぞれに当接する。搬送上ローラ68及び搬送下ローラ70は、図示しないモータ(後述する搬送モータ)により駆動される。搬送下ローラ70の駆動力は、転動ローラ66を介して基準ローラ62に伝達される。
【0029】
このような構成により、用紙が基準ローラ62と変位ローラ64との間を通過すると、その用紙の厚み分だけ変位ローラ64の軸位置が上昇する。変位センサ69は、このときの検知面67の上昇量を検出する。レバー部材65が図示しない引きばねにより付勢されているため、用紙が通過していない間はその引きばねの付勢力により、変位ローラ64が基準ローラ62に圧接している。この変位センサ69の検出情報に基づき、用紙の重送が発生したか否かを判定することができる。
【0030】
図3及び図4に示すように、サバキ圧調整機構54は、サバキ板46を支持するサバキベース72と、サバキベース72の下方に設けられた傾斜部材74と、傾斜部材74を給紙ローラ42の回転軸に平行な方向に変位させるリンク機構76と、リンク機構76を駆動するアクチュエータとしての調整モータ78とを含む。本実施形態では、調整モータ78としてDCブラシレスモータを採用しているが、ステッピングモータ等の他のモータであってもよい。サバキベース72は、給紙ローラ42の回転軸に直交する方向に延在する本体を有し、その本体の一端部が回動軸80に回動可能に支持されている。回動軸80は、給紙ローラ42の回転軸と平行に設けられ、収容部材55に固定されている。サバキベース72の本体の他端側の約半分の上面にサバキ板46が嵌着されている。
【0031】
サバキベース72の下面には、球82がその下半部を露出させる態様で埋め込まれて固定されている。そして、球82の下方に傾斜部材74が設けられている。傾斜部材74は、回動軸80と平行な方向に対して傾斜する傾斜面84を有し(図6参照)、その傾斜面84に沿って球82を滑動させることができる。球82とサバキベース72との位置関係は変化しないため、球82が傾斜面84に沿って上下に移動することで、サバキベース72が回動軸80を中心に回動する。それにより、サバキ板46の高さ位置を変化させることができる。すなわち、サバキベース72、球82及び傾斜部材74が、サバキ板46の高さ位置を変化させる「昇降機構」を構成し、また、サバキ板46による給紙ローラ42に対する押圧力を作用させる「加圧機構」を構成する。また、リンク機構76と傾斜部材74との連結構造が、リンク機構76の変位に応じてリンク機構76とその加圧機構とを作動連携させる「連携機構」を構成する。
【0032】
また、図4に示すように、搬送下ローラ70と横並びにジャムセンサ58が設けられている。ジャムセンサ58は反射型の光センサであり、給紙処理において紙詰まりが発生した場合にこれを検出するものであるが、サバキ圧の低下を判定する際にタイミングセンサ56とともに用いられる「用紙センサ」としても機能する。
【0033】
図5及び図6に示すように、収容部材55の一方(背面側)の側部にはモータ収容ハウジング86が設けられ、調整モータ78が収容されている。収容部材55の他方(正面側)の側部には制御部収容ハウジング88が設けられ、給紙操作パネル20の入出力の制御や給紙装置1が備える各種モータの制御を行う給紙制御部3が収容されている。
【0034】
給紙操作パネル20には、対応する棚の番号等を表示させる表示部162のほか、対応する棚の使用・不使用を切り替えるときに押下される単/停ボタン164、サバキ圧の初期調整処理を実行する際に押下される初期調整ボタン166、連段設定を行う際に押下される連段設定ボタン168が設けられている。さらに、給紙操作パネル20には、対応する給紙機構18での給紙タイミングを早めるタイミング早めボタン170、給紙タイミングを遅らせるタイミング遅めボタン172が設けられている。また、給紙操作パネル20には、紙詰まり等のときに給紙モータを正転させる正転ボタン174、紙詰まり等のときに給紙モータを逆転させる逆転ボタン176、テスト給紙を行うときに押下されるテスト給紙ボタン178等が設けられている。
【0035】
サバキ圧調整機構54の構成及び動作は、特許文献1に記載の構成等、公知のものと同様のものを用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0036】
図3乃至図6を用いて説明した給紙装置1は、連続丁合処理の前に、用紙の厚さに関するデータである厚さデータを予め取得し、この厚さデータに基づいて調整モータ78の回転量を制御し、連続丁合処理の前にサバキ圧を自動で調整するオートサバキ機能を備えたオートサバキユニットである。このオートサバキユニットでは、連続丁合処理の前の初期調整処理で準備給紙動作を実行する。この準備給紙動作のときの変位センサ69の検出値に基づいて連続丁合処理で給紙する予定の用紙の厚さデータを算出する。そして、その厚さデータに対応した戻し量を算出し、サバキ板46の高さを適正に調整する。給紙制御部3は、変位センサ69により検出される用紙の厚さデータと、調整モータ78の回転量との関係を対応づけたテーブルを保持し、サバキ調整工程においてそれらを参照する。このオートサバキユニットでは、準備給紙動作によって取得した厚さデータは、連続丁合処理における給紙動作での重送検知に用いる。
このように、オートサバキ機能を備えた給紙装置1は、準備給紙動作によってシート準備情報として厚みデータを取得する。
【0037】
