(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164270
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20231102BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20231102BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231102BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20231102BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20231102BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
H01L21/90 D
H01L21/88 T
H01L21/88 J
H01L27/088 E
H01L27/088 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204771
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2022074771
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】和田 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】濱中 啓伸
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH19
5F033JJ01
5F033JJ11
5F033JJ19
5F033KK08
5F033KK11
5F033KK19
5F033MM30
5F033NN13
5F033NN30
5F033RR04
5F033RR29
5F033RR30
5F033UU04
5F033VV04
5F033VV07
5F033VV16
5F033XX08
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BC03
5F048BC12
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA56
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083ZA01
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】半導体のソース層上に設けられた金属層をソース線だけでなく他用途にも用いることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置はトランジスタを備えている。メモリセルアレイがトランジスタの上方に設けられている。第1半導体層はメモリセルアレイの上方に設けられ、メモリセルアレイ側の第1面と第1面の反対側の第2面とを有する。第1金属配線は第2面の上方に設けられ、第1半導体層に電気的に接続されている。第2金属配線は第2面の上方に第1金属配線と同層に設けられかつ第1金属配線および第1半導体層と接触しない。第1コンタクトは第1金属配線の下方に設けられ、第1面から第2面に向かう第1方向に延伸し、複数のトランジスタのうちの1つを第1金属配線に電気的に接続する。第2コンタクトは第2金属配線の下方に設けられ、第1方向に延伸し、複数のトランジスタのうちの他の1つを第2金属配線に電気的に接続する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタの上方に設けられたメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの上方に設けられ、前記メモリセルアレイ側の第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有する第1半導体層と、
前記第2面の上方に設けられ、前記第1半導体層に電気的に接続された第1金属配線と、
前記第2面の上方に前記第1金属配線と同層に設けられ、かつ、前記第1金属配線および前記第1半導体層と接触しない第2金属配線と、
前記第1金属配線の下方に設けられ、前記第1面から前記第2面に向かう第1方向に延伸し、前記複数のトランジスタのうちの1つを前記第1金属配線に電気的に接続する第1コンタクトと、
前記第2金属配線の下方に設けられ、前記第1方向に延伸し、前記複数のトランジスタのうちの他の1つを前記第2金属配線に電気的に接続する第2コンタクトと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体層上に設けられた第1絶縁層をさらに備え、
前記複数の第2金属配線は、前記第1絶縁層上に設けられ、該第1絶縁層によって前記第1半導体層から電気的に分離されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体層上に設けられた第1絶縁層をさらに備え、
前記複数の第1金属配線は、前記第1絶縁層上に設けられ、該第1絶縁層に設けられた複数の第3コンタクトを介して、前記第1半導体層に電気的に接続される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の第1金属配線および前記複数の第2金属配線は、前記第2面に平行な第2方向へ延伸している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1方向から見た平面視において、
前記第1金属配線と前記第2金属配線とは、前記第1方向および前記第2方向に略直交する第3方向へ、交互に配置されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2面の上方に設けられ、前記第1半導体層から電気的に分離された第1電極をさらに備え、
前記複数の第2金属配線は前記第1電極に電気的に接続される、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1方向に延伸して設けられ、前記第1電極と前記複数のトランジスタのうちの第3トランジスタとの間に接続された第4コンタクトをさらに備える、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1方向から見た平面視において、
前記複数の第1金属配線は、それぞれ前記第2方向に長手方向を有する矩形形状を有し、
前記第2金属配線は、前記複数の第1金属配線間に延伸し、前記第2コンタクトと前記第4コンタクトとの間を電気的に接続する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1方向から見た平面視において、
前記第2金属配線に対向する前記複数の第1金属配線の辺は、前記第2方向に対して傾斜しており、
前記第1金属配線に対向する前記第2金属配線の辺は、前記第2方向に対して傾斜している、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記メモリセルアレイから電気的に分離された状態で前記メモリセルアレイ内を貫通して前記第1半導体層に接続される配線をさらに備え、
前記第1方向から見た平面視において、前記配線は、前記第1および第2金属配線と交差する方向に延伸している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1方向から見た平面視において、前記配線は、前記第1および第2金属配線と略直交している、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記配線は、前記メモリセルアレイ内を貫通して前記第1半導体層に達するスリットの内壁に設けられた絶縁膜と、該絶縁膜の内側に埋め込まれた導電材料とを含む、請求項10に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路の上方に、メモリセルアレイを設ける半導体装置が知られている。このような半導体装置において、メモリセルアレイ上に半導体ソース層を設け、さらに、この半導体ソース層上に金属ソース線を設ける構造が提案されている。金属ソース線が半導体ソース層に接続することによって、ソース層全体の電気抵抗を低減させる。しかし、金属ソース線を構成する金属層はソース線のみとして使用されており、他の用途には用いられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体のソース層上に設けられた金属層を、ソース線だけでなく、他の用途にも用いることができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る半導体装置は、複数のトランジスタを備えている。メモリセルアレイは、複数のトランジスタの上方に設けられている。第1半導体層は、メモリセルアレイの上方に設けられ、メモリセルアレイ側の第1面と第1面の反対側の第2面とを有する。第1金属配線は、第2面の上方に設けられ、第1半導体層に電気的に接続されている。第2金属配線は、第2面の上方に第1金属配線と同層に設けられ、かつ、第1金属配線および前記第1半導体層と接触しない。第1コンタクトは、第1金属配線の下方に設けられ、第1面から第2面に向かう第1方向に延伸し、複数のトランジスタのうちの1つを第1金属配線に電気的に接続する。第2コンタクトは、第2金属配線の下方に設けられ、第1方向に延伸し、複数のトランジスタのうちの他の1つを第2金属配線に電気的に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る積層体を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る金属配線層を示す模式平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る金属配線層を示す模式平面ブロック図である。
