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特開2023-16409液状組成物、塗料、ならびに塗装構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016409
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】液状組成物、塗料、ならびに塗装構造物
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20230126BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20230126BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20230126BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20230126BHJP
   C09D 179/08 20060101ALI20230126BHJP
   C09D 171/00 20060101ALI20230126BHJP
   C09D 127/12 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
C08L79/08
C08K5/541
C08L63/00 A
C08L27/12
C09D179/08
C09D171/00
C09D127/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120695
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】390005050
【氏名又は名称】東邦化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】堀園 拓磨
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
4J002BD123
4J002BD12Y
4J002CD002
4J002CD00X
4J002CM041
4J002CM04W
4J002EX076
4J002GH01
4J038CD091
4J038DB001
4J038DJ021
4J038NA27
(57)【要約】
【課題】低分子量のポリイミド類縁体を含み、性状安定性および成膜性に優れる液状組成物が提供される。さらに、この液状組成物を含む塗料、ならびにこの塗料を用いて得られる塗装構造物を提供する。
【解決手段】第1ポリイミド類縁体と、前記第1ポリイミド類縁体より大きい重量平均分子量を有する、第2ポリイミド類縁体と、を含む、液状組成物。上記の液状組成物を含む塗料。基材と、上記の塗料を用いて前記基材上に形成された塗膜と、を備える、塗装構造物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポリイミド類縁体と、
前記第1ポリイミド類縁体より大きい重量平均分子量を有する、第2ポリイミド類縁体と、を含む、液状組成物。
【請求項2】
前記液状組成物は、さらに、塩基性化合物を含む、請求項1に記載の液状組成物。
【請求項3】
前記第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwと、前記第2ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwとは、Mw×2≦Mwの関係を満たす、請求項1または2に記載の液状組成物。
【請求項4】
前記第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、20,000以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項5】
前記第1ポリイミド類縁体は、ポリイミド成型品の加水分解物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項6】
前記第1ポリイミド類縁体は、ポリアミック酸を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項7】
前記第1ポリイミド類縁体における前記ポリアミック酸の含有割合は、10質量%以上90質量%以下である、請求項6に記載の液状組成物。
【請求項8】
前記第2ポリイミド類縁体の含有量は、前記第1ポリイミド類縁体100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項9】
カップリング剤を、さらに含み、
前記カップリング剤は、前記第1ポリイミド類縁体と反応可能な官能基を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項10】
前記第1ポリイミド類縁体は、ポリアミック酸を含み、
前記カップリング剤は、カルボキシ基と反応可能な官能基を有する、請求項9に記載の液状組成物。
【請求項11】
前記官能基は、アミノ基、エポキシ基およびイソシアネート基よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項10に記載の液状組成物。
【請求項12】
前記カップリング剤は、前記官能基を有するシラン系カップリング剤を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の液状組成物を含む、塗料。
【請求項14】
エポキシ樹脂をさらに含む、請求項13に記載の塗料。
【請求項15】
フッ素樹脂をさらに含む、請求項13または14に記載の塗料。
【請求項16】
基材と、
請求項13~15のいずれか一項に記載の塗料を用いて、前記基材上に形成された塗膜と、を備える、塗装構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状組成物、塗料、ならびに塗装構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、一般に、優れた耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性および機械強度を有しており、塗料、電子部品、精密機械、自動車部品等の様々な分野で使用されている。一方、ポリイミドは、上記のような特性を有しているため、再利用が困難である。
【0003】
近年、ポリイミドフィルム等の成型品を化学的に加水分解して、再利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/079717号
【特許文献2】国際公開第2019/181145号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2では、ポリイミド成型品の加水分解により得られる、特定のイミド基含有化合物と、粘度安定剤あるいはフッ素樹脂とを混合している。特許文献1および2によれば、安定な水溶液が調製されて、ポリイミドの再利用が可能となる。
