(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164335
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】車室を改良した自動車
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B62D25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068928
(22)【出願日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102022000008570
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラビオ マンゾーニ
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ デ ペトリス
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB06
3D203BB55
3D203BB59
3D203BC03
3D203BC04
3D203DA15
3D203DA32
3D203DA37
3D203DA38
3D203DA55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車の両側にピラーがない場合でも、簡単かつ経済的な方法でシートベルト拘束システムを設置可能な自動車を提供すること。
【解決手段】一対の前輪(2)、一対の後輪(3)、並びに、フロア(6)、フロントフード(7)、ルーフ(8)、及びフロントフード(7)とルーフ(8)との間に延在するフロントガラス(9)を有する外装体(4)を備える自動車(1)。自動車(1)は、前輪と後輪(2、3)との間で外装体(4)内に得られ、フロントガラス(9)によって前方に区切られ、少なくとも1つの運転者席(15)と少なくとも1つのフロント乗員席とを左右に画定する車室(5)を更に備える。有利には、自動車(1)は、車室(5)の内部に、フロア(6)とルーフ(8)との間に延在し、運転者席(15)とフロント乗員席との間の、車室(5)の長手方向軸線(A)の中間領域に配置された、センターピラー(20)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
一対の前輪(2)及び一対の後輪(3)と、
フロア(6)、フロントフード(7)、ルーフ(8)、及び前記フロントフード(7)と前記ルーフ(8)との間に延在するフロントガラス(9)を有する外装体(4)と、
前記前輪と後輪(2、3)との間で前記外装体(4)の内部に得られる車室(5)であって、前記フロントガラス(9)によって前方で区切られ、少なくとも1つの運転者席(15)及び少なくとも1つのフロント乗員席(16)を左右に画定する車室(5)と、を備え、
前記フロア(6)と前記ルーフ(8)との間で前記車室(5)の内部に完全に延在し、前記運転者席(15)と前記フロント乗員席(16)との間で、前記車室(5)自体の長手方向軸線(A)の中間に配置された、センターピラー(20)を更に備えることを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記外装体(4)が、前記フロントフード(7)の両側に延在する2つのフロント側部(10)と、それぞれの前記フロント側部(10)と位置合わせされ、離間された2つの対向するリア側部(11)とを更に備え、前記フロント側部(10)及び対応する前記リア側部(11)のそれぞれが、前記フロア(6)及び前記ルーフ(8)と共に、それら自体の間に、単一の完全に開放されたサイドドア開口部(24)を境界付ける、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記外装体(4)が、前記フロントガラス(9)を横方向に収容し、前記ルーフ(8)に接触するまでそれぞれの前記フロント側部(10)から上方に突出する、2つのフロントガラスピラー(14)を更に備え、前記単一のサイドドア開口部(24)も、それぞれの前記フロントガラスピラー(14)によって横方向に境界付けられる、請求項2に記載の自動車。
【請求項4】
前記センターピラー(20)が、前記長手方向軸線(A)に平行な実質的にプレート状の主要部(21)、並びに、前記主要部(21)から前記ルーフ(8)に向かって分岐する上端部(22)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項5】
前記車室(5)が、前記運転者席(15)と前記フロント乗員席(16)との間に、中央中空部(19)を有し、前記センターピラー(20)が、前記中央中空部(19)から前記ルーフ(8)まで延在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項6】
