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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164331
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】パルス生成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 19/18 20060101AFI20231102BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B41J19/18 K
B41J19/18 E
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068659
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022074992
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】荒川 悠太
(72)【発明者】
【氏名】白井 陽久
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸昌
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥爾
(72)【発明者】
【氏名】法亢 昌広
【テーマコード(参考)】
2C056
2C480
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB11
2C056EB12
2C056EB35
2C056EB36
2C056EC07
2C056EC37
2C056FA10
2C056HA38
2C480CA01
2C480CA44
2C480CB02
2C480CB34
2C480DA01
2C480DB02
2C480EC03
2C480EC07
(57)【要約】
【課題】画像形成装置の画質を向上させる。
【解決手段】記録エンコーダ処理部31は、ロータリエンコーダ14から取得したエンコーダ信号に基づいて、吐出タイミングパルスを生成する。記録エンコーダ処理部31は、位置カウンタ52と調整時間算出部61と吐出時間算出部62とを備える。位置カウンタ52は、エンコーダ信号に基づいて、キャリッジの位置(以下、キャリッジ位置)を算出する。調整時間算出部61は、キャリッジ位置に基づいて、キャリッジ位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された調整時間を算出する。吐出時間算出部62は、調整時間に基づいて、吐出タイミングパルスを出力する出力タイミングを補正することによって、出力タイミングを決定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動対象へ駆動力を伝達し前記駆動対象を移動させる第1伝達部材に対し前記駆動力を伝達する第2伝達部材を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを、前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて算出されて前記出力タイミングの基準となる基準出力タイミングに対して遅延させたり前倒しさせたりして前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング調整部と
を備えるパルス生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象は、回転体であり、
前記検出信号出力部は、前記検出対象の前記変位として、前記回転体の回転を検出することにより前記検出信号を出力するように構成されるパルス生成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象の前記変位の変動周期は、前記駆動対象の前記変位の変動周期とは異なるパルス生成装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記第2伝達部材はモータを含み、
前記検出信号出力部は、前記モータの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリと、前記駆動プーリへ前記駆動力を伝達するギヤとを含み、
前記検出信号出力部は、前記ギヤまたは前記ギヤの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリを含み、
前記検出信号出力部は、前記駆動プーリまたは前記駆動プーリの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部は、駆動源から前記駆動対象へ前記駆動力が伝達される駆動力伝達経路から外れた位置に設置された回転体軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象位置を変数とする関数として設定されるパルス生成装置。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象が予め設定された初期位置に位置しているときの値を、当該パルス生成装置を搭載する装置毎に設定可能に構成されるパルス生成装置。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、複数の調整量であり、
前記タイミング調整部は、前記複数の調整量を線形結合することによって算出される結合調整量に基づいて、前記出力タイミングを遅延させたり前倒しさせたりして前記出力タイミングを決定するパルス生成装置。
【請求項11】
請求項10に記載のパルス生成装置であって、
前記複数の調整量のうち、線形結合される調整量を選択可能に構成されるパルス生成装置。
【請求項12】
請求項8に記載のパルス生成装置であって、
前記関数は、三角関数であるパルス生成装置。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータが1回転するのに要する駆動量であるパルス生成装置。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータのコギング周期であるパルス生成装置。
【請求項15】
駆動対象へ駆動力を伝達し前記駆動対象を移動させる第1伝達部材に対し前記駆動力を伝達する第2伝達部材を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを補正することによって、前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング補正部と
を備えるパルス生成装置。
【請求項16】
請求項15に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象は、回転体であり、
前記検出信号出力部は、前記検出対象の前記変位として、前記回転体の回転を検出することにより前記検出信号を出力するように構成されるパルス生成装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象の前記変位の変動周期は、前記駆動対象の前記変位の変動周期とは異なるパルス生成装置。
【請求項18】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記第2伝達部材はモータを含み、
前記検出信号出力部は、前記モータの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項19】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリと、前記駆動プーリへ前記駆動力を伝達するギヤとを含み、
前記検出信号出力部は、前記ギヤまたは前記ギヤの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項20】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリを含み、
前記検出信号出力部は、前記駆動プーリまたは前記駆動プーリの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項21】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部は、駆動源から前記駆動対象へ前記駆動力が伝達される駆動力伝達経路から外れた位置に設置された回転体軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項22】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象位置を変数とする関数として設定されるパルス生成装置。
【請求項23】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象が予め設定された初期位置に位置しているときの値を、当該パルス生成装置を搭載する装置毎に設定可能に構成されるパルス生成装置。
【請求項24】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、複数の調整量であり、
