(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164116
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B23Q3/06 304F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075460
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(72)【発明者】
【氏名】後藤 純一
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016CA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】圧力流体が供給されない状態で、固定対象物を装着させることができ、かつ、ロック状態を維持できるロック装置を提供する。
【解決手段】ハウジング(1)の収容孔(12)にクランプロッド(20)が上下方向に移動可能に挿入される。前記ハウジング(1)内の環状空間(46)に挿入される支持部材(21)が、進出バネ(47)によって上方に向けて付勢される。前記クランプロッド(20)に案内面(37)が先太りするように形成される。前記案内面(37)に沿って摺動するロック部材(34)が、前記支持部材(21)によって下方から支持される。前記ロック部材(34)の突起部分(39)の上壁に係止部(40)が形成される。ロック対象物(25)が前記係止部(40)を介して前記支持部材(21)を下方に押すことにより、前記ロック部材(34)が前記案内面(37)に沿って押動される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)内に形成される収容孔(12)に軸方向に移動可能に挿入されると共に、前記ハウジング(1)内に設けられるロック駆動機構(18)によって前記軸方向の先端側から基端側に付勢されるクランプロッド(20)であって、前記ハウジング(1)から前記軸方向の先端側に向けて突設されると共に、ロック対象物(25)の孔(26)に挿入可能となっているクランプロッド(20)と、
前記クランプロッド(20)に前記軸方向の先端側に向かうにつれて軸心から遠ざかるように形成される案内部(37)と、
前記クランプロッド(20)の外周面と前記収容孔(12)の内周面との間に形成される環状空間(46)に前記軸方向に移動可能に挿入される支持部材(21)であって、前記環状空間(46)内に設けられる進出手段(45)によって前記軸方向の先端側に向けて付勢される支持部材(21)と、
前記案内部(37)に沿って摺動可能となると共に、前記支持部材(21)によって前記軸方向の基端側から支持されるロック部材(34)と、
前記ロック部材(34)から前記クランプロッド(20)の径方向の外方に突設される突起部分(39)と、
前記突起部分(39)の前記軸方向の基端側の壁に形成されると共に、前記ロック対象物(25)の孔(26)が前記クランプロッド(20)を外嵌めした状態の当該ロック対象物(25)を前記軸方向の先端側から受け止める受け止め部(41)と、
前記突起部分(39)の前記軸方向の先端側の壁に形成されると共に、前記ロック対象物(25)が当接可能となっている係止部(40)と、を備え、
前記ロック対象物(25)の前記孔(26)を前記クランプロッド(20)に外嵌めさせていくときに、前記ロック対象物(25)が前記ロック部材(34)の前記係止部(40)を介して前記支持部材(21)を前記進出手段(45)の前記軸方向の先端側への付勢力に抗して前記軸方向の先端側から基端側に押動させることにより、前記ロック部材(34)が前記案内部(37)に沿って、前記軸方向の基端側に向けて、かつ、前記クランプロッド(20)の径方向の内方に向けて押動される、ことを特徴とするロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テーブル、無人搬送台車上の固定台、ロボットの先端可動部等に、ワークやパレットやツール等の固定対象物を着脱可能に固定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の装置として、従来では、特許文献1(特開2016-107370号公報)に記載されたクランプ装置がある。そのクランプ装置は、ワーク等の固定対象物を固定台に上方から押圧して固定させるものである。そのクランプ装置は、次のように構成されている。
【0003】
上記クランプ装置のハウジングは、テーブルに装着される。そのハウジング内にシリンダ孔が形成され、そのシリンダ孔にピストンが上下方向に移動可能に挿入される。そのピストンの上側にクランプ室が形成されると共に、ピストンの下側にアンクランプ室が形成される。そのピストンからピストンロッドが上方に突設される。そのピストンロッドの先端に連結されるクランプロッドが、ハウジングの上部に形成される収容孔に挿入されている。そのクランプロッドの先端部に楔部が形成される。また、クランプロッドの外周面と前記収容孔の内周面との間に形成される環状空間に支持部材が上下方向に移動可能に挿入される。その支持部材は、環状空間内に設けられる進出バネによって上方に向けて付勢される。上記の楔部に上方から係合される係合部材が、支持部材によって下方から支持される。その係合部材の外側壁から突起部分がクランプロッドの径方向の外方に向けて突設される。前記突起部分の下面に押圧部が形成され、その押圧部が薄板状のワークに当接可能となっている。係合部材の押圧部がワークを、ハウジングの上面に形成される着座部に押し付けることにより、ワークをクランプ装置上に固定することができる。
【0004】
