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特開2023-164107推定システム、学習装置、推定装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164107
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】推定システム、学習装置、推定装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231102BHJP
【FI】
G06Q50/10 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075444
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】重松 小百合
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】環境負荷の高い食材に代えて、環境負荷の低い食材の選択を促す推定システムを提供する。
【解決手段】推定システムは、第1食材を示す第1食材情報と、第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報と、の対応情報を取得する対応情報取得部と、前記第1食材情報が入力された場合に、前記対応情報に基づく評価情報に応じた第2食材を推定する推定部と、前記第1食材と関連付けて、前記推定部が推定した第2食材を表す情報を出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1食材を示す第1食材情報と、第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報と、の対応情報を取得する対応情報取得部と、
前記第1食材情報が入力された場合に、前記対応情報に基づく評価情報に応じた第2食材を推定する推定部と、
前記第1食材と関連付けて、前記推定部が推定した第2食材を表す情報を出力する出力部と、
を備える推定システム。
【請求項2】
前記第1食材情報、前記第2食材情報、及び前記評価情報のデータセットを取得する取得部と、
前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記対応情報としての学習済みモデルを生成する学習部と、
を備え、
前記推定部は、前記第1食材情報が入力された場合に、前記学習済みモデルに基づく評価情報に応じた第2食材を推定する
請求項1に記載の推定システム。
【請求項3】
前記推定部は、前記第1食材情報と、提供可能な第2食材を示す前記第2食材情報であって予め記憶された第2食材情報と、が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、当該第2食材情報が示す第2食材の前記評価情報を推定し、
前記出力部は、推定された前記評価情報に基づいて、前記第2食材を表す情報を出力する
請求項1に記載の推定システム。
【請求項4】
前記データセットには、食材を用いた料理を示す料理情報がさらに含まれ、
前記推定部は、前記料理情報と前記第1食材情報が入力された場合に、前記学習済みモデルに基づく評価情報に応じた第2食材を推定する
請求項2に記載の推定システム。
【請求項5】
前記評価情報は、前記第1食材と前記第2食材の食味の比較に基づく食味情報であり、
食味が近い場合に、評価が高くなる
請求項1に記載の推定システム。
【請求項6】
前記評価情報は、前記第1食材と前記第2食材の食味の比較に基づく食味情報であり、
前記第2食材が前記第1食材と比較して食味が良い場合に、さらに評価が高くなる
請求項5に記載の推定システム。
【請求項7】
前記評価情報は、前記第2食材を用いた料理に基づく食味情報であり、
前記第2食材を用いた料理の食味と、前記第1食材を用いた料理との食味との比較に基づく情報をさらに含む
請求項4に記載の推定システム。
【請求項8】
前記第1食材と前記第2食材は、生産における環境負荷が異なる
請求項1に記載の推定システム。
【請求項9】
前記出力部は、前記第2食材の環境負荷に基づく情報を出力する
請求項1に記載の推定システム。
【請求項10】
前記出力部は、前記第1食材の環境負荷と前記第2食材の環境負荷の比較に基づく情報を出力する
請求項1から9のいずれか一項に記載の推定システム。
【請求項11】
第1食材を示す第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報のデータセットとを取得する学習データ取得部と、
前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記第1食材情報と前記第2食材情報と前記評価情報との対応情報としての学習済みモデルを生成する学習処理部と
を備える学習装置。
【請求項12】
第1食材を示す第1食材情報を取得する実行データ取得部と、
前記取得した第1食材情報と、学習済モデルとに基づいて推定処理を実行する実行処理部とを備え、
前記学習済モデルは、前記第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報との対応を示す
推定装置。
【請求項13】
学習装置に用いられる方法であって、
第1食材を示す第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報のデータセットとを取得するステップと、
前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記第1食材情報と前記第2食材情報と前記評価情報との対応情報としての学習済みモデルを生成するステップと、を備える
方法。
【請求項14】
推定装置に用いられる方法であって、
第1食材を示す第1食材情報を取得するステップと、
前記取得した第1食材情報と、学習済モデルとに基づいて推定処理を実行するステップと、を備え、
前記学習済モデルは、前記第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報との対応を示す
方法。
【請求項15】
コンピュータに、
第1食材を示す第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報のデータセットとを取得するステップと、
前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記第1食材情報と前記第2食材情報と前記評価情報との対応情報としての学習済みモデルを生成するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
