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特開2023-164308プランジャとロック装置とを備えた容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164308
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】プランジャとロック装置とを備えた容器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20231102BHJP
   B65D 83/76 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61M5/315 502
B65D83/76 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023051532
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】22170978
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】323001797
【氏名又は名称】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レーモン モゼ
【テーマコード(参考)】
3E014
4C066
【Fターム(参考)】
3E014KA06
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066LL22
4C066LL24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療用シリンジに薬剤が充填され、低温で保管された場合、しばしば冷却・融解プロセス中にプランジャの大きな動きを示すという問題を解決する医療用シリンジを提供する。
【解決手段】容器100、特にシリンジまたはカートリッジは、容器本体110と、少なくとも部分的に容器本体内に配置されたプランジャロッド132を備えたプランジャ130と、容器本体に対して相対的にプランジャロッドの位置をロックするためのロック装置150とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(100;700)、特にシリンジまたはカートリッジであって、
容器本体(110)と、
少なくとも部分的に該容器本体(110)内に配置されたプランジャロッド(132;332;432;532;632)を備えたプランジャ(130;530;630)と、
前記容器本体(110)に対して相対的に前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)の位置をロックするためのロック装置(150;350;450;550;650)と
を有する容器(100;700)において、
前記ロック装置(150;350;450;550;650)は、少なくともロック位置とロック解除位置との間で動作可能であり、前記ロック装置(150;350;450;550;650)は、少なくとも1つの変形可能部材(152;352;452)を有しており、該変形可能部材(152;352;452)は、前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置にある場合には、前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)と前記容器本体(110)の内壁(112)との間にロック力を加え、かつ前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置から前記ロック解除位置に切り換えられた場合には、前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)と前記容器本体(110)の前記内壁(112)との間のロック力を解放するように構成されていることを特徴とする、容器(100;700)。
【請求項2】
前記ロック装置(150;350;450;550;650)は、前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)に取り付けられている、請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記変形可能部材(152;352;452)は、前記容器本体(110)の内周に沿って延びるように配置されており、好適には、
前記容器本体(110)の前記内周は実質的に円形であり、前記変形可能部材(152;352;452)は実質的に円形状を有している、または
前記容器本体(110)の内周は実質的に多角形であり、前記変形可能部材(152;352;452)は実質的に多角形状を有している、
請求項1または2記載の容器。
【請求項4】
前記変形可能部材(152;352;452)は、前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置にある場合には、前記容器本体(110)の前記内壁と前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)との間のギャップを封止するようにさらに構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の容器。
【請求項5】
前記ロック装置(150;350;450;550;650)は、前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)の一部から延びる横方向突出部(160;360;460)をさらに有しており、前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置にある場合、前記変形可能部材(152;352;452)は、前記横方向突出部(160;360;460)に向かって押圧されるように配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の容器。
【請求項6】
前記ロック装置(150;350;450;550;650)は、摺動部材(154;354;554;654)をさらに有しており、該摺動部材(154;354;554;654)は、前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)に対して相対的に可動であり、前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置にある場合には、前記横方向突出部(160;360;460)に向かって前記変形可能部材(152;352;452)に押圧力を加えるように構成されている、請求項5記載の容器。
【請求項7】
前記横方向突出部(160;360;460)および/または前記摺動部材(154;354;554;654)は、前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置にある場合に、前記容器本体(110)の前記内壁(112)に向かって前記変形可能部材(152;352;452)の少なくとも一部の変形および/または変位を生ぜしめるように構成されている、請求項5または6記載の容器。
【請求項8】
前記横方向突出部(160;360;460)は、前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)から延びており、前記摺動部材(154;354;554;654)は、内部に前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)が少なくとも部分的に延びている管を有しており、かつ/または
前記ロック装置(150;350;450;550;650)は、前記ロック装置(150;350;450;550;650)を前記ロック位置にもたらす場合に前記摺動部材(154;354;554;654)を前記変形可能部材(152;352;452)に向かって移動させるように、かつ/または前記ロック装置(150;350;450;550;650)を前記ロック位置に解除可能に保つように構成された少なくとも1つの作動部材(170;570;670)をさらに有している、