上記クランプ装置のアンクランプ状態では、クランプ室から圧油が排出されると共に、圧油源からの圧油がアンクランプ室に供給される。このとき、ピストンとピストンロッドとクランプロッドが上限位置に移動されている。このため、係合部材が筒状の支持部材内に収容されており、係合部材の突起部分の外面が支持部材の外周面より径方向の内方に移動されている。アンクランプ状態のクランプ装置の上方から薄板状のワークが、何らかの搬送装置や人手によって下降されていく。すると、ワークの孔がクランプロッドに外嵌めしていき、ワークがハウジング上の着座部に載置される。クランプ装置がアンクランプ状態からクランプ状態に切り換えられるときに、アンクランプ室から圧油が排出されると共に、クランプ室に圧油が供給される。すると、ピストンとピストンロッドとクランプロッドが下方に移動されていき、クランプロッドが係合部材を径方向の外方に移動させていく。次いで、クランプロッドが係合部材と支持部材と一体に下降される。係合部材の押圧部がワークを着座部上に押圧固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のクランプ装置は、ワークをテーブルに確実に押圧固定できる点で優れている。そのクランプ装置は、圧油源の圧油がクランプ室またはアンクランプ室に給排されることにより、クランプ状態およびアンクランプ状態に維持されたり、クランプ状態とアンクランプ状態とで切り換えられたりする。このため、圧油源とクランプ室またはアンクランプ室との間の流路が常時連通されている必要がある。その流路が遮断されたり切り離されたりして、圧力流体が供給されない状態、例えば、無人搬送台車上に装着した状態で、クランプ装置を使用できるようにすることが要望されている。従来のクランプ装置は、圧力流体が供給されない状態でワークを当該装置に装着できるようにする点、および、固定した状態を維持できるようにする点で改良の余地があった。
本発明の目的は、圧力流体が供給されない状態で、固定対象物を装着させることができ、かつ、ロック状態を維持できるロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から
図5、
図6および
図7、
図8、
図9から
図12、
図13から
図15に示すように、ロック装置を次のように構成した。
ハウジング1内に形成される収容孔12にクランプロッド20が軸方向に移動可能に挿入される。そのクランプロッド20が、前記ハウジング1内に設けられるロック駆動機構18によって前記軸方向の先端側から基端側に付勢される。そのクランプロッド20が、前記ハウジング1から前記軸方向の先端側に向けて突設される。また、そのクランプロッド20がロック対象物25の孔26に挿入可能となっている。前記クランプロッド20に案内部37が前記軸方向の先端側に向かうにつれて軸心から遠ざかるように形成される。前記クランプロッド20の外周面と前記収容孔12の内周面との間に形成される環状空間46に支持部材21が前記軸方向に移動可能に挿入される。その支持部材21が、前記環状空間46内に設けられる進出手段45によって前記軸方向の先端側に向けて付勢される。前記案内部37に沿って摺動可能となるロック部材34が、前記支持部材21によって前記軸方向の基端側から支持される。前記ロック部材34から突起部分39が前記クランプロッド20の径方向の外方に突設される。前記突起部分39の前記軸方向の基端側の壁に形成される受け止め部41が、前記ロック対象物25の孔26が前記クランプロッド20を外嵌めした状態の当該ロック対象物25を前記軸方向の先端側から受け止めることができるようになっている。前記突起部分39の前記軸方向の先端側の壁に形成される係止部40が、前記ロック対象物25に当接可能となっている。前記ロック対象物25の前記孔26を前記クランプロッド20に外嵌めさせていくときに、前記ロック対象物25が前記ロック部材34の前記係止部40を介して前記支持部材21を前記進出手段45の前記軸方向の先端側への付勢力に抗して前記軸方向の先端側から基端側に押動させる。これにより、前記ロック部材34が前記案内部37に沿って、前記軸方向の基端側に向けて、かつ、前記クランプロッド20の径方向の内方に向けて押動される。
【0008】
本発明は次の作用効果を奏する。
上記ロック装置にロック対象物を装着するときに、ロック対象物がロック部材の係止部を介して支持部材を前記進出手段の前記軸方向の先端側への付勢力に抗して軸方向の先端側から基端側に押動させる。これにより、ロック部材が案内部に沿って、軸方向の基端側に向けて、かつ、クランプロッドの径方向の内方に向けて押動される。その結果、本発明のロック装置は、圧力流体が供給されない状態で、固定対象物を装着させることができる。また、ロック装置に装着されたロック対象物をロック装置から取り外そうとすると、ロック対象物がロック部材の受け止め部とクランプロッドとロック駆動機構とを介してハウジングに受け止められる。これにより、ロック対象物がロック装置に装着されたロック状態を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態を示す断面視の模式図であって、ロック装置の待機状態を示す図である。
【
図2】
図2は、上記ロック装置のロック部材にロック対象物が係合したロック途中状態を示す断面図であって、上記
図1に類似する図である。
【
図3】
図3は、上記ロック装置のロック部材にロック対象物の孔を外嵌めしたロック途中状態を示す断面図であって、上記
図1に類似する図である。
【
図4】
図4は、上記ロック装置がロック対象物を固定したロック状態を示す断面図であって、上記
図1に類似する図である。
【
図5】
図5は、上記ロック装置のロック解除状態を示す断面図であって、上記
図1に類似する図である。
【
図6】
図6は、上記第1実施形態の第1変形例を示す断面図であって、ロック装置のロック部材にロック対象物の孔を外嵌めしたロック途中状態を示す図である。
【
図7】
図7は、上記のロック装置のロック状態を示す断面図であり、
図6に類似する図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施形態の第2変形例を示す断面図であって、ロック装置のロック状態を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態を示す断面図であって、ロック装置の待機状態を示す図である。
【
図10】
図10は、上記ロック装置のロック部材にロック対象物の孔を外嵌めしたロック途中状態を示す断面図であって、上記
図9に類似する図である。
【
図11】
