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特開2023-164368バスケットカテーテル用のバレル電極及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164368
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】バスケットカテーテル用のバレル電極及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231102BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20231102BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B5/287 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023073091
(22)【出願日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/336,072
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/185,313
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
(72)【発明者】
【氏名】アブバカール・バー
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127LL08
4C160KK03
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM38
4C160NN01
(57)【要約】
【課題】はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することを必要とせずに、電極をバスケットアセンブリのスパインに取り付けるシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本開示の技術は、細長い本体を有する医療用プローブのための電極を含む。細長い本体の少なくとも一部分は、導電性とすることができる。細長い本体は、細長い本体の長手方向軸に沿って細長い本体を通って延在するルーメンを画定することができる。電極は、ロッキングスタブであって、ロッキングスタブがルーメン内に挿入された部材にロックされるように、ルーメン内に少なくとも部分的に延在する、ロッキングスタブを含むことができる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブのための電極であって、前記電極が、
細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分が、導電性であり、前記細長い本体が、前記細長い本体の長手方向軸に沿って前記細長い本体を通って延在するルーメンを画定する、細長い本体と、
ロッキングスタブであって、前記ロッキングスタブが前記ルーメン内に挿入された部材にロックされるように、前記ルーメン内に少なくとも部分的に延在する、ロッキングスタブと、を備えている、電極。
【請求項2】
前記電極が、前記長手方向軸に向かって圧着されるように構成されている、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
圧着される前に実質的に丸みのある外面、及び圧着された後に実質的に平坦な外面を更に備えている、請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記ロッキングスタブが、実質的に丸みのある断面を有する、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記ロッキングスタブが、実質的に長方形の断面を有する、請求項1に記載の電極。
【請求項6】
前記ロッキングスタブの少なくとも一部分が、実質的に三角形の断面を備えている、請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記ロッキングスタブが、前記細長い本体の長さに延在する、請求項1に記載の電極。
【請求項8】
前記細長い本体が、前記ルーメン内に挿入された前記部材から前記電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、請求項1に記載の電極。
【請求項9】
前記ルーメンが、第1のルーメンであり、前記細長い本体が、ワイヤを受容するように構成された第2のルーメンを更に画定する、請求項1に記載の電極。
【請求項10】
医療用プローブであって、
近位端及び遠位端を有し、長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記チューブ状シャフトの前記遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリと、を備え、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が、前記電極を通って延在するルーメン及び前記ルーメン内に少なくとも部分的に延在するロッキングスタブを画定する、複数の電極と、
前記長手方向軸に沿って延在し、前記拡張可能バスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行したときに前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成された、複数のスパインであって、前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記複数の電極のうちの1つの電極のルーメンを通過し、前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記スパインの第1の側から前記スパインの第2の側まで前記スパインを通って延在するアパーチャを画定し、前記アパーチャが、前記電極が前記スパインに機械的に結合されたときに、前記ロッキングスタブが前記アパーチャを通って延在して、前記電極が前記スパインに沿って遠位又は近位に摺動することを防止するように、前記電極の前記ロッキングスタブを受容するように構成されている、複数のスパインと、を備えている、医療用プローブ。
【請求項11】
前記複数の電極のうちの各電極が、前記スパインに圧着されるように構成されている、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項12】
前記複数の電極のうちの各電極が、前記スパインに圧着される前に実質的に丸みのある外面を有し、前記スパインに圧着された後に実質的に平坦な外面を有する、請求項11に記載の医療用プローブ。
【請求項13】
前記複数の電極のうちの各電極が、前記スパインから前記電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項14】
前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記電極から前記スパインを電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項15】
前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記スパインに機械的に結合された第1の電極及び第2の電極を備え、
各スパインが、前記第1の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第1のアパーチャ、及び前記第2の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第2のアパーチャを画定し、前記第1のアパーチャ及び前記第2のアパーチャの両方が、前記第1の電極及び前記第2の電極がそれぞれ前記スパインに機械的に結合されたときに、前記第1の電極及び前記第2の電極が前記スパインの長さに沿って近位又は遠位に摺動すること防止するように構成されている、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項16】
前記アパーチャにおける前記電極の前記ロッキングスタブと前記スパインとの間の接合部分が、締まり嵌めを含む、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項17】
前記複数の電極が、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成され、前記パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項18】
前記複数の電極が、心臓組織の電気生理学的特質をマッピングするように構成されている、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項19】
医療用プローブを構築する方法であって、
拡張可能バスケットアセンブリのスパインを前記拡張可能バスケットアセンブリの電極と位置合わせすることであって、前記スパインが、近位端、遠位端を備え、前記スパインを通って延在するアパーチャを画定する、位置合わせすることと、
前記スパインを前記電極のルーメン内に挿入することと、
前記電極のロッキングスタブを前記アパーチャと位置合わせすることと、
