(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164346
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】発光装置、または、発光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/023 20210101AFI20231102BHJP
【FI】
H01S5/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070950
(22)【出願日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2022075624
(32)【優先日】2022-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022079881
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】貝出 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲瀬▼ 翔太
(72)【発明者】
【氏名】上村 真徳
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC01
5F173MC16
5F173MD23
5F173ME22
5F173ME44
5F173MF28
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】 複数の構成要素を配置するのに要する実装領域を所望の方向に小さくする。
【解決手段】 実装面と、実装面上に設けられる配線パターンと、を有するサブマウントと、配線パターン上に配置される半導体レーザ素子と、配線パターン上に配置される保護素子と、を備え、配線パターンは、第1領域と、第1領域に接続する第2領域とを有し、第1領域は、実装面上における第1方向の幅を、第1の値以下としつつ、第1方向に垂直な第2方向の幅を第2の値とし、実装面上の第1位置から第2方向に延びるように設けられており、第2領域は、第1方向の幅を、第1領域の第1位置における第1方向の幅よりも大きい幅で、第1位置から第2方向と反対の方向に延びるように設けられており、半導体レーザ素子は、第1領域内に配置され、保護素子は、第2領域内に配置され、半導体レーザ素子と保護素子の第2方向の間隔が、0より大きく170μmより小さい、発光装置。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面と、前記実装面に設けられる配線パターンと、を有するサブマウントと、
前記配線パターン上に配置される半導体レーザ素子と、
前記配線パターン上に配置される保護素子と、
を備え、
前記配線パターンは、第1領域と、前記第1領域に接続する第2領域とを有し、
前記第1領域は、前記実装面上における第1方向の幅を、前記半導体レーザ素子の前記第1方向の幅より大きく第1の値以下としつつ、第1方向に垂直な第2方向の幅を第2の値とし、前記実装面上の第1位置から前記第2方向に前記第2の値まで延びるように設けられており、
前記第2領域は、前記第1方向の幅を、前記第1位置における前記第1領域の前記第1方向の幅よりも大きい幅で、前記第1位置から前記第2方向と反対の方向に延びるように設けられており、
前記半導体レーザ素子は、前記第1領域内に配置され、
前記保護素子は、前記第2領域内に配置され、
前記半導体レーザ素子と前記保護素子の前記第2方向の間隔が、0μmより大きく170μmより小さい、発光装置。
【請求項2】
前記第2の値は、前記半導体レーザ素子の前記第2方向の長さから、上面視で前記半導体レーザ素子の光出射面が前記サブマウントの前記実装面から突出する長さを引いた値以上である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記保護素子は、上面視で、前記半導体レーザ素子の光出射点を通り前記第2方向に平行な仮想線が通過しない位置に配置される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1方向の幅は、前記半導体レーザ素子よりも前記保護素子の方が大きく、
前記第2方向の幅は、前記半導体レーザ素子よりも前記保護素子の方が小さい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記半導体レーザ素子と前記保護素子の前記第2方向の間隔は、50μm以上100μm以下である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記半導体レーザ素子と前記保護素子の前記第2方向の間隔は、0μmより大きく80μm以下である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記半導体レーザ素子と前記保護素子が配置された前記サブマウントが前記第1方向に複数並べて配置された、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
第1パッケージを有する第1発光装置と、
第2パッケージを有する第2発光装置と、
前記第1発光装置及び第2発光装置が実装される配線基板と、
を備え、
前記第1発光装置は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置であり、かつ、前記半導体レーザ素子を含む複数の第1半導体レーザ素子を有し、
前記第2発光装置は、1または複数の第2半導体レーザ素子を有し、
前記第2発光装置が有する第2半導体レーザ素子の数は、前記第1発光装置が有する前記第1半導体レーザ素子の数よりも1以上少ない、発光モジュール。
【請求項9】
前記第1パッケージと前記第2パッケージは同じ外形である、請求項8に記載の発光モジュール。
【請求項10】
前記第1発光装置は、前記サブマウントを含む、複数の第1サブマウントを有し、前記複数の第1サブマウントのそれぞれに前記第1半導体レーザ素子が配置され、
前記第2発光装置は、前記サブマウントとは異なる形状の、1または複数の第2サブマウントを有し、前記1または複数の第2サブマウントのそれぞれに前記第2半導体レーザ素子が配置される、請求項8に記載の発光モジュール。
【請求項11】
前記第2発光装置は、前記第2パッケージに実装される保護素子を有し、かつ、前記1または複数の第2サブマウントのいずれにおいても保護素子が配置されない、請求項8に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、または、発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される発光装置では、サブマウント上の配線パターンを工夫している。また、特許文献1は、複数の発光素子を1つのサブマウントに配置するという形態において、小型化に有効な一形態を開示している。
【0003】
特定の領域に複数の構成要素を実装する場合、複数の構成要素をより近付けて配置できるほど、領域内に配置できる構成要素の数は多くなり得る。また、同じ数の構成要素を配置する場合でも、ある構成要素同士を近付けて配置できれば、他の構成要素との間隔に余裕が生まれ実装の安定性や自由度の向上に寄与し得る。また、特定の領域の形状、例えば、どの方向の幅に余裕があり、どの方向の幅に余裕がないかを考慮すれば、複数の構成要素の実装間隔をどちらの方向に改善するのが好ましいかの優先度が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の構成要素を配置するのに要する実装領域を、所望の方向に小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、実装面と、前記実装面上に設けられる配線パターンと、を有するサブマウントと、前記配線パターン上に配置される半導体レーザ素子と、前記配線パターン上に配置される保護素子と、を備え、前記配線パターンは、第1領域と、前記第1領域に接続する第2領域とを有し、前記第1領域は、前記実装面上における第1方向の幅を、前記半導体レーザ素子の前記第1方向の幅より大きく第1の値以下としつつ、第1方向に垂直な第2方向の幅を第2の値とし、前記実装面上の第1位置から前記第2方向に前記第2の値まで延びるように設けられており、前記第2領域は、前記第1方向の幅を、前記第1領域の前記第1位置における前記第1方向の幅よりも大きい幅で、前記第1位置から前記第2方向と反対の方向に延びるように設けられており、前記半導体レーザ素子は、前記第1領域内に配置され、前記保護素子は、前記第2領域内に配置され、前記半導体レーザ素子と前記保護素子の前記第2方向の間隔が、0より大きく170μmより小さい、発光装置が開示される。
【0007】
