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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164120
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】積付けパターン生成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20231102BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20231102BHJP
   B65G 57/03 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G06Q10/08
B25J9/22 A
B65G57/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075468
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】522318900
【氏名又は名称】株式会社日立オートメーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大稔 真斗
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕
(72)【発明者】
【氏名】宇都木 契
(72)【発明者】
【氏名】末光 一成
【テーマコード(参考)】
3C707
3F029
5L049
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707BS10
3C707LS15
3C707LS20
3C707NS19
3F029AA03
3F029AA04
3F029BA01
3F029CA51
3F029DA01
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】
積付け後の後工程に悪影響を及ぼすことなく積付け作業の作業効率を向上させる積付けパターン生成装置及び方法並びに積付けシステムを提案する。
【解決手段】
直方体形状のケースのいずれか2辺の長さ、単一層に配置するケース数、及び、ケースを配置する長方形領域の2辺の長さをパターン生成条件として入力し、入力したパターン生成条件に基づいて、ケースの積付けパターンを生成するようにした。また生成した積付けパターンでケースを積み付けるロボットを設けるようにした。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの積付けパターンを生成する積付けパターン生成装置において、
直方体形状の前記ケースのいずれか2辺の長さ、単一層に配置するケース数、及び、前記ケースを積み付ける長方形領域の2辺の長さをパターン生成条件として入力する入力部と、
前記入力部が入力した前記パターン生成条件に基づいて、前記ケースの前記積付けパターンを生成するパターン生成部と
を備えることを特徴とする積付けパターン生成装置。
【請求項2】
前記パターン生成部が生成する前記積付けパターンは、当該積付けパターンを構成する各前記ケースの姿勢であり、
前記パターン生成部は、
予め与えられた複数種類の積付けパターンのテンプレートの中から、前記パターン生成条件において指定された前記単一層に配置する前記ケース数の前記ケースから前記積付けパターンを生成可能な前記テンプレートを探索し、
探索により検出した前記テンプレートを利用して生成した前記積付けパターンに前記ケースを積み付けるときの各前記ケースの姿勢を、前記パターン生成条件において指定された当該ケースの2辺の長さからそれぞれ算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項3】
前記パターン生成部は、
前記パターン生成条件において指定された前記ケース数の前記ケースからなる前記積付けパターンを生成可能な前記テンプレートが複数存在する場合に、当該テンプレートをそれぞれ利用して前記積付けパターンをそれぞれ生成し、
生成した前記積付けパターンごとに、当該積付けパターンにそれぞれ外接する面積最小の長方形をそれぞれ算出し、
算出した前記長方形の短辺が最も大きく、かつ当該長方形の面積に対する前記ケースの総面積の総和の比率が最大の前記積付けパターンを選択し、
選択した前記積付けパターンにおける各前記ケースの姿勢の情報を、生成した前記積付けパターンの情報として出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項4】
前記ケースを複数層積み付ける場合に、生成する前記積付けパターンとして、耐荷重を優先した前記積付けパターンと、荷崩れ防止を優先した前記積付けパターンのいずれか一方を選択でき、
前記ケースを複数層積み付ける場合における前記ケース全体の荷姿を生成する荷姿生成部を備え、
前記荷姿生成部は、
前記耐荷重を優先した前記積付けパターンが選択された場合には、前記パターン生成部が生成した単一層の前記積付けパターンを積み付ける層数だけ複製し、複製した当該積付けパターンを各層の積付けパターンとした前記荷姿を生成し、
前記荷崩れ防止を優先した前記積付けパターンが選択され、かつ、前記パターン生成部が生成した単一層の前記積付けパターンが、当該積付けパターンに外接する面積最小の長方形の中心を通り、かつ当該長方形の各辺にそれぞれ平行な2つの軸のいずれかに対して軸対称でない場合には、前記パターン生成部が生成した単一層の前記積付けパターンを積み付ける層数だけ複製し、偶数層及び奇数層のいずれか一方の前記積付けパターンを、当該積付けパターンが対称とならない前記軸に対して反転させた前記荷姿を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項5】
前記パターン生成部は、
前記ケースを積み付ける前記長方形領域と平行な平面座標上において、当該長方形領域の中心の座標と、前記長方形領域上に積み付けられた前記ケース全体の重心の座標とが一致するように、前記平面座標上における各前記ケースの位置を修正する
ことを特徴とする請求項4に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項6】
前記荷姿生成部は、
前記単一層に配置される前記ケース間で重量に差がある場合に、当該単一層における前記ケースの前記積付けパターンとして、すべての前記ケースの重量が均一である場合の前記単一層の前記積付けパターンの重心位置と、各前記ケースの重量から算出した前記単一層の前記積付けパターンの重心位置との前記平面座標上での距離を最小化するケース配置の組合せを探索し、当該探索により検出した前記ケース配置の組合せとなるように、前記ケース間で重量に差がある前記単一層の積付けパターンを修正する
ことを特徴とする請求項5に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項7】
前記荷姿生成部は、
前記積付けパターンに外接する最小面積の長方形の面積が最大となる前記ケース種別の前記ケースから順番に積み付けた前記荷姿を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項8】
前記ケースは、荷役台上に積み付けられ、
前記荷姿生成部は、
前記荷役台の高さ又は耐荷重の制限を超えない範囲で、各前記ケース種別の前記ケースを前記荷役台に積み付けた前記荷姿を生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項9】
前記出力部から出力される前記パターン生成部により生成された前記積付けパターンと、積み付けられる各前記ケースのケース形状とに基づいて、当該積付けパターンで前記ケースを積み付けるロボットにおける前記ケースの運搬軌道をロボット軌道として生成するロボット軌道生成部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項10】
前記ケースは、ケース種別ごとに第1のパレットに積み付けられ、
前記第1のパレットは、パレット自動倉庫に保管され、
前記第1のパレットに積載された各前記ケースは、前記ロボット軌道生成部により生成された前記ロボット軌道に従って第2のパレットに移載され、
前記パターン生成部により生成された前記積付けパターンに従って、前記パレット自動倉庫から前記ロボットに投入する前記第1のパレットの順序を種別の前記ケースが積載されたパレットを生成する順序生成部をさらに備える
ことを特徴とする請求項9に記載の積付けパターン生成装置。
【請求項11】
ケースの積付けパターンを生成する積付けパターン生成装置により実行される積付けパターン生成方法において、
直方体形状の前記ケースのいずれか2辺の長さ、単一層に配置するケース数、及び、前記ケースを配置する長方形領域の2辺の長さをパターン生成条件として入力する第1のステップと、
入力した前記パターン生成条件に基づいて、前記ケースの前記積付けパターンを生成する第2のステップと
を備えることを特徴とする積付けパターン生成方法。
【請求項12】
第1のパレットに積載されたケースを第2のパレットに積み付ける積付けシステムにおいて、
直方体形状の前記ケースのいずれか2辺の長さ、単一層に配置するケース数、及び、前記第2のパレットにおける前記ケースを配置する長方形領域の2辺の長さをパターン生成条件として入力し、入力した前記パターン生成条件に基づいて、前記第2のパレットに対する前記ケースの前記積付けパターンを生成する積付けパターン生成装置と、
前記第1のパレットに積載された前記ケースを、前記積付けパターン生成装置により生成された前記積付けパターンで前記第2のパレットに積み付ける多軸ロボットと
を備えることを特徴とする積付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積付けパターン生成装置及び方法に関し、例えば、パレット上にケースを積み付ける際のパターンを生成する積付けパターン生成装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子商取引市場の拡大に伴い、物流業界における出荷リードタイムの短縮と併せて顧客ニーズ変化への迅速な対応が求められている。従来、物流業界では、顧客ニーズ変化に伴う需要変動を、主に労働者の再配置により吸収してきた。しかしながら、日本では労働人口が長期的に減少し続けている一方で、発展途上国においても労働賃金が上昇しており、世界的に安価な労働力の確保が難しくなってきている。
【0003】
このような状況のもと、物流業界では、パレットやかご車などの荷役台への荷物の積付けなどの種々の作業の自動化が進められており、かかる自動化に際して柔軟な対応が可能なロボットの活用が有望視されている。ところが、ロボットは同一作業を繰り返す場合の生産性は高いものの、扱う物品の形状変化には必ずしも柔軟には対応できないという課題がある。