【0006】
本発明では、上記特許文献とは異なる方法により、ポリイミド成型品の加水分解物等を含む液状組成物の性状安定性を向上させる。さらに、この液状組成物の成膜性を向上させる。すなわち、本発明は、低分子量のポリイミド類縁体を含み、性状安定性および成膜性に優れる液状組成物を提供することを目的とする。さらに、この液状組成物を含む塗料、ならびにこの塗料を用いて得られる塗装構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1ポリイミド類縁体と、前記第1ポリイミド類縁体より大きい重量平均分子量を有する第2ポリイミド類縁体と、を含む、液状組成物が提供される。
【0008】
前記液状組成物は、さらに、塩基性化合物を含むことが好ましい。塩基性化合物によって、第1ポリイミド類縁体および/または第2ポリイミド類縁体、あるいはこれらの混合生成物(以下、単にポリイミド類縁体と総称する場合がある。)の、溶解性が高まる。そのため、液状組成物の性状安定性はさらに向上する。
【0009】
前記第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwと、前記第2ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwとは、Mw×2≦Mwの関係を満たしてよい。第1ポリイミド類縁体に対し、十分に大きい分子量を有する第2ポリイミド類縁体を用いることにより、液状組成物の性状安定性はさらに向上し易くなる。
【0010】
第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、20,000以下であってよい。
【0011】
前記第1ポリイミド類縁体は、ポリイミド成型品の加水分解物であってよい。
【0012】
前記第1ポリイミド類縁体は、ポリアミック酸を含んでよい。前記第1ポリイミド類縁体における前記ポリアミック酸の含有割合は、例えば、10質量%以上90質量%以下である。
【0013】
前記第2ポリイミド類縁体の含有量は、前記第1ポリイミド類縁体100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であってよい。
【0014】
前記液状組成物は、カップリング剤をさらに含んでよい。前記カップリング剤は、前記第1ポリイミド類縁体と反応可能な官能基を有することが好ましい。
【0015】
前記第1ポリイミド類縁体が、ポリアミック酸を含む場合、前記カップリング剤は、例えば、カルボキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
【0016】
前記官能基は、アミノ基、エポキシ基およびイソシアネート基よりなる群から選択される少なくとも1種であってよい。
【0017】
前記カップリング剤は、前記官能基を有するシラン系カップリング剤を含んでよい。
【0018】
本発明によれば、また、上記の液状組成物を含む塗料が提供される。
【0019】
塗料は、エポキシ樹脂および/またはフッ素樹脂をさらに含んでよい。
【0020】
本発明によれば、さらに、基材と、上記の塗料を用いて、前記基材上に形成された塗膜と、を備える、塗装構造物が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、低分子量のポリイミド類縁体を含み、性状安定性および成膜性に優れる液状組成物が提供される。本発明によれば、さらに、この液状組成物を含む塗料、ならびにこの塗料を用いて得られる塗装構造物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明において、分子量の異なる少なくとも2種のポリイミド類縁体が用いられる。低分子量のポリイミド類縁体を溶媒の存在下で保管すると、変色やゲル化が生じる場合がある。しかし、高分子量のポリイミド類縁体を添加することにより、低分子量のポリイミド類縁体を含む液状組成物の性状が安定化し、変色やゲル化が抑制されることが判明した。さらに、高分子量のポリイミド類縁体は、低分子量のポリイミド類縁体を含む液状組成物が成膜される際のクラックおよび気泡(ボイド)の発生を抑制する。
【0023】
液状組成物の性状が安定化する理由は定かではないが、以下のように推察される。低分子量のポリイミド類縁体は化学的に不安定であり、保管中に、分子間あるいは分子内における相互作用(例えば、分子パッキングといわれる分子間相互作用)や化学反応が起き易い。しかし、高分子量のポリイミド類縁体が、低分子量のポリイミド類縁体の分子間あるいは同一分子内の官能基間に入り込むことによって、上記の分子間あるいは分子内における相互作用等が阻害される。その結果、液状組成物の性状が安定化するものと考えられる。
【0024】
さらに、低分子量のポリイミド類縁体の分子間に入り込んだ高分子量のポリイミド類縁体は、成膜時における低分子量のポリイミド類縁体の収縮や揮発を抑制する。その結果、クラックおよび気泡の発生が抑制されるものと考えられる。
【0025】
加えて、添加される高分子量のポリイミド類縁体は、低分子量のポリイミド類縁体と同種の成分である。そのため、得られる塗膜において、ポリイミド類縁体が有する性能(代表的には、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性および機械強度)の機能が損なわれ難い。
【0026】
[液状組成物]
本実施形態に係る液状組成物は、第1ポリイミド類縁体と、第1ポリイミド類縁体より大きい重量平均分子量を有する第2ポリイミド類縁体と、を含む。このような液状組成物は、性状安定性および成膜性に優れる。性状安定性に優れるとは、例えば、長期保管した場合にも、性状の変化(代表的には、変色、ゲル化)が生じ難いことをいう。成膜性に優れるとは、例えば、得られる膜にクラックや気泡が生じ難いことをいう。
【0027】
液状組成物は、第1ポリイミド類縁体と第2ポリイミド類縁体とを、溶媒の存在下で混合することにより調製される。液状組成物が、第1ポリイミド類縁体と第2ポリイミド類縁体とを含むとは、材料として用いられた第1ポリイミド類縁体および第2ポリイミド類縁体を含むか、または、これらと共に、あるいはこれらに替えて、第1ポリイミド類縁体と第2ポリイミド類縁体とが混合されて生じた混合生成物を含む、と理解される。混合生成物は、例えば、第1ポリイミド類縁体および第2ポリイミド類縁体の主鎖の交換反応により得られ、材料として用いられた第1ポリイミド類縁体および第2ポリイミド類縁体のいずれとも異なる。
【0028】
液状組成物の固形分濃度は特に限定されず、用途や粘度等を考慮して適宜設定される。取り扱い性の観点から、液状組成物の固形分濃度は、3質量%以上40質量%以下であってよい。
【0029】
