(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164075
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】グリップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65D1/02 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075395
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】津田 直毅
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA17
3E033DA03
3E033DB03
3E033EA01
3E033EA08
3E033FA02
3E033FA03
(57)【要約】
【課題】容器の全高が制限されていても、グリップのし易さを損なうことなくラベル等の表示領域を確保し易くすることが可能なグリップ付き容器100を提案する。
【解決手段】本開示に係るグリップ付き容器100は、内容物を収容する胴部20と、胴部20の上端部に肩部30を介して連なり胴部20よりも縮径した口部10と、胴部20の下端部を閉塞する底部40とを有するグリップ付き容器100であって、胴部20は、周方向に並ぶ複数の凹部23を有するグリップ部25と、グリップ部25の下方に設けられ、胴部20の全周にわたって表示が可能な表示部27とを備え、凹部23は、径方向内側に凹むとともに肩部30を貫通し、上方に開口するように延在することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する胴部と、前記胴部の上端部に肩部を介して連なり前記胴部よりも縮径した口部と、前記胴部の下端部を閉塞する底部とを有するグリップ付き容器であって、
前記胴部は、
周方向に並ぶ少なくとも一対の凹部を有するグリップ部と、
前記グリップ部の下方に設けられ、前記胴部の全周にわたって表示が可能な表示部と
を備え、
前記凹部は、径方向内側に凹むとともに前記肩部を貫通し、上方に開口するように延在している、グリップ付き容器。
【請求項2】
前記口部の上端部から前記底部の下端部までの全高は、190mm以上202mm以下である、請求項1に記載のグリップ付き容器。
【請求項3】
前記グリップ部の上下方向長さは、前記全高の35%以上60%以下である、請求項2に記載のグリップ付き容器。
【請求項4】
前記表示部の上下方向長さは、前記全高の20%以上45%以下である、請求項3に記載のグリップ付き容器。
【請求項5】
前記凹部内には、径方向外側に突出するとともに周方向に延びる滑り止めリブが形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のグリップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グリップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の合成樹脂製容器では、容器の軸方向中央部分に複数の凹部を設け、凹部に指を当てながら胴部を把持することによって大型容器の持ち運びをし易くした、グリップ部付き容器が知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、販売時における収容スペースの都合上容器の全高が制限されている場合においては、特許文献1に記載の容器の軸方向中央部分にグリップ部を配置した容器では、指を入れるために必要な凹部の大きさを十分に確保すると、胴部にラベルやシールなどを貼付したり印刷するための表示領域が十分に確保できないことがあり、この点において改善の余地があった。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、容器の全高が制限されていても、グリップのし易さを損なうことなくラベル等の表示領域を確保し易くすることが可能なグリップ付き容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示のグリップ付き容器は、
[1]
内容物を収容する胴部と、前記胴部の上端部に肩部を介して連なり前記胴部よりも縮径した口部と、前記胴部の下端部を閉塞する底部とを有するグリップ付き容器であって、
前記胴部は、
周方向に並ぶ少なくとも一対の凹部を有するグリップ部と、
前記グリップ部の下方に設けられ、前記胴部の全周にわたって表示が可能な表示部と
を備え、
前記凹部は、径方向内側に凹むとともに前記肩部を貫通し、上方に開口するように延在していることを特徴とする。
【0007】
また、本開示のグリップ付き容器は、
[2]
上記[1]の構成において、前記口部の上端部から前記底部の下端部までの全高は、190mm以上202mm以下であることが好ましい。
【0008】
また、本開示のグリップ付き容器は、
[3]
上記[2]の構成において、前記グリップ部の上下方向長さは、前記全高の35%以上60%以下であることが好ましい。
