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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164389
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】表示装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231102BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231102BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 50/82 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 50/81 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 59/123 20230101ALI20231102BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20231102BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/00 366Z
H10K50/10
H10K59/12
H10K59/122
H10K50/82
H10K50/81
H10K59/131
H10K59/124
H10K59/123
H10K59/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073926
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2022075019
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 学
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕功
(72)【発明者】
【氏名】中田 昌孝
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA03
3K107BB01
3K107CC43
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD38
3K107DD39
3K107DD58
3K107EE04
3K107EE68
3K107HH04
3K107HH05
5C094AA15
5C094AA31
5C094AA44
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA09
5C094DA13
5C094DA15
5C094DB01
5C094FB14
5C094HA08
5G435BB05
5G435EE49
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
(57)【要約】
【課題】狭額縁で安価な表示装置を提供する。
【解決手段】発光デバイスを有する第1の画素、受光デバイスを有する第2の画素、および第2の画素で取得した情報を読み出すための読み出し回路を有する表示装置であって、当該読み出し回路は、実装されたICチップが有する第1の回路、および画素回路が形成された基板にモノリシック型で形成された第2の回路を有する。当該構成とすることによって、ICチップから第2の回路に相当する回路を省くことができるため、ICチップを小型化することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素回路と、A/D変換回路を有し、
前記A/D変換回路は、第1の回路を有し、
前記第1の画素回路および前記第1の回路は、同一の基板上に形成され、
前記第1の回路は、抵抗分圧回路を有し、
前記抵抗分圧回路は、ドレインと第1のゲートが電気的に接続されたトランジスタを複数有し、
前記トランジスタは、半導体層に金属酸化物を有し、
前記トランジスタは、絶縁層の側面に沿ってチャネル形成領域が設けられている表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数のトランジスタは、隣接する2つのトランジスタにおいて、一方のトランジスタのソースと、他方のトランジスタのドレインおよび第1のゲートが電気的に接続されるように直列に接続される表示装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数のトランジスタは、それぞれ第2のゲートを有し、
前記複数のトランジスタに含まれる第1のトランジスタおよび第2のトランジスタにおいて、
前記第2のトランジスタのソース電位は、前記第1のトランジスタのソース電位よりも低く、前記第1のトランジスタの第2のゲートは、前記第2のトランジスタのソースと電気的に接続される表示装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記基板上に第1の導電層と、前記絶縁層と、第2の導電層とを有し、前記第1の導電層に達するように前記絶縁層と前記第2の導電層に開口が設けられている表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記絶縁層の側面に沿ってチャネル形成領域が設けられたトランジスタは、前記開口を覆うように設けられた金属酸化物を有する半導体層と、前記開口に由来する凹部を覆うように前記金属酸化物を有する半導体層および前記第2の導電層上に設けられた第2の絶縁層と、前記開口に由来する凹部を覆うように前記第2の絶縁層上に設けられた第3の導電層を有する表示装置。
【請求項6】
請求項1または2において、
前記絶縁層の側面に沿ってチャネル形成領域が設けられたトランジスタが有する半導体層のチャネルとドレインとの間にオフセット領域が設けられている表示装置。
【請求項7】
請求項1または2において、
前記A/D変換回路は、第2の回路を有し、
前記第2の回路は、前記基板に実装されたICチップに設けられ、
前記第2の回路は、前記第1の回路と電気的に接続されている表示装置。
【請求項8】
請求項1または2において、
前記第1の画素回路は、受光デバイスを有する表示装置。
【請求項9】
請求項8において、
第2の画素回路を有し、
前記第2の画素回路は、発光デバイスを有する表示装置。
【請求項10】
請求項1または2に記載の表示装置を有し、前記第1の画素回路で指紋の画像を取得し、指紋認証を行う電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサ)、入出力装置(例えば、タッチパネル)、それらの駆動方法、またはそれらの製造方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置は様々な用途に応用されている。大型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、およびPID(Public Information Display)等が挙げられる。また、表示装置は、タッチパネルを備えるスマートフォンおよびタブレット端末などにも多く用いられている。
【0004】
表示装置としては、発光デバイス(発光素子ともいう)を有する発光装置が開発されている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子ともいう)は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有する。
【0005】
特許文献1には、有機EL素子を用いた表示装置の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-324673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画素に受光デバイスを設けることで、表示装置に撮像機能を付与させることができる。撮像機能を有する表示装置では、パネル表面に指または掌を接触させて撮像することで、個人認証に適用可能な指紋または掌紋などの画像を得ることができる。また、受光デバイスの撮像機能をタッチセンサとして用いることもできる。
【0008】
ここで、表示装置には、発光デバイスを有する画素および受光デバイスを有する画素のそれぞれを駆動する駆動回路が設けられる。また、表示装置には、受光デバイスを有する画素からデータを読み出すための読み出し回路が設けられる。
【0009】
これらの駆動回路および読み出し回路の一部または全てには、ICチップが用いられる。当該ICチップは、COG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)、またはTCP(Tape Carrier Package)などの技術を用いて、画素回路が形成された基板の額縁などに実装される。
【0010】
実装するICチップの数が多くなると、表示装置の製造コストが増加する。また、狭額縁化の妨げにもなる。これらの課題に対して、駆動回路および読み出し回路の一部を画素回路と同一基板上にモノリシック型で形成し、ICチップの数を削減すること、またはICチップを小型化することが望まれる。
【0011】
したがって、本発明の一態様は、狭額縁で安価な表示装置を提供することを課題の一つとする。または、読み出し回路の一部をモノリシック型で形成した表示装置を提供することを課題の一つとする。または、狭額縁の表示装置を提供することを課題の一つとする。または、認証機能を有する表示装置を提供することを課題の一つとする。または、信頼性の高い表示装置を提供することを課題の一つとする。または、上記表示装置を有する電子機器を提供することを課題の一つとする。
【0012】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、第1の画素回路と、A/D変換回路を有し、A/D変換回路は、第1の回路を有し、第1の画素回路および第1の回路は、同一の基板上に形成され、第1の回路は、抵抗分圧回路を有し、抵抗分圧回路は、ドレインと第1のゲートが電気的に接続されたトランジスタを複数有し、トランジスタは、半導体層に金属酸化物を有し、トランジスタは、絶縁層の側面に沿ってチャネル形成領域が設けられている表示装置である。
【0014】
複数のトランジスタは、隣接する2つのトランジスタにおいて、一方のトランジスタのソースと、他方のトランジスタのドレインおよび第1のゲートが電気的に接続されるように直列に接続することができる。
【0015】
複数のトランジスタは、それぞれ第2のゲートを有し、複数のトランジスタに含まれる第1のトランジスタおよび第2のトランジスタにおいて、第2のトランジスタのソース電位は、第1のトランジスタのソース電位よりも低く、第1のトランジスタの第2のゲートは、第2のトランジスタのソースと電気的に接続することができる。
【0016】
基板上に第1の導電層と、絶縁層と、第2の導電層とを有し、第1の導電層に達するように絶縁層と第2の導電層に開口を設けることができる。
【0017】
絶縁層の側面に沿ってチャネル形成領域が設けられたトランジスタは、開口を覆うように設けられた金属酸化物を有する半導体層と、開口に由来する凹部を覆うように金属酸化物を有する半導体層および第2の導電層上に設けられた第2の絶縁層と、開口に由来する凹部を覆うように第2の絶縁層上に設けられた第3の導電層を有することができる。
【0018】
絶縁層の側面に沿ってチャネル形成領域が設けられたトランジスタが有する半導体層のチャネルとドレインとの間には、オフセット領域が設けられていてもよい。
【0019】
A/D変換回路は、第2の回路を有し、第2の回路は、基板に実装されたICチップに設けられ、第2の回路は、第1の回路と電気的に接続することができる。
【0020】
第1の画素回路は、受光デバイスを有する。また、表示装置は第2の画素回路を有し、第2の画素回路は、発光デバイスを有する。
【0021】
また、本発明の他の一態様は、上記表示装置を有し、第1の画素回路で指紋の画像を取得し、指紋認証を行う電子機器である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様により、狭額縁で安価な表示装置を提供することができる。または、読み出し回路の一部をモノリシック型で形成した表示装置を提供することができる。または、狭額縁の表示装置を提供することができる。または、認証機能を有する表示装置を提供することができる。または、信頼性の高い表示装置を提供することができる。または、上記表示装置を有する電子機器を提供することができる。
【0023】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、表示装置を説明するブロック図である。
図2図2は、A/D変換回路を説明する図である。
図3図3は、A/D変換回路を説明する図である。
図4図4は、A/D変換回路を説明する図である。
図5図5(A)は抵抗分圧回路を説明する図である。図5(B)は、トランジスタのバックゲートに供給される電位を説明する図である。図5(C)は、トランジスタのしきい値電圧のシフトを説明する図である。
図6図6(A)および図6(B)は、抵抗分圧回路を説明する図である。
図7図7(A)および図7(B)は、縦型トランジスタを説明する図である。
図8図8(A)および図8(B)は、縦型トランジスタを説明する図である。
図9図9(A)および図9(B)は、トランジスタのダイオード接続および直列接続を説明する図である。
図10図10(A)および図10(B)は、トランジスタのダイオード接続および直列接続を説明する図である。
図11図11(A)および図11(C)は、トランジスタのダイオード接続および直列接続を説明する図である。図11(B)は、トランジスタのバックゲートに接続される配線を説明する図である。
図12図12(A)および図12(C)は、トランジスタのダイオード接続および直列接続を説明する図である。図12(B)は、トランジスタのバックゲートに接続される配線を説明する図である。
図13図13(A)乃至図13(C)は、トランジスタのオフセット領域を説明する図である。
図14図14(A)乃至図14(C)は、発光デバイスを有する画素回路を説明する図である。図14(D)は、受光デバイスを有する画素回路を説明する図である。
図15図15(A)は、表示装置の一例を説明する上面図である。図15(B)および図15(C)は、表示装置の一例を説明する断面図である。
図16図16は、表示装置の要素を説明する断面図である。
図17図17(A)乃至図17(K)は、画素の一例を説明する図である。
図18図18は、表示装置の一例を説明する斜視図である。
図19図19(A)は、表示装置の一例を説明する断面図である。図19(B)および図19(C)は、トランジスタの一例を説明する断面図である。
図20図20(A)乃至図20(F)は、発光デバイスの構成例を説明する図である。
図21図21(A)乃至図21(C)は、発光デバイスの構成例を説明する図である。
図22図22(A)および図22(B)は、受光デバイスの構成例を説明する図である。図22(C)乃至図22(E)は、表示装置の構成例を説明する図である。
図23図23(A)乃至図23(F)は、電子機器の一例を説明する図である。
図24図24(A)乃至図24(G)は、電子機器の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0026】
また、回路図上では単一の要素として図示されている場合であっても、機能的に不都合がなければ、当該要素が複数で構成されてもよい。例えば、スイッチとして動作するトランジスタは、複数が直列または並列に接続されてもよい場合がある。また、キャパシタを分割して複数の位置に配置する場合もある。
【0027】
また、一つの導電体が、配線、電極および端子などの複数の機能を併せ持っている場合があり、本明細書においては、同一の要素に対して複数の呼称を用いる場合がある。また、回路図上で要素間が直接接続されているように図示されている場合であっても、実際には当該要素間が一つ以上の導電体を介して接続されている場合があり、本明細書ではこのような構成でも直接接続の範疇に含める。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について図面を用いて説明する。
【0029】
本発明の一態様は、発光デバイスを有する第1の画素、受光デバイスを有する第2の画素、および第2の画素で取得した情報を読み出すための読み出し回路を有する表示装置である。当該読み出し回路は、実装されたICチップが有する第1の回路、および画素回路が形成された基板にモノリシック型で形成された第2の回路を有する。
【0030】
画素回路および第2の回路は、半導体層に金属酸化物を有するトランジスタを有する。また、第2の回路が有するトランジスタは、画素回路が有するトランジスタよりも小型化しやすい構造を有する。したがって、第2の回路の占有面積を小さくすることができ、狭額縁化の妨げになりにくい。
【0031】
当該構成とすることによって、ICチップから第2の回路に相当する回路を省くことができるため、ICチップを小型化することができる。したがって、ICチップの製造工程において、1枚の半導体ウェハから取り出せる数を増加させることができ、ICチップの価格を低減させることができる。すなわち、表示装置の製造コストを低減させることができる。また、ICチップの実装に要する面積を小さくすることができ、表示装置を狭額縁化することができる。
【0032】
図1は、本発明の一態様の表示装置を説明するブロック図である。表示装置30は、画素アレイ13と、回路14と、回路15と、回路16と、回路20を有する。画素アレイ13は、列方向および行方向に配置された画素10を有する。
【0033】
画素10は、副画素11、12を有することができる。例えば、副画素11は、表示用の光を発する機能を有する。副画素12は、表示装置30に照射された光を検出する機能を有する。なお、1つの画素10が有する副画素11、12は、それぞれ複数であってもよい。
【0034】
なお、本明細書では、一つの「画素」の中で独立した動作が行われる最小単位を便宜的に「副画素」と定義して説明を行うが、「画素」を「領域」と置き換え、「副画素」を「画素」と置き換えてもよい。
【0035】
副画素11は、可視光を発する発光デバイスを有する。発光デバイスとしては、OLED(Organic Light Emitting Diode)またはQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。また、発光デバイスとして、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0036】
副画素12は、可視光または赤外光に感度を有する受光デバイスを有する。赤外光としては、例えば、近赤外光を用いることができる。受光デバイスには、入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子を用いることができる。受光デバイスでは、入射する光量に基づき、発生する電荷量が決まる。受光デバイスとしては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。
【0037】
受光デバイスとしては、有機化合物を光電変換層に有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化および大面積化が容易である。また、形状およびデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。または、結晶性のシリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコンなど)を用いたフォトダイオードを受光デバイスに用いることもできる。
【0038】
本発明の一態様では、発光デバイスとして有機EL素子を用い、受光デバイスとして有機フォトダイオードを用いる。有機フォトダイオードは、有機EL素子と共通の要素を有する構成とすることもできる。そのため、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置30に受光デバイスを内蔵することができる。例えば、受光デバイスの光電変換層と発光デバイスの発光層とを作り分け、それ以外の層で、発光デバイスと受光デバイスとで同一の構成を含むようにしてもよい。
【0039】
回路14および回路15は、副画素11を駆動するためのドライバ回路である。回路14はソースドライバ、回路15はゲートドライバとしての機能を有することができる。回路14および回路15には、例えば、シフトレジスタ回路などを用いることができる。
【0040】
回路16は、副画素12を駆動するためのドライバ回路である。回路16はロードライバとしての機能を有することができる。回路16および後述する回路22には、例えば、シフトレジスタ回路またはデコーダ回路などを用いることができる。
【0041】
回路14、回路15および回路16は、画素10が形成された基板上にICチップを実装することで設けることができる。また、回路14、回路15および回路16のいずれか一つ以上、または回路14、回路15および回路16を構成する回路の一部を画素10が形成された基板上にモノリシック型で形成することもできる。
【0042】
回路20は、副画素12が出力するデータの読み出し回路である。回路20は、副画素12の出力データに対して相関二重サンプリング処理を行う相関二重サンプリング(CDS)回路17、CDS回路17が出力するアナログデータをデジタルデータに変換するアナログ/デジタル(A/D)変換回路21、生成されたデジタルデータを列ごと外部に出力するカラムドライバとして機能する回路22などを有する。
【0043】
回路20は、画素10が形成される基板上に実装するICチップが有する回路と、モノリシック型で形成する回路を組み合わせた構成とすることができる。次に、A/D変換回路21の一部をモノリシック型で形成する本発明の一態様について説明する。
【0044】
図2は、A/D変換回路21として用いることができるフラッシュ型のA/D変換回路の従来例を説明する図である。
【0045】
A/D変換回路21は、電圧生成回路に相当する回路18と、コンパレータ23およびエンコーダ24を有し、2ビットデータを並列出力する回路19を有する。回路19は、CDS回路17から出力されたデータ(Vdat)と回路18で参照電圧(Vref)が分圧された電圧とをコンパレータ23で比較し、コンパレータの出力に従ってnビット(nbit、階調数に相当)のデジタルデータを回路22に出力することができる。
【0046】
ここで、図2に示す回路18は、抵抗ストリング(抵抗分圧回路)であり、抵抗R(1)から抵抗R(2+1)まで、階調分の抵抗素子が直列接続された構成を有する。ここで、8ビット階調であれば抵抗素子は257個、10ビット階調であれば抵抗素子は1025個にもなる。
【0047】
高速動作を考慮すると、回路18を有するA/D変換回路21は、最大で画素アレイ13の列数分設ける必要がある。つまり、回路18がICチップ内に設けられた場合、その占有面積は非常に大きくなる。逆に、回路18をICチップ外に設けることができれば、ICチップの面積を小さくすることができ、ICチップの価格を下げることができる。すなわち、表示装置の製造コストを低減させることができる。
【0048】
そこで、本発明の一態様では、画素回路を形成する基板上に、回路18をモノリシック型で形成する。なお、CDS回路17もモノリシック型で形成することができる。
【0049】
図3は、本発明の一態様のA/D変換回路21を説明する図である。回路18をモノリシック型で形成する場合、薄膜半導体などを抵抗素子として用いて形成することも可能であるが、極めて多くの抵抗素子において、抵抗値が均一になるように作製することは困難である。また、薄膜半導体の抵抗が十分に下げられない場合は、占有面積が大きくなってしまう。
【0050】
したがって、本発明の一態様では、抵抗素子の代わりにドレインとゲートが電気的に接続されたダイオード接続のトランジスタを用いる。また、当該トランジスタとしては、n型の縦型トランジスタを用いる。
【0051】
縦型トランジスタとは、絶縁層の側面に沿って形成された半導体層にチャネル形成領域が設けられた構成で、絶縁層の厚さでチャネル長を決定することができるトランジスタである。縦型トランジスタは、ソース電極またはドレイン電極の一方とゲート電極を重ねて形成することができるため、サイズを小さくすることができ、抵抗ストリングの面積を小さくすることができる。
【0052】
縦型トランジスタが有する半導体層としては、多結晶シリコン、非晶質シリコン、または、金属酸化物などを用いることができる。特に、結晶化工程などが不要な金属酸化物を用いることが好ましい。本実施の形態では、半導体層に金属酸化物を用いた縦型トランジスタを用いる。
【0053】
なお、回路18に用いることができるトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、フィン型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。
【0054】
ダイオード接続のn型トランジスタは、しきい値電圧(Vth)以上の電圧をゲートにかけることで、電圧(ドレイン電圧およびゲート電圧)に比例して電流が流れる。したがって、抵抗として用いることができる。
【0055】
図3に示す回路18の構成で、所望の抵抗としてトランジスタ(Tr(1)乃至Tr(2+1))を動作させるには、トランジスタの移動度、しきい値電圧、およびオン電流などが適切になるように、トランジスタの構造および構成材料などを適宜選択すればよい。
【0056】
なお、所望の抵抗値を得るために、図4に示すように、トランジスタ(Tr(1)乃至Tr(2+1))にバックゲートを設ける構成としてもよい。それぞれのトランジスタのバックゲートには、同じトランジスタのソース電位よりも小さい電位、すなわち、ソース電位が0Vであるとすると、負の電位が印加される構成とする。
【0057】
なお、トランジスタのバックゲートとは、2つのゲートを有するトランジスタにおいて、一方のゲートをフロントゲートと呼称する場合の他方ゲートに対する呼称である。また、2つのゲートにおいては、フロントゲートとバックゲートとを可逆的に用いる場合がある。また、フロントゲートおよびバックゲートの一方を第1のゲート、他方を第2のゲートと呼ぶ場合がある。
【0058】
バックゲートに負の電位を印加するには、例えば、図4に示すように、トランジスタTr(2)のソースをトランジスタTr(1)のバックゲートに電気的に接続すればよい。このような構成とすることで負電位の生成回路を不要にすることができる。
【0059】
図5(A)に示すように、抵抗分圧回路では、抵抗R(2)と抵抗R(3)の間の電圧(VOUT2)は、抵抗R(1)と抵抗R(2)の間の電圧(VOUT1)よりも小さくなる。
【0060】
ここで、図5(B)に示すように、抵抗をトランジスタに置き換えると、VOUT1はトランジスタTr(1)のソース電位(VS1)に相当し、VOUT2はトランジスタTr(2)のソース電位(VS2)に相当することになる。
【0061】
図5(A)、(B)より、VOUT2<VOUT1であって、トランジスタTr(2)のソース電位(VOUT2)がトランジスタTr(1)のバックゲート電位(VBG1)となるから、VBG1<VS1となる。すなわち、トランジスタTr(1)のバックゲート電位(VBG1)は、ソース電位(VS1)に対して負になる。
【0062】
ダイオード接続されたn型トランジスタのバックゲートに負の電位を印加すると、チャネルを生成するためにゲートに高い電圧をかける必要がある。換言するとしきい値電圧(Vth)がプラス方向にシフトする。したがって、図5(C)に示すI-V(V)特性のように、トランジスタTr(1)ではVBG1=VS1よりもVBG1<VS1のほうが、Vthが高くなる。Vthを高めることは、抵抗値を高めることと同意である。
【0063】
なお、トランジスタTr(1)のバックゲートをトランジスタTr(2)のソースに接続する形態と同様に、トランジスタTr(2)のバックゲートは、トランジスタTr(2+1)のソースに接続される。
【0064】
このとき、トランジスタTr(2+1)の抵抗を他のトランジスタと同様にするには、トランジスタTr(2+1)のバックゲートに印加する電位を生成する次段のトランジスタが必要になる。しかしながら、階調制御に必要なトランジスタ数よりも多くのトランジスタを設けることは適切ではない。したがって、トランジスタTr(2+1)のバックゲートには、適切な電位Vを外部から入力することが好ましい。
【0065】
なお、トランジスタTr(2+2)は、階調に寄与しない抵抗であるため、図4ではバックゲートは不要であるが、バックゲートを設けてもよい。この場合、トランジスタTr(2+1)と同様に、トランジスタTr(2+2)のバックゲートには、適切な電位を外部から入力すればよい。
【0066】
また、図4に示す回路18では、トランジスタTr(1)のバックゲートがトランジスタTr(2)のソースと接続する形態を示したが、これに限定されない。例えば、図6(A)に示すように、トランジスタTr(1)のバックゲートがトランジスタTr(3)のソースと接続する形態としてもよい。このとき、トランジスタTr(1)のバックゲートの電位(VBG1)は、トランジスタTr(3)のソース電位であるVOUT3になる。
