(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164301
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】発泡体用組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20231102BHJP
C08F 297/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08F297/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041607
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2022074616
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】辻 崇裕
【テーマコード(参考)】
4F074
4J026
【Fターム(参考)】
4F074AA08B
4F074AA17
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4J026HA06
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4J026HE02
(57)【要約】
【課題】軽量化しても反発弾性、引裂強度のバランスに優れ、熱に対する寸法安定性の高い発泡体が得られる発泡体用組成物を提供する。
【解決手段】(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、(E)発泡剤を含む、発泡体用組成物であって、
前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%であり、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分の含有量が5~50質量部である、発泡体用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、
(E)発泡剤と、を含む、発泡体用組成物であって、
前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%であり、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分の含有量が5~50質量部である、
発泡体用組成物。
【請求項2】
(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、
(D)架橋剤と、
を、さらに含む発泡体用組成物であって、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分と前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分を5~50質量部、前記(B)成分を50~95質量部含む、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が10~60質量%である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項4】
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が10~50質量%である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項5】
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が15~50質量%である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項6】
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が25~50質量%である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項7】
前記(A)成分のピークトップ分子量が8万~20万である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項8】
前記(A)成分のピークトップ分子量が10万~15万である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項9】
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率が50~100質量%である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項10】
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率が70~100質量%である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項11】
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率が95~100質量%である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項12】
前記(A)成分のMFR(230℃、2.16kg)が1.0~15g/10minである、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項13】
前記(A)成分のビニル芳香族単量体がスチレンであり、共役ジエン単量体が1,3-ブタジエンであり、
前記(A)成分が、スチレンブロック-1,3-ブタジエンブロック-スチレンブロックのブロック構造を有する、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項14】
前記(A)成分のtanδピーク温度が-25℃以下である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項15】
前記(A)成分の含有量が、
前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~40質量部である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項16】
前記(A)成分の含有量が、
前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~30質量部である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項17】
(C)エチレン系重合体を、さらに含み、
前記(C)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、45質量部以下である、
請求項1に記載の発泡体用組成物。
【請求項18】
前記(C)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~40質量部である、
請求項17に記載の発泡体用組成物。
【請求項19】
前記(C)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~30質量部である、
請求項17に記載の発泡体用組成物。
【請求項20】
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、(B)エチレン・極性モノマー共重合体が架橋された構造を有し、
前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である発泡体であって、
前記発泡体中、前記(A)成分及び前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分が5~50質量部、前記(B)成分が50~95質量部、含まれる、
発泡体。
【請求項21】
ミッドソールである、請求項20に記載の発泡体。
【請求項22】
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、
(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、
(D)架橋剤と、
(E)発泡剤と、
を含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である、発泡体用組成物を用いた発泡体の製造方法であって、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分及び(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対する、前記(A)成分の含有量は5~50質量部、前記(B)成分の含有量は50~95質量部であり、
前記発泡体用組成物を溶融混錬して、溶融混練物を得る工程と、
前記溶融混錬物に加熱及び/又はエネルギー線照射する工程と、
を、有する、
発泡体の製造方法。
【請求項23】
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体及び/又はその水素添加物と、
(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、
(D)架橋剤と、
を含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である発泡体用組成物を用いた発泡体の製造方法であって、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分及び前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対する、前記(A)成分の含有量は5~50質量部、前記(B)成分の含有量は50~95質量部であり、
前記発泡体用組成物を混練し、混練物を得る工程と、
前記混練物を成形し、架橋させ、架橋成形体を得る工程と、
前記架橋成形体に、(E)発泡剤を含浸させ、その後、減圧することにより発泡させる工程と、
を、有する、
発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体用組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂組成物の軽量化の観点から、発泡体材料が注目されている。
しかしながら、樹脂やエラストマーからなる樹脂組成物を単に発泡しただけでは機械強度が低下してしまい、長期間の使用において劣化・ヘタリ等の問題が生じてしまう。そこで、架橋発泡体とすることにより、軽量、かつ、機械強度の高い材料として、自動車関係部品、建築関係部品、各種包装材料、日用品等に広く用いられている。
【0003】
代表的な架橋発泡体としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が知られているが、比重が高く、圧縮永久歪が大きいため、軽量性と長時間使用による機械強度の悪化が課題となっている。
架橋発泡体の一用途として、履物、例えばスポーツシューズの靴底(主にミッドソール)が挙げられる。近年のランニング需要の高まりにより、より軽量で、高反発で、かつ機械強度の高いミッドソールが要求されている。
【0004】
前記課題に対し、従来から様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1には、エチレン・α-オレフィン系共重合体とスチレン系共重合体を含有し、さらに有機過酸化物、架橋助剤及び発泡剤を添加した樹脂組成物を架橋発泡させた架橋発泡体が開示されている。
また、特許文献2には、エチレン・α-オレフィン系共重合体とスチレン系ブロック共重合体を含有し、これらにEVAを添加した樹脂組成物を架橋発泡した架橋発泡体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/073589号
【特許文献2】国際公開第2005/000958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来開示されている架橋発泡体は、各種物性バランスに関して、未だ改善すべき余地があるという問題点を有している。特許文献1や特許文献2のようにエチレン系共重合体やスチレン系ブロック共重合体を使用すると反発弾性等は改良可能だが、夏の自動車内程度の高温下で発泡体が収縮する、といった新たな問題が発生する。
【0007】
