(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164205
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】植物栽培装置の配管構造
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20231102BHJP
A01G 31/06 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A01G31/00
A01G31/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075614
(22)【出願日】2022-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 源希
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314ND33
2B314PA03
2B314PB44
2B314PD61
(57)【要約】
【課題】
植物栽培装置に使用可能であって、栽培棚のレイアウト変更に合わせて配管の長さ等を容易に変更可能な、植物栽培装置の配管構造の提供を課題とする。
【解決手段】
植物栽培装置の配管構造を、枠体に設置される栽培棚に取り付け可能な植物栽培装置の配管構造において、前記栽培棚に養液を流入する流入管と、前記栽培棚の養液を流出する流出管と、配管上に備えた管体の軸に沿って伸縮可能な伸縮部と、から成り、
前記伸縮部は、外管と、前記外管に挿入される内管と、前記外管又は前記内管の少なくとも一方は他方に対して水密に当接するシール部材とを少なくとも一つ有し、水密を維持した状態で前記管体の長さを調整可能として構成する。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に設置される栽培棚に取り付け可能な植物栽培装置の配管構造において、
前記栽培棚に養液を流入する流入管と、
前記栽培棚の養液を流出する流出管と、
配管上に備えた管体の軸に沿って伸縮可能な伸縮部と、から成り、
前記伸縮部は、外管と、前記外管に挿入される内管と、前記外管又は前記内管の少なくとも一方は他方に対して水密に当接するシール部材とを少なくとも一つ有し、
水密を維持した状態で前記管体の長さを調整可能としたことを特徴とする植物栽培装置の配管構造。
【請求項2】
前記栽培棚を複数段設けると共に、
前記流入管及び前記流出管のいずれか一方または両方に分岐部分を設け、前記分岐部分にて前記栽培棚に接続し、
前記分岐部分同士の間に前記伸縮部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置の配管構造。
【請求項3】
前記栽培棚を複数段設けると共に、
前記流入管及び前記流出管のいずれか一方または両方に分岐部分を設け、前記分岐部分にて前記栽培棚に接続し、
前記分岐部分と前記栽培棚との間に前記伸縮部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置の配管構造。
【請求項4】
前記栽培棚を複数段設けると共に、
前記流入管と前記流出管との間に前記栽培棚を配置して上段の前記栽培棚から下段の前記栽培棚に向かって養液を流通するように構成し、
上段の前記栽培棚と下段の前記栽培棚の間を、前記伸縮部を備えた配管で連通したことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置の配管構造。
【請求項5】
前記伸縮部を前記流入管に構成したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の植物栽培装置の配管構造。
【請求項6】
前記伸縮部を前記流出管に構成したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の植物栽培装置の配管構造。
【請求項7】
前記伸縮部を、前記管体の長さを調整した状態で固定可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の植物栽培装置の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の栽培装置の養液を循環させる養液の配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物を栽培するめの植物栽培装置と、その植物栽培装置に養液を供給するための配管構造が知られている。
特許文献1には複数の栽培棚を備える多段式の植物栽培装置が記載されている。この植物栽培装置では、ポンプを利用した配管構造を備え、この配管構造によって養液が各段の栽培棚を循環することで植物の育成が行われる構造となっている。
栽培棚の養液は、養液量の調整、養液の成分濃度の調整、養液に含まれる酸素濃度の調整、養液内の雑菌の紫外線照射による消毒等を行う必要があり、複数の栽培棚の配管を接続して養液の循環を行うようにすることで、個々の栽培棚毎に養液管理の設備を設けることなく、循環の経路に備えられた複数の栽培棚の養液を一括して管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物の育成が進んだ結果、上段の栽培棚と下段の栽培棚の高さ幅が植物の充分な育成には不足する場合がある。このため、植物の育成状況に応じて適宜栽培棚同士の距離を変更する等、栽培棚のレイアウトを変更することが望まれている。しかし、配管構造に用いられている各栽培棚を繋ぐ配管やポンプと栽培棚を繋ぐ配管は、接続後に組み直しを行うことができないため、栽培棚同士の距離を変更する場合等、栽培棚のレイアウトを変更する際には、それまでに組まれていた配管を全て取り外して廃棄し、変更した新たな栽培棚のレイアウトに合わせて配管を新規なものと取り換え、一から組み直す必要があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、植物栽培装置の配管構造に使用可能であって、栽培棚のレイアウト変更に合わせて配管の長さ等を容易に変更可能な、植物栽培装置の配管構造の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、枠体に設置される栽培棚に取り付け可能な植物栽培装置の配管構造において、前記栽培棚に養液を流入する流入管と、前記栽培棚の養液を流出する流出管と、配管上に備えた管体の軸に沿って伸縮可能な伸縮部と、から成り、