【
図8】第1実施形態に係るソース層の抵抗値の変化を示すグラフである。
【
図9】第2実施形態に係る金属配線層を示す模式平面図である。
【
図10】第2実施形態に係るソース層の抵抗値の変化を示すグラフである。
【
図11】第3実施形態に係る金属配線層を示す模式平面図である。
【
図12】第3実施形態に係るソース層の抵抗値の変化を示すグラフ図である。
【
図13】上記実施形態のいずれかを適用した半導体記憶装置の構成例を示すブロック図。
【
図14】メモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
【
図15】半導体記憶装置の他の構成例を示す断面図。
【
図16】第4実施形態に係る半導体装置の構成例を示す平面図。
【
図17】第4実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図18】第4実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図。
【
図19】第4実施形態に係る半導体装置の構成例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1の構成例を示す断面図である。以下、積層体20の積層方向をZ方向とする。Z方向と交差、例えば、直交する1つの方向をY方向とする。Z方向およびY方向のそれぞれと交差、例えば、直交する1つの方向をX方向とする。なお、本明細書において、X方向は第3方向の例であり、Y方向は第2方向の例であり、Z方向は第1方向の例である。
【0009】
半導体装置1は、メモリセルアレイを有するアレイチップ2と、CMOS回路を有するCMOSチップ3とを備えている。アレイチップ2とCMOSチップ3とは、貼合面B1において貼合されており、貼合面において接合された配線を介して互いに電気的に接続されている。
図1では、CMOSチップ3上にアレイチップ2が搭載された状態を示している。
【0010】
CMOSチップ3は、基板30と、トランジスタ31と、ビア32と、配線33および34と、層間絶縁膜35とを備える。
【0011】
基板30は、例えば、シリコン基板等の半導体基板である。トランジスタ31は、基板30の上に設けられたNMOS又はPMOSのトランジスタである。トランジスタ31は、例えば、アレイチップ2のメモリセルアレイを制御するCMOS回路を構成する。トランジスタ31は、複数の論理回路の例である。基板30上には、トランジスタ31以外の抵抗素子、容量素子等の半導体素子が形成されていてもよい。
【0012】
ビア32は、トランジスタ31と配線33との間、あるいは、配線33と配線34との間を電気的に接続する。配線33および34は、層間絶縁膜35内において多層配線構造を構成する。配線34は、層間絶縁膜35内に埋め込まれ、層間絶縁膜35の表面にほぼ面一に露出されている。配線33および34は、トランジスタ31等に電気的に接続される。ビア32、配線33および34には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜35は、トランジスタ31、ビア32、配線33および34を被覆し保護する。層間絶縁膜35には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0013】
アレイチップ2は、積層体20と、柱状体CLと、スリットST(LI)と、半導体ソース層BSLと、金属層40と、コンタクト29と、ボンディングパッド50とを備えている。
【0014】
積層体20は、トランジスタ31の上方に設けられており、基板30に対してZ方向に位置する。積層体20は、Z方向に沿って複数の電極膜21および複数の絶縁膜22を交互に積層して構成されている。積層体20は、メモリセルアレイを構成する。電極膜21には、例えば、タングステン等の導電性金属が用いられる。絶縁膜22には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。絶縁膜22は、電極膜21同士を絶縁する。すなわち、複数の電極膜21は、相互に絶縁状態で積層されている。電極膜21および絶縁膜22のそれぞれの積層数は、任意である。絶縁膜22は、例えば、ポーラス絶縁膜またはエアギャップであってもよい。
【0015】
積層体20のZ方向の上端および下端の1つまたは複数の電極膜21は、それぞれソース側選択ゲートSGSおよびドレイン側選択ゲートSGDとして機能する。ソース側選択ゲートSGSとドレイン側選択ゲートSGDとの間の電極膜21は、ワード線WLとして機能する。ワード線WLは、メモリセルMCのゲート電極である。ドレイン側選択ゲートSGDは、ドレイン側選択トランジスタのゲート電極である。ソース側選択ゲートSGSは、積層体20の上部領域に設けられる。ドレイン側選択ゲートSGDは、積層体20の下部領域に設けられる。上部領域は、積層体20の、CMOSチップ3に近い側の領域を指し、下部領域は、積層体20の、CMOSチップ3から遠い側(金属層40に近い側)の領域を指す。
【0016】
半導体装置1は、ソース側選択トランジスタとドレイン側選択トランジスタとの間に直列に接続された複数のメモリセルMCを有する。ソース側選択トランジスタ、メモリセルMC、および、ドレイン側選択トランジスタが直列に接続された構造は“メモリストリング”または“NANDストリング”と呼ばれる。メモリストリングは、例えば、ビア28を介してビット線BLに接続される。ビット線BLは、積層体20の下方に設けられ、X方向(
図1の紙面方向)に延在している配線23である。
【0017】
積層体20内には、複数の柱状体CLが設けられている。柱状体CLは、積層体20内において積層体の積層方向(Z方向)に該積層体20を貫通するように延在し、ビット線BLに接続されたビア28から半導体ソース層BSLまで設けられている。柱状体CLの内部構造は後述する。なお、本実施形態においては、柱状体CLは高アスペクト比であるため、Z方向に2段に分けて形成している。しかし、柱状体CLは1段であっても問題無い。
【0018】
また、積層体20内には、複数のスリットST(LI)が設けられている。スリットST(LI)は、X方向に延在し、かつ、積層体20の積層方向(Z方向)に該積層体20を貫通している。スリットST(LI)内には、シリコン酸化膜等の絶縁膜が充填されており、絶縁膜は板状に構成される。スリットST(LI)は、積層体20の電極膜21を電気的に分離している。代替的に、スリットST(LI)の内壁にシリコン酸化膜等の絶縁膜を被覆し、さらに絶縁膜の内側に導電材料を埋め込んでもよい。この場合、導電材料は、半導体ソース層BSLに達するソース配線LIとしても機能する。即ち、スリットSTは、メモリセルアレイを構成する積層体20の電極膜21から電気的に分離され、かつ、半導体ソース層BSLに電気的に接続されたソース配線LIであってもよい。スリットは、ST(LI)とも呼ぶ。
【0019】
積層体20の上には、半導体ソース層BSLが設けられている。半導体ソース層BSLは、第1半導体層の例である。半導体ソース層BSLは、積層体20に対応して設けられる。半導体ソース層BSLは、第1面F1と、第1面F1と反対側の第2面F2とを有する。半導体ソース層BSLの第1面F1側には、積層体20(メモリセルアレイ)が設けられており、第2面F2側には金属層40が設けられている。金属層40は、ソース線41と電源線42とを含む。これらソース線41と電源線42とは、後に詳述する。半導体ソース層BSLは、複数の柱状体CLの一端に共通に接続されており、同一のメモリセルアレイ2mにある複数の柱状体CLに共通のソース電位を与える。すなわち、半導体ソース層BSLは、メモリセルアレイ2mの共通ソース電極として機能する。半導体ソース層BSLには、例えば、ドープドポリシリコン等の導電性材料が用いられる。金属層40には、例えば、銅、アルミニウム、または、タングステン等の、半導体ソース層BSLよりも低抵抗の金属材料が用いられる。なお、2sは、各電極膜21にコンタクトを接続するために設けられた電極膜21の階段部分である。階段部分2sについては、
図2を参照して後述する。
【0020】
一方、積層体20の上であって、半導体ソース層BSLが設けられていない領域には、ボンディングパッド50が設けられている。ボンディングパッド50は、第1電極の例である。ボンディングパッド50は、金属ワイヤなど(図示せず)に接続され、半導体装置1の外部から電源供給を受ける。ボンディングパッド50は、コンタクト29、配線24および配線34を介して、CMOSチップ3のトランジスタ31に接続される。このため、ボンディングパッド50から供給された外部電源が、トランジスタ31に供給される。コンタクト29は、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。
【0021】
本実施形態では、アレイチップ2とCMOSチップ3とは、個別に形成され、貼合面B1で貼合されている。したがって、アレイチップ2内にはトランジスタ31は設けられていない。また、CMOSチップ3内には、積層体20(メモリセルアレイ)は設けられていない。トランジスタ31および積層体20は、ともに半導体ソース層BSLの第1面F1側にある。トランジスタ31は、金属層40がある第2面F2とは反対側にある。
