(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164164
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】火災報知機用動作確認補助具、火災報知機用動作試験装置、及び、火災報知機の動作試験方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20231102BHJP
G08B 29/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G08B17/00 K
G08B29/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075521
(22)【出願日】2022-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】599071049
【氏名又は名称】有限会社 加藤電工
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 初徳
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA09
5C087AA37
5C087CC10
5C087CC27
5C087DD04
5C087DD33
5C087EE11
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG06
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG35
5C087GG66
5G405AA06
5G405CA08
5G405CA11
5G405CA22
5G405CA25
5G405CA53
5G405FA17
(57)【要約】
【課題】火災報知機用動作確認作業を1人のユーザーで効率良く行うことができると共に、運用が容易でありながら、仕様の異なる各メーカーの火災受信機に適用することができる、火災報知機用動作確認補助具、火災報知機用動作試験装置、及び、火災報知機の動作試験方法を提供する。
【解決手段】火災報知機用動作試験装置1は、火災報知機用動作確認補助具2と送信用携帯通信端末3を備える。火災報知機用動作確認補助具2は、検出機能部分211、受光信号発信機能部分212、検出部本体部分213、検出部取付部分214及び接続コード215を含む検出部21と、制御部筐体部分221、制御部取付部分222、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、音声出力機能部分226及び電源部分227を含み、検出部21と接続された制御部22と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災受信機において火災発生時に点灯する火災表示灯に取り付けられ、前記火災表示灯の発光を検出可能な検出機能、及び、該検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する受光信号発信機能を有する検出部と、
該検出部と接続され、前記受光信号を受信可能な受光信号受信機能、前記受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定可能な発報開始判定機能、前記受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定する発報継続判定機能、及び、前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能の判定結果を受信し、該判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力可能な音声出力機能を有する制御部と、
を備える
火災報知機用動作確認補助具。
【請求項2】
前記制御部が、前記発報継続判定機能に係る受光信号の検出時間を変更可能な検出時間変更機能を更に有する
請求項1に記載の火災報知機用動作確認補助具。
【請求項3】
前記制御部に接続された使用日時判定部を更に備え、
該使用日時判定部が、使用開始日時を取得する第1日時取得機能、使用開始後の任意の日時を取得する第2日時取得機能、及び、前記第1日時取得機能と前記第2日時取得機能の差分を演算する日付演算機能、を有する
請求項1又は2に記載の火災報知機用動作確認補助具。
【請求項4】
前記使用日時判定部と協働する利用可否判定部を更に備え、
該利用可否判定部が、前記使用日時判定部と協働して利用可否を判定する利用可否判定機能、及び、該利用可否判定機能からの信号に基づいて制御部の作動を停止させる利用停止機能を有する
請求項3に記載の火災報知機用動作確認補助具。
【請求項5】
前記制御部に接続された外部キーインターフェイス部を更に備え、
該外部キーインターフェイス部が、前記制御部の起動許可パスワードを記憶させた外部キーである記憶媒体を受け入れ可能な記憶媒体接続部、該記憶媒体接続部に接続された前記記憶媒体を読み込み、同記憶媒体に記憶された起動許可パスワードの適否を認証する認証機能、及び、該認証機能に認証された前記起動許可パスワードを前記制御部に送信するパスワード送信機能、を有し、
前記制御部が、起動許可パスワードを受信して前記利用停止機能を解除し同制御部を使用可能にするパスワード処理機能を有する
請求項4に記載の火災報知機用動作確認補助具。
【請求項6】
火災受信機において火災発生時に点灯する火災表示灯に取り付けられ、前記火災表示灯の発光を検出可能な検出機能、及び、該検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する受光信号発信機能を有する検出部、及び、該検出部と接続され、前記受光信号を受信可能な受光信号受信機能、前記受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定可能な発報開始判定機能、前記受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定する発報継続判定機能、及び、前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能の判定結果を受信し、該判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力可能な音声出力機能を有する制御部、を有する火災報知機用動作確認補助具と、
音声を含む動画の撮影機能、及び、撮影した動画及び音声の送信機能を有し、前記火災報知機用動作確認補助具及びこれを取り付けた火災受信機を撮影可能に配置する携帯通信端末と、
を備える
火災報知機用動作試験装置。
【請求項7】
検出部及び該検出部と接続された制御部を有する火災報知機用動作確認補助具と、撮影機能及び撮影した動画と音声の送信機能を有する送信用携帯通信端末と、該送信用携帯通信端末で撮影し送信する動画と音声の受信機能を有する受信用携帯通信端末とを使用して行われ、
該火災報知機用動作確認補助具を火災報知機の火災受信機に配置し、該火災受信機に設けられた火災表示灯に前記検出部を取り付けると共に前記制御部を起動させ、前記送信用携帯通信端末を前記火災報知機用動作確認補助具及び前記火災受信機を撮影可能に配置する、第1ステップと、
前記火災報知機を構成する感知器又は報知機を試験用途で作動させる、第2ステップと、
前記検出部が有する検出機能によって前記感知器又は前記報知機からの信号を受けて点灯した前記火災表示灯の発光を検出し、同検出部が有する受光信号発信機能によって前記検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する、第3ステップと、
前記制御部が有する受光信号受信機能によって前記受光信号を受信し、前記制御部が有する発報開始判定機能によって同受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定し、前記制御部が有する発報継続判定機能によって同受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定し、前記制御部が有する音声出力機能によって前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能から受信した判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力する、第4ステップと、
前記送信用携帯通信端末の撮影機能によって前記火災報知機用動作確認補助具及び前記火災受信機を撮影すると共に、前記送信機能によって撮影した動画と音声を送信する、第5ステップと、
前記送信用携帯通信端末から送信された動画と音声を前記受信用携帯通信端末で受信し、同動画と同音声をユーザーが視聴して前記火災受信機の動作確認を行う、第6ステップと、
を備える