実施形態に開示される1または複数の発明の少なくとも一つにより、複数の構成要素を配置するのに要する実装領域を、所望の方向に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る発光装置の上面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る発光装置の内部に配置される各構成要素を説明するための上面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV断面線における断面図である。
【
図5】
図5は、各実施形態に係るサブマウントの斜視図である。
【
図6】
図6は、各実施形態に係るサブマウントの上面図である。
【
図8】
図8は、半導体レーザ素子等がサブマウント上に配置された状態の斜視図である。
【
図9】
図9は、半導体レーザ素子等がサブマウント上に配置された状態の上面図である。
【
図11】
図11は、比較対象の一例として挙げるサブマウントの上面図である。
【
図12】
図12は、比較対象の一例として挙げるサブマウントに半導体レーザ素子等が配置された状態の上面図である。
【
図13】
図13は、半導体レーザ素子等がサブマウント上に配置された状態の他の一例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、半導体レーザ素子等がサブマウント上に配置された状態の他の一例を示す上面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る発光モジュールの斜視図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る発光モジュールの上面図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る発光モジュールが備える発光装置の内部に配置される各構成要素を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
【0010】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0011】
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下(上方/下方)、左右、表裏、前後(前方/後方)、手前と奥などの記載は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関係と一致していなくてもよい。
【0012】
また、図面においてX方向、Y方向、及び、Z方向などの方向を、矢印を用いて示すことがある。この矢印の方向は、同じ実施形態に係る複数の図面間で整合が取られている。また、図面においてX、Y、及び、Zが記されている矢印の方向を正方向、これと反対の方向を負方向とする。例えば、矢印の先にXが記されている方向は、X方向であり、かつ、正方向である。なお、X方向であり、かつ、正方向である方向を、「Xの正方向」と呼ぶものとし、これと反対の方向を「Xの負方向」と呼ぶものとする。Y方向、及び、Z方向についても同様である。
【0013】
また、本明細書において、例えば構成要素などを説明するときに「部材」や「部」と記載することがある。「部材」は、物理的に単体で扱う対象を指すものとする。物理的に単体で扱う対象とは、製造の工程で一つの部品として扱われる対象ということもできる。一方で、「部」は、物理的に単体で扱われなくてもよい対象を指すものとする。例えば、1つの部材の一部を部分的に捉えるときに「部」が用いられる。
【0014】
なお、上述の「部材」と「部」の書き分けは、均等論の解釈において権利範囲を意識的に限定するという意思を示すものではない。つまり、特許請求の範囲において「部材」と記載された構成要素があったとしても、そのことのみを以って、この構成要素を物理的に単体で扱うことが本発明の適用に必要不可欠であると出願人が認識しているわけではない。
【0015】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象が異なる場合があり得る。そのため、特許請求の範囲において本明細書と同一の付記がされた構成要素が記載されていても、この構成要素によって特定される対象が、本明細書と特許請求の範囲との間で一致しないことがあり得る。
【0016】
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される構成要素があり、本明細書において“第1”及び“第3”が付記された構成要素を特許請求の範囲に記載する場合に、見易さの観点から特許請求の範囲においては“第1”、“第2”と付記して構成要素を区別することがある。この場合、特許請求の範囲において“第1”、“第2”と付記された構成要素はそれぞれ、本明細書において“第1”“第3”と付記された構成要素を指すことになる。なお、このルールの適用対象は構成要素に限らず、その他の対象に対しても、合理的かつ柔軟に適用される。
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。またさらに、図面を参照しながら、本発明を実施するための具体的な形態を説明する。なお、本発明を実施するための形態は、この具体的な形態に限定されない。つまり、図示される実施形態は、本発明が実現される唯一の形態ではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解の便宜を図るために誇張していることがある。
【0018】
<第1実施形態>
図1乃至
図14は、第1実施形態に係る発光装置100の例示的な一形態を説明するための図面である。
図1は、発光装置100の斜視図である。
図2は、発光装置100の上面図である。
図3は、発光装置100の内部に配置される各構成要素を説明するための上面図である。
図4は、
図3のIV-IV断面線における断面図である。
図5は、サブマウント30の斜視図である。
図6は、サブマウント30の上面図である。
図7は、
図6のVII-VII断面線における断面図である。
図8は、サブマウント30に半導体レーザ素子20と保護素子50が配置された状態を示す斜視図である。
図9は、
図8と同じ状態における上面図である。
図10は、
図9のX-X断面線における断面図である。
図11は、比較対象の一例として挙げるサブマウントの上面図である。
図12は、比較対象の一例として挙げるサブマウントに半導体レーザ素子20と保護素子50が配置された状態を示す上面図である。なお、
図11及び
図12は、発明の理解の補助のための一例に過ぎず、所謂、従来技術としての比較例を挙げるものではない。
図13は、サブマウント30に半導体レーザ素子20と保護素子50が配置された状態の他の一例を示す斜視図である。
図14は、
図13と同じ状態における上面図である。
【0019】
発光装置100は、複数の構成要素を備えている。発光装置100が備える複数の構成要素には、基体10、1または複数の半導体レーザ素子20、1または複数のサブマウント30、1または複数の反射部材40、1または複数の保護素子50、蓋部材60、及び、レンズ部材70が含まれる。
【0020】
なお、発光装置100は、この他にも構成要素を備えていてよい。例えば、発光装置100は、1または複数の半導体レーザ素子20とは別に、さらに発光素子を備えてもよい。また、発光装置100は、ここで挙げた複数の構成要素の一部を備えていなくてもよい。
【0021】
まず、発光装置100の各構成要素について説明し、その後で、発光装置100について説明する。
【0022】
(基体10)
基体10は、上面11A、下面11B、及び、1または複数の外側面11Cを有する。上面視で、基体10の外縁形状は矩形である。この矩形は、長辺と短辺を有する矩形とすることができる。図示される基体10において、この矩形の長辺方向はX方向と同じ方向であり、短辺方向はY方向と同じ方向である。なお、上面視で、基体10の外縁形状は矩形でなくてもよい。
【0023】
基体10において、凹形状が形成されている。上面11Aから、上面11Aよりも下方に窪んだ凹形状が形成される。基体10の凹形状によって窪みが画定される。この窪みは、上面視で上面11Aに囲まれる。
【0024】
上面11Aの内縁は、窪みの外縁を画定する。つまり、上面11Aの内縁形状と窪みの外縁形状とは一致する。上面視で、窪みの外縁形状は矩形である。この矩形は、長辺と短辺を有する矩形とすることができる。図示される基体10において、この矩形の長辺方向はX方向と同じ方向であり、短辺方向はY方向と同じ方向である。なお、この窪みの外縁形状は矩形でなくてもよい。
【0025】
基体10は、実装面11Dを有する。また、基体10は、1または複数の内側面11Eを有する。実装面11Dは、上面11Aよりも下方に、かつ、下面11Bよりも上方に位置する。実装面11Dは上面である。従って、実装面11Dは、上面11Aとは異なる上面といえる。実装面11Dは、X方向の幅の方が、Y方向の幅よりも大きい形状の平面である。
【0026】
1または複数の内側面11Eは、実装面11Dよりも上方に位置する。1または複数の内側面11Eは、上面11Aと交わる。実装面11D及び1または複数の内側面11Eは、基体10の窪みを画定する複数の面に含まれる。1または複数の内側面11Eによって、窪みの外縁形状が画定される。