第1食材を示す第1食材情報を取得するステップと、
前記取得した第1食材情報と、学習済モデルとに基づいて推定処理を実行するステップと、を実行させるためのプログラムであって、
前記学習済モデルは、前記第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報との対応を示す
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定システム、学習装置、推定装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は、人々が生活していく際に必須の栄養素である。タンパク質を摂取可能な食材として、肉類、魚介類、乳製品及び豆類を挙げることが出来る。特に、肉類は人々の間で人気の高い食材である。一方、非特許文献1に記載されているように、肉類は生産過程の環境負荷が高い食材である。
【0003】
肉類を畜産により生産する際、膨大な量の飼料及び水が必要になる。家畜の飼料として、トウモロコシや小麦が挙げられる。それら穀物を大量に効率よく生産する際、重機が必要だが、重機は膨大な量の燃料を消費する。また、穀物の栽培に必要な化学肥料は二酸化炭素を発生させる。家畜の糞から発生するメタンガスは温室効果ガスであり、環境負荷が大きい。ウシの場合、成長過程におけるげっぷもメタンガスを含む。
【0004】
非特許文献2に記載されるように、環境負荷の低い食材として、大豆が挙げられる。特許文献1においては、ある食材を別の食材によって代替できる場合、満足度の高いレシピを提示することができる代替レシピ提示装置、代替レシピ提示方法、コンピュータプログラム及びレシピ提示に用いられるデータ構造を提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“バカにできない?肉の生産で出る温室効果ガス”, [online]、東京新聞、[令和4年1月21日検索]、インターネット <URL: https://www.tokyo-np.co.jp/article/45380>
【非特許文献2】“環境に優しい大豆”, [online]、大塚製薬、[令和4年1月21日検索]、インターネット <URL: https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/soylution/encyclopedia/environment.html>
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-061366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
任意の食材を代替可能な他の食材(代替食材)の選択を促すシステムは検討されていない。
【0008】
本発明は、任意の食材を代替可能な代替食材を提供できる推定システム、学習装置、推定装置、方法及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る推定システム、学習装置、推定装置、方法及びプログラムは、以下の構成を採用した。
(1)この発明の一態様に係る推定システムは、第1食材を示す第1食材情報と、第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報と、の対応情報を取得する対応情報取得部と、前記第1食材情報が入力された場合に、前記対応情報に基づく評価情報に応じた第2食材を推定する推定部と、前記第1食材と関連付けて、前記推定部が推定した第2食材を表す情報を出力する出力部と、を備える。
【0010】
(2)上記(1)の態様において、推定システムは、前記第1食材情報、前記第2食材情報、及び前記評価情報のデータセットを取得する取得部と、前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記対応情報としての学習済みモデルを生成する学習部と、を備え、前記推定部は、前記第1食材情報が入力された場合に、前記学習済みモデルに基づく評価情報に応じた第2食材を推定する。
【0011】
(3)上記(1)の態様において、前記推定部は、前記第1食材情報と、提供可能な第2食材を示す前記第2食材情報であって予め記憶された第2食材情報とが入力された場合に、前記対応情報に基づいて、当該第2食材情報が示す第2食材の前記評価情報を推定し、前記出力部は、推定された前記評価情報に基づいて、前記第2食材を表す情報を出力する。
【0012】
(4)上記(2)の態様において、前記データセットには、食材を用いた料理を示す料理情報がさらに含まれ、前記推定部は、前記料理情報と前記第1食材情報が入力された場合に、前記学習済みモデルに基づく評価情報に応じた第2食材を推定する。
【0013】
(5)上記(1)の態様において、前記評価情報は、前記第1食材と前記第2食材の食味の比較に基づく食味情報であり、食味が近い場合に、評価が高くなる。
【0014】
(6)上記(5)の態様において、前記評価情報は、前記第1食材と前記第2食材の食味の比較に基づく食味情報であり、前記第2食材が前記第1食材と比較して食味が良い場合に、さらに評価が高くなる。
【0015】
(7)上記(4)の態様において、前記評価情報は、前記第2食材を用いた料理に基づく食味情報であり、推定システムSは、前記第2食材を用いた料理の食味と、前記第1食材を用いた料理の食味との比較に基づく情報をさらに含む。
【0016】
(8)上記(1)の態様において、前記第1食材と前記第2食材は、生産における環境負荷が異なる。
【0017】
(9)上記(1)の態様において、前記出力部は、前記第2食材の環境負荷に基づく情報を出力する。
【0018】
(10)上記(1)から(7)いずれかの態様において、前記出力部は、前記第1食材の環境負荷と前記第2食材の環境負荷の比較に基づく情報を出力する。
【0019】
(11)この発明の一態様に係る学習装置は、第1食材を示す第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報のデータセットとを取得する学習データ取得部と、前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記第1食材情報と前記第2食材情報と前記評価情報との対応情報としての学習済みモデルを生成する学習処理部とを備える。
【0020】
