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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164074
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】発光エンブレム
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20231102BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20231102BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20231102BHJP
   F21S 43/242 20180101ALI20231102BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20231102BHJP
   G09F 13/00 20060101ALI20231102BHJP
   G09F 13/08 20060101ALI20231102BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20231102BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231102BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21S43/241
F21S43/242
F21V8/00 310
G09F13/00 B
G09F13/08
F21W104:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075387
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 吉秀
【テーマコード(参考)】
3K244
5C096
【Fターム(参考)】
3K244AA06
3K244AA09
3K244BA08
3K244BA16
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244EA01
3K244EA08
3K244EA16
5C096AA05
5C096BA01
5C096CB02
5C096CC06
5C096CF07
5C096CF09
5C096FA05
5C096FA11
5C096FA20
(57)【要約】
【課題】カバーに含まれる導光体の内側の面の折れ部に起因する発光の輝度ムラを抑えた発光エンブレムを提供することにある。
【解決手段】光源としての発光素子13と、発光素子13を収容するハウジングと14、エンブレム12が表面に施され、発光素子13から発せられる光を取り出すための導光体からなる透光部11bを有し、発光素子13を覆うようにハウジング14に取り付けられるカバー10と、を備え、透光部11bの外側の面の少なくとも一部が、カバー10の発光領域として外部に露出し、透光部11bの内側の面が、向きの異なる平面と平面の境界線である折れ部114a、114bを含み、折れ部114a、114bに入射する光の屈折を含む原因により透光部11bの内側の面以外の面に現れる線状の明度の低い領域である低明度線が、全て発光領域以外の領域に現れる、発光エンブレム1を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としての発光素子と、
前記発光素子を収容するハウジングと、
エンブレムが表面に施され、前記発光素子から発せられる光を取り出すための導光体からなる透光部を有し、前記発光素子を覆うように前記ハウジングに取り付けられるカバーと、
を備え、
前記透光部の外側の面の少なくとも一部が、前記カバーの発光領域として外部に露出し、
前記透光部の内側の面が、向きの異なる平面と平面の境界線である折れ部を含み、
前記折れ部に入射する光の屈折を含む原因により前記透光部の内側の面以外の面に現れる線状の明度の低い領域である低明度線が、全て前記発光領域以外の領域に現れる、
発光エンブレム。
【請求項2】
前記透光部が、外側の面が前記発光領域に含まれる第1の平板部と、前記第1の平板部から前記ハウジング側に折れ曲がって延び、外側の面の少なくとも一部が前記発光領域に含まれない第2の平板部とを含み、
前記折れ部としての前記第1の平板部の内側の面と前記第2の平板部の内側の面の境界線に入射する光の屈折を含む原因により生じる前記低明度線が、前記第2の平板部の外側の面の前記発光領域に含まれない領域に現れる、
請求項1に記載の発光エンブレム。
【請求項3】
前記第1の平板部の厚さが、前記第2の平板部の厚さの2倍以上である、
請求項2に記載の発光エンブレム。
【請求項4】
前記第2の平板部の厚さが0.5mm以上である、
