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特開2023-164369心臓処置中の改善された灌注流のためのシステム及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164369
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】心臓処置中の改善された灌注流のためのシステム及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023073095
(22)【出願日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/336,127
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/127,600
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
(72)【発明者】
【氏名】アブバカール・バー
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK58
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】スパイン保持ハブを提供すること。
【解決手段】開示される技術は、バスケット型カテーテルのためのスパイン保持ハブを含み、スパイン保持ハブは、円筒形部材であって、複数の第1の灌注開口部と、第1の直径を有するスパイン保持ハブの遠位端の第1の部分と、第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分と、スパイン保持ハブの近位端において第2の部分に近接する第3の部分であって、第1の直径の約3倍である第3の直径、複数のリリーフランド、及び複数のブラケットを有する、第3の部分と、を含む、円筒形部材を含み得る。各ブラケットは、スパイン保持ハブの近位端に配置されてもよく、それぞれのリリーフランドの一部に重なってもよく、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されてもよい。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスケット型カテーテル用のスパイン保持ハブであって、
円筒形部材であって、
第1の直径を有する前記スパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、
前記第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分であって、前記第1の曲率半径が前記第1の直径の約半分である、第2の部分と、
前記スパイン保持ハブの近位端において前記第2の部分に近接し、前記第1の直径の約3倍である第3の直径を有する第3の部分であって、前記第3の部分が、
複数のリリーフランドと、
複数のブラケットであって、各々が前記スパイン保持ハブの前記近位端に配置され、各々が前記複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なり、各ブラケットが、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されている、複数のブラケットと、を含む、第3の部分と、
各々が前記スパイン保持ハブの前記遠位端に近接する、複数の第1の灌注開口部と、を含む、円筒形部材を備える、スパイン保持ハブ。
【請求項2】
前記複数の第1の灌注開口部が、前記複数のリリーフランドと位置合わせされた6つの開口部を含む、請求項1に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項3】
前記複数の第1の開口部のうちの各開口部が、約0.05mm~約0.6mmの流れ面積を含む、請求項1に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項4】
前記第1の部分に配置された少なくとも1つの電極を更に含む、請求項1に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電極が、円筒形電極を含む、請求項4に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電極が、2つの端部が切り取られた円筒形状を含む、請求項4に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項7】
前記複数のブラケットが、円周方向に離間され、1つ又は複数のワイヤを受容及び保持するように構成されている複数の間隙を、前記円筒形部材の前記第3の部分に沿って画定する、請求項1に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項8】
前記円筒形部材の前記第2の部分が、前記湾曲セクションの周りで前記長手方向に前記第1の直径から前記第3の直径に移行する第2の直径を有する、請求項1に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項9】
前記湾曲セクションが、前記第1の部分に近接する凹状セクションと、前記第3の部分に近接する凸状セクションとを含む、請求項8に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項10】
各ブラケットが、湾曲したブラケットを含み、それぞれのリリーフランドの近位端に重なる、請求項9に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項11】
各ブラケットが、前記スパイン保持ハブの外面の上方に隆起している、請求項10に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項12】
各ブラケットが、前記スパイン保持ハブの前記長手方向及び半径方向に延在する第1の切欠きを含む、請求項11に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項13】
各ブラケットが、前記スパイン保持ハブの前記長手方向及び前記半径方向に延在し、各ブラケットを2つのセクションに分離する第2の切欠きを含む、請求項12に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項14】
前記円筒形部材の前記第3の部分が、1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の細長い空洞を含み、
前記円筒形部材の前記第2の部分が、半径方向に延在し、前記1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の第3の切欠きを有する、リングを含む、請求項13に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項15】
前記複数の第3の切欠きが、前記長手方向において前記複数の細長い空洞とほぼ整列している、請求項14に記載のスパイン保持ハブ。
【請求項16】
医療用プローブであって、
スパイン保持ハブであって、
円筒形部材であって、
第1の直径を有する前記スパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、
前記第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分であって、前記第1の曲率半径が前記第1の直径の約半分である、第2の部分と、
前記スパイン保持ハブの近位端において前記第2の部分に近接し、前記第1の直径の約3倍である第3の直径を有する第3の部分であって、前記第3の部分が、
複数のリリーフランドと、