火災報知機の動作試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動火災報知設備(以下「火災報知機」という)用動作確認補助具、火災報知機用動作試験装置、及び、火災報知機の動作試験方法に関する。詳しくは、火災報知機用動作確認作業を1人のユーザーで効率良く行うことができると共に、運用が容易でありながら、仕様の異なる各メーカーの火災受信機に適用することができる、火災報知機用動作確認補助具、火災報知機用動作試験装置、及び、火災報知機の動作試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我国の消防法(同法第17条3の3)においては、消防用設備等を設置した建物は、年2回の設備の点検(以下「機器点検」という)と、所轄の消防署への点検結果の報告(特定防火対象物については1年に1回。非特定防火対象物については3年に1回。以下「総合点検」という)が義務付けられている。特に、総合点検では、消防用設備等の全部若しくは一部を作動させ、又は、当該消防用設備等を使用することにより、当該消防用設備等の総合的な機能を消防用設備等の種類等に応じ、告示で定める基準に従って、確認すべきことが規定されている。
【0003】
ところで、総合点検や機器点検(総合点検や機器点検を総称して、以下「火災報知機の動作確認作業」という)は、基本的に消防設備士又は消防設備点検資格者に依頼して行われていたが、従来の火災報知機の動作確認作業は、少なくとも2人一組になって行い、1人が感知器や報知機に付いて感知器や報知機を試験的に作動させ、他の1人が火災受信機に付いて火災表示灯が点灯するか否かを確認する場合が多いが、昨今の人手不足等に起因して、作業の着手時期の遅れや作業者の過重労働の問題が生じることがあった。
【0004】
上記問題等解決のために、例えば、下記の特許文献1記載の試験システムが提案されている。同試験システムによれば、防災受信機から出力された第1試験情報に応じた第2試験情報に基づいて、試験結果情報を出力することができるので、発報信号を出力する作業と試験結果を確認する作業とを、一人の作業者が行うことができ、防災システムの試験を行う作業効率を向上させることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1記載の試験システムは、「防災受信機の表示手段に第1試験情報が表示されたことをトリガとして、撮影及び撮影した画像を示す画像情報の送信を行う(明細書段落0016)」と記載され、〔実施の形態の基本的概念〕として「実施の形態は、概略的に、第1試験情報が出力された場合に、第1試験情報に基づく第2試験情報を送信し、送信した第2試験情報に基づいて、防災システムの試験の結果を示す試験結果情報を出力する試験システムに関するものである(明細書段落0027)」と記載されている。また、同様の内容が明細書段落0085~86にも記載されている。
【0007】
つまり、試験システムの起動トリガは、「防災受信機の表示手段に第1試験情報が表示されたこと」であるといえ、第1試験情報として、受信機2の表示灯221が点灯した状態を示す情報が例示されている。
【0008】
一方、火災報知機は、メーカーによって表示灯の発光間隔が異なることがあり、例えば、A社は表示灯の発光間隔が1秒、B社は表示灯の発光間隔が3秒ということがある。そして、特許文献1中に明示されてはいないものの、同文献記載の試験システムが火災報知機メーカーにより創作されていることを考慮すれば、第1試験情報である表示灯の発光間隔は自社規格を基準としているものと推察され、他メーカーの規格による表示灯の発光間隔では、同試験システムに係る第1試験情報のトリガとなり得ないか又は検出精度が低下する可能性がある。
【0009】
つまり、特許文献1記載の試験システムは、自社以外(すなわち、他のメーカー)の火災報知機に対する適用が困難であるか、又は、検出精度低下の可能性に起因する試験結果の信頼性低下が予想されることから、様々なメーカーの火災報知機の検査に従事する者にとっては使用しづらいシステムであるといえる。
【0010】
更に、特許文献1の明細書を参酌すると、「表示灯」は地区表示灯を意味していると推定され、特許文献1の
図2及び
図4を参酌しても、受信機2には、地区を示す表示灯が複数設けられている。そして、上下左右に配置された各地区表示灯の全てを撮影対象とするのであれば、撮影領域の調整、及び、全ての地区表示灯を認識できているかの確認を試験毎に行うことを要すると考えると、運用が煩雑なものとなる。
【0011】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、火災報知機用動作確認作業を1人のユーザーで効率良く行うことができると共に、運用が容易でありながら、仕様の異なる各メーカーの火災受信機に適用することができる、火災報知機用動作確認補助具、火災報知機用動作試験装置、及び、火災報知機の動作試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の火災報知機用動作確認補助具は、火災受信機において火災発生時に点灯する火災表示灯に取り付けられ、前記火災表示灯の発光を検出可能な検出機能、及び、該検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する受光信号発信機能を有する検出部と、該検出部と接続され、前記受光信号を受信可能な受光信号受信機能、前記受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定可能な発報開始判定機能、前記受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定する発報継続判定機能、及び、前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能の判定結果を受信し、該判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力可能な音声出力機能を有する制御部と、を備える。
【0013】
火災報知機用動作確認補助具は、これを使用するにあたり、まず火災受信機の火災表示灯に、検出部を取り付ける。検出部は、検出機能を有することにより、火災発生時に点灯する火災表示灯の発光を検出することができる。そして、検出部は、受光信号発信機能を有することにより、検出機能で検出された受光信号を前記制御部へ発信することができる。
【0014】
検出部と接続された制御部は、受光信号受信機能を有することにより、受光信号を受信することができる。
【0015】
制御部は、発報開始判定機能を有することにより、受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定することができる。より詳しくは、発報開始判定機能は、受光信号が検出された(検出有)の際には発報開始が必要と判定し、受光信号が検出されない(検出無)の際には発報開始が不要と判定する。
【0016】
制御部は、発報継続判定機能を有することにより、受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定することができる。より詳しくは、発報継続判定機能は、受光信号が所定時間検出された(検出有)の際には発報継続が必要と判定し、受光信号が所定時間検出されない(検出無)の際には発報開始が不要(「復旧状態」とも換言できる)と判定する。
【0017】
制御部が、音声出力機能を有することにより、発報開始判定機能及び発報継続判定機能で判定された状況を通知する音声を生成し外部へ出力することができる。より詳しくは、例えば、「発報開始判定機能で判定された状況を通知する音声」として「火災表示灯が発報しました」が挙げられ、「発報継続判定機能で判定された状況を通知する音声」として「発報が継続しています」が挙げられるが、これに限定するものではなく、同様の意味を持つ他の文言を読み上げる音声であってもよい。
【0018】
なお、生成された音声の外部出力については、制御部に直接的又は間接的に接続された音声発出部材を介して、ユーザーに聴取可能に設けることができる。例えば、「制御部に直接的に接続された」音声発出部材の態様としては、制御部の機内又は機外にスピーカー等を更に設け、音声出力機能で生成された音声をスピーカー等から出力する態様が挙げられ、また、「制御部に間接的に接続された」音声発出部の態様としては、無線通信可能なスマートフォンやタブレット端末、スピーカー等を更に設け、音声出力機能で生成された音声を無線信号化して発信し、スマートフォン等が受信した信号を音声化して出力する態様が挙げられる。
【0019】
前述の通り、火災報知機の動作確認作業は少なくとも2人一組になって行うことがあったが、本発明の火災報知機用動作確認補助具によれば、前述の構成を備えることにより、ユーザーは感知器や報知機を作動させる作業を担当し、火災受信機の火災表示灯が点灯するか否かを確認する作業は火災報知機用動作確認補助具が生成した音声を聴取すればよいので、火災受信機の設置場所で火災表示灯が点灯するか否かを確認する専属の人員が不要となり、つまりは、ユーザーが1人であっても火災報知機の動作確認作業を行うことができる。