前記ルーフ(8)が、前部(26)及び後部(27)に対して横方向に狭くなった中央部(25)を有し、前記センターピラー(20)が、前記ルーフ(8)の前記狭くなった中央部(25)に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項7】
前記車室(5)が、前記長手方向軸線(A)の両側に配置された、少なくとも2つのリア乗員席(17)を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項8】
前記センターピラー(20)が、その両側面に、前記運転者席(15)及び前記フロント乗員席(16)用のシートベルト拘束システムを固定するための、それぞれの支持体を画定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2022年4月29日に出願されたイタリア特許出願第102022000008570号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、特に4席又は5席のシートを備えるような、改良された車室を有する自動車に関し、以下の説明においては明示的にそれを参照するが、そのために一般性を失うことはない。
【背景技術】
【0003】
知られているように、自動車は、2つの前輪及び2つの後輪を有し、かつ、外装体、及び外装体の内部で前輪と後輪との間にある、車室を備える。
【0004】
特に、4席又は5席のシートを備える自動車が知られており、各側面に沿って、窓が設けられた2つのドアを通して車室に出入りすることができる。したがって、車室は、4つのサイドドア、すなわち2つのフロントドア及び2つのリアドア、並びに、フロントガラス、リアウィンドウ、及びルーフによって区切られる。
【0005】
より詳細には、各側面は、フロントサイドドア及びリアサイドドアをそれぞれ収容するための、フロントサイドドア開口部及びリアサイドドア開口部を画定する。
【0006】
このタイプの自動車では、通常、フロントサイドドア開口部をリアサイドドア開口部から分離するためにピラーが使用され、リアサイドドアは、このピラーにヒンジ止めされる。
【0007】
2つの対向するピラーは、構造的機能、すなわち自動車のフレームを補強すること、並びに、支持機能、すなわち運転者席及びフロント乗員席のためのシートベルト拘束システムを固定することの、両方の役割を果たす。
【0008】
2つの側部でフロント及びリアサイドドア開口部を分割する、2つのピラーが存在しない自動車も知られている。したがって、この自動車の両側部では、2つのフロント及びリアサイドドアは、互いに重なり合って閉じる。
【0009】
この種の解決策では、両側部に単一のサイドドア開口部があることから、運転者及び乗員がより容易に車に出入りすることができるため有利であるが、それにもかかわらず、いくつかの欠点がある。
【0010】
具体的には、常にサイドドアを順序通りに開閉しなければならないことである。
【0011】
更に、ピラーがないことでフレームの構造が弱くなってしまい、その結果、自動車全体の重量を増加させる必要がある。
【0012】
最後に、両側部にピラーがない場合、シートベルト拘束システムをサイドドアの内側に設置しなければならず、その結果、サイドドア内に設置される構成要素によって占められるスペースが大きくなり、かつ拘束システムの荷重に耐える必要があるため、サイドドアは、より大きな重量を支えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上述した公知の自動車に生じる欠点を、簡単かつ経済的な方法で克服することができる、自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、請求項1、及びその従属請求項に記載の自動車が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで、本発明の非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明の説明を行う。
【0016】
【
図1】より明瞭にするために部品を取り除いた、本発明による自動車の側面図である。
【
図2】より明瞭にするために部品を取り除いた、
図1の自動車の正面図である。
【
図3】より明瞭にするために部品を取り除いた、
図1及び
図2の自動車の車室の、より大きな縮尺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び
図2において、番号1は、全体として、2つの前輪2及び2つの後輪3を有し、かつ、外装体4、及び外装体4の内部で前輪2と後輪3との間にある車室5を備える、自動車を示す。
【0018】
外装体4は、とりわけ、フロア6、フロントフード7、ルーフ8、及びフロントフード7とルーフ8との間に延在する、フロントガラス9を備える。
