(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164221
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】タンクローリ
(51)【国際特許分類】
B60P 3/22 20060101AFI20231102BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20231102BHJP
B67D 7/78 20100101ALI20231102BHJP
【FI】
B60P3/22 A
B65D88/12 F
B67D7/78 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022083408
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】596080710
【氏名又は名称】株式会社青木製作所
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝昭
【テーマコード(参考)】
3E083
3E170
【Fターム(参考)】
3E083AJ11
3E170AA03
3E170QA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タンクローリにおけるタンクの底部から延設される配管類のスペースを確保しながらタンクの荷重をシャーシに対してシンプルな構造で確実に支持する。
【解決手段】シャーシ3の長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材5を下側桁部材6と、上面に配置される上側桁部材7とにし、前記上側桁部材7を前部上側桁部材と後部上側桁部材とに分割、所定の間隔を有するように溶着し、前記下側桁部材6に切欠けを設け、この切欠けに前記吐出ポンプ10の一部が挿入されるよう支持し、前記吐出ポンプ10の前記タンク1の後方に向く吐出側に連通する第1流出管141を前記タンクの両側方に延びる第2流出管142に接続、第2流出管142を前記後部上側桁部材の前端に近傍する位置の前記下側桁部材6の上面に固定、前記吐出ポンプ10の前記タンク1の前方に向く吸入側に接続する流入管を前記第2流出管142の下方に配管する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナを車両のシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、
前記タンクローリは走行用駆動源から伝達機構により駆動されるヘッドバルブを有する吐出ポンプを備え、
前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記桁部材を下側桁部材と、この下側桁部材の上面に配置される上側桁部材とにし、前記上側桁部材は前部上側桁部材と後部上側桁部材とに分割し、前記前部上側桁部材と前記後部上側桁部材とは所定の間隔を有するように前記下側桁部材の上面に溶着し、
前記前部上側桁部材の後端に近傍する位置の前記下側桁部材に切欠けを設け、この切欠けに前記吐出ポンプの一部が挿入されるよう前記下側桁部材に支持し、前記吐出ポンプの前記タンクの後方に向く吐出側に連通する第1流出管を前記タンクの両側方に延びる第2流出管に接続し、この第2流出管を前記後部上側桁部材の前端に近傍する位置の前記下側桁部材の上面に固定し、前記吐出ポンプの前記タンクの前方に向く吸入側に接続する流入管を前記第2流出管の下方に配管することを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記前部上側桁部材および前記後部上側桁部材を断面中空長方形状とし、その長辺を前記下側桁部材の一辺より大きくして、前記前部上側桁部材および前記後部上側桁部材のそれぞれ左右を複数の横架部材にて連結し、前記後部上側桁部材に連結する前記横架部材により前記吐出ポンプの吸入側に接続する前記流入管を支持することを特徴とする請求項1に記載のタンクローリ。
【請求項3】
