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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164090
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】プリンタ及び印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/355 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B41J2/355 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075422
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】福地 功
(72)【発明者】
【氏名】南 明
(72)【発明者】
【氏名】西原 佳佑
【テーマコード(参考)】
2C066
【Fターム(参考)】
2C066AC01
2C066AD01
2C066BF04
2C066CC13
(57)【要約】
【課題】記録媒体に付与するエネルギーを正確に制御して発色層を適切に発色させる多色印刷を、低級且つ安価に実現できるプリンタ及び印刷プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタは、第1温度を超えた場合に第1色に発色する第1発色部621Aと、第1温度よりも低い第2温度を超えた場合に第2色に発色する第2発色部622Aを有する記録媒体Mmに対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドと、サーマルヘッドの複数の発熱素子に供給される電力を計測する計測部とを備える。プリンタは、計測部により計測した電力に応じて決定される終了タイミング迄、複数の発熱素子に対して電力を周期的に供給する。第1発色部621Aを発色させる場合、電力の供給の平均周期を第1平均周期とし、第2発色部622Aを発色させる場合、電力の供給の平均周期を、第1平均周期よりも長い第2平均周期とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1温度を超えた場合に第1色に発色する第1発色部と、前記第1温度よりも低い第2温度を超えた場合に第2色に発色する第2発色部を有する記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドの前記複数の発熱素子に供給される電力を計測する計測部と、
前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給し、
前記第1発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を第1平均周期とし、
前記第2発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を、前記第1平均周期よりも長い第2平均周期とする
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記記録媒体は第1発色層と第2発色層が積層されており、前記第1発色部は前記第1発色層に含まれ、前記第2発色部は前記第2発色層に含まれることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記記録媒体は、
前記第1温度よりも低く前記第2温度よりも高い第3温度を超えた場合に第3色に発色する第3発色部を含む第3発色層を更に有し、
前記制御部は、
前記第3発色層を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を、前記第1平均周期と同一又は長く、且つ、前記第2平均周期よりも短い第3平均周期とする
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドの前記複数の発熱素子に供給される電力を計測する計測部と、
前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記記録媒体の種別を取得し、
前記計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給し、
取得された前記種別に応じ、前記電力の供給の平均周期を切り替える
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
第1温度を超えた場合に第1色に発色する第1発色部と、前記第1温度よりも低い第2温度を超えた場合に第2色に発色する第2発色部を有する記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドの前記複数の発熱素子に対して電力を周期的に供給する制御を行うコンピュータに、
前記複数の発熱素子に供給される前記電力を計測する計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給するステップを実行させ、
前記第1発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を第1平均周期とし、
前記第2発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を、前記第1平均周期よりも長い第2平均周期とすることを特徴とする印刷プログラム。
【請求項6】
記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドの前記複数の発熱素子に対して電力を周期的に供給する制御を行うコンピュータに、