【0027】
1または複数の内側面11Eは、実装面11Dに対して垂直に設けられる。ここでの垂直は、±3度の差を許容する。なお、内側面11Eは、実装面11Dに対して垂直でなくてもよい。
【0028】
基体10は、1または複数の段差部12Cを有する。段差部12Cは、上面、及び、上面と交わり上面から下方に延びる内側面、を有する。段差部12Cが有する面には、この上面から上方に延びる内側面は含まれない。段差部12Cの上面は、内側面11Eと交わる。内側面11Eは、段差部12Cの上面から上方に延びる。段差部12Cの内側面は、実装面11Dと交わる。
【0029】
段差部12Cは、上面視で、内側面11Eの一部または全部に沿って形成される。1または複数の段差部12Cは、上面視で、上面11Aの内側に形成される。1または複数の段差部12Cは、上面視で、1または複数の内側面11Eの内側に形成される。
【0030】
基体10は、複数の段差部12Cを有し得る。複数の段差部12Cはそれぞれ、上面視で内側面11Eに沿うように形成される。複数の段差部12Cには、上面視で、内側面11Eの全長に渡って、内側面11Eに沿って形成される段差部12Cが含まれる。
【0031】
段差部12Cの上面には、1または複数の配線パターンが設けられる。配線パターンは、基体10の内部を通る配線を経由して他の配線パターンと電気的に接続する。他の配線パターンは、例えば基体10の下面に設けられる。なお、配線パターンは、上面11Aまたは外側面11Cに設けられた配線パターンと電気的に接続してもよい。
【0032】
1または複数の段差部12Cの上面に、複数の配線パターンが設けられ得る。複数の段差部12Cのそれぞれに、1または複数の配線パターンが設けられ得る。なお、基体10において、配線パターンが設けられる箇所は段差部12Cに限らなくてよい。
【0033】
基体10は、セラミックを主材料に用いて形成することができる。また、基体10は、金属あるいは金属を含む複合物を主材料に用いて形成された、実装面11Dを有する底部材と、セラミックを主材料に用いて形成された、配線パターンを有する枠部材と、を接合して形成してもよい。
【0034】
ここで、主材料とは、対象となる形成物において、質量または体積が最も多くの割合を占める材料をいうものとする。なお、1つの材料から対象となる形成物が形成される場合には、その材料が主材料である。つまり、ある材料が主材料であるとは、その材料の占める割合が100%となり得ることを含む。
【0035】
セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などが挙げられる。金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄などが挙げられる。あるいは、金属を含む複合物として、銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステンなどを用いることができる。
【0036】
(半導体レーザ素子20)
半導体レーザ素子20は、光を出射する光出射面を有する。半導体レーザ素子20は、上面、下面、複数の側面を有する。半導体レーザ素子20の上面または側面が、光出射面となる。半導体レーザ素子20は、1または複数の光出射面を有する。
【0037】
半導体レーザ素子20の上面の形状は、長辺と短辺を有する矩形である。この矩形の短辺を含む側面が、光出射面となり得る。なお、半導体レーザ素子20の上面の形状は、矩形でなくてもよい。
【0038】
半導体レーザ素子20にはシングルエミッタの半導体レーザ素子を採用することができる。また、半導体レーザ素子20にはエミッタが複数あるマルチエミッタの半導体レーザ素子を採用することができる。
【0039】
半導体レーザ素子20には、例えば、青色の光を出射する発光素子、緑色の光を出射する発光素子、または、赤色の光を出射する発光素子を採用することができる。なお、半導体レーザ素子20には、その他の色または波長の光を出射する発光素子を採用してもよい。
【0040】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
【0041】
半導体レーザ素子20は、指向性のあるレーザ光を出射する。拡がりを有する発散光が半導体レーザ素子20の光出射面(出射端面)から出射される。半導体レーザ素子20から出射される光は、光の光出射面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPとは、光出射面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。
【0042】
ここで、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、あるいは、光軸を通る光と呼ぶものとする。また、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。
【0043】
半導体レーザ素子20から出射される光のFFPの形状は、光の光出射面と平行な面において、積層方向の方が、積層方向に垂直な方向よりも長い楕円形状である。積層方向とは、半導体レーザ素子20において活性層を含む複数の半導体層が積層される方向のことである。積層方向に垂直な方向は、半導体層の面方向ということもできる。また、FFPの楕円形状の長径方向を半導体レーザ素子20の速軸方向、短径方向を半導体レーザ素子20の遅軸方向ということもできる。
【0044】
FFPの光強度分布に基づきピーク光強度の1/e2の光強度の光が拡がる角度を、半導体レーザ素子20の光の拡がり角とする。光の拡がり角は、ピーク光強度の1/e2の光強度の他に、例えば、ピーク光強度の半値の光強度から求められることもある。本明細書の説明において、単に「光の拡がり角」というときは、ピーク光強度の1/e2の光強度における光の拡がり角を指すものとする。なお、速軸方向の拡がり角の方が、遅軸方向の拡がり角よりも大きいといえる。
【0045】
青色の光を発する半導体レーザ素子20、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子20として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNなどのGaN系の半導体を用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子20として、InAlGaP系やGaInP系、GaAsやAlGaAsなどのGaAs系の半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。
【0046】
(サブマウント30)
サブマウント30は、上面と、下面と、1または複数の側面と、を有する。サブマウント30の上面は、他の構成要素が実装される実装面31といえる。サブマウント30は実装面31と、サブマウント30の実装面31に設けられる配線パターン32と、を有する。
【0047】
サブマウント30は、上面視において、一方の方向(以下、この方向を短手方向と呼ぶ。)の長さが、これに垂直な方向(以下、この方向を長手方向と呼ぶ。)の長さよりも小さい外形を有する。上面視で、サブマウント30の外形は、矩形である。サブマウント30の上面は、短辺及び長辺を有する矩形の形状となり得る。なお、上面は、正方形の形状であってもよい。図示されるサブマウント30では、短手方向はX方向と同じ方向であり、長手方向はY方向と同じ方向である。
【0048】
サブマウント30は、基板33と、第1金属層34とを有して構成され得る。また、サブマウント30はさらに、第2金属層35を有して構成され得る。第1金属層34は、基板33の上面側に設けられる。第2金属層35は、基板33の下面側に設けられる。
【0049】
基板33の形状は、例えば、短手方向の幅よりも長手方向の幅の方が大きい直方体である。なお、直方体でなくてもよい。第1金属層34の形状は、上面視で、基板33よりも小さく、かつ、短辺及び長辺を有する矩形となり得る。第2金属層35の形状は、上面視で、基板33よりも小さく、かつ、短辺及び長辺を有する矩形となり得る。
【0050】
基板33は、絶縁性を備える。基板33は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素から形成される。基板33の主材料には、比較的放熱性のよいセラミックを選択すると良い。
【0051】
第1金属層34は、基板33上に直接設けられてもよく、間に他の構成要素を介在させて、間接的に設けられてもよい。図示されるサブマウント30では、第1金属層34は、基板33に直接設けられている。第2金属層35についても同様である。
【0052】
第1金属層34及び第2金属層35の主材料には、銅やアルミニウムなどの金属が用いられる。第1金属層34は、上下方向の幅(厚み)が、30μm以上200μm以下である。第1金属層34は、基板33よりも上方に設けられる1または複数の金属層のうちの最も厚い金属層である。第2金属層35は、基板33よりも下方に設けられる1または複数の金属層のうちの最も厚い金属層である。
