(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164257
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65D88/12 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181809
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2022075612
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】薮花 優棋
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 佳宏
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA22
3E170AB30
3E170EA10
3E170VA20
3E170WE03
(57)【要約】
【課題】複数の機能ユニットの冷却性能を確保できるコンテナモジュールを提供する。
【解決手段】コンテナモジュールは、輸送コンテナと、輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備え、輸送コンテナは吸気口および排気口が設けられており、機能ユニットの側面同士の間隔をあけて機能ユニットがそれぞれ配置される複数の台を備え、台の下にそれぞれ設けられた空間は、台が並ぶ横方向に互いに連続して台下空間を構成し、台下空間は吸気口および排気口につながっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送コンテナと、前記輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備えるコンテナモジュールであって、
前記輸送コンテナは、吸気口および排気口が設けられており、
前記機能ユニットの側面同士の間隔をあけて前記機能ユニットがそれぞれ配置される複数の台を備え、
前記台の下にそれぞれ設けられた空間は、前記台が並ぶ横方向に互いに連続して台下空間を構成し、
前記台下空間は前記吸気口および前記排気口につながるコンテナモジュール。
【請求項2】
前記台下空間と前記台下空間以外の前記輸送コンテナ内の空間とを仕切る第1の仕切りが、前記台にそれぞれ設けられている請求項1記載のコンテナモジュール。
【請求項3】
隣り合う前記台の間に隙間がある請求項1又は2に記載のコンテナモジュール。
【請求項4】
前記輸送コンテナの壁と前記機能ユニットとの間に設けられた第2の仕切りを備え、
前記第2の仕切りは、前記横方向と交わる方向に延びている請求項3記載のコンテナモジュール。
【請求項5】
前記機能ユニットのうち発熱量が最も多いものと発熱量が最も少ないものとが隣り合って配置されている請求項1又は2に記載のコンテナモジュール。
【請求項6】
前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方に配置された送風機を備える請求項1又は2に記載のコンテナモジュール。
【請求項7】
前記複数の台の全てに前記機能ユニットが配置されたときに、前記台の上の前記輸送コンテナ内の空間である台上空間の平均の圧力と前記台下空間の平均の圧力との差が5Pa以上ある請求項1記載のコンテナモジュール。
【請求項8】
前記吸気口は、前記輸送コンテナのうち前記台よりも上の部分に設けられ、
前記排気口は、前記輸送コンテナのうち前記台の天面よりも下の部分に設けられている請求項7記載のコンテナモジュール。
【請求項9】
前記機能ユニットの側面同士の前記間隔における、前記機能ユニットの高さ方向の空気の流速の最大値から前記流速の最小値を減じた値は、前記流速の平均の5%以下である請求項7記載のコンテナモジュール。
【請求項10】
前記台下空間の圧力の最大値から前記台下空間の圧力の最小値を減じた値は、前記台下空間の圧力の絶対値の平均の19%以下である請求項7記載のコンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送コンテナに複数の機能ユニットが収納されたコンテナモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンと発電機(複数の機能ユニット)を並べて輸送コンテナに収納したコンテナモジュールに係る先行技術は特許文献1に開示されている。先行技術では、循環水が流れるラジエーターを輸送コンテナの吸気口に配置し、吸気口へ外気を導入してラジエーターにより循環水を冷やし、ラジエーターとエンジンとの間に循環水を流してエンジンを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術はエンジンなど特定の対象を循環水で冷却するので、輸送コンテナに収納された複数の機能ユニットの全体を冷却できないという問題点がある。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、複数の機能ユニットの冷却性能を確保できるコンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のコンテナモジュールは、輸送コンテナと、輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備え、輸送コンテナは吸気口および排気口が設けられており、機能ユニットの側面同士の間隔をあけて機能ユニットがそれぞれ配置される複数の台を備え、台の下にそれぞれ設けられた空間は、台が並ぶ横方向に互いに連続して台下空間を構成し、台下空間は吸気口および排気口につながっている。
【発明の効果】
【0007】
第1の態様によれば、複数の機能ユニットは、機能ユニットの側面同士の間隔をあけて台の上にそれぞれ配置される。台の下にそれぞれ設けられた空間は、台が並ぶ横方向に連続し吸気口および排気口につながる台下空間を構成する。台下空間によって輸送コンテナの中の空気の流れを確保できるので、複数の機能ユニットの冷却性能を確保できる。
【0008】
第2の態様によれば、第1の態様において、台下空間と、台下空間以外の輸送コンテナ内の空間と、を仕切る第1の仕切りが台に設けられている。第1の仕切りによって台の下を流れる空気の漏れを低減し、台の下の通気を確保できる。
【0009】
第3の態様によれば、第1又は第2の態様において、隣り合う台の間に隙間があるので、隣り合う機能ユニットの間と台下空間との間に空気を流通させることができる。
