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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164184
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】車両の車体下監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20231102BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20231102BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231102BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231102BHJP
   G01S 17/931 20200101ALN20231102BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W40/06
G08G1/00 J
G08G1/16 C
G01S17/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075572
(22)【出願日】2022-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5J084
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241BA60
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC46Z
3D241DC49Z
3D241DC50Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181EE11
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL17
5J084AA05
5J084AA13
5J084AB16
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA20
5J084BA48
5J084CA03
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】車両が走行する路面の状態に応じて、ドライバが所望する走行を支援する。
【解決手段】車両1の車体下監視装置10は、車両1の走行に関する情報を提供するために出力可能なユーザインタフェース装置13,34~37と、車両1の車体2の下面に設けられて車体2の下側の路面を検出可能な車体下センサ33、および、車体2の周囲の路面を検出する周辺センサ32、を含む複数の車載センサと、複数の車載センサの検出結果に基づいて車両1が走行する路面の凹凸の情報を得て、ユーザインタフェース装置13,34~37から路面の情報を出力する制御部21と、を有する。制御部21は、車両1が車体2の下側に路面の凹凸が来るように走行する可能性があると判断する場合には、周辺センサ32の検出に基づく路面の情報と、車体下センサ33の検出に基づく路面の情報とを段階的に切り替えて、ユーザインタフェース装置13,34~37から出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に関する情報を前記車両の乗員に対して提供するために出力可能なユーザインタフェース装置と、
前記車両の車体の下面に設けられて前記車両の車体の下側の路面を検出可能な車体下センサ、および、前記車両の車体の周囲の路面を検出する周辺センサ、を含む複数の車載センサと、
複数の前記車載センサの検出結果に基づいて前記車両が走行する路面の凹凸の情報を得て、前記ユーザインタフェース装置からの路面の情報の出力を制御する前記制御部と、
を有し、
前記制御部は、
複数の前記車載センサの検出結果に基づいて、前記車両が前記車体の下側に前記路面の凹凸が来るように走行する可能性があると判断する場合には、前記周辺センサの検出に基づく路面の情報と、前記車体下センサの検出に基づく路面の情報とを段階的に切り替えて、前記ユーザインタフェース装置から出力する、
車両の車体下監視装置。
【請求項2】
複数の前記車載センサは、前記車両の車体の周囲の路面を検出する周辺センサとして、
前記車体の外周面に設けられて前記車両の車体の周辺の路面を検出可能な第一周辺センサと、
前記車体の車室に設けられて前記車両の車体の周辺の路面を検出可能な第二周辺センサと、有し、
前記制御部は、
前記第二周辺センサの検出結果において、前記車両が走行する路面の凹凸が検出されない場合に、前記第一周辺センサの検出に基づく前記車体の下側の路面の情報を、前記ユーザインタフェース装置から出力し、
前記第一周辺センサの検出結果において、前記車両が走行する路面の凹凸が検出されない場合に、前記車体下センサの検出に基づく前記車体の下側の路面の情報を、前記ユーザインタフェース装置から出力する、
請求項1記載の、車両の車体下監視装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第一周辺センサにより検出されていた路面の凹凸が、前記車体下センサにより検出され始めることに基づいて、
前記ユーザインタフェース装置から出力する情報を、前記第一周辺センサの検出に基づく前記車体の下側の路面の情報から、前記車体下センサの検出に基づく前記車体の下側の路面の情報へ切り替える、
請求項2記載の、車両の車体下監視装置。
【請求項4】
前記ユーザインタフェース装置は、前記車両のドライバの前に設けられるメータパネルと、前記メータパネルの左右両側に沿って延在するように設けられる右LED列および左LED列と、を有し、
前記メータパネルは、
前記第一周辺センサの検出に基づく前記車体の下側の路面の画像と、前記車体下センサの検出に基づく前記車体の下側の路面の画像とを切り替えて表示し、
前記右LED列および前記左LED列は、
前記メータパネルが、前記車体下センサの検出に基づく前記車体の下側の路面の画像を表示する際に、前記車両のタイヤと前記路面の凹凸との残距離を表示する、
請求項1から3のいずれか一項記載の、車両の車体下監視装置。
【請求項5】
前記右LED列は、前記車両の右側のタイヤと前記路面の凹凸との残距離を表示し、
前記左LED列は、前記車両の左側のタイヤと前記路面の凹凸との残距離を表示する、
請求項4記載の、車両の車体下監視装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体下監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の一種である自動車は、道路などを走行する。しかしながら、自動車が走行する路面は、必ずしも平らではなく、凹凸があることがある。また、駐車場や道路には、縁石があるものがある。
路面に凹凸がある場合、車両は、その凹凸に進入または通過する際に、車体と路面とが干渉する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-092263号公報
【特許文献2】特開2010-091386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両には、車体の周辺を検出するために、たとえば車外カメラやLidarといった周辺センサが設けられることがある(特許文献1、2)。
このような車体の周辺を検出する周辺センサが車両に設けられている場合、車両は、周辺センサによる車体の周辺状況の検出に基づいて、車体が路面の凹凸と干渉し難くなるように制御することが可能である。たとえば周辺センサによりタイヤ止め用の縁石を検出していて、それと車体とが干渉する可能性がある場合、車両は、タイヤ止め用の縁石の手前で車両を停車させるように制御することが可能である。しかしながら、このように車体の周辺センサの検出に基づいて車両の走行を制御したとしても、その結果は、必ずしも乗員が望むものになるとは限らない。たとえば上述した状況において、運転に慣れているドライバは、車両のタイヤがタイヤ止め用の縁石に当たるように車両を停車させたいと考えていることがある。この場合、上述した制御結果の駐車状態は、乗員が望むものとは異なる。
【0005】
そこで、車両は、自ら制御することなく、単に、車体の周辺を検出する周辺センサによる車体の周辺の検出画像を、車両に設けられているユーザインタフェースなどから、ドライバへ提供することが考えられる。しかしながら、ドライバは、単に、車体の周辺を検出する周辺センサの画像が提供されたとしても、それに基づいて、路面の凹凸と自車との関係を確からしく判断することは難しい。たとえばタイヤ止め用の縁石についての画像を提供されたとしても、ドライバは、その平面的な画像に基づいて、これ以上に走行したらタイヤ止め用の縁石と車体とが当たることになるのか否かを正確に判断することは難しい。結局のところ、ドライバは、タイヤ止め用の縁石についての画像を提供されたとしても、その画像がない場合と同様に、自らの経験と勘に基づいて最終的な判断を予測的にすることになる。
【0006】
このように車両では、車両が走行する路面の状態に応じて、ドライバが所望する走行を支援することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る車両の車体下監視装置は、車両の走行に関する情報を前記車両の乗員に対して提供するために出力可能なユーザインタフェース装置と、前記車両の車体の下面に設けられて前記車両の車体の下側の路面を検出可能な車体下センサ、および、前記車両の車体の周囲の路面を検出する周辺センサ、を含む複数の車載センサと、複数の前記車載センサの検出結果に基づいて前記車両が走行する路面の凹凸の情報を得て、前記ユーザインタフェース装置からの路面の情報の出力を制御する前記制御部と、を有し、前記制御部は、複数の前記車載センサの検出結果に基づいて、前記車両が前記車体の下側に前記路面の凹凸が来るように走行する可能性があると判断する場合には、前記周辺センサの検出に基づく路面の情報と、前記車体下センサの検出に基づく路面の情報とを段階的に切り替えて、前記ユーザインタフェース装置から出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両は、その車体の下面に車体下センサが設けられる。車体下センサは、車両の車体の下側の路面を検出することができる。そして、制御部は、車体下センサの検出結果に基づいて車両が走行する路面の凹凸の情報を得て、車両が車体の下側に路面の凹凸が来るように走行する可能性がある場合には、車体下センサの検出に基づく車体の下側の路面の情報を、ユーザインタフェース装置から出力する。