そこで本発明においては、上記従来技術の問題点に鑑み、軽量化しても反発弾性、引裂強度のバランスに優れ、熱に対する寸法安定性の高い発泡体が得られる発泡体用組成物、当該発泡体用組成物を用いた発泡体、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する共役ジエン系共重合体と発泡剤とを含有する発泡体用組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0009】
〔1〕
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、
(E)発泡剤と、を含む、発泡体用組成物であって、
前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%であり、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分の含有量が5~50質量部である、
発泡体用組成物。
〔2〕
(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、
(D)架橋剤と、
を、さらに含む発泡体用組成物であって、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分と前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分を5~50質量部、前記(B)成分を50~95質量部含む、前記〔1〕に記載の発泡体用組成物。
〔3〕
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が10~60質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の発泡体用組成物。
〔4〕
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が10~50質量%である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔5〕
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が15~50質量%である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔6〕
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位中の、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が25~50質量%である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔7〕
前記(A)成分のピークトップ分子量が8万~20万である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔8〕
前記(A)成分のピークトップ分子量が10万~15万である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔9〕
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率が50~100質量%である、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔10〕
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率が70~100質量%である、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔11〕
前記(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率が95~100質量%である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔12〕
前記(A)成分のMFR(230℃、2.16kg)が1.0~15g/10minである、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔13〕
前記(A)成分のビニル芳香族単量体がスチレンであり、共役ジエン単量体が1,3-ブタジエンであり、
前記(A)成分が、スチレンブロック-1,3-ブタジエンブロック-スチレンブロックのブロック構造を有する、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔14〕
前記(A)成分のtanδピーク温度が-25℃以下である、前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔15〕
前記(A)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~40質量部である、前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔16〕
前記(A)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~30質量部である、前記〔1〕乃至〔15〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔17〕
(C)エチレン系重合体を、さらに含み、
前記(C)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、45質量部以下である、前記〔1〕乃至〔16〕のいずれか一に記載の発泡体用組成物。
〔18〕
前記(C)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~40質量部である、前記〔17〕に記載の発泡体用組成物。
〔19〕
前記(C)成分の含有量が、前記発泡性ポリマー100質量部に対し、5~30質量部である、前記〔17〕又は〔18〕に記載の発泡体用組成物。
〔20〕
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、(B)エチレン・極性モノマー共重合体が架橋された構造を有し、
前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である発泡体であって、
前記発泡体中、前記(A)成分及び前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分が5~50質量部、前記(B)成分が50~95質量部、含まれる、発泡体。
〔21〕
ミッドソールである、前記〔20〕に記載の発泡体。
〔22〕
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、
(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、
(D)架橋剤と、
(E)発泡剤と、
を含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である、発泡体用組成物を用いた発泡体の製造方法であって、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分及び(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対する、前記(A)成分の含有量は5~50質量部、前記(B)成分の含有量は50~95質量部であり、
前記発泡体用組成物を溶融混錬して、溶融混練物を得る工程と、
前記溶融混錬物に加熱及び/又はエネルギー線照射する工程と、
を、有する、発泡体の製造方法。
〔23〕
(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体及び/又はその水素添加物と、
(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、
(D)架橋剤と、
を含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、
前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である発泡体用組成物を用いた発泡体の製造方法であって、
前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分及び前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対する、前記(A)成分の含有量は5~50質量部、前記(B)成分の含有量は50~95質量部であり、
前記発泡体用組成物を混練し、混練物を得る工程と、
前記混練物を成形し、架橋させ、架橋成形体を得る工程と、
前記架橋成形体に、(E)発泡剤を含浸させ、その後、減圧することにより発泡させる工程と、を、有する、発泡体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軽量化しても反発弾性、引裂強度のバランスに優れ、熱に対する寸法安定性の高い発泡体が得られる発泡体用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0012】
本明細書中、「主体として」とは、単量体単位がブロック中に70質量%以上含まれていることを指す。例えば、「A単位を主体とする重合体ブロック」の場合、ブロック中にA(モノマー)単位が70質量%以上含まれていることを指す。
【0013】
〔発泡体用組成物〕
本実施形態の発泡体用組成物は、発泡前の組成物であり、(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体(以下、(A)成分と記載する場合がある。)と、(E)発泡剤(以下、(E)成分と記載する場合がある。)を含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%であり、前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分の含有量が5~50質量部である、発泡体用組成物である。
上記構成の発泡体用組成物によれば、軽量化しても反発弾性、引裂強度のバランスに優れ、熱に対する寸法安定性の高い発泡体が得られる。
【0014】
また、本実施形態の発泡体用組成物は、架橋発泡前の組成物であり、上述した構成に加え、さらに、(B)エチレン・極性モノマー共重合体(以下、(B)成分と記載する場合がある。)と、(D)架橋剤(以下、(D)成分と記載する場合がある。)を含む、発泡体用組成物であって、前記発泡体組成物中の前記(A)成分と前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分を5~50質量部、前記(B)成分を50~95質量部含む発泡体用組成物であることが好ましい。
上記構成の発泡体用組成物によれば、軽量化しても反発弾性、引裂強度のバランスに優れ、熱に対する寸法安定性の高い発泡体が得られる。
【0015】
((A)共役ジエン系共重合体)
本実施形態の発泡体用組成物は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む(A)共役ジエン系共重合体((A)成分)を含有する。
(A)共役ジエン系共重合体は、それぞれの単量体単位からなるブロックを有するブロック共重合体でもよく、ランダム共重合体でもよいが、ブロック共重合体はクラムやペレットに成形することが一般的である一方、ランダム共重合体は一般的にベール状に成形されるため、発泡体に加工する上での作業性の観点ではブロック共重合体が好ましい場合が多い。
【0016】
(A)成分に含まれるビニル芳香族単量体単位を形成するビニル芳香族化合物としては、以下に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、及びN,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、スチレンが好ましい。
【0017】
<(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量>
(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、発泡体の引裂強度の観点で5質量%以上であり、反発弾性と熱に対する寸法安定性の観点で15質量%以下である。上記の範囲内であると、発泡体用組成物の比重を下げ、軽量化することができる。