複数のブラケットであって、各々が前記スパイン保持ハブの前記近位端に配置され、各々が前記複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なり、各ブラケットが、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されている、複数のブラケットと、を含む、第3の部分と、
各々が前記スパイン保持ハブの前記遠位端に近接する、複数の第1の灌注開口部と、を含む、円筒形部材を含む、スパイン保持ハブと、
近位端及び遠位端を有する可撓性挿入チューブであって、前記可撓性挿入チューブが長手方向軸に沿って延在する、可撓性挿入チューブと、
前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に近接する拡張可能なバスケットアセンブリであって、前記拡張可能なバスケットアセンブリが、
前記複数のスパインセクションを備える単一の一体構造であって、前記スパインセクションが中心スパイン交差部で収束し、前記中心スパイン交差部が前記スパインセクションの屈曲を可能にするように構成されている1つ又は複数の切欠きを有し、各スパインセクションが、それぞれのブラケット及び前記それぞれのリリーフランドを用いて前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に接続されるそれぞれの端部を有し、前記中心スパイン交差部が、前記拡張可能なバスケットアセンブリの遠位端において前記長手方向軸上に位置付けられている、単一の一体構造と、
前記スパインセクションの各々に結合された1つ又は複数の電極であって、各電極が前記電極を通る管腔を画定し、スパインセクションが前記1つ又は複数の電極の各々の前記管腔を通って延在する、1つ又は複数の電極と、を備える、拡張可能なバスケットアセンブリと、
を備える、医療用プローブ。
【請求項17】
前記複数の第1の灌注開口部のうちの各開口部が、約0.05mm~約0.6mmの流れ面積を含む、請求項16に記載の医療用プローブ。
【請求項18】
前記複数のスパインセクションが、それぞれ隣接するスパインセクション間のそれぞれの角度がほぼ等しいように、等角パターンで前記中心スパイン交差部から延在する、請求項16に記載の医療用プローブ。
【請求項19】
医療用プローブであって、
スパイン保持ハブであって、
円筒形部材であって、
第1の直径を有する前記スパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、
前記第1の部分に近接し、長手方向に湾曲セクションを有する第2の部分と、
前記スパイン保持ハブの近位端において前記第2の部分に近接し、前記第1の直径とは異なる第3の直径を有する第3の部分であって、前記第3の部分が、
複数のリリーフランドと、
複数のブラケットであって、各々が前記スパイン保持ハブの前記近位端に配置され、各々が前記複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なり、各ブラケットが、それぞれのリリーフランドと共に、複数のスパインセクションのうちのそれぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されている、複数のブラケットと、を含む、第3の部分と、
各々が前記スパイン保持ハブの前記遠位端に近接して配置された、複数の第1の灌注開口部と、を含む、円筒形部材を含む、スパイン保持ハブと、
近位端及び遠位端を有する可撓性挿入チューブであって、前記可撓性挿入チューブが長手方向軸に沿って延在する、可撓性挿入チューブと、
前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に近接する拡張可能なバスケットアセンブリと、
を備える、医療用プローブ。
【請求項20】
前記拡張可能なバスケットアセンブリが、
前記複数のスパインセクションを備える単一の一体構造であって、前記スパインセクションが中心スパイン交差部で収束し、前記中心スパイン交差部が前記スパインセクションの屈曲を可能にする1つ又は複数の切欠きを有し、各スパインセクションが、それぞれの湾曲したブラケット及び前記それぞれのリリーフランドを用いて前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に接続されるそれぞれの端部を有し、前記中心スパイン交差部が、前記拡張可能なバスケットアセンブリの遠位端において前記長手方向軸上に位置付けられている、単一の一体構造と、
前記スパインセクションの各々に結合された1つ又は複数の電極であって、各電極が前記電極を通る管腔を画定し、スパインセクションが前記1つ又は複数の電極の各々の前記管腔を通って延在する、1つ又は複数の電極と、
を備える、請求項19に記載の医療用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療デバイス、特に電極及び灌注開口部を有するスパイン保持ハブを有するカテーテルに関し、更に、心臓組織の不可逆エレクトロポレーション(IRE)を誘発するための使用に好適なカテーテルに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに生じる。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0003】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(radiofrequency、RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する傾向にある。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、蒸気破裂、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱細胞傷害のリスクの高まりなどの特定の欠点を有し得る。冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0004】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、これらの各々は、参照によりその全体が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/323,832号の付録に添付されている。
【0005】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。更に、複数の線形スパインは、概して、線形スパインの両端をチューブ状シャフト(例えば、プッシャ管)に取り付けて球形バスケットを形成することによって、ともに組み立てられる。
【0006】
しかしながら、スパイン及び電極の小さいサイズに起因して、電極をスパインに接着し、次いで、複数の線形スパインから球形バスケットを形成することは、困難な作業であり、製造時間及びコスト、並びに不適切な結合又は不整合に起因して電極が故障する可能性を増加させ得る。加えて、これらの心臓処置は、患者に害をもたらす可能性がある熱を電極において生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、必要とされているのは、バスケットアセンブリ及び一般的な代替カテーテル形状を製造するのに必要な時間を短縮するのに役立つことができる、スパイン保持ハブ及びバスケットアセンブリを有するバスケット型カテーテル及び医療用プローブのための熱を効果的に放散するための改善された灌注能力を有する改善されたスパイン保持ハブのためのシステム及びデバイスである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、円筒形部材を含むことができるバスケット型カテーテル用のスパイン保持ハブが提供される。円筒形部材は、第1の直径を有するスパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分であって、第1の曲率半径が第1の直径の約半分である、第2の部分と、を含んでいてもよい。円筒形部材はまた、スパイン保持ハブの近位端において第2の部分に近接し、第1の直径の約3倍である第3の直径を有する第3の部分を含んでいてもよい。円筒形部材の第3の部分第3の部分は、複数のリリーフランド及び複数のブラケットを含むことができる。各ブラケットは、スパイン保持ハブの近位端に配置されてもよく、複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なってもよい。加えて、各ブラケットは、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されてもよい。円筒形部材はまた、各々がスパイン保持ハブの遠位端に近接する複数の第1の灌注開口部を含んでもよい。
