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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164163
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】車両用物品収容装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20231102BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20231102BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60N3/00 Z
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075518
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝田 宗利
(72)【発明者】
【氏名】竹嶋 浩二
(72)【発明者】
【氏名】飯谷 憲司
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088CA06
3B088LA02
3B088LB01
3D022CA16
3D022CB01
3D022CC03
3D022CD04
3D022CD06
(57)【要約】
【課題】サポート部材が退避位置側へ過度に回動するのを規制すること。
【解決手段】車両用物品収容装置は、物品を収容する収容空間をなす側壁を有するホルダ部材と、側壁に設けられた側壁開口部よりも収容空間の内側に突出する突出位置と、突出位置よりも収容空間の外方に退避する退避位置との間で回動軸を中心にして回動可能な、収容空間内において物品を保持するサポート部材と、サポート部材が突出位置側から退避位置側へ所定角度以上に回動する場合に、サポート部材における回動軸上とは異なる箇所に設けられた当接部が当接するストッパ部と、を備える。ストッパ部は、ホルダ部材の側壁の外面よりも外側において当接部の回動軌跡上に配置されて当接部が当接し得るストッパ面を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する収容空間をなす側壁を有するホルダ部材と、
前記側壁に設けられた側壁開口部よりも前記収容空間の内側に突出する突出位置と、前記突出位置よりも前記収容空間の外方に退避する退避位置との間で回動軸を中心にして回動可能な、前記収容空間内において前記物品を保持するサポート部材と、
前記サポート部材が前記突出位置側から前記退避位置側へ所定角度以上に回動する場合に、前記サポート部材における前記回動軸上とは異なる箇所に設けられた当接部が当接するストッパ部と、
を備え、
前記ストッパ部は、前記側壁の外面よりも外側において前記当接部の回動軌跡上に配置されて前記当接部が当接し得るストッパ面を有する、車両用物品収容装置。
【請求項2】
前記ストッパ面は、前記回動軸よりも外側に配置されている、請求項1に記載された車両用物品収容装置。
【請求項3】
前記ストッパ部が設けられた部材に設けられ、前記サポート部材を回動可能に支持する回動支持部を備える、請求項1又は2に記載された車両用物品収容装置。
【請求項4】
前記部材は、前記ホルダ部材とは別体で設けられて前記ホルダ部材の下側に取り付けられ、前記収容空間をなす底壁を有する補助ホルダである、請求項3に記載された車両用物品収容装置。
【請求項5】
前記部材は、前記収容空間をなす前記側壁と底壁とを有する前記ホルダ部材である、請求項3に記載された車両用物品収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用物品収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のセンタコンソールなどに搭載される車両用物品収容装置が知られている(例えば、特許文献1)。この車両用物品収容装置は、収容空間を囲う側壁が設けられたホルダ部材と、その側壁に設けられた側壁開口部から突出可能に進退するサポート部材と、を備えている。側壁開口部は、側壁に複数箇所設けられており、サポート部材は、側壁開口部に対応して複数個設けられている。各サポート部材は、側壁開口部よりも収容空間の内側に突出する突出位置と、その突出位置よりも収容空間の外方に退避して例えばその側壁開口部よりも収容空間の内側に突出しない退避位置との間で回動軸を中心にして回動することが可能である。