【0067】
なお、図6(A)に示す形態では、直列接続されたx番目のトランジスタTr(x)のソース電位をVOUTx、バックゲートの電位をVBGxとしたとき、VBGx=VOUTx+2となる。また、VBGx=VOUTx+yとしたとき、yを3以上とする形態としてもよい。yの値は、トランジスタが適切な抵抗となるように階調数の1/4、好ましくは1/8、より好ましくは1/16、さらに好ましくは1/32より小さい値に適宜設定することができる。
【0068】
また、これまで、トランジスタのフロントゲートとドレインとを電気的に接続したダイオード接続を例示して説明したが、トランジスタのバックゲートとドレインとを電気的に接続したダイオード接続であってもよい。図6(B)にトランジスタのバックゲートとドレインとを電気的に接続した例を示す。
【0069】
なお、図6(A)と同様の構成である図6(B)に示す形態では、直列接続されたx番目のトランジスタTr(x)のソース電位をVOUTx、フロントゲートの電位をVFGxとしたとき、VFGx=VOUTx+2となる。
【0070】
以上の本発明の一態様を用いて表示装置を作製することで、ICチップから第2の回路に相当する回路を省くことができるため、ICチップを小型化することができる。したがって、ICチップの価格を低減させることができ、製造コストを低減させることができる。また、ICチップの実装に要する面積を小さくすることができ、表示装置を狭額縁化することができる。
【0071】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示した回路18に用いることができる縦型トランジスタについて説明する。なお、本実施の形態では、縦型トランジスタの基本構造等を説明し、ダイオード接続およびトランジスタ間の電気的な接続の構成については、実施の形態3で説明する。
【0073】
図7(A)および図7(B)は、縦型トランジスタを説明する図である。図7(A)は、上面図である。図7(B)は、図7(A)にハッチングで示す領域dの深さ方向を図示した断面斜視図である。なお、明瞭化のため、図7(A)、(B)では一部の要素の図示を省略している。
【0074】
縦型のトランジスタであるトランジスタ100Tは、基板102上に設けることができる。トランジスタ100Tは、導電層104と、導電層104eと、絶縁層106と、半導体層108と、導電層112aと、導電層112bと、を有する。導電層104はゲート配線であり、ゲート電極として機能する導電層104eと電気的に接続される。絶縁層106の一部は、ゲート絶縁層として機能する。導電層112aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。導電層112bは、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能する。
【0075】
半導体層108のうち、ソース電極とドレイン電極との間において、ゲート絶縁層を介してゲート電極と重なる領域の全体がチャネル形成領域として機能する。また、半導体層108のうち、ソース電極と接する領域はソース領域として機能し、ドレイン電極と接する領域はドレイン領域として機能する。
【0076】
基板102上には導電層112aが設けられ、導電層112a上に絶縁層107が設けられ、絶縁層107上に導電層112bが設けられる。絶縁層107は、例えば、絶縁層107a、絶縁層107b、絶縁層107cの3層とすることができ、導電層112aと導電層112bに挟持される領域を有する。導電層112aは、絶縁層107を介して導電層112bと重なる領域を有する。絶縁層107および導電層112bは、導電層112aに達する開口141を有する。
【0077】
導電層112aおよび導電層112bはそれぞれ、積層構造を有してもよい。図7(B)等では、導電層112aが導電層112a_1および導電層112a_2の積層構造である例を示している。なお、図7(B)では、導電層112a_1上に導電層112a_2が設けられない領域を有し、当該領域において半導体層108と接する例を示しているが、導電層112a_2と半導体層108が接する構成とすることもできる。また、導電層112a_2が設けられない構成であってもよい。
【0078】
開口141の上面形状は、例えば、円形、または楕円形とすることができる。開口141の上面形状を円形とすることにより、開口141を形成する際の加工精度を高めることができ、微細なサイズの開口141を形成することができる。なお、開口141の上面形状は、三角形、四角形(長方形、菱形、正方形を含む)、五角形などの多角形、またはこれら多角形の角が丸い形状としてもよい。開口141は、例えば、レジストマスクを用いて形成することができる。
【0079】
半導体層108は、開口141の内壁及び底部を覆うように設けられる。半導体層108は、導電層112bの上面および側面、絶縁層107の側面、並びに導電層112aの上面と接する領域を有する。半導体層108は、開口141を介して、導電層112aと電気的に接続される。半導体層108は、導電層112bの上面および側面、絶縁層107の側面、並びに導電層112aの上面の形状に沿った形状を有する。
【0080】
なお、図7(B)等では半導体層108を単層構造で示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。半導体層108を2層以上の積層構造としてもよい。
【0081】
トランジスタ100Tのゲート絶縁層として機能する絶縁層106は、開口141に由来する凹部を覆うように、半導体層108、導電層112b、および絶縁層107上に設けられる。
【0082】
トランジスタ100Tの導電層104eは、開口141に由来する凹部を覆うように、絶縁層106上に設けられる。ここで、導電層104eおよび絶縁層106上には、絶縁層(図示なし)が設けられていることが好ましい。当該絶縁層に導電層104eに達する開口が設けられ、当該開口において、ゲート配線として機能する導電層104と導電層104eが電気的に接続される。
【0083】
開口141において、導電層104eは、絶縁層106を介して半導体層108と重なる領域を有する。また、導電層104eは、絶縁層106および半導体層108を介して導電層112aと重なる領域と、導電層112bと重なる領域を有する。導電層104eは、導電層112bの開口141側の端部を覆っていることが好ましい。このような構成とすることで、半導体層108のうち、ソース電極とドレイン電極との間において、ゲート絶縁層を介してゲート電極と重なる領域の全体がチャネル形成領域として機能することができる。
【0084】
トランジスタ100Tは、半導体層108よりも上方にゲート電極を有する、いわゆるトップゲート型のトランジスタである。さらに、半導体層108の下面がソース電極またはドレイン電極と接することから、TGBC(Top Gate Bottom Contact)型のトランジスタということができる。
【0085】
導電層112a、導電層112bおよび導電層104はそれぞれ、配線として機能することができ、トランジスタ100Tはこれらの配線が重なる領域に設けることができる。つまり、トランジスタ100Tおよび当該配線を有する回路において、トランジスタ100Tおよび配線の占有面積を縮小することができる。したがって、回路の占有面積を縮小することができる。
【0086】
本発明の一態様のトランジスタにおいて、配線として機能する導電層112a、導電層112b、および導電層104はそれぞれ、異なる導電膜を加工して設けることができる。したがって、いずれかの導電層に対して、他の導電層を一つ以上重ねて配置することができるため、レイアウトの自由度が高まり、回路の占有面積を縮小することができる。
【0087】
次に、トランジスタ100Tのチャネル長およびチャネル幅について説明する。半導体層108において、導電層112aと接する領域はソース領域およびドレイン領域の一方として機能し、導電層112bと接する領域はソース領域またはドレイン領域の他方として機能し、ソース領域とドレイン領域の間の領域はチャネル形成領域として機能する。
【0088】
トランジスタ100Tのチャネル長は、ソース領域とドレイン領域の間の距離となる。図7(B)には、トランジスタ100Tのチャネル長L100を破線の両矢印で示している。チャネル長L100は、断面視において、半導体層108と導電層112aが接する領域の端部と、半導体層108と導電層112bが接する領域の端部との距離となる。
【0089】
つまり、チャネル長L100は、絶縁層107の膜厚、および絶縁層107の開口141側の側面と導電層112aの上面とのなす角で決まり、トランジスタの作製に用いる露光装置の性能に影響されない。したがって、チャネル長L100を露光装置の限界解像度よりも小さな値とすることができ、微細なサイズのトランジスタを実現することができる。
【0090】
チャネル長L100を小さくすることにより、トランジスタ100Tのオン電流を高くすることができる。トランジスタ100Tを用いることにより、高速動作が可能な回路を作製することができる。さらにはトランジスタを小型化することができるため、回路の占有面積を縮小することが可能となる。
【0091】
なお、図7(B)等では、断面視において、絶縁層107の開口141側の側面の形状が直線である構成を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。断面視において、絶縁層107の開口141側の側面の形状は曲線であってもよく、また側面の形状が直線である領域と曲線である領域の双方を有してもよい。
【0092】
トランジスタ100Tのチャネル幅は、チャネル長方向と直交する方向における、ソース領域の幅、またはドレイン領域の幅となる。つまり、チャネル幅は、チャネル長方向と直交する方向における、半導体層108と導電層112aが接する領域の幅、または半導体層108と導電層112bが接する領域の幅となる。ここでは、トランジスタ100Tのチャネル幅は、チャネル長方向と直交する方向における、半導体層108と導電層112bが接する領域の幅として説明する。図7(B)には、トランジスタ100Tのチャネル幅W100を実線の両矢印で示している。チャネル幅W100は、上面視において、開口141側の導電層112bの下面端部の長さとなる。
【0093】
チャネル幅W100は、開口141の上面形状で決まる。なお、開口141の上面形状が円形の場合、開口141の直径をD141とし、導電層112bの膜厚分が無視できるとすると、チャネル幅W100は“D141×π”と算出することができる。
【0094】
すなわち、トランジスタ100Tでは、占有面積に対してチャネル幅の大きいトランジスタであるということができる。チャネル幅W100を大きくすることにより、トランジスタ100Tのオン電流を高くすることができ、高速動作が可能な回路を作製することができる。
【0095】
図8(A)、(B)は、図7(A)、(B)の構成にバックゲートを付加した例を説明する図である。バックゲート電極として作用する導電層115は、絶縁層107(絶縁層107a、107c)に埋め込まれるように設けられ、半導体層108と導電層115との間に設けられる絶縁層107cの一部がゲート絶縁層として機能する。なお、絶縁層107cとは異なる絶縁層をゲート絶縁層としてもよい。
【0096】
以下では、本実施の形態のトランジスタ100Tに含まれる構成要素について説明する。
【0097】
<トランジスタの構成要素>
[半導体層108]
半導体層108に用いることができる半導体材料は、特に限定されない。例えば、単体半導体、または化合物半導体を用いることができる。単体半導体として、例えば、シリコンまたはゲルマニウムを用いることができる。化合物半導体として、例えば、ヒ化ガリウム、シリコンゲルマニウムが挙げられる。化合物半導体として、半導体特性を有する有機物、または半導体特性を有する金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を用いることができる。なお、これらの半導体材料に、ドーパントとして不純物が含まれてもよい。
【0098】
半導体層108に用いる半導体材料の結晶性は特に限定されず、非晶質半導体、または結晶性を有する半導体(単結晶性半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0099】
半導体層108は、金属酸化物(酸化物半導体)を有することが好ましい。半導体層108に用いることができる金属酸化物として、例えば、インジウム酸化物、ガリウム酸化物、および亜鉛酸化物が挙げられる。金属酸化物は、少なくともインジウム(In)または亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、金属酸化物は、インジウムと、元素Mと、亜鉛と、の中から選ばれる二または三を有することが好ましい。なお、元素Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、アンチモン、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、コバルト、およびマグネシウムから選ばれた一種または複数種である。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、およびスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。元素Mは、ガリウムがより好ましい。
【0100】
半導体層108は、例えば、酸化インジウム、インジウムガリウム酸化物(In-Ga酸化物)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物)、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、ガリウム亜鉛酸化物(Ga-Zn酸化物)、インジウムアルミニウム亜鉛酸化物(In-Al-Zn酸化物、IAZOとも記す)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物、IGZOとも記す)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物、IGZTOとも記す)、インジウムガリウムアルミニウム亜鉛酸化物(In-Ga-Al-Zn酸化物、IGAZOまたはIAGZOとも記す)などを用いることができる。または、シリコンを含むインジウムスズ酸化物などを用いることができる。
【0101】
ここで、半導体層108が有する金属酸化物の組成は、トランジスタ100Tの電気的特性、および信頼性に大きく影響する。例えば、金属酸化物の含有される全ての金属元素の原子数の和に対するインジウムの原子数の割合を高くすることにより、オン電流の大きいトランジスタを実現することができる。
【0102】
半導体層108にIn-Zn酸化物を用いる場合、インジウムの原子数比が亜鉛の原子数比以上である金属酸化物を適用することが好ましい。例えば、金属元素の原子数比が、In:Zn=1:1、In:Zn=2:1、In:Zn=3:1、In:Zn=4:1、In:Zn=5:1、In:Zn=7:1、またはIn:Zn=10:1、またはこれらの近傍の金属酸化物を用いることができる。
【0103】
半導体層108にIn-Sn酸化物を用いる場合、インジウムの原子数比がスズの原子数比以上である金属酸化物を適用することが好ましい。例えば、金属元素の原子数比が、In:Sn=1:1、In:Sn=2:1、In:Sn=3:1、In:Sn=4:1、In:Sn=5:1、In:Sn=7:1、またはIn:Sn=10:1、またはこれらの近傍の金属酸化物を用いることができる。
【0104】
半導体層108にIn-Sn-Zn酸化物を用いる場合、インジウムの原子数比が、スズの原子数比よりも高い金属酸化物を適用することができる。さらには、亜鉛の原子数比が、スズの原子数比よりも高い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、金属元素の原子数比が、In:Sn:Zn=2:1:3、In:Sn:Zn=3:1:2、In:Sn:Zn=4:2:3、In:Sn:Zn=4:2:4.1、In:Sn:Zn=5:1:3、In:Sn:Zn=5:1:6、In:Sn:Zn=5:1:7、In:Sn:Zn=5:1:8、In:Sn:Zn=6:1:6、In:Sn:Zn=10:1:3、In:Sn:Zn=10:1:6、In:Sn:Zn=10:1:7、In:Sn:Zn=10:1:8、In:Sn:Zn=5:2:5、In:Sn:Zn=10:1:10、In:Sn:Zn=20:1:10、In:Sn:Zn=40:1:10、またはこれらの近傍の金属酸化物を用いることができる。
【0105】
半導体層108にIn-Al-Zn酸化物を用いる場合、インジウムの原子数比が、アルミニウムの原子数比よりも高い金属酸化物を適用することができる。さらには、亜鉛の原子数比が、アルミニウムの原子数比よりも高い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、金属元素の原子数比が、In:Al:Zn=2:1:3、In:Al:Zn=3:1:2、In:Al:Zn=4:2:3、In:Al:Zn=4:2:4.1、In:Al:Zn=5:1:3、In:Al:Zn=5:1:6、In:Al:Zn=5:1:7、In:Al:Zn=5:1:8、In:Al:Zn=6:1:6、In:Al:Zn=10:1:3、In:Al:Zn=10:1:6、In:Al:Zn=10:1:7、In:Al:Zn=10:1:8、In:Al:Zn=5:2:5、In:Al:Zn=10:1:10、In:Al:Zn=20:1:10、In:Al:Zn=40:1:10、またはこれらの近傍の金属酸化物を用いることができる。
【0106】
半導体層108にIn-Ga-Zn酸化物を用いる場合、含有される全ての金属元素の原子数の和に対するインジウムの原子数比が、ガリウムの原子数比よりも高い金属酸化物を適用することができる。さらには、亜鉛の原子数比が、ガリウムの原子数比よりも高い金属酸化物を用いることが、より好ましい。例えば、半導体層108は、金属元素の原子数比が、In:Ga:Zn=2:1:3、In:Ga:Zn=3:1:2、In:Ga:Zn=4:2:3、In:Ga:Zn=4:2:4.1、In:Ga:Zn=5:1:3、In:Ga:Zn=5:1:6、In:Ga:Zn=5:1:7、In:Ga:Zn=5:1:8、In:Ga:Zn=6:1:6、In:Ga:Zn=10:1:3、In:Ga:Zn=10:1:6、In:Ga:Zn=10:1:7、In:Ga:Zn=10:1:8、In:Ga:Zn=5:2:5、In:Ga:Zn=10:1:10、In:Ga:Zn=20:1:10、In:Ga:Zn=40:1:10、またはこれらの近傍の金属酸化物を用いることができる。
【0107】
半導体層108にIn-M-Zn酸化物を用いる場合、含有される全ての金属元素の原子数の和に対するインジウムの原子数比が、元素Mの原子数比よりも高い金属酸化物を適用することができる。さらには、亜鉛の原子数比が、元素Mの原子数比よりも高い金属酸化物を用いることが、より好ましい。例えば、半導体層108は、金属元素の原子数比が、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=10:1:3、In:M:Zn=10:1:6、In:M:Zn=10:1:7、In:M:Zn=10:1:8、In:M:Zn=5:2:5、In:M:Zn=10:1:10、In:M:Zn=20:1:10、In:M:Zn=40:1:10、またはこれらの近傍の金属酸化物を用いることができる。
【0108】
金属酸化物のインジウムの含有率を高くすることにより、オン電流の大きいトランジスタとすることができる。当該トランジスタを高いオン電流が求められるトランジスタに適用することにより、優れた電気特性を有する回路を形成することができる。
【0109】
金属酸化物の組成の分析は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectrometry)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS:Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry)、または誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)を用いることができる。または、これらの手法を複数組み合わせて分析を行ってもよい。なお、含有率が低い元素は、分析精度の影響により、実際の含有率と分析によって得られた含有率が異なる場合がある。例えば、元素Mの含有率が低い場合、分析によって得られた元素Mの含有率が、実際の含有率より低くなる場合がある。
【0110】
本明細書等において、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。例えば、原子数比がIn:M:Zn=4:2:3またはその近傍の組成と記載する場合、インジウムの原子数比を4としたとき、Mの原子数比が1以上3以下であり、亜鉛の原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:M:Zn=5:1:6またはその近傍の組成と記載する場合、インジウムの原子数比を5としたときに、Mの原子数比が0.1より大きく2以下であり、亜鉛の原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:M:Zn=1:1:1またはその近傍の組成と記載する場合、インジウムの原子数比を1としたときに、Mの原子数比が0.1より大きく2以下であり、亜鉛の原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0111】
金属酸化物の形成は、スパッタリング法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を好適に用いることができる。なお、金属酸化物をスパッタリング法で形成する場合、ターゲットの原子数比と、当該金属酸化物の原子数比が異なる場合がある。特に、亜鉛は、ターゲットの原子数比よりも金属酸化物の原子数比が小さくなる場合がある。具体的には、ターゲットに含まれる亜鉛の原子数比の40%以上90%以下程度となる場合がある。
【0112】
半導体層108は、2以上の金属酸化物層を有する積層構造としてもよい。半導体層108が有する2以上の金属酸化物層は、組成が互いに同じ、または概略同じであってもよい。組成が同じ金属酸化物層の積層構造とすることで、例えば、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを削減できる。
【0113】
半導体層108が有する2以上の金属酸化物層は、組成が互いに異なってもよい。例えば、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成の第1の金属酸化物層と、当該第1の金属酸化物層上に設けられるIn:M:Zn=1:1:1[原子数比]もしくはその近傍の組成の第2の金属酸化物層と、の積層構造を好適に用いることができる。また、元素Mとして、ガリウムまたはアルミニウムを用いることが特に好ましい。例えば、インジウム酸化物、インジウムガリウム酸化物、およびIGZOの中から選ばれるいずれか一と、IAZO、IAGZO、およびITZO(登録商標)の中から選ばれるいずれか一と、の積層構造を用いてもよい。
【0114】
半導体層108は、結晶性を有する金属酸化物層を用いることが好ましい。例えば、CAAC(c-axis aligned crystal)構造、多結晶構造、微結晶(nc:nano-crystal)構造等を有する金属酸化物層を用いることができる。結晶性を有する金属酸化物層を半導体層108に用いることにより、半導体層108中の欠陥準位密度を低減でき、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0115】
半導体層108に用いる金属酸化物層の結晶性が高いほど、半導体層108中の欠陥準位密度を低減できる。一方、結晶性の低い金属酸化物層を用いることで、大きな電流を流すことができるトランジスタを実現することができる。
【0116】
半導体層108は、結晶性が異なる2以上の金属酸化物層の積層構造としてもよい。例えば、第1の金属酸化物層と、当該第1の金属酸化物層上に設けられる第2の金属酸化物層と、の積層構造とし、第2の金属酸化物層は、第1の金属酸化物層より結晶性が高い領域を有する構成とすることができる。または、第2の金属酸化物層は、第1の金属酸化物層より結晶性が低い領域を有する構成とすることができる。半導体層108が有する2以上の金属酸化物層は、組成が互いに同じ、または概略同じであってもよい。組成が同じ金属酸化物層の積層構造とすることで、例えば、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを削減できる。例えば、同じスパッタリングターゲットを用いて、酸素流量比を異ならせることにより、結晶性が異なる2以上の金属酸化物層の積層構造を形成することができる。なお、半導体層108が有する2以上の金属酸化物層は、組成が互いに異なってもよい。
【0117】
半導体層108に酸化物半導体を用いる場合、チャネル形成領域として機能する領域の酸化物半導体のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域として機能する領域の酸化物半導体のキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
【0118】
酸化物半導体を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)は、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース-ドレイン間のリーク電流(以下、オフ電流ともいう)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0119】
[絶縁層107]
半導体層108に酸化物半導体を用いる場合、絶縁層107(絶縁層107a、絶縁層107bおよび絶縁層107c)には、無機絶縁材料を好適に用いることができる。なお、絶縁層107は、無機絶縁材料と有機絶縁材料の積層構造としてもよい。
【0120】
無機絶縁材料として、酸化物、酸化窒化物、窒化酸化物、および窒化物の一または複数を用いることができる。絶縁層107は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ネオジム、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、および窒化アルミニウムの一または複数を用いることができる。
【0121】
なお、本明細書等において、酸化窒化物とは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指す。窒化酸化物とは、その組成として酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0122】
絶縁層107bには、酸化物または酸化窒化物を用いることが好ましい。絶縁層107bは、加熱により酸素を放出する膜を用いることが好ましい。絶縁層107bは、例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを好適に用いることができる。
【0123】
絶縁層107bが酸素を放出することで、絶縁層107bから半導体層108に酸素を供給することができる。絶縁層107bから半導体層108、特に半導体層108のチャネル形成領域に酸素を供給することで、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVH(酸素欠損に水素が入った欠陥)を低減することができ、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。絶縁層107bは、酸素の拡散係数が高いことが好ましい。絶縁層107bの酸素の拡散係数を高くすることで、絶縁層107b中を酸素が拡散しやすくなり、効率よく絶縁層107bから半導体層108に酸素を供給することができる。なお、半導体層108に酸素を供給する処理は、他に、酸素を含む雰囲気での加熱処理、または酸素を含む雰囲気下におけるプラズマ処理などがある。
【0124】
トランジスタ100Tのチャネル形成領域の酸素欠損(V)およびVHは、少ないことが好ましい。特に、チャネル長L100が短い場合、チャネル形成領域の酸素欠損(V)およびVHの電気特性および信頼性への影響が大きくなる。例えば、ソース領域またはドレイン領域からチャネル形成領域にVHが拡散することでチャネル形成領域のキャリア濃度が高まり、トランジスタ100Tのしきい値電圧の変動、または信頼性の低下が生じる場合がある。このようなVHの拡散による電気特性および信頼性への影響は、トランジスタ100Tのチャネル長L100が短いほど、大きくなる。絶縁層107bから半導体層108、特に半導体層108のチャネル形成領域に酸素を供給することにより、酸素欠損(V)およびVHを低減することができる。したがって、良好な電気特性および高い信頼性を有するチャネル長の短いトランジスタを実現することができる。