請求項2に記載の発光エンブレム。
【請求項5】
前記第2の平板部の外側の面の幅が3mm以上である、
請求項2に記載の発光エンブレム。
【請求項6】
前記透光部が、前記発光素子から発せられる光を拡散する拡散材を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の発光エンブレム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光エンブレム、特に自動車などの車両に設置される発光エンブレムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光機能を有する車両用エンブレムが知られている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載のエンブレムにおいては、ケース内に光源としての複数のLEDが収容され、LEDが発した光を導光体で導光して出射することにより、エンブレムが発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6101537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエンブレムのように、導光体の内側の面に、向きの異なる平面と平面の境界線である折れ部が存在する場合、光が取り出される導光体の外側の面に、内側の面の折れ部に入射する光の屈折などに起因する、線状の明度の低い領域である低明度線が現れる。この低明度線がエンブレムの外部から視認される位置にある場合、エンブレムの発光に輝度ムラが生じ、見栄えに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、カバーに含まれる導光体の内側の面の折れ部に起因する発光の輝度ムラを抑えた発光エンブレムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[6]の発光エンブレムを提供する。
【0007】
[1]光源としての発光素子と、前記発光素子を収容するハウジングと、エンブレムが表面に施され、前記発光素子から発せられる光を取り出すための導光体からなる透光部を有し、前記発光素子を覆うように前記ハウジングに取り付けられるカバーと、を備え、前記透光部の外側の面の少なくとも一部が、前記カバーの発光領域として外部に露出し、前記透光部の内側の面が、向きの異なる平面と平面の境界線である折れ部を含み、前記折れ部に入射する光の屈折を含む原因により前記透光部の内側の面以外の面に現れる線状の明度の低い領域である低明度線が、全て前記発光領域以外の領域に現れる、発光エンブレム。
[2]前記透光部が、外側の面が前記発光領域に含まれる第1の平板部と、前記第1の平板部から前記ハウジング側に折れ曲がって延び、外側の面の少なくとも一部が前記発光領域に含まれない第2の平板部とを含み、前記折れ部としての前記第1の平板部の内側の面と前記第2の平板部の内側の面の境界線に入射する光の屈折を含む原因により生じる前記低明度線が、前記第2の平板部の外側の面の前記発光領域に含まれない領域に現れる、上記[1]に記載の発光エンブレム。
[3]前記第1の平板部の厚さが、前記第2の平板部の厚さの2倍以上である、上記[2]に記載の発光エンブレム。
[4]前記第2の平板部の厚さが0.5mm以上である、上記[2]に記載の発光エンブレム。
[5]前記第2の平板部の外側の面の幅が3mm以上である、上記[2]に記載の発光エンブレム。
[6]前記透光部が、前記発光素子から発せられる光を拡散する拡散材を含む、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の発光エンブレム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバーに含まれる導光体の内側の面の折れ部に起因する発光の輝度ムラを抑えた発光エンブレムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、本発明の実施の形態に係る発光エンブレムの正面図である。図1(b)は、カバーを外した状態の発光エンブレムの正面図である。
図2図2(a)は、図1(a)に示される切断線A-Aで切断された発光エンブレムの垂直断面図である。図2(b)は、図1(b)に示される切断線B-Bで切断された発光エンブレムの部分的な垂直断面図である。
図3図3(a)、(b)は、カバーの透光部及びその周辺を拡大した垂直断面図である。
図4図4(a)、(b)は、それぞれ、図3(a)、(b)に示される断面を含む透光部の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔発光エンブレムの構成〕