【0009】
また、本開示のグリップ付き容器は、
[4]
上記[2]又は[3]の構成において、前記表示部の上下方向長さは、前記全高の20%以上45%以下であることが好ましい。
【0010】
また、本開示のグリップ付き容器は、
[5]
上記[1]から[4]のいずれかの構成において、前記凹部内には、径方向外側に突出するとともに周方向に延びる滑り止めリブが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、容器の全高が制限されていても、グリップのし易さを損なうことなくラベル等の表示領域を確保し易くすることが可能なグリップ付き容器を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係るグリップ付き容器の側面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るグリップ付き容器の背面図である。
【
図3】
図1におけるA-A断面による断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るグリップ付き容器の底面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るグリップ付き容器にキャップを装着した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示をより具体的に説明する。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態であるグリップ付き容器100の構成を示す正面図である。グリップ付き容器100は、内容物の収容空間S(
図3参照)を形成する胴部20と、胴部20の上端部に肩部30を介して連なり内容物を供給し排出する開口10aを内側に形成する口部10と、胴部20の下端部を閉塞する底部40とを備えている。口部10の外周面には、
図1に示すように、キャップやポンプ等をねじ係合によって装着可能とする雄ねじ部10bが設けられている。
【0015】
なお、本明細書、特許請求の範囲および図面では、口部10が位置する側を上方(
図1における上側)とし、底部40が位置する側を下方(
図1における下側)とする。また、グリップ付き容器100を説明する便宜上、
図1及び
図3における左方向を前方、
図1及び
図3における右方向を後方、
図1における紙面に垂直方向(
図3における上下方向)を左右方向とする。また、径方向外側とは、
図1におけるグリップ付き容器100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oから離れる方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。
【0016】
胴部20は、
図1から
図4に示すように、略円筒形状を備える周壁21を備えている。本実施形態では、周壁21における周方向2か所(
図2及び
図3参照)において、径方向内側に凹む一対の凹部23が設けられている。凹部23は、
図2及び
図3に示すように、左右方向に対称形状となるように形成されており、
図1及び
図3に示すように、中心軸線Oよりも後方寄り(
図1及び
図3における右寄り)にオフセットした位置から径方向内側に凹んでいる。また、凹部23は、その側面23bが肩部30を貫通し、上方に開口するように延在している。つまり、
図3において破線も交えて示されている凹部23の側面23bは、後述する滑り止めリブ23aが設けられた高さ位置を除いて、平面視で略同一形状のまま上方に向かって延在し、肩部30を貫通している。
【0017】
上述のように、凹部23を中心軸線Oよりも後方側にオフセットして配置することによって、
図3に示すように、中心軸線Oよりも前方(
図3における左側)における胴部20の左右方向幅W
F(
図3における上下方向幅)よりも、中心軸線Oよりも後方(
図3における右側)における胴部20の左右方向幅W
Rの方が短くなっている。この構成によって、利用者が後方側から容易にグリップ部25を把持することができる。凹部23は、本実施形態のように一対のみ設けてもよいし、二対以上の凹部23を設けるようにしてもよい。
【0018】
凹部23には、
図1から
図3に示すように、凹部23の側面23bから径方向外側に突出する滑り止めリブ23aが設けられている。滑り止めリブ23aは、凹部23の高さ方向の2か所において側面23bから径方向外側に突出するとともに周方向に延びており、凹部23の下端面23b2から上方に向けて少なくとも利用者の指1本が入れられる高さ間隔をあけて配置されている。
【0019】
図3に示すように、本実施形態において、2つの凹部23と、胴部20の後方における周壁21は、利用者がグリップ付き容器100を把持するためのグリップ部25を構成している。すなわち、利用者は、例えば2つの凹部23の一方の凹部23の滑り止めリブ23aに親指をかけ、他方の凹部23の滑り止めリブ23aに中指及び薬指をかけ、手のひらを後方における周壁21に押し当てながらグリップ部25を把持してグリップ付き容器100を持ち上げることができる。
