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特開2023-164240車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164240
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
G01M17/007 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129682
(22)【出願日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】202210491554.0
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522108459
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519320446
【氏名又は名称】中国汽車技術研究中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】李 菁元
(72)【発明者】
【氏名】胡 熙
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲ハン▼正男
(72)【発明者】
【氏名】馬 ▲クン▼其
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 永凱
(72)【発明者】
【氏名】安 暁▲プァン▼
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】車両の実際の道路データに対して処理選別及び特徴計算を行い、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立することで、車両の違っている走行シーンを区分するステップS1と、動作条件セグメントライブラリの時間特徴との一致性を保持することができるだけでなく、また後続するセグメント組み合わせフローの規範性を満たすことができる規則を確立し、速度区間範囲を合併し、動作条件区間及び区間サイクル構造に対する設計を完了するステップS2と、距離検定により、高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択するステップS3と、を含む車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法を提供する。
【効果】試験動作条件が異なる動作条件シーンの時間分布条件、及び各シーンが代表する実際の道路速度-勾配条件を効果的に反映することができ、それにより車両の違っている走行シーンに対する区分を実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1において、車両の実際の道路データに対して処理選別及び特徴計算を行い、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立することで、車両の違っている走行シーンを区分するステップと、
S2において、動作条件セグメントライブラリの時間特徴との一致性を保持することができるだけでなく、また後続するセグメント組み合わせフローの規範性を満たすことができる規則を確立し、速度区間範囲を合併し、動作条件区間及び区間サイクル構造に対する設計を完了するステップと、
S3において、距離検定により、高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択するステップと、
S4において、速度-勾配複合特徴検証により、非高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択して組み合わせ、動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、
S5において、複合カイ二乗検定により区間に跨る最適なサイクルの組み合わせを選択し、試験動作条件サイクルを構築するステップと、を含む、
ことを特徴とする車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項2】
ステップS1において記載された速度範囲別の動作条件セグメントライブラリの確立は、
A1において、収集データに対して周波数変換を行い、1秒ごとの速度-勾配データを形成し、1秒ごとのデータを切断し、動き及びアイドリングセグメントライブラリを確立し、速度が1km/hを超える時間を始点とし、1km/hに低下する時間を終点として、1つの動きセグメントにし、動きセグメントの終点から、再び速度が1km/hを超えるまでを、当該動きセグメントに対応するアイドリングセグメントにするステップと、
A2において、A1において確立されたセグメントライブラリに対して補充、最適化及び選別を行い、動作条件セグメントライブラリを確立するステップと、
A3において、A2において確立された動作条件セグメントライブラリを分割し、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立し、各区分シーンにおける速度-勾配動作条件特徴を反映するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項3】
ステップA2において記載された動作条件セグメントライブラリの確立は、
A21において、動きセグメントの1秒ごとの車速v(km/h)に基づいて対応する1秒ごとの加速度a(m/s)を計算するステップであって、計算式は、
=(vi+1-vi-1)/7.2
であるステップと、
A22において、速度要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大速度vmax<5km/h、若しくは>130km/h、最大加速度amax>4.5m/s、又は最小減速度amin<-4.5m/sであれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去するステップと、
A23において、選別された動きセグメントに対して、ロバスト局所的重み付け法を用いて1秒ごとの勾配(%)に対してフィルタリングによる平滑化処理を行い、干渉信号による勾配に対する影響を低減させ、
勾配要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大勾配smax>15%、又は最小勾配smin<-15%であれば、セグメントにおける勾配が0である秒数がセグメント時間を占める割合>5%であれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去するステップと、
A24において、選別された動きセグメントの1秒ごとの勾配S(%)に基づいて1秒ごとの勾配変化率ΔS(%)を計算するステップであって、計算式は、
ΔS=(Si+1-Si-1)/2
であるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項4】
ステップA3において記載された速度範囲別の動作条件セグメントライブラリの確立は、
A31において、A2で処理選別された動きセグメントに対して、その速度及び勾配動作条件の特徴パラメータである、
平均速度v(km/h):運転セグメントにおける全てのサンプリング点の速度の平均値、
動き時間lsm(s):運転セグメントの全体持続秒数、
アイドリング時間lsi(s):対応するアイドリングセグメントの全体持続秒数、
加速時間l sm(s):セグメントにおける加速度a≧0.1m/sのサンプリング点の秒数、
平均加速度a (m/s):セグメントにおける全ての加速サンプリング点の加速度平均値、
減速時間l sm(s):セグメントにおけるa≦-0.1m/sのサンプリング点の秒数、
平均減速度a (m/s):セグメントにおける全ての減速サンプリング点の加速度平均値、
登坂割合pup(%):セグメント勾配S≧0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、
平均登坂勾配s (%):セグメントにおける全ての登坂時間サンプリング点の勾配平均値、
降坂割合pdown(%):セグメント勾配S≦-0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、及び
平均降坂勾配s (%):セグメントにおける全ての降坂時間サンプリング点の勾配平均値、
を計算するステップと、
A32において、平均車速v≧i*5km/h且つ<(i+1)*5km/h(i=0、1、2…20)の動きセグメント及び対応するアイドリングセグメントを第i個の速度範囲セグメントライブラリに分割するステップと、
A33において、A32で分割して形成された各範囲ライブラリiに対して、ライブラリにおけるN個のセグメントの特徴パラメータに基づき、それに対応する全体動作条件特徴を計算するステップであって、計算式は、
【数1】
であるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項5】
ステップS2において記載された動作条件区間及び区間サイクル構造の設計は、
B1において、S1で形成された各速度範囲ライブラリにおける動きセグメントの総時間L(s)及び全てのアイドリングセグメントの総時間Idlet(s)に基づき、各速度範囲及びアイドリング動作条件の時間割合を計算するステップと、