【0020】
前述の通り、火災報知機はメーカーによって火災表示灯の発光間隔や点滅時間等の仕様が相違することがあるが、本発明の火災報知機用動作確認補助具は、検出部で火災表示灯の発光を検出し、受信した受光信号に基づいて制御部で発報の開始及び継続を判定する構造であるので、既設の比較的古い型の火災受信機を含む、仕様の異なる各メーカーの火災受信機に適用でき、汎用性が高いものとなっている。そして、本発明の火災報知機用動作確認補助具は、検出部を火災表示灯に取り付けるだけの簡易な構造であることから、運用が容易で作業性が良い。
【0021】
また、前述の火災報知機用動作確認補助具が、制御部が、発報継続判定機能に係る受光信号の検出時間を変更可能な検出時間変更機能を更に有する場合は、火災表示灯の発光間隔が異なるメーカーの火災報知機にも対応することができ、汎用性が更に向上させることができる。
【0022】
ところで、火災報知機はメーカーによって火災表示灯の発光間隔が異なることがあり、例えば、A社は火災表示灯の発光間隔が1秒、B社は火災表示灯の発光間隔が3秒ということがある。火災報知機用動作確認補助具の発報継続判定機能において受光信号の検出時間を1秒のみに設定していた場合、火災表示灯の発光間隔が3秒の火災報知機については発報継続不要(復旧状態)と判定される可能性があり、即ち、B社の火災報知機に対応不能ということになってしまう。
【0023】
しかしながら、本発明の火災報知機用動作確認補助具は、前述の検出時間変更機能を有することにより、火災表示灯の発光間隔が異なるメーカーの火災報知機にも対応することができ、汎用性が更に向上したものとなっている。
【0024】
また、前述の火災報知機用動作確認補助具が、制御部に接続された使用日時判定部を更に備え、使用日時判定部が、使用開始日時を取得する第1日時取得機能、使用開始後の任意の日時を取得する第2日時取得機能、及び、第1日時取得機能と第2日時取得機能の差分を演算する日付演算機能を有する場合は、時間や日時を限定した利用方法に対応することができる。
【0025】
例えば、本発明の火災報知機用動作確認補助具を一定時間又は一定期間に限定して貸し出して使用させる場合(以下「レンタル用途」という)に好適に使用され、使用日時判定部が、第1日時取得機能で使用開始日時を取得し、第2日時取得機能で使用開始後の任意の日時を取得し、日付演算機能で第1日時取得機能と第2日時取得機能の差分を演算する。これにより、本発明の火災報知機用動作確認補助具の所有者は、使用期間が管理でき、例えば、これを貸し出した者に対して使用期間に基づいて利用料金を徴収することができる。
【0026】
また、前述の火災報知機用動作確認補助具が、使用日時判定部と協働する利用可否判定部を更に備え、利用可否判定部が、使用日時判定部と協働して利用可否を判定する利用可否判定機能、及び、利用可否判定機能からの信号に基づいて制御部の作動を停止させる利用停止機能を有する場合は、火災報知機用動作確認補助具の利用可否を判定し、一定の時間や日時を経過した場合の利用を止めることができる。これによりレンタル用途での不正使用を抑止することができる。
【0027】
また、前述の火災報知機用動作確認補助具が、制御部に接続された外部キーインターフェイス部を更に備え、外部キーインターフェイス部が、制御部の起動許可パスワードを記憶させた外部キーである記憶媒体を受け入れ可能な記憶媒体接続部、記憶媒体接続部に接続された記憶媒体を読み込み、記憶媒体に記憶された起動許可パスワードの適否を認証する認証機能、及び、認証機能に認証された起動許可パスワードを制御部に送信するパスワード送信機能、を有し、制御部が、起動許可パスワードを受信して利用停止機能を解除し制御部を使用可能にするパスワード処理機能を有する場合は、起動許可パスワードを記憶させた記憶媒体を使用して、制御部の起動可否の制限を設けることができる。これによりレンタル用途での不正使用を抑止効果と、補助具の利便性を更に向上させることができる。
【0028】
上記の目的を達成するために、本発明の火災報知機用動作試験装置は、火災受信機において火災発生時に点灯する火災表示灯に取り付けられ、前記火災表示灯の発光を検出可能な検出機能、及び、該検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する受光信号発信機能を有する検出部、及び、該検出部と接続され、前記受光信号を受信可能な受光信号受信機能、前記受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定可能な発報開始判定機能、前記受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定する発報継続判定機能、及び、前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能の判定結果を受信し、該判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力可能な音声出力機能を有する制御部、を有する火災報知機用動作確認補助具と、音声を含む動画の撮影機能、及び、撮影した動画及び音声の送信機能を有し、前記火災報知機用動作確認補助具及びこれを取り付けた火災受信機を撮影可能に配置する携帯通信端末と、を備える。
【0029】
火災報知機用動作試験装置は、これを使用するにあたり、まず火災受信機の火災表示灯に、火災報知機用動作確認補助具の検出部を取り付ける。検出部は、検出機能を有することにより、火災発生時に点灯する火災表示灯の発光を検出することができる。そして、検出部は、受光信号発信機能を有することにより、検出機能で検出された受光信号を前記制御部へ発信することができる。
【0030】
検出部と接続された制御部は、受光信号受信機能を有することにより、受光信号を受信することができる。
【0031】
制御部は、発報開始判定機能を有することにより、受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定することができる。より詳しくは、発報開始判定機能は、受光信号が検出された(検出有)の際には発報開始が必要と判定し、受光信号が検出されない(検出無)の際には発報開始が不要と判定する。
【0032】
制御部は、発報継続判定機能を有することにより、受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定することができる。より詳しくは、発報継続判定機能は、受光信号が所定時間検出された(検出有)の際には発報継続が必要と判定し、受光信号が所定時間検出されない(検出無)の際には復旧状態と判定する。
【0033】
制御部が、音声出力機能を有することにより、発報開始判定機能及び発報継続判定機能で判定された状況を通知する音声を生成し外部へ出力することができる。なお、生成された音声の外部出力については、制御部に直接的又は間接的に接続された音声発出部材を介して、ユーザーに聴取可能に設けることができる。
【0034】
携帯通信端末は、前述の撮影機能及び送信機能を有し、火災報知機用動作確認補助具を撮影可能に配置して作動させることにより、火災報知機の動作状況を撮影した動画及び火災報知機用動作確認補助具から生じる音声を装置外に送信することができる。
【0035】
本発明の火災報知機用動作試験装置によれば、ユーザーは、手元に所持する他の携帯通信端末で、火災報知機の動作試験装置に係る携帯通信端末から送信された動画及び音声を受信し、観察することができる。これによって、少なくとも2人一組になって行っていた火災報知機の動作確認作業を、ユーザー1人で行うことができる。
【0036】
更に、本発明の火災報知機用動作試験装置は、前述した火災報知機用動作確認補助具が、検出部で火災表示灯の発光を検出し、受信した受光信号に基づいて制御部で発報の開始及び継続を判定する構造であるので、既設された(火災表示灯の発光間隔の)仕様の異なる各メーカーの火災受信機に適用でき、汎用性が高いものとなっている。そして、本発明の火災報知機用動作試験装置は、前述した検出部を火災表示灯に取り付けるだけの簡易な構造であることから、運用が容易で作業性が良い。
【0037】
