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特開2023-164252プログラム、情報処理装置、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164252
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/015 20230101AFI20231102BHJP
   G06Q 30/0251 20230101ALI20231102BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
G06Q30/02 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171983
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2022075417の分割
【原出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】遺伝子情報を用いた購買行動の興趣性を高める。
【解決手段】プロセッサ29とメモリ25とを備えるサーバ20を動作させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサ29に、個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップと、予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した遺伝子情報に基づいて個人の将来の態様を予測するステップと、予測された態様に基づいてサービスを選定するステップと、選定されたサービスを個人に提示するステップとを実行させる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップと、
予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と、前記人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した前記遺伝子情報に基づいて前記個人の将来の態様を予測するステップと、
予測された前記態様に基づいてサービスを選定するステップと、
選定された前記サービスを前記個人に提示するステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記予測された態様は、身体的特徴、被服のサイズのうちの少なくとも一つである請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは、さらに、
前記個人と所定の関係を有する者から、前記態様を予測する前提として、前記予測するステップにおける前記遺伝子情報の使用の許諾を受け付けるステップを実行させ、
前記予測するステップにおいて、前記許諾を受け付けたことを条件に前記態様を予測する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記プログラムは、さらに、
前記個人と所定の関係を有する者から当該者についての情報を取得するステップを実行させ、
前記予測するステップにおいて、取得した前記情報に基づいて前記態様を予測する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記プログラムは、さらに、
前記個人と所定の関係を有する者から当該者についての前記遺伝子情報を取得するステップを実行させ、
前記予測するステップにおいて、取得した前記者についての前記遺伝子情報と前記個人についての前記遺伝子情報との類似性に基づいて前記態様を予測する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記提示するステップにおいて、前記提示する前記サービスの前提となる前記遺伝子情報に応じて前記サービスを順序づけて提示する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップと、
予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と前記人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した前記遺伝子情報に基づいて前記個人の将来の態様を予測するステップと、
予測された前記態様に基づいてサービスを選定するステップと、
選定された前記サービスを前記個人に提示するステップと
を実行する、情報処理装置。
【請求項8】
プロセッサとメモリとを備えたコンピュータにより実行される方法であって、
前記プロセッサは、
個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップと、
予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と前記人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した前記遺伝子情報に基づいて前記個人の将来の態様を予測するステップと、
予測された前記態様に基づいてサービスを選定するステップと、
選定された前記サービスを前記個人に提示するステップと
を実行する、方法。
【請求項9】
個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得する手段と、
予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と前記人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した前記遺伝子情報に基づいて前記個人の将来の態様を予測する手段と、
予測された前記態様に基づいてサービスを選定する手段と、
選定された前記サービスを前記個人に提示する手段と
を具備する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子情報を用いて、サンプルの提供者に対して商品を提案する技術が存在する。
【0003】
上述した技術に関連する技術として、特許文献1、特許文献2に開示された技術がある。
【0004】
特許文献1には、遺伝子情報と、行動情報との関連性を学習し、所定の遺伝子情報を有する利用者が購入する可能性が高い商品を特定し、特定した商品を利用者に提案する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、遺伝子情報の解析結果に基づくスコアおよび生活習慣に基づくスコアに基づき、ユーザについての所定の疾病の発症リスクに関するスコアを決定し、決定したスコアに基づき、契約可能な保険商品を選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-204199号公報
【特許文献2】特開2020-204791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これら特許文献1、特許文献2に開示された技術は、いずれも、サンプル提供者に対して現在利用可能な商品を提案するものである。一方、人間は時間経過に伴って身長、体重、さらには嗜好が変化するものの、特許文献1、特許文献2に開示された技術では、時間経過後にその人間が所望するだろうサービスを提供することは困難である。
【0008】
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、遺伝子情報を用いた購買行動の興趣性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
プロセッサとメモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムである。プログラムは、プロセッサに、個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップと、予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した遺伝子情報に基づいて個人の将来の態様を予測するステップと、予測された態様に基づいてサービスを選定するステップと、選定されたサービスを個人に提示するステップと
を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、遺伝子情報を用いた購買行動の興趣性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】システムの動作の概要を説明するための図である。
図2】システムの全体の構成を示す図である。
図3】端末装置の機能的な構成を示す図である。
図4】サーバの機能的な構成を示す図である。
図5】データベースのデータ構造を示す図である。
図6】データベースのデータ構造を示す図である。
図7】データベースのデータ構造を示す図である。
図8】データベースのデータ構造を示す図である。
図9】データベースのデータ構造を示す図である。
図10】データベースのデータ構造を示す図である。
図11】システムにおける処理流れの一例を示すフローチャートである。
図12】システムにおける処理流れの一例を示すフローチャートである。