前記後部上側桁部材に沿って前記タンクの後方まで延びる第3流出管を前記第2流出管に接続することを特徴とする請求項2に記載のタンクローリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクに接続するポンプを含む配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体燃料などの液体を充填積載して輸送に使用されているタンクローリは、シャーシの上部の支持部材にタンクを脱着可能に載置しており、このタンクはその底部に平面長方形状のタンクフレームを備えている。
【0003】
そして、特許文献1に示すようにタンクの収容液体を取扱うポンプの位置が後方になり、タンクの底部から延びる配管類が存在し、そして、配管類を保護するためタンクローリにおいては、特許文献2に示すようにタンクフレームの下面に被支持フレームを介装し、この被支持フレームに載置されたタンクを被支持フレームと支持部材を緊締部材で結着することでシャーシに固定させている。
【0004】
このように、従来のタンクローリでは、支持部材上に載置するタンクにおいて、下面に被支持フレームを介装していたため、その分車両の車高が高くなる不具合があった。こうして車高が高くなると車両の全体の重心が高くなり、走行性が悪くなる他、介装される被支持フレームの重さ分だけ車体重量が増大し、積載荷重がその分増すことになり、しかも、収容液体を取扱うポンプの位置が後方になるために、ポンプへの動力伝達用の駆動軸が長くなって振動やそれに伴う騒音発生の原因となるとともに、ポンプなどの装備機器を配設することによりシャーシも長くなって、タンクローリの運転時に後方確認のため必要以上の注意を要し、安全性を損なうことなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62-188484号公報
【特許文献2】特開2003-137019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、従来の問題点を解決しようとするもであって、タンクにおける底部から延設される配管類のスペースを確保しながらタンクの荷重をシャーシに対してシンプルな構造で確実に支持させることとし、タンクローリにおける車高を低く設定するとともに、ポンプをタンクローリのエンジンなどの前記走行用駆動源の近傍位置に装備できるタンクローリを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0008】
請求項1に記載の発明は、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナを車両のシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、
前記タンクローリは走行用駆動源から伝達機構により駆動されるヘッドバルブを有する吐出ポンプを備え、
前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記桁部材を下側桁部材と、この下側桁部材の上面に配置される上側桁部材とにし、前記上側桁部材は前部上側桁部材と後部上側桁部材とに分割し、前記前部上側桁部材と前記後部上側桁部材とは所定の間隔を有するように前記下側桁部材の上面に溶着し、
前記前部上側桁部材の後端に近傍する位置の前記下側桁部材に切欠けを設け、この切欠けに前記吐出ポンプの一部が挿入されるよう前記下側桁部材に支持し、前記吐出ポンプの前記タンクの後方に向く吐出側に連通する第1流出管を前記タンクの両側方に延びる第2流出管に接続し、この第2流出管を前記後部上側桁部材の前端に近傍する位置の前記下側桁部材の上面に固定し、前記吐出ポンプの前記タンクの前方に向く吸入側に接続する流入管を前記第2流出管の下方に配管することを特徴とするタンクローリである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記前部上側桁部材および前記後部上側桁部材を断面中空長方形状とし、その長辺を前記下側桁部材の一辺より大きくして、前記前部上側桁部材および前記後部上側桁部材のそれぞれ左右を複数の横架部材にて連結し、前記後部上側桁部材に連結する前記横架部材により前記吐出ポンプの吸入側に接続する前記流入管を支持することを特徴とする請求項1に記載のタンクローリである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記後部上側桁部材に沿って前記タンクの後方まで延びる第3流出管を前記第2流出管に接続することを特徴とする請求項2に記載のタンクローリである。
【発明の効果】