【0004】
ここで、特許文献1には、段ボール箱の各寸法を入力することにより、パレットやかご車などに最も多く段ボール箱を積付けることができる積付けパターンを生成するシミュレーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-7155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来人手により行われている荷物の積付け作業をロボットにより自動化する場合、面積効率を最大化するように積付けパターンを生成すると、従来の人手作業と異なる荷姿になり、後工程に悪影響を及ぼす場合があった。例えば、荷役台に積み付けるケース数が自動化により変更された場合、荷役台単位で商品を出荷するときに荷役台に積み付けられたケースを増減する作業が必要となるという問題がある。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、積付け後の後工程に悪影響を及ぼすことなく積付け作業の作業効率を向上させる積付けパターン生成装置及び方法並びに積付けシステムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、ケースの積付けパターンを生成する積付けパターン生成装置において、直方体形状の前記ケースのいずれか2辺の長さ、単一層に配置するケース数、及び、前記ケースを積み付ける長方形領域の2辺の長さをパターン生成条件として入力する入力部と、前記入力部が入力した前記パターン生成条件に基づいて、前記ケースの前記積付けパターンを生成するパターン生成部とを設けるようにした。
【0009】
また本発明においては、ケースの積付けパターンを生成する積付けパターン生成装置により実行される積付けパターン生成方法において、直方体形状の前記ケースのいずれか2辺の長さ、単一層に配置するケース数、及び、前記ケースを配置する長方形領域の2辺の長さをパターン生成条件として入力する第1のステップと、入力した前記パターン生成条件に基づいて、前記ケースの前記積付けパターンを生成する第2のステップを設けるようにした。
【0010】
さらに本発明においては、第1のパレットに積載されたケースを第2のパレットに積み付ける積付けシステムにおいて、直方体形状の前記ケースのいずれか2辺の長さ、単一層に配置するケース数、及び、前記第2のパレットにおける前記ケースを配置する長方形領域の2辺の長さをパターン生成条件として入力し、入力した前記パターン生成条件に基づいて、前記第2のパレットに対する前記ケースの前記積付けパターンを生成する積付けパターン生成装置と、前記第1のパレットに積載された前記ケースを、前記積付けパターン生成装置により生成された前記積付けパターンで前記第2のパレットに積み付ける多軸ロボットとを設けるようにした。
【0011】
本発明の積付けパターン生成装置及び方法によれば、パターン生成条件として指定されたケース数を単一層に配置した積付けパターンを生成することができる。また本発明の並びに積付けシステムによれば、パターン生成条件として指定されたケース数を単一層に配置した積付けパターンを生成し、さらにその積付けパターンでケースを積み付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、積付け後の後工程に悪影響を及ぼすことなく積付け作業の作業効率を向上させる積付けパターン生成装置及び方法並びに積付けシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態による積付けパターン生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態による積付けパターン生成装置の論理構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施の形態による積付けパターン生成条件設定画面の構成例を示す図である。
図4】(A)はブロック積みパターンを示す図であり、(B)はレンガ積みパターンを示す図であり、(C)はピンホール積みパターンを示す図であり、(D)はダブルピンホール積みパターンを示す図である。
図5】積付けパターン表示画面の構成例を示す図である。
図6A】パターン生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6B】パターン生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6C】パターン生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7】第2の実施の形態による積付けパターン生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施の形態による積付けパターン生成装置の論理構成を示すブロック図である。
図9】第2の実施の形態による積付けパターン生成条件設定画面の構成例を示す図である。
図10】第3の実施の形態による積付けパターン生成装置の論理構成を示すブロック図である。
図11】デパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステムの構成例を概念的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)第1の実施の形態
(1-1)従来技術の問題点
物流において、被搬送物は一般的に直方体状のケースに収納される。直方体の形状は、縦、横及び高さの3辺によって一意に決定されるが、ケースの各辺の長さは格納される被搬送物の形状及び数により異なる。従って、ケースを輸送するための荷役台に積み付ける際の積付けパターンは、そのケースの大きさや形状に合致した適切な積付けパターンを選択する必要がある。
【0016】
同一の荷役台にケースを積み付ける場合において、同一種別のケースを積み付ける場合を単載、複数種別のケースを積み付ける場合を混載と呼ぶ。混載の場合、少なくとも異種ケースで一辺の長さが等しく、かつその辺を高さ方向に平行に積み付けるという条件を満たさない限り、ケースを一層分積んだ際に上面に高低差が生じる。この結果、より高い層への積付けパターンの自由度が失われ、荷役台上の荷崩れ防止及び荷役台全体の転倒に繋がる偏積防止のための積付けパターンの実現が困難になる。
【0017】
従って、荷役台における単一層の積付けパターンは同一サイズのケースで構成することが望ましい。しかしながら、同一の荷役台に積み付けるケースは同一の仕向け先である必要があり、かつ、ケース種別ごとの荷役台への積付け数は出荷オーダごとに異なることから、荷役台に積み付けるケース種別ごとのケース数はそれぞれ指定されたケース数にしなければならないという制約条件のもと、同一の荷役台に混載するケースの総体積を最大化して運送効率を向上することが望まれる。
【0018】
この点について、本願出願人は、荷役台の面積に対して最大数のケースを積付け可能なパターンを探索する方法では、生成した積付けパターンのパターン数の整数倍以外の数のケースを荷役台に積み付ける場合に端数となるケースが発生し、この結果として混載時の積載効率を損なうことから、ケース単位での出荷オーダを処理する場合に不十分であることを見出した。以下、このような問題を解決可能な積付けパターン生成装置について説明する。
【0019】
(1-2)本実施の形態による積付けパターン生成装置の構成
図1において、1は全体として本実施の形態による積付けパターン生成装置を示す。この積付けパターン生成装置1は、倉庫などにおいて、顧客から発注された製品や部品などが収容された段ボール箱などのケースをその顧客用の荷役台に単載する際の一層分の積付けパターンを生成する機能を有するコンピュータ装置である。
【0020】
実際上、積付けパターン生成装置1は、CPU(Central Processing Unit)2、記憶装置3、入力装置4及び表示装置5などの情報処理資源を備えて構成される。
【0021】
CPU2は、積付けパターン生成装置1全体の動作制御を司るプロセッサである。また記憶装置3は、揮発性の半導体メモリと、ハードディスク装置やSSD(Solod State Drive)などの大容量の不揮発性の記憶媒体とから構成される。そして、半導体メモリが提供する記憶領域がCPU2のワークメモリとして利用され、不揮発性の記憶媒体が提供する記憶領域に各種プログラムや長期間保存が必要な各種データとが格納される。後述する条件設定画面表示プログラム6、パターン生成条件入力プログラム7、パターン生成プログラム8及びケース情報出力プログラム9もこの記憶装置3に格納されて保持される。
【0022】
入力装置4は、例えばマウスやキーボードなどから構成され、ユーザが各種情報を入力したり、積付けパターン生成装置1に対する各種操作入力を行うために利用される。また表示装置5は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどから構成され、必要な情報を表示するために利用される。なお入力装置4及び表示装置5として、これらが一体化したタッチパネルを適用するようにしてもよい。
【0023】
(1-3)本実施の形態による積付けパターン生成装置の論理構成
図2は、本実施の形態による積付けパターン生成装置1の論理構成を示す。この図2に示すように、積付けパターン生成装置1は、条件設定画面表示部10、パターン生成条件入力部11、パターン生成部12及びケース情報出力部13を備えて構成される。
【0024】
条件設定画面表示部10は、積付けパターン生成装置1のCPU2(図1)が記憶装置3(図1)に格納された条件設定画面表示プログラム6(図1)を実行することにより具現化される機能部である。条件設定画面表示部10は、所定のユーザ操作に応じて図3に示すような積付けパターン生成条件設定画面20を表示装置5(図1)に表示する。
【0025】
この積付けパターン生成条件設定画面20は、同一種別の複数のケースCA(図4を参照)を荷役台に積み付けるときの一層分の積付けパターンを生成させるための各種条件をユーザが設定するための画面であり、図3に示すように、荷役台条件指定領域21、積付けケース条件指定領域22、オーバハング許容値指定領域23及び配置ケース数指定領域24と、設定ボタン25及びキャンセルボタン26とを備えて構成される。
【0026】
荷役台条件指定領域21は、荷役台上のケースCAを配置可能な領域(以下、これをケース配置領域と呼ぶ)をユーザが指定するための領域である。荷役台上に設定されるケース配置領域は、通常、任意の長さの2辺で構成される長方形又は正方形である。荷役台の上面の形状が円若しくは楕円又はこれよりも複雑な形状である場合にも、その中心軸が荷役台の重心を通り、かつ荷役台の上面形状に内接する任意の長方形又は正方形がケース配置領域の形状となる。このため荷役台条件指定領域21には、ケース配置領域の縦幅を指定するための縦幅欄21Aと、ケース配置領域の横幅を指定するための横幅欄21Bとが設けられている。