前記記録媒体の種別を取得するステップと、
前記複数の発熱素子に供給される前記電力を計測する計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給するステップと、
取得された前記種別に応じ、前記電力の供給の平均周期を切り替えるステップと
を実行させることを特徴とする印刷プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多色印刷が可能な感熱式のプリンタが提案されている。特許文献1は、夫々異なる発色特性を有する複数の発色層を備えた画像部材を用いて印刷を行う画像形成装置を開示する。画像形成装置は、印刷ヘッドにより画像部材にエネルギーを所定周期で繰り返し付与する。画像形成装置は、各周期でエネルギーが付与される時間を制御し、複数の発色層の各々を発色させることによって、画像部材に画像を形成させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6806844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方式で多色印刷が行われる場合、記録媒体に付与するエネルギーを正確に制御して所望する発色層を発色させるために、高性能で且つ高価なプリンタが必要となる。一方、安価なプリンタを用いて多色印刷を実現したいという要求がある。
【0005】
本発明の目的は、記録媒体に付与するエネルギーを正確に制御して発色層を適切に発色させる多色印刷を、低級且つ安価に実現できるプリンタ及び印刷プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係るプリンタは、第1温度を超えた場合に第1色に発色する第1発色部と、前記第1温度よりも低い第2温度を超えた場合に第2色に発色する第2発色部を有する記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドの前記複数の発熱素子に供給される電力を計測する計測部と、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給する制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給し、前記第1発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を第1平均周期とし、前記第2発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を、前記第1平均周期よりも長い第2平均周期とすることを特徴とする。
【0007】
第1態様に係るプリンタは、記録媒体を発色させるためにサーマルヘッドの複数の発熱素子に電力を供給する平均周期を、記録媒体の第1発色部を発色させる場合と、記録媒体の第2発色部を発色させる場合とで相違させる。これによりプリンタは、記録媒体の第1発色部を発色させるために必要となる電力及び供給時間と、記録媒体の第2発色部を発色させるために必要となる電力及び供給時間とを、記録媒体に正確に付与できる。従って、プリンタは、記録媒体の第1発色部及び第2発色部を適切に発色させることができる。又、第2発色部を発色させる場合の電力の供給の周期を、第1周期よりも長い第2周期とすることにより、低級且つ安価な構成で、記録媒体の第1発色部及び第2発色部を適切に発色させることができる。
【0008】
第1態様において、前記記録媒体は第1発色層と第2発色層が積層されており、前記第1発色部は前記第1発色層に含まれ、前記第2発色部は前記第2発色層に含まれてもよい。この場合、プリンタは、第1発色層及び第2発色層を含む記録媒体を用い、第1発色部及び第2発色部を適切に発色させることができる。
【0009】
第1態様において、前記記録媒体は、前記第1温度よりも低く前記第2温度よりも高い第3温度を超えた場合に第3色に発色する第3発色部を含む第3発色層を更に有し、前記制御部は、前記第3発色層を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を、前記第1平均周期と同一又は長く、且つ、前記第2平均周期よりも短い第3平均周期としてもよい。この場合、プリンタは、第1発色層の第1発色部、及び、第2発色層の第2発色部に加えて、第3発色層の第3発色部を適切に発色させることができる。
【0010】
本発明の第2態様に係るプリンタは、記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドの前記複数の発熱素子に供給される電力を計測する計測部と、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給する制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録媒体の種別を取得し、前記計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給し、取得された前記種別に応じ、前記電力の供給の平均周期を切り替えることを特徴とする。
【0011】
第2態様に係るプリンタは、記録媒体を発色させるためにサーマルヘッドに電力を供給する周期を、記録媒体の種別に応じて切り替える。これによりプリンタは、記録媒体を発色させるために必要となる電力及び供給時間を、記録媒体の種別毎に特定して正確に付与できる。従って、プリンタは、記録媒体を適切に発色させることができる。
【0012】
