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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164261
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】プリント回路基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231102BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20231102BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/14 M
H05K1/09 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186422
(22)【出願日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】10-2022-0053413
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 燦 訓
(72)【発明者】
【氏名】趙 起 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 相 勳
【テーマコード(参考)】
4E351
【Fターム(参考)】
4E351AA03
4E351AA04
4E351CC06
4E351CC07
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD06
4E351DD10
4E351DD11
4E351DD12
4E351DD19
4E351GG03
4E351GG20
(57)【要約】
【課題】ファインピッチボンドフィンガーの実現が可能なプリント回路基板を提供する。
【解決手段】本発明によるプリント回路基板は、第1絶縁層と、第1絶縁層上に配置される第1金属部と、第1金属部上に配置され、第1金属部と境界なしに一体化し、第1金属部よりも断面上での幅がさらに狭い第2金属部と、を含む金属パッドと、第1絶縁層上に配置され、第1金属部の側面の少なくとも一部を覆う第2絶縁層と、金属パッド上に配置され、第2金属部の上面及び側面のそれぞれの少なくとも一部を覆う表面金属層と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に配置される第1金属部と、前記第1金属部上に配置され、前記第1金属部と境界なしに一体化し、前記第1金属部よりも断面上での幅がさらに狭い第2金属部と、を含む金属パッドと、
前記第1絶縁層上に配置され、前記第1金属部の側面の少なくとも一部を覆う第2絶縁層と、
前記金属パッド上に配置され、前記第2金属部の上面及び側面のそれぞれの少なくとも一部を覆う表面金属層と、を有することを特徴とするプリント回路基板。
【請求項2】
前記第2絶縁層は、前記第1金属部の上面を覆わないことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記第2絶縁層の上面は、前記第1金属部の上面と実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記第2絶縁層は、ソルダーレジストを含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記第1及び第2金属部は、銅(Cu)を含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記表面金属層は、前記金属パッド上に配置される第1表面金属層と、前記第1表面金属層上に配置される第2表面金属層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記第1表面金属層は、ニッケル(Ni)を含み、
前記第2表面金属層は、金(Au)を含むことを特徴とする請求項6に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
複数の前記金属パッド上に複数の前記表面金属層がそれぞれ配置され、前記複数の金属パッドの内の隣接する2つの金属パッドのそれぞれの第1金属部間の間隔は、前記複数の表面金属層の内の前記隣接する2つの金属パッド上にそれぞれ配置された2つの表面金属層のそれぞれの第2表面金属層間の間隔と実質的に同一であることを特徴とする請求項6に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
複数の前記金属パッド上に複数の前記表面金属層がそれぞれ配置され、前記複数の金属パッドの内の隣接する2つの金属パッドのそれぞれの第1金属部間の間隔は、前記複数の表面金属層の内の前記隣接する2つの金属パッド上にそれぞれ配置された2つの表面金属層のそれぞれの第2表面金属層間の間隔よりもさらに小さいことを特徴とする請求項6に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
複数の前記金属パッド上に複数の前記表面金属層がそれぞれ配置され、前記複数の金属パッドの内の隣接する2つの金属パッドのそれぞれの第1金属部間の間隔は、前記複数の表面金属層の内の前記隣接する2つの金属パッド上にそれぞれ配置された2つの表面金属層のそれぞれの第2表面金属層間の間隔よりもさらに大きいことを特徴とする請求項6に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
前記第1及び第2金属部の各側面は、実質的に垂直な形態を有し、
前記第1及び第2金属部の各上面の角は、実質的に角張った形態であることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項12】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に配置されるシード金属層と、