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る発光エンブレム1の正面図である。図1(b)は、カバー10を外した状態の発光エンブレム1の正面図である。図2(a)は、図1(a)に示される切断線A-Aで切断された発光エンブレム1の垂直断面図である。図2(b)は、図1(b)に示される切断線B-Bで切断された発光エンブレム1の部分的な垂直断面図である。
【0011】
発光エンブレム1は、光源としての発光素子13と、発光素子13を収容するハウジング14と、エンブレム12が表面に施され、発光素子13から発せられる光を取り出すための導光体からなる透光部11bを含み、発光素子13を覆うようにハウジング14に取り付けられるカバー10と、を備える。
【0012】
発光素子13は、プリント基板15上に実装された発光素子であり、典型的には、LEDが用いられる。プリント基板15は、例えば、発光素子13が実装された面がカバー10を向くようにハウジング14に固定される。プリント基板15の表面の光の反射率を大きくして光取出効率を大きくするため、プリント基板15は、FR-4、CEM3などを基材とする白色の基板や、表面の露出孔153内に露出する部分が白色に塗装された基板であることが好ましい。
【0013】
ハウジング14は、例えば、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル)からなる。ハウジング14は、車両のフロントグリルなどの発光エンブレム1の取り付け対象にハウジング14を固定するための固定部141を有する。例えば、固定部141に設けられたネジ止め用の孔を通してネジを締め込むことにより、ハウジング14を発光エンブレム1の取り付け対象に固定することができる。
【0014】
カバー10は、発光素子13が発する光を透過しない非透光部11aと、発光素子13が発する光を通す透光部11bを有するカバー本体11と、カバー本体11の表面に設置されるエンブレム12と、を有する。カバー本体11を構成する非透光部11aと透光部11bは、一体に成形されてもよいし、別部品であってもよいが、典型的には、二色成形により一体に成形される。
【0015】
非透光部11aは、例えば、ASAなどの樹脂からなる。非透光部11aは、光を通さないようにするために、例えば、黒色などに着色された樹脂を成形することにより形成されてもよいし、表面に塗装やめっきを施されてもよい。
【0016】
導光体である透光部11bは、例えば、発光素子13から発せられる光を透過するPMMA(メタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)などの樹脂からなる。透光部11bは、取り出される光の均一性を向上させるため、TiO粒子などの拡散材を含むことが好ましい。また、透光部11bの内側の面、すなわち発光素子13側の面にレンズカットが設けられていてもよい。
【0017】
図2(a)、(b)に示されるように、透光部11bの外側の面の一部は外部に露出しており、カバー10の発光領域として機能する。すなわち、発光素子13から発せられて透光部11bに取り込まれた光が、その露出部分から外部に取り出される。図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に示される例では、透光部11b及びその露出部分はエンブレム12の内側の輪郭に沿うように設けられており、発光素子13を点灯させると、エンブレム12の内側の輪郭に沿って発光する。
【0018】
なお、透光部11bが発光素子から発せられた光を効率的に取り込むため、図1(a)、(b)に示されるように、透光部11bの平面形状に沿って、複数の発光素子13が透光部11bの真下に位置していることが好ましい。
【0019】
エンブレム12は、例えば、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)などの樹脂からなり、表面にめっき処理が施される。エンブレム12は、車両のフロントグリルなどの発光エンブレム1の取り付け対象にエンブレム12を固定するための固定部121を有する。例えば、固定部121に設けられたネジ止め用の孔を通してネジを締め込むことにより、エンブレム12を発光エンブレム1の取り付け対象に固定することができる。また、図2(b)に示されるように、エンブレム12は、両面テープ122によりカバー本体11に固定されてもよい。
【0020】
なお、カバー10においては、専用部品であるエンブレム12を用いてエンブレムを表現しているが、エンブレムの表現方法はこれに限られず、例えば、発光領域としての透光部11bの一部や非透光部11aの一部をエンブレムの表現に用いてもよい。すなわち、カバー10にエンブレムを施す方法は限定されない。
【0021】
〔透光部の形状〕
図3(a)、(b)は、カバー10の透光部11b及びその周辺を拡大した垂直断面図である。図3(a)と図3(b)では、後述する第2の平板部112の厚さTが異なる。図4(a)、(b)は、それぞれ、図3(a)、(b)に示される断面を含む透光部11bの一部の斜視図である。
