(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164203
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65D88/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075609
(22)【出願日】2022-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 広樹
(72)【発明者】
【氏名】薮花 優棋
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 佳奈
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170AA22
3E170AB26
3E170BA05
3E170WE01
3E170WE02
3E170WE03
3E170WE04
3E170WE05
3E170WF04
(57)【要約】
【課題】複数の機能ユニットの冷却性能を確保できるコンテナモジュールを提供する。
【解決手段】コンテナモジュールは、輸送コンテナと、輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備え、輸送コンテナは、機能ユニットの側面同士の間隔をあけて機能ユニットが並ぶ収納空間と、収納空間の下につながる下部空間と、収納空間の上につながる上部空間と、を備え、下部空間および上部空間は、機能ユニットが並ぶ方向に延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送コンテナと、前記輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備えるコンテナモジュールであって、
前記輸送コンテナは、前記機能ユニットの側面同士の間隔をあけて前記機能ユニットが並ぶ収納空間と、
前記収納空間の下につながる下部空間と、
前記収納空間の上につながる上部空間と、を備え、
前記下部空間および前記上部空間は、前記機能ユニットが並ぶ方向に延びているコンテナモジュール。
【請求項2】
前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記下部空間の断面の大きさを調節する第1の閉止部品を備える請求項1記載のコンテナモジュール。
【請求項3】
前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記上部空間の断面の大きさを調節する第2の閉止部品を備える請求項1記載のコンテナモジュール。
【請求項4】
前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記下部空間の断面の大きさを調節する第1の閉止部品と、
前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記上部空間の断面の大きさを調節する第2の閉止部品と、を備える請求項1記載のコンテナモジュール。
【請求項5】
前記機能ユニットの内部の温度を検知する温度センサをさらに備え、
前記第1の閉止部品および前記第2の閉止部品は、前記温度センサが検知した温度に基づいて可動する請求項4記載のコンテナモジュール。
【請求項6】
前記機能ユニット同士の前記間隔と前記下部空間とがつながる部分の大きさ、および、前記機能ユニット同士の前記間隔と前記上部空間とがつながる部分の大きさは、前記第1の閉止部品および前記第2の閉止部品の可動に関わらず一定である請求項4又は5に記載のコンテナモジュール。
【請求項7】
前記下部空間および前記上部空間に空気の流れを作る通風手段をさらに備え、
前記機能ユニットのうち発熱量が最も多いものは発熱量が最も少ないものより上流側に配置される請求項1から4のいずれかに記載のコンテナモジュール。
【請求項8】
前記下部空間および前記上部空間に空気の流れを作る通風手段をさらに備え、
前記通風手段は、前記輸送コンテナに設けられた吸気口および排気口であり、
前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方は、前記下部空間または前記上部空間に面している請求項1から4のいずれかに記載のコンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送コンテナに複数の機能ユニットが収納されたコンテナモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンと発電機(複数の機能ユニット)を並べて輸送コンテナに収納したコンテナモジュールに係る先行技術は特許文献1に開示されている。