(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、好ましくは6~14質量%であり、より好ましくは7~13質量%である。
(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、(A)成分の重合工程において、モノマーの添加量、重合時間等の重合条件を調整することにより、上記範囲に制御することができる。
(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量は後述する実施例に記載のとおり、紫外分光光度計により測定できる。
【0018】
また、(A)成分中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、水素添加前の共役ジエン系共重合体を四酸化オスミウム触媒の下、t-ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,Polym.Sci., 1,429(1946)に記載の方法)(以下、「四酸化オスミウム分解法」という。)から求められる前記水素添加前の共役ジエン系共重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの質量を用いて、算出することができる。なお、四酸化オスミウム分解法では、平均重合度が約30以上のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを検出することができる。
【0019】
(A)成分中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、水素添加後の共役ジエン系共重合体を用いても、Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY, 54,685(1981)に記載の方法で、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。この方法を以下、NMR法という。
NMR法を、ビニル芳香族単量体単位がスチレンであり、共役ジエン単量体単位が1,3-ブタジエンである共役ジエン系共重合体を例に挙げて具体的に説明する。
水素添加後の共役ジエン系共重合体30mgを重水素化クロロホルム1gに溶解した試料を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)を測定する。得られる測定結果において、化学シフトが6.9ppm~6.3ppmである範囲における積算値の全積算値に対する比率を求めることにより、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(この場合、ポリスチレンブロックである。)の含有量(以下、「Ns値」という。)を、求めることができる。より詳細には下記式(7)~(10)により求めることができる。
ブロックスチレン強度(b-St強度)
=(6.9ppm~6.3ppmの積算値)/2 (7)
ランダムスチレン強度(r-St強度)
=(7.5ppm~6.9ppmの積算値)-3×(b-St) (8)
エチレン・ブチレン強度(EB強度)
=全積算値-3×{(b-St強度)+(r-St強度)}/8 (9)
NMR法により測定されるポリスチレンブロック含有量(Ns値)
=104×(b-St強度)
/[104×{(b-St強度)+(r-St強度)}+56×(EB強度)](10)
ここで、四酸化オスミウム分解法により測定される水素添加前の共役ジエン系共重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量(Os値)と、NMR法により測定される水素添加後の共役ジエン系共重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量(Ns値)との間には、下記式(11)が成立することが知られている。
Os値=-0.012×(Ns値)2+1.8×(Ns値)-13.0 (11)
【0020】
(A)成分に含まれる共役ジエン単量体単位を形成する共役ジエンとは、共役二重結合を有するジオレフィンである。前記ジオレフィンは、以下に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-シクロペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、ミルセン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ペンタジエン、3-フェニル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-シクロヘキサジエン、3-メチル-1,3-ヘキサジエン、2-ベンジル-1,3-ブタジエン、2-p-トリル-1,3-ブタジエン、及びファルネセン等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、1,3-ブタジエンが好ましい。
【0021】
1,3-ブタジエンからなるポリマー鎖(例えばポリブタジエン)は、熱や光、あるいはラジカルにより、ポリマー鎖中のC-H結合のHが引き抜かれて炭素ラジカルが発生した場合、発生した炭素ラジカルはポリブタジエンの二重結合と付加反応を起こし、架橋をする傾向にある。このため、共役ジエンとして1,3-ブタジエンを用い、発泡体を形成する場合においては溶融張力が向上し、発泡体気泡を安定して発生させる傾向にある。一方でイソプレンからなるポリマー鎖(例えばポリイソプレン)は、熱や光、あるいはラジカルにより、ポリマー鎖中のC-H結合のHが引き抜かれて炭素ラジカルが発生した場合、発生した炭素ラジカルは酸素との反応により主査切断を起こしやすい傾向にある。このため、共役ジエンとしてイソプレンを用い、発泡体を形成する場合においては溶融張力が低下し、発泡体の気泡が安定して発生できなくなる傾向にある。また、水素添加したポリブタジエンは、比較的結晶化しやすいため、延伸時の結晶化により引張強度や引裂強度が向上し、発泡体の耐久性が向上する傾向にある。一方で水素添加したポリイソプレンは、比較的結晶化しにくいため、延伸時も引張強度や引裂強度が向上しにくく、発泡体の耐久性はポリブタジエンに比べて向上しにくい傾向にある。
(A)成分における共役ジエン単量体単位の含有量は85~95質量%が好ましい。この範囲にあると柔軟で反発特性に優れた発泡体が得られる。
【0022】
<(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率>
(A)成分の共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率は、30~100質量%であり、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。
本実施形態において、(A)成分の共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率が上記範囲であることにより、成形時の架橋速度が遅くなるため、架橋ムラが少なく、微細で均一な発泡が生じ、さらには、独立気泡度が高くなるため、軽量化しても反発弾性、引裂強度のバランスに優れ、熱に対する寸法安定性の高い発泡体とすることができる。特に、後述する(B)エチレン・極性モノマー共重合体が汎用的なEVAの場合、(A)成分の水素添加率を50~100質量%とすると、(A)成分及び(B)成分の架橋反応の速度を同程度にしやすく、均一な架橋を形成し易い傾向にある。また、(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率が95~100質量%であると、共役ジエン単量体単位を含むブロックに結晶性が出るため、発泡体の引張強度や引裂強度が向上し、発泡体の耐久性が向上する傾向にある。
(A)成分の共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率は、(A)成分の水添反応において、水添触媒の種類、添加量、水素添加量、温度、圧力、水添時間等を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
(A)成分の共役ジエン単量体単位の水素添加率は、後述する実施例に示す方法で測定することができる。
【0023】
<(A)成分の構造>
(A)成分は、本実施形態の目的を損なわない範囲であれば、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位以外の構成単位として、他の重合性モノマーを含有してもよい。
(A)成分の構造は、特に限定されないが、1,3-ブタジエンを用いた共役ジエン単量体単位、スチレンを用いたビニル芳香族単量体単位を含む共重合体であることが好ましい。
具体的には、スチレンを主体とする重合体ブロックと、1,3-ブタジエンを主体とする重合体ブロックと、からなるブロック共重合体がより好ましい。より具体的には、スチレンブロック-1,3-ブタジエンブロック-スチレンブロックの、ブロック構造を有するブロック共重合体等が挙げられる。これにより、スチレンブロックが物理架橋点となるため、弾性が発現する。
【0024】
<(A)成分の1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量>
(A)成分の共役ジエン単量体単位中の1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量(以下、「ビニル結合量」と省略する場合がある。)は、特に限定されないが、10~60質量%であることが好ましい。
ここで、ビニル結合量は、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量を合算した値である。また、ビニル結合量は、水素添加前のビニル結合量であり、水素添加をする前の共役ジエン系共重合体における、1,4-結合(シス及びトランスを含む。)により重合体に組み込まれた共役ジエン単量体部分(以下、「1,4-結合部分」という。)及び1,2-ビニル結合及び3,4-ビニル結合により重合体に組み込まれた共役ジエン単量体部分(以下、「ビニル結合部分」という。)の合計量に対する、ビニル結合部分の量の割合をいう。
前記ビニル結合量の下限は15質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。上限は50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましい。
(A)成分の共役ジエン単量体単位中の1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量が10~60質量%以上であると、(A)共役ジエン系共重合体の生産性に優れる傾向にある。
前記ビニル結合量が低いと(A)成分の粘度が上昇するため、反応温度の上昇や、反応器や搬送機の動力性能を上げる必要がある。また、前記ビニル結合量が高いと、(A)成分の粘度は低下するがベタつき安くポリマーのブロッキング等が発生しやすくなる傾向にある。さらに、前記ビニル結合量が低すぎると、(A)成分は特に水素添加後に結晶化しやすく、発泡体が固くなり、反発性能も低下する傾向にある。一方で前記ビニル結合量が高すぎると、(A)成分は水素添加後のTgが高くなり、本実施形態の発泡体は、反発特性が低下する傾向にある。
【0025】
(A)成分の共役ジエン単量体単位中の1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量は、後述するビニル化剤量や重合温度を調整することにより上記数値範囲に制御することができる。ビニル化剤量を増やす又は重合温度を低く調整すると、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量は増加する傾向にある。
例えば、共役ジエン単量体として1,3-ブタジエン、重合開始剤としてノルマルブチルリチウム(NBL)、ビニル化剤としてN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を使用する場合、1,2-ビニル結合量を10質量%に制御するには、NBLを1モルに対しTMEDAを0~0.05モル、重合温度を60℃~70℃に制御することが好ましい。一方、1,2-ビニル結合量を60質量%に制御するためには、NBLを1モルに対し、TMEDAを0.5~1モル、重合温度を50℃~70℃に制御することが好ましい。
ビニル結合量は、後述する実施例に示す方法で測定することができる。
