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特開2023-164392分光フィルタ、それを含むイメージセンサ及び電子装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164392
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】分光フィルタ、それを含むイメージセンサ及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20231102BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20231102BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20231102BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B5/28
G02B5/20 101
G02B5/22
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074145
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0053812
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0163414
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金 孝 哲
(72)【発明者】
【氏名】盧 永 瑾
【テーマコード(参考)】
2H148
4M118
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA24
2H148BA01
2H148BD04
2H148BD23
2H148BD24
2H148BG11
2H148BH26
2H148CA05
2H148CA14
2H148CA23
2H148GA01
2H148GA12
2H148GA14
2H148GA23
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA34
4M118FA06
4M118GC08
4M118GC14
4M118GC20
4M118GD03
4M118GD04
(57)【要約】
【課題】分光フィルタ、それを含むイメージセンサ及び電子装置を提供する。
【解決手段】分光フィルタは、複数の帯域フィルタをそれぞれ含む複数の第1フィルタアレイと、複数の第1フィルタアレイ上に設けられる複数の第2フィルタアレイとを含む。複数のユニットフィルタは、第1反射板と、第1反射板の上部に設けられる第2反射板と、第1及び第2反射板間に設けられ、互いに異なる帯域の中心波長をそれぞれ有する複数のキャビティとを含む。各キャビティは、キャビティ下部層、キャビティ上部層、及びキャビティ下部層とキャビティ上部層との間に設けられる中間光吸収層を含む。各帯域フィルタは、特定帯域の光を透過させ、複数のキャビティのうち2以上は、同一有効屈折率を有するように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の帯域フィルタをそれぞれ含む複数の第1フィルタアレイと、
前記複数の第1フィルタアレイ上に設けられ、前記複数の帯域フィルタに対応する複数のユニットフィルタをそれぞれ含む複数の第2フィルタアレイと、を含み、
前記複数のユニットフィルタは、
第1反射板と、
前記第1反射板の上部に設けられる第2反射板と、
前記第1及び第2反射板間に設けられ、互いに異なる帯域の中心波長をそれぞれ有する複数のキャビティと、を含み、
前記各キャビティは、キャビティ下部層、キャビティ上部層、及び前記キャビティ下部層と前記キャビティ上部層との間に設けられる中間光吸収層を含み、
前記各帯域フィルタは、特定帯域の光を透過させ、
前記複数のキャビティのうち2以上は、同一有効屈折率を有するように構成された、分光フィルタ。
【請求項2】
前記各キャビティは、400nm~700nmの波長範囲において互いに異なる帯域の中心波長を有するように構成された、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項3】
前記各キャビティは、100nm~2000nmの厚みを有する、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項4】
前記中間光吸収層は、前記キャビティ下部層と前記キャビティ上部層との組み合わせによって発生する中心波長のうち特定中心波長を吸収して除去するように構成された、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項5】
前記中間光吸収層は、前記キャビティの中間高さに位置する、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項6】
前記中間光吸収層は、金属物質、または可視光帯域の光を吸収可能な誘電物質を含む、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項7】
前記中間光吸収層は、5nm~80nmの厚みを有する、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項8】
前記第1フィルタアレイは、カラーフィルタアレイまたは広帯域フィルタアレイを含む、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項9】
前記複数のキャビティは、同一厚みを有し、それぞれ所定の誘電体パターンを含む、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項10】
前記複数のキャビティのうち2以上は、同一誘電体パターンを含む、請求項9に記載の分光フィルタ。
