(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164198
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】トリガースプレイヤ
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20231102BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B05B11/00 102G
B05B11/00 ZAB
B65D47/34 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075602
(22)【出願日】2022-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】390028196
【氏名又は名称】キャニヨン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】赤築 充昭
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084GA04
3E084GB04
3E084KB06
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トリガー部の回動のし易さを極力長い期間維持することができるトリガースプレイヤを提供すること。
【解決手段】液を流通させる流路11、該流路に形成されたシリンダ部13及び該流路の先端に位置するノズル口部12が形成された本体部1と、該本体部の両側面に設けられた支持軸部に支持されたトリガー部2と、該トリガー部に連結されたピストン部3と、該トリガー部を前方向に付勢するスプリング部4と、を備え、トリガー部の支持軸部を中心とする前後方向への回動に基づいて、ピストン部がシリンダ部の内壁に沿って摺動するものであり、トリガー部に形成された支持軸部に取り付けるための支持穴部が側面視円形状であり、支持軸部の軸方向に直交する断面が、円の少なくとも一部の弓形部分が切り欠かれた欠円形状であり、支持穴部周縁と支持軸部との間には空間が形成されているトリガースプレイヤである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けて用いられ、該容器内の液をノズル口部から噴霧するためのトリガースプレイヤにおいて、
前記液を流通させる流路、該流路に形成されたシリンダ部及び該流路の先端に位置するノズル口部が形成された本体部と、
該本体部の両側面に設けられた支持軸部に支持されたトリガー部と、
該トリガー部に連結されたピストン部と、
前記トリガー部を元の位置に復帰させるために該トリガー部を前方向に付勢するスプリング部と、
を備え、
前記トリガー部の前記支持軸部を中心とする前後方向への回動に基づいて、前記ピストン部が前記シリンダ部の内壁に沿って摺動するものであり、
前記トリガー部に形成された前記支持軸部に取り付けるための支持穴部が側面視円形状であり、
前記支持軸部の軸方向に直交する断面が、円の少なくとも一部の弓形部分が切り欠かれた欠円形状であり、
前記支持穴部周縁と前記支持軸部との間には空間が形成されているトリガースプレイヤ。
【請求項2】
前記支持軸部の軸方向に直交する断面が、円の下部の第1弓形部分と、円の後部の第2弓形部分とが切り欠かれた欠円形状である請求項1記載のトリガースプレイヤ。
【請求項3】
射出成形で製造されるものであり、
前記支持軸部の軸方向に直交する断面の外周が、前記第1弓形部分が切り欠かれたことにより形成される直線状の第1弦部と、第2弓形部分が切り欠かれたことにより形成される直線状の第2弦部と、を有し、
前記第1弦部が水平方向にあり、前記第2弦部が鉛直方向にある請求項2記載のトリガースプレイヤ。
【請求項4】
前記支持軸部の軸方向に直交する断面の外周が、前記第1弦部と、前記第2弦部と、前記第1弦部の前端及び前記第2弦部の上端を結ぶ大円弧部と、前記第1弦部の後端及び前記第2弦部の下端を結ぶ小円弧部と、からなる請求項3記載のトリガースプレイヤ。
【請求項5】
前記支持軸部の中心点と、前記大円弧部の両端を結ぶ直線のなす角度が160~220度であり、
前記支持軸部の中心点と、前記小円弧部の両端を結ぶ直線のなす角度が2~5度である請求項4記載のトリガースプレイヤ。
【請求項6】
前記シリンダ部に収納され、該シリンダ部と前記流路との間を開閉可能な第1バルブ部と、
前記流路に形成されたバルブシリンダ部に収納され、該バルブシリンダ部と前記流路との間を開閉可能な第2バルブ部と、
前記ノズル口部に取り付けられたノズルキャップ部と、
を更に備え、