【0026】
<(A)成分のピークトップ分子量>
(A)成分のピークトップ分子量は、特に限定されないが、通常1万以上であり、好ましくは8万~20万であり、より好ましくは10万~15万であり、さらに好ましくは11万~14万である。
(A)成分のピークトップ分子量が上記数値範囲であれば、(A)共役ジエン系共重合体の生産性、及び本実施形態の発泡体用組成物の加工性に優れる傾向にある。
(A)成分のピークトップ分子量は、(A)成分の重合工程におけるモノマー添加量、重合開始剤量、重合時間、重合温度等の重合条件を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0027】
<(A)成分の流動性>
(A)成分の流動性に関しては、特に限定されないが、(A)成分のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg)の値は、好ましくは1.0g/10min以上であり、より好ましくは1.5g/10min以上であり、さらに好ましくは3.0g/10min以上である。
上限は好ましくは15g/10min以下であり、より好ましくは10g/10min以下であり、さらに好ましくは9g/10min以下である。
(A)成分のMFRが15g/10min以下であることで、本実施形態の発泡体用組成物を射出又はプレス成形したときに、金型からはみ出るバリが少なく、原料ロスを抑制できる傾向にある。
一般に、発泡体用組成物においては、(D)架橋剤は、発泡剤の発泡性が発現しない低温度領域で混合されるため、発泡体用組成物が、(A)成分と(B)エチレン・極性モノマー共重合体、及び後述する(C)エチレン系重合体(以下、(C)成分と記載する場合がある。)により構成されている場合、これらの構成成分は完全には相容化しない。また、(A)成分、(B)成分、(C)成分の構造差異も、構成成分の相容性に影響を与える。そのため、発泡体用組成物においてもその成分単独の特性が出やすく、(A)成分の流動性が高いとバリが多くなると考えられる。
(A)成分のMFRが1.0g/10min以上であることで、(A)成分は(B)成分及び/又は(C)成分と混ざりやすく、溶け残りが少なくなる傾向にある。このため、均一な発泡体の形成に寄与し、溶け残りを抑制でき、(A)成分が所期の量比で混合されることになり、所望の反発弾性や寸法安定性を発揮しやすい傾向にある。
(A)成分のMFRは、(A)成分の分子量、水添率、ビニル芳香族単量体単位の含有量、共役ジエン単量体単位のビニル結合量に主に依存する。(A)成分のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%で、水添率が95%以上であり、ピークトップ分子量を8~20万であると、ビニル結合量が10~60%の範囲でMFRを1.0~15g/10minに制御できる。分子量、水添率、ビニル芳香族単量体単位の含有量が高いほど(A)成分のMFRは小さくなり、共役ジエン単量体単位のビニル結合量が低いほど(A)成分のMFRは小さくなる。
(A)成分のMFRは、(A)成分の重合工程におけるモノマー添加量、重合開始剤量、重合時間、重合温度等の重合条件を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。(A)成分のMFRは、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
【0028】
<発泡性ポリマー>
本実施形態の発泡体用組成物は、前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分の含有量が5~50質量部である。好ましくは5~40質量部であり、より好ましくは5~30質量部である。
また、本実施形態の発泡体用組成物は、(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、(D)架橋剤をさらに含むことが好ましい形態である。かかる場合、本実施形態の発泡体用組成物において、前記(A)成分と、前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分の含有量は、特に限定されないが、5~50質量部であることが好ましく、(B)成分の含有量は50~95質量部であることが好ましい。
前記発泡性ポリマー100質量部に対する(A)成分の含有量は、5~40質量部がより好ましく、5~30質量部がより好ましい。また、(B)成分の含有量は、55~90質量部がより好ましく、60~85質量部がさらに好ましい。
(A)成分と(B)成分を前記含有量とすることで、本実施形態の発泡体用組成物及び発泡体は、反発弾性、引裂強度のバランス、熱に対する寸法安定性に優れる傾向にある。
本明細書中、「発泡性ポリマー」は、物理的、化学的を問わず発泡させることができる重合体であって、(A)成分以外の成分が含まれていてもよい。(A)成分以外の発泡体ポリマーとしては特に限定されないが、上述した(B)成分や、後述する(C)成分が挙げられる。
発泡性ポリマーが(A)成分と(B)成分のみの場合は、これらの(A)+(B)の量を100質量部の基準とし、(C)成分をさらに含有する場合は、(A)+(B)+(C)の量を100質量部と捉えて各成分の比率を設定する。
(A)成分と(B)成分以外に配合される発泡性ポリマーは、後述する(C)成分に限定されず、発泡性を示す重合体である限り、そのポリマーも「発泡性ポリマー」に合算した値を基準とする。
ここで、本実施形態の発泡体用組成物中のポリマーについては、(A)成分および(B)成分、必要に応じて配合される(C)成分、さらに必要に応じて配合されるその他重合体、のすべてが該当する。
【0029】
<(A)成分のtanδピーク温度>
(A)成分は、tanδピーク温度が、低温条件下での反発特性の観点から、-25℃以下であることが好ましい。より好ましくは-30℃以下であり、さらに好ましくは-35℃以下である。
(A)成分のtanδピーク温度は、動的粘弾性測定装置により測定できる。例えば、ARES-G2(TAインスツルメント製)を用いて測定することができる。(A)成分の2mm厚みのシートを(A)成分が溶融する200℃程度の温度で圧縮成形し、そのシートを12.6×40mmの短冊形状に切り出し、このサンプルを測定温度-100℃から3℃/minで昇温しながら0.5%の歪を与え、各温度におけるtanδをプロットすることでピーク温度が得られる。
(A)成分のtanδピーク温度は、共役ジエン単量体単位のビニル結合量、水素添加率、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位からなる共重合ブロックにおける共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位の組成比により、上記数値範囲に制御できる。
【0030】
<(A)成分の製造方法>
(A)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、下記のような重合工程と、水素添加工程を有するものであってもよい。
重合工程とは、特に限定されないが、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエンとビニル芳香族化合物とを重合させるリビングアニオン重合により、単独重合体、ランダム共重合体、及び/又はブロック共重合体を得る工程等である。
【0031】
炭化水素溶媒としては、特に限定されず、公知の溶媒を用いることができる。例えば、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの炭化水素溶媒は1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
重合開始剤としては、有機アルカリ金属化合物を用いることができ、以下に限定されないが、一般的に共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が挙げられる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1~20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物が挙げられ、具体的には、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物等が挙げられる。より具体的には、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec-ブチルリチウムの反応生成物、ジビニルベンゼンとsec-ブチルリチウムと1,3-ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。
【0033】
(A)成分の共役ジエン単量体単位の1,2-ビニル結合量、3,4-ビニル結合量の総量は、ルイス塩基(例えばエーテル、アミン等)をビニル化剤として使用することにより制御できる。ビニル化剤の使用量は、目的とするビニル結合量によって調整する。
ビニル化剤としては、以下に限定されないが、例えば、エーテル化合物、酸素原子を2個以上有するエーテル系化合物、及び第3級アミン系化合物等が挙げられる。
【0034】
エーテル化合物としては、例えば、直鎖状エーテル化合物及び環状エーテル化合物が挙げられる。
直鎖状エーテル化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、及びエチレングリコールジブチルエーテルのようなエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、並びにジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールジブチルエーテルのようなジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。
また、環状エーテル化合物としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5-ジメチルオキソラン、2,2,5,5-テトラメチルオキソラン、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン、及びフルフリルアルコールのようなアルキルエーテルが挙げられる。
【0035】
第3級アミン系化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ピリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’-ジオクチル-p-フェニレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチルピロリジンテトラメチルプロパンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、ビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテル等が挙げられる。
第3級アミン化合物としては、アミンを2個有する化合物が好ましい。さらに、それらの中でも、分子内で対称性を示す構造を有するものがより好ましく、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンや、ビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテルや、1,2-ジピペリジノエタンがさらに好ましい。
上述したビニル化剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
重合工程後、共役ジエン系共重合体は、従来公知の方法によって水素添加することができる。
水素添加工程における水素添加方法は特に限定されないが、例えば、上記重合工程で得られた共役ジエン系共重合体に対し、水素化触媒の存在下、水素ガスを供給し、水素添加する方法が挙げられる。水素添加工程を有することにより、共役ジエン単量体単位中の二重結合残基が水素添加され、熱的に一層安定な水素化共役ジエン系共重合体を得ることができる。
水素添加率は、例えば、水素添加時の触媒量及び水素ガスの供給(以下、「フィード」ともいう。)量等によって制御することができる。また、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素ガスの供給量、水素ガスの圧力及び反応温度等によって制御することができる。水素添加工程は、上記重合工程における共役ジエン系共重合体の生成反応停止後のタイミングで実施することが好ましい。