前記伸縮部は、外管と、前記外管に挿入される内管と、前記外管又は前記内管の少なくとも一方は他方に対して水密に当接するシール部材とを少なくとも一つ有し、水密を維持した状態で前記管体の長さを調整可能としたことを特徴とする。
【0007】
第二の発明は、前記栽培棚を複数段設けると共に、前記流入管及び前記流出管のいずれか一方または両方に分岐部分を設け、前記分岐部分にて前記栽培棚に接続し、前記分岐部分同士の間に前記伸縮部を備えたことを特徴とする。
【0008】
第三の発明は、前記栽培棚を複数段設けると共に、前記流入管及び前記流出管のいずれか一方または両方に分岐部分を設け、前記分岐部分にて前記栽培棚に接続し、前記分岐部分と前記栽培棚との間に前記伸縮部を備えたことを特徴とする。
【0009】
第四の発明は、前記栽培棚を複数段設けると共に、前記流入管と前記流出管との間に前記栽培棚を配置して上段の前記栽培棚から下段の前記栽培棚に向かって養液を流通するように構成し、上段の前記栽培棚と下段の前記栽培棚の間を、前記伸縮部を備えた配管で連通したことを特徴とする。
【0010】
第五の発明は、前記伸縮部を前記流入管に構成したことを特徴とする。
【0011】
第六の発明は、前記伸縮部を前記流出管に構成したことを特徴とする。
【0012】
第七の発明は、前記伸縮部を、前記管体の長さを調整した状態で固定可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、植物栽培装置の配管構造において、配管構造に水密な状態を維持したまま長さ調整可能な伸縮部を備えた配管を採用したことで、必要に応じて適宜栽培棚同士の距離を変更することや、栽培棚のレイアウトを容易に変更することが可能となった。配管の構造としては、
・栽培棚を複数段設け、流入管及び流出管のいずれか一方または両方に分岐部分を設け、分岐した配管にて前記栽培棚に接続し、分岐部分同士の間に伸縮部を備えた構造、
・栽培棚を複数段設け、流入管及び流出管のいずれか一方または両方に分岐部分を設け、分岐した配管にて前記栽培棚に接続し、栽培棚と分岐部分の間に伸縮部を備えた構造、
・栽培棚を複数段設け、流入管と流出管との間に栽培棚を配置して上段の前記栽培棚から下段の前記栽培棚に向かって養液を流通させ、上段の前記栽培棚と下段の前記栽培棚の間を、伸縮部を備えた配管で連通した構造、等が考えられる。
また、伸縮部は、流入管または流出管の適宜必要な箇所に設けても良い。
また、伸縮部を、伸縮を行った後、長さが調整された状態で固定可能な構造とすれば、複数の伸縮部の長さ調整中に誤って調整済みの伸縮部の長さを変えてしまう問題や、伸縮部を備えた配管の自重によって外管が内管から落下してしまう問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一の実施形態の水耕栽培装置を示す参考図である。
【
図7】伸縮部を1つ有した伸縮管を示す参考図である。
【
図8】伸縮部を2つ有した伸縮管を示す参考図である。
【
図15】接続部材の(a)平面図、(b)
図15(a)のA-A断面図である。
【
図16】接続構造の接続の手順を示す断面図である。
【
図17】接続構造の接続の手順を示す断面図である。
【
図18】接続構造の接続が完了した状態を示す断面図である。
【
図20】第一実施形態の植物栽培装置を示す参考図である。
【
図21】
図20の水耕栽培装置の、栽培棚のレイアウトを変更した状態を示す参考図である。
【
図23】
図22の水耕栽培装置の、栽培棚のレイアウトを変更した状態を示す参考図である。
【
図24】第二実施形態の植物栽培装置を示す参考図である。
【
図25】
図24の水耕栽培装置の、栽培棚のレイアウトを変更した状態を示す参考図である。
【
図27】
図26の水耕栽培装置の、栽培棚のレイアウトを変更した状態を示す参考図である。
【
図28】第三実施形態の植物栽培装置を示す参考図である。
【
図30】
図29の水耕栽培装置の、栽培棚のレイアウトを変更した状態を示す参考図である。
【
図32】他の実施形態の植物栽培装置を示す参考図である。
【
図33】他の実施形態の植物栽培装置を示す参考図である。
【
図34】他の実施形態の植物栽培装置を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しつつ本発明の第一実施形態を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0016】
本発明の第一実施形態の植物栽培装置100は、
図1等に示した、収納棚110と、収納棚110に収納される複数の栽培棚120とを備えた多段式の植物栽培装置である。上記植物栽培装置100は最下段の栽培棚120の下方において、
図2に示した養液が貯留されたタンク130と、タンク130内の養液を最上段の栽培棚120へと供給するポンプ140を備えており、養液を循環させることによって植物200を育成する。
尚、
図20乃至
図23の図示においては、簡略化のため収納棚110を省略している。
また、特に詳述や図示等は行わないが、栽培棚120の養液は、養液量の調整、養液の成分やその濃度の調整、養液に含まれる酸素濃度の調整、養液内の雑菌の紫外線照射による消毒等を行う必要があり、養液の循環を行う配管の経路上、例えばタンク130には、これらの養液の管理と調整を行うための設備機器が備えられており、循環の経路に備えられた複数の栽培棚120には、当該設備機器によって常に成分や養液量の調整や消毒が行われた状態の養液が供給され循環している。
【0017】
収納棚110は複数の支柱によって直方体状に組み上げられた多段式の枠体であり、各段には夫々栽培棚120が載置されている。また、収納棚110の各段は支柱に対して固定される高さを変更することや、段数の増減や、所定の収納棚110のみを水平方向に移動することや、所定の収納棚110のみに水平方向に収納棚110を追加することが可能であり、これによって、育成する植物200の収穫量や種類、または育成状況に応じて栽培棚120の高さや位置や数量を変更可能となっている。
【0018】
栽培棚120は
図3等に示すように、保持部121と養液槽122から成る。
保持部121は植物200を保持する開口が複数形成されたプレートであり、養液槽122の上面を覆うように取り付けられている。又、保持部121に保持された植物200は、栽培棚120の上方に配置された図示しないLEDランプによって照射されている。
養液槽122は上面が開放された箱状であって、内部に養液が流れる流路が形成されている。又、養液槽122は上流側端部及び下流側端部において、エルボ管1の挿入管部6と接続可能な受入管部7を有する。
【0019】
上記植物栽培装置100は、流入管2、流出管4によって接続され、養液が循環する配管構造が形成されている。