【0003】
上記した各サポート部材は、付勢部材の付勢力により退避位置側から突出位置側へ向けて付勢されており、収容空間に物品が挿入されていないときは突出位置に維持されている。そして、収容空間に物品が挿入されると、サポート部材は、その物品の外面に当接しながら突出位置側から退避位置側へ向けて回動する。この車両用物品収容装置によれば、収容空間に収容される物品を複数のサポート部材に当接させて保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-26068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の如く、サポート部材は、突出位置と退避位置との間で回動軸を中心にして回動する。上記した特許文献1記載の装置において、サポート部材は、物品が収容空間に挿入されていないときは、付勢部材の付勢力によってホルダ部材の規制部位と当接しており、初期位置としての突出位置に維持されている。このため、退避位置側から突出位置側へのサポート部材の回動は、所定角度以下に制限される。しかしながら、突出位置側から退避位置側へのサポート部材の回動を規制する構造は採用されていない。このため、サポート部材が退避位置側へ過度に押し込まれて回動したときにサポート部材自体がホルダ部材側から外れる可能性があり、その結果として、サポート部材の回動軸を中心にした回動が適切に行われなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、サポート部材が退避位置側へ過度に回動するのを規制することが可能な車両用物品収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、物品を収容する収容空間をなす側壁を有するホルダ部材と、前記側壁に設けられた側壁開口部よりも前記収容空間の内側に突出する突出位置と、前記突出位置よりも前記収容空間の外方に退避する退避位置との間で回動軸を中心にして回動可能な、前記収容空間内において前記物品を保持するサポート部材と、前記サポート部材が前記突出位置側から前記退避位置側へ所定角度以上に回動する場合に、前記サポート部材における前記回動軸上とは異なる箇所に設けられた当接部が当接するストッパ部と、を備え、前記ストッパ部は、前記側壁の外面よりも外側において前記当接部の回動軌跡上に配置されて前記当接部が当接し得るストッパ面を有する、車両用物品収容装置である。
【0008】
この構成によれば、サポート部材が退避位置側へ過度に回動するのを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用物品収容装置の斜視図である。
図2】実施形態の車両用物品収容装置の上面図である。
図3】実施形態の車両用物品収容装置における図1に一点鎖線で囲んで示した部位を、サポート部材を除いて表した図である。
図4】実施形態の車両用物品収容装置における図1に一点鎖線で囲んで示した部位を、サポート部材が突出位置にあるときに表した図である。
図5】実施形態の車両用物品収容装置における図1に一点鎖線で囲んで示した部位を、サポート部材が退避位置にあるときに表した図である。
図6】実施形態の車両用物品収容装置を図2に示すVI-VIで切断した断面図である。
図7】実施形態の車両用物品収容装置を図2に示すVII-VIIで切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を用いて、本発明に係る車両用物品収容装置の具体的な実施形態について説明する。
【0011】
本実施形態の車両用物品収容装置1は、車両に搭載された、物品を保持することが可能な装置である。車両用物品収容装置1が保持対象とする物品は、例えば、ペットボトルや缶,水筒などの飲料容器、スマートフォンや携帯電話などの携帯端末などである。車両用物品収容装置1は、例えば車室内のセンタコンソールに装着される。尚、車両用物品収容装置1は、センタコンソール以外の対象に装着される保持装置であってもよい。
【0012】