図13】端末装置で表示される画面の一例を表す模式図である。
図14】端末装置で表示される画面の別の一例を表す模式図である。
図15】端末装置で表示される画面のまた別の一例を表す模式図である。
図16】端末装置で表示される画面のまた別の一例を表す模式図である。
図17】端末装置で表示される画面のまた別の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0013】
また、以下の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0014】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0015】
また、以下の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
【0016】
また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0017】
また、以下の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部などを用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス)とされてもよい。
【0018】
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0019】
また、以下の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0020】
また、以下の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0021】
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0022】
<0 システムの概要>
図1は、本開示に係るシステムの動作の概要を示す図である。本開示のシステムは、個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得し、予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した遺伝子情報に基づいて個人の将来の態様を予測する。そして、システム1は、予測された態様に基づいてサービスを選定し、選定したサービスを個人に提示する。
【0023】
図1に示すように、システム、またはシステム外の所定のシステムは、本システムの利用者であるユーザ(個人)からサンプルの提供を受け、システム、またはシステム外の所定のシステムは、ユーザから提供されたサンプルを用いて、このサンプルに含まれている染色体を抽出し、この染色体のゲノムを解析することでゲノム情報を取得する。さらに、システム、またはシステム外の所定のシステムは、取得したゲノム情報から、図1において図示を省略する遺伝子ライブラリに基づいて、ユーザの遺伝子情報を取得する。
【0024】
ここにいうサンプルとは遺伝子が含まれた生体サンプルであり、一例として、毛髪、血液、爪などが挙げられる。通常、サンプルの提供はシステムに対してオフライン(郵送など)で行われるが、サンプル提供手法に特段の制限はない。
【0025】
ゲノムは、核酸配列(塩基配列)で表現される、個人の完全な遺伝情報を意味する。ゲノムは、遺伝子として機能する領域の塩基配列と、ノンコーディングDNAである領域の塩基配列の両方を含む。
【0026】
遺伝子には、少なくとも、タンパク質の一次構造に対応する転写産物(つまりmRNA)の情報を含む核酸分子上の特定の領域である構造遺伝子(シストロン)を含む。また、転写調節領域を含めて遺伝子として考えてもよい。また、遺伝子には、一塩基多型(SNP)を少なくとも含む。遺伝子型が異なる遺伝子を必ずしも区別して考える必要はないが、後述する、成長に伴う態様との関連性を考慮する観点からは、少なくとも一塩基多型については区別して考えることが好ましい。これは、遺伝子に基づいて翻訳されたタンパク質がそれぞれの一塩基多型でわずかながらでもその構造が異なる可能性があり、このタンパク質の構造差が成長に伴う態様に影響を及ぼすことが十分考えられるからである。
【0027】
以上から、本明細書における遺伝子とは、翻訳されて特定のタンパク質が生成されることが事前に知られている遺伝子を主に含むが、ノンコーディングDNAにおける遺伝子を排除する意図はない。
【0028】
なお、本明細書及び図面全体において、個々の遺伝子を特定、区別するために、遺伝子にアルファベット一文字を付しているが、これは単なる例示であって、一般的に遺伝子を特定、区別する文字列は複数のアルファベット(及び必要に応じて数字)である。
【0029】
一方、図1に示すように、システム、またはシステム外の所定のシステムは、不特定多数の人間から提供または取得したゲノム情報から、人間についての遺伝子情報を取得する。ここにいう遺伝子情報とは、遺伝子を構成する塩基配列と遺伝子の名称(文字列)との組合せを少なくとも含む。
【0030】
本明細書における遺伝子情報はデータベース化されていることが好ましい。このようなデータベースとして、遺伝子ライブラリが挙げられる。遺伝子ライブラリとしてよく知られているものとして、ゲノムワイド関連解析(GWAS:genome-wide association study)がある。但し、GWASは一塩基多型と特定の形質や疾患についての表現型との関係に注目したものであり、本明細書において用いられる遺伝子ライブラリは、表現系との関係性まで解明されているものである必要はない。
【0031】
さらに、システム、またはシステム外の所定のシステムは、不特定多数の人間の成長に伴う態様を取得する。ここにいう成長に伴う態様とは、個人の年齢とその年齢におけるその個人の態様とが関連付けられたものである。個人の態様には種々のものが含まれ、一例として、身体的特徴、例えば、身長、体重、肩幅、胴回り等が挙げられる。また、個人の態様には、例えば、被服のサイズ、例えば、衣服のサイズ、靴のサイズが含まれてもよい。他に、病歴、運動能力等の身体情報、商品やサービスの購買の傾向などもここにいう個人の態様に含まれる。
【0032】
成長に伴う態様は種々の手法により取得することができる。図1に示すシステムを利用して後述するサービスの提示を受ける(受けることを希望する)ユーザが、自身の成長に伴う態様に関する情報を提供し、システムがこれを蓄積する手法も一例として挙げられる。また、一般的に公開された統計情報をシステムが取得してもよい。また、企業等が所有するマーケティング情報をシステムが取得してもよい。
【0033】
ここで、同一の年齢であっても個人の態様には種々存在しうる。成長に伴う態様としての情報は、個人単位での情報が多数蓄積されたものであり、従って、同一の年齢であっても複数の個人の態様が存在しうる。むしろ、後述する成長に伴う態様の推定及びサービスの選定の精度を向上させる観点からは、同一の年齢に多数の個人の態様が紐付けられていることが好ましい。
【0034】
なお、身長、体重、衣服のサイズのように、個人の態様が数値で表現される場合は、この数値を個人の態様としてよいが、商品やサービスの購買の傾向のように、個人の態様が数値で表現しづらい場合は、幾つかの類型を用意しておき、購買の傾向をこの類型により表現することが好ましい。
【0035】
次いで、システムは、取得した遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析する。解析手法の詳細については後述する。関連性とは、例えば図1に示す例では、遺伝子Aを持つ個人は成長に伴う態様として特定の範囲の身長である(図1では「身長」と示しているが、具体的には特定の数値範囲の身長である)ということを意味する。関連性は確率として与えられることが多い。つまり、図1に示す例でいえば、遺伝子Aを持つからといって必ず特定範囲の身長であるとは限らない、ということである。
【0036】
ここに、成長に伴う態様は年齢と個人の態様との組合せである。従って、例えば、図1に示す例において、遺伝子Aを有する個人は、成長に伴う態様に記述された特定の年齢において特定の数値範囲の身長であることが推測される、ということである。従って、後述する、システムを用いてサービスの提示を希望する個人の年齢と、関連性に基づいて特定される将来の態様における年齢とは一致しないことが多い。むしろ、システムを利用する個人は、将来の自分自身の態様の推定を希望し、推定された個人の態様に基づいて、サービスの提示を希望する。言い換えれば、システムを利用する個人は、システムを利用する時点における個人の年齢より若齢の個人の態様(つまり自身の過去の態様)の推定を希望することはないであろう、ということである。
【0037】
さらに、システムの利用者は、遺伝子解析を行った結果として得られた遺伝子情報をシステムに提供し、システムは、解析を行った遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性に基づき、提供された遺伝子情報に関連性がある将来の態様を予測する。
【0038】
