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特開2023-164372アブレーションカテーテルのための灌注ハブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164372
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】アブレーションカテーテルのための灌注ハブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231102BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20231102BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B5/287 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023073126
(22)【出願日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/336,023
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/336,094
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/477,819
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/192,361
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127BB05
4C127LL08
4C127LL15
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK17
4C160KK39
4C160KK54
4C160KK58
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】灌注要素によって提供される冷却の有効性を高める灌注要素を提供すること。
【解決手段】本開示の技術は、長手方向軸に沿って延在する円筒部材を備えるアブレーションカテーテルのための灌注ハブを含む。円筒部材は、第1の外径と、長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、第2の外径を有する遠位端であって、第2の外径が第1の外径よりも小さい、遠位端と、内側部分に近接して配置され、灌注供給部から流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、を備えることができる。円筒部材は、灌注入口チャンバの遠位部分から長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、灌注入口チャンバの遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、複数の灌注開口部からの流体を長手方向軸に対して概ね横方向に向け直す分流器と、を更に備えることができる。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションカテーテルのための灌注ハブであって、
長手方向軸に沿って延在する円筒部材を備え、前記円筒部材が、
第1の外径と、前記長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、
第2の外径を有する遠位端であって、前記第2の外径が前記第1の外径よりも小さい、遠位端と、
前記内側部分に近接して配置され、灌注供給部から流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、
前記灌注入口チャンバの遠位部分から前記長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、
前記灌注入口チャンバの前記遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、前記複数の灌注開口部からの流体の流れを前記長手方向軸に対して概ね横方向に向け直す分流器と、を含む、灌注ハブ。
【請求項2】
前記複数の灌注開口部が、前記円筒部材の周りに半径方向に配置され、前記流体をバスケットカテーテルの電極に向けるように構成されている、請求項1に記載の灌注ハブ。
【請求項3】
前記複数の灌注開口部のうちの各灌注開口部が、入口面積よりも大きい出口面積を有する開口を備える、請求項1に記載の灌注ハブ。
【請求項4】
前記分流器が、前記長手方向軸に沿って近位に前記灌注入口チャンバ内に延在する円錐部材を備える、請求項1に記載の灌注ハブ。
【請求項5】
各前記灌注開口部の少なくとも一部が、ある角度で外向きに延在する、請求項4に記載の灌注ハブ。
【請求項6】
前記長手方向軸に対する各前記灌注開口部の前記角度が、前記長手方向軸に対する前記円錐部材の外面によって形成される角度とおよそ等しい、請求項5に記載の灌注ハブ。
【請求項7】
前記近位端が、前記近位端をカテーテルシャフトに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、請求項1に記載の灌注ハブ。
【請求項8】
前記近位端が、前記近位端を力センサに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、請求項1に記載の灌注ハブ。
【請求項9】
前記1つ以上の取り付け機構が、1つ以上のバヨネットマウントを備える、請求項8に記載の灌注ハブ。
【請求項10】
前記近位端が、前記近位端の外面の周りに半径方向に配置された複数のリリーフランドを更に備え、前記複数のリリーフランドのうちの各リリーフランドが、バスケットカテーテルのスパインを受容するように構成されている、請求項1に記載の灌注ハブ。
【請求項11】
前記遠位端が、センサを受容して支持するように構成されているセンサマウントを更に備える、請求項1に記載の灌注ハブ。
【請求項12】
前記センサが基準電極を備える、請求項11に記載の灌注ハブ。
【請求項13】
前記センサが位置センサを備える、請求項11に記載の灌注ハブ。
【請求項14】
医療用プローブであって、
前記医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が、前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、
前記チューブ状シャフトに取り付けられ、前記複数のスパインを受容して支持するように構成されている灌注ハブであって、前記長手方向軸に沿って延在する円筒部材を含む、灌注ハブと、を備え、前記円筒部材が、
第1の外径と、前記長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、
第2の外径を有する遠位端であって、前記第2の外径が前記第1の外径よりも小さい、遠位端と、
前記内側部分に近接して配置され、前記チューブ状シャフト内への流体浸漬を防止するために、前記チューブ状シャフトとは別個の灌注供給ラインから流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、