【請求項11】
前記第1フィルタアレイの帯域フィルタと前記第2フィルタアレイのユニットフィルタとが組み合わせて、N個のチャネルを有するチャネルアレイが構成され、互いに異なる種類の帯域フィルタの個数がA個であるとき、互いに異なる有効屈折率を有するキャビティの個数N’は、N/A≦N’<Nを満たす、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項12】
前記第1及び第2反射板は、金属反射板またはブラッグ反射板を含む、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項13】
前記複数の第2フィルタアレイのうち、同一中心波長を有するユニットフィルタは、入射光の主光線角度(CRA: Chief Ray Angle)の変化によって発生する中心波長シフトを補償するために、前記キャビティの有効屈折率が前記ユニットフィルタの位置によって変化するように構成された、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項14】
前記中間光吸収層に設けられるエッチング停止層(etch stop layer)をさらに含む、請求項1に記載の分光フィルタ。
【請求項15】
複数の画素を含む画素アレイと、
前記画素アレイに設けられる分光フィルタと、を含み、
前記分光フィルタは、
複数の帯域フィルタをそれぞれ含む複数の第1フィルタアレイと、
前記複数の第1フィルタアレイ上に設けられ、前記複数の帯域フィルタに対応する複数のユニットフィルタをそれぞれ含む複数の第2フィルタアレイと、を含み、
前記複数のユニットフィルタは、
第1反射板と、
前記第1反射板の上部に設けられる第2反射板と、
前記第1及び第2反射板間に設けられ、互いに異なる帯域の中心波長をそれぞれ有する複数のキャビティと、を含み、
前記各キャビティは、キャビティ下部層、キャビティ上部層、及び前記キャビティ下部層と前記キャビティ上部層との間に設けられる中間光吸収層を含み、
前記各帯域フィルタは、特定帯域の光を透過させ、
前記複数のキャビティのうち2以上は、同一有効屈折率を有するように構成された、イメージセンサ。
【請求項16】
前記画素アレイは、複数の画素を含み、前記各画素は、駆動回路が内部に設けられた配線層、及び前記配線層に設けられるフォトダイオードを含む、請求項15に記載のイメージセンサ。
【請求項17】
前記各キャビティは、400nm~700nmの波長範囲において互いに異なる帯域の中心波長を有するように構成された、請求項15に記載のイメージセンサ。
【請求項18】
前記第1フィルタアレイは、カラーフィルタアレイまたは広帯域フィルタアレイを含む、請求項15に記載のイメージセンサ。
【請求項19】
前記第1フィルタアレイの帯域フィルタと前記第2フィルタアレイのユニットフィルタとが組み合わせて、N個のチャネルを有するチャネルアレイが構成され、互いに異なる種類の帯域フィルタの個数がA個であるとき、互いに異なる有効屈折率を有するキャビティの個数N’は、N/A≦N’<Nを満たす、請求項15に記載のイメージセンサ。
【請求項20】
請求項15に記載のイメージセンサを含む、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光フィルタ、それを含むイメージセンサ及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のイメージセンサは、波長帯域を赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3つの区間にのみ分類したが、色表現精度と対象体認識性能の向上のためには、波長帯域をより多くの区間に分ける分光フィルタを具備したイメージセンサの開発が必要である。しかしながら、従来の分光フィルタは、体積が大きく、複雑な光学素子部品で構成された専用カメラ用に使用されており、半導体チップ上に分光フィルタを集積したイメージセンサのモジュール技術は、まだ研究開発中である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、分光フィルタ、それを含むイメージセンサ及び電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一側面において、
複数の帯域フィルタをそれぞれ含む複数の第1フィルタアレイと、
前記複数の第1フィルタアレイ上に設けられ、前記複数の帯域フィルタに対応する複数のユニットフィルタをそれぞれ含む複数の第2フィルタアレイと、を含み、
前記複数のユニットフィルタは、
第1反射板と、
前記第1反射板の上部に設けられる第2反射板と、
前記第1及び第2反射板間に設けられ、互いに異なる帯域の中心波長をそれぞれ有する複数のキャビティと、を含み、
前記各キャビティは、キャビティ下部層、キャビティ上部層、及び前記キャビティ下部層と前記キャビティ上部層との間に設けられる中間光吸収層を含み、
前記各帯域フィルタは、特定帯域の光を透過させ、
前記複数のキャビティのうち2以上は、同一有効屈折率を有するように構成された分光フィルタが提供される。
【0005】
前記各キャビティは、400nm~700nmの波長範囲において互いに異なる帯域の中心波長を有するように構成されてもよい。
【0006】
前記各キャビティは、100nm~2000nmの厚みを有することができる。
【0007】
前記中間光吸収層は、前記キャビティ下部層と前記キャビティ上部層との組み合わせによって発生する中心波長のうち特定中心波長を吸収して除去するように構成されてもよい。
【0008】
前記中間光吸収層は、前記キャビティの中間高さに位置することができる。
【0009】
前記中間光吸収層は、金属物質、または可視光帯域の光を吸収可能な誘電物質を含んでもよい。
【0010】
前記中間光吸収層は、5nm~80nmの厚みを有することができる。
【0011】
前記第1フィルタアレイは、カラーフィルタアレイまたは広帯域フィルタアレイを含んでもよい。
