(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016434
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】ロードコーン、コーンバーおよびロードコーン・コーンバー連結システム
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20230126BHJP
E01F 15/10 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
E01F13/02 A
E01F15/10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120740
(22)【出願日】2021-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】511173169
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】河江 宏幸
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101EA06
2D101EA09
2D101FA12
2D101FA27
2D101FB12
(57)【要約】
【課題】 事故現場、工事現場、イベント会場等でロードコーンやコーンバーを使用して規制帯を形成する場合に、人の感覚に頼らずに、ロードコーンを整然と配置することにある。
【解決手段】 円錐形保安器具であるロードコーン20の頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部22と、隣り合うロードコーン20,20どうしに架設するコーンバー30のバー本体31の両端に正方形の嵌合穿孔部32と、を備え、当該嵌合突起部22と当該嵌合穿孔部32とが嵌合し、ロードコーン20とコーンバー30とが連結する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部を備え、当該嵌合突起部は、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に備えた正方形の嵌合穿孔部と嵌合することを特徴としたロードコーン。
【請求項2】
嵌合突起部の水平断面正方形は、ロードコーンの台座部の四辺とそれぞれ平行であることを特徴とした請求項1記載のロードコーン。
【請求項3】
ロードコーンの頂部に嵌合突起部を取り付けてなることを特徴とした請求項1又は2記載のロードコーン。
【請求項4】
円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正多角形からなる立体の嵌合突起部を備え、当該嵌合突起部は、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に備えた正多角形の嵌合穿孔部と嵌合することを特徴としたロードコーン。
【請求項5】
隣り合う円錐形保安器具であるロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に正方形の嵌合穿孔部を備え、当該嵌合穿孔部は、ロードコーンの頂部に備えた水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部と嵌合することを特徴としたコーンバー。
【請求項6】
バー本体と嵌合穿孔部との間を折曲可能にすることを特徴とした請求項5記載のコーンバー。
【請求項7】
円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部と、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に正方形の嵌合穿孔部と、を備え、当該嵌合突起部と当該嵌合穿孔部とが嵌合し、ロードコーンとコーンバーとが連結することを特徴としたロードコーン・コーンバー連結システム。
【請求項8】
嵌合突起部の水平断面正方形は、ロードコーンの台座部の四辺とそれぞれ平行であることを特徴とした請求項5記載のロードコーン・コーンバー連結システム。
【請求項9】
バー本体と嵌合穿孔部との間を折曲可能にすることを特徴とした請求項5又は6記載のロードコーン・コーンバー連結システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、円錐形保安器具であるロードコーン(いわゆるカラーコーン:登録商標)と、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロードコーンとコーンバーは、事故や工事などである特定の区域への立ち入りや侵入を防止・規制するための用具として用いられている。
従来、一般的なロードコーンとコーンバーは、円錐形のロードコーンの頂部に、コーンバーの両端に設けられた環状のリング部を被せることで連結されている。
【0003】
しかし、円錐形の頂部に環状のリング部を被せるだけなので、ロードコーンからコーンバーが外れ易いという課題を有していた。
このため、この課題を解決するために特許文献1~4のような発明・考案が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6656737号公報
【特許文献2】特開2001-003326公報
【特許文献3】実用新案登録第3048692号公報
【特許文献4】実用新案登録第3078897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、特許文献1~4のような発明・考案であれば、ロードコーンからのコーンバーの外れという課題は解決できるかもしれない。
しかしながら、これまでの一般的なロードコーンとコーンバーには、これ以外にも課題があった。
【0006】
まずは、
図7に図示するロードコーンの配置の乱れである。ロードコーン70は台座部75が正方形になっている。このため、ロードコーン70をいい加減に配置すると、この台座部75が様々な方向を向き、コーンバー80でロードコーン70に架設し、規制帯を形成したとしても、乱雑な印象を与えてしまう。
これを直すのは人の感覚であり、非常に煩雑な作業である。しかも、この連結(規制帯)が長くなると、なかなか台座部75,75,…を一直線にするのは難しい。
【0007】
次は、
図8に図示するコーンバーの曲がりである。作業者がロードコーン70の台座部75の向きに気をつけて配置したとしても、どうしても多少前後にズレてしまう。それが数台連結することになると、隣り合うロードコーン70,70に架設するコーンバー80が一直線にならず、真っ直ぐな規制帯を形成するのが非常に難しい。