これにより、ドライバは、提供された車体の下側の路面の情報に基づいて、車体の下側の路面形状を確認しながら、自らが所望する走行を車両に実行させることができる。本発明は、車両が走行する路面の状態に応じて、ドライバが所望する走行を支援することが可能となる。
しかも、本発明では、制御部は、複数の車載センサの検出結果に基づいて、車両が車体の下側に路面の凹凸が来るように走行する可能性があると判断する場合には、周辺センサの検出に基づく路面の情報と、前記車体下センサの検出に基づく路面の情報とを段階的に切り替えて、ユーザインタフェース装置から出力する。これにより、ドライバは、ユーザインタフェース装置から出力される情報の切り替わりにより、路面の凹凸が近づいてきていることを容易に把握することができる。ドライバは、提供される情報に注意を払い、提供される情報に応じた操作をし、車両を走行させるようになる。注意深いドライバの走行操作により、車体は、路面と干渉し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る自動車の車体下監視装置を適用可能な、自動車の走行状態の説明図である。
図2図2は、図1の自動車の走行状態の、縦断面による説明図である。
図3図3は、図1の自動車において自動車の車体下監視装置として機能する制御系の説明図である。
図4図4は、図1の自動車の車内での、ドライバ周りの模式的な説明図である。
図5図5は、図7および図8の駐車時の支援制御の下での、自動車の侵入前状態の説明図である。
図6図6は、図7および図8の駐車時の支援制御の下での、図5の後の自動車の駐車時進入状態の説明図である。
図7図7は、図3の制御系による、駐車時の支援制御のフローチャートである。
図8図8は、図7の駐車時進入処理の詳細な制御のフローチャートである。
図9図9は、図7および図8の駐車時の支援制御による、自動車の表示出力遷移の説明図である。
図10図10は、本発明の第二実施形態に係る自動車の車体下監視装置としての図3の制御系による、走行中の路面凹凸通過制御のフローチャートである。
図11図11は、図10の通過処理の詳細な制御のフローチャートである。
図12図12は、本発明の第三実施形態に係る自動車の車体下監視装置としての図3の制御系による、走行中の路面凹凸通過制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る自動車1の車体下監視装置を適用可能な、自動車1の走行状態の説明図である。図1の路面には、自動車1の駐車区画の一対の境界線102と、一対の境界線102の先端に沿って延長する車止め用の縁石101と、がある。ドライバは、自動車1を走行させて一対の境界線102の間に車体2を入れ、一対の境界線102の間に自動車1を駐車させる。
【0012】
図2は、図1の自動車1の走行状態の、縦断面による説明図である。車止め用の縁石101は、基本的に平面にされている路面100から上へ突出している。ドライバは、駐車区画へ進入する前に、車止め用の縁石101を直視して確認することができる。その後、ドライバは、たとえば、同図にあるように自動車1の前側の一対のタイヤ3が車止め用の縁石101に当たるまで前へ走行させたり、自動車1の後側の一対のタイヤ3が車止め用の縁石101に当たるまで後へ走行させたり、することがある。
また、ドライバは、車止め用の縁石101が路面100から高く上へ突出していて、車体2のバンパ4やエアロスポイラに当たると直視に基づいて判断した場合、自動車1の車体2が車止め用の縁石101の上に被る直前において自動車1を停止させることもある。
このように駐車場での自動車1の駐車の仕方は、ドライバの嗜好、熟練度などに応じて異なる。
【0013】
また、ドライバは、車止め用の縁石101の高さを適切に判断することができなかった場合、車体2を車止め用の縁石101に当ててしまうことがある。この場合、車体2のバンパ4やエアロスポイラは、傷つく。
この他にもたとえば、自動車1が凹凸のある路面100を走行する場合、車体2がたとえば大きく挙動した際に車体2が路面100と下打ちすることがある。この場合、車体2の下面は、傷つく。
これらの傷は、基本的に車体2の下側にあるために外観上はあまり目立たず、しかも、車体2の基本的な走行性能へ大きな影響を生じ難い。しかしながら、これらの傷は、自動車1を大切にしているドライバにとっては、特にエアロスポイラなどを装着している自動車1のドライバにあっては、気になる損傷である。
このように自動車1では、車止め用の縁石101や窪み103による路面100の凹凸において、車体2が路面100などと当たらないようにすることが求められる。
【0014】
ところで、自動車1には、車体2の周辺を検出するために、たとえば図2に示すように、車外カメラ31やLidar32といった周辺センサが設けられることがある。
【0015】
車外カメラ31は、図2に示すように、車体2においてドライバなどの乗員が乗車する車室の上部において前向きに設けられる。車外カメラ31は、たとえばステレオカメラが望ましい。ただし、車外カメラ31は、単眼カメラであっても、車体の2の360度の周囲全体を撮像するカメラであってもよい。また、車体2には、複数の車外カメラ31が設けられてもよい。複数の車外カメラ31は、互いに異なる向きに設けられることで、車体の2の360度の周囲全体を分割して撮像し得る。そして、車体2の車室などに配置される車外カメラ31は、ドライバと同様の視点から、車外を撮像できる。
【0016】
Lidar32は、たとえば車体2の外周面を構成するバンパ4に設けられる。バンパ4には、車体2の外周に沿って複数のLidar32が設けられてよい。Lidar32は、たとえば赤外線を周辺へ走査出力し、照射した赤外線の反射光を検出する。Lidar32の検出に基づいて、Lidar32の周辺の立体的な空間情報を生成することが可能である。
【0017】
これらの車体2の周辺を検出する周辺センサを有する場合、自動車1は、車体2の周辺の路面100にある車止め用の縁石101や窪み103を周辺センサの検出結果に基づいて検出することができる。自動車1の車体2の周辺情報は、たとえば後述するメータパネル35などに表示することができる。しかしながら、ドライバは、メータパネル35において縁石の像62,63や窪みの像が表示されたとしても、その表示が平面的であるため、それに基づいて車止め用の縁石101や窪み103までの残り距離などを容易に判断することが難しい。特に、運転に慣れたドライバが、車止め用の縁石101の上に車体2が被るように自動車1を駐車しようとしている場合に、その平面的な表示に基づいて、車体2が車止め用の縁石101に当たるか否かを判断することは容易でない。また、運転に慣れたドライバが、窪み103を通過しようとしている場合に、窪み103にタイヤ3が入った際に車体2が路面100に当たるか否かを判断することは容易でない。このようにメータパネル35において縁石の像62,63や窪みの像が表示されたとしても、ドライバは、自らの経験と勘に基づいて最終的な判断をするしかない。このようなドライバの判断は、自動車1から目視によりタイヤ3止め部材を認識した場合での判断と大きな違いがない。メータパネル35において平面的に見える画像は、視覚的な情報が削除されているため、たとえばミラーを通じて見る場合のように遠近感や物体のシルエットを把握しやすくはない。ドライバは、このような画像を見ただけでは、即座に状況を判断することができないことが多い。
【0018】
また、周辺センサの検出に基づいて自動車1の制御系10が、自動車1の走行を制御することも考えられる。しかしながら、このような自動運転により駐車などをした場合、その結果としての駐車の状態は、ドライバが自らの判断で駐車したものとは異なる可能性がある。ドライバが望む結果が必ずしも得られるようになるとは限らない。たとえば、自動運転が過大な干渉抑制を判断して常に縁石101の手前で駐車する制御を実行した場合、運転に慣れているドライバは、自動車1のタイヤ3がタイヤ3止め部材に当たるように駐車していないことについて不満を持つ可能性がある。自動車1は走行中においてサスペンション5が大きく沈み込むことがある。このため、自動運転で駐車する場合、制御系10は、挙動に対する安全性を考慮して、縁石101の手前で車体2を駐車するように制御する可能性が高い。
【0019】
このように自動車1では、自動車1が走行する路面100の状態に応じて、ドライバが所望する走行を支援することが求められる。
【0020】
図3は、図1の自動車1において自動車1の車体下監視装置として機能する制御系10の説明図である。
図4は、図1の自動車1の車内での、ドライバ周りの模式的な説明図である。
図3の自動車1の制御系10は、複数の制御装置が接続される車ネットワーク17、を有する。
【0021】
車ネットワーク17は、自動車1のためのたとえばCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)に準拠した有線の通信ネットワークでよい。車ネットワーク17は、LANなどの通信用ネットワーク、無線方式の通信ネットワークなどを使用したり、これらを組合せたりしたものでもよい。車ネットワーク17に接続される装置は、たとえば送信先を指定した暗号化パケットを車ネットワーク17へ出力し、自身宛ての暗号化パケットを車ネットワーク17から取得してよい。これにより、車ネットワーク17に接続される装置は、自動車1に設けられる他の装置との間で情報を送受できる。
そして、図3には、複数の制御装置として、走行制御装置11、検出制御装置12、ユーザインタフェース制御装置(UI制御装置)13、操作検出装置14、GNSS受信機15、および、車外通信装置16、が示されている。
【0022】
操作検出装置14は、自動車1に乗車しているドライバによる操作部材の操作入力を検出する。操作部材には、図4に示すように、たとえばステアリング44、シフトレバー43、クラッチペダル45、ブレーキペダル46、アクセルペダル47、がある。ドライバは、これらの操作部材を操作して、自動車1を走行させる。
【0023】
ユーザインタフェース制御装置13は、自動車1に乗車しているドライバなどの乗員とのユーザインタフェース部材を制御する。ユーザインタフェース部材には、図4に示すように、たとえばメータパネル35、センタ操作デイスプレイ42、HUDユニット34、がある。また、図4には、メータパネル35の左右両縁に沿って、右LED列36および左LED列37が設けられる。右LED列36は、一列に配置される複数のLEDを有する。左LED列37は、一列に配置される複数のLEDを有する。なお、右LED列36および左LED列37は、メータパネル35そのものの左右両縁を構成するように、メータパネル35そのものに設けられてよい。メータパネル35の表示領域の左右両縁が、右LED列36および左LED列37の替わりの表示部として構成されてもよい。これら右LED列36と左LED列37とは、単色で発光可能なものであってもよいが、発光色をたとえば赤、青などの複数色で切り替えられるものが好ましい。
