(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016416
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】免疫増進用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/258 20060101AFI20230126BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230126BHJP
A61K 35/744 20150101ALI20230126BHJP
【FI】
A61K36/258
A61P37/04
A61K35/744
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120705
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】591045471
【氏名又は名称】アピ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐溝 恭子
(72)【発明者】
【氏名】井川 貴礼
【テーマコード(参考)】
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB09
4C088AB16
4C088MA01
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZB09
(57)【要約】
【課題】免疫増進作用を向上できる免疫増進用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の免疫増進用組成物は、朝鮮人参及び乳酸菌を含有することを特徴とする。前記乳酸菌は、ラクチプランチバチルス属、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、及びラクチカゼイバチルス属から選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
朝鮮人参及び乳酸菌を含有する免疫増進用組成物。
【請求項2】
前記乳酸菌は、ラクチプランチバチルス属、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、及びラクチカゼイバチルス属から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の免疫増進用組成物。
【請求項3】
前記乳酸菌は、ラクチプランチバチルス・プランタラム、エンテロコッカス・フェカリス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ラクチプランチバチルス・ペントーサス、及びラクチカゼイバチルス・パラカゼイから選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載の免疫増進用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた免疫増進作用を発揮する免疫増進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、朝鮮人参は、薬用成分としてジンセノサイド等のサポニン群が含まれ、ストレスによる胃腸虚弱や食欲不振、嘔吐、下痢、病後の回復期、疲労回復、滋養強壮等に効能があることが知られている。
【0003】
従来より、特許文献1,2に開示される朝鮮人参を用いた健康食品等が知られている。特許文献1は、高麗紅参エキス末と、高麗人参の実抽出物と、フコイダンと、酵母由来のβ-グルカンとを含有する抗疲労及び免疫増進用組成物について開示する。特許文献2は、朝鮮人参の抽出液等の漢方抽出液、キシロオリゴ糖等の栄養成分を含有する滋養強壮等を目的とする健康飲料について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-88845号公報
【特許文献2】特開2002-272430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の免疫増進用組成物は、免疫増進の効能を得るために多くの朝鮮人参を使用する必要があった。したがって、より優れた免疫増進作用の向上が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、朝鮮人参の他、乳酸菌を含有する免疫増進用組成物が好適であることを見出した。
上記課題を解決するために、本発明の一態様の免疫増進用組成物は、朝鮮人参及び乳酸菌を含有することを要旨とする。
【0007】
前記免疫増進用組成物において、前記乳酸菌は、ラクチプランチバチルス属、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、及びラクチカゼイバチルス属から選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0008】
前記免疫増進用組成物において、前記乳酸菌は、ラクチプランチバチルス・プランタラム、エンテロコッカス・フェカリス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ラクチプランチバチルス・ペントーサス、及びラクチカゼイバチルス・パラカゼイから選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、免疫増進作用を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、本発明に係る免疫増進用組成物を具体化した一実施形態について説明する。本実施形態の免疫増進用組成物は、朝鮮人参及び乳酸菌を含有する。