【0022】
積層体20の下方には、ビア28、配線23、および、配線24が設けられている。配線23および24は、層間絶縁膜25内に埋め込まれ、層間絶縁膜25の表面にほぼ面一に露出されている。配線23および24は、柱状体CLの半導体ボディ210等に電気的に接続される。ビア28、配線23および配線24には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜25は、積層体20、ビア28、配線23および配線24を被覆し保護する。層間絶縁膜25には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0023】
層間絶縁膜25と層間絶縁膜35とは貼合面B1において貼合しており、配線24および配線34とも貼合面B1において略面一で接合している。これにより、アレイチップ2とCMOSチップ3とは、配線24および配線34を介して電気的に接続される。
【0024】
図2は、積層体20を示す模式平面図である。積層体20は、階段部分2sと、メモリセルアレイ2mとを含む。階段部分2sは、積層体20の縁部に設けられている。メモリセルアレイ2mは、階段部分2sによって挟まれ、あるいは、囲まれている。スリットST(LI)は、積層体20の一端の階段部分2sから、メモリセルアレイ2mを経て、積層体20の他縁の階段部分2sまで設けられている。スリットSHEは、少なくともメモリセルアレイ2mに設けられている。スリットSHEは、スリットST(LI)よりも浅く、スリットST(LI)と略平行に延伸している。スリットSHEは、ドレイン側選択ゲートSGDごとに電極膜21を電気的に分離するために設けられている。
【0025】
図2に示す2つのスリットST(LI)によって挟まれた積層体20の部分は、ブロック(BLOCK)と呼ばれる。ブロックは、例えば、データ消去の最小単位を構成する。スリットSHEは、ブロック内に設けられている。スリットST(LI)とスリットSHEとの間の積層体20は、フィンガと呼ばれる。ドレイン側選択ゲートSGDは、フィンガごとに区切られている。このため、データの書込みおよび読み出し時に、ドレイン側選択ゲートSGDにより、ブロック内の1つのフィンガを選択状態とすることができる。
【0026】
図3および
図4のそれぞれは、3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図である。複数の柱状体CLのそれぞれは、積層体20内に設けられたメモリホールMH内に設けられている。各柱状体CLは、Z方向に沿って積層体20の上端から積層体20を貫通し、積層体20内および半導体ソース層BSL内にかけて設けられている。複数の柱状体CLは、それぞれ、半導体ボディ210、メモリ膜220、および、コア層230を含む。柱状体CLは、その中心部に設けられたコア層230、該コア層230の周囲に設けられた半導体ボディ(半導体部材)210、および、該半導体ボディ210の周囲に設けられたメモリ膜(電荷蓄積部材)220を含む。半導体ボディ210は、積層体20内において、積層方向(Z方向)に延在している。半導体ボディ210は、半導体ソース層BSLと電気的に接続されている。メモリ膜220は、半導体ボディ210と電極膜21との間に設けられ、電荷捕獲部を有する。各フィンガからそれぞれ1つずつ選択された複数の柱状体CLは、
図1のビア28を介して1本のビット線BLに共通に接続される。柱状体CLのそれぞれは、例えば、メモリセルアレイ2mの領域に設けられている。
【0027】
図4に示すように、X-Y平面におけるメモリホールMHの形状は、例えば、円または楕円である。電極膜21と絶縁膜22との間には、メモリ膜220の一部を構成するブロック絶縁膜21aが設けられてもよい。ブロック絶縁膜21aは、例えば、シリコン酸化物膜または金属酸化物膜である。金属酸化物の1つの例は、アルミニウム酸化物である。電極膜21と絶縁膜22との間、および、電極膜21とメモリ膜220との間には、バリア膜21bが設けられていてもよい。バリア膜21bは、例えば、電極膜21がタングステンである場合、例えば、窒化チタンとチタンとの積層構造膜が選ばれる。ブロック絶縁膜21aは、電極膜21からメモリ膜220側への電荷のバックトンネリングを抑制する。バリア膜21bは、電極膜21とブロック絶縁膜21aとの密着性を向上させる。
【0028】
半導体部材としての半導体ボディ210の形状は、例えば、底を有した筒状である。半導体ボディ210には、例えば、ポリシリコンが用いられる。半導体ボディ210は、例えば、アンドープシリコンである。また、半導体ボディ210は、p型シリコンであってもよい。半導体ボディ210は、ドレイン側選択トランジスタSTD、メモリセルMC、および、ソース側選択トランジスタSTSのそれぞれのチャネルとなる。同一メモリセルアレイ2m内の複数の半導体ボディ210の一端は、半導体ソース層BSLに電気的に共通に接続される。
【0029】
メモリ膜220は、ブロック絶縁膜21a以外の部分が、メモリホールMHの内壁と半導体ボディ210との間に設けられている。メモリ膜220の形状は、例えば、筒状である。複数のメモリセルMCは、半導体ボディ210と、ワード線WLとなる電極膜21との間に記憶領域を有し、Z方向に積層されている。メモリ膜220は、例えば、カバー絶縁膜221、電荷捕獲膜222、および、トンネル絶縁膜223を含む。半導体ボディ210、電荷捕獲膜222、および、トンネル絶縁膜223のそれぞれはZ方向に延伸している。
【0030】
カバー絶縁膜221は、絶縁膜22と電荷捕獲膜222との間に設けられている。カバー絶縁膜221は、例えば、シリコン酸化物を含む。カバー絶縁膜221は、犠牲膜(図示せず)を電極膜21にリプレースするとき(リプレース工程)、電荷捕獲膜222がエッチングされないように保護する。カバー絶縁膜221は、リプレース工程において、電極膜21とメモリ膜220との間から除去されてもよい。この場合、
図3および
図4に示すように、電極膜21と電荷捕獲膜222との間には、例えば、ブロック絶縁膜21aが設けられなくなる。また、電極膜21の形成に、リプレース工程を利用しない場合には、カバー絶縁膜221は、なくてもよい。
【0031】
電荷捕獲膜222は、ブロック絶縁膜21aおよびカバー絶縁膜221とトンネル絶縁膜223との間に設けられている。電荷捕獲膜222は、例えば、シリコン窒化物を含み、膜中に電荷をトラップするトラップサイトを有する。電荷捕獲膜222のうち、ワード線WLとなる電極膜21と半導体ボディ210との間に挟まれた部分は、電荷捕獲部としてメモリセルMCの記憶領域を構成する。メモリセルMCの閾値電圧は、電荷捕獲部中の電荷の有無、または、電荷捕獲部中に捕獲された電荷の量によって変化する。これにより、メモリセルMCは、情報を保持する。
【0032】
トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷捕獲膜222との間に設けられている。トンネル絶縁膜223は、例えば、シリコン酸化物、または、シリコン酸化物とシリコン窒化物とを含む。トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷捕獲膜222との間の電位障壁である。例えば、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ電子を注入するとき(書き込み動作)、および、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ正孔を注入するとき(消去動作)、電子および正孔が、それぞれトンネル絶縁膜223の電位障壁を通過(トンネリング)する。
【0033】
コア層230は、筒状の半導体ボディ210の内部スペースを埋め込む。コア層230の形状は、例えば、柱状である。コア層230は、例えば、シリコン酸化物を含み、絶縁性である。
【0034】
次に、
図5~
図6Bを参照して、半導体ソース層BSL、絶縁層60、および、金属層40(ソース線41、電源線42、43)について説明する。
【0035】
図5は、半導体装置1をZ方向から見たときの金属層40の構成を示している。
図6Aおよび
図6Bは、
図5のA-A線における模式断面図を示している。以下では、ソース線41aとソース線41bとを合わせて、ソース線41とも呼び、電源線42aと電源線42bとを合わせて、電源線42とも呼ぶ。また、ソース線41、電源線42および電源線43を合わせて金属層40とも呼ぶ。
【0036】
半導体ソース層BSLは、
図1に示すように、メモリセルMCの上方に設けられる。また、
図6Aおよび
図6Bに示すように、半導体ソース層BSLは、メモリセルMC側の第1面F1と、第1面F1の反対側の第2面F2とを有する。半導体ソース層BSLは、第1半導体層の例であり、ドープドポリシリコンを含む。半導体ソース層BSLは、メモリセルMCに電気的に接続され、メモリセルMCが動作するためのセルソース電圧を供給する。
【0037】
絶縁層60は、半導体ソース層BSLの第2面F2上に設けられる。絶縁層60は、第1絶縁層の例であり、例えばシリコン酸化物が用いられる。後述するように、絶縁層60は、電源線42と半導体ソース層BSLとを電気的に分離するが、ソース線41と半導体ソース層BSLとを該絶縁層60に設けられたコンタクトホールを介して電気的に接続させる。
【0038】
金属層40は、半導体ソース層BSLの第2面F2上に設けられる。なお、本実施形態では、金属層40と半導体ソース層BSLとの間に上記の絶縁層60が設けられている。