【0011】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0012】
請求項1に記載の発明では、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナを車両のシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、
前記タンクローリは走行用駆動源から伝達機構により駆動されるヘッドバルブを有する吐出ポンプを備え、
前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記桁部材を下側桁部材と、この下側桁部材の上面に配置される上側桁部材とにし、前記上側桁部材は前部上側桁部材と後部上側桁部材とに分割し、前記前部上側桁部材と前記後部上側桁部材とは所定の間隔を有するように前記下側桁部材の上面に溶着し、
前記前部上側桁部材の後端に近傍する位置の前記下側桁部材に切欠けを設け、この切欠けに前記吐出ポンプの一部が挿入されるよう前記下側桁部材に支持し、前記吐出ポンプの前記タンクの後方に向く吐出側に連通する第1流出管を前記タンクの両側方に延びる第2流出管に接続し、この第2流出管を前記後部上側桁部材の前端に近傍する位置の前記下側桁部材の上面に固定し、前記吐出ポンプの前記タンクの前方に向く吸入側に接続する流入管を前記第2流出管の下方に配管するので、前記桁部材が下側桁部材と、この下側桁部材の上面に積み重ね溶接した上側桁部材とにより重量のあるタンクの荷重を車体に対して確実に支持され、しかも、前記タンクの底部と前記シャーシとの狭い空間に前記吐出ポンプや前記吐出ポンプに接続される前記第1排出管と前記第2排出管が配置されるスペースを確実に確保し、タンクローリにおける車高を低く設定できて重心が下がり走行性能性が良くなる。
さらに、前記前上側桁部材の後端に近傍する位置の前記下側桁部材に切欠けを設け、この切欠けに前記吐出ポンプの一部が挿入されて前記下側桁部材に支持することで、タンクローリに装備する流体取り出し用の前記吐出ポンプをタンクローリにおけるエンジンなどの前記走行用駆動源の近傍位置に装備でき、これにより、吐出ポンプを駆動するための伝動系を小規模なものになり、それによるコストおよび重量軽減、並びに動力伝達効率の改善効果を得ることができるとともに、運転部と吐出ポンプとの移動距離も短縮化され、タンクローリの走行時の安定化が図られ、運転者の動線も短くなって労力軽減が可能となる利点もある。
【0013】
請求項2に記載の発明では、前記前部上側桁部材および前記後部上側桁部材を断面中空長方形状とし、その長辺を前記下側桁部材の一辺より大きくして、前記前部上側桁部材および前記後部上側桁部材のそれぞれ左右を複数の横架部材にて連結し、前記後部上側桁部材に連結する前記横架部材により前記吐出ポンプの吸入側に接続する前記流入管を支持するので、前記前部上側桁部材と前記後部上側桁部材とを断面中空長方形状にして前記シャーシの幅方向に沿って配設する前記梁部材への接合面積が広く結着力が強固になり、液体を収容する前記タンクの荷重が集中する前記梁部材の結合箇所が破損することが少なく、タンクローリの走行による前後左右の揺れに伴って、前記桁部材の長手方向にいくにつれて作用する大きな曲げ力に対抗することができる。しかも、前記後上側桁部材7bの左右を連結する前記横架部材により前記架台の強度が増大するとともに、前記タンク内の液体が通過する前記流入管を支持でき、タンクにおける底部から延設される配管類のスペースを確実に確保させる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、前記後部上側桁部材に沿って前記タンクの後方まで延びる第3流出管を前記第2流出管に接続するので、前記タンクとシャーシの狭い空間に前記前記第3流出管が配置され、タンクローリの車高が低くできるとともに、タンクの側部2箇所と後部1箇所との3箇所で液体の流出作業ができ、タンク内の流体の流出対象位置がタンクローリの後方向および左右方向のいずれに位置してもよく、地形や道路事情等によってタンクローリの向きが自由に選べない状況でも、いずれか近い方の流出口を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明におけるタンクローリを示す概略図。
【
図2】この発明における第1の実施の形態の架台を示す平面図。
【