【0010】
第4の態様によれば、第3の態様において、輸送コンテナの壁と機能ユニットとの間に第2の仕切りが設けられ、第2の仕切りは横方向に延びている。第2の仕切りによって、機能ユニットの側面に沿って流れる風が回り込まないようにできる。これにより機能ユニットの側面からの放熱を促進できる。
【0011】
第5の態様によれば、第1又は第2の態様に加え、機能ユニットのうち発熱量が最も多いものと発熱量が最も少ないものとが隣り合って配置されている。2つの機能ユニットの間の熱の交換により、発熱量が最も多い機能ユニットの放熱を促進できる。
【0012】
第6の態様によれば、第1又は第2の態様に加え、吸気口および排気口の少なくとも一方に送風機が配置されている。送風機によって輸送コンテナ内の気流を強くできる。
【0013】
第7の態様によれば、第1の態様において、複数の台の全てに機能ユニットが配置されたときに、台の上の輸送コンテナ内の空間である台上空間の平均の圧力と台下空間の平均の圧力との差が5Pa以上ある。台上空間の圧力と台下空間の圧力との差によって、台上空間と台下空間との間の空気流れを確保できる。
【0014】
第8の態様によれば、第7の態様において、吸気口は輸送コンテナのうち台よりも上の部分に設けられ、排気口は輸送コンテナのうち台の天面よりも下の部分に設けられている。輸送コンテナのうち台の天面よりも下の部分に吸気口が設けられている場合に比べ、台下空間に空気流れの渦が生じ難くなるので、台下空間の圧力のばらつきが小さくなる。台下空間の圧力のばらつきが小さくなると、台下空間と台上空間との圧力の差のばらつきが小さくなり、機能ユニットの高さ方向の流れの速度のばらつきが小さくなる。これにより空気流れを利用した機能ユニットの冷却のばらつきを小さくできる。
【0015】
第9の態様によれば、第7の態様において、機能ユニットの側面同士の間隔における、機能ユニットの高さ方向の空気の流速の最大値から流速の最小値を減じた値は、流速の平均の5%以下である。機能ユニットの側面同士の間隔を流れる、機能ユニットの高さ方向の空気の流速のばらつきが小さいので、空気流れを利用した複数の機能ユニット間の冷却のばらつきを小さくできる。
【0016】
第10の態様によれば、第7の態様において、台下空間の圧力の最大値から台下空間の圧力の最小値を減じた値は、台下空間の圧力の絶対値の平均の27%以下である。台下空間の圧力のばらつきが小さいので、台下空間と台上空間との圧力の差のばらつきが小さくなり、機能ユニットの高さ方向の流れの速度のばらつきが小さくなる。これにより空気流れを利用した機能ユニットの冷却のばらつきを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施の形態におけるコンテナモジュールの斜視図である。
【
図5】(a)は輸送コンテナに機能ユニットが配置されたコンテナモジュールの断面図であり、(b)は機能ユニットの平面図である。
【
図6】第2実施の形態におけるコンテナモジュールの断面図である。
【
図7】(a)は第3実施の形態におけるコンテナモジュールの機能ユニット及び輸送コンテナのベースの平面図であり、(b)は機能ユニットが配置されたベースの平面図である。
【
図8】第4実施の形態におけるコンテナモジュールの機能ユニットの斜視図である。
【
図9】第5実施の形態におけるコンテナモジュールのベース及び機能ユニットの斜視図である。
【
図10】台上空間、台下空間および機能ユニットの寸法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は第1実施の形態におけるコンテナモジュール10の斜視図である。コンテナモジュール10は、輸送コンテナ11と、輸送コンテナ11に収納される複数の機能ユニット19と、を備えている。本実施形態では8つの機能ユニット19が輸送コンテナ11に配置されている。
【0019】
輸送コンテナ11は貨物輸送に使用できる、主に鋼材で作られた直方体の大型容器である。輸送コンテナ11は品物を詰めて列車、トラック、船などによって輸送することができ、陸上では倉庫として使用できる。輸送コンテナ11は、ISO規格に則り設計・製造された海上輸送コンテナが例示される。輸送コンテナ11は一般的にドライコンテナが挙げられる。輸送コンテナ11には、ドライコンテナを補強したもの、コンテナモジュール10を稼働するために必要な補機類をドライコンテナの外や中に取り付けたものが含まれる。
【0020】
出荷や保管の取扱いに耐える機械的強度を有する輸送コンテナ11に機能ユニット19が収容されているので、工場でコンテナモジュール10を組み立ててそのまま現地に搬送し、現地に据え付けることができる。よって現地での据え付けのための大規模な工事を不要にできる。またコンテナモジュール10を積み重ねたり横に並べたりすれば設備の能力を簡易に増強できる。
【0021】
輸送コンテナ11は、平面視が矩形のベース12と、ベース12の長辺に設けられた後壁13と、ベース12の短辺に設けられた2つの側壁14と、後壁13と側壁14とをつなぐ屋根15と、後壁13に対向してベース12の長辺に設けられた観音開きの前扉16と、を備えている。前扉16の一部は図示が省略されている。通常は前扉16を閉じた状態でコンテナモジュール10を作動する。本実施形態では後壁13及び側壁14は観音開きの扉からなる。しかし、後壁13や側壁14を開閉不能な板にすることは当然可能である。
【0022】
側壁14には排気口17及び吸気口18が設けられている。排気口17は、吸気口18よりも低い位置にある。吸気口18には、輸送コンテナ11の外の空気を輸送コンテナ11の中へ導入する送風機(図示せず)が設けられている。
【0023】
機能ユニット19は、特定の役割を果たす装置の単位である。コンテナモジュール10は、複数の機能ユニット19の組合せにより特定の機能を達成する。複数の機能ユニット19は輸送コンテナ11の側壁14の片方からもう片方の側壁14に向かって並んでいる。機能ユニット19は、ほぼ同じ大きさの縦長の直方体である。本実施形態では機能ユニット19は輸送コンテナ11の横方向に一列に並んでいる。
【0024】
図2はコンテナモジュール10のブロック図である。以下、一例として、排ガス源20が発生した排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、二酸化炭素を炭素化合物として再利用し燃料を製造するコンテナモジュール10について説明する。排ガス源20は、二酸化炭素を含む排ガスを発生するものであれば、特に制限はない。排ガス源20は、発電所、工場、廃棄物処理施設、天然ガス田、油田が例示される。