【0027】
また積付けケース条件指定領域22は、そのとき荷役台に積み付けるケースCAの縦幅及び横幅をユーザが指定するための領域であり、かかる荷役台に積み付けるケースCAの縦幅を指定するための縦幅欄22Aと、そのケースCAの横幅を指定するための横幅欄22Bとを備えている。
【0028】
さらにオーバハング許容値指定領域23は、荷役台に積み付けるケースが当該荷役台上のケース配置領域から外側にオーバハングする(はみ出す)場合の縦方向及び横方向のオーバハングの許容値(以下、これをオーバハング許容値と呼ぶ)をユーザが指定するための領域であり、縦方向のオーバハング許容値を指定するための縦許容値欄23Aと、横方向のオーバハング許容値を指定するための横許容値欄23Bとを備えている。
【0029】
さらに配置ケース数指定領域24は、ケースCAを荷役台に積み付ける際に同一層に配置すべきケースCAの数(ケース数)をユーザが指定するための領域であり、かかるケース数を指定するためのケース数指定欄24Aを備えている。
【0030】
そして積付けパターン生成条件設定画面20では、かかる荷役台条件指定領域21の縦幅欄21A及び横幅欄21Bと、積付けケース条件指定領域22の縦幅欄22A及び横幅欄22Bと、オーバハング許容値指定領域23の縦許容値欄23A及び横許容値欄23Bと、配置ケース数指定領域24のケース数指定欄24Aとにそれぞれ該当する又は所望する数値を入力し、この後、設定ボタン25を押圧することにより、これらの指定値をパターン生成条件として積付けパターン生成装置1に登録することができる。この場合、このパターン生成条件が条件設定画面表示部10からパターン生成条件入力部11に通知される。また積付けパターン生成条件設定画面20では、キャンセルボタン26を押圧することにより、そのとき積付けパターン生成条件設定画面20で指定した各数値を積付けパターン生成装置1に登録することなく破棄することができる。
【0031】
パターン生成条件入力部11は、積付けパターン生成装置1のCPU2が記憶装置3に格納されたパターン生成条件入力プログラム7(図1)を実行することにより具現化される機能部である。パターン生成条件入力部11は、条件設定画面表示部10から与えられたパターン生成条件を入力してパターン生成部12に引き渡す機能を有する。
【0032】
またパターン生成部12は、積付けパターン生成装置1のCPU2が記憶装置3に格納されたパターン生成プログラム8(図1)を実行することにより具現化される機能部である。このパターン生成部12は、パターン生成条件入力部11から与えられたパターン生成条件に基づき、予め与えられた図4(A)~(D)について後述する幾つかの積付けパターンのテンプレート(以下、これを積付けパターンテンプレートと呼ぶ)を利用して、同一層に配置する同一種別の各ケースCAのケース姿勢情報を積付けパターンとして生成する機能を有する。
【0033】
ここでの「ケース姿勢情報」とは、荷役台のケース配置領域上のある頂点を原点とし、ケース配置領域の長辺及び短辺とそれぞれ平行な2つの軸をそれぞれx軸及びy軸(またはy軸及びx軸)とする2次元座標系における、各ケースCAの基準位置(以下、これをケース基準位置と呼ぶ)の座標値と、基準となる姿勢からの回転角とを含む情報である。以下においては、ケース基準位置をそのケースCAの重心位置とするが、すべてのケースCAについて同一の基準であれば、ケース基準位置を例えばケースCAのいずれかの頂点などの任意の位置としてもよい。
【0034】
図4(A)~(D)は、パターン生成部12が予め保持する積付けパターンテンプレートの一例を示す。パターン生成部12は、積付けパターンテンプレートとして、図4(A)に示すような任意のケース数に適用可能なブロック積みや、図4(B)に示すようなケース数が3個以上の場合に適用可能なレンガ積み、図4(C)に示すようなケース数が4の倍数の場合に適用可能なピンホール積み、及び、図4(D)に示すようなケース数が9個の場合に適用可能なダブルピンホール積みなどのテンプレートを保持している。なおケースCAの積付けパターンとしては、この他、スプリット積みや窓積みと呼ばれる代表的な積付けパターンが存在するが、これらの積付けパターンはレンガ積みの生成アルゴリズムのフレームワークでパターン生成するため、ここではレンガ積みの一形態として取り扱うものとする。
【0035】
本実施の形態の積付けパターン生成装置1の場合、上述のように同一層に積み付けるケースCAの数がユーザにより事前に設定されるため、このように複数種類の積付けパターンテンプレートを用意しておくことで、候補となる積み付けパターンテンプレートを事前に選択でき、パターン生成部12の演算量を削減できる効果がある。パターン生成部12が利用する積付けパターンテンプレートは、積み付ける同一種別のケースCAのケース数によっては単一又は複数の場合があり、パターン生成部12は、図6A図6Cについて後述するように、利用するすべての積付けパターンテンプレートに基づいて積付けパターンをそれぞれ生成する。
【0036】
例えば、パターン生成部12は、図4(A)に示すブロック積みが選択された場合、積付けパターン生成条件設定画面20を用いてユーザにより設定された同一層に配置すべき同一種別のケースの数(以下、これをユーザ設定ケース数と呼ぶ)を、因数分解により1組以上の2個の整数の積で表現する。そして、図4(A)に示すように、かかる積を構成する2つの整数と同じ数のケースCAを縦方向及び横方向にそれぞれ隣接して並べたパターンを、かかる2個の整数の組合せごとにケースCAの回転角(以下、これを単にケース回転角と呼ぶ)が0度の場合と、90度の場合とについてそれぞれ生成する。
【0037】
またパターン生成部12は、図4(B)に示すレンガ積みが選択された場合、ケース回転角が0度又は90度の状態で荷役台上のケース配置領域の縦方向又は横方向に隙間なく、ユーザ設定ケース数(Nとする)未満で2以上の個数(nとする)のケースCAを配置する。以下においては、ここで配置した「2以上の個数のケース」をnケース群G1と呼び、nケース群G1においてこれらのケースCAが並ぶ方向の軸をnケース配置軸と呼ぶものとする。
【0038】
次に、パターン生成部12は、残ケース数(N-n)をブロック積みの方法で並べてブロック積みのパターン部分(以下、これをブロック積みパターン群と呼ぶ)G2を生成する。ただし、ブロック積みパターン群G2における各ケースCAの回転角は、nケース群G1を構成する各ケースCAとは異なる角度、つまりnケース群G1を構成する各ケースCAの回転角が0度の場合にはブロック積みパターン群G2を構成する各ケースCAの回転角を90度、nケース群G1を構成する各ケースCAの回転角が90度の場合にはブロック積みパターン群G2を構成する各ケースCAの回転角を0度とする。
【0039】
さらにブロック積みパターン群G2の各ケースCAのnケース配置軸方向の個数は、上述のようにブロック積みパターン群G2を構成する各ケースCAのnケース配置軸方向の全長がnケース群G1のnケース配置軸方向の全長以下となる個数の中からnケース配置軸方向への配置数が最大となる個数を採用する。
【0040】
この際、例えば、nケース群G1のnケース配置軸方向の全長よりもブロック積みパターン群G2のnケース配置軸方向の全長が小さく、かつnケース配置軸方向に並ぶブロック積みパターン群G2のケースCAの数が2以上である場合には、パターン生成部12は、nケース群G1のnケース配置軸方向の全長と、ブロック積パターン群G2のnケース配置軸方向の全長とが一致するように、これらブロック積みパターン群G2を構成する各ケースCA間にそれぞれ均等の隙間を追加した上で、これらブロック積みパターン群G2の各ケースCAをnケース配置軸に直交する方向にnケース群G1と隣接して配置する。
【0041】
さらに、上述の残ケース数(N-n)がn以上の場合は、パターン生成部12は、最初のnケース群G1とは異なるnケース群G1をnケース配置軸に直交する方向に最初のnケース群G1と隣接して配置する。レンガ積みパターンの生成操作は、条件を満たす整数nと、残ケース数(N-n)がn未満となるnケース群の列数mの組合せの数だけ繰り返す。
【0042】
一方、パターン生成部12は、図4(C)に示すピンホール積みが選択された場合、ユーザ設定ケース数(N)の1/4のケース数(N/4)に対してブロック積みと、N/4が3個以上の場合はレンガ積みとの方法によりサブ積付けパターンを生成する。サブ積付けパターンが複数存在する場合には、各サブ積付けパターンに対して外接する面積が最小の長方形を算出し、その長辺及び短辺の差が最小のサブ積付けパターンを選択する。
【0043】
そしてパターン生成部12は、選択したサブ積付けパターンに対して外接する面積最小の長方形の上辺を共有する全体を90度回転したサブ積付けパターンを右側に、左辺を共有する全体を90度回転したサブ積付けパターンを下側にそれぞれ隣接配置し、下側に配置した全体を90度回転したサブ積付けパターンに対して下辺を共有する全体を180度回転させたサブ積付けパターンを右側に隣接配置し、ピンホール積みパターンとする。
【0044】
他方、パターン生成部12は、図4(D)に示すダブルピンホール積みが選択された場合、1つのケースCAをサブ積付けパターンとしたピンホール積みの積付けパターンを隣接配置する。さらに、ピンホール積みの積付けパターンが共有するケースCAの長辺に対して短辺が接する2個のケースCAそれぞれに対して他のケースCAが接していない長辺を共有するケースCAを各1個配置し、ダブルピンホール積みの積付けパターンとする。
【0045】
パターン生成部12は、上述のようにして生成した積付けパターンのうち、その積付けパターンの重心を荷役台上のケース配置領域の中心座標と一致させた際に、すべてのケースCAの各辺が当該ケース配置領域内に収まっている、又は、荷役台上のケース配置領域の外にあるケースCAの各辺と当該ケース配置領域との距離がオーバハング許容値以下である積付けパターンを抽出する。ここで、積付けパターンが複数抽出された場合、各積付けパターンに対して外接する面積最小の長方形の短辺が最も大きいパターンを選択することで、複数層積み付けた際の荷崩れリスクを低減することができる。そしてパターン生成部12は、この後、選択した積付けパターンを構成する各ケースCAのケース姿勢情報をケース情報出力部13に出力する。
【0046】