請求項6または7記載の容器。
【請求項9】
前記容器本体(110)は、前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置にある場合に前記変形可能部材(152;352;452)に接触する領域において、コーティングされていないか、またはシリコーンフリーコーティングされており、かつ/または
前記変形可能部材(152;352;452)の材料は、シリコーンを含んでおり、かつ/または前記変形可能部材(152;352;452)は、シリコーンオイルフリーコーティングされているか、好適には液体フリーコーティングされているか、またはより好適にはコーティングされていない、
請求項1から8までのいずれか1項記載の容器。
【請求項10】
前記容器(100;700)は、薬剤容器、特にシリンジまたはカートリッジであり、かつ/または前記容器(700)は、事前充填されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の容器。
【請求項11】
前記変形可能部材(152;352;452)は、-80℃の温度で、少なくとも500ミリバール、好適には少なくとも600ミリバール、より好適には少なくとも800ミリバールの圧力差に対して前記容器本体(110)の前記内壁と前記プランジャロッド(132;332;432;532;632)との間のギャップを封止するように構成されている、請求項4と、請求項1から10までのいずれか1項との組合せに記載の容器。
【請求項12】
前記ロック装置(150)は、-20℃、好適には-50℃、より好適には-80℃の温度で500ミリバール、好適には600ミリバール、より好適には800ミリバールの圧力差が加えられた場合の、前記容器本体(110)に対して相対的な前記プランジャ(130)の動きを、3ミリメートル未満、好適には2ミリメートル未満、より好適には1.5ミリメートル未満、より好適には0.5ミリメートル未満に減じるように構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の容器。
【請求項13】
前記ロック装置(150;350;450;550;650)は、5~15ニュートンの範囲のロック力を加えるように構成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の容器。
【請求項14】
前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック解除位置にある場合、前記変形可能部材(152;352;452)と前記容器本体(110)の前記内壁(112)との間の接触長さ(L_C)は、0~1ミリメートルの範囲内、好適には0ミリメートルであり、かつ/または前記ロック装置(150;350;450;550;650)が前記ロック位置にある場合、前記変形可能部材(152;352;452)と前記容器本体(110)の前記内壁(112)との間の接触長さ(L_C)は、2~20ミリメートルの範囲内、好適には3~4ミリメートルの範囲内である、請求項1から13までのいずれか1項記載の容器。
【請求項15】
前記変形可能部材(152;352;452)は、ストッパ(134)と直接には接触していない、請求項1から14までのいずれか1項記載の容器。
【請求項16】
前記ロック装置(150;350;450;550;650)は前記ロック位置にあり、かつ以下のパラメータ、すなわち:
-前記容器本体(110)の満量容量は、0.5~100ミリリットル、好適には1~20ミリリットル、より好適には1~5ミリリットルである;
-前記容器(700)には、前記容器(700)の満量容量の好適には10%~90%、より好適には20%~80%、より好適には30%~70%、より好適には40%~60%の液体(710)、より好適には糖または塩を含む液体(710)が事前充填されている;
-前記容器(700)は、0~40ミリメートル、好適には0.5~5ミリメートル、より好適には1~4ミリメートル、より好適には1.5~3ミリメートルの、ガス(712)、好適には空気のヘッドスペースを有している;
が満たされており、
以下の試験条件、すなわち:
-内側に対する前記容器(700)の外側の圧力が、1秒~1週間、好適には1分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間に100~1000ミリバール、好適には200~900ミリバール、より好適には300~800ミリバール、より好適には400~600ミリバール、より好適には430ミリバールだけ低下させられた;
-前記容器(700)は1秒~7日、好適には1分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間、-210℃~25℃、好適には-120℃~0℃、より好適には-100℃~-15℃、より好適には-90℃~-40℃、より好適には-80℃で保管された
の一方または両方が適用された後の前記プランジャロッドの移動量は、3ミリメートル以下、好適には2ミリメートル以下、より好適には1ミリメートル以下、より好適には0.5ミリメートル以下、より好適には0ミリメートルである、
請求項1から15までのいずれか1項記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、容器本体と、プランジャと、ロック装置とを含む容器、特にシリンジまたはカートリッジに関する。
【0002】
背景
医療用シリンジは、特に薬剤が充填され、低温で保管された場合、しばしば冷却・融解プロセス中にプランジャの大きな動きを示す。この動きは主に、温度変化中のシリンジの内容物の熱膨張および収縮ならびに結果として生じる、シリンジの内部と環境との間の圧力差によるものである。
【0003】
プランジャの動きは、シリンジ内容物の無菌状態にリスクを生ぜしめる。例えば、プランジャの動きによるプランジャの行程は、典型的にはプランジャの遠位端部を形成し、しばしば複数の弾性シーリングリブを有し、無菌状態を損なうこと無しにプランジャの動きに関する一定の許容範囲を提供するストッパの許容限度を超えることがある。シリンジ内容物の無菌状態は、ある状況ではストッパにより包囲された容積の外側に位置するシリンジの内壁の位置が、別の状況ではストッパにより包囲されているか、または安全には封止されないと考えられるストッパの長さの範囲内の領域に位置する場合、またはその逆の場合に失われると想定される。したがって、プランジャの不適切な選択は、結果として後の適用における無菌状態の損失を生ぜしめる恐れがある。
【0004】
シリンジの意図された内容物の温度要求に応じた許容範囲の特性に従ってプランジャを選択することは、多くの供給・製造状況において不都合であることが証明されている。さらにガラスシリンジは、極めて低い温度、例えば様々なワクチンの典型的な保管温度である約-80℃での容器完全閉鎖性(CCI)の要求を満たさないことが多い。
【0005】
したがって、上述した欠点のうちの少なくとも1つを回避するか、または少なくとも軽減する技術が所望されている。
【0006】
発明の概要
したがって、請求項1記載の容器を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、容器、特にシリンジまたはカートリッジが提供される。容器は、容器本体と、少なくとも部分的に容器本体内に配置されたプランジャロッドを備えたプランジャと、プランジャロッドの位置を容器本体に対して相対的にロックするためのロック装置とを含む。ロック装置は、少なくともロック位置とロック解除位置との間で操作可能である。ロック装置は、少なくとも1つの変形可能部材を有しており、変形可能部材は、ロック装置がロック位置にある場合にはプランジャロッドと容器本体の内壁との間にロック力を加え、ロック装置がロック位置からロック解除位置に切り換えられた場合にはプランジャロッドと容器本体の内壁との間のロック力を解放するように構成されている。
【0008】
これにより、プランジャの動きを効果的に低減させることができる。さらに、容器の密閉性を、プランジャロッドと容器の内壁との間の封止により高めることができる。さらに、ロック装置のロック位置からロック解除位置への切換えは、可逆的であってもよい。換言すると、ロック装置は繰り返し操作可能である。さらに、ロック装置がロック位置にある場合にプランジャロッドを移動させるために必要とされる、プランジャロッドの操作方向に加えられる力を、ロック力の適切な調整により調整することができる。