車両用物品収容装置1は、図1図2図4、及び図5に示す如く、ホルダ部材10と、補助ホルダ20と、サポート部材30と、付勢部材40と、ストッパ部50と、を備えている。
【0013】
ホルダ部材10は、物品を収容する収容空間11をなす部材である。ホルダ部材10は、収容空間11をなす側壁12を有している。側壁12は、収容空間11の周囲を囲う周壁である。尚、側壁12は、一つの収容空間11を形成するように構成されていてもよいし、複数の収容空間11を形成するように構成されていてもよい。複数の収容空間が形成される場合、各収容空間11の容量は、例えば飲料容器を一本ずつ収容可能な容量であってよい。収容空間11は、例えば略円柱状や直方体形状などに形成されている。尚、収容空間11は、開口部側の水平断面積が底壁部側の水平断面積よりも大きくなるように縦断面台形状に形成されていてもよい。
【0014】
ホルダ部材10は、上壁13を有している。上壁13は、薄板の略水平に広がるパネル部である。上壁13は、例えば略四角形状などに形成されている。上壁13には、開口部14が設けられている。開口部14は、収容空間11に連通する開口である。開口部14は、収容空間11の数に対応した数だけ設けられている。開口部14は、例えば円形状や矩形状に形成されている。
【0015】
尚、ホルダ部材10の上壁13は、例えばそれぞれ別体で形成されたロア部材とアッパ部材とが嵌め合わされて一体化されることにより構成されてよい。この場合、ロア部材とアッパ部材との間に物品としての飲料容器から漏れた液体を貯留可能な空間が形成されることとしてもよいし、或いは、ホルダ部材10の剛性向上のためにロア部材の上面やアッパ部材の下面にリブが形成されることとしてもよい。
【0016】
補助ホルダ20は、収容空間11の下端を閉じる部材である。補助ホルダ20は、ホルダ部材10とは別体で設けられている。補助ホルダ20は、ホルダ部材10の下側に取り付けられている。ホルダ部材10への補助ホルダ20の取り付けは、例えば爪嵌合やネジ止めなどにより行われる。補助ホルダ20は、収容空間11の下端を閉じると共にホルダ部材10の側壁12の下部が嵌る凹部21(図6及び図7参照)を有するように形成されている。
【0017】
すなわち、補助ホルダ20は、収容空間11をなす底壁22と、底壁22の外縁から上方へ筒状に延びる筒壁23と、を有している。底壁22は、収容空間11の下端を閉じて、収容空間11に収容された物品が載置される壁である。収容空間11は、ホルダ部材10の側壁12と補助ホルダ20の底壁22とに囲まれている。筒壁23は、内面がホルダ部材10の側壁12の外面に接するように形成されている。筒壁23は、各収容空間11に合致するように形成されている。
【0018】
サポート部材30は、収容空間11に収容された物品を保持する部材である。ホルダ部材10の側壁12は、側壁開口部16を有している。側壁開口部16は、側壁12を貫通して空いた開口である。側壁開口部16は、側壁12に沿った上下方向かつ周方向に延びている。側壁開口部16は、収容空間11ごとに一つ以上(例えば二つ)設けられている。サポート部材30は、側壁開口部16に対応して設けられており、側壁開口部16の数と同数設けられている。
【0019】
サポート部材30は、収容空間11に収容された物品を収容空間11における自サポート部材30とは反対側の部材(具体的には、側壁12や別のサポート部材30)に押し付けてその物品を保持する。サポート部材30は、ホルダ部材10の側壁開口部16を貫通して収容空間11内に突出することが可能であって、側壁開口部16からの突出量が変更されるように収容空間11の内外方向に進退可能である。サポート部材30は、収容空間11に収容される物品の大きさに合わせて収容空間11の内外方向に進退する。
【0020】
図5及び図6に示す如く、サポート部材30は、上下方向に向けて延びつつ周方向に所定厚さを有するフラップである。サポート部材30は、周方向に見た場合に上下中央部が上部及び下部に比べて収容空間11の内側に突出できるように形成されている。すなわち、サポート部材30における収容空間11側の端面は、図6に示す如く、周方向に見た場合に弓状に湾曲している。また、サポート部材30における周方向の両側端面は、図5に示す如く、平板状に形成されている。サポート部材30は、収容空間11の内側に突出する部分が袋状に閉じるように形成されている。サポート部材30は、上下中央部の突端で、収容空間11に収容された物品の側面に当接してその物品を保持する。