上記の目的を達成するために、本発明の火災報知機の動作試験方法は、検出部及び該検出部と接続された制御部を有する火災報知機用動作確認補助具と、撮影機能及び撮影した動画と音声の送信機能を有する送信用携帯通信端末と、該送信用携帯通信端末で撮影し送信する動画と音声の受信機能を有する受信用携帯通信端末とを使用して行われ、該火災報知機用動作確認補助具を火災報知機の火災受信機に配置し、該火災受信機に設けられた火災表示灯に前記検出部を取り付けると共に前記制御部を起動させ、前記送信用携帯通信端末を前記火災報知機用動作確認補助具及び前記火災受信機を撮影可能に配置する、第1ステップと、前記火災報知機を構成する感知器又は報知機を試験用途で作動させる、第2ステップと、前記検出部が有する検出機能によって前記感知器又は前記報知機からの信号を受けて点灯した前記火災表示灯の発光を検出し、同検出部が有する受光信号発信機能によって前記検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する、第3ステップと、前記制御部が有する受光信号受信機能によって前記受光信号を受信し、前記制御部が有する発報開始判定機能によって同受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定し、前記制御部が有する発報継続判定機能によって同受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定し、前記制御部が有する音声出力機能によって前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能から受信した判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力する、第4ステップと、前記送信用携帯通信端末の撮影機能によって前記火災報知機用動作確認補助具及び前記火災受信機を撮影すると共に、前記送信機能によって撮影した動画と音声を送信する、第5ステップと、前記送信用携帯通信端末から送信された動画と音声を前記受信用携帯通信端末で受信し、同動画と同音声をユーザーが視聴して前記火災受信機の動作確認を行う、第6ステップと、を備える。
【0038】
火災報知機用動作確認補助具を火災受信機に取り付けて制御部を起動させ、送信用携帯通信端末を配置することで火災報知機用動作確認補助具と火災受信機を撮影する準備が整う(第1ステップ)。これにより、火災受信機の前には人員を配置する必要が無い。
【0039】
そして、感知器又は報知機を作動させ、試験を開始する(第2ステップ)。このとき、感知器又は報知機を加熱器具や加煙器具で作動させるためのユーザーを、感知器又は報知機の所在場所にのみ配置すれば良い。
【0040】
火災報知機用動作確認補助具は、検出部が感知器又は報知機からの信号を受けて点灯した火災表示灯の発光を検出し、発光検出時に受光信号を生成し発信する(第3ステップ)。そして、火災報知機用動作確認補助具は、制御部が、受光信号を受信し、発報開始の要否を判定し、発報継続の要否を判定し、判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力する(第4ステップ)。
【0041】
送信用携帯通信端末は、火災報知機用動作確認補助具及び火災受信機を撮影すると共に、撮影した動画と音声を送信する(第5ステップ)。そして、送信用携帯通信端末から送信された動画と音声を受信用携帯通信端末で受信し、同動画と同音声をユーザーが視聴して火災受信機の動作確認を行う(第6ステップ)。
【0042】
本発明の火災報知機の動作試験方法によれば、前述の各ステップを備えることにより、ユーザーは、送信用携帯通信端末から送信された動画及び音声を、手元に所持する受信用携帯通信端末で受信し、観察することができる。これによって、少なくとも2人一組になって行っていた火災報知機の動作確認作業を、ユーザー1人で行うことができる。
【0043】
更に、本発明の火災報知機の動作試験方法は、前述した火災報知機用動作確認補助具の使用により、既設された仕様が異なる各メーカーの火災受信機に適用でき、汎用性が高いものとなっている。そして、本発明の火災報知機の動作試験方法は、使用する火災報知機用動作確認補助具が、前述した検出部を火災表示灯に取り付けるだけの簡易な構造であることから、運用が容易で作業性が良い。
【0044】
なお、第1ステップの後に第2ステップを行う手順が一般的ではあるが、第2ステップを先に行って第1ステップを行う手順であってもよい。換言すると、第1ステップと第2ステップは、必ず数字順に行わなければならないということはなく、これを行う手順の先後を入れ替えることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、火災報知機用動作確認作業を1人のユーザーで効率良く行うことができると共に、運用が容易でありながら、仕様の異なる各メーカーの火災受信機に適用することができる、火災報知機用動作確認補助具、火災報知機用動作試験装置、及び、火災報知機の動作試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】第1実施形態に係る火災報知機用動作試験装置の使用状態説明図である。
【
図2】
図1の火災報知機用動作確認補助具を示しており、(a)は火災報知機用動作確認補助具の斜視図、(b)は火災報知機用動作確認補助具の内部構成の概略を示す説明図である。
【
図3】
図1の火災報知機用動作確認補助具に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る火災報知機用動作確認補助具の内部構成の概略を示す説明図である。
【
図5】第3実施形態に係る火災報知機用動作確認補助具の内部構成の概略を示す説明図である。
【
図6】変形例2に係る火災報知機用動作確認補助具の内部構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1~
図6を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は、〔第1実施形態〕、〔変形例1〕、〔第2実施形態〕、〔第3実施形態〕、〔変形例2〕、〔変形例3〕の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。
【0048】
〔第1実施形態〕
〔火災報知機用動作試験装置1〕
火災報知機用動作試験装置1は、火災報知機用動作確認補助具2と送信用携帯通信端末3を備える(
図1参照)。
【0049】
(火災報知機用動作確認補助具2)
火災報知機用動作確認補助具2は、検出部21及び制御部22を有する(
図1及び
図2参照)。各部について以下詳述する。
【0050】
検出部21は、火災受信機5において火災発生時に点灯する火災表示灯51に取り付けられるものであり、検出機能部分211、受光信号発信機能部分212、検出部本体部分213、検出部取付部分214、及び、接続コード215を有する(
図1及び
図2参照)。
【0051】
検出機能部分211は、前述した「検出機能」に相当するものであり、火災表示灯51の発光を検出し、受けた光を電気信号(受光信号)に変換する部品である受光素子で構成されている。
【0052】
受光信号発信機能部分212は、前述した「受光信号発信機能」に相当するものであり、検出機能部分211及び接続コード215と接続されている。受光信号発信機能部分212は、検出機能部分211で発光を検出した際に生成される受光信号を受信し、接続コード215を介して制御部22へ発信可能に設けられている。
【0053】
検出部本体部分213は、検出機能部分211及び受光信号発信機能部分212を内包するように設けられている。検出部本体部分213と検出部取付部分214は、プラスチック製であって幅方向に長尺な板状で一体的に設けられている。なお、検出部取付部分214は接続コード215と反対側の短辺に形成されて、検出部本体部分213より厚みが薄い片状部分である(
図2参照)。
【0054】
検出機能部分211及び受光信号発信機能部分212は、検出部取付部分214に対して幅方向反対側に設けられ、検出機能部分211が、検出部本体部分213と検出部取付部分214を含んだ幅方向中央よりも接続コード215側に配置されている(
図1及び
図2参照)。
【0055】
(制御部22)
制御部22は、検出部21と接続コード215を介して接続され、制御部筐体部分221、制御部取付部分222、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、音声出力機能部分226、及び、電源部分227を有する(
図2参照)。なお、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、及び、音声出力機能部分226は、いわゆるマイコン等の集積回路や同集積回路にインストール等されたプログラムの使用により実現される構造である。
【0056】
制御部筐体部分221は、スチール製の中空の箱体であって、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、及び、音声出力機能部分226を内包している。
【0057】
制御部取付部分222は、制御部22を設置する際に制御部筐体部分222の側面になる方向に張り出した脚状部分であり、制御部筐体部分221と反対となる位置(先端部分)に磁石(図示省略)を有している。
【0058】
受光信号受信機能部分223は、前述した「受光信号受信機能」に相当するものであり、接続コード215を介して受光信号を受信可能に設けられている。
【0059】
発報開始判定機能部分224は、前述した「発報開始判定機能」に相当するものであり、受光信号受信機能部分223と接続されて、受光信号受信機能部分223を介して受信する受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定可能に設けられている。
