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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164376
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】観客席を備えた施設
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/12 20060101AFI20231102BHJP
   E04H 3/14 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
E04H3/12 Z
E04H3/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073237
(22)【出願日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2022075271
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591219393
【氏名又は名称】株式会社梓設計
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】永廣 正邦
(72)【発明者】
【氏名】日比 淳
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 秀格
(72)【発明者】
【氏名】虎本 和也
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 功樹
(72)【発明者】
【氏名】内川 公貴
(72)【発明者】
【氏名】小野 徹
(72)【発明者】
【氏名】籠谷 豪人
(72)【発明者】
【氏名】小野 正裕
(72)【発明者】
【氏名】島田 敬一郎
(57)【要約】
【課題】グラウンド内に立ち入らなくても、舞台などの設備を設営することが可能な施設を提供する。
【解決手段】スタンド部3は、物品を収容可能な第1内部空間11が形成される第1スタンド10R,10Lと、第1スタンド10R,10Lをそれぞれ収容可能な第2内部空間21が形成される第2スタンド20R,20Lとを有する。第1スタンド10R,10Lは、グラウンド2に対して移動可能な可動式のスタンドであり、第2スタンド20R,20Lの横側には、第1スタンド10R,10Lが第2内部空間21に出入りする際に通過するスタンド出入口23が形成されている。第1スタンド10R,10Lの背面側には、第1内部空間11に通じる第1背面側開口部12が形成されており、第1背面側開口部12を介して、第1内部空間11に収容される物品の搬入及び搬出が可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観客席を備えた施設であって、
観覧対象領域に面した正面側に複数の前記観客席が設置されるスタンド部を有し、
前記スタンド部は、
物品を収容可能な第1内部空間が形成される1つ以上の第1スタンドと、
前記第1スタンドを収容可能な第2内部空間が形成される1つ以上の第2スタンドとを有し、
前記第1スタンドは、前記観覧対象領域に対して移動可能な可動式のスタンドであり、
前記第2スタンドの横側には、前記第1スタンドが前記第2内部空間に出入りする際に通過するスタンド出入口が形成されており、
前記第1スタンドの背面側には、前記第1内部空間に通じる第1背面側開口部が形成されており、
前記第1背面側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である、
施設。
【請求項2】
前記第1スタンドの横側には、前記第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、
前記横側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である、
請求項1に記載の施設。
【請求項3】
前記第1スタンドは、
前記第1内部空間に面した第1床部と、
前記第1床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第1物置台とを有する、
請求項1に記載の施設。
【請求項4】
前記第1スタンドの横側には、前記第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、
前記横側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能であり、
前記第1物置台は、前記第1背面側開口部及び前記横側開口部の少なくとも一方に対して進退可能である
請求項3に記載の施設。
【請求項5】
前記第1スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、
前記第2スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、
前記第1客席台と前記第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、
前記第1スタンドは、前記スタンド出入口を通って前記第2内部空間に出入りする第1方向と、前記観覧対象領域に対して進退する第2方向とに移動可能であり、
前記第2内部空間の外に出て前記第2スタンドに隣接した状態の前記第1スタンドの前記第1客席台が前記第2方向において移動することにより、前記第1客席台の前記観客席の設置面と前記第2客席台の前記観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する、
請求項1に記載の施設。
【請求項6】
前記第1スタンドは、
前記第1方向に移動可能な可動基部と、
前記可動基部の上に載置され、前記第2方向に移動可能な可動支持部とを有し、
前記可動支持部は、前記第1客席台を下側から支持する、
請求項5に記載の施設。
【請求項7】
前記可動支持部は、前記第1内部空間に面した第1床部を有し、
前記第1内部空間に収容される物品を前記第1床部の上に載置可能である、
請求項6に記載の施設。
【請求項8】
前記第1スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、
前記第2スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、
前記第1客席台と前記第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、
前記第1スタンドは、前記第1客席台の前記傾斜角を保ったまま前記第1客席台を昇降させる昇降機構を備えており、
前記第2内部空間の外に出て前記第2スタンドに隣接した状態の前記第1スタンドの前記第1客席台が前記昇降機構によって移動することにより、前記第1客席台の前記観客席の設置面と前記第2客席台の前記観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する、
請求項1に記載の施設。
【請求項9】
前記第1スタンドは、
前記スタンド出入口を通って前記第2内部空間に出入りする第1方向に移動可能な可動基部と、
前記第1客席台を下側から支持する支持部とを有し、
前記昇降機構は、前記可動基部に固定されており、前記支持部を昇降させる、
請求項8に記載の施設。
【請求項10】
前記可動基部は、前記第1内部空間に面した第1床部を有し、
前記第1内部空間に収容される物品を前記第1床部の上に載置可能である、
請求項9に記載の施設。
【請求項11】
前記第1床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第1物置台とを有する、
請求項7又は請求項10に記載の施設。
【請求項12】
前記第1スタンドの横側には、前記第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、
前記横側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能であり、
前記第1物置台は、前記第1背面側開口部及び前記横側開口部の少なくとも一方に対して進退可能である
請求項11に記載の施設。
【請求項13】
前記第2スタンドの前記第2内部空間は、前記第1スタンドを外に出した状態で物品を収容可能であり、
前記第2スタンドの背面側には、前記第2内部空間に通じる第2背面側開口部が形成されており、
前記第2背面側開口部を介して、前記第2内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である、
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の施設。
【請求項14】
前記第2スタンドは、
前記第2内部空間に面した第2床部と、
前記第2床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第2物置台とを有し、
前記第2物置台は、
前記第2背面側開口部及び前記スタンド出入口の少なくとも一方に対して進退可能であり、
前記第2背面側開口部及び前記スタンド出入口の少なくとも一方から前記第2内部空間に出し入れ可能である、
請求項13に記載の施設。
【請求項15】
前記スタンド出入口を通って前記第2スタンドの前記第2内部空間に出入りする第1方向に移動可能な台車を有し、
前記第1スタンドは、前記台車が出入り可能な第3内部空間を有し、
前記台車は、前記第1スタンドの前記第3内部空間に位置した状態で、前記第1スタンドを下側から支持しつつ昇降させる第1昇降機構を有し、
前記第3内部空間において前記第1昇降機構により前記第1スタンドを下側から支持した前記台車が、前記第1方向を移動することにより、前記第1スタンドが前記第2スタンドの前記第2内部空間を出入りする、
請求項1に記載の施設。
【請求項16】
前記第1スタンドの前記第3内部空間は、前記第1方向に移動する前記台車が通り抜け可能な通路を形成する、
請求項15に記載の施設。
【請求項17】
前記第1方向に伸びた複数の第1レールが敷設されており、
前記台車は、それぞれ前記第1レールの上で回転する複数の第1車輪を有する、
請求項15又は請求項16に記載の施設。
【請求項18】
前記観覧対象領域に対して進退する第2方向に伸びた複数の第2レールが敷設されており、
複数の前記第1レールの少なくとも一部は、複数の前記第2レールの少なくとも一部と交差しており、
前記台車は、
それぞれ前記第2レールの上で回転する複数の第2車輪と、
複数の前記第2車輪に対して複数の前記第1車輪を相対的に昇降させる第2昇降機構と
を有し、
複数の前記第1車輪がそれぞれ前記第1レールの上で回転する場合、前記第2昇降機構により複数の前記第2車輪が複数の前記第1車輪に対して上方に持ち上げられ、
複数の前記第2車輪がそれぞれ前記第2レールの上で回転する場合、前記第2昇降機構により複数の前記第1車輪が複数の前記第2車輪に対して上方に持ち上げられる、
請求項17に記載の施設。
【請求項19】
前記第1スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、
前記第2スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、
前記第1客席台と前記第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、
前記第2内部空間の外に出て前記第2スタンドに隣接した状態の前記第1スタンドが前記台車によって前記第2方向へ移動することにより、前記第1客席台の前記観客席の設置面と前記第2客席台の前記観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する、
請求項18に記載の施設。
【請求項20】
前記台車は、
複数の前記第2車輪が回転可能に固定された主フレーム部と、
複数の前記第1車輪が回転可能に固定された可動フレーム部と
を有し、
前記第1昇降機構及び前記第2昇降機構は、前記主フレーム部に固定されており、
前記第2昇降機構は、前記主フレーム部に対して前記可動フレーム部を昇降させる、
請求項19に記載の施設。
【請求項21】
前記第1スタンドは、
主スタンド部と、
前記主スタンド部より前記観覧対象領域の近くに位置する前側スタンド部と
を有し、
前記主スタンド部は、前記前側スタンド部を前記第2方向において移動可能に支持しており、
前記前側スタンド部を前記観覧対象領域より遠ざかる方向へ移動させた場合、前記前側スタンド部の少なくとも一部が前記主スタンド部の内部に収容される、
