(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164153
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ペット用吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A01K 23/00 20060101AFI20231102BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20231102BHJP
A61F 13/58 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A01K23/00 S
A61F13/511 400
A61F13/511 100
A61F13/58
A01K23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075503
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507033185
【氏名又は名称】シーズイシハラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 玲子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200DC04
(57)【要約】
【課題】ペットが動き回っても繰り返しの装着及び止着が容易で、良好な装着感を保ち得るペット用吸収性物品の提供。
【解決手段】液透過性のトップシート10と、液不透過性のバックシート30と、これらの間に配置された吸収体20とを備え、長手方向一端である第一端部50Aと、長手方向他端において、前記第一端部50Aとは非対象に形成された第二端部の角部を切り欠いて設けられ、前記ペット用吸収性物品をペットに装着するときに前記トップシートと前記フックテープとを係合して固定するための把持部71と、第一端部50Aに沿って幅方向に延びるように配置されたフックテープ70と、を有し、フックテープ70の幅、及び把持部71の長さは、吸収体20の幅と同じか、又はより短い、ペット用吸収性物品50。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備えるペット用吸収性物品であって、
長手方向一端である第一端部と、
長手方向他端において、前記第一端部とは非対象に形成された第二端部の角部を切り欠いて設けられ、前記ペット用吸収性物品をペットに装着するときに前記トップシートと前記フックテープとを係合して固定するための把持部と、
前記第一端部に沿って幅方向に延びるように配置されたフックテープと、を有し、
前記フックテープの幅、及び前記把持部の長さは、いずれも、前記吸収体の幅と同じか、又はより短い、ペット用吸収性物品。
【請求項2】
前記フックテープの幅、及び前記把持部の長さは、いずれも、60mm以上、前記吸収体の幅の110%以下の範囲である、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項3】
前記第一端部、及び前記第二端部の各幅方向両側が、平面視直角三角形状に切り欠かれており、
前記第二端部側の直角三角形の斜辺に相当する縁辺と幅方向に直線状に延びる仮想線とが成す角の角度αが、前記第一端部側の直角三角形の斜辺に相当する縁辺と幅方向に直線状に延びる仮想線とが成す角の角度βよりも大きい、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項4】
前記第一端部側の前記角度βは0度を超え40度以下の範囲であり、前記第二端部側の前記角度αは20度以上60度以下の範囲であり、かつ前記角度αと前記角度βとの差が20度以上である、請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項5】
前記トップシートは少なくとも2層の不織布を積層して構成され、前記不織布は熱エンボス加工又は超音波エンボス加工による複数の点状エンボスにより溶着されており、前記複数の点状エンボスにより囲まれた領域が突出して形成された複数のエンボス凸部を有している、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項6】
前記点状エンボスの溶着面積率は8%以上18%以下の範囲であり、前記点状エンボスの直径は0.5mm以上1.2mm以下の範囲であり、前記エンボス凸部の高さは0.4mm以上1.4mm以下の範囲である、請求項5に記載のペット用吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、多くの家庭で犬や猫、その他のペットが飼育されている。それに伴い、排泄等に障害を有するペットが大幅に増加している。このようなペットには、排泄物で家庭内を汚さないように、例えば、ペット用吸収性物品が用いられている。ペット用吸収性物品は、人用のものと同様に、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を備える構造を有している。
【0003】
ペット用吸収性物品は、ペットの臀部寄りの胴部に巻き付けるように装着されるものの、ペットがペット用吸収性物品による拘束を嫌がり、動き回ることから、ペット用吸収性物品を正確に装着し難いという課題がある。ペット用吸収性物品を正確に装着しないと、ペットが窮屈がってペット用吸収性物品のペットにとっての装着感が低下し、場合によっては勝手に脱いでしまうこともある。このような課題を解決するため、従来から種々の提案がなされている。