【0060】
発報継続判定機能部分225は、前述した「発報継続判定機能」に相当するものであり、受光信号受信機能部分223と接続されて、受光信号受信機能部分223を介して受信する受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定可能に設けられている。
【0061】
音声出力機能部分226は、前述した「音声出力機能」に相当するものであり、発報開始判定機能部分224及び発報継続判定機能部分225と接続されて、発報開始判定機能部分224及び発報継続判定機能部分225の判定結果を受信し、同判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力可能に設けられている。音声出力機能部分226は、音声生成機能(図示省略)と、スピーカー部分(図示省略)を有する音声出力機能を有する。
【0062】
電源部分227は、蓄電池であり、必要に応じて検出部21及び制御部22において電力を必要とする各部分へ電力を供給する。
【0063】
(送信用携帯通信端末3)
送信用携帯通信端末3は、音声を含む動画の撮影機能、及び、撮影した動画及び音声の送信機能を有するものであり、スマートフォンを使用している。また、送信用携帯通信端末3は、火災報知機用動作確認補助具2及びこれを取り付けた火災受信機5を撮影可能に配置され、この配置には三脚を使用している(
図1参照)。
【0064】
本実施形態において、検出機能部分211は、受光素子を使用しているが、これに限定するものではなく、同様の作用効果を奏するセンサ類であってもよい。
【0065】
本実施形態において、受光信号発信機能部分212は、検出機能部分211と別部分として表現しているが、これに限定するものではなく、例えば、受光信号発信機能部分と検出機能部分が一体となった態様を除外するものではない。
【0066】
本実施形態において、検出部本体部分213は、前述の素材及び形状であるが、これに限定するものではなく、例えば、金属等の素材であってもよいし、正方形や長円形等の形状であってもよく、また、検出部本体部分と検出部取付部分を非一体的に設けた態様を除外するものではない。
【0067】
本実施形態において、検出部取付部分214は、前述の配置及び形状であるが、これに限定するものではなく、例えば、片状部分以外の形状であってもよいし、検出部本体部分の周縁近傍のいずれかの箇所又は複数箇所に設けてもよく、また、接続コードと同じ側に配置する態様を除外するものではない。
【0068】
本実施形態において、検出部21と制御部22を接続する手段として接続コード215を採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、検出部と制御部は無線方式で接続される態様であってもよい。
【0069】
本実施形態において、制御部筐体部分221は、スチール製であるが、これに限定するものではなく、例えば、プラスチックやカーボン等の内包物を保護可能な所定の剛性を有する素材で形成されたものであってもよい。
【0070】
本実施形態において、制御部取付部分222は、前述の構成であるが、これに限定するものではなく、例えば、制御部を設置する際に制御部筐体部分の底面又は取付面となる側に配置されたものであってもよいし、制御部筐体部分の底面の全体又はその一部自体を制御部取付部分とした態様であってもよい。また、制御部取付部分は、磁石以外の固定手段(例えば粘着材や吸盤)に置き換えた態様であってもよいし、また、磁石等の固定手段を有しない態様を除外するものではない。
【0071】
本実施形態において、電源部分227は蓄電池であるが、これに限定するものではなく、例えば、一次電池であってもよいし、外部電力であってもよい。
【0072】
本実施形態において、送信用携帯通信端末3は、スマートフォンを使用しているが、これに限定するものではなく、例えば、タブレット端末やカメラ付きパーソナルコンピュータであってもよいし、少なくとも音声を含む動画の撮影機能と撮影した動画及び音声の送信機能を有する専用機器であってもよい。また、送信用携帯通信端末3を配置する部材として三脚を使用しているが、これに限定するものではなく、例えば、固定台や固定用フレーム等の公知部材であってもよい。
【0073】
〔火災報知機用動作確認補助具2を含む火災報知機用動作試験装置1各部の作用効果、火災報知機の動作試験方法〕
図1~
図3を参照して、火災報知機用動作確認補助具2を含む火災報知機用動作試験装置1各部の作用効果について説明すると共に、
図3に示す第1ステップS1、第2ステップS2、第3ステップS3、第4ステップS4、第5ステップS5、及び、第6ステップS6、を備える火災報知機の動作試験方法を説明する。
【0074】
<第1ステップS1>
第1ステップでは、火災報知機用動作確認補助具2を火災報知機の火災受信機5に配置し、火災受信機5に設けられた火災表示灯51に検出部21を取り付け、制御部22を起動させる。そして、送信用携帯通信端末3を火災報知機用動作確認補助具2及び火災受信機5を撮影可能に配置し、これにより、火災報知機用動作確認補助具2と火災受信機5を撮影する準備が整う。つまり、第1ステップは作業前準備工程とも換言できる。
【0075】
併せて、必要に応じて、主音響(火災受信機内蔵ブザー)を停止し、地区音響(廊下等に設置されたベル)を停止し、連動機器の移報(警備会社への移報等)を停止し、試験復旧スイッチを試験復旧モードに変更し、蓄積機能の解除操作を行う。
【0076】
ここで、試験復旧スイッチとは、動作試験時に火災受信機の自己保持解除を行い、自動的に復旧させる機能スイッチをいう。また、蓄積機能とは、感知器が熱や煙を感知してからベルを鳴らすまでの設定時間(換言すると、貯め期間)を蓄積する機能であり、感知器から火災信号受信しても誤作動の可能性もあるので、一定時間保留にしておき、信号が出たままの場合にベルやサイレンを鳴らすという機能をいい、蓄積機能を解除することにより感知器が感知すると火災灯が点灯する。
【0077】
なお、送信用携帯通信端末3での撮影範囲は、火災報知機用動作確認補助具2全体のほか、必ずしも火災受信機5の全体である必要はないが、少なくとも火災表示灯51と地区表示灯52が含まれることが好適である。
【0078】
検出部21は、これを火災表示灯51に取り付ける際には、検出機能部分211が火災表示灯51の略中央に重なるようして検出部本体部分213を配置する。そして、検出部取付部分214の短辺よりも長尺な粘着テープ6を、検出部取付部分214に重ね、且つ、粘着テープ6両端が検出部取付部分214から所定長さはみ出す態様で貼り、前述のはみ出し部分を火災受信機5に貼り付ける(
図1参照)。これにより、検出部21が火災受信機5に取り付けられる。
【0079】
ところで、発明者は、検出部取付部分を設けてない検出部本体部分を試作し、検出部本体部分の短辺よりも長尺な粘着テープを、検出部本体部分に重ね、且つ、粘着テープ両端が検出部本体部分からはみ出す態様で貼り、前述のはみ出し部分を火災受信機に貼り付けて試験を行ったが、理由は定かではないが、検出部本体部分を火災表示灯に重ねる位置決めがしにくいうえ、比較的厚みのある検出部本体部分と火災表示灯が重なると、検出部本体部分からはみ出す粘着テープ両端の長さを長くとらないと剥離しやすいことが判明した。
【0080】
このため、発明者は、更なる鋭意研究を行い、前述の構成である検出部取付部分を設けたところ、検出部本体部分を火災表示灯に重ねる位置決めがしやすくなり、検出部本体部分よりも薄く設けられていることから火災表示灯と重ねても検出部取付部分からはみ出す粘着テープ両端の長さが短くても剥離しにくくなることが判明した。これは、検出部21において、検出部本体部分213が検出部取付部分214に対して幅方向反対側に設けられ、且つ、検出部取付部分214の反対側短辺に接続コード215を配置した構成にしたことによる視覚的な形状の最適化及び重量バランスの最適化が達成されたことに起因するものと推察される。
【0081】
ところで、火災受信機5は、その前面扉又は前面側表示パネルがスチール製である構造のものが多い。このため、火災報知機用動作確認補助具2は、制御部22を配置する際にあたり、前述の構造である制御部取付部分222を以て火災受信機5の前面扉等に磁着させることができる。これにより、長尺な接続コード215が不要となって取り回し性が向上している。
【0082】
更に、送信用携帯通信端末3で火災報知機用動作確認補助具2及び火災受信機5を撮影する際に、火災報知機用動作確認補助具が火災受信機と離れていると、これらと送信用携帯通信端末との距離を長くとる必要があり、この距離が短い狭い部屋に火災受信機が設置されていると送信用携帯通信端末での撮影が困難な場合もありうるが、火災報知機用動作確認補助具2によれば、火災受信機5との距離を近く配置することができるので、比較的短い距離であっても、火災報知機用動作確認補助具2及び火災受信機5を送信用携帯通信端末3で撮影することができる。