前記流路において、前記バルブシリンダ部が、前記シリンダ部よりも前記ノズル口部側に形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載のトリガースプレイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガースプレイヤに関し、更に詳しくは、トリガー部の操作により、液を噴霧させる、若しくは、液の噴霧を停止させるトリガースプレイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に取り付け、当該容器に収容された液を吸い上げると共に、当該液をスプレー(噴霧)させる、いわゆるスプレイヤが知られている。
ここで、スプレイヤの中でも、手で握り、トリガー部を操作して液を噴霧させるトリガースプレイヤが知られている。
かかるトリガースプレイヤは、所望の対象物に対して、的確に指を使った簡単な操作で液を噴霧できるという点で汎用されている。
【0003】
このようなトリガ―スプレイヤとしては、例えば、トリガー部を引き込んで回動することにより、ピストン部を移動させシリンダー部内の液を圧してシリンダー部に連通するノズル部より液を噴射させるトリガー式スプレイヤーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ノズル部と該ノズル部に取付けられたノズルベース部と該ノズルベース部に取付けられたピストン部とピストン部を収納するシリンダー部と該シリンダー部と一体化したボディ部と、該ボディ部に取付けられたカバー部と、ボディ部に枢着されたトリガー部とを備え、トリガー部の回動により、ノズルベース部を介してピストン部を移動させシリンダー部内の液を圧してシリンダー部に連通するノズル部より液を噴射させるトリガー式スプレイヤーが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
これらのトリガー式スプレイヤーにおいては、トリガー部の上端付近に通孔が形成され、ボディ部の両側に側面視円柱状の支軸が突出しており、トリガー部の通孔にボディ部の支軸を嵌め込むことで、トリガー部はボディ部に枢着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-136659号公報
【特許文献2】特開2015-137128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載のトリガー式スプレイヤーを含む従来のトリガースプレイヤにおいては、トリガー部の回動のし易さが、部材の疲労や劣化に伴い変化するという欠点がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、トリガー部の回動のし易さを極力長い期間維持することができるトリガースプレイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、本体部に設けられた支持軸部を断面視欠円形状とし、トリガー部の支持穴部を側面視円形状とし、組付けられた支持穴部周縁と支持軸部との間に空間を形成することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、容器に取り付けて用いられ、該容器内の液をノズル口部から噴霧するためのトリガースプレイヤにおいて、液を流通させる流路、該流路に形成されたシリンダ部及び該流路の先端に位置するノズル口部が形成された本体部と、該本体部の両側面に設けられた支持軸部に支持されたトリガー部と、該トリガー部に連結されたピストン部と、トリガー部を元の位置に復帰させるために該トリガー部を前方向に付勢するスプリング部と、を備え、トリガー部の支持軸部を中心とする前後方向への回動に基づいて、ピストン部がシリンダ部の内壁に沿って摺動するものであり、トリガー部に形成された支持軸部に取り付けるための支持穴部が側面視円形状であり、支持軸部の軸方向に直交する断面が、円の少なくとも一部の弓形部分が切り欠かれた欠円形状であり、支持穴部周縁と支持軸部との間には空間が形成されているトリガースプレイヤである。
【0010】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、支持軸部の軸方向に直交する断面が、円の下部の第1弓形部分と、円の後部の第2弓形部分とが切り欠かれた欠円形状であることが好ましい。
【0011】
本発明のトリガースプレイヤは、射出成形で製造されるものであり、支持軸部の軸方向に直交する断面の外周が、第1弓形部分が切り欠かれたことにより形成される直線状の第1弦部と、第2弓形部分が切り欠かれたことにより形成される直線状の第2弦部と、を有し、第1弦部が水平方向にあり、第2弦部が鉛直方向にあることが好ましい。
【0012】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、支持軸部の軸方向に直交する断面の外周が、第1弦部と、第2弦部と、第1弦部の前端及び第2弦部の上端を結ぶ大円弧部と、第1弦部の後端及び第2弦部の下端を結ぶ小円弧部と、からなることが好ましい。
【0013】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、支持軸部の中心点と、大円弧部の両端を結ぶ直線のなす角度が160~220度であり、支持軸部の中心点と、小円弧部の両端を結ぶ直線のなす角度が2~5度であることが好ましい。