前記灌注入口チャンバの遠位部分から前記長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、
前記灌注入口チャンバの前記遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、前記複数の灌注開口部からの流体を、前記長手方向軸に対して概ね横方向に向け直す分流器と、を含む、医療用プローブ。
【請求項15】
前記複数のスパインが、拡張状態と折り畳み状態との間で移行するように構成されている、請求項14に記載の医療用プローブ。
【請求項16】
前記複数の灌注開口部が、前記円筒部材の周りに半径方向に配置され、前記流体を前記複数の電極に向けるように構成されている、請求項14に記載の医療用プローブ。
【請求項17】
前記複数の電極のうちの各電極が、組織対向面及び内向き面を有し、前記複数の灌注開口部が、前記複数の電極のうちの各電極の前記内向き面に前記流体を向けるように構成されている、請求項14に記載の医療用プローブ。
【請求項18】
前記灌注ハブと前記チューブ状シャフトとの間に配置された力センサを更に備える、請求項14に記載の医療用プローブ。
【請求項19】
前記近位端が、前記近位端を前記力センサに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、請求項18に記載の医療用プローブ。
【請求項20】
医療用プローブであって、
前記医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインであって、前記複数のスパインのうちの各スパインが保持部材を含む、複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が、前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられ、前記保持部材によって前記スパインに沿って近位又は遠位に摺動することが防止され、前記複数の電極が、前記複数のスパイン上にグループ分けして配置され、前記グループ分けが、隣接するスパインに沿って交互の近位位置及び遠位位置に配置されている、複数の電極と、
前記チューブ状シャフトに取り付けられ、前記複数のスパインを受容して支持するように構成されている灌注ハブであって、前記長手方向軸に沿って延在する円筒部材を含む、灌注ハブと、を備え、前記円筒部材が、
前記灌注ハブの灌注入口チャンバの遠位部分から前記長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、
流体の流れを遮断し、前記複数の灌注開口部からの流体を前記長手方向軸に対して概ね横方向に向け直すように構成されている分流器と、を含む、医療用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年4月28日に出願された先行出願の米国仮特許出願第63/336,023号(代理人整理番号:BIO6675USPSP1)、2023年4月28日に出願された先行出願の米国仮特許出願第63/336,094号(代理人整理番号:BIO6693USPSP1)、及び2022年12月29日に出願された先行出願の米国仮特許出願第63/477,819号(BIO6794USPSP1)に対する米国特許法第119条の下での優先権の利益を主張し、これらの各々の全内容は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療デバイスに関し、特に、灌注を伴う医療用プローブに関し、更に、電極に灌注を提供するように構成された医療用プローブに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに発生する。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱加熱に関連する特定のリスクを有することができる。
【0005】
冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0006】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極プローブを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案されている。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、これらの各々は、参照によりその全体が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、本出願の付録に添付されている。
【0007】
3組織のアブレーションは、電極近くの局所的な温度上昇を引き起こし得る。したがって、多くの既存のアブレーションカテーテルは、電極に近接する領域に灌注を送達するように構成された灌注要素を含む。例えば、いくつかの既存のアブレーションカテーテルは、電極に近接する領域に生理食塩水を送達するように構成されている。残念ながら、多くの既存の灌注要素は、灌注要素によって提供される冷却の有効性を低下させ得る急カーブ又は他の非効率的な設計で設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、当技術分野では、灌注要素によって提供される冷却の有効性を高める灌注要素が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一例によれば、アブレーションカテーテルのための灌注ハブが提供される。灌注ハブは、長手方向軸に沿って延在する円筒部材を備えることができる。円筒部材は、第1の外径と、長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、第2の外径を有する遠位端であって、第2の外径が第1の外径よりも小さい、遠位端と、内側部分に近接して配置され、灌注供給部から流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、を備えることができる。円筒部材は、灌注入口チャンバの遠位部分から長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、灌注入口チャンバの遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、複数の灌注開口部からの流体を長手方向軸に対して概ね横方向に向け直す分流器と、を更に備えることができる。
【0010】