給紙装置1としては、上述したオートサバキ機能を備えたものに限らない。例えば、調整モータ78等のサバキ圧を自動で調整するための駆動源を備えず、サバキ圧調整機構を手動で作動させる給紙装置1でもよい。この給紙装置1では、準備給紙動作で取得した厚さデータに基づいて、推奨するサバキ圧となる調整量を算出し、算出した調整量を表示部に表示して、算出した調整量でサバキ圧調整機構を調整するようにユーザーの操作を促すことができる。
【0038】
また、推奨するサバキ圧となる調整量を算出せず、連続丁合処理の前に実行する準備給紙動作で用紙に関する情報を取得する給紙装置1もある。例えば、準備給紙動作で厚さデータ等の重送検知に用いることができる重送検知データを取得し、重送検知データを、連続丁合処理における給紙動作での重送検知にのみ用いる給紙装置1がある。
重送検知データを取得する給紙装置1としては、上述した実施形態の重送検知機構60や特許文献2に記載された構成と同様に、用紙を複数の部材で挟んで用紙の厚さデータを取得し、取得した厚さデータに基づいて、重送か否かを判断する厚さデータの閾値を算出する厚み検出給紙装置を用いることができる。重送検知の構成としては、給送する用紙に光を照射し、用紙の枚数によって光の透過量が異なることを利用して重送を検知する光学式の重送検知や、給送する用紙に超音波を照射し、用紙の枚数によって受信部で受信する超音波の減衰率が異なることを利用して重送を検知する超音波式の重送検知を用いるものでも重送検知を判断する閾値を算出する。
【0039】
図7は、丁合機10の本体制御部50を中心とする電気的構成を示すブロック図である。
図7は、給紙装置1として、オートサバキ給紙装置1αと、厚み検知給紙装置1βとの二種類の給紙装置1を筐体9に装着した状態の丁合機10のブロック図である。図7では、便宜的に給紙装置1(1α、1β)を二つのみ図示しているが、丁合機10に装着された給紙装置1のすべての給紙制御部3と本体制御部50とが通信可能となっている。
【0040】
オートサバキ給紙装置1αの給紙制御部3は、リミットセンサS1、ホームセンサS2、上限センサS3、タイミングセンサ56、ジャムセンサ58及び変位センサ69からの検出信号が入力され、給紙操作パネル20での操作信号が入力される。リミットセンサS1、ホームセンサS2及び上限センサS3は、上述したオートサバキ機能でサバキ圧を自動で調整するときに用いるセンサである。オートサバキ給紙装置1αの給紙制御部3は、これらの検出信号や操作信号、及び、本体制御部50から入力される各種信号に基づいて、給紙制御やサバキ圧調整制御のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77や調整モータ78に制御指令信号を出力して、給紙操作パネル20の表示部162に表示指令信号を出力する。
【0041】
厚み検知給紙装置1βは、用紙を挟んで取得した厚さデータに基づいて重送を検知する機械式重送検知手段を備えた重送検知を行うオプション給紙装置である。厚み検知給紙装置1βは、オートサバキ給紙装置1αに対してサバキ圧を自動で調整する機能がない点で異なり、リミットセンサS1、ホームセンサS2、上限センサS3及び調整モータ78を備えていない。一方、タイミングセンサ56、ジャムセンサ58、変位センサ69、給紙操作パネル20及び給紙モータ77はオートサバキ給紙装置1αと同様のものを備える。そして、厚み検知給紙装置1βの給紙制御部3は、タイミングセンサ56、ジャムセンサ58及び変位センサ69からの検出信号が入力され、給紙操作パネル20での操作信号が入力される。また、厚み検知給紙装置1βの給紙制御部3は、これらの検出信号や操作信号、及び、本体制御部50から入力される各種信号に基づいて、給紙制御のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77に制御指令信号を出力して、給紙操作パネル20の表示部162に表示指令信号を出力する。
【0042】
オートサバキ給紙装置1αと厚み検知給紙装置1βとの給紙制御部3は、給紙記憶部31に記憶された給紙制御プログラムに基づいて、給紙装置1が備える各種センサ、駆動部、表示部を制御するとともに、本体制御部50との通信を行う。また、オートサバキ給紙装置1αと厚み検知給紙装置1βとでは、機能が異なるため、給紙記憶部31に記憶された給紙制御プログラムが異なる。
【0043】
本体制御部50には、サブ操作パネル5からの入力信号や、タブレット制御部6を介したメイン操作パネル16からの入力信号、給紙制御部3を介した給紙操作パネル20からの入力信号が入力され、さらに、スタッカトレイ40への用紙の排出を検出する排紙センサ180等からの検出信号が入力される。本体制御部50は、本体記憶部51に記憶された本体制御プログラムに基づいて、装置本体が備える各種センサ、駆動部、表示部を制御するとともに、給紙制御部3やタブレット制御部6との通信を行う。また、丁合機10の本体は、図7に示すように、本体補助記憶部59を備え、本体制御部50と通信可能となっている。本体補助記憶部59は、本体記憶部51と比較して容量は大きいが本体制御部50との通信速度は遅い記憶部であり、本体記憶部51がメインメモリに該当する記憶部であるのに対して、本体補助記憶部59はストレージに該当する記憶部である。本体補助記憶部59には、ユーザーが入力した丁合動作の設定等を保存することができる。
【0044】
サブ操作パネル5には、丁合処理を開始させるためのスタートキー152、丁合処理を停止させるためのストップキー154が設けられている。タブレット端末4のメイン操作パネル16を連続丁合処理の前に各種設定を行うことができるタッチパネルである。一方、給紙操作パネル20には、図6に示した各ボタンに対応する種々のスイッチが含まれる。ただし、厚み検知給紙装置1βの給紙操作パネル20は、図6の初期調整ボタン166と同様の外観のボタンを備える機能ボタンを備え、他のボタンと同時に押下されることで、所定の機能を果たす。