ユーザインタフェース制御装置13は、ユーザインタフェース部材とともに、自動車1の走行に関する情報を自動車1の乗員に対して提供可能なユーザインタフェース装置として機能する。
【0024】
走行制御装置11は、たとえばECU21、メモリ23、タイマ22、を有する。タイマ22は、時刻や経過時間を計測する。メモリ23は、ECU21が実行するプログラムおよびプログラム実行の際に使用または生成するデータを記録する。ECU21は、メモリ23からプログラムを読み込んで実行する。これにより、ECU21は、走行制御装置11の全体動作を制御する。なお、図3に示す各制御装置は、走行制御装置11と同様にECU、メモリ、タイマ、を有してよい。
走行制御装置11のECU21は、たとえば自動車1の不図示の操舵装置、制動装置、駆動装置などを制御することにより、自動車1の走行を制御する。操舵装置には、たとえば前側のタイヤ3の向きを変えるステアリング装置がある。制動装置には、たとえば複数のタイヤ3を個別に制御する油圧式のものがある。駆動装置には、たとえばエンジンまたはモータなどの駆動力をトランスミッションおよび複数のディファレンシャル装置を通じて複数のタイヤ3へ個別に伝えるものがある。なお、操舵装置、制動装置、駆動装置は、車ネットワーク17に直接に接続されていてもよい。
そして、走行制御装置11は、操作検出装置14からドライバの操作入力を取得してドライバの運転操作に基づいて自動車1の走行を手動運転で制御しても、そのドライバの運転操作を支援するように自動車1の走行を支援制御しても、ドライバの運転操作によらずに自動車1の走行を自動運転により制御しても、よい。
【0025】
GNSS受信機15は、不図示の複数のGNSS衛星からの電波を受信し、自動車1の現在の位置および時刻を生成する。タイマ22の時刻は、GNSS受信機15の時刻により校正されてよい。
【0026】
車外通信装置16は、地上などに設置されている基地局91との間で通信路を確立し、基地局91を通じてサーバ装置92との間で情報を送受する。基地局91には、たとえばキャリアが設置した広域携帯通信網のもの、ADASなどのために設置されたもの、などがある。
【0027】
検出制御装置12には、自動車1に設けられる複数の自車センサが接続される。図3には、複数の自車センサの例として、車外カメラ31、Lidar32、車体下TOFセンサ33、が示されている。
上述するように、車外カメラ31は、ドライバと同様の視点から、自動車1の周囲を観察できる。
また、Lidar32は、車体2の側面において、ドライバの死角となる車体2の外側の周辺を検出することができる。
【0028】
図5は、図7および図8の駐車時の支援制御の下での、自動車1の侵入前状態の説明図である。
図6は、図7および図8の駐車時の支援制御の下での、図5の後の自動車1の駐車時進入状態の説明図である。
【0029】
図5および図6に示すように、車体下TOFセンサ33は、車体2の下面において、前側の複数のタイヤ3の間となる部位に設けられる。車体下TOFセンサ33は、車体2の前側のタイヤ3の各々と対応させて、左右に並べて設けられてよい。
車体下TOFセンサ33は、斜前下向きに設けられる。車体下TOFセンサ33は、車体2の下から前にかけての範囲へ所定の周波数の波を出力し、路面100などの反射波を受ける。この場合の車体下TOFセンサ33の検出範囲(Under Range)には、車体2の下側とともに、その前外側の周辺が含まれる。車体下TOFセンサ33の検出範囲の一部は、Lidar32の検出範囲(Lidar Range)と重なる。車体下TOFセンサ33は、Lidar32の死角となる車体2の下側を検出することができる。車体下TOFセンサ33または検出制御装置12は、この反射波を受けるまでの時間(TOF)に基づいて、車体2の下側の検出範囲についての三次元の空間情報を生成できる。三次元の空間情報には、検出した路面100や縁石101までの距離の情報が含まれ得る。たとえば図6のように検出範囲に縁石101の一部がある場合、その縁石101の一部を含む路面100の形状を示す三次元の空間情報を生成する。ただし、図6の状態では、車体下TOFセンサ33の検出範囲(Under Range)に縁石101の全体が含まれていないため、車体下TOFセンサ33の検出結果のみに基づいて、検出しているものが縁石101であると断定することは難しい。
【0030】
このような車体下TOFセンサ33は、自動車1の下側の路面100を検出するために自動車1の下面に設けられる車体下TOFセンサ33である。車体下TOFセンサ33は、図6に示すように車体2の下へ進入した路面100の縁石101や凹凸などを、検出することができる。
【0031】
Lidar32は、車体下TOFセンサ33より外側となる車体2の周辺を検出可能な周辺センサである。Lidar32は、図5に示すように路面100の縁石101や凹凸などの全体を、車体下TOFセンサ33が検出するより前に、検出することができる。
【0032】
車外カメラ31は、Lidar32より外側となる車体2の周辺を検出可能な周辺センサである。車外カメラ31は、図4に示すようにドライバと同様の視点により路面100の縁石101や凹凸などの全体を、Lidar32が検出するより前に、検出することができる。
【0033】
また、ユーザインタフェース制御装置13は、検出制御装置12から、車体下TOFセンサ33を含む複数の自車センサによる路面100の検出結果などに基づいて自動車1の下側の路面100形状を推定し、その推定結果の情報をユーザインタフェース部材からドライバへ出力することができる。
【0034】
また、走行制御装置11は、検出制御装置12から、車体下TOFセンサ33を含む複数の自車センサによる路面100の検出結果などに基づいて自動車1の下側の路面100形状を推定して、その推定結果の情報に応じて、自動車1の走行を制御することができる。
【0035】
このような図3の自動車1の制御系10は、自動車1の車体下監視装置として機能できる。制御系10は、たとえば、車外カメラ31により全体が撮像されている路面100の縁石101や凹凸の画像に基づいて、路面100の縁石101や凹凸の位置、大きさ、範囲を推定し、その後の自車の進行方向に基づいて、路面100の縁石101や凹凸の接近を検出できる。
また、制御系10は、車外カメラ31の検出情報を用いることにより、路面100の縁石101や凹凸の全体がLidar32の検出範囲において検出されていない状態において、Lidar32により路面100の縁石101や凹凸が検出されていることを特定できる。制御系10は、Lidar32の検出範囲について、車外カメラ31の検出に基づいて路面100の縁石101や凹凸が検出され始める部位を特定し、その特定部位の情報が変化することを検出するだけで、路面100の縁石101や凹凸がLidar32により検出され始めたことを速やかに特定することが可能である。
また、制御系10は、Lidar32の検出情報を用いることにより、路面100の縁石101や凹凸の全体が車体下TOFセンサ33の検出範囲において検出されていない状態において、車体下TOFセンサ33により路面100の縁石101や凹凸が検出されていることを特定できる。制御系10は、車体下TOFセンサ33の検出範囲について、Lidar32の検出に基づいて路面100の縁石101や凹凸が検出され始める部位を特定し、その特定部位の情報が変化することを検出するだけで、路面100の縁石101や凹凸が車体下TOFセンサ33により検出され始めたことを速やかに特定することが可能である。
制御系10は、車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33による路面100の縁石101や凹凸の検出を、車載センサごとに再検出処理を実行することなく、連続的に検出し続けることが可能である。
【0036】
図7は、図3の制御系10による、駐車時の支援制御のフローチャートである。
図8は、図7の駐車時進入処理の詳細な制御のフローチャートである。
自動車1の制御系10のたとえば走行制御装置11のECU21は、自動車1が駐車のために走行する場合に、図7および図8による支援制御を実行してよい。
なお、図7および図8による支援制御は、自動車1の制御系10の複数のECU21が協働して実行してもよい。
図7から図8の支援制御は、駐車する際に路面100の縁石101や凹凸を車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33により順番に検出して、各々の検出段階に応じて自動車1の走行制御および表示出力制御を切り替えて実行するものである。ここでは、後述する図9に示すように、たとえばメータパネル35の表示が、通常表示、フロントビュー表示、車体下表示に切り替わる。ここで、通常表示は、後述する車両下制御において表示させるフロントビュー表示および車体下表示とは異なる表示であればよい。通常表示のメータパネル35には、たとえばスピードメータ、タコメータ、水温系、自動運転状態、などが表示されてよい。
【0037】
ステップST1において、制御系10のECU21は、自動車1が走行中であるか否かを判断する。走行中の車外カメラ31の撮像画像は、走行方向を基準に変化する。自動車1には、不図示の加速度センサや速度センサが設けられる。自動車1が走行する場合、操作部材や不図示のイグニションスイッチがドライバなどにより操作される。ECU21は、これらの情報に基づいて、自動車1が走行中であるか否かを判断してよい。自動車1が走行中でない場合、ECU21は、処理をステップST12へ進める。この他にもたとえば、自動車1が走行中でない場合、ECU21は、本制御を終了してもよい。自動車1が走行中である場合、ECU21は、処理をステップST2へ進める。
【0038】
ステップST2において、ECU21は、主に車外カメラ31といった周辺センサから、走行環境情報を取得する。自動車1が駐車する場合、車外カメラ31の撮像画像には駐車場が撮像される。これに対し、自動車1が道路を走行している場合、車外カメラ31の撮像画像には走行中の車線などが撮像される。
【0039】
ステップST3において、ECU21は、ステップST2で取得した走行環境情報に基づいて、走行中の自動車1についての車体下制御が必要となる可能性がある走行環境であるか否かを判断する。車外カメラ31の画像に駐車場が撮像されている場合、ECU21は、車体下制御が必要となる可能性があると判断し、処理をステップST4へ進める。それ以外の場合、ECU21は、車体下制御が必要となる可能性がないと判断し、処理をステップST12へ進める。
【0040】
ステップST4において、車体下制御が必要となる可能性があると判断したECU21は、車外カメラ31の撮像画像を解析して、自動車1の周辺の路面100情報を取得する。駐車場の路面100には、たとえば図1に示すように一対の境界線102とともに車止め用の縁石101とがある。この場合、車外カメラ31の撮像画像には、一対の境界線102と車止め用の縁石101とが撮像される。ECU21は、車外カメラ31の撮像画像を解析して、車止め用の縁石101の情報を抽出してよい。また、ECU21は、車外カメラ31の撮像画像を解析して、駐車場の路面100の窪みなどの凹凸の情報を抽出してもよい。