【0020】
本実施形態では、
図1に示す凹部23の側面23bと胴部20の周壁21との交線23b1や、側面23bと滑り止めリブ23aとの交線23a1には、R面取りが施されている。この構成によって、利用者がグリップ部25を把持する際に、凹部23や滑り止めリブ23aに指を掛け易くすることができる。
【0021】
例えば、
図1において、後方(
図1の右側)の周壁21を手のひらで覆いながら図面手前側の凹部23の滑り止めリブ23aと図示されていない奥側の凹部23の滑り止めリブ23aとに指を掛けてグリップ付き容器100を把持する場合に、手のひらで覆う領域は全てR面で構成されているので、利用者がグリップ付き容器100を把持し易くすることができる。
【0022】
また、本実施形態では凹部23が上方に貫通しているため、利用者は、上記2つの凹部23に指を掛けることに加えて、人差し指を肩部30の後方側に掛けるなど、多様な持ち方をすることができる。凹部23の側面23bと胴部20の周壁21との交線23b1は、周壁21に沿う全周に亘ってR面取りが施されている。そして、周方向に隣接する2つの凹部23同士は、全高さ領域において外周面がR面のみによって連結されている(
図3参照)。したがって、凹部23の上部において親指並びに中指と薬指で2つの凹部23を掛け渡すとともに人差し指を肩部30に掛ける場合にも、指が接触する部位は全てR面で形成されている。したがって、この持ち方においても利用者がグリップ付き容器100を把持し易くすることができる。
【0023】
本実施形態では、
図1に示すように、凹部23が形成されたグリップ部25の上下方向長さ(高さ)H
Gを、グリップ付き容器100の全高H
Aの約50.5%としている。そして、グリップ部25の上下方向長さ(高さ)H
Gは、グリップ付き容器100の全高H
Aの35%以上60%以下とすることが好ましい。この構成によって、例えば内容量600mLから2500mLの範囲のグリップ付き容器100において、利用者が持ち易い上下方向長さ(高さ)を有するグリップ部25とすることができる。
【0024】
また、本実施形態において、胴部20におけるグリップ部25の下方に設けられ、全周にわたって加飾等の表示が可能な表示部27の上下方向長さ(高さ)H
Dは、グリップ付き容器100の全高H
Aの約26.5%としている。そして、表示部27の上下方向長さ(高さ)H
Dは、グリップ付き容器100の全高H
Aの20%以上45%以下であることが好ましい。この構成によって、例えば内容量600mLから2500mLの範囲のグリップ付き容器100において、適切な表示部27の領域を確保することができる。なお、グリップ付き容器100の全高H
Aは、
図1に示すように、口部10の上端部から底部40の下端部までの上下方向長さ(高さ)である。本実施形態では、収容スペースの都合上容器の全高が制限されている場合を想定し、グリップ付き容器100の全高H
Aは、190mm以上202mm以下とされている。グリップ付き容器100の全高H
Aを190mm以上202mm以下とすることによって、後述するキャップやポンプなどの装着品を含めたセット全高の高さを195mm以上205mm以下に収め易くなる。この構成によって、セット全高を棚の高さ寸法内に収め易くすることができる。
【0025】
本実施形態では、上述のように、グリップ部25の凹部23が径方向内側に凹むとともに肩部30を貫通し、上方に開口するように延在している。この構成によって、利用者がグリップ部25の凹部23に指を入れる際に、親指や人差し指などの側面が径方向内側に凹んだ凹部の上端部に当接してしまうことがない。したがって、利用者が指を凹部23内に挿入するために必要なグリップ部25の上下方向長さ(高さ)を短くすることができる。
【0026】
他方、グリップ部25は、凹部23の下端面23b2まで下方に延在し、下端面23b2によってさらに下方に連なる表示部27とは区画されている。この構成によって、凹部23を下端面23b2より下方には延在させず、平面視で略円形形状の表示部27の領域を確保するように構成している。
【0027】
表示部27は、
図1及び
図2に示すように、胴部20におけるグリップ部25の下方に設けられ、本実施形態では、胴部20の全周にわたって表示が可能となるように平面視で略円形状とされている。表示部27には、例えばラベルを装着し、ラベルに利用者に美観を起こさせるデザイン、商標、商品名、製造者名又は内容物の説明などを表示することができる。表示部27は、胴部20の周壁21上に印刷、転写などの手段によって直接加飾を施すこともできる。
【0028】
表示部27は、本実施形態のように、胴部20の全周にわたって表示が可能なように平面視で略円形状、略楕円形状、矩形形状など、周方向及び上下方向に亘って径方向の起伏が少ない形状であることが好ましい。しかし、この態様には限定されず、例えばグリップ付き容器100の剛性を高めるために、上下方向及び/又は周方向に延びる補強リブ等を、表示に影響を与えない小さな面積で表示部27に設けてもよい。
【0029】