【0045】
本体制御部50及びそれぞれの給紙制御部3は、各種スイッチやボタン、センサからの入力に基づいて給紙制御、搬送制御、折り制御等のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77、調整モータ78、メインモータ182等に制御指令信号を出力する。メインモータ182は、サブ搬送機構22やメイン搬送機構24を構成する各搬送ローラ等に共用のモータである。また、タブレット制御部6は、丁合処理の設定画面、エラー報知等をメイン操作パネル16の液晶ディスプレイに表示させる。
【0046】
図7に示すように、タブレット端末4は、タブレット通信部8を備え、タブレット制御部6がインターネット回線200を介して管理サーバ203とデータ通信が可能となっている。タブレット制御部6は、タブレット記憶部47に記憶されたタブレット制御プログラムに基づいて、タブレット本体が備えるメイン操作パネル16の表示を制御するとともに、本体制御部50との通信や、インターネット回線200を介した管理サーバ203との通信を行う。
【0047】
丁合機10側が有する装置情報は、タブレット制御部6からタブレット通信部8に発信され、タブレット通信部8からWi-Fi回線を用いてWi-Fiルーター201に送信され、モデム202に送信される。モデム202はインターネット回線200を介して、管理サーバ203に丁合機10側が有する装置情報を送信し、管理サーバ203は必要に応じて受信した装置情報を記憶する。記憶された装置情報は、保守管理者のサービスマン等が確認できる。
【0048】
タブレット制御部6は、丁合機10の電源投入時やエラー発生時、電源OFFの操作時に、丁合機10の稼働情報やエラー情報等の装置情報を外部情報処理手段である管理サーバ203に送信可能となっている。管理サーバ203に送信する稼働情報としては、丁合に使用した給紙装置1の種類、位置、積載したシート材の種類や丁合機10の丁合動作の回数を示す累積カウンタ等が挙げられるが、これに限るものではない。
タブレット制御部6、本体制御部50及び給紙制御部3は、インターネット回線200等を介して管理サーバ203が有する丁合機10に関する情報(エラーの解消方法、故障の修理方法、制御プログラムの更新情報等)を取得でき、さらに、管理端末(90,91)からの入力情報を、インターネット回線200等を介してタブレット制御部6や本体制御部50、給紙制御部3に送信できる。管理サーバ203としては、管理者が所有するサーバ装置に限らず、公知のクラウドサービスプラットフォームを用いてもよい。
【0049】
本実施形態の丁合機10は、本体制御プログラムと、タブレット制御プログラムと、給紙制御プログラムといった制御プログラムについての更新プログラムを、インターネット回線200を介して管理サーバ203からダウンロードできる構成となっている。このように、制御プログラムの更新プログラムを、インターネット回線200等の通信ネットワークを介して管理サーバ203等の外部情報処理手段から取得できる構成であれば、サービスマンのユーザー先への訪問の回数を削減でき、手間と費用の削減を図ることができる。
【0050】
本実施形態の丁合機10は、制御プログラムに関する情報に限らず、丁合機10の過去の稼働情報やエラー情報等の装置情報を、インターネット回線200を介して管理サーバ203に送信できる。送信する稼働情報としては、累計の丁合回数である累計カウンタ、給紙装置1毎の給紙回数等を挙げることができる。また、筐体9の複数の棚のどの棚に、どのような給紙装置1(シリアル番号、種類等)が設置されているかという情報を送信してもよい。さらに、給紙装置1のサバキを交換してからの給紙回数、さらに、複数のサバキを選択可能な給紙装置1であればサバキ毎の給紙回数を管理サーバ203に送信する構成としてもよい。また、送信するエラー情報としては、丁合機10全体のエラーの発生回数、エラーの種類ごとの発生回数や、給紙装置1毎のエラーの発生回数、エラーの種類ごとの発生回数等を挙げることができる。これにより、保守管理者側が、エラー発生時の迅速な対応、エラー発生前の予防対応、消耗品が消耗し切る前の交換対応が可能となる。
【0051】
丁合機10が、広告印刷物のスポンサー名等の用紙の特性を示す用紙識別情報の入力及び記憶が可能な場合、連続的な丁合動作を行ったときに給紙装置1におけるサバキ条件(サバキ部材の種類及びサバキ圧)と、用紙識別情報とを紐付けて記憶することが好ましい。これにより、次回、同じ用紙識別情報の用紙を給紙するときに、記憶しているサバキ条件を呼び出して、そのサバキ条件を適用する、または、参照することで、サバキ条件の調整時間の短縮を図ることが可能となる。
そして、サバキ条件と用紙識別情報とを紐づけた情報を、丁合機10から管理サーバ203に送信して管理することで、他の場所に設置された丁合機10との間で、特定の用紙識別情報を有する用紙についてのサバキ条件の情報を共有することが可能となり、同じ丁合機管理システム100内の丁合機10同士で、互いにサバキ条件の調整時間の短縮を図ることが可能となる。
【0052】
図8は、本実施形態に係る丁合機管理システム100の全体構成を示す説明図である。