前記タイミング補正部は、前記複数の調整量を線形結合することによって算出される結合調整量に基づいて、前記出力タイミングを補正して前記出力タイミングを決定するパルス生成装置。
【請求項25】
請求項24に記載のパルス生成装置であって、
前記複数の調整量のうち、線形結合される調整量を選択可能に構成されるパルス生成装置。
【請求項26】
請求項22に記載のパルス生成装置であって、
前記関数は、三角関数であるパルス生成装置。
【請求項27】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータが1回転するのに要する駆動量であるパルス生成装置。
【請求項28】
請求項15または請求項16に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータのコギング周期であるパルス生成装置。
【請求項29】
請求項1、請求項2、請求項15および請求項16の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記駆動対象は、シートに向けてインクを吐出する吐出器を移動させる搬送装置であり、
前記タイミングパルスは、前記吐出器によって前記インクが吐出されるタイミングを示すパルス生成装置。
【請求項30】
所定方向に沿った移動方向に移動可能な駆動対象に駆動力を伝達するための回転体を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを、前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて算出されて前記出力タイミングの基準となる基準出力タイミングに対して遅延させたり前倒しさせたりして前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング調整部と
を備えるパルス生成装置。
【請求項31】
請求項30に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象の前記変位の変動周期は、前記駆動対象の前記変位の変動周期とは異なるパルス生成装置。
【請求項32】
請求項30または請求項31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記回転体はモータであり、
前記検出信号出力部は、前記モータの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項33】
請求項30または請求項31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記回転体は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトの一端に設置された駆動プーリへ前記駆動力を伝達するギヤであり、
前記検出信号出力部は、前記ギヤまたは前記ギヤの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項34】
請求項30または請求項31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記回転体は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトの一端に設置された駆動プーリであり、
前記検出信号出力部は、前記駆動プーリまたは前記駆動プーリの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項35】
請求項30または請求項31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部は、駆動源から前記駆動対象へ前記駆動力が伝達される駆動力伝達経路から外れた位置に設置された回転体軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
【請求項36】
所定方向に沿った移動方向に移動可能な駆動対象に駆動力を伝達するための回転体を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを補正することによって、前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング補正部と
を備えるパルス生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイミングパルスを生成するパルス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータ駆動によって予め設定された移動経路上を移動するキャリッジの移動に応じてパルス信号を出力するエンコーダを用いてキャリッジの位置と移動速度とを検出し、キャリッジに搭載された記録ヘッドのインク吐出タイミングを制御するように構成された画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4775222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のエンコーダを備える画像形成装置によって形成された画像上において、周期的な印刷ムラが発生し、画質が劣化することがある。
本開示は、画像形成装置の画質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、駆動対象へ駆動力を伝達し駆動対象を移動させる第1伝達部材に対し駆動力を伝達する第2伝達部材を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、位置算出部と、調整量算出部と、タイミング調整部とを備える。
【0006】
位置算出部は、検出信号出力部の検出信号に基づいて、駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成される。
調整量算出部は、位置算出部で算出された駆動対象位置に基づいて、駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成される。
【0007】
タイミング調整部は、調整量算出部で算出された少なくとも1つの調整量に基づいて、タイミングパルスを出力する出力タイミングを、検出信号出力部の検出信号に基づいて算出されて出力タイミングの基準となる基準出力タイミングに対して遅延させたり前倒しさせたりして出力タイミングを決定するように構成される。
【0008】
このように構成された本開示のパルス生成装置は、モータにより駆動される搬送装置によって移動させられる吐出器がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示すタイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置の画質を向上させることができる。
【0009】
本開示の別の態様は、駆動対象へ駆動力を伝達し駆動対象を移動させる第1伝達部材に対し駆動力を伝達する第2伝達部材を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、位置算出部と、調整量算出部と、タイミング補正部とを備える。
【0010】
タイミング補正部は、調整量算出部で算出された少なくとも1つの調整量に基づいて、タイミングパルスを出力する出力タイミングを補正することによって、出力タイミングを決定するように構成される。
【0011】
このように構成された本開示のパルス生成装置は、モータにより駆動される搬送装置によって移動させられる吐出器がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示すタイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置の画質を向上させることができる。
【0012】
本開示の更に別の態様は、所定方向に沿った移動方向に移動可能な駆動対象に駆動力を伝達するための回転体を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、位置算出部と、調整量算出部と、タイミング調整部とを備える。
【0013】
このように構成された本開示のパルス生成装置は、モータにより駆動される搬送装置によって移動させられる吐出器がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示すタイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置の画質を向上させることができる。
【0014】
本開示の更に別の態様は、所定方向に沿った移動方向に移動可能な駆動対象に駆動力を伝達するための回転体を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、位置算出部と、調整量算出部と、タイミング補正部とを備える。
【0015】
このように構成された本開示のパルス生成装置は、モータにより駆動される搬送装置によって移動させられる吐出器がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示すタイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置の画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2】印刷機構の構成を示す図である。