【0009】
複数の第1の灌注開口部は、複数のリリーフランドと位置合わせされ得る6つの開口部を含み得る。
【0010】
複数の第1の開口部のうちの各開口部は、約0.05mm~約0.6mmの流れ面積を含むことができる。
【0011】
スパイン保持ハブはまた、第1の部分に配置された少なくとも1つの電極を含んでもよい。
【0012】
少なくとも1つの電極は、円筒形電極を含むことができる。
【0013】
少なくとも1つの電極は、2つの端部が切り取られた円筒形状を含むことができる。
【0014】
複数のブラケットは円周方向に離間されて、円筒形部材の第3の部分に沿って複数の間隙を画定してもよい。複数のブラケットは、1つ又は複数のワイヤを受容及び保持するように構成されてもよい。
【0015】
円筒形部材の第2の部分は、湾曲セクションの周りで長手方向に第1の直径から第3の直径に移行する第2の直径を含んでもよい。
【0016】
湾曲セクションは、第1の部分に近接する凹状セクションと、第3の部分に近接する凸状セクションとを含んでもよい。
【0017】
各ブラケットは、湾曲したブラケットを含んでもよい。
【0018】
各ブラケットは、それぞれのリリーフランドの近位端に重なってもよい。
【0019】
各ブラケットは、スパイン保持ハブの外面の上方に隆起していてもよい。
【0020】
各ブラケットは、スパイン保持ハブの長手方向及び半径方向に延在する第1の切欠きを含んでもよい。
【0021】
各ブラケットは、スパイン保持ハブの長手方向及び半径方向に延在し、各ブラケットを2つのセクションに分離する第2の切欠きを含んでもよい。
【0022】
円筒形部材の第3の部分は、1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の細長い空洞を含んでもよい。
【0023】
円筒形部材の第2の部分は、半径方向に延在し、1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の第3の切欠きを有してもよいリングを含んでもよい。
【0024】
複数の第3の切欠きは、長手方向において複数の細長い空洞とほぼ整列していてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、医療用プローブが提供される。医療用プローブは、円筒形部材を含むスパイン保持ハブを含んでもよい。円筒形部材は、第1の直径を有するスパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分であって、第1の曲率半径が第1の直径の約半分である、第2の部分と、を含んでいてもよい。円筒形部材はまた、スパイン保持ハブの近位端において第2の部分に近接し、第1の直径の約3倍である第3の直径を有する第3の部分を含んでいてもよい。円筒形部材の第3の部分第3の部分は、複数のリリーフランド及び複数のブラケットを含むことができる。各ブラケットは、スパイン保持ハブの近位端に配置されてもよく、複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なってもよい。加えて、各ブラケットは、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されてもよい。円筒形部材はまた、各々がスパイン保持ハブの遠位端に近接する複数の第1の灌注開口部を含んでもよい。医療用プローブはまた、近位端及び遠位端を有し得る可撓性挿入チューブを含んでもよい。可撓性挿入チューブは、長手方向軸に沿って延在してもよい。医療用プローブはまた、可撓性挿入チューブの遠位端に近接する拡張可能なバスケットアセンブリを含んでもよい。拡張可能なバスケットアセンブリは、複数のスパインセクションを含み得る単一の一体構造を含み得る。スパインセクションは、スパインセクションの屈曲を可能にするように構成され得る、1つ又は複数の切欠きを有し得る、中心スパイン交差部において収束してもよい。各スパインセクションは、それぞれのブラケット及びそれぞれのリリーフランドを用いて、可撓性挿入チューブの遠位端に接続されるそれぞれの端部を有してもよい。中心スパイン交差部は、拡張可能なバスケットアセンブリの遠位端において長手方向軸上に位置付けられ得る。医療用プローブはまた、スパインセクションの各々に結合された1つ又は複数の電極を含むことができる。各電極は、電極を通る管腔を画定することができ、スパインセクションが1つ又は複数の電極の各々の管腔を通って延在する。
【0026】
複数のスパインセクションは、それぞれ隣接するスパインセクション間のそれぞれの角度がほぼ等しいように、等角パターンで中心スパイン交差部から延在してもよい。
【0027】
拡張可能なバスケットアセンブリは、複数のスパインセクションのうちの4~10個のスパインセクションを含んでもよい。
【0028】
拡張可能なバスケットアセンブリは、複数のスパインセクションのうちの6個のスパインセクションを含んでもよい。
【0029】
拡張可能なバスケットアセンブリは、ほぼ球形であってもよい。
【0030】
拡張可能なバスケットアセンブリは、ほぼ偏楕円体であってもよい。
【0031】
各管腔は、各電極の長手方向軸に対してオフセットして配置されてもよい。
【0032】
拡張可能なバスケットアセンブリは、中心スパイン交差部に近接して位置する少なくとも1つの別個の切欠きを含んでもよい。
【0033】
1つ又は複数の切欠きは、中心対称パターンを含み得る。
【0034】
1つ又は複数の切欠きは、等角度パターンを含み得る。
【0035】
1つ又は複数の切欠きは、各スパインセクションの少なくとも一部に沿って延在してもよい。
【0036】
各電極は、1つ以上のワイヤが管腔に隣接して延在することを可能にするように、管腔に隣接するレリーフを含み得る。
【0037】
管腔は、電極の長手方向軸に対して対称に配置され得る。
【0038】
1つ又は複数の電極は、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成され得、電気パルスは、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する。
【0039】
医療用プローブはまた、1つ又は複数の電極のうちのそれぞれの電極に各々電気的に接合された複数のワイヤを含んでもよい。
【0040】
複数のスパインセクションは、ニチノールを含み得る。
【0041】
複数のスパインセクションは、金属ストランドを含んでもよい。
【0042】
複数の第1の灌注開口部は、複数のリリーフランドと位置合わせされ得る6つの開口部を含み得る。
【0043】
複数の第1の開口部のうちの各開口部は、約0.05mm~約0.6mmの流れ面積を含むことができる。
【0044】
医療用プローブはまた、第1の部分に配置された少なくとも1つの電極を含んでもよい。
【0045】
少なくとも1つの電極は、円筒形電極を含むことができる。
【0046】
少なくとも1つの電極は、2つの端部が切り取られた円筒形状を含むことができる。
【0047】
複数のブラケットは円周方向に離間されて、円筒形部材の第3の部分に沿って複数の間隙を画定してもよい。間隙は、1つ又は複数のワイヤを受容及び保持するように構成されてもよい。
【0048】
第1の灌注開口部は、第2の部分に配置されてもよい。
【0049】
円筒形部材の第2の部分は、湾曲セクションの周りで第1の直径から第3の直径に移行する第2の直径を有してもよい。
【0050】
湾曲セクションは、第1の部分に近接する凹状セクションと、第3の部分に近接する凸状セクションとを含んでもよい。