流入管2はポンプ140と栽培棚120とを接続する配管であって、ポンプ140から送られた養液を栽培棚120に供給する。
流出管4は栽培棚120とタンク130とを接続する配管であって、栽培棚120から排出された養液をタンク130に排出する。
【0020】
上記流入管2、流出管4は、以下に記載するエルボ管1、分岐管、伸縮管9、圧力調整バルブ150、逆流防止弁160から構成される。以下に、エルボ管1、分岐管、伸縮管9、圧力調整バルブ150、逆流防止弁160について説明する。
【0021】
エルボ管1は
図4に示したようなL字形状の管体からなり、内部に流路を形成する断面視円筒状となっている。又、エルボ管1は他の部材のとの接続又は解除が可能な接続構造5を構成する挿入管部6を両端に有する。
【0022】
分岐管は直管に分岐部分を設けた管体からなり、どれか1つの端部から流入した液体を他の端部に分割して流出させる、またはどれか複数の端部から流入した液体を1つの端部に合流させて流出させるように構成されてなる。本実施形態では、
図5に示したような、一つの直管の側方に一本の枝管部分を設けることで一つの流路を二つの流路に分岐する分岐部分を構成した二分岐型分岐管171と、
図6に示したような、L字形状の管体の側方に更に二本の枝管部分を設けることで一つの流路を三つの流路に分岐する分岐部分を構成した三分岐型分岐管172の2種類の分岐管が用いられている。尚、一つの流路を複数の流路に分岐する配管に用いる場合とは逆に、複数の流路を一つの流路に合流する配管に用いる場合でも、部材の構成は同一のため、本発明では分岐部分を備えた分岐管と記載する。
【0023】
伸縮管9は、
図7に示したような、伸縮部90を備えた直線状の管体であり、
図9及び
図10に示したように、内管91、外管92、第一のシール部材93、第二のシール部材94、ナット部材95から構成され、内管91、外管92が同軸上に配置された2重配管によって、管体の軸に沿って長さを変更可能な伸縮部90を構成している。尚、図面を簡略なものとするため、構造の詳細な説明を行うための
図9、
図10以外の図面では、接続部90からナット部材95を省略する等、簡略化した図として図示している。
以下に伸縮管9の構成を、図面を参照しつつ説明する。尚、この段落の説明中における「上端」「下端」等の上下は、説明を容易にする目的で
図7、
図9、
図10における上下に基づいて記載しており、本発明の植物栽培装置の配管構造において、伸縮管9の配置やその方向がこの上下の記載に限定されるものではない。
内管91は上端に挿入管部6と接続可能な受入管部7を有し、下端は外管92に挿入可能な挿し口911が形成されている。
外管92は下端に挿入管部6と接続可能な受入管部7を有し、上端には内管91よりも大径の受け口921と、上端の外側面に雄ネジが形成され、更に雄ネジよりも下方の内径側に溝を形成してなる。
第一のシール部材93は断面円形を成すゴム等の弾性部材から成る環状の部材であって、外管92の内径側の溝に収納されてなる。
第二のシール部材94は断面が略直角三角形を成すゴム等の弾性部材から成る環状の部材であって、内管92の外側面であって、外管92の上端に配置される。
ナット部材95は、上記外管92の雄ネジと螺合可能な雌ネジを備えた袋ナットであって、外管92の雄ネジに雌ネジが螺合した状態に配置される。
伸縮管9において、内管91を外管92に挿入した状態とすると、
図9に示したように、第一のシール部材93は内管91の外側面と外管92の内側面に当接した状態となり、当該第一のシール部材93によって内管91と外管92の側面同士が水密な状態で接続されている。
また、第二のシール部材94が内管91の外側面と外管92の端部に当接した状態となり、当該第二のシール部材94によって内管91と外管92の側面同士が水密な状態で接続されている。
上記のような構成により、本発明の伸縮部90は、内管91が外管92に対して水密な状態を維持したまま軸方向に変位可能となっており、この伸縮部90を備えた伸縮管9は、内管91を変位させ、受け口921に対する挿し口911の挿入量を調整することで、内管91と外管92との間の水密を維持したまま、その長さを調整可能となっている。
また、ナット部材95の螺合を進めると、螺合による軸方向への応力が、第二のシール部材94の断面が略直角三角形の傾斜面によって内管91を内径側に締め付け方向への応力に変換され、内管91は外管92に対し摩擦によって移動不可能な固定状態とすることができる。螺合を緩めるか、または解除することでこの固定状態は解除可能である。
このように、本実施形態の伸縮部90は、ナット部材95の螺合を行うことで、伸縮部90は、管体である伸縮管9の長さを調整した状態で固定することが可能な構造を備えてなる。
尚、伸縮管9は、供給管2に使用するための長大なもの、連結管3に使用するための比較的短いものなど、長さの異なる数種類がある。
また、
図8に示したように、一つの伸縮管9に伸縮部90を2つ設けたことで、伸縮管9の最大の長さが最短の長さの3倍程度とするなど、一つの伸縮管9に複数の伸縮部90を設けて構成しても良い。
【0024】
圧力調整バルブ150は栽培棚120の上流側に接続される、配管内を通過する液体の圧力を調整するためバルブであって、圧力調整バルブ150を通過する流体の圧力を、使用者の操作により任意の圧力に減少させることができる。本実施形態の圧力調整バルブ150は、上流側の端部を受入管部7、下流側の端部を挿入管部6として構成している。
【0025】
逆流防止弁160は上流側から下流側への養液の流れは許容するが、下流側から上流側への養液の流れは防止するように構成された弁ユニットであって、栽培棚120の下流側に接続され、流出管4を通過する養液が、栽培棚120に逆流することを防止するように配管される。本実施形態の逆流防止弁160は、
図12において、上流側となる右手側の端部を挿入管部6、下流側となる左手側の端部を受入管部7として構成している。
【0026】
次に、エルボ管1、分岐管、伸縮管9等の配管の接続を行う接続構造5について詳述する。尚、本実施形態において、接続構造5は
図13乃至
図19に図示した、挿入管部6、受入管部7、接続部材8より構成されている。尚、図面を簡略なものとするため、構造の詳細な説明を行うための
図13乃至
図19以外の図面では、接続構造5から接続部材8を省略する等、簡略化した図として図示している。
【0027】
挿入管部6はエルボ管1の両端部に取り付けられており、第一鍔部61、第二鍔部62、リング63を有する。又、挿入管部6の下端にはゴム等の弾性部材から成る環状のシール部材64が嵌着されている。