請求項19に記載の施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観客席を備えた施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツ競技場などの観客席を備えた施設において、催し物の内容(スポーツ競技、コンサートなど)に応じてスタンドを移動できるようにしたものが知られている。例えば下記の特許文献には、観客席の他に大型スクリーン、照明装置などの付帯設備を併設し、催し物に応じて観客席と共に大型スクリーンなどの付帯設備をも移動させて、常に好適な環境や雰囲気を提供できるようにした移動スタンドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-313367公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サッカーなどの競技場で使用されるグラウンドに舞台を設営してコンサートなどの催し物を実施する場合、グラウンドがダメージを受けてしまうという問題がある。特に天然芝のグラウンドはダメージを受けやすく、僅か数日のコンサートでも、舞台の下の芝生が競技に使用可能な状態に戻るまでに1か月程度の時間を要することがある。また、舞台を設営するためにグラウンドの中へトラックなどの車両が侵入すると、グラウンドが広範囲にわたってダメージを受けるという問題がある。上記の特許文献に記載される移動スタンドはグラウンドの上を移動するため、天然芝を痛めてしまう可能性がある。
【0005】
更に、大規模なコンサートなどでは舞台の設営に大量の機材が使用されるため、そのような機材を舞台の近くで一時的に保管できるようなスペースがあることが望ましい。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、グラウンドなどの観覧対象領域に立ち入らなくても、舞台などの設備を設営することが可能な施設を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る施設は、観客席を備えた施設であって、観覧対象領域に面した正面側に複数の観客席が設置されるスタンド部を有し、スタンド部は、物品を収容可能な第1内部空間が形成される1つ以上の第1スタンドと、第1スタンドを収容可能な第2内部空間が形成される1つ以上の第2スタンドとを有し、第1スタンドは、観覧対象領域に対して移動可能な可動式のスタンドであり、第2スタンドの横側には、第1スタンドが第2内部空間に出入りする際に通過するスタンド出入口が形成されており、第1スタンドの背面側には、第1内部空間に通じる第1背面側開口部が形成されており、第1背面側開口部を介して、第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である。
【0008】
好適には、第1スタンドの横側には、第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、横側開口部を介して、第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である。
【0009】
好適には、第1スタンドは、第1内部空間に面した第1床部と、第1床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第1物置台とを有する。
【0010】
好適には、第1スタンドの横側には、第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、横側開口部を介して、第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能であり、第1物置台は、第1背面側開口部及び横側開口部の少なくとも一方に対して進退可能である。
【0011】
好適には、第1スタンドは、複数の観客席が設置され、観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、第2スタンドは、複数の観客席が設置され、観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、第1客席台と第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、第1スタンドは、スタンド出入口を通って第2内部空間に出入りする第1方向と、観覧対象領域に対して進退する第2方向とに移動可能であり、第2内部空間の外に出て第2スタンドに隣接した状態の第1スタンドの第1客席台が第2方向において移動することにより、第1客席台の観客席の設置面と第2客席台の観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する。
【0012】
好適には、第1スタンドは、第1方向に移動可能な可動基部と、可動基部の上に載置され、第2方向に移動可能な可動支持部とを有し、可動支持部は、第1客席台を下側から支持する。
【0013】
好適には、可動支持部は、第1内部空間に面した第1床部を有し、第1内部空間に収容される物品を第1床部の上に載置可能である。
【0014】
好適には、第1スタンドは、複数の観客席が設置され、観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、第2スタンドは、複数の観客席が設置され、観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、第1客席台と第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、第1スタンドは、第1客席台の傾斜角を保ったまま第1客席台を昇降させる昇降機構を備えており、第2内部空間の外に出て第2スタンドに隣接した状態の第1スタンドの第1客席台が昇降機構によって移動することにより、第1客席台の観客席の設置面と第2客席台の観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する。
【0015】
好適には、第1スタンドは、スタンド出入口を通って第2内部空間に出入りする第1方向に移動可能な可動基部と、第1客席台を下側から支持する支持部とを有し、昇降機構は、可動基部に固定されており、支持部を昇降させる。
【0016】
好適には、可動基部は、第1内部空間に面した第1床部を有し、第1内部空間に収容される物品を第1床部の上に載置可能である。
【0017】
好適には、第2スタンドの第2内部空間は、第1スタンドを外に出した状態で物品を収容可能であり、第2スタンドの背面側には、第2内部空間に通じる第2背面側開口部が形成されており、第2背面側開口部を介して、第2内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である。
【0018】
好適には、第2スタンドは、第2内部空間に面した第2床部と、第2床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第2物置台とを有し、第2物置台は、第2背面側開口部及びスタンド出入口の少なくとも一方に対して進退可能であり、第2背面側開口部及びスタンド出入口の少なくとも一方から第2内部空間に出し入れ可能である。
【0019】
好適には、施設は、スタンド出入口を通って第2スタンドの第2内部空間に出入りする第1方向に移動可能な台車を有し、第1スタンドは、台車が出入り可能な第3内部空間を有し、台車は、第1スタンドの第3内部空間に位置した状態で、第1スタンドを下側から支持しつつ昇降させる第1昇降機構を有し、第3内部空間において第1昇降機構により第1スタンドを下側から支持した台車が、第1方向を移動することにより、第1スタンドが第2スタンドの第2内部空間を出入りする。
【0020】
好適には、第1スタンドの第3内部空間は、第1方向に移動する台車が通り抜け可能な通路を形成する。
【0021】
好適には、第1方向に伸びた複数の第1レールが敷設されており、台車は、それぞれ第1レールの上で回転する複数の第1車輪を有する。
【0022】
好適には、観覧対象領域に対して進退する第2方向に伸びた複数の第2レールが敷設されており、複数の第1レールの少なくとも一部は、複数の第2レールの少なくとも一部と交差しており、台車は、それぞれ第2レールの上で回転する複数の第2車輪と、複数の第2車輪に対して複数の第1車輪を相対的に昇降させる第2昇降機構とを有し、複数の第1車輪がそれぞれ第1レールの上で回転する場合、第2昇降機構により複数の第2車輪が複数の第1車輪に対して上方に持ち上げられ、複数の第2車輪がそれぞれ第2レールの上で回転する場合、第2昇降機構により複数の第1車輪が複数の第2車輪に対して上方に持ち上げられる。
【0023】
好適には、第1スタンドは、複数の観客席が設置され、観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、第2スタンドは、複数の観客席が設置され、観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、第1客席台と第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、第2内部空間の外に出て第2スタンドに隣接した状態の第1スタンドが台車によって第2方向へ移動することにより、第1客席台の観客席の設置面と第2客席台の観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する。
【0024】
好適には、台車は、複数の第2車輪が回転可能に固定された主フレーム部と、複数の第1車輪が回転可能に固定された可動フレーム部とを有し、第1昇降機構及び第2昇降機構は、主フレーム部に固定されており、第2昇降機構は、主フレーム部に対して可動フレーム部を昇降させる。
【0025】
好適には、第1スタンドは、主スタンド部と、主スタンド部より観覧対象領域の近くに位置する前側スタンド部とを有し、主スタンド部は、前側スタンド部を第2方向において移動可能に支持しており、前側スタンド部を観覧対象領域より遠ざかる方向へ移動させた場合、前側スタンド部の少なくとも一部が主スタンド部の内部に収容される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、グラウンドなどの観覧対象領域に立ち入らなくても、舞台などの設備を設営することが可能な施設を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本実施形態に係る施設の一例を示す図である。
図2図2A図2Cは、スタンド部の要部を示す図である。
図3図3A図3Cは、スタンド部の要部の示す図である。
図4図4は、スタンド部の断面を示す図である。
図5図5は、スタンド部の断面を示す図である。
図6図6は、スタンド部の内部を上側から見た図である。
図7図7は、スタンド部の内部を上側から見た図である。
図8図8A及び図8Bは、第2の実施形態に係る施設のスタンド部の断面を示す図である。
図9図9A及び図9Bは、第3の実施形態に係る施設のスタンド部の断面を示す図である。
図10図10A図10Cは、第4の実施形態に係る施設のスタンド部の要部を示す図である。
図11図11A図11Fは、第1スタンドを第2スタンドに収容する手順を説明するための図である。
図12図12A図12Fは、第1スタンドを第2スタンドに収容する手順を説明するための図である。
図13図13A図13Eは、第1スタンドを第2スタンドに収容する手順を説明するための図である。
図14図14A及び図14Bは、スタンド部の断面を示す図である。
図15図15A及び図15Bは、スタンド部の断面を示す図である。
図16図16A及び図16Bは、スタンド部の断面を示す図である。
図17図17A図17Cは、台車の一例を示す図である。
図18図18A及び図18Bは、台車の一例を示す図である。
図19図19A及び図19Bは、台車の一例を示す図である。
図20図20A及び図20Bは、台車の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る施設の一例を示す図である。図1に示す施設1は、サッカーなどの運動競技の競技場として使用可能であるとともに、コンサートなどの運動競技以外の催し物にも使用可能な多目的の施設である。図1に示す施設1は、観覧対象領域としてのグラウンド2と、グラウンド2に面した正面側に複数の観客席6が設置されるスタンド部3とを有する。図1の例において、スタンド部3は、略長方形のグラウンド2の周囲を取り囲んで設けられている。スタンド部3において観客席6が設置される客席台は、グラウンド2に向かって傾斜している。
【0029】
スタンド部3は、グラウンド2に隣接してその周囲を囲むように設けられた内側スタンド部5と、内側スタンド部5の周囲を外側から囲むように設けられた外側スタンド部4とを有する。外側スタンド部4は、内側スタンド部5に比べて地面から高くなっている。
【0030】
図2A図2C及び図3A図3Cは、スタンド部3の要部を示す図であり、略長方形のグラウンド2における短辺の中央付近(例えばサッカーのゴールポスト付近)にある外側スタンド部4と内側スタンド部5の一部を抜き出して示した斜視図である。これらの例において、施設1の内側スタンド部5は、第1スタンド10R及び第1スタンド10Lと、第2スタンド20R及び第2スタンド20Lとを有する。
【0031】
なお本明細書では、施設1における要部(10R、10L、20R、20L)の各部分の相対的な位置関係の説明するため、便宜上、3つの直交する方向(X方向、Y方向、Z方向)が規定される。X方向は互いに逆向きの方向(X1方向、X2方向)を含み、Y方向は互いに逆向きの方向(Y1方向、Y2方向)を含み、Z方向は互いに逆向きの方向(Z1方向、Z2方向)を含む。以下では、「X1」を「右」と呼び、「X2」を「左」と呼び、「Y1」を「背面」と呼び、「Y2」を「正面」と呼び、「Z1」を「上」と呼び、「Z2」を「下」と呼ぶ場合がある。要部(10R、10L、20R、20L)のグラウンド2(観覧対象領域)に面する側が、要部の正面側(Y2側)である。すなわち、要部(10R、10L、20R、20L)から見てグラウンド2(観覧対象領域)は正面側(Y2側)に位置する。