【0009】
ロック装置は、少なくとも実質的にプランジャロッドに取り付けられていてもよい。さらに、ロック装置の各パーツは、プランジャロッドと一体に形成され得る。
【0010】
容器本体の内周に沿って延びるように、変形可能部材が配置され得る。容器本体の内周は、実質的に円形であってもよく、変形可能部材は、実質的に円形を有していてもよい。1つの代替として、容器本体の内周は、実質的に多角形であってもよく、変形可能部材は、実質的に多角形を有していてもよい。別の代替として、容器本体の内周は、実質的に楕円形であってもよく、変形可能部材は、実質的に楕円形を有していてもよい。さらに変形可能部材は、容器本体の内壁に隣接して、容器本体の長手方向に、特に軸線方向にかつ/または角度方向に延在していてもよい。
【0011】
変形可能部材はさらに、ロック装置がロック位置にある場合に容器本体の内壁とプランジャロッドとの間のギャップを封止するように構成され得る。
【0012】
ロック装置はさらに、プランジャロッドの一部から延びる横方向突出部を有していてもよい。さらに変形可能部材は、ロック装置がロック位置にある場合には横方向突出部に向かって押圧されるように配置され得る。
【0013】
ロック装置はさらに、摺動部材を有していてもよく、摺動部材は、プランジャロッドに対して相対的に可動であり、ロック装置がロック位置にある場合には変形可能部材に横方向突出部に向かう押圧力を加えるように構成されている。
【0014】
横方向突出部および/または摺動部材は、ロック装置がロック位置にある場合に、変形可能部材の少なくとも一部の変形および/または変位を容器の内壁に向かって生ぜしめるように構成され得る。横方向突出部は、プランジャロッドから延びていてもよい。さらに摺動部材は、内部にプランジャロッドが少なくとも部分的に延びている管を備えていてもよい。
【0015】
ロック装置はさらに、ロック装置をロック位置にもたらす場合に摺動部材を変形可能部材に向かって移動させるように、かつ/またはロック装置をロック位置に解除可能に保つように構成された少なくとも1つの作動部材を有していてもよい。作動部材は、少なくとも1つの楔部を有していてもよい。
【0016】
作動部材は、摺動部材と、プランジャロッドのサムレストとの間に配置され得る。作動部材は少なくとも部分的に、プランジャロッドのサムレストに面した摺動部材の近位端部において摺動部材と一体に形成され得る。追加的にまたは代替として、作動部材は少なくとも部分的に、プランジャロッドのサムレストと一体に形成され得、サムレストは、横方向突出部に対して相対的に可動である。
【0017】
ロック装置は、交換可能に使用することができる複数の作動部材を有していてもよく、複数の作動部材のうちの少なくとも2つは、作動部材がそれぞれ使用されかつ操作された場合に摺動部材がプランジャロッドに対して相対的に移動させられる距離に関して異なっている。複数の作動部材は、複数のピンを有していてもよく、ピンのうちの少なくとも2つは、厚さに関して異なっている。複数の作動部材は、プランジャの総解放力および/または総摺動力を調整するために交換可能に使用することができるようになっていてもよい。プランジャの総解放力および総摺動力には、それぞれプランジャロッドに取り付けられたストッパの解放力および摺動力と、ロック装置により生ぜしめられるロック力とが含まれていてもよい。
【0018】
容器は、ポリマーおよび/またはガラスを含んでいてもよい。容器は、特に容器の内面において、より詳細にはロック装置がロック位置にある場合に変形可能部材に接触する領域において、コーティングされていなくてもよいか、またはシリコーンフリーコーティングされていてもよい。変形可能部材の材料は、シリコーンを含んでいてもよい。代替として、変形可能部材はシリコーンフリーであってもよく、特にゴムを含んでいてもよい。追加的にまたは代替として、変形可能部材は、シリコーンオイルフリーコーティングされていてもよく、好適には液体フリーコーティングされていてもよく、またはより好適にはコーティングされていなくてもよい。プランジャは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によるコーティングを備えていてもよい。容器本体、プランジャおよびロック装置を含む容器は、シリコーンフリーであってもよい。
【0019】
容器は、薬剤容器、特にシリンジまたはカートリッジであってもよい。
【0020】
容器は、事前充填され得る。
【0021】
変形可能部材は、-80℃の温度で、少なくとも500ミリバール、好適には少なくとも600ミリバール、より好適には少なくとも800ミリバールの圧力差に対して容器本体の内壁とプランジャロッドとの間のギャップを封止するように構成され得る。
【0022】
ロック装置は、-80℃の温度で800ミリバールの圧力差が加えられた場合の、容器本体に対して相対的なプランジャロッドの動きを、3ミリメートル未満、好適には2ミリメートル未満、より好適には1.5ミリメートル未満に減じるように構成され得る。
【0023】
変形可能部材は、25~80ショアAの範囲、好適には25~50ショアAの範囲、より好適には30~35ショアAの範囲のショア硬さを有していてもよい。
【0024】
ロック装置は、5~15ニュートンの範囲のロック力を加えるように構成され得る。ロック力は、プランジャロッドの作動方向に加えられる力として規定され得、かつプランジャロッドを移動させるために必要とされ、別の力、特にプランジャロッドに取り付けられたストッパの解放力および/または摺動力に対して調整される。
【0025】
特に容器は、0.8~2ミリリットルの範囲の満量容量を有するシリンジであってもよく、プランジャロッドに取り付けられたストッパの解放力は12ニュートン未満であってもよく、ストッパの摺動力は7ニュートン未満であってもよく、ロック装置のロック力は12~25ニュートンの範囲内であってもよい。代替として、容器は8~20ミリリットルの範囲の満量容量を有するシリンジであってもよく、プランジャロッドに取り付けられたストッパの解放力は35ニュートン未満であってもよく、ストッパの摺動力は20ニュートン未満であってもよく、ロック装置のロック力は20~30ニュートンの範囲内であってもよい。別の代替として、容器は30~60ミリリットルの範囲の満量容量を有するシリンジであってもよく、プランジャロッドに取り付けられたストッパの解放力は45ニュートン未満であってもよく、ストッパの摺動力は25ニュートン未満であってもよく、ロック装置のロック力は30~45ニュートンの範囲内であってもよい。
【0026】
ロック装置がロック解除位置にある場合、変形可能部材と、容器本体の内壁との間の接触長さは、0~1ミリメートルの範囲内、好適には0ミリメートルであってもよい。さらに、または代替として、ロック装置がロック位置にある場合、変形可能部材と、容器本体の内壁との間の接触長さは、2~20ミリメートルの範囲内、好適には3~4ミリメートルの範囲内であってもよい。
【0027】
変形可能部材は、ロック装置がロック位置にある場合には、容器本体の内壁との単一の環状の接触領域を有していてもよい。
【0028】
ロック装置がロック位置にある場合、容器本体の内壁に対する変形可能部材の接触面積は、ロック装置がロック解除位置にある場合よりも大きくなっていてもよい。
【0029】
容器本体は、容器本体の内壁に対する変形可能部材の接触領域の範囲において透明であってもよい。さらに、容器本体を通して見たときの変形可能部材の表面は、接触領域に接触している場合には、非接触状態にある場合よりも濃く見えていてもよい。
【0030】
プランジャはさらに、プランジャロッドに取り付けられたストッパを有していてもよい。ストッパの材料と、変形可能部材の材料とは、同じでなくてもよい。ストッパの材料は、ゴム、好適にはブロモブチルゴムまたはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムを含んでいてもよい。
【0031】