【0041】
ステップST5において、ECU21は、ステップST4の処理により車止め用の縁石101が抽出されたか否かに基づいて、車止めの用の縁石101の有無を判断する。車止めの用の縁石101の情報が抽出されている場合、ECU21は、車止めの用の縁石101があると判断し、処理をステップST6へ進める。また、ECU21は、駐車場の路面100の窪みなどの凹凸の情報が抽出されている場合、ECU21は、処理をステップST6へ進めてもよい。車止めの用の縁石101の情報が抽出されていない場合、また、駐車場の路面100の窪みなどの凹凸の情報が抽出されていない場合、ECU21は、処理をステップST12へ進める。この場合、ECU21は、駐車の際の車体下制御を実行しない。
【0042】
ステップST6において、ECU21は、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、たとえばメータパネル35の表示を、通常表示からフロントビュー表示へ切り替える。これにより、メータパネル35には、駐車区画についてのたとえば車外カメラ31の撮像画像またはLidar32の三次元の検出画像が表示される。そして、このフロントビュー表示の画像には、車止めの用の縁石の像62,63が含まれる。これにより、ドライバは、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸を直視することができなくなっても、メータパネル35の表示において確認することができる。
【0043】
ステップST7において、ECU21は、走行制御装置11を通じて自動車1の挙動を安定化するための侵入前制御を実行する。ECU21は、たとえばサスペンション5を硬くしたり、動作範囲を制限したり、車速、加減速、または制動力を制限したり、してよい。ECU21は、アクセルの開度、ブレーキストローク、サスペンション5のショック部のストローク量や、単位時間当たりの作動量である微分値を監視して、制限してもよい。これにより、自動車1の走行は、急変し難くなり、車体2の上下動が抑制される。車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33の視点も安定する。
【0044】
ステップST8において、ECU21は、挙動を安定化させた自動車1のLiderなどの検出に基づいて、車体2の下へ進入していない車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の範囲や高さなどに基づいて、車体2との干渉を事前判定する。ECU21は、安定化させた自動車1の挙動を含めて、車体2との干渉を事前判定してよい。ECU21は、たとえば車体下TOFセンサ33により検出可能な車体2の前側にあるバンパ4の下端と現在の路面100との距離と、車止めの用の縁石101の高さとを比較し、車体2との干渉を事前判定してよい。車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、縁石101の高さ以下である場合、車体2のバンパ4は、縁石101と干渉する可能性が高い。この場合、自動車1は、車止めの用の縁石101が車体2のバンパ4の下へ進入する前に、走行を停止する必要がある。これに対して、車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、縁石101の高さよりある場合、車体2のバンパ4は、縁石101と干渉する可能性が低い。この場合、自動車1は、車止めの用の縁石101が車体2のバンパ4の下へ進入した後に、走行を停止することができる。
【0045】
ステップST9において、ECU21は、ステップST8による車体2との干渉の事前判定の結果に基づいて、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸が車体2の下に侵入可能であるか否かを判断する。侵入可能である場合、ECU21は、処理をステップST10へ進める。侵入可能でない場合、ECU21は、処理をステップST11へ進める。
【0046】
ステップST10において、ECU21は、走行制御装置11を通じて、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の上へ車体2を走行させる、駐車時進入制御を実行する。駐車時進入制御の詳細については、図8において説明するが、後述する図9に示すように、たとえばメータパネル35の表示は、通常表示から、フロントビュー表示または車体下表示に切り替わる。この場合、ドライバは、駐車時進入制御のために切り替わったメータパネル35の表示などを確認しながら、自動車1を車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の上まで走行させ、駐車するための運転操作を実行することができる。その後、ECU21は、処理をステップST12へ進める。
【0047】
ステップST11において、ECU21は、走行制御装置11を通じて、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の上へ車体2を走行させないようにするために、侵入前強制停止制御を実行する。ECU21は、たとえばLidar32において車止めの用の縁石101または路面100の凹凸が検出されなくなることに基づいて、自動車1の走行を停止する。これにより、自動車1の車体2は、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の手前で停止し得る。車体2は、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸と干渉しないようになる。その後、ECU21は、処理をステップST12へ進める。
【0048】
ステップST12において、ECU21は、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、たとえばメータパネル35の表示を、通常表示へ戻すように切り替える。これにより、メータパネル35の表示は、駐車支援制御のためのフロントビュー表示または車体下表示から、通常表示に切り替わる。その後、ECU21は、本制御を終了する。
【0049】
次に、図7のステップST10による駐車時進入制御について説明する。
【0050】
ステップST21において、ECU21は、ステップST6において切り替えたメータパネル35のフロントビュー表示を更新する。ECU21は、本処理実行時の最新の車外カメラ31の撮像画像またはLidar32の三次元の検出画像を取得し、メータパネル35に表示する。これにより、ドライバは、直視することができなくなっている車止めの用の縁石101または路面100の凹凸への現時点での接近具合を、メータパネル35の表示により確認できる。ドライバは、減速したり操舵を微調整したりできる。これらの操作がなされても、既にステップST7において安定化のための侵入前制御が実行されているため、車体2の挙動は抑制されて安定し得る。車体2は、安定した姿勢を維持して、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸へ接近することができる。
【0051】
ステップST22において、ECU21は、直視することができなくなっている車止めの用の縁石101または路面100の凹凸が、車体2の下への進入を開始したか否かを判断する。ECU21は、たとえばLidar32により車止めの用の縁石101または路面100の凹凸が検出されなくなったこと、に基づいて、車体2の下への進入を開始したと判断してよい。または、ECU21は、たとえば車体下TOFセンサ33により車止めの用の縁石101または路面100の凹凸が検出され始めたこと、に基づいて、車体2の下への進入を開始したと判断してよい。車体下TOFセンサ33の検出範囲は、上述したように、Lidar32の検出範囲と一部が重なっている。このため、ECU21は、車体下TOFセンサ33の検出に基づいて改めて車止めの用の縁石101または路面100の凹凸を検出することなく、本処理を即座に実行することができる。特に、Lidar32により検出されなくなったことよりも、車体下TOFセンサ33により一部が検出されたことにより進入の開始を判断することにより、車体2の下への実際の侵入が開始される直前に、進入を開始したと判断することが可能となる。
【0052】
ステップST23において、ECU21は、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、たとえばメータパネル35の表示を、フロントビュー表示から車体下表示へ切り替える。これにより、メータパネル35には、駐車区画にいる自動車1の車体2の下側および周囲の路面100が表示され得る。なお、メータパネル35には、駐車区画にいる自動車1の車体2の下側および周囲の路面100が、車体2の下面とともに表示されてもよい。車体下表示の画像には、車止めの用の縁石の像62,63または路面100の凹凸の像が含まれる。これにより、ドライバは、直視することができなくなっている車止めの用の縁石101または路面100の凹凸と、車体2との間隔を、目視により確認することができる。ドライバは、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の手前で自動車1を停止させるか、または、それらに当たるようにタイヤ3を進めて自動車1を停止させるか、について容易に判断することができる。
【0053】
ステップST24において、ECU21は、また、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、メータパネル35の左右両縁に沿って設けられる右LED列36の点灯と左LED列37の点灯とを開始する。
右LED列36は、たとえば右前側のタイヤ3と、その前にある車止めの用の縁石101または路面100の凹凸との残距離に応じて点灯してよい。残距離は、車体下TOFセンサ33により検出されている。また、右LED列36の最も上のLEDは、たとえば赤色で他のLEDとは異なる色で点灯してよい。これにより、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸までの残距離が、認識し易くなる。
左LED列37は、たとえば左前側のタイヤ3と、その前にある車止めの用の縁石101または路面100の凹凸との残距離に応じて点灯してよい。また、左LED列37の最も上のLEDは、たとえば赤色で他のLEDとは異なる色で点灯してよい。これにより、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸までの残距離が、認識し易くなる。