図3】キャリッジ速度およびモータ回転速度の時間変化を示すグラフである。
図4】第1実施形態の記録エンコーダ処理部の構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態のパルス生成方法を説明する図である。
図6】キャリッジモータ回転速度が基準回転速度より大きくなる場合における吐出タイミングを説明する図である。
図7】キャリッジモータ回転速度が基準回転速度より小さくなる場合における吐出タイミングを説明する図である。
図8】キャリッジの移動速度が基準速度と異なる場合における着弾位置のズレを説明する図である。
図9】調整時間を算出するための正弦関数を示す図である。
図10】第2実施形態の吐出タイミングパルス生成部の構成を示すブロック図である。
図11】第3,4実施形態におけるエンコーダディスクの設置位置を示す図である。
図12】ギヤの回転軸に取り付けられるエンコーダディスクの設置位置を示す図である。
図13】駆動プーリの回転軸に取り付けられるエンコーダディスクの設置位置を示す図である。
図14】駆動力伝達経路外に取り付けられるエンコーダディスクの設置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下に本開示の第1実施形態を図面とともに説明する。
(1)全体構成
本実施形態の画像形成装置1は、インクジェットプリンタであり、図1に示すように、記録ヘッド11と、キャリッジ12と、キャリッジモータ13と、ロータリエンコーダ14とを備える。
【0018】
記録ヘッド11、キャリッジ12およびキャリッジモータ13は、印刷機構15の一部を構成する。
印刷機構15は、キャリッジモータ13からの動力を受けて、記録ヘッド11を搭載するキャリッジ12を主走査方向に移動させるように構成される。主走査方向は、用紙が搬送される副走査方向と直交する方向である。
【0019】
記録ヘッド11は、インク液滴を吐出するように構成される吐出ヘッドであり、いわゆるインクジェットヘッドである。記録ヘッド11は、キャリッジ12が主走査方向に沿って用紙を横断するように移動する際、インク液滴の吐出動作を実行して用紙に画像を形成する。キャリッジモータ13は、直流モータであり、キャリッジ12を往復動させるための駆動源として機能する。
【0020】
ロータリエンコーダ14は、インクリメンタル型の光学式ロータリエンコーダであり、キャリッジ12の主走査方向における位置および速度を計測するために用いられる。
画像形成装置1は、用紙の搬送を実現するために、更に、ラインフィードモータ21と、ロータリエンコーダ22とを備える。ラインフィードモータ21は、直流モータであり、用紙を副走査方向へ搬送する搬送ローラを回転させるための駆動源として機能する。ロータリエンコーダ22は、インクリメンタル型の光学式ロータリエンコーダであり、搬送ローラの回転量および回転速度を計測するために用いられる。
【0021】
画像形成装置1は、更に、CPU2と、ROM3と、RAM4と、クロック生成部5と、ユーザインタフェース6と、通信インタフェース7と、バス8と、記録制御部16と、キャリッジモータ制御部17と、ラインフィードモータ制御部23と、エンコーダ処理部30とを備える。
【0022】
CPU2、ROM3、RAM4、クロック生成部5、ユーザインタフェース6、通信インタフェース7、記録制御部16、キャリッジモータ制御部17、ラインフィードモータ制御部23およびエンコーダ処理部30は、バス8を介して、互いにデータ入出力可能に接続される。
【0023】
CPU2は、画像形成装置1の各部を統括的に制御するように構成される。ROM3は、CPU2により実行されるコンピュータプログラムを記憶する。RAM4は、CPU2によるコンピュータプログラム実行時に作業領域として使用される。
【0024】
クロック生成部5は、ロータリエンコーダ14,22が出力するパルス信号よりも十分に周期が短いクロック信号を生成して画像形成装置1内の各部へ供給する。
ユーザインタフェース6は、ユーザにより操作可能な操作部と、ユーザに向けて各種情報を表示可能な表示部とを備える。
【0025】
通信インタフェース7は、パーソナルコンピュータ等の外部装置との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。
記録制御部16は、記録ヘッド11によるインク液滴の吐出動作を制御するように構成される。キャリッジモータ制御部17は、キャリッジモータ13によるキャリッジ12の搬送動作を制御するように構成される。ラインフィードモータ制御部23は、ラインフィードモータ21による用紙の搬送動作を制御するように構成される。
【0026】
エンコーダ処理部30は、記録エンコーダ処理部31と、搬送エンコーダ処理部32とを備える。
記録エンコーダ処理部31は、ロータリエンコーダ14から入力されるエンコーダ信号に基づき、キャリッジ12の移動方向を判定するとともに、キャリッジ12の位置および移動速度を計測する。
【0027】
搬送エンコーダ処理部32は、ロータリエンコーダ22から入力されるエンコーダ信号に基づき、用紙を搬送する搬送ローラの回転量および回転速度を計測する。
図2に示すように、印刷機構15は、キャリッジ12の通路を規定するために主走査方向に沿って延びるガイド軸41を備える。キャリッジ12は、ガイド軸41に挿通される。
【0028】
キャリッジ12は更に、ガイド軸41に沿って設けられた無端ベルト42に連結される。無端ベルト42は、ガイド軸41の一端に設置された駆動プーリ43と、ガイド軸41の他端に設置された従動プーリ44との間に巻回される。
【0029】
駆動プーリ43は、キャリッジモータ13により回転駆動され、無端ベルト42を回転させる。キャリッジ12は、無端ベルト42の回転を通じて伝達されるキャリッジモータ13の動力により、ガイド軸41に沿って主走査方向に移動する。
【0030】
ロータリエンコーダ14は、図示しない円板状のエンコーダディスクと、図示しない光学センサとを備える。
円板状のエンコーダディスクは、その中心がキャリッジモータ13の回転軸上に配置されるようにして、キャリッジモータ13に固定される。エンコーダディスクには、エンコーダディスクの同心円上に等間隔に配列された複数のエンコーダスリットが形成されている。
【0031】
光学センサは、光を照射する発光部と、エンコーダスリットを挟んで発光部と対向するように設置された受光部とを備える。これにより、ロータリエンコーダ14は、キャリッジモータ13の回転に応じ、キャリッジモータ13が予め設定された所定量回転する度に、エンコーダ信号として、所定の位相差(本実施形態では90度)を有する第1パルス信号(以下、A相信号)および第2パルス信号(以下、B相信号)を出力する。
【0032】
(2)キャリッジモータのコギング
直流モータにおいてモータ軸が一回転する間のトルクは、直流モータの構造上の理由により、駆動電流または駆動電圧が一定であっても均一ではなく、いわゆるコギングという周期的なトルク変動が生じる。このため、直流モータの回転速度は周期的に変動する。
【0033】
キャリッジモータ13は直流モータであるため、キャリッジモータ13の回転速度は、コギングに起因して周期的に変動する。
例えば図3のグラフG1に示すように、キャリッジ12が、時刻t1で、加速開始位置から加速を開始する。そして時刻t2で、キャリッジ12の移動速度(以下、キャリッジ速度)が基準速度に達すると、キャリッジ12は、減速開始位置まで基準速度で定速移動する。
【0034】
時刻t3でキャリッジ12が減速開始位置に到達すると、キャリッジ12は減速を開始する。そして時刻t4でキャリッジ速度が0になり、キャリッジ12が停止位置で停止する。
【0035】
図3のグラフG2は、キャリッジ12がグラフG1に示すように移動する場合におけるキャリッジモータ13の回転速度(以下、キャリッジモータ回転速度)の時間変化を示す。
【0036】
グラフG2に示すように、キャリッジモータ13が、時刻t1で回転駆動を開始する。そして時刻t2で、キャリッジモータ回転速度が基準回転速度に達すると、キャリッジモータ13は、基準回転速度で回転駆動するようにキャリッジモータ制御部17により制御される。しかし、キャリッジモータ回転速度は、コギングにより、基準回転速度を中心としてコギング周期で振動する。
【0037】
時刻t3でキャリッジ12が減速開始位置に到達すると、キャリッジモータ13は減速を開始する。そして時刻t4で、キャリッジモータ回転速度が0になり、キャリッジ12が停止位置で停止する。
【0038】
なお、コギングによるキャリッジモータ回転速度の変動(以下、コギング変動)は、無端ベルト42を介してキャリッジ12に伝達される前に、無端ベルト42により減衰される。このため、キャリッジ12の移動速度はコギング周期で振動せず、キャリッジ12は基準速度で定速移動する。
【0039】
(3)記録エンコーダ処理部の構成
図4に示すように、記録エンコーダ処理部31は、エンコーダエッジ検出部51と、位置カウンタ52と、周期カウンタ53と、吐出タイミングパルス生成部54と、信号処理部55とを備える。
【0040】
エンコーダエッジ検出部51は、ロータリエンコーダ14から各相パルス信号を取り込み、A相信号の立ち上がりエッジと、キャリッジモータ13の回転方向とを検出する。エンコーダエッジ検出部51は、A相信号の立ち上がりエッジを検出すると、エッジ検出信号を出力する。