【0025】
コンテナモジュール10が備える機能ユニット19のいずれかは、排ガスの水分を除去する除去装置、排ガスに含まれる窒素酸化物を分離する分離装置、排ガスに含まれる二酸化炭素を分離して二酸化炭素を濃縮する回収装置、水の電気分解によって水素と酸素とを製造する電解装置、二酸化炭素を水素で還元して燃料を生成する生成装置、各装置に電力を供給する電源装置(図示せず)、気体を圧縮してその圧力を高める圧縮機(図示せず)のいずれか1以上を含む。生成装置が生成する燃料は可燃性生成物であり、メタン、一酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド等が例示される。
【0026】
除去装置において排ガスから水分(水蒸気)を除去する方法は、凝縮、物理吸着、化学反応が例示される。分離装置において排ガスから窒素酸化物を除去する方法は、苛性ソーダ等を使用する湿式法、脱硝触媒と還元剤とを用いて窒素酸化物と窒素に還元する乾式法が一般的である。除去装置によって排ガスの水分を除去したり排ガスから窒素酸化物を除去したりすると、回収装置による二酸化炭素の濃縮効率を確保できる。
【0027】
回収装置において排ガスから分離回収された二酸化炭素を含む第1の混合ガスは、生成装置に供給される。生成装置では、例えば触媒を使って活性化エネルギーを低下させ、二酸化炭素から燃料への化学反応を進行させる。
【0028】
第1の混合ガスは、二酸化炭素以外の不純物を、第1の混合ガスの10vol%以上含んでいても良い。第1の混合ガスの不純物は少ない方が、生成装置が排出する第2の混合ガスに含まれる燃料の純度が高まるため好ましいが、第1の混合ガスから不純物を分離する装置の複雑化を招くためである。従ってコンテナモジュール10の簡素化という観点においては一定程度の不純物の混合は許容される。
【0029】
電解装置において水を電気分解する方法は、アルカリ水電解、固体高分子電解質水電解の他、固体酸化物形電解セル(SOEC)による高温水蒸気電解が例示される。高温水蒸気電解は、アルカリ水電解や固体高分子電解質水電解に比べ、少ない電力で多くの水素が製造できるので好ましい。電解装置がSOECによる高温水蒸気電解を行うものであり、その水蒸気の生成に、生成装置で生じた化学反応熱を利用していると、コンテナモジュール10のエネルギー効率を向上できるので好ましい。
【0030】
コンテナモジュール10は、機能ユニット19のうち発熱量が最も多い機能ユニットと発熱量が最も少ない機能ユニットとが隣り合って配置されている。発熱量が最も多い機能ユニットは、電解装置を含む機能ユニットが例示される。発熱量が最も多い機能ユニットと発熱量が最も少ない機能ユニットとが隣り合うことで、2つの機能ユニットの間の熱の交換により、発熱量が最も多い機能ユニットの放熱を促進したり、発熱量が最も少ない機能ユニットが使う原料を予熱したりできる。
【0031】
生成装置が排出する第2の混合ガスには、燃料以外に、水素および第1の混合ガスの成分が含まれていても良いが、第2の混合ガスのうち、燃料以外のガスの量は、第2の混合ガスの量の45vol%以下が好ましい。
【0032】
コンテナモジュール10が生成した第2の混合ガスを、排ガス源20を含む敷地内の施設が利用するようにすれば、ガスの運搬に係るコストを低減できるので好ましい。コンテナモジュール10を簡易にすることにより小型化できるので、コンテナモジュール10の設置に必要なスペースを小さくできる。排ガス源20ごとにコンテナモジュール10を設置できるので、排ガス源20が排出する二酸化炭素を炭素資源として排ガス源20ごとに再利用できる。コンテナモジュール10によれば、販売の目的となる燃料を製造するのではなく、排ガス源20を含む敷地内の施設が利用できる程度の必要最低限の品質の燃料を製造しながら、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0033】
図3は輸送コンテナ11のベース12の斜視図である。
図3には破断線によって一部を取り去った床板25が図示されている。ここでは前扉16側を前方、後壁13側を後方と称する。
【0034】
輸送コンテナ11は、後壁13と交わる前後方向に延びる台21が、横方向に所定の間隔をあけてベース12に複数設けられている。台21と台21とをつなぐ接続部22が、前後方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。格子状に設けられた台21及び接続部22は、ベース12に点在する複数の脚23に支持されている。これにより台21とベース12との間に台下空間24が設けられる。接続部22の上に床板25が配置される。台21の天面は床板25より高い位置にある。1つの機能ユニット19は1組の台21に配置される。
【0035】
台21の下にそれぞれ設けられた台下空間24は、機能ユニット19が並ぶ横方向へ連続している。閉じたときの前扉16(
図1参照)と台21との間に第1の仕切り25aが設けられている。第1の仕切り25aは台下空間24の前方を塞いでいる。後壁13と台21との間に、台下空間24の後方を塞ぐ第1の仕切り25bが設けられている。第1の仕切り25a,25bは、台21及び接続部22の横方向に連続して設けられており、台下空間24以外の輸送コンテナ11内の台上空間42(
図5(a)参照)と台下空間24とを隔てる。台上空間42は、台21の上の輸送コンテナ11内の空間である。仕切り25a,25bは台上空間42と台下空間24との間の空気の流通を遮断する。
【0036】
ベース12と台21との間に複数の配管26が設けられている。配管26は、機能ユニット19が行う化学反応や精製の原料や生成物である液体やガス、機能ユニット19を冷却する冷媒が流れる管である。配管26に沿って配線(図示せず)が設けられている。配線は、機能ユニット19へ電力を配給する電線である。配管26及び配線は機能ユニット19が並ぶ横方向へ延び、配管26から分岐する管27は、台21に沿って前方へ延びている。配線は管27に沿って配置されている。管27に接続する第1の継手28は、第1の仕切り25aよりも後方であって第1の仕切り25aの近くに配置されている。配線に接続する継手(図示せず)も第1の仕切り25aの近くに配置されている。第1の継手28は、床板25の上に現れているが、台21の天面よりも低い位置に設けられている。