前記シード金属層上に配置される第1金属部と、前記第1金属部上に配置されて前記第1金属部と境界なしに一体化し、前記第1金属部よりも断面上での幅がさらに狭い第2金属部と、を含む金属パッドと、
前記第1絶縁層上に配置され、前記第1金属部の側面の少なくとも一部を覆い、前記第1金属部の上面からは離隔した第2絶縁層と、を有することを特徴とするプリント回路基板。
【請求項13】
前記シード金属層は、前記第1金属部とは接し、前記第2金属部とは離隔することを特徴とする請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項14】
前記シード金属層は、銅(Cu)を含むことを特徴とする請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項15】
前記シード金属層の側面の少なくとも一部は、溝部を有し、
前記第2絶縁層は、前記溝部の少なくとも一部を満たすことを特徴とする請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項16】
前記溝部は、少なくとも一面がテーパー状を有することを特徴とする請求項15に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板に関し、特に、ファインピッチボンドフィンガーの実現が可能なプリント回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリ容量が増えるにつれてパッケージされるチップの数が増えるようになり、これによってワイヤボンディング基板では、チップと接続するためのボンディングパッドの数も増えている。
したがって、ファインピッチボンドフィンガー(fine pitch bond finger)の実現が求められている。
【0003】
一方、一般的なめっき工程で形成される従来のボンディングパッドの場合には、各種前処理及びシードエッチングによるパッド構造でパッドの側面がテーパー状となり、角が丸くなってワイヤボンディングの実際の接触面積が小さくなることがあり、ボンディングパッドの上面だけでなく、側面も金属で表面処理されることから、スペースマージンの確保に困難があることがあり、ボンディングパッドと絶縁材との間のアンダーカットによって応力が集中する空間に表面処理金属が配置され、熱伸縮による基板の反りなどの外部衝撃に脆弱である、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-206954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来のプリント回路基板における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ファインピッチボンドフィンガーの実現が可能なプリント回路基板を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、シードエッチング又は前処理からパッドの損傷を防ぐことができるプリント回路基板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、金属表面処理後にも十分なスペースマージンの確保が可能なプリント回路基板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、パッドと絶縁材との間の応力集中空間の外部衝撃による問題の改善が可能なプリント回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明を通じて提案するいくつかの解決手段の1つは、パッド及び他の材料の金属マスキングによるパッドの損傷を防止し、またシードエッチング後のパッドよりも厚さが薄い追加絶縁材を形成して、パッドがエッチングされるレベルを制御することである。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明によるプリント回路基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置される第1金属部と、前記第1金属部上に配置され、前記第1金属部と境界なしに一体化し、前記第1金属部よりも断面上での幅がさらに狭い第2金属部と、を含む金属パッドと、前記第1絶縁層上に配置され、前記第1金属部の側面の少なくとも一部を覆う第2絶縁層と、前記金属パッド上に配置され、前記第2金属部の上面及び側面のそれぞれの少なくとも一部を覆う表面金属層と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するためになされた本発明によるプリント回路基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置されるシード金属層と、前記シード金属層上に配置される第1金属部と、前記第1金属部上に配置されて前記第1金属部と境界なしに一体化し、前記第1金属部よりも断面上での幅がさらに狭い第2金属部と、を含む金属パッドと、前記第1絶縁層上に配置され、前記第1金属部の側面の少なくとも一部を覆い、前記第1金属部の上面からは離隔した第2絶縁層と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプリント回路基板によれば、パッド及び他の材料の金属マスキングによるパッドの損傷を防止し、またシードエッチング後のパッドよりも厚さが薄い追加絶縁材を形成して、パッドがエッチングされるレベルを制御することにより、ファインピッチボンドフィンガーの実現が可能なプリント回路基板を提供することができる。
また、シードエッチング又は前処理からパッドの損傷を防ぐことができるプリント回路基板を提供することができる。
また、金属表面処理後にも十分なスペースマージンの確保が可能なプリント回路基板を提供することができる。