ここに、システムの利用者には、提供された遺伝子情報に係る個人ばかりでなく、この個人に対して所定の関係を有する者も含まれる。所定の関係を有する者の一例として、遺伝子情報を提供した個人の親権者を含む親族(つまり日本国民法における血族及び姻族)が挙げられる。特に、親族において、遺伝子情報を提供した個人からみて世代を遡る親族であることが好ましい。これは、後に詳述するように、サービスの提示を受ける個人は若齢である(未成年であることが多いだろう)ことが考えられ、この場合、遺伝子情報のシステムにおける利用の許諾が必要であり、許諾できるのは個人から見て世代を遡る親族だと考えられるからである。
【0039】
そして、システムは、予測した将来の態様に基づき、好ましくは予測した将来の態様に適したサービスを選定し、選定したサービスをシステムの利用者に提示する。一例として、予測した将来の態様が、20歳において服のサイズが9号である可能性が高いというものであれば、20歳は就職活動中であることが十分推測されるので、システムは就職活動用の9号のスーツの購買を推奨する。さらに、システムは、提示したサービスの購買を行えるサイトに誘導し、サービスの購買予約を行わせてもよい。
【0040】
<1 システム全体の構成図>
図2は、システム1の全体構成の例を示すブロック図である。図2に示すシステム1は、例えば、端末装置10、サーバ20、データサーバ30、サービスサイト40を含む。端末装置10、サーバ20、データサーバ30及びサービスサイト40は、例えば、ネットワーク80を介して通信接続する。
【0041】
図2において、システム1が端末装置10を1台含む例を示しているが、システム1に含まれる端末装置10の数は、1台に限定されない。端末装置10は、所有者自身あるいは所有者の子供など、所有者と所定の関係を有する者のサンプルを提供して遺伝子解析により遺伝子情報を取得し、この遺伝子情報に基づいて予測される将来の態様に基づくサービスの提示を希望する者が所持する端末である。
【0042】
本実施形態において、複数の装置の集合体を1つのサーバとしてもよい。1つ又は複数のハードウェアに対して本実施形態に係るサーバ20を実現することに要する複数の機能の配分の仕方は、各ハードウェアの処理能力及び/又はサーバ20に求められる仕様等に鑑みて適宜決定することができる。
【0043】
図1に示す端末装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末でもよいし、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCであってもよい。また、HMD(Head Mount Display)、腕時計型端末等のウェアラブル端末であってもよい。
【0044】
端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。
【0045】
通信IF12は、端末装置10が、例えば、サーバ20等のシステム1内の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0046】
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。
【0047】
出力装置14は、ユーザに対して情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
【0048】
メモリ15は、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0049】
ストレージ16は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0050】
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0051】
データサーバ30は、例えば、ネットワーク80に接続されたコンピュータにより実現される。データサーバ30は、不特定多数の個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析を行った結果としての、不特定多数の個人の遺伝子情報を有する。また、データサーバ30は、不特定多数の個人の成長に伴う態様を有する。
【0052】
図1において、データサーバ30は単体で設けられているが、遺伝子情報を有するサーバと成長に伴う態様を有するサーバとを別体にしてもよいし、複数の装置の集合体を1つのデータサーバ30としてもよい。
【0053】
本実施形態において、データサーバ30は、他のサーバによる遺伝子解析の結果を受け取り、これを不特定多数の個人の遺伝子情報として格納してもよいし、データサーバ30が遺伝子解析を行い、これを不特定多数の個人の遺伝子情報として格納してもよい。
【0054】
また、データサーバ30は、他のサーバによる成長に伴う態様を受け取り、これを不特定多数の個人の成長に伴う態様として格納する。上述したように、成長に伴う態様の少なくとも一部は統一した分類基準により一定のラベリングを行った成長に伴う態様として分類することが好ましい。この分類作業は、上記他のサーバが行ってもよいし、データサーバ30が行ってもよいし、サーバ20が行ってもよい。
【0055】
データサーバ30は、また、遺伝子情報を提供した個人と成長に伴う態様を提供した個人との間の関係性を特定する特定情報を有する。個人情報保護の観点から、この特定情報は個人が特定可能な情報(例えば氏名)ではなく、遺伝子情報と成長に伴う態様との関係を一意に特定できる、匿名性を有する情報であることが好ましい。特定情報についても、他のサーバから受け取ってもよいし、データサーバ30、またはサーバ20が、遺伝子情報に紐付けられた、このゲノム情報を提供した個人に関する情報と、成長に伴う態様に紐付けられた、この成長に伴う態様を提供した個人に関する情報とに基づいて生成してもよい。
【0056】
サーバ20は、データサーバ30に格納された遺伝子情報と成長に伴う態様とに基づいて、これら遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析する。この際、サーバ20は、特定情報に基づいて遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析することが好ましい。
【0057】
本実施形態では、遺伝子情報、成長に伴う態様及び特定情報はデータサーバ30に格納されているが、遺伝子情報と成長に伴う態様もサーバ20に格納しておく構成も可能である。
【0058】
サーバ20は、例えば、ネットワーク80に接続されたコンピュータ(情報処理装置)により実現される。図1に示すように、サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0059】
通信IF22は、サーバ20が、例えば、端末装置10等のシステム1内の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0060】
入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、ユーザに対して情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。
【0061】
メモリ25は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM等の揮発性のメモリである。
【0062】
ストレージ26は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDDである。
【0063】
プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0064】
サービスサイト40は、各種商品・サービスを、端末装置10の所有者に提供するサイトであり、いわゆる電子商取引サイトである。サーバ20は、遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性に基づいて、端末装置10から提供されたサンプルを遺伝子解析して得られた遺伝子情報から、サンプル提供者の将来の態様を推定し、この推定結果に基づいて各種サービスを提示する。サービスの提示には、このサービスサイト40における購買を可能にする情報、例えばサービスサイト40の特定の場所にアクセスできるリンク情報の提示が一例として含まれる。
【0065】
<1.1 端末装置の機能的な構成>
図3は、図2に示す端末装置10の機能的な構成の例を表すブロック図である。図3に示す端末装置10は、例えば、PC、携帯端末、またはウェアラブル端末により実現される。図3に示すように、端末装置10は、通信部120と、入力装置13と、出力装置14と、音声処理部17と、マイク171と、スピーカー172と、カメラ161と、位置情報センサ150と、記憶部180と、制御部190とを備える。端末装置10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0066】
通信部120は、端末装置10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部120は、制御部190で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、サーバ20)へ送信する。通信部120は、外部から受信した信号に受信処理を施し、制御部190へ出力する。
【0067】
