(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164202
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20231102BHJP
B65D 88/12 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
H02J1/00 303
B65D88/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075608
(22)【出願日】2022-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕
(72)【発明者】
【氏名】薮花 優棋
【テーマコード(参考)】
3E170
5G165
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170AB26
3E170AB30
3E170VA20
3E170WE01
3E170WE02
3E170WE03
3E170WE04
3E170WE05
3E170WF04
5G165DA01
5G165EA01
5G165FA01
5G165GA04
5G165HA09
5G165JA04
5G165PA05
(57)【要約】
【課題】機能ユニットを入れ替えて別の機能をもつものに簡易に組み替えられるコンテナモジュールを提供する。
【解決手段】コンテナモジュールは、輸送コンテナと、輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備え、機能ユニットは電源ユニットを含み、電源ユニットは、機能ユニットのそれぞれに電力を分ける分電盤を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送コンテナと、前記輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備えるコンテナモジュールであって、
前記機能ユニットは電源ユニットを含み、
前記電源ユニットは、前記機能ユニットのそれぞれに電力を分ける分電盤を含むコンテナモジュール。
【請求項2】
前記分電盤は、複数の分岐ブレーカを含み、
前記分岐ブレーカのうち2つ以上は同じ定格遮断容量を有し、
前記定格遮断容量は、前記機能ユニットの消費電力のうち最も大きな消費電力よりも小さい請求項1記載のコンテナモジュール。
【請求項3】
消費電力が最も大きな前記機能ユニットは、複数の前記分岐ブレーカが接続される請求項2記載のコンテナモジュール。
【請求項4】
前記分岐ブレーカは、全てが同じ定格遮断容量を有している請求項2又は3に記載のコンテナモジュール。
【請求項5】
前記分電盤と前記機能ユニットとを接続する中継コネクタが、前記電源ユニットを含む前記機能ユニットに配置されている請求項1又は2に記載のコンテナモジュール。
【請求項6】
前記機能ユニットの1つは、前記機能ユニットの2つ以上を制御する統合制御装置と、
前記機能ユニットの2つ以上につながるLANケーブルが接続される集線装置と、を含む請求項1又は2に記載のコンテナモジュール。
【請求項7】
前記電源ユニットは、前記統合制御装置および前記集線装置を含む請求項6記載のコンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送コンテナに複数の機能ユニットが収納されたコンテナモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンと発電機(複数の機能ユニット)を並べて輸送コンテナに収納したコンテナモジュールに係る先行技術は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術では、輸送コンテナに配置された機能ユニットを別のユニットと入れ替えて、発電以外の機能をもつコンテナモジュールに組み替えるのが難しい。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、機能ユニットを入れ替えて別の機能をもつものに簡易に組み替えられるコンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のコンテナモジュールは、輸送コンテナと、輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備え、機能ユニットは電源ユニットを含み、電源ユニットは、機能ユニットのそれぞれに電力を分ける分電盤を含む。
