(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164390
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コロナウイルス感染症を治療又は予防する方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/21 20060101AFI20231102BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231102BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231102BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231102BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231102BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231102BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K38/21
A61P31/14
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K9/20
A61K9/70
A61K9/12
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023074110
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】63/336052
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/354975
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/375962
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523161424
【氏名又は名称】美商艾諾斯生技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AINOS INC. TAIWAN BRANCH (USA)
【住所又は居所原語表記】14F.,No.61,Sec. 4,New Taipei Blvd.,Xinzhuang Dist.,New Taipei City 242032,Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】尤 宗富
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群賢
(72)【発明者】
【氏名】李 庭鵑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群榮
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA71
4C076BB01
4C076BB25
4C076CC35
4C076FF04
4C076FF61
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA19
4C084CA53
4C084DA22
4C084DA23
4C084DA24
4C084MA13
4C084MA32
4C084MA35
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA59
4C084NA14
4C084ZB33
4C084ZC75
(57)【要約】
【課題】 コロナウイルスの感染症を治療及び/又は予防する方法を提供すること。
【解決手段】 当該方法は:治療有効量のインターフェロンを含む組成物を、舌下投与及び/又は頬側投与を介して対象に提供するステップを含み、コロナウイルスはSARS-CoV-2を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルスの感染症を治療及び/又は予防する方法であって、治療有効量のインターフェロンを含む組成物を、舌下投与及び/又は頬側投与を介して対象に提供するステップを含み、前記コロナウイルスはSARS-CoV-2を含む、方法。
【請求項2】
前記組成物は、インターフェロンアルファ(INF-α)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記INF-αは、遺伝子組換えINF-αである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、1,000IU又は1,000マイクログラム以下の用量のINF-αを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物は、1IU以上の用量のINF-αを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物は、1IU~1,000IUの用量のINF-αを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物は、緩衝剤、キャリア、及び/又は賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物は、インターフェロンベータ及び/又はインターフェロンガンマをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、抗ウイルス剤及び/又は抗炎症剤をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