【0037】
台21のうち機能ユニット19が接する部分(天面)に、機能ユニット19が擦れて前後方向に回転するコロ29が複数配置されている。コロ29は台21の前後方向の全長に亘って点在している。コロ29はボール、ローラーが例示される。コロ29は、コロ29の下に配置された昇降機(図示せず)により台21に対して上下する。昇降機は空気や油などの流体が入る弾力のあるチューブが例示される。チューブはコロ29の下に台21に沿って配置されている。
【0038】
昇降機のチューブに流体を供給するとチューブが膨張してコロ29が上昇し、コロ29の一部が、台21の天面よりも上に現れる。機能ユニット19を搬送して台21の上に置いた後、機能ユニット19を後方(第1の方向)へ向かって押すと、機能ユニット19が擦れてコロ29が回転する。よって小さな力で台21に沿って機能ユニット19を第1の方向へ移動させることができる。
【0039】
台21の後端と後壁13との間にストッパ30が介在する。ストッパ30の材料はゴムや合成樹脂が例示される。本実施形態では後壁13にストッパ30が取り付けられている。1つのストッパ30は、隣り合う2つの台21の後方に位置する。第1の方向へ移動する機能ユニット19がストッパ30の位置に達すると、ストッパ30に当たって機能ユニット19の移動が規制される。ストッパ30は機能ユニット19が当たったときの衝撃を緩衝する。1つのストッパ30が、隣り合う2つの機能ユニット19の移動を規制するので、機能ユニット19ごとにストッパが設けられる場合に比べ、ストッパの数を少なくできる。
【0040】
隣り合う台21と台21との間に支持部31が設けられている。支持部31は台21に沿って前後に延びる部材であり、脚23に支持されている。支持部31にガイド32が設けられている。ガイド32は、支持部31から上に向かって延びる複数の軸33と、軸33に設けられたローラー34と、を含む。支持部31を上から見て支持部31の前から後ろに向かって順に軸33を線で結んだ形はジグザグである。ローラー34は、コロ29より高い位置に設けられている。ガイド32は、コロ29が回転して機能ユニット19が前後に移動するときに、機能ユニット19の横方向の移動を規制する。ガイド32により、機能ユニット19の横方向の位置決めができる。
【0041】
ローラー34は、コロ29が回転して機能ユニット19が移動するときに、機能ユニット19が擦れて軸33の周りを回転する。ローラー34はガイド32と機能ユニット19との間に働く摩擦力を小さくする摩擦低減部として働くので、ガイド32に沿って機能ユニット19を前後に移動させやすくできる。
【0042】
機能ユニット19を第1の方向(後方)へ移動させた後、昇降機のチューブに詰まった流体を抜くと、チューブが収縮してコロ29が下降し、コロ29の全体が、台21の天面よりも下に位置する。これにより機能ユニット19は台21に接し、機能ユニット19と台21との間の摩擦力によって機能ユニット19は台21に固定される。機能ユニット19を台21の上に置いた後、機能ユニット19が第2の方向(前方)へ移動しないように、台21、床板25、支持部31の1種以上に、機能ユニット19を機械的に固定する固定具(図示せず)を取り付けても良い。
【0043】
台21に固定した機能ユニット19を輸送コンテナ11から取り出すときは、昇降機のチューブに流体を供給しチューブを膨張させてコロ29を上昇させる。機能ユニット19が擦れるとコロ29が回転するので、台21に沿って機能ユニット19を前方(第2の方向)へ移動させることができる。これにより台21の上から機能ユニット19を取り除くことができる。
【0044】
図4は輸送コンテナ11のベース12の一部を拡大して図示した平面図である。輸送コンテナ11は、支持部31を挟んで隣り合う台21と支持部31との間に隙間36がある。輸送コンテナ11の中の空気は、隙間36を通って、台下空間24(
図3参照)と台上空間42(
図5(a)参照)との間を流通する。
【0045】
図5(a)は輸送コンテナ11に機能ユニット19が配置されたコンテナモジュール10の断面図である。
図5(a)では破断線によって一部を取り去った機能ユニット19が図示されている。
図5(b)は機能ユニット19の上方から見た平面図である。
【0046】
輸送コンテナ11に配置された機能ユニット19は、機能ユニット19の背面38が、輸送コンテナ11の後壁13に対面する。機能ユニット19の背面38には、後方へ突き出す第2の仕切り39が設けられている。第2の仕切り39は、機能ユニット19の背面38のうちストッパ30に当たる部分を避けて高さ方向に延びている。本実施形態では、第2の仕切り39は、2つが互いに間隔をあけて、それぞれ機能ユニット19の側面40に沿って背面38に設けられている。
【0047】
吸気口18(
図1参照)は、側壁14のうち台21の天面よりも高い位置に設けられている。吸気口18に配置された送風機を作動すると、輸送コンテナ11の外の空気が台上空間42に入る。空気は、機能ユニット19に沿って下向きに流れ、隙間36(
図4参照)から台下空間24に入る。第2の仕切り39は、機能ユニット19の側面40に沿って流れる風が、機能ユニット19の背面38に回り込むのを防ぐ。機能ユニット19の背面38よりも面積が大きい側面40に風を当てることができるので、機能ユニット19の側面40からの放熱を促進できる。
【0048】
第1の仕切り25a,25bは台下空間24と台上空間42とを隔てるので、第1の仕切り25a,25bによって台21の下を流れる空気の漏れを低減し、台21の下の通気を確保できる。台下空間24は横方向に連続しているので、風は排気口17から輸送コンテナ11の外に出る。また第1の仕切り25aは台下空間24の前方を塞いでいるので、前扉16を開けた状態でも、台下空間24を流れる空気の漏れを低減し、台下空間24を風が吹きとおるようにできる。
【0049】
機能ユニット19の正面41に設けられた扉(図示せず)を開くと、機能ユニット19に液体やガスを供給したり機能ユニット19から液体やガスを排出したりする配管につながる第2の継手43が現れる。また、機能ユニット19に電力を供給したり信号を送信したりする配線につながる継手(図示せず)も現れる。第2の継手43は、輸送コンテナ11に配置された第1の継手28に接続される。配線につながる継手も輸送コンテナ11に配置された継手に接続される。これにより機能ユニット19を輸送コンテナ11に収納した状態で配管26や配線と機能ユニット19との接続を容易にできる。
【0050】