【発明の効果】
【0007】
第1の態様によれば、輸送コンテナに収納される機能ユニットは電源ユニットを含み、電源ユニットは、機能ユニットのそれぞれに電力を分ける分電盤を含む。電源ユニットにより機能ユニットにそれぞれ電力を供給できるので、機能ユニットを入れ替えて別の機能をもつものに簡易に組み替えられる。
【0008】
第2の態様によれば、第1の態様において、分電盤は複数の分岐ブレーカを含み、分岐ブレーカのうち2つ以上は同じ定格遮断容量を有する。定格遮断容量は、機能ユニットの消費電力のうち最も大きな消費電力よりも小さいので、消費電力が最も大きい機能ユニットが必要とする電力を複数の分岐ブレーカから供給できる。消費電力が最も大きな機能ユニットのための専用の分岐ブレーカ、及び、許容電流が大きな専用の電線を設けなくても済むようにできる。
【0009】
第3の態様によれば、第2の態様において、消費電力が最も大きな機能ユニットは、複数の分岐ブレーカが接続される。消費電力が最も大きい機能ユニットへ複数の分岐ブレーカから電力を供給できるので機能ユニットを稼働できる。
【0010】
第4の態様によれば、第2又は第3の態様において、分岐ブレーカは全てが同じ定格遮断容量を有している。許容電流が同じ大きな電線を分岐ブレーカに接続すれば良いので、許容電流が異なる電線を準備しなくても済むようにできる。
【0011】
第5の態様によれば、第1又は第2の態様において、分電盤と機能ユニットとを接続する中継コネクタが、電源ユニットを含む機能ユニットに配置されている。中継コネクタを使って分電盤と機能ユニットを簡易に接続できる。
【0012】
第6の態様によれば、第1又は第2の態様において、機能ユニットの1つは、機能ユニットの2つ以上を制御する統合制御装置と、機能ユニットの2つ以上につながるLANケーブルが接続される集線装置と、を含む。集線装置を使って統合制御装置と機能ユニットとを簡易に接続できると共に、統合制御装置によって複数の機能ユニットの制御指示を整合し、複数の機能ユニットを適切に制御できる。
【0013】
第7の態様によれば、第6の態様において、電源ユニットは統合制御装置および集線装置を含む。電力を分配する機能と制御指示の整合の機能とを電源ユニットに集約できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施の形態におけるコンテナモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は一実施の形態におけるコンテナモジュール10の斜視図である。コンテナモジュール10は、輸送コンテナ11と、輸送コンテナ11に収納される複数の機能ユニット17と、を備えている。本実施形態では4つの機能ユニット17が輸送コンテナ11に配置されている。
【0016】
輸送コンテナ11は貨物輸送に使用される、主に鋼材で作られた直方体の大型容器である。輸送コンテナ11に機能ユニット17が収容されているので、工場でコンテナモジュール10を組み立ててそのまま現地に搬送し、現地に据え付けることができる。よって現地での据え付けのための大規模な工事を不要にできる。また、コンテナモジュール10を積み重ねたり横に並べたりすれば設備の能力を簡易に増強できる。
【0017】
輸送コンテナ11は、平面視が矩形のベース12と、ベース12の長辺に設けられた後壁13と、ベース12の短辺に設けられた2つの側壁14と、後壁13と側壁14とをつなぐ屋根15と、後壁13に対向してベース12の長辺に設けられた観音開きの前扉16と、を備えている。前扉16の一部は図示が省略されている。通常は前扉16を閉じた状態でコンテナモジュール10を作動する。本実施形態では後壁13及び側壁14は観音開きの扉からなる。しかし、後壁13や側壁14を開閉不能な板にすることは当然可能である。
【0018】
機能ユニット17は、特定の役割を果たす装置の単位である。コンテナモジュール10は、複数の機能ユニット17の組合せにより特定の機能を達成する。複数の機能ユニット17は輸送コンテナ11の側壁14の片方からもう片方の側壁14に向かって並んでいる。機能ユニット17は、ほぼ同じ大きさの縦長の直方体である。本実施形態では、機能ユニット17は、電源ユニット18、電解ユニット19、回収ユニット20及び生成ユニット21を含む。機能ユニット17は、電源ユニット18、電解ユニット19、回収ユニット20、生成ユニット21の順に、輸送コンテナ11の横方向に一列に並んでいる。
【0019】