また、パッドと絶縁材との間の応力集中空間の外部衝撃による問題の改善が可能なプリント回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による電子機器システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態による電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
図4a図3のプリント回路基板の一効果を概略的に説明するための断面図である。
図4b図3のプリント回路基板の一効果を概略的に説明するための断面図である。
図5図3のプリント回路基板の他の効果を概略的に説明するための断面図である。
図6a図3のプリント回路基板の他の効果を概略的に説明するための断面図である。
図6b図3のプリント回路基板の他の効果を概略的に説明するための断面図である。
図7a図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7b図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7c図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7d図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7e図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7f図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7g図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7h図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7i図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7j図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7k図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7l図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図8】本発明の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
図9】本発明のまた他の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るプリント回路基板を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0013】
<電子機器>
図1は、本発明の実施形態による電子機器システムの概略構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、電子機器1000は、メインボード1010を収容する。
メインボード1010には、チップ関連部品1020、ネットワーク関連部品1030、及びその他の部品1040などが物理的及び/又は電気的に接続されている。
これらは後述する他の電子部品とも接続されて様々な信号ライン1090を形成する。
【0014】
チップ関連部品1020としては、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリチップと、セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのアプリケーションプロセッサチップと、アナログ-デジタルコンバータ、ASIC(application-specific IC)などのロジックチップなどが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にもその他の形態のチップ関連の電子部品を含むこともできる。
さらに、これらのチップ関連部品1020を互いに組み合わせることもできる。
チップ関連部品1020は、上述したチップや電子部品を含むパッケージ形態であり得る。
【0015】
ネットワーク関連部品1030としては、Wi-Fi(IEEE 802.11ファミリなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、5G、及びそれ以降のものとして指定された任意の他の無線及び有線プロトコルが含まれるが、これらに限定されず、これら以外にもその他の多数の無線又は有線標準やプロトコルのいずれかが含まれ得る。
また、ネットワーク関連部品1030が、チップ関連部品1020とともに互いに組み合わされることもできる。
【0016】
その他の部品1040としては、高周波インダクタ、フェライトインダクタ、パワーインダクタ、フェライトビーズ、LTCC(low Temperature Co-Firing Ceramics)、EMI(Electro Magnetic Interference)filter、MLCC(Multi-Layer Ceramic Condenser)などが含まれる。
但し、これらに限定されるものではなく、これら以外にもその他の様々な用途のために用いられるチップ部品の形態の受動素子などが含まれ得る。
また、その他の部品1040をチップ関連部品1020及び/又はネットワーク関連部品1030と互いに組み合わせることもできる。
【0017】
電子機器1000の種類に応じて、電子機器1000は、メインボード1010に物理的及び/又は電気的に接続されるか、又は接続されない他の電子部品を含み得る。
他の電子部品の例を挙げると、カメラモジュール1050、アンテナモジュール1060、ディスプレイ1070、バッテリー1080などがある。
但し、これらに限定されるものではなく、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、羅針盤、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカー、大容量記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、CD(compact disk)、DVD(digital versatile disk)などが挙げられる。