機能ユニット19の側面40と側面40との間の距離(機能ユニット19の幅W)は、全ての機能ユニット19において同じである。機能ユニット19を据える台21と台21との間の距離も全て同じである。寸法が規格化されているので任意の台21に任意の機能ユニット19を載せられる。従って自由に組み合わせた機能ユニット19を輸送コンテナ11内の任意の位置に配置できる。
【0051】
全ての機能ユニット19の高さT1は、機能ユニット19が並ぶ方向(横方向)における機能ユニット19の幅Wより大きい。これにより機能ユニット19の体積は確保しつつ、複数の機能ユニット19が配置される輸送コンテナ11のベース12の横幅を低減できる。従ってコンテナモジュール10の据え付けに必要な敷地を低減できる。
【0052】
コンテナモジュール10は、機能ユニット19の高さT1を、台21から輸送コンテナ11の開口の上端35までの高さT2で除した値が、0.9以上0.99以下である。輸送コンテナ11に収容できる範囲で機能ユニット19の高さT1を大きくできるので、高さT1に比べて幅が狭い機能ユニット19の体積を確保できる。よって機能ユニット19に縦長の装置を搭載したり機能ユニット19に多くの装置を搭載したりできる。また、機能ユニット19を台21に配置するときや台21から取り除くときに、輸送コンテナ11の開口の上端35と機能ユニット19との間にできる隙間の分だけ機能ユニット19を上下に傾けられるので、機能ユニット19の移動が容易になる。
【0053】
図6を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施形態では、機能ユニット19の後方への移動を規制するストッパ30を設ける場合について説明した。これに対し第2実施形態では、機能ユニット19の前方および後方への移動に加え、上方への移動を規制するストッパ46,49を設ける場合について説明する。ストッパ46,49は、第1実施形態におけるストッパ30に代えて、台21に設けられる。なお、第1実施形態において説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0054】
図6は第2実施の形態におけるコンテナモジュール10の断面図である。機能ユニット19は背面38に第1の規制部44が設けられている。第1の規制部44は後方(第1の方向)へ出ている。機能ユニット19は正面41に第2の規制部45が設けられている。第2の規制部45は前方(第2の方向)へ出ている。
【0055】
台21の後端部上方には第1のストッパ46が配置されている。第1のストッパ46は、第1の規制部44が第1のストッパ46に当たったときに第1の規制部44の後ろに当たる第1部47と、第1の規制部44の上に当たる又は近接する第2部48と、を含む。
【0056】
第1の規制部44が第1のストッパ46に当たった後に、台21の前端部には第2のストッパ49が取り付けられる。第2のストッパ49は、第2の規制部45の前に当たる又は近接する第1部50と、第2の規制部45の上に当たる又は近接する第2部51と、を含む。
【0057】
第1のストッパ46及び第2のストッパ49は、第1の規制部44及び第2の規制部45に引っ掛かって機能ユニット19の前後と上の移動を規制するので、移動を規制する方向ごとにストッパを設ける場合に比べ、ストッパの数を少なくできる。
【0058】
第2実施形態では、第1の規制部44が第1の方向へ出ており、第2の規制部45が第2の方向へ出ている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第2の方向へ凹む第1の規制部44を機能ユニット19に設けたり、第1の方向へ凹む第2の規制部45を機能ユニット19に設けたりすることは当然可能である。この場合も第1のストッパ46は第1の規制部44の凹みに関わり合う形状にされ、第2のストッパ49は第2の規制部45の凹みに関わり合う形状にされる。
【0059】
図7を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施形態では、上から見たときの機能ユニット19の形が矩形の場合について説明した。これに対し第3実施形態では異形の機能ユニット19について説明する。なお、第1実施形態において説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0060】
図7(a)は第3実施の形態におけるコンテナモジュール10の機能ユニット19及び輸送コンテナ11のベース12の上方から見た平面図である。輸送コンテナ11は、台21の後端と後壁13との間にストッパ52が介在する。ストッパ52はゴム製や合成樹脂製の部材である。ストッパ52は後壁13に取り付けられている。ストッパ52は、隣り合う2つの台21の後方に位置する。ストッパ52は2つの傾斜面53を含む。傾斜面53によってストッパ52の幅は、第2の方向(前方)へ向かうにつれて小さくなる。
【0061】
機能ユニット19の第1の方向の端部55は、2つの側面40と背面38とをそれぞれ連絡する2つの傾斜面54を含む。端部55の幅は、傾斜面54によって第1の方向(後方)へ向かうにつれて小さくなる。機能ユニット19の第2の方向の端部56の幅Wは一定である。
【0062】
図7(b)は機能ユニット19が配置されたベース12の平面図である。台21の上を第1の方向(後方)へ移動する機能ユニット19の傾斜面54が、ストッパ52の傾斜面53に当たると、機能ユニット19の第1の方向への移動が規制される。1つのストッパ52が、隣り合う2つの機能ユニット19の移動を規制するので、機能ユニット19ごとにストッパが設けられる場合に比べ、ストッパの数を少なくできる。
【0063】
機能ユニット19の第1の方向の端部55の幅が、第1の方向に向かうにつれて小さくなっているので、台21の上に一つあけて配置されている機能ユニット19の間へ、機能ユニット19を入れやすくなる。さらに、機能ユニット19の傾斜面54は側面40と背面38とを連絡するので、正面41と背面38とを連絡する傾斜面が設けられる場合に比べ、機能ユニット19の容積を大きくできる。
【0064】
図8を参照して第4実施の形態について説明する。第3実施形態では、機能ユニット19の側面40と背面38とを連絡する2つの傾斜面54を含む端部55が、機能ユニット19に設けられている場合について説明した。これに対し第4実施形態では、2つの傾斜面58を含む端部57が機能ユニット19に設けられる場合について説明する。なお、第1実施形態において説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0065】