液状組成物は、例えば、フィルム形成用の材料、コーティング剤、プリント配線基板用材料、FRP(繊維強化プラスチック)用含浸材料として用いられる。本実施形態に係る液状組成物によれば、クラックおよび気泡の発生が抑制された、厚みの大きな(例えば、20μm以上、特には40μm以上の)フィルムや塗膜を、一工程で作製することができる。
【0030】
(第1ポリイミド類縁体)
第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、例えば、20,000以下である。液状組成物がこのように分子量の小さいポリイミド類縁体を含んでいても、高い性状安定性および成膜性が得られる。第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、18,000以下であってよく、15,000以下であってよく、10,000以下であってよい。第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、例えば、2,000以上であってよく、5,000以上であってよい。
【0031】
液状組成物における第1ポリイミド類縁体の含有割合は特に限定されず、用途や液状組成物の粘度等を考慮して、適宜設定される。第1ポリイミド類縁体の含有割合は、例えば、液状組成物の固形分の50質量%以上であってよく、60質量%以上が好ましい。第1ポリイミド類縁体の含有割合は、例えば、液状組成物の固形分の95質量%以下であってよく、90質量%以下が好ましい。
【0032】
第1ポリイミド類縁体は、第1ポリイミド、ポリイミド前駆体である第1ポリアミック酸およびポリイミドに由来する第1ジカルボン酸の少なくとも1つを含む。第1ポリイミドを含むとは、ポリイミドに特徴的な構造を含む、と同義である。第1ポリアミック酸を含むとは、ポリアミック酸に特徴的な構造を含む、と同義である。第1ジカルボン酸を含むとは、ジカルボン酸に特徴的な構造を含む、と同義である。
【0033】
ポリイミドに特徴的な構造とは、少なくとも1つのイミド基を有する単位構造(以下、第1単位構造と称す。)である。ポリアミック酸に特徴的な構造とは、少なくともアミド基とカルボキシル基とを有する単位構造(以下、第2単位構造と称す。)である。ジカルボン酸に特徴的な構造とは、少なくとも2つのカルボキシ基を有する単位構造(以下、第3単位構造と称す。)である。
【0034】
第1ポリイミド類縁体は、1分子内に、第1単位構造、第2単位構造および第3単位構造よりなる群から選択される少なくとも1つを有する。第1ポリイミド類縁体は、2つ以上の上記単位構造を有していてよい。第1ポリイミド類縁体は、第1単位構造を有するポリマー、第2単位構造を有するポリマー、または、第3単位構造を有するポリマーよりなる群から選択される少なくとも1つを含む。第1ポリイミド類縁体は、2つ以上の上記ポリマーの混合物および/または2つ以上の上記ポリマーが混合されて生じた混合生成物であってよい。少なくとも1つの第2単位構造を備えるポリマーは、ポリアミック酸とみなしてよい。アミド基と2つのカルボキシル基とを有する単位構造も、ポリアミック酸の構造とみなしてよい。
【0035】
重量平均分子量Mwは、第1ポリイミド、第1ポリアミック酸または第1ジカルボン酸、あるいは、これらの混合物(および/または混合生成物)の重量平均分子量である。
【0036】
第1ポリイミド類縁体は、少なくとも第1ポリアミック酸を含むことが好ましい。言い換えれば、第1ポリイミド類縁体は、少なくともポリアミック酸に特徴的な構造(第2単位構造)を有することが好ましい。第1ポリイミド類縁体における第1ポリアミック酸の含有割合は、例えば、第1ポリイミド類縁体の10質量%以上であってよい。特に化学的に不安定な低分子量のポリアミック酸が、上記割合で含まれる場合であっても、液状組成物は、優れた性状安定性および成膜性を備える。第1ポリアミック酸の含有割合は、第1ポリイミド類縁体の25質量%以上であってよい。第1ポリアミック酸の含有割合は、第1ポリイミド類縁体の90質量%以下であってよく、75質量%以下であってよく、50質量%以下であってよい。一態様において、第1ポリイミド類縁体における第1ポリアミック酸の含有割合は、10質量%以上90質量%以下である。第1ポリイミド類縁体の質量は、液状組成物の調製に用いられた第1ポリイミド類縁体の、調製時における固形分の質量である(以下、同様である。)。
【0037】
〈第1ポリイミド〉
第1ポリイミドは特に限定されないが、典型的には、環状イミド構造と芳香環とを有する。第1ポリイミドは、例えば、芳香族ジカルボン酸無水物とジアミンとの重縮合、あるいは、芳香族ジカルボン酸無水物とジイソシアネートとの重付加反応によって得られる。第1ポリイミドは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0038】
芳香族ジカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,2,5,6-ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-ジカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルジカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルジカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンジカルボン酸二無水物(BTDA)、3,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸二無水物(DSDA)が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、PMDA、BPDAが好ましい。
【0039】
ジアミンは、芳香族ジアミン化合物であってよく、脂肪族ジアミン化合物であってよい。芳香族ジアミン化合物としては、例えば、p-フェニレンジアミン(PPD)、m-フェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,4-ジアミノトルエン、4,4′-ジアミノビフェニル、4,4′-ジアミノ-2,2′-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(PFMB)、2,2′-ジメチル‐4,4′-ジアミノビフェニル(DMDB)、3,3′-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,3′-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、1,4-ジアミノブタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,7-ジアミノヘプタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノペンタン、1,8-ジアミノオクタン、1,3-ジアミノプロパン、1,11-ジアミノウンデカン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタンが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、PPD、ODAが好ましい。