本発明の第3態様に係る印刷プログラムは、第1温度を超えた場合に第1色に発色する第1発色部と、前記第1温度よりも低い第2温度を超えた場合に第2色に発色する第2発色部を有する記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドの前記複数の発熱素子に対して電力を周期的に供給する制御を行うコンピュータに、前記複数の発熱素子に供給される前記電力を計測する計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給するステップを実行させ、前記第1発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を第1平均周期とし、前記第2発色部を発色させる場合、前記電力の供給の平均周期を、前記第1平均周期よりも長い第2平均周期とすることを特徴とする。第3態様によれば、第1態様と同様の効果を奏する。
【0013】
本発明の第4態様に係る印刷プログラムは、記録媒体に対してエネルギーを付与する複数の発熱素子を備えたサーマルヘッドの前記複数の発熱素子に対して電力を周期的に供給する制御を行うコンピュータに、前記記録媒体の種別を取得するステップと、前記複数の発熱素子に供給される前記電力を計測する計測部により計測した前記電力に応じて決定される終了タイミング迄、前記複数の発熱素子に対して前記電力を周期的に供給するステップと、取得された前記種別に応じ、前記電力の供給の平均周期を切り替えるステップとを実行させる。第4態様によれば、第2態様と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)カバー3が閉じられた状態のプリンタ1の斜視図であり、(B)カバー3が開かれた状態のプリンタ1の斜視図である。
図2】カセット6が装着されたカセット装着部8の、カセット装着部8の底面の図示を省略した平面図である。
図3】感熱テープMの斜視図である。
図4】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図5】第1発色部621Aを発色させる場合において、ドライバ73に出力される信号レベル、及び、実際に供給される電力の経時変化を示すグラフである。
図6】第3発色部623Aを発色させる場合において、ドライバ73に出力される信号レベル、及び、計測部74にて検出される電力の経時変化を示すグラフである。
図7】第2発色部622Aを発色させる場合において、ドライバ73に出力される信号レベル、及び、計測部74にて検出される電力の経時変化を示すグラフである。
図8】メイン処理のフローチャートである。
図9】メイン処理のフローチャートであって、図8の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、下側を、各々、プリンタ1の左側、右側、前側、後側、上側、下側とする。
【0016】
<プリンタ1の概要>
図1図2を参照して、プリンタ1を説明する。プリンタ1は、感熱タイプ及び熱転写タイプのテープ印刷装置である。プリンタ1には、一例として、記録媒体として感熱テープMを含むカセット6が装着される。プリンタ1は、カセット6から繰り出される感熱テープMを後述のサーマルヘッド15によって加熱することにより、印刷を行う。
【0017】
図1(A)及び図1(B)に示すように、プリンタ1は、筐体2、カバー3、表示部4、操作部5を備える。筐体2は、略直方体形状である。筐体2の左側面には、排出スリット10が形成される。排出スリット10は上下方向に延びる開口であり、印刷済みの感熱テープMを筐体2の外部に排出する。カバー3は、筐体2の後端部において、左右方向に延びる軸を中心に回動可能に支持される。図1(A)は筐体2に対しカバー3が閉じられた状態であり、図1(B)は筐体2に対しカバー3が開かれた状態である。カバー3は、例えば、カセット6の交換時に開閉される。以下の説明では、筐体2に対してカバー3が閉じられている状態を基準に、各部材の構成を説明する。
【0018】
図1(A)に示すように、表示部4は、カバー3の上面に設けられる。表示部4は例えば液晶ディスプレイであり、各種情報を表示可能である。操作部5は、カバー3の前方、且つ、筐体2上面の前部に配設される。操作部5は、プリンタ1に各種指示を入力する場合に操作される。
【0019】
図1(B)、図2に示すように、プリンタ1は、筐体2とカバー3とによって囲まれた空間に、カセット装着部8、ヘッドホルダ16、サーマルヘッド15、プラテンホルダ13、プラテンローラ11、搬送ローラ12、モータ36、及び切断機構17を備える。
【0020】
カセット装着部8は、カセット6を装着可能な下方に凹む凹部である。ヘッドホルダ16は、カセット装着部8の前部に設けられた金属製の板状である。ヘッドホルダ16は、前面にサーマルヘッド15を搭載する。サーマルヘッド15は、複数の発熱素子を備える。
【0021】
プラテンホルダ13は、ヘッドホルダ16の前側に設けられたアーム状である。プラテンホルダ13の右端部は、上下方向に延びる軸14を中心に揺動可能に軸支される。プラテンローラ11及び搬送ローラ12は、プラテンホルダ13の左端部に、上下方向に延びる軸を中心に回転可能に軸支される。プラテンローラ11は、サーマルヘッド15に対向して、サーマルヘッド15と接離可能である。搬送ローラ12は、プラテンローラ11の左側に位置する。搬送ローラ12は、カセット6に設けられた搬送ローラ(非図示)と接離可能である。プラテンホルダ13は、カバー3の開閉に連動して待機位置と印刷位置とに揺動する。印刷位置は、プラテンホルダ13がカセット装着部8と近接した位置である。
【0022】