【0021】
各サポート部材30は、ホルダ部材10又は補助ホルダ20に進退可能に支持されている。本実施形態では、各サポート部材30は、補助ホルダ20に進退可能に支持されている。各サポート部材30は、補助ホルダ20ひいてはホルダ部材10に対して回動軸Cを中心にして回動することができる。各サポート部材30は、突出位置と退避位置との間で回動する。
【0022】
突出位置は、サポート部材30(特に上下中央部の突端)が側壁12の側壁開口部16よりも収容空間11の内側に突出する位置のことである。具体的には、突出位置は、サポート部材30が収容空間11の最も内側まで突出したときのサポート部材30の位置である。尚、突出位置は、サポート部材30が付勢部材40の付勢力により退避位置側から回動したときにそのサポート部材30に設けられた後述の第一当接部32がホルダ部材10又は補助ホルダ20に当接してサポート部材30のそれ以上の回動が規制される位置のことであってよい。
【0023】
また、上記の退避位置は、サポート部材30(特に上下中央部の突端)が上記の突出位置よりも収容空間11の外方に退避する位置のことである。具体的には、この退避位置は、側壁12の側壁開口部16よりも収容空間11の内側に突出しない位置であってよく、少なくとも、物品の外面が側壁12に沿うような大きさを有する物品が収容空間11に収容されたときのサポート部材30の位置を含み、サポート部材30の上下中央部が側壁12に面一になるときのサポート部材30の位置を含んでよい。
【0024】
各サポート部材30は、軸体31を有している。軸体31は、サポート部材30を回動可能に支持する円柱状又は円筒状の支持軸部である。軸体31は、サポート部材30全体を補助ホルダ20に対して回動させて収容空間11の内外方向に進退させる。軸体31は、サポート部材30の周方向側面の下部に設けられており、サポート部材30の周方向両端部に設けられている。サポート部材30は、軸体31の高さ位置を基準にしてその軸体31よりも上部の長さ(径方向長さ)が下部の長さ(径方向長さ)に比して長くなるように形成されている。軸体31は、収容空間11の外側において補助ホルダ20の筒壁23よりも外側に配置されている。二つの軸体31は、それぞれ周方向側面から略周方向かつ水平方向へ突出する円柱状に形成されており、互いに一直線状に延びている。
【0025】
補助ホルダ20は、図7に示す如く、軸溝25を有している。軸溝25は、軸体31が回動可能に嵌る回動支持部である。軸溝25は、サポート部材30を回動可能に支持する。軸溝25は、各サポート部材30の二つの軸体31に対応させて、周方向に離れて二箇所(すなわち、一対)設けられている。一対の軸溝25は、サポート部材30の数に合わせたセット数だけ設けられている。各軸溝25は、補助ホルダ20に設けられ、具体的には、筒壁23の外面上部から外方へ突出する突出部26に設けられている。軸溝25は、溝状に形成されており、突出部26の下面において下方に開口していると共に、突出部26の周方向端面のうち対となる軸溝25に対向する周方向端面において開口している。
【0026】
サポート部材30は、二つの軸体31が一対の軸溝25の下方からそれらの軸溝25に嵌められることにより補助ホルダ20に支持される。サポート部材30は、軸体31が補助ホルダ20の軸溝25に嵌った状態で、退避位置と突出位置との間で回動軸Cを中心にして回動することが可能である。サポート部材30の退避位置と突出位置との間の回動角度は、例えば30°や45°などである。
【0027】
付勢部材40は、サポート部材30を付勢する付勢力を発生する例えばスプリングである。付勢部材40は、補助ホルダ20とサポート部材30との間に介在している。付勢部材40は、サポート部材30の軸体31を囲むように配置されている。付勢部材40の一端部は、補助ホルダ20に支持されている。付勢部材40の他端部は、サポート部材30に支持されている。
【0028】
付勢部材40は、補助ホルダ20に対してサポート部材30を退避位置側から突出位置側に向けて付勢する。サポート部材30は、収容空間11に物品が収容されていない常態では、付勢部材40の付勢力により上下中央部を最も収容空間11の内側まで突出させた突出位置にある。
【0029】