【0125】
絶縁層107aおよび絶縁層107cはそれぞれ、酸素を透過しづらいことが好ましい。絶縁層107aおよび絶縁層107cは、絶縁層107bから酸素が脱離することを抑制するブロッキング膜として機能する。さらに、絶縁層107aおよび絶縁層107cはそれぞれ、水素を透過しづらいことが好ましい。絶縁層107aおよび絶縁層107cは、トランジスタの外から絶縁層107を介して半導体層108へ水素が拡散することを抑制するブロッキング膜として機能する。絶縁層107aおよび絶縁層107cの膜密度は高いことが好ましい。絶縁層107aおよび絶縁層107cの膜密度を高くすることで、酸素および水素のブロッキング性を高めることができる。絶縁層107aおよび絶縁層107cの膜密度はそれぞれ、絶縁層107bの膜密度より高いことが好ましい。絶縁層107bに酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いる場合、絶縁層107aおよび絶縁層107cはそれぞれ、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、または酸化アルミニウムを好適に用いることができる。絶縁層107aおよび絶縁層107cはそれぞれ、例えば、絶縁層107bより窒素の含有量が多い領域を有することが好ましい。絶縁層107aおよび絶縁層107cはそれぞれ、例えば、絶縁層107bより窒素の含有量が多い材料を用いることができる。絶縁層107aおよび絶縁層107cはそれぞれ、窒化物または窒化酸化物を用いることが好ましい。絶縁層107aおよび絶縁層107cは、例えば、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを好適に用いることができる。
【0126】
絶縁層107bに含まれる酸素が、絶縁層107bの半導体層108と接しない領域(例えば、絶縁層107bの上面)から上方へ拡散すると、絶縁層107bから半導体層108へ供給される酸素の量が少なくなってしまう場合がある。絶縁層107b上に絶縁層107cを設けることにより、絶縁層107bに含まれる酸素が、絶縁層107の半導体層108と接しない領域から拡散することを抑制できる。同様に、絶縁層107bの下に絶縁層107aを設けることにより、絶縁層107の半導体層108と接しない領域から下方に拡散することを抑制できる。したがって、絶縁層107bから半導体層108へ供給される酸素の量が増え、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVHを低減することができる。したがって、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0127】
絶縁層107bに含まれる酸素によって、導電層112aおよび導電層112bが酸化され、抵抗が高くなってしまう場合がある。また、絶縁層107bに含まれる酸素によって導電層112aおよび導電層112bが酸化されることにより、絶縁層107bから半導体層108に供給される酸素の量が少なくなってしまう場合がある。絶縁層107bと導電層112aとの間に絶縁層107aを設けることにより、導電層112aが酸化され、抵抗が高くなることを抑制できる。同様に、絶縁層107bと導電層112bとの間に絶縁層107cを設けることにより、導電層112bが酸化され、抵抗が高くなることを抑制できる。それとともに、絶縁層107bから半導体層108へ供給される酸素の量が増え、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVHを低減することができ、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0128】
半導体層108に水素が拡散すると、酸化物半導体に含まれる酸素原子と反応して水になり、酸素欠損(V)が形成される場合がある。さらに、VHが形成され、キャリア密度が高くなってしまう場合がある。絶縁層107aおよび絶縁層107cを設けることにより、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVHを低減することができ、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0129】
絶縁層107aおよび絶縁層107cは、酸素および水素のブロッキング膜として機能する膜厚であることが好ましい。絶縁層107aおよび絶縁層107cの膜厚が薄いと、ブロッキング膜としての機能が低くなってしまう場合がある。一方、絶縁層107aおよび絶縁層107cの膜厚が厚いと、絶縁層107bと接する半導体層108の領域が狭くなり、絶縁層107bから半導体層108へ供給される酸素の量が少なくなってしまう場合がある。絶縁層107aおよび絶縁層107cの膜厚はそれぞれ、絶縁層107bの膜厚より薄くてもよい。
【0130】
トランジスタ100Tにおいて、絶縁層107から半導体層108に酸素が供給されることにより、チャネル形成領域の酸素欠損(V)およびVHが低減される。したがって、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0131】
なお、絶縁層107a、絶縁層107cのいずれか、または両方を設けない構成としてもよい。
【0132】
[導電層112a、導電層112b、導電層104e、導電層115]
ソース電極、ドレイン電極またはゲート電極として機能する導電層112a、導電層112b、導電層104e、および導電層115はそれぞれ、クロム、銅、アルミニウム、金、銀、亜鉛、タンタル、チタン、タングステン、マンガン、ニッケル、鉄、コバルト、モリブデン、およびニオブの一または複数、もしくは前述した金属の一または複数を成分とする合金を用いてそれぞれ形成することができる。導電層112a、導電層112b、導電層104e、および導電層115はそれぞれ、銅、銀、金、またはアルミニウムの一または複数を含む、低抵抗な導電性材料を好適に用いることができる。特に、銅またはアルミニウムは量産性に優れるため好ましい。
【0133】
導電層112a、導電層112b、導電層104e、および導電層115はそれぞれ、金属酸化物膜(酸化物導電体(OC:Oxide Conductor)ともいう)を用いることができる。酸化物導電体として、例えば、In-Sn酸化物(ITO)、In-W酸化物、In-W-Zn酸化物、In-Ti酸化物、In-Ti-Sn酸化物、In-Zn酸化物、In-Sn-Si酸化物(ITSO)、およびIn-Ga-Zn酸化物が挙げられる。
【0134】
ここで、酸化物導電体について説明を行う。例えば、半導体特性を有する金属酸化物に酸素欠損を形成し、該酸素欠損に水素を添加すると、伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、金属酸化物は、導電性が高くなり導電体化する。導電体化された金属酸化物を、酸化物導電体ということができる。
【0135】
導電層112a、導電層112b、導電層104e、および導電層115はそれぞれ、前述の酸化物導電体(金属酸化物)を含む導電膜と、金属または合金を含む導電膜の積層構造としてもよい。金属または合金を含む導電膜を用いることで、配線抵抗を小さくすることができる。
【0136】
導電層112a、導電層112b、導電層104e、および導電層115はそれぞれ、Cu-X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu-X合金膜を用いることで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
【0137】
なお、導電層112a、導電層112b、導電層104e、および導電層115のそれぞれに同じ材料を用いてもよく、異なる材料を用いてもよい。
【0138】
ここで、半導体層108に金属酸化物を用いる構成を例に挙げて、導電層112a、導電層112bについて具体的に説明する。
【0139】
半導体層108に酸化物半導体を用いる場合、半導体層108に含まれる酸素によって導電層112aおよび導電層112bが酸化され、抵抗が高くなってしまう場合がある。絶縁層107bに含まれる酸素によって、導電層112aおよび導電層112bが酸化され、抵抗が高くなってしまう場合がある。また、半導体層108に含まれる酸素によって導電層112aおよび導電層112bが酸化されることにより、半導体層108中の酸素欠損(V)が増加してしまう場合がある。絶縁層107bに含まれる酸素によって導電層112aおよび導電層112bが酸化されることにより、絶縁層107bから半導体層108に供給される酸素の量が少なくなってしまう場合がある。
【0140】
導電層112a、導電層112bはそれぞれ、酸化されにくい材料を用いることが好ましい。導電層112aおよび導電層112bはそれぞれ、酸化物導電体を用いることが好ましい。例えば、In-Sn酸化物(ITO)、またはIn-Sn-Si酸化物(ITSO)を好適に用いることができる。導電層112aには、窒化物導電体を用いてもよい。窒化物導電体として、窒化タンタル、および窒化チタンが挙げられる。導電層112aには、前述の材料の積層構造を有してもよい。
【0141】
導電層112a、および導電層112bに酸化されにくい材料を用いることにより、半導体層108に含まれる酸素または絶縁層107bに含まれる酸素によって酸化され、抵抗が高くなることを抑制できる。また、半導体層108中の酸素欠損(V)の増加が抑制されるとともに、絶縁層107bから半導体層108に供給される酸素の量を増やすことができる。したがって、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVHを低減することができ、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0142】
なお、導電層112a、導電層112bのそれぞれに同じ材料を用いてもよく、異なる材料を用いてもよい。
【0143】
導電層112bは、トランジスタ100Tと接する領域を有する。導電層112bに酸化されにくい材料を用いることにより、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVHを低減することができる。
【0144】
前述したように、半導体層108と接する導電層112aおよび導電層112bは、酸化されにくい材料を用いることが好ましい。しかしながら、酸化されにくい材料を用いる場合、抵抗が高くなってしまう場合がある。導電層112aおよび導電層112bは配線として機能するため、抵抗は低いことが好ましい。そこで、半導体層108と接する領域を有する導電層112a_1に酸化されにくい材料を用い、半導体層108と接する領域を有さない導電層112a_2に抵抗の低い材料を用いることで、導電層112aの抵抗を低くすることができる。さらに、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVHを低減することができ、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0145】
前述したように、特に、チャネル長L100が短い場合、チャネル形成領域の酸素欠損(V)およびVHの電気特性および信頼性への影響が大きくなる。導電層112a_1に酸化されにくい材料を用いることにより、半導体層108中の酸素欠損(V)およびVHの増加を抑制することができる。したがって、良好な電気特性および高い信頼性を有するチャネル長の短いトランジスタを実現することができる。
【0146】
導電層112a_1は、酸化物導電体および窒化物導電体の一または複数を好適に用いることができる。導電層112a_2は、導電層112a_1より抵抗の低い材料を用いることが好ましい。導電層112a_2は、例えば、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、およびモリブデンの一または複数、もしくは前述した金属の一または複数を成分とする合金を好適に用いることができる。具体的には、導電層112a_1にIn-Sn-Si酸化物(ITSO)を、導電層112a_2にタングステンを好適に用いることができる。
【0147】
なお、導電層112aの構成は、導電層112aに求められる配線抵抗に応じて決めればよい。例えば、配線(導電層112a)の長さが短く、求められる配線抵抗が比較的高い場合は、導電層112aを単層構造とし、酸化されにくい材料を適用してもよい。一方、配線(導電層112a)の長さが長く、求められる配線抵抗が比較的低い場合は、導電層112aを酸化されにくい材料と抵抗の低い材料との積層構造を適用することが好ましい。
【0148】
なお、導電層112aの構成は、他の導電層に適用することができる。
【0149】
[絶縁層106]
ゲート絶縁層として機能する絶縁層106は、欠陥密度が低いことが好ましい。絶縁層106の欠陥密度が低いことにより、良好な電気特性を示すトランジスタとすることができる。さらに、絶縁層106は、絶縁耐圧が高いことが好ましい。絶縁層106の絶縁耐圧が高いことにより、信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0150】
絶縁層106は、例えば、絶縁性を有する酸化物、酸化窒化物、窒化酸化物、および窒化物の一または複数を用いることができる。絶縁層106は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、およびGa-Zn酸化物の一または複数を用いることができる。絶縁層106は、単層でもよく、積層であってもよい。絶縁層106は、例えば、酸化物と窒化物の積層構造としてもよい。
【0151】
なお、微細なトランジスタにおいて、ゲート絶縁層の膜厚が薄くなると、リーク電流が大きくなってしまう場合がある。ゲート絶縁層に、比誘電率の高い材料(high-k材料ともいう)を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。high-k材料として、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物が挙げられる。
【0152】
絶縁層106は、自身からの不純物(例えば、水、および水素)の放出が少ないことが好ましい。絶縁層106からの不純物の放出が少ないことにより、不純物が半導体層108に拡散することが抑制され、良好な電気特性を示し、かつ信頼性の高いトランジスタとすることができる。
【0153】
ここで、半導体層108に金属酸化物を用いる構成を例に挙げて、絶縁層106について具体的に説明する。
【0154】
半導体層108との界面特性を向上させるため、絶縁層106の少なくとも半導体層108と接する側は酸化物を用いることが好ましい。絶縁層106は、例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンの一以上を好適に用いることができる。また、絶縁層106には、加熱により酸素を放出する膜を用いるとより好ましい。
【0155】
なお、絶縁層106を積層構造としてもよい。絶縁層106は、半導体層108と接する側の酸化物膜と、導電層104eと接する側の窒化物膜との積層構造とすることができる。当該酸化物膜として、例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンの一以上を好適に用いることができる。当該窒化物膜として、窒化シリコンを好適に用いることができる。
【0156】
[基板102]
基板102の材質に大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、シリコン、または炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミックス基板、または有機樹脂基板を、基板102として用いてもよい。また、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。なお、半導体基板、および絶縁性基板の形状は円形であってもよく、角形であってもよい。
【0157】
基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ100T等を形成してもよい。または、基板102とトランジスタ100T等の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタ100T等を耐熱性の劣る基板、または可撓性基板にも転載できる。
【0158】
以上がトランジスタ100Tの構成要素についての説明である。
【0159】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0160】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した縦型トランジスタをダイオード接続し、実施の形態1に示した回路18に適用する場合の構成について説明する。なお、各トランジスタの基本構成は、図7(A)、(B)または図8(A)、(B)に示すトランジスタ100Tと同じであり、各要素の説明は省略する。また、本実施の形態で説明する図面では、図7(A)、(B)および図8(A)、(B)に示すトランジスタ100Tと共通の符号を用いている。
【0161】
図9(A)は、図3に示す回路18における直列接続されたトランジスタについて、x-1番目のトランジスタTr(x-1)、x番目のトランジスタTr(x)およびx+1番目のトランジスタTr(x+1)の接続構成を説明する断面図である。
【0162】
図9(A)に示す構成では、いずれのトランジスタも導電層112bがドレイン(D)、導電層112aがソース(S)に固定される。また、下記では、代表的にトランジスタTr(x)の電極の電気的な接続形態について説明するが、他のトランジスタの電極も同様に接続することができる。
【0163】
トランジスタTr(x)において、導電層112bは絶縁層106に設けられる開口142まで延在し、ゲート(G)電極として作用する導電層104eと電気的に接続される。当該構成で、トランジスタTr(x)はドレイン電極とゲート電極が電気的に接続したダイオード接続となる。
【0164】
また、導電層112bは、絶縁層107に設けられる開口141aまで延在し、トランジスタTr(x-1)が有する導電層112aと電気的に接続される。当該構成で、トランジスタTr(x)のドレインおよびゲートは、トランジスタTr(x-1)のソースと電気的に接続される。
【0165】
また、トランジスタTr(x)において、導電層112aは絶縁層107に設けられる開口141bまで延在し、トランジスタTr(x+1)が有する導電層112bおよび導電層104eと電気的に接続される。当該構成で、トランジスタTr(x)のソースは、トランジスタTr(x+1)のドレインおよびゲートと電気的に接続される。
【0166】
以上が、トランジスタTr(x-1)乃至Tr(x+1)のダイオード接続および直列接続の説明である。
【0167】
なお、図9(A)では、開口141aと開口142を離隔して設ける例を示したが、図9(B)に示すように、開口142を開口141aと重なる領域を有するように設けてもよい。図9(B)に示す構成とすることで、コンタクト部(開口)の面積を削減することができるため、回路の集積度を高めることができる。
【0168】
図10(A)に図9(A)、(B)とは異なる形態を示す。図10(A)は、図3に示す回路18における直列接続されたトランジスタについて、x-1番目のトランジスタTr(x-1)、x番目のトランジスタTr(x)、x+1番目のトランジスタTr(x+1)およびx+2番目のトランジスタTr(x+2)の接続構成を説明する断面図である。
【0169】
図10(A)に示す構成では、導電層112bがドレイン、導電層112aがソースになる第1のトランジスタと、導電層112bがソース、導電層112aがドレインになる第2のトランジスタが交互に直列接続された構成を有する。図10(A)では、トランジスタTr(x)およびトランジスタTr(x+2)が第1のトランジスタ、トランジスタTr(x-1)およびトランジスタTr(x+1)が第2のトランジスタである例を示している。
【0170】
トランジスタTr(x-1)乃至トランジスタTr(x+2)の電気的な接続形態について、各トランジスタのソース(S)、ゲート(G)、ドレイン(D)を図示した図10(B)を援用して説明する。
【0171】
トランジスタTr(x)において、ゲート(G)電極として作用する導電層104eは、絶縁層106に設けられる開口144aまで延在し、ドレイン電極(D)として作用する導電層112bと電気的に接続される。当該構成で、トランジスタTr(x)はドレイン電極とゲート電極が電気的に接続したダイオード接続となる。
【0172】
また、トランジスタTr(x)が有する導電層112bは、トランジスタTr(x-1)と共有される。トランジスタTr(x-1)において、導電層112bはソース電極(S)として作用する。すなわち、当該構成により、トランジスタTr(x)のドレインおよびゲートは、トランジスタTr(x-1)のソースと電気的に接続される。
【0173】
また、トランジスタTr(x)において、ソース電極(S)として作用する導電層112aは、トランジスタTr(x+1)と共有される。トランジスタTr(x+1)において、導電層112aはドレイン電極(D)として作用する。また、導電層112aは、絶縁層107および絶縁層106に設けられる開口144bでトランジスタTr(x+1)のゲート電極(G)として作用する導電層104eと電気的に接続される。当該構成で、トランジスタTr(x)のソースは、トランジスタTr(x+1)のドレインおよびゲートと電気的に接続される。
【0174】
以上が、トランジスタTr(x-1)乃至Tr(x+2)のダイオード接続および直列接続の説明である。
【0175】
なお、トランジスタTr(x)と同じく第1のトランジスタとして作用するトランジスタTr(x+2)と、その前後のトランジスタとの接続形態は、上記の説明と同様の接続形態となる。また、第2のトランジスタとして作用するトランジスタTr(x-1)およびトランジスタTr(x+1)と、その前後のトランジスタとの接続形態は、上記の説明とソースおよびドレインが入れ替わった接続形態となる。
【0176】
図11(A)は、図4に示す回路18における直列接続されたトランジスタについて、x-1番目のトランジスタTr(x-1)、x番目のトランジスタTr(x)およびx+1番目のトランジスタTr(x+1)の接続構成を説明する断面図である。
【0177】
図11(A)に示す構成では、いずれのトランジスタも導電層112bがドレイン(D)、導電層112aがソース(S)に固定される。トランジスタTr(x-1)乃至トランジスタTr(x+1)において、各トランジスタのゲート、ソースおよびドレインの接続構成は図9(A)と同様であり、バックゲートおよびバックゲートに電位を供給する配線を有する点が図9(A)と異なる。
【0178】
トランジスタTr(x-1)は、バックゲートとして作用する導電層115(x-1)を有する。トランジスタTr(x-1)と同様に、トランジスタTr(x)は導電層115(x)を有し、トランジスタTr(x+1)は導電層115(x+1)を有する。
【0179】
また、トランジスタTr(x-1)のソース電極(導電層112a)には、導電層116(x-1)が電気的に接続される。なお、図11(A)では、導電層116(x-1)が導電層112bおよび導電層104eを介して導電層112aと電気的に接続される例を示しているが、導電層116(x-1)が導電層104eを介さずに導電層112bと接続されていてもよい。または、導電層116(x-1)が導電層112bおよび導電層104eを介さずに導電層112aと接続されていてもよい。
【0180】
トランジスタTr(x-1)と同様に、トランジスタTr(x)のソース電極(導電層112a)には、導電層116(x)が電気的に接続される。また、トランジスタTr(x+1)のソース電極(導電層112a)には、導電層116(x+1)が電気的に接続される。導電層116(x)および導電層116(x+1)についても導電層116(x-1)と同様に、導電層104eを介さずに導電層112bと接続されていてもよい。または、導電層112bおよび導電層104eを介さずに導電層112aと接続されていてもよい。
【0181】
ここで、導電層116(x)は、図11(B)に示す回路図の通り、トランジスタTr(x-1)のバックゲートとトランジスタTr(x)のソースを接続する配線に相当する。すなわち、トランジスタTr(x-1)のバックゲートとして作用する導電層115(x-1)は、トランジスタTr(x)のソースと電気的に接続する導電層116(x)と電気的に接続される。
【0182】
同様に、導電層116(x-1)は、トランジスタTr(x-2)(図示なし)のバックゲートとして作用する導電層と電気的に接続される。また、導電層116(x+1)は、トランジスタTr(x)のバックゲートとして作用する導電層115(x)と電気的に接続される。
【0183】
なお、図11(C)に示すように、各トランジスタのゲート、ソースおよびドレインの接続構成を図9(B)と同様にすることもできる。
【0184】
図12(A)に図11(A)、(B)とは異なる形態を示す。図12(A)は、図3に示す回路18における直列接続されたトランジスタについて、x-1番目のトランジスタTr(x-1)、x番目のトランジスタTr(x)、x+1番目のトランジスタTr(x+1)およびx+2番目のトランジスタTr(x+2)の接続構成を説明する断面図である。
【0185】
図12(A)に示す構成では、導電層112bがドレイン、導電層112aがソースになる第1のトランジスタと、導電層112bがソース、導電層112aがドレインになる第2のトランジスタが交互に直列接続された構成を有する。図12(A)では、トランジスタTr(x)およびトランジスタTr(x+2)が第1のトランジスタ、トランジスタTr(x-1)およびトランジスタTr(x+1)が第2のトランジスタである例を示している。
【0186】
トランジスタTr(x-1)乃至トランジスタTr(x+2)の電気的な接続形態について、各トランジスタのソース(S)、ゲート(G)、ドレイン(D)、バックゲート(BG)を図示した図12(C)を援用して説明する。
【0187】
トランジスタTr(x-1)乃至トランジスタTr(x+2)において、各トランジスタのゲート、ソースおよびドレインの接続構成は図10(A)と同様であり、バックゲートおよびバックゲートに電位を供給する配線を有する点が図10(A)と異なる。
【0188】
トランジスタTr(x-1)は、バックゲートとして作用する導電層115(x-1)を有する。トランジスタTr(x-1)と同様に、トランジスタTr(x)は導電層115(x)を有し、トランジスタTr(x+1)は導電層115(x+1)を有し、トランジスタTr(x+2)は導電層115(x+2)を有する。
【0189】
また、トランジスタTr(x-1)のソース電極(導電層112b)には、導電層116(x-1)が電気的に接続される。なお、図12(A)では、導電層116(x-1)が導電層104eを介して導電層112bと電気的に接続される例を示しているが、導電層116(x-1)が導電層104eを介さずに導電層112bと接続されていてもよい。
【0190】
トランジスタTr(x-1)と同様に、トランジスタTr(x+1)のソース電極(導電層112b)には、導電層104eを介して導電層116(x+1)が電気的に接続される。なお、導電層116(x-1)と同様に、導電層116(x+1)が導電層104eを介さずに導電層112bと接続されていてもよい。
【0191】
また、トランジスタTr(x)のソース電極(導電層112a)には、導電層104eを介して導電層116(x)が電気的に接続される。トランジスタTr(x)と同様に、トランジスタTr(x+2)のソース電極(導電層112a)には、導電層104eを介して導電層116(x+2)が電気的に接続される。なお、導電層116(x)および導電層116(x+2)は、それぞれ導電層104eを介さず、導電層112aと接続されていてもよい。
【0192】
ここで、導電層116(x)は、図12(B)に示す回路図の通り、トランジスタTr(x-1)のバックゲートとトランジスタTr(x)のソースを接続する配線に相当する。すなわち、トランジスタTr(x-1)のバックゲートとして作用する導電層115(x-1)は、トランジスタTr(x)のソースと電気的に接続する導電層116(x)と電気的に接続される。
【0193】
同様に、導電層116(x-1)は、トランジスタTr(x-2)(図示なし)のバックゲートとして作用する導電層と電気的に接続される。また、導電層116(x+1)は、トランジスタTr(x)のバックゲートとして作用する導電層115(x)と電気的に接続される。また、導電層116(x+2)は、トランジスタTr(x+1)のバックゲートとして作用する導電層115(x+1)と電気的に接続される。
【0194】
なお、回路18に用いることができるトランジスタでは、半導体層のチャネルとなる領域とソースまたはドレインとなる領域との間にゲートの電界がかかりにくいオフセット領域を設けてもよい。
【0195】