図8に示す丁合機管理システム100は、複数の丁合機10(10A~10D)と、外部情報処理手段である管理サーバ203と、管理端末として管理PC90及び管理携帯端末91とを備える。丁合機10の構成は図1乃至図7を用いて説明した構成と同様であり、丁合機10と管理サーバ203との間でデータ通信を可能とする構成は、図7を用いて説明した構成と同様であるがこれに限るものではない。また、図8に示す丁合機管理システム100では、便宜的に四台の丁合機10(10A~10D)が管理サーバ203と通信可能な構成を示しているが、管理サーバ203と通信可能な丁合機10の数としてはこれに限るものではなく、一台から三台でも良いし、五台以上の多数でもよい。
【0053】
管理サーバ203に保存されたそれぞれの丁合機10(10A~10D)の装置情報は、それぞれの丁合機10に対応付けて記憶される。そして、記憶された装置情報の内容は、専用のアプリケーションを用いて管理画面表示に用いる情報に加工され、管理端末(90、91)から管理画面表示として閲覧できる。保守管理者は、管理端末(90、91)を用いて管理サーバ203に記憶された装置情報を閲覧し、分析することで、エラー発生時の迅速な対応、エラー発生前の予防対応、消耗品が消耗し切る前の交換対応の保守管理が可能となる。
【0054】
しかし、適切な保守管理を行おうとすると、丁合機10から多くの装置情報を取得する必要があり、保守管理者が丁合機10から送出されるエラー情報や稼働情報の全てを確認し、各種対応を行うか否かを判断することは困難である。そして、エラー情報や稼働情報の確認し損ないがあると、各種対応を行うべき状態であることを見落としてしまうおそれがある。さらに、図8に示すように複数の丁合機10を管理しようとすると、装置情報の情報量は多くなり、保守管理者がそれぞれの丁合機10の状態を適切に把握することは困難となる。
【0055】
これに対して、本実施形態の丁合機管理システム100では、丁合機10から管理サーバ203に送信される装置情報が所定の条件を満たすと、管理サーバ203が管理端末に管理注意情報であるアラートを出力する構成となっている。丁合機10側の各制御部(本体制御部50、タブレット制御部6及び給紙制御部3)は、エラー情報や稼働情報等の装置情報を送信するのみでアラート出力の要否の判断は行わず、管理サーバ203または管理端末(90、91)が、受信した装置情報を蓄積して条件が揃ったら管理端末(90、91)の表示画面にアラートを表示する。このアラート表示を行う条件は管理者によって適宜変更可能であることが望ましい。
【0056】
また、丁合機10にサービスマンコールボタンを設けてもよい。このサービスマンコールボタンが押されると、その情報がインターネット回線200等を介して管理サーバ203に送信され、管理サーバ203からは、電子メールまたはインターネット回線を介した通信回線によって管理端末(90、91)に送信される。これにより、管理端末(90、91)の表示部にサービスマンコールボタンが押されたことが表示される。従来、丁合機10に不具合が生じた場合、コールセンターに電話をすることが主流であった。しかし、コールセンターでは対応できない不具合が生じている場合があり、コールセンターがユーザーと管理者とのつなぎ役だけになることがある。これに対して、上述したサービスマンコールボタンがあれば、あらゆる不具合に対応できる管理者が、サービスマンコールボタンが押されるまでのエラー情報や稼働情報を確認して、不具合の状態をある程度予測してからユーザーにコンタクトをとることが可能となる。
【0057】
図9は、丁合機管理システム100でアラートを出力するときのフローの一例を示す説明図である。
丁合機10の丁合作業終了後、ユーザーが電源スイッチをOFFにする操作をすると、タブレット制御部6に電源OFF信号が入力され(S11)、タブレット制御部6は、管理サーバ203に装置情報を送信する(S12)。
【0058】
装置情報を受信した(S21)管理サーバ203は、受信確認情報を丁合機10のタブレット制御部6に送信する(S22)。装置情報を送信した(S12)は、所定時間内に管理サーバ203からの受信確認情報を受信すると(S13で「Yes」)、タブレット端末4の電源と丁合機10の電源とを切る制御を行う(S14)。丁合機10の電源としては、ユーザーの電源OFFの操作時に切る構成としてもよい。
【0059】
受信確認情報を送信した(S22)管理サーバ203は、受信した装置情報がアラート出力条件を満たすか否かの判断を行う(S23)。アラート出力条件を満たさない場合(S23で「No」)は、受信した装置情報に基づいて、管理画面表示に用いる情報を作成する(S25)。作成された管理画面表示は、管理者が管理端末(90、91)を用いて閲覧することができる。
【0060】
一方、受信した装置情報がアラート出力条件を満たす場合(S23で「Yes」)は、アラート出力条件を満たした丁合機を管理する管理者の管理端末で確認できる電子メールアドレスにアラートメールを送信する(S24)。アラートメールを受信した(S31)管理端末は、その表示部にアラートメールを受信したことを報知するアラート報知画面を表示する(S32)。これにより、丁合機10の状態がアラート出力条件を満たす状態となったことを管理者に報知することができる。
【0061】
アラートメールを送信した(S24)管理サーバ203は、アラートを出力する状態であることと、アラートの内容とを確認できる内容の管理画面表示に用いる情報を作成する(S25)。作成された管理画面表示を、管理者が管理端末(90、91)を用いて閲覧することで丁合機10がアラートを出力する状態であることと、アラートの内容とを確認することができる。