【0032】
第1スタンド10R及び第1スタンド10Lは、グラウンド2に対して移動可能な可動式のスタンドである。第1スタンド10R及び第1スタンド10Lは、図2B及び図2Cに示すように、地面に設けられた3本のレール51と、外側スタンド部4の壁40に設けられたレール41とに沿って横方向(X方向)に移動する。以下、第1スタンド10R及び第1スタンド10Lを区別せずに「第1スタンド10」と記す場合がある。
【0033】
第2スタンド20L及び第2スタンド20Rの内部には、第1スタンド10を収容可能な第2内部空間21がそれぞれ形成される。図2B及び図2Cに示すように、第2スタンド20L及び第2スタンド20Rの横側には、それぞれスタンド出入口23が形成される。スタンド出入口23は、第1スタンド10が第2内部空間21に出入りする際に通過する開口部である。図2B及び図2Cに示すように、第2スタンド20Rの左側にスタンド出入口23が形成され、第2スタンド20Lの右側にスタンド出入口23が形成される。以下、第2スタンド20R及び第2スタンド20Lを区別せずに「第2スタンド20」と記す場合がある。
【0034】
図2Aに示すように、2つの第1スタンド10と2つの第2スタンド20は横方向に並んで配置される。すなわち、第2スタンド20Rが右側に位置し、第2スタンド20Lが左側に位置し、この第2スタンド20R及び20Lの間に第1スタンド10R及び第1スタンド10Lが並んで配置される。第1スタンド10Rが右側に位置し、第1スタンド10Lが左側に位置する。図2A及び図2Bに示すように、第1スタンド10Rが右方向に移動することで、第2スタンド20Rの第2内部空間21に第1スタンド10Rが収容される。また図2B及び図2Cに示すように、第1スタンド10Lが左方向に移動することで、第2スタンド20Lの第2内部空間21に第1スタンド10Lが収容される。2つの第1スタンド10がそれぞれ2つの第2スタンド20の第2内部空間21に収容された状態になると、図2Cに示すように、2つの第2スタンド20の間にスペースが生じる(以下、「スタンド空きスペース」と記す場合がある。)。このスタンド空きスペースに舞台などが設営される。
【0035】
図2Aに示すように、2つの第1スタンド10と2つの第2スタンド20の背面側は、それぞれ壁40(外側スタンド部4の内側に設けられた壁40)に接している。この壁40には、壁40の背面側から正面側(グラウンド2側)に通じる開口部42が形成されている。また、壁40の背面側(外側スタンド部4の内部)には、舞台設営用の機材などを運搬できるスペース(例えば機材運搬用のトラックなどの侵入が可能なスペース)が設けられている。図2Cに示すようにスタンド空きスペースが生じたとき、このスタンド空きスペースに面した壁40には開口部42が形成されている。壁40の背面側(外側スタンド部4の内部)まで運ばれた機材などは、この開口部42を介して、壁40の背面側から正面側(グラウンド2側)に運び込まれる。従って、グラウンド2内に立ち入らなくても、舞台の設備などをスタンド空きスペースに設営することが可能である。
【0036】
図3Aは、図2Bと同じ状態において第1スタンド10Lの内部の可動支持部16を露出させた図である。図3Bは、図2B及び図3Aと同じ状態において第1スタンド10Lの可動支持部16を露出させるとともに第2スタンド20Lを省略した図である。図3Cは、図2Cと同じ状態において第1スタンド10Lの可動支持部16を露出させるとともに第2スタンド20Lを省略した図である。図4は、第2内部空間21に第1スタンド10が収容された状態の第2スタンド20の断面図である。
【0037】
図4に示すように、第1スタンド10は、複数の観客席6が設置される第1客席台14を有し、第2スタンド20は、複数の観客席6が設置される第2客席台24を有する。第1スタンド10の第1客席台14と第2スタンド20の第2客席台24は、いずれもグラウンド2に向かって傾斜している。図4の例において、第1客席台14と第2客席台24の水平方向に対する傾斜角は概ね等しい。
【0038】
第1客席台14及び第2客席台24において観客席6が設置される設置面(以下、「席設置面」と記す場合がある)は、各段の奥行が概ね等しく、かつ、各段の高さが概ね等しい階段形状を有しており、この階段形状の各段において複数の観客席6が横方向(X方向)に並んでいる。席設置面の階段形状における各段の奥行(Y方向)と高さ(Z方向)に対応する角度は、階段形状の傾斜角を表している。第1客席台14及び第2客席台24の水平方向に対する傾斜角は、例えば、この階段形状の傾斜角(各段の奥行及び高さに対応する角度)であってもよい。図4の例において、第1客席台14における階段形状の各段の奥行及び高さは、第2客席台24における階段形状の各段の奥行及び高さと概ね一致している。
【0039】
図4の例において、第1客席台14に設置される観客席6は、第1スタンド10を第2スタンド20の第2内部空間21に収容する場合、それぞれ高さが低くなるように折り畳まれている。
【0040】
図4に示すように、第1スタンド10は、第1客席台14を下側から支持する可動支持部16を有する。可動支持部16は、図3A図3C及び図4に示すように、複数のフレーム材(鉄骨など)を組み合わせて構成されたフレーム部161と、フレーム部161の下側に固定された複数の車輪162と、フレーム部161の背面側に固定された複数の車輪163とを有する。可動支持部16の複数の車輪162は、地面に設けられた3つのレール51の上で回転し、可動支持部16の複数の車輪163は、壁40に設けられたレール41の上で回転する。これにより、可動支持部16は、各レール(41、51)が延伸する横方向(X方向)に移動する。
【0041】
なお、可動支持部16は、作業者が手で押して移動させてもよいし、モータなどの駆動手段が発生する動力を用いて移動させてもよい。また、可動支持部16の移動手段は上記のような車輪とレールに限らず、例えばタイヤのようにレールを使用しない移動手段であってもよい。
【0042】
図4に示すように、第1スタンド10の内部には、任意の物品(舞台設置用の機材など)を収容可能な第1内部空間11が形成される。また図4に示すように、第1スタンド10は、第1内部空間11に面した第1床部15を有しており、この第1床部15に任意の物品を置くことができる。第1床部15は、図4の例において、可動支持部16のフレーム部161に固定されている。
【0043】
また図4の例において、第1床部15の上には、任意の物品を載置可能な複数の可動式の第1物置台100が配置される。第1物置台100は、例えば底板に複数のキャスタが設けられており、任意の方向へ移動させることができる。
【0044】
第1内部空間11は、正面側(Y2側)に向かって高さが小さくなっているため、第1内部空間11を効率的に使用できるように、図4の例では、高さの異なる複数種類の第1物置台100が配置されている。最も正面側(Y2側)に配置される第1物置台100は、物品を収容する枠の高さが最も低くなっており、最も背面側(Y1側)に配置される第1物置台100は、枠の高さが最も高くなっている。また図4の例では、第1内部空間11の上側を画定するフレーム部161の上側の傾斜に合わせて、一部の第1物置台100における枠の高さが正面側(Y2側)に向かうほど連続的に低くなっている。
【0045】
図3A図3C及び図4に示すように、第1スタンド10の背面側(Y1側)には、第1内部空間11に通じる第1背面側開口部12が形成される。図3A図3Cの例では、フレーム部161を構成するフレーム材によって区切られた4つの矩形の第1背面側開口部12が第1スタンド10の背面側に形成されている。第1スタンド10では、この第1背面側開口部12を介して、第1内部空間11に収容される物品(例えば第1物置台100)の搬入及び搬出が可能である。
【0046】
また図3A図3Cに示すように、第1スタンド10の横側(X1側、X2側)には、第1内部空間11に通じる横側開口部13が形成される。図3A図3Cの例では、フレーム部161を構成するフレーム材によって囲まれた略三角形の横側開口部13が第1スタンド10の左側と右側にそれぞれ形成されている。第1スタンド10では、この横側開口部13を介して、第1内部空間11に収容される物品(例えば第1物置台100)の搬入及び搬出を行うことも可能である。
【0047】
図5は、第1スタンド10の代わり複数の第2物置台200が第2内部空間21に収容された状態の第2スタンド20の断面図である。図5に示すように、第2スタンド20の第2内部空間21は、第1スタンド10を外に出した状態で任意の物品を収容することが可能である。
【0048】
第2スタンド20の背面側(Y1側)には、第2内部空間21に通じる第2背面側開口部22が形成される。この第2背面側開口部22を介して、第2内部空間21に収容される物品(例えば第2物置台200)の搬入及び搬出を行うことが可能である。図4及び図5に示すように、第2スタンド20の背面側は壁40に接しているため、第2スタンド20の背面側において壁40に形成された開口部42が、第2スタンド20の第2背面側開口部22に相当する。
【0049】
第2スタンド20は、第2内部空間21に面した第2床部25を有しており、この第2床部25に任意の物品を置くことができる。第2床部25は、図5に示すようにレール51が形成された地面(例えば所定の舗装が施された地面)でもよいし、地面の上に敷かれた所定の床部材でもよい。
【0050】
図5の例において、第2床部25の上には、任意の物品を載置可能な複数の可動式の第2物置台200が配置される。第2物置台200は、図4に示す第1物置台100と同様に、複数のキャスタが底板に設けられており、任意の方向へ移動させることができる。
【0051】
第1内部空間11と同様に、第2内部空間21も正面側(Y2側)に向かって高さが小さくなっているため、図5の例では、高さの異なる複数種類の第2物置台200が第2床部25に配置されている。最も正面側(Y2側)に配置される第2物置台200の枠の高さが最も低く、最も背面側(Y1側)に配置される第2物置台200の枠の高さが最も高い。一部の第2物置台200では、枠の高さが正面側(Y2側)に向かうほど連続的に低くなっている。
【0052】
なお、第1スタンド10の第1内部空間11に配置する第1物置台100を第2スタンド20の第2内部空間21に適宜移動させ、第2物置台200として使用してもよい。逆に、第2スタンド20の第2内部空間21に配置する第2物置台200を第1スタンド10の第1内部空間11に適宜移動させ、第1物置台100として使用してもよい。
【0053】
図6及び図7は、スタンド部3の要部(10R、10L、20R、20L)の内部を上側から見た図である。図6図2Aに示す状態(第1スタンド10が第2スタンド20の外に出た状態)を示し、図7図2Cに示す状態(第1スタンド10が第2スタンド20の内部に収容された状態)を示す。
【0054】
図6に示すように第1スタンド10が第2スタンド20の外に出た状態では、第2スタンド20の第2内部空間21に任意の物品(第2物置台200など)を収容させることができる。第2内部空間21に収容される物品の搬入及び搬出は、第2背面側開口部22(開口部42)を介して行うこともできるし、横側のスタンド出入口23を介して行うこともできる。図6の例では、第1スタンド10の第1床部15と第2スタンド20の第2床部25との間にスロープ30が渡されており、スロープ30を介して物品(第1物置台100、第2物置台200など)を移動させることができる。すなわち、第1スタンド10の横側開口部13と第2スタンド20のスタンド出入口23とを介して、第1内部空間11と第2内部空間21の間における物品の移動を行うことができる。
【0055】
また図6に示す状態では、第2スタンド20の外に出た第1スタンド10の第1内部空間11にも任意の物品(第1物置台100など)を収容させることができる。第1内部空間11に収容される物品の搬入及び搬出は、第1背面側開口部12と壁40の開口部42とを介して行うこともできるし、上述したように横側開口部13を介して行うこともできる。
【0056】
他方、図7に示すように第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21に収容された場合、第2スタンド20の第2内部空間21に物品を収容できなくなるものの、第1スタンド10の第1内部空間11には物品を収容可能である。この場合、第1スタンド10の第2内部空間21に収容される物品の搬入及び搬出は、第1背面側開口部12及び第2背面側開口部22(開口部42)を介して背面側から行うこともできるし、横側開口部13及びスタンド出入口23を介して横側から行うこともできる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1スタンド10を収容可能な第2内部空間21が第2スタンド20の内部に形成されており、第2スタンド20の横側に形成されたスタンド出入口23を介して第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21に出入りする。これにより、第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21に収容されることで形成されるスタンド空きスペースには、背面側(例えば壁40の開口部42)から舞台設営用の機材などを運び込むことができる。従って、グラウンド2に立ち入らなくても、舞台などの設備をスタンド空きスペースに設営することができる。