(朝鮮人参)
朝鮮人参は、オタネニンジン、高麗人参とも呼ばれ、根の他、茎、葉等の器官を含む各部分にサポニンとしてジンセノサイド類等の有用成分を含有する。食品原料としては、特に根が広く用いられている。根をそのまま又は軽く湯通しして乾燥させた生薬であるニンジン(人参)、根を蒸してから乾燥させた生薬であるコウジン(紅参)、黒高麗人参の他、ウコギ科の田七人参、アメリカ人参、西洋人参も、ここでいう朝鮮人参に含まれるものとする。朝鮮人参は、乳酸菌とともに摂取することにより免疫増進作用を発揮する。朝鮮人参の形態は、特に限定されないが、粒状、粉末状、溶媒抽出エキス末、溶媒抽出残渣等を採用できる。溶媒抽出の方法としては、特に限定されないが、水又は熱水を用いた抽出方法、エタノール等の親水性有機溶媒及び水との混合液を用いた抽出方法等が挙げられる。溶媒抽出物の中では免疫増進作用に優れる観点から熱水を用いた抽出物が好ましい。
【0011】
(乳酸菌)
乳酸菌は、朝鮮人参とともに摂取することにより免疫増進作用を発揮する。乳酸菌は、生菌、死菌のいずれでもよいが、乳酸菌の構成成分を効率的に摂取する観点から死菌が好ましい。乳酸菌としては、特に限定されないが、例えばラクチプランチバチルス属、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、ラクチカゼイバチルス属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属等が挙げられる。さらにラクチプランチバチルス属の具体例としては、例えばラクチプランチバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクチプランチバチルス・ペントーサス(Lactiplantibacillus pentosus)等が挙げられる。エンテロコッカス属の具体例としては、例えばエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)等が挙げられる。ビフィドバクテリウム属の具体例としては、例えばビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等が挙げられる。ラクチカゼイバチルス属の具体例としては、例えばラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)等が挙げられる。これらの乳酸菌の具体例のうち、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
乳酸菌の含有量に対する朝鮮人参の含有量は、固形分質量として好ましくは1:0.1~200、より好ましくは1:0.5~100、さらに好ましくは1:1~50である。かかる範囲に規定することにより、免疫増進作用をより向上できる。
【0013】
本発明の免疫増進用組成物は、摂取により免疫増進作用を有する。免疫増進作用としてより具体的には、IFN-γの産生誘導能を増加させる。IFN-γは、活性化Tリンパ球及びNK細胞によって産生され、ほぼ全ての免疫応答や炎症応答に関与する分子量20~25kDa(モノマーの状態)の多指向性サイトカインである。IFN-γは、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞の他、様々な細胞種の活性化、増殖、分化に関与することが知られている。IFN-γは、上皮細胞、内皮細胞、結合組織の細胞、単球系細胞株等の抗原提示細胞のMHC発現を増強する。また、抗ウイルス活性を示し、腫瘍細胞に対する細胞障害ではマクロファージ活性化因子(MAF)として働き、抗腫瘍効果を発揮することが知られている。免疫増進用組成物の摂取により、病原菌の感染抑制又は治癒作用、抗ウイルス作用、抗ガン作用、抗アレルギー作用等の発揮が期待される。
【0014】
本発明の免疫増進用組成物は、種々の食品素材又は飲料品素材、例えば健康食品、サプリメント等の飲食品として用いることができる。飲食品の形態としては、特に限定されず、液状、粉末状、ゲル状、固形状等のいずれであってもよく、また剤形としては、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル等)、顆粒剤、ドリンク剤等のいずれであってもよい。その中でも、カプセル剤の形態の場合、吸湿性が抑えられ、保存安定性を向上できる。
【0015】
食品組成物としては、その他の成分としてゲル化剤含有食品、糖類、香料、甘味料、油脂、基材、賦形剤、食品添加剤、副素材、増量剤等を適宜配合してもよい。また、飲食品の用途としては、特に限定されず、いわゆる一般食品、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品、病者用食品として適用できる。
【0016】
本発明の免疫増進用組成物としては、包装、容器等のパッケージ、説明書、パンフレット等の広告媒体、ウェブサイト等の電子媒体において免疫増進作用について表示するものを例示できる。
【0017】
本発明の免疫増進用組成物の各種用途の表示内容としては、上述した免疫増進作用、病原菌の感染抑制又は治癒作用、抗ウイルス作用、抗ガン作用、抗アレルギー作用等の表示の他、上述した免疫増進作用に関連した各症状の改善、予防、悪化の防止、又は症状の遅延を示唆する表示や、免疫機能の維持や保全を示唆する表示も含まれる。本発明の免疫増進用組成物の一日当たりの摂取量は、飲食品用途においては特に限定されない。