図5に示すように、金属層40は、ソース線41と、電源線42および43とを含む。ソース線41、電源線42および43には、半導体ソース層BSLよりも低抵抗な金属が用いられ、例えばアルミニウムが用いられる。
図5には、5本ずつのソース線41と電源線42とが図示されているが、これらの本数は任意である。
【0039】
ここでソース線41、電源線42および43について詳述する。
【0040】
ソース線41は、半導体ソース層BSLの第2面F2側に設けられ、半導体ソース層BSLに電気的に接続されている。ソース線41は、第1金属配線層の例である。ソース線41は、
図6Aに示すように、コンタクトCC3を介して半導体ソース層BSLに接続してもよい。また、ソース線41は、
図6Bに示すように、ソース線41の底面全体で半導体ソース層BSLに接続してもよい。
【0041】
図6Aおよび
図6Bは、ソース線41と半導体ソース層BSLとの接続構造の例を示す模式断面図である。
図6Aでは、絶縁層60に選択的に形成されたコンタクトホールに低抵抗金属(アルミニウム等)を充填することによってコンタクトCC3が形成されている。一方、
図6Bでは、ソース線41の下の絶縁層60が全体的に除去されており、ソース線41の底面全体が半導体ソース層BSLと接触している。よって、
図6Bのソース線41は、
図6Aのソース線41よりも半導体ソース層BSLとの接触面積において広い。従って、
図6Bのソース線41と半導体ソース層BSLとの接触抵抗は、
図6Aのソース線41と半導体ソース層BSLとの接触抵抗よりも低くなる。ソース層41、BSL全体の抵抗を考慮すると、
図6Bの構成が好ましいと言える。しかし、コンタクトCC3を介していても、ソース層41、BSL全体の抵抗が充分に低ければ、
図6Aの構成を採用しても構わない。
【0042】
このように、ソース線41および半導体ソース層BSLは、電気的に接続され、ソース層を一体として構成する。よって、ソース線41と半導体ソース層BSLとを合わせて、ソース層41、BSLとも呼ぶ。上述したように、ソース線41は半導体ソース層BSLよりも低抵抗な金属からなるため、ソース層41、BSL全体としては、半導体ソース層BSLよりも低抵抗となる。すなわち、ソース線41は、ソース層41、BSLの抵抗を低下させる効果を有する。ソース層41、BSLの抵抗を低下させることによって、ソース層41、BSLにおけるセルソース電圧の電圧降下を抑制することができる。これは、消費電力の低減につながる。尚、ソース線41は、コンタクトCC1に接続されており、コンタクトCC1を介して、CMOSチップ3のトランジスタ31のいずれかに電気的に接続されている。これにより、ソース線41は、半導体ソース層BSLを介してメモリセルMCにセルソース電圧を印加する。尚、セルソース電圧は、コンタクトCC1を介してソース層41、BSLに印加される電圧であり、メモリセルMCのソース電圧になる。
【0043】
電源線42は、半導体ソース層BSLの第2面F2側に設けられ、ソース層41、BSLと電気的に分離されている。電源線42は、第2金属配線層の例である。
図5に示すように、5本の電源線42は、電源線43に共通に接続され、さらに電源線43は、ボンディングパッド50に接続される。ボンディングパッド50は、第1電極の例である。電源線42にはコンタクトCC2が設けられ、ボンディングパッド50にはコンタクトCC4が設けられている。コンタクトCC2およびコンタクトCC4は、CMOSチップ3のトランジスタ31のいずれかにそれぞれ接続される。
【0044】
本実施形態では、複数のソース線41の間に電源線42が設けられ、半導体ソース層BSL(絶縁層60)上の同一層内に併存している。より詳細には、Z方向からの平面視において、ソース線41と電源線42とが、Y方向に延伸し、相互に電気的に分離されつつ、X方向に交互(ストライプ状)に配置されている。また、ソース線41および電源線42は、Y方向に長手方向を有する矩形形状を有する。本実施形態のように同一層にソース線41および電源線42を併存させることによって、ソース線41および電源線42を多層化することなく単一層で形成することができる。
【0045】
ソース線41および電源線42は、交互かつ略均等に配置されることが好ましい。例えば、X方向に、ソース線41a、電源線42a、ソース線41b、および、電源線42bをこの順番で略等間隔に配置してよい。この場合、X方向において、ソース線41aとソース線41bとの距離、および、電源線42aと電源線42bとの距離を略同一となるように配置する。このように、ソース線41および電源線42を、交互に略等間隔で配置することで、例えば、半導体ソース層BSLの第2面F2上の一部の領域にソース線41、または、電源線42が偏在して配置することを抑制できる。これにより、ソース線41および電源線42を同一層に併存させつつ、ソース層41、BSLの抵抗を全体的に下げることができる。尚、ソース線41および電源線42のX方向の幅は、等しくてもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0046】
図6Cは、
図5のB-B線における断面(ソース線41部分の断面)を示す模式断面図である。
図6Cを参照して、ソース線41に関連する構成を説明する。
【0047】
ソース線41には、コンタクトCC1とコンタクトCC3とが設けられている。コンタクトCC1は第1コンタクトの例であり、コンタクトCC3は第3コンタクトの例である。コンタクトCC1は、層間絶縁膜25内をZ方向に延伸して設けられ、ビア28、配線24および配線34を介して、トランジスタ31aに電気的に接続される。トランジスタ31aは第1論理回路の例である。トランジスタ31aは、セルソースドライバ回路として機能する回路でよい。すなわち、トランジスタ31aは、ソース電圧を、ビア28、配線24、34、コンタクトCC1を介して、ソース層41、BSLに印加し、さらに、ソース層41、BSLからメモリセルMCに印加する。
【0048】
また、トランジスタ31bは、メモリセルMCにおける柱状体CL(
図1参照)に電気的に接続され、柱状体CLにドレイン電圧を印加する。このように、トランジスタ31aおよびトランジスタ31bがメモリセルMCにソース電圧およびドレイン電圧が印加されることによってセル電流がメモリセルMCに流れる。これにより、メモリセルMCにおけるデータの読み出しまたは書き込みが可能となる。
【0049】
図6Dは、
図5のC-C線における断面(電源線42部分の断面)を模式的に示している。
図6Dを参照して、電源線42に関連する構成を説明する。
【0050】
電源線42にはコンタクトCC2が設けられ、ボンディングパッド50にはコンタクトCC4が設けられている。コンタクトCC2は第2コンタクトの例であり、コンタクトCC4は第4コンタクトの例である。コンタクトCC2は、層間絶縁膜25内をZ方向に延伸して設けられ、ビア28、配線24および配線34を介して、トランジスタ31cと接続される。トランジスタ31cは、第2論理回路の例である。同様にして、コンタクトCC4はトランジスタ31dに接続される。トランジスタ31dは、第3論理回路の例である。ボンディングパッド50には、ボンディングワイヤ52が接続され、ボンディングワイヤ52は、さらに外部電源(図示せず)に接続される。これにより、外部電源からボンディングパッド50を介して、半導体装置1(アレイチップ2、CMOSチップ3)を動作させる電力が供給される。すなわち、ボンディングワイヤ52からの外部電力は、電源線42とコンタクトCC2を介して、トランジスタ31cに供給され、かつ、コンタクトCC4を介して、トランジスタ31dに供給される。
【0051】
次に、
図7~
図8を参照して、ソース層41、BSLの各位置(点T1~T9)における抵抗について詳述する。
【0052】
図7は、ソース線41、電源線42、および、コンタクトCC1を示す模式平面図である。
図7は、
図5の領域Dに対応する。
【0053】
図7では、コンタクトCC1に近い方から、X方向に延伸する線分E1~E3を図示している。尚、線分E1~E3は仮想線である。コンタクトCC1から線分E1~E3までの距離は、それぞれ、距離R1~R3としている。
【0054】
また、電源線42a内の線分E1上において、ソース線41aに最も近い点を点T1とし、ソース線41bに最も近い点を点T3とし、並びに、点T1と点T3の中間点を点T2としている。即ち、点T2は、点T1よりもソース線41aから遠く、かつ、点T3よりもソース線41bから遠い点である。この場合、点T2は、電源線42a内の線分E1上で、ソース線(41aまたは41b)からの距離において点T1、T3よりも遠い。このため、点T1~T3の中で、点T2におけるコンタクトCC1からのソース層41、BSLの抵抗が最も高くなる。
同様に、電源線42a内の線分E2上において、ソース線41aに最も近い点を点T4とし、ソース線41bに最も近い点を点T6とし、並びに、点T4と点T6の中間点を点T5としている。即ち、点T5は、点T4よりもソース線41aから遠く、かつ、点T6よりもソース線41bから遠い点である。この場合、点T5は、電源線42a内の線分E2上で、ソース線(41aまたは41b)からの距離において点T4、T6よりも遠い。このため、点T4~T6の中で、点T5におけるコンタクトCC1からのソース層41、BSLの抵抗が最も高くなる。
さらに、電源線42a内の線分E3上において、ソース線41aに最も近い点を点T7とし、ソース線41bに最も近い点を点T9とし、並びに、点T7と点T9の中間点を点T8としている。即ち、点T8は、点T7よりもソース線41aから遠く、かつ、点T9よりもソース線41bから遠い点である。この場合、点T8は、電源線42a内の線分E3上で、ソース線(41aまたは41b)からの距離において点T7、T9よりも遠い。このため、点T7~T9の中で、点T8におけるコンタクトCC1からのソース層41、BSLの抵抗が最も高くなる。