【0040】
以下の構造式(1)、(2)および(3)は、PMDAまたはBPDAと、PPDまたはODAとの縮合反応で得られる、第1ポリイミドの単位構造(第1単位構造)の一例である。式中、nは2以上である。第1ポリイミドは、これに限定されるものではない。
【0041】
【化1】
【0042】
ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート化合物であってよく、脂肪族ジイソシアネート化合物であってよい。芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、2,2-ビス(4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、1,5-ジイソシアナトナフタレン、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル、ジイソシアン酸1,3-フェニレン、1,4-フェニレンジイソシアナート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トルエンジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
【0043】
〈第1ポリアミック酸〉
第1ポリアミック酸は、ポリイミドの前駆体である。第1ポリアミック酸を加熱等によって脱水縮合させることにより、ポリイミドが生成する。第1ポリアミック酸から生成されるポリイミドとしては、例えば、第1ポリイミドが挙げられる。第1ポリアミック酸は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0044】
第1ポリアミック酸は、アミド基とカルボキシ基とを有する第2単位構造を備える。第2単位構造は、例えば、下記式(4)で表される。Rは炭化水素基である。
【0045】
【化2】
【0046】
第1ポリアミック酸は、第1ポリイミドと同様に、一般的に、芳香族ジカルボン酸無水物とジアミンとの重縮合、あるいは、芳香族ジカルボン酸無水物とジイソシアネートとの重付加反応によって得られる。芳香族ジカルボン酸無水物由来の第2単位構造は、例えば、下記式(5)で表される。下記式(5)は、第2単位構造の一部を示している。第1ポリアミック酸は、これに限定されるものではない。
【0047】
【化3】
【0048】
〈第1ジカルボン酸〉
第1ジカルボン酸は、ポリイミドに由来する。例えば、ポリイミドを加水分解することにより、第1カルボン酸が得られる。上記ポリイミドとしては、例えば、第1ポリイミドが挙げられる。第1ジカルボン酸は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0049】
芳香族ジカルボン酸無水物由来の第1ジカルボン酸が備える第3単位構造は、例えば、下記式(6)で表される。下記式(6)は、第3単位構造の一部を示している。第1ジカルボン酸は、これに限定されるものではない。
【0050】
【化4】
【0051】
第1ポリイミド類縁体は、ポリイミド成型品の加水分解物であってよい。ポリイミド成型品の加水分解物は、例えば、上記の第1ポリイミド、第1ポリイミドの前駆体である第1ポリアミック酸、および、第1ポリイミドに由来する第1ジカルボン酸の少なくとも1つを含む。第1ポリイミド類縁体は、複数種のポリイミド成型品の混合物の加水分解物であってよい。
【0052】
ポリイミド成型品は特に限定されず、例えば、ポリイミド製のフィルム、塗膜、レジスト、筐体、電子部品、回路基板、容器、精密機械部品、自動車部品が挙げられる。本実施形態によれば、このようなポリイミド成型品を再利用することができる。
【0053】
ポリイミド成型体は、例えば裁断あるいは粉砕された後、加水分解される。加水分解の条件は特に限定されない。加水分解は、例えば、水および塩基性の無機化合物の存在下で、40℃以上100℃以下、大気圧下で1時間から48時間行われる。塩基性無機化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
【0054】
(第2ポリイミド類縁体)
第2ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwより大きい。分子量の大きい第2ポリイミド類縁体によって、第1ポリイミド類縁体の分子間あるいは分子内の相互作用等が抑制されて、液状組成物の性状安定性および成膜性が向上する。
【0055】
第1ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwと、第2ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwとは、Mw×2≦Mwの関係を満たすことが好ましい。これにより、第2ポリイミド類縁体の効果がより得られ易くなる。例えば、最小の重量平均分子量を有するポリイミド類縁体を第1ポリイミド類縁体とし、これより2倍以上の重量平均分子量を有するポリイミド類縁体を第2ポリイミド類縁体とみなすことができる。重量平均分子量MwとMwとは、Mw×3≦Mwの関係を満たすことがより好ましく、Mw×4≦Mwの関係を満たすことが特に好ましい。
【0056】
第2ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、Mw×2≦Mwの関係を満たすことが好ましく、特に限定されない。重量平均分子量Mwは、5,000以上であってよく、20,000以上であってよく、30,000以上であってよい。第2ポリイミド類縁体の重量平均分子量Mwは、200,000以下であってよく、100,000以下であってよく、80,000以下であってよい。
【0057】
液状組成物における第2ポリイミド類縁体の含有量は特に限定されず、第1ポリイミド類縁体の含有量に応じて、適宜設定される。性状安定性および成膜性の観点から、第2ポリイミド類縁体の含有量は、第1ポリイミド類縁体100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましい。第2ポリイミド類縁体の含有量は、第1ポリイミド類縁体100質量部に対して、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が特に好ましい。第2ポリイミド類縁体の含有量は、第1ポリイミド類縁体100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下が特に好ましい。第2ポリイミド類縁体の質量は、液状組成物の調製に用いられた第2ポリイミド類縁体の、調製時における固形分の質量である(以下、同様である。)。