第一鍔部61、第二鍔部62は挿入管部6の上部に形成され、全周に亘って外側に向けて突出する鍔状であって、その外径は受入管部7の上端とほぼ同径となっている。又、第一鍔部61と第二鍔部62との間にはリング63が取り付けられている。
リング63は他の部材とは異なる色相を有する材質によって形成されており、挿入管部6と受入管部7が接続部材8によって接続された状態において、接続部材8によって覆い隠されている。
【0028】
受入管部7は栽培棚120の両端部、及び伸縮管9の両端部に取り付けられている。又、受入管部7は上端が拡径されることによって挿入管部6が挿入可能な内径を有し、外周にはスリット71が形成されている。又、受入管部7の内径は基端側に進むにつれて漸次縮径し、挿入管部6の外径と略同一の内径を有する当接部72が形成されている。
【0029】
接続部材8は
図15に示すように、切り欠き部81及び爪部82を有する平面視略C字状であって、断面視において上下対象形状となっている。
爪部82は接続部材8の上端及び下端より内側に向けて突出する、断面視略三角形状を成し、挿入管部6と受入管部7とが接続された状態において、スリット71内に配置される。又、上方の爪部82の上面及び下方の爪部82の下面は、接続部材8の中心へ向かうテーパー状となっている。
【0030】
上記接続構造5は以下の手順によって部材同士を接続する。
まず、
図16に示したように、挿入管部6に対して受入管部7を挿入する。挿入管部6が
図17に示した適切な位置まで挿入されると、挿入管部6の端部に嵌着されたシール部材64が当接部72に当接することによって、挿入管部6と受入管部7との間が水密な状態となる。この時、挿入管部6の第二鍔部62が受入管部7の上端に当接することにより、挿入管部6が適切な位置よりも深く挿入されることを防止する。
次に、挿入管部6及び受入管部7の側方より、接続部材8の切り欠き部81を押し付ける。この時、接続部材8が撓むことによって切り欠き部81が外側に押し広げられる。そして、受入管部7の外径よりも切り欠き部81が押し広げられると、上方の爪部82が第一鍔部61と第二鍔部62との間に配置されるとともに、下方の爪部82がスリット71内に配置される。この時、拡径されていた接続部材8は自身の弾性によって復元し、上下の爪部82によって第二鍔部62とスリット71が挟持され、挿入管部6と受入管部7とが抜脱不能となることで、
図18に示したように、接続構造5の接続が完了する。
【0031】
上記接続完了状態において、リング63は接続部材8によって覆い隠されており、使用者から視認することはできない。一方、挿入管部6と受入管部7との接続が完了していない状態においては、リング63の一部又は全部が外部に露出する。これにより、使用者はリング63を視認することで接続状態が判断可能となっている。
尚、上記手順はあくまで例であり、受入管部7に対して先に接続部材8を取り付け、挿入管部6を受入管部7に挿入しても良い。この場合においても、リング63によって接続状態を視認することが可能となっている。
【0032】
また、
図19に示した断面図のように、接続構造5の接続が完了した状態において、挿入管部6と受入管部7の接続部分は軸方向視円形の部材が同心円状に配置されており、また挿入管部6と受入管部7の接続に接着等の固定の作業は行われておらず、シール部材64は側面方向に当接することで水密的な接続を行っている。このため接続が完了した状態において、挿入管部6は受入管部7に対し水密状態のまま管体の中心軸を中心として回転させることが可能である。
【0033】
上記接続構造5の分解を行う際には、接続部材8を取り付け時とは逆方向に引き抜くことで取り外し、挿入管部6を受入管部7から引き抜くだけで接続を解除することができる。
【0034】
以下に、本発明の第一実施形態の配管構造を、図面を参照しつつ説明する。
尚、以下の配管接続や、後述する植物200の育成が進んだことで栽培棚120のレイアウト変更に伴う配管の変更を行う場合には、特に都度記載しないが、例えば配管の自重により固定しないと配管が落下する恐れがあるなどの理由により、必要に応じ伸縮部90は伸縮管9の長さを調整した状態で固定を行うものとする。
また、本実施形態では栽培棚120は当初上下方向に3段に配置されており、以下の説明において、「1段目の栽培棚120」と記載した場合は、「上方から1段目の栽培棚120」を意味するものである。「2段目の栽培棚120」及び「3段目の栽培棚120」も同様である。
本発明の第一実施形態においては、
図20に示したように、栽培棚120を3段縦方向に配置してなり、栽培棚120の下方に、タンク130とポンプ140を配置してなる。
【0035】
流入管2を配管する場合、まず三分岐型分岐管172の直管部分を水平に配置し、三分岐型分岐管172の枝管部分の端部及びL字形状の端部部分を上方に向けて配置する。
次に、三分岐型分岐管172の、直管部分の端部にポンプ140を接続する。
次に、三分岐型分岐管172の枝管部分の端部及びL字形状の端部のそれぞれに伸縮管9を1本ずつ、計3本接続する。
更に、3本の伸縮管9の上端のそれぞれに新たなエルボ管1を1本ずつ接続し、これらのエルボ管1に圧力調整バルブ150を介して3つの栽培棚120の上流側端部をそれぞれ接続して、流入管2の配管施工が完了する。
上記流入管2では、縦方向の全ての配管に、伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を縦方向に伸縮させることで、3つ全ての栽培棚120の高さ位置を変更することができる。
このようにして配管施工された流入管2は、三分岐型分岐管172により分岐部分を設け、前記分岐部分からの配管に栽培棚120を接続すると共に、分岐部分と栽培棚120の間に配置した伸縮管9に備えた伸縮部90を備えた植物栽培装置の配管構造である。
【0036】
流出管4を配管する場合、まず上方から順に、エルボ管1、伸縮管9、二分岐型分岐管171、伸縮管9、二分岐型分岐管171、伸縮管9、エルボ管1を直線状となるように接続する。
次に、上方のエルボ管1の上端を1段目の栽培棚の下流側端部に、上方の二分岐型分岐管171の分岐部分を2段目の栽培棚の下流側端部に、下方の二分岐型分岐管171の分岐部分を3段目の栽培棚の下流側端部に、それぞれ逆流防止弁160を介して接続する。逆流防止弁160の方向は、栽培棚120から流出管4への流れは許容するが、流出管4から栽培棚120への流れは防止する方向となるように接続する必要があり、逆流防止弁160端部の挿入管部6と受入管部7は適正な方向に接続されるように構成されている。
更に、下方のエルボ管1の下端をタンク130に接続して流出管4の配管施工が完了する。