このように右LED列36と左LED列37とが消灯状態から点灯状態へ切り替わることにより、ドライバは、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸に近づいていることを容易に認識できる。また、ドライバに対して、メータパネル35の車体下表示の視認を促すことができる。
また、このように右LED列36と左LED列37とで、左右別々の表示をすることにより、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸に対して垂直に進んでいるか否かを判断することができる。ドライバは、それを修正して左右の残距離を揃えるように操舵することができる。
【0054】
ステップST25において、ECU21は、車体2と車止めの用の縁石101または路面100との接触を抑制するために侵入中制御を実行する。ECU21は、たとえばサスペンション5を最大に硬くしたり、動作範囲を制限したり、車速、加減速、または制動力をステップST7の場合からさらに制限したり、してよい。これにより、自動車1が制動により停止する際に、車体2は上下動し難くなる。車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33の視点もさらに安定する。
【0055】
ステップST26において、ECU21は、ステップST25により車体2を挙動しなくなるように強く制限した状態で、車体下TOFセンサ33の検出に基づいて、車体2の下へ進入し始めている車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の範囲や高さなどに基づいて、これらと車体2との干渉を最終的な判断をする。ECU21は、強く安定化させている自動車1の挙動を含めて、車体2との干渉を進入中に判断してよい。ECU21は、たとえば車体下TOFセンサ33により検出可能な車体2の前側にあるバンパ4の下端と現在の路面100との距離と、車止めの用の縁石101の高さとを比較し、車体2との干渉を最終的に判断してよい。挙動を強く安定化させた車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、縁石101の高さ以下である場合、車体2のバンパ4は、縁石101と干渉する可能性が高い。この場合、自動車1は、車止めの用の縁石101が車体2のバンパ4の下へ進入する前に、走行を停止する必要がある。これに対して、車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、縁石101の高さよりある場合、車体2のバンパ4は、縁石101と干渉する可能性が低い。この場合、自動車1は、車止めの用の縁石101が車体2のバンパ4の下へ進入した後に、走行を停止することができる。
【0056】
ステップST27において、ECU21は、ステップST26による車体2との干渉の侵入中判定の結果に基づいて、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸が車体2の下に侵入可能であるか否かを最終的に判断する。侵入可能でない場合、ECU21は、処理をステップST28へ進める。侵入可能である場合、ECU21は、ステップST28を飛ばして、処理をステップST29へ進める。
【0057】
ステップST28において、ECU21は、走行制御装置11を通じて、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸の上へ車体2を今以上に進入させないようにするために、侵入中の強制停止制御を即時的に実行する。これにより、自動車1の車体2は、車止めの用の縁石101または路面100の凹凸と干渉する前に停止し得る。その後、ECU21は、処理をステップST29へ進める。
【0058】
ステップST29において、ECU21は、自動車1の駐車が終了したか否かを判断する。ドライバは、自動車1を駐車した後、シフトレバー43をパーキング位置に操作したり、イグニションスイッチをオフ操作したりする。ECU21は、これらの操作部材の状態に基づいて、自動車1の駐車が終了したか否かを判断してよい。自動車1の駐車が終了していない場合、ECU21は、処理をステップST23へ戻す。ECU21は、自動車1の駐車が終了したと判断するまで、ステップST23からステップST29までの処理を繰り返す。これにより、メータパネル35の車体下表示と、右LED列36および左LED列37の点灯とは、処理時点のものに更新され続ける。ドライバは、これらの表示に基づいて都度必要な操作をして、所望の駐車位置まで自動車1を走行させることができる。そして、自動車1の駐車が終了したと判断すると、ECU21は、本制御を終了し、処理を図7へ戻す。
【0059】
図9は、図7および図8の駐車時の支援制御による、自動車1の表示出力遷移の説明図である。
図9には、メータパネル35、右LED列36および左LED列37、および、HUDユニット34、が示されている。
【0060】
図9の上段のメータパネル35は、通常表示となっている。通常表示のメータパネル35には、自動車1の走行速度を示すスピードメータの像60などが表示される。上述するように、図9の上段の通常表示は、路面100に凹凸などがないと判断される場合に表示されるものである。
【0061】
図9の中段のメータパネル35は、フロントビュー表示となっている。フロントビュー表示のメータパネル35には、自動車1の走行方向である前方のたとえば撮像画像が、フロントビュー画像61として表示される。フロントビュー画像61には、駐車場の路面100に設置された左右の車止めの用の縁石の像62,63が含まれる。フロントビュー画像61には、少なくとも車体2の周辺の路面100情報が含まれる。そして、フロントビュー画像61は、自動車1の走行に応じてスクロールするように変化し得る。
【0062】
図9の下段のメータパネル35は、車体下表示となっている。車体下表示のメータパネル35には、自動車1の車体2の下側の合成画像が、車体下画像66として表示される。車体下画像66には、車体2の像とともに、駐車場の路面100に設置された左右の車止めの用の縁石の像62,63が含まれる。ECU21は、自動車1に設けられる複数の車体下TOFセンサ33の三次元の空間情報に基づいて、車体下画像66を生成してよい。さらに、ECU21は、Lidar32の三次元の空間情報や、車外カメラ31の撮像画像などを組み合わせて、車体下画像66を生成してよい。車体下表示の車体下画像66には、少なくとも車体2の下側の路面100情報が含まれる。
【0063】
ECU21は、図7のステップST6の処理により、メータパネル35の表示を、通常表示からフロントビュー表示へ切り替える。その後、メータパネル35の表示を車体下表示へ切り替えるまで、フロントビュー画像61を更新し続ける。
また、ECU21は、図8のステップST23の処理により、メータパネル35の表示を、フロントビュー表示から車体下表示へ切り替える。その後、ステップST12においてメータパネル35の表示を通常表示へ戻すように切り替えるまで、車体下表示の車体下画像66を更新し続ける。
【0064】
また、ECU21は、図8のステップST24の処理により、それまで消灯状態にあった右LED列36および左LED列37を点灯させる。その後、ステップST12においてメータパネル35の表示を通常表示へ戻すように切り替えるまで、右LED列36および左LED列37の点灯状態を更新し続ける。上述するように、右LED列36と左LED列37とが、左右別々の残距離などを表示することにより、ドライバは、操舵の微調整、速度の微調整、停止のための減速タイミング、などを容易に把握することができる。また、ドライバは、複数のLEDで構成される右LED列36と左LED列37とにより、縁石101などまでの残距離が直感的に与えられることにより、メータパネル35の表示のみでは把握し難い残距離(遠近感)などを容易にかつ容易に把握できるようになる。特に、右LED列36と左LED列37とが、メータパネル35の左右両側において末広がりとなる状態で設けられていることにより、ドライバは、残距離の程度を、遠近感により直感的に把握することができる。ここで、末広がりとは、上下方向に沿って立てられている右LED列36の下端と左LED列37の下端との間隔が、それらの上端の間隔より広い状態に設けられていることをいう。メータパネル35の左右両側に右LED列36と左LED列37とを設けることにより、大まかな判断のための情報を中心視野に表示し、途中経過とゴールとを左右両側で表示して、駐車時の即時的な判断に必要となる情報をまとめてかつ分かりやすく整理して提供することができる。ドライバは、正面を向いた状態のままで、これらの情報を得て運転操作をすることができる。
【0065】
なお、ECU21は、たとえばステップST24の処理などにおいて、右LED列36と左LED列37との点灯とともに、HUDユニット34において残距離の数値や残距離に応じた警告マークなどを表示させてもよい。
また、ECU21は、右LED列36および左LED列37に、またはHUDユニット34に、車体2の下面と路面100とのクリアランスの注意喚起を表示してもよい。
また、ECU21は、右LED列36の複数のLEDと、左LED列37の複数のLEDとを、残距離になどに応じてフラッシュ点灯または連続切替点灯させてもよい。
また、ECU21は、縁石101や凹凸を通過するように自動車1が走行する場合には、右LED列36と左LED列37との点灯色を切り替えてよい。
また、ECU21は、スピーカから、残距離などに応じて音程などが変化する音を出力してもよい。表示と音により、ドライバに対してより感覚的に情報を伝えることができる。
【0066】
次に、図5および図6に基づいて、実際の走行状態の例を説明する。
【0067】
図5では、駐車場の路面100に設置された縁石101は、自動車1の車体2の前方にある。自動車1が駐車区画へ向けて走行するにつれて、縁石101は、図中に破線で示す直視可能な位置から、図中に実線で示す直視できない範囲(Invisible Range)の位置へ移動する。これにより、ECU21は、基本的に車外カメラ31の撮像画像に基づいて認識していた縁石101が、車外カメラ31の撮像画像に撮像されなくなったことに基づいて、メータパネル35の表示を、通常表示からフロントビュー表示へ切り替える。ドライバは、直視できなくなった縁石101を、メータパネル35の表示により確認することができる。この状態では、路面100の縁石101の全体は、Lidar32の検出範囲(Lidar Range)に含まれ、ECU21は、Lidar32の検出に基づいて縁石101の高さや残距離を演算することができる。ECU21は、車体2の挙動を抑制することにより、自動車1の走行が変化する場合でも、縁石101の高さや残距離を、より確からしく検出することができる。自動車1を駐車する場合、ドライバは、減速などの操作をする。