変形可能部材は、ストッパと直接に接触していなくてもよい。この場合、横方向突出部は、変形可能部材とストッパとの間に延在していてもよい。代替として、変形可能部材は、ストッパと直接に接触していてもよい。この場合、ストッパ、特にストッパの近位部分は、少なくとも部分的に横方向突出部を構成していてもよい。
【0032】
ロック装置がロック位置にある間は、以下の各パラメータを満たすことができる。すなわち:容器本体の満量容量は、0.5~100ミリリットル、好適には1~20ミリリットル、より好適には1~5ミリリットルである;容器には、容器の満量容量の好適には10%~90%、より好適には20%~80%、より好適には30%~70%、より好適には40%~60%の液体、より好適には追加的に糖または塩を含む液体が事前充填されている;容器は、0~10ミリメートル、好適には0.5~5ミリメートル、より好適には1~4ミリメートル、より好適には1.5~3ミリメートルの、ガス、好適には空気のヘッドスペースを有している。さらに、以下の試験条件、すなわち:内側に対する容器の外側の圧力が、1秒~1週間、好適には1分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間に100~1000ミリバール、好適には200~900ミリバール、より好適には300~800ミリバール、より好適には400~600ミリバール、より好適には430ミリバールだけ低下させられた、または、容器は1秒~2年、好適には1分~7日、より好適には30分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間、-210℃~25℃、好適には-120℃~0℃、より好適には-100℃~-15℃、より好適には-90℃~-40℃、より好適には-80℃で保管された、という試験条件のうちの一方または両方が適用された後のプランジャロッドの移動量は、3ミリメートル以下、好適には2ミリメートル以下、より好適には1ミリメートル以下、より好適には0.5ミリメートル以下、より好適には0ミリメートルであってもよい。
【0033】
好適な実施形態
以下の項目による実施形態は、特に好適である。
【0034】
項目1. 容器(100;700)、特にシリンジまたはカートリッジは、
容器本体(110)と、
少なくとも部分的に前記容器本体(110)内に配置されたプランジャロッド(132;332;432;532;632)を備えたプランジャ(130;530;630)と、
容器本体(110)に対して相対的にプランジャロッド(132;332;432;532;632)の位置をロックするためのロック装置(150;350;450;550;650)と
を有しており、
ロック装置(150;350;450;550;650)は、少なくともロック位置とロック解除位置との間で動作可能であり、ロック装置(150;350;450;550;650)は、少なくとも1つの変形可能部材(152;352;452)を有しており、変形可能部材(152;352;452)は、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合には、プランジャロッド(132;332;432;532;632)と容器本体(110)の内壁(112)との間にロック力を加え、かつロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置からロック解除位置に切り換えられた場合には、プランジャロッド(132;332;432;532;632)と容器本体(110)の内壁(112)との間のロック力を解放するように構成されている
ことを特徴とする。
【0035】
項目2. ロック装置(150;350;450;550;650)は、プランジャロッド(132; 332;432;532;632)に取り付けられている、項目1記載の容器。
【0036】
項目3. 変形可能部材(152;352;452)は、容器本体(110)の内周に沿って延びるように配置されている、項目1または2記載の容器。
【0037】
項目4. 容器本体(110)の内周は実質的に円形であり、変形可能部材(152;352;452)は実質的に円形状を有している、または容器本体(110)の内周は実質的に多角形であり、変形可能部材(152;352;452)は実質的に多角形状を有している、項目3記載の容器。
【0038】
項目5. 変形可能部材(152;352;452)はさらに、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合には、容器本体(110)の内壁とプランジャロッド(132;332;432;532;632)との間のギャップを封止するように構成されている、項目1から4までのいずれか1つに記載の容器。
【0039】
項目6. ロック装置(150;350;450;550;650)はさらに、プランジャロッド(132;332;432;532;632)の一部から延びる横方向突出部(160;360;460)を有しており、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合、変形可能部材(152;352;452)は、横方向突出部(160;360;460)に向かって押圧されるように配置されている、項目1から5までのいずれか1つに記載の容器。
【0040】
項目7. ロック装置(150;350;450;550;650)はさらに、摺動部材(154;354;554;654)を有しており、摺動部材(154;354;554;654)は、プランジャロッド(132;332;432;532;632)に対して相対的に可動であり、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合には、横方向突出部(160;360;460)に向かって変形可能部材(152;352;452)に押圧力を加えるように構成されている、項目6記載の容器。
【0041】
項目8. 横方向突出部(160;360;460)および/または摺動部材(154;354;554;654)は、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合に、容器(110)の内壁(112)に向かって変形可能部材(152;352;452)の少なくとも一部の変形および/または変位を生ぜしめるように構成されている、項目6または7記載の容器。
【0042】
項目9. 横方向突出部(160;360;460)は、プランジャロッド(132;332;432;532;632)から延びており、摺動部材(154;354;554;654)は、内部にプランジャロッド(132;332;432;532;632)が少なくとも部分的に延びている管を有している、項目6から8までのいずれか1つに記載の容器。
【0043】
項目10. ロック装置(150;350;450;550;650)はさらに、ロック装置(150;350;450;550;650)をロック位置にもたらす場合に摺動部材(154;354;554;654)を変形可能部材(152;352;452)に向かって移動させるように、かつ/またはロック装置(150;350;450;550;650)をロック位置に解除可能に保つように構成された少なくとも1つの作動部材(170;570;670)を有している、項目7から9までのいずれか1つに記載の容器。
【0044】
項目11. 少なくとも1つの作動部材(170;570)は、少なくとも1つの楔部(172;558,572)を有している、項目10記載の容器。
【0045】
項目12. 作動部材(170;570;670)は、摺動部材(154;354;554;654)と、プランジャロッド(132;332;432;532;632)のサムレスト(138)との間に配置されている、項目10または11記載の容器。
【0046】
項目13. 少なくとも1つの作動部材(558,570;658,670)は、少なくとも部分的に、プランジャロッド(532;632)のサムレスト(538;638)に面した摺動部材(554;654)の近位端部(558;658)において摺動部材(554;654)と一体に形成されており、かつ/または作動部材(570,572;670,672)は少なくとも部分的に、プランジャロッド(532;632)のサムレスト(538;638)と一体に形成されており、サムレスト(538;638)は、好適には横方向突出部(160;360;460)に対して相対的に可動である、項目10または11記載の容器。