カバー3が開かれると、プラテンホルダ13は印刷位置から待機位置に向けて移動する。待機位置は、プラテンホルダ13がカセット装着部8から離隔した位置である。プラテンホルダ13が待機位置にある時、ユーザはカセット6をカセット装着部8に対して着脱可能である。カバー3が閉じられると、プラテンホルダ13は待機位置から印刷位置に向けて揺動する。カセット6がカセット装着部8に装着されている場合、プラテンローラ11は感熱テープMをサーマルヘッド15に押し付ける。搬送ローラ12は、カセット6の搬送ローラとの間に感熱テープMを挟む。
【0023】
モータ36はステッピングモータである。モータ36の回転駆動力は、プラテンローラ11及び搬送ローラ12に伝達される。カセット6がカセット装着部8に装着された状態でモータ36が駆動した場合、プラテンローラ11及び搬送ローラ12は平面視反時計回り方向に回転する。
【0024】
切断機構17は、カセット装着部8の左側、且つ排出スリット10(図1(B)参照)の右方に設けられる。切断機構17は、カセット6から排出された感熱テープMを切断する。切断機構17は、金属製の固定刃18及び移動刃19を有する。移動刃19は、固定刃18に対向して配置され、固定刃18に対し移動可能である。
【0025】
<感熱テープM>
感熱テープMは、カセット6の筐体60内に収容される。感熱テープMは長尺状の媒体であり、複数の層が積層されて構成される。プリンタ1による印刷が可能な感熱テープMとして、多色印刷用の感熱テープMmと、単色印刷用の感熱テープMsとがある。
【0026】
図3に示すように、多色印刷用の感熱テープMmは、基材61と複数の発色層62と複数の遮熱層63とオーバーコート層64とを有する。複数の発色層62は、第1発色層621と第3発色層623と第2発色層622とを含む。複数の遮熱層63は第1遮熱層631と第2遮熱層632とを含む。
【0027】
オーバーコート層64、第1発色層621、第1遮熱層631、第3発色層623、第2遮熱層632、第2発色層622、及び基材61は、この順で感熱テープMmの厚み方向に並んで積層される。複数の発色層62、及び複数の遮熱層63は、透明性を有する。プリンタ1による印刷時、感熱テープMmの基材61側の表面にプラテンローラ11が接触し、感熱テープMmのオーバーコート層64側の表面にサーマルヘッド15が接触する。
【0028】
基材61は樹脂フィルムである。複数の発色層62の各層には、温度上昇時に発色する発色部が含まれる。第1遮熱層631は、隣接する第1発色層621と第3発色層623との間の熱の伝導を抑制する。第2遮熱層632は、隣接する第3発色層623と第2発色層622との間の熱の伝導を抑制する。オーバーコート層64は、複数の発色層62を保護する。
【0029】
第1発色層621には、第1発色部621Aが含まれる。第1発色部621Aは、所定の第1温度T1を超えた場合に透明性が低下し、第1色に発色する。例えば、第1色はイエローである。第3発色層623には、第3発色部623Aが含まれる。第3発色部623Aは、所定の第3温度T3を超えた場合に透明性が低下し、第3色に発色する。例えば、第3色はマゼンタである。第2発色層622には、第2発色部622Aが含まれる。第2発色部622Aは、所定の第2温度T2を超えた場合に透明性が低下し、第2色に発色する。例えば、第2色はシアンである。第1温度T1よりも第3温度T3が低い(T1>T3)。第3温度T3よりも第2温度T2が低い(T3>T2)。
【0030】
感熱テープMsは、感熱テープMmから第3発色層623、第2発色層622、及び複数の遮熱層63を取り除いた構成を有する。感熱テープMsの第1発色層621に含まれる第1発色部621Aは、第1温度T1を超えた場合に透明性が低下し、第1色に発色する。
【0031】
<印刷動作の概要>
プリンタ1は、カセット6から感熱テープMを繰り出す。繰り出された感熱テープMは、サーマルヘッド15とプラテンローラ11との間を通過する過程で、プラテンローラ11によってサーマルヘッド15に押し付けられる。プリンタ1は、この状態でサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電圧を印加する。複数の発熱素子には、電圧の印加により電流が流れることに応じ、電力が供給される。複数の発熱素子は、電力が供給されることにより発熱する。発熱した複数の発熱素子は、感熱テープMに対してオーバーコート層64側からエネルギーを付与する。これにより、感熱テープMの発色部が加熱されて発色し、感熱テープMに像が印刷される。
【0032】
印刷済みの感熱テープMは、モータ36の駆動により回転するプラテンローラ11及び搬送ローラ12によって搬送され、排出スリット10を介してプリンタ1の外部に排出される。
【0033】
<電気的構成>
図4を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。プリンタ1は、プリンタ1全般の制御を司るCPU71を備える。CPU71は、記憶部72、表示部4、操作部5、モータ36、ドライバ73、計測部74と電気的に接続する。記憶部72には、CPU71が実行するプログラム、印刷データ、設定データが記憶される。表示部4には、CPU71から出力される信号に応じて各種情報が表示される。操作部5に対して行われた入力操作を示す信号は、操作部5からCPU71に出力される。CPU71は、操作部5から出力された信号を検出することにより、操作部5に対して行われた入力操作を検出できる。
【0034】