図6】この発明における第2の実施の形態の架台を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明におけるタンクローリのタンクの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0017】
この発明における第1の実施の形態を、
図1および
図5に基づいて説明する。
図1はタンクローリの一例を示すもので、符号1で示されるものは、タンクローリのシャーシ3に対して軸線が水平姿勢になるように搭載されるタンクである。
【0018】
前記タンク1は内部に食糧品流体原料、食品油原料、流体化学薬品、溶剤等を充填し、前記タンク1を囲むコンテナ枠2aよりなるコンテナ2を車両のシャーシ3に架台4を介して載置する。
【0019】
前記架台4は前記シャーシ3の長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材5と、前記桁部材5の前後端に前記シャーシ3の幅方向に沿って配設する梁部材8とよりなる。
【0020】
前記桁部材5は断面中空正四角形状の下側桁部材6と、その上面に積み重ね配置した上側桁部材7とよりなり、前記上側桁部材7は前部上側桁部材7aと後部上側桁部材7bとに分割し、前記前上側桁部材7aと前記後部上側桁部材7bとは所定の間隔Sを有するように前記下側桁部材6の上面に溶着する。
【0021】
前記前部上側桁部材7aおよび前記後部上側桁部材7bを断面中空長方形状とし、その長辺を中空正四角形状の前記下側桁部材6の一辺より大きくして、前記下側桁部材6および前記上側部材7の両端は前記梁部材8に溶接され、一体に接合して前記架台4の全体を補強する。
【0022】
これにより、タンクローリの走行時の揺れに伴って、架台4の前後幅方向にいくにつれて大きな曲げ力が作用しても、このような前記下側桁部材5と前記上側桁部材6との接合及び梁部材7との接合により、前記曲げ力に抗することができる。
【0023】
前記前部上側桁部材7aおよび前記後部上側桁部材7bのそれぞれ左右を前記梁部材8と平行な複数の横架部材9にて連結し、これにより、前記架台4の中中央側の強度を保持させるようにしている。
【0024】
前記前部上側桁部材7aの後端に近傍する位置の前記下側桁部材6に切欠け11を設け、この切欠け11にヘッドバルブ(図示せず)を有する吐出ポンプ10の一部が挿入されるよう前記下側桁部材6に支持する。
【0025】
なお、前記吐出ポンプ10はタンクローリのエンジンなどの前記走行用駆動源(図示せず)からPTO方式の伝達機構12の駆動軸12aにより駆動される。なお、符号10aは前記ヘッドバルブの開閉を操作するハンドルで、符号10bはドレンである。
【0026】
前記吐出ポンプ10は、前記タンク1の前方に向く吸入側と前記タンク1の後方に向く吐出側とを有し、吸入側には流入管13が接続され、吐出側には第1流出管141が接続される。
【0027】
前記第1流出管141を前記タンク1の両外側に延びる第2流出管142に接続し、この第2流出管142は前記後部上側桁部材7bの前端に近接する位置の前記下側桁部材6の上面に固定し、さらに、前記第2流出管142の下方に前記吐出ポンプ10の前記流入管13を配管し、前記流入管13の先端はタンク1の後部に連通する。
【0028】
前記第2流出管142の両端には右側開閉バルブ151と左側開閉バルブ152を設け、前記右側開閉バルブ151と前記左側開閉バルブ152との操作によりタンクローリの両側2箇所において前記タンク1内の液体などの流出を制御する。
【0029】
なお、前記第2流出管142の残液は、下方に向かい傾斜する前記第1流出管141を経て前記吐出ポンプ10に集まり易く、前記吐出ポンプ10の前記ドレン10bから排出される。
【0030】
前記後部上側桁部材7bに連結する前記横架部材9の左右幅方向の中間にL字形状のブラケット16を設け、このブラケット16に締結する長尺Uボルト17により前記流入管13を支持する。
【0031】
また、前記流入管13の後部は前記梁部材8の下端に近接するので、前記流入管13の後部を短尺Uボルト18によって前記梁部材8に設けたブラケット(図示せず)に取付ける。
【0032】
前記前部上側桁部材7aおよび前記後部上側桁部材7bの前後に溶接する前記梁部材8の延長部8aとの交差隅には、前記架台4を補強する筋交い部材19が連結される。
【0033】