水素添加反応終了後、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、特に限定されないが、例えば、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
【0037】
水素添加触媒としては、特に限定されず、従来から公知の水素添加触媒を用いることができる。具体的には、Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水素添加触媒、Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と、有機アルミニウム等の還元剤と、を用いる、いわゆるチーグラー型水素添加触媒、Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水素添加触媒、等が挙げられる。これらの中でも、好ましい水素添加触媒としては、チタノセン化合物及び還元性有機金属化合物が挙げられる。
【0038】
水素添加反応の反応条件は、特に限定されないが、通常0~200℃、より好ましくは30~150℃の温度範囲で実施される。水添反応における水素の圧力は、特に限定されないが、通常0.1~15MPaであり、好ましくは0.2~10MPaであり、さらに好ましくは0.3~5MPaである。また、水添反応時間は、通常3分~10時間、好ましくは10分~5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
【0039】
上述した重合工程、水素添加工程を経て得られた共役ジエン系共重合体の溶液は、必要に応じて、触媒残査を除去し、共役ジエン系共重合体を溶媒から分離することができる。
共役ジエン系共重合体の分離方法としては、特に限定されず、例えば、水素添加後の反応液にアセトン又はアルコール等の、水素添加後の共役ジエン系共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて共役ジエン系共重合体を沈澱させて回収する方法や、共役ジエン系共重合体の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法や、直接、共役ジエン系共重合体の溶液を加熱して溶媒を留去する方法等が挙げられる。
【0040】
(A)共役ジエン系共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
【0041】
(A)成分は、官能基を有していてもよい。(A)成分が官能基を有するものとする方法としては、特に限定されないが、例えば、重合工程における重合反応において官能基を有する重合開始剤を用いる方法;及び、重合工程における重合反応において官能基を有する不飽和単量体を用いる方法が挙げられる。また変性反応によって官能基を付加してもよく、かかる変性反応方法としては、重合工程における重合反応により得られた共役ジエン系重合体のリビング末端に、官能基を有する変性剤を付加する方法が挙げられる。
具体的には、重合後の共役ジエン系共重合体に官能基含有化合物を反応させることによって官能基化することができる。
官能基を導入する部位や、官能基の個数等については、特に限定されないが、本実施形態の発泡体の物性等の観点から、ポリマー鎖末端を変性させ、官能基化することが好ましい。
官能基としては、例えば、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等が挙げられる。これらの中でも、発泡体の物性バランスの観点から、水酸基、カルボニル機、酸無水物基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、及びシラノール基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
【0042】
「官能基を有する重合開始剤」としては、以下に限定されないが、例えば、3-リチオ-1-[N,N-ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン、2-リチオ-1-[N,N-ビス(トリメチルシリル)]アミノエタン、3-リチオ-2,2-ジメチル-1-[N,N-ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン、2,2,5,5-テトラメチル-1-(3-リチオプロピル)-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン、2,2,5,5-テトラメチル-1-(3-リチオ-2,2-ジメチル-プロピル)-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン、2,2,5,5-テトラメチル-1-(2-リチオエチル)-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン、3-リチオ-1-[N-(tert-ブチル-ジメチルシリル)-N-トリメチルシリル]アミノプロパン、3-リチオ-1-(N-メチル-N-トリメチルシリル)アミノプロパン、3-リチオ-1-(N-チル-N-トリメチルシリル)アミノプロパン、及びリチウムピペリジドが挙げられる。
【0043】
「官能基を有する不飽和単量体」としては、以下に限定されないが、例えば、p-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]スチレン、p-{2-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、m-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p-(N-メチル-N-トリメチルシリルアミノ)スチレン、及びp-(N-メチル-N-トリメチルシリルアミノメチル)スチレンが挙げられる。
【0044】
「官能基を有する変性剤」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε-カプロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、及びN-メチルピロリドンが挙げられる。
【0045】
官能基を有する(A)共役ジエン系共重合体の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、未官能基化共役ジエン系共重合体を加熱溶融し(100~300℃)、官能基含有化合物と反応させる方法、有機溶媒を用いて溶液重合する方法、及びスラリー状態の未官能基化共役ジエン系共重合体を0~150℃で、官能基含有化合物と反応させる方法等が挙げられる。
【0046】
共役ジエン系共重合体をエポキシ化する方法としては、特に限定されず、例えば、特開平6-220124号公報等に記載された方法が挙げられ、共役ジエン系共重合体を過酸類、ヒドロペルオキシド類等のエポキシ化剤と反応させてエポキシ化させることができる。
過酸類としては、特に限定されず、例えば、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等が挙げられる。これらの中でも、過酢酸は工業的に大量に製造されており、安価に入手でき、安定度も高いため、好ましい。
ヒドロペルオキシド類としては、特に限定されず、例えば、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンペルオキシド等が挙げられる。
エポキシ化反応を行う際は、必要に応じて触媒を用いることができる。例えば、過酸類を用いてエポキシ化反応を行う場合、炭酸ソーダ等のアルカリや硫酸等の酸を触媒として用いることができる。エポキシ化剤としてヒドロペルオキシド類を用いる場合、タングステン酸と苛性ソーダの混合物を過酸化水素と、あるいは有機酸を過酸化水素と、あるいはモリブデンヘキサカルボニルをtert-ブチルヒドロペルオキシドと、併用して触媒効果を得ることができる。
共役ジエン系共重合体のエポキシ化反応は、使用する反応装置や原料の物性等に応じて、溶媒使用の有無や反応温度等の反応条件を調節して行うことができる。例えば、用いるエポキシ化剤の反応性に応じて、反応温度を選択することができる。好ましいエポキシ化剤である過酢酸を用いる場合、反応温度は0~70℃であることが好ましい。上記反応温度とすることで、過酢酸の分解反応を抑制しつつ速い反応速度とすることができる。
【0047】
共役ジエン系共重合体を酸無水物基化する方法としては、特に限定されず、例えば、特開昭62-79211号公報等に記載された方法が挙げられ、具体的には、共役ジエン系共重合体を、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物等でグラフト変性する方法が挙げられる。
α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、特に限定されないが、水素添加後の共役ジエン系共重合体100質量部当たり、通常0.01~20質量部であり、好ましくは0.1~10質量部である。グラフト変性させる場合の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは100~300℃であり、より好ましくは120~280℃である。
【0048】
((B)エチレン・極性モノマー共重合体)
本実施形態の発泡体用組成物は、(B)エチレン・極性モノマー共重合体((B)成分)を含有することが好ましい。
(B)エチレン・極性モノマー共重合体は、エチレンと極性モノマーを構成単位として含む共重合体である。
極性モノマーは、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、ビニルエステル、一酸化炭素等が挙げられる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム等の1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛等の多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
【0049】
(B)エチレン・極性モノマー共重合体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体;前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー;エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体及びそのカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー;エチレン・酢酸ビニル共重合体のようなエチレン・ビニルエステル共重合体等が挙げられる。
これらの中では、特にエチレンと、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル及び酢酸ビニルから選ばれる極性モノマーとの共重合体が好ましく、特にエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマーや、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体又はそのアイオノマーや、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
【0050】
(B)エチレン・極性モノマー共重合体としては、極性モノマーの種類によっても異なるが、極性モノマー含有量が通常1~50質量%であるものが好ましく、5~45質量%であるものがより好ましい。
【0051】
本実施形態の発泡体用組成物に用いる(B)エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である場合、エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル(VA)の含有量は、通常10~45質量%であり、好ましくは15~35質量%、より好ましくは15~25質量%である。VAの含有量が高いほど、本実施形態の発泡体の硬度は低下し、反発弾性が向上する傾向にある。その一方、引裂強度、圧縮永久歪、熱に対する寸法安定性が悪化する傾向にある。これらの特性のバランスの観点から、酢酸ビニルの含有量は、上記数値範囲であることが好ましい。
【0052】
本実施形態の発泡体用組成物においては、(B)エチレン・極性モノマー共重合体は1種単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0053】