【0004】
特許文献1には、液透過性の表面層と、液不透過性の裏面層と、これらの間に配置される吸収体と、を備え、互いに対向する第1端部及び第2端部と、第1端部及び第2端部に直交し互いに対向する一対の側部と、を有して矩形形状に構成され、ペットの胴回りに巻きつけられた状態で、第1端部がペットの身体側に配置されると共に、第2端部が第1端部の外面に着脱可能に取り付けられるペット用吸収性物品であって、ペット用吸収性物品の長手方向に沿って伸長状態で配置される弾性部材を更に備え、第1端部には、第2端部よりも剛性の大きい高剛性部が形成されるペット用吸収性物品が記載されている(請求項1)。特許文献1によれば、ペットの胴回りに巻きつける場合に、正しい位置で容易に装着できるペット用吸収性物品が提供されると記載されている(段落0014)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のペット用吸収性物品では、第一端部に高剛性部を設けることで、装着時に第二端部を強く引っ張った際に第一端部の端がめくれ上がりにくく、容易に装着可能となる様に工夫されている。高剛性部は、両端の止着に利用する帯状のフックテープを貼り付けることで構成されている。第一端部と第二端部とは対称な形に形成されている。しかしながら、一般的なフックテープを細長い帯状に設置した場合、動き回るペットを押さえつけながら綺麗に真っ直ぐに正確に止着することは難しい。よほど分厚いフックテープを使用しないと期待された効果は得難く、そのようなフックテープを使用すると、装着感が低下する。
【0007】
また、特許文献1に記載のペット用吸収性物品では、フックテープを係合する面には特別な係合部材を用いることなく、表面層を形成する不織布となっている。一般的には風合いや吸収特性に優れたエアスルー不織布が表面層として好適では有るが、装着時の位置や締め付け具合を調整するために、何度も付け剥がすことを想定すると、強度の点で問題が有る。柔らかなエアスルー不織布はフック材と係合し易く、係合強度が高くなり、無理に引き剥がすと容易に表面材破が発生して係合力が不安定になる。
【0008】
本発明の目的は、ペットが動き回っても繰り返しの装着及び止着が容易で、ペットにとっての良好な装着感を保つことができるペット用吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、第一端部と第二端部とを非対象に形成し、第一端部側にフックテープを配設し、更に手でつかんで引っ張る把持部を第二端部側に形成し、フックテープ幅と把持部の長さとが吸収体幅と同じかより短い長さにすることで、吸収体の剛性により平面が維持されやすい領域内でフックテープと第二端部側のトップシートとを止着でき、止着作業が容易になり、また、第一端部側の切り欠きの角度よりも把持部側の切り欠きの角度を大きくすることで、ペットが動き回っても、手で掴んで引っ張る把持部を視覚的に認識し易くなり、止着が一層容易になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のペット用吸収性物品を提供する。
【0010】
(1)液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備えるペット用吸収性物品であって、
長手方向一端である第一端部と、
長手方向他端において、前記第一端部とは非対象に形成された第二端部の角部を切り欠いて設けられ、前記ペット用吸収性物品をペットに装着するときに前記トップシートと前記フックテープとを係合して固定するための把持部と、
前記第一端部に沿って幅方向に延びるように配置されたフックテープと、を有し、
前記フックテープの幅、及び前記把持部の長さは、いずれも、前記吸収体の幅と同じか、又はより短い、ペット用吸収性物品。
(2)前記フックテープの幅、及び前記把持部の長さは、いずれも、60mm以上、前記吸収体の幅の110%以下の範囲である、上記(1)のペット用吸収性物品。
(3)前記第一端部、及び前記第二端部の各幅方向両側が、平面視直角三角形状に切り欠かれており、
前記第二端部側の直角三角形の斜辺に相当する縁辺と幅方向に直線状に延びる仮想線とが成す角の角度αが、前記第一端部側の直角三角形の斜辺に相当する縁辺と幅方向に直線状に延びる仮想線とが成す角の角度βよりも大きい、上記(1)のペット用吸収性物品。
(4)前記第一端部側の前記角度βは0度を超え40度以下の範囲であり、前記第二端部側の前記角度αは20度以上60度以下の範囲であり、かつ前記角度αと前記角度βとの差が20度以上である、上記(3)のペット用吸収性物品。
(5)前記トップシートは少なくとも2層の不織布を積層して構成され、前記不織布は熱エンボス加工又は超音波エンボス加工による複数の点状エンボスにより溶着されており、前記複数の点状エンボスにより囲まれた領域が突出して形成された複数のエンボス凸部を有している、上記(1)のペット用吸収性物品。