これら以外にも、電子機器1000の種類に応じて様々な用途のために用いられるその他の電子部品などが含まれ得る。
【0018】
電子機器1000は、スマートフォン(smart phone)、個人用情報端末機(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニター(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビジョン(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモーティブ(Automotive)などであることができる。
但し、これらに限定されず、これら以外にもデータを処理する任意の他の電子機器であることもできる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態による電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
図2を参照すると、電子機器は、例えば、スマートフォン1100である。
スマートフォン1100の内部には、マザーボード1110が収容されており、このようなマザーボード1110には様々な部品1120が物理的及び/又は電気的に接続されている。
【0020】
さらに、カメラモジュール1130及び/又はスピーカー1140のように、マザーボード1110に物理的及び/又は電気的に接続されるか、又は接続されない他の部品が内部に収容されている。
部品1120の一部は、上述したチップ関連部品であり得、例えば、部品パッケージ1121であり得るが、これに限定されるものではない。
部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品を含む電子部品が表面に実装配置されたプリント回路基板の形態であり得る。
又は、部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品が内蔵されたプリント回路基板の形態であることもできる。
一方、電子機器は、必ずしもスマートフォン1100に限定されるものではなく、上述したように他の電子機器であることもできる。
【0021】
<プリント回路基板>
図3は、本発明の実施形態によるプリント回路基板の一例を概略的に示した断面図であり、図4a~図6bは、それぞれ図3のプリント回路基板の効果を概略的に説明するための断面図である。
【0022】
図3~6bを参照すると、本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aは、第1絶縁層110、第1絶縁層110上に配置される金属パッド130、及び第1絶縁層110上に配置され、金属パッド130の側面の一部を覆う第2絶縁層140を含む。
金属パッド130は、第1金属部133及び第2金属部135を含む。
必要に応じて、第1絶縁層110上に配置されるシード金属層120及び/又は金属パッド130上に配置される表面金属層150をさらに含む。
第1金属部133は、第1絶縁層110、より好ましくは、シード金属層120上に配置される。
第2金属部135は、第1金属部133上に配置され、第1金属部133と境界なしに一体化する。
【0023】
一方、図4aに例示的に示したように、一般的なめっき工程で形成される金属パッド1300は、シードエッチング液などによって上面の角がラウンド状を有し得、また上面の幅が下面の幅よりも狭いテーパー状を有し得る。
この場合、ワイヤボンディングの実際の接触面積が小さくなる可能性がある。
【0024】
一方、図4bに例示的に示したように、本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aは、後述するように、金属パッド130とは異なる金属を含むバリア金属層によりシードエッチング液などによる金属パッド130の損傷を防止することができる。
したがって、第1金属部133及び第2金属部135の各側面は、実質的に垂直な形態を有し、第1金属部133及び第2金属部135の各上面の角は、実質的に角張った形態である。
実質的に垂直な形態の側面は、底面に対してほぼ垂直な角度を有することを意味し、また、実質的に角張った形態の角は、ほぼラウンド状ではないことを意味する。
したがって、ワイヤボンディングの実際の接触面積が狭くなるという問題を効果的に解決することができる。
【0025】
一方、図5の(a)に例示的に示したように、一般的なめっき工程で形成される金属パッド1300は、上面のみならず側面にも表面金属層1500が形成され、したがって隣接する金属パッド1300上の表面金属層1500間のスペースマージンの確保に困難があり得る。
したがって、このような構造としては、ファインピッチボンドフィンガーの実現に制限がある可能性がある。
【0026】
一方、図5の(b)に例示的に示したように、本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aは、第2金属部135の断面での幅W2が第1金属部133の断面での幅W1よりもさらに狭い。
断面での幅が一定でない場合には、平均幅を比較することができる。
また、第2絶縁層140は、第1金属部133の側面の少なくとも一部を覆い、第1金属部133の上面からは離隔する。
例えば、第2絶縁層140は、第1金属部133の上面を覆わなく、第2絶縁層140の上面は、第1金属部133の上面と実質的に同一平面上にある。
実質的に同一平面上にあるとは、完全に同一平面に存在する場合だけでなく、工程誤差などによってほぼ同一平面に存在することも含む。
したがって、表面金属層150が第2金属部135の上面及び側面のそれぞれの少なくとも一部を選択的に覆う。
この場合、隣接する金属パッド130上の表面金属層150間のスペースマージンを十分に確保することができる。
したがって、ファインピッチボンドフィンガーの実現により有利である。
【0027】