抗ウイルス剤及び/又は抗炎症剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物は、トローチ、錠剤、フィルム、又はスプレーの剤形である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
コロナウイルスの感染症の治療及び/又は予防のための組成物であって、治療有効量のインターフェロンアルファ(INF-α)を含み、舌下投与及び/又は頬側投与の剤形である組成物。
【請求項13】
前記INF-αは、遺伝子組換えINF-αである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記INF-αは、1IU~1,000IUである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
緩衝剤、キャリア、及び/又は賦形剤をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
インターフェロンベータ及び/又はインターフェロンガンマをさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
抗ウイルス剤及び/又は抗炎症剤をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
トローチ、錠剤、フィルム、又はスプレーの剤形である、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナウイルス感染症を治療又は予防する方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス疾患(COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2ウイルス)によって引き起こされる感染性疾患である。COVID-19は、人によって影響の受け方が異なる。ほとんどの感染者は軽度から中等度の疾病を発症し、入院することなく回復する。しかし、重症例では、患者は、急性呼吸促迫症候群(SARS)、急性致死的肺不全、及び/又は多併発の多臓器不全症候群を急速に進行させることがある。ほぼ全ての患者が、異なる程度の肺損傷を有する。
【0003】
COVID-19感染症は、肺細胞での自己インターフェロンの分泌を阻害することによって、炎症促進性のサイトカインの持続的な放出を引き起こし、結果として、肺に免疫細胞が持続的に蓄積し、重度の炎症(すなわち、サイトカインストーム)を引き起こし、壊死を引き起こすことさえある。現在の治療法のほとんどは、治療の主要なメカニズムとしてウイルス抑制又は免疫抑制を使用している。
【0004】
インターフェロン(IFN)は、ウイルス、細菌、寄生虫、又は腫瘍細胞等の病原体の存在に応答して宿主細胞によって作られるタンパク質である。IFNは、細胞間での伝達を可能にして、病原体又は腫瘍を根絶する免疫系の保護的防御をトリガする。同定されているヒトインターフェロンの9つの異なるファミリーのうち、インターフェロン-アルファ(IFNα)が最も広く研究されている。米国FDAは、B型及びC型肝炎と同様に、いくつかのがんの治療のために注射によって与えられる大用量でのIFNαの使用を承認している。インターフェロンの関連技術分野では、従来の知識は、例えば100万IUを超える高用量のインターフェロンを使用し、典型的には筋肉注射によって投与して症状を全身的に治療することである。
【0005】
COVID-19を治療及び/又は予防する方法及び/又は組成物が依然として必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Shackelford et al. (Toxicologic Pathology, Vol 30, No 1, pp93-96, 2002)
【発明の概要】
【0007】
本願は、コロナウイルスの感染症を治療及び/又は予防する方法を記載し、当該方法は:治療有効量のインターフェロンを含む組成物を、舌下投与及び/又は頬側投与を介して対象に提供するステップを含み;コロナウイルスはSARS-CoV-2を含む。
【0008】
本願は、コロナウイルスの感染症の治療及び/又は予防のための組成物も提供し、当該組成物は、治療有効量のインターフェロンアルファ(INF-α)を含み、トローチの剤形である。当該組成物は、患者に舌下投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の異なる動物実験における体重変化を示した図である。
【
図2】本願の異なる動物実験における体重変化を示した図である。
【
図3】本願の異なる動物実験における体重変化を示した図である。
【
図4】本願の異なる動物実験における体重変化を示した図である。
【
図5】本願の異なる動物実験における体重変化を示した図である。
【
図6】本願の異なる動物実験における体重変化を示した図である。