上記流出管4では、上方のエルボ管1と二分岐型分岐管171の間、及び二分岐型分岐管171同士の間に、伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を縦方向に伸縮させることで、3つ全ての栽培棚120の高さ位置を変更することができる。
このようにして配管施工された流出管4は、二分岐型分岐管171により複数の分岐部分を設け、前記分岐部分を形成する二分岐型分岐管171同士の間に、伸縮管9に備えた伸縮部90を備えた植物栽培装置の配管構造である。
【0037】
以上のようにして、
図20及び
図22に示したような、植物栽培装置100の配管接続が完了する。上記した流入管2、流出管4の各接続箇所は段落0026乃至段落0033に記載した接続構造5を利用して容易に接続することができる。
【0038】
以下に、上記本発明の第一実施形態の植物栽培装置100の使用方法について説明する。
まず、それぞれの栽培棚120に接続されている圧力調整バルブ150を各栽培棚120に合わせて調整する。
詳述すると、
図20に示したように、第一実施形態の各栽培棚120は配置された高さが異なるため、ポンプ140からそれぞれの栽培棚120に養液を送り込むのに必要な圧力が異なる。
ポンプ140が生じる圧送の圧力を、例えば1段目の栽培棚120に養液を送り込むのに適切な圧力に調整すると、1段目の栽培棚120より低い位置にある2段目、3段目の栽培棚120には養液の圧送の圧力が過剰となり、養液が栽培棚120から溢れる恐れがある。しかし、ポンプ140が生じる圧送の圧力を、例えば3段目の栽培棚120に養液を送り込むのに適切な圧力に調整すると、3段目の栽培棚120より高い位置にある1段目、2段目の栽培棚120には養液の圧送の圧力が不足し、養液が栽培棚120に達しない恐れがある。
そこで、ポンプ140の圧送の圧力は、最も高い位置にある1段目の栽培棚120に養液を圧送するのに十分な圧力に設定し、それぞれの栽培棚120の上流に接続した各圧力調整バルブ150を操作して、栽培棚120ごとに養液が溢れることも不足することも無い適切な圧力となるように調整する。
上記構成を備える植物栽培装置100において、ポンプ140を作動させると、タンク130内の養液はポンプ140によって流入管2側に圧送され、三分岐型分岐管172によって分岐して圧送され、圧力調整バルブ150によって溢れることも不足することもない適切な圧力で各栽培棚120に流入する。
次に、各栽培棚120内を流れた養液は、流出管4を介して合流し、そのままタンク130内に排出される。タンク130内に排出された養液は、養液量や成分、濃度、酸素濃度、雑菌の消毒等の処理が行われた上でポンプ140によって汲み上げられ、再び流入管2に向けて圧送される。尚、各栽培棚120と流出管4の間には逆流防止弁160が接続されているため、上段の栽培棚120の高さ分の水圧が加わった状態であっても、2段目の栽培棚や3段目の栽培棚に養液が逆流することは無い。
【0039】
以下に、上記第一実施形態の植物栽培装置100において、植物200の育成が進んだことで栽培棚120の間隔を調整する場合の方法について説明する。
植物栽培装置100は、植物200の育成が進んだ結果、上段の栽培棚120と下段の栽培棚120の高さ幅が植物の充分な育成には不足するようになった場合、
図20の状態から、1段目の栽培棚120と2段目の栽培棚120及び2段目の栽培棚120と3段目の栽培棚120の高さ幅を植物200の育成に充分な幅となるように、栽培棚120を載置した収納棚110を組み換え、
図21に示した状態とすることができる。この時、流入管2、流出管4共に、それぞれの栽培棚120の間には、縦方向に伸縮可能に配置された伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を縦方向に伸縮させることで、3つ全ての栽培棚120の高さ位置を収納棚110に合わせて変更することができる。
このようにして、
図20の状態から
図21の状態に植物栽培装置100の栽培棚120のレイアウトを変更することで、植物栽培装置100の各栽培棚120を、成長した植物200の育成に充分な幅を有したレイアウトとすることができる。
この伸縮部90の伸縮による長さ調整は、段落0023に記載した通り、水密を維持した状態で行うことができ、長さ調整の際に水漏れが起きるため水漏れに対処する必要がある、等の手間が生じることもない。
上記栽培棚120の高さ位置の変更を行った後は、全ての栽培棚120に適正な圧力で養液が圧送されるように、ポンプ140の圧送の圧力や、圧力調整バルブ150の通過する圧力を調整し、栽培棚120の間隔の調整が完了する。
【0040】
また、水平方向には空間に余裕があるが、上方向は空間の余裕がなく、収納棚110や栽培棚120を上方に伸ばす余裕がない場合、以下に記載した方法でも植物200の育成に充分な高さ幅を確保することができる。
図22の植物栽培装置100は、
図20の植物栽培装置の配管構造を左手方向から見た側面図である。この
図22の状態において、栽培棚120は、縦方向に1列3段に配置されている。
植物200が成長した結果、1段当たりの高さがより必要になった場合、流入管2及び流出管4をタンク130及びポンプ140の接続構造5を中心として回転させ、2段目及び3段目の栽培棚120の上方に上段の栽培棚120が存在しない位置まで移動させ、また栽培棚120も水平となるよう流入管2及び流出管4に対して回転させる。
流入管2や流出管4の接続に採用されている接続構造5は、段落0026乃至段落0033に記載のように管体の中心軸を中心として、水密状態を維持しつつ、受入管部7に対し挿入管部6を回動可能に構成されており、また伸縮管9も段落0023に記載した通り伸縮が可能なため、配管の接続を解除することなく、
図23に示した配置とすることができる。この時の伸縮管9の伸長の方向は栽培棚120のレイアウトに併せて天地方向だけではなく、斜め方向等必要な方向に向けて伸長させるものである。
このようにして、
図22の状態から
図23の状態に植物栽培装置100の栽培棚120のレイアウトを変更することで、植物栽培装置100の各栽培棚120を、成長した植物200の育成に充分な幅を有したレイアウトとすることができる。
【0041】
次に、図面を参照しつつ本発明の第二実施形態を説明する。
本発明の第二実施形態の植物栽培装置100は、収納棚110と、収納棚110に収納される複数の栽培棚120とを備えた多段式の植物栽培装置である。上記植物栽培装置100は最下段の栽培棚120の下方において、養液が貯留されたタンク130と、タンク130内の養液を最上段の栽培棚120へと供給するポンプ140を備えており、養液を循環させることによって植物200を育成する。
尚、
図24乃至
図27の図示においては、簡略化のため収納棚110を省略している。