入力装置13は、端末装置10を操作するユーザが指示、または情報を入力するための装置である。入力装置13は、例えば、キーボード、マウス、リーダー等により実現されてもよい。端末装置10が携帯端末等である場合には、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス131等により実現される。入力装置13は、ユーザから入力される指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御部190へ出力する。なお、入力装置13には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0068】
出力装置14は、端末装置10を操作するユーザへ情報を提示するための装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ141等により実現される。ディスプレイ141は、制御部190の制御に応じたデータを表示する。ディスプレイ141は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0069】
音声処理部17は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換処理を行う。音声処理部17は、マイク171から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部190へ与える。また、音声処理部17は、音声信号をスピーカー172へ与える。音声処理部17は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク171は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部17へ与える。スピーカー172は、音声処理部17から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0070】
カメラ161は、受光素子により光を受光し、撮影信号として出力するためのデバイスである。
【0071】
位置情報センサ150は、端末装置10の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される端末装置10の現在位置を検出する。位置情報センサ150は、端末装置10が接続する無線基地局の位置から、端末装置10の現在の位置を検出してもよい。
【0072】
記憶部180は、例えば、メモリ15、およびストレージ16等により実現され、端末装置10が使用するデータ、およびプログラムを記憶する。記憶部180は、例えば、遺伝子情報181を記憶する。遺伝子情報181は、端末装置10の所有者、または所有者と所定の関係を有する者の遺伝子情報である。
【0073】
制御部190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部190は、端末装置10の動作を制御する。制御部190は、プログラムに従って動作することにより、操作受付部191と、送受信部192と、提示制御部193としての機能を発揮する。
【0074】
操作受付部191は、入力装置13から入力される指示、または情報を受け付けるための処理を行う。具体的には、例えば、操作受付部191は、キーボード、マウス等から入力される指示に基づく情報を受け付ける。
【0075】
また、操作受付部191は、マイク171から入力される音声指示を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部191は、マイク171から入力され、音声処理部17でデジタル信号に変換された音声信号を受信する。操作受付部191は、例えば、受信した音声信号を分析して所定の名詞を抽出することで、ユーザからの指示を取得する。
【0076】
送受信部192は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。具体的には、例えば、送受信部192は、ユーザから入力された業務内容をサーバ20へ送信する。また、送受信部192は、ユーザに関する情報を、サーバ20から受信する。
【0077】
提示制御部193は、サーバ20から提供された情報をユーザに対して提示するため、出力装置14を制御する。具体的には、例えば、提示制御部193は、サーバ20から送信される情報をディスプレイ141に表示させる。また、提示制御部193は、サーバ20から送信される情報をスピーカー172から出力させる。
【0078】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図4は、サーバ20の機能的な構成の例を示す図である。図4に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0079】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0080】
記憶部202は、例えば、遺伝子情報データベース(DB)2021と、態様DB2022と、特定情報DB2023と、関連性DB2024と、個人情報DB2025等とを有する。
【0081】
遺伝子情報DB2021は、データサーバ30から提供された遺伝子情報、及び、遺伝子情報解析モジュール2033が解析して取得した遺伝子情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0082】
態様DB2022は、データサーバ30から提供された成長に伴う態様を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0083】
特定情報DB2023は、データサーバ30から提供された特定情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0084】
関連性DB2024は、制御部203の関連性解析モジュール2038が解析した、遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性の解析結果を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0085】
個人情報DB2025は、端末装置10から入力された個人情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0086】
制御部203は、プロセッサ29が記憶部202に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部203は、プログラムに従って動作することにより、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、遺伝子情報解析モジュール2033、遺伝子情報取得モジュール2034、態様情報取得モジュール2035、特定情報取得モジュール2036、個人情報取得モジュール2037、関連性解析モジュール2038、態様推定モジュール2039および、サービス提示モジュール2040として示す機能を発揮する。
【0087】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0088】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0089】
遺伝子情報解析モジュール2033は、端末装置10の所有者または所有者と所定の関係を有する者から提供されたサンプルを遺伝子解析して、このサンプルに含まれる染色体に基づく遺伝子情報を生成する。遺伝子情報解析モジュール2033が生成したサンプルの遺伝子情報は、遺伝子情報DB2021に格納される。
【0090】
この際、遺伝子情報解析モジュール2033は、サンプル提供者が、遺伝子情報の使用にあたってサンプル提供者のみの承諾ではなく、このサンプル提供者に対して所定の関係を有する者の承諾が必要である場合、この、所定の関係を有する者からの承諾を得る。このような所定の関係を有する者は、サンプル提供者が未成年者等である場合の親権者などである。個人情報取得モジュール2037は、このような承諾が必要な場合、サンプル提供者のみならず所定の関係を有する者の個人情報も取得する。
【0091】
好ましくは、遺伝子情報解析モジュール2033は、所定の関係を有する者についてもサンプルの提供を求め、所定の関係を有する者の遺伝子情報も取得する。
【0092】
遺伝子情報取得モジュール2034は、データサーバ30から遺伝子情報を取得する。そして、遺伝子情報取得モジュール2034は、取得した遺伝子情報を遺伝子情報DB2021に格納する。
【0093】
態様情報取得モジュール2035は、データサーバ30から成長に伴う態様を取得する。そして、態様情報取得モジュール2035は、取得した成長に伴う態様を態様DB2022に格納する。ここで、態様情報取得モジュール2035は、データサーバ30に格納されている成長に伴う態様を時間を置いて複数回取得し、取得する度に態様DB2022に格納(更新)してもよい。
【0094】
態様情報取得モジュール2035による成長に伴う態様の取得の時間間隔は任意であり、例えば定期的にデータサーバ30にアクセスし、前回アクセスして以降に成長に伴う態様が更新されていれば更新された成長に伴う態様を取得する、データサーバ30から成長に伴う態様更新の通知があったらデータサーバ30にアクセスし、更新された成長に伴う態様を取得する等、種々の手法がある。また、更新された成長に伴う態様のみならず、データサーバ30にアクセスする毎に、データサーバ30に格納されている成長に伴う態様を全て取得してもよい。