【0051】
各ブラケットは、湾曲したブラケットを含んでもよい。
【0052】
各ブラケットは、それぞれのリリーフランドの近位端に重なってもよい。
【0053】
各ブラケットは、スパイン保持ハブの外面の上方に隆起していてもよい。
【0054】
各ブラケットは、スパイン保持ハブの長手方向及び半径方向に延在する第1の切欠きを含んでもよい。
【0055】
各ブラケットは、スパイン保持ハブの長手方向及び半径方向に延在し、各ブラケットを2つのセクションに分離する第2の切欠きを含んでもよい。
【0056】
円筒形部材の第3の部分は、1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の細長い空洞を含んでもよい。
【0057】
円筒形部材の第2の部分は、半径方向に延在し、1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の第3の切欠きを有するリングを含んでもよい。
【0058】
複数の第3の切欠きは、長手方向において複数の細長い空洞と整列していてもよい。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、医療用プローブが提供される。医療用プローブは、円筒形部材を含むスパイン保持ハブを含んでもよい。円筒形部材は、第1の直径を有するスパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分であって、第1の曲率半径が第1の直径の約半分である、第2の部分と、を含んでいてもよい。円筒形部材はまた、スパイン保持ハブの近位端において第2の部分に近接し、第1の直径の約3倍である第3の直径を有する第3の部分を含んでいてもよい。円筒形部材の第3の部分は、複数のリリーフランド及び複数のブラケットを含むことができる。各ブラケットは、スパイン保持ハブの近位端に配置されてもよく、複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なってもよい。加えて、各ブラケットは、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されてもよい。円筒形部材はまた、各々がスパイン保持ハブの遠位端に近接する複数の第1の灌注開口部を含んでもよい。医療用プローブはまた、近位端及び遠位端を有し得る可撓性挿入チューブを含んでもよい。可撓性挿入チューブは、長手方向軸に沿って延在してもよい。医療用プローブはまた、可撓性挿入チューブの遠位端に近接する拡張可能なバスケットアセンブリを含んでもよい。
【0060】
拡張可能なバスケットアセンブリは、複数のスパインセクションを含み得る単一の一体構造を含み得る。スパインセクションは、スパインセクションの屈曲を可能にするように構成され得る、1つ又は複数の切欠きを有し得る、中心スパイン交差部において収束してもよい。各スパインセクションは、それぞれのブラケット及びそれぞれのリリーフランドを用いて、可撓性挿入チューブの遠位端に接続されるそれぞれの端部を有してもよい。中心スパイン交差部は、拡張可能なバスケットアセンブリの遠位端において長手方向軸上に位置付けられ得る。医療用プローブはまた、スパインセクションの各々に結合された1つ又は複数の電極を含むことができる。各電極は、電極を通る管腔を画定することができ、スパインセクションが1つ又は複数の電極の各々の管腔を通って延在する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】は、本発明の一実施形態による、医療用プローブを含み、医療用プローブの遠位端が電極及びスパイン保持ハブを有するバスケットアセンブリを含む、医療用システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図2B】本発明の実施形態による、圧潰形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図2C】本発明の一実施形態による、医療用プローブの分解側面図を示す概略絵画図である。
図3】は、本発明の実施形態による、所与の医療デバイスのバスケットアセンブリ及びスパイン保持ハブの外形輪郭を示す概略描画図である。
図4A】は、本発明の実施形態による、スパイン保持ハブの輪郭を示す概略絵画図である。
図4B】は、本発明の実施形態による、スパイン保持ハブの輪郭を示す概略絵画図である。
図4C】は、本発明の実施形態による、スパイン保持ハブの輪郭を示す概略絵画図である。
図4D】は、本発明の実施形態による、スパイン保持ハブの輪郭を示す概略絵画図である。
図4E】は、本発明の実施形態による、スパイン保持ハブの輪郭を示す概略絵画図である。
図4F】は、本発明の実施形態による、スパイン保持ハブの輪郭を示す概略絵画図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0063】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。
【0064】
本明細書で使用する場合、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」及び「被験体」という用語は、任意のヒト被験体又は動物被験体を指し、上述のシステム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における対象の本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。加えて、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者でよいことを理解するべきである。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位部」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0065】
本明細書で論じられるように、「作業者」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0066】
本明細書で論じられるように、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(PEF)及びパルス場アブレーション(PFA)と互換的に称される、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0067】
本明細書で論じられるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に位置付けられた2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0068】
本明細書で論じられるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称される)を有する電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを有する電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分中に本質的に一定の電圧振幅を有する正方形形状を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0069】
本明細書で論じられるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0070】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0071】
本開示は、スパインに取り付けられた電極を有するエンドエフェクタを利用するシステム、方法、又は使用、及びデバイスに関する。本開示の例示的なシステム、方法、及びデバイスは、心不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションに特に適し得る。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを供給するように構成される。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化され得る。