図11は、上記ロック装置のロック状態を示す断面図であって、上記
図9に類似する図である。
【
図12】
図12は、上記ロック装置のロック解除状態を示す断面図であって、上記
図9に類似する図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態を示す断面図であって、ロック装置の待機状態を示す図である。
【
図14】
図14は、上記ロック装置のロック状態を示す断面図であって、上記
図13に類似する図である。
【
図15】
図15は、上記ロック装置のロック解除状態を示す断面図であって、上記
図13に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図5は、本発明の第1実施形態を示している。この実施形態のロック装置は、工場内を自在に移動する無人搬送台車上に装着され、その無人搬送台車上のテーブルTにワーク(固定対象物)25を固定する装置である。その無人搬送台車が所定位置に移動されたときに、圧油源からの圧油(圧力流体)が流通路を通して当該無人搬送台車に供給される。また、無人搬送台車が所定位置から離間すると、流通路途中の継手が離脱されて圧油源からの圧油が当該無人搬送台車に供給されなくなる。
【0011】
本実施形態でのワーク25は、薄い板状の部材、例えば、鋼板などの金属板やアクリル板およびプラスチック板などの樹脂板や炭素繊維板などの複合材料板である。そのワーク25に孔26が上下方向に貫通されている。
【0012】
上記テーブルT上にロック装置のハウジング1がボルト固定される。そのハウジング1は、下側から順に設けられる下ハウジング2と、その下ハウジング2の上面にネジ固定される筒状の上ハウジング3と、を備える。
【0013】
上記の下ハウジング2には、下側から順に形成される大径のシリンダ孔5と中径孔6と小径孔7とを有する。そのシリンダ孔5にピストン10が保密状に挿入され、そのピストン10から上方へ突設されるピストンロッド11が中径孔6を通って小径孔7に保密状に挿入される。また、ピストンロッド11が上ハウジング3の筒孔12内に挿入される。
【0014】
上記シリンダ孔5内であって、ピストン10の上側にロック用の作動室13が形成されると共に、ピストン10とハウジング1の下壁14との間にロック解除用の作動室15が形成される。そのロック用の作動室13内にロックバネ16が装着される。また、ロック解除用の作動室15に圧油を給排する給排路17が下ハウジング2に形成される。ここで、本実施形態のロック駆動機構18は、ロックバネ16によって構成される。
【0015】
本実施形態のロック装置では、ピストンロッド11からクランプロッド20が上方に一体に突設されるが、このような構成に限られない。後述する第2実施形態のロック装置のように、ピストンロッド11とクランプロッド20とが別々の部材によって構成されている。そのピストンロッド11に対してクランプロッド20が水平方向に移動可能となるように連結されるようにしてもよい。
【0016】
上記の上ハウジング3の筒孔12に筒状の支持部材21が上下方向に移動可能に挿入される。その支持部材21は、下側から順に形成された支持筒22と、その支持筒22よりも小径な周壁23とテーパ壁24とを備える。その支持部材21の周壁23とテーパ壁24が上ハウジング3の上面より上方に突設されている。その支持部材21の周壁23とテーパ壁24とがワーク(ロック対象物)25の孔26に挿入可能になっている。
【0017】
また、上ハウジング3の筒孔12の内周壁に凹部27が形成される。その凹部27にボール28の左半部分が挿入されると共に、ボール28の右半部分が径方向の内方に突出している。その右半部分が、支持部材21の支持筒22の外周壁に上下方向に形成される案内溝29に挿入される。これにより、支持部材21は、上ハウジング3に対して上下方向への移動が許容されると共に、回転が制限される。そのボール28と案内溝29によって直線案内機構30が構成される。
【0018】
上記支持部材21の筒孔32内にクランプロッド20が上下方向に移動可能に挿入される。その支持部材21の周壁23に支持孔33が径方向に貫通される。その支持孔33内にロック部材34が当該支持孔33および支持筒22の上面に沿って移動可能となっている。そのロック部材34の内側面に受け面35が上方(先端側)に向かうにつれてクランプロッドの軸心から遠ざかる(先太りする)ように形成され、その受け面35に沿ってスライド部36が形成される。
【0019】
上記クランプロッド20の外周壁に案内面(案内部)37が上方(先端側)に向かうにつれて当該クランプロッド20の軸心から遠ざかる(先太りする)ように形成される。その案内面37がクランプロッド20の外周壁に周方向に所定の間隔をあけて3つ配設される。その案内面37に沿ってアリ溝(案内溝)38が形成される。そのアリ溝38にロック部材34のスライド部36が摺動可能に挿入される。なお、案内面37と受け面35とは、クランプロッド20の軸心に対して10°から14°程度傾斜するように設定されているが、ロック部材34の押圧力やロック部材34の移動ストロークやワーク25の大きさなどに応じて所望の範囲内に設定可能である。ここで、本実施形態のロック装置では、クランプロッド20の外周壁に所定の間隔をあけて3つのロック部材34を備えることに代えて、後述する第2実施形態のロック装置のように、2つのロック部材34を備えるようにしてもよい。
【0020】
前記ロック部材34の外周面から突起部分39が径方向の外方に突設される。その突起部分39の上面に係止部40が形成される。その係止部40が、ワーク25の下面であって、ワーク25の孔26の周縁部に係合可能となっている。また、突起部分39の下面に受け止め部41が形成され、支持部材21の孔26がクランプロッド20を外嵌めした状態の当該ワーク25が、受け止め部41によって上方から受け止められる。また、突起部分39の下側であってロック部材34の外周壁に基準部42が形成され、その基準部42がワーク25の孔26の内周面に当接可能となっている。
【0021】
上記の支持部材21を上方へ押す進出手段45が上ハウジング3の筒孔12内に設けられ、