(12)この発明の一態様に係る推定装置は、第1食材を示す第1食材情報を取得する実行データ取得部と、前記取得した第1食材情報と、学習済モデルとに基づいて推定処理を実行する実行処理部とを備え、前記学習済モデルは、前記第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報との対応を示す。
【0021】
(13)この発明の一態様に係る方法は、学習装置に用いられる方法であって、第1食材を示す第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報のデータセットとを取得するステップと、前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記第1食材情報と前記第2食材情報と前記評価情報との対応情報としての学習済みモデルを生成するステップと、を備える。
【0022】
(14)この発明の一態様に係る方法は、推定装置に用いられる方法であって、第1食材を示す第1食材情報を取得するステップと、前記取得した第1食材情報と、学習済モデルとに基づいて推定処理を実行するステップと、を備え、前記学習済モデルは、前記第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報との対応を示す。
【0023】
(15)この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、第1食材を示す第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報のデータセットとを取得するステップと、前記データセットに基づいて機械学習を行うことで、前記第1食材情報と前記第2食材情報と前記評価情報との対応情報としての学習済みモデルを生成するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0024】
(16)この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、第1食材を示す第1食材情報を取得するステップと、前記取得した第1食材情報と、学習済モデルとに基づいて推定処理を実行するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記学習済モデルは、前記第1食材情報と、前記第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、前記第2食材の前記第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報との対応を示す。
【発明の効果】
【0025】
(1)から(16)によれば、任意の食材を代替可能な他の食材(代替食材)の選択を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態における推定システムSの構成図である。
図2】本発明の第1実施形態における推定システムSによる推定結果の一例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態における教師データの一例を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態における学習装置30の機能構成図である。
図5】本発明の第1実施形態における推定装置50の機能構成図である。
図6】本発明の第1実施形態における学習装置30の動作シーケンスを示すフローチャートである。
図7】本発明の第1実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態において、推定装置50によって推定及び出力される推定結果の一例を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態における教師データの一例を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。
図11】本発明の第3実施形態における教師データの一例を示す図である。
図12】本発明の第4実施形態における教師データの一例を示す図である。
図13】本発明の第4実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。
図14】本発明の第5実施形態において、推定装置50によって推定及び出力される推定結果の一例を示す図である。
図15】本発明の第5実施形態における教師データの一例を示す図である。
図16】本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の推定システムS、学習装置30、推定装置50、方法及びプログラムの実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における推定システムSの構成図である。推定システムSは、学習装置30、推定装置50及びネットワークNWを備える。学習装置30及び推定装置50の詳細については後述する。
【0029】
図2は、本発明の第1実施形態における推定システムSによる推定結果の一例を示す図である。推定システムSのユーザであるユーザ1(U1)が、端末装置としてのタブレットコンピュータTを操作している。このように、タブレットコンピュータTは推定システムSを構成してもよい。図2の左側において、タブレットコンピュータTの画面G1が示されている。画面G1において、食材としての牛フィレ、鶏モモ、マグロ赤身及びイカのアイコン及び文字が表示されている。これらの食材を正規食材又は第1食材と称してもよい。
【0030】
図2の画面G1において、ユーザ1が食材として牛フィレを選択しようとしていることが示されている。ユーザ1が食材として牛フィレを選択した後、タブレットコンピュータTの画面は図2の右側に示すような画面G2に遷移したことが示されている。図2の右側の画面G2において、大豆のイラスト及び文字が表示されている。画面G2において、牛フィレを代替する食材として大豆が表示されている。
【0031】
図2の画面G2において、牛フィレを代替する食材として表示されている大豆は、牛フィレという食材を示す情報を入力として、推定装置50が推定した結果を、タブレットコンピュータTが受信して画面G2に表示したものである。なお、タブレットコンピュータTは推定装置50を構成してもよい。この場合、タブレットコンピュータTは、牛フィレという食材を示す情報と、学習済モデルとに基づき、牛フィレを代替する食材として大豆を推定し、タブレットコンピュータTの画面に出力(表示)する。