【0041】
位置カウンタ52は、エンコーダエッジ検出部51が検出したキャリッジモータ13の回転方向(すなわち、キャリッジ12の移動方向)に応じて、エンコーダエッジ検出部51からエッジ検出信号が入力される度に、エッジ数カウント値をインクリメント(すなわち、1加算)またはデクリメント(すなわち、1減算)する。位置カウンタ52は、エッジ数カウント値を示す位置情報を吐出タイミングパルス生成部54および信号処理部55へ出力する。
【0042】
周期カウンタ53は、エンコーダエッジ検出部51からエッジ検出信号が入力される度に、エッジ周期カウント値を初期化する。また周期カウンタ53は、クロック生成部5からクロック信号が入力される度に、エッジ周期カウント値をインクリメントする。
【0043】
そして周期カウンタ53は、エンコーダエッジ検出部51からエッジ検出信号が入力される度に、エッジ検出信号が入力される直前のエッジ周期カウント値を示す時間情報を吐出タイミングパルス生成部54および信号処理部55へ出力する。すなわち、周期カウンタ53は、エッジ検出信号が入力される度に、前回のエッジ検出信号が入力されてから、今回のエッジ検出信号が入力されるまでの時間を計測する。
【0044】
吐出タイミングパルス生成部54は、調整時間算出部61と、吐出時間算出部62と、パルス生成部63とを備える。
調整時間算出部61は、位置カウンタ52から入力される位置情報に基づいて、調整時間delayを算出する。調整時間delayの算出方法の詳細は後述する。
【0045】
吐出時間算出部62は、周期カウンタ53から時間情報が入力される度に、入力された時間情報が示す時間(すなわち、予測時間Te)と、調整時間算出部61により算出された調整時間delayと、エンコーダ逓倍数Mとを用いて、N番目の吐出タイミングパルスの第N吐出時間ET_Nを式(1)で算出する。本実施形態では、エンコーダ逓倍数Mは4である。
【0046】
ET_N = (N-1)×(Te+delay)/M ・・・(1)
パルス生成部63は、エッジ検出信号が入力してから所定遅延時間Tdが経過した後に、1番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。さらにパルス生成部73は、1番目の吐出タイミングパルスを出力してから第N吐出時間ET_Nが経過した後に、N番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。ここでのNは、2からMまでの整数である。
【0047】
信号処理部55は、エッジ検出信号、エッジ数カウント値およびエッジ周期カウント値などの各種信号を処理し、必要に応じてCPU2へ出力する。また信号処理部55は、CPU2から入力される各種信号を処理し、記録エンコーダ処理部31内の各部へ出力する。
【0048】
CPU2から信号処理部55へ入力される信号としては、例えば、吐出タイミングパルス生成部54が吐出タイミングパルスを生成するか否かを指示する信号がある。本実施形態の画像形成装置1では、吐出タイミングパルスを必ずしも常時生成する必要があるわけではなく、吐出タイミングパルスが必要なとき(例えば、画像形成時)と不要なときとが混在する。そのため、CPU2が、信号処理部55を介して、吐出タイミングパルス生成部54へ吐出タイミングパルスを生成すべきか否かを指示する。
【0049】
吐出タイミングパルス生成部54から出力された吐出タイミングパルスは、記録制御部16に入力される。記録制御部16は、入力された吐出タイミングパルスを記録ヘッド11の動作タイミング(すなわち、インク吐出タイミング)として用い、記録ヘッド11の動作を制御する。
【0050】
次に、吐出タイミングパルス生成方法を具体的に説明する。
図5に示すように、時刻t11でA相信号の立ち上がりエッジが検出されると、時間tn-1を示す時間情報が周期カウンタ53から吐出タイミングパルス生成部54に入力される。吐出タイミングパルス生成部54は、予測時間Teと調整時間delayとを用いて予測周期Tn-1を算出する。予測周期Tn-1は、時間tn-1と調整時間delayとの和である。
【0051】
そして吐出タイミングパルス生成部54は、A相信号の立ち上がりエッジが検出されてから所定遅延時間Tdが経過した時刻t12に、1番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。
【0052】
また吐出タイミングパルス生成部54は、1番目の吐出タイミングパルスが出力されてから予測周期Tn-1の4分の1の時間が経過した時刻t13に、2番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。
【0053】
また吐出タイミングパルス生成部54は、2番目の吐出タイミングパルスが出力されてから予測周期Tn-1の4分の1の時間が経過した時刻t14に、3番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。
【0054】
また吐出タイミングパルス生成部54は、3番目の吐出タイミングパルスが出力されてから予測周期Tn-1の4分の1の時間が経過した時刻t15に、4番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。
【0055】
さらに、時刻t16でA相信号の立ち上がりエッジが検出されると、時間tを示す時間情報が周期カウンタ53から吐出タイミングパルス生成部54に入力される。吐出タイミングパルス生成部54は、時間tと調整時間delayとを用いて予測周期Tを算出する。
【0056】
そして吐出タイミングパルス生成部54は、予測周期Tの4分の1の時間間隔で、時刻t12~t15と同様にして、時刻t17,t18,t19,t20にそれぞれ、1,2,3,4番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。
【0057】
次に、コギングによりキャリッジモータ回転速度が基準回転速度より大きくなる場合における吐出タイミングを説明する。
記録ヘッド11が基準速度で移動しており且つキャリッジモータ回転速度が基準回転速度に一致している場合には、図6の枠F1内の図で示すように、時刻t30、時刻t31、時刻t32、時刻t33および時刻t34に、記録ヘッド11からインクが吐出されるとする。
【0058】
一方、記録ヘッド11が基準速度で移動しており且つキャリッジモータ回転速度が基準回転速度より大きくなる場合において、直近の時間情報のみに基づいて吐出タイミングパルスを生成すると、図6の枠F2内の図で示すように、時刻t30、時刻t35、時刻t36、時刻t37に、記録ヘッド11からインクが吐出される。
【0059】
時刻t30と時刻t35との間の時間間隔は、時刻t30と時刻t31との間の時間間隔より短い。
なお、時刻t38は、直近に算出されたキャリッジモータ回転速度から予測される吐出タイミングに対応している。キャリッジモータ回転速度が基準回転速度より大きいため、予測吐出タイミングに対応している時刻t38は、枠F1内の図で示す時刻t34よりも早い。
【0060】
枠F2内の図で示す時刻t39は、エンコーダエッジ検出部51が実際にエッジを検出するタイミングに対応する。エンコーダエッジ検出部51が実際にエッジを検出するタイミングが時刻t38より遅くなったのは、コギングによりキャリッジモータ回転速度が遅くなったためである。
【0061】
次に、コギングによりキャリッジモータ回転速度が基準回転速度より小さくなる場合における吐出タイミングを説明する。
記録ヘッド11が基準速度で移動しており且つキャリッジモータ回転速度が基準回転速度に一致している場合には、図7の枠F11内の図で示すように、時刻t50、時刻t51、時刻t52、時刻t53および時刻t54に、記録ヘッド11からインクが吐出されるとする。
【0062】
なお、時刻t54は、直近に算出されたキャリッジモータ回転速度から予測される吐出タイミングに対応している。記録ヘッド11が基準速度で移動しており且つキャリッジモータ回転速度が基準回転速度に一致しているため、予測される吐出タイミングに一致する時刻t54にインクが吐出される。
【0063】
一方、記録ヘッド11が基準速度で移動しており且つキャリッジモータ回転速度が基準回転速度より小さくなる場合において、直近の時間情報のみに基づいて吐出タイミングパルスを生成すると、図7の枠F12内の図で示すように、時刻t50、時刻t55、時刻t56、時刻t57に、記録ヘッド11からインクが吐出される。
【0064】
時刻t50と時刻t55との間の時間間隔は、時刻t50と時刻t51との間の時間間隔より長い。
なお、時刻t58は、直近に算出されたキャリッジモータ回転速度から予測される吐出タイミングに対応している。キャリッジモータ回転速度が基準回転速度より小さいため、予測吐出タイミングに対応している時刻t58は、枠F1内の図で示す時刻t54よりも遅い。
【0065】
枠F12内の図で示す時刻t59は、エンコーダエッジ検出部51が実際にエッジを検出するタイミングに対応する。エンコーダエッジ検出部51が実際にエッジを検出するタイミングが時刻t58より遅くなったのは、コギングによりキャリッジモータ回転速度が遅くなったためである。
【0066】