【0058】
本実施形態によれば、第1スタンド10の第1内部空間11に任意の物品を収容可能であり、第1スタンド10の第1背面側開口部12を介して、第1内部空間11に収容される物品の搬入及び搬出を行うことができる。これにより、第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21に収容されることで形成されたスタンド空きスペースのすぐ近くにある第1スタンド10の第1内部空間11において、物品を収容することができる。そのため、スタンド空きスペースを利用した舞台などの設営を行い易くすることができる。また、第1内部空間11に収容される物品の搬入及び搬出が第1背面側開口部12を介して行われるため、グラウンド2に立ち入ることなく物品の搬入及び搬出を行うことができる。更に、第1内部空間11は任意の物品を収容できるため、スタンド空きスペースを形成しない通常の使用状態(例えば施設1をサッカー等の競技場として使用する状態)においても、この第1内部空間11を任意の物品の収容場所として利用できる。
【0059】
本実施形態によれば、第1スタンド10の横側に形成された横側開口部13を介して、第1内部空間11に収容される物品の搬入及び搬出を行うことができる。これにより、スタンド空きスペースを利用して舞台などの設営を行う場合に、スタンド空きスペースの横にある第1スタンド10の第1内部空間11から必要な機材を簡単に取り出すことが可能になり、設備の設営を行い易くすることができる。
【0060】
本実施形態によれば、物品を載置可能な可動式の第1物置台100が第1スタンド10の第1床部15に配置されるため、第1スタンド10の第1内部空間11における物品の出し入れが容易になるとともに、第1内部空間11における物品の収容効率を高めることができる。
【0061】
本実施形態によれば、可動式の第1物置台100が横方向(X方向)と前後方向(Y方向)にそれぞれ移動可能であるため、第1スタンド10の第1背面側開口部12と横側開口部13のそれぞれを介して第1内部空間11に第1物置台100を出し入れさせることができる。これにより、第1スタンド10の第1内部空間11における物品の出し入れを効率的に行うことができる。
【0062】
本実施形態によれば、第1スタンド10を外に出した状態で、第2スタンド20の第2内部空間21に任意の物品を収容可能であり、第2スタンド20の背面側に形成された第2背面側開口部22(開口部42)を介して、第2内部空間21に収容される物品の搬入及び搬出を行うことができる。これにより、第1スタンド10を外に出してその観客席6を使用する場合は、第2スタンド20の第2内部空間21を物品の保管に活用できる。また、第2内部空間21に収容される物品の搬入及び搬出が第2背面側開口部22を介して行われるため、グラウンド2に立ち入ることなく物品の搬入及び搬出を行うことができる。
【0063】
本実施形態によれば、物品を載置可能な第2物置台200が第2スタンド20の第2床部25に配置されるため、第2スタンド20の第2内部空間21における物品の出し入れが容易になるとともに、第2内部空間21における物品の収容効率を高めることができる。また、可動式の第2物置台200が横方向(X方向)と前後方向(Y方向)にそれぞれ移動可能であるため、第2スタンド20の第2背面側開口部22とスタンド出入口23のそれぞれを介して第2内部空間21に第2物置台200を出し入れさせることができる。これにより、第2スタンド20の第2内部空間21における物品の出し入れを効率的に行うことができる。
【0064】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る施設1の全体的な構成は第1の実施形態と概ね同様であり、第1スタンド10の構成を変更したことが第1の実施形態に係る施設1との主な相違点である。ここでは、本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0065】
本実施形態における第1スタンド10は、横方向(X方向)に加えて前後方向(Y方向)にも移動可能である。すなわち第1スタンド10は、スタンド出入口23を通って第2内部空間21に出入りする横方向(X方向)と、グラウンド2に対して進退する前後方向(Y方向)とにそれぞれ移動可能である。
【0066】
また、本実施形態における第1スタンド10は、複数の観客席6が設置され、グラウンド2に向かって傾斜した第1客席台14Aを備える。この第1客席台14Aの傾斜角は、第2スタンド20の第2客席台24の傾斜角と概ね同じである。
【0067】
本実施形態では、第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21の外に出て第2スタンド20に隣接した状態にあるとき、第1スタンド10の第1客席台14Aが前後方向において移動することにより、第1客席台14Aの席設置面と第2客席台24の席設置面との高さ方向における段差が減少する。
【0068】
図8A及び図8Bは、第2の実施形態に係る施設1における第1スタンド10の断面を示す図である。図8Aは、第1スタンド10の第1客席台14Aが正面側(Y2側)に移動した状態を示し、図8Bは第1スタンド10の第1客席台14Aが背面側(Y1側)に移動した状態を示す。
【0069】
図8Bに示す状態(第1客席台14Aが背面側に移動した状態)では、第1客席台14Aの席設置面と第2客席台24の席設置面との間に高さ方向(Z方向)の段差が生じている。すなわち、第1客席台14Aの席設置面が第2客席台24の席設置面より低くなっている。この状態で、第1客席台14Aの観客席6をそれぞれ折り畳むことにより、第1スタンド10は第2スタンド20の第2内部空間21に収容可能な高さとなる。図8Bに示す状態で第1スタンド10を横方向(X方向)へ移動させることにより、第1スタンド10を第2スタンド20の第2内部空間21に収容させることができる。
【0070】
図8Aに示す状態(第1客席台14Aが正面側に移動した状態)では、第1客席台14Aの席設置面と第2客席台24の席設置面との間で高さ方向(Z方向)の段差がほぼ無くなっている。すなわち、第1客席台14Aの席設置面と第2客席台24の席設置面が略同じ高さになっている。
【0071】
なお、第1スタンド10の第1客席台14Aの最後列より後方側(Y1側)には、第1スタンド10とともに移動しない固定スタンド20Hが設けられている。第1客席台14Aの最後列は、図8Bに示す状態(第1客席台14Aが背面側に移動した状態)において、この固定スタンド20Hの下側に入り込んだ状態となる。この場合、第1客席台14Aの最後列に設置される観客席6は折り畳んだ状態でも固定スタンド20Hの下部にぶつかってしまうため、第1客席台14Aから取り外される。図8Aに示すように第1客席台14Aが正面側に移動すると、第1客席台14Aの最後列の後方において固定スタンド20Hが連続的につながった状態になり、横方向から見た観客席6の配置が第1スタンド10の第1客席台14Aと第2スタンド20の第2客席台24とで等価になる。
【0072】
図8A及び図8Bの例において、第1スタンド10は、横方向(X方向)に移動可能な可動基部17と、この可動基部17の上に載置され、前後方向(Y方向)に移動可能な可動支持部18とを有する。
【0073】
可動基部17は、鉄骨などのフレーム材を組み合わせて構成されたフレーム部171と、フレーム部171の下側に固定された複数の車輪172とを含む。車輪172は、地面に形成されて横方向に伸びたレール51の上で回転する。
可動支持部18は、鉄骨などのフレーム材を組み合わせて構成されたフレーム部181と、フレーム部181の下側に固定された複数の車輪182と、フレーム部181の背面側に固定された複数の車輪183と、フレーム部181の正面側の端部を下側から支えるジャッキ184とを含む。車輪182は、フレーム部171の上面に形成されて前後方向(Y方向)に伸びたレールの上で回転する。車輪183は、壁40に形成されて横方向(X方向)に伸びたレール41の上で回転する。
【0074】
また、可動支持部18は、第1内部空間11に面した第1床部185を有する。この第1床部185には任意の物品を載置可能であり、図8A及び図8Bの例では第1物置台100が配置されている。
【0075】
このように、本実施形態によれば、第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21の外に出て第2スタンド20に隣接した状態にあるとき、第1スタンド10の第1客席台14Aを前後方向に移動させて、第1客席台14Aの席設置面と第2客席台24の席設置面との高さ方向における段差を減少させる。これにより、横に並んだスタンドの間で高さ方向の段差が存在することによる違和感を低減して、観客同士の一体感が損なわれることを回避できる。
また、第1客席台14Aの席設置面と第2客席台24の席設置面との段差がほぼ無くなる(段差が解消される)ように第1スタンド10の第1客席台14Aを前後方向において移動させることにより、第1スタンド10と第2スタンド20とを横方向へ連続的につなげることが可能になるため、第1スタンド10と第2スタンド20との間における観客の移動が段差によって妨げられなくなり、利便性を向上できる。
【0076】
本実施形態によれば、可動支持部18に設けられた第1床部185に任意の物品を載置できるため、スタンド空きスペースを利用した舞台などの設営を行い易くすることができる。
【0077】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る施設1の全体的な構成も第1の実施形態に係る施設1と概ね同様であり、第1スタンド10の構成を変更したことが第1の実施形態に係る施設1との主な相違点である。すなわち、本実施形態では、第1スタンド10が横方向(X方向)に加えて上下方向(Z方向)にも移動可能であり、この点が第1の実施形態に係る施設1と異なる。ここでは、本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0078】
本実施形態における第1スタンド10は、複数の観客席6が設置され、グラウンド2に向かって傾斜した第1客席台14Bを備える。この第1客席台14Bの傾斜角は、第2スタンド20の第2客席台24の傾斜角と概ね同じである。
【0079】
また、本実施形態における第1スタンド10は、第1客席台14Bの傾斜角を保ったまま第1客席台14Bを昇降させる昇降機構120を有する。
【0080】
本実施形態では、第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21の外に出て第2スタンド20に隣接した状態にあるとき、第1スタンド10の第1客席台14Bが昇降機構120によって移動することにより、第1客席台14Bの席設置面と第2客席台24の席設置面との高さ方向における段差が減少する。
【0081】
図9A及び図9Bは、第3の実施形態に係る施設1における第1スタンド10の断面を示す図である。図9Aは、第1スタンド10の第1客席台14Bが上側(Z1側)に移動した状態を示し、図9Bは第1スタンド10の第1客席台14Bが下側(Z2側)に移動した状態を示す。
【0082】
図9Bに示す状態(第1客席台14Bが下側に移動した状態)では、第1客席台14Bの席設置面と第2客席台24の席設置面との間に高さ方向(Z方向)の段差が生じている。すなわち、第1客席台14Bの席設置面が第2客席台24の席設置面より低くなっている。この状態で、第1客席台14Bの観客席6をそれぞれ折り畳むことにより、第1スタンド10は第2スタンド20の第2内部空間21に収容可能な高さとなる。図9Bに示す状態で第1スタンド10を横方向(X方向)へ移動させることにより、第1スタンド10を第2スタンド20の第2内部空間21に収容させることができる。
【0083】
図9Bに示す状態(第1客席台14Bが上側に移動した状態)では、第1客席台14Bの席設置面と第2客席台24の席設置面との間に高さ方向(Z方向)の段差がほぼ無くなっている。すなわち、第1客席台14Bの席設置面と第2客席台24の席設置面が略同じ高さになっている。
【0084】
図9A及び図9Bの例において、第1スタンド10は、横方向(X方向)に移動可能な可動基部19と、第1客席台14Bを下側から支持する支持部110とを有する。昇降機構120は可動基部19に固定されており、支持部110を昇降させることによって第1客席台14Bを昇降させる。
【0085】
可動基部19は、鉄骨などのフレーム材を組み合わせて構成されたフレーム部191と、フレーム部191の下側に固定された複数の車輪192とを含む。車輪192は、地面に形成されて横方向に伸びたレール51の上で回転する。
支持部110は、鉄骨などのフレーム材を組み合わせて構成されたフレーム部111と、フレーム部111の正面側の端部を下側から支えるジャッキ112とを含む。