図8は第4実施の形態におけるコンテナモジュールの機能ユニット19の斜視図である。
図8の矢印Iはコンテナモジュールの第1の方向を示し、矢印IIはコンテナモジュールの第2の方向を示す。機能ユニット19の第1の方向の端部57は、機能ユニット19の背面38の下部に設けられている。端部57は、第1の方向へ向かうにつれて、互いに近づくように傾斜する傾斜面58を有している。傾斜面58は機能ユニット19の側面40に連絡している。そのため機能ユニット19の端部57は第1の方向へ向かうにつれて横幅が小さくなる。
【0066】
機能ユニット19の端部57の横幅が、第1の方向に向かうにつれて小さくなっているので、台21の上に一つあけて配置されている機能ユニット19の間へ、機能ユニット19を入れやすくなる。さらに機能ユニット19の端部57が機能ユニット19から突き出ているので、第3実施形態と異なり、機能ユニット19の容積を削減しなくても済む。
【0067】
図9を参照して第5実施の形態について説明する。第1実施形態から第4実施形態では、機能ユニット19を第1の方向に移動するときに機能ユニット19の側面がガイド32に案内される場合について説明した。これに対し第5実施形態では、機能ユニット19に設けた第3の規制部60がガイド59に案内される場合について説明する。なお、第1実施形態において説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0068】
図9は第5実施の形態におけるコンテナモジュール10のベース12及び機能ユニット19の斜視図である。
図9の矢印Iはコンテナモジュールの第1の方向を示し、矢印IIはコンテナモジュールの第2の方向を示す。
図9にはベース12に配置された1組の台21は図示されているが、接続部22や床板25等の図示が省略されている。
【0069】
ベース12には台21の横方向の内側にガイド59が配置されている。ガイド59は前後方向に延びる一対のレールからなる。ガイド59の高さは台21の高さよりも低く、ガイド59とガイド59との間の横方向の距離は、第1の方向に向かうにつれて次第に小さくなっている。
【0070】
機能ユニット19の底には、機能ユニット19が台21に配置されるときに、ガイド59の横方向の内側に位置する第3の規制部60が設けられている。第3の規制部60は、機能ユニット19の前後方向に延びる一対のレールからなる。第3の規制部60と第3の規制部60との間の横方向の距離は、第1の方向に向かうにつれて次第に小さくなっている。
【0071】
ガイド59の横方向の距離が第1の方向に向かうにつれて小さくなっており、第3の規制部60の横方向の距離も第1の方向に向かうにつれて小さくなっているので、機能ユニット19を第1の方向へ移動して台21に機能ユニット19を配置するときに、ガイド59の内側へ第3の規制部60を入れるのが容易である。また、台21に機能ユニット19が配置されると、ガイド59と第3の規制部60とが引っ掛かって機能ユニット19の横方向の移動および第1の方向の移動が規制される。さらに第3の規制部60が機能ユニット19の底から突き出ているので、機能ユニット19の容積を削減しなくても済む。
【0072】
なお、第5実施形態では、ガイド59の横方向の距離が第1の方向に向かうにつれて小さくなっており、第3の規制部60の横方向の距離も第1の方向に向かうにつれて小さくなっている場合について説明したが、これに限られるものではない。ガイド59の横方向の距離を第2の方向に向かうにつれて小さくし、第3の規制部60の横方向の距離も第2の方向に向かうにつれて小さくすることは当然可能である。この場合、台21に機能ユニット19が配置されたときに、第3の規制部60が、ガイド59の横方向の外側であってガイド59と台21との間にそれぞれ位置するように、ガイド59や第3の規制部60の位置を設定する。この場合も機能ユニット19を第1の方向へ移動して台21に機能ユニット19を配置するときに、ガイド59と台21との間に第3の規制部60を入れるのが容易である。
【0073】
第5実施形態では、ガイド59や第3の規制部60がレールからなる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1実施形態と同様に、ローラーからなるガイド59を台21に沿って点在させたり、ガイド59や第3の規制部60にローラーを設けたりすることは当然可能である。ローラーからなる第3の規制部60を機能ユニット19に点在させても良い。
【0074】
第5実施形態では、1組の台21の横方向の内側にガイド59が配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。機能ユニット19の幅は変えないで、1組の台21の横方向の間隔を小さくし、台21の横方向の外側にガイド59を配置し、機能ユニット19には、ガイド59に対応する位置に第3の規制部60を設けることは当然可能である。この場合も第5実施形態におけるコンテナモジュールと同様の作用効果を実現できる。
【実施例0075】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。第1実施形態におけるコンテナモジュール10について流体解析(CFDシミュレーション)を行い、換気をしたときの輸送コンテナ11内の空気流れを計算し、流れの速度や圧力分布を求めた。
【0076】
図10は流体解析を行ったコンテナモジュール10の台上空間42、台下空間24及び機能ユニット19の主な寸法を示す図である。台上空間42の幅W1は6.0m、奥行D1は2.3m、高さH1は1.9mとし、台下空間24の幅W2は5.8m、奥行D2は2.0m、高さH2は0.3mとした。機能ユニット19は、台上空間42の幅方向に互いに間隔をあけて8つ並べた。1つの機能ユニット19の幅W3は0.7m、奥行D3は2.0m、高さH3は1.7mとした。隣り合う機能ユニット19の間隔W4は5cmとし、隣り合う機能ユニット19の間に、台上空間42と台下空間24とをつなぐ隙間36をそれぞれ設けた。隙間36の面積は各々100cm
2とした。
【0077】
乱流モデルとしてk-εモデルを利用し、空気の粘性係数1.86×10-6Pa・S、空気の分子量29kg/kmol、重力9.81m/s2として、気温20℃の下でコンテナモジュール10を換気したときの流体解析を行い、台上空間42のうち空気流れが存在する範囲にある各格子の圧力P1、台下空間24のうち空気流れが存在する範囲にある各格子の圧力P2、機能ユニット19間の間隔W4の空間のうち空気流れが存在する範囲にある各格子における高さ方向(上下方向)の空気の速度S(質量流速)を求めた。