【
図7】鼻甲介に対するSARS-CoV-2デルタ変異株のウイルス力価決定を示した図である。
【
図8】肺に対するSARS-CoV-2デルタ変異株のウイルス力価決定を示した図である。
【
図9】鼻甲介に対するSARS-CoV-2オミクロン変異株のウイルス力価決定を示した図である。
【
図10】肺に対するSARS-CoV-2オミクロン変異株のウイルス力価決定を示した図である。
【
図11A】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験におけるプラセボ群に対する病理組織学的所見表を示した図である。
【
図11B】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験におけるVeldona群に対する病理組織学的所見表を示した図である。
【
図12A】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図12B】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図12C】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図12D】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図13-1】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図13-2】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図13-3】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図14-1】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図14-2】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図14-3】SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図15A】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図15B】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図15C】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図15D】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示した図である。
【
図16-1】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図16-2】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図16-3】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図16-4】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【
図17】SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理検査の写真を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一態様において、本願は、コロナウイルスの感染症を治療及び/又は予防する方法を提供し、当該方法は:治療有効量のインターフェロンを含む組成物を、舌下投与及び/又は頬側投与を介して対象に提供するステップを含み;コロナウイルスはSARS-CoV-2を含む。
【0011】
コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、SARS-CoV-1、及び中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)等であり得る。一実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。臨床的には、SARS-CoV-2は、Alpha(B.1.1.7)、Beta(B.1.351)、Gamma(P.1)、Delta(B.1.617.2)、Mu(B.1.621)、R.1、Epsilon、Theta、及びZeta等のいくつかの変異株を有する。本発明の治療及び/又は予防方法は、SARS-CoV-2の全ての変異株に適用することができる。
【0012】
本願の方法は、インターフェロンを含む組成物の舌下投与及び/又は頬側投与によって特徴づけられる。適したインターフェロンの例として、I型INF、II型INF、及びIII型INFを挙げることができる。
【0013】
好ましい実施形態において、組成物は、インターフェロンアルファ(INF-α)を含む。INF-αは、天然のINF-α、遺伝子組換えINF-α、又はそれらの混合物であってもよい。好ましい実施形態において、含有されるINF-αは、遺伝子組換えINF-αである。
【0014】
一部の実施形態において、組成物は、インターフェロンベータ及び/又はインターフェロンガンマをさらに含み得る。
【0015】