本実施形態の発泡体用組成物における(B)成分の含有量は、発泡体用組成物中の発泡性ポリマー100質量部中に50~95質量部であることが好ましい。より好ましくは55~90質量部、さらに好ましくは60~85質量部である。(B)成分を上記含有量とすることで、本実施形態の発泡体は、反発弾性、引裂強度のバランス、熱に対する寸法安定性に優れるものとなる。
【0054】
((C)エチレン系重合体)
本実施形態の発泡体用組成物は、必要に応じて、(C)エチレン系重合体((C)成分)を含有することが好ましい。
(C)成分は、エチレンを構成単位として含む重合体である。
(C)エチレン系重合体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。エチレン系重合体としては、例えば、エチレンの重合体であるポリエチレン(PE)や、エチレンと炭素原子数3~10のα-オレフィンとからなる低結晶性のランダム共重合体であるエチレン・α-オレフィン系共重合体、エチレンとα-オレフィンを含むブロック共重合体(例えば、ハードセグメントが結晶性ポリエチレンで、ソフトセグメントがエチレン-オクテンのランダムブロックからなるマルチブロック共重合体等)等が挙げられる。
【0055】
本実施形態の発泡体用組成物において、(C)成分としてポリエチレンを用いる場合は、その種類は限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、高密度ポリエチレン、超高分子量高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等が挙げられる。
【0056】
(C)成分としては、エチレンと、エチレン以外の2種類以上の化合物からなる3種類以上の共重合体を用いてもよい。例えば、エチレンと、2種のα-オレフィンとからなる共重合体(ターポリマー)や、エチレンと、α-オレフィンと、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等)とからなる共重合体をNa+、K+、Ag+、Cu2+、Ba2+、Zn2+、Fe2+等の金属イオンで架橋したもの(アイオノマー)等も使用できる。
【0057】
(C)エチレン系共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。上述したエチレン系共重合体の中でも、物性バランスや架橋剤との反応性や成形加工性の観点から、エチレンとα-オレフィンとを含むエチレン・α-オレフィン系共重合体を(C)エチレン系共重合体として用いることが好ましく、エチレンと炭素原子数3~10のα-オレフィンとからなるエチレン・α-オレフィン系共重合体がより好ましく、エチレンと炭素原子数3~6のα-オレフィンとからなるエチレン・α-オレフィン系共重合体がさらに好ましく、エチレンと炭素原子数3~4であるプロピレンや1-ブテンとからなるエチレン・α-オレフィン系共重合体がさらにより好ましい。
(C)エチレン・α-オレフィン系共重合体は、公知の重合方法により得ることができる。例えば、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒のような重合触媒を用いて、ヘキサンやヘプタン、トルエン、キシレンのような不活性溶媒中で所定のモノマーを重合する方法等が挙げられる。
【0058】
本実施形態の発泡体用組成物において、(C)成分の含有量は、発泡体用組成物中の発泡性ポリマー100質量部に対し、45質量部以下が好ましく、5~40質量部以下がより好ましく、5~30質量部がさらに好ましい。
なお、発泡性ポリマーとは、上述したように、物理的、化学的を問わず発泡させることができる重合体であって、本実施形態の発泡体用組成物中における発泡性ポリマーは、(A)成分と(B)成分を含むものとし、(C)成分も発泡性ポリマーに含まれる。
上述した(A)成分と(B)成分に加えて(C)成分を含有することにより発泡体の圧縮永久歪が悪化する傾向にあるが、(C)成分の上限値を45質量部以下とすることにより、本実施形態の発泡体の圧縮永久歪の低下を抑制でき、5質量部以上とすることにより、引裂強度に一層優れた発泡体が得られる。
【0059】
(その他の発泡性ポリマー)
本実施形態の発泡体用組成物は、発泡性を示す(A)成分、(B)成分、(C)成分以外の、その他の発泡性ポリマーを含有してもよい。
その他の発泡性ポリマーとしては、以下に限定されないが、例えば、フッ素樹脂やフッ素ゴム等のフッ素系ポリマー;ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド610等のポリアミド樹脂やポリアミド系エラストマーといったポリアミド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂やポリエステルエラストマー;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;シリコーン系エラストマー;ブタジエンゴム(BR);イソプレンゴム(IR);クロロプレン(CR);天然ゴム(NR);アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR);ブチルゴム(IIR);プロピレンホモポリマー(ホモPP)、ランダムポリプロピレン樹脂(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン樹脂(ブロックPP)等のポリプロピレン樹脂;環状オレフィンポリマー(COP);環状オレフィン共重合体(COC);ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等のポリウレタン系ポリマー、ポリウレタンエラストマー;ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)等が挙げられる。
【0060】
((D)架橋剤)
本実施形態の発泡体用組成物は、(D)架橋剤((D)成分)を含有することが好ましい。
(D)成分は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、有機過酸化物が好ましい。例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
それらの中でも、反応性の観点から、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが好ましい。
【0061】
(D)成分の含有量は、特に限定されないが、本実施形態の発泡体用組成物中の発泡性ポリマー100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、0.05~15質量部がより好ましく、0.1~10質量部がさらに好ましい。かかる含有量とすることで、各種物性バランスが優れた発泡体を得ることができる。
【0062】
((E)発泡剤)
本実施形態の発泡体用組成物は、発泡剤((E)成分)を含有する。
(E)成分としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、ジメチル-2,2’-アゾビスブチレート、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチル-プロピオンアミジン]等のアゾ化合物;N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体;p-トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物;トリヒドラジノトリアジン等の有機系熱分解型発泡剤;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の重炭酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、水素化合物等の無機系熱分解型発泡剤、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の各種脂肪族炭化水素類等の有機系物理発泡剤、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
前記物理発泡剤は、液化ガスや超臨界流体等であり、圧力低下又は加熱により発泡する。それらの中でも、コストや反応性の観点から、アゾジカルボンアミド(ADCA)、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0063】
本実施形態の発泡体用組成物における(E)成分の含有量は特に限定されず、発泡倍率、発泡条件に応じて調整すればよいが、本実施形態の発泡体用組成物中の発泡性ポリマー100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.2~25質量部がより好ましく、0.3~20質量部がさらに好ましい。かかる含有量とすることで、低比重で各種物性バランスが優れた発泡体を得ることができる。
【0064】
((F)添加剤)
本実施形態の発泡体用組成物は、上述した(A)成分~(E)成分の他、必要に応じて添加剤を含有してよい。添加剤としては、例えば、架橋助剤、加工助剤、フィラー、耐熱安定剤、耐候安定剤、難燃剤、塩酸吸収剤、顔料等の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
架橋助剤としては、以下に限定されないが、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等の亜鉛以外の金属酸化物、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、ステアリン酸やオレイン酸等の脂肪酸、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤;あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマー等が挙げられる。特に、架橋促進効果に優れていることから、酸化亜鉛、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。少なくとも酸化亜鉛を架橋助剤として用いることが好ましい。
【0066】
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。加工助剤は、以下に限定されないが、例えば、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛又はエステル類等が挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。
【0067】
フィラーとしては、以下に限定されないが、例えば、クレイ、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0068】
耐熱安定剤としては、以下に限定されないが、例えば、イルガフォス168等に代表されるリン系耐熱安定剤、HP-136に代表されるラクトン系耐熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤等が挙げられる。
【0069】
耐候安定剤としては、以下に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系耐候安定剤、ホスファイト系耐候安定剤、チオエーテル系耐候安定剤等が挙げられる。
【0070】
難燃剤としては、以下に限定されないが、例えば、赤リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、有機リン酸エステル系、無機系難燃剤等が挙げられる。
【0071】
塩酸吸収剤としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0072】
顔料としては、以下に限定されないが、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、酸化チタン等の酸化物系顔料、クロモ酸モリブデン酸系顔料、硫化セレン化合物、フェロシアン化合物、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。
【0073】
〔発泡体用組成物の製造方法〕
本実施形態の発泡体用組成物は、(A)共役ジエン系共重合体、(E)発泡剤、必要に応じて、(B)エチレン・極性モノマー共重合体、(C)エチレン系重合体、(D)架橋剤、及び(F)添加剤を、所定の割合で混錬機によって溶融混合することで製造することができる。