なお、前記シャーシ3の後端には、品名や標識等が記載された表示板が取り付けられたバンパー21が配備され、このバンパー21より前方に前記流入管13の後端が位置し、この後端は蓋13aにより閉鎖され、前記タンク1内の液体を前記吐出ポンプ10に流入させる際に前記蓋13aを取り外す。
【0034】
前記梁部材8の延長部8aの両端には、前記コンテナ枠2aを係脱可能に係止するための四角錐形状の突起20がそれぞれ設けられている。前記コンテナ2の前記架台4への搭載時には、前記コンテナ枠2aの下部四隅の底面の開口(図示せず)を前記突起20に挿入し、前記コンテナ枠2aを前記架台4に着脱可能に係止する。
【0035】
前記前部上側桁部材7aと前記後部上側桁部材7bとを断面中空長方形状にして前記シャーシ3の幅方向に沿って配設する前記梁部材8への接合面積が広く、結着力が強固になり、液体を収容する前記タンク1の荷重が集中する前記梁部材8の結合箇所が破損することが少なく、タンクローリの走行による前後左右の揺れに伴って、前記桁部材5の長手方向にいくにつれて作用する大きな曲げ力に対抗することができる。
【0036】
しかも、前記前部上側桁部材7aおよび前記後上側桁部材7bのそれぞれ左右を連結する前記横架部材9により前記架台4の強度が増大するとともに、前記横架部材9に前記タンク1内の液体が通過する前記流入管13および第3流出管143が支持される。
【0037】
前記タンク1とシャーシ3の床底の狭い空間に前記吐出ポンプ10および前記第1排出管141と前記第2排出管142を配置できてタンク1の全体の高さが低くなり、前記タンク1における底部から延設される配管類のスペースを確保させるとともに、前記タンク1の荷重が前記シャーシ3に対して確実に支持されてタンクローリにおける車高を低く設定できる。
【0038】
次に、第2の実施の形態を、
図6および
図7に基づいて説明する。この実施の形態において第1の実施の形態と同じ構成は同一の符号を付して説明する。
【0039】
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した第2流出管142は前記後部上側桁部材7bの前端に近接する位置の前記下側桁部材6の上面に固定した前記第2流出管142の左端に近い位置に第3流出管143を接続する。
【0040】
そして、前記第3流出管143前記前上側桁部材7aと前記後部上側桁部材7bとの間隔Sのある前記下側桁部材6の上面を通過させて、前記吐出ポンプ10の吸入側に接続される前記流入管13と、左側の前記後部上側桁部材7bとの間に配置し、前記後部上側桁部材7bを沿うようにして前記タンク1の後方まで延長させる。
【0041】
前記第3流出管143は前記流入管13の支持と同じように前記横架部材9に設けるL字形状の前記ブラケット16に短尺Uボルト18により支持し、前記後部上側桁部材7bを沿うようにして延長する。
【0042】
前記第3流出管143の後部は、前記流入管13と同じ高さで、前記下側桁部材6の側面を沿うように下方に屈曲させて前記梁部材8を通過させる。なお、前記流入管13および前記第3流出管143の後部は前記梁部材8の下端に近接するので、前記短尺Uボルト18によって前記流入管13と前記第3流出管143の後部を支持する。
【0043】
前記第3流出管143の後端に後側開閉バルブ153を設け、タンクローリの側部2箇所と後部1箇所との3箇所で液体の排出作業ができ、これにより、タンクローリの停止位置及び停止方向に制約されることなく、タンクローリの任意の箇所、例えば、タンク1の両側部及び後端部においてタンク1内からの液体の抜き取りができる。
【0044】
以上の構成におけるタンクローリは、前記架台4は前記シャーシ3の長手方向に沿って配設する左右一対の断面四角形状の桁部材5と、前記桁部材5の前後端に前記シャーシ3の幅方向に沿って配設する梁部材8とよりなり、
前記桁部材5を下側桁部材6と、この下側桁部材6の上面に配置される上側桁部材7とし、前記上側桁部材7は前部上側桁部材7aと後部上側桁部材7bとに分割し、前記前部上側桁部材7aと前記後部上側桁部材7bとは所定の間隔Sを有するように前記下側桁部材6の上面に溶着するので、前記桁部材5が下側桁部材6と、この下側桁部材6の上面に重ね溶接した上側桁部材7とにより、タンクの荷重を車体に対して確実に支持できる。
【0045】