一方、図6aに例示的に示したように、一般的なめっき工程で形成される金属パッド1300はシード金属層1200のエッチング工程で発生する金属パッド1300と絶縁材1100との間のアンダーカットによって応力が集中するノッチ(notch)領域に表面金属層1500、例えば、ハードのニッケル層1530が配置され、絶縁材1100と接する。
したがって、外部衝撃に脆弱である可能性がある。
例えば、熱伸縮による基板の反りによる金属パッド1300のリフトの問題などが発生する可能性がある。
【0028】
一方、図6bに例示的に示したように、本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aは、第1絶縁層110上に第2絶縁層140が配置されてシード金属層120及び第1金属部133の側面を覆う。
第2絶縁層140は、例えば、ハーフ現象で第1金属部133及び第2金属部135の内の第1金属部133を選択的に覆うように厚さ調節が可能なソルダーレジスト材料を含む。
したがって、シード金属層120の側面の少なくとも一部に形成された溝部h、例えば、上面がテーパー状を有する溝部hが、第2絶縁層140で満たされる。
この場合、第2絶縁層140が上述した外部衝撃を緩和させることができ、したがって、金属パッド130のリフト問題などを効果的に防止することができる。
【0029】
一方、金属パッド130は、複数個存在することができ、表面金属層150も複数個存在して金属パッド130上にそれぞれ配置される。
このとき、本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aでは、複数の金属パッド130の内の隣接する2つの金属パッド130のそれぞれの第1金属部133間の間隔g1(図3参照)は、複数の表面金属層150の内の隣接する2つの金属パッド130上にそれぞれ配置される2つの表面金属層150のそれぞれの第2表面金属層155間の間隔g2と実質的に同一である。
間隔は、断面上において厚さ方向又は積層方向を基に、対象構成要素の中間地点で測定した値である。
実質的に間隔が同一であるとは、完全に間隔が同一である場合だけでなく、工程誤差によって間隔がほぼ同一である場合を含む。
すなわち、表面金属層150は、第1金属部133の上面から逸脱することなく、その幅の分だけ厚さを有するように形成される。
この場合、スペースマージン管理に、より効果的である。
【0030】
以下では、図3を参照して本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aの構成要素についてより詳細に説明する。
第1絶縁層110は、絶縁材料を含む。
絶縁材料は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、又はこのような樹脂と共に無機フィラー、有機フィラー及び/又はガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、and/or Glass Fabric)を含む材料を含み得る。
絶縁材料は、感光性材料及び/又は非感光性材料であり得る。
例えば、絶縁材料としては、SR(Solder Resist)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、PPG(Prepreg)、RCC(Resin Coated Copper)の絶縁材、CCL(Copper Clad Laminate)の絶縁材などが用いられるが、これに限定されず、それ以外の他の高分子素材を用いることもできる。
【0031】
シード金属層120は、金属物質を含む。
金属物質は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/又はこれらの合金などを含み得、好ましくは、銅(Cu)を含むが、これに限定されるものではない。
シード金属層120は、金属パッド130より比較的薄く、無電解めっき層(又は化学銅)であり得るが、これに限定されるものではなく、銅箔(Copper Foil)などであることもできる。
【0032】
金属パッド130は、金属物質を含む。
金属パッド130の第1及び第2金属部(133、135)は、互いに同じ金属物質を含む。
金属物質は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/又はこれらの合金などを含み得、好ましくは、銅(Cu)を含むが、これに限定されるものではない。
金属パッド130は、設計デザインに応じて様々な機能を実行することができる。
例えば、グランドパッド、パワーパッド、信号パッドなどを含むことができる。
ここで、信号パッドは、グランド、パワーなどを除く各種信号、例えば、データ信号などの電気的接続のためのパッドを含む。
金属パッド130は、電解めっき層(又は電気銅)であり得、このとき、第1及び第2金属部(133、135)は、めっきで同時に形成される。
【0033】
第2絶縁層140は、絶縁材料を含む。
絶縁材料は、レジスト、例えば、ソルダーレジストを含む。
ソルダーレジストは、絶縁樹脂及びフィラーを含むが、ガラス繊維は含まない場合がある。
絶縁樹脂は、感光性絶縁樹脂であり得、フィラーは、無機フィラー及び/又は有機フィラーであり得るが、これらに限定されるものではない。
但し、第2絶縁層140の材料がこれに限定されるものではなく、必要に応じて、その他の高分子素材を用いることもできる。
【0034】
表面金属層150は、金属物質を含む。
表面金属層150の第1及び第2表面金属層(153、155)は、互いに異なる金属物質を含む。
例えば、第1表面金属層153は、ニッケル(Ni)を含み、第2表面金属層155は、金(Au)を含むが、これに限定されるものではない。
例えば、銀(Ag)、スズ(Sn)などの他の金属物質を含むこともできる。
第1表面金属層153は、第2表面金属層155より厚さがさらに厚いが、これに限定されるものではない。