【0083】
更に、火災報知機用動作確認補助具2は、1つの検出部21を火災表示灯51一箇所に取り付けるだけで済むため、前述した特許文献1と比較して、運用が容易である。
【0084】
<第2ステップS2>
第1ステップの完了後、ユーザーは、動作試験の対象である感知器又は報知機の場所へ移動し、感知器又は報知機を作動させ、試験を開始する。この試験において、ユーザーは、送信用携帯通信端末3と通信可能な受信用携帯通信端末4を所持して行う。
【0085】
<第3ステップS3>
試験開始後、火災報知機用動作確認補助具2は、感知器又は報知機からの信号を受けて点灯した火災表示灯51の発光を検出部21が検出する。更に詳しくは、検出部21において、検出機能部分211で火災表示灯51の発光を検出して受光信号を生成し、検出機能部分211で生成された受光信号を受光信号発信機能部分212で受信し、接続コード215を介して制御部22へ発信する(
図3におけるS3「Yes」参照)。
なお、検出機能部分211で火災表示灯51の発光が検出されない場合は、受光信号は生成されず、制御部22へ発信されない(
図3におけるS3「No」参照)。
【0086】
<第4ステップS4>
制御部22は、受光信号を受信し、発報開始の要否を判定し、発報継続の要否を判定し、判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力する。
【0087】
更に詳しくは、制御部22は、受光信号受信機能部分223で接続コード215を介して送信された受光信号を受信し、受光信号受信機能部分223に接続された発報開始判定機能部分224及び発報継続判定機能部分225へ送る。
【0088】
発報開始判定機能部分224は、受信する受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定し、判定結果が「要」の場合は音声出力機能部分226に「発報開始要」の信号を送信する(
図3におけるS3「Yes」参照)。音声出力機能部分226は、発報開始判定機能部分224の判定結果(「発報開始要」の信号)を受信し、同判定結果に基づく状況を通知する音声(例えば「火災表示灯が発報しました」)を生成し、外部へ音声で出力する。
【0089】
なお、発報開始判定機能部分224に係る判定結果が「発報開始否(不要)」である場合、信号は生成されず、音声出力機能部分226へ発信されない(
図3におけるS3「No」参照)。
【0090】
発報継続判定機能部分225は、受信する受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定し、「発報継続要」又は「発報継続否(不要)」の信号を送信する(
図3におけるS4「Yes」参照)。音声出力機能部分226は、発報継続判定機能部分225の判定結果(「発報継続要」の信号)を受信した場合は、同判定結果に基づく状況を通知する音声(例えば「火災が継続しています」)を生成し、外部へ音声で出力する。
【0091】
なお、音声出力機能部分226は、発報継続判定機能部分225に係る判定結果が「発報継続否(不要)」である場合、最初の「発報継続否(不要)」の判定結果受信時には同判定結果に基づく状況を通知する音声(例えば「火災表示灯が復旧しました」)を生成して外部へ音声で出力し(
図3におけるS4「Yes」参照)、2回目以降の「発報継続否(不要)」の判定結果受信時には、信号は生成されず、音声出力機能部分226へ発信されない(
図3におけるS4「No」参照)。
【0092】
<第5ステップS5>
送信用携帯通信端末3は、火災報知機用動作確認補助具2及び火災受信機5を撮影すると共に、撮影した動画と音声を送信する。なお、同送信は、配線不要な無線通信方式(インターネット回線、無線LAN、Wi-Fi等)が好適に使用されるが、有線通信を除外するものではない。なお、撮影した動画と音声の送信にあたっては、送信用携帯通信端末3が備える中継機能、送信用携帯通信端末3にインスト-ルする中継用アプリケーション(ライブ配信用アプリケーション)等を使用して行う方法もある。
【0093】
<第6ステップS6>
ユーザーは、所持する受信用携帯通信端末4で送信用携帯通信端末3から送信された動画と音声を受信し、同動画と同音声を視聴して火災受信機5の動作確認を行う。
【0094】
ユーザーは、第2ステップにおいて感知器又は報知機を作動させて試験を開始し、第6ステップにおいて受信用携帯通信端末4で受信し視聴した動画と音声によって火災表示灯51や地区表示灯52の起動(発光)を確認できた場合は、火災報知機の機能は正常であると判断することができる。
【0095】
一方、ユーザーが、第2ステップにおいて感知器又は報知機を作動させて試験を開始したにも関わらず、第6ステップにおいて受信用携帯通信端末4で受信し視聴した動画と音声によって火災表示灯51等の起動(発光)を確認できなかった場合は、火災報知機のいずれかの箇所(感知器又は報知機、火災受信機5を含む)の故障が疑われることになる。
【0096】
なお、ここで使用する受信用携帯通信端末4は、スマートフォンを使用しているが、これに限定するものではなく、例えば、タブレット端末やパーソナルコンピュータであってもよい。また、本実施形態では、送信用携帯通信端末3から送信された動画と音声を受信用携帯通信端末4で確認する態様を採用しているが、同動画と音声をサーバーに記録しても良いし、ユーザーの上位管理者が同動画と音声の情報を共有・監視する態様であってもよい。
【0097】
<火災報知機用動作試験装置1の作用効果>
第1ステップS1で説明した通り、火災報知機用動作試験装置1は、これを使用するにあたり、まず火災受信機5の火災表示灯51に、火災報知機用動作確認補助具2の検出部21を取り付ける。第2ステップS2~第3ステップS3で説明した通り、検出機能及び受光信号発信機能を有する検出部21は、火災表示灯51の発光を検出した際には、受光信号を制御部22へ発信する。
【0098】
第4ステップS4で説明した通り、制御部22は、受光信号を受信後、発報開始判定機能部分224で受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定し、発報継続判定機能部分225で受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定する。そして、制御部22は、音声出力機能部分226で、発報開始判定機能部分224及び発報継続判定機能部分225で判定された状況を通知する音声を生成し外部へ出力する。
【0099】
送信用携帯通信端末3は、火災報知機5の動作状況を撮影した動画及び火災報知機用動作確認補助具2から生じる音声を送信する。
【0100】
なお、制御部筐体部分221は、前述の構成であることにより、内包する受光信号受信機能部分223を移送時や取り扱い時に生じうる衝撃等から保護する。また、電源部分227は、蓄電池を採用していることにより、外部から電力される機器と比較して、近場にコンセント等がなくとも使用することができて取り回し性が良いと共に、この取り回し性の良さに起因して、火災受信機5近傍に火災報知機用動作確認補助具2を取り付けることができる。
【0101】
前述の通り、火災報知機用動作確認補助具2を含む火災報知機用動作試験装置1を使用した火災報知機の動作試験方法によれば、前述の各ステップを備えることにより、ユーザーは、送信用携帯通信端末3から送信された動画及び音声を、手元に所持する受信用携帯通信端末4で受信し、火災報知機5の稼働状況を観察することができる。
【0102】
これによって、少なくとも2人一組になって行っていた火災報知機の動作確認作業を、ユーザー1人で行うことができる。換言すると、感知器又は報知機は加熱器具や加煙器具で作動させるユーザーを、感知器又は報知機の所在場所にのみ配置すれば良く、火災受信機5の前には人員を配置する必要が無く、最低限の人数での作業を行うことができる。
【0103】
ところで、火災受信機設置場所は、病院の場合はナースセンター、ホテルの場合は事務所、介護施設の場合は寮母室などに設置されていることが多いが、過去の火災報知機の動作試験の際には、火災報知機監視の担当者がこれらの部屋に長時間(長い場合は半日)滞在して行っていた。
【0104】
これに対し、本発明に係る火災報知機用動作試験装置1の使用、火災報知機の動作試験方法によって、火災報知機監視の担当者が不要(火災報知機前の無人化)となり、これによって、感染症(新型コロナ、インフルエンザ等)の持ち込み予防効果、省力化による人手不足解消効果、機密保持及び情報流出防止効果、人件費抑制による動作試験費用の軽減効果、監視担当者の存在が気になることの抑制効果(施設側の視点では業務の邪魔と感じることもある)、が期待できる(プライバシー保護や保安管理、感染症予防等の観点から多人数の立ち入りが好ましくない建物やスペースでの作業に特に好適である、とも換言できる)。
【0105】