【0062】
アラートメールの送信先としては、管理サーバ203に接続できる管理端末で閲覧できる電子メールアドレスに限らず、管理者が使用する端末で閲覧できるアドレスであればよい。管理サーバ203に接続できない端末でアラートメールを受信した管理者は、管理端末(90または91)から管理サーバ203に接続して、管理画面表示からアラートの内容を確認してもよい。
【0063】
管理者による修理対応が必要となるようなエラーや故障が生じる可能性が高い状態を示す装置情報や、交換対応が必要となるのが近い状態を示す装置情報を予め実験的に確認することで、アラート条件を設定することができる。また、丁合機管理システム100を運用し、管理者による各種対応が必要となったときに、それまで取得した装置情報を分析しアラート出力条件を設定するようにしてもよい。アラート出力条件は管理サーバに記憶されており、管理者がユーザーの丁合機10を操作することなくアラート出力条件の変更が可能であるため、取得した装置条件と、管理者による対応が必要になったタイミングや対応内容との関係に基づいて、アラート出力条件を適宜変更してもよい。
【0064】
管理サーバ203内に保存された装置条件の情報と管理者による対応が必要になったタイミングや対応内容の情報とに基づいて、人工知能によってアラート出力条件を算出させ、制御に用いるアラート出力条件を適宜変更させる構成としてもよい。
【0065】
上述したサービスマンコールボタンを備える構成であれば、アラート出力条件を算出するために用いる情報としては、サービスマンコールボタンが押されたタイミングの前後の装置情報と、サービスマンコールボタンが押されたことに対する管理者の対応内容の情報とを紐付けた情報でもよい。サービスマンコールボタンが押される前の装置情報に基づいて、アラート出力条件を算出し、アラート出力を行うことで、サービスマンコールボタンが押されるような不具合が発生する前に丁合機管理システム100がアラートを出力し、管理者による対応を行うことが可能となり、上記不具合の発生を抑制し、ユーザーの使用性の向上を図ることができる。
【0066】
また、管理端末(90、91)にアラートを出力したことを、ユーザーに報知する構成を備えていてもよい。報知する構成としては、予め登録されたユーザー側の電子メールアドレスに管理者にアラートを出力したことを伝えるメールを送信してもよいし、丁合機10の表示画面に管理者にアラートを出力したことを表示してもよい。管理者に対してアラートを出力したことをユーザーに報知することによって、エラーが頻発する等、丁合機10の使用の継続はできるが、不具合を感じているユーザーが管理者への連絡を行うことなく、管理者側からのコンタクトを待つことが可能となる。
【0067】
アラートの出力先は、管理者側に限らずユーザー側でもよい。例えば、アラートメールの送信先をユーザーの電子メールアドレスに送信してもよいし、アラートの内容を丁合機10の表示画面に表示してもよい。
【0068】
また、メイン操作パネル16からユーザーが丁合処理のための所定の操作入力で入力される各種情報を、インターネット回線200を介して入力できる構成としてもよい。
【0069】
装置条件の送信タイミングとして、エラー発生時のみに送信してもよいが、電源OFF時に装置情報を送信することで、累積カウンタ等のエラー情報以外の装置情報を含むアラート出力条件が満たされたときに、より早いタイミングでのアラート報知を行うことができる。また、装置条件の送信タイミングは、何れのタイミングでもよく、ジョブ終了時やエラー発生時などの丁合機10の丁合動作が停止する度に送信してもよいし、丁合機10の電源が入っている間は連続的に送信を行う構成としてもよい。
【0070】
丁合機10側から管理サーバ203へのエラー情報等の装置情報の送信は、丁合機10の動作が停止する度に実行することが考えられる。この場合、管理サーバ203から管理端末(90、91)へのエラー情報の送信は、1時間毎等の所定時間毎に前回の管理端末(90、91)への送信以降に丁合機10から受信した装置情報をまとめて送信する。管理端末(90、91)への送信タイミングの所定時間はユーザー及び管理者によって適宜変更可能であることが望ましい。所定時間毎(一時間毎等)にエラー情報を含む装置情報を管理端末(90、91)に送信する構成であれば、リアルタイムに近い頻度で情報を取得でき、エラー情報の送信が遅れることを防止できる。
【0071】
図9に示すフローでは、電源OFF時の装置情報の送信であるため、丁合機10が受信確認情報を受信すると、丁合機10の電源がOFFとなる制御を示しているが、エラー発生時に装置情報の送信を行う場合は、受信確認情報を受信しなくても、エラーの解消を確認できたら丁合処理が可能な状態とする。
【0072】
次に、アラート出力条件について説明する。
丁合機10の継時使用によって各種部材が消耗して交換が必要となるが、消耗した部材を交換しないと丁合機10が使えない状態となる前に、管理者とユーザーとの少なくとも一方にアラートを出力して交換対応を促すことが望ましい。
また、装置が停止するエラーが発生する状態は、紙詰まりや重送等のユーザーによって復旧可能なもの場合と、保守管理を行う販売会社等の管理者による修理や調整の対応が必要な場合とがある。管理者による対応が必要な状態となって、丁合機10が使えない状態となる前に、管理者とユーザーとの少なくとも一方にアラートを出力して修理や調整の対応を促すことが望ましい。
【0073】