また、特に詳述や図示等は行わないが、栽培棚120の養液は、養液量の調整、養液の成分やその濃度の調整、養液に含まれる酸素濃度の調整、養液内の雑菌の紫外線照射による消毒等を行う必要があり、養液の循環を行う配管の経路上、例えばタンク130には、これらの養液の管理と調整を行うための設備機器が備えられており、当該設備機器によって循環の経路に備えられた複数の栽培棚120の養液は成分や養液量の調整が行われている。
【0042】
収納棚110は段落0017に記載した第一実施形態の収納棚110と、栽培棚120は段落0018に記載した第一実施形態の栽培棚120と、それぞれ同一の構成の為説明は省略する。
【0043】
上記植物栽培装置100は、流入管2、連結管3、流出管4によって接続され、養液が循環する配管構造が形成されている。
【0044】
流入管2はポンプ140と栽培棚120とを接続する配管であって、ポンプ140から送られた養液を栽培棚120に供給する。
連結管3は上段の栽培棚120と下段の栽培棚120とを接続する配管であって、上段の栽培棚120の養液を下段の栽培棚120に供給する。
流出管4は栽培棚120とタンク130とを接続する配管であって、栽培棚120から排出された養液をタンク130に排出する。
【0045】
上記流入管2、連結管3、流出管4は、エルボ管1と伸縮管9から構成される。エルボ管1の構成は段落0021に記載の、伸縮管9の構成は段落0023に記載の、第一実施形態の同部材と同じ構成のため説明は省略する。
また、エルボ管1や伸縮管9等の配管の接続を行う接続構造5の構成や接続手順は、段落0026乃至段落0033に記載された第一実施形態の接続構造5と同じ構成のため説明は省略する。
【0046】
以下に、第二実施形態の配管構造を記載する。
尚、以下の配管接続や、後述する植物200の育成が進んだことで栽培棚120のレイアウト変更に伴う配管の変更を行う場合には、特に都度記載しないが、例えば配管の自重により固定しないと配管が落下する恐れがあるなどの理由により、必要に応じ伸縮部90は伸縮管9の長さを調整した状態で固定を行うものとする。
また、本実施形態では栽培棚120は当初上下方向に3段に配置されており、以下の説明において、「1段目の栽培棚120」と記載した場合は、「上方から1段目の栽培棚120」を意味するものである。「2段目の栽培棚120」及び「3段目の栽培棚120」も同様である。
第二実施形態においては、
図24に示したように、栽培棚120を3段縦方向に配置してなり、栽培棚120の下方に、タンク130とポンプ140を配置してなる。
【0047】
流入管2、連結管3、流出管4は、いずれも上方から順に、エルボ管1、伸縮管9、エルボ管1を直線状となるように接続して構成している。但し、それぞれの配管位置に合わせてエルボ管1や伸縮管9の長さは異なる。また連結管3は2組用意する。
まず、流入管2の、上方の端部を1段目の栽培棚120の上流側端部に、下方の端部をポンプ140に、それぞれ接続する。
次に、流出管4の、上方の端部を3段目の栽培棚120の下流側端部に、下方の端部をタンク130に、それぞれ接続する。
次に、1段目の栽培棚120の下流側端部と、2段目の栽培棚120の上流側端部を、連結管3を介して接続する。
更に、2段目の栽培棚120の下流側端部と、3段目の栽培棚120の上流側端部を、連結管3を介して接続し、本発明の第二実施形態の植物栽培装置100の配管接続が完了する。
上記した流入管2、連結管3、流出管4の各接続箇所は段落0026乃至段落0033に記載した接続構造5を利用して容易に接続することができる。
上記配管構造においては、
図24に示したように、流入管2、連結管3、流出管4の、縦方向の全ての配管に、伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を縦方向に伸縮させることで、3つ全ての栽培棚120の高さ位置を変更することができる。
このようにして配管施工された植物栽培装置100の配管構造は、流入管2と流出管4との間に栽培棚120を複数配置し、上段の栽培棚120から下段の栽培棚120に向かって養液を流通するように構成すると共に、上段の栽培棚120と下段の栽培棚120の間を、伸縮部90を備えた配管(伸縮管9)で連通した植物栽培装置の配管構造である。
【0048】
以下に、上記第二実施形態の植物栽培装置100の使用方法について説明する。
まず、ポンプ140が生じる圧送の圧力を、1段目の栽培棚120に養液を送り込むのに適切な圧力に調整する。
次に、ポンプ140を作動させると、タンク130内の養液はポンプ140によって流入管2側に圧送され、養液が1段目の栽培棚120に流入する。1段目の栽培棚120内を流れた養液は、連結管3を介して2段目の栽培棚120に流入する。
2段目の栽培棚120内を流れた養液は、連結管3を介して3段目の栽培棚120に流入する。
3段目の栽培棚120内を流れた養液は、流出管4を介してタンク130内に排出される。タンク130内に排出された養液は、養液量や成分、濃度、酸素濃度、雑菌の消毒等の処理が行われた上でポンプ140によって汲み上げられ、再び流入管2に向けて圧送される。
【0049】
以下に、上記第二実施形態の植物栽培装置100において、植物200の育成が進んだことで栽培棚120の間隔を調整する場合の方法について説明する。
植物栽培装置100は、植物200の育成が進んだ結果、上段の栽培棚120と下段の栽培棚120の高さ幅が植物の充分な育成には不足するようになった場合、1段目の栽培棚120と2段目の栽培棚120及び2段目の栽培棚120と3段目の栽培棚120の高さ幅を植物の育成に充分な幅となるように、栽培棚120を載置した収納棚110を組み換える。この時、流入管2、連結管3、流出管4共に、縦方向に伸縮可能に配置された伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を縦方向に伸縮させることで、
図25に示したように、栽培棚120の高さ位置を収納棚110に合わせて適宜変更することができる。
このようにして、
図24の状態から
図25の状態に植物栽培装置100の栽培棚120のレイアウトを変更することで、植物栽培装置100の各栽培棚120を、成長した植物200の育成に充分な幅を有したレイアウトとすることができる。
この伸縮部90の伸縮による長さ調整は、段落0023に記載した通り、水密を維持した状態で行うことができ、長さ調整の際に水漏れが起きるため水漏れに対処する必要がある、等の手間が生じることもない。
上記栽培棚120の高さ位置の変更を行った後は、1段目の栽培棚120に適正な圧力で養液が圧送されるように、ポンプ140の圧送の圧力を調整し、栽培棚120の間隔の調整が完了する。