先行技術では、循環水が流れるラジエーターを輸送コンテナの吸気口に配置し、吸気口へ外気を導入してラジエーターにより循環水を冷やし、ラジエーターとエンジンとの間に循環水を流してエンジンを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術はエンジンなど特定の対象を循環水で冷却するので、輸送コンテナに収納された複数の機能ユニットの全体を冷却できないという問題点がある。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、複数の機能ユニットの冷却性能を確保できるコンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のコンテナモジュールは、輸送コンテナと、輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備え、輸送コンテナは、機能ユニットの側面同士の間隔をあけて機能ユニットが並ぶ収納空間と、収納空間の下につながる下部空間と、収納空間の上につながる上部空間と、を備え、下部空間および上部空間は、機能ユニットが並ぶ方向に延びている。
【発明の効果】
【0007】
第1の態様によれば、機能ユニットの側面同士の間隔をあけて輸送コンテナの収納空間に機能ユニットが並び、収納空間の下に下部空間がつながり、収納空間の上に上部空間がつながる。下部空間および上部空間は機能ユニットが並ぶ方向に延びているので、機能ユニット間を通って下部空間および上部空間を流れる空気により、機能ユニットを冷却できる。従って機能ユニットの冷却性能を確保できる。
【0008】
第2の態様によれば、第1の態様において、第1の閉止部品は、機能ユニットが並ぶ方向に交わる下部空間の断面の大きさを調節する。第1の閉止部品によって下部空間を流れる空気の流量を調節できる。
【0009】
第3の態様によれば、第1の態様において、第2の閉止部品は、機能ユニットが並ぶ方向に交わる上部空間の断面の大きさを調節する。第2の閉止部品によって上部空間を流れる空気の流量を調節できる。
【0010】
第4の態様によれば、第1の態様において、第1の閉止部品は、機能ユニットが並ぶ方向に交わる下部空間の断面の大きさを調節する。第2の閉止部品は、機能ユニットが並ぶ方向に交わる上部空間の断面の大きさを調節する。第1の閉止部品および第2の閉止部品によって下部空間および上部空間を流れる空気の流量を調節できる。
【0011】
第5の態様によれば、第4の態様において、機能ユニットの内部の温度を温度センサが検知し、温度センサが検知した温度に基づいて第1の閉止部品および第2の閉止部品が可動する。これにより輸送コンテナの中を適切に冷却できる。
【0012】
第6の態様によれば、第4又は第5の態様において、機能ユニット同士の間隔と下部空間とがつながる部分の大きさ、および、機能ユニット同士の間隔と上部空間とがつながる部分の大きさは、第1の閉止部品および第2の閉止部品の可動に関わらず一定である。これにより上部空間と下部空間との間の空気の流通を確保できる。
【0013】
第7の態様によれば、第1から第4の態様において、通風手段により下部空間および上部空間に空気の流れができる。機能ユニットのうち発熱量が最も多いものは発熱量が最も少ないものより上流側に配置されるので、発熱量が多い機能ユニットの冷却を促進できる。
【0014】
第8の態様によれば、第1から第4の態様において、輸送コンテナに設けられた吸気口および排気口により下部空間および上部空間に空気の流れができる。吸気口および排気口の少なくとも一方は下部空間または上部空間に面しているので、下部空間または上部空間の空気の流動を活発にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施の形態におけるコンテナモジュールの斜視図である。
【
図5】コンテナモジュールの模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は一実施の形態におけるコンテナモジュール10の斜視図である。コンテナモジュール10は、輸送コンテナ11と、輸送コンテナ11に収納される複数の機能ユニット19と、を備えている。本実施形態では5つの機能ユニット19が輸送コンテナ11に配置されている。
【0017】
輸送コンテナ11は貨物輸送に使用される、主に鋼材で作られた直方体の大型容器である。輸送コンテナ11に機能ユニット19が収容されているので、工場でコンテナモジュール10を組み立ててそのまま現地に搬送し、現地に据え付けることができる。よって現地での据え付けのための大規模な工事を不要にできる。また、コンテナモジュール10を積み重ねたり横に並べたりすれば設備の能力を簡易に増強できる。
【0018】
輸送コンテナ11は、平面視が矩形のベース12と、ベース12の長辺に設けられた後壁13と、ベース12の短辺に設けられた2つの側壁14と、後壁13と側壁14とをつなぐ屋根15と、後壁13に対向してベース12の長辺に設けられた観音開きの前扉16と、を備えている。前扉16の一部は図示が省略されている。通常は前扉16を閉じた状態でコンテナモジュール10を作動する。本実施形態では後壁13及び側壁14は観音開きの扉からなる。しかし、後壁13や側壁14を開閉不能な板にすることは当然可能である。片方の側壁14には吸気口17が設けられている。もう片方の側壁14には排気口18が設けられている。排気口18は、吸気口17よりも高い位置にある。