B2において、B1で得られた割合に基づき、動作条件のサイクル時間に合わせて、各速度範囲lv(s)及びアイドリング動作条件のサイクル時間Idlec(s)を計算し、動きセグメントの平均時間L0に合わせて、範囲サイクルに含まれる初期動きセグメント数Nを計算するステップと、
B3において、規則を制定して速度範囲を合併し、k個の動作条件区間を形成し、第j(j=1、2…k)個の区間サイクルに含まれるべき動きセグメント数Nc及びサイクル時間lc0を積算し、Ncjを積算してサイクルに含まれる動きセグメント総数をNC、アイドリングセグメント総数をNC+1と算出するステップと、
B4において、動作条件区間のセグメントライブラリを確立し、ライブラリにおけるセグメントの特徴パラメータに基づき、各区間のセグメントライブラリの全体動作条件特徴を計算するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項6】
ステップB3において、規則の制定は具体的に、
各速度範囲のN0の低い順に従って、隣接する速度範囲を合併するか否かを判別し、
30km/h以下の速度範囲に対し、1.75≦N≦3であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、N>3であれば、Nc=4にし、
30km/h以上の速度範囲に対し、1.75≦N≦3.5であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、N>3.5であれば、Nc=4にし、
0.5≦N<1.75であれば、合併した範囲のN0積算値>1.75になるまで、当該速度範囲とその後の範囲を順次合併し、合併した範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、
<0.5であれば、当該速度範囲とその後の全ての範囲を合併し、高速動作条件区間(j=k)と決定し、Nc=1にすることであり、
以上の規則は、初期セグメント数Nと高い一致性を保持する前提で、合併された各動作条件区間のNcを1、2又は4の3つの数値に限定し、後続するセグメントのランダムな組み合わせのフローを1回又は2回の2つずつの組み合わせ操作に正規化し、動作条件設計の効率及び安定性を向上させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項7】
ステップS3において記載された設計結果に合致する高速動作条件区間の動きセグメントの選択は、
C1において、S2における平均車速が最も高い動作条件区間を高速動作条件区間と定義し、区間セグメントライブラリから、特徴パラメータとライブラリ全体動作条件特徴との間の無次元化距離が最も小さいサンプルを選択し、高速区間の動作条件サイクルとするステップと、
C2において、選択したセグメントの時間に基づき、アイドリング動作条件の時間に合わせて、その他の動作条件区間サイクルの時間を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項8】
ステップS4において記載された前記非高速動作条件区間の候補サイクル集合の確立は、
D1において、要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、
D2において、要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、を含み、
ステップD1において、要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合の形成は、
D11において、非高速の各動作条件区間に対し、区間セグメントライブラリにおけるサンプルを2つずつ組み合わせた後にランダムに抽出し、大量の2つのセグメントからなる組み合わせを形成するステップと、
D12において、各組み合わせサンプルの速度-勾配複合特徴パラメータを計算し、区間ライブラリの全体動作条件特徴との合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルの集合を選別するステップと、
D13において、B2において2つの動きセグメントを含むべきであると規定される動作条件区間に対し、D12の組み合わせの集合から時間と区間動作条件のサイクル時間との合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、当該動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、を含み、
ステップD2において、要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合の形成は、
D21において、B2において4つの動きセグメントを含むべきと規定される動作条件区間に対し、D12の組み合わせの集合におけるサンプルを再び2つずつ組み合わせ、大量の4つのセグメントからなる組み合わせを形成するステップと、
D22において、B2において4つの動きセグメントを含むべきと規定される動作条件区間に対し、D21の組み合わせの集合から時間と区間動作条件のサイクル時間との合致度が要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、当該動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項9】
ステップS5において記載された試験動作条件サイクルの構築は、
E1において、各非高速動作条件区間の候補動作条件サイクルの集合からサンプルを抽出して区間に跨るランダムな組み合わせを行い、いくつかの非高速動作条件サイクルの集合を形成するステップと、
E2において、集合における各サイクルサンプルの速度(v)-加速度(a)及び勾配(s)-勾配変化率(Δs)の1秒ごとの同時分布、並びに非高速動作条件の動きセグメントライブラリの全体V-A及びS-ΔS分布を計算し、これを基礎として速度と勾配の複合カイ二乗検定を行い、カイ二乗値が最も小さいサイクルサンプルを選択して非高速区間の動作条件サイクルとするステップと、
E3において、速度-勾配動作条件サイクルを構築するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。
【請求項10】
ステップE3における速度-勾配動作条件サイクルの構築は、
E31において、速度の低い順に従って、E2におけるサイクルに含まれる動きセグメントを配列し、それらの間に所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、非高速区間の試験動作条件サイクルを構築するステップと、
E32において、非高速区間サイクル後にS3における高速動作条件セグメントと1つの所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、速度-勾配複合動作条件サイクルテストを構築するステップと、
E33において、動作条件サイクルを出力し、動作条件特徴を計算して検証するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通輸送分野に属し、特に車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両試験動作条件は、自動車業界の重要な共通基盤技術である。車両の排出、エネルギー消費などの性能を評価する試験仕様及び規制基準の基礎であり、また車両技術検定及び最適化の基準である。
【0003】
車両の実際の道路走行中に、勾配によるエネルギー消費、排出及びその他の性能への影響が顕著である。現在、中国の車両が試験室用ハブで燃費及び排出試験を行う時に採用する試験動作条件は、いずれも速度サイクルであり、すなわち速度が時間につれて変化する単一の曲線であり、試験結果は、勾配による車両性能に対する影響を反映することができない。車両性能に対するより全面的な評価を実現するように、速度と同期して時間につれて変化する勾配サイクルを加え、速度及び勾配情報を含む試験動作条件を設計する必要がある。
【0004】
しかし、車両が違う走行シーンでリアルタイムに収集した勾配、速度情報の間には関連性が低い。現在、存在する勾配サイクルの設計過程の大部分は、単一速度サイクルの技術開発のロードマップを引き継ぐものであり、速度及び勾配データと時間との間の複雑な結合問題を解決することができない。出力した動作条件は、速度及び勾配情報を含むが、道路の速度-勾配複合特徴を効果的に反映することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本発明の目的は、従来の動作条件が道路勾配による車両性能に対する影響を反映できないという問題を解決するように、車両の実際の道路走行における収集データを処理及び分析することにより、速度-勾配の道路特徴を反映する動作条件セグメントライブラリを確立し、これを基礎として構築された速度-勾配複合動作条件サイクルテストが速度及び勾配による車両性能に対する総合的な影響を真実且つ効果的に反映でき、試験動作条件として、試験室用ハブによる試験により車両の燃費、排出などの性能に対するより全面的で正確な評価を実現できる車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は以下のように実現される。
【0007】