【0053】
配線パターン32は、第1金属層34の上に設けられる。配線パターン32の上面及び第1金属層34の上面がサブマウント30の実装面31となり得る。配線パターン32の上下方向の幅(厚み)は、300nm以上3000nm以下である。配線パターン32の上下方向の幅(厚み)は、300nm以上1500nm以下となり得る。配線パターン32の厚さは、第1金属層34の厚さの10分の1以下となり得る。
【0054】
配線パターン32は、第1領域32Aと、第1領域32Aに接続する第2領域32Bとを有する。第1領域32Aは、実装面31上における第1方向の幅が所定の値以下となる。以下、この所定の値を第1の値と呼ぶ。第1方向は、短手方向と同じ方向となり得る。
【0055】
第1領域32Aは、実装面31上において、第1の値以下の幅で、第1方向に垂直な第2方向に所定の幅で設けられる。以下、この所定の幅の値を、第2の値と呼ぶ。第1領域32Aは、第1方向の幅を第1の値以下としつつ、第2方向の幅を第2の値とする領域といえる。第1方向の幅を第1の値以下としているのは、第1領域32Aにおける第1方向の幅が一定でなくてもよいことを示している。なお、第1領域32Aの第1方向の幅は、第1の値で一定となっていてもよい。図示されるサブマウント30では、第1領域32Aは矩形の領域であり、第1の値を矩形の短辺の長さとし、第2の値を矩形の長辺の長さとすることができる。
【0056】
第2領域32Bは第1領域32Aに接続するため、第1領域32Aと第2領域32Bとの間には境界Bが存在する。以下、この境界B上の任意の点を第1位置と呼ぶ。第1領域32Aは、第1位置から第2方向に第2の値まで延びるように設けられる領域である。図示されるサブマウント30では、第2方向はYの正方向と同じ方向である。
【0057】
第2領域32Bの第1方向の幅は、第1位置における第1領域32Aの第1方向の幅よりも大きい。第2領域32Bは、実装面31上における第1方向の幅が所定の値以下となる。以下、この所定の値を第3の値と呼ぶ。第3の値は、第1位置における第1領域32Aの第1方向の幅よりも大きいといえる。また、第3の値は、第1の値よりも大きい。
【0058】
第2領域32Bは、第3の値以下の幅で、第1位置から第2方向と反対の方向に延びるように設けられる。第2領域32Bは、実装面31上において、第3の値以下の幅で、第2方向と反対の方向に所定の幅で設けられる。以下、この所定の幅の値を、第4の値と呼ぶ。第4の値は、第2の値よりも小さい。なお、第2領域32Bの第1方向の幅は、第3の値で一定となっていてもよい。図示されるサブマウント30では、第2領域32Bは矩形の領域であり、第3の値を矩形の長辺の長さとし、第4の値を矩形の短辺の長さとすることができる。また、第2方向と反対の方向は、Yの負方向と同じ方向である。
【0059】
第1金属層34の外縁は、基板33の外縁の内側にある。この場合、サブマウント30の上面には、実装面31を構成する第1金属層34の上面及び配線パターン32の上面だけでなく、基板33の上面も含まれる。実装面31を構成する上面を、サブマウント30の第1上面、上面視でサブマウント30の外縁と交わる上面を、サブマウント30の第2上面として、サブマウント30の上面を区別してもよい。なお、実装面が上面視におけるサブマウントの外縁と交わるようなサブマウントの場合、第1上面と第2上面は同じ上面を指すことになる。
【0060】
上面視で、配線パターン32の外縁の一部(以下、第1外縁部と呼ぶ。)は、サブマウント30の実装面31の外縁近傍に位置する。なお、ここでの近傍は、10μm以内(ゼロを含む)に位置することと定義してもよい。上面視で、配線パターン32の第1外縁部は、サブマウント30の上面の外縁近傍に位置する。なお、ここでの近傍は、50μm以内(ゼロを含む)に位置することと定義してもよい。第1外縁部は、第1領域32Aに含まれる。
【0061】
上面視で、配線パターン32の外縁の他の一部(以下、第2外縁部と呼ぶ。)は、サブマウント30の実装面31の外縁近傍に位置する。なお、ここでの近傍は、10μm以内(ゼロを含む)に位置することと定義してもよい。上面視で、配線パターン32の第2外縁部は、サブマウント30の上面の外縁近傍に位置する。なお、ここでの近傍は、50μm以内(ゼロを含む)に位置することと定義してもよい。第2外縁部は、第2領域32Bに含まれる。
【0062】
例えば、サブマウント30の短手方向の長さは700μm以上900μm以下である。また、サブマウント30の長手方向の長さは1400μm以上1850μm以下である。また、サブマウント30の長手方向の長さと短手方向の長さの差は600μm以上1050μm以下である。
【0063】
例えば、第1領域32Aの第1方向の長さは200μm以上400μm以下である。また、第1領域32Aの第2方向の長さは1000μm以上1300μm以下である。また、第2領域32Bの第1方向の長さは400μm以上600μm以下である。また、第2領域32Bの第2方向の長さは200μm以上400μm以下である。
【0064】
第1外縁部の近傍に位置する実装面31の外縁から、サブマウント30の上面の外縁までの距離は、0μm以上100μm以下となり得る。あるいは、この距離は、0μm以上70μm以下となり得る。あるいは、この距離は、0μm以上50μm以下となり得る。
【0065】
例えば、配線パターン32の第2方向の長さは、サブマウント30の第2方向の長さの85%以上100%以下となり得る。また、第1領域32Aの第1方向の長さは、サブマウント30の第1方向の長さの20%以上50%以下となり得る。また、第2領域32Bの第1方向の長さは、サブマウント30の第1方向の長さの55%以上85%以下となり得る。また、第2領域32Bの第1方向の長さと第1領域32Aの第1方向の長さの差は、サブマウント30の第1方向の長さの15%以上45%以下となり得る。
【0066】
図示されるように、配線パターン32は、上面視で、L字状の形状をしている。なお、ここでのL字状とは、Lを反転した形状であってもよい。L字を構成する二本の棒状の形状のうち一方の棒状の形状が第1領域32Aとなり、他方の棒状の形状が第2領域32Bとなり得る。二本の棒状の形状に分けることのできる第1方向に平行な直線が、第1領域32Aと第2領域32Bの境界Bとなる。
【0067】
配線パターン32は、金属を用いて形成することができる。例えば、Ti/Pt/Au(サブマウント30の上面からTi、Pt、Auの順で積層したもの)の金属層の上に、AuSnはんだ(AuSnの金属層)を形成して、配線パターン32を構成することができる。なお、配線パターン32の構成はこれに限られない。
【0068】
(反射部材40)
反射部材40は、下面と、光を反射する光反射面とを有する。また、光反射面は、下面に対して傾斜している。つまり、光反射面は、下面からみた配置関係が垂直でも平行でもない。光反射面の下端と上端を結ぶ直線が、反射部材40の下面に対して傾斜している。下面に対する光反射面の角度、あるいは、下面に対する光反射面の下端と上端を結ぶ直線の角度を、光反射面の傾斜角と呼ぶものとする。
【0069】
図示される反射部材40において、光反射面は、平面であり、かつ、反射部材40の下面に対して45度の傾斜角を成す。なお、光反射面は平面でなくてもよく、例えば曲面であってもよい。また、光反射面は、その傾斜角が45度でなくてもよい。
【0070】
反射部材40は、主材料に、ガラスや金属などを用いることができる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属を用いることができる。反射部材40は、Siを主材料に用いて形成することもできる。主材料が反射性材料であれば、主材料から光反射面を形成することができる。主材料とは別に光反射面を形成する場合、光反射面は、例えば、Ag、Al等の金属やTa2O5/SiO2、TiO2/SiO2、Nb2O5/SiO2等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。
【0071】
光反射面において、光反射面に照射される光のピーク波長に対する反射率が90%以上である。また、この反射率は95%以上であってもよい。また、この反射率を99%以上とすることもできる。光反射率は、100%以下あるいは100%未満である。
【0072】
(保護素子50)
保護素子50は、特定の素子(例えば半導体レーザ素子)に過剰な電流が流れて破壊されてしまうことを防ぐためのものである。保護素子50としては、例えば、ツェナーダイオードがあげられる。また、ツェナーダイオードとしては、Siで形成されたものを採用できる。
【0073】
(蓋部材60)
蓋部材60は、下面と、上面と、を有し、直方体の平板形状で構成される。なお、直方体でなくてもよい。蓋部材60は、光を透過する透光性を有する。ここで、透光性とは、光に対する透過率が80%以上であることとする。なお、全ての波長の光に対して80%以上の透過率を有していなくてもよい。蓋部材60は、一部に非透光性の領域(透光性を有していない領域)を有していてもよい。