(6)前記点状エンボスの溶着面積率は8%以上18%以下の範囲であり、前記点状エンボスの直径は0.5mm以上1.2mm以下の範囲であり、前記エンボス凸部の高さは0.4mm以上1.4mm以下の範囲である、上記(5)のペット用吸収性物品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペットが動き回っても繰り返しの装着及び止着が容易で、ペットにとって良好な装着感を保つことができるペット用吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るペット用吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示すX
1-X
1切断線における模式断面図である。
【
図3】本実施形態に係るペット用吸収性物品の変形例の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】本実施形態のペット用吸収性物品に含まれるトップシートの構成を示す模式図であり、(a)は断面図、(b)は平面図をそれぞれ示す。
【
図5】トップシートとフックテープとの係合力の測定方法を示す模式図である。(a)は測定方法の第1ステップを示し、(b)は測定方法の第2ステップを示す。
【
図6】実施例におけるトップシートとフックテープとの係合力の3回の測定結果を示すグラフである。
【
図7】比較例におけるトップシートとフックテープとの係合力の3回の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、ペット用吸収性物品50の装着とは、体液吸収の前後を問わず、ペット用吸収性物品50をペットである動物の身体に巻き付けて取り付けた状態をいう。ペット用吸収性物品50の長手方向とは、ペット用吸収性物品50を装着したときにペットの股間部を介して前後に亘る、図中Yで示す方向であり、幅方向とは長手方向に対して直交する、図中Xで示す方向であり、厚さ方向とは各構成部材を積層する、図中Zで示す方向である。ペット用吸収性物品の肌側表面とはペットの体表に当接する表面又は該肌を臨む表面であり、非肌側表面とはペットの体表に当接しない側の表面である。体液とは、尿、血液や軟便中の水分等のペットが体外に排出した液体をいう。
【0014】
<ペット用吸収性物品>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係るペット用吸収性物品50について説明する。
図1乃至
図3は、ペット用吸収性物品50を示す。
図4は、本実施形態に係るトップシート10を示す。これらの図は、ペット用吸収性物品50の寸法や大小関係等を規定するものではない。本実施形態に係るペット用吸収性物品50は、犬、猫等のペットに用いられるものであり、ペットのオスに好適に用いられるものである。本実施形態に係るペット用吸収性物品50は、長手方向の寸法が例えば350mm以上550mm以下の範囲であり、幅方向の寸法が例えば150mm以上250mm以下の範囲である。
【0015】
本実施形態に係るペット用吸収性物品50は、
図1及び
図2に示すように、ペットの体表側に位置する、液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向配置され、非体表側に位置する液不透過性のバックシート30と、トップシート10とバックシート30との間に配置された吸収体20と、吸収体20を全体的に包むキャリアシート80と、トップシート10の肌側面に設けられた一対の立体ギャザー40と、長手方向一端である第一端部50Aと、長手方向他端において、前記第一端部とは非対象に形成された第二端部の角部を切り欠いて設けられ、前記ペット用吸収性物品をペットに装着するときに前記トップシートと前記フックテープとを係合して固定するための把持部71と、幅方向の両側縁辺に沿って長手方向に延びる一対のサイドギャザー60と、第一端部50Aに沿って幅方向に延びるように配置されたフックテープ70と、を有し、フックテープ70の幅、及び把持部71の長さは、いずれも、吸収体20の幅と同じか、又はより短くなるように構成されている。ペット用吸収性物品50をペットに装着するときに、把持部71を引っ張ってペットの胴に巻き付けて、フックテープ70とトップシート10とを係合させることで固定することができる。
【0016】
本実施形態によれば、ペットがペット用吸収性物品50の装着を嫌がって動き回っても装着及び止着が容易で、装着後にペットが動きまわってもずれ難く、ペットにとって装着感に優れたペット用吸収性物品50が得られる。
【0017】
本実施形態のペット用吸収性物品50は、トップシート10、吸収体20、及びバックシート30を基本構成単位とするものであり、必要に応じて、立体ギャザー40(
図1及び
図2)の配設、トップシート10と吸収体20との間への液透過性のトランスファシート(不図示)や液透過性のセカンドシートの配設、吸収体20全体を包むキャリアシート80(
図2)の配設等の、公知の様々な改変を施すことができる。以下、本実施形態に係るペット用吸収性物品50の構成要素について、トップシート10、吸収体20、キャリアシート80、バックシート30、立体ギャザー40、把持部71、フックテープ70の順で更に詳しく説明する。
【0018】
<トップシート>
トップシート10は、吸収体20に向けて体液を速やかに通過させ及び/又は体液を面方向に拡散させる液透過性のシート状基材である。第二端部50B側のトップシート10の一部は、後述するフックテープ70と係合することで、本実施形態のペット用吸収性物品50を止着する機能を有している。トップシート10は、ペットの体表に当接してもよいように、柔らかな感触で、体表や肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも不織布が好ましく、風合い、フックテープ70との係合性等の観点からエアスルー不織布がより好ましい。