例えば、図13(A)に示すように、半導体層108において、導電層112bと接しない領域であって、導電層104eと重ならない領域をオフセット領域OF1とすることができる。当該構成は、リソグラフィ工程を用いて形成することができる。
【0196】
または、図13(B)に示すように、半導体層108において、導電層112aと接しない領域であって、開口141における導電層104eの底部B(導電層104eと絶縁層106の界面)よりも下方に設けられている領域をオフセット領域OF2とすることができる。当該構成は、開口141の底部に設けられた半導体層108上に絶縁層109を設けることで形成することができる。なお、絶縁層106を厚く形成することによってもオフセット領域OF2を設けることができる。
【0197】
または、図13(C)に示すように、オフセット領域OF1およびオフセット領域OF2の両方を設けてもよい。また、図13(A)乃至(C)の構成は一例であり、オフセット領域を他の構造で形成することもできる。
【0198】
オフセット領域は、チャネルに直列に接続される抵抗となる。したがって、トランジスタの抵抗値を調整するために用いることができる。なお、チャネルに直列に接続される抵抗として、導電層112aおよび導電層112bの一部または全てに金属よりも抵抗値が高い酸化物導電体を用いることもできる。
【0199】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0200】
(実施の形態4)
本実施の形態では、表示装置30が有する画素の回路について説明する。
【0201】
図1に示したように、本発明の一態様の表示装置の画素は、副画素11、12を有する。副画素11の画素回路PIX1は、可視光を発する発光デバイスを有する。副画素12の画素回路PIX2は、受光デバイスを有する。
【0202】
図14(A)に副画素11の画素回路PIX1の一例を示す。画素回路PIX1は、発光デバイスEL1、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3およびキャパシタC1を有する。ここでは、発光デバイスEL1として、発光ダイオードを用いた例を示している。発光デバイスEL1には、可視光を発する有機EL素子を用いることが好ましい。
【0203】
トランジスタM1は、ゲートが配線G1と電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線S1と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、キャパシタC1の一方の電極およびトランジスタM2のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2のソースまたはドレインの一方は配線V2と電気的に接続し、他方は発光デバイスEL1のアノードおよびトランジスタM3のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM3は、ゲートが配線G2と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V0と電気的に接続する。発光デバイスEL1のカソードは、配線V1と電気的に接続する。
【0204】
配線V1および配線V2には、それぞれ定電位が供給される。発光デバイスEL1のアノード側を高電位、カソード側を低電位にすることで発光を行うことができる。トランジスタM1は、配線G1に供給される信号により制御され、画素回路PIX1の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM2は、ゲートに供給される電位に応じて発光デバイスEL1に流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。
【0205】
トランジスタM1が導通状態のとき、配線S1に供給される電位がトランジスタM2のゲートに供給され、その電位に応じて発光デバイスEL1の発光輝度を制御することができる。トランジスタM3は、配線G2に供給される信号により制御される。これにより、トランジスタM2と発光デバイスEL1との間の電位を配線V0から供給される一定の電位にリセットすることができ、トランジスタM2のソース電位を安定化させた状態でトランジスタM2のゲートへの電位書き込みを行うことができる。
【0206】
図14(B)に画素回路PIX1とは異なる画素回路PIX2の一例を示す。画素回路PIX2は昇圧機能を有する。画素回路PIX2は、発光デバイスEL2、トランジスタM4、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、キャパシタC2およびキャパシタC3を有する。ここでは、発光デバイスEL2として、発光ダイオードを用いた例を示している。画素回路PIX2は、画素10が有する副画素11の一つ以上に用いることができる。
【0207】
トランジスタM4は、ゲートが配線G1と電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線S4と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、キャパシタC2の一方の電極、キャパシタC3の一方の電極およびトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM5は、ゲートが配線G6と電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線S5と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、キャパシタC3の他方の電極と電気的に接続する。
【0208】
トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V2と電気的に接続し、他方は、発光デバイスEL2のアノードおよびトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線G2と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V0と電気的に接続する。発光デバイスEL2のカソードは、配線V1と電気的に接続する。
【0209】
トランジスタM4は、配線G1に供給される信号により制御され、トランジスタM5は配線G6に供給される信号により制御される。トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光デバイスEL2に流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。
【0210】
トランジスタM6のゲートに供給された電位に応じて発光デバイスEL2の発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は、配線G2に供給される信号により制御される。トランジスタM6と発光デバイスEL2との間の電位を配線V0から供給される一定の電位にリセットすることができ、トランジスタM6のソース電位を安定化させた状態でトランジスタM6のゲートへの電位書き込みを行うことができる。また、配線V0から供給される電位を配線V1と同じ電位、または配線V1よりも低い電位とすることで発光デバイスEL2の発光を抑えることができる。
【0211】
以下に、画素回路PIX2が有する昇圧機能を説明する。
【0212】
まず、トランジスタM6のゲートにトランジスタM4を介して配線S4の電位“D1”を供給し、これと重なるタイミングでキャパシタC3の他方の電極にトランジスタM5を介して基準電位“Vref”を供給する。このとき、キャパシタC3には“D1-Vref”が保持される。次に、トランジスタM6のゲートをフローティングとし、トランジスタM5を介してキャパシタC3の他方の電極に配線S5の電位“D2”を供給する。ここで、電位“D2”は加算用の電位である。
【0213】
このとき、キャパシタC3の容量値をC、キャパシタC2の容量値をC、トランジスタM6のゲートの容量値をCM6とすると、トランジスタM6のゲートの電位は、D1+(C/(C+C+CM6))×(D2-Vref))となる。ここで、Cの値がC+CM6の値より十分に大きい場合を想定すると、C/(C+C+CM6)は1に近似する。したがって、トランジスタM6のゲートの電位は“D1+(D2-Vref)”に近似するといえる。そして、D1=D2であって、Vref=0であれば、“D1+(D2-Vref))”=“2D1”となる。
【0214】
つまり、回路を適切に設計すれば、配線S4またはS5から入力できる電位の約2倍の電位をトランジスタM6のゲートに供給できることになる。
【0215】
当該作用により、画素回路内で高い電圧を生成することができる。したがって、画素回路に入力する電圧を低くすることができ、駆動回路の消費電力を低減させることができる。
【0216】
また、画素回路PIX2は、図14(C)に示す構成であってもよい。図14(C)に示す画素回路PIX2は、トランジスタM8を有する点が図14(B)に示す画素回路PIX2と異なる。トランジスタM8のゲートは配線G1と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタM5のソースまたはドレインの他方およびキャパシタC3の他方の電極と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線V0と電気的に接続される。また、トランジスタM5のソースまたはドレインの一方は、配線S4と接続される。
【0217】
図14(B)に示す画素回路PIX2では、上述したようにトランジスタM5を介して基準電位および加算用の電位をキャパシタC3の他方の電極に供給する動作が行われる。この場合、配線S4、S5の2本が必要であり、配線S5では基準電位と加算用の電位を交互に書き換える必要がある。
【0218】
図14(C)に示す画素回路PIX2では、トランジスタM8は増えるが、基準電位を供給する専用の経路が設けられるため、配線S5を削減することができる。また、トランジスタM8のゲートは配線G1と接続することができ、基準電位を供給する配線には配線V0を用いることができるため、トランジスタM8と接続する配線は増加しない。また、一つの配線で基準電位と加算用の電位を交互に書き換えることがないため、低消費電力で高速動作が可能である。
【0219】
なお、図14(B)および図14(C)では、基準電位“Vref”として“D1”の反転電位“D1B”を用いてもよい。この場合は、配線S4またはS5から入力できる電位の約3倍の電位をトランジスタM6のゲートに供給できることになる。なお、反転電位とは、ある基準電位との差の絶対値が同じ(または概略同じ)であって、元の電位とは異なる電位を意味する。元の電位を“D1”、反転電位を“D1B”、基準電位をVとするとき、V=(D1+D1B)/2の関係であればよい。
【0220】
本実施の形態の表示装置では、発光デバイスをパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光デバイスの駆動時間を短縮することで、表示装置の消費電力の低減、および発熱の抑制を図ることができる。特に、有機EL素子は周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。
【0221】
図14(D)に、副画素12の画素回路PIX3の一例を示す。画素回路PIX3は、受光デバイスPD、トランジスタM9、トランジスタM10、トランジスタM11、トランジスタM12およびキャパシタC4を有する。ここでは、受光デバイスPDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0222】
受光デバイスPDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM9のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM9は、ゲートが配線G3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がキャパシタC4の一方の電極、トランジスタM10のソースまたはドレインの一方およびトランジスタM11のゲートと電気的に接続する。トランジスタM10は、ゲートが配線G4と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V3と電気的に接続する。トランジスタM11は、ソースまたはドレインの一方が配線V4と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM12のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM12は、ゲートが配線G5と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUTと電気的に接続する。
【0223】
配線V1、配線V3および配線V4には、それぞれ定電位が供給される。受光デバイスPDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V3に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM10は、配線G5に供給される信号により制御され、トランジスタM11のゲートに接続するノードの電位を配線V3に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM9は、配線G3に供給される信号により制御され、受光デバイスPDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM11は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM12は、配線G6に供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUTに接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0224】
ここで、画素回路PIX1乃至PIX3が有するトランジスタM1乃至M12には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0225】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続されたキャパシタに蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
【0226】
そのため、特にキャパシタC1、キャパシタC2、キャパシタC3またはキャパシタC4にソースまたはドレインの一方または他方が接続されるトランジスタM1、トランジスタM4、トランジスタM5、トランジスタM8、トランジスタM9およびトランジスタM10には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。副画素12に酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることで、回路構成および動作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を適用することができる。
【0227】
また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0228】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM12に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0229】
また、トランジスタM1乃至M12のうち、一つ以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0230】
なお、図14(A)乃至図14(D)においては、nチャネル型のトランジスタを用いた例を図示しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0231】
画素回路PIX1が有するトランジスタ、画素回路PIX2が有するトランジスタおよび画素回路PIX3が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。
【0232】
また、受光デバイスPD、発光デバイスEL1または発光デバイスEL2と重なる位置に、トランジスタおよびキャパシタの一方または双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部または表示部を実現できる。
【0233】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0234】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置における表示部の構成について説明する。なお、本実施の形態で説明する画素110、発光デバイスを有する副画素、受光デバイスを有する副画素のそれぞれは、実施の形態1における画素10、副画素11、副画素12に相当する。
【0235】
図15(A)に、発光デバイスおよび受光デバイスを有する表示装置100の上面図を示す。表示装置100は、複数の画素110が配置された表示部を有する。図15(A)では、一部の副画素を示しており、等間隔に配置された複数の副画素(副画素110a、110b、110c、110d)で画素110が構成される例を示している。
【0236】
なお、本明細書等において、行方向をX方向、列方向をY方向という場合がある。X方向とY方向は交差し、垂直または略垂直に交差する(図15(A)参照)。
【0237】
図15(A)に示す副画素の上面形状は、発光領域または受光領域の上面形状に相当する。なお、副画素の上面形状は、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形などの多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、または円形などであってもよい。
【0238】
また、副画素が有する回路のレイアウトは、図15(A)に示す副画素の範囲に限定されず、回路の構成要素は、その外側に配置されていてもよい。例えば、副画素110aが有するトランジスタは、副画素110bの範囲内に位置してもよく、一部または全てが副画素110aの範囲外に位置してもよい。
【0239】
副画素110a、110b、110c、110dの開口率は、それぞれ適宜決定することができる。副画素110a、110b、110c、110dの開口率は、それぞれ、異なっていてもよく、2つ以上が等しいまたは概略等しくてもよい。
【0240】
本発明の一態様の表示装置は、画素に受光デバイスを有する。例えば、図15(A)に示す画素110が有する4つの副画素のうち、3つが発光デバイスを有する構成とし、1つが受光デバイスを有する構成とすることができる。
【0241】
3つの副画素は、それぞれ発光色の異なる発光デバイスを有することができる。例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素、黄色(Y)、シアン(C)、およびマゼンタ(M)の3色の副画素などが挙げられる。
【0242】
なお、以下の説明では、副画素110a、110b、110cがそれぞれ発光デバイスを有し、副画素110dが受光デバイス150を有する例として説明する。また、発光デバイスを構成する要素としては、副画素110cが有する発光デバイス130cについて説明するが、共通する要素は副画素110a、110bがそれぞれ有する発光デバイスにも適用できる。
【0243】
図15(B)に、図15(A)における一点鎖線X1-X2間の断面図を示す。図15(B)に示すように、トランジスタを含む層101上には絶縁層が設けられ、絶縁層上に発光デバイス130cおよび受光デバイス150が設けられる。また、発光デバイス130cおよび受光デバイス150を覆うように保護層131が設けられている。
【0244】
保護層131上に、遮光層135が接着層122を介して貼り合わされている。遮光層135は、隣り合う一方の副画素と他方の副画素との間に設けられている。
【0245】
図15(B)では、発光デバイス130cが発する光が基板120側に射出され、基板120側から入る光が受光デバイス150に入射する例を示している(光Lemおよび光Lin参照)。
【0246】
また、隣り合う発光デバイス130cと受光デバイス150の間の領域には、絶縁層125と、絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられている。なお、図15(B)には図示されていないが、隣り合う発光デバイス同士の間の領域にも絶縁層125および絶縁層127が設けられる。
【0247】
[発光デバイス]
まず、発光デバイスについて説明する。本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)である。
【0248】
トランジスタを含む層101には、基板上に設けられた複数のトランジスタと、これらのトランジスタを覆う絶縁層を有する積層構造を適用することができる。トランジスタ上の絶縁層は単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。図15(B)では、トランジスタ上の絶縁層のうち、絶縁層255a、絶縁層255a上の絶縁層255b、および絶縁層255b上の絶縁層255cを示している。
【0249】
絶縁層255a、絶縁層255b、および絶縁層255cとしては、それぞれ、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、および窒化酸化絶縁膜などの各種無機絶縁膜を好適に用いることができる。絶縁層255aおよび絶縁層255cとしては、それぞれ、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの酸化絶縁膜または酸化窒化絶縁膜を用いることが好ましい。絶縁層255bとしては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などの窒化絶縁膜または窒化酸化絶縁膜を用いることが好ましい。より具体的には、絶縁層255aおよび絶縁層255cとして酸化シリコン膜を用い、絶縁層255bとして窒化シリコン膜を用いることが好ましい。絶縁層255bは、エッチング保護膜としての機能を有することが好ましい。
【0250】
なお、本明細書等において、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリコンと記載した場合は、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンと記載した場合は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0251】
発光デバイスの発光色は、赤外、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、または白などとすることができる。また、発光デバイスにマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度を高めることができる。発光デバイス130cは、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のうち、いずれか1色の光を発することができる。
【0252】
発光デバイスとしては、OLED、またはQLEDを用いることが好ましい。発光デバイスが有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、TADF材料が挙げられる。発光デバイスが有する発光物質としては、有機化合物だけでなく、無機化合物(量子ドット材料など)を用いることができる。また、発光デバイスとして、マイクロLEDなどのLEDを用いることもできる。
【0253】
発光デバイスが有する一対の電極のうち、一方の電極は陰極として機能し、他方の電極は陽極として機能する。以下では、画素電極が陽極として機能し、共通電極が陰極として機能する場合を例に挙げて説明する場合がある。
【0254】
発光デバイス130cは、絶縁層255c上の画素電極111cと、画素電極111c上の島状の層113cと、層113c上の共通層114と、共通層114上の共通電極117と、を有する。発光デバイス130cにおいて、層113c、および共通層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。
【0255】
EL層を発光デバイスごとに島状に設けることで、隣接する発光デバイス間のリーク電流を抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。特に、低輝度における電流効率の高い表示装置を実現できる。
【0256】
本実施の形態の発光デバイスには、シングル構造(発光ユニットを1つだけ有する構造)を適用することができる。
【0257】
シングル構造の発光デバイスを用いる場合、層113cは、赤色、緑色または青色の光を発する発光層を有することができる。
【0258】
シングル構造の発光デバイスにおいて、層113cは、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電荷発生層、電子ブロック層、電子輸送層、および電子注入層のうち1つ以上を有してもよい。
【0259】
層113cは、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層をこの順で有することができる。また、正孔輸送層と発光層との間に電子ブロック層を有していてもよい。また、電子輸送層と発光層との間に正孔ブロック層を有していてもよい。また、電子輸送層上に電子注入層を有していてもよい。
【0260】
または、層113cは、電子注入層、電子輸送層、発光層、および正孔輸送層をこの順で有することができる。また、電子輸送層と発光層との間に正孔ブロック層を有していてもよい。また、正孔輸送層と発光層との間に電子ブロック層を有していてもよい。また、正孔輸送層上に正孔注入層を有していてもよい。
【0261】
また、本実施の形態の発光デバイスには、タンデム構造を適用することができる。タンデム構造の発光デバイスは、層113cに2以上の複数の発光ユニットを有し、各発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とすることができる。また、各発光ユニットは、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子輸送層、および電子注入層のうち1つ以上を有してもよい。各発光ユニットの間には、電荷発生層を設けることが好ましい。電荷発生層は、少なくとも電荷発生領域を有する。
【0262】
例えば、層113cは、発光ユニット113_1と、電荷発生層113_3と、発光ユニット113_2との積層構造とすることができる(図16の層113cの拡大図参照)。なお、本実施の形態で用いる図面では、電荷発生層を破線で示している場合がある。
【0263】
タンデム構造の発光デバイスを用いる場合、層113cは、同色の光を発する発光ユニットを複数有することができる。例えば、図16に示す構成では、発光ユニット113_1および発光ユニット113_2の双方に赤色、緑色または青色の光を発する同じ種類の発光ユニットを用いることができる。
【0264】
また、白色発光を行うために、発光色の異なる発光ユニットを組み合わせたタンデム構造とすることもできる。白色発光を得るには、複数の発光ユニットが発する光を合わせて白色発光が得られる構成とすればよい。例えば、図16に示す構成では、発光ユニット113_1および発光ユニット113_2の一方を青色発光の発光ユニットとし、他方を黄色発光の発光ユニットとすればよい。または、赤色発光の発光ユニットとシアン発光の発光ユニットを組み合わせてもよい。または、緑色発光の発光ユニットとマゼンタ発光の発光ユニットを組み合わせてもよい。
【0265】
または、3つ発光ユニットを組み合わせた構成としてもよい。例えば、赤色発光の発光ユニット、緑色発光の発光ユニットおよび青色発光の発光ユニットの3つ発光ユニットを組み合わせた構成とすることができる。または、青色発光の発光ユニット、黄色または黄緑色発光の発光ユニットおよび青色発光の発光ユニットの3つ発光ユニットを組み合わせた構成としてもよい。または、青色発光の発光ユニットと、緑色および赤色の発光の発光ユニットと、青色発光の発光ユニットとの3つ発光ユニットを組み合わせた構成としてもよい。
【0266】
発光ユニットの積層数と色の順番としては、陽極側から、B(青色発光の発光ユニット)、Y(黄色発光の発光ユニット)の2段構造、Bと発光ユニットXとの2段構造、B、Y、Bの3段構造、B、X、Bの3段構造が挙げられ、発光ユニットXにおける発光層の積層数と色の順番としては、陽極側から、R(赤色発光の発光層)、Y(黄色発光の発光層)の2層構造、R、G(緑色発光の発光層)の2層構造、G、Rの2層構造、G、R、Gの3層構造、または、R、G、Rの3層構造などとすることができる。また、2つの発光層の間に他の層が設けられていてもよい。
