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特開2023-164299金型部品、成形用金型、成形物の成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164299
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】金型部品、成形用金型、成形物の成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/27 20060101AFI20231102BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B29C45/27
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039846
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2022075292の分割
【原出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 博貴
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK02
4F202CK06
4F202CK89
4F202CK90
4F202CS10
4F206JA07
4F206JL02
4F206JN11
4F206JQ81
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スプルーブッシュ部を金型に対して取り外し可能な金型部品を提供する。
【解決手段】金型部品200であって、成形材料を内部のキャビティに注入して、前記キャビティの形状に対応する成形物を生成するための、第1の金型106と第2の金型118とからなる成形用金型20に配置される金型部品であって、前記第1の金型と前記第2の金型との接触面に直交する前記成形用金型の側面に配置され、前記第1の金型に取り付けられる第1の金型部品と前記第2の金型に取り付けられる第2の金型部品とを含み、前記第1の金型部品と、前記第2の金型部品とのそれぞれには、前記成形用金型に装着させるための装着部材が貫通する貫通孔が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料を内部のキャビティに注入して、前記キャビティの形状に対応する成形物を生成するための、第1の金型と第2の金型とからなる成形用金型に配置される金型部品であって、
前記第1の金型と前記第2の金型との接触面に直交する前記成形用金型の側面に配置され、
前記第1の金型に取り付けられる第1の金型部品と、
前記第2の金型に取り付けられる第2の金型部品と
を含み、
前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に互いに接触する接触面には、凹部がそれぞれ形成され、前記凹部は、前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に、前記成形材料を前記成形用金型内に注入するための第1の開口を形成し、
前記第1の金型部品と、前記第2の金型部品とのそれぞれには、前記成形用金型に装着させるための装着部材が貫通する貫通孔が形成されている、金型部品。
【請求項2】
前記貫通孔には、前記装着部材に形成された第1のネジ山とは異なる第2のネジ山が形成され、前記貫通孔は前記装着部材とは嵌合しないように構成されている、請求項1に記載の金型部品。
【請求項3】
前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とは、前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に互いに接触する接触面に対して、面対称の構成を有する、請求項1に記載の金型部品。
【請求項4】
前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とは、前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に、
前記第1の金型部品の第1の接触面と、前記第2の金型部品の第2の接触面とで接触し、
前記第1の接触面は、前記第1の金型が前記第2の金型と接触する面と連続し、
前記第2の接触面は、前記第2の金型が前記第1の金型と接触する面と連続する、請求項1に記載の金型部品。
【請求項5】
前記第1の金型部品は、前記第1の金型に形成された第1の凹部に配置可能に構成され、
前記第2の金型部品は、前記第2の金型に形成された第2の凹部に配置可能に構成され、