車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法は、
S1において、車両の実際の道路データに対して処理選別及び特徴計算を行い、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立することで、車両の違っている走行シーンを区分するステップと、
S2において、動作条件セグメントライブラリの時間特徴との一致性を保持することができるだけでなく、また後続するセグメント組み合わせフローの規範性を満たすことができる規則を確立し、速度区間範囲を合併し、動作条件区間及び区間サイクル構造に対する設計を完了するステップと、
S3において、距離検定により、高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択するステップと、
S4において、速度-勾配複合特徴検証により、非高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択して組み合わせ、動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、
S5において、複合カイ二乗検定により区間に跨る最適なサイクルの組み合わせを選択し、試験動作条件サイクルを構築するステップと、を含む。
【0008】
さらに、ステップS1において記載された速度範囲別の動作条件セグメントライブラリの確立は、
A1において、収集データに対して周波数変換を行い、1秒ごとの速度-勾配データを形成し、1秒ごとのデータを切断し、動き及びアイドリングセグメントライブラリを確立し、速度が1km/hを超える時間を始点とし、1km/hに低下する時間を終点として、1つの動きセグメントにし、動きセグメントの終点から、再び速度が1km/hを超えるまでを、当該動きセグメントに対応するアイドリングセグメントにするステップと、
A2において、A1において確立されたセグメントライブラリに対して補充、最適化及び選別を行い、動作条件セグメントライブラリを確立するステップと、
A3において、A2において確立された動作条件セグメントライブラリを分割し、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立し、各区分シーンにおける速度-勾配動作条件特徴を反映するステップと、を含む。
【0009】
さらに、ステップA2において記載された動作条件セグメントライブラリの確立は、
A21において、動きセグメントの1秒ごとの車速v(km/h)に基づいて対応する1秒ごとの加速度a(m/s)を計算するステップであって、計算式は、
=(vi+1-vi-1)/7.2
であるステップと、
A22において、速度要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大速度vmax<5km/h、若しくは>130km/h、最大加速度amax>4.5m/s、又は最小減速度amin<-4.5m/sであれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去するステップと、
A23において、選別された動きセグメントに対して、ロバスト局所的重み付け法を用いて1秒ごとの勾配(%)に対してフィルタリングによる平滑化処理を行い、干渉信号による勾配に対する影響を低減させ、
勾配要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大勾配smax>15%、又は最小勾配smin<-15%であれば、セグメントにおける勾配が0である秒数がセグメント時間を占める割合>5%であれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去するステップと、
A24において、選別された動きセグメントの1秒ごとの勾配S(%)に基づいて1秒ごとの勾配変化率ΔS(%)を計算するステップであって、計算式は、
ΔS=(Si+1-Si-1)/2
であるステップと、を含む。
【0010】
さらに、ステップA3において記載された速度範囲別の動作条件セグメントライブラリの確立は、
A31において、A2で処理選別された動きセグメントに対して、その速度及び勾配動作条件の特徴パラメータである、
平均速度v(km/h):運転セグメントにおける全てのサンプリング点の速度の平均値、
動き時間lsm(s):運転セグメントの全体持続秒数、
アイドリング時間lsi(s):対応するアイドリングセグメントの全体持続秒数、
加速時間l sm(s):セグメントにおける加速度a≧0.1m/sのサンプリング点の秒数、
平均加速度a (m/s):セグメントにおける全ての加速サンプリング点の加速度平均値、
減速時間l sm(s):セグメントにおけるa≦-0.1m/sのサンプリング点の秒数、
平均減速度a (m/s):セグメントにおける全ての減速サンプリング点の加速度平均値、
登坂割合pup(%):セグメント勾配S≧0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、
平均登坂勾配s (%):セグメントにおける全ての登坂時間サンプリング点の勾配平均値、
降坂割合pdown(%):セグメント勾配S≦-0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、及び
平均降坂勾配s (%):セグメントにおける全ての降坂時間サンプリング点の勾配平均値、
を計算するステップと、
A32において、平均車速v≧i*5km/h且つ<(i+1)*5km/h(i=0、1、2…20)の動きセグメント及び対応するアイドリングセグメントを第i個の速度範囲セグメントライブラリに分割するステップと、
A33において、A32で分割して形成された各範囲ライブラリiに対して、ライブラリにおけるN個のセグメントの特徴パラメータに基づき、それに対応する全体動作条件特徴を計算するステップであって、計算式は、
【0011】
【数1】
であるステップと、を含む。
【0012】
さらに、ステップS2において記載された動作条件区間及び区間サイクル構造の設計は、
B1において、S1で形成された各速度範囲ライブラリにおける動きセグメントの総時間L(s)及び全てのアイドリングセグメントの総時間Idlet(s)に基づき、各速度範囲及びアイドリング動作条件の時間割合を計算するステップと、
B2において、B1で得られた割合に基づき、動作条件のサイクル時間に合わせて、各速度範囲lv(s)及びアイドリング動作条件のサイクル時間Idlec(s)を計算し、動きセグメントの平均時間L0に合わせて、範囲サイクルに含まれる初期動きセグメント数Nを計算するステップと、
B3において、規則を制定して速度範囲を合併し、k個の動作条件区間を形成し、第j(j=1、2…k)個の区間サイクルに含まれるべき動きセグメント数Nc及びサイクル時間lc0を積算し、Ncjを積算してサイクルに含まれる動きセグメント総数をNC、アイドリングセグメント総数をNC+1と算出するステップと、
B4において、動作条件区間のセグメントライブラリを確立し、ライブラリにおけるセグメントの特徴パラメータに基づき、各区間のセグメントライブラリの全体動作条件特徴を計算するステップと、を含む。
【0013】
さらに、ステップB3において、規則の制定は具体的に以下のとおりである。
各速度範囲のN0の低い順に従って、隣接する速度範囲を合併するか否かを判別し、
30km/h以下の速度範囲に対し、1.75≦N≦3であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、N>3であれば、Nc=4にし、
30km/h以上の速度範囲に対し、1.75≦N≦3.5であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、N>3.5であれば、Nc=4にし、
0.5≦N<1.75であれば、合併した範囲のN0積算値>1.75になるまで、当該速度範囲とその後の範囲を順次合併し、合併した範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、
<0.5であれば、当該速度範囲とその後の全ての範囲を合併し、高速動作条件区間(j=k)と決定し、Nc=1にする。
【0014】
さらに、ステップS3において記載された設計結果に合致する高速動作条件区間の動きセグメントの選択は、
C1において、S2における平均車速が最も高い動作条件区間を高速動作条件区間と定義し、区間セグメントライブラリから、特徴パラメータとライブラリ全体動作条件特徴との間の無次元化距離が最も小さいサンプルを選択し、高速区間の動作条件サイクルとするステップと、
C2において、選択したセグメントの時間に基づき、アイドリング動作条件の時間に合わせて、その他の動作条件区間サイクルの時間を調整するステップと、を含む。
【0015】
さらに、ステップS4において記載された前記非高速動作条件区間の候補サイクル集合の確立は、
D1において、要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、
D2において、要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、を含み、
ステップD1において、要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合の形成は、