図2はコンテナモジュール10のブロック図である。以下、一例として、排ガス源22が発生した排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、二酸化炭素を炭素化合物として再利用し燃料を製造するコンテナモジュール10について説明する。排ガス源22は、二酸化炭素を含む排ガスを発生するものであれば、特に制限はない。排ガス源22は、発電所、工場、廃棄物処理施設、天然ガス田、油田が例示される。
【0020】
コンテナモジュール10が備える電源ユニット18(
図1参照)は各装置に電力を分配する。電解ユニット19は、水の電気分解によって水素と酸素とを製造する電解装置を含む。回収ユニット20は、排ガスの水分を除去する除去装置、排ガスに含まれる窒素酸化物を分離する分離装置、排ガスに含まれる二酸化炭素を分離して二酸化炭素を濃縮する回収装置を含む。生成ユニット21は、二酸化炭素を水素で還元して燃料を生成する生成装置を含む。燃料は可燃性生成物であり、メタン、一酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド等が例示される。
【0021】
回収ユニット20の除去装置において排ガスから水分(水蒸気)を除去する方法は、凝縮、物理吸着、化学反応が例示される。分離装置において排ガスから窒素酸化物を除去する方法は、苛性ソーダ等を使用する湿式法、脱硝触媒と還元剤とを用いて窒素酸化物と窒素に還元する乾式法が一般的である。除去装置によって排ガスの水分を除去したり分離装置によって排ガスから窒素酸化物を除去したりすると、回収装置による二酸化炭素の濃縮効率を確保できる。
【0022】
回収装置において排ガスから分離回収された二酸化炭素を含む第1の混合ガスは、生成ユニット21(生成装置)に供給される。生成装置では、例えば触媒を使って活性化エネルギーを低下させ、二酸化炭素から燃料への化学反応を進行させる。
【0023】
第1の混合ガスは、二酸化炭素以外の不純物を、第1の混合ガスの10vol%以上含んでいても良い。第1の混合ガスの不純物は少ない方が、生成装置が排出する第2の混合ガスに含まれる燃料の純度が高まるため好ましいが、第1の混合ガスから不純物を分離する装置の複雑化を招くためである。従ってコンテナモジュール10の簡素化という観点においては一定程度の不純物の混合は許容される。
【0024】
電解ユニット19(電解装置)において水を電気分解する方法は、アルカリ水電解、固体高分子電解質水電解の他、固体酸化物形電解セル(SOEC)による高温水蒸気電解が例示される。高温水蒸気電解は、アルカリ水電解や固体高分子電解質水電解に比べ、少ない電力で多くの水素が製造できるので好ましい。電解装置がSOECによる高温水蒸気電解を行うものであり、その水蒸気の生成に、生成装置で生じた化学反応熱を利用していると、コンテナモジュール10のエネルギー効率を向上できるので好ましい。
【0025】
生成装置が排出する第2の混合ガスには、燃料以外に、水素および第1の混合ガスの成分が含まれていても良いが、第2の混合ガスのうち、燃料以外のガスの量は、第2の混合ガスの量の45vol%以下が好ましい。
【0026】
コンテナモジュール10が生成した第2の混合ガスを、排ガス源22を含む敷地内の施設が利用するようにすれば、ガスの運搬に係るコストを低減できるので好ましい。コンテナモジュール10を簡易にすることにより小型化できるので、コンテナモジュール10の設置に必要なスペースを小さくできる。排ガス源22ごとにコンテナモジュール10を設置できるので、排ガス源22が排出する二酸化炭素を炭素資源として排ガス源22ごとに再利用できる。コンテナモジュール10によれば、販売の目的となる燃料を製造するのではなく、排ガス源22を含む敷地内の施設が利用できる程度の必要最低限の品質の燃料を製造しながら、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0027】
図3は輸送コンテナ11のベース12の斜視図である。
図3には破断線によって一部を取り去った床板25aが図示されている。ここでは前扉16側を前方、後壁13側を後方と称する。
【0028】
輸送コンテナ11は、後壁13と交わる前後方向に延びる台23が、横方向に所定の間隔をあけてベース12に複数設けられている。台23と台23とをつなぐ接続部24が、前後方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。格子状に設けられた台23及び接続部24は、ベース12に点在する複数の脚25に支持されている。接続部24の上に床板25aが配置される。台23は床板25aより高い位置にある。1つの機能ユニット17は1組の台23に配置される。