図1に示すように、次のように構成される。その筒孔12の内周面とピストンロッド11の外周面との間に環状空間46が形成される。その環状空間46内に進出バネ47とバネ受け部材48とが装着される。その進出バネ47の下端部が下ハウジング2の上面に係合されると共に、進出バネ47の上端部がバネ受け部材48を介して支持部材21の下端面に係合される。これにより、上ハウジング3に対して進出バネ47がバネ受け48を介して支持部材21およびロック部材34を上方へ付勢する。
【0022】
上記ロック装置は、
図1から
図5に示すように、次のように動作する。
図1の初期状態(待機状態)では、ロック解除用の作動室15の圧油が給排路17を通してハウジング1の外部に排出されている。このとき、ロック用の作動室13に装着されるロックバネ16の下方への付勢力がピストン10に作用して、ロックバネ16がピストン10を介してピストンロッド11とクランプロッド20とを下限位置に移動させている。また、上記の進出バネ47が支持部材21を介してロック部材34を上限位置に移動させる。このため、クランプロッド20がアリ溝38とスライド部36とを介してロック部材34を径方向の外側限界位置に移動させている。
【0023】
上記待機状態のロック装置の上方からワーク25を下降させていくと、ワーク25の孔26が支持部材21を外嵌めしていく。次いで、
図2に示すように、ワーク25の孔26の周縁部がロック部材34の係止部40に係合される。その後、ワーク25がロック部材34を介して支持部材21を進出バネ47の上向きの付勢力に抗して下降させていく。このとき、ロック部材34が下降されながら、支持部材21内に挿入されていく。その支持部材21の軸心からロック部材34の突起部分39の外壁面までの距離が、ワーク25の孔26の半径よりも小さくなると、
図3に示すように、ワーク25の孔26がロック部材34を外嵌めしていく。次いで、ワーク25の上面がロック部材34の突起部分39の下面(受け止め部41)より下方に移動されると、突起部分39が径方向の外方へ移動することが許容される。引き続いて、進出バネ47がバネ受け48と支持部材21とを介してロック部材34を上方に押していく。すると、ロック部材34がクランプロッド20の案内面37に沿って上方に移動されながら、支持部材21内から径方向の外方に向けて拡径移動される。
図4に示すように、支持部材21の支持筒22の上面が上ハウジング3の筒孔12の天井面に上方から受け止められて、支持部材21とロック部材34との上方への移動が停止される。これにより、ロック装置が
図1の待機状態から
図4のロック状態に切り換えられる。
【0024】
また、
図4に示すロック装置のロック状態では、ロック部材34の基準部42がワーク25の孔26の内周面に当接または、僅かに隙間をあけて対面される。このため、クランプロッド20の軸心に対してワーク25の孔26の軸心が位置ずれしているときに、ロック部材34がワーク25の孔26の内周面を押す。これにより、クランプロッド20の軸心からワーク25の孔の軸心までの距離が所定範囲内の距離となるようにロック装置がワーク25を移動させることができる。その結果、本実施形態のロック装置は、そのハウジング1に対してワーク25を所定範囲内となるように位置決めすることができる。
【0025】
また、上記
図4に示すロック装置のロック状態において、ワーク25を支持部材21から取り外す方向に外力が当該ワーク25に作用することがある。この場合、ワーク25の上面がロック部材34の突起部分39の受け止め部41と支持部材21とを介してハウジング1に受け止められる。または、ワーク25の上面がロック部材34の突起部分39の受け止め部41とクランプロッド20とピストン10とロックバネ16とを介してハウジング1に受け止められる。これにより、ロック装置の支持部材21からワーク25が意図しないで抜き出されることが確実に防止される。
【0026】
図4のロック装置のロック状態から
図5のロック解除状態に切り換えるときには、ロック解除用の作動室15に圧油を供給する。すると、作動室15の圧油の圧力によってピストン10がロックバネ16の下方への付勢力に抗して上昇されていく。次いで、上記の進出バネ47が支持部材21を介してロック部材34を上限位置に移動させた状態で、ピストン10がピストンロッド11を介してクランプロッド20を上昇させていく。すると、ロック部材34のスライド部36がアリ溝38に沿って移動されることにより、ロック部材34が支持部材21の筒孔32内に縮径移動していく。そのピストン10の上面がシリンダ孔5の天井面に上方から受け止められることにより、ピストン10の上昇が停止される。これにより、ロック装置が
図4のロック状態から
図5のロック解除状態に切り換えられる。その結果、ロック装置のクランプロッド20を外嵌めした状態のワーク25が前述のロボット等によって当該クランプロッド20から上方に抜き出される。
【0027】
上記ロック装置を
図5のロック解除状態から
図1の待機状態に切り換えるときには、ロック解除用の作動室15から圧油を排出する。すると、ロックバネ16がピストン10とピストンロッド11とを介してクランプロッド20を下降させていく。このとき、ロック部材34は、支持部材21を介して進出バネ47によって上限位置に移動された状態が維持されている。次いで、クランプロッド20がロック部材34を支持部材21の筒孔32内から外方に支持孔33に沿って移動させていくことにより、クランプロッド20がロック部材34を支持部材21内から径方向の外方に押し出していく。引き続いて、ピストン10がハウジング1の下壁14に下方から受け止められて、ピストン10の下降およびロック部材34の径方向の外方への移動が停止される。これにより、ロック装置が
図5のロック解除状態から
図1の待機状態に切り換えられる。
【0028】
本実施形態のロック装置は次の効果を奏する。