【0022】
透光部11bは、発光エンブレム1の平面方向に対して傾斜する第1の平板部111と、第1の平板部111の平面方向の内側に位置し、第1の平板部111からハウジング14側に折れ曲がって延びる第2の平板部112と、第1の平板部111の平面方向の外側に位置し、第1の平板部111から発光エンブレム1の平面方向に沿うように折れ曲がって延びる第3の平板部113を含む。第2の平板部112は、第1の平板部111よりも発光エンブレム1の平面方向に対して垂直に近い傾きを有し、第3の平板部113は、第1の平板部111よりも発光エンブレム1の平面方向に対して平行に近い傾きを有する。
【0023】
第1の平板部111、第2の平板部112、及び第3の平板部113は、同じ材料から一体に成形され、界面なく連続している。また、第1の平板部111、第2の平板部112、及び第3の平板部113は、それぞれ環状の平板状の部材である。第2の平板部112の外側の面112aと、第3の平板部113の平面方向の端面113cには、非透光部11aが接合されている。
【0024】
第1の平板部111の外側の面111aは、外部に露出しており、カバー10の発光領域に含まれる。面111aは、その全ての領域が外部に露出していてもよい。第2の平板部112の外側の面112aは、少なくとも下側の一部、すなわちハウジング14側の一部が非透光部11aに覆われており、非透光部11aに覆われていない部分は発光領域に含まれるが、非透光部11aに覆われている部分は発光領域に含まれない。第3の平板部113の外側の面113aは、ほぼ全ての部分がエンブレム12に覆われており、発光領域に含まれない。
【0025】
第1の平板部111と第2の平板部112は連続しており、向きの異なる第1の平板部111の内側の面111bと第2の平板部112の内側の面112bの境界線は折れ部114aを形成している。また、第1の平板部111と第3の平板部113は連続しており、向きの異なる第1の平板部111の内側の面111bと第3の平板部113の内側の面113bの境界線は折れ部114bを形成している。
【0026】
ここで、第1の平板部111、第2の平板部112、及び第3の平板部113の内側、外側とは、それぞれ発光素子13が設置されているハウジング14とカバー10で囲まれた空間の内側、外側を意味する。すなわち、第1の平板部111、第2の平板部112、及び第3の平板部113の内側は、主に発光素子13から発せられる光を取り込む側であり、外側は、光を射出する発光エンブレム1の外部の空間側である。
【0027】
折れ部114aや折れ部114bのような、透光部11bの内側の面に含まれる向きの異なる平面と平面の境界線である折れ部が存在すると、発光素子13から発せられてその折れ部に入射する光の屈折を含む原因、具体的には、折れ部に入射する光の屈折や、透光部11b内の折れ部での光の散乱、透光部11bが拡散材を含む場合は拡散材の分散の偏りなどの原因により、線状の明度の低い領域である低明度線が透光部11bの内側の面以外の面に現れる。低明度線の現れる位置は、透光部11bの屈折率や、透光部11bが拡散材を含む場合は拡散材の分散の偏り方などに影響を受ける。
【0028】
例えば、図3(a)に示される例では、折れ部114a、折れ部114bに入射する光の屈折を含む原因により、それぞれ第1の平板部111の外側の面111aにおける位置Pa、第3の平板部113の外側の面113aにおける位置Pbに低明度線が現れる。このとき、折れ部114aに入射する光の屈折を含む原因による低明度線は、発光領域に含まれる外側の面111aに現れるために外部から視認されるが、位置Pbはエンブレム12に覆われているために外部に露出しておらず、発光領域に含まれないため、折れ部114bに入射する光の屈折を含む原因による低明度線は、外部から視認されない。
【0029】
低明度線は、折れ部の折れ角、すなわち、折れ部を境界線とする平面と平面のなす角度が、90±10°及び270±10°の範囲にない場合、すなわち0°以上、80°以下の範囲、100°以上、260°以下の範囲、又は280°以上、360°以下の範囲にあるときに現れる。
【0030】
透光部11bにおいては、第2の平板部112の内側の面112bと第2の平板部112の端面112cとの境界線は折れ部114cを形成し、第3の平板部113の内側の面113bと第3の平板部113の端面113cとの境界線は折れ部114dを形成しているが、折れ部114c及び折れ部114dの折れ角は270±10°の範囲内にあるため、折れ部114c及び折れ部114dに入射する光の屈折を含む原因による低明度線は現れない。
【0031】
折れ部114aに入射する光の屈折を含む原因による低明度線は、第1の平板部111の厚さTと第2の平板部112の厚さTの比によって、現れる位置Pが変わる。
【0032】