グリップ付き容器100は、例えば、ポリエチレン(PE)若しくはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂、又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)若しくはポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂を主材とする樹脂によって形成することができる。例えば、グリップ付き容器100にポリエチレンを用いる場合には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いることができ、HDPEやPPを用いた場合には、グリップ付き容器100に高い剛性を付与することができる。また、単一のPET樹脂を用いた場合には、PETボトルとして回収、リサイクルできる可能性もある。グリップ付き容器100は、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂以外の他の樹脂で形成してもよい。また、グリップ付き容器100は、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂等のバージン材のほか、バージン材に再生材を混合した樹脂であってもよい。また、バージン材の層及び再生材を含む層を積層することもできる。また、グリップ付き容器100は、再生材のみにより構成されていてもよい。グリップ付き容器100は、2層以上の樹脂層を積層した積層容器として構成されていてもよい。
【0030】
グリップ付き容器100は、上述のポリオレフィン系樹脂等のバージン材、バージン材と再生材との混合材又は再生材のみによって構成された単一の樹脂層であることが好ましい。グリップ付き容器100を単一の樹脂層とすることによって、後述する表示部27からラベル等を剥離させることのみによってグリップ付き容器100の分別が完了する。また、ラベル等を分別したグリップ付き容器100をリサイクルすることで、単一材料のリサイクル材として利用することができるため、よりリサイクル適性を向上させることができる。しかし、この態様には限定されず、グリップ付き容器100は、例えばまとめて分別可能な複数の樹脂層を積層して構成してもよい。複数の樹脂層を含む例としては、例えばグリップ付き容器100を、ポリプロピレンのバージン材と再生材との混合材、並びにポリプロピレンのバージン材を含む複数の樹脂層で構成する場合が挙げられる。本実施形態では、グリップ付き容器100としてポリプロピレンのバージン材を用いている。
【0031】
本実施形態では、胴部20の表示部27の下端部には、下方に向けて径方向外側に拡径する段部22が形成されている。この段部22が形成されることによって、胴部20の下部における周方向の剛性を高めることができる。また、表示部27における変形を抑制して、表示部27に表示された加飾の歪みを抑制することができる。なお、段部22を設けずに、胴部20の下端部まで表示部27が延在するようにしてもよい。
【0032】
底部40は、周縁部よりも底上げされた凹所43が設けられており、
図4に示すように、凹所43には、図の左右方向に延びるピンチオフ部45が設けられている。
【0033】
本実施形態に係るグリップ付き容器100は、押出成形によってパリソンを形成し、次にそのパリソンに対してブロー成形を行うことによって形成されている。ピンチオフ部45は、ブロー成形の割り金型による食い切りによって形成されている。
【0034】
なお、加飾は、必ずしも表示部27の外周面に設ける必要はなく、例えばグリップ付き容器100を積層容器として構成する場合、内層体の外面に設けるなどしてもよく、加飾を施す樹脂層は限定されない。
【0035】
このグリップ付き容器100は、押出成形によってパリソンを形成し、次にそのパリソンに対してブロー成形を行うことによってグリップ付き容器100を製造する例に基づいて説明したが、この態様には限定されない。グリップ付き容器100の製造は、プリフォームを延伸ブロー成形することによって形成するようにしてもよい。
【0036】
本実施形態のグリップ付き容器100は、例えば
図5に示すように、周壁51及び天壁53を備え、口部10の雄ねじ部10bにねじ係合可能な雌ねじ部を有するキャップ50を装着して口部10の開口10aを閉塞することができる。しかし、この態様に限定されず、キャップ50に代えて、収容空間S内の内容物を上方に向けて圧送可能なポンプ等を装着するようにしてもよい。
【0037】