【0019】
機能ユニット19は、特定の役割を果たす装置の単位である。コンテナモジュール10は、複数の機能ユニット19の組合せにより特定の機能を達成する。複数の機能ユニット19は輸送コンテナ11の側壁14の片方からもう片方の側壁14に向かって並んでいる。機能ユニット19は、ほぼ同じ大きさの縦長の直方体である。本実施形態では機能ユニット19は輸送コンテナ11の横方向に一列に並んでいる。
【0020】
図2はコンテナモジュール10のブロック図である。以下、一例として、排ガス源20が発生した排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、二酸化炭素を炭素化合物として再利用し燃料を製造するコンテナモジュール10について説明する。排ガス源20は、二酸化炭素を含む排ガスを発生するものであれば、特に制限はない。排ガス源20は、発電所、工場、廃棄物処理施設、天然ガス田、油田が例示される。
【0021】
コンテナモジュール10が備える機能ユニット19のいずれかは、排ガスの水分を除去する除去装置、排ガスに含まれる窒素酸化物を分離する分離装置、排ガスに含まれる二酸化炭素を分離して二酸化炭素を濃縮する回収装置、水の電気分解によって水素と酸素とを製造する電解装置、二酸化炭素を水素で還元して燃料を生成する生成装置、各装置に電力を供給する電源装置(図示せず)、気体を圧縮してその圧力を高める圧縮機(図示せず)のいずれか1以上を含む。生成装置が生成する燃料は可燃性生成物であり、メタン、一酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド等が例示される。
【0022】
除去装置において排ガスから水分(水蒸気)を除去する方法は、凝縮、物理吸着、化学反応が例示される。分離装置において排ガスから窒素酸化物を除去する方法は、苛性ソーダ等を使用する湿式法、脱硝触媒と還元剤とを用いて窒素酸化物と窒素に還元する乾式法が一般的である。除去装置によって排ガスの水分を除去したり分離装置によって排ガスから窒素酸化物を除去したりすると、回収装置による二酸化炭素の濃縮効率を確保できる。
【0023】
回収装置において排ガスから分離回収された二酸化炭素を含む第1の混合ガスは、生成装置に供給される。生成装置では、例えば触媒を使って活性化エネルギーを低下させ、二酸化炭素から燃料への化学反応を進行させる。
【0024】
第1の混合ガスは、二酸化炭素以外の不純物を、第1の混合ガスの10vol%以上含んでいても良い。第1の混合ガスの不純物は少ない方が、生成装置が排出する第2の混合ガスに含まれる燃料の純度が高まるため好ましいが、第1の混合ガスから不純物を分離する装置の複雑化を招くためである。従ってコンテナモジュール10の簡素化という観点においては一定程度の不純物の混合は許容される。
【0025】
電解装置において水を電気分解する方法は、アルカリ水電解、固体高分子電解質水電解の他、固体酸化物形電解セル(SOEC)による高温水蒸気電解が例示される。高温水蒸気電解は、アルカリ水電解や固体高分子電解質水電解に比べ、少ない電力で多くの水素が製造できるので好ましい。電解装置がSOECによる高温水蒸気電解を行うものであり、その水蒸気の生成に、生成装置で生じた化学反応熱を利用していると、コンテナモジュール10のエネルギー効率を向上できるので好ましい。
【0026】
コンテナモジュール10は、機能ユニット19のうち発熱量が最も多い機能ユニットと発熱量が最も少ない機能ユニットとが隣り合って配置されている。発熱量が最も多い機能ユニットは、電解装置を含む機能ユニットが例示される。発熱量が最も多い機能ユニットと発熱量が最も少ない機能ユニットとが隣り合うことで、2つの機能ユニットの間の熱の交換により、発熱量が最も多い機能ユニットの放熱を促進したり、発熱量が最も少ない機能ユニットが使う原料を予熱したりできる。
【0027】
生成装置が排出する第2の混合ガスには、燃料以外に、水素および第1の混合ガスの成分が含まれていても良いが、第2の混合ガスのうち、燃料以外のガスの量は、第2の混合ガスの量の45vol%以下が好ましい。
【0028】
コンテナモジュール10が生成した第2の混合ガスを、排ガス源20を含む敷地内の施設が利用するようにすれば、ガスの運搬に係るコストを低減できるので好ましい。コンテナモジュール10を簡易にすることにより小型化できるので、コンテナモジュール10の設置に必要なスペースを小さくできる。排ガス源20ごとにコンテナモジュール10を設置できるので、排ガス源20が排出する二酸化炭素を炭素資源として排ガス源20ごとに再利用できる。コンテナモジュール10によれば、販売の目的となる燃料を製造するのではなく、排ガス源20を含む敷地内の施設が利用できる程度の必要最低限の品質の燃料を製造しながら、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0029】