上記ロック装置にワーク25を装着するときに、ワーク25がロック部材34の係止部40を介して支持部材21を進出バネ47の上方への付勢力に抗して下方に押動させる。これにより、ロック部材34が案内面37に沿って、下方、かつ、クランプロッド20の径方向の内方に向けて押動される。その結果、上記のロック装置は、圧油がロック解除用の作動室に供給されない状態で、ワーク25を装着させることができる。また、ロック装置に装着されたワーク25をロック装置から取り外そうとすると、ワーク25がロック部材34の受け止め部41とクランプロッド20とロックバネ16とを介してハウジング1に受け止められる。これにより、ワーク25がロック装置に装着されたロック状態を維持できる。
【0029】
また、本実施形態のロック装置と、前述した従来の(クランプ)装置と比較すると、本実施形態のロック装置は、次のような効果を奏する。その従来の装置では、ワークを押圧固定するために、アンクランプ状態からクランプ状態に切り換えるには、外部に備えるワーク検出センサを含む制御装置によってクランプ装置を操作する必要がある。または、作業者が切り換え操作する必要がある。
これに対して、本実施形態のロック装置では、ロボット等によって搬入されるワーク25が待機状態のロック装置のロック部材34を押動(操作)して、そのワークがロック装置に装着される。このため、本発明のロック装置では、ワーク検出センサを含む制御装置を備える必要がなく、作業者による切り換え操作も必要としない。
【0030】
図6および
図7は、本発明の第1実施形態の第1変形例を示している。この第1実施形態の第1変形例においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0031】
上記の第1実施形態のロック装置では、駆動手段として単動式の油圧シリンダを適用している。すなわち、そのロック装置では、ロック用の作動室13にロックバネ16が装着されると共に、ロック解除用の作動室15に圧油が給排される。これに対して、第1実施形態の第1変形例のロック装置では、駆動手段としてのロックバネ16に加えてエアバネを備えており、
図6および
図7に示すように、次のように構成される。
【0032】
上記ロック用の作動室13がシリンダ孔5の一部と中径孔6と小径孔7とによって構成され、ピストン10の上側に形成される。そのロック用の作動室13に給排路51を通って圧縮エアが供給されて、作動室13内に圧縮エアが満たされた状態で封止されている。そのロック用の作動室13が、上ハウジング3の筒孔12の内周面とピストンロッド11の外周面との間に形成される環状空間46に連通される。その環状空間46に押圧部材52が保密状で上下方向に移動可能に挿入される。その押圧部材52の上面が支持部材21の下面に当接可能となっている。このため、ロック用の作動室13に供給された圧縮エアが環状空間46にも満たされた状態となっている。よって、その環状空間46の圧縮エアが押圧部材52を介して支持部材21を上方に押動させる。その環状空間46の圧縮エアによってエアバネが構成されている。このため、圧縮エア源から圧縮エアが作動室13に供給されないときでも、ロック用の作動室13に封入された圧縮エアが押し部53を上方に押すことができる。また、封入された作動室13の圧縮エアがハウジング1外部に流出して圧力低下した場合には、圧縮エア源から圧縮エアが供給路51を通して追加供給できるようにしてもよい。
【0033】
また、上記の第1実施形態のロック装置は、支持部材21が、支持筒22と周壁23とテーパ壁24とを備えている。これに対して、第1実施形態の第1変形例のロック装置では、支持部材21が支持筒21のみによって構成され、周壁22とテーパ壁23とが省略されている。また、クランプロッド20の上端部の外周壁が略半球状に形成されている。
【0034】
また、上記ピストンロッド11から当該ピストンロッド11よりも小径のクランプロッド20が上方に突設される。ピストンロッド11の上面に形成される環状の押し部53が、支持部材21の筒孔32の天井面に形成される受け部54に係合可能となっている。また、ロック解除用の作動室15には、給排路17を通して圧縮エアが給排される。このため、ロック解除用の作動室15の圧縮エアがピストン10を介してピストンロッド11を上方に移動させる。よって、ピストンロッド11の押し部53が受け部54を上方に押して支持部材21が上昇される。
【0035】
上記の第1実施形態の第1変形例のロック装置は、第1実施形態のロック装置と同様に作動するが、上記の構造の違いから、以下の点で異なる。
【0036】
上記第1実施形態のロック装置を待機状態からロック状態に切り換えるときに、ワーク25が係合部材34を介して支持部材21を進出バネ47の上向きの付勢力に抗して下降させていく。これに対して、第1変形例のロック装置では、ワーク25が係合部材34を介して支持部材21と押圧部材52とを環状空間46内の圧縮エアの圧力に相当する上向きの押圧力に抗して下降させていく。
【0037】
上記ロック装置をロック状態からロック解除状態に切り換えるときには、ロック用の作動室13から圧縮エアが排出されると共に、ロック解除用の作動室15内のロックバネ16の付勢力と作動室13内の圧縮エアの圧力に相当する押圧力に抗して、ロック解除用の作動室15の圧縮エアがピストン10とピストンロッド11とクランプロッド20とを上昇させていく。その上昇途中位置でピストンロッド11の押し部53が支持部材21の受け部54に係合して、ピストンロッド11が支持部材21を上昇させる。そのピストン10がシリンダ孔5の天井面に受け止められて、その上昇が停止される。これにより、ロック装置がロック状態からロック解除状態に切り換えられる。
【0038】
図8は、本発明の第1実施形態の第2変形例を示している。この第1実施形態の第2変形例においては、上記の第1実施形態および第1実施形態の第1変形例の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0039】
上記の第1実施形態のロック装置では、駆動手段としてロックバネ16を備える単動式の油圧シリンダが適用されている。これに対して、第1実施形態の第2変形例のロック装置では、第1実施形態と同様にロック駆動機構18としてのロックバネ16を備えて、作業者が手動で、または、別途アクチュエータによってロック解除されるようになっており、
図8に示すように、次のように構成される。
【0040】