次に、例えばエンコーダ同軸度ズレに起因してキャリッジモータ回転速度が周期的に変動し、この変動がキャリッジ12に実際に伝わる場合における着弾位置ズレを説明する。エンコーダ同軸度ズレとは、ロータリエンコーダ14のエンコーダディスクの中心軸とキャリッジモータ13の回転軸とが、ズレていることをいう。
【0067】
記録ヘッド11が基準速度で移動している場合には、図8の枠F21内の図で示すように、記録ヘッド11は、吐出タイミングが早い順に、吐出位置P0,P1,P2,P3,P4でインクを吐出する。
【0068】
吐出位置P0,P1,P2,P3,P4で吐出されたインクはそれぞれ、シート上における着弾位置P10,P11,P12,P13,P14に到達する。
また、記録ヘッド11が基準速度より速く移動している場合には、記録ヘッド11の移動速度に応じて、記録ヘッド11が基準速度で移動しているときの吐出位置と一致するように吐出タイミングが調整され、記録ヘッド11は、吐出タイミングが早い順に、吐出位置P0,P1,P2,P3,P4でインクを吐出する。
【0069】
しかし、記録ヘッド11が基準速度より速く移動しているため、記録ヘッド11がインクを吐出した時のインクの移動速度も基準速度より速くなる。このため、吐出位置P0,P1,P2,P3,P4で吐出されたインクはそれぞれ、シート上における着弾位置P20,P21,P22,P23,P24に到達する。
【0070】
着弾位置P20,P21,P22,P23,P24はそれぞれ、吐出位置P0,P1,P2,P3,P4を起点として着弾位置P10,P11,P12,P13,P14よりも遠い。このため、記録ヘッド11が基準速度より速く移動している場合には、記録ヘッド11が基準速度で移動している場合よりも、吐出タイミングを早くする必要がある。
【0071】
また、記録ヘッド11が基準速度より遅く移動している場合には、図8の枠F22内の図で示すように、記録ヘッド11の移動速度に応じて、記録ヘッド11が基準速度で移動しているときの吐出位置と一致するように吐出タイミングが調整され、記録ヘッド11は、吐出タイミングが早い順に、吐出位置P0,P1,P2,P3,P4でインクを吐出する。
【0072】
しかし、記録ヘッド11が基準速度より遅く移動しているため、記録ヘッド11がインクを吐出した時のインクの移動速度も基準速度より遅くなる。このため、吐出位置P0,P1,P2,P3,P4で吐出されたインクはそれぞれ、シート上における着弾位置P30,P31,P32,P33,P34に到達する。
【0073】
着弾位置P30,P31,P32,P33,P34はそれぞれ、吐出位置P0,P1,P2,P3,P4を起点として着弾位置P10,P11,P12,P13,P14よりも近い。このため、記録ヘッド11が基準速度より遅く移動している場合には、記録ヘッド11が基準速度で移動している場合よりも、吐出タイミングを遅くする必要がある。
【0074】
次に、調整時間算出部61が調整時間delayを算出する方法を説明する。
調整時間算出部61は、調整時間delayを式(2)および式(3)で算出する。式(2)におけるnは、1以上の整数である。式(2)におけるa,a,a,・・・,aは、係数である。式(3)におけるiは、n以下の整数である。式(3)におけるNは、キャリッジモータ13の回転回数であり、0以上の整数である。
【0075】
【数1】
【0076】
図9に示すように、第i調整時間dは、キャリッジ12の位置X(以下、キャリッジ位置X)を変数として振幅Aおよび周期Pで振動する正弦関数で表される。式(3)におけるXsは、キャリッジ12の初期位置である。
【0077】
本実施形態では、例えば、第1調整時間dの周期Pは22mm、第2調整時間dの周期Pは2.2mm、第3調整時間dの周期Pは1mm、第4調整時間dの周期Pは4.4mm、第5調整時間dの周期Pは(37.7+α)mmに設定されている。
【0078】
第1調整時間dの周期Pは、キャリッジモータ13が1回転することによりキャリッジ12が移動する距離に対応している。すなわち、第1調整時間dは、例えばエンコーダ同軸度ズレに起因したキャリッジモータ回転速度の周期的な変動を調整するための時間である。
【0079】
第2調整時間dの周期Pは、コギング距離に対応する。コギング距離は、キャリッジモータ13が1回転することによりキャリッジ12が移動する距離を、キャリッジモータ13のステータの磁石の数とキャリッジモータ13のロータの分割数との積で除した値である。
【0080】
例えば、キャリッジモータ13のステータの磁石の数が「5」であり、キャリッジモータ13のロータの分割数が「2」であるとする。なお、ロータが1つのN極と1つのS極とで構成されている場合には、ロータの分割数は「2」である。この場合のコギング距離は、22/(2×5)=2.2[mm]である。
【0081】
第3調整時間dの周期Pは、無端ベルト42のベルトピッチに対応する。ベルトピッチは、無端ベルト42の周方向に沿って等間隔に形成されている複数の歯の配置間隔である。
【0082】
第4調整時間dの周期Pは、キャリッジモータ13がステータの磁石の配置間隔に相当する角度だけ回転することによりキャリッジ12が移動する距離に対応している。キャリッジモータ13のステータの磁石の数が「5」である場合には、上記の距離は、22/5=4.4[mm]である。
【0083】
第5調整時間dの周期Pは、従動プーリ44の中心軸と従動プーリ44の回転軸とがズレているときにおいて従動プーリ44が1回転することによりキャリッジ12が移動する距離に対応している。本実施形態では、従動プーリ44の円周長が37.7mmである。すなわち、従動プーリ44の軸ズレによって、周期Pは37.7[mm]よりα[mm]だけ長くなる。
【0084】
画像形成装置1が複数台製造される場合には、キャリッジ12の初期位置Xs(i=1~n)は、複数の画像形成装置1毎に変動する可能性があるため、初期位置Xs(i=1~n)は、複数の画像形成装置1毎に設定される。
【0085】
(4)効果
このように構成された記録エンコーダ処理部31は、キャリッジ12が予め設定された所定量移動する度にエンコーダ信号を出力するように構成されたロータリエンコーダ14から取得したエンコーダ信号に基づいて、吐出タイミングパルスを生成する。
【0086】
記録エンコーダ処理部31は、位置カウンタ52と、調整時間算出部61と、吐出時間算出部62とを備える。
位置カウンタ52は、ロータリエンコーダ14のエンコーダ信号に基づいて、キャリッジ12の位置(以下、キャリッジ位置)を算出するように構成される。
【0087】
調整時間算出部61は、位置カウンタ52で算出されたキャリッジ位置に基づいて、キャリッジ位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された第1~5調整時間d~dを算出するように構成される。
【0088】
吐出時間算出部62は、調整時間算出部61で算出された第1~5調整時間d~dに基づいて、吐出タイミングパルスを出力する出力タイミングを補正することによって、出力タイミングを決定するように構成される。
【0089】
このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13により駆動されるキャリッジ12によって移動させられる記録ヘッド11がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示す吐出タイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置1の画質を向上させることができる。
【0090】
第1~5調整時間d~dは、キャリッジ位置Xを変数とする関数として設定される。
第1~5調整時間d~dはそれぞれ、キャリッジ12が予め設定された初期位置Xs~Xsに位置しているときの値を、記録エンコーダ処理部31を搭載する画像形成装置1毎に設定可能に構成される。これにより、記録エンコーダ処理部31は、画像形成装置1毎に適切な第1~5調整時間d~dを算出することができる。
【0091】
吐出時間算出部62は、第1~5調整時間d~dを線形結合することによって算出される調整時間delayに基づいて、出力タイミングを補正して出力タイミングを決定する。このような記録エンコーダ処理部31は、複数の周期的変動に起因した印刷ムラの発生を抑制し、画像形成装置1の画質を向上させることができる。
【0092】
記録エンコーダ処理部31は、係数a~aの少なくとも1つを0に設定することにより、第1~5調整時間d~dのうち、線形結合される調整時間を選択可能に構成される。このような記録エンコーダ処理部31は、第1~5調整時間d~dのうち、周期的な印刷ムラを抑制するために必要な調整時間を選択することができる。
【0093】
第1調整時間dの周期Pは、キャリッジモータ13が1回転することによりキャリッジ12が移動する距離である。このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13の回転周期に対応する印刷ムラの発生を抑制することができる。
【0094】
第2調整時間dの周期Pは、キャリッジ12を駆動するキャリッジモータ13のコギング周期である。このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13のコギングに起因した印刷ムラの発生を抑制することができる。
【0095】