D11において、非高速の各動作条件区間に対し、区間セグメントライブラリにおけるサンプルを2つずつ組み合わせた後にランダムに抽出し、大量の2つのセグメントからなる組み合わせを形成するステップと、
D12において、各組み合わせサンプルの速度-勾配複合特徴パラメータを計算し、区間ライブラリの全体動作条件特徴との合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルの集合を選別するステップと、
D13において、B2において2つの動きセグメントを含むべきであると規定される動作条件区間に対し、D12の組み合わせの集合から時間と区間動作条件のサイクル時間との合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、当該動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、を含み、
ステップD2において、要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合の形成は、
D21において、B2において4つの動きセグメントを含むべきと規定される動作条件区間に対し、D12の組み合わせの集合におけるサンプルを再び2つずつ組み合わせ、大量の4つのセグメントからなる組み合わせを形成するステップと、
D22において、B2において4つの動きセグメントを含むべきと規定される動作条件区間に対し、D21の組み合わせの集合から時間と区間動作条件のサイクル時間との合致度が要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、当該動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、を含む。
【0016】
さらに、ステップS5において記載された試験動作条件サイクルの構築は、
E1において、各非高速動作条件区間の候補動作条件サイクルの集合からサンプルを抽出して区間に跨るランダムな組み合わせを行い、いくつかの非高速動作条件サイクルの集合を形成するステップと、
E2において、集合における各サイクルサンプルの速度(v)-加速度(a)及び勾配(s)-勾配変化率(Δs)の1秒ごとの同時分布、並びに非高速動作条件の動きセグメントライブラリの全体V-A及びS-ΔS分布を計算し、これを基礎として速度と勾配の複合カイ二乗検定を行い、カイ二乗値が最も小さいサイクルサンプルを選択して非高速区間の動作条件サイクルとするステップと、
E3において、速度-勾配動作条件サイクルを構築するステップと、を含む。
【0017】
さらに、ステップE3における速度-勾配動作条件サイクルの構築は、
E31において、速度の低い順に従って、E2におけるサイクルに含まれる動きセグメントを配列し、それらの間に所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、非高速区間の試験動作条件サイクルを構築するステップと、
E32において、非高速区間サイクル後にS3における高速動作条件セグメントと1つの所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、速度-勾配複合動作条件サイクルテストを構築するステップと、
E33において、動作条件サイクルを出力し、動作条件特徴を計算して検証するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べ、本発明に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法は、以下の有益な効果を有する。
(1)本発明に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法は、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立し、各ライブラリの動作条件特徴に基づいて動作条件区間設計を行い、試験動作条件が異なる動作条件シーンの時間分布条件、及び各シーンが代表する実際の道路速度-勾配条件を効果的に反映することができ、それにより車両の違っている走行シーンに対する区分を実現し、
(2)本発明に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法は、セグメントのランダムな組み合わせのフローの操作複雑度及びリソース占有量が高い。そのため、動作条件区間の設計ステップにおいて、合理的な速度範囲合併規則を制定し、動作条件セグメントライブラリの時間特徴と高い一致性を保持する前提で、高速区間サイクルに含まれる動きセグメント数を1にし、その他の区間を2又は4にし、それにより上記ランダムな組み合わせのフローを1回又は2回の2つずつの組み合わせに正規化し、動作条件設計の効率及び安定性を向上させ、
(3)本発明に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法は、速度、勾配のリアルタイムデータ間の関連度が低く、これらの間の結合問題を解決するために、動作条件区間の候補サイクル集合の確立ステップにおいて、上記セグメントの2つずつの組み合わせを基礎とする速度-勾配複合特徴検証フローを加え、区間サイクルが速度-勾配複合動作条件特徴に対する合致度要求を満たすことを保証する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の一部を構成する図面は、本発明へのさらなる理解を提供するために用いられ、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するために用いられ、本発明を不当に限定するものではない。図面において、
図1】本発明の実施例に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法における速度区間別の動作条件セグメントライブラリの確立フローの概略図である。
図2】本発明の実施例に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法における動作条件区間及び区間サイクル構造の設計フローの概略図である。
図3】本発明の実施例に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法における速度範囲の合併フローの概略図である。
図4】本発明の実施例に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法における高速動作条件区間の速度-勾配サイクル例の概略図である。
図5】本発明の実施例に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法における速度-勾配動作条件サイクルの構築フローの概略図である。
図6】本発明の実施例に記載の車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法における車両速度-勾配複合動作条件サイクルテスト例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
説明すべきものとして、矛盾しない場合、本発明における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0021】
以下、図面を参照し実施例に合わせて本発明を詳細に説明する。
【0022】
用語の説明:
局所的重み付け法とは、点xを中心として、前後に長さがfracのデータを切り取り、当該データに対して重み関数wを用いて重み付け線形回帰を行うことであり、(x,y^)(x,\hat{y})(x,y)を当該回帰線の中心値と記し、ここで、y^\hat{y}y^は、フィッティングした後の曲線対応値である。全てのn個のデータ点に対し、n本の重み付け回帰線を作成することができ、各回帰線の中心値の接続線は、このデータのlowess曲線である。
【0023】
無次元化とは、適切な変数置換により、物理量に関する方程式の一部又は全部の単位を取り除くことで、実験又は計算の簡略化を図ることである。
【0024】
カイ二乗検定とは、サンプルの実際の観測値と理論推定値との間のずれ程度を統計し、実際の観測値と理論推定値との間のずれ程度により、カイ二乗値の大きさが決定され、カイ二乗値が大きいほど、両者のずれ程度が大きく、逆に、両者の偏差が小さく、2つの値が完全に等しければ、カイ二乗値が0であり、理論値が完全に合致することが示されることである。
【0025】
図1から図6に示すように、車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法は、
S1において、車両の実際の道路データに対して処理選別及び特徴計算を行い、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立することで、車両の違っている走行シーンを区分するステップと、
S2において、動作条件セグメントライブラリの時間特徴との一致性を保持することができるだけでなく、また後続するセグメント組み合わせフローの規範性を満たすことができる規則を確立し、速度区間範囲を合併し、動作条件区間及び区間サイクル構造に対する設計を完了するステップと、
S3において、距離検定により、高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択するステップと、