前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが、前記第1の凹部と前記第2の凹部とのそれぞれに配置された場合に、前記第1の金型部品及び前記第2の金型部品の少なくとも一部は、前記第1の凹部が形成された前記第1の金型の面、及び、前記第2の凹部が形成された前記第2の金型の面からそれぞれ突出している、請求項1に記載の金型部品。
【請求項6】
前記装着部材は半ネジとして構成され、
前記金型部品を前記成形用金型に結合した場合において、前記成形用金型とのみ嵌合する、請求項1に記載の金型部品。
【請求項7】
前記貫通孔の内径は、前記装着部材と結合する前記成形用金型の結合孔の内径よりも大きい、請求項1に記載の金型部品。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の金型部品を備える、成形用金型であって、
第1の金型と、第2の金型とを備え、
前記第1の金型と前記第2の金型との接触面に平行な前記第1の金型の面に、前記成形材料を前記成形用金型に注入するための第2の開口を備える、成形用金型。
【請求項9】
前記第1の金型は、前記第1の金型部品を少なくとも部分的に収容する第1の凹部を有し、
前記第2の金型は、前記第2の金型部品を少なくとも部分的に収容する第2の凹部を有し、
前記第1の凹部は、前記第1の金型部品を前記第1の凹部に少なくとも部分的に収容した状態で固定するための第1のネジ穴を有し、前記第1のネジ穴には、前記装着部材に形成された第1のネジ山に対応し前記装着部材と嵌合する第3のネジ山が形成され、
前記第2の凹部は、前記第2の金型部品を前記第2の凹部に少なくとも部分的に収容した状態で固定するための第2のネジ穴を有し、前記第2のネジ穴には、前記第1のネジ山に対応し前記装着部材と嵌合する前記第3のネジ山が形成されている、請求項8に記載の成形用金型。
【請求項10】
前記第1の金型と前記第2の金型とが互いに接触する接触面には、凹部がそれぞれ形成され、前記凹部は、前記第1の金型と前記第2の金型とが接続され、前記金型部品が配置された場合に、前記第1の開口と連続し、前記成形材料を前記成形用金型内の前記キャビティに注入するための第3の開口を構成する、請求項9に記載の成形用金型。
【請求項11】
請求項8に記載の成形用金型に、前記第2の開口から成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される成形物を成形する第1の成形工程と、
前記成形用金型に、前記第1の開口から成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される成形物を成形する第2の成形工程と、
を含む、成形物の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型部品、成形用金型、成形物の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に「色プラ」と呼ばれる、一つのランナーに多色のプラスチックを流し込み、枠内で数色のプラスチックを多色成形機と呼ばれる成形機で同時に成形する技術により成形されたプラスチックモデルがある(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】GUNDAM WORLD ENCYCLOPEDIA 「色プラ」http://www.gudamer.sakura.ne.jp/wiki/wiki.cgi/GUNDAM?page=%BF%A7%A5%D7%A5%E9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
「色プラ」を成形するためには、異なる色のプラスチック材料を金型に注入する必要がある。その際、プラスチック材料を注入するスプルーブッシュ部は金型の側面に、汎用フライス盤で彫り込む形態で形成されている場合がある。このようなスプルーブッシュ部は、プラスチック材料注入時の衝撃で潰れることがあり、その場合、樹脂漏れのトラブルが発生する。ブッシュ部を再度形成するには、金型を成形機から降ろし、汎用フライス盤を用いて潰れたスプルーブッシュ部を彫り直す必要があり、修正作業には相応の時間を要する。部品交換可能なスプルーブッシュも提案されているが、金型の分割面には使用することができないものであった。
【0005】
これに対し、本発明では、スプルーブッシュ部を金型に対して取り外し可能な金型部品を提供すると共に、当該金型部品を利用した成形用金型、成形物の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、金型部品であって、