【0019】
エアスルー不織布は、一般的には、風合いや吸収特性に優れたものであり、トップシート10として好適であるものの、装着時の位置や締め付け具合を調整するために、何度も付け剥がすことを想定すると、その一方で、柔らかなエアスルー不織布はフック材と係合し易く、係合強度が高くなり、無理に引き剥がすと容易に表面材破が発生して係合力が不安定になる。このようなエアスルー不織布の課題は、次の好ましい実施形態で解決できる。
【0020】
本実施形態では、トップシート10は、2枚の不織布を積層し、熱エンボス又は超音波エンボスにより所定の溶着パターンが形成されている。トップシート10に熱エンボス又は超音波エンボスを施すことで、特別な係合材を設置することなく、繰り返しの止着に好適なトップシート10になり、トップシート10の表面強度が向上し、繰り返しの着け剥がしに対する耐久力が向上する。前述のパターンとしては、例えば、平面視点状のパターンが挙げられる。点状のパターンとは、エンボスにより形成された点(以下「点エンボス」ともいう)が規則的に又は不規則に配置された状態をいう。また、点エンボス12により囲まれた領域が突出した3Dエンボスとすることで、フックテープとの係合面積を低減しつつ、より着け剥がししやすい構成となる。
【0021】
点状のパターンの具体例として、
図4に示すパターン11が挙げられる。パターン11は、格子状に規則的に形成された複数の点エンボス12と、点エンボス12の形成に伴って、点エンボス12により囲まれた領域が突出して形成されるエンボス凸部13と、を含んで構成される。パターン11は、トップシート10のペット体表側に位置している。本実施形態によれば、トップシート10とフックテープ70との係合面積が適度に低減し、より小さな力での着け剥がしが容易なペット用吸収性物品50になる。このようなパターン11が形成されたトップシート10を、3Dエンボスシートともいう。
【0022】
ここで、点エンボス12の大きさは直径0.5mm以上1.2mm以下の範囲である。点エンボス12の直径が0.5mm未満では、トップシート10の表面強度を向上させる効果が不十分になり、繰り返しの着け剥がしでトップシート10が材破し易くなる傾向がある。また、点エンボス12の大きさが1.2mmを超えると、トップシート10の風合いが顕著に硬くなり、フックテープ70との係合力が低下する傾向がある。また、トップシート10の全面積に対する点エンボス12の合計全面積の割合(面積率)は、8%以上18%以下である。面積率が8%未満では、トップシート10の表面強度を向上させる効果が不十分になり、繰り返しの着け剥がしでトップシート10が材破し易くなる傾向がある。また、面積率が18%を超えると、トップシート10の風合いが顕著に硬くなり、装着感が悪くなる傾向が有る。
【0023】
エンボス凸部13の高さは0.4mm以上1.4mm以下の範囲である。エンボス凸部13の高さが0.4mm未満では、トップシート10とフックテープ70との係合面積の低減効果が小さくなり、トップシート10とフックテープ70の係合が強くなりすぎ、トップシート10が材破し易くなる傾向が有る。エンボス凸部13の高さが1.4mmを超えると、エンボス凸部13がつぶれやすくなり、係合面積の低減効果が小さくなり、トップシート10とフックテープ70の係合が強くなりすぎ、トップシート10が材破し易くなる傾向が有る。
【0024】
トップシート10には、液透過性を向上させる観点から、熱エンボス以外のエンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート10は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート10の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m2以上120g/m2以下の範囲である。トップシート10の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体20へと誘導するために必要とされる、吸収体720の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0025】
(第一端部、及び第二端部)
ペット用吸収性物品50は、長手方向一端に第一端部50A、及び長手方向他端に第二端部50Bをそれぞれ有している。第一端部50Aと、第二端部50Bと、は非対象に形成されている。第一端部50A、及び第二端部50Bを非対象に形成することで、第一端部50Aと第二端部50B(把持部71)とを識別し易くなり、ペット用吸収性物品50のペットへの装着ミスが抑制される。第一端部50Aと第二端部50Bとを非対象に形成し、第一端部50A側にフックテープ70を配置し、第一端部50A側を抑えながら第二端部50Bである把持部71を引っ張ってフックテープ70と第二端部50B(把持部71)とを止着することで、ペット用吸収性物品50をペットに装着することができる。
【0026】
また、ペット用吸収性物品50は、