【0047】
項目14. 容器本体(110)は、ポリマーおよび/またはガラスを含んでいる、項目1から13までのいずれか1つに記載の容器。
【0048】
項目15. 容器本体(110)は、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合に変形可能部材(152;352;452)に接触する領域において、コーティングされていないか、またはシリコーンフリーコーティングされている、項目1から14までのいずれか1つに記載の容器。
【0049】
項目16. 変形可能部材(152;352;452)の材料は、シリコーンを含んでおり、かつ/または変形可能部材(152;352;452)は、シリコーンオイルフリーコーティングされているか、好適には液体フリーコーティングされているか、またはより好適にはコーティングされていない、項目1から15までのいずれか1つに記載の容器。
【0050】
項目17. 容器(100;700)は、薬剤容器、特にシリンジまたはカートリッジである、項目1から16までのいずれか1つに記載の容器。
【0051】
項目18. 容器(700)は、事前充填されている、項目1から17までのいずれか1つに記載の容器。
【0052】
項目19. 変形可能部材(152; 352;452)は、-80℃の温度で、少なくとも500ミリバール、好適には少なくとも600ミリバール、より好適には少なくとも800ミリバールの圧力差に対して容器本体(110)の内壁とプランジャロッド(132;332;432;532;632)との間のギャップを封止するように構成されている、項目5と、項目1から18までのいずれか1つとの組合せに記載の容器。
【0053】
項目20. ロック装置(150)は、-20℃、好適には-50℃、より好適には-80℃の温度で500ミリバール、好適には600ミリバール、より好適には800ミリバールの圧力差が加えられた場合の、容器本体(110)に対して相対的なプランジャ(130)の動きを、3ミリメートル未満、好適には2ミリメートル未満、より好適には1.5ミリメートル未満、より好適には0.5ミリメートル未満に減じるように構成されている、項目1から19までのいずれか1つに記載の容器。
【0054】
項目21. 変形可能部材(152;352;452)は、25~80ショアAの範囲、好適には25~50ショアAの範囲、より好適には30~35ショアAの範囲のショア硬さを有している、項目1から20までのいずれか1つに記載の容器。
【0055】
項目22. ロック装置(150;350;450;550;650)は、5~15ニュートンの範囲のロック力を加えるように構成されている、項目1から21までのいずれか1つに記載の容器。
【0056】
項目23. ロック装置(150;350;450;550;650)がロック解除位置にある場合、変形可能部材(152;352;452)と容器本体(110)の内壁(112)との間の接触長さ(L_C)は、0~1ミリメートルの範囲内、好適には0ミリメートルであり、かつ/またはロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合、変形可能部材(152;352;452)と容器本体(110)の内壁(112)との間の接触長さ(L_C)は、2~20ミリメートルの範囲内、好適には3~4ミリメートルの範囲内である、項目1から22までのいずれか1つに記載の容器。
【0057】
項目24. 変形可能部材(152;352;452)は、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合には、容器本体(110)の内壁(112)との単一の環状の接触領域を有している、項目1から23までのいずれか1つに記載の容器。
【0058】
項目25. ロック装置(150;350;450;550;650)がロック位置にある場合、変形可能部材(152;352;452)と容器本体(110)の内壁(112)との接触面積は、ロック装置(150;350;450;550;650)がロック解除位置にある場合よりも大きくなっている、項目1から24までのいずれか1つに記載の容器。
【0059】
項目26. 容器本体(110)は、変形可能部材(152;352;452)と容器本体(110)の内壁(112)との接触領域の範囲において透明であり、容器本体(110)を通して見たときの変形可能部材(152;352;452)の表面は、接触領域に接触している場合には、非接触状態にある場合よりも濃く見える、項目1から25までのいずれか1つに記載の容器。
【0060】
項目27. プランジャ(130;530;630)はさらに、プランジャロッド(132;332;432;532;632)に取り付けられたストッパ(134)を有しており、好適には、ストッパ(134)の材料と、変形可能部材(152;352;452)の材料とは異なっている、項目1から26までのいずれか1つに記載の容器。
【0061】
項目28. ストッパ(134)の材料は、ゴム、好適にはブロモブチルゴムまたはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムを含んでいる、項目27記載の容器。
【0062】
項目29. 変形可能部材(152;352;452)は、ストッパ(134)と直接には接触していない、項目1から28までのいずれか1つに記載の容器。
【0063】
項目30. ロック装置(150;350;450;550;650)はロック位置にあり、かつ以下のパラメータ、すなわち:
-容器本体(110)の満量容量は、0.5~100ミリリットル、好適には1~20ミリリットル、より好適には1~5ミリリットルである;
-容器(700)には、容器(700)の満量容量の好適には10%~90%、より好適には20%~80%、より好適には30%~70%、より好適には40%~60%の液体(710)、より好適には糖または塩を含む液体(710)が事前充填されている;
-容器(700)は、0~40ミリメートル、好適には0.5~5ミリメートル、より好適には1~4ミリメートル、より好適には1.5~3ミリメートルの、ガス(712)、好適には空気のヘッドスペースを有している;
が満たされており、
以下の試験条件、すなわち:
-内側に対する容器(700)の外側の圧力が、1秒~1週間、好適には1分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間に100~1000ミリバール、好適には200~900ミリバール、より好適には300~800ミリバール、より好適には400~600ミリバール、より好適には430ミリバールだけ低下させられた;
-容器(700)は1秒~7日、好適には1分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間、-210℃~25℃、好適には-120℃~0℃、より好適には-100℃~-15℃、より好適には-90℃~-40℃、より好適には-80℃で保管された
の一方または両方が適用された後のプランジャロッドの移動量は、3ミリメートル以下、好適には2ミリメートル以下、より好適には1ミリメートル以下、より好適には0.5ミリメートル以下、より好適には0ミリメートルである、項目1から29までのいずれか1つに記載の容器。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明のさらなる詳細、利点および目的は、図面および詳細な説明から明らかになる。
図1】1つの例による容器を示す図である。
図2A図2Aおよび図2Bは、図1に示した容器のロック装置をそれぞれ異なる状態で詳細に示す図である。
図2B図2Aおよび図2Bは、図1に示した容器のロック装置をそれぞれ異なる状態で詳細に示す図である。
図3】別の例によるロック装置を詳細に示す図である。
図4】別の例によるロック装置を詳細に示す図である。
図5図5図6Bは、別の例によるロック装置をそれぞれ異なる状態で詳細に示す図である。
図6A図5図6Bは、別の例によるロック装置をそれぞれ異なる状態で詳細に示す図である。
図6B図5図6Bは、別の例によるロック装置をそれぞれ異なる状態で詳細に示す図である。
図7】別の例による容器を示す図である。
図8】それぞれ異なる作動部材のセットを示す図である。
【0065】