【0055】
図8は、ソース層41、BSLの抵抗と点T1~T9の位置との関係を表すグラフである。グラフGE1~GE3の横軸は線分E1~E3上の点T1~T9の位置を示し、縦軸は、コンタクトCC1から点T1~T9までのソース層41、BSLの抵抗値を示す。
【0056】
グラフGE1は、
図7のコンタクトCC1から点T1~T3までのソース層41、BSLの抵抗(以下、点T1~T3におけるソース層41、BSLの抵抗ともいう)を示す。抵抗成分RR1は、
図7のコンタクトCC1から線分E1の位置までのY方向におけるソース層41、BSLの抵抗成分である。抵抗成分RL1は、線分E1の位置から点T1~T3へ向かってX方向におけるソース層41、BSLの抵抗成分である。
【0057】
コンタクトCC1から線分E1の位置までのY方向の距離は、点T1~T3において同じである。従って、抵抗成分RR1は、点T1~T3において等しい。
【0058】
線分E1の位置から点T1~T3へのX方向には、ソース線41の端部から各点T1~T3までの間に金属材料からなるソース線41が無い。半導体ソース層BSLの抵抗は、金属材料からなるソース線41の抵抗よりも高い。よって、線分E1においてソース線41a、41bの端部から点T1~T3までの部分では、抵抗成分RL1は、半導体ソース層BSLの抵抗によって決まる。即ち、抵抗成分RL1は、線分E1においてソース線41a、41bの端から点T1~T3までのそれぞれの距離に依存して変化する。その結果、点T1~T3の抵抗(RR1+RL1)は、抵抗成分RL1によって変化する。即ち、点T1~T3におけるソース層41、BSLの抵抗は、線分E1においてソース線41a、41bから点T1~T3までの距離に応じて変化する。
【0059】
したがって、グラフGE1では、ソース線41aから近い点T1、および、ソース線41bから近い点T3における抵抗成分RL1は比較的小さい。よって、点T1、T3におけるソース層41、BSLの抵抗(RR1+RL1)は、抵抗成分RR1に近く、比較的低い抵抗値を示す。一方、点T1よりもソース線41aから遠く、かつ、点T3よりもソース線41bから遠い点T2における抵抗成分RL1は点T1、T3におけるそれよりも大きくなる。よって、点T2におけるソース層41、BSLの抵抗(RR1+RL1)は、点T1、T3のそれよりも高くなる。即ち、点T2では、
図7の距離L1の半導体ソース層BSLのほぼ抵抗成分RL1だけ、点T1および点T3よりも高抵抗となる。また、Y方向においては、点T1~T3のいずれも、コンタクトCC1から線分E1までの距離R1は等しい。このため、抵抗成分RR1は点T1~T3において等しく共通に付加される。これにより、点T1~T3におけるソース層41、BSLの抵抗(RR1+RL1)は、点T1、T3において抵抗成分RR1に近く、点T2において最大値(RR1+RL1)を有するような曲線となる。
【0060】
点T1~T3の抵抗によりセルソース電圧の電圧降下が発生する。セルソース電圧の電圧降下は、抵抗が大きいほど大きくなるので、点T2では、点T1、T3よりも電圧降下が大きい。したがって、点T1~点T3の各点における、セルソース電圧の電圧降下は、グラフGE1に示す抵抗の変化と同様の傾向を示す。
【0061】
図8のグラフGE2は、
図7のコンタクトCC1から点T4~T6までのソース層41、BSLの抵抗(以下、点T4~T6におけるソース層41、BSLの抵抗ともいう)を示す。抵抗成分RR2は、
図7のコンタクトCC1から線分E2の位置までのY方向におけるソース層41、BSLの抵抗成分である。抵抗成分RL1は、線分E2の位置から点T4~T6へ向かってX方向におけるソース層41、BSLの抵抗成分であり、線分E1についての抵抗成分RL1と等しい。
【0062】
グラフGE2は、グラフGE1と同様に、ソース線41aから近い点T4、および、ソース線41bから近い点T6における抵抗成分RL1は比較的小さい。よって、点T4、T6におけるソース層41、BSLの抵抗(RR2+RL1)は、抵抗成分RR2に近く、比較的低い抵抗値を示す。一方、点T4よりもソース線41aから遠く、かつ、点T6よりもソース線41bから遠い点T5における抵抗成分RL1は点T4、T6におけるそれよりも大きくなる。よって、点T5におけるソース層41、BSLの抵抗(RR2+RL1)は、点T4、T6のそれよりも高くなる。即ち、点T5では、
図7の距離L1の半導体ソース層BSLの抵抗成分RL1だけ、点T4および点T6よりも高抵抗となる。また、Y方向においては、点T4~T6のいずれにおいても、コンタクトCC1から線分E2までの距離R2は等しい。このため、抵抗成分RR2は点T4~T6に等しく共通に付加される。これにより、ソース層41、BSLの抵抗(RR2+RL1)は、点T4、T6においてRR2に近く、点T5において最大値を有するような曲線となる。
【0063】
線分E2は、線分E1よりもコンタクトCC1から遠い。よって、抵抗成分RR2は、コンタクトCC1から線分E1、E2までの距離差に対応するソース線41の抵抗分dRR2だけ抵抗成分RR1よりも高くなる。すなわち、抵抗成分RR2は、抵抗成分RR1+dRR2となる。
【0064】
なお、点T4~点T6の各点におけるセルソース電圧の電圧降下は、グラフGE2に示す抵抗の変化と同様の傾向を示す。
【0065】
次に、
図8のグラフGE3は、
図7のコンタクトCC1から点T7~T9までのソース層41、BSLの抵抗(以下、点T7~T9におけるソース層41、BSLの抵抗ともいう)を示す。抵抗成分RR3は、
図7のコンタクトCC1から線分E3の位置までのソース層41、BSLの抵抗成分である。抵抗成分RL1は、線分E3の位置から点T7~T9へ向かってX方向におけるソース層41、BSLの抵抗成分であり、線分E1、E2についての抵抗成分RL1と等しい。
【0066】
図8のグラフGE3は、グラフGE1、GE2と同様に、ソース線41aから近い点T7、および、ソース線41bから近い点T9における抵抗成分RL1は比較的小さい。よって、点T7、T9におけるソース層41、BSLの抵抗(RR3+RL1)は、抵抗成分RR3に近く、比較的低い抵抗値を示す。一方、点T7よりもソース線41aから遠く、かつ、点T9よりもソース線41bから遠い点T8における抵抗成分RL1は点T7、T9におけるそれよりも大きくなる。よって、点T8におけるソース層41、BSLの抵抗(RR3+RL1)は、点T7、T9のそれよりも高くなる。即ち、点T8では、
図7の距離L1の半導体ソース層BSLの抵抗成分RL1だけ、点T7および点T9よりも高抵抗となる。また、Y方向においては、点T7~T9のいずれにおいても、コンタクトCC1から線分E3までの距離R3は等しい。このため、抵抗成分RR3は点T7~T9に等しく共通に付加される。これにより、ソース層41、BSLの抵抗(RR3+RL1)は、点T7、T9においてRR3に近く、点T8において最大値を有するような曲線となる。
【0067】
線分E3は、線分E1よりもコンタクトCC1から遠い。よって、抵抗成分RR3は、コンタクトCC1から線分E1、E3までの距離差に対応するソース線41の抵抗分dRR3だけ抵抗成分RR1よりも高くなる。すなわち、抵抗成分RR3は、抵抗成分RR1+dRR3となる。
【0068】
なお、点T7~点T9の各点におけるセルソース電圧の電圧降下は、グラフGE3に示す抵抗の変化と同様の傾向を示す。
【0069】
本実施形態では、ソース線41と電源線42とが同一の金属層を加工することによって形成されている。これにより、半導体ソース層BSL上に設けられた金属層を、ソース線41だけでなく、電源線42にも用いることができる。
【0070】
しかし、ソース線41は、半導体ソース層BSLの上方全体には設けられておらず、局所的に設けられることになる。この場合、ソース層41、BSLの抵抗がソース線41を半導体ソース層BSLの全体に設けた場合に比べて高くなる。これは、セルソース電圧の電圧降下の原因になり得る。
【0071】
これに対し、本実施形態では、ソース線41と電源線42とが半導体ソース層BSL上に交互に設けられている。これにより、ソース線41は、半導体ソース層BSL上に略均等に配置され接続され得る。従って、ソース線41を半導体ソース層BSL全体に設けた場合と比べて、本実施形態のソース層41、BSLの抵抗はさほど上昇しない。
【0072】
また、ソース線41と電源線42とが同一の金属層で形成されることによって、ソース線41の金属層と電源線42の金属層とを別工程で積層する必要がない。従って、半導体装置の製造工程の短縮に繋がる。また、ソース層41と電源線42を積層する必要がないので、配線の積層数を低減させることができる。
【0073】
また、電源線42が設けられている箇所には、ソース層41は設けられていない。従って、コンタクトCC1から電源線42の中間部の点T2、T5、T8までのソース層41、BSLの抵抗は高くなる。
【0074】
これに対し、本実施形態では、ソース線41と電源線42とを半導体ソース層BSL上に交互に配置することによって、各電源線42の幅(隣接するソース線41間の間隔)を狭くしている。これにより、コンタクトCC1から点T2、T5、T8までのソース層41、BSLの抵抗の上昇を抑制することができる。電源線42の幅を狭くして、かつ、電源線42の数を増大させれば、さらに、コンタクトCC1から点T2、T5、T8までのソース層41、BSLの抵抗の上昇を抑制することができる。