図3に示すように、第一端部50A、及び第二端部50B(把持部71)の各幅方向両側の角部が平面視直角三角形状に切り欠かれた部分を有している。第一端部50Aの幅方向両側には、第一端部50Aから長手方向反対側及び幅方向に徐々に離隔するように形成された縁辺を有している。この縁辺が切り欠き形状である直角三角形の斜辺に相当する。この斜辺と幅方向に延びる仮想線との成す角の角度が角度βである。第一端部50A側における角度βは、例えば0度を超えて40度以下の範囲であり、例えば、10度、20度等である。同様に、第二端部50Bの幅方向両側には、第二端部50Bから長手方向反対側及び幅方向に徐々に離隔するように形成された縁辺を有している。この縁辺が切り欠き形状である直角三角形の斜辺に相当する。この斜辺と幅方向に延びる仮想線との成す角の角度が角度αである。第二端部50B側における角度αは例えば20度以上60度以下の範囲であり、例えば、20度、30度、50度、60度等である。本実施形態では、角度αは角度βよりも大きく構成され、好ましくは角度αと角度βとの差が少なくとも20度である。角度αと角度βとの差が20度未満であると、掴む側(把持部71)が瞬時にわかり難くなり、装着作業性が低下する傾向がある。また、角度αと角度βとの差が60度を超えると、立体ギャザー40やサイドギャザー60等と干渉し易くなる傾向がある。本実施形態によれば、把持部71の側を識別して止着し易くなり、ペット用吸収性物品50を効率よくペットに装着できる。
【0027】
角度αが60度を超えると、サイドギャザー60や吸収体20と干渉してしまい不都合を生じ易くなる傾向がある。角度αと角度βの角度差が20度未満であると、把持部71の側を識別しにくくなる傾向がある。角度αは、角度βを決定し、角度βに対して20度以上の差をつけることで定まる。
【0028】
(吸収体)
吸収体20は、例えば、トップシート10とバックシート30との間に配置され、トップシート10を透過してきた体液を吸収及び保持する。吸収体20は、その長手方向の寸法(最大長さ)が、例えば、150mm以上350mm以下の範囲であり、その幅方向の寸法(最大幅)が、例えば、80mm以上200mm以下の範囲である。吸収体20の全面又は一部にエンボス加工を施してもよい。吸収体20の平面視形状としては、例えば、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
吸収体20には、例えば、吸収基材として、吸収性繊維と、高吸収性ポリマーとを含有するものがある。
【0029】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等の綿状解繊物等が挙げられる。吸収体20に吸収性繊維としてフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、例えば100g/m2以上300g/m2以下の範囲又は140g/m2以上200g/m2以下の範囲である。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収できる。
【0030】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体20が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。
【0032】
吸収体20中のSAPの坪量は、例えば、80g/m2以上350g/m2以下の範囲、又は100g/m2以上250g/m2以下の範囲である。SAPの坪量を前述の数値範囲内とすることで、吸収体20でのゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体20に多量の体液を吸収させることができる。また、吸収体20において、吸収体20全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、(高吸収性ポリマーの重量/吸収体20全体の重量)×100(%)は、例えば、15重量%以上の範囲、又は15重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0033】
吸収体20において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。また、別形態の吸収体20として、複数枚の親水性不織布と、親水性不織布間に固着された高吸収性ポリマーと、を含む吸収性シートを用いることもできる。
【0034】
<キャリアシート>
本実施形態では、吸収体20全体をキャリアシート80で包んでもよい。キャリアシート80としては、この分野で常用される親水性シートをいずれも使用でき、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布、ティシュペーパー、吸収紙等が挙げられる。親水性不織布の中でも、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布がより好ましく、ティシュペーパー(クレープ紙)、必要に応じて親水処理を施したスパンボンド不織布等がさらに好ましい。ティシュペーパーは例えば坪量が10g/m2以上30g/m2以下の範囲であり、厚みが0.03mm以上0.15mm以下の範囲であり、スパンボンド不織布は例えば坪量が10g/m2以上30g/m2以下の範囲であり、厚みが0.1mm以上0.8mm以下の範囲である。
【0035】
<バックシート>
バックシート30は、吸収体20が保持する体液が漏れないような液不透過性を備えた通気性又は非通気性の基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0036】