従来の知識とは対照的に、本願は、高用量の注射用IFNαの無毒性代替物である、経口送達のための低用量のIFNαを有する組成物を適用する。より具体的には、低用量のIFNαは、舌下投与及び/又は頬側投与を介して与えられる。
【0016】
舌下投与は、組成物を舌下に置いて、舌下の組織を介して対象の血液中に溶解及び吸収させることを含む。頬側投与は、組成物を歯肉と頬との間に置き、そこで組成物は溶解し、対象の血液中に吸収されることを含む。一般的に、舌下投与及び/又は頬側投与された組成物は、消化管を通過し且つ消化管によって吸収されることはない。
【0017】
舌下投与及び/又は頬側投与の剤形の例として、トローチ、錠剤、フィルム、及びスプレー等を挙げることができるが、これらに限定されない。一実施形態において、組成物は、トローチの剤形である。一実施形態において、組成物は、口内崩壊錠の剤形である。口内崩壊錠は、さらなる液体を必要とすることなく、数秒以内に口腔内で崩壊することができる。
【0018】
従って、舌下投与及び/又は頬側投与を介して、口腔粘膜は組成物と迅速に接触し且つ組成物を吸収することができ、治療効果をより効率的に得ることができる。加えて、舌下投与及び/又は頬側投与によって、より高い服薬遵守を展開させることができる。
【0019】
一実施形態において、組成物は、1,000国際単位(IU)以下の用量のINF-αを含む。一実施形態において、組成物は、1,000マイクログラム以下の用量のINF-αを含む。投与量は、例えば、900IU未満、800IU未満、700IU未満、600IU未満、500IU未満、400IU未満、300IU未満、200IU未満、又は100IU未満であり得る。
【0020】
一実施形態において、組成物は、1IU以上、例えば、2IUを超える、3IUを超える、4IUを超える、5IUを超える、10IUを超える、25IUを超える、50IUを超える、75IUを超える、80IUを超える、又は90IUを超える用量のINF-αを含む。
【0021】
一実施形態において、組成物は、1IU~1,000IU、例えば、2IU、3IU、4IU、5IU、8IU、10IU、25IU、50IU、75IU、80IU、90IU、100IU、200IU、300IU、400IU、500IU、600IU、700IU、800IU、900IU、950IU、又は上記の値のいずれか2つの間の範囲内にある値の用量のINF-αを含む。
【0022】
好ましい実施形態では、組成物に含有されるINF-αは、1IU~500IUであり得る。別の好ましい実施形態では、組成物に含有されるINF-αは、1IU~100IUであり得る。別の好ましい実施形態では、組成物に含有されるINF-αは、5IU~50IUであり得る。より好ましい実施形態では、組成物に含有されるINF-αは、1IU~10IUであり得る。
【0023】
組成物は、緩衝剤、キャリア、又は賦形剤等を含んでもよい。
【0024】
適した緩衝剤の例として、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、及びホウ酸緩衝液等を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、緩衝剤は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、及び生理食塩水等であってもよい。
【0025】
適したキャリアの例として、炭水化物、抗酸化剤、キレート剤、及び低分子量タンパク質等を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、キャリアは、グルコース、スクロース、デキストラン、アスコルビン酸、及びグルタチオン等であってもよい。
【0026】
適した賦形剤の例として、希釈剤、コーティング剤、着色剤、潤滑剤、保存料、及び香料等を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、賦形剤は、エタノール、ラクトース、及びデンプン等であってもよい。
【0027】
一実施形態では、コロナウイルスの感染症を治療及び/又は予防する方法は:治療有効量の抗ウイルス剤、抗炎症剤、インターフェロンベータ、及び/又はインターフェロンガンマを対象に投与するステップをさらに含む。抗ウイルス剤の例として、レムデシビル、パキロビッド、モルヌピラビル、及びゾコーバ等を挙げることができるが、これらに限定されない。そのような投与は、INF-αを含む組成物の投与に先立ち、それと同時に、又はその後に行うことができる。そのような投与のルートは限定されておらず、例えば、抗ウイルス剤は、経口投与することができるか又は注射若しくは吸入を介して投与することができる。
【0028】
別の態様において、本願は、コロナウイルスの感染症の治療及び/又は予防のための組成物も提供し、当該組成物は、治療有効量のインターフェロンアルファ(INF-α)を含み、舌下投与及び/又は頬側投与の剤形である。
【0029】
一実施形態において、INF-αは、遺伝子組換えINF-αである。
【0030】
一実施形態において、INF-αは、1IU~1,000IU、例えば、2IU、3IU、4IU、5IU、8IU、10IU、25IU、50IU、75IU、80IU、90IU、100IU、200IU、300IU、400IU、500IU、600IU、700IU、800IU、900IU、950IU、又は上記の値のいずれか2つの間の範囲内にある値である。