ケース情報出力部13は、積付けパターン生成装置1のCPU2が記憶装置3に格納されたケース情報出力プログラム9(図1)を実行することにより具現化される機能部である。このケース情報出力部13は、パターン生成部12から与えられた各ケースCAのケース姿勢情報に基づいて、パターン生成部12により生成された同一層に配置する同一種別の各ケースCAの積付けパターンの情報(以下、これを積付けパターン情報と呼ぶ)を出力する。なお積付けパターン情報の形態は、各ケースCAのケース基準位置を表すデータであっても、各ケースCAのケース基準位置を可視化した画面のデータのいずれであってもよい。
【0047】
図5は、ケース情報出力部13がかかる積付けパターン情報を画面データとして出力する場合にこの画面データに基づいて表示装置5に表示される画面(以下、これを積付けパターン表示画面と呼ぶ)30の構成例を示す。図5に示すように、この積付けパターン表示画面30は、積付けパターン表示領域31及びケース配置位置及び回転角表示領域32を備えて構成される。
【0048】
そして積付けパターン表示領域31には、パターン生成部12により生成された積付けパターンにおける各ケースCAの配置図が表示される。またケース配置位置及び回転角表示領域には、荷役台のケース配置領域の所定位置を原点とした場合における各ケースCAのX座標及びY座標並びに回転角の一覧が表示される。なお、図5は、各ケースCAのケースサイズが縦300mm、横400mmで、8個のケースCAをピンホール積みで積み付ける積付けパターンがパターン生成部12により生成された場合の例である。
【0049】
(1-4)パターン生成部の具体的な処理内容
ここで図6A図6Cは、かかるパターン生成部12の積付けパターンの生成に関するより具体的な処理内容を示すフローチャートである。パターン生成部12は、この図6A図6Cに示す処理手順に従って、ブロック積み、レンガ積み、ピンホール積み及びダブルピンホール積みのうちの生成可能な積付けパターンをすべて生成する。
【0050】
より具体的には、パターン生成部12は、図6A図6Cの各ステップのうち、ステップS2においてブロック積みの積付けパターンを生成し、ステップS3~ステップS15でレンガ積みの積付けパターンを生成し、ステップS16~ステップS32でピンホール積みの積付けパターンを生成し、ステップS33~ステップS34でダブルピンホール積みの積付けパターンを生成する。
【0051】
そしてパターン生成部12は、荷崩れ防止の観点から、生成した積付けパターンの中から外接する面積最小の長方形の短辺が最も大きい積付けパターンを今回生成した積付けパターンとしてケース情報出力部13に出力する。
【0052】
実際上、パターン生成部12は、パターン生成条件入力部11からパターン生成条件が与えられるとこの図6A図6Cに示す一連の処理(以下、これをパターン生成処理と呼ぶ)を開始し、まず、かかるパターン生成条件入力部11から与えられたパターン生成条件を取得する(S1)。
【0053】
続いて、パターン生成部は12、取得したパターン生成条件に基づいて、積がユーザ設定ケース数(N)となる整数の組合せ(以下、これを整数組と呼ぶ)をユーザ設定ケース数を因数分解することにより算出すると共に、算出したこれらの整数組においてケースCAの回転角をそれぞれ0度又は90度とした場合のブロック積みのパターン(以下、これをブロック積みパターンと呼ぶ)をそれぞれ生成し、生成したこれらすべてのブロック積みパターンを図示しない第1のリストに登録する(S2)。
【0054】
例えば、かかるユーザ設定ケース数として「8」が設定されていた場合、積が「8」となる整数組としては(1,8)、(2,4)、(4,2)及び(8,1)の4つがあり、これらの整数組ごとにケースの回転角が0度及び90度の2つの状態があるため、合計8個のブロック積みパターンが生成されることになる。よって、この場合、パターン生成部12は、生成したこれら8個のブロック積みパターンをそれぞれ第1のリストに登録する。
【0055】
次いで、パターン生成部12は、ユーザ設定ケース数が3以上であるか否かを判断する(S3)。この判断で否定結果を得ることは、ユーザ設定ケース数のケースではレンガ積みができないことを意味する。かくして、このときパターン生成部12は、ステップS16に進む。
【0056】
これに対して、ステップS3の判断で肯定結果を得ることは、ユーザ設定ケース数のケースによってレンガ積みができることを意味する。かくして、このときパターン生成部12は、レンガ積みにおける上述のnケース群G1(図4)を構成するケースCAの個数を表す整数nの値を2に設定する(S4)。
【0057】
続いて、パターン生成部12は、レンガ積みにおけるそのとき生成可能なすべてのnケース群G1を生成する(S5)。従って、このステップS5では、n個のケースCAを回転角を0度にして縦方向に配列したnケース群G1及びケースCAの回転角を0度にして横方向に配列したnケース群G1と、ケースCAの回転角を90度にして縦方向に配列したnケース群G1及びケースCAの回転角を90度にして横方向に配列したnケース群G1とがそれぞれ生成される。
【0058】
次いで、パターン生成部12は、積が(N-n)となる整数組を算出し、算出したこれら整数組ごとのケースCAの回転角を0度や90度としたときのブロック積みパターン群G2をすべて生成する(S6)。例えば、N=8、n=2の場合、積が(N-n)となる整数組は(1,6)、(2,3)、(3,2)及び(6,1)の4つであり、これらの整数組においてケースCAの回転角が0度や90度のブロック積みパターン群G2をそれぞれ生成する。従って、この場合には、合計8個のブロック積みパターン群G2が生成されることになる。
【0059】
続いて、パターン生成部12は、ステップS5で生成したnケース群G1と、ステップS6で生成したブロック積みパターン群G2との組合せをすべて生成し(S7)、生成したnケース群G1及びブロック積みパターン群G2の組合せの中からステップS9以降の処理が未処理の組合せを1つ選択する(S8)。
【0060】
またパターン生成部12は、選択した組合せ(以下、これを第1の選択組合せと呼ぶ)を構成するnケース群G1及びブロック積みパターン群G2におけるケースCAの回転角が異なっているか否かを判断する(S9)。
【0061】
パターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS13に進み、これに対して肯定結果を得ると第1の選択組合せにおけるnケース群G1のケースCAの配列方向において、ブロック積みパターン群G2の全長がnケース群G1の全長以下であるか否かを判断する(S10)。
【0062】
そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS13に進み、これに対して肯定結果を得ると、かかるnケース群G1のケースCAの配列方向におけるかかるブロック積みパターン群G2の全長がそのnケース群G1の全長と一致するように、当該ブロック積みパターン群G2の各ケースCA間に均等な大きさの隙間をそれぞれ設定する(S11)。
【0063】
次いで、パターン生成部12は、そのnケース群G1及びそのブロック積みパターン群G2を隣接配置するようにしてレンガ積みパターンを生成し、生成したレンガ積みパターンを上述の第1のリストに登録する(S12)。
【0064】
さらにパターン生成部12は、ステップS7で生成したnケース群G1と、ブロック積みパターン群G2との全ての組合せについて処理が完了したかを判断する(S13)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS8に戻り、この後、ステップS13で肯定結果を得るまでステップS8~ステップS12の処理を繰り返す。これに対してパターン生成部12は、ステップS13の判断で肯定結果を得ると、整数nをインクリメント(「1」だけ値を増加)し(S14)、この後、整数nの値がユーザ設定ケース数(N)以上となったか否かを判断する(S15)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS5に戻り、この後、ステップS15で肯定結果を得るまでステップS5~ステップS15の処理を繰り返す。この繰返し処理により、同一層に配置するケース数がユーザ設定ケース数(N)であるすべてのレンガ積みパターンが生成されて、これらレンガ積みパターンがそれぞれ第1のリストに登録される。
【0065】
そしてパターン生成部12は、やがてかかるすべてのレンガ積みパターンを第1のリストに登録し終えることによりステップS15で肯定結果を得ると、ユーザ設定ケース数(N)が4の倍数であるか否かを判断する(S16)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS33に進む。
【0066】
これに対してパターン生成部12は、ステップS16の判断で肯定結果を得ると、ステップS6と同様にして、その積がN/4となる整数組を、N/4を因数分解することにより算出すると共に、算出したこれらの整数組においてケースの回転角が0度又は90度の場合のブロック積みパターンをそれぞれ生成し、生成したこれらブロック積みパターンを図示しない第2のリストに登録する(S17)。
【0067】
続いて、パターン生成部12は、N/4が3以上であるか否かを判断する(S18)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS31に進み、これに対して肯定結果を得ると、レンガ積みにおける上述のnケース群G1を構成するケースCAの個数を表す整数nの値を2に設定する(S19)。
【0068】
またパターン生成部12は、レンガ積みにおけるそのとき生成可能なすべてのnケース群G1を生成する(S20)。従って、このステップS20では、n個のケースCAの回転角を0度にして縦方向に配列したnケース群G1及びケースCAの回転角を0度にして横方向に配列したnケース群G1と、ケースCAの回転角を90度にして縦方向に配列したnケース群G1及びケースCAの回転角を90度にして横方向に配列したnケース群G1とがそれぞれ生成される。
【0069】
さらにパターン生成部12は、積が(N/4-n)となる整数組を算出し、算出したこれら整数組ごとのケースCAの回転角を0度や90度としたときのブロック積みパターン群G2をすべて生成する(S21)。例えば、N=24、n=2の場合、積が(N/4-n)となる整数組は(1,4)、(2,2)、(4,1)の3つであり、これらの整数組においてケースCAの回転角が0度や90度のブロック積みパターン群G2をそれぞれ生成する。従って、この場合には、合計6個のブロック積みパターン群G2が生成されることになる。
【0070】
続いて、パターン生成部12は、ステップS20で生成したnケース群G1と、ステップS21で生成したブロック積みパターン群G2との組合せをすべて生成し(S22)、生成したnケース群G1及びブロック積みパターン群G2の組合せの中からステップS24以降の処理が未処理の組合せを1つ選択する(S23)。