【0029】
台23のうち機能ユニット17が接する部分に、機能ユニット17が擦れて前後方向に回転するコロ26が複数配置されている。コロ26は台23の前後方向の全長に亘って点在している。コロ26はボール、ローラーが例示される。コロ26は、コロ26の下に配置された昇降機(図示せず)により台23に対して上下する。昇降機は空気や油などの流体が入る弾力のあるチューブが例示される。チューブはコロ26の下に台23に沿って配置されている。
【0030】
昇降機のチューブに流体を供給するとチューブが膨張してコロ26が上昇する。機能ユニット17を搬送して台23の上に置いた後、機能ユニット17を後方(第1の方向)へ向かって押すと、機能ユニット17が擦れてコロ26が回転する。よって小さな力で台23に沿って機能ユニット17を第1の方向へ移動させることができる。
【0031】
台23の後端と後壁13との間にストッパ27が介在する。ストッパ27の材料はゴムや合成樹脂が例示される。本実施形態では後壁13にストッパ27が取り付けられている。1つのストッパ27は、隣り合う2つの台23の後方に位置する。第1の方向へ移動する機能ユニット17がストッパ27の位置に達すると、ストッパ27に当たって機能ユニット17の移動が規制される。ストッパ27は機能ユニット17が当たったときの衝撃を緩衝する。1つのストッパ27が、隣り合う2つの機能ユニット17の移動を規制するので、機能ユニット17ごとにストッパが設けられる場合に比べ、ストッパの数を少なくできる。
【0032】
隣り合う台23と台23との間に支持部28が設けられている。支持部28は台23に沿って前後に延びる部材であり、脚25に支持されている。支持部28にガイド29が設けられている。ガイド29は、支持部28から上に向かって延びる複数の軸30と、軸30に設けられたローラー31と、を含む。支持部28を上から見て支持部28の前から後ろに向かって順に軸30を線で結んだ形はジグザグである。ローラー31は、コロ26より高い位置に設けられている。ガイド29は、コロ26が回転して機能ユニット17が前後に移動するときに、機能ユニット17の横方向の移動を規制する。ガイド29により、機能ユニット17の横方向の位置決めができる。
【0033】
ローラー31は、コロ26が回転して機能ユニット17が移動するときに、機能ユニット17が擦れて軸30の周りを回転する。ローラー31はガイド29と機能ユニット17との間に働く摩擦力を小さくする摩擦低減部として働くので、ガイド29に沿って機能ユニット17を前後に移動させやすくできる。
【0034】
機能ユニット17を第1の方向(後方)へ移動させた後、昇降機のチューブに詰まった流体を抜くと、チューブが収縮してコロ26が下降する。これにより機能ユニット17は台23に接し、機能ユニット17と台23との間の摩擦力によって機能ユニット17は台23に固定される。機能ユニット17を台23の上に置いた後、機能ユニット17が第2の方向(前方)へ移動しないように、台23、床板25a、支持部28の1種以上に、機能ユニット17を機械的に固定する固定具(図示せず)を取り付けても良い。
【0035】
台23に固定した機能ユニット17を輸送コンテナ11から取り出すときは、昇降機のチューブに流体を供給しチューブを膨張させてコロ26を上昇させる。機能ユニット17が擦れるとコロ26が回転するので、台23に沿って機能ユニット17を前方(第2の方向)へ移動させることができる。これにより台23の上から機能ユニット17を取り除くことができる。
【0036】
機能ユニット17が並ぶ方向(横方向)における機能ユニット17の幅W(
図1参照)は、全ての機能ユニット17において同じである。機能ユニット17を据える台23と台23との間の距離も全て同じである。機能ユニット17及び台23の横方向の寸法が規格化されているので任意の台23に任意の機能ユニット17を載せられる。従って自由に組み合わせた機能ユニット17を輸送コンテナ11内の任意の位置に配置できる。
【0037】
全ての機能ユニット17の高さT(
図1参照)は、機能ユニット17の幅Wより大きい。これにより機能ユニット17の体積は確保しつつ、複数の機能ユニット17が配置される輸送コンテナ11のベース12の横幅を低減できる。従ってコンテナモジュール10の据え付けに必要な敷地を低減できる。ベース12と台23との間に複数の電線32(
図4参照)及びLANケーブル33(
図5参照)が配置されている。
【0038】
図4はコンテナモジュール10の電源系統のブロック図である。