【0014】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、シリンダ部に収納され、該シリンダ部と流路との間を開閉可能な第1バルブ部と、流路に形成されたバルブシリンダ部に収納され、該バルブシリンダ部と流路との間を開閉可能な第2バルブ部と、ノズル口部に取り付けられたノズルキャップ部と、を更に備え、流路において、バルブシリンダ部が、シリンダ部よりもノズル口部側に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、トリガー部を、後方向に回動させることにより、これに連動して、シリンダ部に貯留された液がピストン部により押し出されて噴霧されるようになっている。
また、スプリング部により復帰運動するトリガー部を、前方向に回動させることにより、これに連動して、容器内の液が吸い上げられてシリンダ部に貯留されるようになっている。
したがって、トリガーの回動に基づいて、繰り返し、容器内の液を噴霧することが可能となっている。
【0016】
このとき、トリガー部に形成された支持穴部が側面視円形状であり、支持軸部の軸方向に直交する断面が欠円形状であり、支持穴部周縁と支持軸部との間に空間が形成されているので、支持穴部周縁と支持軸部との接触部分を小さくすることができる。
そうすると、支持穴部周縁と支持軸部とが接触して摩耗する部分、及び、劣化して回動に影響する部分が共に小さくなるので、支持穴部周縁と支持軸部との間に空間が無い場合と比較して、部材の疲労や劣化に伴いトリガーの回動性が変化することを抑制することができ、トリガー部の回動のし易さを極力長い期間維持することが可能となる。
【0017】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、支持軸部の軸方向に直交する断面を、円の下部の第1弓形部分と、円の後部の第2弓形部分とが切り欠かれた欠円形状とすることにより、トリガー部を後方向に引く際には、支持軸部に付与される前方向及び上方向への負荷を逃がすことができる。
【0018】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、支持軸部の軸方向に直交する断面の外周における第1弦部を水平方向とし、第2弦部を鉛直方向とすることにより、射出成形に用いる金型の構造をシンプルにすることができる。
また、その金型を成形後に第1弦部又は第2弦部に沿って直線的に引き抜くことが可能となるため、成形に必要な金型の総数を減らすことが可能となる。
【0019】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、支持軸部の軸方向に直交する断面の外周を大円弧部、小円弧部、第1弦部及び第2弦部からなるものとすることにより、支持穴部周縁と支持軸部との接触部分が、大円弧部及び小円弧部となるので、トリガー部の軸ブレが生じることを防止することができる。
【0020】
このとき、支持軸部の中心点と、大円弧部の両端を結ぶ直線のなす角度を160~220度とし、支持軸部の中心点と、小円弧部の両端を結ぶ直線のなす角度を2~5度とすることにより、トリガー部の回動のし易さの維持と、トリガーの回動の安定化とを十分に両立させることができる。
【0021】
本発明のトリガースプレイヤにおいては、第1バルブ部を備えることにより、容器内への液の逆流を抑止することができ、第2バルブ部を備えることにより、蓄圧された液をノズルキャップ部から噴霧することができる。
本発明のトリガースプレイヤにおいては、ノズル口部に取り付けられるノズルキャップ部を備えることにより、ノズル口部を保護することができる。また、ノズルキャップ部に、流路開閉機能や噴霧方向調整機能等を設けることにより、これらの機能をトリガースプレイヤに付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るトリガースプレイヤ示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るトリガースプレイヤの本体部とトリガー部との組み付け状態を説明するための側面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るトリガースプレイヤの支持軸部を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るトリガースプレイヤの本体部を製造するための射出成形における型開き工程を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
本発明に係るトリガースプレイヤは、容器に取り付けて用いられ、トリガー部の操作により、当該容器内の液をノズル口部から所定方向に所定量噴霧するためのものである。
ここで、容器の形状や材質は、特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