【0071】
またパターン生成部12は、ステップS23で選択した組合せ(以下、これを第2の選択組合せと呼ぶ)を構成するnケース群G1及びブロック積みパターン群G2におけるケースCAの回転角が異なっているか否かを判断する(S24)。
【0072】
パターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS28に進み、これに対して肯定結果を得ると第2の選択組合せにおけるnケース群G1のケースCAの配列方向において、ブロック積みパターン群G2の全長がnケース群G1の全長以下であるか否かを判断する(S25)。
【0073】
そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS28に進み、これに対して肯定結果を得ると、かかるnケース群G1のケースCAの配列方向におけるかかるブロック積みパターン群G2の全長がそのnケース群G1の全長と一致するように、当該ブロック積みパターン群G2の各ケースCA間に均等な大きさの隙間をそれぞれ設定する(S26)。
【0074】
次いで、パターン生成部12は、そのnケース群G1及びそのブロック積みパターン群G2を隣接配置するようにしてレンガ積みパターンを生成し、生成したレンガ積みパターンをサブ積付けパターンとして第2のリストに登録する(S27)。
【0075】
さらにパターン生成部12は、ステップS22で生成したnケース群G1と、ブロック積みパターン群G2との全ての組合せについて処理が完了したかを判断する(S28)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS23に戻り、この後、ステップS28で肯定結果を得るまでステップS23~ステップS27の処理を繰り返す。これに対してパターン生成部12は、ステップS28の判断で肯定結果を得ると、整数nをインクリメント(「1」だけ値を増加)し(S29)、この後、整数nの値がユーザ設定ケース数の4分の1(N/4)以上となったか否かを判断する(S30)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS20に戻り、この後、ステップS30で肯定結果を得るまでステップS20~ステップS30の処理を繰り返す。
【0076】
そしてパターン生成部12は、やがて生成可能なすべてのレンガ積みパターン群G2をサブ積付けパターンとして第2のリストに登録し終えることによりステップS30で肯定結果を得ると、そのとき第2のリストに登録されている各サブ積付けパターンの中から、外接する面積が最小の長方形の長辺と短辺との差が最小のサブ積付けパターンを選択する(S31)。
【0077】
またパターン生成部12は、ステップS31で選択したサブ積付けパターンに基づいてピンホール積みパターンを生成し、生成したピンホール積みパターンを第1のリストに登録する(S32)。具体的に、パターン生成部12は、ステップS31で選択したサブ積付けパターンを3つ複製し、複製した3つのサブ積付けパターンと、複製元のサブ積付けパターンとを合わせた合計4つのサブ積付けパターンのうちの2つを90度回転させる。またパターン生成部12は、90度回転させていないサブ積付けパターンと、90度回転させたサブ積みパターンとを順次交互に環状に隣接配置するようにしてピンホール積みパターンを生成し、生成したピンホール積みパターンを第1のリストに登録する。
【0078】
続いて、パターン生成部12は、ユーザ設定ケース数(N)が「9」であるか否かを判断する(S33)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS35に進む。これに対して、パターン生成部12は、ステップS33の判断で肯定結果を得ると、9個のケースのうちの6つを回転角が0度、残りの3つを回転角が90度回転させて、これらを所定パターンで隣接配置することにより図4(D)のようなダブルピンホール積みパターンを生成し、生成したダブルピンホール積みパターンを第1のリストに登録する(S34)。
【0079】
次いで、パターン生成部12は、これまでに第1のリストに登録した積付けパターン(ブロック積みパターン、レンガ積みパターン、ピンホール積みパターン及び又はダブルピンホール積みパターン)の中から1つの積付けパターンを選択し(S35)、選択した積付けパターン(以下、これを選択積付けパターンと呼ぶ)の重心と、荷役台上のケース配置領域の中心とを一致させた状態をシミュレーションする(S36)。
【0080】
この後、パターン生成部12は、ステップS36のシミュレーションにおいて、1つ以上のケースCAの1つ以上の辺が荷役台上のケース配置領域外に存在している(ケース配置領域からはみ出している)か否かを判断する(S37)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS40に進む。
【0081】
これに対して、パターン生成部12は、ステップS37の判断で肯定結果を得ると、荷役台上のケース配置領域外に存在する少なくとも1つのケースCAの辺と、当該ケース配置領域との距離がユーザにより設定されたオーバハング許容値よりも大きいか否かを判断する(S38)。そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS40に進む。
【0082】
これに対して、パターン生成部12は、ステップS38の判断で肯定結果を得ると、選択積付けパターンを第1のリストから削除し(S39)、この後、第1のリストに登録されたすべての積付けパターンについてステップS36~ステップS39の処理を実行し終えたか否かを判断する(S40)。
【0083】
そしてパターン生成部12は、この判断で否定結果を得るとステップS35に戻り、この後、ステップS35で選択する積付けパターンをステップS36以降が未処理の他の積付けパターンに順次切り替えながらステップS35~ステップS40の処理を繰り返す。この繰返し処理により、第1のリストに登録された積付けパターンのうち、その重心が荷役台上のケース配置領域の中心と一致するように当該ケース配置領域上に載せたときに、少なくとも1つのケースCAの辺がオーバハング許容値を超えてケース配置領域から飛び出る積付けパターンを第1のリストから削除することができる。
【0084】
そしてパターン生成部12は、やがて第1のリストに登録されていたすべての積付けパターンについてステップS36~ステップS39の処理を実行し終えることによりステップS40で肯定結果を得ると、そのとき第1のリストに登録されているすべての積付けパターンの中から、外接する面積最小の長方形の短辺が最も大きく、かつ当該長方形の面積に対するケースCAの総面積の総和の比率が最大の積付けパターンを最終的に生成した積付けパターンとして選択する(S41)。このように外接する面積最小の長方形の短辺が最も大きい積付けパターンを選択することにより、第1のリストに登録されている積付けパターンの中から最も荷崩れし難い積付けパターンを選択することができる。
【0085】
続いて、パターン生成部12は、ステップS41で選択した積付けパターンをケース情報出力部13(図2)に出力し(S42)、この後、この一連のパターン生成処理を終了する。
【0086】
(1-5)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態の積付けパターン生成装置1によれば、ユーザにより指定された個数だけ同一サイズのケースCAを同一層に配置する際の各ケースCAのケース姿勢情報(積付けパターン)を生成することができ、この各ケースCAのケース姿勢情報に基づいてケースCAを荷役台に積み付けることにより、ユーザが所望するケース数のケースCAを荷役台に積み付けることができる。よって、本積付けパターン生成装置1を利用することで、ロボットを利用した積付け作業の自動化を実現することができ、かくして積付け後の後工程に悪影響を及ぼすことなく、積付け作業の作業効率を向上させることができる。
【0087】
また本積付けパターン生成装置1では、図6CのステップS41について上述したように、条件を満たす積付けパターンが複数存在する場合に、これらの積付けパターンの中から、外接する面積最小の長方形の短辺が最も大きく、かつ当該長方形の面積に対するケースCAの総面積の総和の比率が最大の積付けパターンを最終的に生成した積付けパターンとして選択するため、短辺の短さに由来する荷崩れリスクを低減することができる。
【0088】
さらに本積付けパターン生成装置1では、ケースCAを荷役台に積み付ける際のオーバハング許容値を設定することができるため、ユーザにより指定された個数のケースCAを荷役台上のケース配置領域内に収めきれない場合においても、現実的に適用可能な積付けパターンを生成することができる。
【0089】
(2)第2の実施の形態
第1の実施の形態では、同一種別の複数のケースCAを荷役台上に積み付ける際の一層分の積付けパターンを生成する場合について説明した。これに対して第2の実施の形態では、複数種別のケースCAを同一の荷役台に積み付ける際のケース種別ごとの積付けパターンを生成する場合について説明する。この場合において、同一層に積み付ける各ケースCAはすべて同じ種別ものであり、同一層に積み付けるケースCAの個数は、ケース種別に関わりなく、予めユーザが設定した個数(ユーザ設定ケース数)であるものとする。
【0090】
図1との対応部分に同一符号を付して示す図7は、第2の実施の形態による積付けパターン生成装置40を示す。この積付けパターン生成装置40では、仕向け先別出荷オーダー入力画面表示プログラム41、ケースマスタデータベース42、荷姿生成プログラム43、条件設定画面表示プログラム44、パターン生成条件入力プログラム7、パターン生成プログラム8及びケース情報出力プログラム9が記憶装置3に格納されている。
【0091】
図2との対応部分に同一符号を付した図8は、本実施の形態による積付けパターン生成装置40の論理構成を示す。本実施の積付けパターン生成装置40は、パターン生成条件入力部11、パターン生成部12及びケース情報出力部13に加えて、仕向け先別出荷オーダ入力部50、ケースマスタデータベース42及び荷姿生成部51と、第1の実施の形態による条件設定画面表示部10とは異なる積付けパターン生成条件設定画面60(図9)を表示する条件設定画面表示部52とが設けられている点が第1の実施の形態の積付けパターン生成装置1と相違する。
【0092】
仕向け先別出荷オーダ入力部50は、積付けパターン生成装置40のCPU2(図7)が記憶装置3(図7)に格納された仕向け先別出荷オーダー入力画面表示プログラム41(図7)を実行することにより具現化される機能部である。仕向け先別出荷オーダ入力部50には、仕向け先別の、出荷すべき各ケースCAの種別をそれぞれ表すケース種別IDと、ケース種別IDごとの出荷すべき個数とを含む仕向け先別出荷オーダ情報が外部から与えられる。そして仕向け先別出荷オーダ入力部50は、この仕向け先別出荷オーダ情報を取得して管理する機能を有する。