前記ロッキングスタブが前記アパーチャ内に少なくとも部分的に延在して、前記電極が前記スパインに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように、前記電極を前記スパイン上に圧着することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記ルーメンが、第1のルーメンを含み、前記方法が、
前記医療用プローブのワイヤを前記電極の第2のルーメンと位置合わせすることと、
前記ワイヤを前記第2のルーメン内に挿入することと、
前記ワイヤが前記電極と電気的に導通するように前記ワイヤを前記電極に結合することと、を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療デバイス、特に電極を有するカテーテルに関し、心臓組織の不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)を誘発するために使用するのに好適なカテーテルに更に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに生じる。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0003】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(radiofrequency、RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱加熱に関連する特定のリスクを有することができる。
【0004】
冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0005】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0161592(A1)号、同第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、同第2021/0186604(A1)号及び同第2021/0196372(A1)号に開示されており、これらの各々は、参照によりその全体が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/336,072号の付録に添付されている。
【0006】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。しかしながら、スパイン及び電極のサイズが小さいことに起因して、スパインに電極をはんだ付け、溶接、又は接着することは困難な作業であり得、製造時間及びコストを増加させ、不適切な結合又は位置ずれに起因して電極が機能しなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、必要とされているのは、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することを必要とせずに、電極をバスケットアセンブリのスパインに取り付けるシステム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例によれば、細長い本体を有する医療用プローブのための電極が提供される。細長い本体の少なくとも一部分は、導電性とすることができる。細長い本体は、細長い本体の長手方向軸に沿って細長い本体を通って延在するルーメンを画定することができる。電極は、ロッキングスタブであって、ロッキングスタブがルーメン内に挿入された部材にロックされるように、ルーメン内に少なくとも部分的に延在する、ロッキングスタブを含むことができる。このようにして、本開示の技術は、はんだ、溶接、又は接着剤を必要とせずに、電極をスパインに固定するために使用することができる。
【0009】
電極は、長手方向軸に向かって圧着することができる。電極は、圧着される前に実質的に丸みのある外面、及び圧着された後に実質的に平坦な外面を含むことができる。
【0010】
ロッキングスタブは、実質的に丸みのある断面、実質的に長方形の断面を有することができ、及び/又はロッキングスタブの少なくとも一部分は、実質的に三角形の断面を含むことができる。
【0011】
ロッキングスタブは、細長い本体の長さに延在することができる。
【0012】
細長い本体は、ルーメン内に挿入された部材から電極を電気的に絶縁するように構成することができる絶縁材料を更に含むことができる。
【0013】
ルーメンは、第1のルーメンとすることができ、細長い本体は、ワイヤを受容するように構成された第2のルーメンを更に画定することができる。ワイヤは、電極に電気的に結合することができる。
【0014】
本発明の別の実施例によれば、医療用プローブが提供される。医療用プローブは、近位端及び遠位端を有するチューブ状シャフトを含むことができる。チューブ状シャフトは、長手方向軸に沿って延在することができる。医療用プローブは、チューブ状シャフトの遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリを含むことができる。
【0015】
拡張可能バスケットアセンブリは、複数の電極を含み得る。複数の電極のうちの各電極は、電極を通って延在するルーメン、及びルーメン内に少なくとも部分的に延在するロッキングスタブを画定することができる。
【0016】
拡張可能バスケットアセンブリは、長手方向軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行したときに長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成された、複数のスパインを含み得る。複数のスパインのうちの各スパインは、複数の電極のうちの1つの電極のルーメンを通過することができる。複数のスパインのうちの各スパインは、スパインの第1の側からスパインの第2の側までスパインを通って延在するアパーチャを画定することができる。アパーチャは、電極がスパインに機械的に結合されたときに、ロッキングスタブがアパーチャを通って延在して、電極がスパインに沿って遠位又は近位に摺動することを防止するように、電極のロッキングスタブを受容するように構成することができる。
【0017】
複数の電極のうちの各電極は、スパインに圧着することができる。複数の電極のうちの各電極は、スパインに圧着される前に実質的に丸みのある外面を有することができ、スパインに圧着された後に実質的に平坦な外面を有することができる。
【0018】
ロッキングスタブは、実質的に丸みのある断面、実質的に長方形の断面を有することができ、及び/又はロッキングスタブの少なくとも一部分は、実質的に三角形の断面を含むことができる。
【0019】
各電極は、スパインから電極を電気的に絶縁するように構成することができる絶縁材料を含むことができる。代替的に又は加えて、各スパインは、スパインから電極を電気的に絶縁するために、絶縁材料を含むことができ、及び/又は絶縁材料は、電極とスパインとの間に配設することができる。
【0020】
各電極のルーメンは、第1のルーメンとすることができ、各電極は、医療用プローブのワイヤを受容するように構成された第2のルーメンを更に画定することができる。ワイヤは、電極に電気的に結合することができる。ワイヤは、スパインから絶縁することができる。
【0021】
各スパインは、どちらもスパインに機械的に結合された第1の電極及び第2の電極を含むことができる。スパインは、第1の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第1のアパーチャ、及び第2の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第2のアパーチャを画定することができる。第1のアパーチャ及び第2のアパーチャは、第1の電極及び第2の電極がそれぞれスパインに機械的に結合されたときに、第1の電極及び第2の電極がスパインの長さに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように構成することができる。アパーチャにおける電極のロッキングスタブとスパインとの間の接合部分は、締まり嵌めを含むことができる。
【0022】
スパインは、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むことができる。代替的に又は加えて、スパインは、ポリマー材料を含むことができる。
【0023】
複数の電極は、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成することができる。パルスは、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有することができる。複数の電極は、心臓組織の電気生理学的特質をマッピングするように構成することができる。
【0024】
医療用プローブは、複数の電極に灌注流体を送達するように構成することができるスプレーポートを含むことができる。
【0025】
開示された技術は、医療用プローブを構築する方法を含むことができる。本方法は、拡張可能バスケットアセンブリのスパインを拡張可能バスケットアセンブリの電極と位置合わせすることを含み得る。スパインは、近位端、遠位端を含むことができ、スパインを通って延在するアパーチャを画定することができる。本方法は、スパインを電極のルーメン内に挿入することと、電極のロッキングスタブをアパーチャと位置合わせすることと、を含むことができる。本方法は、ロッキングスタブがアパーチャ内に少なくとも部分的に延在して、電極がスパインに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように、電極をスパイン上に圧着することを含むことができる。
【0026】