表面金属層150は、例えば、電解金めっき、無電解金めっき、OSP(Organic Solderability Preservative)又は無電解スズめっき、無電解銀めっき、無電解ニッケルめっき/置換金めっき、DIG(Direct Immersion Gold)めっき、HASL(Hot Air Solder Leveling)などによって形成することができる。
【0035】
一方、本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aは、このような単層基板に限らず、多層基板にも適用することができ、例えば、上述した第1絶縁層110、シード金属層120、金属パッド130、第2絶縁層140、及び表面金属層150は、多層基板の最外層に適用することができる。
例えば、多層プリント回路基板の最外層のワイヤボンディング領域にボンディングパッドが形成されたパッケージ基板などに適用することができる。
【0036】
図7a~図7lは、図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図7aを参照すると、上面に第1金属層121が配置された第1絶縁層110を用意する。
第1金属層121は、無電解めっき(又は化学めっき)で形成する。
又は、銅箔などを第1絶縁層110の上面に積層して第1金属層121を形成することもできる。
【0037】
図7bを参照すると、第1金属層121上に第1金属層121を露出させる開口210hを有するレジストフィルム210を形成する。
例えば、第1金属層121上にドライフィルムラミネーションの方法などによってレジストフィルム210を形成し、マスクを用いてレジストフィルム210を部分的に露光した後、露光したレジストフィルム210を現像して開口210hを形成する。
レジストフィルム210は、感光性材料を含み、例えば、ネガ型レジストフィルムであるが、これに限定されるものではない。
【0038】
図7cを参照すると、開口210hを介して露出した第1金属層121上に開口210hの少なくとも一部を満たす第2金属層131を形成する。
第2金属層131は、電解めっき(又は電気めっき)で形成する。
開口210hの最上部の一部は、第2金属層131で満たされずに残っていることがある。
【0039】
図7dを参照すると、開口210h内の第2金属層131上にバリア金属層220を形成する。
バリア金属層220は、第1及び第2金属層(121、131)とは異なる金属物質、例えば、ニッケル(Ni)を含む。
バリア金属層220は、電解めっき(又は電気めっき)で形成する。
開口210hの最上部は、バリア金属層220で満たす。
【0040】
図7eを参照すると、レジストフィルム210を除去する。
例えば、レジストフィルム210は、剥離工程で除去する。
剥離工程としては、物理的な剥離、又は剥離液を利用する化学的な剥離などが用いられる。
【0041】
図7fを参照すると、第1金属層121の少なくとも一部の領域をエッチングする。
例えば、第1金属層121の内の第2金属層131が形成されていない領域をエッチング液を用いるシードエッチングで除去する。
その結果、第1絶縁層110と第2金属層131との間に、シード金属層120が形成される。
バリア金属層220を用いてエッチングを行うと、第2金属層131の側面がテーパー状となることと、第2金属層131の上面の角が丸みを帯びることを防止することができる。
【0042】
図7gを参照すると、第1絶縁層110上にシード金属層120、第2金属層131、及びバリア金属層220のそれぞれの側面を覆う第2絶縁層140を形成する。
第2絶縁層140は、ソルダーレジスト組成物を第1絶縁層110上に塗布した後、乾燥する方法で形成するが、これに限定されるものではない。
【0043】
図7hを参照すると、第2絶縁層140の少なくとも一部を除去する。
第2絶縁層140の厚さは、第2金属層131の厚さより薄い。
例えば、第2絶縁層140の上面は、第2金属層131の上面より下側に配置される。
第2絶縁層140の一部除去としては、ハーフ現像工程を用いることができる。
【0044】
図7iを参照すると、第2金属層131の少なくとも一部をエッチングして第1及び第2金属部(133、135)を含む金属パッド130を形成する。
このとき、第1金属部133の側面は、第2絶縁層140で覆われるため、第2金属部135の部分がエッチングされて第2金属部135の断面上での幅が、比較的より狭くなる。
また、バリア金属層220の存在により、第2金属部135の側面がテーパー状となることと、第2金属部135の上面の角が丸みを帯びることを防止することができる。
【0045】
図7jを参照すると、バリア金属層220をエッチングする。
例えば、バリア金属層220と選択的に反応するエッチング液を用いる。
【0046】
図7kを参照すると、第1表面金属層153を形成する。
第1表面金属層153は、ニッケル(Ni)めっきで形成するが、これに限定されるものではない。
第1金属部133は、第2絶縁層140で覆われるため、第1表面金属層153は、第2金属部135の上面及び側面を選択的に覆うように形成される。
【0047】
図7lを参照すると、第2表面金属層155を形成する。
第2表面金属層155は、金(Au)めっきで形成するが、これに限定されるものではない。
第2表面金属層155は、第1表面金属層153の表面を覆うように形成される。
一連の工程を通じて上述した本発明の実施形態によるプリント回路基板100Aが形成されるが、製造工程が必ずしもこれに限定されるものではない。
【0048】
図8は、本発明の他の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
図8を参照すると、本発明の他の実施形態によるプリント回路基板100Bは、上述した実施形態によるプリント回路基板100Aと比較して、表面金属層150がより薄く形成されている。
例えば、第1表面金属層153がより薄く形成され、第1金属部133の上面と第2金属部135の側面と第2金属部135の上面を覆う。
【0049】
一方、金属パッド130は、複数個存在し、表面金属層150も複数個存在して金属パッド130上にそれぞれ配置される。