【0093】
またケースマスタデータベース42は、記憶装置3が提供する記憶領域上に定義されたデータベースである。ケースマスタデータベース42には、ケースマスタ情報が予め格納される。ケースマスタ情報は、ケース種別ごとのケースCAの3辺(縦、横及び高さ)それぞれの長さと、ケース種別ごとのケースCAの重量と、ケース種別ごとの単載する際の一層当たりのケースCAのケース数と、同一荷役台上に積み付ける層の数(層数)とを含む情報である。
【0094】
条件設定画面表示部52は、積付けパターン生成装置40のCPU2が記憶装置3に格納された条件設定画面表示プログラム44(図7)を実行することにより具現化される機能部である。条件設定画面表示部52は、所定のユーザ操作に応じて図9に示すような積付けパターン生成条件設定画面60を表示装置5に表示する機能を有する。
【0095】
この積付けパターン生成条件設定画面60は、複数種別のケースCAを荷役台に積み付けるときの各層の積付けパターンを生成するために必要な各種条件をユーザが設定するための画面である。図9に示すように、積付けパターン生成条件設定画面60は、荷役台条件指定領域61、オーバハング許容値指定領域62及び積付けパターン優先事項指定領域63と、設定ボタン64及びキャンセルボタン65とを備えて構成される。
【0096】
荷役台条件指定領域61は、積付け先となる荷役台に関する各種制約条件を設定するための領域であり、縦幅欄61A、横幅欄61B、総重量上限欄61C及び高さ上限欄61Dを備える。
【0097】
そして荷役台条件指定領域61では、荷役台のケース配置領域の縦幅を縦幅欄61Aに入力し、横幅を横幅欄61Bに入力することにより、ケース配置領域の縦幅及び横幅を指定することができる。また荷役台条件指定領域61では、荷役台に積付け可能なケースCAの総重量を総重量上限欄61Cに入力することにより、かかる総重量を指定することができ、さらに同一荷役台にケースCAを積み付ける際の高さの上限を高さ上限欄61Dに入力することにより、かかる高さを指定することができる。
【0098】
またオーバハング許容値指定領域62は、オーバハング許容値計算方法指定領域62A、絶対値指定領域62B及び割合指定領域62Cを備える。
【0099】
オーバハング許容値計算方法指定領域62Aは、荷役台に積載されるケースCAのケース辺が荷役台上のケース配置領域外にオーバハング可能な縦方向及び横方向の許容値の計算方向を設定するための領域である。本実施の形態の場合、ユーザは、予めケースマスタデータベースにオーバハング許容値として格納されているケース種別ごとの絶対値から指定する方法(以下、これを第1の計算方法と呼ぶ)と、ケースサイズに対する割合で算出する第2の方法(以下、これを第2の計算方法と呼ぶ)とから選択できる。
【0100】
このためオーバハング許容値計算方法指定領域62Aには、第1の計算方法と対応付けられた第1のチェックボックス62AAと、第2の計算方法と対応付けられた第2のチェックボックス62ABとが設けられている。そしてオーバハング許容値計算方法指定領域62Aでは、第1のチェックボックス62AAをクリックして図示しないチェックマークを第1のチェックボックス62AA内に表示させることにより、かかるオーバハングの許容値の計算方法として第1の計算方法を指定することができ、第2のチェックボックス62ABをクリックしてチェックマークを第2のチェックボックス62AB内に表示させることにより、かかるオーバハングの許容値の計算方向として第2の計算方法を指定することができる。
【0101】
なお、オーバハングの許容値の計算方法としては、第1及び第2の計算方法の中からいずれか一方のみしか指定することができない。このため選択された一方の第1又は第2の計算方法に対応する第1又は第2のチェックボックス62AA,62ABにのみチェックマークが表示される。そして、この後、他方の第2又は第1の計算方法が選び直された場合には、元の第1又は第2の計算方法に対応する第1又は第2のチェックボックス62AA,62ABに表示されたチェックマークが消えて、かかる他方の第2又は第1の計算方法に対応する第2又は第1のチェックボックス62AB,62AAにチェックマークが表示される。
【0102】
絶対値指定領域62Bは、オーバハング許容値の計算方法として第1の計算方法が選択された場合のかかるオーバハング許容値を設定するための領域であり、縦許容値欄62BA及び横許容値欄62BBを備える。そして絶対値指定領域62Bでは、縦方向のオーバハング許容値を縦許容値欄62BAに入力し、横方向のオーバハング許容値を横許容値欄62BBに入力することにより、かかるオーバハングの縦方向及び横方向の許容値を指定することができる。
【0103】
また割合指定領域62Cは、オーバハング許容値の計算方法として第2の計算方法が選択された場合における縦方向や横方向に対するオーバハング許容値の割合を設定するための領域であり、縦許容値割合欄62CA及び横許容値割合欄62CBを備える。そして割合指定領域62Cでは、縦方向のケースサイズに対して許容されるオーバハングの割合を百分率で縦許容値割合欄62CAに入力し、横方向のケースサイズに対して許容されるオーバハングの割合を百分率で横許容値割合欄62CBに入力することにより、かかるオーバハングの縦方向及び横方向の許容値を指定することができる。
【0104】
積付けパターン優先事項指定領域63は、積付けパターンを生成する際の優先事項として、荷役台の耐荷重を優先する第1の選択肢と、荷役台に積み付けられたケースCAの荷崩れ防止を優先する第2の選択肢とのいずれか一方を指定するための領域であり、第1の選択肢に対応する第1のチェックボックス63Aと、第2の選択肢に対応する第2のチェックボックス63Bとを備えている。
【0105】
そして積付けパターン優先事項指定領域63では、第1のチェックボックス63Aをクリックして図示しないチェックマークを第1のチェックボックス63A内に表示させることにより、かかる積付けパターンを生成する際の優先事項として第1の選択肢(耐荷重を優先)を選択することができ、第2のチェックボックスをクリックしてチェックマークを第2のチェックボックス63B内に表示させることにより、積付けパターンを生成する際の優先事項として第2の選択肢(荷崩れ防止を優先)を選択することができる。
【0106】
なお、積付けパターンの優先事項は、第1及び第2の選択肢の中からいずれか一方のみしか選択することができない。このため選択された一方の第1又は第2の選択肢に対応する第1又は第2のチェックボックス63A,63Bにのみチェックマークが表示される。また、この後、他方の第2又は第1の選択肢が選び直された場合には、元の第1又は第2の選択肢に対応する第1又は第2のチェックボックス63A,63Bに表示されたチェックマークが消えて、かかる他方の第2又は第1の選択肢に対応する第2又は第1のチェックボックス63B,63Aにチェックマークが表示される。
【0107】
そしてユーザは、入力装置4(図7)を操作して積付けパターン生成条件設定画面60を表示装置5(図7)に表示させ、かかる荷役台条件指定領域61において荷役台に関する各種制約条件を設定すると共に、オーバハング許容値指定領域62においてケースCAがオーバハング場合の縦方向及び横方向の許容値を設定し、さらに積付けパターン優先事項指定領域63において積付けパターンを生成する際の優先事項を設定した後、設定ボタン64を押圧することにより、これらの条件(以下、これをユーザ指定積付けパターン生成条件と呼ぶ)を積付けパターン生成装置40に登録することができる。この場合、このユーザ指定積付けパターン生成条件が条件設定画面表示部52から荷姿生成部51に通知される。また積付けパターン生成条件設定画面60では、キャンセルボタン65を押圧することにより、そのとき積付けパターン生成条件設定画面60において指定した各種条件を積付けパターン生成装置40に登録することなく破棄することができる。
【0108】
荷姿生成部51は、積付けパターン生成装置40のCPU2が記憶装置3に格納された荷姿生成プログラム43(図7)を実行することにより具現化される機能部であり、荷役台にケースCAを複数層積み付ける際の積み付けられたケースCA全体の荷姿を生成する機能を有する。
【0109】
実際上、荷姿生成部51は、積付けパターン生成条件設定画面60の設定ボタン64がクリックされたタイミングで条件設定画面表示部52から与えられるユーザ設定積付けパターン生成条件を受領すると、仕向け先別出荷オーダ入力部50が管理している仕向け先別出荷オーダ情報と、ケースマスタデータベース42に格納されているケースマスタ情報とをそれぞれ読み出し、かくして得られたこれらユーザ設定積付けパターン生成条件、仕向け先別出荷オーダ情報及びケースマスタ情報のうちの必要な情報をパターン生成条件としてパターン生成条件入力部11に出力する。
【0110】
具体的に、荷姿生成部51は、仕向け先別出荷オーダ情報に基づき認識される、仕向け先に対するケース種別ごとのケース総数が、単載する際の一層当たりのケース数と、同一の荷役台上に積み付ける層数との積以上である場合、パターン生成条件入力部11に対して、荷役台上のケース配置領域の縦方向及び横方向の各長さと、仕向け対象の各ケース種別のケースCAの3辺の長さと、単載する際の一層当たりのケース数と、ケースCAが荷役台上のケース配置領域から外側にオーバハングする縦方向及び横方向の許容値とをパターン生成条件入力部11に出力する。
【0111】
この際、荷姿生成部51は、オーバハングの許容値の計算方法として上述の第1の計算方法が設定されている場合には、ケースマスタデータベース42から取得したケースマスタ情報に含まれる該当する値を、かかるオーバハングの縦方向及び横方向の許容値とし、オーバハングの許容値の計算方法として上述の第2の計算方法が選択されている場合には、ケースCAの縦方向及び横方向の長さにそれぞれ設定された割合を乗じた値をそれぞれ縦方向及び横方向のオーバハングの許容値とする。
【0112】
そして、荷姿生成部51からパターン生成条件入力部11に出力されたパターン生成条件は、パターン生成条件入力部11を介してパターン生成部12に与えられる。またパターン生成部12は、第1の実施の形態と同様にして、与えられたパターン生成条件を満たす積付けパターン(各ケースCAのケース姿勢情報)を生成し、生成した積付けパターンを荷姿生成部51に通知する。
【0113】
この際、パターン生成部12は、かかるパターン生成条件を満たす積付けパターンを生成できなかった場合には、その旨を荷姿生成部51に通知(以下、この通知を積付けパターン生成不能通知と呼ぶ)する。そして荷姿生成部51は、この積付けパターン生成不能通知がパターン生成部12から与えられた場合、ケースCAの2辺の長さの組合せを縦方向の長さ及び高さ方向の長さの組合せ、又は、横方向の長さ及び高さ方向の長さの組合せに変更したパターン生成条件を生成し、生成したパターン生成条件をパターン生成条件入力部11を介してパターン生成部12に出力する。