【0008】
そこで、本願出願人は、人の感覚に頼らずに、ロードコーンを整然と配置できないものかと考え、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の第1の発明は、円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部を備え、当該嵌合突起部は、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に備えた正方形の嵌合穿孔部と嵌合することを特徴としたロードコーンである。
本願発明の第2の発明は、嵌合突起部の水平断面正方形は、ロードコーンの台座部の四辺とそれぞれ平行であることを特徴とした同ロードコーンである。
本願発明の第3の発明は、ロードコーンの頂部に嵌合突起部を取り付けてなることを特徴とした同ロードコーンである。
本願発明の第4の発明は、円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正多角形からなる立体の嵌合突起部を備え、当該嵌合突起部は、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に備えた正多角形の嵌合穿孔部と嵌合することを特徴としたロードコーンである。
本願発明の第5の発明は、隣り合う円錐形保安器具であるロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に正方形の嵌合穿孔部を備え、当該嵌合穿孔部は、ロードコーンの頂部に備えた水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部と嵌合することを特徴としたコーンバーである。
本願発明の第6の発明は、バー本体と嵌合穿孔部との間を折曲可能にすることを特徴とした同コーンバーである。
本願発明の第7の発明は、円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部と、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に正方形の嵌合穿孔部と、を備え、当該嵌合突起部と当該嵌合穿孔部とが嵌合し、ロードコーンとコーンバーとが連結することを特徴としたロードコーン・コーンバー連結システムである。
本願発明の第8の発明は、嵌合突起部の水平断面正方形は、ロードコーンの台座部の四辺とそれぞれ平行であることを特徴とした同ロードコーン・コーンバー連結システムである。
本願発明の第9の発明は、バー本体と嵌合穿孔部との間を折曲可能にすることを特徴とした同ロードコーン・コーンバー連結システムである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、以下の効果を有する。
(1)円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部と、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に正方形の嵌合穿孔部と、を備え、当該嵌合突起部と当該嵌合穿孔部とが嵌合し、ロードコーンとコーンバーとが連結することで、必然的にロードコーンの向きが同じになり、ロードコーンの台座部が様々な方向を向くことがなくなって、ロードコーンを整然と配置できるようになる。
(2)嵌合突起部の水平断面正方形は、ロードコーンの台座部の四辺とそれぞれ平行であることで、ロードコーンの台座部が配列方向に一直線に配列できて、非常にきれいな規制帯を形成できる。
(3)バー本体と嵌合穿孔部との間を折曲可能にすることで、ロードコーンを90度に曲げて配列する以外に、任意の角度の規制帯を形成できる。
(4)ロードコーンの頂部に嵌合突起部を取り付けてなるものとすることで、既存のロードコーンを利用して、本願発明の目的(人の感覚に頼らずに、ロードコーンを整然と配置できるようにすること)を実現できる。
(5)円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正多角形からなる立体の嵌合突起部を備え、当該嵌合突起部が、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に備えた正多角形の嵌合穿孔部と嵌合することで、嵌合突起部と嵌合穿孔部との嵌合で、コーンバーを所定の角度に曲げて配列できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(1)。
【
図2】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(2)。
【
図3】本願発明の第2実施形態を説明する説明図(1)。
【
図4】本願発明の第2実施形態を説明する説明図(2)。
【
図7】ロードコーンとコーンバーの連結による従来の課題を説明する説明図(1)。
【
図8】ロードコーンとコーンバーの連結による従来の課題を説明する説明図(2)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願発明に係るロードコーン・コーンバー連結システムの実施形態を、図面に基いて説明する。
【0013】
図1及び
図2は、ロードコーン・コーンバー連結システム10の第1実施形態を示す説明図である。
図1(a)に図示するように、ロードコーン20は、円錐形のコーン本体21の頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部22を備える。また、この嵌合突起部22は、台座部25の四辺とそれぞれ平行に形成されている。
また、コーンバー30は、バー本体31の両端に正方形の嵌合穿孔部32,32を備える。
【0014】
そして、
図1(b)に図示するように、ロードコーン20の嵌合突起部22とコーンバー30の嵌合穿孔部32とを嵌合させて、ロードコーン20とコーンバー30とを連結
させる。
すると、
図2に図示するように、必然的にロードコーン20,20,…の向きが同じになり、ロードコーン20の台座部25が様々な方向を向くことがなくなって、ロードコーン20,20,…を一直線上に整然と配置できるようになる。
【0015】
また、ロードコーンは回収時に重ねるようにして回収されるが、嵌合突起部22を備えたロードコーン20は、嵌合突起部22に沿って重ね合わされるので、自然と台座部25も同じ向きに揃って重ね合うようにして回収できる。
【0016】