詳細な説明
図1には、容器100、特にシリンジが概略的に例示されている。容器100は、容器本体110とプランジャ130とを備えており、プランジャ130は、容器本体110の近位端部に設けられた開口114を介して部分的に容器本体110内へ延びている。プランジャ130は、例えば容器本体110の先端部116を介して容器本体110の内容物を送出するために、容器本体110内で可動である。
【0066】
プランジャ130は、プランジャロッド132と、プランジャロッド132の遠位端部に配置されたストッパ134とを有している。ストッパ134は、容器本体110内の可変の容量を画定する。このために、ストッパ134は容器本体110の内壁112に隣接して延びている。ストッパ134により画定される容器本体110内の容量は、ストッパ134の位置に応じて可変であり、プランジャロッド132を介して操作することにより変更することができる。プランジャ130の近位端部には、サムレスト138が設けられている。サムレスト138は、特に容器100の片手操作において、プランジャ130を内方へ押すことにより先端部116を介して内容物を送出することを容易にする。図示の例では、ストッパ134は、ねじ山136を介してプランジャロッド132に取り付けられている。ねじ山136は、プランジャロッド132を外方へ引っ張る際に、ストッパ134に引張り力が加わることを容易にする。別の例では、ストッパ134とプランジャロッド132との間の別の形式の結合が使用されている。いくつかの例では、ストッパ134はプランジャロッド132と一体に形成されている。
【0067】
上述の特徴および機能に関して、容器100は実質的に、特に薬剤および/または医療に使用するための従来のシリンジに類似している。さらに、いくつかの例では、容器本体110は、ポリマーおよび/またはガラスを含んでいる。
【0068】
容器100はさらに、ロック装置150を有している。ロック装置150は、実質的にプランジャロッド132に取り付けられており、変形可能部材152と、遠位端部156および近位端部158を有する摺動部材154と、横方向突出部160と、作動部材170とを有している。
【0069】
摺動部材154は、プランジャロッド132の長手方向延在部に対して平行に、プランジャロッド132に対して相対的に可動である。図1にプランジャロッド132に対して平行な矢印により示すように、摺動部材154を遠位方向に動かすと、摺動部材154の遠位端部156が変形可能部材152に押圧力を加える。変形可能部材152も、プランジャロッド132から延びる横方向突出部160に当接する。その結果、変形可能部材152に圧縮力が加えられることになる。
【0070】
図1に示すように、摺動部材154の遠位端部156と横方向突出部とは両方共、楔形の断面を有している。さらに図1に双方向矢印により示されているように、遠位端部156および横方向突出部の楔形の断面は、摺動部材154に加えられる長手方向の力の影響に基づき容器本体110の内壁112に向かう、変形可能部材152の変位および/または変形を生ぜしめることになる。
【0071】
変形可能部材152が内壁112に向かって変位しかつ/または変形することにより、変形可能部材152と内壁112との間の摩擦が増大させられる。その結果、容器本体110に対して相対的な、プランジャ130の長手方向での動きが阻止される。
【0072】
さらに、変形可能部材152が内壁112に向かって変位しかつ/または変形することにより、プランジャ130、特にプランジャロッド132と、容器本体110の内壁112との間のギャップが封止されることになる。その結果、容器本体110の密閉性が向上する。
【0073】
図示の例では、容器本体110、摺動部材154、変形可能部材152および横方向突出部160のそれぞれは、少なくとも実質的に半径方向において対称な形状を有している。例えば容器本体110は、いくつかの実施形態では少なくとも実質的に円筒形である。さらにいくつかの例では、摺動部材154は実質的に管形であり、変形可能部材152および横方向突出部160は、少なくとも実質的に円形および/または環形である。別の例では、容器本体110、摺動部材154、変形可能部材152および横方向突出部160のそれぞれは、少なくとも実質的に、シリンダ110の長手方向に対して直交する平面内に多角形の横断面を有している。これらのパーツそれぞれの多角形の横断面は、いくつかの例では奇数の角隅部を有する多角形に相当する。
【0074】
変形可能部材152は、実質的に環形である。したがって、摺動部材154の遠位端部156が横方向突出部160に向かって移動すると、変形可能部材152の内径が拡径させられることになる。よって、変形可能部材152の断面は、容器本体110の内壁112に向かって変位させられることになる。さらに変形可能部材152は、容器本体110の内壁112に押し付けられ、その結果、変形可能部材152の断面の変形が生ぜしめられる。
【0075】
変形可能部材152は、いくつかの例では弾性材料、例えば弾性シリコーンから製造されている。さらに、いくつかの例では、変形可能部材152は、25~80ショアAの範囲、好適には25~50ショアAの範囲、より好適には30~35ショアAの範囲のショア硬さを有している。
【0076】
さらに、いくつかの例では、ストッパ134の材料と変形可能部材152の材料とが異なっている。ストッパ134の材料は、いくつかの例ではゴム、好適にはブロモブチルゴムを含んでいる。さらに、いくつかの例では、変形可能部材152とストッパ134とは、直接には接触していない。
【0077】
上述のように、変形可能部材152に作用する押圧力が、摺動部材154を外方へ移動させることにより除去されると、変形可能部材152は、その自然な状態に戻ることになる。したがって、変形可能部材152は、容器本体110の内壁112に向かって変位されにくく、かつ容器本体110の内壁により変形されにくい状態をとることになる。その結果、変形可能部材152と内壁112との間の摩擦は低減する。したがって、容器本体110に対して相対的なプランジャ130の動きが、ロック装置150により阻止されにくくなるか、または阻止されなくなる。このようにして、摺動部材154を、摺動部材154の遠位端部156が変形可能部材152を押圧する位置から離れる方向またはこの位置に向かう方向に移動させることにより、ロック装置150はロック位置からロック解除位置に、かつその逆に変更される。
【0078】
ロック装置150はさらに、作動部材170を有している。作動部材170は、ロック解除位置とロック位置との間で可動である。さらに作動部材170は、作動部材170がロック位置にある場合には摺動部材154をロック装置150のロック位置に相応する位置に保持し、かつ作動部材170がそのロック位置からそのロック解除位置へ移動させられた場合には摺動部材154をロック装置150のロック位置に相応する位置から解放するように構成されている。
【0079】
いくつかの例では、作動部材170はさらに、作動部材170がそのロック解除位置からそのロック位置へ移動させられた場合には摺動部材154をロック装置150のロック解除位置に相応する位置からロック装置150のロック位置に相応する位置へ移動させるように構成されている。
【0080】
図1に示す例では、作動部材170は、サムレスト138と摺動部材154の近位端部158との間に配置されている。さらに図示の例では、作動部材170は、プランジャ130および摺動部材154とは別個に形成されている。いくつかの例では、作動部材170は、プランジャ130から取外し可能な別個のパーツとして形成されている。別の例では、作動部材170はプランジャ130に可動に取り付けられている。
【0081】
いくつかの例では、作動部材170はさらに、容器100の封止および/または不正エビデンスとして役立つ。このために作動部材170は、例えばスペーサの形態で、ロック装置150のロック位置に相応する位置においてプランジャ130に取り付けられており、プランジャ130から不可逆的に取外し可能である。
【0082】
図1は、ロック解除位置におけるロック装置150を示している。図1から看取され得るように、摺動部材154をロック装置150のロック位置に相応する内方へ移動させることにより、サムレスト138と摺動部材154の近位端部158との間に作動部材170を挿入することが可能になる。挿入されると、作動部材170はロック装置150をロック位置に解除可能に保持することになる。