【0095】
特定情報取得モジュール2036は、データサーバ30から特定情報を取得する。そして、特定情報取得モジュール2036は、取得した特定情報を特定情報DB2023に格納する。
【0096】
個人情報取得モジュール2037は、端末装置10から入力された、端末装置10の所有者、さらには必要に応じて所有者と所定の関係を有する者の個人情報の入力を受け入れ、受け入れた個人情報を個人情報DB2025に格納する。
【0097】
関連性解析モジュール2038は、遺伝子情報取得モジュール2034、態様情報取得モジュール2035及び特定情報取得モジュール2036がデータサーバ30から取得し、遺伝子情報DB2021、態様DB2022及び特定情報DB2023に格納した遺伝子情報、成長に伴う態様及び特定情報に基づき、遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析する。関連性解析モジュール2038は、この解析結果を関連性DB2024に格納する。そして、態様推定モジュール2039は、遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性の解析結果に基づいて、サンプルを提供した端末装置10の所有者、または所有者と所定の関係を有する者の将来の態様を推定する。
【0098】
関連性解析モジュール2038による、遺伝子情報と将来の態様との関連性の解析手法としては、周知かつ任意の手法から適宜選択されればよい。
【0099】
遺伝子情報と将来の態様との関連性を解析する際に注意すべきことは、複数の遺伝子情報が複数の将来の態様と関連しうる、つまり、多次元の関連性を有することである。
【0100】
古典的な、つまり機械学習を用いない、多次元の関連性を解析する多変量解析法として、主成分分析(PCA)、多次元尺度解析法(MDS)、正準相関分析(CCA)などが知られている。多変量解析法そのものは周知であるので、ここでの詳細な説明は行わない。
【0101】
機械学習を用いた多次元の関連性を解析する手法も知られている。この場合、多次元の関連性をそのまま機械学習モデルに適用しても適切な推論結果が得られない可能性があるので、適切な(かつ公知の)次元削減手法を用いて、機械学習モデルに適用可能な(例えば2次元)次元にまで削減した後、機械学習モデルを用いて機械学習を行わせ、学習済みモデルを生成すればよい。なお、上述した主成分分析等も次元削減手法の一例である。
【0102】
ここで、学習済みモデルは、モデル学習プログラムに従い、機械学習モデルに機械学習を行わせることで生成されるモデルである。学習済みモデルは、例えば、入力されるデータに基づき、所定の推論を実施する、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数およびパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る学習済みモデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよい。
【0103】
例えば、学習済みモデルが順伝播型の多層化ネットワークを用いて生成される場合、パラメータ付き合成関数は、例えば、重み行列を用いた各層間の線形関係、各層における活性化関数を用いた非線形関係(または線形関係)、およびバイアスの組み合わせとして定義される。重み付行列、およびバイアスは、多層化ネットワークのパラメータと呼ばれる。パラメータ付き合成関数は、パラメータをどのように選ぶかで、関数としての形を変える。多層化ネットワークでは、構成するパラメータを適切に設定することで、出力層から好ましい結果を出力することが可能な関数を定義することができる。
【0104】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。
【0105】
本実施形態に適用されて好適な学習済みモデルは、適切に次元が削減された遺伝子情報と成長に伴う態様とに基づいて、これら遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を出力するように学習されたモデルである。
【0106】
関連性解析モジュール2038において機械学習モデルを用いて遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析するメリットとして、遺伝子情報と成長に伴う態様との間に1対1関係が成立していない場合であっても、学習を繰り返すことにより、機械学習モデルに基づく推論結果(出力結果)が好ましい一定の結果に収斂することである。つまり、遺伝子情報が共通であっても、例えば成長に伴う態様の一例である身長は、他の遺伝子情報や生育環境等の影響を受けて種々の値を取る可能性がある。このような1対多関係を有するであろう遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性について、機械学習モデルは尤度という観点から好ましいと思われる値を出力することができる。この際、サンプルに対して事前の統計処理を行う必要が無い。
【0107】
さらに、関連性解析モジュール2038は、特定情報に基づいて遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析することができる。つまり、関連性解析モジュール2038は、個人単位での遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析することができる。
【0108】
態様推定モジュール2039は、関連性解析モジュール2038が解析した、遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性に基づいて、サンプルを提供した端末装置10の所有者、または所有者と所定の関係を有する者の将来の態様を推定する。態様推定モジュール2039による推定動作は、関連性解析モジュール2038が機械学習モデルに基づいて関連性を解析するのであれば、この機械学習モデルに、サンプルから得られた遺伝子情報を入力することで、成長に伴う態様の推論動作を行い、推論結果として将来の態様を得ることである。
【0109】
好ましくは、態様推定モジュール2039は、将来の態様を推定する者に対して所定の関係を有する者、一例として親権者の成長後の態様を取得し、推定した将来の態様を補正する。さらに好ましくは、態様推定モジュール2039は、サンプル提供者の遺伝子情報と所定の関係を有する者の遺伝子情報との類似性を参照し、この類似性に基づいて、推定した将来の態様を補正する。
【0110】
サービス提示モジュール2040は、態様推定モジュール2039が推定した将来の態様に基づいて、推定された将来の態様にマッチしたサービスを端末装置10の所有者に提示する。一例として、態様推定モジュール2039により推定された将来の態様が、サンプル提供者が20歳になった時点での服のサイズが9号であったならば、20歳は就職活動中であることが十分推定されるので、就職活動において着用することが推定されるスーツの購買(予約)をサービスとして提示する。この際、サービス提示モジュール2040は、サービスDB2026を参照して、提示するサービスを選択する。
【0111】
また、サービス提示モジュール2040は、所定のサービスの指定と、年齢の指定とを受け付ける。サービス提示モジュール2040は、態様推定モジュール2039が推定した、指定された年齢における態様に基づき、指定されたサービスの詳細を決定してもよい。一例として、サービス提示モジュール2040は、所定の服のデザインの指定と、年齢「18歳」の指定とを受け付ける。サービス提示モジュール2040は、態様推定モジュール2039が推定した、「18歳」の態様に基づき、指定された服のサイズを決定する。
【0112】
サービス提示モジュール2040は、サービスを提示する際に、提示するサービスの前提となる遺伝子情報に応じて順序付けて提示してもよい。例えば、遺伝子情報によっては、遺伝子情報に係る態様が発現する時期が異なる。サービス提示モジュール2040は、発現することが推定される時期に基づく順序で、必要となると推定されるサービスを端末装置10の所有者に提示してもよい。
【0113】
また、サービス提示モジュール2040は、遺伝子情報に基づき、所定の態様が発現する可能性がある場合、対応する態様に応じたサービスを端末装置10の所有者に提示してもよい。一例として、例えば、所定の事象に対して楽しさを感じる遺伝子が知られている。サービス提示モジュール2040は、その遺伝子情報を有する個人に対しては、楽しさの対象となる事象を提供できるサービスを提案する。また、例えば、肌が過敏であることと関連する遺伝子が知られている。サービス提示モジュール2040は、その遺伝子情報を有する個人に対しては、将来的に需要があると予想されるスキンケア商品を提供できるサービスを提案する。
【0114】
サービス提示モジュール2040による提示手法は周知の手法が好適に適用可能であり、一例として、端末装置10の出力装置14(ディスプレイ141)にサービスサイト40へのリンクを表示させる手法などがある。他に、サービス提示モジュール204による提示手法としては、成長に伴う態様の予測を受けたシステム1の利用者が、その後、サービスサイト40において商品の購買を行う際に、予測した成長に伴う態様に基づいて購買する商品を推奨するような手法も挙げられる。