【0267】
複数の発光ユニットから発光が得られるタンデム型発光デバイスは、発光に比較的高い電圧を要するが、シングル型発光デバイス(発光ユニットが一つの構成)と同じ発光強度を得るための電流は小さくなる。したがって、タンデム構造では、発光ユニットあたりの電流ストレスを少なくすることができ、素子寿命を延ばすことができる。すなわち、タンデム型発光デバイスを用いることで、信頼性の高い表示装置を形成することができる。
【0268】
図16に示す構成において、発光ユニット113_2は、発光層と、発光層上のキャリア輸送層(電子輸送層または正孔輸送層)と、を有することが好ましい。または、発光ユニット113_2は、発光層と、発光層上のキャリアブロック層(正孔ブロック層または電子ブロック層)と、を有することが好ましい。または、発光ユニット113_2は、発光層と、発光層上のキャリアブロック層と、キャリアブロック層上のキャリア輸送層と、を有することが好ましい。発光ユニット113_2の表面は、表示装置の作製工程中に露出するため、キャリア輸送層およびキャリアブロック層の一方または双方を発光層上に設けることで、発光層が最表面に露出することを抑制し、発光層が受けるダメージを低減することができる。これにより、発光デバイスの信頼性を高めることができる。なお、発光ユニットを3つ以上有する場合は、最も上層に設けられる発光ユニットにおいて、発光層と、発光層上のキャリア輸送層およびキャリアブロック層の一方または双方と、を有することが好ましい。
【0269】
タンデム型発光デバイスの構成および材料については、他の実施の形態で詳述する。
【0270】
共通層114は、電子注入層、または正孔注入層を有することができる。または、共通層114は、電子輸送層と電子注入層とを積層して有していてもよく、正孔輸送層と正孔注入層とを積層して有していてもよい。共通層114および共通電極117は、各副画素が有する発光デバイスで共有されている。
【0271】
図15(B)において、層113cは、画素電極111cの端部を覆うように形成されている。また、発光デバイス130cが有する層113c上には、マスク層118cが位置する。マスク層118cは、層113cを加工する際に層113cの上面に接して設けたマスク層の一部が残存しているものである。
【0272】
図15(B)において、マスク層118cの一方の端部は、層113cの端部と揃っている、または概略揃っており、マスク層118cの他方の端部は、層113c上に位置する。ここで、マスク層118cの他方の端部は、層113cおよび画素電極111cと重なることが好ましい。
【0273】
層113cの側面は、絶縁層125によって覆われている。絶縁層127は、絶縁層125を介して、層113cの側面と重なる。
【0274】
また、層113cの上面の一部は、マスク層118cによって覆われている。絶縁層125および絶縁層127は、マスク層118cを介して、層113cの上面の一部と重なる。なお、層113cの上面としては、画素電極の上面と重なる平坦部の上面のみに限られず、画素電極の上面の外側に位置する傾斜部および平坦部の上面を含むことができる。
【0275】
層113cの上面の一部および側面が、絶縁層125、絶縁層127、およびマスク層118cの少なくとも一つによって覆われていることで、共通層114(または共通電極117)が、画素電極111c、および層113cの側面と接することを抑制できる。したがって、発光デバイスが有する上下の層のショートを抑制することができる。
【0276】
絶縁層127は、絶縁層125が形成された凹部を充填するように、絶縁層125上に設けられる。絶縁層127は、絶縁層125を介して、層113cの上面の一部および側面と重なる構成とすることができる。絶縁層127は、絶縁層125の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0277】
絶縁層125および絶縁層127を設けることで、隣り合う島状の層の間を埋めることができるため、島状の層上に設ける層(例えばキャリア注入層、および共通電極など)の被形成面の極端な凹凸を低減し、より平坦にすることができる。したがって、キャリア注入層および共通電極などの被覆性を高めることができる。
【0278】
共通層114および共通電極117は、層113c、マスク層118c、絶縁層125、および絶縁層127上に設けられる。絶縁層125および絶縁層127を設ける前の段階では、画素電極および島状のEL層が設けられる領域と、画素電極および島状のEL層が設けられない領域(発光デバイス間の領域)と、に起因する段差が生じている。
【0279】
本発明の一態様の表示装置は、絶縁層125および絶縁層127を有することで当該段差を平坦化させることができ、共通層114および共通電極117の被覆性を向上させることができる。したがって、段切れによる接続不良を抑制することができる。また、段差によって共通電極117が局所的に薄膜化して電気抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0280】
絶縁層127の上面はより平坦性の高い形状を有することが好ましいが、凸部、凸曲面、凹曲面、または凹部を有していてもよい。
【0281】
図15(B)に示すように、マスク層118c、絶縁層125および絶縁層127を設けることにより、共通層114および共通電極117を被覆性高く形成することができる。そして、共通層114および共通電極117に分断された箇所、および局所的に膜厚が薄い箇所が形成されることを防ぐことができる。
【0282】
よって、各発光デバイス間において、共通層114および共通電極117に、分断された箇所に起因する接続不良、および局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。これにより、本発明の一態様に係る表示装置は、表示品位を向上させることができる。
【0283】
次に、絶縁層125および絶縁層127の材料の例について説明する。
【0284】
絶縁層125は、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、および窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層125は単層構造であってもよく積層構造であってもよい。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、インジウムガリウム亜鉛酸化物膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、および酸化タンタル膜等が挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜および窒化アルミニウム膜等が挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、および酸化窒化アルミニウム膜等が挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、および窒化酸化アルミニウム膜等が挙げられる。特に、酸化アルミニウムは、エッチングにおいて、EL層との選択比が高く、後述する絶縁層127の形成において、EL層を保護する機能を有するため、好ましい。
【0285】
特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、または酸化シリコン膜等の無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。また、絶縁層125は、ALD法により形成した膜と、スパッタリング法により形成した膜と、の積層構造としてもよい。絶縁層125は、例えば、ALD法によって形成された酸化アルミニウム膜と、スパッタリング法によって形成された窒化シリコン膜と、の積層構造であってもよい。
【0286】
絶縁層125は、水および酸素の少なくとも一方に対するバリア絶縁層としての機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水および酸素の少なくとも一方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水および酸素の少なくとも一方を捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能を有することが好ましい。
【0287】
なお、本明細書等において、バリア絶縁層とは、バリア性を有する絶縁層のことを示す。また、本明細書等において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0288】
絶縁層125が、バリア絶縁層としての機能、またはゲッタリング機能を有することで、外部から各発光デバイスに拡散しうる不純物(代表的には、水および酸素の少なくとも一方)の侵入を抑制することが可能な構成となる。当該構成とすることで、信頼性の高い発光デバイス、さらには、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0289】
なお、絶縁層125とマスク層118cには同じ材料を用いることができる。この場合、マスク層118cと絶縁層125との境界が不明瞭となり、マスク層118cと絶縁層125とが、1つの層として確認される場合がある。
【0290】
絶縁層125上に設けられる絶縁層127は、隣接する発光デバイス間に形成された絶縁層125の極端な凹凸を平坦化する機能を有する。
【0291】
絶縁層127としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。有機材料としては、感光性の有機樹脂を用いることが好ましく、例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いる。なお、本明細書などにおいて、アクリル樹脂とは、ポリメタクリル酸エステル、またはメタクリル樹脂だけを指すものではなく、広義のアクリル系ポリマー全体を指す場合がある。
【0292】
また、絶縁層127として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、およびこれら樹脂の前駆体等を用いてもよい。また、絶縁層127として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂等の有機材料を用いてもよい。また、感光性の樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。感光性の有機樹脂として、ポジ型の材料およびネガ型の材料のどちらを用いてもよい。
【0293】
絶縁層127には可視光を吸収する材料を用いてもよい。絶縁層127が発光デバイスからの発光を吸収することで、発光デバイスから絶縁層127を介して隣接する発光デバイスまたは受光デバイスに光が漏れること(迷光)を抑制することができる。これにより、表示装置の表示品位および撮像性能を高めることができる。また、表示装置に偏光板を用いなくても、表示品位を高めることができるため、表示装置の軽量化および薄型化を図ることができる。
【0294】
可視光を吸収する材料としては、黒色などの顔料を含む材料、染料を含む材料、光吸収性を有する樹脂材料(例えばポリイミドなど)、およびカラーフィルタに用いることのできる樹脂材料(カラーフィルタ材料)が挙げられる。特に、2色、または3色以上のカラーフィルタ材料を積層または混合した樹脂材料を用いると、可視光の遮蔽効果を高めることができるため好ましい。特に3色以上のカラーフィルタ材料を混合させることで、黒色または黒色近傍の樹脂層とすることが可能となる。
【0295】
また、図15(C)に示すように、発光デバイス130cと重なる領域にカラーフィルタなどの着色層137を設けてもよい。例えば、発光デバイス130cが白色発光の場合、着色層137を設けることで、赤色、緑色または青色などの光を発する副画素を構成することができる。または、発光デバイス130cが発する光の色と着色層137の色を同色としてもよい。当該構成とすることで、色純度を向上させた光を発する副画素とすることができる。
【0296】
[受光デバイス]
次に、受光デバイス150について説明する。なお、発光デバイス130cと共通の要素、および目的が共通する要素の説明は省略する。
【0297】
受光デバイスとしては、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光デバイスは、受光デバイスに入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換デバイス(光電変換素子ともいう)として機能する。受光デバイスに入射する光量に基づき、受光デバイスから発生する電荷量が決まる。
【0298】
受光デバイスは、可視光および赤外光の一方または双方を検出することができる。赤外光を検出する場合、暗い場所でも対象物の検出が可能となる。
【0299】
受光デバイスとしては、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、および大面積化が容易であり、また、形状およびデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0300】
本発明の一態様では、発光デバイスとして有機ELデバイスを用い、受光デバイスとして有機フォトダイオードを用いる。有機ELデバイスおよび有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機ELデバイスを用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。
【0301】
受光デバイスは、画素電極と共通電極との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受光デバイスに入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0302】
受光デバイスについても、発光デバイスと同様の作製方法を適用することができる。受光デバイスが有する島状の活性層(光電変換層ともいう)は、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、活性層となる膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の活性層を均一の厚さで形成することができる。また、活性層上にマスク層を設けることで、表示装置の作製工程中に活性層が受けるダメージを低減し、受光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0303】
受光デバイス150は、絶縁層255c上の画素電極111dと、画素電極111d上の層113dと、層113d上の共通層114と、共通層114上の共通電極117と、を有する。
【0304】
ここで、層113dは、少なくとも活性層を含み、好ましくは複数の機能層を有する。例えば、機能層として、キャリア輸送層(正孔輸送層および電子輸送層)、および、キャリアブロック層(正孔ブロック層および電子ブロック層)などが挙げられる。また、活性層上に1層以上の層を有することが好ましい。活性層とマスク層との間に他の層を有することで、表示装置の作製工程中に活性層が最表面に露出することを抑制し、活性層が受けるダメージを低減することができる。これにより、受光デバイス150の信頼性を高めることができる。したがって、層113dは、活性層と、活性層上のキャリアブロック層(正孔ブロック層または電子ブロック層)、もしくはキャリア輸送層(電子輸送層または正孔輸送層)と、を有することが好ましい。
【0305】
層113dは、受光デバイス150に設けられ、発光デバイス130cには設けられない層である。ただし、層113dに含まれる活性層以外の機能層は、層113cに含まれる発光層以外の機能層と同じ材料を有する場合がある。一方、共通層114は、受光デバイス150と発光デバイス130cが共有する一続きの層である。
【0306】
ここで、受光デバイスと発光デバイスが共通で有する層は、発光デバイスにおける機能と受光デバイスにおける機能とが異なる場合がある。本明細書中では、発光デバイスにおける機能に基づいて構成要素を呼称することがある。例えば、正孔注入層は、発光デバイスにおいて正孔注入層として機能し、受光デバイスにおいて正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、発光デバイスにおいて電子注入層として機能し、受光デバイスにおいて電子輸送層として機能する。また、受光デバイスと発光デバイスが共通で有する層は、発光デバイスにおける機能と受光デバイスにおける機能とが同一である場合もある。例えば、正孔輸送層は、発光デバイスおよび受光デバイスのいずれにおいても、正孔輸送層として機能し、電子輸送層は、発光デバイスおよび受光デバイスのいずれにおいても、電子輸送層として機能する。
【0307】
層113cと絶縁層125との間にはマスク層118cが位置し、層113dと絶縁層125との間にはマスク層118dが位置する。マスク層118cは、層113cを加工する際に層113c上に設けたマスク層の一部が残存しているものである。また、マスク層118dは、活性層を含む層である層113dを加工する際に層113dの上面に接して設けたマスク層の一部が残存しているものである。マスク層118cとマスク層118dは同じ材料を有していてもよく、異なる材料を有していてもよい。
【0308】
副画素110dは、副画素110a、110b、110cの少なくとも一つよりも開口率が高くてもよい。副画素110dの受光面積が広いことで、対象物の検出をより容易にできる場合がある。例えば、表示装置の精細度、および副画素の回路構成等によっては、副画素110dの開口率が、他の副画素の開口率に比べて高くなる場合がある。
【0309】
また、副画素110dは、副画素110a、110b、110cの少なくとも一つよりも開口率が低くてもよい。副画素110dの開口率を低くすることで、ピンホール効果を高めることができ、より鮮明な画像を得ることができる。
【0310】
このように、副画素110dは、用途に応じて検出波長、精細度、および開口率を変化させることが好ましい。
【0311】
発光デバイス130c上および受光デバイス150上に設ける保護層131は単層構造でもよく、2層以上の積層構造であってもよい。保護層131を設けることで、発光デバイス130cおよび受光デバイス150の信頼性を高めることができる。
【0312】
保護層131の導電性は問わない。保護層131としては、絶縁膜、半導体膜、および導電膜の少なくとも一種を用いることができる。
【0313】
保護層131が無機膜を有することで、共通電極117の酸化を防止する、発光デバイスおよび受光デバイスに不純物(水分および酸素等)が入り込むことを抑制する、等、発光デバイスおよび受光デバイスの劣化を抑制し、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0314】
保護層131には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、および窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。これらの無機絶縁膜の具体例は、絶縁層125の説明で挙げた通りである。特に、保護層131は、窒化絶縁膜または窒化酸化絶縁膜を有することが好ましく、窒化絶縁膜を有することがより好ましい。
【0315】
また、保護層131には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、またはインジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物、IGZOともいう)等を含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗であることが好ましく、具体的には、共通電極117よりも高抵抗であることが好ましい。当該無機膜は、さらに窒素を含んでいてもよい。
【0316】
保護層131は、可視光に対する透過性が高いことが好ましい。ITO、IGZO、および酸化アルミニウムは、それぞれ、可視光に対する透過性が高い無機材料であるため、好ましい。
【0317】
保護層131としては、例えば、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上の窒化シリコン膜と、の積層構造、または、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上のIGZO膜と、の積層構造等を用いることができる。当該積層構造を用いることで、EL層側に入り込む不純物(水および酸素等)を抑制することができる。
【0318】
さらに、保護層131は、有機膜を有していてもよい。保護層131は、有機膜と無機膜の双方を有していてもよい。保護層131に用いることができる有機材料としては、絶縁層127に用いることができる有機絶縁材料などが挙げられる。
【0319】
保護層131は、異なる成膜方法を用いて形成された2層構造であってもよい。具体的には、ALD法を用いて保護層131の第1層目を形成し、スパッタリング法を用いて保護層131の第2層目を形成してもよい。
【0320】
接着層122としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0321】
基板120には、ガラス、石英、セラミックス、サファイア、樹脂、金属、合金、半導体などを用いることができる。発光デバイスからの光を取り出す側の基板には、当該光を透過する材料を用いる。基板120に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。また、基板120として偏光板を用いてもよい。
【0322】
基板120としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板120に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0323】
なお、表示装置に円偏光板を重ねる場合、表示装置が有する基板には、光学等方性の高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量が小さい、ともいえる)。
【0324】
光学等方性が高い基板のリタデーション(位相差)値の絶対値は、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。
【0325】
光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、およびアクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
【0326】
また、基板としてフィルムを用いる場合、フィルムが吸水することで、表示装置にしわが発生するなどの形状変化が生じる恐れがある。そのため、基板には、吸水率の低いフィルムを用いることが好ましい。例えば、吸水率が1%以下のフィルムを用いることが好ましく、0.1%以下のフィルムを用いることがより好ましく、0.01%以下のフィルムを用いることがさらに好ましい。
【0327】
基板120の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、および集光フィルム等が挙げられる。また、基板120の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等の表面保護層を配置してもよい。
【0328】
表面保護層として、ガラス層またはシリカ層(SiO層)を設けることで、表面汚染および傷の発生を抑制することができ、好ましい。また、表面保護層としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、酸化アルミニウム(AlO)、ポリエステル系材料、またはポリカーボネート系材料などを用いてもよい。なお、表面保護層には、可視光に対する透過率が高い材料を用いることが好ましい。また、表面保護層には、硬度が高い材料を用いることが好ましい。
【0329】
本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスごとにEL層が島状に設けられていることで、副画素間にリーク電流が発生することを抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。また、隣り合う島状のEL層の間に、端部にテーパ形状を有する絶縁層を設けることで、共通電極の形成時に段切れが生じることを抑制することができる。これにより、共通層および共通電極において、分断された箇所に起因する接続不良を抑制できる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、高精細化と高い表示品位の両立が可能となる。
【0330】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0331】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用できる画素レイアウトについて説明する。
【0332】
[画素のレイアウト]
副画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができる。副画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列などが挙げられる。
【0333】
本実施の形態で図に示す副画素の上面形状は、発光領域または受光領域の上面形状に相当する。
【0334】
なお、副画素の上面形状としては、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形などの多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、または円形などが挙げられる。
【0335】
また、副画素を構成する回路レイアウトは、図に示す副画素の範囲に限定されず、回路の構成要素は、その外側に配置されていてもよい。
【0336】
図17(A)乃至(C)に示す画素110は、ストライプ配列が適用されている。
【0337】
図17(A)は、各副画素が、長方形の上面形状を有する例であり、図17(B)は、各副画素が、2つの半円と長方形をつなげた上面形状を有する例であり、図17(C)は、各副画素が、楕円形の上面形状を有する例である。
【0338】
図17(D)乃至(F)に示す画素110は、マトリクス配列が適用されている。
【0339】
図17(D)は、各副画素が、正方形の上面形状を有する例であり、図17(E)は、各副画素が、角が丸い略正方形の上面形状を有する例であり、図17(F)は、各副画素が、円形の上面形状を有する例である。
【0340】
図17(G)、(H)では、1つの画素110が、2行3列で構成されている例を示す。
【0341】
図17(G)に示す画素110は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画素110a、110b、110c)を有し、下の行(2行目)に、1つの副画素(副画素110d)を有する。言い換えると、画素110は、左の列(1列目)に、副画素110aを有し、中央の列(2列目)に副画素110bを有し、右の列(3列目)に副画素110cを有し、さらに、この3列にわたって、副画素110dを有する。
【0342】
図17(H)に示す画素110は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画素110a、110b、110c)を有し、下の行(2行目)に、3つの副画素110dを有する。言い換えると、画素110は、左の列(1列目)に、副画素110aおよび副画素110dを有し、中央の列(2列目)に副画素110bおよび副画素110dを有し、右の列(3列目)に副画素110cおよび副画素110dを有する。図17(H)に示すように、上の行と下の行との副画素の配置を揃える構成とすることで、製造プロセスで生じうるゴミなどを効率よく除去することが可能となる。したがって、表示品位の高い表示装置を提供することができる。
【0343】
図17(I)では、1つの画素110が、3行2列で構成されている例を示す。
【0344】
図17(I)に示す画素110は、上の行(1行目)に、副画素110aを有し、中央の行(2行目)に、副画素110bを有し、1行目から2行目にわたって副画素110cを有し、下の行(3行目)に、1つの副画素(副画素110d)を有する。言い換えると、画素110は、左の列(1列目)に、副画素110a、110bを有し、右の列(2列目)に副画素110cを有し、さらに、この2列にわたって、副画素110dを有する。
【0345】
図17(A)乃至(I)に示す画素110は、副画素110a、110b、110c、110dの、4つの副画素から構成される。例えば、副画素110a乃至副画素110dのいずれか一つに受光デバイスを設け、他の3つに発光デバイスを設けることができる。
【0346】