【0114】
なお、荷姿生成部51は、ケースCAの縦方向の長さと、横方向の長さとに差がある場合、より長い辺を含むケース辺の組合せを優先してパターン生成条件入力部11に出力する。このようにすることにより、ケースCAのいずれのケース辺の組合せでも積付けパターンを生成できる場合に、より高さが低い積付けパターンが生成されるため、荷役台に積み付けられたケースCAの荷崩れリスクを低減することができる。
【0115】
荷姿生成部51は、パターン生成部12から単一層分の積み付けパターンが通知されると、その積付けパターンを荷役台に積み付ける層数だけ複製し、各層をそれぞれ構成する各ケースCAの高さ方向の座標(Z座標)を追加した新たなケース姿勢情報をケースCAごとにそれぞれ生成する。この際、荷姿生成部51が追加する第p層を構成するケースCAの高さ方向の座標は、最下層に積み付けられるケースCAのケース基準位置からに荷役台上のケース配置領域までの高さをz、各ケースCAにおける荷姿生成部51からパターン生成条件入力部11に出力しなかった1辺の長さをHとすると、次式
【数1】
により求めることができる。
【0116】
さらに荷姿生成部51は、図9について上述した積付けパターン生成条件設定画面60において積付けパターンを生成する際に荷崩れ防止を重視するとの設定がなされていた場合には、単一層の積付けパターンが、当該積付けパターンに外接する面積最小の長方形の中心を通り、かつ当該長方形の各辺にそれぞれ平行な2軸のいずれかに対して軸対称でない場合に、積付けパターンが当該軸(対称でない軸)に対して反転した積付けパターンとなる様に各偶数層又は各奇数層をそれぞれ構成する各ケースCAのケース姿勢情報を変更する。
【0117】
このような操作は、偏積による転倒を防止するためである。実際上、単一層内の積付けパターンに外接する面積最小の長方形の中心と、その単一層内の積付けパターンの重心とが一致していない場合に、荷役台上のケース配置領域の中心と、その荷役台に積み付けられたケースCA全体の重心とのXY座標が不一致となり、偏積による転倒リスクが生じる。従って、荷役台上のケース配置領域の中心のXY座標と、荷役台に積み付けるケースCA全体の中心とのXY座標が一致するように、荷役台に積み付けるすべてのケースCAのXY軸座標を一様に修正することで転倒リスクを低減することができる。
【0118】
そして荷姿生成部51は、以上のようにして生成した荷役台に積み付ける各ケースのXYZ座標及び回転角の情報をそれぞれそのケースのケース姿勢情報としてケース情報出力部13に出力する。この際、荷姿生成部51は、対応するケース種別のケース総数から、ケース情報出力部13にケース姿勢情報を出力したケース種別のケースCAの数を減算する。そして荷姿生成部51は、このような操作を、仕向け先別出荷オーダ入力部50から仕向け先別出荷オーダ情報として通知されたすべてのケース種別のケースCAについて、そのケース種別のケースCAの残数がケースマスタデータベース42から読み出したケースマスタ情報に含まれる単載する際の一層当たりのケースCAの積付け数と、同一の荷役台上にそのケース種別のケースCAを積み付ける層数との積未満になるまで繰り返す。
【0119】
さらに荷姿生成部51は、このような繰返し処理の後に残った各ケース(以下、これらを残ケースと呼ぶ)CAを同一の荷役台に積み付けるため、以下の(A)~(C)のようにしてこれら残ケースCAのケース姿勢情報をそれぞれ生成する。
【0120】
(A)異種別ではあるが各残ケースCAの3辺の長さがすべて一致し(つまり同一のケースサイズであり)、かつ、これら残ケースCAの合計数が、単載する際の一層当たりの積付け数と、同一の荷役台上に積み付ける層数との積以上である場合には、単載の場合と同様の処理を実行するようにして、これら残ケースCAのケース姿勢情報をそれぞれ生成する。ただし、ケース種別間で重量に差がある場合は、より重いケース種別の残ケースCAを下層に積み付けることで荷役台に積み付けるケースCA全体の重心を低くし、転倒リスクを低減する。
【0121】
(B)またいずれかのケース種別の残ケースCAの残数が、単載する際の一層当たりの積付け数の倍数でない場合、いずれかの層に異なるケース種別のケースCAを積み付ける必要がある。このように異なるケース種別のケースCAを積み付ける層(以下、これを異種混載層と呼ぶ)におけるケースCAの積付けパターンは、ケースCAの重量が均一である他層と同一であるが、異種混載層に積み付けられる各ケースCAのケース種別間で重量に差がある場合には、すべてのケースCAの重量が均一である他層の積付けパターンの重心のXY座標と、異種混載層の積付けパターンの重心のXY座標との距離が最小となるケース配置の組合せを探索し、当該探索により検出したケース配置の組合せとなるように、異種混載層を構成する必要な残ケースCAのケース姿勢情報を修正する。このようにすることで荷役台に積み付けるケースCA全体としての偏積を抑制し、転倒リスクを低減する。
【0122】
(C)仮に、同一の荷役台に積み付ける層の数と同様の層を荷役台に積み付けた際に、荷役台の総重量がその上限を超過する場合、荷役台の総重量がその上限以下になるまで最上位層を構成するケースCAのケース数を減らし、荷役台上のケース配置領域の縦方向及び横方向の長さの代わりに他層の積付けパターンに対して外接する面積最小の長方形の縦方向及び横方向の各長さを、単載する際の一層当たりのケースCAの積付け数の代わりに最上位層のケース数を荷姿生成部からパターン生成条件入力部11に出力し、この結果としてパターン生成部12から荷姿生成部51に出力される積付けパターンを最上位層の積付けパターンとする。
【0123】
次に、荷姿生成部51は、仕向け先別出荷オーダの残数に含まれる各ケース種別のケースCAの合計個数が、単載する際の一層当たりのケースCAの積付け数と、同一の荷役台に積み付ける層数との積未満の場合において、単載する際の一層当たりのケースCAの積付け数の倍数と一致するすべてのケース種別、積付けパターンに外接する面積最小の長方形の面積が最大となるケース種別を選択し、このケース種別を第1のケース種別として全数を同一の荷役台の上のケース姿勢情報とする。
【0124】
第1のケース種別のケースCAの積付けパターンに外接する面積最小の長方形を荷役台上のケース配置領域の縦方向及び横方向の各長さの代わりに、荷姿生成部51は、残ったケース種別のうち、積付けパターンに外接する面積最小の長方形の面積が最大となるケース種別を選択し、第2のケース種別として全数を同一の荷役台上のケース姿勢情報に追加する。
【0125】
この結果として荷役台の総重量が総重量上限値を超過したり、荷役台に積み付けられたケースCA全体の高さが高さ上限を超過する場合には、荷役台の総重量が総重量上限以下となり、かつ荷役台に積み付けられたケースCA全体の高さが高さ上限以下となるまで第2のケース種別のケースCAの積付け数を最上位層から減ずる。いずれの上限も超過しない場合、同様に次のケース種別(第3のケース種別、第4のケース種別、……)のケースCAを荷役台に積み付けたときの荷役台の総重量及び高さのいずれかがその上限を超過するまで同様の処理を繰り返す。
【0126】
最後に、仕向け先別出荷オーダの残数に含まれる各ケース種別のケースCAの数の合計値が、単載する際の一層当たりのケースCAの積付け数と、同一荷役台に積み付ける層の数との積未満の場合において、単載する際の一層当たりのケースCAの積付け数の倍数と一致しないすべてのケース種別のうち、単載する際の一層当たりのケースCAの積付け数を、それよりも小さい整数かつケースCAの3辺の長さが一致するケース種別の総数がその倍数となる値に置き換え、同一の荷役台上に異なるケースサイズのケース(異なるケース種別のケース)CAを混載する場合と同様の操作を実行する。
【0127】
以上のような本実施の形態の積み付けパターン生成装置40によれば、同一層内は同一サイズのケースCAを積み付け、かつ端数のケースCAの発生を抑制するように同一層に配置するケース数を調整するため、同一ケース種別のケースCAを連続して配置しながら、最上位層の面積を最大化することができ、かくして同一荷役台上に効率的に複数のケース種別のケースCAを積み付けることができる。
【0128】
(3)第3の実施の形態
本実施の形態では、物流倉庫において混載パレットに複数種別のケースCAの積付けを行う積付けシステムについて説明する。
【0129】
図8との対応部分に同一符号を付して示す図10は、このような積付けシステム70の概略構成を示す。この積付けシステム70は、倉庫管理システム71、積付けパターン生成装置72、パレット自動倉庫73及びデパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74を備えて構成される。
【0130】
倉庫管理システム71は、出荷オーダを管理する機能を有するコンピュータ装置である。倉庫管理システム71は、管理している出荷オーダを仕向け先別に抽出して積付けパターン生成装置72に出力する。
【0131】
積付けパターン生成装置72は、第2の実施の形態の積付けパターン生成装置40(図7)と同様のハードウェア構成を有するコンピュータ装置である。本実施の形態の積付けパターン生成装置72は、論理構成として、パターン生成条件入力部11、パターン生成部12、ケース情報出力部13、仕向け先別出荷オーダ入力部50、ケースマスタデータベース42、荷姿生成部51及び条件設定画面表示部52に加えて、ロボット軌道生成部75及び単載パレット投入順序生成部76を備えて構成される。
【0132】
積付けパターン生成装置72では、倉庫管理システム71から与えられた出荷オーダを仕向け先別出荷オーダ入力部50に入力し、入力した出荷オーダに基づき第2の実施の形態の積付けパターン生成装置40(図7)と同様にして荷役台(以下においては混載パレットとする)に積み付ける各ケースCAの積付けパターンを生成する。そして、このとき生成された積付けパターンの情報(積付けパターン情報)がロボット軌道生成部75及び単載パレット投入順序生成部76に与えられる。なお、この積付けパターン情報には、混載パレットに積み付けられる各層の各ケースCAのケース姿勢情報(各ケースのケース基準位置のXYZ座標及びケースの回転角)だけでなく、各ケースCAのケース種別IDも含まれる。
【0133】
ロボット軌道生成部75及び単載パレット投入順序生成部76は、いずれも積付けパターン生成装置72の図示しない記憶装置に格納された対応するプログラム(図示せず)を積付けパターン生成装置72の図示しないCPUが実行することにより具現化される機能部である。
【0134】