【0068】
自動車1が駐車区画へ向けて走行すると、駐車場の路面100に設置された縁石101は、図6に示すように、自動車1の車体2に近づく。自動車1の車体2に近づいた縁石101は、車体下TOFセンサ33の検出範囲に入り、その後、Lidar32の検出範囲の外になる。Lidar32の検出範囲の外になる縁石101は、少なくともその一部が車体2の下側へ進入する。
図6の状態では、ECU21は、メータパネル35の表示を、フロントビュー表示から車体下表示へ切り替える。ドライバは、車体下表示の車体下画像66に基づいて、自ら、直視できない縁石101と車体2との接触といった干渉の可能性を判断することができる。また、ECU21は、車体2の挙動を抑制することにより、縁石101の高さや残距離をより確からしく検出し、さらに、干渉の可能性をより確からしく判断することができる。車体下TOFセンサ33が車体2の下において、車体2の外縁より内側に設けられていることにより、ECU21は、縁石101の高さや残距離、干渉の可能性を、より確からしく検出して判断することができる。
【0069】
ドライバは、図6の状態において、自動車1を停止して駐車してもよい。また、ECU21が縁石101と車体2とが干渉しないとECU21が判断している場合、ドライバは、図6の状態からさらに自動車1を走行させて、タイヤ3を縁石101に当てた状態で自動車1を停止して駐車することもできる。ドライバは、駐車についての自らの嗜好と判断に基づいて、所望の位置で自動車1を駐車することができる。この場合でも、縁石101と車体2とは基本的に接触することはない。ドライバは、車体2が縁石101などの路面100と干渉しないように安全な状態で、自動車1を所望の状態に駐車させることができる。
【0070】
以上のように、本実施形態では、自動車1に設けられる複数の自車センサに、車体2の下面に設けられる車体下TOFセンサ33が含まれる。車体下TOFセンサ33は、自動車1の車体2の下側の路面100を検出することができる。そして、自動車1の制御系10による制御部は、車体下TOFセンサ33を含む複数の自車センサによる路面100の検出結果などに基づいて、自動車1が走行する路面100形状を推定して、推定した路面100形状に応じて、自動車1の走行またはユーザインタフェース装置からの情報出力を制御する。これにより、自動車1は、自動車1が走行する路面100の形状についての情報を、ユーザインタフェース装置からドライバへ提供できる。ドライバは、提供された情報に基づいて、車体2の下側の路面100形状を確認しながら、自らが所望する走行を自動車1に実行させることができる。
【0071】
しかも、本実施形態では、自動車1に設けられる複数の自車センサには、自動車1の車体2の下側の路面100を検出するために車体2の下面に設けられる車体下TOFセンサ33とともに、車体2を基準として車体下TOFセンサ33より外側となる車体2の周辺を検出可能な周辺センサ、が含まれる。そして、車体下TOFセンサ33は、車体2の下側の路面100とともに車体2の周囲の路面100を検出するように斜下向きに設けられて、その検出範囲が周辺センサと重なる。これにより、制御部は、周辺センサにより検出されている路面100の凹凸と、車体2の下面に設けられる車体下TOFセンサ33による路面100の凹凸とを対応付けることが可能になる。制御部は、自動車1の走行中において、周辺センサにより事前に路面100の凹凸が検出されていることに基づいて、車体2の下面に設けられる車体下TOFセンサ33により検出される路面100の凹凸を特定でき、車体下TOFセンサ33の検出に基づいて路面100の凹凸についての新たな検出を最初から実行することなく、周辺センサの制御に続けて、周辺センサにより事前に検出されていた路面100の凹凸に対応する車体下TOFセンサ33の検出に基づく制御を不断的に実行することが可能になる。制御部は、たとえば周辺センサにより検出されなくなった路面100の凹凸を、車体2の下面に設けられる車体下TOFセンサ33の検出結果に基づいて改めて検出することなく、周辺センサにより検出されていた路面100の凹凸が車体下TOFセンサ33により検出されているものとして、その路面100の凹凸に対応する制御を即座に且つ連続的に開始することができる。
【0072】
これにより、本実施形態では、自動車1が走行する路面100の状態についての情報を、車体2の下側の路面100の状態の情報を含めてドライバへ提供して、ドライバには所望の走行を実施し得るように支援することができる。
【0073】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
本実施形態では、上述した実施形態での駐車時の支援制御に替えて、窪みや石などによる凹凸がある路面100を走行する場合での支援制御について説明する。
以下においては、主に、上述した実施形態との相違点について説明する。上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
図10は、本発明の第二実施形態に係る自動車1の車体下監視装置としての図3の制御系10による、走行中の路面凹凸通過制御のフローチャートである。
図11は、図10の通過処理の詳細な制御のフローチャートである。
自動車1の制御系10のたとえば走行制御装置11のECU21は、自動車1が凹凸のある路面100などを走行する場合に、図10および図11による支援制御を実行してよい。
なお、図10および図11による支援制御は、自動車1の制御系10の複数のECU21が協働して実行してもよい。
図10から図11の支援制御は、路面100の縁石101や凹凸を車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33により順番に検出して、各々の検出段階に応じて自動車1の走行制御および表示出力制御を切り替えて実行するものである。ここでは、たとえばメータパネル35の表示が、通常表示、フロントビュー表示、車体下表示に切り替わる。
【0075】
ステップST31において、制御系10のECU21は、自動車1が走行中であるか否かを判断する。走行中の車外カメラ31の撮像画像は、走行方向を基準に変化する。自動車1には、不図示の加速度センサや速度センサが設けられる。自動車1が走行する場合、操作部材や不図示のイグニションスイッチがドライバなどにより操作される。ECU21は、これらの情報に基づいて、自動車1が走行中であるか否かを判断してよい。自動車1が走行中でない場合、ECU21は、処理をステップST38へ進める。この他にもたとえば、自動車1が走行中でない場合、ECU21は、本制御を終了してもよい。自動車1が走行中である場合、ECU21は、処理をステップST32へ進める。
【0076】
ステップST32において、ECU21は、主に車外カメラ31といった周辺センサから、走行環境情報を取得する。自動車1が駐車する場合、車外カメラ31の撮像画像には駐車場が撮像される。これに対し、自動車1が道路を走行している場合、車外カメラ31の撮像画像には走行中の車線などが撮像される。
【0077】
ステップST33において、ECU21は、ステップST32で取得した走行環境情報に基づいて、走行中の自動車1についての車体下制御が必要となる可能性がある走行環境であるか否かを判断する。車外カメラ31の画像にたとえば路面100の窪みや石などが撮像されている場合、ECU21は、車体下制御が必要となる可能性があると判断し、処理をステップST34へ進める。それ以外の場合、ECU21は、車体下制御が必要となる可能性がないと判断し、処理をステップST38へ進める。
【0078】
ステップST34において、車体下制御が必要となる可能性があると判断したECU21は、車外カメラ31の撮像画像を解析して、自動車1の周辺の路面100情報を取得する。自動車1が走行する悪路の路面100には、たとえば図1に示すように凹部51があったり、石や液状化により土管が突出していたりすることがある。この場合、車外カメラ31の撮像画像には、路面100の窪み、石、土管などが撮像され得る。ECU21は、車外カメラ31の撮像画像を解析して、これらの路面100に凹凸を生じさせる窪み、石、土管などの情報を抽出してよい。
【0079】
ステップST35において、ECU21は、自動車1の車外カメラ31やLiderなどの検出に基づいて、路面100の凹凸の範囲や高さなどを判断し、車体2の下面が接触することなく通過可能であるか否かについての事前判定を実行する。ECU21は、自動車1の挙動を含めて、車体2との干渉を事前判定してよい。ECU21は、たとえば車体下TOFセンサ33により検出可能な車体2の前側にあるバンパ4の下端と現在の路面100との距離と、路面100の凹凸の高さとを比較し、車体2との干渉を事前判定してよい。車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、路面100の凹凸の高さ以下である場合、車体2のバンパ4は、路面100の凹凸を通過する際に干渉する可能性が高い。この場合、自動車1は、路面100の凹凸を通過するのではなく迂回することが望まれる。これに対して、車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、路面100の凹凸の高さよりある場合、車体2のバンパ4は、路面100の凹凸を通過する際に干渉する可能性が低い。この場合、自動車1は、路面100の凹凸を通過するように走行することが可能である。
【0080】
ステップST36において、ECU21は、ステップST35による車体2との干渉の事前判定の結果に基づいて、路面100の凹凸を通過可能であるか否かを判断する。通過可能である場合、ECU21は、処理をステップST36へ進める。通過可能でない場合、ECU21は、処理をステップST37へ進める。
【0081】
ステップST36において、ECU21は、走行制御装置11を通じて、路面100の凹凸を通過する、通過制御を実行する。通過制御の詳細については、図11において説明するが、たとえばメータパネル35の表示は、通常表示から、フロントビュー表示または車体下表示に切り替わる。この場合、ドライバは、通過制御のために切り替わったメータパネル35の表示などを確認しながら、路面100の凹凸を通過するように自動車1を走行させるための運転操作を実行することができる。その後、ECU21は、処理をステップST38へ進める。
【0082】
ステップST37において、ECU21は、路面100の凹凸を通過しないようにするための迂回進路を生成する。また、ECU21は、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、生成した迂回進路を、たとえばメータパネル35に表示する。メータパネル35には、たとえば図9の車体下画像66に、生成した進路を重ねて表示する画像が表示されてよい。またECU21は、生成した進路を表示する際に、自動車1の走行を強制的に停止させてもよい。その後、ECU21は、処理をステップST38へ進める。