S4において、速度-勾配複合特徴検証により、非高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択して組み合わせ、動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、
S5において、複合カイ二乗検定により区間に跨る最適なサイクルの組み合わせを選択し、試験動作条件サイクルを構築するステップと、を含む。
【0026】
本発明にて提供される方法により設計された速度-勾配複合車両試験動作条件サイクルは、車両の実際の道路走行時の速度-勾配条件をより効果的に反映することができる。それを試験動作条件とし、試験室のハブ試験により車両の燃費、排出などの性能に対するより全面的で正確な評価を実現することができ、それにより政府の標準制定、企業の車種製品開発及び試験設計に技術サポートを提供する。
【0027】
本発明の別の目的は、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立することで、複数種類の動作条件シーンにおける速度-勾配特徴に対するサイクルの代表性を向上させ、速度範囲合併の規則を制定することで、構築の効率と安定性を向上させ、セグメント組み合わせを基礎として区間サイクル構造の設計を行うことで、サイクルと速度-勾配複合動作条件特徴との合致度の要求を満たす車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法を提供することである。
【0028】
ステップS1において記載された速度範囲別の動作条件セグメントライブラリの確立操作は、収集データに対する周波数変換及び切断と、セグメントライブラリに対する補充、最適化及び選別と、さらなる特徴の計算及び速度範囲の分割とを含む。
【0029】
本実施例において、以下のステップA1~A3を含む。
【0030】
A1において、車両の実際の道路収集データに対して周波数変換及び切断を行い、動き及びアイドリングセグメントライブラリを確立し、
試験動作条件サイクルは、1秒ごとに変化する速度(km/h)及び勾配(%)データにより特徴付けられ、動作条件構築の要求を満たすために、車両の実際の道路で収集されたリアルタイムデータを周波数変換し、1秒ごとに対応する速度-勾配データを形成する必要がある。
【0031】
試験動作条件サイクルの構築は、セグメントの組み合わせにより完成され、そのため、上記1秒ごとのデータを切断してセグメントを形成し、速度が1km/hを超える時間(s)を始点とし、速度が1km/hに低下する時間を終点として、1つの動きセグメントにし、動きセグメントの終点から、再び速度が1km/hを超えるまでを、当該動きセグメントに対応するアイドリングセグメントにする。また、動きセグメントの時間を5s以上且3600s以下、アイドリングセグメントの時間を200s以上にし、そうでなければ、この組のセグメントを除去する。
【0032】
A2において、セグメントライブラリに対して補充、最適化及び選別を行い、動作条件セグメントライブラリを確立し、
動きセグメントの1秒ごとの車速v(km/h)に基づいて対応する1秒ごとの加速度a(m/s)を計算し、計算式は、
=(vi+1-vi-1)/7.2
である。
【0033】
速度要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大速度vmax<5km/h、若しくは>130km/h、最大加速度amax>4.5m/s、又は最小減速度amin<-4.5m/sであれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去する。
【0034】
選別された動きセグメントに対して、ロバスト局所的重み付け法(rlowess)を用いて1秒ごとの勾配(%)に対してフィルタリングによる平滑化処理を行い、干渉信号による勾配に対する影響を低減させ、
勾配要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大勾配smax>15%、又は最小勾配smin<-15%であれば、セグメントにおける勾配が0である秒数がセグメント時間を占める割合>5%であれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去する。
【0035】
選別された動きセグメントの1秒ごとの勾配S(%)に基づいて1秒ごとの勾配変化率ΔS(%)を計算し、計算式は、
ΔS=(Si+1-Si-1)/2
である。
【0036】
ステップA3において、各セグメントの速度及び勾配動作条件の特徴パラメータである、
平均速度v(km/h):運転セグメントにおける全てのサンプリング点の速度の平均値、
動き時間lsm(s):運転セグメントの全体持続秒数、
アイドリング時間lsi(s):対応するアイドリングセグメントの全体持続秒数、
加速時間l sm(s):セグメントにおける加速度a≧0.1m/sのサンプリング点の秒数、
平均加速度a (m/s):セグメントにおける全ての加速サンプリング点の加速度平均値、
減速時間l sm(s):セグメントにおけるa≦-0.1m/sのサンプリング点の秒数、
平均減速度a (m/s):セグメントにおける全ての減速サンプリング点の加速度平均値、
登坂割合pup(%):セグメント勾配S≧0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、
平均登坂勾配s (%):セグメントにおける全ての登坂時間サンプリング点の勾配平均値、
降坂割合pdown(%):セグメント勾配S≦-0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、及び
平均降坂勾配s (%):セグメントにおける全ての降坂時間サンプリング点の勾配平均値、
を計算する。
【0037】
平均車速vがi*5km/h以上且つ(i+1)*5km/h以下(i=0、1、2…20)の動きセグメント及び対応するアイドリングセグメントを第i個の速度範囲セグメントライブラリに分割する。各範囲ライブラリiに対して、ライブラリにおけるN個のセグメントの特徴パラメータに基づき、それに対応する全体動作条件特徴を計算し、計算式は、
【0038】
【数2】
である。
【0039】
ステップS2において記載された動作条件区間及び区間サイクル構造の設計は、各速度範囲及びアイドリング動作条件のサイクル時間及びそれに含まれる初期セグメント数を計算するステップと、隣接する速度範囲を合併して動作条件区間を形成するステップと、各動作条件区間セグメントライブラリの全体動作条件特徴を計算するステップと、を含む。
【0040】
本実施例において、以下のステップB1~B4を含む。
【0041】
B1において、各速度範囲ライブラリにおける動きセグメントの総時間及び全てのアイドリングセグメントの総時間に基づき、各速度範囲及びアイドリング動作条件の時間割合を計算する。
【0042】
B2において、B1で得られた割合に基づき、動作条件のサイクル時間に合わせて、各速度範囲及びアイドリング動作条件のサイクル時間を計算し、動きセグメントの平均時間に合わせて、範囲サイクルに含まれる初期動きセグメント数を計算する。
【0043】
本実施例において、出力された動作条件のサイクル時間を3600sに設定する。各速度範囲に含まれる動きセグメントの総時間L(s)及び全てのライブラリにおけるアイドリングセグメントの総時間Idlet(s)を統計し、各速度範囲lv(s)のサイクル時間及びアイドリング動作条件のサイクル時間Idlec(s)を計算し、計算式は、
【0044】
【数3】
である。
【0045】
サイクル時間lvをライブラリの平均動き時間L0で割り、当該範囲サイクルに含まれるべき原始動きセグメント数Nを得る。
【0046】
B3において、隣接する速度範囲を合併し、k個の動作条件区間を形成し、第j(j=1、2…k)個の区間サイクルに含まれるべき動きセグメント数Nc及びサイクル時間lc0を積算する。
【0047】
後続の構築フローにおいて、本ステップで形成された各動作条件区間の動きセグメントライブラリからサンプルを組み合わせて抽出してランダムな組み合わせを行い、Nc個のサンプルを含む大量のセグメント組み合わせの集合を形成し、動作条件構築の基礎とする必要がある。上記ランダムな組み合わせのフローは操作複雑度が高く、時間及びコンピュータメモリへの占有量が大きく、且つNcの増加に伴って極数的に増加する。
【0048】
そのために、規則を制定し、各速度範囲のN0の低い順に従って、隣接する速度範囲を合併するか否かを判別する。初期セグメント数Nの条件と高い一致性を保持する前提で、合併して形成された各動作条件区間のNcを1、2又は4の3つの数値に限定する。それにより上記フローのランダムな組み合わせのフローを1回又は2回の2つずつの組み合わせ操作に簡略化させ、動作条件設計の効率及び安定性を向上させる。
● 30km/h以下の速度範囲に対し、1.75≦N≦3であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、N>3であれば、Nc=4にし、
● 30km/h以上の速度範囲に対し、1.75≦N≦3.5であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Ncj=2にし、N>3.5であれば、Ncj=4にし、
● 0.5≦N<1.75であれば、合併した範囲のN0積算値>1.75になるまで、当該速度範囲とその後の範囲を順次合併し、合併した範囲を1つの動作条件区間と決定し、Nc=2にし、