図3は輸送コンテナ11のベース12の斜視図である。
図3には破断線によって一部を取り去った床板25が図示されている。ここでは前扉16側を前方、後壁13側を後方と称する。
【0030】
輸送コンテナ11は、後壁13と交わる前後方向に延びる台21が、横方向に所定の間隔をあけてベース12に複数設けられている。台21と台21とをつなぐ接続部22が、前後方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。格子状に設けられた台21及び接続部22は、ベース12に点在する複数の脚23に支持されている。これにより台21とベース12との間に下部空間24が設けられる。接続部22の上に床板25が配置される。台21は床板25より高い位置にある。1つの機能ユニット19は1組の台21に配置される。
【0031】
台21の下にそれぞれ設けられた下部空間24は、機能ユニット19が並ぶ横方向へ連続している。閉じたときの前扉16(
図1参照)と台21との間に第1の仕切り25aが設けられている。第1の仕切り25aは下部空間24の前方を塞いでいる。後壁13と台21との間に、下部空間24の後方を塞ぐ第1の仕切り25bが設けられている。
【0032】
台21のうち機能ユニット19が接する部分に、機能ユニット19が擦れて前後方向に回転するコロ26が複数配置されている。コロ26は台21の前後方向の全長に亘って点在している。コロ26はボール、ローラーが例示される。コロ26は、コロ26の下に配置された昇降機(図示せず)により台21に対して上下する。昇降機は空気や油などの流体が入る弾力のあるチューブが例示される。チューブはコロ26の下に台21に沿って配置されている。
【0033】
昇降機のチューブに流体を供給するとチューブが膨張してコロ26が上昇する。機能ユニット19を搬送して台21の上に置いた後、機能ユニット19を後方(第1の方向)へ向かって押すと、機能ユニット19が擦れてコロ26が回転する。よって小さな力で台21に沿って機能ユニット19を第1の方向へ移動させることができる。
【0034】
台21の後端と後壁13との間にストッパ27が介在する。ストッパ27の材料はゴムや合成樹脂が例示される。本実施形態では後壁13にストッパ27が取り付けられている。1つのストッパ27は、隣り合う2つの台21の後方に位置する。第1の方向へ移動する機能ユニット19がストッパ27の位置に達すると、ストッパ27に当たって機能ユニット19の移動が規制される。ストッパ27は機能ユニット19が当たったときの衝撃を緩衝する。1つのストッパ27が、隣り合う2つの機能ユニット19の移動を規制するので、機能ユニット19ごとにストッパが設けられる場合に比べ、ストッパの数を少なくできる。
【0035】
隣り合う台21と台21との間に支持部28が設けられている。支持部28は台21に沿って前後に延びる部材であり、脚23に支持されている。支持部28にガイド29が設けられている。ガイド29は、支持部28から上に向かって延びる複数の軸30と、軸30に設けられたローラー31と、を含む。支持部28を上から見て支持部28の前から後ろに向かって順に軸30を線で結んだ形はジグザグである。ローラー31は、コロ26より高い位置に設けられている。ガイド29は、コロ26が回転して機能ユニット19が前後に移動するときに、機能ユニット19の横方向の移動を規制する。ガイド29により、機能ユニット19の横方向の位置決めができる。
【0036】
ローラー31は、コロ26が回転して機能ユニット19が移動するときに、機能ユニット19が擦れて軸30の周りを回転する。ローラー31はガイド29と機能ユニット19との間に働く摩擦力を小さくする摩擦低減部として働くので、ガイド29に沿って機能ユニット19を前後に移動させやすくできる。
【0037】
機能ユニット19を第1の方向(後方)へ移動させた後、昇降機のチューブに詰まった流体を抜くと、チューブが収縮してコロ26が下降する。これにより機能ユニット19は台21に接し、機能ユニット19と台21との間の摩擦力によって機能ユニット19は台21に固定される。機能ユニット19を台21の上に置いた後、機能ユニット19が第2の方向(前方)へ移動しないように、台21、床板25、支持部28の1種以上に、機能ユニット19を機械的に固定する固定具(図示せず)を取り付けても良い。
【0038】
台21に固定した機能ユニット19を輸送コンテナ11から取り出すときは、昇降機のチューブに流体を供給しチューブを膨張させてコロ26を上昇させる。機能ユニット19が擦れるとコロ26が回転するので、台21に沿って機能ユニット19を前方(第2の方向)へ移動させることができる。これにより台21の上から機能ユニット19を取り除くことができる。
【0039】