また、前記前部上側桁部材7aの後端に近傍する位置の前記下側桁部材6に切欠け11を設け、この切欠け11に前記吐出ポンプ10の一部が挿入されるよう前記下側桁部材6に支持し、前記吐出ポンプ10に前記タンク1の後方に向く吐出側に連通する第1流出管141を前記タンク1の両側方に延びる前記第2流出管142に接続し、この第2流出管142を前記後部上側桁部材7bの前端に近傍する位置の前記下側桁部材6の上面に固定し、前記吐出ポンプ10に前記タンク1の前方に向く吸入側に接続する前記流入管13を前記第2流出管142の下方に配管するので、前記前部上側桁部材7aと前記後部上側桁部材7bとの所定の前記間隔Sに前記吐出ポンプ10や、前記吐出ポンプ10に接続する前記第1排出管141と前記第2排出管142とが配置され、前記タンク1とシャーシ3の床底の狭い空間に前記吐出ポンプ10および前記第1排出管141と前記第2排出管142を配置できてタンク1の全体の高さが低くなり、前記タンク1における底部から延設される配管類のスペースを確実に確保させるとともに、前記タンク1の荷重が前記シャーシ3に対して確実に支持されてタンクローリにおける車高を低く設定できる。
【0046】
しかも、タンクローリの前記タンク1内の液体を流出させる前記吐出ポンプ10をタンクローリにおける走行用駆動源の近傍位置に装備できるようになり、前記吐出ポンプ10がタンクローリの後端部に配置されている場合に比べて、車両前部に配置されるエンジンなどの走行用駆動源からの動力伝達経路および、その動力を断続する操作経路を短くすることが可能になる。これにより、前記吐出ポンプ10を駆動するための伝達系を小規模なものにすることができ、それによるコストや重量軽減効果、並びに動力伝達効率の改善効果を得ることができるとともに、運転席と前記吐出ポンプ10との移動距離も短縮化され、運転者の動線も短くなって労力軽減が可能となる利点もある。
【0047】
さらに、前記前部上側桁部材7aおよび前記後部上側桁部材7bを断面中空長方形状とし、その長辺を前記下側桁部材6の一辺より大きくして、前記前部上側桁部材7aおよび前記後部上側桁部材7bのそれぞれ左右を複数の前記横架部材9にて連結し、前記後部上側桁部材7bに連結する前記横架部材9により前記吐出ポンプ10の吸入側に接続する前記流入管13を支持してなるので、前記前部上側桁部材7aと前記後部上側桁部材7bとを断面中空長方形状にして前記シャーシ3の幅方向に沿って配設する前記梁部材8への接合面積が広く、結着力が強固になり、液体を収容する前記タンク1の荷重が集中する前記梁部材8の結合箇所が破損することが少なく、タンクローリの走行による前後左右の揺れに伴って、前記桁部材5の長手方向にいくにつれて作用する大きな曲げ力に対抗することができる。しかも、前記前部上側桁部材7aおよび前記後上側桁部材7bのそれぞれ左右を連結する前記横架部材9により前記架台4の強度が増大するとともに、前記タンク1内の液体が通過する前記流入管13および第3流出管143を支持でき、タンクにおける底部から延設される配管類のスペースが確保させる。
【0048】
また、前記後部上側桁部材7bに沿って前記タンク1の後方まで延びる前記第3流出管143を前記第2流出管142に接続することにより、前記タンク1と前記シャーシ3の狭い空間に前記第3流出管143が配置され、タンクローリの車高が低くできるとともに、前記タンク1の側方2箇所と後方1箇所との3箇所で液体の流出作業ができ、タンク1内の流体の流出対象位置がタンクローリの後方向および左右方向のいずれに位置してもよく、地形や道路事情等によってタンクローリの向きが自由に選べない状況でも、いずれか近い方の流出口を用いて前記吐出ポンプ10による液体の強制排出が可能となり、作業性が一層良くなる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明は、タンクローリにおけるタンクに接続される配管のスペースを確保して車高を低く設定し、配管内の吐出ポンプを走行用駆動源の近傍位置に配設できるタンクローリを提供する。
【符号の説明】
【0050】
1 タンク
2 コンテナ
2a コンテナ枠
3 シャーシ
4 架台
5 桁部材
6 下側桁部材
7 上側桁部材
7a 前部上側桁部材
7b 後部上側桁部材
8 梁部材
8a 延長部
9 横架部材
10 ポンプ
10a ハンドル
10b ドレン
11 切欠け
12 伝達機構
12a 駆動軸
13 流入管
13a 蓋
141 第1流出管
142 第2流出管
143 第3流出管
151 左側開閉バルブ
152 右側開閉バルブ
153 後側開閉バルブ
16 ブラケット
17 長尺Uボルト
18 短尺Uボルト
19 筋交部材
20 突起
21 バンパー
S 間隔