図4では便宜上電源ユニット18を電源ユニット18以外の機能ユニット17と異なる寸法で表しているが、上述のとおり電源ユニット18を含む機能ユニット17はそれぞれがほぼ同じ大きさの縦長の直方体である(
図5においても同じ)。
【0039】
電源ユニット18は、主幹ブレーカ34と、複数(本実施形態では5つ)の分岐ブレーカ36が配置された分電盤35と、を備えている。主幹ブレーカ34は、コンテナモジュール10内で使用される装置の電気容量に応じて電気容量が決められている。主幹ブレーカ34は電流を検出し、コンテナモジュール10内の消費電力の合計が主幹ブレーカ34の定格遮断容量を上回ると回路を遮断する。分電盤35に主幹型漏電ブレーカをさらに設けても良い。
【0040】
分岐ブレーカ36は、主幹ブレーカ34から分けられた一つひとつの分岐回路ごとに設けられている。分岐ブレーカ36にそれぞれ接続された中継コネクタ37が電源ユニット18に配置されている。電源ユニット18以外の機能ユニット17(本実施形態では電解ユニット19、回収ユニット20、生成ユニット21)は中継コネクタ37に接続される。これにより電源ユニット18は、主幹ブレーカ34に供給された電力を電源ユニット18以外の機能ユニット17に分配する。分岐ブレーカ36は電流を検出し、中継コネクタ37に接続された機能ユニット17の消費電力が分岐ブレーカ36の定格遮断容量を上回ると回路を遮断する。分電盤35に分岐型漏電ブレーカをさらに設けても良い。
【0041】
電源ユニット18以外の機能ユニット17には、ブレーカ38,40,42がそれぞれ配置されている。ブレーカ38は電解ユニット19の配線用遮断器であり、ブレーカ40は回収ユニット20の配線用遮断器であり、ブレーカ42は生成ユニット21の配線用遮断器である。ブレーカ38,40,42はそれぞれ電流を検出し、過負荷や漏電があると回路を遮断する。ブレーカ38は電解ユニット19に複数(本実施形態では3つ)配置されている。ブレーカ38にそれぞれ接続された中継コネクタ39が、電解ユニット19に配置されている。ブレーカ40,42は回収ユニット20、生成ユニット21に1つずつ配置されている。ブレーカ40,42にそれぞれ接続された中継コネクタ41,43が、回収ユニット20、生成ユニット21にそれぞれ配置されている。
【0042】
輸送コンテナ11に収納される電源ユニット18は、電源ユニット18以外の機能ユニット17のそれぞれに電力を分ける分電盤35を含む。電源ユニット18により機能ユニット17にそれぞれ電力を供給できるので、機能ユニット17を入れ替えて別の機能をもつコンテナモジュール10に簡易に組み替えられる。
【0043】
中継コネクタ37,39,41,43は、輸送コンテナ11(
図1参照)に配置された電線32に設けられたコネクタにそれぞれ接続される。コネクタは例えば床板25a(
図3参照)の上に現れている。コネクタの抜き差しによって簡易に機能ユニット17間の電気的な接続および接続解除ができる。従って機能ユニット17を輸送コンテナ11に配置してコンテナモジュール10の電気的な接続を完成するときの工数を低減できる。
【0044】
複数の分岐ブレーカ36のうち2つ以上は同じ定格遮断容量Cを有している。2つ以上の分岐ブレーカ36の定格遮断容量Cを同じにすることにより、定格遮断容量が全て異なる分岐ブレーカを分電盤35に設ける場合に比べ、分岐ブレーカ36の種類を少なくできる。さらに定格遮断容量Cが同じ分岐ブレーカ36には許容電流が同じ電線を接続できるので、分岐ブレーカ36に接続される電線の種類も少なくできる。コンテナモジュール10に用いられる分岐ブレーカ36及び電線の種類を少なくできるので、それらの準備や管理に要するコストを削減できる。
【0045】
定格遮断容量Cは、分電盤35に接続される複数の機能ユニット17の消費電力のうち最も大きな消費電力よりも小さい値に設定されている。本実施形態では、分電盤35に接続される電解ユニット19、回収ユニット20及び生成ユニット21の中では電解ユニット19の消費電力が最も大きいので、定格遮断容量Cは電解ユニット19の消費電力よりも小さい。一方、定格遮断容量Cは回収ユニット20及び生成ユニット21の消費電力よりも大きい。また、分岐ブレーカ36のうち最も大きい定格遮断容量も、電解ユニット19の消費電力より小さく、分岐ブレーカ36のうち最も小さい定格遮断容量も、回収ユニット20及び生成ユニット21の消費電力より大きい。
【0046】