【0018】
本実施形態の免疫増進用組成物の効果について説明する。
(1)本実施形態の免疫増進用組成物は、有効成分として朝鮮人参及び乳酸菌を含有する。したがって、免疫増進用組成物の摂取により優れた免疫増進作用を発揮する。また、病原菌の感染抑制又は治癒作用、抗ウイルス作用、抗ガン作用、抗アレルギー作用等の発揮も期待される。
【0019】
(2)朝鮮人参及び乳酸菌の相乗効果により、優れた免疫増進作用を発揮する。したがって、朝鮮人参の使用量の低減を図ることができ、低コストで免疫増進用組成物を製造できる。
【0020】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施できる。
・上記実施形態の免疫増進用組成物は、ヒトに適用される食品組成物のみならず、家畜等の飼養動物に適用してもよい。
【0021】
・上記実施形態により得られた免疫増進用組成物は、上述した飲食品の他、医薬品、医薬部外品、化粧品等として適用してもよい。
【実施例0022】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
<試験例1:乳酸菌と免疫活性化素材の併用によるIFN-γ産生誘導能への影響>
乳酸菌と各種の免疫活性化素材を併用し、免疫増進作用としてのIFN-γ産生誘導能への影響を評価した。
【0023】
(a)使用動物
BALB/cマウス(オス、8週齢、6匹)を使用し、室温(23±3℃)、湿度(55±15%)、照明(明暗各12時間)に設定した飼育室で馴化飼育後に試験に使用した。餌はAIN-93Gを、飲料は水道水を自由に摂取させた。
【0024】
(b)脾細胞の採取
炭酸ガスで安楽死させ、頸静脈切断により放血した動物から脾臓を摘出し、速やかに氷冷したD-PBS(-)(100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン含有)で洗浄した。セルストレーナー(70μm)を通して回収した細胞を、RPMI-1640(100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン含有)で洗浄し、Lysis buffer(0.9%塩化アンモニウム、0.1%炭酸水素カリウム、0.037%EDTA・4Na、pH7.4)で処理して赤血球を除去した。その後、培地(10%FBS、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン含有RPMI 1640 medium)に懸濁して細胞浮遊液とした。
【0025】
(c)試験試料、及び播種・培養
乳酸菌には市販品より入手したラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei:亀田製菓社製の植物性乳酸菌K-2)を、免疫活性化素材にはプロポリス(水抽出物)、酵母由来βグルカン、霊芝、朝鮮人参(ニンジン末F:松浦薬業社製)、ツルレンゲ、アロニア、発酵黒ニンニク、クランベリー、クコを使用し、培地に懸濁又は溶解させた。なお、コントロールは、培地のみとした。
【0026】
上記乳酸菌懸濁液(最終濃度:菌体として0.4μg/mL)又は各免疫活性化素材の懸濁液(最終濃度10μg/mL)を細胞浮遊液(2×106cells/well)に添加し、CO2インキュベーター内(37℃、5%CO2)で48時間培養を行った(単独播種、n=2)。
【0027】
また、上記乳酸菌と各免疫活性化素材とを組み合わせた懸濁液についても同様に実施した(併用播種、n=2)。
(d)IFN-γの測定
培養後の上清を回収し、培養上清中のIFN-γ濃度をELISAキット(BioLegend, Inc.社製)にてキット付属のプロトコールに準じて測定した。
【0028】
表1において、乳酸菌及び各免疫活性化素材を単独播種した際の培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)を示す。表2において、乳酸菌と各免疫活性化素材を併用播種した際の培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)を示す。乳酸菌及び各免疫活性化素材を単独播種した際のIFN-γ濃度の合計を「単独播種の合計」欄に示す。併用播種によるIFN-γ濃度と単独播種した際のIFN-γ濃度の合計の比率を「併用/単独合計の比」欄に示す。
【0029】
【0030】
【表2】
表1に示されるように、乳酸菌、朝鮮人参、アロニア以外では、IFN-γの増加作用は認められなかった。表2に示されるように、乳酸菌と朝鮮人参の併用の構成の場合に、IFN-γの増加作用の相乗効果が認められた。なお、各評価試料において、細胞毒性は認められなかったことを確認している。
【0031】
<試験例2:様々な乳酸菌と朝鮮人参の併用によるIFN-γ産生誘導能への影響>
様々な乳酸菌と朝鮮人参を併用し、免疫増進作用としてIFN-γ産生誘導能への影響を評価した。
【0032】