本開示の技術は、医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成された複数のスパインと、複数の電極と、を備える医療用プローブを含むことができる。複数の電極のうちの各電極は、複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けることができる。医療用プローブは、チューブ状シャフトに取り付けられ、複数のスパインを受容して支持するように構成された灌注ハブを更に含むことができる。灌注ハブは、長手方向軸に沿って延在する円筒部材を備えることができ、円筒部材は、第1の外径と、長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、第2の外径を有する遠位端と、を備える。第2の外径は、第1の外径よりも小さくすることができる。円筒部材は、内側部分に近接して配置され、チューブ状シャフト内への流体浸漬を防止するために、チューブ状シャフトとは別個の灌注供給ラインから流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、灌注入口チャンバの遠位部分から長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、灌注入口チャンバの遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、複数の灌注開口部からの流体を長手方向軸に対して概ね横方向に向け直す分流器と、を含むことができる。
【0011】
本開示の技術の追加の特徴、機能、及び用途は、本明細書でより詳細に論じられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の技術による、電極を有する医療用プローブを含む医療システムの概略描画図である。
図2】本開示の技術による、拡張状態の電極を有する医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図3】本開示の技術による、医療用プローブの分解図を示す概略描画図である。
図4A】本開示の技術による、灌注ハブの上面斜視図を示す概略描画図である。
図4B】本開示の技術による、灌注ハブの底面斜視図を示す概略描画図である。
図5A】本開示の技術による、灌注ハブの側面図を示す概略描画図である。
図5B】本開示の技術による、灌注ハブの上面図を示す概略描画図である。
図5C】本開示の技術による、灌注ハブの底面図を示す概略描画図である。
図6】本開示の技術による、灌注ハブの断面図を示す概略描画図である。
図7】本開示の技術による、灌注ハブを通る流体の流れを示す概略描画図である。
図8A】本開示の技術による別の例による、拡張状態の電極を有する別の例示的な医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図8B】本開示の技術による、スパインを示す8Aの医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施例を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0014】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、記載された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験体」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位部」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0015】
本明細書で述べる「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であってよい。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者でよいことを理解するべきである。
【0016】
本明細書で論じられるように、「医師」は、医師、外科医、技術者、科学者、作業者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0017】
本明細書で論じられるように、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(PEF)及びパルス場アブレーション(PFA)と互換的に称される、可逆エレクトロポレーション又は不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギー、又は高周波(RF)アブレーション若しくは冷凍アブレーションなどの熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則な心臓信号の生成を低減又は防止するように構成された、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の熱アブレーション又は非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0018】
本明細書で論じられるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0019】
図1は、例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す。システム10は、患者23の血管系を通って、心臓12の腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内に挿入して、所望の位置に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(IEGM)信号の検知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、且つ/又は検知及びアブレーションの両方専用のカテーテルを含んでもよい。IEGMを検知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。医師24は、心臓12内の標的部位を検知するために、カテーテル14の遠位先端部(すなわち、この場合、バスケットカテーテル28)を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、医師24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端をアブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0020】
カテーテル14は、バスケットカテーテル28において複数のスパイン22にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を検知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、バスケットカテーテル28の位置及び向きを追跡するために、バスケットカテーテル28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含んでもよい。任意選択で、且つ好ましくは、位置センサ29は、3次元(3D)位置及び向きを検知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0021】