モータ36は、CPU71から出力される信号に応じて駆動し、プラテンローラ11及び搬送ローラ12を回転させる。ドライバ73は、CPU71から出力される信号に応じ、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を供給する。計測部74は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に供給された電力を計測し、計測した電力を示す信号をCPU71に出力する。CPU71は、計測部74から出力された信号に基づき、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に実際に供給された電力を検出できる。
【0035】
<印刷動作の詳細>
印刷動作の詳細について、感熱テープMmに対する印刷動作が行われる場合を例に挙げて説明する。CPU71は、印刷動作時、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対して電力を周期的に供給する。図5A図6A図7Aは夫々、CPU71がドライバ73に出力する信号レベルの経時変化を示す。ドライバ73は、CPU71から出力される信号がLowレベルの時、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対して電力を供給し、CPU71から出力される信号がHiレベルの時、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力の供給を停止する。同時にCPU71は、計測部74から出力される信号に基づき、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対して実際に供給された電力Pを検出する。
【0036】
図5B図6B図7Bは夫々、サーマルヘッド15が1ドット分の印刷を行う場合において、発熱素子に実際に供給された電力Pの経時変化を示す。図5B図6B図7Bでは、電力Pが周期的に印加されている。以下、図5Bにて電力Pが供給される時間を、「第1時間t1」という。図6Bにて電力Pが供給される時間を、「第3時間t3」という。図7Bにて電力Pが印加される時間を、「第2時間t2」という。なお、図5図6図7において、第1時間t1、第3時間t3、第2時間t2はそれぞれ、各周期で不変となっているが、実際には、第1時間t1、第3時間t3、第2時間t2は計測された電力に応じて可変である。第1時間t1、第3時間t3、及び第2時間t2を総称して「供給時間t」という。図5B図6B図7Bで示される波形の立ち上がり及び立ち下りは、サーマルヘッド15に含まれる回路系のフィルタ成分が要因でなまっている。
【0037】
図5Bにおいて、第1発色部621Aを発色させるために必要となる電力Pの時間平均を、「第1目標電力Pt1」で示す。図6Bにおいて、第3発色部623Aを発色させるために必要となる電力Pの時間平均を、「第3目標電力Pt3」で示す。図7Bにおいて、第2発色部622Aを発色させるために必要となる電力Pの時間平均を、「第2目標電力Pt2」で示す。第1目標電力Pt1、第3目標電力Pt3、及び第2目標電力Pt2を総称し、「目標電力Pt」という。
【0038】
CPU71は、検出された電力Pと、電力が供給された供給時間tとに基づき、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に供給された電力量を算出する。CPU71は、算出した電力量の累計が条件を満たすまで、供給時間tを変化させながら周期的な電力供給を継続する。プリンタ1は、複数の発熱素子に供給された電力量の累計が条件を満たした場合、複数の発熱素子に対する周期的な電力供給を停止する。
【0039】
CPU71が周期的な電力供給を停止するタイミング(以下、「終了タイミング」という。)は、感熱テープMmをどの色に発色させるかに応じて異なる。感熱テープMmの第1発色部621Aを発色させる場合、複数の発熱素子に供給された電力量の累計が第1電力量E1以上となったタイミングが、終了タイミングとなる。感熱テープMmの第3発色部623Aを発色させる場合、複数の発熱素子に供給された電力量の累計が第3電力量E3以上となったタイミングが、終了タイミングとなる。感熱テープMmの第2発色部622Aを発色させる場合、複数の発熱素子に供給された電力量の累計が第2電力量E2以上となったタイミングが、終了タイミングとなる。以下、第1電力量E1、第3電力量E3、第2電力量E2を総称して、「閾値電力量E」という。
【0040】
又、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を供給する周期の平均(以下、「平均周期」という。)は、感熱テープMmをどの色に発色させるかに応じて異なる。なお、図5図6図7では、一例として、時間が経過しても周期が変化しない場合を示している。このため、図5図6図7の夫々の各周期は、繰り返される複数の周期を平均した平均周期と一致する。
【0041】
図5に示すように、感熱テープMmの第1発色部621Aを発色させる場合、電力供給の周期はすべて第1周期C1となる。図6に示すように、感熱テープMmの第3発色部623Aを発色させる場合、電力供給の周期はすべて第3周期C3となる。図7に示すように、感熱テープMmの第2発色部622Aを発色させる場合、電力供給の周期はすべて第2周期C2となる。第1周期C1と第3周期C3とは同一である(C1=C3)。第2周期C2は、第1周期C1及び第3周期C3よりも長い(C1<C2、C3<C2)。なお、第1周期C1と第3周期C3とは異なっていてもよく、例えば、第1周期C1よりも第3周期C3の方が長くてもよい(C1<C3)。以下、第1周期C1、第3周期C3、及び第2周期C2を総称して「供給周期C」という。
【0042】
第1周期C1に対する第1時間t1の割合(t1/C1)を、第1割合という。第3周期C3に対する第3時間t3の割合(t3/C3)を、第3割合という。第2周期C2に対する第2時間t2の割合(t2/C2)を、第2割合という。第1割合t1/C1は、第3割合t3/C3よりも大きい(t1/C1>t3/C3)。第3割合t3/C3は、第2割合t2/C2よりも大きい(t3/C3>t2/C2)。