このとき、他の実施形態によるプリント回路基板100Bでは、複数の金属パッド130の内の隣接する2つの金属パッド130のそれぞれの第1金属部133間の間隔g1は、複数の表面金属層150の内の隣接する2つの金属パッド130上にそれぞれ配置された2つの表面金属層150のそれぞれの第2表面金属層155間の間隔g2よりもさらに小さい。
間隔は、断面上で厚さ方向又は積層方向を基に、対象構成要素の中間地点で測定した値である。
この場合、より狭いピッチ仕様にさらに適した構造を有することができる。
【0050】
それ以外の他の説明、例えば、上述した実施形態によるプリント回路基板100Aで説明した内容は、矛盾しない限り、他の実施形態によるプリント回路基板100Bにも適用され、これに対する重複した説明は省略する。
なお、上述した実施形態によるプリント回路基板100Aの製造の例は、他の実施形態によるプリント回路基板100Bの製造にも同様に適用され得る。
【0051】
図9は、本発明のまた他の実施形態によるプリント回路基板の概略構成を示す断面図である。
図9を参照すると、本発明のまた他の実施形態によるプリント回路基板100Cは、上述した実施形態によるプリント回路基板100Aと比較して表面金属層150がより厚く形成されている。
例えば、第1表面金属層153がより厚く形成されて、第2絶縁層140の上面の上に延長されて配置される。
【0052】
一方、金属パッド130は、複数個存在し、表面金属層150も複数個存在して金属パッド130上にそれぞれ配置される。
このとき、また他の実施形態によるプリント回路基板100Cでは、複数の金属パッド130の内の隣接する2つの金属パッド130のそれぞれの第1金属部133間の間隔g1は、複数の表面金属層150の内の隣接する2つの金属パッド130上にそれぞれ配置された2つの表面金属層150のそれぞれの第2表面金属層155間の間隔g2よりさらに大きい。
間隔は、断面上での厚さ方向又は積層方向を基に、対象構成要素の中間地点で測定した値である。
この場合、1つのボンドフィンガーに複数のワイヤボンディングが可能であり、高い密度の信号伝送が必要な仕様により適した構造を有することができる。
【0053】
それ以外の他の説明、例えば、上述した実施形態によるプリント回路基板100Aで説明した内容は、矛盾しない限り、また他の実施形態によるプリント回路基板100Cにも適用され、これに対する重複する説明は、省略する。
なお、上述した実施形態によるプリント回路基板100Aの製造の例は、また他の実施形態によるプリント回路基板100Cの製造にも同様に適用され得る。
【0054】
本発明において、断面上での意味は、対象物を垂直に切断したときの断面形状、又は対象物をサイドビューから見たときの断面形状を意味する。
また、平面上での意味は、対象物を水平に切断したときの形状、又は対象物をトップビュー又はボトムビューから見たときの平面形状である。
本発明において、下側、下部、下面などは、便宜上図面の断面を基準に有機インターポーザを含む半導体パッケージの実装面に向かう方向を意味するものとして用い、上側、上部、上面などはその逆方向に用いた。
但し、これは説明の便宜上の方向を定義したものであって、特許請求の範囲の権利範囲がこの方向に対する記載によって特に限定されるものではない。
【0055】
本発明において、接続されるという意味は、直接接続された場合だけでなく、接着剤層などを介して間接的に接続された場合も含む概念である。
また、電気的に接続されるという意味は、物理的に接続された場合及び接続されない場合をともに含む概念である。
さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるものであって、該当構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。
場合によっては、権利範囲から逸脱せずに、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、同様に第2構成要素を第1構成要素と命名されることもできる。
【0056】
本発明で用いられた一例(又は実施形態)という表現は、互いに同一の実施例を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供したものである。
しかしながら、上記提示した一例は、他の一例の特徴と組み合わせて実現することを排除しない。
例えば、特定の一例で説明した事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一例に関連した説明であると理解することができる。
本発明で用いられた用語は、単に一例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定する意図ではない。
このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【0057】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
100A、100B、100C プリント回路基板
110 第1絶縁層
120、1200 シード金属層
121 第1金属層
130 金属パッド
131 第2金属層
133 第1金属部
135 第2金属部
140 第2絶縁層
150、1500 表面金属層
153 第1表面金属層
155 第2表面金属層
210 レジストフィルム
210h 開口
220 バリア金属層
1000 電子機器
1010 メインボード
1020 チップ関連部品
1030 ネットワーク関連部品
1040 その他の部品
1050 カメラ
1060 アンテナ
1070 ディスプレイ
1080 バッテリー
1090 信号ライン
1100 スマートフォン
1110 マザーボード
1120 部品
1121 部品パッケージ
1130 カメラモジュール
1140 スピーカー
1300 金属パッド
1530 ニッケル層
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図7h
図7i
図7j
図7k
図7l
図8
図9