【0031】
一実施形態において、当該組成物は、緩衝剤、キャリア、及び/又は賦形剤をさらに含む。一部の実施形態において、緩衝剤は、リン酸緩衝食塩水(PBS)であってもよい。
【0032】
一実施形態において、当該組成物は、インターフェロンベータ及び/又はインターフェロンガンマをさらに含む。
【0033】
一実施形態において、当該組成物は、抗ウイルス剤及び/又は抗炎症剤をさらに含む。
【0034】
本願では、舌下投与及び/又は頬側投与の剤形は、トローチ、錠剤、フィルム、及びスプレー等を含み得る。一実施形態において、当該組成物は、トローチの剤形である。
【0035】
本願において、当該組成物は、低用量、すなわち1~1000IUのINF-αのトローチとして口腔内に送達される。経口投与されたIFNαは、末梢血中の数十の免疫系遺伝子を活性化することができ、さらに、高用量のIFNαの注射に伴う副作用を有することなく、ウイルス疾患に対して有効であり得る。
【0036】
本願では、低用量のIFNαの舌下投与及び/又は頬側投与は、速やかに対象によって吸着され、消化によって引き起こされる治療効果の低下を防ぎ、さらに、より高い服薬遵守を展開させることができる。
【0037】
実施例
Golden Syrianハムスターモデルは、人工的な遺伝子操作なしで感染し得るため、in vivoでの有効性の指標として、BARDA(Biomedical Advanced Research and Development Authority, Health and Human Services, US)によって推奨されている。実際には、ハムスターは7~10日で感染から回復し、一般的な臨床徴候は発熱を伴わない体重減少(10~20%)である。本願では、ウイルス除菌に対する薬効が、鼻及び肺において、ウイルス量の一次指標を介して、評価されることになる。また、感染の間の体重変化の割合も評価されることになる。あり得る薬物の作用機序を調査するために、qPCRを用いていくつかの鍵となるサイトカインの血漿中レベルを評価するための二次指標も提案されている。
【0038】
以下の実施例では、雄のゴールデンハムスターを、National Laboratory Animal Center (National Applied Research Laboratories, Taiwan)から入手している。全ての実験を、ABSL-3コアファシリティ(Institute of Preventive Medicine, National Defense Medical College)において行った。ハムスターを、異なる同腹仔から実験群に無作為に分け、実験の前に1週間、ABSL-3ファシリティにおいて気候順化させた。研究プロトコルは、Committee on the Institutional Animal Care and Use, Institute of Preventive Medicineによってレビュー及び承認された(Permit number:AN-111-11)。
【実施例0039】
材料及び方法
細胞株及びウイルス
Vero E6細胞を、10%ウシ胎仔血清を有するDMEM培地において培養した。全てのケースにおいて細胞の継代数は、25未満であった。SARS-CoV-2ウイルスは、Taiwan Center for Disease Control(hCoV-19/Taiwan/1144/2021; B.1.617.2; EPI_ISL_5854263)によって提供され、Vero E6細胞において増殖させた。SARS-CoV-2力価を、プラークアッセイを介して決定し、BSL-3又はBSL-4施設において処理した。
【0040】
SARS-CoV-2デルタ変異株及びオミクロン変異株を本願では適用した。
【0041】
動物実験
12匹のハムスター(~5から6週齢)を、0日目において鼻腔内投与(50ul/nare)を介してSARS-CoV-2(デルタ変異株)に曝露させた(投与量:1×104pfu/ml)。次に、ハムスターを2つの群に分け、一方の群には本願の組成物を投与し(以下、簡単に「Veldona群」として示される場合もあり)、もう一方の群にはプラセボ群として緩衝液を投与した(以下、「対照群」とも呼ばれる)。この実施例では、本願の組成物は、8IU/100g(QD)の用量のインターフェロンアルファを有している。ハムスターに対してこの用量では、毒性は見られない。ハムスターを、以下の分析のために屠殺した。
【0042】
SARS-CoV-2デルタ変異株の試験に対して、0日目のウイルス感染の6時間後から毎日、ハムスターに本願の組成物を投与した。ハムスターを、3日目及び6日目に屠殺した。
【0043】
SARS-CoV-2オミクロン変異株の試験に対して、5日間(-5日目から-1日目まで)ウイルスの曝露前、及び0日目のウイルス感染の6時間後から毎日、ハムスターに投与した。総処理期間は16日であった。ハムスターを、2日目、5日目、及び10日目に屠殺した。
【0044】
体重の変化
ハムスターの体重を実験期間中毎日測定し、さらに、体重の変化を計算した。
【0045】
肺及び鼻甲介の処理ステップ