丁合機10で定期的に交換が必要となる消耗品としては、複数の給紙装置1のそれぞれが備えるサバキ板46を挙げることができる。
そして、それぞれのサバキ板46が交換時期に到達する前にサバキ板46の交換または交換の準備を促すアラートを出力することが望ましい。
アラートの条件としては、新しいサバキ板46を交換してからの当該サバキ板46を備える給紙装置1の累積給紙回数が所定の回数に到達したことを設定してもよい。
しかし、丁合機10で丁合する用紙は様々な紙種のものがあるため、サバキ板46は、同じ給紙回数であっても給紙するシート材の紙質、サバキ圧等によって摩耗量が異なることが考えられる。よって、サバキ圧が高い状態での給紙や、摩耗し易い紙質(表面が荒い等)の給紙の場合に、給紙回数に対して重み付けの処理を行ってアラート判断用の累積給紙回数を算出し、この値が所定の回数に達したらアラート出力条件を満たしたものと判断する。
【0074】
オートサバキユニットでは、サバキ圧を調整する制御によってサバキ圧に関する情報を取得することができる。具滝的には、特許文献1に記載されたサバキ圧がリミット値となる状態から、サバキ板を下げる方向に調整モータ78を駆動させた駆動量が小さいほどサバキ圧が大きく、駆動量が大きいほどサバキ圧が小さくなる。そして、サバキ圧が大きい状態での1回の給紙をアラート判断用の累積給紙回数の算出では1.2回の給紙として重み付けを行う。また、サバキ圧を抜いた状態で給紙する場合は、0.5回としてするなどの重み付けを行ってもよい。
【0075】
サバキ圧が大きい場合は、給紙動作開始から用紙先端が下流側の所定の位置に到達するまでの時間が長くなる傾向がある。そこで、給紙動作開始からタイミングセンサ56(給紙ニップに対して給紙方向下流側にある最初の用紙センサ)で用紙の先端を検知するまでの時間が長いほどサバキ圧が大きく、当該時間が短いほどサバキ圧が小さいと判断して、サバキ圧に応じた給紙回数の重み付けを行ってもよい。
【0076】
サバキ圧が高い状態に限らず、サバキ部材が消耗し易い条件では、給紙回数に重み付けを行ってアラート判断用の累積給紙回数を算出してもよい。例えば、温度、湿度、連続使用回数、紙種、紙厚等の物性値の違いによって、サバキ部材の消耗に差が出る場合は、これらの物性値を検出し、その検出結果に応じて給紙回数に重み付けを行う。
温度や湿度については、丁合機10の設置環境を検出しも良いし、アラートの対象であるサバキ板46の近傍に検出手段を設置して、温度や湿度を検出してもよい。
【0077】
紙質を入力可能な場合は、その紙質に応じて給紙回数の重み付けをおこなってもよい。さらに、広告印刷物のスポンサーの情報等の用紙についての識別情報が取得可能な場合、用紙の識別情報と、その用紙を給紙したときにサバキ板46の交換が必要になった累積給紙枚数とを紐付けて記憶し、サバキ板46の交換が必要になった累積給紙枚数に応じて対応する識別情報を有する用紙の給紙を行うときに給紙回数の重み付けを行ってもよい。
【0078】
サバキ板46は摩耗することで、薄くなりサバキ圧がリミット値となったときのサバキベース72のサバキ板46を支持する部分の位置が高くなる。すなわち、オートサバキユニットでは、サバキ圧の初期調整処理において、サバキ板46が下がり切った位置から上がり切った位置までの調整モータ78の駆動量が、サバキ板46が薄くなるほど大きくなる(特許文献1に記載のホームセンサS2が検知した状態からリミットセンサS1が非検知状態となるまでの調整モータ78の正転方向の回転量が大きくなる)。よって、装置情報として、サバキ圧の初期調整処理におけるサバキ板46が下がり切った位置から上がり切った位置までの調整モータ78の駆動量を取得し、サバキ板46を交換した当初の当該駆動量と比べたときの増加量が予め設定された所定量を超えたときにサバキ板46を交換するアラートを出力してもよい。
上述した構成に限らず、使用しているサバキ部材の厚みに関する情報を検出できる厚み関連情報検出手段があれば、その検出結果に基づいて、サバキ部材を交換するタイミングを報知するアラートを出力してもよい。
【0079】
また、給紙装置1のサバキ板46に限らず、給紙トレイ14からスタッカトレイ40までの用紙の通過経路を形成する通紙経路形成部材は、通紙する用紙の紙質、厚さ、の長さ等の用紙の物性値によって、部材の消耗具合が異なることが考えられる。このため、通紙経路形成部材の消耗具合に影響を与える用紙の物性値によって、通紙回数に対して重み付けの処理を行って交換時期を報知するためのアラート判断用の累積通紙回数を算出してもよい。
新聞広告用の丁合装置では、さまざまな種類の用紙を通紙するため、このような用紙の物性値に応じた重み付けを行ってアラート判断用の累積通紙回数を算出することで、より的確なタイミングでのアラート出力が可能となる。
【0080】
また、故障の予兆となる装置情報に基づいてアラート出力条件が設定されていることが望ましい。
例えば、特定のエラーの発生頻度が所定の頻度よりも高い場合は、故障が発生する可能性が高いとしてアラートを出力する。また、丁合機10内の温度変化を経時的に測定し、丁合機10内の時間当たりの温度上昇量が所定の上昇量を超えた場合、アラートを出力する。駆動源周辺の温度が短時間で急激に上昇する場合は過負荷に起因する故障が生じ易くなっている可能性があるため、アラートを出力し、管理者による確認を促す。
さらに、丁合機10の稼働時の音を収集するマイクを配置し、稼働時の音量が上昇した場合や特定の周波数の音(異音)が検出された場合にはアラートを出力する構成としてもよい。これにより、故障の兆候の可能性がある稼働音の変化に基づいてアラートを出力し、管理者による対応を促すことができる。