加えて、従来行われていた火災報知機の動作確認作業は、火災受信機の内部結線を触る場合は消防設備士免許が必要なことがあったが、本発明の火災報知機用動作試験装置1であれば、火災受信機の内部結線を触ることがないため、消防設備士免許が無くても火災報知機用動作確認補助具2を取り付けることができ、取り付け容易であることから初心者でも容易に作業を行いうる。
【0106】
ところで、一般的な火災受信機には火災表示灯が設けられているので、検出部21で火災表示灯の発光を検出する火災報知機用動作確認補助具2によれば、メーカーが異なる火災受信機に対応することができる。また、火災報知機用動作確認補助具2が検出した受光信号に基づいて制御部22で発報の開始及び継続を判定する構造であるので、既設された(火災表示灯の発光間隔の)仕様の異なる各メーカーの火災受信機に適用でき、汎用性が高いものとなっている。そして、火災報知機用動作確認補助具2は、検出部22を火災表示灯51に取り付けるだけの簡易な構造であることから、運用が容易で作業性が良い。
【0107】
更に、火災報知機用動作確認補助具2は、検出部21で発光を検出する構造であるので、火災灯以外の表示灯への検出部21の取り付けにより、動作確認試験を行うことができる。例えば、消火栓起動等の諸表示に対しては検出部21を諸表示ランプに取り付けることにより、消火栓起動等の発報の動作確認試験を行うことができ、検出部21を障害表示ランプに取り付けることにより、断線等の障害表示ランプの発報の動作確認試験を行うことができる。
【0108】
〔変形例1〕
なお、火災報知機用動作確認補助具2は、その変形例として、制御部22の制御部筐体部分221に、音声出力機能部分226と接続された音声出力端子(図示省略)を設けたものであってもよい。そして、音声出力端子(図示省略)に差し込んだ音声コードの他方側(音声入力端子)を送信用携帯通信端末3の音声端子に接続する。
【0109】
これにより、火災報知機用動作確認補助具2と送信用携帯通信端末3は有線接続され、火災報知機用動作確認補助具2から機外に音声が直接出力されないので、火災報知機用動作確認補助具2を設置した周辺において、火災報知機用動作確認補助具2に起因する音声の発生が抑制することができる。
【0110】
併せて、音声出力機能部分226から生じる音声が送信用携帯通信端末3に直接入力されるので、火災報知機用動作確認補助具2を設置した周辺において生じる音声と送信用携帯通信端末3が拾う音声とが混じることが抑制され、受信用携帯通信端末4で聴取する音声がクリアなものとなって、ユーザーの誤聴取を抑制することができる。
【0111】
本変形例1に関する構成は、後述する第2実施形態に係る火災報知機用動作確認補助具に適用することもでき、適用による作用効果も同様である。
【0112】
〔第2実施形態〕
(火災報知機用動作確認補助具2a)
図4を参照して、火災報知機用動作確認補助具2の第2実施形態である火災報知機用動作確認補助具2aについて説明する。なお、火災報知機用動作確認補助具2と相違する構造及び作用効果についてのみ説明し、その他の共通する部分の説明は省略すると共に、図面において共通する部分には同番号を付している。火災報知機用動作確認補助具2aは、検出部21及び制御部22aを有する(
図4参照)。検出部21は、火災報知機用動作確認補助具2と共通するため、説明を省略する。
【0113】
(制御部22a)
制御部22aは、制御部筐体部分221、制御部取付部分222、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、音声出力機能部分226、電源部分227、及び、検出時間変更機能部分228を有する(
図4参照)。なお、制御部筐体部分221、制御部取付部分222、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、音声出力機能部分226、及び、電源部分227は、火災報知機用動作確認補助具2と共通するため、構成及び作用効果の説明を省略する。
【0114】
検出時間変更機能部分228は、前述した「検出時間変更機能」に相当するものであり、いわゆるマイコン等の集積回路や同集積回路にインストール等されたプログラムの使用により実現される構造であり、発報継続判定機能に係る受光信号の検出時間の設定を変更可能に設けられている。また、検出時間変更機能部分228は、制御部筐体部分221に露出したスイッチ部分(図示省略)を有し、機体外から発報継続判定機能に係る受光信号の検出時間の設定を変更することができる。
【0115】
前述の通り、火災報知機はメーカーによって火災表示灯の発光間隔が異なることがあるが、火災報知機用動作確認補助具2aは、検出時間変更機能部分228を有することにより、火災表示灯の発光間隔が異なるメーカーの火災報知機にも対応することができ、汎用性が更に向上したものとなっている。
【0116】
〔第3実施形態〕
(火災報知機用動作確認補助具2b)
図5を参照して、火災報知機用動作確認補助具2の第3実施形態である火災報知機用動作確認補助具2bについて説明する。なお、火災報知機用動作確認補助具2と相違する構造及び作用効果についてのみ説明し、その他の共通する部分の説明は省略すると共に、図面において共通する部分には同番号を付している。火災報知機用動作確認補助具2bは、検出部21及び制御部22bを有する(
図5参照)。検出部21は、火災報知機用動作確認補助具2と共通するため、説明を省略する。
【0117】
(制御部22b)
制御部22bは、制御部筐体部分221、制御部取付部分222、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、音声出力機能部分226、電源部分227、使用日時判定部分229、及び、利用可否判定部230を有する(
図5参照)。なお、制御部筐体部分221、制御部取付部分222、受光信号受信機能部分223、発報開始判定機能部分224、発報継続判定機能部分225、音声出力機能部分226、及び、電源部分227は、火災報知機用動作確認補助具2と共通するため、構成及び作用効果の説明を省略する。
【0118】
使用日時判定部分229及び利用可否判定部分230は、前述した「使用日時判定部」と「利用可否判定部分」に相当するものであり、いわゆるマイコン等の集積回路や同集積回路にインストール等されたプログラムの使用により実現される構造である。
【0119】
使用日時判定部分229は、使用開始日時を取得する第1日時取得機能、使用開始後の任意の日時を取得する第2日時取得機能、及び、第1日時取得機能と第2日時取得機能の差分を演算する日付演算機能を有する。使用日時判定部分229は、GPSと組み合わせ、これにより第1日時取得機能及び第2日時取得機能を得ているが、これに限定するものではなく、例えば、電波時計と組み合わせてJJYの電波を受信するものであってもよい。
【0120】
使用日時判定部229において、第1日時取得機能は使用開始日時を取得し、第2日時取得機能は使用開始後の任意の日時を取得し、日付演算機能は第1日時取得機能と第2日時取得機能の差分を演算する。
【0121】
利用可否判定部分230は、使用日時判定部229と協働して利用可否を判定する利用可否判定機能、及び、利用可否判定機能からの信号に基づいて制御部22の作動を停止させる利用停止機能を有する。利用可否判定部分230は、火災報知機用動作確認補助具2bの利用可否を判定し、一定の時間や日時を経過した場合の利用を止めることができる。
【0122】
また、利用可否判定部分230は、音声出力機能部分226と直接接続されており、利用可否判定部分230が利用可否を判定し、判定結果の信号を音声出力機能部分226に送信する。同信号が利用可能である場合、音声出力機能部分226は、同判定結果に基づく状況を通知する音声(例えば「本機の利用が可能です」)を生成して外部へ音声で出力し、一方、同信号が利用不能である場合は、音声出力機能部分226は、同判定結果に基づく状況を通知する音声(例えば「本機の利用はできません」)を生成して外部へ音声で出力する。
【0123】
制御部22bの使用日時判定部分229及び利用可否判定部分230は、前述の作用効果を奏することにより、火災報知機用動作確認補助具2の所有者は、これをレンタル用途で貸し出した者に対しての火災報知機用動作確認補助具2の使用期間管理を行うことができ、使用期間に基づく使用料金徴収を容易に行うことができ、更にレンタル用途での不正使用を抑止することができる。
【0124】
〔変形例2〕
火災報知機用動作確認補助具2bにおいて、制御部22bは、外部キーインターフェイス部分231を更に有する態様であってもよい(
図6参照)。外部キーインターフェイス部分231は、前述した「外部キーインターフェイス部」に相当するものであって、利用可否判定部分230と接続され、記憶媒体接続部分(図示省略)と、認証機能(図示省略)及びパスワード送信機能(図示省略)を有する。
【0125】