磁気ベースの位置センサ及び力センサの組み合わせ68は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。カテーテル14のバスケットカテーテル28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって検知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気ベースの位置検知技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,391,199号、5,443,489号、5,558,091号、6,172,499号、6,239,724号、6,332,089号、6,484,118号、6,618,612号、6,690,963号、6,788,967号、6,892,091号に記載されており、これらの各々は、本明細書の付録に添付されている。
【0022】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、電極皮膚パッチ38において検知され、それにより、各電極の位置を電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号、7,756,576号、7,848,787号、7,869,865号、及び8,456,182号に記載されており、これらの各々は、本明細書の付録に添付されている。
【0023】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0024】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性又は双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー又はパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、或いはそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0025】
患者インターフェースユニット(PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択で、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0026】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択で、(1)心内膜解剖学的構造を3次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示すること、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び向きを表示すること、及び(5)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位を表示装置27上に表示すること、を含む、複数の機能を提供してもよい。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster, Inc., 31 Technology Drive, Suite 200, Irvine, CA 92618, USA、から市販されている、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態による、挿入チューブの遠位端でチューブ状シャフトルーメンから前進させることなどによって拡張状態で示されるスパイン22に取り付けられた電極26を有するバスケットカテーテル28の斜視図を示す概略描画図である。図2に示されるように、バスケットカテーテル28は、チューブ状シャフト62の端部に形成され、両端で接続された複数の可撓性スパイン22を含む。スパイン22は、バスケットカテーテル28を通過する長手方向軸60から半径方向外向きに曲がるように構成することができる。医療処置中、医師24は、挿入チューブからチューブ状シャフト62を延在させることによってバスケットカテーテル28を展開し、バスケットカテーテル28を挿入チューブから出して拡張状態に移行させることができる。スパイン22は、楕円形(例えば、円形)又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有してもよく、本明細書でより詳細に説明されるように、支柱を形成する可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含んでもよい。
【0028】
医師24は、バスケットカテーテル28を組織と接触させてアブレーション処置を実行することができる。アブレーションエネルギーが電極26によって出力されると、電極26及び近くの組織が加熱され始め得る。電極26によって生成される熱を放散するのを助けるために、本開示の技術は、本明細書でより詳細に説明されるように、電極26を冷却して血栓症を防止するために電極26に近接して流体を送達するように構成され得る灌注ハブ100を含むことができる。
【0029】
図2及び図3に示すように、バスケットカテーテル28は、チューブ状シャフト62とバスケットカテーテル28との間に配置されたカプラ64及びスリーブ66によってチューブ状シャフト62に取り付けることができる。更に、磁気ベースの位置センサ及び力センサの組み合わせ68は、チューブ状シャフト62とバスケットカテーテル28との間に配置され、バスケットカテーテル28に印加される力を検出するように構成することができる。組み合わせセンサ68は、少なくとも部分的にスリーブ66内に配置され得る。
【0030】
図4Aは、本開示の技術による、灌注ハブ100の上面斜視図を示す概略描画図であり、図4Bは、灌注ハブ100の底面斜視図を示す概略描画図である。前述したように、また、本明細書でより詳細に説明するように、灌注ハブ100は、バスケットカテーテル28の電極26に流体を送達するように構成することができる。図4Aに示すように、灌注ハブ100は、近位端103aと遠位端103bとを備える円筒部材102を含むことができる。図示のように、近位端103aは、遠位端103bの外径よりも大きい外径を有することができる。
【0031】
灌注ハブ100は、流体がそこを通って流れることを可能にし、灌注ハブ100から外向きに流体を向けるのを助けるように構成され得る複数の灌注開口部104を含むことができる。灌注開口部104は、遠位端103bの周りに半径方向に分散させることができ、長手方向軸60に対して概ね横方向にすることができる。灌注開口部104は各々、出口面積105bよりも小さい入口面積105aを有する開口を形成することができ、それにより、流体は、灌注開口部104から外に向けられたときに外向きに分散することが可能になる。換言すれば、流体が灌注ハブ100を通って灌注開口部104から流出するとき、流体が最初に灌注開口部を通って流れる入口面積105aは、流体が灌注ハブ100を離れる直前に流れる出口面積105bよりも小さくなる。このようにして、灌注ハブ100は、灌注流体を電極26に向かって、又はそうでなければ灌注ハブ100から外向きに導く又は向けるのを助けることができる。
【0032】
灌注ハブ100は、スパイン22を受容して保持するのを助けるように構成され得る複数のリリーフランド106を更に含むことができる。図3に示すように、スパイン22は各々、スパイン22が灌注ハブ100と組み立てられた状態で適所に固定され得るように、リリーフランド106内に少なくとも部分的に挿入されるように構成され得る接続端部31を含むことができる。