【0043】
なお、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力供給の周期が短い程、複数の発熱素子に対して電力が供給される時間を細かく制御できる。一方、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力供給の周期が長い程、複数の発熱素子に実際に供給される電力のなまりの影響を小さくできるので、複数の発熱素子に供給される電力を精度良く制御できる。
【0044】
なお、感熱テープMmの複数の発色層62の夫々の厚さや、各発色部の材料は、感熱テープMmの種別により相違する。このため、感熱テープMmの種別が相違すると、各発色部に対応する目標電力Pt、閾値電力量E、及び供給周期Cも相違する。
【0045】
なお、単色印刷用の感熱テープMsに対する印刷動作が行われる場合については、感熱テープMmの第1発色部621Aを発色させる場合と同一であるので、説明を省略する。又、感熱テープMsの場合も、種別が相違すると、第1発色部621Aに対応する目標電力Pt、閾値電力量E、及び供給周期Cも相違する。
【0046】
<メイン処理>
図8を参照し、メイン処理について説明する。CPU71は、印刷を開始するための入力操作を、操作部5を介して検出した場合、記憶部72に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより開始される。
【0047】
CPU71は、カセット装着部8に装着されたカセット6の種別を検出することにより、カセット6に収容された感熱テープMの種別を特定する(S11)。CPU71は、多色印刷用の感熱テープMmの種別を特定した場合(S13:YES)、処理をS15に進める。以下では、図3に示す感熱テープMmの種別が特定された場合を例に挙げて具体的に説明する。
【0048】
CPU71は、特定した種別に基づき、第1発色部621A、第3発色部623A、及び第2発色部622Aの各々を発色させるための設定データを、記憶部72から読み出して取得する(S15)。設定データには、第1発色部621Aを発色させるための第1目標電力Pt1、第1電力量E1、及び第1周期C1と、第3発色部623Aを発色させるための第3目標電力Pt3、第3電力量E3、及び第3周期C3、第2発色部622Aを発色させるための第2目標電力Pt2、第2電力量E2、及び第2周期C2とが含まれる。
【0049】
CPU71は、モータ36を駆動してプラテンローラ11及び搬送ローラ12の回転を開始させる。これによりCPU71は、カセット6から繰り出された感熱テープMmの搬送を開始する(S17)。CPU71は、記憶部72に記憶された印刷データに基づき、感熱テープMmをどの色で発色させるかの情報を取得する(S19)。CPU71は、第1発色部621A、第3発色部623A、及び第2発色部622Aのうち、取得した色に対応する発色部を選択する。CPU71は、S15で取得した設定データのうち、選択した発色部に対応する目標電力Pt、閾値電力量E、及び供給周期Cを取得する(S21)。
【0050】
CPU71は、計測部74から出力される信号に基づき、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に実際に供給された電力Pを検出する(S23)。
【0051】
CPU71は、検出された電力P、供給周期C、及び、S19で取得した目標電力Ptに基づき、新たな供給時間tを決定する。詳細には、CPU71は、P>Ptの場合、P×(t/C)=Ptの関係を満たすように新たな供給時間tを決定する。一方、CPU71は、P<Ptの場合、t=Cとなるように新たな供給時間tを決定する。CPU71は、決定した供給時間tの間、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力が供給されるようにドライバ73を制御する。ドライバ73は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に供給時間tの間電力を供給する(S25)。CPU71は、S23で検出した電力P、及び、供給時間tに基づき、複数の発熱素子に供給される電力量を算出する。更にCPU71は、S19で判定した色で感熱テープMmを発色させるために複数の発熱素子に供給された電力量の累計を算出する(S27)。
【0052】
CPU71は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対して電力を供給してからの経過時間が供給周期Cと一致したか判定する(S29)。CPU71は、電力を供給してからの経過時間が供給周期Cと一致しない場合(S29:NO)、処理をS29に戻す。CPU71は、電力を供給してからの経過時間が供給周期Cと一致した場合(S29:YES)、処理をS31に進める。
【0053】
CPU71は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力供給の終了タイミングであるか判定する(S31)。CPU71は、算出された電力量の累計が閾値電力量Eよりも小さい場合、終了タイミングでないと判定する(S31:NO)。この場合、CPU71は処理をS23に戻す。CPU71は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力供給が終了してからの経過時間が供給周期Cと一致するまで待機する(S23)。CPU71は、経過時間が供給周期Cと一致した場合、S25、S27、S29、S31の処理を繰り返す。これにより、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力供給が、供給周期Cで繰り返される。