【0081】
また、エラー発生から復旧までの時間が慢性的に長いときにはアラートを出力してもよい。この場合、復旧に時間がかかるような不具合や、ユーザーの技術不足が考えられるため、管理者による不具合の有無やユーザーの技術レベルを確認して、不具合の解消やユーザーの技術レベル向上の助言を行うことで、その後のユーザーの使用性の向上を図ることができる。
【0082】
図8に示すように、本実施形態の丁合機管理システム100は、管理サーバ203と通信可能な丁合機10は複数存在し、それぞれの丁合機10から送信された装置情報は丁合機10毎に対応づけて管理サーバ203の記憶部に記憶されており、アラートはそれぞれの丁合機10毎に報知する構成となっている。
丁合機10毎の装置情報を管理し、アラートを出力することで、少数の管理者で多数の丁合機10の管理を行うことが可能となる。
例えば、少人数の管理者が、数十台~数百台の丁合機10のエラー情報及び稼働情報を確認して、全ての丁合機10の状態を毎日把握することは非常に困難であり、管理者が丁合機10の設置場所に訪問して対応する必要がある状態を見落とす恐れがある。これに対して、複数の丁合機10を管理する丁合機管理システム100で丁合機10毎に装置情報を管理し、丁合機10毎にアラート出力条件を満たしたときに、管理者に対してアラートを出力するため、管理者が対応する必要がある状態を見落とすことを抑制できる。
【0083】
また、図8に示す例では、第一新聞販売店NS1に第一丁合機10Aを設置し、第二新聞販売店NS2に第二丁合機10Bを設置し、第三新聞販売店NS3には第三丁合機10Cと第四丁合機10Dとの二台の丁合機10を設置している。それぞれの丁合機10の装置情報は、ユーザー(新聞販売店)の識別情報と紐付けて保存する。これにより、あるユーザーに紐付けられた丁合機10に緊急性の低いアラートが出力されている場合など、同一のユーザーに他のアラートが出力されたときに、管理者がユーザー訪問することにより、効率的なユーザー訪問を行うことが可能となる。
【0084】
図8に示す丁合機管理システム100は、管理対象となる丁合機10は複数存在し、丁合機10から送信される装置情報は丁合機10毎に管理され、各丁合機10の情報は使用するユーザーと対応付けて記憶されている。一方、各丁合機10から送信された装置情報に基づいて、アラート出力条件を算出する場合は、装置情報と丁合機10との対応関係、及び、丁合機10とユーザーとの対応関係に関わらず、あらゆる装置情報に基づいてアラート条件を算出する。これにより、より多くの情報に基づいてアラート条件を算出でき、アラート出力の精度の向上を図ることができる。
【0085】
給紙装置1は、丁合機10本体から着脱可能であり、一つの丁合機10における装着する棚の位置が変更可能であり、さらに、他の丁合機10にも装着することができる。このため、給紙装置1のそれぞれに識別情報を付与して、給紙装置1に関する装置情報は、給紙装置1の識別情報と紐付けて管理することが望ましい。これにより、給紙装置1を装着する位置や、給紙装置1を装着する丁合機10が変わっても、それぞれの給紙装置1について適切にアラートを出力することが可能となる。
各給紙装置1の消耗部品のアラートは、累積給紙回数に限らず、滑りの発生頻度や重送の発生頻度との組合せによって、アラート出力条件を設定してもよい。
【0086】
アラート出力としては、その対応の緊急度に応じて、報知時の表示を異ならせてもよい。電子メールに報知する場合、緊急性が高いアラートについては件名欄の最初に『緊急』と表示し、緊急性が低いアラートについては件名欄の最初に『確認要』と表示することが考えられる。また、管理端末(90、91)に表示される管理画面表示でアラート表示する場合は、そのアラートの表示部分の一部や枠等を緊急性が高い順に、赤、黄、青とするなど色分けをしてもよい。このような色分けも管理者が対応すべき状態であることを報知するアラート出力に含まれる。
【0087】
上述した実施形態の丁合機管理システム100では、丁合機10から装置情報を送信された管理サーバ203がアラート出力の要否の判断を行っていたが、丁合機10の制御部(本体制御部50、タブレット制御部6)がアラート出力の要否の判断を行う構成としてもよい。この場合、アラート出力を行う報知先としては、丁合機10の表示部に報知する構成でも良いし、丁合機10がインターネット回線200を介して管理者に電子メールで報知する構成でもよい。
【0088】
タブレット端末4を筐体9に装着している状態では、タブレット制御部6と本体制御部50とがUSB端子で接続され、有線回線で通信可能となる。また、装置本体は本体通信部53を備え、タブレット端末4を筐体9から取り外している状態では、本体通信部53とタブレット通信部8とがWifi(登録商標)回線によって通信可能となるが、タブレット通信部8が本体通信部53と接続されている状態では、タブレット通信部8はWi-Fiルーター201との通信はできなくなる。このため、制御プログラムのダウンロードは、タブレット端末4を筐体9に装着した状態で実行する。また、電源投入時に、管理サーバ203との通信を行うため、丁合機10の電源投入時には、タブレット端末4が筐体9に装着されていることが望ましい。電源投入時にタブレット端末4が筐体9に装着されていない場合は、電源投入後、最初にタブレット端末4が筐体9に装着されたときに、インターネット回線200を介した管理サーバ203との通信を開始するようにしてもよい。
【0089】