昇降機構120は、可動基部19に固定され、支持部110を昇降させる動力を生じる電動シリンダなどの複数のアクチュエータ121と、アクチュエータ121による支持部110の上下方向(Z方向)の動きを案内する昇降ガイド122とを含む。
【0086】
可動基部19は、第1内部空間11に面した第1床部195を有する。この第1床部195には任意の物品を載置可能であり、図9A及び図9Bの例では第1物置台100が配置されている。
【0087】
このように、本実施形態によれば、第1スタンド10が第2スタンド20の第2内部空間21の外に出て第2スタンド20に隣接した状態にあるとき、第1スタンド10の第1客席台14Bを昇降機構120によって上昇させて、第1客席台14Bの席設置面と第2客席台24の席設置面との高さ方向における段差を減少させる。これにより、横に並んだスタンドの間で高さ方向の段差が存在することによる違和感を低減できる。
また、第1客席台14Aの席設置面と第2客席台24の席設置面との段差がほぼ無くなる(段差が解消される)ように第1スタンド10の第1客席台14Bを上下方向において移動させることにより、第1スタンド10と第2スタンド20とを横方向へ連続的につなげることが可能になる。
更に、本実施形態によれば、可動基部19に設けられた第1床部195に任意の物品を載置できるため、スタンド空きスペースを利用した舞台などの設営を行い易くすることができる。
【0088】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態に係る施設1は、例えば図1に示す施設1と同様に、観覧対象領域としてのグラウンド2と、グラウンド2に面した正面側に複数の観客席6が設置されるスタンド部3を有する。スタンド部3は、グラウンド2に隣接した内側スタンド部5と、内側スタンド部5の周囲を外側から囲んだ外側スタンド部4を含む。
【0089】
図10A図10Cは、第4の実施形態に係る施設1のスタンド部3の要部を示す図であり、外側スタンド部4と内側スタンド部5の一部を抜き出して示した平面図である。内側スタンド部5は、第1スタンド70R-1,70R-2,70R-3,70L-1,70L-2,70L-3と、第2スタンド80R,80Lとを有する。
【0090】
本実施形態における図10A図10Cや他の図に示された方向(X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2)は、施設1における要部(70R-1~70R-3,70L-1~70L-3,80R,80L)の各部分の相対的な位置関係を説明するためのものであり、図2Aなどに示された方向と同様である。要部のグラウンド2(観覧対象領域)に面する側が、要部の正面側(Y2側)である。
【0091】
第1スタンド70R-1~70R-3及び第1スタンド70L-1~70L-3は、それぞれグラウンド2に対して移動可能な可動式のスタンドであるが、既に説明した第1スタンド(10R,10L)のような移動手段(車輪など)を自ら備えておらず、後述する台車90(図7A図7C等)の上に載せて移動される。以下、第1スタンド70R-1~70R-3及び第1スタンド70L-1~70L-3を区別せずに「第1スタンド70」と記す場合がある。
【0092】
第2スタンド80R及び第2スタンド80Lの内部には、第1スタンド70を収容可能な第2内部空間81(後述する図11E等)がそれぞれ形成される。第2スタンド80L及び第2スタンド80Rの横側には、それぞれスタンド出入口83(図11E等)が形成される。スタンド出入口83は、第1スタンド70が第2内部空間81に出入りする際に通過する開口部である。以下、第2スタンド80R及び第2スタンド80Lを区別せずに「第2スタンド80」と記す場合がある。
【0093】
図10Aは、6つの第1スタンド70(70R-1~70R-3,70L-1~70L-3)が全て外に出た状態を示す。
図10Bは、右側の3つの第1スタンド70(70R-1~70R-3)が右側の第2スタンド80Rの第2内部空間81に収容される途中の状態を示す。第1スタンド70R-1~70R-3が右方向(X1方向)に移動することで、右側の第2スタンド80Rの第2内部空間21に第1スタンド70R-1~70R-3が収容される。
図10Cは、更に左側の3つの第1スタンド70(70L-1~70L-3)が左側の第2スタンド80Lの第2内部空間81に収容される途中の状態を示す。第1スタンド70L-1~70L-3が左方向(X2方向)に移動することで、左側の第2スタンド80Rの第2内部空間21に第1スタンド70R-1~70R-3が収容される。6つの第1スタンド70(70R-1~70R-3,70L-1~70L-3)が左右の第2スタンド80(80R,80L)の第2内部空間81に収容された状態になると、図10Cに示すように、左右の第2スタンド80の間にスタンド空きスペースが生じる。このスタンド空きスペースに舞台などが設営される。
【0094】
なお図10A図10Cの例では、左右の第2スタンド80にそれぞれ同じ数の第1スタンド70が収容されているが、これに限らず、左右の第2スタンド80における第1スタンド70の収容数が異なっていてもよい。
【0095】
図11A図11F図12A図12F図13A図13Eは、第1スタンド70L-1~70L-3を第2スタンド80Lに収容する手順を説明するための図であり、図10Bの状態から図10Cの状態へ至るまでの概略的な過程を示す。
【0096】
図11Aは、3つの第1スタンド70(70L-1~70L-3)において、折り畳み式の観客席6が着席可能になっている状態を示す。先ず図11Bに示すように、第1スタンド70L-1の全ての観客席6が折り畳まれる。次に図11Cに示すように、第1スタンド70L-1の前側(正面側)に設けられた可動式の前側スタンド部750が後方(Y1方向)にスライドされ、第1スタンド70L-1の主スタンド部700の内部に収容される。また、第1スタンド70L-1の第3内部空間707に台車90が移動され、台車90の後述する昇降機構(第1昇降機構95)によって第1スタンド70L-1が地面から持ち上げられた状態になる。この状態で、台車90が後方(Y1方向)に移動されると、図11Dに示すように、第1スタンド70L-1が後方(Y1方向)に移動される。第1スタンド70L-1が後方側の所定の位置に移動された後、台車90の昇降機構(第1昇降機構95、第2昇降機構96)によって第1スタンド70L-1が地面から持ち上げられた状態で、台車90が左方向(X2方向)に移動され、これにより第1スタンド70L-1が左方向(X2方向)に移動される。その結果、図11Eに示すように、第1スタンド70L-1がスタンド出入口83から第2スタンド80Lの第2内部空間81に移動される。第2内部空間81の所定の位置に第1スタンド70L-1が移動されると、台車90の昇降機構(第1昇降機構95、第2昇降機構96)によって第1スタンド70L-1が地面に降ろされる。その後台車90は右側(X1方向)に移動され、第1スタンド70L-1の第3内部空間707を通り抜けて、図11Fに示すように、第2スタンド80Lの第2内部空間81の外に出る。そして台車90は、更に右側(X1方向)に移動され、第1スタンド70L-2の第3内部空間707に配置される。
【0097】
第1スタンド70L-2及び第1スタンド70L-3についても、上述した第1スタンド70L-1と同様の手順により、第2スタンド80Lの第2内部空間81に移動される。すなわち、第1スタンド70L-2の観客席6は、図12Aに示すように着席可能な状態から、図12Bに示すように全て折り畳まれた状態にされる。次に図12Cに示すように、第1スタンド70L-2の前側スタンド部750が主スタンド部700の内部に収容され、図12Dに示すように、第1スタンド70L-2が台車90によって後方(Y1方向)に移動され、図12Eに示すように、第1スタンド70L-2が台車90によって左方向(X2方向)に移動される。そして第1スタンド70L-2は、第2スタンド80Lの第2内部空間81における所定の位置に置かれる。第1スタンド70L-2の第2内部空間81への設置が終わると、図12Fに示すように、第1スタンド70L-2の第3内部空間707から右方向(X1方向)に台車90が移動され、第1スタンド70L-3の第3内部空間707に台車90が配置される。第1スタンド70L-3の観客席6は、図13Aに示すように着席可能な状態から、図13Bに示すように全て折り畳まれた状態にされ、次に図13Cに示すように、第1スタンド70L-3の前側スタンド部750が主スタンド部700の内部に収容され、図13Dに示すように、第1スタンド70L-3が台車90によって後方(Y1方向)に移動され、図13Eに示すように、第1スタンド70L-3が台車90によって左方向(X2方向)に移動される。そして第1スタンド70L-3は、第2スタンド80Lの第2内部空間81における所定の位置に置かれる。
【0098】
図14A図14B図15A図15B図16A及び図16Bは、それぞれ第4の実施形態に係る施設1における第1スタンド70の断面を示す図であり、図13A図13Dに示すように第2スタンド80の外側に出た状態の第1スタンド70を右方向(X1方向)から見た図である。
図14Aは、図13Aに示すように第1スタンド70がグラウンド2側に位置し、各観客席6が着席可能になっている状態を示す。
図14Bは、図13Bに示すように第1スタンド70の各観客席6が折り畳まれた状態を示す。
図15Aは、図13Cに示すように第1スタンド70の前側スタンド部750が主スタンド部700の内部に収容された状態を示す。
図15Bは、図15Aに示す状態において第1スタンド70の第3内部空間707に台車90が配置された状態を示す。
図16Aは、図13Dに示すように、第1スタンド70が台車90により後方側(Y1側)へ移動される状態を示す。
図16Bは、第1スタンド70が図16Aに示すように後方側(Y1側)へ移動された後、更に台車90によって横方向(X方向)へ移動される状態を示す。
【0099】
第1スタンド70は、図14Aに示すように、主スタンド部700と前側スタンド部750を有する。前側スタンド部750は、主スタンド部700よりグラウンド2の近くに位置する。主スタンド部700は、前側スタンド部750を前後方向(Y方向)において移動可能に支持する。
【0100】
第1スタンド70は、複数の観客席6が設置される第1客席台704及び第1客席台754を有する。第1客席台704は主スタンド部700の上部に設けられ、第1客席台754は前側スタンド部750の上部に設けられる。第1客席台704と第1客席台754は、グラウンド2に向かって下向きに傾斜している。第1客席台704と第1客席台754は、水平方向に対する傾斜角が概ね等しく、第1客席台704の下端と第1客席台754の上端がほぼ連続的につながっている。
また第2スタンド80は、複数の観客席6が設置される第2客席台84を有する。第2客席台84も、グラウンド2に向かって下向きに傾斜している。水平方向に対する第2客席台84の傾斜角は、図16A及び図16Bに示すように、第1客席台704及び第1客席台754の傾斜角と概ね等しい。
【0101】
第1客席台704、第1客席台754及び第2客席台84の席設置面は、各段の奥行が概ね等しく、かつ、各段の高さが概ね等しい階段形状を有しており、この階段形状の各段において複数の観客席6が横方向(X方向)に並んでいる。席設置面の階段形状における各段の奥行(Y方向)と高さ(Z方向)に対応する角度は、階段形状の傾斜角を表している。第1客席台704、第1客席台754、第2客席台84の水平方向に対する傾斜角は、この階段形状の傾斜角であってもよい。第1客席台704、第1客席台754における各段の奥行及び高さは、第2客席台84における各段の奥行及び高さと概ね一致していてよい。第1スタンド70が正面側に移動した図14Aに示す状態において、第1スタンド70の第1客席台704及び第1客席台754の席設置面と、第2スタンド80の第2客席台84の席設置面との間では、高さ方向(Z方向)の段差がほぼ無くなっている。すなわち、第1客席台704及び第1客席台754の席設置面と第2客席台84の席設置面とがほぼ同じ高さになっている。
【0102】
第1スタンド70の主スタンド部700は、図14Aに示すように、第1客席台704を下側から支持する支持部706を有する。支持部706は、例えば、複数のフレーム材(鉄骨など)を組み合わせて構成されたフレーム構造を含む。
【0103】
第1スタンド70の主スタンド部700(支持部706)の内部には、任意の物品(舞台設置用の機材など)を収容可能な第1内部空間701が形成される。主スタンド部700は、第1内部空間701に面した第1床部705を有しており、この第1床部705に任意の物品を置くことができる。第1床部705は、図14Aの例において、支持部706に固定されている。
【0104】
また図14Aの例において、第1床部15の上には、任意の物品を載置可能な複数の可動式の第1物置台100が配置される。第1物置台100は、例えば底板に複数のキャスタが設けられており、任意の方向へ移動させることができる。
【0105】
第1スタンド70の主スタンド部700の背面側(Y1側)には、第1内部空間701に通じる第1背面側開口部702が形成される。第1スタンド70では、この第1背面側開口部702を介して、第1内部空間701に収容される物品(例えば第1物置台100)の搬入及び搬出が可能となっている。
【0106】