【0050】
また、水平方向には空間に余裕があるが、上方向は空間の余裕がなく、収納棚110や栽培棚120を上方に伸ばす余裕がない場合、以下に記載した方法でも植物200の育成に充分な高さ幅を確保することができる。
図26の植物栽培装置100は、第二実施形態の植物栽培装置の配管構造を、
図24の左手方向から見た側面図である。この
図24及び
図26の状態において、栽培棚120は、縦方向に1列3段に配置されている。
植物200が成長した結果、1段当たりの高さがより必要になった場合に、栽培棚120に接続されている箇所の接続構造5を回動させて2段目の栽培棚120を水平方向に移動させ、1段1列と2段1列の2列の配管構造とすることで、
図27に示したように、全高を同一または低くしつつ、栽培棚120の高さ幅を植物の育成に充分な幅となるように栽培棚120の高さ位置を収納棚110に合わせて変更することができる。
この時の伸縮管9の伸長の方向は栽培棚120のレイアウトに併せて天地方向だけではなく、斜め方向等必要な方向に向けて伸長させるものである。
このようにして、
図26の状態から
図27の状態に植物栽培装置100の栽培棚120のレイアウトを変更することで、植物栽培装置100の各栽培棚120を、成長した植物200の育成に充分な幅を有したレイアウトとすることができる。
【0051】
次に、図面を参照しつつ本発明の第三実施形態を説明する。
本発明の第三実施形態の植物栽培装置100は、収納棚110と、収納棚110に収納される複数の栽培棚120とを備えた多段式の植物栽培装置である。上記植物栽培装置100は最下段の栽培棚120の下方において、養液が貯留されたタンク130と、タンク130内の養液を最上段の栽培棚120へと供給するポンプ140を備えており、養液を循環させることによって植物200を育成する。
尚、
図28乃至
図30の図示においては、簡略化のため収納棚110を省略している。
また、特に詳述や図示等は行わないが、栽培棚120の養液は、養液量の調整、養液の成分やその濃度の調整、養液に含まれる酸素濃度の調整、養液内の雑菌の紫外線照射による消毒等を行う必要があり、養液の循環を行う配管の経路上、例えばタンク130には、これらの養液の管理と調整を行うための設備機器が備えられており、当該設備機器によって循環の経路に備えられた複数の栽培棚120の養液は成分や養液量の調整が行われている。
【0052】
収納棚110は段落0017に記載した第一実施形態の収納棚110と、栽培棚120は段落0018に記載した第一実施形態の栽培棚120と、それぞれ同一の構成の為説明は省略する。
【0053】
上記植物栽培装置100は、流入管2、流出管4によって接続され、養液が循環する配管構造が形成されている。
【0054】
流入管2はポンプ140と栽培棚120とを接続する配管であって、ポンプ140から送られた養液を栽培棚120に供給する。
流出管4は栽培棚120とタンク130とを接続する配管であって、栽培棚120から排出された養液をタンク130に排出する。
【0055】
上記流入管2、連結管3、流出管4は、エルボ管1、二分岐型分岐管171、伸縮管9、圧力調整バルブ150、逆流防止弁160から構成される。このうち、エルボ管1は段落0021に、二分岐型分岐管171は段落0022に、圧力調整バルブ150は段落0024に、逆流防止弁160は段落0025に、それぞれ記載された第一実施形態の同部材と同じ構成のため説明は省略する。
伸縮管9は、
図7に示した第一実施形態と同様の伸縮管9の他、伸縮部90を2か所に設けた
図8に示した伸縮管9も採用されている。伸縮部90の数以外の構成は、段落0023に記載された伸縮管9と同様の構成である。
また、エルボ管1や伸縮管9等の配管の接続を行う接続構造5の構成や接続手順は、段落0026乃至段落0033に記載された第一実施形態の接続構造5と同じ構成のため説明は省略する。
【0056】
以下に、第三実施形態の配管構造を記載する。
尚、以下の配管接続や、後述する植物200の育成が進んだことで栽培棚120のレイアウト変更に伴う配管の変更を行う場合には、特に都度記載しないが、例えば配管の自重により固定しないと配管が落下する恐れがあるなどの理由により、必要に応じ伸縮部90は伸縮管9の長さを調整した状態で固定を行うものとする。
また、本実施形態では栽培棚120は当初上下方向に3段に配置されており、以下の説明において、「1段目の栽培棚120」と記載した場合は、「上方から1段目の栽培棚120」を意味するものである。「2段目の栽培棚120」及び「3段目の栽培棚120」も同様である。
本発明の第三実施形態においては、
図28に示したように、栽培棚120を3段縦方向に配置してなり、栽培棚120の下方に、タンク130とポンプ140を配置してなる。
【0057】
流入管2、流出管4を配管する場合、まず上方から順に、エルボ管1、伸縮管9、二分岐型分岐管171、伸縮管9、二分岐型分岐管171、伸縮管9、エルボ管1を直線状となるように接続する。
次に、上記組み立てた配管の、上方のエルボ管1及び2か所の二分岐型分岐管171のそれぞれの端部に伸縮管9を、水平方向に伸縮可能となるように接続する。
次に、上記組み立てた配管の、上下4か所の端部それぞれにエルボ管1を接続する。
これを2組構成する。
【0058】
段落0057に記載した配管を流入管2として接続する場合、上方から1つ目のエルボ管1の端部を1段目の栽培棚の上流側端部に、上方から2つ目のエルボ管1の端部を2段目の栽培棚の上流側端部に、上方から3つ目のエルボ管1の端部を3段目の栽培棚の上流側端部に、それぞれ圧力調整バルブ150を介して接続する。
更に、下方のエルボ管1の下端をポンプ140に接続して流入管2の配管施工が完了する。
【0059】
段落0057に記載した配管を流出管4として接続する場合、上方から1つ目のエルボ管1の端部を1段目の栽培棚の下流側端部に、上方から2つ目のエルボ管1の端部を2段目の栽培棚の下流側端部に、上方から3つ目のエルボ管1の端部を3段目の栽培棚の下流側端部に、それぞれ逆流防止弁160を介して接続する。逆流防止弁160の方向は、栽培棚120から流出管4への流れは許容するが、流出管4から栽培棚120への流れは防止する方向となるように接続する。
更に、下方のエルボ管1の下端をタンク130に接続して流出管4の配管施工が完了する。
【0060】
上記流入管2、流出管4では、上方のエルボ管1と二分岐型分岐管171の間、及び二分岐型分岐管171同士の間に、伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を縦方向に伸縮させることで、3つ全ての栽培棚120の高さ位置を変更することができる。また、各栽培棚120に対して水平方向にも伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を水平方向に伸縮させることで、3つ全ての栽培棚120の水平方向の位置を変更することができる。