【0058】
第2ポリイミド類縁体は、第2ポリイミド、ポリイミド前駆体である第2ポリアミック酸およびポリイミドに由来する第2ジカルボン酸の少なくとも一種を含む。第1ポリイミド類縁体と同様に、第2ポリイミドを含むとは、ポリイミドに特徴的な構造を含む、と同義である。第2ポリアミック酸を含むとは、ポリアミック酸に特徴的な構造を含む、と同義である。第2ジカルボン酸を含むとは、ジカルボン酸に特徴的な構造を含む、と同義である。ポリイミドに特徴的な構造とは、上記の第1単位構造である。ポリアミック酸に特徴的な構造とは、上記の第2単位構造である。ジカルボン酸に特徴的な構造とは、上記の第3単位構造である。
【0059】
第2ポリイミド類縁体は、1分子内に、第1単位構造、第2単位構造および第3単位構造よりなる群から選択される1つ、または2つ以上の単位構造を有していてよい。第2ポリイミド類縁体は、第1単位構造を有するポリマー、第2単位構造を有するポリマー、または、第3単位構造を有するポリマーよりなる群から選択される少なくとも1つ、または2つ以上の混合物(および/または混合生成物)であってよい。
【0060】
重量平均分子量Mwは、第2ポリイミド、第2ポリアミック酸または第2ジカルボン酸、あるいは、これらの混合物の重量平均分子量である。
【0061】
第2ポリイミド類縁体は、少なくとも第2ポリアミック酸を含むことが好ましい。言い換えれば、第2ポリイミド類縁体は、少なくともポリアミック酸に特徴的な構造(第2単位構造)を有することが好ましい。第2ポリイミド類縁体における第2ポリアミック酸の含有割合は、例えば、第2ポリイミド類縁体の50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、100質量%であってよい。高分子量のポリアミック酸が含まれることにより、液状組成物の性状安定性および成膜性はさらに向上する。
【0062】
第2ポリイミドもまた、典型的には、環状イミド構造と芳香環とを有する。第2ポリイミドは、一般的に、芳香族ジカルボン酸無水物とジアミンとの重縮合、あるいは、芳香族ジカルボン酸無水物とジイソシアネートとの重付加反応によって得られる。第2ポリイミドは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。芳香族ジカルボン酸無水物、ジアミンおよびジイソシアネートとしては、第1ポリイミドの原料として例示したものが挙げられる。
【0063】
第2ポリアミック酸としては、例えば、第2ポリイミドの前駆体が挙げられる。第2ジカルボン酸としては、例えば、第2ポリイミド由来のものが挙げられる。第2ポリイミド、第2ポリアミック酸および第2ジカルボン酸はそれぞれ、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。第1ポリイミド類縁体と第2ポリイミド類縁体とは、同種であってよく、異種であってよい。
【0064】
なかでも、耐熱性の観点から、第2ポリイミド類縁体は、PMDAまたはBPDAと、PPDまたはODAとの縮合反応で得られる、ポリアミック酸を含むことが好ましい。特に、第2ポリイミド類縁体は、BPDAとPPDとの縮合反応で得られる、ポリアミック酸を含むことが好ましい。
【0065】
(塩基性化合物)
液状組成物は、さらに、塩基性化合物を含んでもよい。塩基性化合物を用いて、液状組成物を塩基性に調整することにより、ポリイミド類縁体の溶解性が向上して、性状安定性が向上し易い。塩基性化合物は、例えば、10以上のpHを示す。特に、液状組成物が水等のプロトン性溶媒を含む場合、液状組成物は、塩基性化合物を含むことが好ましい。塩基性化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0066】
液状組成物における塩基性化合物の含有量は特に限定されず、ポリイミド類縁体の含有量に応じて、適宜設定される。溶解性の観点から、塩基性化合物の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下が好ましい。塩基性化合物の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が特に好ましい。塩基性化合物の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、75質量部以下がより好ましく、65質量部以下が特に好ましい。
【0067】
なかでも、ポリイミド類縁体との相溶性の観点から、液状組成物は、塩基性化合物として塩基性の有機化合物を含むことが好ましく、特にアミン化合物を含むことが好ましい。アミン化合物は特に限定されず、1級、2級、3級アミンのいずれであってもよく、1価アミンであっても多価アミンであってもよい。アミン化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0068】
なかでも、3級アミンが好ましく、環状の3級アミンがより好ましい。環状ではない3級アミンとしては、例えば、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノプロパノール、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンが挙げられる。環状の3級アミンは、脂肪族であってよく芳香族であってよい。脂肪族の環状3級アミンとしては、例えば、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N,N-ジエチルアセトアミド、が挙げられる。芳香族の環状3級アミンとしては、例えば、ピリジン、メチルピリジン、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン、N-ビニルピロリドン、N-メチルピペリドン、N-エチルピペリドンが挙げられる。
【0069】
(溶媒)
液状組成物は、さらに、溶媒を含んでもよい。溶媒は特に限定されない。上記の塩基性化合物が、溶媒として含まれてもよい。溶媒は、また、プロトン性溶媒であってよく、非プロトン性溶媒であってよい。非プロトン性溶媒は、極性を有していてよく、非極性であってよい。溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。溶媒は、プロトン性溶媒と塩基性化合物との組み合わせであってよい。プロトン性溶媒としては、環境負荷および取り扱い性の観点から、水が好ましい。
【0070】
プロトン性溶媒は、プロトン供与性の基(代表的には、酸素原子や窒素原子に結合した水素原子を有する基)を有する。プロトン性溶媒としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、純水等の水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デカノール等の1級、2級または3級アルコール類;が挙げられる。
【0071】