【0033】
灌注ハブ100は、円筒部材102の遠位端103bに配置することができるセンサマウント108を更に含むことができる。センサマウント108は、医療用プローブの1つ以上のセンサ70、608(図2及び図6参照)を受容及び支持するように構成することができる。いくつかの実施例では、センサは、例えば、電極26が、組織を通して分散される電気信号のマッピングのために使用されるとき、電極26によって検出される信号を処理及びフィルタリングする際に使用され得る、遠距離場信号を検出するように構成された、基準電極とすることができる。他の例では、センサは、バスケットカテーテル28の位置及び/又は向きを決定するために1つ以上の磁場発生器によって出力される磁場を検出するために使用され得る1つ以上の磁気位置センサであるか、又はそれを含むことができる。
【0034】
図4Bに示すように、円筒部材102の近位端103aは、長手方向軸に沿って内向きに延在し、内側部分111を形成する凹部を含むことができる。灌注ハブ100は、灌注供給チューブ200(図7に示されるように)を受容するように構成され得るか、又はそうでなければ接続され得る灌注カプラ110を更に含むことができる。円筒部材102は、灌注カプラ110の遠位に配置することができ、灌注供給チューブ200から流体を受容するように構成することができる灌注入口チャンバ112を更に含むことができる。灌注供給チューブ200は、内側部分111、組み合わせセンサ68、チューブ状シャフト62、及び医療用プローブの他の構成要素から流体を流体的に分離することができる。換言すれば、流体は、流体が医療用プローブの他の内部構成要素と接触することなく、灌注供給チューブ200を介して灌注入口チャンバ112に送達され得る。灌注入口チャンバ112は、流体の流れが概ね妨げられないように、灌注供給チューブ200から十分な量の流体を受容するようなサイズにすることができる。いくつかの例では、灌注入口チャンバ112は、灌注供給チューブ200の内径に等しい内径を有することができる。灌注入口チャンバ112は、流体が灌注入口チャンバ112を通って流れ、複数の灌注開口部104から外に向けられ得るように、複数の灌注開口部104に流体接続され得る。
【0035】
灌注ハブ100は、灌注ハブ100を組み合わせセンサ68及び/又はチューブ状シャフト62に取り付けるように構成され得る複数の取り付け機構114を更に含むことができる。取り付け機構114は、例えば、バヨネットマウント、スナップコネクタ、ねじ継手、又は特定の用途のための他の好適なタイプの取り付け機構114とすることができるがこれらに限定されない。
【0036】
図5A図5Cは、灌注ハブ100の様々な図を示す。特に、図5Aは、本開示の技術による、灌注ハブ100の側面図を示し、図5Bは上面図を示し、図5Cは底面図を示す。図5A図5Cに示す参照番号の各々は、本明細書に記載される様々な構成要素及び/又は特徴に対応する。
【0037】
図6は、本開示の技術による灌注ハブ100の断面図を示す。図6に示すように、灌注ハブ100は、灌注入口チャンバ112の遠位端に配置され、灌注入口チャンバ112内に内向きに延在する分流器120を含むことができる。分流器120は、いくつかの例では、長手方向軸から離れて角度θで延在する外面を有する円錐部材とすることができる。角度θは、流体が長手方向軸60に対して概ね横方向に向けられるように、灌注供給チューブ200から受容した流体を複数の灌注開口部104の外に向け直すのに十分な所定の角度とすることができる。いくつかの例では、角度θは、流体を電極26に向けることができる。非限定的な例として、角度θは、約15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、60°、75°、85°、又は特定の用途に好適な任意の他の角度とすることができる。円錐部材として説明されているが、分流器は、概ね平坦な側面、概ね湾曲した側面、又は流体が分流器120によって複数の灌注開口部104を通って外向きに向けられ得る他の構成を有する他の形状を備えることができる。
【0038】
理解されるように、灌注開口部104は、灌注ハブ100を通って灌注入口チャンバ112から外向きに延在することができる。前述したように、灌注開口部104は、出口面積105bよりも小さい入口面積105aを含むことができる。入口面積105aは、灌注入口チャンバ112の近くにすることができ、出口面積105bは、灌注入口チャンバ112から離れて配置することができる。灌注開口部104の表面122は、入口面積105aと出口面積105bとの間に延在することができる。表面122は、表面が角度θ又は角度θと実質的に同様の角度で配置されるように構成することができ、それにより、流体は、著しい乱流を発生させることなく、灌注開口部104を通して外向きに向けることができる。
【0039】
図6は、センサマウント108に取り付けられたセンサ608を更に示す。上記説明したように、センサは、磁気位置センサ、基準電極、又は特定の構成のための任意の他のセンサとすることができる。センサ608は、センサマウント108の周りに、又はそれを通して配置されるように示されるが、センサ608はまた、センサマウント108の最遠位端(図2に示されるように、センサ70)に配置されることができ、又は第1のセンサ70は、センサマウント108の最遠位端に配置されることができ、第2のセンサ608は、センサマウント108の周りに、又はそれを通して配置されることができる。第1のセンサ70及び第2のセンサ608は、同じタイプのセンサとすることができ、異なるタイプのセンサとすることができる。他の例では、センサマウント108は、複数のセンサ(例えば、センサマウント108の周りに配置された第1のセンサ、及びセンサマウント108の遠位端に配置された第2のセンサ)を受容及び支持するように構成することができる。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態による、灌注ハブ100を通る流体の流路702を示す。図7に示すように、灌注流体は、灌注供給チューブ200を通って延在し、灌注ハブ100によって外向きに向け直される流路702を有することができる。いくつかの例では、灌注ハブ100は、長手方向軸60に対して概ね横方向に流体を向け直すことができる。他の例では、灌注ハブ100は、電極において所望の冷却効果を得るために、本明細書に記載されるような他の角度で流体を向け直すことができる。
【0041】