また、液は、噴霧可能であれば特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
なお、本明細書においては、液を噴霧させる方向において、下流側を「前」とし、上流側を「後」としている。
【0025】
図1は、本実施形態に係るトリガースプレイヤ示す側面断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るトリガースプレイヤ100は、液を流通させる流路11、流路11に形成されたシリンダ部13及びバルブシリンダ部14、及び、流路11の先端に位置するノズル口部12、が形成された本体部1と、本体部1の両側面に設けられた支持軸部(図示しない)に支持されたトリガー部2と、トリガー部2に連結されたピストン部3と、トリガー部2を元の位置に復帰させるためにトリガー部2を前方向に付勢するスプリング部4と、シリンダ部13に収納され、シリンダ部13と流路11との間を開閉可能な第1バルブ部5aと、バルブシリンダ部14に収納され、バルブシリンダ部14と流路11との間を開閉可能な第2バルブ部5bと、ノズル口部12に取り付けられたノズルキャップ部6と、本体部1をカバーするカバー部7とを備える。
したがって、トリガースプレイヤ100は、本体部1と、トリガー部2と、ピストン部3と、スプリング部4と、第1バルブ部5aと、第2バルブ部5bと、ノズルキャップ部6と、カバー部7とが組み付けられた構造となっている。
【0026】
なお、流路11において、バルブシリンダ部14は、シリンダ部13よりもノズル口部12側に形成されている。
また、流路11は、第1流路11a、第2流路11b、第3流路11cを有している。
すなわち、流路11は、容器からシリンダ部13までの第1流路11aと、シリンダ部13からバルブシリンダ部14までの第2流路11bと、バルブシリンダ部14からノズル口部12までの第3流路11cとを有している。
【0027】
トリガースプレイヤ100において、本体部1、トリガー部2、ピストン部3、スプリング部4、第1バルブ部5a、第2バルブ部5b、ノズルキャップ部6及びカバー部7の素材は、何れも、樹脂製であることが好ましい。この場合、金属を極力使用しないことになるため、トリガースプレイヤ100自体を軽量化することができる。具体的には、トリガースプレイヤ100の総重量を20g以下とすることが好ましい。
また、これらの素材は、樹脂の中でも、ポリオレフィンであることが好ましく、ポリエチレン又はポリプロピレンであることがより好ましい。この場合、これらの部品をリサイクルすることも可能となる。
また、トリガースプレイヤ100は、金型に樹脂を注入する射出成形により製造される。なお、射出成形については後述する。
【0028】
トリガースプレイヤ100においては、トリガー部2の支持軸部(図示しない)を中心とする前後方向への回動により、トリガー部2に枢着されたピストン部3がシリンダ部13の内壁に沿って前後に摺動するようになっている。
また、トリガー部2を後方向に回動させる操作は、使用者によって行われ、トリガー部2を前方向に回動させて復帰させる操作は、スプリング部4によって行われる。
なお、トリガー部2の支持軸部への取り付けについては後述する。
【0029】
トリガースプレイヤ100においては、トリガー部2を引いて、後方向に回動させることにより、ピストン部3がシリンダ部13内を加圧する方向に摺動する。
そうすると、シリンダ部13内の液が流出し、その圧力により、第2バルブ部5bがバルブシリンダ部14と第2流路11b及び第3流路11cとの間を開放し、液は、第3流路11cを流通する。
そして、液は、ノズル口部12からノズルキャップ部6を介して、外方に噴霧されることになる。
【0030】
一方で、液が噴霧されることで加圧状態が解消されると、液の噴霧が停止され、第2バルブ部5bがバルブシリンダ部14と第2流路11b及び第3流路11cとの間を閉鎖する。
そして、トリガー部2を、スプリング部4が前方向に復帰回動させることにより、ピストン部3がシリンダ部13内を減圧する方向に摺動する。
そうすると、容器内の液が吸い上げられて、その圧力により、第1バルブ部5aがシリンダ部13と第1流路11aとの間を開放し、シリンダ部13内の減圧状態が解消されるまで、シリンダ部13内に液が流入されることになる。
【0031】
本実施形態に係るトリガースプレイヤ100によれば、トリガー部2の回動に基づいて、繰り返し、容器内の液を噴霧することが可能となる。
また、第1バルブ部5aを備えるので、容器内への液の逆流を抑止することができる。
また、第2バルブ部5bを備えるので、蓄圧された液をノズルキャップ部6から噴霧することができる。
また、ノズルキャップ部6を備えるので、ノズル口部12を保護することができる。
また、ノズルキャップ部6に、流路開閉機能や噴霧方向調整機能等を設けることにより、これらの機能をトリガースプレイヤ100に付与することが可能となる。
【0032】
図2は、本実施形態に係るトリガースプレイヤの本体部とトリガー部との組み付け状態を説明するための側面図である。