このようにして配管施工された流入管2、流出管4は、二分岐型分岐管171により複数の分岐部分を設け、前記分岐部分を形成する二分岐型分岐管171同士の間に、縦方向に伸縮する伸縮部90を備えた植物栽培装置の配管構造である。
また、このようにして配管施工された流入管2、流出管4は、二分岐型分岐管171と栽培棚120の間に、水平方向に伸縮する伸縮部90を備えた植物栽培装置の配管構造である。
【0061】
以上のようにして、
図28及び
図29に示したような、植物栽培装置100の配管接続が完了する。上記した流入管2、流出管4の各接続箇所は段落0026乃至段落0033に記載した接続構造5を利用して容易に接続することができる。
【0062】
以下に、上記本発明の第三実施形態の植物栽培装置100の使用方法について説明する。
まず、それぞれの栽培棚120に接続されている圧力調整バルブ150を各栽培棚120に合わせて調整する。
ポンプ140を作動させると、タンク130内の養液はポンプ140によって流入管2側に圧送され、二分岐型分岐管171によって分岐して圧送され、圧力調整バルブ150によって溢れることも不足することもない適切な圧力で各栽培棚120に流入する。
次に、各栽培棚120内を流れた養液は、流出管4を介して合流し、そのままタンク130内に排出される。タンク130内に排出された養液は、養液量や成分、濃度、酸素濃度、雑菌の消毒等の処理が行われた上でポンプ140によって汲み上げられ、再び流入管2に向けて圧送される。尚、各栽培棚120と流出管4の間には逆流防止弁160が接続されているため、上段の栽培棚120の高さ分の水圧が加わった状態であっても、2段目の栽培棚や3段目の栽培棚に養液が逆流することは無い。
【0063】
以下に、上記第三実施形態の植物栽培装置100において、植物200の育成が進んだことで栽培棚120の間隔を調整する場合の方法について説明する。
植物栽培装置100は、植物200の育成が進んだ結果、上段の栽培棚120と下段の栽培棚120の高さ幅が植物の充分な育成には不足するようになった場合、2段目の栽培棚120を栽培棚120の幅分、水平方向に移動させる。2段目の栽培棚120には、流入管2側及び流出管4側とも水平方向に伸縮可能な伸縮管9を配管しているため、上記のように配管を変更することができる。
次に、縦方向に配管された伸縮管9を縦方向に収縮させ、1段目、3段目の栽培棚120が植物200の育成に充分となる高さ幅を確保しつつ、1段目、2段目の栽培棚120を低い位置に移動させる。流入管2、流出管4共に、それぞれの栽培棚120の間には、縦方向に伸縮可能に配置された伸縮部90を備えた伸縮管9が少なくとも一つ以上配管されており、伸縮部90にて配管を縦方向に伸縮させることで、3つ全ての栽培棚120の高さ位置を収納棚110に合わせて変更することができる。
このようにして、
図28及び
図29の状態から
図30の状態に植物栽培装置100の栽培棚120のレイアウトを変更することで、植物栽培装置100の各栽培棚120を、成長した植物200の育成に充分な幅を有したレイアウトとすることができる。
【0064】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明の配管構造は発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更を加えても良い。
例えば、上記各実施形態では、栽培棚120を当初上下方向に3段重ねたレイアウトとしているが、上記レイアウトは説明を容易とするためのものであって、栽培棚120を4段以上に重ねるレイアウトとして構成しても構わない。
また、接続構造5において、実施形態では、エルボ管1に挿入管部6を、栽培棚120や伸縮管9に受入管部7を、それぞれ構成しているが、エルボ管1に受入管部7を、栽培棚120や伸縮管9に挿入管部6を、それぞれ構成するなど、挿入管部6と受入管部7を設ける部材は、一方を挿入管部6、他方を受入管部7とした上であれば、必要に応じて適宜変更しても良い。
【0065】
また、上記実施形態の説明では、伸縮部90は、第一のシール部材93と第二のシール部材94の2つのシール部材により、二か所で水密状態となるように構成してなるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく三か所以上で水密状態となるように構成する方法や、逆に
図31に示した第一のシール部材93のみ、または第二のシール部材94のみのように1か所のみのシール部材で水密状態となるように構成しても良い。また固定の為の構造も、
図9に示した螺合を利用した構造以外の固定の構造を採用しても良い。
【0066】
また、上記第一実施形態の配管構造では、流入管2に分岐部分を設け、栽培棚120と分岐部分の間に伸縮部90を設けると共に、流出管4に分岐部分を設け、分岐部分同士の間に伸縮部90を設ける配管構造としたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、
図32に示した実施形態の配管構造のように、流入管2に分岐部分を設け、分岐部分同士の間に伸縮部90を設ける配管構造とし、流出管4に分岐部分を設け、栽培棚120と分岐部分の間に伸縮部90を設ける配管構造としても良い。
また、他の配管構造として、
図33に示した実施形態の配管構造のように、流入管2・流出管4共に分岐部分を設け、分岐部分同士の間に伸縮部90を設ける配管構造や、
図34に示した実施形態の配管構造のように、流入管2・流出管4共に分岐部分を設け、栽培棚120と分岐部分の間に伸縮部90を設ける配管構造としても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 エルボ管
2 流入管
3 連結管
4 流出管
5 接続構造
6 挿入管部
61 第一鍔部
62 第二鍔部
63 リング
64 シール部材
7 受入管部
71 スリット
72 当接部
8 接続部材
81 切り欠き部
82 爪部
9 伸縮管
90 伸縮部
91 内管
911 挿し口
92 外管
921 受け口
93 第一のシール部材
94 第二のシール部材
95 ナット部材
100 植物栽培装置
110 収納棚
120 栽培棚
121 保持部
122 養液槽
130 タンク
140 ポンプ
150 圧力調整バルブ
160 逆流防止弁
171 二分岐型分岐管
172 三分岐型分岐管
200 植物