電極は、スパインに圧着される前に実質的に丸みのある外面を有することができ、スパインに圧着された後に実質的に平坦な外面を有することができる。
【0027】
ロッキングスタブは、実質的に丸みのある断面、実質的に長方形の断面を有することができ、及び/又はロッキングスタブの少なくとも一部分は、実質的に三角形の断面を含むことができる。
【0028】
電極は、スパインから電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を含むことができる。代替的に又は加えて、スパインは、スパインから電極を電気的に絶縁するために、絶縁材料を含むことができ、又は絶縁材料は、電極とスパインとの間に配設することができる。
【0029】
ルーメンは、第1のルーメンとすることができ、本方法は、医療用プローブのワイヤを電極の第2のルーメンと位置合わせすることと、ワイヤを第2のルーメン内に挿入することと、ワイヤが電極と電気的に導通するようにワイヤを電極に結合することと、を更に含むことができる。ワイヤは、スパインから絶縁することができる。
【0030】
アパーチャにおける電極のロッキングスタブとスパインとの間の接合部分は、締まり嵌めとすることができる。スパインは、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタンからなる群から選択される材料とすることができる。代替的に又は加えて、スパインは、ポリマー材料を含むことができる。
【0031】
スパインのアパーチャは、第1のアパーチャとすることができる。スパインは、第2のアパーチャを更に画定することができる。本方法は、スパインを拡張可能バスケットアセンブリの第2の電極と位置合わせすることと、スパインを第2の電極のルーメン内に挿入することと、第2の電極のロッキングスタブを第2のアパーチャと位置合わせすることと、ロッキングスタブが第2のアパーチャ内に少なくとも部分的に延在して、第2の電極がスパインに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように、第2の電極をスパイン上に圧着することと、を更に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態による、医療用プローブを含み、医療用プローブの遠位端が電極を有するバスケットアセンブリを含む、医療用システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図2B】本開示の技術による、圧潰形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図3A】本発明の一実施形態による、スパインがチューブ状シャフトとともに組み立てられ得る方法を示す、バスケットアセンブリのチューブ状シャフト及びスパインの分解図を示す概略描画図である。
図3B】本発明の一実施形態による、スパインがチューブ状シャフトとともに組み立てられ得る方法を示す、バスケットアセンブリのチューブ状シャフト及びスパインの分解図を示す概略描画図である。
図4A】本発明の一実施形態による、図4Aは、圧着される前の電極の正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図4Bは、圧着された後の電極の正面斜視図を示す概略描画図である。
図4B】本発明の一実施形態による、図4Aは、圧着される前の電極の正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図4Bは、圧着された後の電極の正面斜視図を示す概略描画図である。
図5A】本発明の一実施形態による、図5Aは、圧着される前の電極の側面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図5Bは、圧着された後の電極の側面斜視図を示す概略描画図である。
図5B】本発明の一実施形態による、図5Aは、圧着される前の電極の側面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図5Bは、圧着された後の電極の側面斜視図を示す概略描画図である。
図6A】本発明の一実施形態による、図6Aは、電極がスパインに圧着される前の電極及びスパインの正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図6Bは、電極がスパインに圧着された後の電極及びスパインの正面斜視図を示す概略描画図である。
図6B】本発明の一実施形態による、図6Aは、電極がスパインに圧着される前の電極及びスパインの正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図6Bは、電極がスパインに圧着された後の電極及びスパインの正面斜視図を示す概略描画図である。
図7A】本発明の実施形態による、電極の側面図を例示する。
図7B】本発明の実施形態による、電極の側面図を例示する。
図7C】本発明の実施形態による、電極の側面図を例示する。
図8】本開示の実施形態による、医療用プローブを構築する方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0034】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、記載された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験体」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0035】
本明細書で述べる「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であってよい。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の特質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。対象は、例えば、あらゆる該当するヒト患者でよいことを理解するべきである。
【0036】
本明細書で論じられるように、「作業者」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0037】
本明細書で論じられるように、「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関連する場合、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称されることもある、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱的エネルギーを利用することによって、細胞内での不規則な心臓信号の生成を低減又は防止するように構成された構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0038】
本明細書で論じられるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に位置付けられた2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々で略等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0039】
本明細書で論じられるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例示される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0040】
本開示は、心臓不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションのためのシステム、方法、又は使用及びデバイスに関する。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを供給するように構成される。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化され得る。
【0041】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術の適用を使用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションに関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0042】
RFアブレーション及び冷凍アブレーションは、局所的な組織壊死を誘発する熱エネルギー伝達に基づいているが、本開示の解決策は、パルス電界(PEF)及びパルス電界アブレーション(PFA)と互換的に称されることもある不可逆エレクトロポレーション(IRE)を利用することによって、これらの及び他の問題を解決することができる。本開示で論じられるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療領域において熱を生成し、治療領域内の全ての細胞を無差別に加熱する。IREはしたがって、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで知られている起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスが利用され得る。
【0043】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を適用することによって誘発され得る。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、ホメオスタシスの喪失に起因して死滅し、典型的にはアポトーシスによって死亡する。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はおよそ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0044】