● N<0.5であれば、当該速度範囲とその後の全ての範囲を合併し、高速動作条件区間(j=k)と決定し、Nc=1にする。
【0049】
さらに、Ncjを積算してサイクルに含まれる動きセグメント総数をNC、アイドリングセグメント総数をNC+1と算出する。
【0050】
B4において、動作条件区間のセグメントライブラリを確立し、ライブラリにおけるセグメントの特徴パラメータに基づき、各区間のセグメントライブラリの全体動作条件特徴を計算する。
【0051】
ステップS3において記載された設計結果に合致する高速動作条件区間の動きセグメントの選択は、区間セグメントライブラリの動作条件特徴との合致度が最も高い動きセグメントを選択し、高速動作条件区間のサイクルとするステップと、選択したセグメントの運転時間に基づいてその他の動作条件区間の動作条件のサイクル時間を調整するステップと、を含む。
【0052】
本実施例において、以下のステップC1とC2を含む。
【0053】
C1において、高速動作条件区間は、1つの動きセグメントを含む。高速動作条件のサイクルは、車両が実際の道路で高速に走行する時の速度-勾配条件を効果的に反映できることを保証するために、動作条件特徴と高速区間セグメントライブラリとの合致度が最も高い動きセグメントサンプルを選択し、高速動作条件のサイクルとする必要がある。
【0054】
サンプルと動作条件ライブラリの8つの特徴パラメータとの間の無次元化距離Dを計算し、合致度を評価する量子化指標とし、計算式は、
【0055】
【数4】
であり、
D値が最も小さい動きセグメントを選択して高速区間の動作条件サイクルとする。
【0056】
C2において、高速セグメントの運転時間lc(s)に基づき、その他の動作条件区間の動作条件のサイクル時間を調整し、計算式は、
【0057】
【数5】
であり、
アイドリング動作条件のサイクル時間Idlecをアイドリングセグメント総数(NC+1)で割り、丸めた後にサイクルを構成するアイドリングセグメントの所定の時間を取得する。
【0058】
ステップS4において記載された前記非高速動作条件区間の候補サイクル集合の確立は、Nc=2の動作条件区間に要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、Nc=4の動作条件区間に要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、を含む。
【0059】
サイクルを各区間の動作条件シーンに代表される実際の道路の速度-勾配条件を効果的に反映可能にするために、複合特徴検証により、上記集合から速度-勾配複合動作条件特徴の合致度要求を同時に満たすサンプルを選択し、候補サイクル集合を生成する。
【0060】
本実施例において、以下のステップD1とD2を含む。
【0061】
D1において、要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成し、
MATLAB(登録商標)のcombntns関数を用いて動作条件の区間ライブラリjにおけるN個のセグメントに2つのセグメントからなる組み合わせサンプルを合計で(N*(N-1)/2)個含む全集合を形成し、さらに、randperm関数を用いて集合からmin(1500000,N*(N-1)/20)個の組み合わせサンプルをランダムに抽出し、各サンプルの速度及び勾配の点における7つの特徴パラメータと対応する区間ライブラリの全体動作条件特徴との間の偏差度を計算し、合致度を評価する量子化指標とし、各パラメータの偏差度がいずれも8%以内の組み合わせを選別し、組み合わせ時間を積算する。
【0062】
含むべき動きセグメント数Ncが2の動作条件区間に対し、時間と動作条件区間のサイクル時間lcとの偏差が5%以内の2つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、動作条件区間の候補サイクル集合を形成する。
【0063】
D2において、要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成する。
【0064】
含むべき動きセグメント数Ncが4の動作条件区間に対し、上記の特徴の合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルの集合を基礎とし、再び2つずつランダムに組み合わせ、大量の4つのセグメントからなる組み合わせを形成し、組み合わせ時間を積算する。時間と動作条件区間のサイクル時間lcとの偏差が5%以内の4つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、当該区間の候補動作条件サイクルの集合を形成する。
【0065】
ステップS5において記載された速度-勾配複合動作条件サイクルテストの構築は、区間に跨るランダムな組み合わせにより非高速動作条件サイクルの集合を形成するステップと、速度と勾配の複合カイ二乗検定により最適な非高速動作条件サイクルを選択するステップと、速度-勾配複合動作条件サイクルテストを構築し検証するステップと、を含む。
【0066】
本実施例において、以下のステップE1~E3を含む。
【0067】
E1において、各非高速動作条件区間の候補動作条件サイクルの集合からサンプルを抽出して区間に跨るランダムな組み合わせを行い、いくつかの非高速動作条件サイクルの集合を形成する。
【0068】
E2において、集合における各サイクルサンプルに対し、スパンが[5km/h-0.5m/s]の各速度(v)-加速度(a)区間にある秒数とその総時間との比、すなわち当該サイクルの速度の同時分布vaを計算する。同様に、非高速の全ての動作条件の動きセグメントの全体分布VAを計算する。
【0069】
集合における各サイクルサンプルに対し、スパンが[1%-0.2%]の各勾配(s)-勾配変化率(Δs)区間にある秒数とその総時間との比、すなわち当該サイクルの勾配の同時分布sΔsを計算する。同様に、非高速の全ての動作条件の動きセグメントの全体分布SΔSを計算する。
【0070】
上記動作条件の区間分布を基礎とし、各サイクルサンプルの速度及び勾配分布のカイ二乗値を計算し、計算式は、
【0071】
【数6】
であり、
上記カイ二乗値の和が最も小さいサンプルを選択し、非高速区間の動作条件サイクルとする。
【0072】
E3において、速度-勾配動作条件サイクルを構築するステップであり、速度の低い順に上記サイクルに含まれる動きセグメントを配列し、首尾及びセグメントの間に所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、非高速区間の速度-勾配試験動作条件サイクルを形成し、さらに、サイクル後に高速動作条件セグメントと1つの所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの構築を完了する。
【0073】
(実施例1)
以下、図面に合わせて、発明の方法をさらに詳細に説明する。
【0074】
(1)データ収集及び前処理
典型的な都市で車群を確立し、実際の道路で長期間に自由に運転させて速度-勾配のリアルタイムデータを収集し、動作条件構築の基礎とした。データを収集する周波数は4hzであり、すなわち1秒に時間につれて同期変化する速度-勾配データを4組収集した。4組のデータの算術平均値を計算し、当該秒に対応する速度-勾配データとした。上記1秒ごとのデータを切断して動き及びアイドリングライブラリセグメントを形成し、さらにセグメントライブラリに対して補充、最適化及び選別を行い、動作条件セグメントライブラリを確立した。処理フローを図1に示す。
【0075】
本実施例において、データ条件を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
(2)速度範囲の分割
平均車速に基づいて動きセグメント及び対応するアイドリングセグメントを異なる速度範囲セグメントライブラリに分割して各ライブラリの全体動作条件特徴を計算し、本実施例の計算結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
(3)動作条件区間の設計
本実施例において、動作条件区間及び区間サイクル構造の設計フローを図2に示す。各速度範囲及びアイドリング動作条件のサイクル時間及び含まれる初期セグメント数を計算し、規則に基づいて隣接する速度範囲を合併して動作条件区間を形成した。合併フローを図3に示す。
【0080】
本実施例の区間設計過程及び結果を表3に示す。40~45及び45~50km/hの速度範囲と、50km/h以上の速度範囲とを合併し、表中に太字で示す。最終的に10個の動作条件区間を形成した。動作条件区間のセグメントライブラリを確立し、ライブラリにおけるセグメントサンプルの特徴パラメータに基づいて区間の全体動作条件特徴を計算した。
【0081】
【表3】
【0082】
動作条件サイクルに含まれる動きセグメントの総数は29であり、アイドリングセグメントの総数は30であった。
【0083】
(4)高速動作条件区間の最適な動きセグメントの選択
本実施例において、高速動作条件区間は、50~105km/hの速度範囲を代表する。区間動きセグメントライブラリから、動作条件ライブラリの8つの特徴パラメータとの間の無次元化距離が最も小さいサンプルを選択して高速動作条件区間のサイクルとした。セグメントの速度-勾配サイクルを図4に示し、セグメントと高速動作条件の特徴パラメータを表4に示す。