【0083】
ステップST38において、ECU21は、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、たとえばメータパネル35の表示を、通常表示へ戻すように切り替える。これにより、メータパネル35の表示は、路面100の凹凸を通過するための支援制御のためのフロントビュー表示または車体下表示から、通常表示に切り替わる。その後、ECU21は、本制御を終了する。
【0084】
次に、図11のステップST10による通過制御について説明する。
【0085】
ステップST41において、ECU21は、路面100の凹凸の通過を開始したか否かを判断する。ここでは、ECU21は、路面100の凹凸がたとえば車外センサの検出範囲に含まれなくなってドライバが直視できなくなったことに基づいて、路面100の凹凸の通過を開始した可能性があることを判断してよい。路面100の凹凸の通過を開始していない場合、ECU21は、本処理を繰り返す。路面100の凹凸の通過を開始すると、ECU21は、処理をステップST42へ進める。
【0086】
ステップST42において、ECU21は、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、たとえばメータパネル35の表示を、通常表示からフロントビュー表示へ切り替える。これにより、メータパネル35には、凹凸がある路面100についてのたとえば車外カメラ31の撮像画像またはLidar32の三次元の検出画像が表示される。そして、このフロントビュー表示の画像には、路面100の凹凸の像が含まれる。これにより、ドライバは、路面100の凹凸を直視することができなくなっても、メータパネル35の表示において確認することができる。
【0087】
ステップST43において、ECU21は、走行制御装置11を通じて自動車1の挙動を安定化するための通過前制御を実行する。ECU21は、たとえばサスペンション5を硬くしたり、動作範囲を制限したり、車速、加減速、または制動力を制限したり、してよい。ECU21は、アクセルの開度、ブレーキストローク、サスペンション5のショック部のストローク量や、単位時間当たりの作動量である微分値を監視して、制限してもよい。これにより、自動車1の走行は、凹凸の通過の際に急変し難くなり、車体2の上下動が抑制される。車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33の視点も安定する。
【0088】
ステップST44において、ECU21は、路面100の凹凸の通過を実際に開始したか否かを判断する。ここでは、ECU21は、路面100の凹凸がたとえば車体下TOFセンサ33により検出されるようになったことに基づいて、路面100の凹凸の通過を実際に開始したと判断してよい。路面100の凹凸の通過を実際に開始していない場合、ECU21は、処理をステップST42へ戻す。ECU21は、路面100の凹凸の通過を実際に開始したと判断するまで、ステップST42からステップST44の処理を繰り返す。この間、フロントビュー表示の画像は、更新され続ける。路面100の凹凸の通過を実際に開始したと判断すると、ECU21は、処理をステップST45へ進める。
【0089】
ステップST45において、ECU21は、路面100の凹凸を通過するための進路を生成する。また、ECU21は、自動車1の各部から、現在の車両の状態についての情報を取得する。取得する情報には、車両の挙動を示す情報などが含まれてよい。
【0090】
ステップST46において、ECU21は、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、たとえばメータパネル35の表示を、フロントビュー表示から車体下表示へ切り替える。これにより、メータパネル35には、自動車1の車体2の下側および周囲の路面100が、表示され得る。車体下表示の画像には、自動車1が通過しようとしている路面100の凹凸の像が含まれる。また、車体下表示の画像には、路面100の凹凸を通過するための進路が、たとえば矢線により表示されてよい。これにより、ドライバは、直視することができなくなっている路面100の凹凸と、それを通過するための進路とを、目視により確認することができる。ドライバは、生成されている進路のための操舵などについて、容易に判断し、操作することができる。
【0091】
ステップST47において、ECU21は、また、ユーザインタフェース制御装置13を通じてユーザインタフェース部材を制御し、メータパネル35の左右両縁に沿って設けられる右LED列36の点灯と左LED列37の点灯とを開始する。
右LED列36は、たとえば右前側のタイヤ3と、その前にある路面100の凹凸との残距離に応じて点灯してよい。残距離は、車体下TOFセンサ33により検出されている。また、右LED列36のたとえば最も上のLEDまたは最も下のLEDは、たとえば赤色で他のLEDとは異なる色で点灯してよい。これにより、路面100の凹凸までの残距離や、通過の前後の状態が、認識し易くなる。
左LED列37は、たとえば左前側のタイヤ3と、その前にある路面100の凹凸との残距離に応じて点灯してよい。残距離は、車体下TOFセンサ33により検出されている。また、左LED列37のたとえば最も上のLEDまたは最も下のLEDは、たとえば赤色で他のLEDとは異なる色で点灯してよい。これにより、路面100の凹凸までの残距離や、通過の前後の状態が、認識し易くなる。
このように右LED列36と左LED列37とが消灯状態から点灯状態へ切り替わることにより、ドライバは、路面100の凹凸に近づいていること、路面100の凹凸を通過していること、を容易に認識できる。また、ドライバに対して、メータパネル35の車体下表示の視認を促すことができる。
また、このように右LED列36と左LED列37とで、左右別々の表示をすることにより、右前のタイヤ3と、左前のタイヤ3とのいずれかが路面100の凹凸を通過しようとしているのかを容易に判断することができる。ドライバは、右LED列36と左LED列37との表示に応じて操舵することができる。
【0092】
ステップST48において、ECU21は、車体2と路面100との接触を抑制するために通過中制御を実行する。ECU21は、たとえばサスペンション5を最大に硬くしたり、動作範囲を制限したり、車速、加減速、または制動力をステップST43の場合からさらに制限したり、してよい。これにより、自動車1が路面100の凹凸を通過する際に、車体2は上下動し難くなる。車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33の視点は、自動車1が路面100の凹凸を通過する際においても安定し得る。
【0093】
ステップST49において、ECU21は、ステップST48により車体2を挙動しなくなるように強く制限した状態で、車体下TOFセンサ33の検出に基づいて、車体2の下へ進入し始めている路面100の凹凸の範囲や高さ(深さ)などに基づいて、これらと車体2との干渉を最終的な判断をする。ECU21は、強く安定化させている自動車1の挙動を含めて、車体2との干渉を通過中に判断してよい。ECU21は、たとえば車体下TOFセンサ33により検出可能な車体2の前側にあるバンパ4の下端と現在の路面100との距離と、路面100の凹凸の高さ(深さ)とを比較し、車体2との干渉を最終的に判断してよい。挙動を強く安定化させた車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、路面100の凹凸の高さ(深さ)以下である場合、車体2のバンパ4は、路面100と干渉する可能性が高い。この場合、自動車1は、路面100の凹凸が車体2のバンパ4の下へ進入する前に、走行を停止することが望まれる。これに対して、車体2のバンパ4の下端と現在の路面100との距離が、路面100の凹凸の高さ(深さ)よりある場合、車体2のバンパ4は、路面100と干渉する可能性が低い。この場合、自動車1は、路面100の凹凸を停止することなく通過することができる。
【0094】
ステップST50において、ECU21は、ステップST49による車体2との干渉の通過中判定の結果に基づいて、路面100の凹凸を通過可能であるか否かを最終的に判断する。通過可能でない場合、ECU21は、処理をステップST51へ進める。通過可能である場合、ECU21は、ステップST51を飛ばして、処理をステップST52へ進める。
【0095】
ステップST51において、ECU21は、走行制御装置11を通じて、路面100の凹凸の上をそのまま通過しないようにするために、通過中の強制停止制御を即時的に実行する。これにより、自動車1の車体2は、路面100と干渉する前に停止し得る。その後、ECU21は、処理をステップST52へ進める。
【0096】
ステップST52において、ECU21は、自動車1による路面100の凹凸の通過が終了したか否かを判断する。自動車1が路面100の凹凸を通過した状態では、車体下TOFセンサ33は、路面100の凹凸を検出しなくなる。ECU21は、この検出に基づいて、自動車1による路面100の凹凸の通過が終了したか否かを判断してよい。自動車1による路面100の凹凸の通過が終了していない場合、ECU21は、処理をステップST45へ戻す。ECU21は、自動車1による路面100の凹凸の通過が終了したと判断するまで、ステップST45からステップST52までの処理を繰り返す。これにより、メータパネル35の車体下表示と、右LED列36および左LED列37の点灯とは、処理時点のものに更新され続ける。ドライバは、これらの表示に基づいて都度必要な操作をして、路面100の凹凸を通過するように自動車1を走行させることができる。そして、自動車1による路面100の凹凸の通過が終了したと判断すると、ECU21は、本制御を終了し、処理を図10へ戻す。
【0097】
以上のように、本実施形態では、自動車1が凹凸のある路面100を走行する場合に、車体2を路面100と干渉させないように、走行させることができる。本実施形態では、車体2が路面100と干渉することがない凹凸については、その凹凸を通過するように、自動車1の走行を制御することができる。これに対し、車体2が路面100と干渉する可能性がある凹凸については、その凹凸を迂回したり、干渉を生じさせないように通過したりするように、自動車1の走行を制御することができる。
【0098】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
本実施形態では、上述した図7および図8による駐車場の路面100に凹凸がある場合の駐車時の支援制御と、図10および図11による路面100の凹凸を通過して走行する場合の支援制御とを統合的に実行する一例について説明する。