肺組織を、1mLのDMEM培地及び3mmのガラスビーズをそれぞれ含有する2mLチューブに移し、Tissue Lyser machine(Bertin/Precellys24)を使用して粉砕した。100μLの上澄み培地(肺のRT-qPCR用上澄み液)をRNA抽出用のTRIzol試薬を0.9mL含有する2mLチューブに移した。100μLの上澄み培地はプラークアッセイを行う準備ができていた。バックアップのため、250μLの上澄み培地を両方とも-80°Cで保存した。鼻甲介のRT-qPCR用上澄み液の抽出は、肺組織処理の手順に従った。
【0046】
定量的リアルタイムRT-PCR(RT-qPCR)アッセイ
100μLの組織の上澄み液を、TANBead核酸抽出キットを介したRNA抽出のために採取した。RNAを定量化した後、1μgのRNAを、SuperScript IV逆転写酵素キット(Invitrogen)を使用してcDNAに逆転写した。その後、NP遺伝子に特異的なプライマー対を使用して、PowerTrack SYBR Green Master Mix(Applied biosystems)及びLightCycler480システムを用いてRT-qPCRを行った。RT-qPCRの標的遺伝子には、SARS-CoV-2NP遺伝子、IFN-α(-2b)、IFN-β、IFN-λ、IL-6、TNF-α、及びTGF-βが含まれ、内部対照としてGAPDHが含まれた。
【0047】
肺組織の病理学的切片及び解釈
National Laboratory Animal Centerに、肺組織の病理学的切片のHE染色及び解釈の実行を委託した。提出した肺に対して病理組織学的評価を行った。病変(肺の炎症領域を除く)の重症度を、非特許文献1によって記載された方法に従って段階分けした。病変の程度を、重症度に応じて0から5まで病理組織学的に段階分けした(0=存在しない;1=最小(<1%);2=わずか(1~25%);3=中程度(26~50%);4=中等度(51~75%);5=重度/高(76~100%))。
【0048】
(左葉からの)病変は、剖検時に視覚的に評価され、肺の写真が、いかなる肉眼所見の証拠としても撮影されることになる。(左葉からの)組織は、病理組織H&E染色のためにカセットにおいて収集されることになる。
【0049】
結果
いくつかの独立した動物実験を実行し、結果を以下のように示した。
図1から
図6は、異なる動物実験における体重変化の割合を示している。
図1~3は、SARS-CoV-2デルタ変異株に対するものであり、
図4~6は、SARS-CoV-2オミクロン変異株に対するものであった。図において示されているように、ハムスターは、ウイルスに感染した後、最初の3日間が最も重症であり、その体重は急激に減少した。感染後約7~10日で、ハムスターは回復し、体重も戻った。対照群と比較して、Veldona群のハムスターは4日目に有意に体重が戻り、ほぼ感染前の状態に戻ったということを結果は示した。次に、体重は安定したままであった。このことは、本願の組成物が有意な抗COVID-19ウイルス効果を有するということを示している。
【0050】
図7及び
図8は、それぞれ鼻甲介及び肺に対するSARS-CoV-2デルタ変異株のウイルス力価決定を示している。
図9及び
図10は、それぞれ鼻甲介及び肺に対するSARS-CoV-2オミクロン変異株のウイルス力価決定を示している。
【0051】
図7及び
図8において示されている結果によると、感染後3日目のVeldona群の鼻腔におけるSARS-CoV-2デルタ変異株の量は、対照群と類似していたが、感染後6日目には、4匹のハムスターにおけるウイルスの量が有意に減少したということがわかった。さらに重要なことに、下気道の感染部位では、Veldona群は、プラセボ群よりも感染後3日目のハムスターの肺においてより少ないウイルスを有した。感染後6日目には、ハムスターは、ウイルスの量が有意に減少したということがわかった。
【0052】
図9及び
図10において示されている結果によると、Veldona群は、プラセボ群よりも感染後5日目のハムスターの肺において有意に少ないウイルスを有し、10日目には炎症はなかった。感染後10日目に、Veldona群のハムスターは、肺のウイルス量が有意に減少したということがわかった。上記の2つの結果を組み合わせると、Veldona群のハムスターは、15日間の処理期間中、良好な抗COVID-19の有効性を示している。
【0053】
図11A及び
図11Bは、SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験におけるプラセボ群及びVeldona群に対する病理組織学的所見表をそれぞれ示している。
図12A~12Dは、SARS-CoV-2デルタ変異株の別の動物実験における病理組織学的所見表を示している。
【0054】
図13及び
図14は、SARS-CoV-2デルタ変異株の一動物実験における病理検査の写真を示している。
図13の左側の欄はH&E染色を用いた肺組織切片を示し、肺葉における多巣性肺炎症を矢印によって示し、さらに、人工的な損傷(肺胞管腔内の血管外遊出した血液細胞)又は剖検手順に関連するアーチファクトを、丸で囲まれた領域よって示した。
図13の右側の欄は、肺切片の部分的な拡大、すなわち左側の欄において示されているボックスで囲まれた領域の高倍率(200X)のものを示している。動物ID及び観察した症状を、各写真の下に書き留めた。動物ID及びその詳細な情報を表1に示した。
【0055】
【表1】
SARS-CoV-2デルタ変異株の動物実験の1つにおいて、病理組織学的検査の結果は、
図12A~12Dの病理組織学的所見表において提示されている顕微鏡的変化、及び