第1の平板部111の厚さTが、第2の平板部112の厚さTの2倍に満たない場合(T/T<2)、折れ部114aに入射する光の屈折を含む原因による低明度線は、図3(a)に示されるように、発光領域に含まれる第1の平板部111の外側の面111aに現れる。この場合、T/Tが2に近いほど、位置Paが面111aと面112aの境界に近くなる。
【0033】
そして、第1の平板部111の厚さTが、第2の平板部112の厚さTの2倍以上である場合(2≦T/T)、折れ部114aに入射する光の屈折を含む原因による低明度線は、図3(b)に示されるように、第2の平板部112の外側の面112aに現れる。面112aには非透光部11aが接合されるため、外側の面112aの低明度線が現れる部分を非透光部11aで覆って発光領域外に置くことができる。
【0034】
このように、第1の平板部111の厚さTが、第2の平板部112の厚さTの2倍以上である透光部11bにおいては、内側の面に含まれる折れ部に入射する光の屈折を含む原因により生じる低明度線の全てを、発光領域以外の領域に発生させることができる。これにより、全ての低明度線が外部から視認されず、発光エンブレム1の発光の輝度ムラが抑えられる。
【0035】
第1の平板部111の典型的な厚さTは、例えば、3.0mmである。この場合、透光部11bが拡散材を含み、かつ第2の平板部112の厚さTが3.0mmであるときには、第1の平板部111の外側の面111a上の、第2の平板部112の外側の面112aとの境界線から平面方向に1.5mmの位置に、折れ部114aに入射する光の屈折を含む原因による低明度線が現れる。そして、第2の平板部112の厚さTが1.5mm以下であるときには、第2の平板部112の外側の面112aに、折れ部114aに入射する光の屈折を含む原因による低明度線が現れる。
【0036】
なお、第2の平板部112の厚さTが0.5mmに満たない場合、透光部11bの成形に用いる金型の溝が細かすぎて樹脂をうまく流し込めないおそれがある。このため、第2の平板部112の厚さTは0.5mm以上であることが好ましい。また、このことから、第1の平板部111の厚さTが3.0mmである場合には、第1の平板部111の厚さTが、第2の平板部112の厚さTの6倍以下(T/T≦6)であることが好ましいといえる。
【0037】
非透光部11aと透光部11bを二色成形により一体に成形する場合、第1の平板部111からハウジング14側に折れ曲がって延びる第2の平板部112を透光部11bに設けることにより、透光部11bの外側の非透光部11aと透光部11bの接合部の幅を確保しやすくなる。非透光部11aと透光部11bの接合部の強度を確保するため、接合部幅は3mm以上であることが求められる。そのため、第2の平板部112の外側の面112aの幅Wが3mm以上であることが好ましい。
【0038】
透光部11bが、発光素子13から発せられる光を拡散する拡散材を含む場合、透光部11bの内側の面に含まれる折れ部に入射する光の屈折を含む原因による低明度線が現れる位置は、透光部11bが内側からどのような角度で光を取り込むかに依存しない、すなわち、透光部11bと発光素子13の平面方向の位置関係に依存しないことが確認されている。
【0039】
透光部11bが拡散材を含まない場合は、低明度線が現れる位置が透光部11bと発光素子13の平面方向の位置関係に依存するが、この場合も、第1の平板部111の厚さTと第2の平板部112の厚さTの比によって低明度線の現れる位置を制御し、発光領域に含まれない位置に置くことができる。
【0040】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の実施の形態によれば、折れ部に入射する光の屈折を含む原因による低明度線が発光領域以外の領域に現れるような形状に、導光体からなる透光部11bを形成することにより、発光エンブレム1の発光の輝度ムラを抑えることができる。
【0041】
なお、透光部11bの形状が上記実施の形態に示したものと異なる場合であっても、内側の面に上記の折れ角の条件を満たす折れ部が含まれる場合、その折れ部に入射する光の屈折を含む原因による低明度線が内側の面以外の面に現れる。その場合も、上記実施の形態で説明したように、透光部11bを構成する平板部の厚さの比を調整するなどにより、低明度線の発生する位置を制御し、発光領域の外に置くことができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0043】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0044】
1 発光エンブレム
10 カバー
11 カバー本体
11a 非透光部
11b 透光部
12 エンブレム
13 発光素子
14 ハウジング
15 プリント基板
111 第1の平板部
111a 外側の面
111b 内側の面
112 第2の平板部
112a 外側の面
112b 内側の面
112c 端面
113 第3の平板部
113a 外側の面
113b 内側の面
113c 端面
114a~114d 折れ部
図1
図2
図3
図4