【0032】
図3は、本発明の第1実施形態における教師データの一例を示す図である。第1実施形態における教師データは、代替される食材(正規食材)と、代替する食材(代替食材)と、代替食材としての評価(食味)との対応関係を含むデータセットである。図3において、このデータセットは100万ものサンプルを含んでいることが示されている。例えば、図3のサンプルID1においては、牛フィレを代替する食材として大豆を用いた場合、その食味について10段階で10という評価を任意の第三者から受けたことが示されている。
【0033】
図3のサンプルID3について、牛フィレを代替する食材としてエンドウ豆を用いた場合、その食味について10段階で7という評価を任意の第三者から受けたことが示されている。このように、学習装置30は、任意の正規食材に対応する代替食材とその食味の対応関係について多くのサンプルをもとに学習する。学習装置30は、食味を評価情報として定量的に処理する。
【0034】
図3に示すデータセットは、任意の正規食材を代替しうる代替食材の候補と、それらの食味の傾向を評価情報によって定量的に表すことにより、代替食材の候補が任意の正規食材の代替として好適か否かの指標を与える。図3に示すデータセットの各行の評価情報は、任意の正規食材に対応する代替食材の食味についての10段階評価結果でもよい。任意の正規食材を代替しうる複数の代替食材の候補について、不特定多数から受けた評価結果が示す10段階評価結果の平均値が最も高い代替食材を好適な食材であると、学習装置30は分類してもよい。
【0035】
なお、図3に示す正規食材の生産過程を通じた環境負荷は、図3に示す代替食材の生産過程を通じた環境負荷より高いものとする。環境負荷は、例えば、肉類を畜産により生産する際に必要となる飼料の量及び水の量の少なくともいずれかでもよいし、飼料の一例である穀物を生産する際に用いられる重機に必要な燃料の量でもよい。環境負荷は、例えば、肉類を畜産により生産する際に必要となる電力量でもよい。環境負荷は、例えば、飼料の一例である穀物の栽培に必要な化学肥料が発生させる二酸化炭素の量でもよい。この場合、二酸化炭素の量は、化学肥料の組成から推定される。環境負荷は、例えば、家畜の糞から発生するメタンガスの量でもよい。この場合、メタンガスの量は、所定のセンサによって測定されてもよい。
【0036】
図4は、本発明の第1実施形態における学習装置30の機能構成図である。学習装置30は、学習データ取得部311、学習処理部312、通信部320、学習データ記憶部331、および出力部350を備える。学習データ記憶部331は、正規食材情報記憶部3311、代替食材情報記憶部3312及び学習結果記憶部3313を備える。
【0037】
学習データ取得部311は正規食材を示す情報である正規食材情報を取得し、正規食材情報記憶部3311に記憶させる。学習データ取得部311は、代替食材を示す情報である代替食材情報と、その代替食材としての評価を示す評価情報とを取得して代替食材情報記憶部3312に記憶させる。正規食材情報を第1食材情報と称してもよい。代替食材情報を第2食材情報と称してもよい。
【0038】
学習処理部312は、正規食材情報を入力とし、代替食材情報及びその評価情報を出力とする教師データを用いて機械学習を行い、学習結果として学習済モデルを生成する。評価情報は、正規食材情報及び代替食材情報に対応づけられる。
【0039】
学習済モデルは、正規食材に対応する代替食材の食味を示す評価情報に基づき、任意の正規食材を代替食材が代替するのに適しているか否かを示す。学習済モデルは、任意の正規食材を代替しうる代替食材の各候補について、不特定多数から受けた評価結果が示す10段階評価結果の平均値を示してもよい。
【0040】
例えば、学習済モデルは、牛フィレを代替する食材が大豆であれば、不特定多数の第三者による10段階評価結果の平均値が9であることを示してもよい。また、学習済モデルは、牛フィレを代替する食材がエンドウ豆であれば、不特定多数の第三者による10段階評価結果の平均値が7であることを示してもよい。したがって、この学習済モデルは、牛フィレを代替する食材としてはエンドウ豆より大豆が好適であることを示す。
【0041】
学習処理部312は当該学習済モデルを学習結果記憶部3313に記憶させる。学習処理部312は、例えば、統計解析により学習済モデルを生成してもよい。
【0042】
学習処理部312は、機械学習により学習済モデルを生成してもよい。機械学習の手法の一例として、SVR(サポートベクター回帰)、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークによるディープラーニング等が挙げられる。学習処理部312は、例えば、教師あり学習によって学習済みモデルを生成してもよい。教師あり学習では、学習モデルに学習用のデータセットを用いた学習を行わせる。
【0043】
出力部350は、学習済モデルを外部に出力する。出力部350は、通信部320を介して学習済モデルを外部に出力してもよい。
【0044】
図5は、本発明の第1実施形態における推定装置50の機能構成図である。推定装置50は、実行データ取得部511、実行処理部512、通信部520、実行データ記憶部531、学習済モデル記憶部532及び出力部550を備える。実行データ記憶部531は、正規食材情報記憶部5311及び実行結果記憶部5312を含む。
【0045】
学習装置30及び推定装置50のハードウェア構成については後述する。
【0046】
実行データ取得部511は、正規食材情報(第1食材情報)を取得し、正規食材情報記憶部5311に記憶させる。実行データ取得部511は、学習装置30が生成した学習済モデルを取得し、学習済モデル記憶部532に記憶させる。学習済モデルを通信部520が取得してもよい。実行処理部512は、取得した正規食材情報を正規食材情報記憶部5311から読み出し、正規食材情報が示す正規食材を代替する食材として好適な代替食材を、学習済モデルを用いることによって推定する。
【0047】
実行処理部512は、推定した代替食材を示す代替食材情報(第2食材情報)を実行結果記憶部5312に記憶させる。実行処理部512は、推定結果としての代替食材情報に対応する評価情報を実行結果記憶部5312に記憶させてもよい。ここで、推定結果としての代替食材情報に対応する評価情報は、実行データ取得部511が取得した正規食材情報が示す正規食材に対応する代替食材について、不特定多数による食味の評価結果の平均値でもよい。
【0048】