なお第1スタンド70の主スタンド部700は、図3A図3Cに示す第1スタンド10と同様な横側開口部(不図示)を有していてもよい。これにより、第1内部空間701への物品の搬入及び搬出に横側開口部を用いることが可能となり、第1内部空間701への物品の出し入れが容易になる。
【0107】
第1スタンド70の主スタンド部700(支持部706)は、台車90が出入り可能な第3内部空間707を有する。図14Aの例において、第3内部空間707は第1床部705の下側に設けられている。第3内部空間707は、横方向(X方向)に移動する台車90が通り抜け可能な通路を形成する。すなわち、第3内部空間707は、右側(X1側)と左側(X2側)の両方で外部に開口しており、台車90は左右の両側の開口部から第3内部空間707に出入りすることができる。
【0108】
第1スタンド70の前側スタンド部750は、図14Aに示すように、第1客席台754を下側から支持する可動支持部756を有する。可動支持部756は、主スタンド部700によって前後方向(Y方向)へ移動可能に支持される。
【0109】
可動支持部756は、図14Aの例において、第1客席台754に固定されたフレーム部757と、フレーム部757の下面に設けられた複数の車輪758を含む。フレーム部757は、主スタンド部700に設けられた図示しない案内機構により、前後方向(Y方向)への移動が案内される。またフレーム部757は、この案内機構により、左右方向(X方向)及び上下方向(Z方向)への移動が制限されるように支持される。台車90によって主スタンド部700が運ばれると、前側スタンド部750も主スタンド部700と一体になって運ばれる。
【0110】
図14Aに示すように、第1スタンド70の背面側には壁40(外側スタンド部4の内側に設けられた壁40)に接している。この壁40には、図13Eに示すように、壁40の背面側から正面側(グラウンド2側)に通じる開口部42が形成されている。また、壁40の背面側には、舞台設営用の機材などを運搬できるスペースが設けられている。図13Eに示すようにスタンド空きスペースが生じたとき、このスタンド空きスペースに面した壁40には開口部42が形成されている。壁40の背面側まで運ばれた機材などは、この開口部42を介して、壁40の背面側のスペースから正面側(グラウンド2側)に運び込まれる。従って、グラウンド2内に立ち入らなくても、舞台の設備などをスタンド空きスペースに設営することが可能である。
【0111】
第2スタンド80の第2内部空間81には、特に図示していないが、図5に示す第2スタンド20の第2内部空間21と同様に、任意の物品を収容するスペースとして利用可能である。第2スタンド80の背面側(Y1側)には、第2内部空間81に通じる第2背面側開口部82が形成される。この第2背面側開口部82を介して、第2内部空間81に収容される物品(例えば第2物置台200)の搬入及び搬出を行うことが可能である。第2スタンド20の背面側に接した壁40に形成される開口部42は、第2スタンド80の第2背面側開口部82に相当する。
【0112】
図10Aに示すように第1スタンド70が第2スタンド80の外に出た状態では、第2スタンド80の第2内部空間81に任意の物品(第2物置台200など)を収容させることができる。第2内部空間81に収容される物品の搬入及び搬出は、第2背面側開口部82(開口部42)を介して行うこともできるし、横側のスタンド出入口83を介して行うこともできる。
【0113】
また図10Aに示す状態では、図14Aに示すように、第2スタンド80の外に出た第1スタンド70の第1内部空間701にも任意の物品(第1物置台100など)を収容させることができる。第1内部空間701に収容される物品の搬入及び搬出は、第1背面側開口部702と壁40の開口部42とを介して行うこともできるし、上述した横側開口部を介して行うこともできる。
【0114】
他方、図10Cに示すように第1スタンド70が第2スタンド80の第2内部空間81に収容された場合、第2スタンド80の第2内部空間81に物品を収容できなくなるものの、第1スタンド70の第1内部空間701には物品を収容可能である。この場合、第1スタンド70の第1内部空間701に収容される物品の搬入及び搬出は、第1背面側開口部702及び第2背面側開口部82(開口部42)を介して背面側から行うこともできるし、第1スタンド70の横側開口部及びスタンド出入口83を介して横側から行うこともできる。
【0115】
図17A図17Cは、台車90の一例を示す図である。図17Aは台車90を下方向(Z2方向)から見た底面図であり、図17Bは台車90を右方向(X1方向)から見た右側面図であり、図17Cは台車90を正面方向(Y2方向)から見た正面図である。また、後述する図18A図19A図20Aはそれぞれ台車90の右側面図であり、図18B図19B図20Bはそれぞれ台車90の正面図である。
【0116】
図17A図17Cに例示した台車90は、レール(52、53)の上を走行する。図10C図13Eなどに示すように、第1スタンド70が移動される領域には、横方向(X方向)に伸びた複数の第1レール52と、前後方向(Y方向)に伸びた複数の第2レール53が敷設される。複数の第1レール52の少なくとも一部と、複数の第2レール53の少なくとも一部とが交差している。台車90は、それぞれ第1レール52の上で回転する複数の第1車輪93F及び複数の第1車輪93Bと、それぞれ第2レール53の上で回転する複数の第2車輪93R及び複数の第2車輪93Lを有する。図17Aの例において、台車90は第1車輪93F、第1車輪93B、第2車輪93R、第2車輪93Lをそれぞれ4つずつ有する。
【0117】
また台車90は、第1スタンド70の第3内部空間707に位置した状態で、第1スタンド70を下側から支持しつつ昇降させる第1昇降機構95を有する。第3内部空間707に配置された台車90が、第1昇降機構95によって第1スタンド70を下側から持ち上げた状態で、レール(52、53)の上を走行することにより、第1スタンド70が横方向や前後方向に移動される。
【0118】
更に台車90は、複数の第2車輪(93R、93L)に対して、複数の第1車輪(93F、93B)を相対的に昇降させる第2昇降機構96を有する。複数の第1車輪(93F、93B)がそれぞれ第1レール52の上で回転する場合、第2昇降機構96により、複数の第2車輪(93R、93L)が複数の第1車輪(93F、93B)に対して上方に持ち上げられた状態になり、第2車輪(93R、93L)が台車90の走行の邪魔にならなくなる。また、複数の第2車輪(93R、93L)がそれぞれ第2レール53の上で回転する場合、第2昇降機構96により、複数の第1車輪(93F、93B)が複数の第2車輪(93R、93L)に対して上方に持ち上げられた状態になり、第1車輪(93F、93B)が台車90の走行の邪魔にならなくなる。
【0119】
台車90は、図17A図17Cの例において、複数の第2車輪(93R、93L)が回転可能に固定された主フレーム部91と、複数の第1車輪93Fが回転可能に固定された可動フレーム部92Fと、複数の第1車輪93Bが回転可能に固定された可動フレーム部92Bとを有する。第1昇降機構95及び第2昇降機構96は、それぞれ主フレーム部91に固定される。第2昇降機構96は、可動フレーム部92F及び可動フレーム部92Bをそれぞれ主フレーム部91に対して昇降させる。
【0120】
台車90は、図17A図17Cの例において、車輪(93F、93B、93R、93L)の車軸をそれぞれ回転可能に支持する複数の車軸支持部97を有する。複数の第2車輪(93R、93L)は、それぞれ車軸支持部97を介して主フレーム部91の底面側に固定され、複数の第1車輪93Fは、それぞれ車軸支持部97を介して可動フレーム部92Fの底面側に固定され、複数の第1車輪93Bは、それぞれ車軸支持部97を介して可動フレーム部92Bの底面側に固定される。
【0121】
4つの第1車輪93Fが、車軸を前後方向(Y方向)に向けた状態で横方向(X方向)に並んでおり、共通の第1レール52の上で回転する。4つの第1車輪93Bが、車軸を前後方向(Y方向)に向けた状態で横方向(X方向)に並んでおり、共通の第1レール52の上で回転する。第1車輪93Fは、第1車輪93Bに対して正面側(Y2側)に位置する。
【0122】
また、4つの第2車輪93Rが、車軸を横方向(X方向)に向けた状態で前後方向(Y方向)に並んでおり、共通の第2レール53の上で回転する。4つの第2車輪93Lが、車軸を横方向(X方向)に向けた状態で前後方向(Y方向)に並んでおり、共通の第2レール53の上で回転する。第2車輪93Rは、第2車輪93Lに対して右側(X1側)に位置している。
【0123】
第1昇降機構95は、例えば、主フレーム部91に固定されたスクリュージャッキ951を含む。図17A図17Cの例では、主フレーム部91の上面に4つのスクリュージャッキ951が固定される。4つのスクリュージャッキ951の先端部が主スタンド部700(支持部706)の下側に当接して伸びることにより、第1スタンド70が地面に対して持ち上げられた状態になる。
【0124】
第2昇降機構96は、例えば、スクリュージャッキ961F及び961Bと、昇降ガイド962F及び962Bを含む。図17A図17Cの例では、2つのスクリュージャッキ961Fの一端と2つの昇降ガイド962Fの一端がそれぞれ可動フレーム部92Fに固定され、2つのスクリュージャッキ961Fの他端と2つのスクリュージャッキ961Fの他端がそれぞれ主フレーム部91に固定される。また、2つのスクリュージャッキ961Bの一端と2つの昇降ガイド962Bの一端がそれぞれ可動フレーム部92Bに固定され、2つのスクリュージャッキ961Bの他端と2つのスクリュージャッキ961Bの他端がそれぞれ主フレーム部91に固定される。スクリュージャッキ961F及び961Bは、それぞれ上下方向(Z方向)に伸縮し、昇降ガイド962F及び962Bは、それぞれ可動フレーム部92F及び92Bの上下方向(Z方向)への移動を案内する。スクリュージャッキ961F及び961Bが伸びると(図18A図18B)、第2車輪(93R、93L)が第1車輪(93F、93B)に対して持ち上げられた状態になり、台車90は第1レール52の上で横方向(X方向)に移動可能となる。また、スクリュージャッキ961F及び961Bが縮むと(図17B図17C)、第1車輪(93F、93B)が第2車輪(93R、93L)に対して持ち上げられた状態になり、台車90は第2レール53の上で前後方向(Y方向)に移動可能となる。
【0125】
台車90は、例えば、車輪(93F、93B、93R、93L)の車軸をそれぞれ回転駆動するモータなどの駆動部(94F、94B、94R、94L)を有する。図17A図17Cの例において、台車90は、第1車輪93Fを回転駆動する第1駆動部94Fと、第1車輪93Bを回転駆動する第1駆動部94Bと、第2車輪93Rを回転駆動する第2駆動部94Rと、第2車輪93Lを回転駆動する第2駆動部94Lとを有する。
【0126】
台車90は、例えば、第1昇降機構95のスクリュージャッキ951、第2昇降機構96のスクリュージャッキ961F及び961B、駆動部(94F、94B、94R、94L)のモータ等を動作させるための電源としてバッテリを備えていてもよい。また台車90は、ペンダントスイッチなどコントローラの操作に応じて第1昇降機構95及び第2昇降機構96の伸縮動作や駆動部(94F、94B、94R、94L)の回転駆動を制御する制御装置を備えていてもよい。
【0127】
ここで、図13A図13Dに示すように第2スタンド80の外側に出た状態の第1スタンド70が第2スタンド80に収容される動作について、台車90の昇降機構(95、96)の状態を含めて詳しく説明する。
【0128】
第1スタンド70は、図14Aに示す状態においてグラウンド2側に位置しており、第1客席台704及び第1客席台754の席設置面と第2スタンド80の第2客席台84の席設置面との段差がほとんど無い状態になっている。第1客席台704及び第1客席台754の各観客席6は、着席可能な状態になっている。第1スタンド70を第2スタンド80に収容する場合は、図14Bに示すように、各観客席6が折り畳まれた状態にされる。
【0129】
また第1スタンド70を第2スタンド80に収容する場合、各観客席6が折り畳まれた状態の前側スタンド部750が、図15Aに示すように後方(Y1方向)へスライドされて、主スタンド部700の内部に収容される。更にこの場合、台車90がレール(52、53)の上を移動されて、図15Bに示すように、第1スタンド70(主スタンド部700)の第3内部空間707に配置される。
【0130】
台車90が第1スタンド70を載せずに第2レール53上を前後方向(Y方向)へ移動する場合、図17B図17Cに示すように、第2昇降機構96が縮んだ状態にされ、第1車輪(93F、93B)が第2車輪(93R、93L)に対して持ち上げられた状態にされる。これにより、第2車輪(93R、93L)が第2レール53の上に乗るとともに第1車輪(93F、93B)が地面から離れた状態になり、台車90が第2レール53上を移動可能になる。
【0131】