サポート部材30は、図4及び図5に示す如く、第一当接部32を有している。第一当接部32は、サポート部材30が突出位置を超えて更に収容空間11の内側(すなわち、退避位置側から突出位置側への回動方向)に向けて回動するのを規制する部位である。第一当接部32は、回動軸C上とは異なる箇所に設けられている。具体的には、第一当接部32は、サポート部材30の周方向側面の下部にその周方向側面から周方向に突出するように設けられている。第一当接部32は、一サポート部材30当たりに一対設けられている。第一当接部32は、常に収容空間11の外側に配置されている。第一当接部32は、退避位置側から突出位置側に向けたサポート部材30の回動角度が所定角度に達した際にホルダ部材10の側壁12の外面に当接することにより、サポート部材30のそれ以上の回動を規制する。
【0030】
サポート部材30は、図4図5、及び図7に示す如く、第二当接部33を有している。第二当接部33は、サポート部材30が退避位置を超えて更に収容空間11の外側(すなわち、突出位置側から退避位置側への回動方向)に向けて回動するのを規制する部位である。第二当接部33は、回動軸C上とは異なる箇所に設けられている。
【0031】
第二当接部33は、サポート部材30の周方向側面から下方かつ周方向に突出するようにアーム状に形成されている。第二当接部33は、回動軸Cよりも上方に配置されている。第二当接部33は、収容空間11の外側に配置されている。第二当接部33は、突出位置側から退避位置側に向けたサポート部材30の回動角度が所定角度に達した際にストッパ部50に当接することにより、サポート部材30のそれ以上の回動を規制する。第二当接部33は、一サポート部材30当たりに一対設けられている。一対の第二当接部33は、略同時にストッパ部50に当接する。
【0032】
ストッパ部50は、サポート部材30の第二当接部33が当接する部位である。ストッパ部50は、補助ホルダ20に設けられている。ストッパ部50は、第二当接部33との当接によりサポート部材30が突出位置側から退避位置側へ所定角度を超えて回動するのを規制する。すなわち、ストッパ部50は、サポート部材30が突出位置側から退避位置側へ所定角度以上に回動する場合に第二当接部33に当接される。
【0033】
ストッパ部50は、突出部26の突出先端部に設けられている。ストッパ部50は、突出部26における軸溝25が設けられた下面に背向する上面から上方へ突出し、ブロック状に形成されている。ストッパ部50は、補助ホルダ20の筒壁23の外面及びホルダ部材10の側壁12の外面よりも外側に配置されており、それらの外面から離れた位置に配置されている。
【0034】
ストッパ部50は、図7に示す如く、ストッパ面51を有している。ストッパ面51は、突出位置側から退避位置側へのサポート部材30の所定角度以上の回動時に第二当接部33が当接する面である。ストッパ面51は、筒壁23ひいては側壁12の外面よりも外側に配置されており、サポート部材30が回動するときの第二当接部33の回動軌跡上に配置されている。具体的には、ストッパ面51は、ストッパ面51は、回動軸Cの高さ位置よりも上方に配置され、回動軸Cよりも外側(すなわち、側壁12からの距離が回動軸Cよりも長くなる位置)に配置されている。ストッパ面51は、収容空間11の外側において側壁12の外面及び筒壁23の外面に対向するように形成されている。
【0035】
ホルダ部材10の側壁12とストッパ部50のストッパ面51との間には、サポート部材30が突出位置と退避位置との間で回動するときに第二当接部33が移動可能な空間が形成される。すなわち、第二当接部33は、サポート部材30が退避位置と突出位置との間で回動する際には、ホルダ部材10の側壁12とストッパ部50のストッパ面51との間に形成される空間において、他の部材と干渉することなく移動することができる。そして、第二当接部33は、サポート部材30が退避位置を超えて過度に回転した場合に、ストッパ面51に当接して移動停止する。
【0036】
尚、サポート部材30は、第二当接部33とは別に、突出位置側から退避位置側への回動を規制する規制部位を有していてもよい。例えば、この規制部位は、軸体31よりも下方に延びるアーム状の部位であって、サポート部材30が突出位置側から退避位置側へ所定角度以上に回動した際に補助ホルダ20の筒壁23の外面又はホルダ部材10の側壁12の外面に当接する壁部位であってよい。
【0037】