【0074】
蓋部材60は、ガラスを主材料に用いて形成される。蓋部材60を形成する主材料は、高い透光性を有する材料である。蓋部材60は、ガラスに限らず、例えば、サファイアを主材料に用いて形成してもよい。
【0075】
(レンズ部材70)
レンズ部材70は、上面と、下面と、側面と、を有する。レンズ部材70は、入射する光に対して集光、拡散、コリメートといった光学作用を与え、レンズ部材70からは、光学作用が与えられた光が出射される。
【0076】
レンズ部材70は、1または複数のレンズ面を有する。1または複数のレンズ面は、レンズ部材70の上面側に設けられる。なお、レンズ部材70の下面側に設けられてもよい。上面及び下面は平面である。1または複数のレンズ面は、上面と交わる。1または複数のレンズ面は、上面視で上面に囲まれる。上面視で、レンズ部材70は、矩形の外形を有している。レンズ部材70の下面は矩形である。
【0077】
レンズ部材70のうち、上面視で、1または複数のレンズ面と重なる部分をレンズ部とし、重ならない部分を非レンズ部とする。レンズ部材70において、上面視で上面と重なる部分は非レンズ部に含まれる。レンズ部を、上面を含む仮想的な平面で二分したときのレンズ面側をレンズ形状部、下面側を平板形状部とする。レンズ部材70の下面は、レンズ部の下面及び非レンズ部の下面で構成される。
【0078】
レンズ部材70の1または複数のレンズ面は、一方向に連なって形成される。つまり、1または複数のレンズ面は、各レンズ面が連結し、かつ、同じ方向に並んで設けられる。レンズ部材70は、各レンズ面の頂点が仮想的な一本の直線上に位置するように形成される。図示されるレンズ部材70において、この仮想直線は、X方向と同じ方向である。
【0079】
ここで、上面視で、複数のレンズ面が並ぶ方向を連結方向というものとする。複数のレンズ面は、上面視で、連結方向の長さが、この方向に垂直な方向の長さよりも大きい。図示されるレンズ部材70において、連結方向は、X方向と同じ方向である。
【0080】
レンズ部材70は透光性を有する。レンズ部材70は、レンズ部及び非レンズ部のいずれも透光性を有する。レンズ部材70は、例えば、BK7等のガラスを用いて形成することができる。
【0081】
次に、発光装置100について説明する。
【0082】
(発光装置100)
発光装置100において、1または複数の半導体レーザ素子20が基体10に配置される。1または複数の半導体レーザ素子20は基体10の実装面11Dに配置される。1または複数の半導体レーザ素子20は、パッケージに封止される。パッケージは、半導体レーザ素子20を配置する内部空間であって、封止された空間を形成する。パッケージは、基体10に蓋部材60を接合させて形成することができる。
【0083】
半導体レーザ素子20は、サブマウント30に実装される。半導体レーザ素子20は、サブマウント30を介して、基体10の実装面11Dに実装される。サブマウント30の下面が基体10に接合される。サブマウント30の第2金属層35が基体10に接合される。
【0084】
半導体レーザ素子20は、サブマウント30の配線パターン32上に配置される。半導体レーザ素子20は、配線パターン32の第1領域32A内に配置される。半導体レーザ素子20は、光出射面が第1方向に平行に配置される。なお、ここでの平行は±5°の差を含む。半導体レーザ素子20は、配線パターン32上に設けられたAuSnはんだ等の接合材を介して、配線パターン32に接合される。例えば、配線パターン32のAuSnはんだと、半導体レーザ素子20上に設けられているAu金属膜との共晶反応を利用して、半導体レーザ素子20を配線パターン32上に接合することができる。
【0085】
半導体レーザ素子20は、光出射面が、サブマウント30の実装面31から突出するように配置され得る。半導体レーザ素子20の光出射面がサブマウント30の実装面31から突出する長さは30μm以下とすると良い。突出する長さが大きいと、半導体レーザ素子20の光出射面から発生する熱に対するサブマウント30の放熱性能が不十分になる場合がある。より好ましくは、この長さは、20μm以下とするのが良い。
【0086】
半導体レーザ素子20の光出射面は、上面視で、実装面31の外縁と、サブマウント30の上面の外縁との間に配置され得る。これにより、上面視で、半導体レーザ素子20がサブマウント30から突出しないため、確保すべき実装領域を第2方向に短くできる。また、半導体レーザ素子20の放熱に配慮しつつ、半導体レーザ素子20から出射された主要部分の光がサブマウント30の上面に入射されないように半導体レーザ素子20を配置できる。
【0087】
第1領域32Aの第1方向の幅は、半導体レーザ素子20の第1方向の幅よりも大きい。第1領域32Aの第1方向の幅は、半導体レーザ素子20の第1方向の幅よりも100μmを超えて大きい。これにより、半導体レーザ素子20を配線パターン32上に安定的に接合できる。なお、第1領域32Aの第1方向の幅は、半導体レーザ素子20の第1方向の幅に200μmを加えた値以下となることが好ましい。配線パターン32の大きさを抑えることで、他の構成要素の実装領域を広く確保できることに繋がり得る。
【0088】
上面視で、第1領域32Aの第1方向の幅の両端のうちの一端は、半導体レーザ素子20の光出射面と交わる両側面のうちこの一端に近い方の側面から50μmより大きく100μm以下離れた位置にあり、他端は、この他端に近い方の側面から50μmより大きく100μm以下離れた位置にある。これにより、半導体レーザ素子20を配線パターン32上に安定的に接合できる。また、第1領域32Aの第1方向の幅の中心と、半導体レーザ素子20の第1方向の幅の中心は一致し得る。
【0089】
第1領域32Aの第2方向の幅(第2の値)は、半導体レーザ素子20の第2方向の長さから、上面視で半導体レーザ素子20の光出射面が実装面31から突出する長さを引いた値以上である。また、第2の値は、半導体レーザ素子20の第2方向の長さから、上面視で半導体レーザ素子20の光出射面が実装面31から突出する長さを引いた値に50μmを足した値以下となり得る。半導体レーザ素子20の第2方向の長さに基づき、第1領域32Aの第2方向の長さに過度の余裕を持たさないことで、サブマウント30の第2方向の長さを抑えることができる。なお、第2の値は、半導体レーザ素子20の第2方向の長さ以下であってもよい。言い換えれば、上面視で、境界Bが通過する位置に半導体レーザ素子20が配置されていてもよい。
【0090】
ここで、半導体レーザ素子20の光出射面の近傍に位置する第1金属層34の側面を、第1金属層34の第1側面34Aと呼ぶものとする。第1側面34Aと反対側の第1金属層34の側面を、第1金属層34の第2側面34Bと呼ぶものとする。また、光出射面の近傍に位置する基板33の側面を、基板33の第1側面33Aと呼ぶものとする。第1側面33Aと反対側の基板33の側面を、基板33の第2側面33Bと呼ぶものとする。なお、サブマウント30の第1側面及び第2側面は、サブマウント30が第1金属層を有しているか否かに関わらず、基板33の第1側面33A及び第2側面33Bを指すものとする。
【0091】
基板33の第1側面33A及び第2側面33Bは、上面視で、サブマウント30の短辺方向に延びる側面である。第1金属層34の第1側面34A及び第2側面34Bは、上面視で、サブマウント30の短辺方向に延びる側面である。サブマウント30に配置された半導体レーザ素子20は、第1方向の幅よりも第2方向の幅の方が大きい。
【0092】
配線パターン32の第1外縁部は、上面視で、第1金属層34の第1側面34Aの近傍に位置する。配線パターン32の第1外縁部は、上面視で、サブマウント30の第1側面の近傍に位置する。配線パターン32の第1外縁部は、上面視で、半導体レーザ素子20の光出射面の近傍に位置する。半導体レーザ素子20の光出射面は、サブマウント30の第1側面に平行である。
【0093】
配線パターン32の第2外縁部は、上面視で、第1金属層34の第2側面34Bの近傍に位置する第1部分と、第2側面34Bと交わる第1金属層34の側面の近傍に位置する第2部分と、を有する。配線パターン32の第2外縁部は、上面視で、サブマウント30の第2側面の近傍に位置する第1部分と、サブマウント30の第2側面と交わる側面の近傍に位置する第2部分と、を有する。第1部分の第1方向の長さは、第3の値と等しくなり得る。第2部分の第2方向の長さは、第4の値となり得る。
【0094】
発光装置100において、1または複数の保護素子50が実装面11Dに配置される。1または複数の保護素子50は、パッケージに封止される。保護素子50は、サブマウント30に実装される。保護素子50は、サブマウント30を介して、実装面11Dに実装される。
【0095】
保護素子50は、サブマウント30の配線パターン32上に配置される。保護素子50は、配線パターン32の第2領域32B内に配置される。上面視で、保護素子50を通り第1方向に平行などのような仮想線も、この保護素子50と共にサブマウント30に配置されている半導体レーザ素子20を通過しない。