記憶媒体接続部分は、制御部22bの起動許可パスワードを記憶させたメモリーカード(前述の記憶媒体に相当)を受け入れ可能に設けられている。認証機能は、記憶媒体接続部分に接続されたメモリーカードを読み込み、メモリーカードに記憶された起動許可パスワードの適否を認証可能に設けられている。パスワード送信機能は、認証機能に認証された起動許可パスワードを制御部22bの利用可否判定部分230に送信可能に設けられている。そして、利用可否判定部分230は、起動許可パスワードを受信して利用停止機能を解除し、制御部22bを使用可能にするパスワード処理機能を有する。
【0126】
変形例2の火災報知機用動作確認補助具2bでは、制御部22bの起動可否の制限を設けると共に、制限解除に起動許可パスワードを使用している。火災報知機用動作確認補助具2bの所有者は、これをレンタル用途で貸し出した者に対して、併せて起動許可パスワードを記憶させたメモリーカードを貸与等する。つまり、火災報知機用動作確認補助具2bを貸与された者は、その使用に際して、火災報知機用動作確認補助具2bとメモリーカードの両方が必要であり、これによりレンタル用途での不正使用を抑止効果と、火災報知機用動作確認補助具2bの利便性を更に向上させることができる。
【0127】
本変形例においては、メモリーカードを使用しているが、これに限定するものではなく、例えば、USBメモリ等の他の記憶媒体であってもよい。また、本変形例において、記憶媒体接続部分はメモリーカードスロットであるが、これに限定するものではなく、例えば、USBメモリ等の他の記憶媒体の接続部分形状に合わせて、記憶媒体接続部分の形状及び構造は適宜変更することができる。
【0128】
なお、本変形例2に関する構成は、後述する変形例3に係る火災報知機用動作確認補助具2bに適用することもでき、適用による作用効果も同様である。
【0129】
〔変形例3〕
火災報知機用動作確認補助具2bにおいて、制御部22bは、検出時間変更機能部分228を更に有する態様であってもよい(図示省略)。火災報知機用動作確認補助具2aは、検出時間変更機能部分228を付加した制御部22bを有することによって、火災表示灯の発光間隔が異なるメーカーの火災報知機にも対応することができ、汎用性が更に向上したものとなる。
【0130】
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二等の言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
【符号の説明】
【0131】
1 火災報知機用動作試験装置
2、2a、2b 火災報知機用動作確認補助具
21 検出部
211 検出機能部分
212 受光信号発信機能部分
213 検出部本体部分
214 検出部取付部分
215 接続コード
22、22a、22b 制御部
221 制御部筐体部分
222 制御部取付部分
223 受光信号受信機能部分
224 発報開始判定機能部分
225 発報継続判定機能部分
226 音声出力機能部分
227 電源部分
228 検出時間変更機能部分
229 使用日時判定部分
230 利用可否判定部分
231 外部キーインターフェイス部分
3 送信用携帯通信端末
4 受信用携帯通信端末
5 火災受信機
51 火災表示灯
52 地区表示灯
6 粘着テープ
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災受信機において火災発生時に点灯する火災表示灯に取り付けられ、前記火災表示灯の発光を検出可能な検出機能、及び、該検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する受光信号発信機能を有する検出部と、
該検出部と接続され、前記受光信号を受信可能な受光信号受信機能、前記受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定可能な発報開始判定機能、前記受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定する発報継続判定機能、前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能の判定結果を受信し、該判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力可能な音声出力機能、及び、前記発報継続判定機能に係る受光信号の検出時間を変更可能な検出時間変更機能を有する制御部と、
を備える
火災報知機用動作確認補助具。
【請求項2】
前記制御部に接続された使用日時判定部を更に備え、
該使用日時判定部が、使用開始日時を取得する第1日時取得機能、使用開始後の任意の日時を取得する第2日時取得機能、及び、前記第1日時取得機能と前記第2日時取得機能の差分を演算する日付演算機能、を有する
請求項1に記載の火災報知機用動作確認補助具。
【請求項3】
前記使用日時判定部と協働する利用可否判定部を更に備え、
該利用可否判定部が、前記使用日時判定部と協働して利用可否を判定する利用可否判定機能、及び、該利用可否判定機能からの信号に基づいて制御部の作動を停止させる利用停止機能を有する
請求項2に記載の火災報知機用動作確認補助具。
【請求項4】
前記制御部に接続された外部キーインターフェイス部を更に備え、
該外部キーインターフェイス部が、前記制御部の起動許可パスワードを記憶させた外部キーである記憶媒体を受け入れ可能な記憶媒体接続部、該記憶媒体接続部に接続された前記記憶媒体を読み込み、同記憶媒体に記憶された起動許可パスワードの適否を認証する認証機能、及び、該認証機能に認証された前記起動許可パスワードを前記制御部に送信するパスワード送信機能、を有し、
前記制御部が、起動許可パスワードを受信して前記利用停止機能を解除し同制御部を使用可能にするパスワード処理機能を有する
請求項3に記載の火災報知機用動作確認補助具。
【請求項5】
火災受信機において火災発生時に点灯する火災表示灯に取り付けられ、前記火災表示灯の発光を検出可能な検出機能、及び、該検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する受光信号発信機能を有する検出部、及び、該検出部と接続され、前記受光信号を受信可能な受光信号受信機能、前記受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定可能な発報開始判定機能、前記受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定する発報継続判定機能、前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能の判定結果を受信し、該判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力可能な音声出力機能、及び、前記発報継続判定機能に係る受光信号の検出時間を変更可能な検出時間変更機能を有する制御部、を有する火災報知機用動作確認補助具と、
音声を含む動画の撮影機能、及び、撮影した動画及び音声の送信機能を有し、前記火災報知機用動作確認補助具及びこれを取り付けた火災受信機を撮影可能に配置する携帯通信端末と、
を備える
火災報知機用動作試験装置。
【請求項6】
検出部及び該検出部と接続された制御部を有する火災報知機用動作確認補助具と、撮影機能及び撮影した動画と音声の送信機能を有する送信用携帯通信端末と、該送信用携帯通信端末で撮影し送信する動画と音声の受信機能を有する受信用携帯通信端末とを使用して行われ、
該火災報知機用動作確認補助具を火災報知機の火災受信機に配置し、該火災受信機に設けられた火災表示灯に前記検出部を取り付けると共に前記制御部を起動させ、前記送信用携帯通信端末を前記火災報知機用動作確認補助具及び前記火災受信機を撮影可能に配置する、第1ステップと、
前記火災報知機を構成する感知器又は報知機を試験用途で作動させる、第2ステップと、
前記検出部が有する検出機能によって前記感知器又は前記報知機からの信号を受けて点灯した前記火災表示灯の発光を検出し、同検出部が有する受光信号発信機能によって前記検出機能で発光を検出した際に生成される受光信号を発信する、第3ステップと、
前記制御部が有する受光信号受信機能によって前記受光信号を受信し、前記制御部が有する発報開始判定機能によって同受光信号の検出の有無に基づいて発報開始の要否を判定し、前記制御部が有する発報継続判定機能によって同受光信号の検出時間に基づいて発報継続の要否を判定し、前記制御部が有する音声出力機能によって前記発報開始判定機能及び前記発報継続判定機能から受信した判定結果に基づく状況を通知する音声を生成し外部へ出力する、第4ステップと、
前記送信用携帯通信端末の撮影機能によって前記火災報知機用動作確認補助具及び前記火災受信機を撮影すると共に、前記送信機能によって撮影した動画と音声を送信する、第5ステップと、
前記送信用携帯通信端末から送信された動画と音声を前記受信用携帯通信端末で受信し、同動画と同音声をユーザーが視聴して前記火災受信機の動作確認を行う、第6ステップと、
を備え、
前記火災報知機用動作確認補助具は、前記制御部が、前記発報継続判定機能に係る受光信号の検出時間を変更可能な検出時間変更機能を更に有する
火災報知機の動作試験方法。