【0074】
溶融混合する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ニーダ等により溶融混合する方法を用いることができる。あるいは、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を除去する方法等を用いることができる。
本実施形態では、生産性と混練性の観点から、押出機による溶融混合法が好ましい。
【0075】
混合方法は特に限定されず、例えば、発泡体用組成物中のポリマー成分をあらかじめ混合した後に、(E)成分や、必要に応じて(D)成分、(F)成分等を添加し混合してもよい。
【0076】
本実施形態の発泡体用組成物の形状は、特に限定されず、適宜に所望の形状に成形することができる。例えば、ペレット状、シート状(フィルム状と呼ばれるときもある。)、ストランド状、チップ状等とすることができる。例えば、必要に応じて、各成分を造粒機等によって混合してペレット状とすることができる。
本実施形態の発泡体用組成物をシート状に成形する場合、その方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、本実施形態の発泡体用組成物のペレットを、押出機又はカレンダー成形機を用いてシート状に成形する方法;本実施形態の発泡体用組成物の各成分をブラベンダー等によって混練した後、カレンダーロールでシート状に成形する方法;プレス成形機でシート化する方法;押出機を用いて混練した後Tダイ又は環状ダイを通してシート化する方法等が挙げられる。これにより、未架橋かつ未発泡状態の発泡性シートを調製できる。
【0077】
〔発泡体〕
本実施形態の発泡体は、上述した本実施形態の発泡体用組成物の発泡体である。
具体的には、前記(A)共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を含む共役ジエン系共重合体を含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%である、発泡体である。さらに、前記(A)成分と前記(B)エチレン・極性モノマー共重合体が、架橋された構造を有し、前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である発泡体であり、前記発泡体中の、前記(A)成分及び(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対し、前記(A)成分を5~50質量部、前記(B)成分を50~95質量部含む。
上記構成によれば、軽量化しても反発弾性、引裂強度のバランスに優れ、熱に対する寸法安定性の高い発泡体となる。
【0078】
(発泡体の用途)
本実施形態の発泡体は、シート(フィルムと呼ばれることもある。)、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、押出成形品等として活用できる。特に、本実施形態の発泡体は、軽量かつ柔軟であり、かつ圧縮永久歪みが小さく、引裂強度、反発弾性に優れており、さらには成形安定性、加工性にも優れる材料として、自動車関係、建築関係、各種包装材料、日用品等に広く用いることができる。特に、靴に様々な機能を付与する目的で、靴底とインソールの間に導入されるミッドソールとして好適に使用することができる。
【0079】
〔発泡体の製造方法〕
本実施形態の発泡体の、第1の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。
すなわち、(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、(D)架橋剤と、(E)発泡剤とを含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である、発泡体用組成物を用いた発泡体の製造方法であって、前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分及び前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対する、前記(A)成分の含有量は5~50質量部、前記(B)成分の含有量は50~95質量部であるものとし、前記発泡体用組成物を溶融混錬して、溶融混練物を得る工程と、前記溶融混錬物に加熱及び/又はエネルギー線照射する工程と、を有する。
【0080】
本実施形態の発泡体の、第2の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。
すなわち、(A)共役ジエン単量体単位と、ビニル芳香族単量体単位と、を含む共役ジエン系共重合体と、(B)エチレン・極性モノマー共重合体と、(D)架橋剤を、含み、前記(A)成分中のビニル芳香族単量体単位の含有量が5~15質量%であり、前記(A)成分中の共役ジエン単量体単位の水素添加率が30~100質量%である、発泡体用組成物を用いた発泡体の製造方法であって、前記発泡体用組成物中の、前記(A)成分及び前記(B)成分を含む発泡性ポリマー100質量部に対する、前記(A)成分の含有量は5~50質量部、前記(B)成分の含有量は50~95質量部であるものとし、前記発泡体用組成物を混練し、混練物を得る工程と、前記混練物を成形し、架橋させ、架橋成形体を得る工程と、前記架橋成形体に、(E)発泡剤を含浸させ、その後、減圧することにより発泡させる工程とを有する。
【0081】
第1の製造方法と、第2の製造方法とは、発泡工程の前段階における(E)発泡剤含有の有無や、発泡工程の手順に違いがある。
第2の製造方法においては、架橋成形体に(E)発泡剤を含浸させた段階で得られたものが、本実施形態の発泡体用組成物に相当する。
第1の製造方法は、有機系又は無機系熱分解型発泡剤を使用する場合に好ましく、第2の製造方法は、超臨界流体等の有機系又は無機系物理発泡剤を使用する場合に好ましい。
【0082】
溶融混練した発泡体用組成物を架橋発泡させることで、発泡体とすることができる。
本実施形態によれば、従来では困難であった、軽量化しても反発弾性と引裂強度のバランスも優れ、熱に対する寸法安定性に優れる発泡体が得られる。
【0083】
本実施形態の発泡体用組成物の架橋方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、(D)架橋剤を配合し加熱し架橋する方法、当該方法と電子線や放射線等のエネルギー線照射による方法を併用する方法が挙げられる。
【0084】
本実施形態の発泡体の製造方法においては、超臨界流体である発泡剤を利用して発泡を行うことができる。このような発泡方法としては、例えば、(1)架橋させたシートやペレット等を作製し、これらを耐圧容器に入れて圧力・温度をかけて、発泡剤としての超臨界ガスを含浸させた後、減圧させ発泡させる方法、(2)架橋剤を混ぜたペレットを射出成形機に入れてシリンダー内で発泡剤としての超臨界ガスを含浸させて押出成形や射出成形と同時に発泡させる方法が挙げられる。
前記(1)の発泡方法の場合、架橋剤と発泡剤を同時に含む組成物を経由せず、成形後に発泡剤を含浸させている形態であるため、かかる方法の場合、発泡剤を含浸させた直後に得られたもの、すなわち発泡工程の直前のものが、本実施形態の発泡体用組成物に相当する。この方法によっても、本実施形態の発泡体を製造することができる。架橋のタイミングについては成形と同時であっても、成形後に架橋してもよい。例えば、架橋剤を配合した未架橋の発泡体用組成物を架橋剤が反応する温度に加熱した型に入れ、成型と架橋を同時に行ってもよいし、未架橋シートを架橋剤が反応しない温度で成形した後にエネルギー線を照射して架橋を行ってもよい。つまり、上述した第2の製造方法において、成形工程、架橋工程、及び発泡工程は、独立した工程である必要は無く、成形と同時に架橋した後、発泡させてもよいし、成形後に、架橋と同時に発泡させてもよい。
【0085】
本実施形態の発泡体用組成物を用いた発泡体の製造方法における、発泡工程は、特に限定されず、プレス成形又は射出成形等、公知の方法を用いて行うことができる。
例えば、ペレット状にした発泡体用組成物、及び所定の型を用いてインジェクション発泡成形をしてもよい。物理発泡剤を使用する場合は、例えば、インジェクション成形機において発泡剤として超臨界状態の物理発泡剤(例えば窒素ガス)をシリンダー内に注入し、シリンダー内で溶融状態とした発泡剤以外を含む発泡体用組成物と分散溶融混合させたのちインジェクション成形をしてもよい。
【0086】
ここで、本実施形態の発泡体用組成物をシート化した発泡性シートを発泡させる場合の一例について述べる。
発泡性シートを、金型の容積に対して1.0~1.2倍の範囲の大きさに裁断して、120~200℃に保持された金型内に挿入する。金型の型締め圧力は30~300kgf/cm2、保持時間型10~90分の条件下で発泡性シートを加圧溶融して、架橋反応と発泡剤の分解を行った後、金型を開放して発泡体用組成物を発泡させることによって、1次架橋発泡体を作製する。
1次架橋発泡体を作製する際の前記金型の形状は、特に限定されないが、シートが得られるような形状とすることができる。この金型は、樹脂の溶融時や発泡剤の分解時等に発生するガスが外部へ抜けないように、完全密閉された構造であることが好ましい。型枠としては、樹脂の離型性の観点から、内面にテーパーが付いている型枠が好ましい。
【0087】
本実施形態の発泡体の製造方法においては、必要に応じて、前記1次架橋発泡体を、圧縮成形することによって、所定の形状を付与してもよい。圧縮成形条件は、特に限定されないが、架橋剤及び発泡剤の反応速度の観点から、金型温度が120~200℃、型締め圧力が30~300kgf/cm2、圧縮時間が5~60分、圧縮比が1.1~3.0の範囲であることが好ましい。
【0088】
本実施形態の発泡体の製造方法により得られた発泡体を、特にミッドソールとして使用するとき、発泡体の比重は、0.08~0.25が好ましい。一般的に比重を軽くすると物性の低下、例えば引裂強度の低下や永久圧縮歪の増加を引き起こす傾向にあるが、本実施形態の発泡体は、低比重でも物性バランスに優れる。発泡体の比重は、(E)発泡剤の配合量を調整することによって制御できる。(E)発泡剤を増やすことで発泡後の比重を低くすることができる。
【0089】
本実施形態の発泡体の製造方法においては、シート状以外にも各種形状や大きさに発泡体用組成物を成形することができる。本実施形態においては、発泡体や発泡体を構成する発泡体用組成物の形状や大きさに特に制限はなく、シート状以外にも種々の形状に成形できる。
【実施例0090】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下に説明する方法によって発泡体を作製し、物性及び特性の比較を行った。
共役ジエン系共重合体の物性、発泡体の物性及び特性は次のように測定した。
【0091】
〔共役ジエン系共重合体の物性〕
(MFR)
共役ジエン系重合体の流動性はISO 1133に準拠して測定した。
具体的には、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)値を測定した。
【0092】
〔発泡体の物性及び特性〕
((1)比重)
2次架橋発泡体を直径1.4cm、厚み1cmの円に打ち抜いて試験片とし、電子比重計(MD-200S アルミファーミラージュ社製)を用いて、比重を測定した。
【0093】
((2)反発弾性)
2次架橋発泡体の反発弾性を、JIS K6255に準拠し、40cm(=L0)の高さから15gの鉄球を落下させた時の、鉄球の跳ね上がり高さ(=L)を23℃にて測定し、以下の式を用いて求めた。
反発弾性(%)=(L/L0)×100
反発弾性50%以上を実用上良好と判断した。
【0094】
((3)引裂強度 split tear strength)
2次架橋発泡体を横2cm×縦10cm×厚み1cmの試験片とし、その試験片の真中に、縦方向に2cm分切れ目を入れて、チャック間約4cmで挟み、厚み方向に100mm/分で、万能引張圧縮試験機(TG-5kN NMBミネベア社製)を用いて引裂強度の測定を行った。
引裂強度1.7kgf/cmを実用上良好と判断した。
【0095】
((4)熱に対する寸法安定性)
1次架橋発泡体を10cm×20cm×厚み1cmの試験片とし、70℃で40分保持した後に、1時間静置した後の試験片の対角線の長さを測定し、加熱前後の変化率を算出し、熱に対する寸法安定性を評価した。
◎:変化率1%未満
〇:変化率1%以上2.5%未満
△:変化率2.5%以上3.5%未満
×:3.5%以上