図2に示すように、本実施形態に係るトリガースプレイヤ100においては、トリガー部2の上端部2aが正面視U字状に切り欠かれており、その切り欠き部に本体部1が配置されるようになっている。すなわち、トリガー部2の上端部2aは、切り欠き部に配置された本体部1を両側から挟むように位置している。
【0033】
そして、トリガー部2の両側の上端部2aには、それぞれ、後述の支持軸部20に取り付けるための支持穴部21が設けれられている。なお、左右の支持穴部21は、面対称の構造となっている。
かかる支持穴部21は、側面視円形状の穴となっている。
【0034】
一方、トリガースプレイヤ100においては、本体部1の両側面に、外側に突出するように、支持軸部20が設けられている。なお、左右の支持軸部20は、面対称の構造となっている。
支持軸部20は、その軸方向に直交する断面が、円の少なくとも一部の弓形部分が切り欠かれた欠円形状となっている。具体的には、支持軸部20の軸方向に直交する断面が、円の下部の第1弓形部分22aと、円の後部の第2弓形部分22bとが切り欠かれた欠円形状となっている。
【0035】
トリガースプレイヤ100においては、支持穴部21の断面の大きさと、支持軸部20の断面の大きさとが同じとなっている。このため、支持軸部20を、支持穴部21に装着することにより、トリガー部2は、本体部1に取り付けられる。
このとき、支持軸部20が断面視欠円形状となっているので、第1弓形部分22a及び第2弓形部分22bの位置で、支持軸部20と支持穴部21周縁との間に空間が形成される。このため、支持軸部20に支持穴部21を取り付け易いという利点がある。
【0036】
トリガースプレイヤ100においては、空間が形成されるため、支持軸部が従来の断面視円形状である場合(両者間に空間が無い場合)と比較して、支持穴部21周縁と支持軸部20との接触部分を小さくすることができる。これにより、支持穴部21周縁と支持軸部20とが接触して摩耗する部分、及び、劣化して回動に影響する部分が共に小さくなるので、部材の疲労や劣化に伴いトリガー部2の回動性が変化することを抑制することができ、トリガー部2の回動のし易さを極力長い期間維持することが可能となる。
【0037】
トリガースプレイヤ100においては、上述したように、噴霧時には、使用者がトリガー部2を後方向に引く場合、トリガー部2の下部は、トリガー部2を引く後方向への力P1が付与され、トリガー部2の中腹部は、スプリング部4により前方向への力P2が付与される。
そうすると、トリガー部2の下部と中腹部とで反対方向の力が働くことになるため、支持軸部20には、トリガー部2の支持穴部21周縁からトリガー部3とスプリング部4との当接部分を支点とする後方向への力P3が付与されることになる。
【0038】
このとき、トリガースプレイヤ100においては、支持軸部20の後ろ側における支持穴部21周縁との間が空間(第2弓形部分22b)となっているので、支持穴部21周縁から支持軸部20に付与される前方向への負荷を逃がすことができる。
なお、支持軸部20の下側における支持穴部21周縁との間も空間(第1弓形部分22a)となっているので、上方向への負荷も逃がすことが可能となっている。
ちなみに、トリガー部を前方向の復帰させる際には、使用者はトリガー部2を開放するため、反対方向の力は働かず、スプリング部4がトリガー部2を前方向に押す力のみが付与される。
【0039】
図3は、本実施形態に係るトリガースプレイヤの支持軸部を示す側面図である。
図3に示すように、支持軸部20は、支持軸部20の軸方向に直交する断面の外周が、大円弧部20c、小円弧部20d、第1弦部20a及び第2弦部20bからなっている。
【0040】
第1弦部20aは、第1弓形部分22aが切り欠かれたことにより形成される直線状の線であり、水平方向となっている。
また、第2弦部20bは、第2弓形部分22bが切り欠かれたことにより形成される直線状の線であり、鉛直方向となっている。
これらのことにより、射出成形をシンプルにすることができる。
【0041】
ここで、トリガースプレイヤ100の本体部1の射出成形は、公知の工程で行われる。すなわち、例えば、各金型を閉じて保持する型締工程、金型のモールに樹脂を充填する射出工程、樹脂を冷却する冷却工程、金型を開く型開き工程、本体部1を取り出す取出工程が行われる。
【0042】
図4は、本実施形態に係るトリガースプレイヤの本体部を製造するための射出成形における型開き工程を説明するための概略図である。
図4に示すように、本体部1の射出成形においては、支持軸部20を含む本体部1の上側部分を成形するための第1金型K1と、支持軸部20を含む本体部1の前側部分を成形するための第2金型K2と、本体部1の後ろ側部分を成形するための第3金型K3と、本体部1の下側部分を成形するための第4金型K4との4つの分割金型が用いられる。
【0043】
そして、型開き工程においては、支持軸部20の第2弦部20bが鉛直方向にあるので、第1金型K1を鉛直上方に取り出すことができる。