分岐ブレーカ36の数は、分電盤35に接続される機能ユニット17の数(本実施形態では3つ)よりも多い。これにより1つの機能ユニット17に複数の分岐ブレーカ36を接続し、かつ、残りの機能ユニット17に分岐ブレーカ36を接続できる。その結果、消費電力が最も大きい電解ユニット19に配置されたブレーカ38に分岐ブレーカ36を複数接続することにより、電解ユニット19が必要とする電力を電解ユニット19に供給できる。さらに回収ユニット20及び生成ユニット21にも必要な電力を供給できる。従って機能ユニット17を輸送コンテナ11に配置したときの電気的な接続を簡易にできる。
【0047】
本実施形態では全ての分岐ブレーカ36は同じ定格遮断容量Cを有している。これにより分岐ブレーカ36の種類を1つにできる。さらに全ての分岐ブレーカ36に許容電流が同じ電線を接続できるので、分岐ブレーカ36に接続される電線の種類を1つにできる。コンテナモジュール10に用いられる分岐ブレーカ36及び電線の種類を1つずつにできるので、それらの準備や管理に要するコストを削減できる。
【0048】
本実施形態では全ての分岐ブレーカ36及びブレーカ38,40,42は同じ定格遮断容量Cを有している。これにより分岐ブレーカ36及びブレーカ38,40,42の種類を1つにできる。さらに全ての分岐ブレーカ36及びブレーカ38,40,42に許容電流が同じ電線を接続できるので、分岐ブレーカ36及びブレーカ38,40,42に接続される電線の種類を1つにできる。コンテナモジュール10に用いられる分岐ブレーカ36、ブレーカ38,40,42及び電線の種類を1つずつにできるので、それらの準備や管理に要するコストをさらに削減できる。
【0049】
図5はコンテナモジュール10の信号系統のブロック図である。機能ユニット17の1つは、機能ユニット17の2つ以上を制御する統合制御装置44と、インターネット等の広域通信網(WAN)を接続する機能をもつ集線装置45と、構内通信網(LAN)を接続する機能をもつ集線装置47と、を備えている。集線装置45はWANポート46を備えている。集線装置47は複数のLANポート48を備えている。統合制御装置44は、LANポート48を介して集線装置47に接続された複数の機能ユニット17を制御する。本実施形態では電源ユニット18に統合制御装置44及び集線装置45,47が配置されている。
【0050】
電源ユニット18以外の機能ユニット17には、集線装置49,51,53がそれぞれ配置されている。集線装置49,51,53は、複数の回線を接続して相互に交信可能にする装置である。集線装置49,51,53にそれぞれ接続されたLANポート50,52,54が、電解ユニット19、回収ユニット20、生成ユニット21にそれぞれ配置されている。
【0051】
LANポート48,50,52,54は、輸送コンテナ11(
図1参照)に配置されたLANケーブル33に設けられたコネクタにそれぞれ接続される。コネクタは例えば床板25a(
図3参照)の上に現れている。コネクタの抜き差しによって簡易に機能ユニット17間の伝送路の接続および接続解除ができる。従って機能ユニット17を輸送コンテナ11に配置してコンテナモジュール10の伝送路を完成するときの工数を低減できる。
【0052】
機能ユニット17の1つは、統合制御装置44と集線装置47とを含む。集線装置47を使って統合制御装置44と他の機能ユニット17とを簡易に接続できると共に、統合制御装置44によって複数の機能ユニット17の制御指示を整合し、複数の機能ユニット17を適切に制御できる。本実施形態では電源ユニット18は統合制御装置44及び集線装置47を含む。よって電力を分配する機能と制御指示の整合の機能とを電源ユニット18に集約できる。
【0053】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0054】
実施形態では、電源ユニット18以外に、電解ユニット19、回収ユニット20及び生成ユニット21からなる機能ユニット17を含むコンテナモジュール10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。コンテナモジュール10が果たす役割に応じて種々の機能ユニット17を配置し、他の役割を果たすコンテナモジュール10にすることは当然可能である。他のコンテナモジュール10としては、水を原料として水素や酸素を製造するモジュール、排ガスから二酸化炭素を精製するモジュール、二酸化炭素と水素から合成ガス、メタノール、エタノール等の中間体を製造し、中間体から軽油やガソリン等の燃料、BTX、DME、ブタジエン、化成品などを製造するモジュールが例示される。
【0055】