【0115】
<2 データ構造>
図5図10は、サーバ20が記憶するデータベースのデータ構造を示す図である。なお、図5図10は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。
【0116】
図5は、遺伝子情報DB2021のデータ構造を示す図である。図5に示すように、遺伝子情報DB2021のレコードの各々は、例えば、項目「遺伝子ID」と、項目「遺伝子」とを含む。遺伝子情報DB2021に記憶された情報は、データサーバ30から取得した情報である。遺伝子情報DB2021が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0117】
項目「遺伝子ID」は、遺伝子を特定するためのIDである。項目「遺伝子」は、遺伝子情報IDにより特定される遺伝子に関する情報である。図5に示す例では、項目「遺伝子」にはその遺伝子の塩基配列が直接記述されている。他に、遺伝子に与えられたアルファベット、数字(遺伝子記号)が記述されていてもよい。
【0118】
図6は、態様DB2022のデータ構造を示す図である。図6に示すように、態様DB2022のレコードの各々は、例えば、項目「態様ID」と、項目「態様」と、項目「値」と、項目「年齢」とを含む。態様情報DB2022に記憶された情報も、データサーバ30から取得した情報である。態様DB2022が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0119】
項目「態様ID」は、成長に伴う態様を特定するためのIDである。項目「態様」は、態様IDにより特定される成長に伴う態様の項目を示す情報である。項目「値」は、態様IDにより特定される成長に伴う態様の値を示す情報である。図6に示すように、成長に伴う態様の項目が共通しても、値が共通するとは限らない。項目「年齢」は、態様IDにより特定される成長に伴う態様が項目「値」に示す値である年齢を示す情報である。成長に伴う態様は人間の成長に大きく関連すると考えられるので、どの年齢における値であるかが重要である。
【0120】
図7は、特定情報DB2023のデータ構造を示す図である。図7に示すように、特定情報DB2023のレコードの各々は、例えば、項目「特定情報ID」と、項目「遺伝子ID」と、「態様ID」とを含む。特定情報DB2023に記憶された情報も、データサーバ30から取得した情報である。特定情報DB2023が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0121】
項目「特定情報ID」は、遺伝子IDと身体情報IDとの関連性を特定するための情報である。項目「遺伝子ID」は遺伝子情報DB2021の「遺伝子ID」と同一の情報である。項目「態様ID」は態様情報DB2022の「態様ID」と同一の情報である。
【0122】
図8は、関連性DB2024のデータ構造を示す図である。図8に示すように、関連性DB2024のレコードの各々は、例えば、項目「関連性ID」と、項目「遺伝子ID」と、項目「態様」と、項目「値」と、項目「関連度」と、項目「年齢」とを含む。関連性DB2024に記憶された情報は、遺伝子情報DB2021、態様DB2022及び特定情報DB2023に基づいて関連性解析モジュール2038が解析した結果が登録された情報である。関連性DB2024が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0123】
項目「関連性ID」は、個々の関連性を特定するための情報である。項目「遺伝子ID」は、遺伝子情報DB2021の「遺伝子ID」と同一の情報である。項目「態様」は、関連性解析モジュール2038による解析の結果、項目「遺伝子ID」により特定される遺伝子情報と関連性があるとされた成長に伴う態様についての情報である。関連性DB2024は単一の遺伝子情報と単一の成長に伴う態様との関連性を記述しているので、関連性DB2024の項目「態様」も単一の成長に伴う態様についての情報である。項目「値」は、項目「態様」の具体的な値に関する情報である。項目「関連度」は、関連性解析モジュール2038による解析の結果として求められた、項目「遺伝子ID」により特定される遺伝子情報と項目「態様」により特定される成長に伴う態様との関連性が、項目「値」により特定される値である関連性を百分率(%)で表した情報である。項目「年齢」は、関連性解析モジュール2038による解析の結果として求められた、項目「遺伝子ID」により特定される遺伝子情報と項目「態様」により特定される成長に伴う態様との関連性が、項目「年齢」による特定される年齢である関連性であることを示すための値である。
【0124】
図9は、個人情報DB2025のデータ構造を示す図である。図9に示すように、個人情報DB2025のレコードの各々は、例えば、項目「個人情報ID」と、項目「氏名」と、項目「住所」と、項目「連絡先」と、項目「年齢」と、項目「親権個人情報ID」と、項目「特定情報ID」とを含む。個人情報DB2025に記憶された情報は、サンプル提供時に個人情報取得モジュール2037が取得した、システム1の利用者である端末装置10の所有者、及び所有者と所定の関係を有する者であるサンプル提供者の個人情報である。個人情報DB2025が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0125】
項目「個人情報ID」は、個人情報を特定するための情報である。項目「氏名」は、個人情報IDにより特定される個人情報である、端末装置10の所有者等の氏名を表す情報である。項目「住所」は、個人情報IDにより特定される個人情報である、端末装置10の所有者等の住所を示す情報である。項目「連絡先」は、個人情報IDにより特定される個人情報である、端末装置10の所有者等の連絡先を示す情報である。図9に示す例では、連絡先を示す情報としてメールアドレスが記述されているが、SNSのアカウント情報等、サーバ20が端末装置10の所有者等にオンラインで連絡を取りうるための情報であってもよい。なお、端末装置10の所有者等に対してオフラインで、例えば郵送等でのみ連絡を取るのであれば、項目「連絡先」は空欄であってもよい。項目「年齢」は、個人情報IDにより特定される個人情報である、端末装置10の所有者等の年齢を示す情報である。項目「親権個人情報ID」は、個人情報IDにより特定される個人情報である、端末装置10の所有者等(通常、端末装置10の所有者と所定の関係を有する者)が未成年者であるなど、遺伝子情報の利用に対して許諾を得るべき者(例えば親権者)が存在する場合、この許諾を得るべき者の個人情報IDである。項目「遺伝子ID」は、遺伝子情報DB2021の項目「遺伝子ID」と共通である。個人情報DB2025において項目「遺伝子ID」が空欄でないということは、個人情報IDにより特定される個人の遺伝子情報がサーバ20に提供されていることを意味する。
【0126】
図10は、サービスDB2026のデータ構造を示す図である。図10に示すように、サービスDB2026のレコードの各々は、例えば、項目「サービスID」と、項目「サービス名称」と、項目「サービス内容」と、項目「態様」と、項目「値」とを含む。サービスDB2026に記憶された情報は、サービス提示モジュール2040が作成し、サービスDB2026に格納する。あるいは、サーバ20の運営者が作成し、サービスDB2026に格納する。サービスDB2026が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0127】
項目「サービスID」は、サービス提示モジュール2040が提示する個々のサービスを特定するための情報である。項目「サービス」は、サービスIDにより特定されるサービスの名称を示す情報である。項目「サービス内容」は、サービスIDにより特定されるサービスの内容を示す情報である。項目「態様」は、サービスIDにより特定されるサービスに関連付けられている将来の態様を示す情報であり、態様DB2022の項目「態様」と共通する情報である。項目「値」は、サービスIDにより特定されるサービスに関連付けられている将来の態様の値を示す情報であり、態様DB2022の項目「値」と共通する情報である。
【0128】
<3 動作例>
以下、サーバ20の動作の一例について説明する。
【0129】
図11は、サーバ20の動作の一例を表すフローチャートである。図11は、データサーバ30に格納された遺伝子情報、態様情報及び特定情報に基づいて、遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析する際の動作の例を表すフローチャートである。
【0130】
ステップS1100において、制御部203は、データサーバ30に格納された遺伝子情報を取得する処理を行う。具体的には、例えば、制御部203は、遺伝子情報取得モジュール2034によりデータサーバ30から複数の遺伝子情報を取得し、取得した複数の遺伝子情報を記憶部202の遺伝子情報DB2021に格納する。
【0131】
ステップS1101において、制御部203は、データサーバ30に格納された成長に伴う態様を取得する処理を行う。具体的には、例えば、制御部203は、態様情報取得モジュール2035によりデータサーバ30から複数の成長に伴う態様を取得し、取得した複数の成長に伴う態様を記憶部202の態様DB2022に格納する。