以上述べたように、本実施形態に係るグリップ付き容器100は、内容物を収容する胴部20と、胴部20の上端部に肩部30を介して連なり胴部20よりも縮径した口部10と、胴部20の下端部を閉塞する底部40とを有するグリップ付き容器100であって、胴部20は、周方向に並ぶ複数の凹部23を有するグリップ部25と、グリップ部25の下方に設けられ、胴部20の全周にわたって表示が可能な表示部27とを備え、凹部23は、径方向内側に凹むとともに肩部30を貫通し、上方に開口するように延在するように構成した。このような構成の採用によって、グリップ部25の上方に壁が存在しないため、利用者がグリップ部25の凹部23に指を入れる際に、親指や人差し指などの側面が凹部23の上端部に当接してしまうことがない。したがって、利用者が指を凹部23内に挿入するために必要なグリップ部25の上下方向長さ(高さ)を短くすることができる。よって、収容スペースの都合上全高が制限されているグリップ付き容器100において、グリップのし易さを損なうことなく、ラベル等の表示領域を確保し易くすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、口部10の上端部から底部40の下端部までの全高HAは、190mm以上202mm以下であるように構成した。このような構成の採用によって、収容スペースの都合上全高が制限されているグリップ付き容器100においても、グリップ部25と表示部27をバランスよく設けることができる。グリップ付き容器100の全高HAを190mm以上202mm以下とすることによって、キャップ50やポンプなどの装着品を含めたセット全高の高さを195mm以上205mm以下に収め易くなる。この構成によって、セット全高を棚などの収容スペースの高さ寸法内に収め易くすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、グリップ部25の上下方向長さHGは、全高HAの35%以上60%以下であるように構成した。このような構成の採用によって、全高HAが、190mm以上202mm以下であるグリップ付き容器100において、利用者が持ち易い上下方向長さ(高さ)を有するグリップ部25とすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、表示部27の上下方向長さは、全高HAの20%以上45%以下であるように構成した。このような構成の採用によって、全高HAが、190mm以上202mm以下であるグリップ付き容器100において、適切な表示部27の領域を確保することができる。
【0041】
また、本実施形態では、凹部23内には、径方向外側に突出するとともに周方向に延びる滑り止めリブ23aが形成されるように構成した。このような構成の採用によって、利用者が指先や指の側面を滑り止めリブ23aに掛けることができるので、より確実にグリップ付き容器100をグリップして持ち運ぶことができる。
【0042】
また、本実施形態では、複数の凹部23の周方向に隣接する凹部23同士は、全高さ領域においてR面によって連結されるように構成した。このような構成の採用によって、利用者がグリップ付き容器100を多様な持ち方で把持し易くすることができる。
【0043】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0044】
例えば、本実施形態では、口部10の外周面に雄ねじ部10bを設けて、キャップ50やポンプ等をねじ係合によって装着可能に構成したが、この態様には限定されない。口部10には、雄ねじ部10bに代えて、又は雄ねじ部10bとともに、打栓係合により装着キャップやポンプ等を装着するための環状突部を設けるようにしてもよい。また、口部10に係合部を設けない構成としてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、グリップ付き容器100を、押出成形によって形成されたパリソンをブロー成形することによって形成するか、又はプリフォームを延伸ブロー成形することによって形成する例を示したが、これらの態様には限定されない。グリップ付き容器100は、積層構造を有する場合に例えば二色成形によって形成してもよいし、複数のプリフォームを金型にセットして延伸ブロー成形を行うことによって形成してもよい。また、ブロー成形用パリソンは、押出成形以外の方法で形成することも可能である。
【0046】
また、本開示は、胴部20が平面視で略円形状を有する態様のグリップ付き容器100のみならず、略楕円形状のほか、単に長軸と短軸を有する扁平形状であってもよい。また、角形容器又はカップ容器などにも広く適用することができる。
【0047】
また、本実施形態では、2つ(一対)の凹部23が周方向に並べて配置されるように構成したが、この態様には限定されない。3つ以上の凹部23が周方向に並べて配置されてもよいし、二対以上の凹部23を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示によれば、容器の全高が制限されていても、グリップのし易さを損なうことなくラベル等の表示領域を確保し易くすることが可能なグリップ付き容器100を提案することが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
10 口部
10a 開口
10b 雄ねじ部
20 胴部
21 周壁
22 段部
23 凹部
23a 滑り止めリブ
23a1 交線
23b 側面
23b1 交線
23b2 下端面
25 グリップ部
27 表示部
30 肩部
40 底部
43 凹所
45 ピンチオフ部
50 キャップ
51 周壁
53 天壁
100 グリップ付き容器
O 中心軸線
S 収容空間