アミン化合物以外の非プロトン性極性溶媒としては、例えば、;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン類;が挙げられる。非プロトン性非極性溶媒としては、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;が挙げられる。
【0072】
(カップリング剤)
液状組成物は、カップリング剤を含んでよい。第1ポリイミド類縁体は分子量が小さいため、成膜の過程において揮散する場合がある。カップリング剤が第1ポリイミド類縁体と化学的に結合すると、カップリング剤と第1ポリイミド類縁体とを含むネットワークが形成されて、上記揮散が抑制され得る。よって、得られる塗膜の収縮も抑制されて、クラックおよび気泡の発生はさらに抑制され易くなる。
【0073】
カップリング剤は、分子内に、有機物質と反応可能な1以上の官能基と、無機物質と反応可能な1以上の官能基と、を有する。有機物質は、例えば、ポリイミド類縁体である。無機物質は、例えば、塗装の対象物(基材)である。上記のポリイミド類縁体と基材とがカップリング剤を介して結合することができるため、塗膜の密着性および強度が向上し得る。
【0074】
カップリング剤は特に限定されず、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤が挙げられる。カップリング剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0075】
有機物質と反応可能な官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、(メタ)アクリル基、メルカプト基およびアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。無機物質と反応可能な官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~4程度のアルコキシ基が挙げられる。
【0076】
なかでも、カップリング剤は、有機物質として、第1ポリイミド類縁体と反応可能な官能基を有することが好ましい。第1ポリイミド類縁体が第1ポリアミック酸を含む場合、カップリング剤は、例えば、第1ポリアミック酸が有するカルボキシ基と反応可能な官能基を有する。このような官能基は、例えば、アミノ基、エポキシ基およびイソシアネート基よりなる群から選択される少なくとも1種である。
【0077】
特に、カップリング剤は、アミノ基を有するシラン系カップリング剤(アミノシランカップリング剤)を含むことが好ましい。アミノシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-メチル-3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(6-アミノヘキシル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-tert-ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルメチルジメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルジエトキシメチルシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリエトキシシラン、N-ブチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、3-(N-メチル-2-アミノ-1-メチル-1-エトキシ)プロピルトリメトキシシラン、N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、ビス-(3-トリメトキシシリル-2-メチルプロピル)アミン、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-3-[N-(3-トリメトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-プロピオン酸メチル、3-トリエトキシシリルプロピル-3-[N-(3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-プロピオン酸メチル、3-トリメトキシシリルプロピル-3-[N-(3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-プロピオン酸メチル、N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-(3-トリメトキシシリル)プロピル-3-[N-(3-トリメトキシシリル)プロピルアミノ]プロピオンアミド、N-(3-トリエトキシシリル)プロピル-3-[N-(3-トリエトキシシリル)プロピルアミノ]プロピオンアミド、N-(3-トリメトキシシリル)プロピル-3-[N-(3-トリエトキシシリル)プロピルアミノ]プロピオンアミド、N,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N-ビス[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N-ビス[(3-トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、N,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)-2-メチルプロピル]アミンが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。アミノシランカップリング剤は、アミノ基以外の官能基を有していてもよい。
【0078】
液状組成物におけるカップリング剤の含有量は特に限定されず、例えば、ポリイミド類縁体の含有量に応じて、適宜設定される。塗膜性能の観点から、カップリング剤の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下が好ましい。カップリング剤の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が特に好ましい。カップリング剤の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、35質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
【0079】
(その他)
液状組成物は、その他、必要に応じて、粘度調整剤、酸化防止剤、分散剤(界面活性剤)、各種フィラー(炭素繊維等)、着色剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいてよい。
【0080】
[塗料]