図8A及び図8Bは、スパイン822上に配置された複数の電極826と、センサ608が取り付けられた灌注ハブ100とを有する別の例示的なバスケットカテーテル828を示す。図8Aに示すように、電極826は、隣接するスパイン822上の遠位電極826a及び近位電極826bの交互のグループに配置することができる。例えば、図8A及び図8Bに示すように、2つの電極826a、826bを、同じスパイン822上に追加の電極826を配置することなく、スパイン822上に互いに近接して配置することができる。第1のスパイン822上では、2つの電極826bは、スパイン822の近位端の近くに一緒に配置することができ、第2の隣接するスパイン822上では、電極826aは、隣接するスパイン822の遠位端の近くに一緒に配置することができる。このようにして、電極826a、826bは、バスケットカテーテル828がシース内に後退させられるときにより良好に折り畳むことができるように、バスケットカテーテル826の周囲にオフセットすることができる。バスケットカテーテル828が折り畳まれるとき、遠位電極826aは、近位電極826bと遠位電極826aとの間に長手方向軸線60に沿った間隙を有して、近位電極826bから完全に遠位方向に配置される。
【0042】
図8A及び図8Bに示すように、スパイン822上に配置された電極826a、826bの構成により、システム10は、所与のスパイン822上の2つの隣接する電極826a、826b間に不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような双極性高電圧直流パルスを出力し、所与のスパイン822上の2つの隣接する電極826を電気的に接続し、バスケットカテーテル828のスパイン822のうちの別の1つ上の1つ以上の電極822間に双極性高電圧直流パルスを出力し、且つ/又は1つ以上の電極828と患者23の皮膚上に配置された1つ以上の電極パッチ38との間に単極性高電圧直流パルスを出力するように構成することができる。所与のスパイン822上の2つの電極826は、2つの電極826a、826b間に配置された絶縁材料827を含むことができ、それによって、2つの電極826a、826bを互いから電気的に絶縁する。
【0043】
図8Aに示すように、スパイン822は、電極826とスパイン822との間に配置することができる絶縁ライナ840で覆うことができる。絶縁ライナ840は、スパイン822から電極826を電気的に絶縁して、スパイン822へのアーク放電又は短絡を防止することができる。絶縁ライナ840は、灌注ハブ100からバスケットカテーテル828の遠位端まで延在することができる。更に、絶縁ライナ840は、中央スパイン交差部850の少なくとも一部にわたって延在することができるフレア状端部842を含むことができる。このようにして、絶縁ライナ840は、組織への損傷を防止するために非外傷性先端部を有することができる。
【0044】
図8Bは、バスケットカテーテル828のフレームが見えるように、例示のために、絶縁ライナ840、一対の遠位電極826a、及び一対の近位電極826b、並びに他のスパイン要素が除去されたバスケットカテーテル828の図である。図8Bに示すように、スパイン822は、灌注ハブ100から延在し、中央スパイン交差部850において互いに接合することができる。中央スパイン交差部850は、スパイン822の屈曲を可能にする1つ以上の切り欠き852を含むことができる。スパイン822は、電極826a、826bがスパイン822に沿って近位又は遠位に摺動するのを防止するように構成された電極保持領域860a、860bを更に含むことができる。図8Bに示すように、第1のスパイン822は、遠位スパイン保持領域860aを有することができ、隣接するスパインは、近位スパイン保持領域860bを有することができる。このようにして、スパイン保持領域860a、860bは、スパイン822に沿って近位位置と遠位位置との間で交互にすることができる。すなわち、第1のスパイン822は、スパイン822の近位端の近くに配置された電極保持領域860bを有することができ、隣接するスパイン822aは、スパイン822の遠位端の近くに配置された電極保持領域860を有することができる。
【0045】
各電極保持領域860は、スパイン822が内向きに屈曲する、又は挟まれることを可能にすることができる1つ以上の切り欠き864を含むことができる。各電極保持領域860は、外向きに突出する1つ以上の保持部材862を更に含むことができ、電極826がスパイン822に沿って近位又は遠位に摺動するのを防止するように構成することができる。製造中、バスケットカテーテル828のフレームの近位端は、電極826a、826bのルーメン内に挿入され、電極826a、826bは、スパイン822に沿ってそれらのそれぞれの最終位置まで遠位に摺動される。切り欠き864は、電極826a、826bが保持部材862a~c上を摺動することを可能にする。スパイン822内の1つ以上の切り欠き864のために、保持部材862a~cは、スパイン822が内向きに挟まれたときに内向きに移動して、電極826a、826bが保持部材862a~cの上を摺動することを可能にするように構成され得る。電極826a、826bが保持部材862を過ぎて摺動されるとき、保持部材862は、その以前の位置に弾性的に戻るように屈曲することができ、それによって、電極826a、826bがスパイン822に沿って近位又は遠位に摺動することを防止する。
【0046】
近位電極保持領域860bは、近位保持部材862cと遠位保持部材862bとを含む。近位電極保持領域860bは、近位電極826bが遠位保持部材862b上を通過することを可能にするように構成される必要はない。遠位電極保持領域860aは、中央スパイン交差部850を利用して、遠位電極826aがそれぞれの最終位置にくると、遠位電極826aが遠位に移動するのを防止する。
【0047】
バスケットカテーテル828は、所与のスパイン822上に互いに近接して配置された2つの電極826を有し、隣接するスパイン822上に電極826の交互のグループを有するものとして示されているが、本開示の技術は、図示されていない電極826及びスパイン822の他の構成を含むことができる。例えば、本開示の技術は、スパイン822上に配置された3つ以上の電極826のグループ及び/又は電極826の複数のグループを含むことができる。したがって、本開示の技術は、本明細書に示され説明される電極826及びスパイン822の特定の構成に限定されない。
【0048】
本明細書に記載の本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
条項1:アブレーションカテーテルのための灌注ハブであって、長手方向軸に沿って延在する円筒部材を備え、円筒部材が、第1の外径と、長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、第2の外径を有する遠位端であって、第2の外径が第1の外径よりも小さい、遠位端と、内側部分に近接して配置され、灌注供給部から流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、灌注入口チャンバの遠位部分から長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、灌注入口チャンバの遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、長手方向軸に対して概ね横方向に複数の灌注開口部からの流体の流れを向け直す分流器と、を含む、灌注ハブ。
条項2:複数の灌注開口部が、円筒部材の周りに半径方向に配置され、流体をバスケットカテーテルの電極に向けるように構成されている、条項1に記載の灌注ハブ。
条項3:複数の灌注開口部のうちの各灌注開口部が、入口面積よりも大きい出口面積を有する開口を備える、条項1又は2に記載の灌注ハブ。