【0019】
外装体4は、フロントフード7の両側に延在する2つのフロント側部10、及び、それぞれのフロント側部10と位置合わせされ、それぞれのフロント側部10から離間している、対向する2つのリア側部11を更に備える。
【0020】
外装体4は、最後に、リアウィンドウ12及びリアフード13を備える。
【0021】
フロントガラス9は、下部でフロントフード7に接合され、上部でルーフ8に接合される。フロントガラス9は、更に、2つのフロントガラスピラー14の間に横方向に収容され、フロントガラスピラー14は、上部でルーフ8に接触するまで、それぞれのフロント側部10の後端から突出する。
【0022】
リアウィンドウ12は、下部でリアフード13に接合され、上部でルーフ8に接合される。更に、リアウィンドウ12は、各リア側部11の間に延在する。
【0023】
したがって、車室5は、前方ではフロントガラス9によって区切られ、後方ではリアウィンドウ12によって区切られる。添付の図面に示す実施例では、車室5は、以下のように定義される4つの席を含む。
・フロント運転者席15。
・フロント乗員席16。
・2つのリア乗員席17。
【0024】
車室5は、2つのシートのみを有することもでき、言い換えれば、フロント運転者席15及びフロント乗員席16のみを備えることができる。
【0025】
より一般的には、車室5は、2つを超えるだけでなく、4つを超える任意の数の席を含むことができる。
【0026】
フロント運転者席15、又はフロント乗員席16、又はリア乗員席17のそれぞれには、それぞれのシート18が設けられる。
【0027】
車室5の内部には中央中空部19もあり、これはフロア6上に配置され、運転者席15とフロント乗員席16との間に延在する。
【0028】
有利には、自動車1は、フロア6とルーフ8との間で車室5内に完全に延在し、運転者席15とフロント乗員席16との間の、車室5の長手方向軸線Aの中間領域に配置された、センターピラー20を更に備える。
【0029】
センターピラー20は、中央中空部19からルーフ8まで延在することが好ましい。
【0030】
添付の図面に示される実施例では、センターピラー20は、長手方向軸線Aに平行な、プレートのような形状の主要部21、並びに、主要部21からルーフ8に向かって分岐する、上端部22を有する。
【0031】
更に、センターピラー20は、シート18のそれぞれの背もたれ23の間に配置され、リア乗員席17に向かって後方に延出する。
【0032】
車室5内の、センターピラー20のこの配置のおかげで、各フロント側部10及び対応する各リア側部11は、フロア6及びルーフ8と共に、それらの間に単一のサイドドア開口部24を画定する。この開口部は完全に開放されており、言い換えれば、不連続性がない。
【0033】
各サイドドア開口部24はまた、それぞれのフロントガラスピラー14によって、横方向に区切られる。
【0034】
好ましくは、添付の図面の実施例に示すように、ルーフ8は、前部26及び後部27に対して横方向に狭くなった中央部25を有する。センターピラー20は、ルーフ8の狭くなった中央部25の領域に配置される。
【0035】
センターピラー20は、有利には、その両側面に沿って、運転者席15及びフロント乗員席16用のシートベルト拘束システム(公知であり本明細書では図示せず)を固定するための、それぞれの支持体を画定する。
【0036】
本発明による自動車1の特徴は、それを使用することで得られる、明らかな利点をもたらす。
【0037】
特に、本明細書で開示される解決策では、公知の解決策においてサイドドア開口部を分割するために使用されるセンターピラー20が排除されるわけではなく、車室5の中心に配置される。
【0038】
したがって、単一のサイドドア開口部24は、自動車1の両側で得られるものである(これにより、乗員の車室5への出入りが容易になる)。このサイドドア開口部24は強靭であり、望まざる結果を招くことはない。実際のところ、運転者席15及びフロント乗員席16用のシートベルト拘束システムを固定するために、引き続きセンターピラー20を使用することができる。公知の自動車と比較した唯一の違いは、(左側に運転者席を有する自動車の場合)運転者のシートベルトが左側ではなく右側にあるということであり、一方、前席に座る乗員には逆のことが当てはまる。シートベルトの逆方向の位置決めがすべての自動車で既に行われているため、この変更は、中心線に対して左シートから右シートに移動するときに、運転者及び乗員にわずかに影響を及ぼす。
【0039】
更に、自動車1の中心にピラー20を配置することにより、ルーフ8の従来であれば非常に弱い部分を補強し、したがって自動車1のシャーシ/本体の構造を改善することができる。
【0040】
最後に、本明細書に記載及び図示された自動車1には、明らかに変更及び変形を加えることができ、そのために、添付の特許請求の範囲に記載された保護の範囲を超えることはない。
【外国語明細書】