【0072】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。
【0073】
RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションに関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0074】
本開示で論じられるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療領域において熱を生成し、治療領域内の全ての細胞を無差別に加熱する。IREはしたがって、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで知られている起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスが利用され得る。
【0075】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(reversable)(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を適用することによって誘発され得る。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、ホメオスタシスの喪失に起因して死滅し、典型的にはアポトーシスによって死亡する。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はほぼ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0076】
本開示の解決策は、好ましくは心筋組織においてエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を印加することによって、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的電気穿孔は、細胞が修復することを可能にする、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回るときに行われる。可逆エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、親出願第63/336,127号の付録に添付されている。
【0077】
パルス電界、並びに可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含み得、本明細書に提示される例は、概して、可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含み得る。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータが与えられると、可逆エレクトロポレーション及び不可逆エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許出願公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に提示されており、これらの各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、親出願第63/336,127号の付録に添付されている。
【0078】
IRE(不可逆エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に記載されるように、医療用プローブは、近位端及び遠位端を有する管状シャフトと、管状シャフトの遠位端にあるバスケット組立体とを含む。バスケットアセンブリは、単一の一体構造を含む。一体構造は、材料の平面シートから形成された複数の線形スパインと、スパインのそれぞれに結合された1つ以上の電極とを含むことができる。複数の線形スパインは、1つ又は複数の切欠きを有する中心スパイン交差部で収束することができる。切欠きは、スパインがほぼ球形又は偏楕円体のバスケットアセンブリを形成するように、各スパインの屈曲を可能にすることができる。
【0079】
加えて、スパイン保持ハブは、複数のスパインを受容及び保持するように構成されてもよく、アブレーションプロセス中に電極及び/又はアブレーション部位から熱を迅速に放散させて患者への害を最小限に抑えるために、医療用プローブのバスケットアセンブリ上に見られる1つ又は複数の電極及び/又は患者のアブレーション部位に、灌注流体(例えば、生理食塩水)を効率的に向けるように構成された複数の灌注開口部を含んでもよい。
【0080】
図1は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ22と、制御コンソール24とを含む医療用システム20の概略描画図である。医療用システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づき得る。以下に説明する実施形態では、医療用プローブ22は、患者28の心臓26においてアブレーション処置を実行するためなど、診断的処置又は治療的処置のために使用することができる。代替的に、医療用プローブ22は、必要な変更を加えて、心臓又は他の身体器官における他の治療目的及び/又は診断目的に使用されてもよい。
【0081】
医療用プローブ22は、可撓性挿入チューブ30と、チューブ状シャフトの近位端に連結されたハンドル32と、を含む。医療処置の間、医療専門家34は、医療用プローブの遠位端36が心臓26の室などの体腔に入るように、患者28の血管系を通してプローブ22を挿入することができる。遠位端36が心臓26の室に入ると、医療専門家34は、医療用プローブ22の遠位端36に接近するバスケットアセンブリ38を展開させることができる。バスケットアセンブリ38は、以下の図2A及び図2Bを参照する説明に記載するように、複数のスパイン214に取り付けられた、複数の電極40を含み得る。不可逆エレクトロポレーション(IRE)アブレーションなどの医療処置の実行を開始するために、医療専門家34は、電極40が所望の位置(単数又は複数)で心臓組織に係合するように、ハンドル32を操作して遠位端36を位置決めすることができる。電極40が心臓組織に係合するように遠位端36を位置付けると、医療専門家34は、電気パルスが電極40によって送達されてIREアブレーションを行うように、医療用プローブ22を作動させることができる。
【0082】
医療用プローブ22は、ガイドシース及び治療用カテーテルを含むことができ、ガイドシースは、可撓性挿入チューブ30及びハンドル32を含み、治療用カテーテルは、バスケットアセンブリ38、電極40、及びチューブ状シャフト84を含む(図2A図2B及び図2C参照)。治療用カテーテルは、バスケットアセンブリ38が心臓26内に位置付けられるように、ガイドシースを通って並進する。医療用プローブ22の遠位端36は、バスケットアセンブリ38が可撓性挿入管30内に収容されているときにガイドシースの遠位端に一致し、医療用プローブ22の遠位端36は、バスケットアセンブリ38がガイドシースの遠位端から延出しているときにバスケットアセンブリ38の遠位端に一致する。代替的に、医療用プローブ22は、当業者によって理解されるように、治療用カテーテル上の第2のハンドルと、他の特徴と、を含むように構成され得る。
【0083】
図1に示される構成では、制御コンソール24は、ケーブル42によって体表面電極に接続され、体表面電極は典型的には、患者28に取り付けられている接着性皮膚パッチ44を含む。制御コンソール24は、追跡モジュール48と共に、心臓26内の遠位端36の位置座標を決定するプロセッサ46を含む。位置座標は、生成された磁場が存在するときにカテーテルの遠位部分から提供される電磁位置センサ出力信号に基づいて決定することができる。位置座標は、追加的又は代替的に、接着性皮膚パッチ44とバスケットアセンブリ38に取り付けられた電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づくことができる。医療処置中に位置センサとして使用されることに加えて、電極40は、心臓内の組織をアブレーションするなど、他のタスクを実行することができる。