上記ロック装置の下ハウジング2内に大径孔5Aと小径孔7とが形成されクランプロッド20が上下方向に移動可能に挿入される。そのクランプロッド20の外周壁からフランジ部49が径方向の外方に向けて周方向に連続して形成される。そのクランプロッド20の外周面と大径孔5Aの内周面にロックバネ16が装着される。そのロックバネ16の下端部がクランプロッド20のフランジ部49の上面に係合される。また、下ハウジング2の大径孔5Aと小径孔7との間に形成される段差部にロックバネ16の上端部が係合される。このため、下ハウジング2に対してロックバネ16がクランプロッド20を下方に付勢する。また、クランプロッド20の下端部が下ハウジング2の大径孔5Aの開口部から下方に向けて突出している。そのクランプロッド20の下端部によって操作部73が構成される。その操作部73は、作業者によって手動で、または、別途アクチュエータ、例えば、油圧シリンダ、空圧シリンダ、モータとバールネジ、電磁シリンダなどによって上方に押し操作されるようになっている。
【0041】
図9から
図12は、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、上記の第1実施形態、第1実施形態の第1変形例、第1実施形態の第2変形例の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0042】
第2実施形態のロック装置では、筒状の上ハウジング3の上部にリング状のカバー57が当該上ハウジング3の上端面との間に隙間をあけて取り付けられる。その隙間にリング状のストッパ58が水平方向に移動可能に挿入される。そのストッパ58の内径寸法は、ワーク25の孔26の内径寸法と同じか、孔26の内径寸法よりも小さくなるように設定されている。そのストッパ58の内周面に2つのロック部材34の基準部42が当接可能となっている。
【0043】
上記ピストンロッド11の上端部(先端部)に挿入孔59が上下方向(軸方向)に形成され、その挿入孔59にクランプロッド20の下端部(基端部)20aが水平方向に隙間をあけて挿入される。そのピストンロッド11に対してクランプロッド20が水平方向に移動可能となるようにピン連結される。より詳しくいうと、ピストンロッド11の筒壁から連結ピン60が径方向の内方に向けて突設される。その連結ピン60が、クランプロッド20の基端部20aに貫通される貫通孔に挿入される。このため、クランプロッド20がピストンロッド11に対して連結ピン60に沿って水平方向に移動可能となっている。
【0044】
上記クランプロッド20の外周壁に案内面37が、先端側に向かうにつれて広がる(径寸法が大きくなる)ように2つ形成される。その2つの案内面37のうちの一方の案内面37と他方の案内面37とは、クランプロッド20の軸心を中心に対称となる外周壁上の位置に配置される。その案内面37がロック部材34の受け面35に上方から係合される。なお、ロック装置に2つのロック部材34が備えられることに代えて、1つのロック部材34が備えられるようにしてもよく、また、前述した第1実施形態のロック装置のように、3つのロック部材34が設けられてもよい。または、ロック部材34が4つ以上備えられるようにしてもよい。
【0045】
前記ロック部材34の突起部分39の上面に係止部40がクランプロッド20の径方向の外方に向かうにつれて高さが低くなるように形成される。その係止部40にワーク25の孔26の周壁が係合可能となっている。
【0046】
本実施形態のロック装置は、戻し機構Rを備える。その戻し機構Rは、ロック状態(もしくは待機状態)からロック解除状態に駆動させるときに、クランプロッド20の軸心を支持部材21の軸心に一致させるように当該クランプロッド20を移動させる。その戻し機構Rは、クランプロッド20の外周壁と支持部材21の筒孔32の内周壁との間に設けられ、次のように構成される。
【0047】
上記クランプロッド20の下端部20aの外周面から位置決め部61が当該クランプロッド20の径方向に向けて周方向に連続して突設される。その位置決め部61の上側にテーパ部62が形成される。また、支持部材21の筒孔32の内周壁に基準部63が形成される。その基準部63の下側にテーパ部64が下方に向かうにつれて広がるように形成される。そのテーパ部64の下側に逃がし部65が形成される。上記クランプロッド20の位置決め部61が支持部材21の基準部63に対面するときに、クランプロッド20の水平方向への移動が制限される。また、上記クランプロッド20の位置決め部61が支持部材21のテーパ部64や逃がし部65に対面されるときに、クランプロッド20の水平方向への移動が許容される。本実施形態の戻し機構Rは、クランプロッド20の位置決め部61と支持部材21の基準部63とテーパ部64と逃がし部65によって構成される。なお、本実施形態のロック装置では、位置決め部61がクランプロッド20の外周面から水平方向に向けて周方向に連続して突設されるように構成したが、これに限られず、周方向に所定の間隔をあけて2つまたは3つ以上に分けて備えるようにしてもよい。これと同様に、本実施形態では、基準部63が支持部材21の筒孔32の内周壁に周方向に連続して突設されるように構成したが、これに限られず、周方向に所定の間隔をあけて2つまたは3つ以上に分けて備えるようにしてもよい。
【0048】
上記ロック装置は、
図9から
図12に示すように、次のように作動する。
図9の初期状態(待機状態)では、ロック解除用の作動室15の圧縮エア(圧力流体)が給排路17を通してハウジング1の外部に排出されている。このとき、ロック用の作動室13に装着されるロックバネ16の下方への付勢力がピストン10に作用して、ロックバネ16がピストン10とピストンロッド11とを介してクランプロッド20を下限位置に移動させている。また、進出バネ47が支持部材21を介してロック部材34を上限位置に移動させている。このため、クランプロッド20がアリ溝38とスライド部36とを介して各ロック部材34を径方向の外側限界位置に移動させている。このとき、クランプロッド20の位置決め部61が支持部材21の逃がし部65よりも下側に移動されており、支持部材21に対するクランプロッド20の水平方向への移動が許容されている。ここで、本実施形態のロック装置におけるロック部材34の外側限界位置は、2つのロック部材34の外周面がストッパ58の内周面にともに係合される位置である。