【0083】
作動部材170は、摺動部材154の近位端部158に面した楔部172を有している。楔部172により、図1に作動部材170の隣の矢印により示すように作動部材170がサムレスト138と摺動部材154との間の位置に動かされると、摺動部材154は内方へ移動させられることになり、その結果、ロック装置150がロック位置にもたらされることになる。このように、楔部172はロックシステム150の作動を容易にする。
【0084】
図2Aおよび図2Bには、ロック解除位置およびロック位置におけるロック装置150の詳細が示されている。図1に示したものと同じ参照番号は、同じ特徴を示している。図2Aに示すように、摺動部材154の遠位端部156は、直交平面に対して所定の角度W1だけ角度付けられている。さらに横方向突出部160の面は、直交平面に対して角度W2だけ角度付けられている。角度W1,W2は、摺動部材154が横方向突出部160に向かって移動させられる長さに対する、変形可能部材152の変位の程度を決定する。一般に、選択される角度W1,W2が大きくなる程、摺動部材154に加えられる必要のある作動力は小さくなるが、ロック装置150を作動させるときに摺動部材154が移動するのに必要とされる長さは増大する。
【0085】
さらに変形可能部材152の断面は、変形可能部材152の外面に角度W3の頂部を有している。頂部を有する断面は、ロック装置150がロック位置にある場合、頂部の領域に、増大させられた局所的なロック力を生ぜしめる。これにより、局所的な摩擦が増大し、変形可能部材による封止が改良される。同時に、ロック装置150がロック解除位置にある場合の、変形可能部材152と容器本体110の内壁112との間の接触長さが効果的に減じられる。さらに、角度W3は、変形可能部材152がロック装置150のロック位置において内壁112に押し付けられた場合の、変形可能部材152の変形を画定する。選択される角度W3が大きい程、ロック装置150がロック位置にある場合の、変形可能部材152と容器本体110の内壁112との接触長さは大きくなることになる。さらに、変形可能部材152と内壁112との間の接触長さにわたる接触圧力の均一性を、角度W3の選択により調整することができる。
【0086】
図2Bには、ロック位置におけるロック装置150が示されている。図2Aに関して上述したように、変形可能部材152の外面が容器本体110の内壁112に押し付けられることにより、変形可能部材152の断面の変形が生じる。特に、弛緩状態における変形可能部材152の頂部を有する外面は、実質的に変形可能部材152の全長にわたり延在する内壁112との接触長さL_Cを生ぜしめるように変形されている。
【0087】
いくつかの例では、容器本体110は、ロック装置150がロック位置にある場合に変形可能部材152と接触する領域において、コーティングされていないか、またはシリコーンフリーコーティングされている。さらにいくつかの例では、変形可能部材152の材料は、シリコーンを含んでおり、かつ/または変形可能部材152は、シリコーンオイルフリーコーティングされており、好適には液体フリーコーティングされており、またはより好適にはコーティングされていない。
【0088】
さらにいくつかの例では、容器本体110は、ロック装置150がロック位置にある場合に変形可能部材152に接触する領域において透明である。さらに変形可能部材152の表面は、変形可能部材152の表面が容器本体110の内壁112に押し付けられた場合に変化する表面粗さ等の1つ以上の特性を有しており、これにより、容器本体110の外側から内壁112を通して見たときの変形可能部材152の視覚的な外観、例えばグレースケール画像の輝度が変化する。このことは、ユーザによるロック装置150のロック状態の検査を容易にする。
【0089】
図3には、別の例によるロック装置350の詳細が概略的に例示されている。先行の図1図2Bに示したものと同じ参照番号は、同じ特徴を示している。さらに、ロック装置150の特徴および機能に関して上述したことは、以下に特に明記しない限り、ロック装置350にも同様に適用される。
【0090】
ロック装置350において、横方向突出部360および摺動部材354の遠位端部356は角度付けられているのではなく、これらは直交平面に対して平行に形成されている。その結果、内壁112に向かう変形可能部材352の断面の変位が、摺動部材354を、ねじ山136に隣接するプランジャロッド332に取り付けられた横方向突出部360に向かって移動させることにより直接に生ぜしめられることはなくなる。その代わりに、変形可能部材352の断面の圧縮が、遠位端部356の平行な面と横方向突出部360との間で生ぜしめられることになる。このこともまた、変形可能部材352の断面の変形につながり、これにより、変形可能部材352の外側の少なくとも一部が、双方向矢印で示したように内壁112に向かって動かされることになる。
【0091】
図4には、別の例によるロック装置450の詳細が概略的に例示されている。先行の図1図3に示したものと同じ参照番号は、同じ特徴を示している。さらに、ロック装置150,350の特徴および機能に関して上述したことは、図4および以下の説明に特に明記しない限り、ロック装置450にも同様に適用される。
【0092】
ロック装置450において、摺動部材154の遠位端部156は角度付けられているのに対し、ねじ山136に隣接してプランジャロッド432から延びる横方向突出部460は角度付けられていない。さらに、変形可能部材452の断面は、実質的に円形である。
【0093】
摺動部材154が横方向突出部460に向かって移動させられると、角度付けられた遠位端部156は、変形可能部材452の隣の矢印により示されているように、容器本体110の内壁112に向かって変形可能部材452の断面の変位を生ぜしめることになる。同時に、変形可能部材452の断面の円形は、横方向突出部460に沿った変形可能部材452の摺動を容易にする。
【0094】
上記の各例では、各ロック装置の横方向突出部は、ストッパ134とは別個に形成されている。しかしながら、説明したロック装置の別の例では、横方向突出部は、特にストッパ134の近位端部において、ストッパ134と一体に形成されている。これらの例では、ストッパ134の、例えばねじ山を介したプランジャロッドへの堅固な取付け部は、ロック装置がロック位置にある場合に変形可能部材に加えられた押圧力を支持するように設けられている。
【0095】
図5には、別の例によるロック装置550の詳細が、ロック解除状態(図5の上部)およびロック状態(図5の下部)で概略的に例示されている。ロック装置150,350,450の特徴および機能に関して上述したことは、図5および以下の説明に特に明記しない限り、ロック装置550にも同様に適用される。
【0096】
ロック装置550では、少なくとも1つの作動部材570が、互いに係合する一対の楔部558,572を有しており、楔部558,572のうちの一方は、摺動部材554の近位端部558を構成するように摺動部材554と一体に形成されており、他方は、プランジャ530のサムレスト538の下面に形成されている。
【0097】
図5の上部に湾曲矢印により示すように、摺動部材554は、その長手方向軸線を中心としてプランジャロッド532に対して相対的に回転させることができる。このようにして楔部558,572の相対位置が変化させられ、その結果、摺動部材554の長手方向軸線に対して平行な、すなわち、ロック装置550の横方向突出部(図示せず)に向かうまたはロック装置550の横方向突出部(図示せず)から離れる、摺動部材554の動きが生ぜしめられる。
【0098】
図5の下部に示すように、ロック装置550のロック位置は、いくつかの例では楔部558,572の対称位置に相当する。この位置では、変形可能部材(図示せず)により摺動部材554に反力が加えられた結果として、摺動部材554に対するトルクが生じることはない。さらに、いくつかの例では、楔部558,572の間の表面摩擦は、ロック装置550をロック位置に保持するには十分である。
【0099】