【0096】
サブマウント30に配置された半導体レーザ素子20及び保護素子50において、第1方向の幅は、半導体レーザ素子20よりも保護素子50の方が大きい。また、第2方向の幅は、半導体レーザ素子20よりも保護素子50の方が小さい。
【0097】
サブマウント30に配置される半導体レーザ素子20と保護素子50の第2方向の間隔は、0μmより大きく170μmより小さい。この間隔が小さいほど、半導体レーザ素子20と保護素子50を配置するのに要する第2方向の実装領域を小さくできる。従って、この間隔は、0μmより大きく120μm以下であることがより好ましい。また、この間隔は、0μmより大きく100μm以下であることがより好ましい。また、この間隔は、0μmより大きく80μm以下であることがより好ましい。
【0098】
半導体レーザ素子20と保護素子50は、接触すると意図しない箇所で導通するリスクがある。原理的には、接触を避ければどこまでも近付けられるが、接触しているか否かの判断を容易にすることを考慮すると、サブマウント30に配置される半導体レーザ素子20と保護素子50の第2方向の間隔は、50μm以上とするとよい。従って、この間隔は、50μm以上かつ170μmより小さくなり得る。また、この間隔は、50μm以上120μm以下となり得る。また、この間隔は、50μm以上100μm以下となり得る。また、この間隔は、50μm以上80μm以下となり得る。
【0099】
ここで、半導体レーザ素子20の接合について補足する。半導体レーザ素子をサブマウントなどに接合する際、その後の発光装置の使用における振動等で容易に脱落しないように、十分な接合強度が要求される。また、容易に脱落しない十分な接合強度を得るという観点だけでなく、半導体レーザ素子に対する放熱性の観点から、接合状態が十分であるか否かを判断することもある。半導体レーザ素子は、主な光が光出射面から出射され、また、一部の光が光出射面の反対側の面からも出射される。そのため、半導体レーザ素子において発生する熱は、光出射面と、その反対側の面に集中することになる。従って、放熱の観点で接合状態の良否を判断する場合、光出射面の近傍と、その反対側の面の近傍の接合状態が重要な要素となる。
【0100】
例えば、Auの金属膜にAuSnはんだを用いて接合する場合、共晶反応が不十分であると、放熱性の低下を招く。そして、半導体レーザ素子から配線パターンの外縁までの距離が短すぎると、共晶反応が不十分になることが実験結果からわかった。具体的に、この距離が50μmとなる配線パターンに半導体レーザ素子を接合した後に、接合状態を確認すると、共晶反応は不十分となることがあった。そのため、半導体レーザ素子20の光出射面は、他の理由から50μmより大きな距離をあけることが好ましくないとしても、光出射面の反対側の面から配線パターンの外縁までの距離は、50μmより大きいことが好ましい。そこで、
図11及び
図12に示すように、半導体レーザ素子20が配置される配線パターン39と保護素子50が配置される配線パターン39を別個に設ける場合、半導体レーザ素子20と保護素子50の第2方向の間隔は170μm以上とするのが好ましいという結論となった。
【0101】
なお、既に述べているが、
図11及び
図12は、従来技術として挙げておらず、サブマウントを第2方向に小さくすることを、別個に配線パターン39を設ける形態で検討した例に過ぎない。つまり、
図11及び
図12の場合に、半導体レーザ素子20と保護素子50の第2方向の間隔を170μm以上とするのが好ましいという結論は、従来技術と本実施形態の技術的な境界が170μmにあると言っているわけではない。従って、本願が、共晶反応の不十分を必須の課題とする発明でないことも付言しておく。
【0102】
図11のサブマウントに対し、サブマウント30では、1つの配線パターン32上に半導体レーザ素子20と保護素子50を配置し、かつ、半導体レーザ素子20と保護素子50を第2方向に離して配置するため、半導体レーザ素子20の光出射面の反対側の面から配線パターン32の外縁までの距離は50μmを超えて確保できる。なお、保護素子50の第2方向の長さは50μm以上である。また、実装領域を小さく抑えるために、保護素子50の第2方向の長さは300μm以下であることが好ましい。同様に、保護素子50の第1方向の長さは300μm以下であることが好ましい。
【0103】
サブマウント30に配置される半導体レーザ素子20と保護素子50の第1方向の間隔は、0μm以上100μm以下である。この間隔が小さいほど、半導体レーザ素子20と保護素子50を配置するのに要する第1方向の実装領域を小さくできる。好ましくは、この間隔は、0μm以上50μm以下である。なお、この間隔が0μmであるとは、半導体レーザ素子20の保護素子50側の端点と、保護素子50の半導体レーザ素子20側の端点を結ぶ直線が第2方向に平行となる状態に限らず、半導体レーザ素子20及び保護素子50を通過する第2方向に平行な仮想線が存在する状態も含む。
【0104】
保護素子50は、上面視で、半導体レーザ素子20の光出射面から出射される光の出射点(光出射点)を通り第2方向に平行な仮想線L1が通過しない位置に配置される。このように配置することで、半導体レーザ素子20の光出射面と反対側の面から出射された光が保護素子50の側面に反射されて半導体レーザ素子20に戻ることを抑制できる。発光装置100において、サブマウント30に配置される半導体レーザ素子20と保護素子50の第1方向の間隔が0μmを超えるように、半導体レーザ素子20と保護素子50は配置することができ、これにより、戻り光の抑制効果をさらに高めることができる。
【0105】
なお、
図13及び
図14に示すように、保護素子50は、上面視で、半導体レーザ素子20の光出射面の光出射点を通り第2方向に平行な仮想線L1が通過する位置に配置されてもよい。第1方向において、保護素子50の両端の間に、半導体レーザ素子20の両端が位置するように配置されてもよい。第2方向からみた側面視で、半導体レーザ素子20の光出射面及び光出射面の反対側の面が、保護素子50の側面に包含されていてもよい。これにより、半導体レーザ素子20及び保護素子50を実装するための実装領域の第1方向の幅を小さくできる。なお、このように半導体レーザ素子20及び保護素子50を配置すると、半導体レーザ素子20の光出射面の反対側の面と、保護素子50の側面との間における接合材の盛り上がりが懸念されたが、実験した結果、電流リークが発生するような盛り上がりは確認されなかった。
【0106】
第1領域32Aの外縁と第2領域32Bの外縁とが交わる点Pであり、かつ、境界Bと交わる点Pを通り、第2方向に平行な仮想線L2が通過する位置に保護素子50は配置される。これにより、半導体レーザ素子20と保護素子50の実装に要する実装領域を小さくし、また、配線パターン32の第1領域32Aの形状も小さくできる。
【0107】
保護素子50は、サブマウント30の第2外縁部の第1部分から100μm以下の距離に配置される。保護素子50は、サブマウント30の第2外縁部の第1部分から50μm以下の距離に配置され得る。保護素子50は、サブマウント30の第2側面から100μm以下の距離に配置され得る。これにより、サブマウント30の第2方向の長さを小さくできる。保護素子50は、サブマウント30の第2外縁部の第2部分から100μm以下の距離に配置される。これにより、サブマウント30の第1方向の長さを小さくできる。
【0108】
サブマウント30に配置される半導体レーザ素子20と保護素子50の第2方向の間隔は、保護素子50からサブマウント30の第2側面までの距離よりも小さくなり得る。サブマウント30に配置される半導体レーザ素子20と保護素子50の第2方向の間隔と、保護素子50からサブマウント30の第2側面までの距離との差は、30μm以下となり得る。これにより、サブマウント30の第2方向の長さを小さくできる。
【0109】
上面視で、保護素子50は、サブマウント30の第2外縁部の第1部分と対向する側面が第1部分と平行になるように配置される。上面視で、保護素子50は、サブマウント30の第2外縁部の第2部分と対向する側面が第2部分と平行になるように配置される。なお、ここでの平行は、±10°の差を含む。
【0110】
発光装置100において、1または複数の半導体レーザ素子20は、互いに異なるサブマウント30に配置される。また、1または複数の保護素子50は、互いに異なるサブマウント30に配置される。1つのサブマウント30に配置される半導体レーザ素子20の数は1つであり、1つのサブマウント30に配置される保護素子50の数は1以下である。半導体レーザ素子20が配置されるサブマウント30の全てに対して保護素子50が配置されていなくてもよい。図示される発光装置100では、半導体レーザ素子20が配置されるサブマウント30の全てに対して保護素子50が配置されている。
【0111】