本開示の解決策は、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加して、心筋組織にエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を生成するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的電気穿孔は、細胞が修復することを可能にする、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回るときに行われる。可逆エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210号に開示されており、当該出願の全体は、参照によりあたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/336,072号の付録に添付されている。
【0045】
パルス電界、並びに可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含み得、本明細書に提示される例は、概して、可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含み得る。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータを前提として、可逆エレクトロポレーション及び不可逆エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許公開第2021/0161592(A1)号、同第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、同第2021/0186604(A1)号、及び同第2021/0196372(A1)号に提示されており、これらの各々は、参照によりそれらの各々が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/336,072号の付録に添付されている。
【0046】
IRE(不可逆エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に記載されるように、医療用プローブは、近位端及び遠位端を有する可撓性挿入管と、可撓性挿入管の遠位端におけるバスケットアセンブリとを含む。バスケットアセンブリは、少なくとも1つのスパインと、複数の電極とを含み、各所与の電極は、それを通る所与のスパインに嵌合するルーメンを有する。電極は、電極がスパインの長さに沿って近位又は遠位に摺動するのを防止するように、ロッキングスタブによってスパインに圧着され、適所にロックされる。
【0047】
図1は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ22と、制御コンソール24とを含む医療用システム20の概略描画図である。医療用システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づいてもよい。以下に説明する実施形態では、医療用プローブ22は、患者28の心臓26においてアブレーション処置を実行するためなど、診断的処置又は治療的処置のために使用することができる。代替的に、医療用プローブ22は、必要な変更を加えて、心臓又は他の身体器官における他の治療目的及び/又は診断目的に使用されてもよい。
【0048】
医療用プローブ22は、可撓性挿入管30と、挿入管の近位端に結合されたハンドル32とを含む。医療処置の間、医療専門家34は、医療用プローブの遠位端36が心臓26の室などの体腔に入るように、患者28の血管系を通してプローブ22を挿入することができる。遠位端36が心臓26の室に入ると、医療専門家34は、遠位端36に固定されたバスケットアセンブリ38を展開することができる。バスケットアセンブリ38は、以下図2A及び図2Bを参照する説明に記載されているように、複数のスパインに取り付けられた複数の電極40を含み得る。不可逆エレクトロポレーション(IRE)アブレーションなどの医療処置の実行を開始するために、医療専門家34は、電極40が所望の位置(単数又は複数)で心臓組織に係合するように、ハンドル32を操作して遠位端36を位置決めすることができる。電極40が心臓組織に係合し得るように遠位端36を位置付けると、医療専門家34は、電気パルスが電極40によって送達されてIREアブレーションを実行するように、医療用プローブ22を作動させることができる。
【0049】
図1に示される構成では、制御コンソール24は、ケーブル42によって体表面電極に接続され、体表面電極は典型的には、患者28に取り付けられている接着性皮膚パッチ44を含む。制御コンソール24は、追跡モジュール48とともに、心臓26内の遠位端36の位置座標を決定するプロセッサ46を含む。位置座標は、生成された磁場が存在するときにカテーテルの遠位部分から提供される電磁位置センサ出力信号に基づいて決定することができる。位置座標は、追加的又は代替的に、接着性皮膚パッチ44とバスケットアセンブリ38に取り付けられた電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づくことができる。医療処置中に位置センサとして使用されることに加えて、電極40は、心臓内の組織をアブレーションするなど、他のタスクを実行することができる。
【0050】
これまで述べたように、追跡モジュール48とともに、プロセッサ46は、接着性皮膚パッチ44と電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づいて、心臓26内の遠位端36の位置座標を決定してもよい。このような決定は、典型的には、インピーダンス又は電流を遠位端の既知の位置に関連付ける較正プロセスが実行された後に行われる。本明細書に提示された実施形態は、心臓26内の組織にIREアブレーションエネルギーを送達するように(も)構成された電極40を説明するが、任意の体腔内の組織に任意の他のタイプのアブレーションエネルギーを送達するように電極40を構成することは、本発明の趣旨及び範囲内であるとみなされる。更に、IREアブレーションエネルギーを心臓26内の組織に送達するように構成された電極40であるという文脈で説明されているが、当業者は、本開示の技術が、患者28の身体の器官又は他の部分の様々な特質をマッピング及び/又は決定するために使用される電極に適用可能であり得ることを理解するであろう。
【0051】
プロセッサ46は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路50と、それに続くアナログ-デジタル(A/D)信号変換集積回路52とを含んでもよい。プロセッサは、1つ又は2つ以上のアルゴリズムを実行するようにプログラムすることができ、医療専門家34がIREアブレーション処置を実行することを可能にするために、回路50及び回路52並びにモジュールの特徴を使用する。
【0052】
制御コンソール24はまた、制御コンソール24が電極40及び接着性皮膚パッチ44から信号を転送し、且つ/又はそれらに信号を転送することを可能にする入出力(I/O)通信インタフェース54を含む。図1に示される構成では、制御コンソール24は、IREアブレーションモジュール56とスイッチングモジュール58とを更に含む。
【0053】
IREアブレーションモジュール56は、数十キロワットの範囲のピーク電力を有するIREパルスを生成するように構成される。いくつかの例では、電極40は、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する電気パルスを送達するように構成される。医療用システム20は、IREパルスを電極40に送達することによってIREアブレーションを実行する。好ましくは、医療用システム20は、スパイン上の電極40間に二相性パルスを送達する。追加的又は代替的に、医療用システム20は、電極40のうちの少なくとも1つと皮膚パッチとの間に単相性パルスを送達する。
【0054】
熱を放散し、アブレーションプロセスの効率を向上させるために、システム20は、挿入管30内のチャネル(図示せず)を介して遠位端36に灌注流体(例えば、生理食塩水)を供給する。制御コンソール24は、灌注流体の圧力及び温度などの灌注パラメータを監視及び制御するための灌注モジュール60を含む。
【0055】
電極40及び/又は接着性皮膚パッチ44から受信した信号に基づいて、プロセッサ46は、患者の体内における遠位端36の位置を示す電気解剖学的マップ62を生成することができる。処置中、プロセッサ46は、ディスプレイ64上でマップ62を医療専門家34に提示し、電気解剖学的マップを表すデータをメモリ66に記憶することができる。メモリ66は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、医療専門家34は、1つ又は2つ以上の入力デバイス68を使用して、マップ62を操作することができる。代替的な実施形態では、ディスプレイ64は、マップ62を提示することに加えて、医療専門家34からの入力を受け入れるように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0057】