乳酸菌原料にはラクチプランチバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum:IHM社製の植物性ナノ型乳酸菌SNK)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei:亀田製菓社製の植物性乳酸菌K-2)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis:コンビ社製のEC-12/イーエフパワー)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum:コンビ社製のBR-108)、ラクチプランチバチルス・ペントーサス(Lactiplantibacillus pentosus:ミヤコ化学社製の植物性乳酸菌YM2-2)を使用し、培地で懸濁した。
【0033】
朝鮮人参は、朝鮮人参原料(ニンジン末F:松浦薬業社製、朝鮮人参粉末100%)を培地で懸濁した。なお、コントロールは、培地のみとした。
上記乳酸菌懸濁液(最終濃度:菌体として0.4μg/mL)又は朝鮮人参懸濁液(最終濃度0.3μg/mL、1μg/mL、3μg/mL、10μg/mL、30μg/mL、及び90μg/mL)を細胞浮遊液(2×106cells/well)に添加し、CO2インキュベーター内(37℃、5%CO2)で48時間培養を行った(単独播種、n=2)。
【0034】
また、上記乳酸菌懸濁液と各濃度の朝鮮人参懸濁液との組み合わせについても同様に実施した(併用播種、n=2)。
その後は、試験例1と同様の方法にてIFN-γの測定を行った。表3において、朝鮮人参を単独播種した際の培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)を示す。表4~8において、各種乳酸菌と朝鮮人参を併用播種した際の培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)を示す。乳酸菌及び朝鮮人参を単独播種した際のIFN-γ濃度の合計を「単独播種の合計」欄に示す。併用播種によるIFN-γ濃度と単独播種した際のIFN-γ濃度の合計の比率を「併用/単独合計の比」欄に示す。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【表8】
表4~8に示されるように、各種乳酸菌と所定濃度の朝鮮人参の併用の構成において、いずれもIFN-γの増加作用の相乗効果が認められた。
【0041】
なお、各評価試料において、細胞毒性は認められなかったことを確認している。また、乳酸菌素材中に賦形剤として含有されるデキストリンは、添加剤として含有される量においてIFN-γ産生誘導能に影響与えないことを確認している。
【0042】
<試験例3:朝鮮人参の調製方法によるIFN-γ産生誘導能への影響>
朝鮮人参の調製方法を検討し、免疫増進作用としてIFN-γ産生誘導能への影響を評価した。
【0043】
乳酸菌原料としては、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei:亀田製菓社製の植物性乳酸菌K-2)を使用し、培地に懸濁した。
朝鮮人参原料(ニンジン末F:松浦薬業社製、朝鮮人参粉末100%)より、抽出溶媒として熱水を使用し、下記方法にて、各抽出液及び各抽出残渣を得た。
【0044】
朝鮮人参粉末約2gに、20mLの抽出溶媒を加えて混合し、時折振とうしながら抽出温度80℃で1時間抽出を行った。遠心分離により上清を回収し、沈殿に再度抽出溶媒を加え、同様に抽出を行った。得られた上清を合一し、凍結乾燥し、抽出溶媒を除去した。なお、熱水抽出物の回収率は、43.63%であった。抽出残渣の回収率は、56.37%であった。
【0045】
熱水抽出物の評価は、朝鮮人参粉末相当量として最終濃度1μg/mL、3μg/mL、10μg/mLで実施した。すなわち、抽出物の曝露濃度としては上記回収率を加味した0.43、1.32、及び4.37μg/mLである。
【0046】
抽出残渣の評価は、朝鮮人参粉末相当量として最終濃度3μg/mLのみで実施した。すなわち、抽出残渣の曝露濃度としては上記回収率を加味した1.68μg/mLである。
【0047】
上記乳酸菌懸濁液(最終濃度:菌体として0.4μg/mL)、熱水抽出物(最終濃度:朝鮮人参粉末相当量として1μg/mL、3μg/mL、10μg/mL)、熱水抽出残渣(最終濃度:朝鮮人参粉末相当量として3μg/mL)を細胞浮遊液(2×106cells/well)に添加し、CO2インキュベーター内(37℃、5%CO2)で48時間培養を行った(単独播種、n=2)。また、上記乳酸菌懸濁液と朝鮮人参の各濃度の抽出物又は抽出残渣との組み合わせについても同様に実施した(併用播種、n=2)。
【0048】
その後は、試験例1と同様の方法にてIFN-γの測定を行った。乳酸菌及び朝鮮人参抽出物又は抽出残渣をそれぞれ単独播種した際の培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)の合計を求めた。また、併用播種した際の培養上清中のIFN-γ濃度(ng/mL)を求めた。表9において、乳酸菌、朝鮮人参抽出物又は抽出残渣をそれぞれ単独播種した際のIFN-γ濃度の合計を「単独播種の合計」欄に示す。併用播種した際の培養上清中のIFN-γ濃度を「併用播種」欄に示す。併用播種によるIFN-γ濃度と単独播種した際のIFN-γ濃度の合計の比率を「併用/単独合計の比」欄に示す。
【0049】
【表9】
表9に示されるように、朝鮮人参の各抽出物又は抽出残渣と、乳酸菌とを併用播種した場合であっても、IFN-γの増加作用の相乗効果が認められた。
【0050】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記乳酸菌は、死菌である前記免疫増進用組成物。(b)病原菌の感染抑制又は治癒、抗ウイルス、抗ガン、抗アレルギーの用途である前記免疫増進用組成物。