【0075】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態による半導体装置1のソース線41、電源線42、および、コンタクトCC1を示す模式平面図である。第2実施形態は、金属層40(ソース線41および電源線42)の平面形状において異なるが、その他の構成については第1実施形態の構成と同様でよい。
【0076】
第2実施形態では、ソース線41aの平面形状において、ソース線41aのX方向の幅がコンタクトCC1から離れるに従って広がるように、ソース線41aの辺S1および辺S2はY方向に対して傾斜している。一方、電源線42bの平面形状において、電源線42bのX方向の幅がコンタクトCC1から離れるに従って狭まるように、電源線42bの辺S3および辺S4はY方向に対して傾斜している。よって、電源線42bのX方向の幅は、コンタクトCC2から離れるに従って、幅H1、幅H2、幅H3の順で狭くなる。なお、他のソース線41b等はソース線41aと同様の平面形状を有する。他の電源線42aおよび電源線42c等は、電源線42bと同様の平面形状を有する。
【0077】
このように、ソース線41と電源線42とは、互いに相補の平面形状を有し、X方向に互い違いに接触しないように配置されている。
【0078】
コンタクトCC1からY方向に離れるに従って、コンタクトCC1からの抵抗が大きくなり、電圧降下が増大する。従って、コンタクトCC1から線分E2までの抵抗成分RR2は、コンタクトCC1から線分E1までの抵抗成分RR1よりも高い。コンタクトCC1から線分E3までの抵抗成分RR3は、コンタクトCC1から線分E2までの抵抗成分RR2よりも高い。一方、ソース線41のX方向の幅はコンタクトCC1から離れるに従って広がっている。よって、線分E1におけるソース線41a、41bから点T2までのソース層41、BSLの抵抗成分RH1は、線分E2におけるソース線41a、41bから点T5までのソース層41、BSLの抵抗成分RH2それより高くなる。線分E2におけるソース線41a、41bから点T5までの半導体ソース層BSLの抵抗成分RH2は、線分E3におけるソース線41a、41bから点T8までの半導体ソース層BSLの抵抗成分RH3より高くなる。これにより、コンタクトCC1から点T1~T9までのそれぞれのソース層41、BSLの抵抗(RR1+RH1、RR2+RH2、RR3+RH3)のばらつきが抑制され得る。
【0079】
図10は、ソース層41、BSLの抵抗と点T1~T9の位置との関係を表すグラフである。グラフGE1~GE3の横軸は線分E1~E3上の点T1~T9の位置を示し、縦軸はソース層41、BSLの抵抗値を示す。
【0080】
図10のグラフGE1は、線分E1(点T1~T3)におけるソース層41、BSLの抵抗の変化を示している。
【0081】
第1実施形態と同様に、ソース線41aから近い点T1およびソース線41bから近い点T3における抵抗成分RH1は比較的小さい。よって、点T1、T3におけるソース層41、BSLの抵抗(RR1+RH1)は、抵抗成分RR1に近く、比較的低い抵抗値を示す。一方、点T1よりもソース線41aから遠く、かつ、点T3よりもソース線41bから遠い点T2における抵抗成分RH1は点T1、T3におけるそれよりも大きくなる。よって、点T2におけるソース層41、BSLの抵抗(RR1+RH1)は、点T1、T3のそれよりも高くなる。よって、グラフGE1は、
図8のGE1と同様の傾向を有し、ソース層41、BSLの抵抗(RR1+RH1)は、点T1、T3において抵抗成分RR1に近く、点T2において最大値(RR1+RH1)を有するような曲線となる。尚、抵抗成分RR1は、第1実施形態の抵抗成分RR1と同じである。
【0082】
グラフGE2は、
図9のコンタクトCC1から点T4~T6までのソース層41、BSLの抵抗を示す。
【0083】
ここで、
図9に示すように、線分E2におけるソース線41aまたは41bの端から点T5までの幅H2は、線分E1におけるソース線41aまたは41bの端から点T2までの幅H1よりも狭い。したがって、線分E2におけるソース線41aまたは41bの端から点T5までのソース層41、BSLの抵抗成分RH2は、線分E1におけるソース線41aまたは41bの端から点T2までのソース層41、BSLの抵抗成分RH1よりも小さくなる。即ち、点T5におけるソース層41、BSLの抵抗成分RH2の最大値は、幅H2と幅H1との差に対応する抵抗成分dRH2だけ、点T2における抵抗成分RH1の最大値より小さくなる。よって、点T5におけるソース層41、BSLの抵抗(RR2+RH2)は、点T4、T6のそれよりも高くなるものの、点T2における抵抗(RR1+RH1)とさほど変わらない。尚、抵抗成分RR2は、第1実施形態の抵抗成分RR2と同じであり、抵抗成分RR1+dRR2である。
【0084】
グラフGE3は、
図9のコンタクトCC1から点T7~T9までのソース層41、BSLの抵抗を示す。
【0085】
ここで、
図9に示すように、線分E3におけるソース線41aまたは41bの端から点T8までの幅H3は、幅H1、H2よりも狭い。したがって、線分E3におけるソース線41aまたは41bの端から点T8までのソース層41、BSLの抵抗成分RH3は、抵抗成分RH1、RH2よりも小さくなる。例えば、点T8におけるソース層41、BSLの抵抗成分RH3の最大値は、幅H3と幅H1との差に対応する抵抗成分dRH3だけ、点T1における抵抗成分RH1の最大値より小さくなる。よって、点T8におけるソース層41、BSLの抵抗(RR3+RH3)最大値は、点T7、T9のそれよりも高くなるものの、点T1、T2における抵抗(RR1+RH1またはRR2+RH2)の最大値とさほど変わらない。尚、抵抗成分RR3は、第1実施形態の抵抗成分RR3と同じであり、抵抗成分RR1+dRR3である。
【0086】
このように、第2実施形態によれば、ソース線41の幅は、コンタクトCC1(セルソースドライバ)の近傍で狭く、コンタクトCC1から遠方になるにしたがって広くなっている。これにより、点T2、T5、T8はコンタクトCC1からY方向の距離において互いに相違するものの、コンタクトCC1から点T2、T5、T8までのソース層41、BSLの抵抗は、さほど変わらず、あるいは、ほぼ等しくすることも可能である。これにより、ソース層41、BSLの任意の位置における電圧のばらつきを抑制することができる。
【0087】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様でよい。従って、第2実施形態は、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0088】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態による半導体装置1のソース線41、電源線42、および、コンタクトCC1を示す模式平面図である。第3実施形態は、金属層40(ソース線41および電源線42)の平面形状において第1実施形態の構成と異なる。また、第3実施形態は、ソース線41の両端部にコンタクトCC1を備えている点で第1実施形態と異なる。
【0089】
第3実施形態では、ソース線41aは、Y方向の両端部において、それぞれコンタクトCC1(セルソースドライバ)に接続されている。また、ソース線41aの平面形状において、ソース線41aのX方向の幅がY方向の両端部から中央部へいくに従って広がっている。従って、ソース線41aのX方向の幅は、長手方向(Y方向)の中央部分において最も広くなっている。なお、線分E1および線分E3における、ソース線41aのX方向の幅は同じでよい。また、ソース線41aとソース線41bとは、同様の平面形状を有する。
【0090】
一方、電源線42bのX方向の幅は、電源線42bのY方向の両端部(コンタクトCC1または電源線43)から中央部へいくに従って狭まっている。従って、電源線42bのX方向の幅は、長手方向(Y方向)の中央部分において最も狭くなっている。例えば、電源線42bの中央部の幅H2は、その両端部の幅H1および幅H3よりも狭くなっている。なお、線分E1および線分E3における、電源線42bのX方向の幅は同じでよい。また、電源線42a~42cは、同様の平面形状を有する。なお、電源線42aおよび電源線42cは、電源線42bと同様の平面形状を有する。このように、ソース線41と電源線42とは、互い相補の平面形状を有し、X方向に互い違いに接触しないように配置されている。
【0091】
ソース線41aの平面形状において、ソース線41aのX方向の幅が、コンタクトCC1からY方向へ離れるにしたがって広がり、かつ、中央部分で最も広くなるように、ソース線41aの辺S1および辺S5が、Y方向に対して傾斜している。また、電源線42bの平面形状において、電源線42bのX方向の幅が、幅H1および幅H3が最も広く、幅H2が最も狭くなるように、電源線42bの辺S2および辺S6がY方向に対して傾斜している。
【0092】
ソース線41a、41bのY方向の両端にあるコンタクトCC1からY方向に離れるに従って、コンタクトCC1からの抵抗が大きくなり、電圧降下が増大する。従って、コンタクトCC1から線分E2までのソース線41a、41bの抵抗成分RR2は、コンタクトCC1から線分E1、E3までの抵抗成分RR1よりも高い。一方、ソース線41a、41bのX方向の幅は両端のコンタクトCC1から離れるに従って広がっている。よって、線分E1、E3におけるソース線41a、41bから点T2、T8までの半導体ソース層BSLの抵抗成分RH1,RH3は、線分E2におけるソース線41a、41bから点T5までの抵抗成分RH2より高くなる。
【0093】