図3及び
図4は、ロードコーン・コーンバー連結システム10の第2実施形態を示す説明図である。
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、コーンバー30のバー本体31と嵌合穿孔部32との間を折曲可能にしたことである。
第1実施形態のロードコーン・コーンバー連結システムであると、ロードコーン20は一直線上に配列するか、若しくは、90度(直角)に折れ曲がるかに限られる。
しかし、ロードコーン20を必要とする現場は様々で有り、現場に応じて配列(規制帯)の形状も要求される。
【0017】
そこで、第2実施形態では、コーンバー30のバー本体31と嵌合穿孔部32との間に折曲可能な折曲可能部材を用いるものである。折曲可能部材としては、必要に応じて角度自在に折り曲げ可能なものであり、不要時には元の直線に戻るものが好ましい。例えば、形状記憶樹脂や形状記憶合金などが考えられる。また、図示するものは、ストローの折り曲げ部材として用いられている蛇腹部33を用いた。但し、折曲可能部材はこれらに限られるものではない。
【0018】
図3(a)に図示するように、コーンバー30は、バー本体31の両端に蛇腹部33,33を介して嵌合穿孔部32,32を備える。
そして、
図3(b)に図示するように、第1実施形態と同様、ロードコーン20の嵌合突起部22とコーンバー30の嵌合穿孔部32とを嵌合させて、ロードコーン20とコーンバー30とを連結させる。
【0019】
図4は、実際の事故や工事の現場に合わせた規制帯を形成するために、コーンバー30の蛇腹部33を用いたロードコーン・コーンバー連結システム10を図示したものである。
ロードコーン30を直線上に配置する場合は、蛇腹部33はそのままの状態にして嵌合突起部22と嵌合穿孔部32とを嵌合させればよい。ロードコーン30の配置を折曲する必要がある場合では、蛇腹部33を任意の角度に曲げて嵌合突起部22と嵌合穿孔部32とを嵌合させればよい(
図4拡大図)。
これによって、様々な現場に対応したロードコーン・コーンバー連結システム10による規制帯を形成できる。
【0020】
図5は、ロードコーン・コーンバー連結システム10の第3実施形態を示す説明図である。
第3実施形態が第1実施形態と異なるのは、既存のロードコーン70の頂部にキャップ材40を後付けして、水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部42を設けた点にある。これにより、既存のロードコーンを利用して、第1実施形態と同じことを実現できる。
なお、キャップ材40は、ロードコーン70に着脱自在な構造にしてもよいし、ロードコーン70に固着してもよい。
【0021】
図6は、ロードコーン・コーンバー連結システム10の第4実施形態を示す説明図である。
第4実施形態が第1実施形態と異なるのは、嵌合突起部26が水平断面正方形からなる立体ではなく、水平断面正多角形からなる立体である点にある。図示する嵌合突起部26は、正八角形になっている。この嵌合突起部26に対応するコーンバー31の嵌合穿孔部36も正八角形に穿孔されており、嵌合突起部26と嵌合穿孔部36は互いに嵌合する。
【0022】
嵌合突起部を図示のように正多角形にすることで、ロードコーン20とコーンバー30で構成する規制帯を正確に形成できる。
具体的には、嵌合突起部26は正八角形なので、360度/8=45度となり、嵌合突起部26と嵌合穿孔部36の嵌合を1辺ずらすと台座部が45度回転する。従って、コーンバー30を直線だけでなく、45度刻みで曲げて配置することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本願発明に係るロードコーン・コーンバー連結システムは、ロードコーンとコーンバーとを連結して事故現場、工事現場、イベント会場等で規制帯を形成する場合に広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0024】
10 ロードコーン・コーンバー連結システム
20 ロードコーン
21 コーン本体
22 嵌合突起部(水平断面正方形)
26 嵌合突起部(水平断面正八角形)
25 台座部
30 コーンバー
31 バー本体
32 嵌合穿孔部(正方形)
36 嵌合穿孔部(正八角形)
33 蛇腹部
40 キャップ材
42 嵌合突起部
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部を備え、当該嵌合突起部は、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に備えた正方形の嵌合穿孔部と嵌合することを特徴としたロードコーン。
【請求項2】
嵌合突起部の水平断面正方形は、ロードコーンの台座部の四辺とそれぞれ平行であることを特徴とした請求項1記載のロードコーン。
【請求項3】
ロードコーンの頂部に嵌合突起部を取り付けてなることを特徴とした請求項1又は2記載のロードコーン。
【請求項4】
円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正多角形からなる立体の嵌合突起部を備え、当該嵌合突起部は、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に備えた正多角形の嵌合穿孔部と嵌合することを特徴としたロードコーン。
【請求項5】
隣り合う円錐形保安器具であるロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に正方形の嵌合穿孔部を備え、当該嵌合穿孔部は、ロードコーンの頂部に備えた水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部と嵌合することを特徴としたコーンバー。
【請求項6】
バー本体と嵌合穿孔部との間を折曲可能にすることを特徴とした請求項5記載のコーンバー。
【請求項7】
円錐形保安器具であるロードコーンの頂部に水平断面正方形からなる立体の嵌合突起部と、隣り合うロードコーンどうしに架設するコーンバーのバー本体の両端に正方形の嵌合穿孔部と、を備え、当該嵌合突起部と当該嵌合穿孔部とが嵌合し、ロードコーンとコーンバーとが連結することを特徴としたロードコーン・コーンバー連結システム。
【請求項8】
嵌合突起部の水平断面正方形は、ロードコーンの台座部の四辺とそれぞれ平行であることを特徴とした請求項7記載のロードコーン・コーンバー連結システム。
【請求項9】
バー本体と嵌合穿孔部との間を折曲可能にすることを特徴とした請求項7又は8記載のロードコーン・コーンバー連結システム。