【0132】
ステップS1102において、制御部203は、データサーバ30に格納された特定情報を取得する処理を行う。具体的には、例えば、制御部203は、特定情報取得モジュール2036によりデータサーバ30から複数の特定情報を取得し、取得した複数の特定情報を記憶部202の特定情報DB2023に格納する。
【0133】
ステップS1103において、制御部203は、一つの態様情報、すなわち成長に伴う態様を選択する。具体的には、例えば、制御部203は、関連性解析モジュール2038により、ステップS1101で取得し、態様情報DB2022に格納した複数の成長に伴う態様の中から、一つの成長に伴う態様を選択する。
【0134】
ステップS1104において、制御部203は、ステップS1103で選択した態様情報、及びステップS1100、S1102で取得した遺伝子情報及び特定情報に基づいて、遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性を解析する。具体的には、例えば、制御部203は、関連性解析モジュール2038により、遺伝子情報DB2021及び特定情報2023に格納されている遺伝子情報及び特定情報を読み取り、態様情報及び特定情報に基づいて遺伝子情報と態様情報との関連性を解析する。関連性解析モジュール2038による関連性の解析手法については上述しているので詳細な説明はここでは行わない。
【0135】
関連性解析モジュール2038による態様情報と遺伝子情報との関連性を解析するにあたり、態様情報に重み付けをすることができる。一例として、後述するサービス提示モジュール2040によるサービス提示との関連性が高いと考えられる態様情報、一例として慎重、体重、服のサイズなど、事前に指定された態様情報について重み付け値を高くするなどの手法があり得る。
【0136】
そして、ステップS1105において、関連性解析モジュール2038は、解析した結果を関連性DB2024に格納する。
【0137】
ステップS1106において、制御部203は、態様情報DB2022に格納された態様情報の全てについてステップS1103~ステップS1105に示す関連性解析作業を行ったか否かを判定する。そして、全ての関連情報について作業を終了したと判定したら(ステップS1106においてYES)、図11のフローチャートに示す動作を終了し、まだ作業を終了していない身体情報があると判定したら(ステップS1106においてNO)、ステップS1103に戻って新たな態様情報を選択し、ステップS1104~ステップS1105に示す関連性解析作業を行う。
【0138】
図12は、サーバ20の動作の他の例を表すフローチャートである。図12は、特定の個人に対して、その個人が提供するサンプルに基づいて遺伝子解析を行って遺伝子情報を取得し、取得した遺伝子情報を用いて、遺伝子情報及び成長に伴う態様について解析を行った関連性に基づいて将来の態様を予測し、予測した将来の態様に基づいてサービスを提示する際の動作の例を表すフローチャートである。
【0139】
ステップS1200において、制御部203は、端末装置10からのサンプル提供の前提条件として、サンプルが未成年者など遺伝子情報の提供にあたって許諾が必要な所定の関係を有する者にかかるものである場合、この所定の関係を有する者に対する親権者など必要な権限を有する者、及び、端末装置10の所有者(必要な権限を有する者と同一人であることが多いだろう)の個人情報を入力させる。具体的には、例えば、制御部203は、個人情報取得モジュール2037により、端末装置10のディスプレイ141の表示画面に、個人情報入力のための画面を表示させ、端末装置10の所有者が、この画面に対して所定の入力操作を行ったら、入力された個人情報を取得する。そして、個人情報取得モジュール2037は、取得した個人情報を個人情報DB2025に格納する。
【0140】
ステップS1201では、制御部203は、端末装置10の所有者から、サービス提示を行うための基本情報である遺伝子情報が含まれるサンプルの提供を受ける。サンプルは毛髪、血液等実体のあるものであることが通常であり、必ずしもサーバ20にオンラインで提供することができない。この場合、制御部203は、遺伝子情報解析モジュール2033により、システムへのサンプル提供方法を案内する画面を端末装置10の表示画面に表示させ、郵送等によるサンプル提供を案内する。従って、ステップS1201と次のステップS1202との間にはタイムラグが生じうる。
【0141】
ステップS1202では、制御部203は、ステップS1201で提供されたサンプルについて遺伝子解析を行い、遺伝子情報を取得する。具体的には、例えば、制御部203は、遺伝子情報解析モジュール2033により、提供されたサンプルの遺伝子解析を行い、遺伝子情報を取得する。そして、ステップS1203において、制御部203は、遺伝子情報解析モジュール2033により、ステップS1202で取得した遺伝子情報を遺伝子情報DB2021に格納するとともに、個人情報DB2025の遺伝子IDに、取得した遺伝子情報に係る遺伝子IDを格納する。
【0142】
ステップS1204では、制御部203は、ステップS1202で取得した遺伝子情報に基づいて、関連性を検索し、ステップS1205では、検索した関連性に基づいて、関連性を有すると考えられる将来の態様を予測する。具体的には、例えば、制御部203は、態様推定モジュール2039により、関連性DB2024を参照して、ステップS1202で取得した遺伝子情報と関連性を有すると考えられる将来の態様を予測する。
【0143】
ステップS1206では、制御部203は、ステップS1205で予測した将来の態様に基づいて、この将来の態様に適したサービスを選定し、選定したサービスを端末装置10の所有者に提示する。具体的には、例えば、制御部203は、サービス提示モジュール2040により、将来の態様をキーとしてサービスDB2026を検索し、検索されたサービスを端末装置10の所有者に提示する。
【0144】
なお、サーバ20の動作は、図12に表す動作に限定されない。例えば、ステップS1206はステップS1205の直後に実行される必要はなく、一例として、システムの利用者がショッピングサイト等にアクセスしたタイミングで実行されてもよい。
【0145】
また、例えば、ステップS1205は、端末装置10の所有者によりサービスが選択された後に実行されてもよい。つまり、端末装置10の所有者によりサービスが選択され、また、サービスを受ける者の年齢が指定される。ステップS1205において、制御部203は、所有者により指定された年齢での、サービスを受ける者の態様を予測し、予測した態様に基づいてサービスの詳細を決定する。
【0146】
<4 画面例>
以下、端末装置10から出力される画面の一例を、図13図17を参照して説明する。
【0147】
図13は、端末装置10の所有者がシステム1にサンプルを提供する際に、サンプル提供者、さらにはサンプル提供者が未成年者であった場合に、サンプル提供者の親権者(端末装置10の所有者であることが多い)の個人情報の提供が必要であることを説明するための画面である。
【0148】
端末装置10の所有者が自ら希望して自身のサンプルをシステム1に提供し、あるいは、所有者の判断により、所有者の子供など所定の関係を有する者のサンプルをシステム1に提供する際には、図13に示す画面1300が端末装置10のディスプレイ141に表示される。画面1300には、サンプルを提供して遺伝子情報の解析を行うには個人情報の入力が必要であること、さらに、サンプル提供者が未成年者である場合は親権者等の承諾が必要であることを説明した文章が表示される領域1301が表示されている。所有者が領域1301に記載された内容を承諾する場合、所有者は「はい」ボタン1302をタッチする等して入力操作を行う。一方、所有者が領域1301に記載された内容を承諾しない場合、所有者は「キャンセル」ボタン1302をタッチする等して入力操作を行う。「はい」ボタン1302に対するタッチ等の入力操作があると、遺伝子情報解析モジュール2033及び個人情報取得モジュール2037は、個人情報の入力を行わせる画面を端末装置10に送出する。
【0149】
図14は、図13において端末装置10の所有者が「はい」ボタン1302の入力操作を行ったことを受けて、端末装置10の所有者の個人情報、及び、所有者と所定の関係を有する者の個人情報の入力が必要であれば、この所定の関係を有する者の個人情報の入力を求める画面である。
【0150】
サーバ20の遺伝子情報解析モジュール2033及び個人情報取得モジュール2037は、端末装置10に対して、図14に示すような画面1400をそのディスプレイ141に表示させる。画面1400には、端末装置10の所有者の個人情報を入力する領域1401、及び、所有者と所定の関係を有する者である子供の個人情報を入力する領域1402が設けられている。端末装置10の所有者は、これら領域1401、1402に個人情報を入力し、入力した個人情報をシステム1に送信してよいと判断した場合は、「はい」1403ボタンをタッチする等して入力操作を行う。一方、所有者が個人情報の送信を希望しない場合、所有者は「キャンセル」ボタン1404をタッチする等して入力操作を行う。「はい」ボタン1403に対するタッチ等の入力操作があると、端末装置10の所有者等の個人情報がサーバ20に送出され、個人情報DB2025に格納される。