図1に戻って説明する。機能ユニット19が並ぶ方向(横方向)における機能ユニット19の幅Wは、全ての機能ユニット19において同じである。機能ユニット19を据える台21と台21との間の距離も全て同じである。寸法が規格化されているので任意の台21に任意の機能ユニット19を載せられる。従って自由に組み合わせた機能ユニット19を輸送コンテナ11に配置できる。
【0040】
全ての機能ユニット19の高さTは、機能ユニット19の幅Wより大きい。これにより機能ユニット19の体積は確保しつつ、複数の機能ユニット19が配置される輸送コンテナ11のベース12の横幅を低減できる。従ってコンテナモジュール10の据え付けに必要な敷地を低減できる。
【0041】
図4は輸送コンテナ11のベース12の一部を拡大して図示した平面図である。輸送コンテナ11は、支持部28を挟んで隣り合う台21と支持部28との間に隙間32がある。台21に機能ユニット19が配置されたときに隙間32は塞がれない。
【0042】
図3に戻って説明する。下部空間24には、横方向に延びる下部空間24の断面の大きさを調節する板状の第1の閉止部品34が設けられている。第1の閉止部品34は、モーター等によって軸35を中心に約180°回転運動する。軸35は、前後に間隔をあけて配置された2つの接続部22のうち隣り合う台21と台21との間の中点の位置に架け渡されている。第1の閉止部品34は、機能ユニット19が配置される位置ごとに設けられている。従って本実施形態では、5つの機能ユニット19に1対1で対応するように、5つの閉止部品34が輸送コンテナ11に設けられている。
【0043】
第1の閉止部品34は、モーター等が制御装置(図示せず)に制御され、横に延びる接続部22に対する角度を個々に連続的または断続的に変えることができる。第1の閉止部品34が開き、接続部22に対して第1の閉止部品34が平行な位置で停止すると、下部空間24の断面積は最大になる。第1の閉止部品34が閉じ、接続部22に対して第1の閉止部品34が垂直な位置で停止すると、下部空間24の断面積は最小になる。第1の閉止部品34は、接続部22に対して第1の閉止部品34が平行な位置で停止したときも、台21と支持部28との間の隙間32を第1の閉止部品34が塞がないような大きさに設定されている。
【0044】
図5は前扉16(
図1参照)を開いた状態におけるコンテナモジュール10の模式的な正面図である。輸送コンテナ11は、機能ユニット19の側面19a同士の間隔をあけて機能ユニット19が並ぶ収納空間36と、収納空間36の下につながる下部空間24と、収納空間36の上につながる上部空間37と、を備えている。収納空間36に機能ユニット19が配置されると、機能ユニット19の側面19aと隣に位置する機能ユニット19の側面19aとの間の隙間、及び、機能ユニット19の側面19aと側壁14との間の隙間が、収納空間36に残る。
【0045】
下部空間24は、機能ユニット19が配置される台21とベース12との間の空間である。下部空間24は収納空間36と隙間32を介してつながっている。吸気口17は、側壁14のうち台21よりも低い位置に設けられている。下部空間24に面する吸気口17には、外気を輸送コンテナ11の中に導入する送風機38が設けられている。輸送コンテナ11には、下部空間24の温度を検知する温度センサ39が配置されている。
【0046】
第1の仕切り25a,25b(
図3参照)は、台21及び接続部22の横方向に連続して設けられており、収納空間36と下部空間24とを隔てる。仕切り25a,25bは収納空間36と下部空間24との間の空気の流通を遮断する。
【0047】
上部空間37は、機能ユニット19と屋根15との間の空間であり、機能ユニット19が並ぶ横方向に延びている。排気口18は上部空間37に面している。上部空間37には、横方向に延びる上部空間37の断面の大きさを調節する板状の第2の閉止部品40が設けられている。第2の閉止部品40は、モーター等によって軸41を中心に約180°回転運動する。軸41は輸送コンテナ11に支持されている。第2の閉止部品40は、機能ユニット19が配置される位置ごとに設けられている。従って本実施形態では、5つの機能ユニット19に1対1で対応するように、5つの閉止部品40が輸送コンテナ11に設けられている。
【0048】
第2の閉止部品40は、モーター等が制御装置(図示せず)に制御され、回転角を個々に連続的または断続的に変えることができる。第2の閉止部品40が開き、第2の閉止部品40が横に倒れた位置で停止すると、上部空間37の断面積は最大になる。第2の閉止部品40が閉じ、第2の閉止部品40が直立した位置で停止すると、上部空間37の断面積は最小になる。第2の閉止部品40は、横に倒れた位置で第2の閉止部品40が停止したときも、機能ユニット19の側面19aと隣に位置する機能ユニット19の側面19aとの間の隙間を第2の閉止部品40が塞がないような大きさに設定されている。輸送コンテナ11には、上部空間37の温度を検知する温度センサ42が配置されている。