本実施形態の丁合機10は、複数の給紙装置1を縦方向に複数並べて設けているが、本発明が可能な丁合装置は、複数の給送装置を縦方向に複数並べて設けたものに限らず、複数の給送装置を横方向に複数並べて設けたものでもよい。本実施形態の丁合機10のように、給送装置を縦方向に複数並べることで設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0090】
本発明に係る丁合装置管理システムが管理する丁合装置としては、上述した実施形態の丁合機10のように複数の給紙トレイに載置された用紙を重ねて用紙束を作成するものに限らない。例えば、特開2018-87087号公報に記載された丁合装置のように、新聞束等の用紙の折り目の内側に、広告束等の他の用紙を挿入するインサータや中入装置とも呼ばれる丁合装置であってもよい。このような丁合装置についても、インターネット等の通信ネットワークを介して管理サーバ等の外部情報処理手段と接続し、丁合装置が送信した装置情報がアラート出力条件等の所定の条件を満たした場合に、外部情報処理手段がアラート等の管理注意情報を報知することで、丁合装置に対して管理者が対応すべき状態となっていることを管理者が見落とすことを抑制できる。
【0091】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0092】
〔態様1〕
態様1は、複数の給紙装置1等の給送部のそれぞれから給送された用紙等のシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を行う丁合機10等の丁合装置と、インターネット回線200等の通信ネットワークを介して丁合装置の通信手段(タブレット通信部8等)と通信し、丁合装置に関する稼働情報及びエラー情報等の装置情報の送受信が可能な管理サーバ203等の外部情報処理手段と、を備え、外部情報処理手段が受信した装置情報がアラート出力条件等の所定の条件を満たした場合に、アラート等の管理注意情報を報知することを特徴とする丁合装置管理システムに関するものである。
この態様1では、管理対象の丁合装置が保守管理者による対応を行うべき状態であることを見落とすことを抑制できる。
【0093】
〔態様2〕
態様2は、態様1に係る丁合装置管理システムにおいて、丁合装置でのシート材が通過するシート材通過経路を形成する通過経路形成部材(給紙ローラ42やサバキ板46等の給紙装置1の消耗部品や丁合機10本体側の搬送部材等)についての管理注意情報を報知する所定の条件が前記シート材通過経路でのシート材の通過回数(累積給紙回数等)と、前記シート材通過経路での滑りや重送等の搬送不良に係るエラー情報との組合せによって設定されることを特徴とするものである。
これによれば、シート材の通過回数のみでは検出できないような保守管理者による対応を行うべき状態を検出し、報知することが可能となる。
【0094】
〔態様3〕
態様3は、態様1または2に係る丁合装置管理システムにおいて、丁合装置でのシート材が通過するシート材通過経路を形成する通過経路形成部材(通紙経路形成部材等)についての管理注意情報を報知する所定の条件が、シート材通過経路でのシート材の通過回数と、シート材の物性値(長さ、厚さ、紙種等)に関する情報との組合せによって設定されることを特徴とするものである。
これによれば、丁合装置が様々な種類のシート材を丁合するものであって、シート材の種類によって部材の消耗度が異なる場合であっても、適切なタイミングで管理注意情報を報知することが可能となる。
【0095】
〔態様4〕
態様4は、態様1乃至3に係る丁合装置管理システムにおいて、丁合装置の部材の消耗度に関する装置情報(累積給紙回数等)に基づいて管理注意情報を報知する所定の条件を設定することを特徴とするものである。
【0096】
〔態様5〕
態様5は、態様1乃至4に係る丁合装置管理システムにおいて、外部情報処理手段と通信可能な丁合装置は複数存在し、装置情報は丁合装置毎に対応づけて外部情報処理手段に記憶されており、管理注意情報は丁合装置毎に報知することを特徴とするものである。
これによれば、少数の保守管理者で多数の丁合装置の管理が可能となる。
【符号の説明】
【0097】
1 :給紙装置
2 :一括調整ボタン
3 :給紙制御部
4 :タブレット端末
5 :サブ操作パネル
6 :タブレット制御部
8 :タブレット通信部
10 :丁合装置
11 :第一リンク
12 :第二リンク
13 :第三リンク
14 :給紙トレイ
16 :メイン操作パネル
18 :給紙機構
20 :サブ操作パネル
22 :サブ搬送機構
24 :メイン搬送機構
30 :折用紙ストッパ
31 :給紙記憶部
40 :スタッカトレイ
42 :給紙ローラ
44 :補助給紙ローラ
46 :サバキ板
50 :制御部
51 :本体記憶部
54 :サバキ圧調整機構
55 :収容部材
56 :タイミングセンサ
58 :ジャムセンサ
59 :本体補助記憶部
60 :重送検知機構
62 :基準ローラ
64 :変位ローラ
66 :転動ローラ
68 :搬送上ローラ
69 :変位センサ
70 :搬送下ローラ
72 :サバキベース
74 :傾斜部材
76 :リンク機構
77 :給紙モータ
78 :調整モータ
80 :回動軸
82 :球
84 :傾斜面
90 :管理PC
91 :管理携帯端末
100:丁合機管理システム
200:インターネット回線
203:管理サーバ
S1 :リミットセンサ
S2 :ホームセンサ
S3 :上限センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9