ソース線41a、41bは長手方向の両端部にコンタクトCC1を有する。従って、ソース線41a、41bの長手方向の中間部が最もコンタクトCC1から遠くなり、この中央部においてソース層41、BSLの抵抗が最大となる。よって、第3実施形態では、ソース線41a、41bの中央部の線分E2において、コンタクトCC1からソース層41、BSLまでの抵抗(RR2+RH2)を低下させることによって、コンタクトCC1から点T1~T9までのそれぞれのソース層41、BSLの抵抗のばらつきが抑制され得る。
【0094】
図12は、ソース層41、BSLの抵抗と点T1~T9の位置との関係を表すグラフである。グラフGE1~GE3の横軸は線分E1~E3上の点T1~T9の位置を示し、縦軸はソース層41、BSLの抵抗値を示す。
【0095】
グラフGE1は、線分E1(点T1~T3)におけるソース層41、BSLの抵抗の変化を示している。第3実施形態の線分E1におけるソース層41、BSLの抵抗は、第2実施形態の線分E1におけるソース層41、BSLの抵抗(
図10のグラフGE1)と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0096】
グラフGE2は、線分E2(点T4~T6)におけるソース層41、BSLの抵抗の変化を示している。第3実施形態の線分E2におけるソース層41、BSLの抵抗の変化は、第2実施形態の線分E2におけるソース層41、BSLの抵抗の変化(
図10のグラフGE2)とほぼ同様である。ただし、第3実施形態では、ソース線41aの両端部にコンタクトCC1が設けられているので、コンタクトCC1から点T4~T6までのソース層41、BSLの抵抗または電圧降下は、第2実施形態の点T4~T6におけるソース層41、BSLの抵抗または電圧降下よりも小さくすることができる。
【0097】
グラフGE3は、
図11のコンタクトCC1から点T7~T9までのソース層41、BSLの抵抗を示す。第3実施形態においては、ソース線41a、41bの両端部においてコンタクトCC1が設けられている。ソース線41a、41bの上端側のコンタクトCC1から線分E1までの距離、および、ソース線41a、41bの下端側のコンタクトCC1から線分E3までの距離はいずれも距離R1で等しい。また、幅H1と幅H3はほぼ同じである。従って、ソース線41a、41bから点T1~T3からまでの距離は、ソース線41a、41bから点T7~T9までの距離とそれぞれほぼ等しい。よって、コンタクトCC1から点T7~T9までのソース層41、BSLの抵抗(RR1+RL3)は、コンタクトCC1から点T1~T3までのソース層41、BSLの抵抗(RR1+RL1)とほぼ等しくなる。よって、
図12のグラフGE1およびGE3は同様の傾向を示す。
【0098】
このように、第3実施形態によれば、ソース線41の両端部においてコンタクトCC1が設けられている。よって、ソース線41は、その両端部においてセルソースドライバに接続され、ソース層41、BSLにおけるセルソース電圧の電圧降下を低下させることができる。また、ソース線41の両端の幅H1およびH3は互いにほぼ同じである。これにより、コンタクトCC1から電源線42の一端の点T1~T3までのソース層41、BSLの抵抗(RR1+RH1)は、コンタクトCC1から電源線42の他端の点T7~T9までのソース層41、BSLの抵抗(RR1+RH3)とほぼ等しくなる。
【0099】
また、ソース線41の幅は、その長手方向の両端にあるコンタクトCC1の近傍で狭く、コンタクトCC1から離れて中心部に近づくに従って次第に広くなっている。これにより、ソース線41の中心部における抵抗成分RH2は、ソース線41の両端部における抵抗成分RH1、RH3に比べて低くなる。よって、点T5はコンタクトCC1からY方向の距離において点T2、T8と相違するものの、コンタクトCC1から点T5までのソース層41、BSLの抵抗は、コンタクトCC1から点T2、T8までのソース層41、BSLの抵抗とさほど変わらず、あるいは、ほぼ等しくすることも可能である。これにより、ソース層41、BSLの任意の位置における電圧のばらつきを抑制することができる。
【0100】
第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様でよい。従って、第3実施形態は、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0101】
図13は、上記実施形態のいずれかを適用した半導体装置の構成例を示すブロック図である。半導体装置1は、例えば、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリ等の半導体記憶装置100aであり、外部のメモリコントローラ1002によって制御される。半導体記憶装置100aとメモリコントローラ1002との間の通信は、例えばNANDインターフェイス規格をサポートしている。
【0102】
図13に示すように、半導体記憶装置100aは、例えばメモリセルアレイMCA、コマンドレジスタ1011、アドレスレジスタ1012、シーケンサ1013、ドライバモジュール1014、ロウデコーダモジュール1015、及びセンスアンプモジュール1016を備えている。
【0103】
メモリセルアレイMCAは、複数のブロックBLK(0)~BLK(n)(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイMCAには、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイMCAの詳細な構成については後述する。
【0104】
コマンドレジスタ1011は、半導体記憶装置100aがメモリコントローラ1002から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ1013に読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行させる命令を含んでいる。
【0105】
アドレスレジスタ1012は、半導体記憶装置100aがメモリコントローラ1002から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAを含んでいる。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0106】
シーケンサ1013は、半導体記憶装置100a全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ1013は、コマンドレジスタ1011に保持されたコマンドCMDに基づいて、ドライバモジュール1014、ロウデコーダモジュール1015、及びセンスアンプモジュール1016等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行する。
【0107】
ドライバモジュール1014は、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール1014は、例えばアドレスレジスタ1012に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0108】
ロウデコーダモジュール1015は、複数のロウデコーダを備える。ロウデコーダは、アドレスレジスタ1012に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイMCA内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダは、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0109】
センスアンプモジュール1016は、書き込み動作において、メモリコントローラ1002から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール1016は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ1002に転送する。
【0110】
以上で説明した半導体記憶装置100a及びメモリコントローラ1002は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成しても良い。このような半導体装置としては、例えばSDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)等が挙げられる。
【0111】
図14は、メモリセルアレイMCAの回路構成の一例を示す回路図である。メモリセルアレイMCAに含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKが抽出されている。
図14に示すように、ブロックBLKは、複数のストリングユニットSU(0)~SU(k)(kは1以上の整数)を含んでいる。
【0112】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL(0)~BL(m)(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)、並びに選択トランジスタST(1)及びST(2)を含んでいる。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST(1)及びST(2)のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0113】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)は、直列接続される。選択トランジスタST(1)のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続され、選択トランジスタST(1)のソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)の一端に接続される。選択トランジスタST(2)のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)の他端に接続される。選択トランジスタST(2)のソースは、ソース線SLに接続される。