【0049】
機能ユニット19には、各機能ユニット19の内部の温度を検知する温度センサ(図示せず)が配置されている。制御装置(図示せず)は、機能ユニット19に配置された温度センサが検知した温度に基づき、第2の閉止部品40を駆動するモーター等を制御し、第2の閉止部品40の開度をそれぞれ設定し、第1の閉止部品34を駆動するモーター等を制御し、第1の閉止部品34の開度をそれぞれ設定する。
【0050】
なお、制御装置(図示せず)は、温度センサ42が検知した上部空間37の温度、温度センサ39が検知した下部空間24の温度に基づき、第2の閉止部品40を駆動するモーター等を制御し、第2の閉止部品40の開度をそれぞれ設定し、第1の閉止部品34を駆動するモーター等を制御し、第1の閉止部品34の開度をそれぞれ設定しても良い。
【0051】
送風機38を作動すると、輸送コンテナ11の外の空気が、吸気口17から下部空間24内へ流入する。吸気口17は下部空間24に面しているので、下部空間24の空気の流動を活発にできる。下部空間24は横方向に連続しているので、下部空間24を風が吹きとおる。第1の仕切り25a,25bは、下部空間24と収納空間36とを隔てるので、第1の仕切り25a,25bによって台21の下を流れる空気の漏れを低減し、台21の下の通気を確保できる。また、第1の仕切り25aは下部空間24の前方を塞いでいるので、前扉16(
図1参照)を開けた状態でも、下部空間24を流れる空気の漏れを低減し、下部空間24を風が吹きとおるようにできる。
【0052】
以下の説明では、機能ユニット19を、吸気口17に近い上流側から順に、機能ユニット19A,19B,19C,19D,19Eと称し、機能ユニット19A,19B,19C,19D,19Eに対応する第1の閉止部品34及び第2の閉止部品40を、それぞれ閉止部品34A,34B,34C,34D,34E、閉止部品40A,40B,40C,40D,40Eと称する。
【0053】
第1の閉止部品34Aを開き、第1の閉止部品34Bを閉じると、第1の閉止部品34Bよりも下流側の下部空間24へ空気が流れにくくなる。そうすると下部空間24を流れる空気は、第1の閉止部品34Aを通過した後、第1の閉止部品34Bよりも上流側の隙間32を通り、機能ユニット19Aと機能ユニット19Bとの間を流れ、上部空間37へ達する。これにより機能ユニット19の側面19aから機能ユニット19A,19Bを空冷できる。
【0054】
第2の閉止部品40Aを閉じると、上部空間37を流れる空気が吸気口17へ逆流しにくくなる。第2の閉止部品40Bを開き、第2の閉止部品40Cを閉じると、第2の閉止部品40Cよりも下流側の上部空間37へ空気が流れにくくなる。そうすると上部空間37を流れる空気は、第2の閉止部品40Bを通過した後、機能ユニット19Bと機能ユニット19Cとの間を流れ、下部空間24へ達する。これにより機能ユニット19の上面19b及び側面19aから機能ユニット19B,19Cを空冷できる。
【0055】
第1の閉止部品34C,34D,34Eを開くと、機能ユニット19Bと機能ユニット19Cとの間を流れた空気は、第1の閉止部品34C,34D,34Eを通過した後、機能ユニット19Cと機能ユニット19Dとの間、機能ユニット19Dと機能ユニット19Eとの間、機能ユニット19Eと側壁14との間を通って上部空間37に達し、排気口18から輸送コンテナ11の外へ出る。これにより機能ユニット19C,19D,19Eを空冷できる。
【0056】
複数の第1の閉止部品34のうち、どの閉止部品34を閉じるかにより、閉じた閉止部品34よりも下流側の下部空間24へ空気が流れにくくなる。第1の閉止部品34は、機能ユニット19が配置される位置ごとに設けられているので、下部空間24の空気の流れを適宜調節できる。輸送コンテナ11に配置できる機能ユニット19の最大数よりも少ない機能ユニット19が配置されている場合に(輸送コンテナ11に空席がある場合に)、空席よりも上流の閉止部品34を閉じると、機能ユニット19が配置されていないところ(空席)への空気の流れを低減できる。その結果、輸送コンテナ11に配置された機能ユニット19へ集中して風を送ることができるので、コンテナモジュール10の冷却性能を高められる。
【0057】
複数の第2の閉止部品40のうち、どの閉止部品40を開けるかにより、開けた閉止部品40よりも下流側の上部空間37へ空気が流れやすくなる。第2の閉止部品40は、機能ユニット19が配置される位置ごとに設けられているので、上部空間37の空気の流れを適宜調節できる。輸送コンテナ11に配置できる機能ユニット19の最大数よりも少ない機能ユニット19が配置されている場合に(輸送コンテナ11に空席がある場合に)、空席よりも上流の閉止部品40を開けると、機能ユニット19が配置されていないところ(空席)の空気の滞留を低減できる。その結果、コンテナモジュール10の冷却性能を高められる。
【0058】