ロボット軌道生成部75は、ケース情報出力部13から与えられた積付けパターン情報に基づいて、デパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74を構成する後述の多軸ロボット80(図11参照)によるケースCAの運搬軌道を生成する。そしてロボット軌道生成部75は、生成したかかる運搬軌道の情報をロボット軌道情報としてデパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74に出力する。
【0135】
また単載パレット投入順序生成部76は、ケース情報出力部13から与えられた積付けパターン情報に基づいて、単載パレットのデパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74への投入順序を生成(算出)してパレット自動倉庫73に通知する。実際上、単載パレット投入順序生成部76は、ケース情報出力部13から与えられた積付けパターン情報に基づいて、混載パレットに積み付けられる各ケースCAをZ座標が小さい順にソートし、これにより混載パレットに積み付けられる各ケースCAのケース姿勢情報を同一層ごとに層の順番で並べる。また単載パレット投入順序生成部76は、混載パレット上のケースCAの同一層ごとにその層を構成する各ケースCAのケース種別IDを重複なしに抽出し、抽出した各層のケース種別IDを倉庫管理システム71を介してパレット自動倉庫73に通知する。
【0136】
パレット自動倉庫73は、各単載パレットにそれぞれ積載された各種ケースCAを単載パレット単位でラック等に格納して保管すると共に、倉庫管理システム71からの要求に応じて指定された単載パレットをラック等から取り出して出庫する機能を有するシステムである。パレット自動倉庫73は、積付けパターン生成装置72の単載パレット投入順序生成部76から倉庫管理システム71を経由して与えられた各層のケース種別IDに基づいて、混載パレットに積み付けるケースCAの層ごとに、対応するケース種別IDのケースCAが積載された単載パレットを出庫する。このとき出庫された単載パレットは、コンベア、AGV(Automatic Guided Vehicle)又はフォークリフトなどを経由してデパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74に投入される。なお、パレット自動倉庫73が一度に出庫する単載パレットの数は、デパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74が同時に保持できる単載パレットの数以下である。
【0137】
デパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74は、図11に示すように、投入された単載パレットから混載パレットへのケースCAの移載を行う多軸ロボット80と、投入された単載パレット81を所定位置にまで搬送する第1のコンベア82と、移載先の混載パレット83を所定位置にまで搬送する第2のコンベア84と、投入された単載パレット81における最上層のケース配置を計測するビジョンカメラ85とを備えて構成される。
【0138】
デパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74は、ビジョンカメラ85により計測した単載パレット81上の最上層のケース配置に基づき、上述のように積付けパターン生成装置72のロボット軌道生成部75から与えられたロボット軌道情報に従って多軸ロボット80を動作させることにより、単載パレット81に積載されたケースCAを、積付けパターン生成装置72により生成された積付けパターンで混載パレット83に移載する。
【0139】
ここで、一般的に、物流倉庫には、各ケースCAが単載パレットに同種のケースと共に積載された状態で入庫され、複数の単載パレットから異なるケースCAを同一のパレットに集めることで出荷オーダを満たす混載パレットを作成し、各仕向け先にトラック等で輸送する。混載パレットの作成は、人手業務の場合、作業者が混載パレットをフォークリフト等で搬送しながら各単載パレットを回る摘み取り方式や、逆に単載パレットを搬送しながら各混載パレットを回る種まき方式で行われる。どちらの方式でも、ケースCAをパレット間で移載する作業者が移動する必要がある。
【0140】
一方、本実施の形態の積付けシステム70では、ケースCAの移載をデパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74の多軸ロボット80が行う。多軸ロボット80は、特に可搬重量が大きい場合、安全面及びロボット自体の重量から移動型とすることは難しく、多軸ロボット80を固定し、コンベアなどを用いてパレットを多軸ロボット80が扱える場所まで搬送する必要がある。
【0141】
しかしながら、ケース単位の自由度で出荷オーダを満たすためには多軸ロボット80へパレット単位でケースCAを投入すると頻繁なパレット(単載パレット81)の入替え作業が発生し、多軸ロボット80の非稼動時間が増加し、本来の生産性が出せない場合がある。このような問題に対する一般的な解決策としては、単載パレット81からケース単位で積み下ろすデパレタイズ工程用のロボットと、投入されるケースCAを混載パレット83に積み付けるパレタイズ工程用のロボットとを分け、デパレタイズ工程とパレタイズ工程との間に、ケースCAの一時保管と順序入替え機能を有するケース自動倉庫を設ける方法が考えられる。しかしながら、この方法によると大きな床面積及び設備投資が必要となるという問題がある。
【0142】
この点について、第2の実施の形態で説明した積付けパターンの生成方法を利用することで同種のケースCAを連続して配置しながら同一の混載パレット83上に効率的に異種ケースを混載する積付けパターンを生成できるため、単載パレット81から直接混載パレット83に多軸ロボット80が移載するデパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74の構成の省面積、低コストのメリットを維持しつつ、単載パレット81の入れ替え回数を減らすことで、多軸ロボット80の生産性を改善することができる。
【0143】
さらに、事前に積付けパターンを登録不要なマスタレスデパレタイズ/パレタイズは、多様なサイズのケースCAに柔軟に対応可能というメリットがある一方で、その場で単載パレット81上のケース配置をビジョンカメラ85等で計測し、多軸ロボット80が次に把持するケースCA及びそれを実現するためのロボット軌道をその場で演算する必要があり、計測器デバイスのコストが負担となるという問題がある。
【0144】
この点について、本実施の形態の積付けシステム70では、混載パレット83に積載する各ケースCAのケース姿勢情報を事前に計算しているため、積付けパターン生成装置72のケース情報出力部13(図10)から出力された各ケースCAの混載パレット83上のケース姿勢情報と、ケースマスタデータベース42(図10)に格納されている各ケースCAの3辺の長さの情報とから積付けパターン生成装置72のロボット軌道生成部75において積付け工程の各ステップの荷姿をシミュレーションして再現し、各ケースCAの適切な積付け順序と、各積付け作業におけるロボット軌道の情報(ロボット軌道情報)をデパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム74に入力することができ、混載パレット83側のビジョンカメラを省略することができ、単載パレット81側のビジョンカメラ85の1台のみでデパレタイズ及びパレタイズを同時に行うことができる。
【0145】
以上の第3の実施の形態の積付けシステム70を用いて行う積付けパターン生成方法によれば、デパレタイズ工程とパレタイズ工程とを同一の多軸ロボット80で同時に行うことができ、これにより第2の実施の形態により得られる効果に加えて、単載パレット81の入れ替え回数を減らし、多軸ロボット80の生産性を向上することができるという効果をも得ることができる。
【0146】
(4)他の実施の形態
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0147】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSDなどの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、ロボットによりケースを荷役台等に積み付ける種々の構成の積付けシステムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0149】
1,40,72……積付けパターン生成装置、2……CPU、3……記憶装置、4……入力装置、5……表示装置、6……条件設定画面表示プログラム、7……パターン生成条件入力プログラム、8……パターン生成プログラム、9……ケース情報出力プログラム、10,52……条件設定画面表示部、11……パターン生成条件入力部、12……パターン生成部、13……ケース情報出力部、20……積付けパターン生成条件設定画面、21……荷役台条件指定領域、21A,22A,23A,61A……縦幅欄、21B,22B,23B,61B……横幅欄、22……積付けケース条件指定領域、23……オーバハング許容値指定領域、24……配置ケース数指定領域、24A……ケース数指定欄、25,64……登録ボタン、26,65……キャンセルボタン、30……積付けパターン表示画面、31……積付けパターン表示領域、32……ケース配置位置及び回転角表示領域、41……仕向け先別出荷オーダ入力プログラム、42……ケースマスタデータベース、43……荷姿生成プログラム、44……条件設定画面表示プログラム、50……仕向け先別出荷オーダ入力部、51……荷姿生成部、60……積付けパターン生成条件設定画面、61……荷役台条件指定領域、61C……総重量上限欄、61D……高さ上限欄、62……オーバハング許容値指定領域、62A……オーバハング許容値計算方法指定領域、62AA,63A……第1のチェックボックス、62AB,63B……第2のチェックボックス、62B……絶対値指定領域、62BA……縦許容値欄、62BB……横許容値欄、62C……割合指定領域、62CA……縦許容値割合欄、62CB……横許容値割合欄、63……積付けパターン優先事項指定領域、70……積付けシステム、71……倉庫管理システム、73……パレット自動倉庫、74……デパレタイズ/パレタイズ同時ロボットシステム、75……ロボット軌道生成部、76……単載パレット投入順序生成部、80……多軸ロボット、81……単載パレット、82……第1のコンベア、83……混載パレット、84……第2のコンベア、85……ビジョンカメラ、CA……ケース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11