【0084】
これまで述べたように、追跡モジュール48と共に、プロセッサ46は、接着性皮膚パッチ44と電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づいて、心臓26内の遠位端36の位置座標を決定してもよい。このような決定は、典型的には、インピーダンス又は電流を遠位端の既知の位置に関連付ける較正プロセスが実行された後に行われる。本明細書に提示するいくつかの実施形態は、好ましくは、心臓26内の組織にIREアブレーションエネルギーを送達するように構成されている電極40を説明するが、任意の体腔内の組織に任意の他のタイプのアブレーションエネルギーを送達するように電極40を構成することは、本発明の趣旨及び範囲内であるとみなされる。更に、IREアブレーションエネルギーを心臓26内の組織に送達するように構成された電極40であるという文脈で説明されているが、当業者は、本開示の技術が、患者28の身体の器官又は他の部分の様々な性質をマッピング及び/又は決定するために使用される電極に適用可能であり得ることを理解するであろう。
【0085】
プロセッサ46は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路50と、それに続くアナログ-デジタル(A/D)信号変換集積回路52とを含んでもよい。プロセッサは、1つ以上のアルゴリズムを実行するようにプログラムすることができ、医療専門家34がIREアブレーション処置を実行することを可能にするために、回路50及び回路52並びにモジュールの特徴を使用する。
【0086】
制御コンソール24はまた、制御コンソール24が電極40及び接着性皮膚パッチ44から信号を転送し、且つ/又はそれらに信号を転送することを可能にする入出力(I/O)通信インタフェース54を含む。図1に示される構成では、制御コンソール24は、IREアブレーションモジュール56とスイッチングモジュール58とを更に含む。
【0087】
IREアブレーションモジュール56は、数十キロワットの範囲のピーク電力を有するIREパルスを生成するように構成される。いくつかの例では、電極40は、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する電気パルスを送達するように構成される。医療用システム20は、IREパルスを電極40に送達することによってIREアブレーションを実行する。好ましくは、医療用システム20は、スパイン上の電極40間に二相性パルスを送達する。追加的又は代替的に、医療用システム20は、電極40のうちの少なくとも1つと皮膚パッチとの間に単相性パルスを送達する。
【0088】
熱を放散するため、且つアブレーションプロセスの効率を改善するために、システム20は、チューブ状シャフト84内のチャネル(図示せず)を介して、及びスパイン保持ハブ90(図2C図3、及び図4A図4Dを参照されたい)の灌注開口部98を介して、遠位端36及び電極40に灌注流体(例えば、生理食塩水)を供給する(図2A図2C参照)。加えて、又は代替として、灌注流体は、可撓性挿入チューブ30を通して、スパイン保持ハブ90の灌注開口部98に供給されることができる。制御コンソール24は、灌注流体の圧力及び温度などの灌注パラメータを監視及び制御するための灌注モジュール60を含む。
【0089】
電極40及び/又は接着性皮膚パッチ44から受信した信号に基づいて、プロセッサ46は、患者の体内における遠位端36の位置を示す電気解剖学的マップ62を生成することができる。処置中、プロセッサ46は、ディスプレイ64上でマップ62を医療専門家34に提示し、電気解剖学的マップを表すデータをメモリ66に記憶することができる。メモリ66は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、医療専門家34は、1つ以上の入力デバイス68を使用して、マップ62を操作することができる。代替的な実施形態では、ディスプレイ64は、マップ62を提示することに加えて、医療専門家34からの入力を受け入れるように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0091】
図2Aは、挿入チューブ30の遠位端36において挿入チューブの管腔80から外に前進させられることなどによって拘束されていないときの拡張形態のバスケットアセンブリ38を有する医療用プローブ22の斜視図を示す概略絵図である。図2Aに示す医療用プローブ22では、図1に示したガイドシースが不在である。図2Bは、ガイドシースの挿入管30内の圧潰形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(図2A)では、スパイン214は、半径方向外向きに湾曲し、折り畳み形態(図2B)では、スパインは、挿入管30の長手方向軸86に概ね沿って配置される。
【0092】
図2Aに示されるように、バスケットアセンブリ38は、チューブ状シャフト84の端部に形成され、両端で接続された複数の可撓性スパイン214を含む。医療処置中、医療専門家34は、チューブ状シャフト84を挿入管30から延出させ、バスケットアセンブリ38を挿入管30から出して拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ38を展開することができる。スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有してもよく、本明細書でより詳細に説明されるように、支柱を形成する可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含んでもよい。
【0093】
図2Aに示されるように、複数の可撓性線形スパイン214は、中心スパイン交差部211で収束する。いくつかの実施例では、中心スパイン交差部211は、以下でより詳細に説明するように、各スパインのそれぞれの取り付け端部216がスパイン保持ハブ90に接続されるときにスパイン214の屈曲を可能にする、1つ以上の切欠き212を含み得る。
【0094】
本明細書に記載の実施形態では、バスケットアセンブリ38のスパイン214上に位置付けられる1つ又は複数の電極40は、心臓26内の組織にアブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を送達するように構成され得る。加えて、又は代替的に、電極を使用して、バスケットアセンブリ38の位置を決定すること、及び/又は心臓26内の組織上のそれぞれの位置における局所表面電位など生理学的特性を測定することができる。電極40は、1つ又は複数の電極40のより多くの部分がバスケットアセンブリ38から外向きに面するように付勢され得、その結果、1つ又は複数の電極40は、内向きよりもバスケットアセンブリ38から離れる方向に外向きに(すなわち、心臓26組織に向かって)より多くの量の電気エネルギーを送達する。
【0095】
電極40を形成するのに理想的に適した材料の例としては、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料はまた、非常に高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓26内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0096】
バスケットアセンブリ38は、遠位端39を有する。医療用プローブ22は、チューブ状シャフト84の遠位端からバスケットアセンブリ38の遠位端39に向かって縦方向に延在する、スパイン保持ハブ90を含むことができる。上記に記載されるように、制御コンソール24は、チューブ状シャフト84を通して灌注流体をバスケットアセンブリ38に送出する灌注モジュール60を含む。