以上説明した実施形態において、記録エンコーダ処理部31はパルス生成装置に相当し、キャリッジ12は駆動対象に相当し、エンコーダ信号は検出信号に相当し、ロータリエンコーダ14は検出信号出力部に相当し、吐出タイミングパルスはタイミングパルスに相当する。
【0096】
また、位置カウンタ52は位置算出部に相当し、調整時間算出部61は調整量算出部に相当し、第1~5調整時間d~dは少なくとも1つの調整量に相当し、吐出時間算出部62はタイミング補正部に相当する。
【0097】
また、キャリッジモータ13が1回転することによりキャリッジ12が移動する距離はモータが1回転するのに要する駆動量に相当し、記録ヘッド11は吐出器に相当し、キャリッジ12は搬送装置に相当する。
【0098】
[第2実施形態]
以下に本開示の第2実施形態を図面とともに説明する。なお第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
【0099】
第2実施形態の画像形成装置1は、吐出タイミングパルス生成部54の構成が変更された点が第1実施形態と異なる。
図10に示すように、第2実施形態の吐出タイミングパルス生成部54は、調整時間算出部71と、吐出時間算出部72と、パルス生成部73とを備える。
【0100】
調整時間算出部71は、調整時間算出部61と同様にして、位置カウンタ52から入力される位置情報に基づいて、調整時間delayを算出する。
吐出時間算出部72は、周期カウンタ53から時間情報が入力される度に、入力された時間情報が示す時間(すなわち、予測時間Te)と、調整時間算出部71から入力された調整時間delayとを用いて、N番目の吐出タイミングパルスの第N吐出時間ET_Nを式(4)で算出する。
【0101】
ET_N = (N-1)×Te/M + delay ・・・(4)
パルス生成部73は、エッジ検出信号が入力してから所定遅延時間Tdが経過した後に、1番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。さらにパルス生成部73は、1番目の吐出タイミングパルスを出力してから第N吐出時間ET_Nが経過した後に、N番目の吐出タイミングパルスを生成して出力する。ここでのNは、2からMまでの整数である。
【0102】
このように構成された記録エンコーダ処理部31は、位置カウンタ52と、調整時間算出部71と、吐出時間算出部72とを備える。
調整時間算出部71は、位置カウンタ52で算出されたキャリッジ位置に基づいて、キャリッジ位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された第1~5調整時間d~dを算出するように構成される。
【0103】
吐出時間算出部72は、調整時間算出部61で算出された第1~5調整時間d~dに基づいて、吐出タイミングパルスを出力する出力タイミングを、ロータリエンコーダ14のエンコーダ信号に基づいて算出されて出力タイミングの基準となる基準出力タイミングに対して遅延させたり前倒しさせたりして出力タイミングを決定するように構成される。基準出力タイミングは、(N-1)×Te/Mで特定されるタイミングである。
【0104】
このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13により駆動されるキャリッジ12によって移動させられる記録ヘッド11がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示す吐出タイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置1の画質を向上させることができる。
【0105】
第1~5調整時間d~dは、キャリッジ位置Xを変数とする関数として設定される。
第1~5調整時間d~dはそれぞれ、キャリッジ12が予め設定された初期位置Xs~Xsに位置しているときの値を、記録エンコーダ処理部31を搭載する画像形成装置1毎に設定可能に構成される。これにより、記録エンコーダ処理部31は、画像形成装置1毎に適切な第1~5調整時間d~dを算出することができる。
【0106】
吐出時間算出部72は、第1~5調整時間d~dを線形結合することによって算出される調整時間delayに基づいて、出力タイミングを遅延させたり前倒しさせたりして出力タイミングを決定する。このような記録エンコーダ処理部31は、複数の周期的変動に起因した印刷ムラの発生を抑制し、画像形成装置1の画質を向上させることができる。
【0107】
記録エンコーダ処理部31は、係数a~aの少なくとも1つを0に設定することにより、第1~5調整時間d~dのうち、線形結合される調整時間を選択可能に構成される。このような記録エンコーダ処理部31は、第1~5調整時間d~dのうち、周期的な印刷ムラを抑制するために必要な調整時間を選択することができる。
【0108】
第1調整時間dの周期Pは、キャリッジモータ13が1回転することによりキャリッジ12が移動する距離である。このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13の回転周期に対応する印刷ムラの発生を抑制することができる。
【0109】
第2調整時間dの周期Pは、キャリッジ12を駆動するキャリッジモータ13のコギング周期である。このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13のコギングに起因した印刷ムラの発生を抑制することができる。
【0110】
以上説明した実施形態において、調整時間算出部71は調整量算出部に相当し、吐出時間算出部72はタイミング補正部に相当する。
[第3実施形態]
以下に本開示の第3実施形態を図面とともに説明する。
【0111】
第3実施形態では、第1実施形態の画像形成装置1の印刷機構15の構成を詳細に説明する。
図11に示すように、印刷機構15は、上記のガイド軸41、無端ベルト42、駆動プーリ43および従動プーリ44に加えて、ギヤ45,46,47,48を備える。
【0112】
ギヤ45は、キャリッジモータ13の回転軸13aに取り付けられる。ギヤ46は、ギヤ45と対向するようにしてキャリッジモータ13の回転軸13aに取り付けられる。
ギヤ47は、ギヤ45とギヤ46との間に設置され、ギヤ45およびギヤ46に噛み合う。
【0113】
このため、キャリッジモータ13の回転駆動力がギヤ45,46,47を介して駆動プーリ43に伝達されて駆動プーリ43が回転することにより、駆動プーリ43とともに無端ベルト42を回転し、キャリッジ12がガイド軸41に沿って移動する。
【0114】
ギヤ48は、ギヤ46を挟んでギヤ47とは反対側に設置され、ギヤ46に噛み合う。
ロータリエンコーダ14のエンコーダディスク14aは、キャリッジモータ13の回転軸13aに取り付けられる。このため、ロータリエンコーダ14は、キャリッジモータ13が所定量回転する度に、エンコーダ信号を出力する。
【0115】
このように構成された記録エンコーダ処理部31は、キャリッジ12へ駆動力を伝達しキャリッジ12を移動させる無端ベルト42に対し駆動力を伝達するキャリッジモータ13、駆動プーリ43およびギヤ45,46,47,48を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度にエンコーダ信号を出力するように構成されたロータリエンコーダ14から取得したエンコーダ信号に基づいて、吐出タイミングパルスを生成する。ロータリエンコーダ14は、検出対象の変位として、キャリッジモータ13の回転を検出することによりエンコーダ信号を出力するように構成される。
【0116】
また記録エンコーダ処理部31は、主走査方向に沿った移動方向に移動可能な駆動対象に駆動力を伝達するためのキャリッジモータ13を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度にエンコーダ信号を出力するように構成されたロータリエンコーダ14から取得したエンコーダ信号に基づいて、吐出タイミングパルスを生成する。
【0117】
なお、上述のように、キャリッジモータ回転速度は、コギングにより、基準回転速度を中心としてコギング周期で振動する。また、キャリッジ12の移動速度はコギング周期で振動せず、キャリッジ12は基準速度で定速移動する。このため、キャリッジモータ13の変位の変動周期は、キャリッジ12の前記変位の変動周期とは異なる。
【0118】
記録エンコーダ処理部31は、位置カウンタ52と、調整時間算出部61と、吐出時間算出部62とを備える。
このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13により駆動されるキャリッジ12によって移動させられる記録ヘッド11がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示す吐出タイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置1の画質を向上させることができる。
【0119】
以上説明した実施形態において、無端ベルト42は第1伝達部材に相当し、キャリッジモータ13、駆動プーリ43およびギヤ45,46,47,48は第2伝達部材に相当し、主走査方向は所定方向に相当し、キャリッジモータ13は回転体に相当する。
【0120】
[第4実施形態]
以下に本開示の第4実施形態を図面とともに説明する。
第4実施形態では、第2実施形態の画像形成装置1の印刷機構15の構成を詳細に説明する。