成形材料を内部のキャビティに注入して、前記キャビティの形状に対応する成形物を生成するための、第1の金型と第2の金型とからなる成形用金型に配置される金型部品であって、
前記第1の金型と前記第2の金型との接触面に直交する前記成形用金型の側面に配置され、
前記第1の金型に取り付けられる第1の金型部品と、
前記第2の金型に取り付けられる第2の金型部品と
を含み、
前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に互いに接触する接触面には、凹部がそれぞれ形成され、前記凹部は、前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に、前記成形材料を前記成形用金型内に注入するための第1の開口を形成し、
前記第1の金型部品と、前記第2の金型部品とのそれぞれには、前記成形用金型に装着させるための装着部材が貫通する貫通孔が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、スプルーブッシュ部を金型に対して取り外し可能な金型部品として提供すると共に、当該金型部品を利用した成形用金型、成形物の成形方法を提供し、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る成形装置の断面を例示する図。
図2】(A)は、実施形態に係る成形用金型20の外観を斜視図、(B)は同平面図。
図3】(A)、(B)は、実施形態に係る成形用金型の金型部品200の表面、及び、裏面の外観の一例を示す斜視図、(C)は、当該金型部品200の接触面の構成の一例を示す図、(D)は、金型部品200のB-B'面における断面構造の一例を示す断面図。
図4】(A)は、成形用金型20における金型部品200の取付部分の構成の一例を示す図、(B)は、成形用金型20の雄型106の接触面の構成の一例を示す図。
図5】(A)は、成形用金型20に金型部品200を取り付けた状態におけるA-A'面における断面構造の一例を示す断面図、(B)は、(A)の断面図においてネジ203を取り除いた状態を示す図、(C)は、ネジ203の構造の一例を示す図。
図6】成形用金型20におけるキャビティの構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。また、各図において、紙面に対する上下左右表裏方向を、本実施形態における部品(またはパーツ)の上下左右表裏方向として、本文中の説明の際に用いることとする。なお本発明は、以下に説明する実施形態おいて成形材料として樹脂材料を想定するがこれに限定されず、他の材質(ポリスチレン、ポリエチレン、ABS等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属等)も適用可能である。
【0010】
図1に発明の実施形態に対応する成形装置10の断面図を示す。本実施形態の成形装置10は図1に示すように、成形材料を射出する不図示の成形材射出装置の移動側に取り付けられる移動金型本体102と、成形材射出装置の固定側に取り付けられる固定金型本体103とを有する。移動金型本体102と固定金型本体103とにはそれぞれ成形材料が流入されるランナー溝が形成されている。
【0011】
移動金型本体102は、雄型106を取り付ける雄型取付板107と、雄型取付板107を固定する固定台108と、成形材射出装置に取り付けられる移動側取付板109と、固定台108と移動側取付板109との間に設けられたスペーサ110と、を有している。雄型106と雄型取付板107とは一体的に構成されていてもよいし、別体として独立して構成されていてもよい。固定台108には空室111が形成され、空室111内には移動可能な押し出し板112が設けられている。押し出し板112は、固定台108及び移動側取付板109に形成された開口部114、115に設けられた押圧軸116に固定されている。また、押し出し板112には、雄型取付板107及び雄型106を貫通するノックアウトピン113が形成されている。ここで、押し出し板112を移動することにより、ノックアウトピン113の先端がランナー溝内に突出するように形成されている。
【0012】
固定金型本体103は、成形材射出装置に取り付けられる固定取付板117と、雌型118が取り付けられる雌型取付板119と、固定取付板117と雌型取付板119との間に設けられるスペーサ120とを有している。雌型118と雌型取付板119とは一体的に構成されていてもよいし、別体として独立して構成されていてもよい。固定金型本体103には、成形射出装置から溶融した成形材料を注入するためのスプルーブッシュ104が装着されている。スプルーブッシュ104は固定取付板117を貫通して雌型118にまで延在され、その内部には溶融樹脂の供給流路となるスプルー105が形成されている。スプルー105には、雌型118と雄型106に形成されたランナー溝が連通しており、このランナー溝を介して雌型118と雄型106とに形成されたキャビティに成形材料が流入される。