図示の例では、摺動部材554は、プランジャロッド532およびサムレスト538に対して相対的に回転可能である。別の例では、楔部572は、いくつかの例ではサムレスト538と共に、摺動部材554およびプランジャロッド532に対して相対的に回転可能である。
【0100】
ロック装置550の1つの変化例では、作動部材570は、楔部558,572に代えて、螺合する一対のねじ山を有している。1つの例では、一方のねじ山は摺動部材554の遠位部分に設けられており、摺動部材554のねじ山と係合する対応するねじ山は、サムレスト538の下面に配置されているか、またはサムレスト538と摺動部材554との間に別個のパーツとして、例えば管状のスペーサとして配置されている。例えば、摺動部材554と、管状のスペーサまたはサムレスト538とをそれぞれ回転させることにより、係合しているねじ山が互いに対して相対的に回転すると、摺動部材554が変形可能部材の方向に移動する距離が変化することになる。いくつかの例では、係合している一対のねじ山を有する作動部材570は、さらに、ロック装置550により加えられるロック力を、ねじ山の相応する回転により調整するために使用可能である。
【0101】
図6Aには、別の例によるロック装置650の詳細が、ロック状態(i)、解放状態(ii)、およびロック解除状態(iii)で概略的に例示されている。ロック装置150,350,450の特徴および機能に関して上述したことは、図6および以下の説明に特に明記しない限り、ロック装置650にも同様に適用される。
【0102】
ロック装置650では、少なくとも1つの作動部材670が、少なくとも1つの弾性フィンガ672を有しており、弾性フィンガ672は、プランジャ630のサムレスト638の下面から延びており、摺動部材654の近位端部において輪郭658に係合する。
【0103】
図6Aの上部(i)に示すように、ロック装置がロック位置にある場合、弾性フィンガ672は、輪郭658が外方へ動くことを阻止する。このようにして、ロック装置650はロック位置に保たれている。
【0104】
図6Aの中間部(ii)に示すように、ユーザが手動力により摺動部材654を外方へ引っ張ると、弾性フィンガ672は折れ曲がることになり、このようにして摺動部材654を、阻止された状態から解放することになる。
【0105】
図6Aの下部(iii)に示すように、摺動部材654がロック装置650のロック解除位置に相当する位置へ移動させられると、弾性フィンガ672が輪郭658に係合することになり、これにより、摺動部材654は外方位置に引き留められる。このようにして、ロック装置650はロック解除状態に保たれる。
【0106】
図6Bには、ロック装置650のさらなる詳細が示されている。いくつかの例では図6Bに示すように、サムレスト638の下側に歯付き輪郭が設けられている。弾性フィンガ672における歯付き輪郭との組合せにより、ロック装置650のロック解除が不可逆的であるように設けることができる。
【0107】
いくつかの例では、摺動部材654を外方へ引っ張る代わりに、ユーザは単にサムレスト638を内方へ押すだけで、ロック装置650をロック解除することができる。図6Aの中間部(ii)から明らかなように、ユーザがサムレスト638を内方へ押すと、変形可能部材により引き留められた摺動部材654を除き、プランジャ630をやや内方に動かすことができる。摺動部材654に対して相対的なプランジャ630の小さな移動は、弾性フィンガ672の弾性的な性質により可能になる。また、プランジャ630の小さな移動による弾性フィンガ672の変形は、弾性フィンガ672による輪郭658の解放にもつながる。この操作は、容器およびロック装置650の片手での使用を容易にする。特に、ユーザがロック装置650およびその操作モードを知らない場合でも、例えば緊急事態において注射は成功裏に使用され得る。それというのも、ユーザは従来のシリンジの使用と異なるいかなる行動も行う必要がなく、弾性フィンガ672により加えられる抵抗を克服するために、単に増大する押圧力を加える必要があるだけだからである。
【0108】
図7には、別の例による容器700が概略的に例示されている。図1に示したものと同じ参照番号は、同じ特徴を示している。さらに、図1の上記説明は、図7に示す容器700に相応して適用される。容器700のロック装置150は、ロック位置にある。
【0109】
容器700には、液体710が予め充填されている。さらに、容器700のヘッドスペースには、ガス712、例えば空気が含まれている。
【0110】
プランジャ130の動きに関して、容器700の内容物の熱膨張および/または収縮によりプランジャ130に作用する合力は、数ある条件の中でもとりわけ、容器700に含まれる物質710,712の種類および量に左右される。
【0111】
いくつかの例では、ロック装置150の変形可能部材は、-80℃の温度で、少なくとも500ミリバール、好適には少なくとも600ミリバール、より好適には少なくとも800ミリバールの圧力差に対して、容器本体110の内壁とプランジャ130との間のギャップを封止するように構成されている。
【0112】
さらに、いくつかの例では、ロック装置150は、-20℃、好適には-50℃、より好適には-80℃の温度で500ミリバール、好適には600ミリバール、より好適には800ミリバールの圧力差が加えられた場合に、容器本体110に対して相対的なプランジャ130の動きを3ミリメートル未満、好適には2ミリメートル未満、より好適には1.5ミリメートル未満、より好適には0.5ミリメートル未満に減少させるように構成されている。
【0113】
容器700のいくつかの例では、以下のパラメータが同時に満たされる。容器本体110の満量容量は、0.5~100ミリリットル、好適には1~20ミリリットル、より好適には1~5ミリリットルである。さらに、容器700には液体710が、容器700の満量容量の10%~90%、より好適には20%~80%、より好適には30%~70%、より好適には40%~60%だけ、予め充填されている。好適には、液体710は糖または塩を含んでいる。さらに容器700は、0~10ミリメートル、好適には0.5~5ミリメートル、より好適には1~4ミリメートル、より好適には1.5~3ミリメートルの、ガス712、好適には空気のヘッドスペースを有している。さらに、以下の試験条件のうちの一方または両方が適用された後のプランジャロッドの移動量は、3ミリメートル以下、好適には2ミリメートル以下、より好適には1ミリメートル以下、より好適には0.5mm以下、より好適には0mmである。
【0114】
試験条件1:容器700の外側の圧力は、内側に対して1秒~1週間、好適には1分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間、100~1000ミリバール、好適には200~900ミリバール、より好適には300~800ミリバール、より好適には400~600ミリバール、より好適には430ミリバールだけ低下させられた。
【0115】
試験条件2:容器700は、1秒~7日、好適には1分~24時間、より好適には1時間~6時間、より好適には180分の間、-150℃~25℃、好適には-120℃~0℃、より好適には-100℃~-15℃、より好適には-90℃~-40℃、より好適には-80℃で保管された。
【0116】
図8には、作動部材870a~870dのセットが示されている。作動部材870a~870dは、例えば図1および図7に示したロック装置150に関連して、ピンの形態の作動部材170として用いるために、交換可能に使用することができる。図8において看取され得るように、作動部材870a~870dは、それらの楔形の断面の厚さに関して互いに異なっている。したがって、作動部材870a~870dのうちのいずれか1つを選択することにより、結果的に生じるロック装置のロック力を調整することができる。1つの例では、説明した形式の容器のパーツとしてのプランジャの総解放・摺動力は、作動部材870a~870dのうちの1つを相応して選択することにより調整される。
【0117】
上述したように、ロック装置の各例を、特にシリンジに関連して説明した。ただし認められるように、説明したロック装置の特徴および機能のいくつかまたは全ては、カートリッジ等の他の形式の容器に関連して相応に実施され得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【外国語明細書】