出力部550は、推定結果としての代替食材情報を実行結果記憶部5312から読み出し、外部に出力する。出力部550は、推定結果としての代替食材情報に対応する評価情報を実行結果記憶部5312から読み出し、外部に出力してもよい。出力部550は、通信部520を介して、推定結果としての代替食材情報を外部に出力してもよい。出力部550は、通信部520を介して、推定結果としての代替食材情報に対応する評価情報をさらに外部に出力してもよい。
【0049】
図6は、本発明の第1実施形態における学習装置30の動作シーケンスを示すフローチャートである。ステップS300において、学習データ取得部311は、学習データを取得する。学習データ(教師データ)は、例えば、図3に示すような100万サンプルのデータセットである。
【0050】
より具体的には、学習データ取得部311は、正規食材を示す正規食材情報と、対応する代替食材を示す代替食材情報と、その代替食材の食味を示す情報(評価情報)との対応情報を取得する。学習データ取得部311は、取得した学習データ(図3に示すデータセット)を正規食材情報記憶部3311に記憶させる。処理はステップS301に進む。
【0051】
ステップS301において、学習処理部312は正規食材情報と、代替食材情報と、代替食材情報の評価結果とに基づき、機械学習処理を実行し、学習結果として学習済モデルを生成する。学習処理部312は、正規食材情報が示す正規食材に対応する代替食材であって、代替食材情報が示す代替食材の定量的な評価結果(例えば、10段階評価結果)の平均値を当該代替食材について計算することによって学習済モデルを生成してもよい。処理はステップS302に進む。
【0052】
ステップS302において、学習処理部312は、当該学習済モデルを学習結果記憶部3313に記憶させる。処理はステップS303に進む。
【0053】
ステップS303において、出力部350は、学習済モデルを外部に出力する。出力部350に代えて、通信部320が学習済モデルを出力してもよい。
【0054】
図7は、本発明の第1実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。ステップS500において、実行データ取得部511は、正規食材情報(第1食材情報)を取得する。実行データ取得部511は、学習済モデルを取得し、学習済モデル記憶部532に記憶させてもよいし、実行データ取得部511は、学習済モデルを事前に取得し、学習済モデル記憶部532に記憶させておいてもよい。処理はステップS501に進む。
【0055】
ステップS501において、実行データ取得部511は、実行処理部512は、正規食材情報に基づいて、学習済モデルを用いることによって演算処理を行う。処理はステップS502に進む。
【0056】
ステップS502において、実行処理部512は、正規食材情報が示す正規食材に対応し、かつ好適な代替食材を推定する。実行処理部512が推定する代替食材は、学習済モデルに基づき、不特定多数の第三者に評価が高い(評価情報が示す食味の評価が良好である)と推定される代替食材である。実行処理部512は、推定した代替食材を示す代替食材情報(第2食材情報)を生成し、実行結果記憶部5312に記憶させる。処理はステップS503に進む。
【0057】
ステップS503において、出力部550は、生成した代替食材情報を実行結果記憶部5312から読み出し、外部に出力する。出力部550に代えて、通信部520が代替食材情報を外部に出力してもよい。その後、処理は終了する。
【0058】
本実施形態において、実行データ取得部511は、推定システムSにおける対応情報取得部を構成する。実行処理部512は、推定システムSにおける推定部を構成する。通信部520及び出力部550の少なくともいずれかは、推定システムSにおける出力部を構成する。学習データ取得部311は推定システムSにおける対応情報取得部を構成してもよい。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態に係る推定システムSは、第1食材を示す第1食材情報と、第1食材の代替となる第2食材を示す第2食材情報と、第2食材の第1食材の代替食材としての評価を表す評価情報と、の対応情報を取得する対応情報取得部と、第1食材情報が入力された場合に、対応情報に基づく評価情報に応じた第2食材を推定する推定部と、第1食材と関連付けて、前記推定部が推定した第2食材を表す情報を出力する出力部と、を備える。
【0060】
これにより、正規食材に対応する代替食材であって、その食味について不特定多数の第三者からの評価が高いと推定される料理を推薦し、代替食材の使用を促すことが可能となる。
【0061】
また、本実施形態に係る推定システムSは、第1食材情報、第2食材情報及び評価情報のデータセットを取得する取得部と、当該データセットに基づいて機械学習を行うことで、対応情報としての学習済みモデルを生成する学習部と、を備え、推定部は、第1食材情報が入力された場合に、学習済みモデルに基づく評価情報に応じた第2食材を推定する。なおこの場合、学習データ取得部311、学習処理部312は及び実行処理部512は、推定システムSの取得部、学習部及び推定部をそれぞれ構成する。
【0062】
また、本実施形態に係る推定システムSにおいて、推定部は、第1食材情報と、提供可能な第2食材を示す第2食材情報であって予め記憶された第2食材情報と、が入力された場合に、対応情報に基づいて、当該第2食材情報が示す第2食材の前記評価情報を推定し、出力部は、推定された評価情報に基づいて、第2食材を表す情報を出力する。なおこの場合、通信部520及び出力部550の少なくともいずれかは、推定システムSの出力部を構成する。
【0063】
これにより、正規食材に対応する代替食材であって、その食味について不特定多数の第三者からの評価が高いと推定される料理を推薦し、代替食材の使用を促すことが可能となる。
【0064】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態において、推定装置50によって推定及び出力される推定結果の一例を示す図である。第2実施形態において、正規食材の種類と、作られる料理と、学習済モデルとに基づき、推定装置50は、料理に適した代替食材の種類を推定及び出力する。
【0065】
本実施形態において、タブレットコンピュータTは、ユーザ2(U2)によって用いられる。ユーザ2は調理師である。図8の左側において、タブレットコンピュータTの画面G2に料理のリストが画像として示されている。画面G2において、左上に牛フィレを用いたハンバーグ、右上に鶏肉を用いたハンバーグ、左下に牛肉を用いたユッケ、右下に豚肉を用いたチャーシューが示されている。
【0066】