【0013】
図1では、説明のために固定金型本体103側に設けられたスプルーブッシュ104のみを示しているが、本実施形態に対応する構成では、移動金型本体102と固定金型本体103との接触面に、本実施形態に対応する追加のスプルーブッシュを設けることとしている。
【0014】
図1に示す成形装置10において、ランナー溝や各パーツを形成するための成形空間(キャビティ)に成形材料を流入させて成形物を形成した後、移動金型本体102を固定金型本体103から離し、押圧軸116を押圧して押し出し板112を移動させると、押し出し板112に設けられたノックアウトピン113が移動金型本体102を構成する雄型106に付着した成形物を押し出し、成形物を容易に取り出すことができる。なお、図1は成形装置10の構造を一例として示す図であって、成形装置10の構造は図1に示すものに限定されず、様々な変更が可能である。
【0015】
次に、図2を参照して、本実施形態に対応する雄型106と雌型118との構成の一例を説明する。ここでは、雄型106と雄型取付板107、雌型118と雌型取付板119とが、それぞれ一体的に構成されているものとして説明する。即ち、雄型106と雌型118との側面に直接に成形材射出装置を取り付け可能に構成されている。図2において、雄型106と雌型118とを併せて、成形用金型20と総称する。
【0016】
図2(A)は、成形用金型20の外観の一例を示す斜視図である。図2(B)は、成形用金型20の外観を雌型118の側から見た平面図である。成形用金型20のうち、雌型118の固定取付板117側の面にはスプルーブッシュ104が形成されている。また、成形用金型20の4つの側面には、成形射出装置から溶融した成形材料を注入するためのスプルーブッシュとして機能し得る、交換部品としての金型部品200が配置されている。当該側面は、雄型106と雌型118とが互いに接続する接触面(スプルーブッシュ104が形成されている面と反対側の面)と直交している。
【0017】
金型部品200は、雄型106側に固定される金型部品200aと、雌型118側に固定される金型部品200bとからなる。各金型部品200には、成形剤射出装置の射出ノズルの先端に密着して接するために半球の帽子状に形成された凹部202の中央位置に開口201が形成されている。当該開口201は、金型内部の成形空間(キャビティ)と連結しており、成形材料を流入させて成形物を形成することができる。また、金型部品200は、成形用金型20に対して金型部品200を装着するための装着部材としてのネジ203により4か所でねじ止めにおり装着され、成形用金型20に対して固定されている。
【0018】
図2(B)に示すように、金型部品200は、成形用金型20の側面の任意の位置に配置することができる。また、いずれかの側面に金型部品を配置しなくてもよい。金型部品200は、成形用金型20の側面から所定の厚み分だけ突出して配置されている。これは、金型部品200を金型から取り外しやすくするため、及び、金型部品200の厚みを確保することにより強度を保つためである。例えば、金型部品200は、その厚みの半分が成形用金型20の側面よりも突出していてもよい。
【0019】
図3は、金型部品200の外観を示す図である。金型部品200は、例えば、機械構造用の炭素鋼鋼材S50Cで製造することができる。図3(A)は、金型部品200の表面の外観の一例を示す斜視図であり、図3(B)は、金型部品200の裏面の外観の一例を示す斜視図である。図3(C)は、金型部品200aの、金型部品200bとの接触面の構造の一例を示す図であり、図3(D)は、金型部品200のB-B'面の断面構造の一例を示す斜視図である。 金型部品200a、200bの表面にはそれぞれ開口204a、204bが形成されている。また、金型部品200a、200bの裏面には、それぞれ開口205a、205bが形成されている。図3(D)に示すように、開口205aは開口204aと接続し、開口205bは開口204bと接続して、金型部品200内を貫通している。開口205の径は開口204の径よりも小さくなっている。なお、開口204にはネジ山が形成されていないが、開口205にはネジ山が形成される。但し、開口205に形成されたネジ山はネジ203とは嵌合せず、ネジ203の固定のためには機能しない。その代わりに、金型部品200が破損した場合に取り外しのために開口205のネジ山を利用することができる。