図2Aは、挿入管30の遠位端36において挿入管ルーメン80から前進させることなどによる、非拘束時に拡張形態にあるバスケットアセンブリ38を有する医療用プローブ22の斜視図を示す概略描画図である。図2Bは、挿入管30内の圧潰形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(図2A)では、スパイン214は、医療用プローブ22の長手方向軸86から半径方向外向きに曲がる、圧潰形態(図2B)では、スパインは、医療用プローブ22の長手方向軸86に略沿って配置される。
【0058】
図2Aに示されるように、バスケットアセンブリ38は、管状シャフト84の端部に形成され、両端で接続された複数の可撓性スパイン214を含む。医療手技中、医療専門家34は、チューブ状シャフト84を挿入管30から延在させて、バスケットアセンブリ38を挿入管から退出させ、拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ38を展開することができる。スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は長方形(平坦に見え得る)の断面を有し得、可撓性で弾性の材料(例えば、ニッケルチタン(ニチノールとしても知られている)、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又は任意の他の好適な材料若しくは材料の組み合わせなどの形状記憶合金)を含み得る。
【0059】
本明細書に記載の実施形態では、電極40は、アブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を心臓26内の組織に送達するように構成され得る。例えば、電極40は、心臓組織に20~30アンペアの電流を送達して、心臓組織のアブレーションを容易にするように構成することができる。更に、電極40は、特定の用途に応じて、双極又は単極アブレーションスキーム用に構成することができる。代替的に又は加えて、電極を使用して、バスケットアセンブリ38の場所を決定すること、及び/又は心臓26内の組織上のそれぞれの場所における局所的な表面電位などの生理的特性を測定することができる。
【0060】
電極40を形成するのに理想的に適した材料の例には、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)を含む。これらの材料はまた、非常に高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓26内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0061】
バスケットアセンブリ38は、遠位端94を有し、シャフト84の遠位端36からバスケットアセンブリ38の遠位端94に向かって長手方向に延在するステム96を含む。上述したように、制御コンソール24は、灌注流体を遠位端36に送達する灌注モジュール60を含む。ステム96は、複数のスプレーポート98を含み、各所与のスプレーポート98は、所与の電極40又は心臓26内の組織のいずれかに灌注流体の送達を向けるように角度を付けることができる。
【0062】
電極40は灌注流体を送達するスプレーポートを含まないので、これまで述べた構成は、組織から(すなわち、アブレーション処置中に)スパイン214の内側の電極40の部分に熱を伝達することを可能にし、電極40は、スプレーポート98を介して、スパイン214の内側の電極40の部分に灌注流体を向けることによって冷却され得る。
【0063】
図3A及び図3Bは、本発明の一実施形態による、スパイン214がチューブ状シャフト84とともに組み立てられ得る方法の一例を提供するための、バスケットアセンブリ38のチューブ状シャフト84及びスパイン214の分解図を示す概略描画図である。図3Aに示されるように、スパイン214は、スパインアセンブリ210を形成することができる。スパイン214は、平面材料の単一シートから形成されて、略星形を形成することができる。換言すれば、スパイン214は、スパイン214が中央交差部211に向かって収束するように、平面材料の単一シートから形成することができる。交差部211は、中実材料片とすることができ、又は1つ若しくは2つ以上のアパーチャを含むことができる。
【0064】
スパイン214は、図3Bに示されるように、スパイン214の近位端216がチューブ状シャフト84の遠位端85内に挿入され得るように、折り畳まれるか、又は別様に曲げられ得る。図3A及び図3Bには示されていないが、スパインがチューブ状シャフト84内に挿入されてバスケットアセンブリ38を形成する前に、電極40をスパイン214に取り付けることができることが理解されよう。前述のように、スパイン214は、バスケットアセンブリ38が挿入チューブ30から展開されるときに、バスケットアセンブリ38が(図2Bに示されるような)その圧潰形態から(図2Aに示されるような)その拡張形態に移行することを可能にすることができる、可撓性で弾性の材料(例えば、ニチノールとしても知られているニッケルチタンなどの形状記憶合金)を含むことができる。
【0065】
スパイン214の各々は、本明細書で更に詳細に説明するように、電極40のロッキングスタブ80を受容するようにサイズ決定及び位置付けることができる、アパーチャ215を画定することができる。ロッキングスタブ80を受容することによって、アパーチャ215は、電極40がスパイン214の長さに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するのを補助することができる。換言すれば、アパーチャ215は、溶接、締結具、接着剤、又は他の締結デバイス若しくは方法を必要とせずに、ロッキングスタブ80がアパーチャ215を通って延在するときに電極40をスパイン214に固定するのを補助することができる。非限定的な例として、スパイン214は、スパイン214の近位端とスパイン214の遠位端との間でスパイン214の長さに位置付けられた、少なくとも2つのアパーチャ215を含むことができる。このようにして、バスケットアセンブリ38は、バスケットアセンブリ38が合計12個の電極を有することができるように、バスケットアセンブリ38の近位端と遠位端との間に延在するスパイン214の各長さに沿って、少なくとも2つの電極40を有することができる。
【0066】
本開示の利益を享受する当業者によって理解されるように、平面材料の単一シートから形成され、中央交差部で収束するスパイン214を有する、図2A図3Bに示されるバスケットアセンブリ38は、単に例示目的のために提供され、本開示の技術は、バスケットアセンブリ38の他の構成に適用可能であり得る。例えば、本開示の技術は、単一のスパイン214又は複数のスパイン214から形成され、各スパイン214が両端に取り付けられたバスケットアセンブリ38に適用可能であり得る。他の例では、バスケットアセンブリ38は、バスケットアセンブリ38の遠位端94において複数のスパイン214を一緒に接続する中央ハブを含むことができる。更に他の例では、バスケットアセンブリ38は、螺旋を形成するように構成された単一のスパイン214、螺旋を形成するように構成された複数のスパイン214、1つ又は複数の三脚を形成するように構成された複数のスパイン214、又はバスケットアセンブリ38の任意の他の形状を含み得る。同様に、スパインアセンブリ210は、円柱中空ストック材料をレーザ切断することによって形成され得、それによって、レーザは、切断中に円柱ストックの長手方向軸を中心に回転する(及びそれに対して平行移動する)ように取り付けられる。したがって、図2A図3Bは、バスケットアセンブリ38の特定の構成を示すが、本開示の技術は、そのように限定されると解釈されるべきではない。
【0067】
本発明の一実施形態による、図4Aは、圧着される前の電極40の正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図4Bは、圧着された後の電極40の正面斜視図を示す概略描画図である。同様に、本発明の一実施形態による、図5Aは、圧着される前の電極40の側面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図5Bは、圧着された後の電極40の側面斜視図を示す概略描画図である。図4A図5Bに示されるように、電極40は、電極40の長さに沿って延在する断面形状を有する、細長い本体を有することができる。電極40は、上で説明したように、金、プラチナ、及びパラジウム(並びにそれらのそれぞれの合金)などの可鍛性かつ導電性の材料から作製することができる。理解されるように、可鍛性材料から電極40を形成することによって、電極40は、圧着されていない第1の形状(すなわち、図4A及び図5A)から圧着された第2の形状(すなわち、図4B及び図5B)に移行するように圧着するか、又は別様に塑性的に変形することができる。本明細書で更に詳細に説明するように、電極40は、はんだ、溶接、又は接着剤を必要とせずに、スパイン214の周りに圧着して、電極40をスパイン214に固定することができる。
【0068】