発光装置100は、複数の半導体レーザ素子20を備え得る。また、複数の半導体レーザ素子20は並べて配置され得る。半導体レーザ素子20が配置されたサブマウント30を1つのCoS(Chip on Submount)とすると、発光装置100において、第1方向に複数のCoSが並べて配置され得る。第1方向に並ぶ複数のCoSのそれぞれに保護素子50が配置される。複数のサブマウント30は、基体10の実装面11Dに実装される。
【0112】
複数の半導体レーザ素子20はそれぞれ、第2方向に光を出射する。複数の第1半導体レーザ素子20の各光出射面から、実装面11Dに垂直な方向を速軸方向とするFFPの光が出射される。いずれの半導体レーザ素子20も、遅軸方向の拡がり角は20度以下である。なお、拡がり角は0度より大きい角度である。
【0113】
複数のCoSが第1方向に並べて配置される発光装置100において、サブマウント30は第2方向よりも第1方向に小型化できる方が望ましい場合がある。第1方向の幅が同じ実装領域に対し、サブマウント30の幅が小さくなることで、並べて配置できるCoSの数が増える可能性があるためである。サブマウント30上で、半導体レーザ素子20と保護素子50を第2方向に離して配置することで、第1方向の幅を小さくしやすくなる。
【0114】
また、並べて配置できるCoSの数が多いと、一つあたりのサブマウント30の小型化が、配置できる数の増加に与える影響も大きくなる。そのため、発光装置100は、4以上のCoSが第1方向に並べて配置されることが好ましい。図示される発光装置100は、5以上のCoSが第1方向に並べて配置される発光装置の一例を示している。
【0115】
発光装置100において、1または複数の反射部材40が、基体10に配置される。各反射部材40は、実装面11Dに配置される。1または複数の半導体レーザ素子20から出射された光が、1または複数の反射部材40の光反射面により反射される。光反射面は、光軸を通る光の進行方向に対して45度の角度で傾いている。光反射面によって反射された光は上方に進む。
【0116】
反射部材40は半導体レーザ素子20に1対1で設けることができる。つまり、半導体レーザ素子20と同数の反射部材40が配置され得る。発光装置100において、複数の反射部材40が上面視で第1方向に並べて配置され得る。いずれの反射部材40も、大きさ及び形状は同じである。
【0117】
反射部材40の光反射面は、照射された主要部分の光の90%以上を反射する。なお、複数の半導体レーザ素子20に対して1つの反射部材40を設けてもよい。またあるいは、発光装置100は、反射部材40を有していなくてもよい。
【0118】
発光装置100において、蓋部材60は、基体10に接合される。蓋部材60は、基体10の上面11Aに配される。また、蓋部材60は、段差部12Cよりも上方に位置する。また、蓋部材60が接合されることで、基体10と蓋部材60によって画定される閉空間が生まれる。この空間は、半導体レーザ素子20が配される空間である。
【0119】
所定の雰囲気下で蓋部材60を基体10に接合することで、気密封止された閉空間(封止空間)が作り出される。半導体レーザ素子20が配される空間を気密封止することで、集塵による品質劣化を抑制することができる。蓋部材60は、半導体レーザ素子20から出射される光に対して透光性を有する。半導体レーザ素子20から出射された主要部分の光の90%以上が蓋部材60を透過して外部へと出射される。
【0120】
発光装置100において、レンズ部材70がパッケージに固定される。レンズ部材70は蓋部材60の上方に配置される。レンズ部材70は、蓋部材60に接合される。複数の半導体レーザ素子20のそれぞれから出射された光は、パッケージから出射され、レンズ部材70に入射する。蓋部材60を透過した光が、レンズ部材70の入射面に入射する。レンズ部材70の入射面に入射した光は、レンズ面から出射される。
【0121】
レンズ部材70は、1または複数の半導体レーザ素子20と同数のレンズ面を有する。レンズ部材70の各レンズ面は、異なる第1半導体レーザ素子20に対応しており、半導体レーザ素子20から出射された光は、対応するレンズ面を通過する。各半導体レーザ素子20から出射された主要部分の光は、互いに異なるレンズ面を通過してレンズ部材70から出射される。レンズ部材70に入射した光は、例えば、コリメートされた光となってレンズ部材70から出射される。
【0122】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る発光モジュール200を説明する。
図15乃至
図17は、発光モジュール200の例示的な一形態を説明するための図面である。また、発光モジュール200は、発光装置100を備えるため、
図1乃至
図14も、発光モジュール200を説明するための図面といえる。
図15は、発光モジュール200の斜視図である。
図16は、発光モジュール200の上面図である。
図17は、発光モジュール200が備える発光装置の内部に配置される各構成要素を説明するための上面図である。
【0123】
発光モジュール200は、複数の構成要素を備えている。発光モジュール200が備える複数の構成要素には、発光装置100(以下、第1発光装置100と呼ぶ。)、第2発光装置101、配線基板80、及び、コネクタ90が含まれる。なお、発光モジュール200は、ここで挙げた複数の構成要素以外の構成要素を備えていてもよく、一部の構成要素を備えていなくてもよい。
【0124】
以下、第1発光装置100と第2発光装置101とで名称が共通する構成要素を区別するため、第1発光装置100の構成要素には「第1」を、第2発光装置101の構成要素には「第2」を付する。
【0125】
第2発光装置101は、複数の構成要素を備えている。第2発光装置101が備える複数の構成要素には、第2基体10、1または複数の第2半導体レーザ素子20、1または複数の第2サブマウント30、1または複数の第2反射部材40、1または複数の第2保護素子50、第2蓋部材60、及び、第2レンズ部材70が含まれる。
【0126】
上述した第1実施形態の発光装置100及び各構成要素に係る説明のうち、発光モジュール200に係る図面及び以下の説明によって開示される第2発光装置101から内容が矛盾すると言える説明を除いた全ての説明が、第2発光装置101の説明としても当てはまる。矛盾しない全ての内容は、重複を避けるため、再度ここで説明を記載しない。
【0127】
(発光モジュール200)
発光モジュール200において、配線基板80に、第1発光装置100および第2発光装置101が実装される。第1発光装置100は第1パッケージを有し、第2発光装置101は、第2パッケージを有する。また、第1パッケージと第2パッケージが、それぞれ配線基板80に接合される。第1パッケージ及び第2パッケージはいずれも、基体10に蓋部材60を接合して形成することができる。
【0128】
第1発光装置100の第1パッケージと、第2発光装置101の第2パッケージは、同じ外形である。なお、上面視で、第1パッケージを包含する最小の矩形と第2パッケージを包含する最小の矩形とが同じ形状であり、かつ、第1パッケージと第2パッケージが同じ高さであることを、「第1パッケージと第2パッケージの外形が同じ」の解釈に含めてもよい。
【0129】
第1発光装置100の第1実装面11Dの面積は、第2発光装置101の第2実装面11Dの面積の90%以上110%以下である。第1実装面11Dの面積は、第2実装面11Dの面積と同じになり得る。第1実装面11Dと第2実装面11Dは、同じ形状となり得る。
【0130】
第1発光装置100は、複数の第1半導体レーザ素子20を有する。また、複数の第1半導体レーザ素子20には、第1実施形態のサブマウント30に配置される半導体レーザ素子20が含まれる。
【0131】
第1発光装置100は、複数の第1サブマウント30を有する。複数の第1サブマウントには、第1実施形態のサブマウント30が含まれる。複数の第1サブマウント30のそれぞれに第1半導体レーザ素子20が配置される。複数の第1半導体レーザ素子20の全てが、第1実施形態のサブマウント30に配置される半導体レーザ素子20となり得る。
【0132】
第2発光装置101は、1または複数の第2半導体レーザ素子20を有する。第2発光装置101が有する第2半導体レーザ素子20の数は、第1発光装置100が有する第1半導体レーザ素子の数よりも1以上少ない。なお、第1発光装置100は、複数の第1半導体レーザ素子20以外に半導体レーザ素子20を備えない。第2発光装置101は、1または複数の第2半導体レーザ素子20以外に半導体レーザ素子20を備えない。
【0133】
第2発光装置101は、1または複数の第2サブマウント30を有する。1または複数の第2サブマウント30はいずれも、第1実施形態のサブマウント30とは形状が異なっている。1または複数の第2サブマウント30のそれぞれに第2半導体レーザ素子20が配置される。
【0134】
上面視で、第2半導体レーザ素子20の光出射面に平行な方向における第2サブマウント30の長さは、第1半導体レーザ素子20の光出射面に平行な方向における第1サブマウント30の長さよりも大きい。第2半導体レーザ素子20の光出射面に平行な方向における第2サブマウント30の長さと、第1半導体レーザ素子20の光出射面に平行な方向における第1サブマウント30の長さの差は、70μm以上190μm以下となり得る。