実施形態では、電解ユニット19、回収ユニット20及び生成ユニット21の中で電解ユニット19の消費電力が最も大きい場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。各機能ユニット17の消費電力を比較して、最も消費電力が大きい機能ユニット17に、他の機能ユニット17よりも多くのブレーカを配置すれば良い。
【0056】
実施形態では、最大4つの機能ユニット17を搭載できる台23が配置された輸送コンテナ11に、4つの機能ユニット17を搭載する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。輸送コンテナ11に搭載される機能ユニット17の数は、コンテナモジュール10の目的に応じて適宜設定される。輸送コンテナ11に5つ以上の機能ユニット17が搭載できる台23を設けても良いし、輸送コンテナ11の台23に空席があっても構わない。
【0057】
実施形態では、機能ユニット17の間に位置するガイド29にローラー31が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ローラー31が設けられたガイド29を、前後方向に延びるレールに替えることは当然可能である。この場合もレールからなるガイドによって、台23に配置された機能ユニット17の左右の位置規制ができる。
【0058】
さらに、レール(ガイド)の側面の少なくとも一部に、機能ユニット17との間の摩擦係数が小さい、滑り性に優れる材料でできた部分(摩擦低減部)を設けることは当然可能である。滑り性に優れる材料としては、フッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール樹脂が例示される。この場合も摩擦低減部によりガイドに沿って機能ユニット17を前後に移動させやすくできる。滑り性に優れる材料でレールを作っても良い。
【0059】
実施形態では、全ての機能ユニット17の高さTが同じ場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。機能ユニット17の高さTにばらつきがあっても構わない。機能ユニット17の高さTは幅Wより大きいのが好ましい。
【0060】
実施形態では、集線装置45がWANポート46を備え、広域通信網と有線接続する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。広域通信網と集線装置45とを無線で接続することは当然可能である。
【0061】
実施形態ではベース12に床板25aが配置される場合について説明したが、床板25aは除くことができる。台23に機能ユニット17が配置されると、床板25aが無くても、機能ユニット17によって台21と台21との間の隙間が塞がれるからである。
【0062】
本開示は、以下の形態としても実現することが可能である。
【0063】
[適用例1]
輸送コンテナと、前記輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備えるコンテナモジュールであって、前記機能ユニットは電源ユニットを含み、前記電源ユニットは、前記機能ユニットのそれぞれに電力を分ける分電盤を含むコンテナモジュール。
【0064】
[適用例2]
前記分電盤は、複数の分岐ブレーカを含み、前記分岐ブレーカのうち2つ以上は同じ定格遮断容量を有し、前記定格遮断容量は、前記機能ユニットの消費電力のうち最も大きな消費電力よりも小さい適用例1記載のコンテナモジュール。
【0065】
[適用例3]
消費電力が最も大きな前記機能ユニットは、複数の前記分岐ブレーカが接続される適用例2記載のコンテナモジュール。
【0066】
[適用例4]
前記分岐ブレーカは、全てが同じ定格遮断容量を有している適用例2又は3に記載のコンテナモジュール。
【0067】
[適用例5]
前記分電盤と前記機能ユニットとを接続する中継コネクタが、前記電源ユニットを含む前記機能ユニットに配置されている適用例1から4のいずれかに記載のコンテナモジュール。
【0068】
[適用例6]
前記機能ユニットの1つは、前記機能ユニットの2つ以上を制御する統合制御装置と、前記機能ユニットの2つ以上につながるLANケーブルが接続される集線装置と、を含む適用例1から5のいずれかに記載のコンテナモジュール。
【0069】
[適用例7]
前記電源ユニットは、前記統合制御装置および前記集線装置を含む適用例6記載のコンテナモジュール。
【符号の説明】
【0070】
10 コンテナモジュール
11 輸送コンテナ
17 機能ユニット
18 電源ユニット
33 LANケーブル
35 分電盤
36 分岐ブレーカ
37 中継コネクタ
44 統合制御装置
47 集線装置