【0151】
図15は、図13において端末装置10の所有者が「はい」ボタン1403の入力操作を行ったことを受けて、端末装置10の所有者、及び、所有者と所定の関係を有する者について、遺伝子解析を行うサンプルの提供を承諾するか否かの判断を入力するための画面である。
【0152】
サーバ20の遺伝子情報解析モジュール2033及び個人情報取得モジュール2037は、端末装置10に対して、図15に示すような画面1500をそのディスプレイ141に表示させる。画面1500には、サンプル提供についての承諾を求める文章が表示される領域1501が表示されている。所有者がサンプルの提供を希望する場合、所有者は「はい」ボタン1502をタッチする等して入力操作を行う。一方、所有者がサンプルの提供を希望しない場合、所有者は「キャンセル」ボタン1503をタッチする等して入力操作を行う。「はい」ボタン1502に対するタッチ等の入力操作があると、遺伝子情報解析モジュール2033は、サンプルの提供手順等を説明した画面(図示を省略する)を端末装置10のディスプレイ141に表示させ、サンプルの提供を待つ。
【0153】
図16は、図15においてサンプルの提供を承諾した端末装置10の所有者に対して、提供されたサンプルに基づく遺伝子解析を終了し、取得した遺伝子情報に基づいて将来の態様を予測し、予測した将来の態様に適したサービスを提示する際の画面である。
【0154】
サーバ20のサービス提示モジュール2040は、関連性解析モジュール2038が解析した遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性に基づいて態様推定モジュール2039が推定した将来の態様を取得し、この将来の態様に適したサービスを選定してこのサービスを提示するための画面1600を、端末装置10のディスプレイ141に表示させる。画面1600には、端末装置10の所有者から提供されたサンプルを遺伝子解析して遺伝子情報を取得し、この遺伝子情報に基づいて推奨されるサービスを提示していることを説明する文章が表示される領域1601と、サービス提示モジュール2040により予測した将来の態様に適したと判断されたサービスが表示される領域1602とが表示されている。
【0155】
図17は、図15においてサンプルの提供を承諾した端末装置10の所有者に対して、提供されたサンプルに基づく遺伝子解析を終了し、取得した遺伝子情報に基づいて将来の態様を予測し、予測した将来の態様に適したサービスを提示する際の画面であり、図16に示す画面例と異なる態様の画面例である。
【0156】
図17に示す画面1700は、端末装置10の所有者が、就職活動用のスーツを自身の子供のために購入するために、サービスサイト40の一例であるショッピングサイトにアクセスした際の画面である。画面1700には、購買を検討している就職活動用のスーツの画像が表示されている領域1701と、態様推定モジュール2039が予測した子供の将来の態様の服のサイズが9号であることから、サービス提示モジュール2040が9号のスーツの購買を推奨している文章が表示される領域1702とが表示されている。
【0157】
態様推定モジュール2039は、スーツを所望する子供の年齢の指定を受け付け、受け付けた年齢での態様を推定してもよい。サービス提示モジュール2040は、推定した態様に適したスーツのサイズを決定し、端末装置10の所有者へ提示する。画面1700には、推定される態様、例えば、身長、肩幅、胴回り等の値が表示されるようにしてもよい。
【0158】
<5 実施形態の効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態のシステム1によれば、サンプルを提供した個人の遺伝子情報を遺伝子解析により取得し、この遺伝子情報と成長に伴う態様との関連性に基づいてサンプルを提供した個人の将来の態様を予測し、予測した将来の態様に適したサービスを提示している。これにより、サンプル提供者の将来の態様を可能な限り正確に予測し、将来の態様に適したサービスを提示することができる。よって、本実施形態のシステム1によれば、遺伝子情報を用いた購買行動の興趣性を高めることができる。
【0159】
<6 付記>
なお、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0160】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0161】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0162】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0163】
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0164】
(付記1)
プロセッサ(29)とメモリ(25)とを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサ(29)に、個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップ(S1202)と、予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した遺伝子情報に基づいて個人の将来の態様を予測するステップ(S1205)と、予測された態様に基づいてサービスを選定するステップ(S1206)と、選定されたサービスを個人に提示するステップ(S1206)とを実行させる、プログラム。
(付記2)
予測された態様は、身体的特徴、被服のサイズのうちの少なくとも一つである付記1に記載のプログラム。
(付記3)
プログラムは、さらに、個人と所定の関係を有する者から、態様を予測する前提として、予測するステップにおける遺伝子情報の使用の許諾を受け付けるステップ(S1200)を実行させ、予測するステップ(S1205)において、許諾を受け付けたことを条件に態様を予測するステップ(S1205)を実行させる付記1に記載のプログラム。
(付記4)
プログラムは、さらに、個人と所定の関係を有する者から当該者についての情報を取得するステップ(S1200)を実行させ、予測するステップ(S1205)において、取得した情報に基づいて態様を予測する付記3に記載のプログラム。
(付記5)
プログラムは、さらに、個人と所定の関係を有する者から当該者についての遺伝子情報を取得するステップ(S1202)を実行させ、予測するステップ(S1205)において、取得した者についての遺伝子情報と個人についての遺伝子情報との類似性に基づいて態様を予測する付記4に記載のプログラム。
(付記6)
提示するステップ(S1206)において、提示するサービスの前提となる遺伝子情報に応じてサービスを順序づけて提示する付記1に記載のプログラム。
(付記7)
プロセッサ(29)とメモリ(25)とを備えた情報処理装置(20)であって、プロセッサ(29)は、個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップと、予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した遺伝子情報に基づいて個人の将来時点における成長に伴う態様を予測するステップと、予測された成長に伴う態様に基づいてサービスを選定するステップと、選定されたサービスを個人に提示するステップとを実行する、情報処理装置(20)。
(付記8)
プロセッサ(29)とメモリ(25)とを備えたコンピュータにより実行される方法であって、プロセッサ(29)は、個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得するステップと、予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した遺伝子情報に基づいて個人の将来時点における成長に伴う態様を予測するステップと、予測された成長に伴う態様に基づいてサービスを選定するステップと、選定されたサービスを個人に提示するステップとを実行する、方法。
(付記9)
個人から提供されたサンプルに基づいて遺伝子解析をすることで得られた遺伝子情報を取得する手段(2034)と、予め設定された、不特定多数の人間の遺伝子情報と人間の成長に伴う態様との関連性に基づいて、取得した遺伝子情報に基づいて個人の将来時点における成長に伴う態様を予測する手段(2039)と、予測された成長に伴う態様に基づいてサービスを選定する手段(2040)と、選定されたサービスを個人に提示する手段(2040)とを具備する、システム(1)。
【符号の説明】
【0165】
1、システム 10、端末装置 20、サーバ 29、プロセッサ 30、データサーバ 80、ネットワーク 181、ゲノム情報 202、記憶部 203、制御部 2013、特定情報 2021、ゲノム情報DB 2022、身体情報DB 2024、関連性DB 2023、特定情報DB 2031、受信制御モジュール 2032、送信制御モジュール 2033、ゲノム情報取得モジュール 2034、身体情報取得モジュール 2035、特定情報取得モジュール 2036、遺伝子推定モジュール 2037、身体情報提示モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17