同様に、支持軸部20の第1弦部20aが水平方向にあるので、第2金型K2を水平前方に取り出すことができる。
このように、アンダーカット部が無いので、金型を成形後に第1弦部20a又は第2弦部20bに沿って直線的に引き抜くことが可能となる。このため、必要な金型の総数を極力減らすことが可能となる。
ちなみに、従来のように、支持軸部20が側面視円形であり、第1弦部20a及び第2弦部20bを有しない場合は、アンダーカット部が生じるため、更に金型が必要となり、しかも、金型の構造も複雑になる。
【0044】
図3に戻り、大円弧部20cは、第1弦部20aの前端及び第2弦部20bの上端を結ぶ曲線からなる。
また、小円弧部20dは、第1弦部20aの後端及び第2弦部20bの下端を結ぶ曲線からなる。
そして、大円弧部20c及び小円弧部20dは、同じ真円の円周上に位置しており、両者は互いに独立している。なお、その真円の中心点Cは、支持軸部20の中心に相当する。
したがって、トリガースプレイヤ100においては、支持穴部21と支持軸部20との接触部分が、大円弧部20c及び小円弧部20dに相当する位置となるので、摩耗する部分が小さくなるだけでなく、トリガー部2の軸ブレが生じることを防止することができる。
【0045】
ここで、トリガースプレイヤ100においては、支持軸部20の中心点Cと、大円弧部20cの両端を結ぶ直線のなす角度θ1は、160~220度であることが好ましい。
角度θ1が160度未満であると、角度θ1が上記範囲内にある場合と比較して、トリガー部2の回動の不安定になる場合があり、角度θ1が220度を超えると、角度θ1が上記範囲内にある場合と比較して、部材の疲労や劣化に伴いトリガー部2の回動性が変化し易くなり、トリガー部2の回動のし易さを維持し難くなる恐れがある。
【0046】
また、トリガースプレイヤ100においては、支持軸部20の中心点Cと、小円弧部20dの両端を結ぶ直線のなす角度θ2は、2~5度であることが好ましい。
角度θ2が2度未満であると、角度θ2が上記範囲内にある場合と比較して、トリガー部2の回動時に支持軸部20の小円弧部20d近傍が破損し易くなる恐れがあり、角度θ2が5度を超えると、角度θ2が上記範囲内にある場合と比較して、空間によるトリガー部2の回動のし易さが阻害される恐れがある。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0048】
本実施形態に係るトリガースプレイヤ100においては、本体部1と、トリガー部2と、ピストン部3と、スプリング部4と、第1バルブ部5aと、第2バルブ部5bと、ノズルキャップ部6と、カバー部7とが別体であり、互いに組み付けられた構造となっているが、これらの部材のうち、任意の部材同士が一体に成形されたものであってもよい。
【0049】
本実施形態に係るトリガースプレイヤ100において、支持軸部20は、その軸方向に直交する断面が、円の下部の第1弓形部分22aと、円の後部の第2弓形部分22bとの2箇所で切り欠かれた欠円形状となっているが、切り欠かれる弓形部分の個数は特に限定されない。
すなわち、1箇所であってもよく、3箇所以上であってもよい。
また、第1弓形部分22aと、第2弓形部分22bとのサイズは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0050】
本実施形態に係るトリガースプレイヤ100においては、支持軸部20の軸方向に直交する断面の外周が、大円弧部20c、小円弧部20d、第1弦部20a及び第2弦部20bからなっているが、必須ではない。
【0051】
本実施形態に係るトリガースプレイヤ100においては、第1弦部20aが水平方向となっており、第2弦部20bが鉛直方向となっているが、必須ではない。
例えば、射出成形において、金型をよりスムーズに引き抜くために、抜き勾配が設けられていてもよい。
すなわち、抜き勾配を考慮して、第1弦部20a及び第2弦部20bが僅かに傾斜していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るトリガースプレイヤは、容器に収容された液を吸い上げ、一定量の液を貯留し、それを連続して噴霧させる装置として利用できる。
本発明に係るトリガースプレイヤによれば、トリガー部の回動のし易さを極力長い期間維持することができる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・本体部
100・・・トリガースプレイヤ
11・・・流路
12・・・ノズル口部
13・・・シリンダ部
14・・・バルブシリンダ部
2・・・トリガー部
20・・・支持軸部
20a・・・第1弦部
20b・・・第2弦部
20c・・・大円弧部
20d・・・小円弧部
21・・・支持穴部
22a・・・第1弓形部分
22b・・・第2弓形部分
2a・・・上端部
3・・・ピストン部
4・・・スプリング部
5a・・・第1バルブ部
5b・・・第2バルブ部
6・・・ノズルキャップ部
7・・・カバー部
C・・・中心点
K1・・・第1金型
K2・・・第2金型
K3・・・第3金型
K4・・・第4金型