【0049】
上記待機状態のロック装置の上方に、搬送装置によって、ワーク25が移動される。このとき、ロック装置の支持部材21の軸心に対してワーク25の孔26の軸心が距離Aだけ水平方向に位置ずれしている。
【0050】
上記ロック装置を
図9の待機状態から
図11のロック状態に切り換えられるときに、ワーク25を下降させていくと、ワーク25の孔26の周壁が支持部材21のテーパ壁24に係合する。引き続いて、ワーク25が支持部材21のテーパ壁24に沿って下降されながら、ワーク25が支持部材21とクランプロッド20とロック部材34とを一体に左方に移動させていく。そして、ワーク25の孔26の周壁がロック部材34の係止部40に係合される。このとき、支持部材21の軸心からワーク25の孔26の軸心が距離Bだけ水平方向に位置ずれしている。ここで、本実施形態において、軸心間距離Aは、許容される位置ずれ許容範囲を超える距離であり、軸心間距離Bは、許容される位置ずれ許容範囲内の距離である。すなわち、ワーク25の孔26が支持部材21に外嵌めすることにより、ワーク25が支持部材21を位置ずれ許容範囲外から位置ずれ許容範囲内に移動させている。
【0051】
次いで、ワーク25がロック部材34を介して支持部材21を進出バネ47の上向きの付勢力に抗して下降させていくと共に、クランプロッド20の軸心とワーク25の軸心とが一致する方向へワーク25がロック部材34とクランプロッド20を左方に移動させる。次いで、ロック部材34がクランプロッド20の案内面37に沿って、支持部材21内に挿入されていく。すると、2つのロック部材34のうちの一方のロック部材34の外周面から他方のロック部材34の外周面までの距離が、ワーク25の孔26の直径よりも僅かに小さくなる。すると、
図10に示すように、ワーク25の孔26が2つのロック部材34とクランプロッド20とを外嵌めしていく。引き続いて、ワーク25の上面がロック部材34の突起部分39の下面(受け止め部41)より下方に移動されると、ロック部材34の突起部分39が径方向の外方へ移動することが許容される。このため、進出バネ47が支持部材21を介してロック部材34を上方に押動していく。すると、ロック部材34が、クランプロッド20の案内面37に沿って支持部材21内から径方向の外方に向けて拡径移動される。その後、支持部材21の支持筒22の上面が上ハウジング3の筒孔12の天井面に上方から受け止められて、支持部材21とロック部材34との上方への移動が停止される。これにより、ロック装置が待機状態からロック状態に切り換えられる。
【0052】
図10に示すロック装置のロック状態において、ワーク25を支持部材21から取り外す方向に外力が当該ワーク25に作用することがある。この場合、ワーク25の上面がロック部材34の受け止め部41を上方に押すと、ロック部材34がクランプロッド20の案内面37に沿って上方および径方向の外方に移動しようする。そのロック部材34がストッパ58の内周面に受け止められる。これにより、ロック装置の支持部材21からワーク25が抜き出されることが確実に防止される。
【0053】
図10のロック装置のロック状態から
図11のロック解除状態に切り換えるときには、ロック解除用の作動室15に圧縮エアを供給する。すると、作動室15の圧縮エアの圧力によってピストン10がロックバネ16の下方への付勢力に抗して上昇されていく。次いで、上記の進出バネ47が支持部材21を介してロック部材34を上限位置に保持させた状態で、ピストン10がピストンロッド11を介してクランプロッド20を上昇させていく。すると、ロック部材34のスライド部36がアリ溝38に沿って移動されることにより、ロック部材34が支持部材21の筒孔32内に縮径移動していく。引き続いて、クランプロッド20のテーパ部62が支持部材21の筒壁に当接される。すると、クランプロッド20の軸心が支持部材21の軸心に一致させるように、クランプロッド20と2つのロック部材34とが上昇されながら右方に移動されていく。そして、クランプロッド20の位置決め部61が基準面63に対面されて、支持部材21に対するクランプロッド20の水平方向への移動が制限される。このとき、ロック部材34の外側面が支持部材21の外周面よりも径方向の内方になるようにロック部材34が移動される。その後、ピストン10がシリンダ孔5の天井壁に受け止められて停止される。これにより、ロック装置は、
図10のロック状態から
図11のロック解除状態に切り換えられる。その結果、ロック装置の支持部材21に外嵌めされたワーク25を前述のロボットが当該支持部材21から上方に抜き出すことができる。
【0054】
図11のロック装置のロック解除状態から
図8の待機状態に切り換えるときには、まず、ロック解除用の作動室15から圧縮エアが排出される。すると、ロックバネ16の付勢力がピストン10に下向きに作用して、ピストン10がピストンロッド11を介してクランプロッド20を下降させていく。次いで、そのクランプロッド20がロック部材34を当該クランプロッド20の径方向の外方に移動させていく。このとき、クランプロッド20の位置決め部61がテーパ部64や逃がし部よりも下側に移動される。このため、クランプロッド20が支持部材21に対して水平方向に移動可能となる。次いで、ロック部材34がリング状のストッパ46の内周面に受け止められる。引き続いて、ピストン10がピストンロッド11を介してクランプロッド20とロック部材34と支持部材21とを進出バネ47の付勢力に抗して下降させる。そのピストン10がハウジング1の下壁14に受け止められて、ピストン10の下方への移動が停止される。その結果、上記ロック装置が
図11のロック解除状態から
図8の待機状態に切り換えられる。
【0055】
図13から
図15は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態においては、上記の第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0056】