電極40は、どちらも電極40の第1の端部から第2の端部まで電極40の細長い本体を通って延在する、第1のルーメン70及び第2のルーメン72を画定することができる。電極40は、電極40から外向きに面する外面74と、電極40に向かって内向きに面し、電極40を通して第1のルーメン70が形成される第1の内面76と、電極40に向かって内向きに面し、電極を通して第2のルーメン72が形成される第2の内面78と、を有することができる。第1のルーメン70は、スパイン214が第1のルーメン70を通過することができるように、図6Aに示されるようにスパイン214を受容するようにサイズ決定及び構成することができる。図示されていないが、第2のルーメン72は、医療用プローブ22のワイヤを受容し、それにより、電極40をワイヤに取り付けることができるようにサイズ決定することができる。ワイヤは、スパイン214から電気的に絶縁することができる。いくつかの例では、第1のルーメン70及び/又は第2のルーメン72の各々は、電極40の略長手方向に電極40を通過することができる。他の例では、第1のルーメン70及び/又は第2のルーメン72は、電極40の略横方向に電極40を通過することができる。更に、第1のルーメン70及び/又は第2のルーメン72は、特定の構成に応じて、電極40内で、底面寄りに、上面寄りに、又は電極40の中央寄りに位置付けることができる。
【0069】
医療用プローブ22のスパイン214を受容するようにサイズ決定された第1のルーメン70を含むことによって、本開示の技術は、電極40がスパイン214に固定されて、離脱を防止することを確実にすることができる。したがって、電極40が外れた場合であっても、電極40は、第1のルーメン70を通過する支柱430の性質によってスパイン214に取り付けられたままになる。
【0070】
電極40は、第1のルーメン70内に内向きに延在することができるロッキングスタブ80を更に含むことができる。ロッキングスタブ80は、電極40の長さに沿って、電極40の第1の端部から電極40の第2の端部まで長手方向に延在することができる。ロッキングスタブ80は、電極40がスパイン214に結合されたときに、スパイン214のアパーチャ215を通って少なくとも部分的に延在するようにサイズ決定することができる。
【0071】
図4A図6Bに例示されるように、電極40は、第1の形状(すなわち、図4A図5A、及び図6Aに例示される)から第2の形状(すなわち、図4B図5B、及び図6Bに例示される)に圧着することができる。例えば、電極40は、電極40の細長い本体の長手方向軸に向かって圧着することができ、圧着される前に実質的に丸みのある外面74を有し、圧着された後に実質的に平坦な外面74を有することができる。電極40は、電極40が第1の形状から第2の形状まで塑性的に変形するまで電極40を押圧するように、工具を使用することによって圧着することができる。図6A及び図6Bに例示されるように、スパイン214は、電極40に挿入することができ、スパイン214のアパーチャ215は、電極40のロッキングスタブ80と位置合わせすることができる。ロッキングスタブ80がアパーチャ215と位置合わせされると、ロッキングスタブ80と第1のルーメン内面76との間の距離が低減されてスパイン214が適所で固定されるまで、電極40を圧着することができる。換言すれば、スパイン214を第1のルーメン70に挿入することができ、次いで、電極40がスパイン214の周りに密に固定されるまで、電極40を圧着することができる。電極40がスパイン214の周りに圧着されたときに、ロッキングスタブ80は、スパイン214のアパーチャ215を通って延在することができ、電極40がスパイン214の長さに沿って近位又は遠位に移動することを防止することができる。他に記述がなければ、電極40がスパイン40に圧着された時点で、電極40を変形させなければスパイン214を電極40から取り外すことができないように、ロッキングスタブ80は、スパイン214のアパーチャ215の内面に接触することができ、第1のルーメン内面76は、スパイン214に接触することができる。いくつかの例では、ロッキングスタブ80は、アパーチャ215においてスパイン214との締まり嵌めを形成して、電極40を適所に固定することができる。
【0072】
図7A図7Cは、異なる形状のロッキングスタブ780A~780Cを有する電極40の側面図を例示する。図7Aに示されるように、ロッキングスタブ780Aは、略丸みのある又は円形の断面を備えることができる。代替的に、図7Bに示されるように、ロッキングスタブ780Bは、略長方形断面を備えることができるか、又は図7Cに示されるように、ロッキングスタブ780Cは、略三角形形状を有する少なくとも一部分を備えることができる。理解されるように、略丸みのあるロッキングスタブ780Aは、ロッキングスタブ780Aがスパイン214のアパーチャ215内に摺動して、スパイン215との締まり嵌めを形成することを可能にするのを補助することができる。代替的に、略長方形形状を有するロッキングスタブ780Bは、より密な締まり嵌めを形成することが可能であり得る。更に、略三角形形状を有するロッキングスタブ780Cは、三角形形状でスパイン214をロッキングスタブ80上にロックして、電極40をスパイン214に更に固定することを可能にし得る。理解されるように、図7A図7Cは、説明の目的のために提供されており、本開示の技術は、本明細書に例示及び記載されたロッキングスタブ780A~780Cの特定の例に限定されるべきではない。例えば、ロッキングスタブ80は、略台形形状、略五角形形状、略六角形形状、略八角形形状、略楕円形状、略十字形状、略湾曲形状、又は他の好適な形状を含むことができる。更に、ロッキングスタブ80は、ロッキングスタブ80の長さに沿って、ロッキングスタブ80の1つの端部からロッキングスタブ80の別の端部まで変化する断面を有することができる。例えば、ロッキングスタブ80は、ロッキングスタブ80のいずれかの端部により厚い断面を有することができるか、又はロッキングスタブ80の中央により厚い断面を有することができる。更に、電極40の一方の側から電極40の第2の側まで延在するように記載されているが、ロッキングスタブ80は、電極40の全長よりも短く延在し得るか、又は第1の端部と第2の端部との間に除去された部分を有し得る(例えば、ロッキングスタブ80は、電極40の中央に材料を有さずに、電極40の両端部に材料の一部分を有し得る)。更にまた、本明細書には単一のロッキングスタブ80が図示及び記載されているが、電極40は、2つ又は3つ以上のロッキングスタブ80を含むことができ、ロッキングスタブ80は、ルーメン70の下部以外の第1のルーメン70の一部分(例えば、ルーメン70の上部)から第1のルーメン70内に延在することができる。したがって、本開示の技術は、本明細書に図示及び記載された特定の構成に限定されると解釈されるべきではない。
【0073】
以下、図5A及び図5Bを参照すると、電極40は、導電性部分90と、絶縁部分92と、を含むことができる。導電性部分90は、電気がそれを通過することを可能にするように(すなわち、心臓組織をアブレーション又はマッピングするために)構成することができ、使用時に、バスケットアセンブリ80から略外向きに面し、心臓組織に面することができる。その一方で、絶縁部分92は、電気がそれを通過することを防止して、スパイン214を電極40から電気的に絶縁するのを補助するように構成することができる。このようにして、絶縁部分92は、電極40とスパイン214との間に短絡を形成することを防止することができる。更に、絶縁部分92は、パルス場アブレーション中に、電流を方向付ける/集束させることができる。代替的に又は加えて、スパイン214は、絶縁材料から作製することができるか、又はスパイン214から電極40を電気的に絶縁するためにスパイン214に加えられる絶縁コーティング又はスリーブを有することができる。更に別の例として、電気絶縁材料を電極40とスパイン214との間に配置して、スパイン214から電極40を電気的に絶縁することができる。
【0074】
図8は、本開示の実施形態による、医療用プローブ22を構築する方法800を例示するフローチャートである。方法800は、スパイン(すなわち、スパイン214)を電極(すなわち、電極40)と位置合わせすること802を含むことができる。スパインを電極と位置合わせすること802は、例えば、電極のルーメン(すなわち、第1のルーメン70)をスパインの長手方向軸と位置合わせすることを含むことができる。方法800は、スパインを電極のルーメン内に挿入すること804と、ロッキングスタブ(すなわち、ロッキングスタブ80)をスパインのアパーチャ(すなわち、アパーチャ215)と位置合わせすること806と、を含むことができる。本方法は、ロッキングスタブがアパーチャ内に少なくとも部分的に延在して、電極をスパインに固定するように、電極をスパイン上に圧着すること808を更に含むことができる。電極をスパイン上に圧着すること808は、適用するためにハンドヘルド圧着工具、電気圧着工具、油圧圧着工具、空気圧圧着工具、又は他の好適な圧着工具を使用することを含むことができる。
【0075】
当業者によって理解されるように、方法800は、本明細書で説明される本開示の技術の様々な特徴のいずれかを含むことができ、特定の構成に応じて変更することができる。例えば、方法800は、第2のルーメン72にワイヤを挿入することと、ワイヤを電極40に電気的に接続することと、を更に含むことができる。別の例として、方法800は、スパイン214と電極40との間に電気絶縁材料を配置することを含むことができる。更に、方法800は、特定の用途のために、必要に応じて何度も繰り返して、適切な数の電極40をスパイン214に取り付けることができる。
【0076】
本明細書に記載の本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
【0077】
条項1:医療用プローブのための電極であって、電極が、細長い本体であって、細長い本体の少なくとも一部分が、導電性であり、細長い本体が、細長い本体の長手方向軸に沿って細長い本体を通って延在するルーメンを画定する、細長い本体と、ロッキングスタブであって、ロッキングスタブがルーメン内に挿入された部材にロックされるように、ルーメン内に少なくとも部分的に延在する、ロッキングスタブと、を備えている、電極。
【0078】
条項2:電極が、長手方向軸に向かって圧着されるように構成されている、条項1に記載の電極。