本実施形態に係る塗料は、上記の液状組成物を含む。よって、塗料もまた、性状安定性および成膜性に優れる。本実施形態に係る塗料によれば、クラックおよび気泡が少なく、厚みの大きな塗膜を備えた塗装構造物を、一工程で作製することができる。
【0081】
塗料は、上記の液状組成物に、さらに上記の溶媒を加えて希釈されることにより、調製されてもよい。塗料の固形分濃度は特に限定されず、用途や粘度等を考慮して適宜設定される。取り扱い性の観点から、塗料の固形分濃度は、例えば、5質量%以上40質量%以下である。
【0082】
塗料は、例えば、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性および機械強度が要求される部材をコートするために用いられる。このような部材としては、例えば、電子部品、精密機械、自動車等に用いられる回路基板、軸受け(ベアリング、ブッシュ)、ギア、ワッシャー、ワイヤー、チューブ、索導管、金型、ボルト、シューター、ロール、コックが挙げられる。
【0083】
(エポキシ樹脂)
塗料は、エポキシ樹脂をさらに含んでよい。ポリイミド類縁体とエポキシ基とが反応することにより、架橋構造が形成されて、成膜性がさらに向上し得る。そのため、本実施形態に係る塗料によれば、さらに厚みの大きい(例えば、100μm以上)塗膜を、一工程で形成することができる。
【0084】
エポキシ樹脂としては特に限定されず、従来公知のものが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。多官能エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する。
【0085】
塗料におけるエポキシ樹脂の含有量は特に限定されず、例えば、ポリイミド類縁体の含有量に応じて、適宜設定される。塗膜性能の観点から、エポキシ樹脂の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下が好ましい。エポキシ樹脂の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が特に好ましい。エポキシ樹脂の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下が特に好ましい。
【0086】
(フッ素樹脂)
塗料は、フッ素樹脂をさらに含んでよい。フッ素樹脂によって、得られる塗膜に、摺動性、離型性、撥水撥油性、難燃性、耐薬品性、耐候性、絶縁性、低ガス透過性が付与され得る。
【0087】
フッ素樹脂としては特に限定されず、従来公知のものが挙げられる。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)が挙げられる。
【0088】
塗料におけるフッ素樹脂の含有量は特に限定されず、例えば、ポリイミド類縁体の含有量に応じて、適宜設定される。塗膜性能の観点から、フッ素樹脂の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、5質量部以上80質量部以下が好ましい。フッ素樹脂の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が特に好ましい。フッ素樹脂の含有量は、ポリイミド類縁体100質量部に対して、70質量部以下がより好ましく、60質量部以下が特に好ましい。
【0089】
(その他)
塗料は、その他、必要に応じて、上記の添加剤を含んでいてよい。
【0090】
[塗装構造物]
本実施形態に係る塗装構造物は、基材と、上記の塗料を用いて基材上に形成された塗膜と、を備える。上記の塗料によれば、クラックおよび気泡の発生が抑制された、厚い塗膜が得られる。このような塗膜は、高い強度を有するとともに、耐摩耗性および耐アルカリ性に優れる。
【0091】
カップリング剤および/またはエポキシ樹脂を含む塗料を用いる場合、塗膜は、さらに基材との密着性に優れる。フッ素樹脂を含む塗料を用いる場合、塗膜は、さらに摺動性および離型性等を発揮し得る。
【0092】
塗装構造物は、例えば、上記のような電子部品、精密機械、自動車等に用いられる部品であって、具体的には、回路基板、軸受け(ベアリング、ブッシュ)、ギア、ワッシャー、ワイヤー、チューブ、索導管、金型、ボルト、シューター、ロール、コックなどである。
【0093】
(基材)
基材の材質は特に限定されず、例えば、金属、樹脂、ガラスが挙げられる。金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛、これらの合金、高炭素クロム鋼が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。
【0094】
(塗膜)
上記の塗料を基材に塗装し、加熱することにより、塗膜が形成される。塗装方法は特に限定されず、例えば、ダイコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング(例えば、グラビアコーティング、フレキソコーティング)等のコーティング法;エアスプレー、エアレススプレー等のスプレー法;浸漬法が挙げられる。
【0095】
加熱条件は特に限定されず、塗料の組成に応じて適宜設定される。加熱条件は、例えば、200℃以上450℃以下で、10分以上120分以下である。加熱によってポリイミド類縁体が硬化して、塗膜が形成される。
【0096】
塗膜の厚みは特に限定されず、用途、目的等に応じて適宜設定される。膜厚は、例えば、5μm以上であってよく、10μm以上であってよく、20μm以上であってよい。上記塗料は成膜性に優れるため、クラックおよび気泡の発生が抑制された厚い塗膜を形成することができる。例えば、40μm以上、さらには100μm以上の厚みを有する塗膜を得ることができる。
【実施例0097】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準である。混合部数は、いずれも固形分の質量である。
【0098】
[実施例1]
以下の各成分を混合し、液状組成物(固形分濃度約22%)を調製した。
(a)第1ポリイミド類縁体(ポリイミド前駆体樹脂(顆粒)、株式会社仲田コーティング製、重量平均分子量:7,000、第1ポリイミド類縁体におけるポリアミック酸含有割合:32質量%)90部
(b)第2ポリイミド類縁体A(ポリアミック酸100質量%、ユニチカ株式会社製、商品名:UイミドワニスAR、重量平均分子量:38,000、固形分濃度:18%)55部(固形分換算で10部)
(c)アミン化合物(2-メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製、商品名:キュアゾール2MZ-H)30部
(d)分散剤(非イオン性界面活性剤、昭和化学工業株式会社製、商品名:トリトンX-100)12部
(e)プロトン性溶媒(イオン交換水)480部
(f)非プロトン性極性溶媒(NMP)30部
【0099】
[実施例2]