【0020】
また、金型部品200aが金型部品200bと共に成形用金型に配置された場合に、金型部品200bと接触する接触面206aには、図3(C)に示す凹部201aが形成されている。凹部201aは、金型部品200bの不図示の接触面206bに形成された凹部201bと共に、金型部品200aと金型部品200bとを組み合わせる(接触面206で接触させる)ことにより開口201を形成する。開口201は、金型部品200を貫通するように形成されている。このとき、金型部品200a及び200bは、接触面206に対して面対称の構成を有する。
【0021】
金型部品200a、200bのそれぞれの大きさは、例えば、長さLを約50mm、幅Wを15mm、厚みDを10mmとすることができる。なお、金型部品200の大きさは、この数値に限定されるものではなく、任意の大きさとしてもよい。金型部品200a、200bのそれぞれは角が落としてある。これは、金型部品200が装着される成形用金型20側の凹部との間に隙間を確保し、金型部品200の取り外し時に工具などを挿入可能とするためである。
【0022】
次に図4を参照して、金型部品200を収容する成形用金型20側の構成について説明する。図4(A)は、成形用金型20の金型部品200周辺部の概略構成を示す斜視図である。また、図4(B)は、雄型106の、雌型118との接触面の構造の一例を示す図である。
【0023】
成形用金型20には、金型部品200を収容するための凹部400が形成されている。凹部400は、雄型106側の凹部400aと、雌型118側の凹部400bとからなる。凹部400には、金型部品200の開口201と連続する(接続する)開口401が形成されると共に、金型部品200を固定するためのネジ203と嵌合するネジ山が形成された開口402が雄型106、雌型118にそれぞれ2つずつ配置されている。
【0024】
また、図4(B)に示すように、雄型106が雌型118と接触する接触面403aには、凹部401aが形成されている。凹部401aは、雌型118の不図示の接触面403bに形成された凹部401bと共に、雄型106と雌型118とを組み合わせる(接触面403で接触させる)ことにより開口401を形成する。開口401は、成形用金型20の内部に形成された成形空間(キャビティ)と連結している。
【0025】
次に図5を参照して、金型部品200を成形用金型20に固定する方法を説明する。図5(A)は、図2のA-A'面における断面構造の一例を示す断面図である。なお、図5(A)は、ネジ203付近を拡大して示している。図5(B)は、図5(A)の断面図において、ネジ203を取り外した状態を示す。図5(C)は、ネジ203の構造の一例を示す。 図5(C)に示すように、ネジ203は頭部203hとネジ部203sとで構成されている。ネジ部203sは、ネジ山が形成されていない第1の部分(n1)と、ネジ山が形成された第2の部分(n2)とを有する。ネジ203は所謂「半ネジ」の構造となっている。このうち、第1の部分n1の長さは開口205aの深さに対応し、第2の部分n2の長さは開口402の深さに対応する。
【0026】
開口402には、ネジ203の第2の部分n2に形成されたネジ山(おねじ)に対応するネジ山(めねじ)が形成されており、開口402のネジ山(めねじ)と、ネジ203の第2の部分n2におけるネジ山(おねじ)とが嵌合することで、ネジ203を成形用金型20に固定することができる。このとき、ネジ203の頭部203hが開口204の底部(開口204と開口205との径の差分に対応)を下側に押圧することにより、ネジ203により金型部品200を成形用金型20に固定することができる。
【0027】
本実施形態では、例えば、ネジ203の第2の部分n2のネジ山(おねじ)と開口402のネジ山(めねじ)を、JISのB0205:2001のメートルねじ、或いはISOの724:1993 (ISO general-purpose metric screw threads-Basic dimensions)に定められるM5ネジとすることができる。また、開口205に形成されたネジ山(めねじ)を、例えば、同M6ネジとすることができる。但し、上記のM5、M6のネジ山はあくまで一例として示したものであって、少なくとも開口205のめねじの径が開口402のめねじの径よりも大きければ、これらに限定されるものではない。
【0028】