【0079】
条項3:圧着される前に実質的に丸みのある外面、及び圧着された後に実質的に平坦な外面を更に備えている、条項2に記載の電極。
【0080】
条項4:ロッキングスタブが、実質的に丸みのある断面を有する、条項1~3のいずれか一項に記載の電極。
【0081】
条項5:ロッキングスタブが、実質的に長方形の断面を有する、条項1~3のいずれか一項に記載の電極。
【0082】
条項6:ロッキングスタブの少なくとも一部分が、実質的に三角形の断面を備えている、条項1~3のいずれか一項に記載の電極。
【0083】
条項7:ロッキングスタブが、細長い本体の長さに延在する、条項1~6のいずれか一項に記載の電極。
【0084】
条項8:細長い本体が、ルーメン内に挿入された部材から電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、条項1~7のいずれか一項に記載の電極。
【0085】
条項9:ルーメンが、第1のルーメンであり、細長い本体が、ワイヤを受容するように構成された第2のルーメンを更に画定する、条項1~8のいずれか一項に記載の電極。
【0086】
条項10:ワイヤが、電極に電気的に結合される、条項9に記載の電極。
【0087】
条項11:医療用プローブであって、近位端及び遠位端を有し、長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、チューブ状シャフトの遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリと、を備え、拡張可能バスケットアセンブリが、複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極が、電極を通って延在するルーメン及びルーメン内に少なくとも部分的に延在するロッキングスタブを画定する、複数の電極と、長手方向軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行したときに長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成された、複数のスパインであって、複数のスパインのうちの各スパインが、複数の電極のうちの1つの電極のルーメンを通過し、複数のスパインのうちの各スパインが、スパインの第1の側からスパインの第2の側までスパインを通って延在するアパーチャを画定し、アパーチャが、電極がスパインに機械的に結合されたときに、ロッキングスタブがアパーチャを通って延在して、電極がスパインに沿って遠位又は近位に摺動することを防止するように、電極のロッキングスタブを受容するように構成されている、複数のスパインと、を備えている、医療用プローブ。
【0088】
条項12:複数の電極のうちの各電極が、スパインに圧着されるように構成されている、条項11に記載の医療用プローブ。
【0089】
条項13:複数の電極のうちの各電極が、スパインに圧着される前に実質的に丸みのある外面を有し、スパインに圧着された後に実質的に平坦な外面を有する、条項12に記載の医療用プローブ。
【0090】
条項14:ロッキングスタブが、実質的に丸みのある断面を有する、条項11~13のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0091】
条項15:ロッキングスタブが、実質的に長方形の断面を有する、条項11~13のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0092】
条項16:ロッキングスタブの少なくとも一部分が、実質的に三角形の断面を備えている、条項11~13のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0093】
条項17:複数の電極のうちの各電極が、スパインから電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、条項11~16のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0094】
条項18:複数のスパインのうちの各スパインが、電極からスパインを電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、条項11~16のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0095】
条項19:拡張可能バスケットアセンブリが、スパインから電極を電気的に絶縁するために、電極とスパインとの間に配設された絶縁材料を更に含む、条項11~18のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0096】
条項20:複数の電極のうちの各電極のルーメンが、第1のルーメンであり、複数の電極のうちの各電極が、医療用プローブのワイヤを受容するように構成された第2のルーメンを更に画定する、条項11~19のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0097】
条項21:ワイヤが、電極に電気的に結合されている、条項20に記載の医療用プローブ。
【0098】
条項22:ワイヤが、スパインから絶縁されている、条項21に記載の医療用プローブ。
【0099】
条項23:複数のスパインのうちの各スパインが、スパインに機械的に結合された第1の電極及び第2の電極を備え、各スパインが、第1の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第1のアパーチャ、及び第2の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第2のアパーチャを画定し、第1のアパーチャ及び第2のアパーチャの両方が、第1の電極及び第2の電極がそれぞれスパインに機械的に結合されたときに、第1の電極及び第2の電極がスパインの長さに沿って近位又は遠位に摺動すること防止するように構成されている、条項11~21のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0100】
条項24:アパーチャにおける電極のロッキングスタブとスパインとの間の接合部分が、締まり嵌めを含む、条項11~22のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0101】
条項25:スパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、条項11~24のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0102】
条項26:スパインが、ポリマー材料を含む、条項11~24のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0103】
条項27:複数の電極が、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成され、パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、条項11~26のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0104】
条項28:複数の電極が、心臓組織の電気生理学的特質をマッピングするように構成されている、条項11~26のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0105】
条項29:複数の電極に灌注流体を送達するように構成されたスプレーポートを更に備えている、条項11~28のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0106】
条項30:医療用プローブを構築する方法であって、拡張可能バスケットアセンブリのスパインを拡張可能バスケットアセンブリの電極と位置合わせすることであって、スパインが、近位端、遠位端を備え、スパインを通って延在するアパーチャを画定する、位置合わせすることと、スパインを電極のルーメン内に挿入することと、電極のロッキングスタブをアパーチャと位置合わせすることと、ロッキングスタブがアパーチャ内に少なくとも部分的に延在して、電極がスパインに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように、電極をスパイン上に圧着することと、を含む、方法。
【0107】
条項31:電極が、スパインに圧着される前に実質的に丸みのある外面を有し、スパインに圧着された後に実質的に平坦な外面を有する、条項30に記載の方法。
【0108】
条項32:ロッキングスタブが、実質的に丸みのある断面を有する、条項30又は31に記載の方法。
【0109】
条項33:ロッキングスタブが、実質的に長方形の断面を有する、条項30又は31に記載の方法。
【0110】
条項34:ロッキングスタブの少なくとも一部分が、実質的に三角形の断面を備えている、条項30又は31に記載の方法。
【0111】
条項35:電極が、スパインから電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、条項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
条項36:スパインが、電極からスパインを電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、条項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