機能ユニット19同士の間隔と下部空間24とがつながる隙間32の大きさ、及び、機能ユニット19同士の間隔と上部空間37とがつながる部分の大きさは、第1の閉止部品34及び第2の閉止部品40の開閉に関わらず一定である。これにより収納空間36を介して上部空間37と下部空間24との間の空気の流通を確保できる。
【0059】
吸気口17に設けられた送風機38によって下部空間24及び上部空間37に空気の流れができる。機能ユニット19のうち発熱量が最も多い機能ユニット19(例えば機能ユニット19B)は発熱量が最も少ない機能ユニット19(例えば機能ユニット19C)より上流側に配置される。これにより発熱量が多い機能ユニット19Bの冷却を促進できる。
【0060】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば第1の閉止部品34や第2の閉止部品40の形状は一例であり、適宜設定できる。
【0061】
実施形態では、排ガスから得た二酸化炭素と、水から得た水素と、を原料にして可燃性生成物を製造するコンテナモジュール10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他の役割を果たすコンテナモジュール10にすることは当然可能である。他のコンテナモジュール10としては、水を原料として水素や酸素を製造するモジュール、排ガスから二酸化炭素を精製することに特化したモジュールが例示される。
【0062】
実施形態では、全ての機能ユニット19の高さTが同じ場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。機能ユニット19の高さTにばらつきがあっても構わない。機能ユニット19の高さTは機能ユニット19の幅Wよりも大きいのが好ましい。
【0063】
実施形態では、最大5つの機能ユニット19を搭載できる台21が配置された輸送コンテナ11に、5つの機能ユニット19を搭載する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。輸送コンテナ11に搭載される機能ユニット19の数は、コンテナモジュール10の目的に応じて2台から5台の間で適宜設定される。輸送コンテナ11の台21に空席があっても構わない。輸送コンテナ11に機能ユニット19を搭載できる最大数も5台に限るものではなく、任意に設定できる。ISO規格に則り設計・製造されたISOコンテナを輸送コンテナ11に用いても良い。
【0064】
実施形態では、機能ユニット19の間に位置するガイド29にローラー31が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ローラー31が設けられたガイド29を、前後方向に延びるレールに替えることは当然可能である。この場合もレールからなるガイドによって、台21に配置された機能ユニット19の左右の位置規制ができる。
【0065】
さらに、レール(ガイド)の側面の少なくとも一部に、機能ユニット19との間の摩擦係数が小さい、滑り性に優れる材料でできた部分(摩擦低減部)を設けることは当然可能である。滑り性に優れる材料としては、フッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール樹脂が例示される。この場合も摩擦低減部によりガイドに沿って機能ユニット19を前後に移動させやすくできる。滑り性に優れる材料でレールを作っても良い。
【0066】
実施形態では、下部空間24を流れる空気が出てくる隙間32を台21と支持部28との間に設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。床板25と台21との間に隙間32を設けたり、床板25や支持部28に穴をあけて隙間32にしたりすることは当然可能である。隙間32や穴の大きさや形は適宜設定できる。
【0067】
実施形態では、輸送コンテナ11の側壁14のうち台21よりも低い位置に吸気口17を設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。後壁13や前扉16に吸気口17を設けても良い。また、側壁14や後壁13、前扉16のうち台21よりも高い位置に吸気口17を設けても良い。この場合も台21の下に設けられた下部空間24に吸気口17がつながっていれば、吸気口17から取り入れた外気を下部空間24に導入できるからである。
【0068】
実施形態では、吸気口17が設けられた側壁14とは異なる側壁14に排気口18が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。吸気口17が設けられた側壁14と同じ側壁14に排気口18を設けたり、後壁13や前扉16、屋根15に排気口18を設けたりすることは当然可能である。後壁13や側壁14、前扉16のうち台21よりも低い位置に排気口18を設けても良い。なお、側壁14のうち台21よりも低い位置に吸気口17を設ける場合には、吸気口17が設けられた側壁14とは異なる側壁14のうち台21よりも高い位置(屋根15の近く)に排気口18を設けることが好ましい。