【0121】
図11に示すように、印刷機構15は、上記のガイド軸41、無端ベルト42、駆動プーリ43および従動プーリ44に加えて、ギヤ45,46,47,48を備える。
第4実施形態のギヤ45,46,47,48は、第3実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0122】
ロータリエンコーダ14のエンコーダディスク14aは、第3実施形態と同様に、キャリッジモータ13の回転軸13aに取り付けられる。このため、ロータリエンコーダ14は、キャリッジモータ13が所定量回転する度に、エンコーダ信号を出力する。
【0123】
このように構成された記録エンコーダ処理部31は、キャリッジ12へ駆動力を伝達しキャリッジ12を移動させる無端ベルト42に対し駆動力を伝達するキャリッジモータ13、駆動プーリ43およびギヤ45,46,47を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度にエンコーダ信号を出力するように構成されたロータリエンコーダ14から取得したエンコーダ信号に基づいて、吐出タイミングパルスを生成する。
【0124】
また記録エンコーダ処理部31は、所定方向に沿った移動方向に移動可能なキャリッジ12に駆動力を伝達するためのキャリッジモータ13を検出対象とし、検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度にエンコーダ信号を出力するように構成されたロータリエンコーダ14から取得したエンコーダ信号に基づいて、吐出タイミングパルスを生成する。
【0125】
なお、上述のように、キャリッジモータ回転速度は、コギングにより、基準回転速度を中心としてコギング周期で振動する。また、キャリッジ12の移動速度はコギング周期で振動せず、キャリッジ12は基準速度で定速移動する。このため、キャリッジモータ13の変位の変動周期は、キャリッジ12の前記変位の変動周期とは異なる。
【0126】
記録エンコーダ処理部31は、位置カウンタ52と、調整時間算出部71と、吐出時間算出部72とを備える。
このような記録エンコーダ処理部31は、キャリッジモータ13により駆動されるキャリッジ12によって移動させられる記録ヘッド11がシートに向けてインクを吐出する吐出タイミングを示す吐出タイミングパルスを生成する場合に、周期的な印刷ムラの発生を抑制することができるため、画像形成装置1の画質を向上させることができる。
【0127】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
[変形例1]
上記実施形態では、時間情報が、キャリッジモータ13が所定量回転するのに要するクロック数である形態を示した。しかし、時間情報は、キャリッジモータ13が所定量回転するのに要する時間を示す情報であればよい。
【0128】
[変形例2]
上記実施形態では、第1~5調整時間d~dが正弦関数で表される形態を示した。しかし、第1~5調整時間d~dが、その他の三角関数(例えば、余弦関数)で表されてもよい。
【0129】
[変形例3]
上記第3,4実施形態では、エンコーダディスク14aがキャリッジモータ13の回転軸13aに取り付けられる形態を示した。しかし、図12に示すように、エンコーダディスク14aは、ギヤ47の回転軸47aに取り付けられるようにしてもよい。またエンコーダディスク14aは、ギヤ47に取り付けられるようにしてもよい。これにより、ロータリエンコーダ14は、ギヤ47が所定量回転する度に、エンコーダ信号を出力する。ギヤ47は回転体に相当する。
【0130】
[変形例4]
上記第3,4実施形態では、エンコーダディスク14aがキャリッジモータ13の回転軸13aに取り付けられる形態を示した。しかし、図13に示すように、エンコーダディスク14aは、駆動プーリ43の回転軸43aに取り付けられるようにしてもよい。またエンコーダディスク14aは、駆動プーリ43に取り付けられるようにしてもよい。これにより、ロータリエンコーダ14は、駆動プーリ43が所定量回転する度に、エンコーダ信号を出力する。駆動プーリ43は回転体に相当する。
【0131】
[変形例5]
上記第3,4実施形態では、エンコーダディスク14aがキャリッジモータ13の回転軸13aに取り付けられる形態を示した。しかし、図14に示すように、エンコーダディスク14aは、ギヤ48の回転軸48aに取り付けられるようにしてもよい。すなわち、エンコーダディスク14aは、キャリッジモータ13からキャリッジ12へ駆動力が伝達される駆動力伝達経路から外れた位置に設置されたギヤ48の回転軸48aに取り付けられる。ギヤ48は回転体に相当し、ギヤ48の回転軸48aは回転体軸に相当する。
【0132】
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0133】
上記の説明においては、記録制御部16、キャリッジモータ制御部17、ラインフィードモータ制御部23およびエンコーダ処理部30はそれぞれ独立の構成要素として記載されていた。しかしながら、例えば、CPU2、ROM3、RAM4を有するコントローラが、記録制御部16、キャリッジモータ制御部17、ラインフィードモータ制御部23およびエンコーダ処理部30の機能を実現してもよい。
【0134】
上述した記録エンコーダ処理部31の他、当該記録エンコーダ処理部31を構成要素とするシステム、当該記録エンコーダ処理部31としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、パルス生成方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
駆動対象へ駆動力を伝達し前記駆動対象を移動させる第1伝達部材に対し前記駆動力を伝達する第2伝達部材を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを、前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて算出されて前記出力タイミングの基準となる基準出力タイミングに対して遅延させたり前倒しさせたりして前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング調整部と
を備えるパルス生成装置。
[項目2]
項目1に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象は、回転体であり、
前記検出信号出力部は、前記検出対象の前記変位として、前記回転体の回転を検出することにより前記検出信号を出力するように構成されるパルス生成装置。
[項目3]
項目1または項目2に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象の前記変位の変動周期は、前記駆動対象の前記変位の変動周期とは異なるパルス生成装置。
[項目4]
項目1~項目3の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記第2伝達部材はモータを含み、
前記検出信号出力部は、前記モータの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目5]
項目1~項目3の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリと、前記駆動プーリへ前記駆動力を伝達するギヤとを含み、
前記検出信号出力部は、前記ギヤまたは前記ギヤの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目6]
項目1~項目3の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリを含み、
前記検出信号出力部は、前記駆動プーリまたは前記駆動プーリの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目7]
項目1~項目3の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部は、駆動源から前記駆動対象へ前記駆動力が伝達される駆動力伝達経路から外れた位置に設置された回転体軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目8]
項目1~項目7の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象位置を変数とする関数として設定されるパルス生成装置。
[項目9]
項目1~項目7の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象が予め設定された初期位置に位置しているときの値を、当該パルス生成装置を搭載する装置毎に設定可能に構成されるパルス生成装置。
[項目10]
項目1~項目9の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、複数の調整量であり、
前記タイミング調整部は、前記複数の調整量を線形結合することによって算出される結合調整量に基づいて、前記出力タイミングを遅延させたり前倒しさせたりして前記出力タイミングを決定するパルス生成装置。
[項目11]
項目10に記載のパルス生成装置であって、