図17(A)乃至(I)に示す各画素110において、例えば、副画素110aを赤色の光を呈する副画素Rとし、副画素110bを緑色の光を呈する副画素Gとし、副画素110cを青色の光を呈する副画素Bとし、副画素110dを、受光デバイスを有する副画素Sとすることが好ましい。このような構成とする場合、図17(G)、(H)に示す画素110では、R、G、Bのレイアウトがストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。また、図17(I)に示す画素110では、R、G、BのレイアウトがいわゆるSストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。
【0347】
受光デバイスを有する副画素Sが検出する光の波長は特に限定されない。副画素Sは、可視光および赤外光の一方または双方を検出する構成とすることができる。
【0348】
なお、受光デバイスが設けられない場合は、副画素110a、110b、110c、110dとして、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、Yの4色の副画素、または、R、G、B、赤外光(IR)の副画素などとすることができる。
【0349】
図17(J)、(K)に示すように、画素は副画素を5種類有する構成とすることができる。
【0350】
図17(J)では、1つの画素110が、2行3列で構成されている例を示す。
【0351】
図17(J)に示す画素110は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画素110a、110b、110c)を有し、下の行(2行目)に、2つの副画素(副画素110d、110e)を有する。言い換えると、画素110は、左の列(1列目)に、副画素110a、110dを有し、中央の列(2列目)に副画素110bを有し、右の列(3列目)に副画素110cを有し、さらに、2列目から3列目にわたって、副画素110eを有する。
【0352】
図17(K)では、1つの画素110が、3行2列で構成されている例を示す。
【0353】
図17(K)に示す画素110は、上の行(1行目)に、副画素110aを有し、中央の行(2行目)に、副画素110bを有し、1行目から2行目にわたって副画素110cを有し、下の行(3行目)に、2つの副画素(副画素110d、110e)を有する。言い換えると、画素110は、左の列(1列目)に、副画素110a、110b、110dを有し、右の列(2列目)に副画素110c、110eを有する。
【0354】
図17(J)、(K)に示す各画素110において、例えば、副画素110aを赤色の光を呈する副画素Rとし、副画素110bを緑色の光を呈する副画素Gとし、副画素110cを青色の光を呈する副画素Bとすることが好ましい。このような構成とする場合、図17(J)に示す画素110では、R、G、Bのレイアウトがストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。また、図17(K)に示す画素110では、R、G、BのレイアウトがいわゆるSストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。
【0355】
また、図17(J)、(K)に示す各画素110において、例えば、副画素110dと副画素110eのうち、少なくとも一方に、受光デバイスを有する副画素Sを適用することが好ましい。副画素110dと副画素110eの両方に受光デバイスを用いる場合、受光デバイスの構成が互いに異なっていてもよい。例えば、互いに検出する光の波長域が少なくとも一部が異なっていてもよい。具体的には、副画素110dと副画素110eのうち、一方は主に可視光を検出する受光デバイスを有し、他方は主に赤外光を検出する受光デバイスを有していてもよい。
【0356】
また、図17(J)、(K)に示す各画素110において、例えば、副画素110dと副画素110eのうち、一方に、受光デバイスを有する副画素Sを適用し、他方に、光源として用いることが可能な発光デバイスを有する副画素を適用することが好ましい。例えば、副画素110dと副画素110eのうち、一方は赤外光を呈する副画素IRとし、他方は赤外光を検出する受光デバイスを有する副画素Sとすることが好ましい。
【0357】
副画素R、G、B、IR、Sを有する画素では、副画素R、G、Bを用いて画像を表示しながら、副画素IRを光源として用いて、副画素Sにて副画素IRが発する赤外光の反射光を検出することができる。
【0358】
以上のように、本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスを有する副画素からなる構成の画素について、様々なレイアウトを適用することができる。また、本発明の一態様の表示装置は、画素に発光デバイスと受光デバイスとの双方を有する構成を適用することができる。この場合においても、様々なレイアウトを適用することができる。
【0359】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0360】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
【0361】
本発明の一態様の表示装置は、高解像度の表示装置または大型な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、およびパチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、および音響再生装置の表示部に用いることができる。
【0362】
[表示装置100A]
図18に、本発明の一態様の表示装置である表示装置100Aの斜視図を示し、図19(A)に、表示装置100Aの断面図を示す。
【0363】
表示装置100Aは、基板151と基板152とが貼り合された構成を有する。図18では、基板152を破線で示している。
【0364】
表示装置100Aは、表示部162、回路164a、回路164b、配線165a、配線165b等を有する。また、図18では、表示装置100AにICチップ(集積回路)173a、FPC172a、ICチップ173bおよびFPC172bが実装されている例を示している。したがって、図18に示す構成は、表示装置100A、ICチップ、およびFPCを有する表示モジュールということもできる。
【0365】
回路164aとしては、表示を行うためのゲートドライバを用いることができる。回路164bとしては、撮像(光感知)を行うためのロードライバを用いることができる。
【0366】
配線165aは、図1に示す副画素11、12および回路164a、164bに信号および電力を供給する機能を有する。当該信号および電力は、FPC172aを介して外部から入力されるか、またはICチップ173aから配線165aに入力される。
【0367】
図18では、COF方式で基板151にICチップ173a、173bが実装されている例を示しているが、TCP方式またはCOG方式などを用いて実装してもよい。
【0368】
ICチップ173aには、例えば、図1に示す副画素11と接続するソースドライバの機能を有するICチップを用いることができる。また、ICチップ173bには、例えば、副画素12と接続するカラムドライバおよびA/Dコンバータなどの読み出し回路の機能を有するICチップを用いることができる。
【0369】
なお、基板151上には、画素の回路を構成するトランジスタ等と同様に図1に示す回路18等を有する回路167が設けられ、配線165bを介してICチップ173bと電気的に接続される。また、ソースドライバおよびカラムドライバを構成する回路の一部または全てを基板151上に設けてもよい。
【0370】
図19(A)に図18で示した表示装置100AにおけるFPC172aを含む領域の一部、回路164aを含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、回路167を含む領域の一部、および端部を含む領域の一部の断面の一例を示す。
【0371】
図19(A)に示す表示装置100Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、赤色の光を発する発光デバイス130R、緑色の光を発する発光デバイス130G、および受光デバイス150P等を有する。
【0372】
発光デバイス130R、130G、および受光デバイス150Pは、画素電極の構成が異なる点以外は、それぞれ、図15(B)に示す発光デバイスおよび受光デバイスと同様の積層構造を有する。
【0373】
発光デバイス130Rは、導電層112aと、導電層112a上の導電層126aと、導電層126a上の導電層129aと、を有する。導電層112a、126a、129aの全てを画素電極と呼ぶこともでき、一部を画素電極と呼ぶこともできる。
【0374】
発光デバイス130Gは、導電層112bと、導電層112b上の導電層126bと、導電層126b上の導電層129bと、を有する。
【0375】
受光デバイス150Pは、導電層112dと、導電層112d上の導電層126dと、導電層126d上の導電層129dと、を有する。
【0376】
導電層112aは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと接続されている。導電層112aの端部よりも外側に導電層126aの端部が位置している。導電層126aの端部と導電層129aの端部は、揃っている、または概略揃っている。例えば、導電層112aおよび導電層126aに反射電極として機能する導電層を用い、導電層129aに、透明電極として機能する導電層を用いることができる。
【0377】
発光デバイス130Gにおける導電層112b、126b、129b、および受光デバイス150Pにおける導電層112d、126d、129dについては、発光デバイス130Rにおける導電層112a、126a、129aと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0378】
導電層112a、112b、112dには、絶縁層214に設けられた開口を覆うように凹部が形成される。当該凹部には、層128が埋め込まれている。
【0379】
層128は、導電層112a、112b、112dの凹部を平坦化する機能を有する。導電層112a、112b、112dおよび層128上には、導電層112a、112b、112dと電気的に接続される導電層126a、126b、126dが設けられている。したがって、導電層112a、112b、112dの凹部と重なる領域も発光領域または受光領域として使用でき、画素の開口率を高めることができる。
【0380】
層128は、絶縁層であってもよく、導電層であってもよい。層128には、各種無機絶縁材料、有機絶縁材料、および導電材料を適宜用いることができる。特に、層128は、絶縁材料を用いて形成されることが好ましく、有機絶縁材料を用いて形成されることが特に好ましい。層128には、例えば、前述の絶縁層127に用いることができる有機絶縁材料を適用することができる。
【0381】
発光デバイス130R、130G、および受光デバイス150P上には保護層131が設けられている。発光デバイスおよび受光デバイスの封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。図19(A)では、基板152と基板151との間の空間が、接着層122で充填されており、固体封止構造が適用されている。
【0382】
または、当該空間を不活性ガス(窒素またはアルゴンなど)で充填し、中空封止構造を適用してもよい。このとき、接着層122は、発光デバイスおよび受光デバイスと重ならないように設けられていてもよい。また、当該空間を、枠状に設けられた接着層122とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0383】
表示装置100Aは、トップエミッション型である。発光デバイスが発する光は、基板152側に射出される。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。画素電極は可視光を反射する材料を含み、対向電極(共通電極117)は可視光を透過する材料を含む。
【0384】
基板151から絶縁層214までの積層構造が、実施の形態1におけるトランジスタを含む層101に相当する。
【0385】
トランジスタ201、トランジスタ205およびトランジスタ206は、いずれも基板151上に形成されている。トランジスタ201およびトランジスタ205は、同一の材料および同一の工程により作製することができる。
【0386】
トランジスタ206は、回路167が有する縦型トランジスタである。縦型トランジスタの詳細は、実施の形態2を参照することができる。トランジスタ201、トランジスタ205およびトランジスタ206では、半導体層、絶縁層および導電層に共通の材料を用いることができる。
【0387】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、および絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数およびトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0388】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水および水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0389】
絶縁層211、絶縁層213、および絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、および酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0390】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁層が好適である。有機絶縁層に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、およびこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。また、絶縁層214を、有機絶縁層と、無機絶縁層との積層構造にしてもよい。絶縁層214の最表層は、エッチング保護層としての機能を有することが好ましい。これにより、導電層112a、導電層126a、または導電層129aなどの加工時に、絶縁層214に凹部が形成されることを抑制することができる。または、絶縁層214には、導電層112a、導電層126a、または導電層129aなどの加工時に、凹部が設けられてもよい。
【0391】
トランジスタ201およびトランジスタ205は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソースおよびドレインとして機能する導電層222aおよび導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0392】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、縦型トランジスタ、プレーナ型のトランジスタ、フィン型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0393】
トランジスタ201およびトランジスタ205には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0394】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0395】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。つまり、本実施の形態の表示装置は、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたOSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタに用いることができる金属酸化物については、実施の形態2の説明を参照することができる。
【0396】
回路164aが有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164aが有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0397】
表示部162が有するトランジスタの全てをOSトランジスタとしてもよく、表示部162が有するトランジスタの全てをシリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタ)としてもよく、表示部162が有するトランジスタの一部をOSトランジスタとし、残りをSiトランジスタとしてもよい。
【0398】
シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層に低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly Silicon))を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることができる。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く、周波数特性が良好である。
【0399】
LTPSトランジスタ等のSiトランジスタを適用することで、高周波数で駆動する必要のある回路(例えば、ソースドライバ回路)を表示部と同一基板上に作り込むことができる。これにより、表示装置に実装される外部回路を簡略化でき、部品コストおよび実装コストを削減することができる。
【0400】
例えば、表示部162にLTPSトランジスタとOSトランジスタとの双方を用いることで、消費電力が低く、駆動能力の高い表示装置を実現することができる。また、LTPSトランジスタと、OSトランジスタとを、組み合わせる構成をLTPOと呼称する場合がある。なお、より好適な例としては、配線間の導通、非導通を制御するためのスイッチとして機能するトランジスタ等にOSトランジスタを適用し、電流を制御するトランジスタ等にLTPSトランジスタを適用することが好ましい。
【0401】
例えば、表示部162が有するトランジスタの一は、発光デバイスに流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能し、駆動トランジスタとも呼ぶことができる。駆動トランジスタのソースおよびドレインの一方は、発光デバイスの画素電極と電気的に接続される。当該駆動トランジスタには、LTPSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、画素回路において発光デバイスに流れる電流を大きくできる。
【0402】
一方、表示部162が有するトランジスタの他の一は、画素の選択、非選択を制御するためのスイッチとして機能し、選択トランジスタとも呼ぶことができる。選択トランジスタのゲートはゲート線と電気的に接続され、ソースおよびドレインの一方は、ソース線(信号線)と電気的に接続される。選択トランジスタには、OSトランジスタを適用することが好ましい。これにより、フレーム周波数を著しく小さく(例えば1fps以下)しても、画素の階調を維持することができるため、静止画を表示する際にドライバを停止することで、消費電力を低減することができる。
【0403】
このように本発明の一態様の表示装置は、高い開口率と、高い精細度と、高い表示品位と、低い消費電力と、を兼ね備えることができる。
【0404】
なお、本発明の一態様の表示装置は、OSトランジスタを有し、且つMML(メタルマスクレス)構造の発光デバイスを有する構成である。当該構成とすることで、トランジスタに流れうるリーク電流、および隣接する発光デバイス間に流れうるリーク電流(横リーク電流、サイドリーク電流などともいう)を、極めて低くすることができる。また、上記構成とすることで、表示装置に画像を表示した場合に、観察者が画像のきれ、画像のするどさ、高い彩度、および高いコントラスト比のいずれか一または複数を観測できる。なお、トランジスタに流れうるリーク電流、および発光デバイス間の横リーク電流が極めて低い構成とすることで、黒表示時に生じうる光漏れ(いわゆる黒浮き)などが限りなく少ない表示とすることができる。
【0405】
特に、MML構造の発光デバイスの中でも、先に示す発光色の異なる副画素を有する構造を適用することで、発光デバイスの間に設けられる層(例えば、発光デバイスの間で共通して用いる有機層、共通層ともいう)が分断された構成となるため、サイドリーク電流をなくす、またはサイドリーク電流を極めて少なくすることができる。
【0406】
図19(B)、(C)に、トランジスタ201およびトランジスタ205に用いることができるトランジスタの他の構成例を示す。
【0407】
トランジスタ209およびトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231iおよび一対の低抵抗領域231nを有する半導体層231、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、少なくとも導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0408】
図19(B)に示すトランジスタ209では、絶縁層225が半導体層231の上面および側面を覆う例を示す。導電層222aおよび導電層222bは、それぞれ、絶縁層225および絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222aおよび導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0409】
一方、図19(C)に示すトランジスタ210では、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクとして絶縁層225を加工することで、図19(C)に示す構造を作製できる。図19(C)では、絶縁層225および導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222aおよび導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。
【0410】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166および接続層242を介してFPC172aと電気的に接続されている。導電層166は、導電層112a、112b、112dと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層126a、126b、126dと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層129a、129b、129dと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、の積層構造である例を示す。接続部204の上面では、導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172aとを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0411】
基板152の基板151側の面には、遮光層135を設けることが好ましい。遮光層135は、隣り合う発光デバイスの間、および回路164aなどに設けることができる。また、基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。
【0412】
基板151および基板152としては、それぞれ、基板120に用いることができる材料を適用することができる。
【0413】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0414】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0415】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に用いることができる発光デバイスについて説明する。
【0416】
図20(A)に示すように、発光デバイスは、一対の電極(下部電極761および上部電極762)の間に、EL層763を有する。EL層763は、層780、発光層771、および、層790などの複数の層で構成することができる。
【0417】
発光層771は、少なくとも発光物質(発光材料ともいう)を有する。
【0418】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、層780は、正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)、正孔輸送性の高い物質を含む層(正孔輸送層)、および、電子ブロック性の高い物質を含む層(電子ブロック層)のうち一つまたは複数を有する。また、層790は、電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)、電子輸送性の高い物質を含む層(電子輸送層)、および、正孔ブロック性の高い物質を含む層(正孔ブロック層)のうち一つまたは複数を有する。下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、層780と層790は互いに上記と逆の構成になる。
【0419】
一対の電極間に設けられた層780、発光層771、および層790を有する構成は単一の発光ユニットとして機能することができ、本明細書では図20(A)の構成をシングル構造と呼ぶ。
【0420】
また、図20(B)は、図20(A)に示す発光デバイスが有するEL層763の変形例である。具体的には、図20(B)に示す発光デバイスは、下部電極761上の層781と、層781上の層782と、層782上の発光層771と、発光層771上の層791と、層791上の層792と、層792上の上部電極762と、を有する。
【0421】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、例えば、層781を正孔注入層、層782を正孔輸送層、層791を電子輸送層、層792を電子注入層とすることができる。また、下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、層781を電子注入層、層782を電子輸送層、層791を正孔輸送層、層792を正孔注入層とすることができる。このような層構造とすることで、発光層771に効率よくキャリアを注入し、発光層771内におけるキャリアの再結合の効率を高めることができる。
【0422】
なお、図20(C)および図20(D)に示すように、層780と層790との間に複数の発光層(発光層771、772、773)が設けられる構成もシングル構造のバリエーションである。なお、図20(C)および図20(D)では、発光層を3層有する例を示すが、シングル構造の発光デバイスにおける発光層は、2層であってもよく、4層以上であってもよい。また、シングル構造の発光デバイスは、2つの発光層の間に、バッファ層を有していてもよい。
【0423】
また、図20(E)および図20(F)に示すように、複数の発光ユニット(発光ユニット763aおよび発光ユニット763b)が電荷発生層785(中間層ともいう)を介して直列に接続された構成を本明細書ではタンデム構造と呼ぶ。なお、タンデム構造をスタック構造と呼んでもよい。タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光デバイスとすることができる。また、タンデム構造は、シングル構造と比べて、同じ輝度を得るために必要な電流を低減できるため、信頼性を高めることができる。
【0424】
なお、図20(D)および図20(F)は、表示装置が、発光デバイスと重なる層764を有する例である。図20(D)は、層764が、図20(C)に示す発光デバイスと重なる例であり、図20(F)は、層764が、図20(E)に示す発光デバイスと重なる例である。
【0425】
層764としては、色変換層およびカラーフィルタ(着色層)の一方または双方を用いることができる。
【0426】
図20(C)および図20(D)において、発光層771、発光層772、および発光層773に、同じ色の光を発する発光物質、さらには、同じ発光物質を用いてもよい。例えば、発光層771、発光層772、および発光層773に、青色の光を発する発光物質を用いてもよい。青色の光を呈する副画素においては、発光デバイスが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素および緑色の光を呈する副画素においては、図20(D)に示す層764として色変換層を設けることで、発光デバイスが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。
【0427】
また、発光層771、発光層772、および発光層773に、それぞれ発光色の異なる発光物質を用いてもよい。発光層771、発光層772、および発光層773がそれぞれ発する光が補色の関係である場合、白色発光が得られる。例えば、シングル構造の発光デバイスは、青色の光を発する発光物質を有する発光層、および、青色よりも長波長の可視光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。