図8の右側において、タブレットコンピュータTの画面G3上部に、牛フィレに対応する代替食材を材料として用いたハンバーグが選択されたことが表示されている。画面G3の下部に、「牛フィレのハンバーグなら大豆がお奨め」と表示されている。この表示は、料理(ハンバーグ)と、学習装置30によって生成された学習済モデルとに基づき、牛フィレを用いたハンバーグであれば、牛フィレの代替食材として、大豆を用いるとユーザの評価が高いと推定装置50が推定したことを示す。
【0067】
タブレットコンピュータTは、推定装置50から推定結果を受信し、画面G3に推定結果を表示している。なお、タブレットコンピュータTが推定装置50を構成してもよい。この場合、タブレットコンピュータTは、学習済モデルを学習装置30から取得し、内蔵するメモリに記憶させる。
【0068】
図9は、本発明の第2実施形態における教師データの一例を示す図である。図9において、図3に示したデータセットに加え、「料理」というカテゴリの列が含まれる。図9に示すデータセットは、「料理」というカテゴリの列の料理を、正規食材を用いて作る代わりに、同じ行に記載された代替食材を用いて作った際における、不特定多数の第三者による食味の評価(評価情報)が10段階で示されている。図9に示すデータセットは100万サンプルの評価結果の一部を示す。
【0069】
学習装置30は、図6に示すフローチャートに沿って教師データを用いて学習処理を実行し、学習済モデルを生成する。学習済モデルは、牛フィレを用いたハンバーグの代わりに、大豆由来の材料を用いて作られたハンバーグについて、不特定多数の第三者による10段階評価結果の平均値が9であることを含んでもよい。
【0070】
また、学習済モデルは、牛フィレを用いたハンバーグの代わりに、エンドウ豆由来の材料を用いて作られたハンバーグについて、不特定多数の第三者による10段階評価結果の平均値が5であることを含んでもよい。この場合、学習済モデルは、牛フィレのハンバーグの代わりに、大豆由来の材料を用いてハンバーグを作れば、エンドウ豆由来の材料を用いてハンバーグを作るより食味の評価が高い傾向にあることを示す。
【0071】
図10は、本発明の第2実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。ステップS1500はステップS500に対応する。
【0072】
ステップS1501において、実行データ取得部511は、食材を用いた料理を示す料理情報を取得する。処理はステップS1502に進む。
【0073】
ステップS1502からステップS1504の処理は、ステップS501からステップS503の処理に対応する。
【0074】
以上に説明したように、本実施形態に係る推定システムSにおいて、データセットには、食材を用いた料理を示す料理情報がさらに含まれ、推定部は、料理情報と正規食材情報(第1食材情報)が入力された場合に、学習済みモデルに基づく評価情報に応じた代替食材(第2食材)を推定する。
【0075】
これにより、正規食材を用いて所定の料理を作る代わりに、代替食材であって、当該所定の料理を当該代替食材によって作る際に食味が良好と推定される代替食材を推定することが可能となるため、代替食材の選択を促すことが可能となる。
【0076】
また、評価情報(食味の評価を示す情報)は、正規食材(第1食材)と代替食材(第2食材)の食味の比較に基づく食味情報でもよい。この場合、正規食材の食味と、代替食材の食味と近い場合に、評価情報が示す食味の評価は高くなってもよい。
【0077】
これにより、代替食材の選択を一層促すことが可能となる。
【0078】
また、評価情報は、正規食材の食味と代替食材の食味との比較に基づく食味の評価を示してもよい。代替食材の食味が、席食材の食味より高い場合、評価情報が示す食味の評価はさらに高くなってもよい。
【0079】
これにより、代替食材の選択を一層促すことが可能となる。
【0080】
(第3実施形態)
図11は、本発明の第3実施形態における教師データの一例を示す図である。図11に示すデータセットは、図9に示すデータセットに加えて、正規食材を用いて作られる料理の評価情報(食味の評価結果)をさらに含む。正規食材を用いて作られる料理の評価情報を、第1評価情報と称してもよい。代替食材を用いて作られる料理の評価情報を、第2評価情報と称してもよい。
【0081】
例えば、図11のサンプルID1において、牛フィレを用いて作られたハンバーグの食味の評価を示す評価情報が、10段階で10であることが示されている。また、同じサンプルID1において、大豆由来の材料を用いて作られたハンバーグの食味の評価を示す評価情報が、10段階で9であると示されている。
【0082】
サンプルID4において、牛フィレを用いて作られたハンバーグの食味の評価を示す評価情報が、10段階で9であることが示されている。また、同じサンプルID4において、エンドウ豆由来の材料を用いて作られたハンバーグの食味の評価を示す評価情報が、10段階で5であることが示されている。以上より、エンドウ豆由来の材料を用いてハンバーグを作る場合、正規食材である牛フィレを用いてハンバーグを作る場合よりも、食味の評価を示す評価情報の値が大きく乖離し、低くなっていることがわかる。
【0083】
したがって、第1評価情報が示す食味の評価結果と、第2評価情報が示す食味の評価結果との乖離が小さい場合、その代替食材は好適であると学習処理部312は評価してもよい。ここで、第1評価情報が示す食味の評価結果と、第2評価情報が示す食味の評価結果との差が、第1評価情報が示す食味の評価結果を基準として、所定の割合の誤差範囲内の場合、学習処理部312は、乖離が小さいと評価してもよい。所定の割合の誤差範囲は、例えばプラスマイナス10%でもよいし、プラスマイナス20%でもよい。
【0084】
また、第1評価情報が示す食味の評価結果より、第2評価情報が示す食味の評価結果が高い場合、その代替食材は好適であると学習処理部312は評価してもよい。
【0085】
本実施形態において、学習装置30は、第1及び第2実施形態と同様の処理に基づき、図11に示すデータセットを用いて学習処理を実行し、学習済モデルを生成する。推定装置50は、原則として図10に基づいて推定処理を実行する。ステップS1502において、実行処理部512は、第1評価情報が示す食味の評価結果と、推定した第2評価情報が示す食味の評価結果との差を求めてもよい。
【0086】
ステップS1503において、実行処理部512は、第1評価情報が示す食味の評価結果と、第2評価情報が示す食味の評価結果との差に基づいて、代替食材(第2食材)を推定してもよい。実行処理部512は、当該差が、第1評価情報が示す食味の評価結果を基準として、所定の割合の誤差範囲内の場合、好適である代替食材を推定してもよい。