【0078】
各格子における速度Sから、速度Sの平均(kg/s)、速度Sの最大値から速度Sの最小値を減じた範囲(kg/s)、速度Sの範囲を速度Sの平均で除した値(%)を計算した。各格子の圧力P1,P2から、圧力P1の平均A(Pa)、圧力P2の平均B(Pa)、圧力P2の最大値から圧力P2の最小値を減じた範囲(Pa)、圧力P2の範囲を圧力P2の絶対値の平均で除した値(%)、圧力P1の平均Aと圧力P2の平均Bとの差(Pa)を計算した。表1に計算結果を示した。
【0079】
【表1】
表1に示すNo.1-3は、台下空間24から吸気し台上空間42から排気したときの計算結果である。No.4-7は、台上空間42から吸気し台下空間24から排気したときの計算結果である。No.1-7は、排気口に設けた送風機で排気を行い、吸気口には送風機を設けずに、排気に伴う自然吸気の条件で計算を行った。
【0080】
台下空間24から吸気し台上空間42から排気したときは(No.1-3)、輸送コンテナ11の中は正圧であったが、台上空間42から吸気し台下空間24から排気したときは(No.4-6)、輸送コンテナ11の中は、輸送コンテナ11の外の圧力よりも低い負圧であった。換気量が2.0m3/minのNo.7は、台下空間24の圧力P2の平均は-2Paであったが、台上空間42の圧力P1の平均は0Paであった。
【0081】
No.1-6は、台下空間24から吸気し台上空間42から排気したときも、台上空間42から吸気し台下空間24から排気したときも、いずれも圧力P1の平均Aと圧力P2の平均Bとの差(ABの差)は5Pa以上あった。台下空間24と台上空間42との間の圧力の差によって台下空間24と台上空間42との間に平均0.04kg/s以上の速度の空気流れを確保できることが明らかになった。これに対しNo.7はABの差が2Paしかなく、台下空間24と台上空間42との間の空気流れの速度Sは平均0.01kg/sであった。
【0082】
台下空間24から吸気し台上空間42から排気したNo.1-3は、速度Sの範囲を速度Sの平均で除した値が、台上空間42から吸気し台下空間24から排気したNo.4-6の値に比べて大きいことがわかった。No.7は、台上空間42から吸気し台下空間24から排気したにも関わらず、速度Sの範囲を速度Sの平均で除した値が最も大きくなった。
【0083】
台下空間24から吸気し台上空間42から排気すると(No.1-3)、台上空間42よりも容積が小さい台下空間24に吸気口18から輸送コンテナ11の外の空気が進入する。吸気口18から台下空間24に入った直後の空気流れは速いため、狭い台下空間24に空気流れの渦などが生じ易く、台下空間24の圧力のばらつきが大きくなり易い。台下空間24の圧力のばらつきが大きくなると、台下空間24と台上空間42との圧力の差のばらつきが大きくなり、機能ユニット19間の流れの上向きの速度Sのばらつきが大きくなると考えられる。そうすると機能ユニット19間の空気流れを利用した機能ユニット19の冷却のばらつきが大きくなり、8台の機能ユニット19の冷却度合がまちまちになる。
【0084】
一方、台上空間42から吸気し台下空間24から排気すると(No.4-6)、排気口17へ向かって空気が移動する台下空間24に空気流れの渦などが生じ難いため、台下空間24の圧力のばらつきは小さくなる。台下空間24の圧力のばらつきが小さくなると、台下空間24と台上空間42との圧力の差のばらつきが小さくなり、機能ユニット19間の流れの下向きの速度Sのばらつきが小さくなると考えられる。そうすると機能ユニット19間の空気流れを利用した8台の機能ユニット19間の冷却のばらつきが小さくなる。
【0085】
No.4-6は、速度Sの最大値から最小値を減じた速度Sの範囲を速度Sの平均で除した値が5%以下であった。No.4-6は機能ユニット19の高さ方向の流れ(本実施例では下向きの流れ)の速度Sのばらつきが小さいので、機能ユニット19間の空気流れを利用した8台の機能ユニット19間の冷却のばらつきを小さくできる。
【0086】
No.4-6は、台下空間24の圧力P2の最大値から最小値を減じた圧力P2の範囲を圧力P2の平均で除した値が19%以下であった。No.4-6は台下空間24の圧力のばらつきが小さいので、台下空間24と台上空間42との圧力の差のばらつきが小さくなり、機能ユニット19間の流れの下向きの速度Sのばらつきが小さくなる。その結果、機能ユニット19間の空気流れを利用した8台の機能ユニット19間の冷却のばらつきを小さくできる。
【0087】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0088】
実施形態では、排ガスから得た二酸化炭素と、水から得た水素と、を原料にして可燃性生成物を製造するコンテナモジュール10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他の役割を果たすコンテナモジュール10にすることは当然可能である。他のコンテナモジュール10としては、水を原料として水素や酸素を製造するモジュール、排ガスから二酸化炭素を精製することに特化したモジュールが例示される。
【0089】
実施形態や実施例の流体解析では、最大8つの機能ユニット19を搭載できる台21が配置された輸送コンテナ11に、8つの機能ユニット19を搭載する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。輸送コンテナ11に搭載される機能ユニット19の数は、コンテナモジュール10の目的に応じて2台から8台の間で適宜設定される。輸送コンテナ11の台21に空席があっても構わない。輸送コンテナ11に機能ユニット19を搭載できる最大数も8台に限るものではなく、任意に設定できる。
【0090】
実施形態では、機能ユニット19の間に位置するガイド32にローラー34が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ローラー34が設けられたガイド32を、前後方向に延びるレールに替えることは当然可能である。この場合もレールからなるガイドによって、台21に配置された機能ユニット19の左右の位置規制ができる。
【0091】