但し、上記の規制部位が補助ホルダ20の筒壁23の外面又はホルダ部材10の側壁12の外面に当接するタイミングは、第二当接部33がストッパ部50に当接するタイミングと同じであることが、サポート部材30の過度な回動を受ける力を分散させてサポート部材30の回動規制を安定して行ううえで好ましい。
【0038】
次に、車両用物品収容装置1の動作について説明する。
車両用物品収容装置1は、収容空間11に物品も収容されていない常態では、サポート部材30(特に、上下中央部)が最も収容空間11の内側まで突出した突出位置に前進した状態にある。
【0039】
車両乗員などは、車両用物品収容装置1に物品を保持させるときは、その物品を収容空間11に上方から挿入する。上記の常態から物品が収容空間11に挿入されると、サポート部材30がその物品の外面で付勢部材40の付勢力に抗して収容空間11の外側に押圧される。この際、サポート部材30は、回動軸Cを中心にして突出位置側から退避位置側へ回動する。サポート部材30の回動は、物品の大きさ(直径)に応じた回動角度まで進行する。そして、物品の底部が補助ホルダ20の底壁22に接すると、その物品がサポート部材30同士やサポート部材30と側壁12の内面との間に挟持される。これにより、物品が収容空間11に収容されつつサポート部材30により保持される。
【0040】
収容空間11に保持される物品の直径が小さいときは、サポート部材30の回動が停止する位置は、突出位置に近くなる。また、収容空間11に保持される物品の直径が大きいときは、サポート部材30の回動が停止する位置は、突出位置から遠くなり退避位置に近くなる。このため、車両用物品収容装置1によれば、収容空間11に保持される物品の直径に応じてサポート部材30の回動停止位置を突出位置と退避位置との間で変えることができるので、直径の異なる複数種類の物品をそれぞれ適切に対応させて収容空間11に保持することができる。
【0041】
また、車両乗員などは、車両用物品収容装置1の収容空間11に保持されている物品を取り出すときは、その物品を掴んで収容空間11の上方へ引き抜く。この引き抜きが行われる過程では、まず、サポート部材30の回動角度がほぼ維持された状態でそのサポート部材30の上下中央部が物品の側面に沿って摺接する。その後、サポート部材30が引き抜かれて上記の摺接が解消されると、サポート部材30が付勢部材40の付勢力により退避位置側から突出位置に向けて回動する。そして、サポート部材30の第一当接部32がホルダ部材10の側壁12の外面に当接すると、サポート部材30の回動が停止してサポート部材30が突出位置に維持される。
【0042】
上記した車両用物品収容装置1において、サポート部材30は、退避位置と突出位置との間で回動軸Cを中心にして回動可能である。車両用物品収容装置1は、サポート部材30が突出位置側から退避位置側へ所定角度以上に回動する場合に、サポート部材30における回動軸C上とは異なる箇所に設けられた第二当接部33が当接するストッパ部50を備えている。このストッパ部50は、側壁12の外面よりも外側において第二当接部33の回動軌跡上に配置されて第二当接部33が当接し得るストッパ面51を有している。
【0043】
この車両用物品収容装置1の構造によれば、第二当接部33とストッパ部50のストッパ面51との当接により、サポート部材30が退避位置を超えて更に突出位置側から退避位置側への回動方向に回動するのを規制することができる。このため、サポート部材30の退避位置側への回動が退避位置を超えて過度に行われるのを防止して、サポート部材30の軸体31が補助ホルダ20の軸溝25から外れるのを防止することができ、これにより、サポート部材30の回動軸Cを中心にした回動を信頼性良く適切に行うことができる。
【0044】
また、サポート部材30は、軸体31すなわち回動軸Cよりも上部の長さが下部の長さに比して長くなるように形成されている。ストッパ面51は、回動軸Cよりも外側に配置されている。この構造においては、サポート部材30を突出位置側から退避位置側へ所定角度以上に回動させる力によって第二当接部33がストッパ面51に当接した際に、ストッパ部50がそのサポート部材30を、そのサポート部材30が比較的長く延びる軸体31よりも上部側で支持する。
【0045】