台車90が第1レール52上を横方向(X方向)に移動して第3内部空間707に入る場合は、図18A図18Bに示すように、第2昇降機構96が伸びた状態にされ、第2車輪(93R、93L)が第1車輪(93F、93B)に対して持ち上げられた状態にされる。これにより第1車輪(93F、93B)が第1レール52の上に乗るとともに第2車輪(93R、93L)が地面から離れた状態になり、台車90が第1レール52上を移動可能になる。また、図18A図18Bの状態では、第1昇降機構95が縮んだ状態にされており、図15Bに示すように、第1昇降機構95(スクリュージャッキ951)の先端が主スタンド部700(支持部706)より低い位置にある。これにより、第1昇降機構95が主スタンド部700に当たらないため、台車90は横方向(X方向)に移動して第3内部空間707に入ることができる。
【0132】
図15Bに示すように台車90が第3内部空間707に配置されると、次に図19A図19Bに示すように、第2昇降機構96が縮んだ状態にされ、第1車輪(93F、93B)が第2車輪(93R、93L)に対して持ち上げられた状態にされる。これにより、第2車輪(93R、93L)が第2レール53の上に乗るとともに第1車輪(93F、93B)が地面から離れた状態になり、台車90が後方(Y1方向)へ移動可能になる。またこのとき、図19A図19Bに示すように、第1昇降機構95が伸びて主スタンド部700(支持部706)に当接し、第1スタンド70が地面から持ち上げられた状態にされる。第1スタンド70が持ち上げられた状態で、台車90が後方(Y1方向)へ移動されることにより、図16Aに示すように、第1スタンド70が後方側の所定の位置に移動される。
【0133】
第1スタンド70が後方側の所定の位置に移動されたとき、図16Aに示すように、第1スタンド70の後部が固定スタンド80Hの下側に入り込んだ状態になる。固定スタンド80Hの上面には、客席台84Hが設けられている。客席台84Hは、第1スタンド70が前方側の所定の位置(第1客席台704及び第1客席台754と第2客席台84とが同じ高さになる図14Aの位置)にあるとき、第1スタンド70の第1客席台704の最後列より後方側(Y1側)に連続した観客席6の領域となっている。固定スタンド80Hの下部と第1スタンド70の最後列の観客席6とが近接しており、折り畳んだ状態の観客席6と固定スタンド80Hの下部との隙間を確保できない場合は、第1スタンド70を後方側へ後退させる前に、この最後列の観客席6を第1客席台704から取り外すようにしてもよい。
【0134】
第1スタンド70が後方側の所定の位置に移動されると、次に図20A図20Bに示すように、第2昇降機構96が伸びた状態にされ、第2車輪(93R、93L)が第1車輪(93F、93B)に対して持ち上げられた状態にされる。これにより第1車輪(93F、93B)が第1レール52の上に乗るとともに第2車輪(93R、93L)が地面から離れた状態になり、台車90が第1レール52上を移動可能になる。また、図20A図20Bの状態では、第1昇降機構95が伸びた状態にされており、図16Bに示すように、第1昇降機構95(スクリュージャッキ951)の先端が主スタンド部700(支持部706)に当接し、第1スタンド70が地面から持ち上げられた状態にされる。第1スタンド70が持ち上げられた状態で、台車90が左方向(X2方向)へ移動されることにより、第1スタンド70が第2スタンド80の第2内部空間81における所定の位置に移動される。
【0135】
第1スタンド70が第2内部空間81の所定の位置に移動されると、図18A図18Bに示すように、第1昇降機構95が縮んだ状態にされて、第1スタンド70が地面に設置される。そして、第2スタンド80に収納するべき他の第1スタンド70がある場合、台車90は、図18A図18Bに示す状態で第1レール52の上を右方向(X1方向)に移動され、第1スタンド70の第3内部空間707の外部に出される。その後、台車90は、図18A図18Bに示す状態と図17B図17Cに示す状態とを切り替えながら、第1レール52及び第2レール53の上を走行し、他の第1スタンド70の第3内部空間707へ移動される。そして、上述と同様に、他の第1スタンド70が第2スタンド80の第2内部空間81へ運ばれる。
【0136】
このように、本実施形態によれば、第1スタンド70の第1内部空間701に任意の物品を収容可能であり、第1スタンド70の第1背面側開口部702を介して、第1内部空間701に収容される物品の搬入及び搬出を行うことができる。
【0137】
また本実施形態によれば、第1スタンド70の第3内部空間707に台車90が配置され、第1昇降機構95により第1スタンド70を下側から支持して持ち上げた状態で台車90が横方向に移動され、第2スタンド80の第2内部空間81に第1スタンド70が搬入・搬出される。これにより、移動手段(車輪、モータなど)や昇降機構を第1スタンド70に設けなくてよくなるため、第1スタンド70の製造コストを押さえることができる。また、第1スタンド70を支える構造に昇降機構などが含まれている場合に比べて、構造強度を高めることができる。
【0138】
また本実施形態によれば、第1スタンド70の第3内部空間707が通路を形成しており、横方向(X方向)に移動する台車90がこの通路(第3内部空間707)を通り抜けることができる。これにより、複数の(特に3以上の)第1スタンド70が横方向(X方向)に並んで配置される場合でも、1つの台車90を使って複数の第1スタンド70を1つずつ運搬することが可能になる。従って、複数の第1スタンド70にそれぞれ移動手段(車輪、モータなど)や昇降機構を設ける場合に比べて、製造コストを大幅に抑えることができる。また、第1スタンド70の数を増やして、個々の第1スタンド70の横幅を小さくすることが可能になるため、台車90のサイズも小さくすることができる。これにより、台車90の製造コストを抑えることができる。
【0139】
また本実施形態によれば、台車90が複数の車輪(93F、93B、93R、93L)を有しており、車輪がレール(52、53)の上で回転することにより台車90がレール上を走行する。これにより、第1スタンド70を決められた位置に運び易くなるため、第1スタンド70を所定の位置に精度よく設置し易くなる。
【0140】
また本実施形態によれば、横方向(X方向)に伸びた複数の第1レール52と、前後方向(Y方向)に伸びた複数の第2レール53が敷設されており、少なくとも一部の第1レール52と少なくとも一部の第2レール53とが交差している。また、台車90には、第1レール52の上で回転する複数の第1車輪(93F、93B)と、第2レール53の上で回転する複数の第2車輪(93R、93L)が設けられており、複数の第1車輪(93F、93B)がそれぞれ第1レール52の上で回転する場合、第2昇降機構96により複数の第2車輪(93R、93L)が複数の第1車輪(93F、93B)に対して上方に持ち上げられ、複数の第2車輪(93R、93L)がそれぞれ第2レール53の上で回転する場合、第2昇降機構96により複数の第1車輪(93F、93B)が複数の第2車輪(93R、93L)に対して上方に持ち上げられる。これにより、横方向(X方向)へ伸びる第1レール52と前後方向(Y方向)へ伸びる第2レール53のそれぞれに沿って台車90を移動させることが可能になる。
【0141】
また本実施形態によれば、台車90を前後方向(Y方向)へ移動させることができるため、グラウンド2に向かって傾斜した第2スタンド80の第2客席台84の席設置面と、グラウンド2に向かって傾斜した第1スタンド70の第1客席台704及び第1客席台754の席設置面との段差が減少するように、第1スタンド70の前後方向(Y方向)における設置位置を定めることができる。
【0142】
また本実施形態によれば、主スタンド部700よりグラウンド2の近くに位置する前側スタンド部750が、主スタンド部700によって前後方向(Y方向)へ移動可能に支持されている。グラウンド2から遠ざかる方向(Y1方向)へ前側スタンド部750を移動させた場合、前側スタンド部750の少なくとも一部が主スタンド部700の内部に収容され、第1スタンド70の前後方向(Y方向)の長さが短くなる。これにより、第1スタンド70を後方側(Y1側)へ移動させる距離を短くしても、第2内部空間81における第2スタンド80の下面と第1スタンド70の上面との隙間を確保し易くなる。従って、第1スタンド70の移動距離が短くなり、作業時間を短縮できる。
また、図16Aに示すように第1スタンド70の後部が固定スタンド80Hの下側に入り込む場合、第1スタンド70を後方側(Y1側)へ移動させる距離が短くなることによって、第2スタンド80の正面側(Y2側)の端部と壁40との距離を短くすることができる。すなわち、固定スタンド80Hにおいて壁40から正面側(Y2側)に突き出た部分の長さを短くすることができる。これにより、固定スタンド80Hの構造強度を確保し易くなる。
【0143】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0144】
上述の実施形態では、第1スタンド(10、70)及び第2スタンド(20、80)の背面側に壁40が設置されているが、本発明の他の実施形態では、第1スタンド及び第2スタンドの背面側に壁などの構造物が設置されていなくてもよい。
【0145】
上述の実施形態では、第1物置台100や第2物置台200の底面にキャスタが設けられているが、これらの物置台はキャスタ以外の移動手段(例えば車輪とレールなど)によって移動してもよい。
【0146】
上述の実施形態では、第2スタンド(20、80)がグラウンド2(観覧対象領域)に対して固定されているが、本発明の他の実施形態では、第2スタンドも観覧対象領域に対して移動可能であってよい。
【0147】
上述の実施形態では、第2スタンド(20、80)の第2内部空間(21、81)に第1スタンド(10、70)の全体が収容される例を挙げたが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、第1スタンドの全体が第2スタンドの第2内部空間に収まっていなくてもよい。すなわち、第1スタンドの一部が、方向を問わず、第2スタンドの外側にはみ出しても良い。
【0148】
上述の実施形態では、第2スタンド(20、80)のスタンド出入口(23、83)が1つのみの例を挙げたが、本発明の他の実施形態では、第2スタンドが複数のスタンド出入口を備えていてもよい。その場合、第1スタンドは、1つのスタンド出入口から別のスタンド出入口へ第2スタンドの第2内部空間を通り抜けて行くことが可能であってもよい。
【0149】
上述した第4の実施形態では、台車90が車輪(93F、93B、93R、93L)によってレール(52、53)上を走行する例が挙げられているが、台車90の移動手段は車輪とレールに限らず、例えばタイヤのようにレールを使用しない移動手段であってもよい。
【0150】
上述した第4の実施形態では、台車90を第1スタンド70の運搬に使用する例が挙げられているが、台車90は任意の物品の運搬に使用してもよい。例えば図13Eに示すように第2レール53が壁40の開口部42より後方側にも延長されていれば、壁40の後方側に設けられたスペースとスタンド空きスペースとの間で物品の搬入・搬出する際に台車90を用いることが可能である。また、第2レール53がグラウンド2(観覧対象領域)側にも延長されていれば、複数の台車90の上に舞台を設営させた状態で、グラウンド2内に舞台を運び入れることも可能である。これにより、グラウンド2の芝生などへの影響を最小限に抑えつつ、グラウンド2内に舞台を設置することが可能となる。
【0151】
上述の実施形態では、観覧対象領域がスポーツ競技などで使用されるグラウンドである例を挙げたが、観覧対象領域は観客席から観覧され得る任意の領域(例えば屋内の競技常、水泳場、舞台など)でもよい。
【0152】
以下、本発明の実施形態に関連する付記を記す。
[A1]
観客席を備えた施設であって、
観覧対象領域に面した正面側に複数の前記観客席が設置されるスタンド部を有し、
前記スタンド部は、
物品を収容可能な第1内部空間が形成される1つ以上の第1スタンドと、
前記第1スタンドを収容可能な第2内部空間が形成される1つ以上の第2スタンドとを有し、
前記第1スタンドは、前記観覧対象領域に対して移動可能な可動式のスタンドであり、
前記第2スタンドの横側には、前記第1スタンドが前記第2内部空間に出入りする際に通過するスタンド出入口が形成されており、
前記第1スタンドの背面側には、前記第1内部空間に通じる第1背面側開口部が形成されており、
前記第1背面側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である、
施設。
[A2]
前記第1スタンドの横側には、前記第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、
前記横側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である、
[A1]に記載の施設。
[A3]
前記第1スタンドは、
前記第1内部空間に面した第1床部と、
前記第1床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第1物置台とを有する、
[A1]に記載の施設。
[A4]
前記第1スタンドの横側には、前記第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、
前記横側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能であり、
前記第1物置台は、前記第1背面側開口部及び前記横側開口部の少なくとも一方に対して進退可能である
[A3]に記載の施設。