【0097】
図2C及び図3を参照すると、バスケットアセンブリ38は、材料の平面シート210又はチューブ状材料から形成された複数の線形スパイン214を含む単一の一体構造を含む。スパイン保持ハブ90(図4A図4Dで更に説明する)は、チューブ状シャフト84内に挿入され、チューブ状シャフト84に取り付けられ得る。スパイン保持ハブ90は、複数のレリーフランド96、複数の灌注開口部98、及び少なくとも1つのスパイン保持ハブ電極99、又はそれらのある組み合わせを含む、円筒形部材94を含むことができる。スパイン保持ハブ電極99は、円筒形状(例えば、図4A図4E、及び図4F参照)を含むことができ、円筒形状は、2つの対向する端部(例えば、図4B図4C、及び図4D参照)で切断されてもされなくてもよい。リリーフランド96は、円筒形部材94の外面及び/又は第3の部分103(図4B図4C、及び図4Dに関して以下に説明する)に配設され、各スパイン取り付け端部216など各スパイン214の一部分を、それぞれのリリーフランド96に嵌合可能にするように構成され得る。取り付け端部216は、スパイン214の略直線状端部であり得る。取り付け端部216は、バスケットアセンブリ38がスパイン保持ハブ90から外向きに、その結果として、チューブ状シャフト84から外向きに位置付けられるように、スパイン保持ハブ90から外向きに延在するように構成され得る。このようにして、スパイン214は、バスケットアセンブリの展開時に、バスケットアセンブリ38をチューブ状シャフト84の遠位端から遠位に、且つ挿入管30の遠位端から遠位に位置付けるように構成され得る。
【0098】
上述したように、制御コンソール24は、灌注流体を遠位端36に送達する灌注モジュール60を含む。複数の灌注開口部98は、所与の電極40又は心臓26内の組織のいずれかに灌注流体を噴霧するか、又は別様に分散させるように角度をなし得る。電極40は、灌注流体を送達する灌注開口部を含まないので、上記の構成により、熱を組織からスパイン214の内側にある電極の部分に(すなわち、アブレーション処置中に)伝達することが可能になり、また、灌注開口部98を介して、スパイン214の内側にある電極40の部分に灌注流体を向けることによって、電極40を冷却することができる。保持ハブ90の遠位端に配置されたスパイン保持ハブ電極99は、スパイン214上の電極40と組み合わせて使用することができるか、又は代替的に、基準マッピング若しくはアブレーションのために電極40から独立して使用することができる。
【0099】
図4A図4B図4C図4D図4E、及び図4Fは、本発明の実施形態による様々なスパイン保持ハブ90を示す。図4Aは、円筒形部材94を含み得るスパイン保持ハブ90を示す。円筒形部材94は、スパイン保持ハブ90の遠位端104aに、第1の直径108を有する第1の部分101を含むことができる。
【0100】
円筒形部材94はまた、長手方向に第1の曲率半径110を有する湾曲セクションを有する、第1の部分101に近接する第2の部分102を有してもよい。第1の曲率半径110は、第1の直径108の約半分であってもよい。第2の部分102はまた、第2の部分102の湾曲セクションの周りで長手方向に第1の直径108から、第3の部分103の第3の直径112に移行する第2の直径を有してもよい。第2の部分102の湾曲セクションは、第1の部分101に近接する凹状セクションと、第3の部分103に近接する凸状セクションとを含むことができる。第2の部分102は、半径方向に延在し、1つ又は複数のワイヤ(図示せず)を受容するように構成された複数の第3の切欠き106cを有するリングを含んでもよい。複数の第3の切欠き106cは、長手方向において複数の細長い空洞105と整列していてもよい。いくつかの実施形態では(例えば、図4F参照)、スパイン保持ハブは、近位端104bから遠位端104aまでスパイン保持ハブ90の第1の部分101、第2の部分102、及び第3の部分103を通って延在する細長い空洞105を含んでもよい。
【0101】
円筒形部材94はまた、スパイン保持ハブ90の近位端104bにおいて第2の部分102に近接する第3の部分103を含むことができる。第3の部分103は、第1の直径108の約3倍である第3の直径112を有することができる。第3の部分103は、複数のリリーフランド96と、1つ又は複数のワイヤを受容するように構成される複数の細長い空洞105と、複数のブラケット95とを含んでもよい。各ブラケット95は、スパイン保持ハブ90の近位端104bに配置されてもよく、各ブラケット95は、複数のリリーフランド96のそれぞれのリリーフランド96の一部に重なってもよい。いくつかの実施形態(例えば、図4E及び図4F参照)では、複数のリリーフランド06の各々は、第3の部分103の上面をリリーフランド96の空洞床部と接続する段付き壁を含むことができる。
【0102】
各ブラケット95は、それぞれのリリーフランド96と共に、それぞれのスパインセクション214を受け入れて保持するように構成されてもよく、第3の部分103の周りで円周方向に湾曲してもよい。各ブラケット95は、それぞれのリリーフランド96の近位端並びにそのリリーフランド開口部114と重なってもよい。複数のブラケット95は、円周方向に離間され、1つ又は複数のワイヤを受容及び保持するように構成されている複数の間隙97(図4A参照)を円筒形部材94の第3の部分に沿って画定してもよい。各ブラケット95は、スパイン保持ハブ90の外面の上方に隆起していてもよい(例えば、図4A図4E参照)。場合によっては、各ブラケット95は、スパイン保持ハブ90の長手方向及び半径方向に延在する第1の切欠き106a(例えば、図4B図4E参照)、及び/又は、長手方向及び径方向に延在し、各ブラケット95を2つのセクションに分離する第2の切欠き(例えば、図4C~4E参照)を含むことができる。
【0103】
円筒形部材94はまた、複数の灌注開口部98を含むことができる。各灌注開口部は、スパイン保持ハブ90の遠位端104aに近接していてもよい。また、円筒形部材94は、複数のリリーフランド開口部114を含んでもよく、その各々は、スパイン保持ハブ90の近位端104bに近接してもよい。複数の灌注開口部98は、複数のリリーフランド96と位置合わせされた6つの開口部98を含むことができる。各開口部98は、約0.05mmから約0.6mmまでの流れ面積を含むことができる(例えば、約0.24mm)。上述したように、複数の灌注開口部98は、バスケットアセンブリ38に見られる1つ又は複数の電極40に灌注流体(例えば、生理食塩水)を向けるように構成される。少なくとも1つの灌注開口部98は、灌注流体を患者のアブレーション部位に向ける(又は選択的に向ける)ように構成されてもよい。いくつかの実施形態(例えば、図4E)では、灌注開口部は、灌注流体の照準を更に補助するように構成された溝121に隣接している。
【0104】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書でこれまで述べた様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) バスケット型カテーテル用のスパイン保持ハブであって、
円筒形部材であって、
第1の直径を有する前記スパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、
前記第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分であって、前記第1の曲率半径が前記第1の直径の約半分である、第2の部分と、
前記スパイン保持ハブの近位端において前記第2の部分に近接し、前記第1の直径の約3倍である第3の直径を有する第3の部分であって、前記第3の部分が、
複数のリリーフランド(relief lands)と、
複数のブラケットであって、各々が前記スパイン保持ハブの前記近位端に配置され、各々が前記複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なり、各ブラケットが、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されている、複数のブラケットと、を含む、第3の部分と、