【0428】
例えば、シングル構造の発光デバイスが3層の発光層を有する場合、赤色(R)の光を発する発光物質を有する発光層、緑色(G)の光を発する発光物質を有する発光層、および、青色(B)の光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。発光層の積層順としては、陽極側から、R、G、B、または、陽極側からR、B、Gなどとすることができる。このとき、RとGまたはBとの間にバッファ層が設けられていてもよい。
【0429】
また、例えば、シングル構造の発光デバイスが2層の発光層を有する場合、青色(B)の光を発する発光物質を有する発光層、および、黄色(Y)の光を発する発光物質を有する発光層を有する構成が好ましい。当該構成をBYシングル構造と呼称する場合がある。
【0430】
図20(D)に示す層764として、カラーフィルタを設けてもよい。白色光がカラーフィルタを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0431】
白色の光を発する発光デバイスは、2種類以上の発光物質を含むことが好ましい。白色発光を得るには、2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるような発光物質を選択すればよい。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光デバイス全体として白色発光する発光デバイスを得ることができる。また、発光層を3つ以上有する発光デバイスの場合も同様である。
【0432】
また、図20(E)および図20(F)において、発光層771と、発光層772とに、同じ色の光を発する発光物質、さらには、同じ発光物質を用いてもよい。
【0433】
例えば、各色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ青色の光を発する発光物質を用いてもよい。青色の光を呈する副画素においては、発光デバイスが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素および緑色の光を呈する副画素においては、図20(F)に示す層764として色変換層を設けることで、発光デバイスが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。
【0434】
また、各色の光を呈する副画素に、図20(E)または図20(F)に示す構成の発光デバイスを用いる場合、副画素によって、異なる発光物質を用いてもよい。具体的には、赤色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ赤色の光を発する発光物質を用いてもよい。同様に、緑色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ緑色の光を発する発光物質を用いてもよい。青色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ青色の光を発する発光物質を用いてもよい。このような構成の表示装置は、タンデム構造の発光デバイスが適用されており、高輝度発光が可能で、高信頼性を実現することができる。
【0435】
また、図20(E)および図20(F)において、発光層771と、発光層772とに、発光色の異なる発光物質を用いてもよい。発光層771が発する光と、発光層772が発する光が補色の関係である場合、白色発光が得られる。図20(F)に示す層764として、カラーフィルタを設けてもよい。白色光がカラーフィルタを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0436】
なお、図20(E)および図20(F)において、発光ユニット763aが1層の発光層771を有し、発光ユニット763bが1層の発光層772を有する例を示すが、これに限られない。発光ユニット763aおよび発光ユニット763bは、それぞれ、2層以上の発光層を有していてもよい。
【0437】
また、図20(E)および図20(F)では、発光ユニットを2つ有する発光デバイスを例示したが、これに限られない。発光デバイスは、発光ユニットを3つ以上有していてもよい。
【0438】
具体的には、図21(A)乃至図21(C)に示す発光デバイスの構成が挙げられる。
【0439】
図21(A)は、発光ユニットを3つ有する構成である。なお、発光ユニットを2つ有する構成を2段タンデム構造と、発光ユニットを3つ有する構成を3段タンデム構造と、それぞれ呼称してもよい。
【0440】
また、図21(A)に示すように、複数の発光ユニット(発光ユニット763a、発光ユニット763b、および発光ユニット763c)が電荷発生層785を介して、それぞれ直列に接続された構成である。また、発光ユニット763aは、層780aと、発光層771と、層790aと、を有し、発光ユニット763bは、層780bと、発光層772と、層790bと、を有し、発光ユニット763cは、層780cと、発光層773と、層790cと、を有する。
【0441】
なお、図21(A)に示す構成においては、発光層771、発光層772、および発光層773は、それぞれ同じ色の光を発する発光物質を有すると好ましい。具体的には、発光層771、発光層772、および発光層773が、それぞれ赤色(R)の発光物質を有する構成(いわゆるR\R\Rの3段タンデム構造)、発光層771、発光層772、および発光層773が、それぞれ緑色(G)の発光物質を有する構成(いわゆるG\G\Gの3段タンデム構造)、または発光層771、発光層772、および発光層773が、それぞれ青色(B)の発光物質を有する構成(いわゆるB\B\Bの3段タンデム構造)とすることができる。
【0442】
なお、それぞれ同じ色の光を発する発光物質としては、上記の構成に限定されない。例えば、図21(B)に示すように、複数の発光物質を有する発光ユニットを積層したタンデム型の発光デバイスとしてもよい。図21(B)は、複数の発光ユニット(発光ユニット763a、および発光ユニット763b)が電荷発生層785を介して、それぞれ直列に接続された構成である。また、発光ユニット763aは、層780aと、発光層771a、発光層771b、および発光層771cと、層790aと、を有し、発光ユニット763bは、層780bと、発光層772a、発光層772b、および発光層772cと、層790bと、を有する。
【0443】
図21(B)に示す構成においては、発光層771a、発光層771b、および発光層771cを、補色の関係となる発光物質を選択し白色発光(W)が可能な構成とする。また、発光層772a、発光層772b、および発光層772cを、補色の関係となる発光物質を選択し白色発光(W)が可能な構成とする。すなわち、図21(C)に示す構成においては、W\Wの2段タンデム構造である。なお、発光層771a、発光層771b、および発光層771cの補色の関係となる発光物質の積層順については、特に限定はない。実施者が適宜最適な積層順を選択することができる。また、図示しないが、W\W\Wの3段タンデム構造、または4段以上のタンデム構造としてもよい。
【0444】
また、タンデム構造の発光デバイスを用いる場合、黄色(Y)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとを有するB\Yの2段タンデム構造、赤色(R)と緑色(G)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとを有するR・G\Bの2段タンデム構造、青色(B)の光を発する発光ユニットと、黄色(Y)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとをこの順で有するB\Y\Bの3段タンデム構造、青色(B)の光を発する発光ユニットと、黄緑色(YG)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとをこの順で有するB\YG\Bの3段タンデム構造、青色(B)の光を発する発光ユニットと、緑色(G)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとをこの順で有するB\G\Bの3段タンデム構造などが挙げられる。
【0445】
また、図21(C)に示すように、1つの発光物質を有する発光ユニットと、複数の発光物質を有する発光ユニットと、を組み合わせてもよい。
【0446】
具体的には、図21(C)に示す構成においては、複数の発光ユニット(発光ユニット763a、発光ユニット763b、および発光ユニット763c)が電荷発生層785を介して、それぞれ直列に接続された構成である。また、発光ユニット763aは、層780aと、発光層771と、層790aと、を有し、発光ユニット763bは、層780bと、発光層772a、発光層772b、および発光層772cと、層790bと、を有し、発光ユニット763cは、層780cと、発光層773と、層790cと、を有する。
【0447】
例えば、図21(C)に示す構成において、発光ユニット763aが青色(B)の光を発する発光ユニットであり、発光ユニット763bが赤色(R)、緑色(G)、および黄緑色(YG)の光を発する発光ユニットであり、発光ユニット763cが青色(B)の光を発する発光ユニットである、B\R・G・YG\Bの3段タンデム構造などを適用することができる。
【0448】
例えば、発光ユニットの積層数と色の順番としては、陽極側から、B、Yの2段構造、Bと発光ユニットXとの2段構造、B、Y、Bの3段構造、B、X、Bの3段構造が挙げられ、発光ユニットXにおける発光層の積層数と色の順番としては、陽極側から、R、Yの2層構造、R、Gの2層構造、G、Rの2層構造、G、R、Gの3層構造、または、R、G、Rの3層構造などとすることができる。また、2つの発光層の間に他の層が設けられていてもよい。
【0449】
なお、図20(C)、図20(D)においても、図20(B)に示すように、層780と、層790とを、それぞれ独立に、2層以上の層からなる積層構造としてもよい。
【0450】
また、図20(E)および図20(F)において、発光ユニット763aは、層780a、発光層771、および、層790aを有し、発光ユニット763bは、層780b、発光層772、および、層790bを有する。
【0451】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、層780aおよび層780bは、それぞれ、正孔注入層、正孔輸送層、および、電子ブロック層のうち一つまたは複数を有する。また、層790aおよび層790bは、それぞれ、電子注入層、電子輸送層、および、正孔ブロック層のうち一つまたは複数を有する。下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、層780aと層790aは互いに上記と逆の構成になり、層780bと層790bも互いに上記と逆の構成になる。
【0452】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、例えば、層780aは、正孔注入層と、正孔注入層上の正孔輸送層と、を有し、さらに、正孔輸送層上の電子ブロック層を有していてもよい。また、層790aは、電子輸送層を有し、さらに、発光層771と電子輸送層との間の正孔ブロック層を有していてもよい。また、層780bは、正孔輸送層を有し、さらに、正孔輸送層上の電子ブロック層を有していてもよい。また、層790bは、電子輸送層と、電子輸送層上の電子注入層と、を有し、さらに、発光層772と電子輸送層との間の正孔ブロック層を有していてもよい。下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、例えば、層780aは、電子注入層と、電子注入層上の電子輸送層と、を有し、さらに、電子輸送層上の正孔ブロック層を有していてもよい。また、層790aは、正孔輸送層を有し、さらに、発光層771と正孔輸送層との間の電子ブロック層を有していてもよい。また、層780bは、電子輸送層を有し、さらに、電子輸送層上の正孔ブロック層を有していてもよい。また、層790bは、正孔輸送層と、正孔輸送層上の正孔注入層と、を有し、さらに、発光層772と正孔輸送層との間の電子ブロック層を有していてもよい。
【0453】
また、タンデム構造の発光デバイスを作製する場合、2つの発光ユニットは、電荷発生層785を介して積層される。電荷発生層785は、少なくとも電荷発生領域を有する。電荷発生層785は、一対の電極間に電圧を印加したときに、2つの発光ユニットの一方に電子を注入し、他方に正孔を注入する機能を有する。
【0454】
次に、発光デバイスに用いることができる材料について説明する。
【0455】
下部電極761と上部電極762のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。また、表示装置が赤外光を発する発光デバイスを有する場合には、光を取り出す側の電極には、可視光および赤外光を透過する導電膜を用い、光を取り出さない側の電極には、可視光および赤外光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0456】
また、光を取り出さない側の電極にも可視光を透過する導電膜を用いてもよい。この場合、反射層と、EL層763との間に当該電極を配置することが好ましい。つまり、EL層763の発光は、当該反射層によって反射されて、表示装置から取り出されてもよい。
【0457】
発光デバイスの一対の電極を形成する材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを適宜用いることができる。当該材料としては、具体的には、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、インジウム、スズ、モリブデン、タンタル、タングステン、パラジウム、金、白金、銀、イットリウム、ネオジムなどの金属、およびこれらを適宜組み合わせて含む合金が挙げられる。また、当該材料としては、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物、ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、およびIn-W-Zn酸化物などを挙げることができる。また、当該材料としては、アルミニウム、ニッケル、およびランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、および、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)が挙げられる。その他、当該材料としては、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム)、ユウロピウム、イッテルビウムなどの希土類金属およびこれらを適宜組み合わせて含む合金、グラフェン等が挙げられる。
【0458】
発光デバイスには、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光デバイスが有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性および反射性を有する電極(半透過・半反射電極)であることが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)であることが好ましい。発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光デバイスから射出される光を強めることができる。
【0459】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極として用いることができる導電層と、可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)として用いることができる導電層と、の積層構造とすることができる。
【0460】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光デバイスの透明電極には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0461】
発光デバイスは少なくとも発光層を有する。また、発光デバイスは、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子ブロック材料、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、発光デバイスは、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電荷発生層、電子ブロック層、電子輸送層、および電子注入層のうち1層以上を有する構成とすることができる。
【0462】
発光デバイスには低分子化合物および高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光デバイスを構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0463】
発光層は、1種または複数種の発光物質を有する。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0464】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、および量子ドット材料などが挙げられる。
【0465】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、およびナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0466】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、および希土類金属錯体等が挙げられる。
【0467】
発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性の高い物質(正孔輸送性材料)および電子輸送性の高い物質(電子輸送性材料)の一方または双方を用いることができる。正孔輸送性材料としては、後述の、正孔輸送層に用いることができる正孔輸送性の高い材料を用いることができる。電子輸送性材料としては、後述の、電子輸送層に用いることができる電子輸送性の高い材料を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、またはTADF材料を用いてもよい。
【0468】
発光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料および電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光デバイスの高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0469】
正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、芳香族アミン化合物、および、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料などが挙げられる。
【0470】
正孔輸送性材料としては、後述の、正孔輸送層に用いることができる正孔輸送性の高い材料を用いることができる。
【0471】
アクセプター性材料としては、例えば、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、および、酸化レニウムが挙げられる。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。また、フッ素を含む有機アクセプター性材料を用いることもできる。また、キノジメタン誘導体、クロラニル誘導体、および、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプター性材料を用いることもできる。
【0472】
例えば、正孔注入性の高い材料として、正孔輸送性材料と、上述の元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物(代表的には酸化モリブデン)とを含む材料を用いてもよい。
【0473】
正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)、芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0474】
電子ブロック層は、発光層に接して設けられる。電子ブロック層は、正孔輸送性を有し、かつ、電子をブロックすることが可能な材料を含む層である。電子ブロック層には、上記正孔輸送性材料のうち、電子ブロック性を有する材料を用いることができる。
【0475】
電子ブロック層は、正孔輸送性を有するため、正孔輸送層と呼ぶこともできる。また、正孔輸送層のうち、電子ブロック性を有する層を、電子ブロック層と呼ぶこともできる。
【0476】
電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0477】
正孔ブロック層は、発光層に接して設けられる。正孔ブロック層は、電子輸送性を有し、かつ、正孔をブロックすることが可能な材料を含む層である。正孔ブロック層には、上記電子輸送性材料のうち、正孔ブロック性を有する材料を用いることができる。
【0478】
正孔ブロック層は、電子輸送性を有するため、電子輸送層と呼ぶこともできる。また、電子輸送層のうち、正孔ブロック性を有する層を、正孔ブロック層と呼ぶこともできる。
【0479】
電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する層であり、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0480】
また、電子注入性の高い材料のLUMO準位は、陰極に用いる材料の仕事関数の値との差が小さい(具体的には0.5eV以下)であることが好ましい。
【0481】
電子注入層には、例えば、リチウム、セシウム、イッテルビウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF、xは任意数)、8-(キノリノラト)リチウム(略称:Liq)、2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPP)、2-(2-ピリジル)-3-ピリジノラトリチウム(略称:LiPPy)、4-フェニル-2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPPP)、リチウム酸化物(LiO)、炭酸セシウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物を用いることができる。また、電子注入層は、2以上の積層構造としてもよい。当該積層構造としては、例えば、1層目にフッ化リチウムを用い、2層目にイッテルビウムを設ける構成が挙げられる。
【0482】
電子注入層は、電子輸送性材料を有していてもよい。例えば、非共有電子対を備え、電子不足型複素芳香環を有する化合物を、電子輸送性材料に用いることができる。具体的には、ピリジン環、ジアジン環(ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環)、トリアジン環の少なくとも1つを有する化合物を用いることができる。
【0483】
なお、非共有電子対を備える有機化合物の最低空軌道(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位は、-3.6eV以上-2.3eV以下であると好ましい。また、一般にCV(サイクリックボルタンメトリ)、光電子分光法、光吸収分光法、逆光電子分光法等により、有機化合物の最高被占有軌道(HOMO:highest occupied Molecular Orbital)準位およびLUMO準位を見積もることができる。
【0484】
例えば、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:BPhen)、2,9-ジ(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)、ジキノキサリノ[2,3-a:2’,3’-c]フェナジン(略称:HATNA)、2,4,6-トリス[3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル]-1,3,5-トリアジン(略称:TmPPPyTz)等を、非共有電子対を備える有機化合物に用いることができる。なお、NBPhenはBPhenと比較して、高いガラス転移点(Tg)を備え、耐熱性に優れる。
【0485】
電荷発生層は、上述の通り、少なくとも電荷発生領域を有する。電荷発生領域は、アクセプター性材料を含むことが好ましく、例えば、上述の正孔注入層に適用可能な、正孔輸送性材料とアクセプター性材料とを含むことが好ましい。
【0486】
また、電荷発生層は、電子注入性の高い材料を含む層を有することが好ましい。当該層は、電子注入バッファ層と呼ぶこともできる。電子注入バッファ層は、電荷発生領域と電子輸送層との間に設けられることが好ましい。電子注入バッファ層を設けることで、電荷発生領域と電子輸送層との間の注入障壁を緩和することができるため、電荷発生領域で生じた電子を電子輸送層に容易に注入することができる。
【0487】
電子注入バッファ層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことが好ましく、例えば、アルカリ金属の化合物またはアルカリ土類金属の化合物を含む構成とすることができる。具体的には、電子注入バッファ層は、アルカリ金属と酸素とを含む無機化合物、または、アルカリ土類金属と酸素とを含む無機化合物を有することが好ましく、リチウムと酸素とを含む無機化合物(酸化リチウム(LiO)など)を有することがより好ましい。その他、電子注入バッファ層には、上述の電子注入層に適用可能な材料を好適に用いることができる。
【0488】
電荷発生層は、電子輸送性の高い材料を含む層を有することが好ましい。当該層は、電子リレー層と呼ぶこともできる。電子リレー層は、電荷発生領域と電子注入バッファ層との間に設けられることが好ましい。電荷発生層が電子注入バッファ層を有さない場合、電子リレー層は、電荷発生領域と電子輸送層との間に設けられることが好ましい。電子リレー層は、電荷発生領域と電子注入バッファ層(または電子輸送層)との相互作用を防いで、電子をスムーズに受け渡す機能を有する。
【0489】
電子リレー層としては、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)などのフタロシアニン系の材料、または、金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0490】
なお、上述の電荷発生領域、電子注入バッファ層、および電子リレー層は、断面形状、または特性などによって明確に区別できない場合がある。
【0491】
なお、電荷発生層は、アクセプター性材料の代わりに、ドナー性材料を有していてもよい。例えば、電荷発生層としては、上述の電子注入層に適用可能な、電子輸送性材料とドナー性材料とを含む層を有していてもよい。
【0492】
発光ユニットを積層する際、2つの発光ユニットの間に電荷発生層を設けることで、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0493】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0494】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に用いることができる受光デバイスと、受発光機能を有する表示装置と、について説明する。
【0495】
受光デバイスとしては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光デバイスは、受光デバイスに入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換デバイス(光電変換素子ともいう)として機能する。受光デバイスに入射する光量に基づき、受光デバイスから発生する電荷量が決まる。
【0496】
特に、受光デバイスとして、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、および大面積化が容易であり、また、形状およびデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0497】
[受光デバイス]
図22(A)に示すように、受光デバイスは、一対の電極(下部電極761および上部電極762)の間に層765を有する。層765は、少なくとも1層の活性層を有し、さらに他の層を有していてもよい。
【0498】