【0054】
一方、CPU71は、算出された電力量の累計が閾値電力量E以上となった場合、終了タイミングであると判定する(S31:YES)。CPU71は、印刷データに基づく印刷が全て終了したか判定する(S33)。CPU71は、印刷が全て終了していないと判定した場合(S33:NO)、処理をS19に戻す。CPU71は、記憶部72に記憶された印刷データに基づき、次に感熱テープMmをどの色で発色させるか判定する(S19)。CPU71は、判定した色に感熱テープMmを発色させるために、S21~S33の処理を繰り返す。CPU71は、印刷が全て終了したと判定した場合(S33:YES)、メイン処理を終了させる。
【0055】
一方、CPU71は、単色印刷用の感熱テープMsの種別をS11で特定した場合(S13:NO)、処理をS55(図9参照)に進める。図9に示すS55、S57、S63、S65、S67、S69、S71、S73の処理は、夫々、多色印刷用の感熱テープMmの種別が特定された場合のS15、S17、S23、S25、S27、S29、S31、S33(図8参照)の処理と同一である。即ち、感熱テープMsの種別が特定された場合の処理は、感熱テープMをどの色で発色させるかの判定(S19)、及び、判定した色に対応する発色部を発色させるための設定パラメータ(目標電力Pt、閾値電力量E、及び供給周期C)の取得(S21)が行われないという点で、感熱テープMmの種別が特定された場合と相違する。
【0056】
CPU71は、特定した種別に基づき、感熱テープMsの第1発色部621Aを発色させるための設定データを、記憶部72から読み出して取得する(S55)。設定データには、第1目標電力Pt1、第1電力量E1、及び第1周期C1が含まれる。なお、これらのうち少なくとも第1周期C1については、特定された種別に応じて相違する。
【0057】
S57、S63、S65、S67、S69、S71、S73の処理は、S17、S23、S25、S27、S29、S31、S33(図8参照)の処理と同一であるので、説明を省略する。CPU71は、印刷が全て終了したと判定した場合(S73:YES)、メイン処理を終了させる。
【0058】
<本実施形態の作用、効果>
プリンタ1は、感熱テープMmを発色させるためにサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を供給する供給周期Cを、第1発色部621Aを発色させる場合(第1周期C1)と、第2発色部622Aを発色させる場合(第2周期C2)とで相違させる。これによりプリンタ1は、第1発色部621A、及び第2発色部622Aを発色させるために必要となる電力と供給時間を、感熱テープMmに正確に付与できる。従ってプリンタ1は、感熱テープMmの第1発色部621A、及び第2発色部622Aを適切に発色させることができる。
【0059】
具体的には、プリンタ1は、相対的に短い時間に高い電力を感熱テープMmに付与して第1発色部621Aを発色させる場合、供給周期Cを、第2周期C2よりも短い第1周期C1とする(C1<C2)。又、第1割合t1/C1を第2割合t2/C2よりも大きくする(t1/C1>t2/C2)。これによりプリンタ1は、第1発色部621Aを発色させる場合において、感熱テープMmに対して電力を供給する供給時間を詳細に制御できる。又、プリンタ1は、第2発色部622Aを発色させる場合の第2周期C2を相対的に長くすることにより、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に実際に供給される電力のなまりの影響を小さくできる。このためプリンタ1は、第2発色部622Aを発色させる場合において、感熱テープMmに供給される電力を詳細に制御できる。
【0060】
このように、プリンタ1は、発色させる発色部に応じて電力及び供給時間を詳細に制御できるので、低級且つ安価な構成で多色印刷を実現できる。
【0061】
又、プリンタは、第1発色部621Aを発色させるための第1周期C1と、第3発色部623Aを発色させるための第3周期C3とを同一、又は、第1周期C1よりも第3周期C3を長くしつつ、第1割合t1/C1を第3割合t3/C3よりも大きくする(t1/C1>t3/C3)。これによりプリンタ1は、第1発色部621A、第2発色部622Aに加えて第3発色部623Aを適切に発色させることができる。
【0062】
感熱テープMmは、第1発色部621Aを含む第1発色層621、第3発色部623Aを含む第3発色層623、及び、第2発色部622Aを含む第2発色層622が積層されて形成される。この場合、感熱テープMmの厚み方向の温度制御が必要となり、各層の発色部を適切に発色させることが難しくなる。しかしプリンタ1は、上記の処理を行うことによって、感熱テープMの各発色層を適切に発色させるための制御を容易に実現できる。
【0063】
プリンタ1は、感熱テープMm、Msに含まれる少なくとも1つの発色部を発色させるためにサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を供給する供給周期Cを、感熱テープMm、Msの種別に応じて切り替える。これによりプリンタ1は、感熱テープMm、Msの発色部を発色させるために必要となる電力と供給時間を、感熱テープMm、Msの種別毎に特定して正確に付与できる。従ってプリンタ1は、感熱テープMm、Msを適切に発色させることができる。