[A5]
前記第1スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、
前記第2スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、
前記第1客席台と前記第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、
前記第1スタンドは、前記スタンド出入口を通って前記第2内部空間に出入りする第1方向と、前記観覧対象領域に対して進退する第2方向とに移動可能であり、
前記第2内部空間の外に出て前記第2スタンドに隣接した状態の前記第1スタンドの前記第1客席台が前記第2方向において移動することにより、前記第1客席台の前記観客席の設置面と前記第2客席台の前記観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する、
[A1]に記載の施設。
[A6]
前記第1スタンドは、
前記第1方向に移動可能な可動基部と、
前記可動基部の上に載置され、前記第2方向に移動可能な可動支持部とを有し、
前記可動支持部は、前記第1客席台を下側から支持する、
[A5]に記載の施設。
[A7]
前記可動支持部は、前記第1内部空間に面した第1床部を有し、
前記第1内部空間に収容される物品を前記第1床部の上に載置可能である、
[A6]に記載の施設。
[A8]
前記第1スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、
前記第2スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、
前記第1客席台と前記第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、
前記第1スタンドは、前記第1客席台の前記傾斜角を保ったまま前記第1客席台を昇降させる昇降機構を備えており、
前記第2内部空間の外に出て前記第2スタンドに隣接した状態の前記第1スタンドが前記昇降機構によって移動することにより、前記第1客席台の前記観客席の設置面と前記第2客席台の前記観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する、
[A1]に記載の施設。
[A9]
前記第1スタンドは、
前記スタンド出入口を通って前記第2内部空間に出入りする第1方向に移動可能な可動基部と、
前記第1客席台を下側から支持する支持部とを有し、
前記昇降機構は、前記可動基部に固定されており、前記支持部を昇降させる、
[A8]に記載の施設。
[A10]
前記可動基部は、前記第1内部空間に面した第1床部を有し、
前記第1内部空間に収容される物品を前記第1床部の上に載置可能である、
[A9]に記載の施設。
[A11]
前記第1床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第1物置台とを有する、
[A7]又は[A10]に記載の施設。
[A12]
前記第1スタンドの横側には、前記第1内部空間に通じる横側開口部が形成されており、
前記横側開口部を介して、前記第1内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能であり、
前記第1物置台は、前記第1背面側開口部及び前記横側開口部の少なくとも一方に対して進退可能である
[A11]に記載の施設。
[A13]
前記第2スタンドの前記第2内部空間は、前記第1スタンドを外に出した状態で物品を収容可能であり、
前記第2スタンドの背面側には、前記第2内部空間に通じる第2背面側開口部が形成されており、
前記第2背面側開口部を介して、前記第2内部空間に収容される物品の搬入及び搬出が可能である、
[A1]~[A12]のいずれか1つに記載の施設。
[A14]
前記第2スタンドは、
前記第2内部空間に面した第2床部と、
前記第2床部に配置され、物品を載置可能な1つ以上の可動式の第2物置台とを有し、
前記第2物置台は、
前記第2背面側開口部及び前記スタンド出入口の少なくとも一方に対して進退可能であり、
前記第2背面側開口部及び前記スタンド出入口の少なくとも一方から前記第2内部空間に出し入れ可能である、
[A13]に記載の施設。
[A15]
前記スタンド出入口を通って前記第2スタンドの前記第2内部空間に出入りする第1方向に移動可能な台車を有し、
前記第1スタンドは、前記台車が出入り可能な第3内部空間を有し、
前記台車は、前記第1スタンドの前記第3内部空間に位置した状態で、前記第1スタンドを下側から支持しつつ昇降させる第1昇降機構を有し、
前記第3内部空間において前記第1昇降機構により前記第1スタンドを下側から支持した前記台車が、前記第1方向を移動することにより、前記第1スタンドが前記第2スタンドの前記第2内部空間を出入りする、
[A1]に記載の施設。
[A16]
前記第1スタンドの前記第3内部空間は、前記第1方向に移動する前記台車が通り抜け可能な通路を形成する、
[A15]に記載の施設。
[A17]
前記第1方向に伸びた複数の第1レールが敷設されており、
前記台車は、それぞれ前記第1レールの上で回転する複数の第1車輪を有する、
[A15]又は[A16]に記載の施設。
[A18]
前記観覧対象領域に対して進退する第2方向に伸びた複数の第2レールが敷設されており、
複数の前記第1レールの少なくとも一部は、複数の前記第2レールの少なくとも一部と交差しており、
前記台車は、
それぞれ前記第2レールの上で回転する複数の第2車輪と、
複数の前記第2車輪に対して複数の前記第1車輪を相対的に昇降させる第2昇降機構と
を有し、
複数の前記第1車輪がそれぞれ前記第1レールの上で回転する場合、前記第2昇降機構により複数の前記第2車輪が複数の前記第1車輪に対して上方に持ち上げられ、
複数の前記第2車輪がそれぞれ前記第2レールの上で回転する場合、前記第2昇降機構により複数の前記第1車輪が複数の前記第2車輪に対して上方に持ち上げられる、
[A17]に記載の施設。
[A19]
前記第1スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、
前記第2スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、
前記第1客席台と前記第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、
前記第2内部空間の外に出て前記第2スタンドに隣接した状態の前記第1スタンドが前記台車によって前記第2方向へ移動することにより、前記第1客席台の前記観客席の設置面と前記第2客席台の前記観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する、
[A18]に記載の施設。
[A20]
前記台車は、
複数の前記第2車輪が回転可能に固定された主フレーム部と、
複数の前記第1車輪が回転可能に固定された可動フレーム部と
を有し、
前記第1昇降機構及び前記第2昇降機構は、前記主フレーム部に固定されており、
前記第2昇降機構は、前記主フレーム部に対して前記可動フレーム部を昇降させる、
[A18]又は[A19]に記載の施設。
[A21]
前記第1スタンドは、
主スタンド部と、
前記主スタンド部より前記観覧対象領域の近くに位置する前側スタンド部と
を有し、
前記主スタンド部は、前記前側スタンド部を前記第2方向において移動可能に支持しており、
前記前側スタンド部を前記観覧対象領域より遠ざかる方向へ移動させた場合、前記前側スタンド部の少なくとも一部が前記主スタンド部の内部に収容される、
[A15]~[A20]のいずれか1つに記載の施設。
【0153】
[B1]
観客席を備えた施設であって、
観覧対象領域に面した正面側に複数の前記観客席が設置されるスタンド部と、
台車とを有し、
前記スタンド部は、
前記観覧対象領域に対して移動可能な1つ以上の可動式の第1スタンドと、
前記第1スタンドを収容可能な第2内部空間が形成される1つ以上の第2スタンドとを有し、
前記第2スタンドの横側には、前記第1スタンドが前記第2内部空間に出入りする際に通過するスタンド出入口が形成されており、
前記台車は、前記スタンド出入口を通って前記第2スタンドの前記第2内部空間に出入りする第1方向に移動可能であり、
前記第1スタンドは、前記台車が出入り可能な第3内部空間を有し、
前記台車は、前記第1スタンドの前記第3内部空間に位置した状態で、前記第1スタンドを下側から支持しつつ昇降させる第1昇降機構を有し、
前記第3内部空間において前記第1昇降機構により前記第1スタンドを下側から支持した前記台車が、前記第1方向を移動することにより、前記第1スタンドが前記第2スタンドの前記第2内部空間を出入りする、
施設。
[B2]
前記第1スタンドの前記第3内部空間は、前記第1方向に移動する前記台車が通り抜け可能な通路を形成する、
[B1]に記載の施設。
[B3]
前記第1方向に伸びた複数の第1レールが敷設されており、
前記台車は、それぞれ前記第1レールの上で回転する複数の第1車輪を有する、
[B1]又は[B2]に記載の施設。
[B4]
前記観覧対象領域に対して進退する第2方向に伸びた複数の第2レールが敷設されており、
複数の前記第1レールの少なくとも一部は、複数の前記第2レールの少なくとも一部と交差しており、
前記台車は、
それぞれ前記第2レールの上で回転する複数の第2車輪と、
複数の前記第2車輪に対して複数の前記第1車輪を相対的に昇降させる第2昇降機構と
を有し、
複数の前記第1車輪がそれぞれ前記第1レールの上で回転する場合、前記第2昇降機構により複数の前記第2車輪が複数の前記第1車輪に対して上方に持ち上げられ、
複数の前記第2車輪がそれぞれ前記第2レールの上で回転する場合、前記第2昇降機構により複数の前記第1車輪が複数の前記第2車輪に対して上方に持ち上げられる、
[B3]に記載の施設。
[B5]
前記第1スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第1客席台を有し、
前記第2スタンドは、複数の前記観客席が設置され、前記観覧対象領域に向かって傾斜した第2客席台を有し、
前記第1客席台と前記第2客席台とは、水平方向に対する傾斜角が互いに等しく、
前記第2内部空間の外に出て前記第2スタンドに隣接した状態の前記第1スタンドが前記台車によって前記第2方向へ移動することにより、前記第1客席台の前記観客席の設置面と前記第2客席台の前記観客席の設置面との高さ方向における段差が減少する、
[B4]に記載の施設。
[B6]
前記台車は、
複数の前記第2車輪を回転可能に固定された主フレーム部と、
複数の前記第1車輪が回転可能に固定された可動フレーム部と
を有し、
前記第1昇降機構及び前記第2昇降機構は、前記主フレーム部に固定されており、
前記第2昇降機構は、前記主フレーム部に対して前記可動フレーム部を昇降させる、
[B4]又は[B5]に記載の施設。
[B7]
前記第1スタンドは、
主スタンド部と、
前記主スタンド部より前記観覧対象領域の近くに位置する前側スタンド部と
を有し、
前記主スタンド部は、前記前側スタンド部を前記第2方向において移動可能に支持しており、
前記前側スタンド部を前記観覧対象領域より遠ざかる方向へ移動させた場合、前記前側スタンド部の少なくとも一部が前記主スタンド部の内部に収容される、
[B1]~[B6]のいずれか1つに記載の施設。
【符号の説明】
【0154】
1…施設、2…グラウンド、3…スタンド部、4…外側スタンド部、40…壁、41…レール、42…開口部、5…内側スタンド部、51…レール、6…観客席、10,10R,10L…第1スタンド、100…第1物置台、11…第1内部空間、12…第1背面側開口部、13…横側開口部、14,14A,14B…第1客席台、15…第1床部、16…可動支持部、161…フレーム部、162,163…車輪、17…可動基部、171…フレーム部、172…車輪、18…可動支持部、181…フレーム部、182,183…車輪、184…ジャッキ、185…第1床部、19…可動基部、191…フレーム部、192…車輪、195…第1床部、110…支持部、111…フレーム部、112…ジャッキ、120…昇降機構、121…アクチュエータ、122…昇降ガイド、20,20R…第2スタンド、200…第2物置台、21…第2内部空間、22…第2背面側開口部、23…スタンド出入口、24…第2客席台、25…第2床部、30…スロープ、70,70L-1~70L-3,70R-1~70R-3…第1スタンド、700…主スタンド部、701…第1内部空間、702…第1背面側開口部、704…第1客席台、705…第1床部、706…支持部、707…第3内部空間、750…前側スタンド部、754…第1客席台、756…可動支持部、757…フレーム部、758…車輪、80,80L,80R…第2スタン、81…第2内部空間、82…第2背面側開口部、83…スタンド出入口、84…第2客席台、90…台車、91…主フレーム部、92F,92B…可動フレーム部、93F,93B…第1車輪、93R,93L…第2車輪、94F,94B…第1駆動部、94R,94L…第2駆動部、95…第1昇降機構、951…スクリュージャッキ、96…第2昇降機構、961F,961B…スクリュージャッキ、962F,962B…昇降ガイド、97…車軸支持部
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