熱に対する寸法安定性◎、〇、△を実用上良好と判断した。
【0096】
((5)圧縮永久歪)
発泡体を直径2.6cmの円に打ち抜いて試験片とし、50%の厚みまで圧縮し、50℃で6時間保持した後に圧力を開放し、1時間後静置した後の厚みを測定し、残留歪みの大きさを測定し、圧縮永久歪(%)を評価した。
【0097】
((6)C硬度)
発泡体のC硬度(アスカーC)を、ASKER硬度計 C硬度計(CL-150 アスカーC 高分子計器社製)を用いて測定し、3秒値を読み取った。そして、5点の平均値(算術平均)を取ってC硬度とした。
【0098】
((7)バリ)
プレス金型を用いて架橋発泡を行い、得られた発泡体の金型からはみ出たバリの量で、成形体のロスを評価した。
○:EVA単体の発泡体と比較して同等
△:EVA単体の発泡体と比較してやや多い
×:EVA単体の発泡体と比較して多い
【0099】
((8)混合性:ロール時の溶け残り)
一定時間ロール混練したときの、樹脂の溶け残りを目視で確認し、混合性を評価した。
○:溶け残りなし
△:溶けているが一部混和不十分
×:溶け残りあり
【0100】
〔実施例及び比較例で用いた材料〕
実施例及び比較例で用いた(A)共役ジエン系共重合体、(B)エチレン・極性モノマー共重合体、(C)エチレン系重合体、(D)架橋剤、(E)発泡剤、(F)添加剤を、下記に示す。
【0101】
(水素添加触媒の調製)
後述する実施例及び比較例において、水素添加ブロック共重合体組成物を作製する際に用いる水素添加触媒を、下記の方法により調製した。
攪拌装置を具備する反応容器を窒素置換しておき、これに、乾燥及び精製したシクロヘキサンを1L仕込んだ。次に、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加した。これを十分に攪拌しながら、トリメチルアルミニウム200mmolを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。これにより水素添加触媒を得た。
【0102】
((A)共役ジエン系共重合体)
(A1)スチレン―ブタジエン―スチレン トリブロック共重合体の水素添加物
スチレン含有量 10質量%、
1,3-ブタジエン単位中の1,2-ビニル結合量 35質量%、
1,3-ブタジエン単位の二重結合の水素添加率 98%、
ピークトップ分子量 12万
<共役ジエン系重合体A1の製造方法>
内容積が100Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用して、バッチ重合を以下の方法で行った。
はじめにシクロヘキサン36Lを反応器に張り込み、温度50℃に調整した後、反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量(以下、全モノマーとする。)100質量部に対してn-ブチルリチウム(以下「Bu-Li」ともいう。)0.095質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」ともいう。)をBu-Li 1モルに対して0.35モル添加した。
次に、スチレン5.0質量部を5分間かけて投入し、その後さらに15分間反応させた(重合反応により65℃に到達した)。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、ブタジエン90.0質量部を含有するシクロヘキサン溶液(濃度40質量部)を10分間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後10分間反応させ、反応温度が最高温度86℃に達してからさらに3分反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、スチレン5.0質量部を5分間かけて投入し、その後さらに5分間反応させた。
その後、メタノールをBu-Li1モルに対して0.95モル添加し、重合反応を終了させ、共重合体を得た。
得られた共重合体に、前記水素添触媒を、共重合体100質量部当たりチタンとして50ppm添加し、水素圧0.9MPa、温度90℃で45分間水添反応を行った。
その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、共役ジエン系共重合体A1を得た。本明細書に記載の動的粘弾性測定で測定したtanδピーク温度は-25℃以下であった。
【0103】
<共役ジエン系重合体A2~A31の製造方法>
表1~3に示すブロック構造、スチレン含有量、Bu-Li添加量、TMEDA添加量とし、その他の条件は、前記共役ジエン系重合体A1と同様に製造した。本明細書に記載の動的粘弾性測定で測定したtanδピーク温度はいずれも-25℃以下であった。
【0104】
実施例及び比較例で用いた(A)成分について、前記(A1)、及び(A2)~(A31)を、下記表1~表3に示す。
なお、表1~表3に示す(A)成分の「ブロック構造」において、「a」とはスチレンを主体とする重合ブロックであり、「b」とはブタジエンを主体とする重合ブロックであるものとする。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
(A)成分のスチレン含有量については、水素添加前の共役ジエン系共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)法により測定した。測定機器はJNM-LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°及び測定温度26℃で行った。スチレン含有量は、スペクトルの6.2~7.5ppmにおける総スチレン芳香族シグナルの積算値を用いて算出した。
【0109】
共役ジエン中の1,2-ビニル結合量については、水素添加前の共役ジエン系共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)法により測定した。測定条件及び測定データの処理方法は上記スチレン含有量の測定方法と同様にして行った。
1,2-ビニル結合量は、1,4-ビニル結合及び1,2-ビニル結合及び3,4-ビニル結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、(1,2-ビニル結合+3,4-ビニル結合)/(1,2-ビニル結合+3,4-ビニル結合+1,4-ビニル結合)により算出した。
【0110】
水素添加率については、水素添加後の共役ジエン系共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)により測定した。測定条件及び測定データの処理方法は上記スチレン含有量の測定方法と同様にして行った。
水素添加率は、4.5~5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
【0111】
共役ジエン系共重合体の最も高いピークトップ分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)〔装置:ウォーターズ製〕により下記の条件で測定した。得られたクロマトグラムから共役ジエン系共重合体のピークトップの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた。
(測定条件)
GPC;ACQUITY APCシステム(日本ウォーターズ株式会社製)
システム(測定・解析)ソフト;Empower3
検出器;示差屈折率(RI)検出器
屈折率単位フルスケール;500μRIU
出力フルスケール;2000mV
サンプリングレート;10ポイント数/sec
カラム;ACQUITY APC XT125(4.6mm×150mm);1本
ACQUITY APC XT200(4.6mm×150mm);1本
ACQUITY APC XT900(4.6mm×150mm);1本
ACQUITY APC XT450(4.6mm×150mm);1本
溶媒;テトラヒドロフラン(THF)
流量;1.0mL/分
濃度;0.1mg/mL
カラム温度;40℃
注入量;20μL
【0112】
((B)エチレン・極性モノマー共重合体)
(B1)エチレン・酢酸ビニル共重合体(HANWHA製、商品名「EVA1317」、VA含有量22%)
(B2)エチレン・酢酸ビニル共重合体(HANWHA製、商品名「EVA1315」、VA含有量15%)
(B3)エチレン・エチルアクリレート共重合体(三井・ダウポリケミカル製、商品名「エルバロイAC2615」)
【0113】
((C)エチレン系重合体)
(C1)タフマー DF810(三井化学製、エチレン・1-ブテン共重合体)
(C2)ENGAGE 8440(ダウ製、エチレン・オクテン共重合体)
(C3)INFUSE 9530(ダウ製、エチレン・オクテンブロック共重合体)
【0114】
((D)架橋剤)
ジクミルペルオキシド(日本油脂社製)
【0115】
((E)発泡剤)
有機系熱分解型発泡剤のADCA系である、CELLCOM-JTR(KUMYANG社製)
【0116】
((F)添加剤)
(F1)二酸化チタン
(F2)ステアリン酸
(F3)酸化亜鉛
【0117】
〔実施例1〕
共役ジエン系共重合体(A1)40質量部、エチレン・極性モノマー共重合体(B1)60質量部、架橋剤(D)0.8質量部、発泡剤(E)5.0質量部、添加剤(F1)4質量部、添加剤(F2)1質量部、添加剤(F3)5質量部を、120℃に設定したロールで溶融混練した後、プレス金型を用いて160℃、100kgf/cm2で架橋発泡を行い、1次架橋発泡体を得た。1次発泡体で熱に対する寸法安定性を評価した。
この1次架橋発泡体を比重0.15になるように圧縮成形することにより2次架橋発泡体を得た。
続いて、この2次架橋発泡体の物性を上記方法によって測定した。C硬度は47であった。
【0118】
〔実施例2~36、比較例1~7〕
実施例2~36及び比較例1~7の組成を表4~8に示す。
表4~8の記載の通り変更した以外は、前記実施例1と同様にして1次架橋発泡体、2次架橋発泡体を作製し、物性及び特性を測定した。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
実施例1~36においては、反発弾性、引裂強度、熱に対する寸法安定性において優れた性能バランスを発揮した。
実施例1及び実施例12~16より、ビニル結合量は反発弾性と圧縮永久歪に影響し、ビニル結合量が高くなるにつれて反発弾性は上がり、逆に圧縮永久歪は悪化することが分かった。また、実施例1及び実施例4~7より、水添率は引裂強度に影響し、水添率が高いと引裂強度が向上する傾向にあることが分かった。フットウェアの耐久性の観点から引裂強度は高い方が好ましく、水添率は高い方が好ましい傾向にある。
一方で、比較例1~7においては、反発弾性、引裂強度、熱に対する寸法安定性のいずれかにおいて実用上良好な評価が得られなかった。
【0125】
〔実施例37〕
共役ジエン系共重合体(A1)20質量部、エチレン・極性モノマー共重合体(B1)60質量部、エチレン系重合体(C1)20質量部、架橋剤(D)0.8質量部、発泡剤(E)5.0質量部、添加剤(F1)4質量部、添加剤(F2)1質量部、添加剤(F3)5質量部を、120℃に設定したロールで溶融混練した後、プレス金型を用いて160℃、100kgf/cm2で架橋発泡を行い、1次架橋発泡体を得た。前記1次架橋発泡体で熱に対する寸法安定性を評価した。
この1次架橋発泡体を比重0.15になるように圧縮成形することにより2次架橋発泡体を得た。続いて、この2次架橋発泡体の物性及び特性を上記方法によって測定した。C硬度は47であった。
【0126】
〔実施例38~70、比較例8~13〕
実施例38~70、比較例8~13の組成を下記表9~12に示す。
表9~12に記載の通り変更した以外は、実施例36と同様にして1次架橋発泡体、2次架橋発泡体を作製し、物性及び特性を測定した。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
実施例37~70においては、反発弾性、引裂強度、熱に対する寸法安定性おいて優れた性能バランスを発揮した。実施例1~36に比べ、(C)エチレン系重合体をさらに配合することで性能バランスを保ちつつ、より高い引裂強度を発揮した。
一方で、比較例8~13においては、反発弾性、引裂強度、熱に対する寸法安定性のいずれかにおいて実用上良好な評価が得られなかった。
本発明に係る発泡体用組成物及び発泡体は、自動車部品、土木・建築用途、家電部品、靴用ミッドソール、スポーツ用品、雑貨品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他の広範な分野において産業上の利用可能性を有している。