バックシート30の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m2以上60g/m2以下の範囲、又は15g/m2以上40g/m2以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート30には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく実施できる。
【0037】
<立体ギャザー>
立体ギャザー40は、例えば、吸収性物品50を着用したペットが排泄した体液の横漏れを防止するために、吸収体20の幅方向両端付近で吸収体20の長さ方向に沿ってトップシート10の体表側表面に固定される。立体ギャザー40は、弾性伸縮部材40aと、撥水性及び/又は防水性のシート部材40bと、を含む。
【0038】
弾性伸縮部材40aは、シート部材40bの自由端(他端)付近に長さ方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材40bの自由端及びその近傍領域をペットの体型に合わせて変形可能にする。シート部材40bは、本実施形態では幅方向一端(固定端)がバックシート30の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート10の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端である。シート部材40bの固定端(幅方向一端)の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート30の非肌側面、内部に吸収体20を収納したトップシート10とバックシート30との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側面又は非肌側面の幅方向両端付近、トップシート10の肌側面の幅方向両端付近等が挙げられる。
【0039】
シート部材40bは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。ここで不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材40bの目付は、例えば、10g/m2以上20g/m2以下の範囲である。弾性伸縮部材40aとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
サイドギャザー60も、立体ギャザー40と同様に、シート部材と弾性伸縮部材とから構成されている。
【0040】
<フックテープ>
フックテープ70は、第一端部50A側に縁辺に沿って幅方向に延びるように、トップシート10のペット体表側表面に帯状に配設されており、ペット用吸収性物品50をペットに巻き付けて装着するときに、第2端部50B側のトップシート10の体表側表面と係合及び固定される。フックテープ70には、例えば、ペット用吸収性物品50のトップシート10の体表側表面に係合可能な材料を使用でき、例えば、フックテープ等が挙げられる。また、第2端部50B側のトップシート10の体表側表面に、面ファスナー等のメカニカルファスナーを配設してもよい。
【0041】
本実施形態では、フックテープ70の幅方向の長さは、吸収体20の幅と同じか、又はより短くなるように構成されている。このように構成することで、吸収体20の剛性により、トップシート10の体表側表面が平面を維持しやすい領域内でフックテープ70とトップシート10の体表側表面とを止着でき、装着作業が容易になる。フックテープ70の幅は、例えば、60mm以上、吸収体20の幅の110%以下の範囲である。フックテープ70の幅が60mmより短いと、手で把持し難くなり、装着の作業性が低下する傾向がある。また、フックテープ70の幅が吸収体20の幅の110%以下を超えると、真っ直ぐ止着するのが難しくなり、ペット用吸収性物品50によるペットの装着感が低下する傾向がある。
【0042】
<把持部>
把持部71は、第二端部50Bの幅方向中央において直線状に延びる縁辺及びその近傍領域であり、ペット用吸収性物品50をペットに装着するときに、第二端部50B側のトップシート10(把持部71)とフックテープ70とを係合して固定(止着)するための構成要素である。把持部71は、第二端部50B表面に配置され、指で把持して第一端部50A側に引っ張るように構成されている。把持部71は、例えば、不織布、樹脂フィルム、これらの複合フィルム等からなる。把持部71は、ホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス、縫製等を利用してトップシート10の体表側表面に固定される。
【0043】
把持部71は、フックテープ70と同様に、その幅方向長さが吸収体20の幅と同じか、又はより短くなるように設定されている。このように構成することで、吸収体20の剛性により、トップシート10の体表側表面が平面を維持しやすい領域内でフックテープ70とトップシート10の体表側表面とを止着でき、装着作業が容易になる。把持部71の長さは、例えば、60mm以上、吸収体20の幅の110%以下の範囲である。把持部71の幅方向長さが60mmより短いと、手で把持し難くなり、装着の作業性が低下する傾向がある。また、把持部71の長さが吸収体20の幅の110%以下を超えると、真っ直ぐ止着するのが難しくなり、ペット用吸収性物品50によるペットの装着感が低下する傾向がある。