上記第2実施形態のロック装置では、クランプロッド20、ロック部材34、ストッパ58がハウジング1に対して径方向に移動可能となっている。また、支持部材21は、環状空間46内で上下方向(クランプロッドの軸方向)にのみ移動可能となっている。これに対して、第3実施形態のロック装置では、支持部材21の一部である上部材69、クランプロッド20、ロック部材34、ストッパ58がハウジング1に対して径方向に移動可能となっている。これに対して、第3実施形態のロック装置では、クランプロッド20、ロック部材34、ストッパ58、支持部材21の上部材69がハウジング1に対して径方向に移動可能となっており、
図13から
図15に示すように、次のように構成される。
【0057】
上記ロック装置では、支持部材21が筒状の下部材68と筒状の上部材69とを有し、支持部材21が上ハウジング3の環状空間46内に挿入される。その筒状の下部材68が環状空間46内で上下方向にのみ移動可能となっている。その下部材68の内周面から突起部70が径方向の内方に向けて周方向に突設される。その突起部70が、上部材69の外周壁に周方向に形成される収容溝71に挿入されて連結されている。その突起部70の外周面と収容溝71の内周面との間に隙間が形成される。このため、下部材68に対して上部材69が径方向に移動可能となっている。
【0058】
上記支持部材21の筒孔32の一部を構成する上部材69の筒孔72内に、クランプロッド20が上下方向に摺動可能に挿入される。その上部材69の周壁23に支持孔33が径方向に3つ貫通され、その支持孔33にロック部材34が収容される。そのロック部材34の受け面35は、上記実施形態と同様に、クランプロッド20の案内面37に上方から係合されている。
【0059】
また、上記の環状空間46内に進出手段45としての進出バネ47とバネ受け部材48とが装着される。その進出バネ47の下端部が下ハウジング2の上面に係合され、その上端部がバネ受け部材48を介して下部材68の下面に係合される。このため、進出バネ47の上向きの付勢力が支持部材21を介してロック部材34を上方に付勢するように当該ロック部材34に作用する。
【0060】
上記ワーク25がロック装置の上方から搬入されるときに、ワーク25の孔26の周縁部が支持部材21のテーパ壁24に係合することがある。この場合、例えば、ワーク25が
図13中に示す右側のテーパ壁24に係合すると、ワーク25が支持部材25の上部材69とクランプロッド20とロック部材34とを一体に左方に押動していく。また、ロック部材34がストッパ58の内周面に係合した後は、ワーク25は支持部材21の上部材69とクランプロッド20とロック部材34とストッパ58とを一体に左方に押動する。これにより、第2実施形態のロック装置と同様に、ワーク25の孔26が支持部材21に外嵌めすることにより、ワーク25が支持部材21の上部材69等を位置ずれ許容範囲外から位置ずれ許容範囲内に移動させる。
【0061】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
上記ロック装置が、無人搬送台車上に装着されることに限られず、固定台上に着脱可能に取り付けられるパレット上やロボットの先端可動部に装着されるようにしてもよい。
【0062】
上記ロック装置を駆動させるために供給される圧力流体は、例示した圧油および圧縮エアに代えて、他の液体、例えば水、また、窒素等の気体であってもよい。また、例示した油圧シリンダや空圧シリンダに代えて、電動アクチュエータであってもよい。
【0063】
上記実施形態のロック駆動機構18がロックバネ16によって構成されることに代えて、ロック用の作動室13に圧縮エアや圧縮窒素などの圧縮気体を封入した圧縮気体バネによって構成されるようにしてもよい。また、圧縮気体バネとロックバネ16とを併用してもよい。
【0064】
上記ロック部材34は、クランプロッド20の外周壁に2または3つ設けられることに限られず、1つ、または、4つ以上設けられてもよい。また、ロック部材34の形状が矩形であることに限られず、球状など他の形状であってもよい。
【0065】
上記の進出手段45が、第1実施形態、第1実施形態の第2変形例、第2実施形態、第3実施形態で示すように、進出バネ47によって構成されることに代えて、第1実施形態の第1変形例で示すように、エアバネであってもよい。また、そのエアバネと進出バネ47を併用してもよい。
【0066】
前記クランプロッド20とピストンロッド11とが、第1実施形態のロック装置のように一体に形成されてもよく、その他の実施形態のロック装置のように別体に構成されるようにしてもよい。
【0067】
上記第1実施形態、第2実施形態のロック装置では、支持部材21が、支持筒22と周壁23とテーパ壁24との複数の部分を継ぎ目なしで一体に形成されることに代えて、第1実施形態の第1変形例で示すように、支持部材21からテーパ壁24および周壁23を省略してもよい。また、第3実施形態のロック装置のように、支持部材21が複数の部材によって構成されるようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態のクランプロッド20のアリ溝(案内溝)38とロック部材34のスライド部36とを省略してもよい。この場合、ロック部材34の外周壁に装着されるリング状の弾性体(ゴムや樹脂は金属バネによって構成)によって上記ロック部材34が径方向の内方の縮径位置へ弾性復帰されるようにしてもよい。
【0069】
上記ロックされるワーク25は、例示した薄板状であることに限定されるものではない。
【0070】
上記実施形態のロック装置は、例示した上下姿勢に配置することに代えて、上下逆の姿勢や水平姿勢や斜め姿勢に配置してもよい。
【0071】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1:ハウジング,12:収容孔,18:ロック駆動機構,20:クランプロッド,21:支持部材,25:ワーク(ロック対象物),26:孔,34:ロック部材,37:案内面(案内部),39:突起部分,40:係止部,41:受け止め部,45:進出手段,46:環状空間.