【0087】
以上に説明したように、本実施形態に係る推定システムSにおいて、評価情報は、代替食材(第2食材)を用いた料理に基づく食味情報であり、代替食材を用いた料理と、正規食材(第1食材)を用いた料理との食味の比較に基づく情報でもよい。
【0088】
これにより、正規食材を用いて作られる料理の評価と、代替食材を用いて作られる料理の評価とを比較することによって、より好適な代替食材を推定し、代替食材の選択を促すことが出来る。
【0089】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態における教師データの一例を示す図である。図12に示すデータセットは、図3に示すデータセットに加えて、正規食材の生産過程において必要とされた環境負荷と、代替食材の生産過程において必要とされた環境負荷とが、二酸化炭素(CO)の重量(kg)換算で示されている。なお、COの重量は環境負荷の一例である。
【0090】
図12に示すように、牛フィレ等の正規食材の生産過程において必要とされたCO重量は、大豆等の代替食材の生産過程において必要とされたCO重量より大きい。
【0091】
本実施形態において、学習装置30は、第1-第3実施形態と同様の処理に基づき、図12に示すデータセットを用いて学習処理を実行し、学習済モデルを生成する。
【0092】
図13は、本発明の第4実施形態における推定装置50の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【0093】
ステップS2500からステップS2502の処理は、原則としてステップS500からステップS502の処理に対応する。なお、ステップS2500において、実行データ取得部511は、ステップS500の処理に加えて、正規食材の生産過程において必要とされた環境負荷を示す情報をさらに取得してもよい。実行データ取得部511は、取得した環境負荷を示す情報を正規食材情報記憶部5311に記憶させてもよい。
【0094】
ステップS2503において、実行処理部512は、正規食材に対応する代替食材と、その生産過程における環境負荷とを推定する。ステップS2503において、実行処理部512は、正規食材の生産過程における環境負荷を示す情報を正規食材情報記憶部5311から読み出し、推定した代替食材の生産過程における環境負荷と比較してもよい。処理はステップS2504に進む。
【0095】
ステップS2504において、実行処理部512は、推定した代替食材を示す代替食材情報(第2食材情報)及び推定した環境負荷を示す環境負荷情報を生成する。出力部550又は通信部520は、生成された代替食材情報及び環境負荷情報を出力する。なお、実行処理部512は、比較して得られた環境負荷の差を示す情報を生成してもよい。出力部550又は通信部520は、生成された環境負荷の差を示す情報を出力してもよい。その後、処理は終了する。
【0096】
以上に説明したように、本実施形態に係る推定システムSにおいて、第1食材と第2食材とは、生産における環境負荷が異なる。
【0097】
また、出力部は、代替食材(第2食材)の環境負荷に基づく情報を出力する。
【0098】
また、出力部は、正規食材(第1食材)の環境負荷と代替食材(第2食材)の環境負荷の比較に基づく情報を出力する。
【0099】
また、実行処理部512が推定した代替食材が複数存在し、代替食材の食味を示す情報が複数の代替食材の間で小さな乖離を示す場合、実行処理部512は、複数の代替食材のうち、生産過程における環境負荷が小さいが小さい代替食材を、好適な代替食材として推定してもよい。
【0100】
これにより、食材のうち、生産過程における環境負荷がより低い食材の選択を促すことが可能になる。
【0101】
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態において、推定装置50によって推定及び出力される推定結果の一例を示す図である。
【0102】
図14の左側において、タブレットコンピュータTの画面G4に、飲食店における焼き鳥のメニューが表示されている。図14において、飲食店の顧客(ユーザ3(U3))は、タブレットコンピュータTの画面G4から、焼き鳥を注文しようとしている。画面G4において、「もも(秋田産鶏)」、「もも(鹿児島産鶏)」、「もも(愛知産鶏)」、「皮(秋田産鶏)」、「皮(鹿児島産鶏)」及び「皮(愛知産鶏)」と表示されている。
【0103】
図14において、各画像の下には「代替食材可」とも表示されている。この表示は、代替食材による焼き鳥の提供が可能であることを示す。図14において、ユーザ3は、鹿児島産の鶏肉を用いたももの焼き鳥について、代替食材での提供を併せて注文可能であるものとする。
【0104】
図14の右側において、タブレットコンピュータTの画面G5の上部に、「もも(鹿児島産鶏) 代替食材」と表示されている。この表示は、鹿児島産の鶏肉に対応する代替食材を用いて、鹿児島産の鶏肉を用いたももの焼き鳥に対応する料理の提供が注文されていることを示す。
【0105】
タブレットコンピュータTの画面G5の下部に、「鹿児島産のもも焼き鳥には、エンドウ豆がお奨め」と表示されている。この表示は、鹿児島産の鶏肉に対応する代替食材を用いて、鹿児島産の鶏肉を用いたももの焼き鳥に対応する料理を提供する際、代替食材としてエンドウ豆が、料理の提供者たるユーザ4(U4)に推薦されていることを示す。この推薦は、推定装置50による推定結果に基づく。本実施形態において、タブレットコンピュータTは推定装置50からの推定結果を受信し、画面G5に表示させてもよい。あるいは、タブレットコンピュータTは推定装置50を構成してもよい。
【0106】
正規食材を用いた料理の中には、正規食材の産地に特有の味わいがあることがある。そこで、正規食材情報(第1食材情報)は、正規食材の生産地をさらに示してもよい。例えば、同じももの焼き鳥でも、秋田産の鶏肉、鹿児島産の鶏肉及び愛知産の鶏肉とでは、各々ごとに独特の味わいがある。そして、所定の料理に用いられる食材の産地については需要者ごとに嗜好が異なることがある。そこで、本実施形態においては、正規食材の特徴(産地)に適した代替食材が選択される。
【0107】
図15は、本発明の第5実施形態における教師データの一例を示す図である。図15において、各正規食材と、同じ行の正規食材を用いた料理と、その料理に用いる代替食材と、その代替食材を用いてその料理を作ったときの食味の評価を示す情報(評価情報)が10段階評価で示されている。評価情報の値が10に近いほど、同じ行に記載された産地の正規食材を用いて作られた料理に食味が近いことを示す。つまり、評価情報が示す値が大きいほど、正規食材の産地に特有の風味を代替食材によって再現できることを図15のデータセットは示す。