【0084】
【表4】
【0085】
選択したセグメントの時間に基づき、その他の9つの動作条件区間の動作条件のサイクル時間を調整し、調整後の結果を表3の第8列に示し、サイクルを構成するアイドリングセグメントの所定の時間は29sであった。
【0086】
(5)非高速動作条件区間の候補サイクル集合の確立
上記設計結果に基づき、0~5、30~35、35~40、及び40~50km/hの4つの動作条件区間に対し、その動きセグメントライブラリにおけるサンプルを2つずつ組み合わせた後にランダムに抽出し、大量の2つのセグメントからなる組み合わせを形成した。特徴及び時間検証により要求を満たす組み合わせサンプルを選択し、区間の候補動作条件サイクルの集合を形成し、
10~15、15~20、20~25、25~30及び5~10km/hの5つの動作条件区間に対し、その対応する特徴合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルの集合を基礎とし、再び2つずつランダムな組み合わせを行い、大量の4つのセグメントからなる組み合わせを形成し、さらに、時間が要求を満たす組み合わせサンプルを選択し、区間の候補動作条件サイクルの集合を形成した。
【0087】
各非高速動作条件区間の候補サイクル集合におけるサンプル数を表3の第9列に示す。
【0088】
(6)区間に跨るサイクルのランダムな組み合わせ及び複合カイ二乗検定
非高速の9つの候補動作条件サイクルの集合からサンプルをそれぞれ抽出し区間に跨るランダムな組み合わせを行い、いくつかの非高速動作条件(0~50km/h)の候補サイクル集合を形成した。集合における各サイクルサンプルの速度の同時分布va及び勾配の同時分布sΔsを計算した。
【0089】
0~50km/h動作条件区間の動きセグメントライブラリの全体VA分布を計算した。結果を表5に示す。
【0090】
【表5】
【0091】
0~50km/hの動作条件区間における動きセグメントライブラリの全体分布SΔSを計算し、結果を表6に示す。
【0092】
【表6】
【0093】
上記全体VA及びSΔS分布を基礎とし、サイクルサンプル集合に対して複合カイ二乗検定を行い、カイ二乗値の結果が最も小さいサンプルを選択し、非高速区間の動作条件サイクルとした。
【0094】
(7)速度-勾配動作条件サイクルの構築及び検証
速度の小さい順に上記サイクルに含まれる28個の動きセグメントを配列し、首尾及びセグメントの間に時間が29sのアイドリングセグメントを追加し、サイクル後に高速動作条件セグメント及び1つのアイドリングセグメントを追加し、車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの構築を完了した。各区間のセグメントの選択と組み合わせからサイクルの構築までのフローを図5に示す。
【0095】
本実施例において構築された車両速度-勾配複合動作条件サイクルテスト例は、速度(km/h)-勾配(%)の時間(s)につれて変化する曲線で特徴付けられ、持続時間が3616sであり、10個の動作条件区間で構成され、29個の動きセグメント及び30個のアイドリングセグメントを含み、図6に示すとおりである。
【0096】
サンプルの重要な特徴パラメータを計算し、車群が収集した実際の道路データベースの動作条件特徴と比較し検証し、結果を表7に示す。
【0097】
【表7】
【0098】
表における各パラメータの偏差度はいずれも5%以内であり、本実施例により構築された動作条件例と車両の実際の道路収集データとの間の合致度が良好であり、車両の実際の道路走行時の速度-勾配条件を効果的に反映できることが示される。本発明にて提供される車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法の合理性と操作可能性が検証される。
【0099】
当業者であれば意識できるように、本明細書に開示された実施例に合わせて説明された各例のユニット及び方法のステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は両者の結合により実現することができ、ハードウェアとソフトウェアの互換可能性を明らかに説明するために、上記説明において機能に応じて各例の構成及びステップを一般的に説明する。これらの機能がハードウェアで実行するかソフトウェアで実行するかは、技術的解決手段の特定の用途及び設計制約条件によって決められる。専門技術者であれば、各特定の用途に対して異なる方法を用いて説明された機能を実現することができるが、このような実現は、本発明の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0100】
本願にて提供されるいくつかの実施例において、開示された方法及びシステムは、他の態様によって実現できることを理解されたい。例えば、以上に記載のユニットの分割は、論理機能分割に過ぎず、実際に実現するときに別の分割方式にしてもよく、例えば、複数のユニット又はモジュールは結合しても、別のシステムに集積してもよく、又はいくつかの特徴は無視しても、実行しなくてもよい。上記ユニットは、物理的に分離されても分離されなくてもよく、ユニットとして表示される部品は物理ユニットであっても、でなくてもよく、すなわち1箇所に位置してもよいし、複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の必要に応じてそのうちの一部又は全部のユニットを選択して本発明の実施例の解決手段の目的を実現することができる。
【0101】
なお、以上の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためにのみ用いられ、それを限定するものではなく、前述した各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴に対して同等置換を行うことは依然としてできるが、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させず、いずれも本発明の特許請求の範囲及び明細書の範囲内に含まれるべきであることを理解すべきである。
【0102】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原則内で行われたあらゆる修正、同等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1において、車両を実際の道路で運転させた時の車両の速度と道路の勾配のデータに対して処理選別及び特徴計算を行い、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立することで、車両の違っている走行シーンを区分するステップと、
S2において、動作条件セグメントライブラリの時間特徴との一致性を保持することができるだけでなく、また後続するセグメント組み合わせフローの規範性を満たすことができる規則を確立し、速度区間範囲を合併し、動作条件区間及び区間サイクル構造に対する設計を完了するステップと、
S3において、距離検定により、高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択するステップと、
S4において、速度-勾配複合特徴検証により、非高速動作条件区間のために設計結果に合致する動きセグメントを選択して組み合わせ、動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、
S5において、複合カイ二乗検定により区間に跨る最適なサイクルの組み合わせを選択し、試験動作条件サイクルを構築するステップと、を含む構成において、
前記ステップS1において記載された速度範囲別の動作条件セグメントライブラリの確立は、
A1において、収集データに対して周波数変換を行い、1秒ごとの速度-勾配データを形成し、1秒ごとのデータを切断し、動き及びアイドリングセグメントライブラリを確立し、速度が1km/hを超える時間を始点とし、1km/hに低下する時間を終点として、1つの動きセグメントにし、動きセグメントの終点から、再び速度が1km/hを超えるまでを、当該動きセグメントに対応するアイドリングセグメントにするステップと、
A2において、A1において確立されたセグメントライブラリに対して補充、最適化及び選別を行い、動作条件セグメントライブラリを確立するステップであって、
A21において、動きセグメントの1秒ごとの車速vi(km/h)に基づいて対応する1秒ごとの加速度ai(m/s2)を計算するステップであって、計算式は、
ai=(vi+1-vi-1)/7.2
であるステップと、
A22において、速度要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大速度vmax<5km/h、若しくは>130km/h、最大加速度amax>4.5m/s2、又は最小減速度amin<-4.5m/s2であれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去するステップと、
A23において、選別された動きセグメントに対して、ロバスト局所的重み付け法を用いて1秒ごとの勾配(%)に対してフィルタリングによる平滑化処理を行い、干渉信号による勾配に対する影響を低減させ、