図13~14において提示されている病理写真を含んだ。組織学的に、SARS-CoV-2(デルタ変異株)に感染したSyrianハムスターは以下を含む病変を提示した。
【0056】
混合細胞型の炎症、気管支周囲の浸潤、及び血管周囲の浸潤:
3dpi(接種後の日数)において、病変を、肺胞/間質、並びに肺における気管支周囲及び血管周囲内のリンパ球細胞型及び組織球細胞型とヘテロフィルとの混合物によって特徴づけた。病変の重症度は最小からわずかであった。6dpiにおいて、ハムスターは肺のわずかから中程度の混合細胞型の間質性炎症を発症し、主に、ほとんどヘテロフィルを有さない単核細胞であった。
【0057】
細気管支内の炎症性浸潤を伴う又は伴わない気管支上皮細胞の変性/壊死:
病変を、SARS-CoV-2を接種した動物の肺において観察し、気管支腔へのヘテロフィルの浸潤と一緒くたにした冒された上皮の核の核濃縮、細胞の腫脹、細胞質の空胞形成、核周囲の透明帯(clear spaces)によって特徴づけた。病変の重症度は最小から中程度であった。
【0058】
細気管支上皮の再生性過形成:
病変を、6dpiに、SARS-CoV-2を接種した動物の肺において主に観察した。上皮の再生性過形成は上皮損傷に対する一般的な反応である。細気管支上皮の過形成は、通常は繊毛を欠く表面呼吸上皮細胞の層の増加によって特徴づけられる。病変の重症度はわずかであった。
【0059】
肺胞壁の壊死:
病変を、SARS-CoV-2を接種した動物の肺において観察し、細胞の腫脹及び冒された上皮の核の核濃縮によって特徴づけた。病変の重症度は最小からわずかであった。
【0060】
II型肺胞上皮細胞の過形成:
病変を、6dpiに、SARS-CoV-2を接種した動物の肺において主に観察した。II型肺胞上皮細胞の過形成の特徴は、巨大核、巨大細胞、及び散在性合胞体を伴う反応性肥大を示した。病変の重症度はわずかであった。
【0061】
血管炎及び内皮炎(endothelialitis):
病変を、SARS-CoV-2を接種した動物の肺において観察した。内皮炎は、マクロファージ及びリンパ球の浸潤による管腔内への血管の隆起によって特徴づけられる。血管の炎症(血管炎)は、フィブリノイドの変性、並びに、ヘテロフィル及びリンパ球の炎症性浸潤によって特徴づけられる。病変の重症度は最小から中等度であった。
【0062】
肺実質の水腫及び出血:
肺出血は、肺胞管腔内の血管外遊出した血液細胞の蓄積によって特徴づけられる。肺水腫は、肺胞管腔内の同種の好酸球性物質の蓄積によって特徴づけられる。病変を、いくつかの提出した肺において観察した。出血及び水腫は、肺循環動態の変化又は肺胞壁内の空気-血液バリアへのダメージのいずれかから生じる。病変の重症度は最小からわずかであった。加えて、胸膜肥厚を、一部の提出した肺において観察した。病変は、接種したSARS-CoV-2に起因し得る。肺胞の石灰化を、一部の提出した肺において観察した。病変は、自然発症又は偶発の病変に起因し得る。人工的な損傷に関連する肺胞管腔内の血管外遊出した血液細胞は、組織試料採取による損傷に関連すると考えられた。
【0063】
Veldona群が対照群よりも優れていた病理学的指標は全てCOVID-19の肺症状であった。例えば、Veldona群では:(1)症状が肺炎に関連した状態であり、且つ急性呼吸促迫症候群(ARDS)、息切れ、疲労、吸入の難しさ、及び運動不耐性につながる可能性のある6dpiにおける肺の低膨張(under-inflation)は観察されず、(2)血栓につながる可能性のある血管炎及び内皮炎の低い程度;(3)II型肺胞上皮細胞の少ない過形成を観察することができた。肺の低膨張は、肺線維症及びARDSにつながる可能性がある。ARDS患者は、通常、集中治療を必要とし、40~70%の死亡率を引き起こす可能性がある。
【0064】
この研究では、肺の左葉における肺炎の重症度は、3dpi及び6dpiのVeldona群及び対照群において顕著な差はなかったけれども、Veldona群はIL-6及びTNF-アルファの発現が低く、IFN-アルファ、IFN-ガンマ、及びIFN-ラムダの発現が高く、これらは、肺組織のサイトカインqPCRの結果によって確認された。明らかに、Veldona群は、サイトカインストームを有することなく、より良好な抗ウイルス免疫反応を有した。上記の結果によると、中程度の肺炎(40~50%)を有するVeldona群は、対照群と比較してより少ないウイルス量を有した。
【0065】
図15A~15Dは、SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理組織学的所見表を示している。
図16及び
図17は、SARS-CoV-2オミクロン変異株の一動物実験における病理検査の写真を示している。
図16の左側の欄はH&E染色を用いた肺組織切片を示し(12.5X)、右側の欄は、肺切片の部分的な拡大、すなわち左側の欄において示されているボックスで囲まれた領域の高倍率(200X)のものを示している。動物試料ID及び観察した症状を、各写真の下に書き留めた。動物ID及びその詳細な情報を表2に示した。
【0066】
【表2】
SARS-CoV-2オミクロン変異株の動物実験の1つにおいて、病理組織学的検査の結果は、
図15A~15Dの病理組織学的所見表において提示されている顕微鏡的変化、及び
図16~17において提示されている病理写真を含んだ。組織学的に、SARS-CoV-2(オミクロン変異株)に感染したSyrianハムスターは以下を含む病変を提示した。