【0114】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)の制御ゲートは、それぞれワード線WL(0)~WL(7)に共通接続される。ストリングユニットSU(0)~SU(k)内のそれぞれの選択トランジスタST(1)のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD(0)~SGD(k)に共通接続される。選択トランジスタST(2)のゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続される。
【0115】
以上で説明したメモリセルアレイMCAの回路構成において、ビット線BLは、各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0116】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと称される。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0117】
尚、本実施形態に係る半導体記憶装置100aが備えるメモリセルアレイMCAは、以上で説明した回路構成に限定されない。例えば、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST(1)及びST(2)の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。
【0118】
(変形例)
図15は、半導体記憶装置100aの他の構成例を示す断面図である。半導体記憶装置100aは、メモリセルアレイを有するメモリチップCH2と、CMOS回路を有するコントローラチップCH1とを備えている。メモリチップCH2とコントローラチップCH1とは、貼合面B1において貼合されており、貼合面において接合された配線24、34を介して互いに電気的に接続されている。
図15では、コントローラチップCH1上にメモリチップCH2が搭載された状態を示している。
【0119】
メモリチップCH2のメモリセルアレイMCAの構成およびCMOS回路の構成は、上記実施形態のそれらの構成とそれぞれ同様でよい。
【0120】
本実施形態では、メモリチップCH2とコントローラチップCH1とは個別に形成され、貼合面B1で貼合されている。
【0121】
コントローラチップCH1において、トランジスタTrの上方には、ビア32、配線33、34が設けられている。配線33、34は、層間絶縁膜35内において多層配線構造を構成する。配線34は、層間絶縁膜35内に埋め込まれ、層間絶縁膜35の表面にほぼ面一に露出されている。配線33、34は、トランジスタTr等に電気的に接続される。ビア32、配線33、34には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜35は、トランジスタTr、ビア32、配線33、34を被覆し保護する。層間絶縁膜35には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0122】
メモリチップCH2において、メモリセルアレイMCAの下方には、ビア28、配線23、24が設けられている。配線23、24は、層間絶縁膜25内において多層配線構造を構成する。配線24は、層間絶縁膜25内に埋め込まれ、層間絶縁膜25の表面にほぼ面一に露出されている。配線23、24は、柱状部CLの半導体ボディ210等に電気的に接続される。ビア28、配線23、24には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜25は、積層体20、ビア28、配線23、24を被覆し保護する。層間絶縁膜25には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0123】
層間絶縁膜25と層間絶縁膜35とは貼合面B1において貼合しており、配線24と配線34も貼合面B1において略面一で接合している。これにより、メモリチップCH2とコントローラチップCH1とは、配線24,34を介して電気的に接続される。
【0124】
このように、本実施形態は、メモリチップCH2とコントローラチップCH1とを貼合した半導体装置に適用することもできる。
【0125】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係る半導体装置1の構成例を示す平面図である。
図16は、メモリチップCH2全体の平面を示している。
図17および
図18は、第4実施形態に係る半導体装置1の構成例を示す断面図である。
図17は、
図16の17-17線に沿った断面を示し、
図18は、
図16の18-18線に沿った断面を示す。
図19は、第4実施形態に係る半導体装置1の構成例を示す斜視図である。
【0126】
第4実施形態では、スリットST(LI)が、ソース配線LIで構成されている。
図16に示すように、ソース配線LIは、Z方向から見た平面視において、ソース線41および電源線42、43に対して交差方向(例えば、ほぼ直交方向、X方向)に延伸している。ソース配線LIは、X方向において、4つに分割されており、メモリセルアレイMCAの4つのプレーンに対応している。Acc4は、コンタクトCC4が設けられている領域である。Acc12は、コンタクトCC1、CC2が設けられている領域である。メモリチップCH2の外縁には、外部からのクラックや剥がれを抑制するために、エッジシールESが設けられている。
【0127】
図17に示すように、ソース配線LIは、スリットの内壁にシリコン酸化膜等の絶縁膜を被覆し、さらに絶縁膜の内側に導電材料を埋め込んだ構成を有する。ソース配線LIは、その一端が半導体ソース層BSLに接続され、他端が他の配線に接続されている。これにより、ソース配線LIは、半導体ソース層BSLを介してソース線41にソース電圧を供給することができる。
【0128】
本実施形態では、
図18に示すように、第2面F2側において、ソース線41と電源線42とがX方向に交互に配列されている。ソース線41および電源線42のそれぞれは、
図16および
図17に示すように、Y方向に互いに略平行に延伸している。ソース線41は、コンタクトCC3によって半導体ソース層BSLに電気的に接続されている。
【0129】
ここで、ソース配線LIは、Z方向から見た平面視において、ソース線41および電源線42に対して交差方向(例えば、ほぼ直交方向)に延伸している。即ち、ソース配線LIは、Z方向から見た平面視において、ソース線41および電源線42の配列方向(X方向)に延伸している。また、ソース配線LIは、Z方向から見た平面視において、ソース線41および電源線42の延伸方向(Y方向)に交互に配列されている。
【0130】
図17に示すように、ソース線41の延伸方向(Y方向)においては、ソース線41の隣に電源線42は設けられていないので、隣接するコンタクトCC3間の間隔を狭めることができる。隣接するコンタクトCC3間の間隔を狭くすることによって、ソース線41と半導体ソース層BSLとの接触抵抗を低減させることができる。これにより、半導体ソース層BSLの抵抗は、隣接するコンタクトCC3間の間隔を調節することによって、低下させることができる。
【0131】
一方、
図18および
図19に示すように、ソース線41および電源線42の配列方向(X方向)においては、ソース線41の両側には、電源線42が隣接して設けられているため、隣接するソース線41間の間隔を狭めることには限度がある。よって、X方向においては、隣接するソース線41間の間隔またはコンタクトCC3間の間隔の調整では、ソース線41と半導体ソース層BSLとの接触抵抗を低減させること困難となる。
【0132】
そこで、第4実施形態では、ソース配線LIは、Z方向から見た平面視において、ソース線41および電源線42に対して交差方向(例えば、ほぼ直交方向)に延伸している。これにより、
図18に示すように、X方向においては、ソース配線LIが半導体ソース層BSLの底面全体に亘って接触している。X方向に隣接するコンタクトCC3は、半導体ソース層BSLだけなく、その下のソース配線LIを介して電気的に接続される。よって、X方向に隣接するコンタクトCC3の抵抗が低減される。即ち、第4実施形態によれば、半導体ソース層BSLの抵抗は、Y方向においては、コンタクトCC3間の間隔を狭めることによって低減し、X方向においては、ソース配線LIによって半導体ソース層BSLの抵抗を低減させている。これにより、半導体ソース層BSLの抵抗は、ソース線41が半導体ソース層BSLの全体に設けられている場合と同程度に低減させることができる。これにより、ソース電圧が意図しない電位に変化することを抑制することができる。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0134】
1 半導体装置、2 アレイチップ、2m メモリセルアレイ、3 CMOSチップ、20 積層体、21 電極膜、22 絶縁膜、23,24,33,34 配線、25,35 層間絶縁膜、28,32 ビア、29 コンタクト、30 基板、31 トランジスタ、40 金属層、41 ソース線、42,43 電源線、50 ボンディングパッド、BSL 半導体ソース層、CC1~4 コンタクト、E1~E3 線分