条項4:分流器が、長手方向軸に沿って近位に灌注入口チャンバ内に延在する円錐部材を備える、条項1から3のいずれか1項に記載の灌注ハブ。
条項5:各灌注開口部の少なくとも一部が、ある角度で外向きに延在する、条項1から4のいずれか1項に記載の灌注ハブ。
条項6:長手方向軸に対する各灌注開口部の角度が、長手方向軸に対する円錐部材の外面によって形成される角度とおよそ等しい、条項5に記載の灌注ハブ。
条項7:近位端が、近位端をカテーテルシャフトに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、条項1から6のいずれか1項に記載の灌注ハブ。
条項8:近位端が、近位端を力センサに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、条項1から6のいずれか1項に記載の灌注ハブ。
条項9:1つ以上の取り付け機構が、1つ以上のバヨネットマウントを備える、条項7又は条項8に記載の灌注ハブ。
条項10:近位端が、近位端の外面の周りに半径方向に配置された複数のリリーフランドを更に備え、複数のリリーフランドのうちの各リリーフランドが、バスケットカテーテルのスパインを受容するように構成されている、条項1から9のいずれか1項に記載の灌注ハブ。
条項11:遠位端が、センサを受容して支持するように構成されているセンサマウントを更に備える、条項1から10のいずれか1項に記載の灌注ハブ。
条項12:センサが基準電極を備える、条項11に記載の灌注ハブ。
条項13:センサが位置センサを備える、条項11に記載の灌注ハブ。
条項14:医療用プローブであって、医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極が、複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、チューブ状シャフトに取り付けられ、複数のスパインを受容して支持するように構成されている灌注ハブであって、長手方向軸に沿って延在する円筒部材を含む、灌注ハブと、を備え、円筒部材が、第1の外径と、長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、第2の外径を有する遠位端であって、第2の外径が第1の外径よりも小さい、遠位端と、内側部分に近接して配置され、チューブ状シャフト内への流体浸漬を防止するために、チューブ状シャフトとは別個の灌注供給ラインから流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、灌注入口チャンバの遠位部分から長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、灌注入口チャンバの遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、長手方向軸に対して概ね横方向に複数の灌注開口部からの流体を向け直す分流器と、を含む、医療用プローブ。
条項15:複数のスパインが、拡張状態と折り畳み状態との間で移行するように構成されている、条項14に記載の医療用プローブ。
条項16:分流器が、灌注入口チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている、条項14又は15に記載の医療用プローブ。
条項17:複数の灌注開口部が、円筒部材の周りに半径方向に配置され、流体を複数の電極に向けるように構成されている、条項14から16のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項18:複数の電極のうちの各電極が、組織対向面及び内向き面を有し、複数の灌注開口部が、複数の電極のうちの各電極の内向き面に流体を向けるように構成されている、条項17に記載の医療用プローブ。
条項19:複数の灌注開口部のうちの各灌注開口部が、入口面積よりも大きい出口面積を有する開口を備える、条項14から18のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項20:分流器が、長手方向軸に沿って近位に灌注入口チャンバ内に延在する円錐部材を備える、条項14から19のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項21:各灌注開口部の少なくとも一部が、ある角度で外向きに延在する、条項14から19のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項22:長手方向軸に対する各灌注開口部の角度が、長手方向軸に対して円錐部材の外面によって形成される角度とおよそ等しい、条項21に記載の医療用プローブ。
条項23:近位端が、近位端をチューブ状シャフトに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、条項14から22のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項24:灌注ハブとチューブ状シャフトとの間に配置されている力センサを更に備える、条項14から22のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項25:近位端が、近位端を力センサに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、条項24に記載の医療用プローブ。
条項26:1つ以上の取り付け機構が、1つ以上のバヨネットマウントを備える、条項23又は25に記載の医療用プローブ。
条項27:近位端が、近位端の外面の周りに半径方向に配置されている複数のリリーフランドを更に備え、複数のリリーフランドのうちの各リリーフランドが、複数のスパインのうちのそれぞれのスパインを受容するように構成されている、条項14から26のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項28:遠位端が、センサを受容して支持するように構成されているセンサマウントを更に備える、条項14から27のいずれか1項に記載の医療用プローブ。
条項29:センサが基準電極を備える、条項28に記載の医療用プローブ。
条項30:センサが位置センサを備える、条項28に記載の医療用プローブ。
条項31:医療用プローブであって、医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインであって、複数のスパインのうちの各スパインが保持部材を含む、複数のスパインと、複数の電極であって、複数の電極のうちの各電極は、複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられ、保持部材によってスパインに沿って近位又は遠位に摺動することが防止され、複数の電極が、複数のスパイン上にグループ分けして配置され、グループ分けが、隣接するスパインに沿って交互の近位位置及び遠位位置に配置されている、複数の電極と、チューブ状シャフトに取り付けられ、複数のスパインを受容して支持するように構成されている灌注ハブであって、長手方向軸に沿って延在する円筒部材を含む、灌注ハブと、を備え、円筒部材が、灌注ハブの灌注入口チャンバの遠位部分から長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、流体の流れを遮断し、複数の灌注開口部からの流体を長手方向軸に対して概ね横方向に向け直すように構成されている分流器と、を含む、医療用プローブ。