このようにして、本実施形態では、ネジ203は金型部品200に形成された開口204や205とは嵌合せず、金型側に形成された開口402とのみ嵌合する。開口205側のネジ山は、金型部品200が破損した際に、当該ネジ山を利用して、金型部品200を取り外すのに利用することができる。例えば、ネジ203を取り外したにも関わらず、金型部品200が成形用金型20の凹部400に固着して容易に取り外しができない場合であっても、開口205のネジ山(例えば、M6)に対応するネジを挿入し、開口402の径と開口205の径との差分により形成される段差部分(図5(B)の点線で囲った部分の拡大図に示す)を利用して、金型部品200を浮き上がらせる(ジャッキアップする)ことができる。なお、本実施形態では、開口205側に補助作業(ジャッキアップ)用のネジ山を設ける例を説明したが、これに限られるものではなく開口205側にネジ山を設けない場合等であっても良い。
【0029】
また、図5(A)に示すように、金型部品200が成形用金型20に配置された場合に、金型部品200の接触面206と、雄型106及び雌型118の接触面403とは連続している。
【0030】
次に図6を参照して本実施形態に対応する成形用金型20内の成形型の構成の一例を説明する。図6は、成形用金型20の中央、及び、4つの側面のそれぞれから異なる色の成形材料を注入して成形を行う場合の構成を示す。
【0031】
成形用金型60は、複数の成形射出口600Aから600Eを有しており、成形射出口600Aは、スプルーブッシュ104に対応し、成形射出口600BからEは、図2の金型部品200のスプルーブッシュにそれぞれ対応する。成形用金型60は、複数のパーツを形成するためのパーツ成形部分として複数の成形空間(キャビティ)602を有する成形型であって、各キャビティ602は副ランナー溝604を介して主ランナー溝603と接続されている。成形材射出口600A等から溶融した成形材料が注入されると、主ランナー溝603から副ランナー溝604を介してキャビティ602に成形材料が流入する。全てのキャビティ602に成形材料が充填された後、冷却することにより成形物を作製することができる。
【0032】
ここで、個々のキャビティ602は、いずれかの成形射出口600と関連付けられており、例えば点線601Aで囲まれるキャビティ602は、成形射出口600Aと関連付けられる。同様にして、点線601Bで囲まれるキャビティ602は、成形射出口600Bと、点線601Cで囲まれるキャビティ602は、成形射出口600Cと、点線601Dで囲まれるキャビティ602は、成形射出口600Dと、点線601Eで囲まれるキャビティ602は、成形射出口600Eと、それぞれ関連付けられる。
【0033】
なお、図6には示していないが、主ランナー溝603及び副ランナー溝604には、成形材料が他のキャビティに流入しないように、成形材料の流れを堰き止めるスイッチが配置されている。これにより、成形射出口600から流入した成形材料は、当該成形射出口600と対応付けられたキャビティ602のみに充填することができる。
【0034】
本実施形態に対応する成形用金型60を用いた成形方法においては、射出成形機のメインノズル側のスプルーブッシュ104の開口105からから成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される成形物を成形する第1の成形ステップと、射出成形機のサブノズル側の金型部品200の開口201から成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される成形物を成形する第2の成形ステップとを含むように実施される。
【0035】
以上の実施形態に対応する成形用金型によれば、これまで金型に直接に彫り込まれていたスプルーブッシュを金型部品200として交換可能とすることができる。これにより量産成形中のトラブル時にも対応作業は金型部品200の交換を行うのみで済むので、金型の降乗や修正の作業を回避して、作業効率を格段に向上させることができる。具体的に、複数の金型部品200の交換であっても、10分弱の時間しか要さず、金型に直接にスプルーブッシュを彫り込んでいた場合に要する時間(2~3時間)と比較して、格段に時間短縮できる。
【0036】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の金型部品、成形用金型、成形物の成形方法を少なくとも開示する。
【0037】
(1) 成形材料を内部のキャビティに注入して、前記キャビティの形状に対応する成形物を生成するための、第1の金型と第2の金型とからなる成形用金型に配置される金型部品であって、
前記第1の金型と前記第2の金型との接触面に直交する前記成形用金型の側面に配置され、
前記第1の金型に取り付けられる第1の金型部品と、
前記第2の金型に取り付けられる第2の金型部品と
を含み、
前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に互いに接触する接触面には、凹部がそれぞれ形成され、前記凹部は、前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に、前記成形材料を前記成形用金型内に注入するための第1の開口を形成し、