【0044】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品50は、公知の製造方法により製造でき、例えば、吸収体20をトップシート10とバックシート30との間に配置する工程と、トップシート10とバックシート30とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、トップシート10の体表側表面の所定位置にフックテープ70及び把持部71を配設する工程と、バックシート30及びトップシート10の所定位置に立体ギャザー40やサイドギャザー60を設置する工程と、を含む製造方法が挙げられる。
【0045】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0046】
以下に実施例を挙げ、本実施形態をさらに具体的に説明する。
【0047】
(実施例1~15及び比較例1~12)
トップシートとしてエアスルー不織布(厚さ0.8mm、坪量20g/m2)を用い、バックシートとして通気性ポリエチレンシート(厚さ18μm、坪量20g/m2)を用い、立体ギャザー及びサイドギャザーのシート部材としてポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(坪量15g/m2)と弾性伸縮部材としてのポリウレタン系合成ゴムとを用い、吸収体としてはフラッフパルプ坪量300g/m2及びSAP坪量90g/m2のフラッフ吸収体(厚さ8mm)を用い、フックテープとしてスリーエムジャパン株式会社製フックテープを用い、表1に示す吸収体幅、把持部(端部直線部分長さ)、フックテープ幅、αβ角度差、角度α、角度β、エンボス径、エンボス面積、エンボス凸部高さを有する本実施形態のペット用吸収性物品及び比較のペット用吸収性物品を作製した。なお、エンボス凸部は3Dエンボス法により形成し、エンボス凸部の高さはKEYENCE製「ワンショット3DマイクロスコープVR-3000」にて平均高さを測定した。
【0048】
実施例1~15及び比較例1~11では、トップシート材として、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とを複合したエアスルー不織布(坪量20g/m2)の体表側表面に3Dエンボス加工を施し、パターン11を形成し、3Dエンボスシートを作製して用いた。比較例12では、トップシート材として、3Dエンボス(エンボス凸部)を形成していない前述のエアスルー不織布(坪量20g/m2)を用いた。
【0049】
実施例1~15及び比較例1~12のペット用吸収性物品について、把持部(第二端部)の視認し易さ、把持部(第二端部)の掴みやすさ、貼り付けやすさ、真っ直ぐきれいに貼れるか、何度付け剥がしても破れにくいか、トップシートの柔らかさ、及び着け剥がし強度が強すぎず使い易いかを調べ、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。なお、比較例3、4ではサイドギャザーが短くなりすぎる傾向があった。また、係合強度の良し悪しは、使用感評価の「着け剥がし強度が強すぎず使い易いか」で評価した。
◎…非常に良好であった。
○…良好であった。
△…操作性の特段の向上はなかった。
×…使い勝手が良好ではなかった。
【0050】
実施例1及び比較例1のペット用吸収性物品について、トップシート材とフックテープとの係合力を次の方法で調べた。
図5は、トップシート材とフックテープとの係合力を測定する方法を説明するための模式的な斜視図である。
図5(a)は測定方法の第1行程を示し、
図5(b)は測定方法の第2行程を示す。
【0051】
〔測定方法〕
図5(a)に示す第1行程では、実施例1及び比較例1のペット用吸収性物品から切り出した25mm×90mmのトップシート(トップシート材)10と、フックシート70と、を重ね合わせ、2kgの圧着ローラを速度50mm/sec、1往復、で走行させて張り付け、積層体を得る。なお、ローラの走行速度が遅いと3Dエンボスシートでもしっかりくっついて差が出にくくなる傾向がある。しっかり着けると、3Dエンボスは表面が密になっているので、むしろ剥離しにくくなるようである。
図5(b)に示す第2行程では、第1行程で得られた、実施例1及び比較例1の積層体について、長手方向(又はMD方向)の一端を20mmにわたってトップシート10とフックシート70とを引き がした後、チャック間を20mmに設定したテンシロンで移動速度300mm/分にて引張り、移動距離30mm~80mmの平均荷重を求める。3回測定を実施し、平均値を求めた。結果を表3に示す。また、
図6は実施例のデータであり、
図7は比較例のデータであり、
図6及び
図7にはそれぞれ3回測定したデータを異なる線の種類(点線、太線、細線)で示す。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
ペット用吸収性物品を装着した状態では、ペットの動き回りによって装着感が大きく低下する。トップシートとフックテープとの着け剥がし強度が強すぎると、付け直しに手間がかかる。本実施形態では、トップシートとフックテープとの付け直し易さを特徴としている。さらに、トップシートとフックテープとの係合位置が決まってしっかりつけてしまえば、ある程度の係合力が発揮されることが本発明者の研究に知見された。