【0049】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書でこれまで述べた様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) アブレーションカテーテルのための灌注ハブであって、
長手方向軸に沿って延在する円筒部材を備え、前記円筒部材が、
第1の外径と、前記長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、
第2の外径を有する遠位端であって、前記第2の外径が前記第1の外径よりも小さい、遠位端と、
前記内側部分に近接して配置され、灌注供給部から流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、
前記灌注入口チャンバの遠位部分から前記長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、
前記灌注入口チャンバの前記遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、前記複数の灌注開口部からの流体の流れを前記長手方向軸に対して概ね横方向に向け直す分流器と、を含む、灌注ハブ。
(2) 前記複数の灌注開口部が、前記円筒部材の周りに半径方向に配置され、前記流体をバスケットカテーテルの電極に向けるように構成されている、実施態様1に記載の灌注ハブ。
(3) 前記複数の灌注開口部のうちの各灌注開口部が、入口面積よりも大きい出口面積を有する開口を備える、実施態様1に記載の灌注ハブ。
(4) 前記分流器が、前記長手方向軸に沿って近位に前記灌注入口チャンバ内に延在する円錐部材を備える、実施態様1に記載の灌注ハブ。
(5) 各前記灌注開口部の少なくとも一部が、ある角度で外向きに延在する、実施態様4に記載の灌注ハブ。
【0051】
(6) 前記長手方向軸に対する各前記灌注開口部の前記角度が、前記長手方向軸に対する前記円錐部材の外面によって形成される角度とおよそ等しい、実施態様5に記載の灌注ハブ。
(7) 前記近位端が、前記近位端をカテーテルシャフトに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、実施態様1に記載の灌注ハブ。
(8) 前記近位端が、前記近位端を力センサに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、実施態様1に記載の灌注ハブ。
(9) 前記1つ以上の取り付け機構が、1つ以上のバヨネットマウントを備える、実施態様8に記載の灌注ハブ。
(10) 前記近位端が、前記近位端の外面の周りに半径方向に配置された複数のリリーフランド(relief lands)を更に備え、前記複数のリリーフランドのうちの各リリーフランドが、バスケットカテーテルのスパインを受容するように構成されている、実施態様1に記載の灌注ハブ。
【0052】
(11) 前記遠位端が、センサを受容して支持するように構成されているセンサマウントを更に備える、実施態様1に記載の灌注ハブ。
(12) 前記センサが基準電極を備える、実施態様11に記載の灌注ハブ。
(13) 前記センサが位置センサを備える、実施態様11に記載の灌注ハブ。
(14) 医療用プローブであって、
前記医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が、前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極と、
前記チューブ状シャフトに取り付けられ、前記複数のスパインを受容して支持するように構成されている灌注ハブであって、前記長手方向軸に沿って延在する円筒部材を含む、灌注ハブと、を備え、前記円筒部材が、
第1の外径と、前記長手方向軸に沿って内向きに延在して内側部分を形成する凹部とを有する近位端と、
第2の外径を有する遠位端であって、前記第2の外径が前記第1の外径よりも小さい、遠位端と、
前記内側部分に近接して配置され、前記チューブ状シャフト内への流体浸漬を防止するために、前記チューブ状シャフトとは別個の灌注供給ラインから流体を受容するように構成されている灌注入口チャンバと、
前記灌注入口チャンバの遠位部分から前記長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、
前記灌注入口チャンバの前記遠位部分内に延在して、流体の流れを遮断し、前記複数の灌注開口部からの流体を、前記長手方向軸に対して概ね横方向に向け直す分流器と、を含む、医療用プローブ。
(15) 前記複数のスパインが、拡張状態と折り畳み状態との間で移行するように構成されている、実施態様14に記載の医療用プローブ。
【0053】
(16) 前記複数の灌注開口部が、前記円筒部材の周りに半径方向に配置され、前記流体を前記複数の電極に向けるように構成されている、実施態様14に記載の医療用プローブ。
(17) 前記複数の電極のうちの各電極が、組織対向面及び内向き面を有し、前記複数の灌注開口部が、前記複数の電極のうちの各電極の前記内向き面に前記流体を向けるように構成されている、実施態様14に記載の医療用プローブ。
(18) 前記灌注ハブと前記チューブ状シャフトとの間に配置された力センサを更に備える、実施態様14に記載の医療用プローブ。
(19) 前記近位端が、前記近位端を前記力センサに解放可能に取り付けるように構成されている1つ以上の取り付け機構を備える、実施態様18に記載の医療用プローブ。
(20) 医療用プローブであって、
前記医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインであって、前記複数のスパインのうちの各スパインが保持部材を含む、複数のスパインと、
複数の電極であって、前記複数の電極のうちの各電極が、前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられ、前記保持部材によって前記スパインに沿って近位又は遠位に摺動することが防止され、前記複数の電極が、前記複数のスパイン上にグループ分けして配置され、前記グループ分けが、隣接するスパインに沿って交互の近位位置及び遠位位置に配置されている、複数の電極と、
前記チューブ状シャフトに取り付けられ、前記複数のスパインを受容して支持するように構成されている灌注ハブであって、前記長手方向軸に沿って延在する円筒部材を含む、灌注ハブと、を備え、前記円筒部材が、
前記灌注ハブの灌注入口チャンバの遠位部分から前記長手方向軸に対して概ね横方向に配置された複数の灌注開口部と、
流体の流れを遮断し、前記複数の灌注開口部からの流体を前記長手方向軸に対して概ね横方向に向け直すように構成されている分流器と、を含む、医療用プローブ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
【外国語明細書】