【0069】
実施形態では、吸気口17に送風機38が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。輸送コンテナ11の中の空気を排気口18から輸送コンテナ11の外へ逃がす送風機を排気口18に設けることは当然可能である。吸気口17に外気を取り入れる送風機を設けると共に、排気口18に空気を逃がす送風機を設けても良い。
【0070】
実施形態では、台21ごとに下部空間24に第1の閉止部品34が設けられ、台21ごとに上部空間37に第2の閉止部品40が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1の閉止部品34、第2の閉止部品40のいずれかを省くことは当然可能である。また、第1の閉止部品34や第2の閉止部品40の数を台21の数よりも少なくすることは当然可能である。
【0071】
実施形態では、第1の仕切り25a,25bが、台21の前後端に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。前後に延びる台21の下の中間位置に、横方向に連続した第1の仕切り25a,25bを、前後に所定の間隔をあけて複数設けることは当然可能である。この場合も複数の第1の仕切り25a,25bに挟まれた横方向に連続した下部空間24を、実施形態と同様に台21の下に作ることができる。
【0072】
実施形態ではベース12に床板25が配置される場合について説明したが、床板25は除くことができる。台21に機能ユニット19が配置されると、床板25が無くても、機能ユニット19によって台21と台21との間の隙間が、隙間32を除き、塞がれるからである。
【0073】
本開示は、以下の形態としても実現することが可能である。
【0074】
[適用例1]
輸送コンテナと、前記輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備えるコンテナモジュールであって、前記輸送コンテナは、前記機能ユニットの側面同士の間隔をあけて前記機能ユニットが並ぶ収納空間と、前記収納空間の下につながる下部空間と、
前記収納空間の上につながる上部空間と、を備え、前記下部空間および前記上部空間は、前記機能ユニットが並ぶ方向に延びているコンテナモジュール。
【0075】
[適用例2]
前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記下部空間の断面の大きさを調節する第1の閉止部品を備える適用例1記載のコンテナモジュール。
【0076】
[適用例3]
前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記上部空間の断面の大きさを調節する第2の閉止部品を備える適用例1又は2に記載のコンテナモジュール。
【0077】
[適用例4]
前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記下部空間の断面の大きさを調節する第1の閉止部品と、前記機能ユニットが並ぶ方向に交わる前記上部空間の断面の大きさを調節する第2の閉止部品と、を備える適用例1記載のコンテナモジュール。
【0078】
[適用例5]
前記機能ユニットの内部の温度を検知する温度センサをさらに備え、前記第1の閉止部品および前記第2の閉止部品は、前記温度センサが検知した温度に基づいて可動する適用例4記載のコンテナモジュール。
【0079】
[適用例6]
前記機能ユニット同士の前記間隔と前記下部空間とがつながる部分の大きさ、および、前記機能ユニット同士の前記間隔と前記上部空間とがつながる部分の大きさは、前記第1の閉止部品および前記第2の閉止部品の可動に関わらず一定である適用例4又は5に記載のコンテナモジュール。
【0080】
[適用例7]
前記下部空間および前記上部空間に空気の流れを作る通風手段をさらに備え、前記機能ユニットのうち発熱量が最も多いものは発熱量が最も少ないものより上流側に配置される適用例1から6のいずれかに記載のコンテナモジュール。
【0081】
[適用例8]
前記下部空間および前記上部空間に空気の流れを作る通風手段をさらに備え、前記通風手段は、前記輸送コンテナに設けられた吸気口および排気口であり、前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方は、前記下部空間または前記上部空間に面している適用例1から6のいずれかに記載のコンテナモジュール。
【符号の説明】
【0082】
10 コンテナモジュール
11 輸送コンテナ
17 吸気口
18 排気口
19,19A,19B,19C,19D,19E 機能ユニット
19a 側面
24 下部空間
34,34A,34B,34C,34D,34E 第1の閉止部品
36 収納空間
37 上部空間
39,42 温度センサ
40,40A,40B,40C,40D,40E 第2の閉止部品