【0135】
複数の第1半導体レーザ素子20はそれぞれ、第1の色の光(以下、第1の光と呼ぶ。)を出射する。なお、複数の第1半導体レーザ素子20には、第1の光と異なる色の光を出射する半導体レーザ素子20が含まれていてもよい。第1の色は、例えば、青色である。なお、第1の色は青色でなくてもよい。
【0136】
1または複数の第2半導体レーザ素子20は、第2の色の光(以下、第2の光と呼ぶ。)を出射する半導体レーザ素子20が含まれる。第2の光は、第1の光と異なる色の光である。また、第2の光は、複数の第1半導体レーザ素子20のいずれから出射される光の色とも異なる色となり得る。第2の色は、例えば、赤色である。なお、第2の色は赤色でなくてもよい。
【0137】
第1発光装置100及び第2発光装置101により、赤色、緑色、及び、青色の光が出射され得る。
【0138】
上面視で、第2半導体レーザ素子20の光出射面の幅は、第1半導体レーザ素子20の光出射面の幅よりも大きい。このように、光出射面の幅が異なることで、第1半導体レーザ素子20が配置される第1サブマウント30と、第2半導体レーザ素子20が配置される第2サブマウントの形状が異なり得る。
【0139】
図示される発光モジュール200に基づいて、仮に、第1半導体レーザ素子20と第2半導体レーザ素子20を同じ形状のサブマウントに配置しようとすると、第1発光装置100と第2発光装置101がそれぞれ有する半導体レーザ素子20の数は4になる。一方で、発光モジュール200は、4つしか並べて配置できない第2サブマウント30ではなく、5つ並べて配置できる第1サブマウント30を第1発光装置100に採用している。このように、第1方向におけるサブマウント1つあたりの実装領域を小さくすることで、複数のサブマウントを配置するのに要する実装領域を第1方向に小さくし、より多くの数のサブマウントを並べることができる。
【0140】
一方で、第1方向における実装領域を小さくするために、保護素子50と半導体レーザ素子20を第2方向に離して配置した結果、実装領域は第2方向に大きくなる。実装方向が第2方向に大きくなると、基体10の内側面11Eとサブマウント30の間が狭くなり、実装しづらくなり得る。そのため、第2方向においても、過度にサブマウント30が大きくならないように、長さを抑制することが望ましい。第1実施形態のサブマウント30や発光装置100、及び、サブマウント30を使い分ける発光モジュール200は、このような目的に有効な一形態を示している。
【0141】
第2発光装置101では、第2保護素子50が第2パッケージに実装される。第2保護素子50は、第2パッケージの基体10の段差部12Cの上面に配置される。第2発光装置101では、第2保護素子は第2サブマウント30に配置されない。つまり、1または複数の第2サブマウント30のいずれにおいても第2保護素子50が配置されない。第2サブマウント30における配線パターンは、第1実施形態のサブマウント30と異なり、第1領域32A及び第2領域32Bを有する形状ではない。例えば、第2半導体レーザ素子20は、第2サブマウント30に設けられた矩形の配線パターン上に配置される。
【0142】
発光モジュール200では、第1発光装置100と第2発光装置101が並べて配置される。第1発光装置100と第2発光装置101が並ぶ方向は、第1発光装置100においいて複数の第1半導体レーザ素子20が並ぶ方向に垂直である。外形が同じ形状のパッケージを用いることで、配線基板80の大きさを抑えることができる。
【0143】
発光モジュール200では、第1発光装置100及び第2発光装置101に電気的に接続するコネクタ90が、配線基板80に実装される。これにより、第1発光装置100及び第2発光装置101への給電を容易に行うことができる。
【0144】
以上、本発明に係る各実施形態を説明してきたが、本発明に係る発光装置や発光モジュールは、各実施形態の発光装置や載置部材に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、各実施形態により開示された発光装置や発光モジュールの外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。本発明は、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置や発光モジュールの構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。
【0145】
本明細書でこれまで説明してきた内容を通し、以下の技術事項が開示される。
(項1)
実装面と、前記実装面に設けられる配線パターンと、を有するサブマウントと、
前記配線パターン上に配置される半導体レーザ素子と、
前記配線パターン上に配置される保護素子と、
を備え、
前記配線パターンは、第1領域と、前記第1領域に接続する第2領域とを有し、
前記第1領域は、前記実装面上における第1方向の幅を、前記半導体レーザ素子の前記第1方向の幅より大きく第1の値以下としつつ、第1方向に垂直な第2方向の幅を第2の値とし、前記実装面上の第1位置から前記第2方向に前記第2の値まで延びるように設けられており、
前記第2領域は、前記第1方向の幅を、前記第1位置における前記第1領域の前記第1方向の幅よりも大きい幅で、前記第1位置から前記第2方向と反対の方向に延びるように設けられており、
前記半導体レーザ素子は、前記第1領域内に配置され、
前記保護素子は、前記第2領域内に配置され、
前記半導体レーザ素子と前記保護素子の前記第2方向の間隔が、0μmより大きく170μmより小さい、発光装置。
(項2)
前記第2の値は、前記半導体レーザ素子の前記第2方向の長さから、上面視で前記半導体レーザ素子の光出射面が前記サブマウントの前記実装面から突出する長さを引いた値以上である、項1に記載の発光装置。
(項3)
前記保護素子は、上面視で、前記半導体レーザ素子の光出射点を通り前記第2方向に平行な仮想線が通過しない位置に配置される、項1または項2に記載の発光装置。
(項4)
前記第1方向の幅は、前記半導体レーザ素子よりも前記保護素子の方が大きく、
前記第2方向の幅は、前記半導体レーザ素子よりも前記保護素子の方が小さい、項1乃至項3のいずれか一項に記載の発光装置。
(項5)
前記半導体レーザ素子と前記保護素子の前記第2方向の間隔は、50μm以上100μm以下である、項1乃至項4のいずれか一項に記載の発光装置。
(項6)
前記半導体レーザ素子と前記保護素子の前記第2方向の間隔は、0μmより大きく80μm以下である、項1乃至項5のいずれか一項に記載の発光装置。
(項7)
前記半導体レーザ素子と前記保護素子が配置された前記サブマウントが前記第1方向に複数並べて配置された、項1乃至項6のいずれか一項に記載の発光装置。
(項8)
第1パッケージを有する第1発光装置と、
第2パッケージを有する第2発光装置と、
前記第1発光装置及び第2発光装置が実装される配線基板と、
を備え、
前記第1発光装置は、項1乃至項7のいずれか一項に記載の発光装置であり、かつ、前記半導体レーザ素子を含む複数の第1半導体レーザ素子を有し、
前記第2発光装置は、1または複数の第2半導体レーザ素子を有し、
前記第2発光装置が有する第2半導体レーザ素子の数は、前記第1発光装置が有する前記第1半導体レーザ素子の数よりも1以上少ない、発光モジュール。
(項9)
前記第1パッケージと前記第2パッケージは同じ外形である、項8に記載の発光モジュール。
(項10)
前記第1発光装置は、前記サブマウントを含む、複数の第1サブマウントを有し、前記複数の第1サブマウントのそれぞれに前記第1半導体レーザ素子が配置され、
前記第2発光装置は、前記サブマウントとは異なる形状の、1または複数の第2サブマウントを有し、前記1または複数の第2サブマウントのそれぞれに前記第2半導体レーザ素子が配置される、項8または項9に記載の発光モジュール。
(項11)
前記第2発光装置は、前記第2パッケージに実装される保護素子を有し、かつ、前記1または複数の第2サブマウントのいずれにおいても保護素子が配置されない、項8乃至項10のいずれか一項に記載の発光モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0146】
実施形態に記載の発光装置または発光モジュールは、プロジェクタ、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0147】
100 発光装置
10 基体
11A 上面
11B 下面
11C 外側面
11D 実装面
11E 内側面
12C 段差部
20 半導体レーザ素子
30 サブマウント
31 実装面
32 配線パターン
32A 第1領域
32B 第2領域
33 基板
33A 第1側面
33B 第2側面
34 第1金属層
34A 第1側面
34B 第2側面
35 第2金属層
40 反射部材
50 保護素子
60 蓋部材
70 レンズ部材
200 発光モジュール
101 第2発光装置
80 配線基板
90 コネクタ