以下においては、主に、上述した実施形態との相違点について説明する。上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
図12は、本発明の第三実施形態に係る自動車1の車体下監視装置としての図3の制御系10による、走行中の路面凹凸通過制御のフローチャートである。
自動車1の制御系10のたとえば走行制御装置11のECU21は、自動車1が駐車のために走行する場合に、図12の走行中の支援制御を実行してよい。
なお、図12による支援制御は、自動車1の制御系10の複数のECU21が協働して実行してもよい。
【0100】
ステップST61において、制御系10のECU21は、自動車1が走行中であるか否かを判断する。走行中の車外カメラ31の撮像画像は、走行方向を基準に変化する。自動車1には、不図示の加速度センサや速度センサが設けられる。自動車1が走行する場合、操作部材や不図示のイグニションスイッチがドライバなどにより操作される。ECU21は、これらの情報に基づいて、自動車1が走行中であるか否かを判断してよい。自動車1が走行中でない場合、ECU21は、本制御を終了する。自動車1が走行中である場合、ECU21は、処理をステップST62へ進める。
【0101】
ステップST62において、ECU21は、主に車外カメラ31といった周辺センサから、走行環境情報を取得する。車外カメラ31の撮像画像には、たとえば自動車1が走行している場所の周辺が撮像される。
【0102】
ステップST63において、ECU21は、ステップST62で取得した走行環境情報に基づいて、走行する自動車1について車体下制御が必要となる可能性についての判断を開始する。ECU21は、まず、自動車1の走行環境が、車体下制御が必要となる駐車前の走行環境であるか否かを判断する。車外カメラ31の画像に駐車場が撮像されている場合、ECU21は、車体下制御が必要となる駐車前の走行環境であると判断して、処理をステップST64へ進める。それ以外の場合、ECU21は、車体下制御が必要となる駐車前の走行環境ではないと判断し、処理をステップST65へ進める。
【0103】
ステップST64において、ECU21は、図7および図8による駐車支援制御を実行する。ここで、ECU21は、たとえば図7のステップST4から、駐車支援制御を開始してよい。ECU21は、駐車場に縁石101などによる凹凸がある場合には、駐車する際に路面100の縁石101や凹凸を車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33により順番に検出し、各々の検出段階に応じて自動車1の走行制御および表示出力制御を切り替えて実行する。そして、たとえばメータパネル35などの表示は、図9に示すように、通常表示、フロントビュー表示、および車体下表示の間で切り替わる。ドライバは、メータパネル35などの表示により駐車区間の路面100の縁石101や凹凸を視認して、自ら車体2が干渉しないことを確認しながら、自動車1を駐車区間に停車させて駐車する操作を実行することができる。また、ECU21は、安定化させた車体2における車体下TOFセンサ33の検出に基づいて、車体2が干渉する可能性がある場合には、走行を強制的に停止できる。これにより、ドライバは、車体2が干渉しないように安全に、所望の状態で自動車1を駐車させることができる。その後、ECU21は、本制御を終了する。
【0104】
ステップST65において、ECU21は、自動車1の走行環境が、車体下制御が必要となる路面100の凹凸があるか否かを判断する。車外カメラ31の画像には、路面100が撮像されている。路面100の凹凸が車体下制御が必要となる程度のものである場合、ECU21は、それを判断して、処理をステップST66へ進める。それ以外の場合、ECU21は、車体下制御が必要となる路面100の凹凸がないものとして、本制御を終了する。
【0105】
ステップST66において、ECU21は、図10および図11による路面100の凹凸の通過支援制御を実行する。ここで、ECU21は、たとえば図10のステップST34から、路面100の凹凸の通過支援制御を開始してよい。ECU21は、路面100に凹凸がある場合には、路面100の凹凸を車外カメラ31、Lidar32、および車体下TOFセンサ33により順番に検出し、各々の検出段階に応じて自動車1の走行制御および表示出力制御を切り替えて実行する。そして、たとえばメータパネル35などの表示は、通常表示、フロントビュー表示、および車体下表示の間で切り替わる。ドライバは、メータパネル35などの表示により路面100の凹凸を視認して、自ら車体2が干渉しないことを確認しながら、路面100の凹凸を通過するように自動車1を走行させることができる。また、ECU21は、安定化させた車体2における車体下TOFセンサ33の検出に基づいて、車体2が路面100と干渉する可能性がある場合には、その直前において走行を強制的に停止できる。これにより、ドライバは、車体2が路面100と干渉しないように安全に、所望の状態で自動車1を走行させることができる。その後、ECU21は、本制御を終了する。
【0106】
以上のように、本実施形態では、複数の走行環境において、各々の走行環境に応じた適切な走行の支援制御を実行することができる。ドライバは、制御系10のECU21の支援制御により提供される車体2の下側の路面100などの情報を確認しながら、車体2を路面100などに干渉させないように、自動車1を走行させることができる。ドライバは、路面100の状況に対応して自動車1を操作して、路面100の状況に応じた所望の走行により、自動車1を走行させることができる。
【0107】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0108】
上述した実施形態での路面100の凹凸の通過支援制御は、基本的に、自動車1に設けられる複数のタイヤ3の一部である前側のタイヤ3が、路面100の凹凸を通過する場合に対応する支援制御となっている。
この他にもたとえば、自動車1には、その走行中に、それに設けられる複数のタイヤ3のすべてが、同時的に路面100の凹凸を通過することもある。たとえば、1つのタイヤ3が窪みに入りつつ、他のタイヤ3が石に乗り上げることもある。この場合、ドライバには、高度や運転技術が求められる。自動車1の複数のタイヤ3のすべてが同時的に路面100の凹凸を通過する場合、AWD方式の自動車1であっても、スタックする可能性が高まる。また、車体2の下面は、スタックした状態から抜け出す際に、路面100の凹凸と干渉し易い。
この場合、制御系10のECU21は、車体下表示やLED表示において、自動車1に設けられる各タイヤ3の空転などの状態を表示するようにしてよい。また、車体下表示やLED表示には、各タイヤ3が通過しようとしている路面100の凹凸に対応するマークなどを、重ねて表示してもよい。これにより、ドライバは、直後の走行により車体2の姿勢などがどのように変化するかについて、予測的に判断することができる。
また、上述した実施形態の車体下TOFセンサ33は、車体2の前側のタイヤ3の間において、タイヤ3ごとに対応させて左右に並べて設けられている。車体下TOFセンサ33は、さらに、車体2の後側のタイヤ3の間において、タイヤ3ごとに対応させて左右に並べて設けられてよい。これにより、制御系10のECU21は、自動車1に設けられる複数のタイヤ3のすべてについて、各々が通過する路面100の凹凸を検出して、表示および制御に使用することができる。ECU21は、たとえば自動車1の複数のタイヤ3のすべてが同時的に路面100の凹凸を通過するような場合でも、車体2を干渉させ難い回避操舵を、表示または制御することができる。
【0109】
上述した実施形態では、自動車1の車体2の下面には、車体下TOFセンサ33を設けている。自動車1の車体2の下面に設ける車体下センサは、その他のセンサ、たとえばLidar32、車外カメラ31などに用いる画像センサであってもよい。
【0110】
上述した実施形態では、特段の説明をしていないが、車体2の下面には、図5および図6に示すように、長尺方向において湾曲している翼形状のガード部材52が設けられる。翼形状のガード部材52は、走行中の自動車1のタイヤハウス6から車体2の中央側へ吹き込む気流により押されて、凹部51の外側の初期位置から凹部51の前側の位置まで移動可能である。これにより、高速走行中の自動車1において、翼形状のガード部材52は、凹部51および車体下TOFセンサ33の前側に位置し、これらを飛来物からガードすることができる。また、凹部51にカバー部材が設けられている場合、翼形状のガード部材52がその下を擦接することにより、カバー部材から付着物を取り除くことができる。
【0111】
上述した実施形態の支援制御は、自動車1に設けられるECU21により実行されている。この他にもたとえば、自動車1に設けられる車外通信装置16と通信可能なサーバ装置92が、上述した実施形態の支援制御を実行してもよい。また、自動車1に設けられるECU21と、サーバ装置92とが協働して、上述した実施形態の支援制御を実行してもよい。サーバ装置92が関与することにより、たとえば濃霧などの環境を走行している場合、車体2の一部の周辺センサが故障している場合であっても、サーバ装置92は、同様の他の自動車1から事前に取得している自動車1の現在位置の周辺の路面100の情報に基づいて、より確からしく上述した実施形態の支援制御を実行することが可能である。このようなサーバ装置92は、自動車1とともに、自動車1の走行を支援するシステムとして機能し得る。
【符号の説明】
【0112】
1…自動車(車両)、2…車体、3…タイヤ、4…バンパ、5…サスペンション、6…タイヤハウス、7…ビーム、8…リンク部材、10…制御系(車体下監視装置)、11…走行制御装置、12…検出制御装置、13…ユーザインタフェース制御装置(ユーザインタフェース装置)、14…操作検出装置、15…GNSS受信機、16…車外通信装置、17…車ネットワーク、21…ECU、22…タイマ、23…メモリ、31…車外カメラ(第二周辺センサ)、32…Lidar(第一周辺センサ)、33…車体下TOFセンサ(車体下センサ)、34…HUDユニット(ユーザインタフェース装置)、35…メータパネル(ユーザインタフェース装置)、36…右LED列(ユーザインタフェース装置)、37…左LED列(ユーザインタフェース装置)、42…センタ操作デイスプレイ(ユーザインタフェース装置)、43…シフトレバー、44…ステアリング、45…クラッチペダル、46…ブレーキペダル、47…アクセルペダル、51…凹部、52…翼形状のガード部材、66…車体下画像、91…基地局、92…サーバ装置、100…路面、101…縁石、102…境界線、103…窪み


図1
図2
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図5
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図12