各々が前記スパイン保持ハブの前記遠位端に近接する、複数の第1の灌注開口部と、を含む、円筒形部材を備える、スパイン保持ハブ。
(2) 前記複数の第1の灌注開口部が、前記複数のリリーフランドと位置合わせされた6つの開口部を含む、実施態様1に記載のスパイン保持ハブ。
(3) 前記複数の第1の開口部のうちの各開口部が、約0.05mm~約0.6mmの流れ面積を含む、実施態様1に記載のスパイン保持ハブ。
(4) 前記第1の部分に配置された少なくとも1つの電極を更に含む、実施態様1に記載のスパイン保持ハブ。
(5) 前記少なくとも1つの電極が、円筒形電極を含む、実施態様4に記載のスパイン保持ハブ。
【0106】
(6) 前記少なくとも1つの電極が、2つの端部が切り取られた円筒形状を含む、実施態様4に記載のスパイン保持ハブ。
(7) 前記複数のブラケットが、円周方向に離間され、1つ又は複数のワイヤを受容及び保持するように構成されている複数の間隙を、前記円筒形部材の前記第3の部分に沿って画定する、実施態様1に記載のスパイン保持ハブ。
(8) 前記円筒形部材の前記第2の部分が、前記湾曲セクションの周りで前記長手方向に前記第1の直径から前記第3の直径に移行する第2の直径を有する、実施態様1に記載のスパイン保持ハブ。
(9) 前記湾曲セクションが、前記第1の部分に近接する凹状セクションと、前記第3の部分に近接する凸状セクションとを含む、実施態様8に記載のスパイン保持ハブ。
(10) 各ブラケットが、湾曲したブラケットを含み、それぞれのリリーフランドの近位端に重なる、実施態様9に記載のスパイン保持ハブ。
【0107】
(11) 各ブラケットが、前記スパイン保持ハブの外面の上方に隆起している、実施態様10に記載のスパイン保持ハブ。
(12) 各ブラケットが、前記スパイン保持ハブの前記長手方向及び半径方向に延在する第1の切欠きを含む、実施態様11に記載のスパイン保持ハブ。
(13) 各ブラケットが、前記スパイン保持ハブの前記長手方向及び前記半径方向に延在し、各ブラケットを2つのセクションに分離する第2の切欠きを含む、実施態様12に記載のスパイン保持ハブ。
(14) 前記円筒形部材の前記第3の部分が、1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の細長い空洞を含み、
前記円筒形部材の前記第2の部分が、半径方向に延在し、前記1つ又は複数のワイヤを受容するように構成された複数の第3の切欠きを有する、リングを含む、実施態様13に記載のスパイン保持ハブ。
(15) 前記複数の第3の切欠きが、前記長手方向において前記複数の細長い空洞とほぼ整列している、実施態様14に記載のスパイン保持ハブ。
【0108】
(16) 医療用プローブであって、
スパイン保持ハブであって、
円筒形部材であって、
第1の直径を有する前記スパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、
前記第1の部分に近接し、長手方向に第1の曲率半径を有する湾曲セクションを有する第2の部分であって、前記第1の曲率半径が前記第1の直径の約半分である、第2の部分と、
前記スパイン保持ハブの近位端において前記第2の部分に近接し、前記第1の直径の約3倍である第3の直径を有する第3の部分であって、前記第3の部分が、
複数のリリーフランドと、
複数のブラケットであって、各々が前記スパイン保持ハブの前記近位端に配置され、各々が前記複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なり、各ブラケットが、それぞれのリリーフランドと共に、それぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されている、複数のブラケットと、を含む、第3の部分と、
各々が前記スパイン保持ハブの前記遠位端に近接する、複数の第1の灌注開口部と、を含む、円筒形部材を含む、スパイン保持ハブと、
近位端及び遠位端を有する可撓性挿入チューブであって、前記可撓性挿入チューブが長手方向軸に沿って延在する、可撓性挿入チューブと、
前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に近接する拡張可能なバスケットアセンブリであって、前記拡張可能なバスケットアセンブリが、
前記複数のスパインセクションを備える単一の一体構造であって、前記スパインセクションが中心スパイン交差部で収束し、前記中心スパイン交差部が前記スパインセクションの屈曲を可能にするように構成されている1つ又は複数の切欠きを有し、各スパインセクションが、それぞれのブラケット及び前記それぞれのリリーフランドを用いて前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に接続されるそれぞれの端部を有し、前記中心スパイン交差部が、前記拡張可能なバスケットアセンブリの遠位端において前記長手方向軸上に位置付けられている、単一の一体構造と、
前記スパインセクションの各々に結合された1つ又は複数の電極であって、各電極が前記電極を通る管腔を画定し、スパインセクションが前記1つ又は複数の電極の各々の前記管腔を通って延在する、1つ又は複数の電極と、を備える、拡張可能なバスケットアセンブリと、
を備える、医療用プローブ。
(17) 前記複数の第1の灌注開口部のうちの各開口部が、約0.05mm~約0.6mmの流れ面積を含む、実施態様16に記載の医療用プローブ。
(18) 前記複数のスパインセクションが、それぞれ隣接するスパインセクション間のそれぞれの角度がほぼ等しいように、等角パターンで前記中心スパイン交差部から延在する、実施態様16に記載の医療用プローブ。
(19) 医療用プローブであって、
スパイン保持ハブであって、
円筒形部材であって、
第1の直径を有する前記スパイン保持ハブの遠位端にある第1の部分と、
前記第1の部分に近接し、長手方向に湾曲セクションを有する第2の部分と、
前記スパイン保持ハブの近位端において前記第2の部分に近接し、前記第1の直径とは異なる第3の直径を有する第3の部分であって、前記第3の部分が、
複数のリリーフランドと、
複数のブラケットであって、各々が前記スパイン保持ハブの前記近位端に配置され、各々が前記複数のリリーフランドのうちのそれぞれのリリーフランドの一部に重なり、各ブラケットが、それぞれのリリーフランドと共に、複数のスパインセクションのうちのそれぞれのスパインセクションを受容して保持するように構成されている、複数のブラケットと、を含む、第3の部分と、
各々が前記スパイン保持ハブの前記遠位端に近接して配置された、複数の第1の灌注開口部と、を含む、円筒形部材を含む、スパイン保持ハブと、
近位端及び遠位端を有する可撓性挿入チューブであって、前記可撓性挿入チューブが長手方向軸に沿って延在する、可撓性挿入チューブと、
前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に近接する拡張可能なバスケットアセンブリと、
を備える、医療用プローブ。
(20) 前記拡張可能なバスケットアセンブリが、
前記複数のスパインセクションを備える単一の一体構造であって、前記スパインセクションが中心スパイン交差部で収束し、前記中心スパイン交差部が前記スパインセクションの屈曲を可能にする1つ又は複数の切欠きを有し、各スパインセクションが、それぞれの湾曲したブラケット及び前記それぞれのリリーフランドを用いて前記可撓性挿入チューブの前記遠位端に接続されるそれぞれの端部を有し、前記中心スパイン交差部が、前記拡張可能なバスケットアセンブリの遠位端において前記長手方向軸上に位置付けられている、単一の一体構造と、
前記スパインセクションの各々に結合された1つ又は複数の電極であって、各電極が前記電極を通る管腔を画定し、スパインセクションが前記1つ又は複数の電極の各々の前記管腔を通って延在する、1つ又は複数の電極と、
を備える、実施態様19に記載の医療用プローブ。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
【外国語明細書】