【0108】
図15に示すデータセットを教師データとして、学習装置30は、図6に示すフローチャートに則って学習処理を実行し、学習済モデルを生成する。推定装置50は、実行データ取得部511によって学習済モデルを取得し、学習済モデル記憶部532に記憶させる。推定装置50は、図10に示すフローチャートに則って推定処理を実行する。
【0109】
ステップS1503において、実行処理部512は、取得した正規食材情報に対して、学習済モデルに基づいて、食味の評価結果(評価情報)が最も大きくなるような代替食材を推定する。ステップS1504において、実行処理部512は、推定した代替食材を示す代替食材情報を生成し、実行結果記憶部5312に記憶させる。通信部520又は出力部550は、生成された代替食材情報を出力する。
【0110】
以上説明したように、本実施形態に係る推定システムSにおいて、所定の正規食材に対応する代替食材を用いた料理について、正規食材の産地に特有の味わいを再現できることを評価情報が示すことに基づいて、実行処理部512は、代替食材を推定する。そして、実行処理部512は、代替食材を示す代替食材情報を生成する。
【0111】
これにより、ユーザ(食品の消費者又は飲食店の顧客)の嗜好に応じて代替食材を推定することができるため、代替食材の利用(選択)を促進することが可能となる。そして、生産過程における環境負荷の低い食材の利用を促すことにより、栄養摂取における環境負荷を低減することが可能となる。
【0112】
<ハードウェア構成>
図16は、本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。各装置とは、学習装置30及び推定装置50である。各装置は、入出力モジュールI、記憶モジュールM、及び制御モジュールPを含んで構成される。入出力モジュールIは、通信モジュールH11、接続モジュールH12、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、ディスプレイH23、ボタンH3、マイクH41、スピーカH42、カメラH51、又はセンサH52の一部或いは全部を含んで実現される。
【0113】
記憶モジュールMは、ドライブH7を含んで実現される。記憶モジュールMは、さらに、メモリH8の一部或いは全部を含んで構成されてもよい。制御モジュールPは、メモリH8及びプロセッサH9を含んで実現される。これらのハードウェア構成要素は、バス(Bus)を介して、相互に通信可能に接続されるとともに、電源H6から電力を供給されている。
【0114】
接続モジュールH12は、USB(Universal Seriul Bus)等のデジタル入出力ポートである。携帯機器の場合、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、及びディスプレイH23は、タッチパネルである。センサH52は、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS受信モジュール、近接センサ等である。電源H6は、各装置を動かすために必要な電気を供給する電源ユニットである。携帯機器の場合、電源H6は、バッテリーである。
【0115】
ドライブH7は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶媒体である。ドライブH7は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又は、光磁気ディスクドライブやフレキシブルディスクドライブであってもよい。また、ドライブH7は、例えば、各装置に内蔵されるものに限らず、IFモジュールH12のコネクタに接続された外付け型の記憶装置でもよい。
【0116】
メモリH8は、ランダムアクセスメモリ等の主記憶媒体である。なお、メモリH8は、キャッシュメモリであってもよい。メモリH8は、一又は複数のプロセッサH9によって命令が実行されるときに、これらの命令を格納する。プロセッサH9は、CPU(中央演算装置)である。プロセッサH9は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)又はGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)であってもよい。プロセッサH9は、メモリH8を介してドライブH7から、プログラム及び各種データを読み出して演算を行うことで、一又は複数のメモリH8に格納した命令を実行する。
【0117】
入出力モジュールIは、学習データ取得部311、通信部320、出力部350、実行データ取得部511、通信部520及び出力部550を実現する。記憶モジュールMは、学習データ記憶部331及び実行データ記憶部531を実現する。
【0118】
制御モジュールPは、学習処理部312及び実行処理部512を実現する。なお、本明細書等において、学習装置30、推定装置50又は出力装置70との記載は、それぞれ、制御部P30、P50又はP70との記載に置き換えられてもよいし、これらの各装置との記載は、制御モジュールPとの記載に置き換えられてもよい。
【0119】
以上、この発明の一態様として各実施形態や変形例に関して図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は各実施形態や変形例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本発明の一態様は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態や変形例に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も含まれる。
【0120】
例えば、上記各実施形態の一部又は全部を組み合わせることで本発明の一態様を実現してもよい。
【符号の説明】
【0121】
30…学習装置、311…学習データ取得部、312…学習処理部、320…通信部、331…学習データ記憶部、333…学習結果記憶部、350…出力部、50…推定装置、511…実行データ取得部、512…実行処理部、520…通信部、531…実行データ記憶部、532…学習済モデル記憶部、550…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16