この構造によれば、側壁12や筒壁23でサポート部材30の過度な回動を規制する構造に比べて、サポート部材30を突出位置側から退避位置側へ所定角度以上に回動させる力が同じであるときのサポート部材30の撓み変形を抑えることができる。このため、サポート部材30が突出位置側から退避位置側へ所定角度以上に回動した際のサポート部材30の破損をできるだけ抑えることができる。
【0046】
尚、上記の実施形態においては、第二当接部33が特許請求の範囲に記載した「当接部」に、補助ホルダ20が特許請求の範囲に記載した「ストッパ部が設けられた部材」に、軸溝25が特許請求の範囲に記載した「回動支持部」に、それぞれ相当している。
【0047】
ところで、上記の実施形態においては、ストッパ部50が、ホルダ部材10とは別体の補助ホルダ20に設けられている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、ストッパ部50がホルダ部材10に設けられるものであってもよい。この場合は、ホルダ部材10が特許請求の範囲に記載した「ストッパ部が設けられた部材」に相当する。
【0048】
また、上記の実施形態においては、ホルダ部材10が、収容空間11をなす側壁12を有し、補助ホルダ20が、収容空間11をなす底壁22を有し、補助ホルダ20がホルダ部材10の下側に取り付けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、ホルダ部材10が、収容空間をなす側壁12と底壁とが一体化された部材であって、そのホルダ部材10にストッパ部50が設けられるものであってもよい。
【0049】
また、上記の実施形態においては、サポート部材30の軸体31が回動可能に嵌る補助ホルダ20の回動支持部が、溝状に形成された軸溝25である。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、サポート部材30の軸体31が回動可能に嵌る補助ホルダ20の回動支持部が、補助ホルダ20に貫通して形成された軸孔であることとしてもよい。
【0050】
また、上記の実施形態においては、サポート部材30に円柱又は円筒状の軸体31が設けられ、補助ホルダ20にその軸体31が嵌る軸溝25が設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、逆に、補助ホルダ20に円柱又は円筒状の軸体が設けられ、サポート部材30にその軸体が嵌る軸溝や軸孔が設けられるものであってもよい。尚、これらの変形形態において、軸溝25や軸孔,軸体が設けられる対象として、補助ホルダ20に代えてホルダ部材10を用いることとしてもよい。
【0051】
また、上記の実施形態においては、サポート部材30が軸体31すなわち回動軸Cよりも上部の長さが下部の長さに比して長くなるように形成されており、そのサポート部材30における軸体31よりも上部の一部が側壁12の側壁開口部16を介して収容空間11の内側に突出可能である。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、逆に、サポート部材30が軸体31すなわち回動軸Cよりも下部の長さが上部の長さに比して長くなるように形成されており、そのサポート部材30における軸体31よりも下部の一部が側壁12の側壁開口部16を介して収容空間11の内側に突出可能であってもよい。
【0052】
また、上記の実施形態においては、ストッパ部50のストッパ面51が、回動軸Cよりも外側に配置されており、側壁12の外面及び筒壁23の外面に対向している。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、ストッパ面51が、側壁12の外面よりも外側において第二当接部33の回動軌跡上に配置されていればよく、例えば側壁12の外面及び筒壁23の外面に対して垂直な方向に向いていてもよい。
【0053】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:車両用物品収容装置、10:ホルダ部材、11:収容空間、12:側壁、13:上壁、14:開口部、16:側壁開口部、20:補助ホルダ、22:底壁、23:筒壁、25:軸溝、26:突出部、30:サポート部材、31:軸体、32:第一当接部、33:第二当接部、40:付勢部材、50:ストッパ部、51:ストッパ面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7