条項37:拡張可能バスケットアセンブリが、スパインから電極を電気的に絶縁するために、電極とスパインとの間に配設された絶縁材料を更に含む、条項30~36のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
条項38:ルーメンが、第1のルーメンを含み、方法が、医療用プローブのワイヤを電極の第2のルーメンと位置合わせすることと、ワイヤを第2のルーメン内に挿入することと、ワイヤが電極と電気的に導通するようにワイヤを電極に結合することと、を更に含む、条項30~37のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
条項39:ワイヤが、スパインから絶縁されている、条項38に記載の方法。
【0116】
条項40:アパーチャにおける電極のロッキングスタブとスパインとの間の接合部分が、締まり嵌めを含む、条項30~39のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
条項41:スパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタンからなる群から選択される材料を含む、条項30~40のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
条項42:スパインが、ポリマー材料を含む、条項30~41のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
条項43:スパインのアパーチャが、第1のアパーチャであり、スパインが、第2のアパーチャを更に画定し、方法が、スパインを拡張可能バスケットアセンブリの第2の電極と位置合わせすることと、スパインを第2の電極のルーメン内に挿入することと、第2の電極のロッキングスタブを第2のアパーチャと位置合わせすることと、ロッキングスタブが第2のアパーチャ内に少なくとも部分的に延在して、第2の電極がスパインに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように、第2の電極をスパイン上に圧着することと、を更に含む、条項30~42のいずれか一項に記載の方法。
【0120】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書でこれまで述べた様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0121】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブのための電極であって、前記電極が、
細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分が、導電性であり、前記細長い本体が、前記細長い本体の長手方向軸に沿って前記細長い本体を通って延在するルーメンを画定する、細長い本体と、
ロッキングスタブであって、前記ロッキングスタブが前記ルーメン内に挿入された部材にロックされるように、前記ルーメン内に少なくとも部分的に延在する、ロッキングスタブと、を備えている、電極。
(2) 前記電極が、前記長手方向軸に向かって圧着されるように構成されている、実施態様1に記載の電極。
(3) 圧着される前に実質的に丸みのある外面、及び圧着された後に実質的に平坦な外面を更に備えている、実施態様2に記載の電極。
(4) 前記ロッキングスタブが、実質的に丸みのある断面を有する、実施態様1に記載の電極。
(5) 前記ロッキングスタブが、実質的に長方形の断面を有する、実施態様1に記載の電極。
【0122】
(6) 前記ロッキングスタブの少なくとも一部分が、実質的に三角形の断面を備えている、実施態様1に記載の電極。
(7) 前記ロッキングスタブが、前記細長い本体の長さに延在する、実施態様1に記載の電極。
(8) 前記細長い本体が、前記ルーメン内に挿入された前記部材から前記電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、実施態様1に記載の電極。
(9) 前記ルーメンが、第1のルーメンであり、前記細長い本体が、ワイヤを受容するように構成された第2のルーメンを更に画定する、実施態様1に記載の電極。
(10) 医療用プローブであって、
近位端及び遠位端を有し、長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記チューブ状シャフトの前記遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリと、を備え、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が、前記電極を通って延在するルーメン及び前記ルーメン内に少なくとも部分的に延在するロッキングスタブを画定する、複数の電極と、
前記長手方向軸に沿って延在し、前記拡張可能バスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行したときに前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成された、複数のスパインであって、前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記複数の電極のうちの1つの電極のルーメンを通過し、前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記スパインの第1の側から前記スパインの第2の側まで前記スパインを通って延在するアパーチャを画定し、前記アパーチャが、前記電極が前記スパインに機械的に結合されたときに、前記ロッキングスタブが前記アパーチャを通って延在して、前記電極が前記スパインに沿って遠位又は近位に摺動することを防止するように、前記電極の前記ロッキングスタブを受容するように構成されている、複数のスパインと、を備えている、医療用プローブ。
【0123】
(11) 前記複数の電極のうちの各電極が、前記スパインに圧着されるように構成されている、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(12) 前記複数の電極のうちの各電極が、前記スパインに圧着される前に実質的に丸みのある外面を有し、前記スパインに圧着された後に実質的に平坦な外面を有する、実施態様11に記載の医療用プローブ。
(13) 前記複数の電極のうちの各電極が、前記スパインから前記電極を電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(14) 前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記電極から前記スパインを電気的に絶縁するように構成された絶縁材料を更に含む、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(15) 前記複数のスパインのうちの各スパインが、前記スパインに機械的に結合された第1の電極及び第2の電極を備え、
各スパインが、前記第1の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第1のアパーチャ、及び前記第2の電極のロッキングスタブを受容するように構成された第2のアパーチャを画定し、前記第1のアパーチャ及び前記第2のアパーチャの両方が、前記第1の電極及び前記第2の電極がそれぞれ前記スパインに機械的に結合されたときに、前記第1の電極及び前記第2の電極が前記スパインの長さに沿って近位又は遠位に摺動すること防止するように構成されている、実施態様10に記載の医療用プローブ。
【0124】
(16) 前記アパーチャにおける前記電極の前記ロッキングスタブと前記スパインとの間の接合部分が、締まり嵌めを含む、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(17) 前記複数の電極が、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成され、前記パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(18) 前記複数の電極が、心臓組織の電気生理学的特質をマッピングするように構成されている、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(19) 医療用プローブを構築する方法であって、
拡張可能バスケットアセンブリのスパインを前記拡張可能バスケットアセンブリの電極と位置合わせすることであって、前記スパインが、近位端、遠位端を備え、前記スパインを通って延在するアパーチャを画定する、位置合わせすることと、
前記スパインを前記電極のルーメン内に挿入することと、
前記電極のロッキングスタブを前記アパーチャと位置合わせすることと、
前記ロッキングスタブが前記アパーチャ内に少なくとも部分的に延在して、前記電極が前記スパインに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するように、前記電極を前記スパイン上に圧着することと、を含む、方法。
(20) 前記ルーメンが、第1のルーメンを含み、前記方法が、
前記医療用プローブのワイヤを前記電極の第2のルーメンと位置合わせすることと、
前記ワイヤを前記第2のルーメン内に挿入することと、
前記ワイヤが前記電極と電気的に導通するように前記ワイヤを前記電極に結合することと、を更に含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
【外国語明細書】