勾配要求に基づいてセグメントを選別するところ、動きセグメントの最大勾配smax>15%、又は最小勾配smin<-15%であれば、セグメントにおける勾配が0である秒数がセグメント時間を占める割合>5%であれば、当該動きセグメント及びそれに対応するアイドリングセグメントを除去するステップと、
A24において、選別された動きセグメントの1秒ごとの勾配Si(%)に基づいて1秒ごとの勾配変化率ΔSi(%)を計算するステップであって、計算式は、
ΔSi=(Si+1-Si-1)/2
であるステップと、を含むA2のステップと、
A3において、A2において確立された動作条件セグメントライブラリを分割し、速度範囲別の動作条件セグメントライブラリを確立し、各区分シーンにおける速度-勾配動作条件特徴を反映するステップであって、
A31において、A2で処理選別された動きセグメントに対して、その速度及び勾配動作条件の特徴パラメータである、
平均速度vm(km/h):運転セグメントにおける全てのサンプリング点の速度の平均値、
動き時間lsm(s):運転セグメントの全体持続秒数、
アイドリング時間lsi(s):対応するアイドリングセグメントの全体持続秒数、
加速時間l+sm(s):セグメントにおける加速度a≧0.1m/s2のサンプリング点の秒数、
平均加速度a+m(m/s2):セグメントにおける全ての加速サンプリング点の加速度平均値、
減速時間l-sm(s):セグメントにおけるa≦-0.1m/s2のサンプリング点の秒数、
平均減速度a-m(m/s2):セグメントにおける全ての減速サンプリング点の加速度平均値、
登坂割合pup(%):セグメント勾配S≧0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、
平均登坂勾配s+m(%):セグメントにおける全ての登坂時間サンプリング点の勾配平均値、
降坂割合pdown(%):セグメント勾配S≦-0.1のサンプリング点の秒数と動き時間との割合、及び
平均降坂勾配s-m(%):セグメントにおける全ての降坂時間サンプリング点の勾配平均値、
を計算するステップと、
A32において、平均車速vm≧i*5km/h且つ<(i+1)*5km/h(i=0、1、2…20)の動きセグメント及び対応するアイドリングセグメントを第i個の速度範囲セグメントライブラリに分割するステップと、
A33において、A32で分割して形成された各範囲ライブラリiに対して、ライブラリにおけるNi個のセグメントの特徴パラメータに基づき、それに対応する全体動作条件特徴を計算するステップであって、計算式は、
【数1】
であるステップと、を含むA3のステップと
を有するS1のステップであり、
前記ステップS2において記載された動作条件区間及び区間サイクル構造の設計は、
B1において、S1で形成された各速度範囲ライブラリにおける動きセグメントの総時間Li(s)及び全てのアイドリングセグメントの総時間Idlet(s)に基づき、各速度範囲及びアイドリング動作条件の時間割合を計算するステップと、
B2において、B1で得られた割合に基づき、動作条件のサイクル時間に合わせて、各速度範囲lvi(s)及びアイドリング動作条件のサイクル時間Idlec(s)を計算し、動きセグメントの平均時間L0iに合わせて、範囲サイクルに含まれる初期動きセグメント数N0を計算するステップと、
B3において、規則を制定して速度範囲を合併し、k個の動作条件区間を形成し、第j(j=1、2…k)個の区間サイクルに含まれるべき動きセグメント数Ncj及びサイクル時間lc0jを積算し、Ncjを積算してサイクルに含まれる動きセグメント総数をNC、アイドリングセグメント総数をNC+1と算出するステップと、
B4において、動作条件区間のセグメントライブラリを確立し、ライブラリにおけるセグメントの特徴パラメータに基づき、各区間のセグメントライブラリの全体動作条件特徴を計算するステップとを含み、
ここで前記ステップB3において、規則の制定は具体的に、
各速度範囲のN0の低い順に従って、隣接する速度範囲を合併するか否かを判別し、
30km/h以下の速度範囲に対し、1.75≦N0≦3であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Ncj=2にし、N0>3であれば、Ncj=4にし、
30km/h以上の速度範囲に対し、1.75≦N0≦3.5であれば、当該速度範囲を1つの動作条件区間と決定し、Ncj=2にし、N0>3.5であれば、Ncj=4にし、
0.5≦N0<1.75であれば、合併した範囲のN0積算値>1.75になるまで、当該速度範囲とその後の範囲を順次合併し、合併した範囲を1つの動作条件区間と決定し、Ncj=2にし、
N0<0.5であれば、当該速度範囲とその後の全ての範囲を合併し、高速動作条件区間(j=k)と決定し、Nck=1にすることであり、
以上の規則は、初期セグメント数N0と高い一致性を保持する前提で、合併された各動作条件区間のNcjを1、2又は4の3つの数値に限定し、後続するセグメントのランダムな組み合わせのフローを1回又は2回の2つずつの組み合わせ操作に正規化し、動作条件設計の効率及び安定性を向上させるB3のステップである、
S2のステップであり、
前記ステップS3において記載された設計結果に合致する高速動作条件区間の動きセグメントの選択は、
C1において、S2における平均車速が最も高い動作条件区間を高速動作条件区間と定義し、区間セグメントライブラリから、特徴パラメータとライブラリ全体動作条件特徴との間の無次元化距離が最も小さいサンプルを選択し、高速区間の動作条件サイクルとするステップと、
C2において、選択したセグメントの時間に基づき、アイドリング動作条件の時間に合わせて、その他の動作条件区間サイクルの時間を調整するステップと
を含むS3のステップであり、
前記ステップS4において記載された前記非高速動作条件区間の候補サイクル集合の確立は、
D1において、要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、
D2において、要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合を形成するステップと、を含み、
ステップD1において、要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせの集合の形成は、
D11において、非高速の各動作条件区間に対し、区間セグメントライブラリにおけるサンプルを2つずつ組み合わせた後にランダムに抽出し、大量の2つのセグメントからなる組み合わせを形成するステップと、
D12において、各組み合わせサンプルの速度-勾配複合特徴パラメータを計算し、区間ライブラリの全体動作条件特徴との合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルの集合を選別するステップと、
D13において、B2において2つの動きセグメントを含むべきであると規定される動作条件区間に対し、D12の組み合わせの集合から時間と区間動作条件のサイクル時間との合致度が要求を満たす2つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、当該動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと、を含み、
ステップD2において、要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせの集合の形成は、
D21において、B2において4つの動きセグメントを含むべきと規定される動作条件区間に対し、D12の組み合わせの集合におけるサンプルを再び2つずつ組み合わせ、大量の4つのセグメントからなる組み合わせを形成するステップと、
D22において、B2において4つの動きセグメントを含むべきと規定される動作条件区間に対し、D21の組み合わせの集合から時間と区間動作条件のサイクル時間との合致度が要求を満たす4つのセグメントからなる組み合わせサンプルを選択し、当該動作条件区間の候補サイクル集合を確立するステップと
を含むS4のステップであり、
前記ステップS5において記載された試験動作条件サイクルの構築は、
E1において、各非高速動作条件区間の候補動作条件サイクルの集合からサンプルを抽出して区間に跨るランダムな組み合わせを行い、いくつかの非高速動作条件サイクルの集合を形成するステップと、
E2において、集合における各サイクルサンプルの速度(v)-加速度(a)及び勾配(s)-勾配変化率(Δs)の1秒ごとの同時分布、並びに非高速動作条件の動きセグメントライブラリの全体V-A及びS-ΔS分布を計算し、これを基礎として速度と勾配の複合カイ二乗検定を行い、カイ二乗値が最も小さいサイクルサンプルを選択して非高速区間の動作条件サイクルとするステップと、
E3において、速度-勾配動作条件サイクルを構築するステップであって
E31において、速度の低い順に従って、E2におけるサイクルに含まれる動きセグメントを配列し、それらの間に所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、非高速区間の試験動作条件サイクルを構築するステップと、
E32において、非高速区間サイクル後にS3における高速動作条件セグメントと1つの所定の時間のアイドリングセグメントを追加し、速度-勾配複合動作条件サイクルテストを構築するステップと、
E33において、動作条件サイクルを出力し、動作条件特徴を計算して検証するステップと、を含むE3のステップと
を含むS5のステップである
ことを特徴とする車両速度-勾配複合動作条件サイクルテストの設計方法。