さらに、レール(ガイド)の側面の少なくとも一部に、機能ユニット19との間の摩擦係数が小さい、滑り性に優れる材料でできた部分(摩擦低減部)を設けることは当然可能である。滑り性に優れる材料としては、フッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール樹脂が例示される。この場合も摩擦低減部によりガイドに沿って機能ユニット19を前後に移動させやすくできる。滑り性に優れる材料でレールを作っても良い。
【0092】
実施形態では、台下空間24を流れる空気が出てくる隙間36を台21と支持部31との間に設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。床板25と台21との間に隙間36を設けたり、床板25や支持部31に穴をあけて隙間36にしたりすることは当然可能である。隙間36や穴の大きさや形は適宜設定できる。
【0093】
実施形態では、輸送コンテナ11の側壁14のうち台21よりも低い位置に排気口17を設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。後壁13や前扉16に排気口17を設けても良い。側壁14や後壁13、前扉16のうち台21よりも高い位置に排気口17を設けたり、屋根15に排気口17を設けたりしても良い。
【0094】
実施形態では、輸送コンテナ11の側壁14のうち台21の天面よりも高い位置に吸気口18を設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。後壁13や前扉16、屋根15に吸気口18を設けても良い。また側壁14や後壁13、前扉16のうち台21よりも低い位置に吸気口18を設けても良い。
【0095】
実施形態では、吸気口18に送風機(図示せず)が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。輸送コンテナ11の中の空気を排気口17から輸送コンテナ11の外へ逃がす送風機を排気口17に設けることは当然可能である。吸気口18に外気を取り入れる送風機を設けると共に、排気口17に空気を逃がす送風機を設けても良い。
【0096】
実施形態では、第1の仕切り25a,25bが、台21の前後端に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。前後に延びる台21の下の中間位置に、横方向に連続した第1の仕切り25a,25bを、前後に所定の間隔をあけて複数設けることは当然可能である。この場合も複数の第1の仕切り25a,25bに挟まれた横方向に連続した台下空間24を、実施形態と同様に台21の下に作ることができる。
【0097】
実施形態では、外気を輸送コンテナ11へ導入して機能ユニット19を空冷する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。循環水が流れるラジエーターを吸気口18に配置し、吸気口18へ外気を導入して循環水を冷やし、冷やした循環水を機能ユニット19へ導いて機能ユニット19を水冷することは当然可能である。水冷と空冷を併用することは当然可能である。
【0098】
実施形態では、全ての機能ユニット19の高さT1が同じ場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。機能ユニット19の高さT1が幅Wよりも大きければ、機能ユニット19の高さT1にばらつきがあっても構わない。
【0099】
第4実施形態では、機能ユニット19の背面38の下部に端部57を設ける場合につい説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。機能ユニット19の背面38の上部に端部57を設けたり背面38の全体に端部57を設けたりすることは当然可能である。また、背面38の複数の位置に端部57を設けることは当然可能である。
【0100】
実施形態ではベース12に床板25が配置される場合について説明したが、床板25は除くことができる。台21に機能ユニット19が配置されると、床板25が無くても、機能ユニット19によって台21と台21との間の隙間が、隙間36を除き、塞がれるからである。
【0101】
本開示は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
輸送コンテナと、前記輸送コンテナに収納される複数の機能ユニットと、を備えるコンテナモジュールであって、前記輸送コンテナは、吸気口および排気口が設けられており、前記機能ユニットの側面同士の間隔をあけて前記機能ユニットがそれぞれ配置される複数の台を備え、前記台の下にそれぞれ設けられた空間は、前記台が並ぶ方向に連続し、前記吸気口および前記排気口につながるコンテナモジュール。
[適用例2]
前記空間と前記空間以外の前記輸送コンテナ内の空間とを仕切る第1の仕切りが、前記台にそれぞれ設けられている適用例1記載のコンテナモジュール。
[適用例3]
隣り合う前記台の間に隙間がある適用例1又は2に記載のコンテナモジュール。
[適用例4]
前記輸送コンテナの壁と前記機能ユニットとの間に設けられた第2の仕切りを備え、前記第2の仕切りは、前記台が並ぶ方向と交わる方向に延びている適用例1から3のいずれかに記載のコンテナモジュール。
[適用例5]
前記機能ユニットのうち発熱量が最も多いものと発熱量が最も少ないものとが隣り合って配置されている適用例1から4のいずれかに記載のコンテナモジュール。
[適用例6]
前記吸気口および前記排気口の少なくとも一方に配置された送風機を備える適用例1から5のいずれかに記載のコンテナモジュール。
[適用例7]
前記複数の台の全てに前記機能ユニットが配置されたときに、前記台の上の前記輸送コンテナ内の空間である台上空間の平均の圧力と前記台下空間の平均の圧力との差が5Pa以上ある適用例1から6のいずれかに記載のコンテナモジュール。
[適用例8]
前記吸気口は、前記輸送コンテナのうち前記台よりも上の部分に設けられ、前記排気口は、前記輸送コンテナのうち前記台の天面よりも下の部分に設けられている適用例7記載のコンテナモジュール。
[適用例9]
前記機能ユニットの側面同士の前記間隔における、前記機能ユニットの高さ方向の空気の流速の最大値から前記流速の最小値を減じた値は、前記流速の平均の5%以下である適用例7又は8に記載のコンテナモジュール。
[適用例10]
前記台下空間の圧力の最大値から前記台下空間の圧力の最小値を減じた値は、前記台下空間の圧力の絶対値の平均の19%以下である適用例7から9のいずれかに記載のコンテナモジュール。