【0064】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。プリンタ1の計測部74は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に流れる電流を計測し、計測結果をCPU71に出力してもよい。計測部74は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に印加される電圧を計測し、計測結果をCPU71に出力してもよい。
【0065】
カセット6は透明フィルムを更に有してもよい。プリンタ1は、サーマルヘッド15により印刷された感熱テープMm、Msに透明フィルムを貼付した後、排出スリット10から排出してもよい。感熱テープMmは、複数の遮熱層63を有さなくてもよい。この場合、第1発色層621と第3発色層623とが境界部分で直接接触し、且つ、第3発色層623と第2発色層622とが境界部分で直接接触してもよい。感熱テープMmの発色層は3層に限定されず、4層以上でもよい。又、感熱テープMmは、第1発色部621Aを含む第1発色層621、及び、第2発色部622Aを含む第2発色層622のみ有し、第3発色部623Aを含む第3発色層623を有さなくてもよい。
【0066】
感熱テープMmは、第1発色層621、第3発色層623、及び第2発色層622を有さなくてもよい。例えば、第1発色部621A、第3発色部623A、及び第2発色部622Aは、基材61に塗布された分散媒に分散されていてもよい。
【0067】
目標電力Pt、閾値電力量Eは、感熱テープMm、Msの種別に関わらず共通でもよい。
【0068】
プリンタ1は、第1発色部621Aを発色させる場合において電力を供給する周期を、時間経過に伴い変動させてもよい。例えばプリンタ1は、夫々が異なる第1周期C1(1)、C1(2)、C1(3)、C1(4)、C1(5)・・・でサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を繰り返し供給してもよい。なお、第1周期C1(1)、C1(2)、C1(3)、C1(4)、C1(5)・・・の平均である第1平均周期は、上記実施形態における第1周期C1と一致する。このため第1平均周期は、第2発色部622Aを発色させるための第2周期C2よりも短い。この場合、プリンタ1は、第1発色部621Aを発色させるために必要な電力量を感熱テープMmに適切に付与できる。
【0069】
プリンタ1は、第3発色部623Aを発色させる場合において電力を供給する周期を、時間経過に伴い変動させてもよい。例えばプリンタ1は、夫々が異なる第3周期C3(1)、C3(2)、C3(3)、C3(4)、C3(5)・・・でサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を繰り返し供給してもよい。なお、第3周期C3(1)、C3(2)、C3(3)、C3(4)、C3(5)・・・の平均である第3平均周期は、上記実施形態における第3周期C3と一致する。この場合、プリンタ1は、第3発色部623Aを発色させるために必要な電力量を感熱テープMmに適切に付与できる。
【0070】
プリンタ1は、第2発色部622Aを発色させる場合において電力を供給する周期を、時間経過に伴い変動させてもよい。例えばプリンタ1は、夫々が異なる第2周期C2(1)、C2(2)、C2(3)、C2(4)、C2(5)・・・でサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を繰り返し供給してもよい。なお、第2周期C2(1)、C2(2)、C2(3)、C2(4)、C2(5)・・・の平均である第2平均周期は、上記実施形態における第2周期C2と一致する。このため第2平均周期は、第1発色部621Aを発色させるための第1周期C1よりも長い。この場合、プリンタ1は、第2発色部622Aを発色させるために必要な電力量を感熱テープMmに適切に付与できる。
【0071】
更にプリンタ1は、第1周期C1(1)、C1(2)、C1(3)、C1(4)、C1(5)・・・でサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を繰り返し供給して第1発色部621Aを発色させ、第2周期C2(1)、C2(2)、C2(3)、C2(4)、C2(5)・・・でサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を繰り返し供給して第2発色部622Aを発色させ、第3周期C3(1)、C3(2)、C3(3)、C3(4)、C3(5)・・・でサーマルヘッド15の複数の発熱素子に電力を繰り返し供給して第3発色部623Aを発色させてもよい。この場合、第1平均周期は第2平均周期よりも短い。なお、第1平均周期と第3平均周期は同一でもよいし、第1平均周期よりも第3平均周期の方が長くてもよい。
【0072】
更に上記において、プリンタ1は、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力の供給回数が所定回数よりも小さい間、供給周期Cを不変とし、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対する電力の供給回数が所定回数以上となった後、供給周期Cを変動させてもよい。
【0073】
<その他>
感熱テープMm、Msは、本発明の「記録媒体」の一例である。
【符号の説明】
【0074】
1 :プリンタ
15 :サーマルヘッド
71 :CPU
74 :計測部
621 :第1発色層
621A :第1発色部
622 :第2発色層
622A :第2発色部
623 :第3発色層
623A :第3発色部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9