第2ポリイミド類縁体Aに替えて、第2ポリイミド類縁体B(ポリアミック酸、ユニチカ株式会社製、商品名:UイミドワニスCR、重量平均分子量:52,000、固形分濃度:18%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液状組成物を調製した。
【0100】
[実施例3]
第2ポリイミド類縁体Aに替えて、第2ポリイミド類縁体C(ポリアミック酸、宇部興産株式会社製、商品名:U-ワニスA、重量平均分子量:50,000、固形分濃度:18%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液状組成物を調製した。
【0101】
[実施例4]
第1ポリイミド類縁体および第2ポリイミド類縁体Aの量を、それぞれ50部(固形分換算値)にしたこと以外は、実施例1と同様にして、液状組成物を調製した。
【0102】
[実施例5]
第1ポリイミド類縁体および第2ポリイミド類縁体Cの量を、それぞれ50部(固形分換算値)にしたこと以外は、実施例3と同様にして、液状組成物を調製した。
【0103】
[実施例6]
実施例1で使用された各成分(a)~(f)と、カップリング剤A(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-603)1部とを混合し、液状組成物を調製した。
【0104】
[実施例7]
実施例1で使用された各成分(a)~(f)と、カップリング剤B(3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-903)1部とを混合し、液状組成物を調製した。
【0105】
[実施例8]
カップリング剤Aの量を4部にしたこと以外は、実施例6と同様にして、液状組成物を調製した。
【0106】
[実施例9]
カップリング剤Bの量を4部にしたこと以外は、実施例7と同様にして、液状組成物を調製した。
【0107】
[比較例1]
第2ポリイミド類縁体を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、液状組成物を調製した。
【0108】
[比較例2]
第1ポリイミド類縁体を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、液状組成物を調製した。
【0109】
[比較例3]
第1ポリイミド類縁体を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして、液状組成物を調製した。
【0110】
[比較例4]
第1ポリイミド類縁体を用いなかったこと以外は、実施例3と同様にして、液状組成物を調製した。
【0111】
[評価]
液状組成物、塗装構造物に対して、以下の評価を行った。結果を表1-3に示す。
(1)性状安定性
調製された液状組成物をガラス製の容器に入れて密閉し、室温(23℃)で6カ月保管した。ひと月ごとに内容物の様子を目視により確認し、以下の基準に従って評価した。
【0112】
良:6カ月間、性状の変化はみられなかった
不良:6カ月の間に、変色、ゲル化等の性状の変化がみられた
【0113】
(2)成膜性
調製された液状組成物を、アルミニウム(A5052)平板基材にスプレーコーティング法により塗装した。続いて、100℃で30分間加熱して溶媒を除去した後、さらに380℃で30分加熱して、様々な厚みを有する塗膜を形成した。得られた塗膜におけるクラックおよび/または気泡の有無を目視により確認し、以下の基準に従って評価した。
【0114】
良:クラックおよび気泡のいずれも確認されなかった
不良:気泡および/またはクラックが確認された
【0115】
(3)耐アルカリ性
調製された液状組成物を、アルミニウム(A5052)平板基材にスプレーコーティング法により塗装した。続いて、100℃で30分間加熱後、さらに380℃で30分加熱して、厚み20~30μmの塗膜を有する評価サンプルを得た。評価サンプルを、次亜塩素酸ナトリウム(5~7質量%)を含む水溶液(20℃、pH12)に10時間浸漬した。次いで、評価サンプルを取り出して水洗いを行った。得られた評価サンプルにおける塗膜の剥離の有無を目視により確認し、以下の基準に従って評価した。
【0116】
良:剥離は確認されなかった
不良:剥離が確認された
【0117】
【表1】
【0118】
表1では、実施例1-3および比較例1-4の評価結果が示されている。実施例1-3で調製された液状組成物は性状安定性に優れている。加えて、これらの液状組成物を用いると、膜厚20μm未満の良好な塗膜が形成された。さらに、実施例2で調製された液状組成物を用いて、膜厚20μm以上30μm未満の塗膜を形成したところ、塗膜にはクラックおよび気泡のいずれも確認されなかった。実施例3で調製された液状組成物を用いて、膜厚30μm以上40μm未満の塗膜を形成しても、塗膜にはクラックおよび気泡のいずれも確認されなかった。
【0119】
一方、比較例1で調製された液状組成物は、1カ月後に変色し始め、3カ月後にはゲル化した。さらに、これを用いて形成された30μm未満の塗膜には、クラックが確認された。加えて、比較例1で調製された液状組成物を用いて耐アルカリ性を評価したところ、不良であった。比較例2-4で調製された液状組成物の性状安定性は良いものの、これを用いると、膜厚20μm未満の塗膜であっても塗膜に気泡が確認された。
【0120】
【表2】
【0121】
表2では、実施例4-9の評価結果が示されている。実施例4-9で調製された液状組成物は性状安定性に優れている。また、これらの液状組成物を用いると、膜厚30μm未満の良好な塗膜が形成された。加えて、これらの塗膜は耐アルカリ性に優れている。さらに、実施例8および9で調製された液状組成物を用いて、膜厚30μm以上40μm未満の塗膜を形成したところ、塗膜にはクラックおよび気泡のいずれも確認されなかった。
【0122】
[実施例10]
実施例8で調製された液状組成物660部(ポリイミド類縁体の総固形分100部)と、フッ素樹脂(PTFEパウダー、ダイキン工業株式会社製、商品名:ルブロンL-5)30部と、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:W1155R55、固形分55%)45部(固形分25部)とを混合し、塗料(固形分濃度21%)を調製した。
調製された塗料を基材(アルミニウム(A5052)平板基材)に、スプレーコーティング法により塗装して、塗装構造物を作製した。塗膜の厚みは、50~60μmとした。
【0123】
【表3】
【0124】
表3では、実施例10の評価結果が示されている。実施例10で調製された塗料は性状安定性に優れている。また、この塗料を用いると、膜厚40μm超(具体的には、50~60μm)であっても、良好な塗膜を形成することができる。加えて、この塗膜は耐アルカリ性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の液状組成物は、性状安定性および成膜性に優れるため、フィルムの成形や、コーティング材料として適している。