【0067】
混合細胞型の炎症、気管支周囲の浸潤、及び血管周囲の浸潤:
病変を、肺胞/間質内並びに肺における気管支周囲及び血管周囲のリンパ球細胞型及び組織球細胞型とヘテロフィルとの混合物によって特徴づけた。病変の重症度は最小であった。
【0068】
細気管支内の炎症性浸潤を伴う又は伴わない気管支上皮細胞の変性/壊死:
病変を、SARS-CoV-2を接種した動物の肺において観察し、気管支腔へのヘテロフィルの浸潤と一緒くたにした冒された上皮の核の核濃縮、細胞の腫脹、細胞質の空胞形成、核周囲の透明帯によって特徴づけた。病変の重症度は最小であった。
【0069】
血管炎及び内皮炎:
病変を、SARS-CoV-2を接種した動物の肺において観察した。内皮炎は、マクロファージ及びリンパ球の浸潤による管腔内への血管の隆起によって特徴づけられる。病変の重症度は最小であった。
【0070】
加えて、肺胞における骨化生及び肺胞の石灰化を、一部の提出した肺において観察した。病変は、自然発症又は偶発の病変に起因し得る。人工的な損傷に関連する肺胞管腔内の血管外遊出した血液細胞は、組織試料採取による損傷に関連すると考えられた。
【0071】
SARS-CoV-2を接種した関連する病変は、(1)混合細胞型の炎症、気管支周囲の浸潤、及び血管周囲の浸潤;(2)細気管支内の炎症性浸潤を伴う又は伴わない気管支上皮細胞の変性/壊死;(3)血管炎及び内皮炎;を含む。肺の低膨張及び肺胞を満たした赤血球(人工的な所見)を、大部分の提出した肺において観察し、病理組織学的検査はこれらのアーチファクトによって制限された。
【0072】
この研究では、オミクロン変異株に感染したハムスターの16日間のコースの処理(5日間の前処理及び感染後の10日間の処理)にわたる本願の組成物の有効性を評価した。被験物質無しの溶液を受けるハムスター(「対照群」)と比較して、被験物質を有する溶液を受けるハムスター(「Veldona群」)は、感染直後の体重減少に対する抵抗性を実証し、次に、その後3日間でより良好な回復傾向を示した。Veldona群におけるハムスターの体重は、処理期間中、対照群におけるハムスターよりも安定したままであった。
【0073】
病理学的指標については、10日目に、Veldona群におけるハムスターが、対照群における50%と比較して、混合細胞型の炎症、気管支周囲の浸潤、及び血管周囲の浸潤を示さなかった。Veldona群におけるハムスターは、概して、新しい変異ウイルス感染の治療指標において有望な結果を示した。
【0074】
ウイルス感染は、主に、上気道において生じるが、重症例では、下気道、すなわち肺にまで広がり、重篤で不可逆的な合併症を引き起こすことになる。このCOVID-19抗ウイルス有効性の研究では、
図1~3、7、8、11A~11B、12A~12D、13及び14において示されている結果を参照して、1日1回経口的に本願の組成物を受けたデルタ変異株に感染したハムスターは、対照と同様に有意に体重を維持し且つ回復するとわかった。7日間のコースの処理の後、Veldona群はウイルスを効果的に減少させている。生理学的特性及び病理学的所見と組み合わせると、結果は、経口/舌下の製剤に低用量のインターフェロンを有する本願の組成物が、免疫反応を調節することによって、SARS-CoV-2により引き起こされる肺器官に対する保護効果を有するということを示している。また、感染した動物がより早く正常な生理学的状態まで回復するのを可能にしている。本願の組成物は、重要な全身の免疫調節性を誘導することができ、COVID-19の良好な抗ウイルス効果を有し、さらに、効果的な治療法となり得る。
【0075】
図4~6、9、10、15A~15D、16、及び17において示されている結果を参照すると、1日1回経口的に本願の組成物を受けるオミクロン変異株に感染したハムスターは、有意な体重を維持し、対照と同様に回復するとわかった。16日間のコースの処理の後で、Veldona群は、この予防的研究デザインにおいてウイルスを効果的に減少させることができる。生理学的特性及び病理学的所見と組み合わせると、結果は、本願の組成物が、免疫反応を調節することによって、SARS-CoV-2により引き起こされる肺器官に対する保護効果を有するということを示している。また、感染した動物がより早く正常な生理学的状態まで回復するのを可能にしている。本願の組成物は、重要な全身の免疫調節性を誘導することができ、COVID-19の良好な抗ウイルス効果を有し、さらに、効果的な治療法となり得る。
【0076】
本願において、当該組成物は、自己免疫系を活性化して、SARS-COV-2を含む様々なウイルスと戦う効果を達成することができる。当該組成物は、細胞傷害性を誘導し、NK細胞及び抗体依存の細胞傷害性を活性化することができる。コロナウイルスに対する遺伝子組換えヒトインターフェロンを含む当該組成物は、明らかな抗ウイルス効果を有すると同時に、コロナウイルス感染の予防において大きな治療可能性を有している。
【0077】
本発明は、上記で詳述した好ましい実施形態及び実施例を参照することによって開示されているけれども、これらの実施例は限定的な意味ではなく例示的であると意図していることが理解されることになる。修正及び組み合わせは、当業者には容易に発生し、これらの修正及び組み合わせは、本発明の真意及び添付の特許請求の範囲及びそれと同等のシステム及び方法の範囲内にあるということが熟考される。