また、図22(B)は、図22(A)に示す受光デバイスが有する層765の変形例である。具体的には、図22(B)に示す受光デバイスは、下部電極761上の層766と、層766上の活性層767と、活性層767上の層768と、層768上の上部電極762と、を有する。
【0499】
活性層767は、光電変換層として機能する。
【0500】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、層766は、正孔輸送層、および電子ブロック層のうち一方または双方を有する。また、層768は、電子輸送層、および正孔ブロック層のうち一方または双方を有する。下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、層766と層768は互いに上記と逆の構成になる。
【0501】
ここで、本発明の一態様の表示装置では、受光デバイスと発光デバイスとが共通で有する層(受光デバイスと発光デバイスとが共有する一続きの層、ともいえる)が存在する場合がある。このような層は、発光デバイスにおける機能と受光デバイスにおける機能とが異なる場合がある。本明細書中では、発光デバイスにおける機能に基づいて構成要素を呼称することがある。例えば、正孔注入層は、発光デバイスにおいて正孔注入層として機能し、受光デバイスにおいて正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、発光デバイスにおいて電子注入層として機能し、受光デバイスにおいて電子輸送層として機能する。また、受光デバイスと発光デバイスが共通で有する層は、発光デバイスにおける機能と受光デバイスにおける機能とが同一である場合もある。例えば、正孔輸送層は、発光デバイスおよび受光デバイスのいずれにおいても、正孔輸送層として機能し、電子輸送層は、発光デバイスおよび受光デバイスのいずれにおいても、電子輸送層として機能する。
【0502】
次に、受光デバイスに用いることができる材料について説明する。
【0503】
受光デバイスには低分子化合物および高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。受光デバイスを構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0504】
受光デバイスが有する活性層は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、および有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層と、活性層と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0505】
活性層が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレン誘導体としては、例えば、[6,6]-Phenyl-C71-butyric acid methyl ester(略称:PC70BM)、[6,6]-Phenyl-C61-butyric acid methyl ester(略称:PC60BM)、1’,1’’,4’,4’’-Tetrahydro-di[1,4]methanonaphthaleno[1,2:2’,3’,56,60:2’’,3’’][5,6]fullerene-C60(略称:ICBA)などが挙げられる。
【0506】
また、n型半導体の材料としては、例えば、N,N’-ジメチル-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Me-PTCDI)などのペリレンテトラカルボン酸誘導体、および2,2’-(5,5’-(チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル)ビス(チオフェン-5,2-ジイル))ビス(メタン-1-イル-1-イリデン)ジマロノニトリル(略称:FT2TDMN)が挙げられる。
【0507】
また、n型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、およびキノン誘導体等が挙げられる。
【0508】
活性層が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン、およびルブレン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0509】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ルブレン誘導体、テトラセン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、およびポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0510】
電子供与性の有機半導体材料のHOMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のHOMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。電子供与性の有機半導体材料のLUMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のLUMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。
【0511】
電子受容性の有機半導体材料として、球状のフラーレンを用い、電子供与性の有機半導体材料として、平面に近い形状の有機半導体材料を用いることが好ましい。似た形状の分子同士は集まりやすい傾向にあり、同種の分子が凝集すると、分子軌道のエネルギー準位が近いため、キャリア輸送性を高めることができる。
【0512】
また、活性層に、ドナーとして機能するPoly[[4,8-bis[5-(2-ethylhexyl)-2-thienyl]benzo[1,2-b:4,5-b’]dithiophene-2,6-diyl]-2,5-thiophenediyl[5,7-bis(2-ethylhexyl)-4,8-dioxo-4H,8H-benzo[1,2-c:4,5-c’]dithiophene-1,3-diyl]]polymer(略称:PBDB-T)、または、PBDB-T誘導体などの高分子化合物を用いることができる。例えば、PBDB-TまたはPBDB-T誘導体にアクセプター材料を分散させる方法などが使用できる。
【0513】
活性層は、n型半導体とp型半導体とを共蒸着して形成することが好ましい。または、活性層は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0514】
また、活性層には3種類以上の材料を混合させてもよい。波長域を拡大する目的で、n型半導体の材料と、p型半導体の材料と、に加えて、第3の材料を混合してもよい。このとき、第3の材料は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。
【0515】
受光デバイスは、活性層以外の層として、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。また、上記に限られず、正孔注入性の高い物質、正孔ブロック材料、電子注入性の高い物質、または電子ブロック材料などを含む層をさらに有していてもよい。受光デバイスが有する活性層以外の層には、例えば、上述の発光デバイスに用いることができる材料を用いることができる。
【0516】
正孔輸送性材料または電子ブロック材料として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)などの高分子化合物、および、モリブデン酸化物、ヨウ化銅(CuI)などの無機化合物を用いることができる。また、電子輸送性材料または正孔ブロック材料として、酸化亜鉛(ZnO)などの無機化合物、ポリエチレンイミンエトキシレート(PEIE)などの有機化合物を用いることができる。受光デバイスは、例えば、PEIEとZnOとの混合膜を有していてもよい。
【0517】
[光検出機能を有する表示装置]
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、発光デバイスがマトリクス状に配置されており、当該表示部で画像を表示することができる。また、当該表示部には、受光デバイスがマトリクス状に配置されており、表示部は、画像表示機能に加えて、撮像機能およびセンシング機能の一方または双方を有する。表示部は、イメージセンサまたはタッチセンサに用いることができる。つまり、表示部で光を検出することで、画像を撮像すること、または、対象物(指、手、またはペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。すなわち、受光デバイスを有する表示装置は、タッチパネルとして機能させることができる。
【0518】
さらに、本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスをセンサの光源として利用することができる。本発明の一態様の表示装置では、表示部が有する発光デバイスが発した光を対象物が反射(または散乱)した際、受光デバイスがその反射光(または散乱光)を検出できるため、暗い場所でも、撮像またはタッチ検出が可能である。
【0519】
したがって、表示装置と別に受光部および光源を設けなくてもよく、電子機器の部品点数を削減することができる。例えば、電子機器に設けられる生体認証装置、またはスクロールなどを行うための静電容量方式のタッチパネルなどを別途設ける必要がない。したがって、本発明の一態様の表示装置を用いることで、製造コストが低減された電子機器を提供することができる。
【0520】
具体的には、本発明の一態様の表示装置は、画素に、発光デバイスと受光デバイスを有する。本発明の一態様の表示装置では、発光デバイスとして有機ELデバイスを用い、受光デバイスとして有機フォトダイオードを用いる。有機ELデバイスおよび有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機ELデバイスを用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。
【0521】
画素に、発光デバイスおよび受光デバイスを有する表示装置では、画素が受光機能を有するため、画像を表示しながら、対象物の接触または近接を検出することができる。例えば、表示装置が有する副画素全てで画像を表示するだけでなく、一部の副画素は、光源としての光を呈し、残りの副画素で画像を表示することもできる。
【0522】
受光デバイスをイメージセンサに用いる場合、表示装置は、受光デバイスを用いて、画像を撮像することができる。例えば、本実施の形態の表示装置は、スキャナとして用いることができる。
【0523】
例えば、イメージセンサを用いて、指紋、掌紋、虹彩、脈形状(静脈形状、動脈形状を含む)、または顔などを用いた個人認証のための撮像を行うことができる。
【0524】
例えば、イメージセンサを用いて、ウェアラブル機器の使用者の、目の周辺、目の表面、または目の内部(眼底など)の撮像を行うことができる。したがって、ウェアラブル機器は、使用者の瞬き、黒目の動き、および瞼の動きの中から選ばれるいずれか一または複数を検出する機能を備えることができる。
【0525】
また、受光デバイスは、タッチセンサ(ダイレクトタッチセンサともいう)またはニアタッチセンサ(ホバーセンサ、ホバータッチセンサ、非接触センサ、タッチレスセンサともいう)などに用いることができる。
【0526】
ここで、タッチセンサまたはニアタッチセンサは、対象物(指、手、またはペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。
【0527】
タッチセンサは、表示装置と、対象物とが、直接接することで、対象物を検出できる。また、ニアタッチセンサは、対象物が表示装置に接触しなくても、当該対象物を検出することができる。例えば、表示装置と、対象物との間の距離が0.1mm以上300mm以下、好ましくは3mm以上50mm以下の範囲で表示装置が当該対象物を検出できる構成であると好ましい。当該構成とすることで、表示装置に対象物が直接触れずに操作することが可能となる、別言すると非接触(タッチレス)で表示装置を操作することが可能となる。上記構成とすることで、表示装置に汚れ、または傷がつくリスクを低減することができる、または対象物が表示装置に付着した汚れ(例えば、ゴミ、またはウィルスなど)に直接触れずに、表示装置を操作することが可能となる。
【0528】
また、本発明の一態様の表示装置は、リフレッシュレートを可変にすることができる。例えば、表示装置に表示されるコンテンツに応じてリフレッシュレートを調整(例えば、1Hz以上240Hz以下の範囲で調整)して消費電力を低減させることができる。また、当該リフレッシュレートに応じて、タッチセンサ、またはニアタッチセンサの駆動周波数を変化させてもよい。例えば、表示装置のリフレッシュレートが120Hzの場合、タッチセンサ、またはニアタッチセンサの駆動周波数を120Hzよりも高い周波数(代表的には240Hz)とする構成とすることができる。当該構成とすることで、低消費電力が実現でき、かつタッチセンサ、またはニアタッチセンサの応答速度を高めることが可能となる。
【0529】
また、本発明の一態様の表示装置では、受光デバイス上にレンズを設けることができる。当該レンズの幅を受光部の幅よりも大きくすることで、光の集光能力を高めることができ、受光デバイスの光感度を向上させることができる。
【0530】
図22(C)乃至(E)に示す表示装置100は、基板351と基板359との間に、受光デバイスを有する層353、機能層355、および発光デバイスを有する層357を有する。
【0531】
機能層355は、受光デバイスを駆動する回路、および発光デバイスを駆動する回路を有する。機能層355には、スイッチ、トランジスタ、容量、抵抗、配線、および端子などのうち一つまたは複数を設けることができる。なお、発光デバイスおよび受光デバイスをパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチおよびトランジスタを設けない構成としてもよい。
【0532】
例えば、図22(C)に示すように、発光デバイスを有する層357において発光デバイスが発した光を、表示装置100に接触した指352が反射することで、受光デバイスを有する層353における受光デバイスがその反射光を検出する。これにより、表示装置100に指352が接触したことを検出することができる。
【0533】
また、図22(D)、(E)に示すように、表示装置に近接している(接触していない)対象物を検出または撮像する機能を有していてもよい。図22(D)では、人の指を検出する例を示し、図22(E)では人の目の周辺、表面、または内部の情報(瞬きの回数、眼球の動き、瞼の動きなど)を検出する例を示す。
【0534】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0535】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図23(A)乃至図24(G)を用いて説明する。
【0536】
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を有する。本発明の一態様の表示装置は、高精細化および高解像度化が容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
【0537】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0538】
本発明の一態様の表示装置は、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、またはそれ以上の解像度とすることが好ましい。また、本発明の一態様の表示装置の画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、表示装置は、1:1(正方形)、4:3、16:9、16:10など様々な画面比率に対応することができる。
【0539】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0540】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0541】
図23(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0542】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、および光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0543】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、画素の開口率を高くすることができるため、光の取り出し効率が高く、極めて明るい画像を表示することができる。
【0544】
図23(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0545】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0546】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、およびタッチパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。当該タッチパネルの機能は、本発明の一態様の表示装置が有する受光デバイスで担うこともできる。本発明の一態様の表示装置が有する受光デバイスは、レンズを介して光を検出する構成であり、光感度が高い特徴を有し、タッチ位置の検出能力に優れている。また、受光デバイスで指紋認証用の画像を取得することもできる。
【0547】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0548】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0549】
図23(C)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0550】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、画素の開口率を高くすることができるため、光の取り出し効率が高く、極めて明るい画像を表示することができる。
【0551】
図23(C)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、および、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネルおよび音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0552】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機およびモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0553】
図23(D)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0554】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、画素の開口率を高くすることができるため、光の取り出し効率が高く、極めて明るい画像を表示することができる。
【0555】
図23(E)、(F)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0556】
図23(E)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、およびスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0557】
図23(F)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0558】
図23(E)、(F)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、画素の開口率を高くすることができるため、光の取り出し効率が高く、極めて明るい画像を表示することができる。
【0559】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0560】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。当該タッチパネルは、本発明の一態様の表示装置が有する受光デバイスで構成することもできる。本発明の一態様の表示装置が有する受光デバイスは、レンズを介して光を検出する構成であり、光感度が高い。したがって、感度が高く、タッチ位置の検出能力に優れたタッチパネルとすることができる。
【0561】
また、図23(E)、(F)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0562】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0563】
図24(A)乃至(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0564】
図24(A)乃至(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画または動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0565】
図24(A)乃至(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。なお、これらの電子機器に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、画素の開口率を高くすることができるため、光の取り出し効率が高く、極めて明るい画像を表示することができる。また、これらの電子機器は、タッチパネルの機能を有することができる。当該タッチパネルの機能は、本発明の一態様の表示装置が有する受光デバイスで担うこともできる。本発明の一態様の表示装置が有する受光デバイスは、レンズを介して光を検出する構成であり、光感度が高い特徴を有し、タッチ位置の検出能力に優れている。また、受光デバイスで指紋認証用の画像を取得することもできる。
【0566】
図24(A)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字および画像情報をその複数の面に表示することができる。図24(A)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールまたはSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、電波強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0567】
図24(B)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0568】
図24(C)は、タブレット端末9103を示す斜視図である。タブレット端末9103は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧および作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9103は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
【0569】
図24(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えば、スマートウォッチ(登録商標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、および充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0570】
図24(E)乃至(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図24(E)は携帯情報端末9201を展開した状態、図24(G)は折り畳んだ状態、図24(F)は図24(E)と図24(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0571】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0572】
10 画素
11 副画素
12 副画素
13 画素アレイ
14 回路
15 回路
16 回路
17 CDS回路
18 回路
19 回路
20 回路
21 A/D変換回路
22 回路
23 コンパレータ
24 エンコーダ
30 表示装置
100A 表示装置
100T トランジスタ
100 表示装置
101 層
102 基板
104e 導電層
104 導電層
105 導電層
106 絶縁層
107a 絶縁層
107b 絶縁層
107c 絶縁層
107 絶縁層
108 半導体層
109 絶縁層
110a 副画素
110b 副画素
110c 副画素
110d 副画素
110e 副画素
110 画素
111c 画素電極
111d 画素電極
112a 導電層
112a_1 導電層
112a_2 導電層
112b 導電層
112d 導電層
113_1 発光ユニット
113_2 発光ユニット
113_3 電荷発生層
113c 層
113d 層
114 共通層
115 導電層
116 導電層
117 共通電極
118c マスク層
118d マスク層
120 基板
122 接着層
125 絶縁層
126a 導電層
126b 導電層
126d 導電層
127 絶縁層
128 層
129a 導電層
129b 導電層
129d 導電層
130c 発光デバイス
130G 発光デバイス
130R 発光デバイス
131 保護層
135 遮光層
137 着色層
141a 開口
141b 開口
141 開口
142 開口
144a 開口
144b 開口
150P 受光デバイス
150 受光デバイス
151 基板
152 基板
162 表示部
164a 回路
164b 回路
164 回路
165a 配線
165b 配線
165 配線
166 導電層
167 回路
172a FPC
172b FPC
173a ICチップ
173b ICチップ
201 トランジスタ
204 接続部
205 トランジスタ
206 トランジスタ
209 トランジスタ
210 トランジスタ
211 絶縁層
213 絶縁層
214 絶縁層
215 絶縁層
218 絶縁層
221 導電層
222a 導電層
222b 導電層
223 導電層
225 絶縁層
231i チャネル形成領域
231n 低抵抗領域
231 半導体層
242 接続層
255a 絶縁層
255b 絶縁層
255c 絶縁層
351 基板
352 指
353 層
355 機能層
357 層
359 基板
761 下部電極
762 上部電極
763a 発光ユニット
763b 発光ユニット
763c 発光ユニット
763 EL層
764 層
765 層
766 層
767 活性層
768 層
771a 発光層
771b 発光層
771c 発光層
771 発光層
772a 発光層
772b 発光層
772c 発光層
772 発光層
773 発光層
780a 層
780b 層
780c 層
780 層
781 層
782 層
785 電荷発生層
790a 層
790b 層
790c 層
790 層
791 層
792 層
6500 電子機器
6501 筐体
6502 表示部
6503 電源ボタン
6504 ボタン
6505 スピーカ
6506 マイク
6507 カメラ
6508 光源
6510 保護部材
6511 表示パネル
6512 光学部材
6513 タッチパネル
6515 FPC
6516 IC
6517 プリント基板
6518 バッテリ
7000 表示部
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 スタンド
7111 リモコン操作機
7200 ノート型パーソナルコンピュータ
7211 筐体
7212 キーボード
7213 ポインティングデバイス
7214 外部接続ポート
7300 デジタルサイネージ
7301 筐体
7303 スピーカ
7311 情報端末機
7400 デジタルサイネージ
7401 柱
7411 情報端末機
9000 筐体
9001 表示部
9002 カメラ
9003 スピーカ
9005 操作キー
9006 接続端子
9007 センサ
9008 マイクロフォン
9050 アイコン
9051 情報
9052 情報
9053 情報
9054 情報
9055 ヒンジ
9101 携帯情報端末
9102 携帯情報端末
9103 タブレット端末
9200 携帯情報端末
9201 携帯情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24