前記複数の調整量のうち、線形結合される調整量を選択可能に構成されるパルス生成装置。
[項目12]
項目8に記載のパルス生成装置であって、
前記関数は、三角関数であるパルス生成装置。
[項目13]
項目1~項目12の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータが1回転するのに要する駆動量であるパルス生成装置。
[項目14]
項目1~項目12の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータのコギング周期であるパルス生成装置。
[項目15]
駆動対象へ駆動力を伝達し前記駆動対象を移動させる第1伝達部材に対し前記駆動力を伝達する第2伝達部材を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを補正することによって、前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング補正部と
を備えるパルス生成装置。
[項目16]
項目15に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象は、回転体であり、
前記検出信号出力部は、前記検出対象の前記変位として、前記回転体の回転を検出することにより前記検出信号を出力するように構成されるパルス生成装置。
[項目17]
項目15または項目16に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象の前記変位の変動周期は、前記駆動対象の前記変位の変動周期とは異なるパルス生成装置。
[項目18]
項目15~項目17の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記第2伝達部材はモータを含み、
前記検出信号出力部は、前記モータの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目19]
項目15~項目17の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリと、前記駆動プーリへ前記駆動力を伝達するギヤとを含み、
前記検出信号出力部は、前記ギヤまたは前記ギヤの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目20]
項目15~項目17の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記第1伝達部材は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトであり、
前記第2伝達部材は、前記無端ベルトの一端に設置された駆動プーリを含み、
前記検出信号出力部は、前記駆動プーリまたは前記駆動プーリの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目21]
項目15~項目17の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部は、駆動源から前記駆動対象へ前記駆動力が伝達される駆動力伝達経路から外れた位置に設置された回転体軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目22]
項目15~項目21の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象位置を変数とする関数として設定されるパルス生成装置。
[項目23]
項目15~項目21の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、前記駆動対象が予め設定された初期位置に位置しているときの値を、当該パルス生成装置を搭載する装置毎に設定可能に構成されるパルス生成装置。
[項目24]
項目15~項目23の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量は、複数の調整量であり、
前記タイミング補正部は、前記複数の調整量を線形結合することによって算出される結合調整量に基づいて、前記出力タイミングを補正して前記出力タイミングを決定するパルス生成装置。
[項目25]
項目24に記載のパルス生成装置であって、
前記複数の調整量のうち、線形結合される調整量を選択可能に構成されるパルス生成装置。
[項目26]
項目22に記載のパルス生成装置であって、
前記関数は、三角関数であるパルス生成装置。
[項目27]
項目15~項目26の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータが1回転するのに要する駆動量であるパルス生成装置。
[項目28]
項目15~項目26の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記少なくとも1つの調整量の周期は、前記駆動対象へ伝達される前記駆動力を発生させるモータのコギング周期であるパルス生成装置。
[項目29]
項目1~項目28の何れか1項に記載のパルス生成装置であって、
前記駆動対象は、シートに向けてインクを吐出する吐出器を移動させる搬送装置であり、
前記タイミングパルスは、前記吐出器によって前記インクが吐出されるタイミングを示すパルス生成装置。
[項目30]
所定方向に沿った移動方向に移動可能な駆動対象に駆動力を伝達するための回転体を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを、前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて算出されて前記出力タイミングの基準となる基準出力タイミングに対して遅延させたり前倒しさせたりして前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング調整部と
を備えるパルス生成装置。
[項目31]
項目30に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象の前記変位の変動周期は、前記駆動対象の前記変位の変動周期とは異なるパルス生成装置。
[項目32]
項目30または項目31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記回転体はモータであり、
前記検出信号出力部は、前記モータの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目33]
項目30または項目31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記回転体は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトの一端に設置された駆動プーリへ前記駆動力を伝達するギヤであり、
前記検出信号出力部は、前記ギヤまたは前記ギヤの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目34]
項目30または項目31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出対象である前記回転体は、前記駆動対象の移動方向に沿って設置された無端ベルトの一端に設置された駆動プーリであり、
前記検出信号出力部は、前記駆動プーリまたは前記駆動プーリの回転軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目35]
項目30または項目31に記載のパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部は、駆動源から前記駆動対象へ前記駆動力が伝達される駆動力伝達経路から外れた位置に設置された回転体軸に取り付けられたエンコーダディスクを備えるエンコーダであるパルス生成装置。
[項目36]
所定方向に沿った移動方向に移動可能な駆動対象に駆動力を伝達するための回転体を検出対象とし、前記検出対象による予め設定された所定量の変位を検出する度に検出信号を出力するように構成された検出信号出力部から取得した前記検出信号に基づいて、タイミングパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記検出信号出力部の前記検出信号に基づいて、前記駆動対象の位置である駆動対象位置を算出するように構成された位置算出部と、
前記位置算出部で算出された前記駆動対象位置に基づいて、前記駆動対象位置に対して値が周期的に変化するように予め設定された少なくとも1つの調整量を算出するように構成された調整量算出部と、
前記調整量算出部で算出された前記少なくとも1つの調整量に基づいて、前記タイミングパルスを出力する出力タイミングを補正することによって、前記出力タイミングを決定するように構成されたタイミング補正部と
を備えるパルス生成装置。
【符号の説明】
【0135】
12…キャリッジ、13…キャリッジモータ、14…ロータリエンコーダ、31…記録エンコーダ処理部、42…無端ベルト、43…駆動プーリ、45,46,47,48…ギヤ、52…位置カウンタ、61…調整時間算出部、62…吐出時間算出部、71…調整時間算出部、72…吐出時間算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14