前記第1の金型部品と、前記第2の金型部品とのそれぞれには、前記成形用金型に装着させるための装着部材が貫通する貫通孔が形成されている、金型部品。
【0038】
(2) 前記貫通孔には、前記装着部材に形成された第1のネジ山とは異なる第2のネジ山が形成され、前記貫通孔は前記装着部材とは嵌合しないように構成されている、(1)に記載の金型部品。
【0039】
(3) 前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とは、前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に互いに接触する接触面に対して、面対称の構成を有する、(1)または(2)に記載の金型部品。
【0040】
(4) 前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とは、前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが前記成形用金型に配置された場合に、
前記第1の金型部品の第1の接触面と、前記第2の金型部品の第2の接触面とで接触し、
前記第1の接触面は、前記第1の金型が前記第2の金型と接触する面と連続し、
前記第2の接触面は、前記第2の金型が前記第1の金型と接触する面と連続する、(1)から(3)のいずれか1つに記載の金型部品。
【0041】
(5) 前記第1の金型部品は、前記第1の金型に形成された第1の凹部に配置可能に構成され、
前記第2の金型部品は、前記第2の金型に形成された第2の凹部に配置可能に構成され、
前記第1の金型部品と前記第2の金型部品とが、前記第1の凹部と前記第2の凹部とのそれぞれに配置された場合に、前記第1の金型部品及び前記第2の金型部品の少なくとも一部は、前記第1の凹部が形成された前記第1の金型の面、及び、前記第2の凹部が形成された前記第2の金型の面からそれぞれ突出している、(1)から(4)のいずれか1つに記載の金型部品。
【0042】
(6) 前記装着部材は半ネジとして構成され、
前記金型部品を前記成形用金型に結合した場合において、前記成形用金型とのみ嵌合する、(1)から(5)のいずれか1つに記載の金型部品。
【0043】
(7) 前記貫通孔の内径は、前記装着部材と結合する前記成形用金型の結合孔の内径よりも大きい、(1)から(6)のいずれか1つに記載の金型部品。
【0044】
(8) (1)から(7)のいずれか1つに記載の金型部品を備える、成形用金型であって、
第1の金型と、第2の金型とを備え、
前記第1の金型と前記第2の金型との接触面に平行な前記第1の金型の面に、前記成形材料を前記成形用金型に注入するための第2の開口を備える、成形用金型。
【0045】
(9) 前記第1の金型は、前記第1の金型部品を少なくとも部分的に収容する第1の凹部を有し、
前記第2の金型は、前記第2の金型部品を少なくとも部分的に収容する第2の凹部を有し、
前記第1の凹部は、前記第1の金型部品を前記第1の凹部に少なくとも部分的に収容した状態で固定するための第1のネジ穴を有し、前記第1のネジ穴には、前記装着部材に形成された第1のネジ山に対応し前記装着部材と嵌合する第3のネジ山が形成され、
前記第2の凹部は、前記第2の金型部品を前記第2の凹部に少なくとも部分的に収容した状態で固定するための第2のネジ穴を有し、前記第2のネジ穴には、前記第1のネジ山に対応し前記装着部材と嵌合する前記第3のネジ山が形成されている(8)に記載の成形用金型。
【0046】
(10) 前記第1の金型と前記第2の金型とが互いに接触する接触面には、凹部がそれぞれ形成され、前記凹部は、前記第1の金型と前記第2の金型とが接続され、前記金型部品が配置された場合に、前記第1の開口と連続し、前記成形材料を前記成形用金型内の前記キャビティに注入するための第3の開口を構成する、(9)に記載の成形用金型。
【0047】
(11) (8)から(10)のいずれか1つに記載の成形用金型に、前記第2の開口から成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される成形物を成形する第1の成形工程と、
前記成形用金型に、前記第1の開口から成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される成形物を成形する第2の成形工程と、
を含む、成形物の成形方法。
【0048】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6