【0012】
前記複数のキャビティは、同一厚みを有し、それぞれ所定の誘電体パターンを含んでもよい。
【0013】
前記複数のキャビティのうち2以上は、同一誘電体パターンを含んでもよい。
【0014】
前記第1フィルタアレイの帯域フィルタと前記第2フィルタアレイのユニットフィルタとが組み合わせて、N個のチャネルを有するチャネルアレイが構成され、互いに異なる種類の帯域フィルタの個数がA個であるとき、互いに異なる有効屈折率を有するキャビティの個数N’は、N/A≦N’<Nを満たすことができる。
【0015】
前記第1及び第2反射板は、金属反射板またはブラッグ反射板を含んでもよい。
【0016】
前記複数の第2フィルタアレイのうち、同一中心波長を有するユニットフィルタは、入射光の主光線角度(CRA: Chief Ray Angle)の変化によって発生する中心波長シフトを補償するために、前記キャビティの有効屈折率が前記ユニットフィルタの位置によって変化するように構成されてもよい。
【0017】
前記分光フィルタは、前記中間光吸収層に設けられるエッチング停止層(etch stop layer)をさらに含んでもよい。
【0018】
他の側面において、
複数の画素を含む画素アレイと、
前記画素アレイに設けられる分光フィルタと、を含み、
前記分光フィルタは、
複数の帯域フィルタをそれぞれ含む複数の第1フィルタアレイと、
前記複数の第1フィルタアレイ上に設けられ、前記複数の帯域フィルタに対応する複数のユニットフィルタをそれぞれ含む複数の第2フィルタアレイと、を含み、
前記複数のユニットフィルタは、
第1反射板と、
前記第1反射板の上部に設けられる第2反射板と、
前記第1及び第2反射板間に設けられ、互いに異なる帯域の中心波長をそれぞれ有する複数のキャビティと、を含み、
前記各キャビティは、キャビティ下部層、キャビティ上部層、及び前記キャビティ下部層と前記キャビティ上部層との間に設けられる中間光吸収層を含み、
前記各帯域フィルタは、特定帯域の光を透過させ、
前記複数のキャビティのうち2以上は、同一有効屈折率を有するように構成されたイメージセンサが提供される。
【0019】
前記画素アレイは、複数の画素を含み、前記各画素は、駆動回路が内部に設けられた配線層、及び前記配線層に設けられるフォトダイオードを含んでもよい。
【0020】
前記各キャビティは、400nm~700nmの波長範囲において互いに異なる帯域の中心波長を有するように構成されてもよい。
【0021】
前記第1フィルタアレイは、カラーフィルタアレイまたは広帯域フィルタアレイを含んでもよい。
【0022】
前記第1フィルタアレイの帯域フィルタと前記第2フィルタアレイのユニットフィルタとが組み合わせて、N個のチャネルを有するチャネルアレイが構成され、互いに異なる種類の帯域フィルタの個数がA個であるとき、互いに異なる有効屈折率を有するキャビティの個数N’は、N/A≦N’<Nを満たすことができる。
【0023】
さらに他の側面において、
前述のイメージセンサを含む電子装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】例示的な実施形態によるイメージセンサの断面を概略的に示す図面である。
図2】例示的な実施形態による分光フィルタを示す平面図である。
図3A図2に示された分光フィルタの第1フィルタアレイを例示的に示す平面図である。
図3B図2に示された分光フィルタの第2フィルタアレイを例示的に示す平面図である。
図4】例示的な実施形態による分光フィルタの断面を示す図面である。
図5A図4に示されたキャビティ下部層(キャビティ上部層)に適用可能な誘電体パターンの例示を示す図面である。
図5B図4に示されたキャビティ下部層(キャビティ上部層)に適用可能な誘電体パターンの例示を示す図面である。
図5C図4に示されたキャビティ下部層(キャビティ上部層)に適用可能な誘電体パターンの例示を示す図面である。
図5D図4に示されたキャビティ下部層(キャビティ上部層)に適用可能な誘電体パターンの例示を示す図面である。
図6A図4に示されたキャビティ下部層(キャビティ上部層)に適用可能な誘電体パターンの他の例示を示す図面である。
図6B図4に示されたキャビティ下部層(キャビティ上部層)に適用可能な誘電体パターンの他の例示を示す図面である。
図7A】反射板間にSiOキャビティが設けられたユニットフィルタを示す図面である。
図7B】反射板間にSiOキャビティ下部層、中間光吸収層及びSiOキャビティ上部層が設けられたユニットフィルタを示す図面である。
図8図7Aに示されたユニットフィルタの透過スペクトルと、図7Bに示されたユニットフィルタの透過スペクトルとを示すシミュレーション結果である。
図9図7Bに示されたユニットフィルタにおいて、反射板の金属材質による透過スペクトルを示すシミュレーション結果である。
図10A】例示的な実施形態による分光フィルタに適用可能な第1フィルタアレイの例示を示す図面である。
図10B】例示的な実施形態による分光フィルタに適用可能な第2フィルタアレイの例示を示す図面である。
図11図10Bに示された第2フィルタアレイを透過した光の透過スペクトルを示すシミュレーション結果である。
図12図10A及び図10Bに示された第1及び第2フィルタアレイを透過した光の透過スペクトルを示すシミュレーション結果である。
図13】他の例示的な実施形態による分光フィルタの断面を示す図面である。
図14】例示的な実施形態による分光フィルタの第1フィルタアレイに適用可能な広帯域フィルタの一例を示す図面である。
図15】例示的な実施形態による分光フィルタの第1フィルタアレイに適用可能な広帯域フィルタの他の例を示す図面である。
図16】さらに他の例示的な実施形態による分光フィルタの断面を示す図面である。
図17】さらに他の例示的な実施形態による分光フィルタの断面を示す図面である。
図18】他の例示的な実施形態によるイメージセンサを示す図面である。
図19】例示的な実施形態による分光フィルタにおいて、互いに異なる位置に配置されたユニットフィルタを示す平面図である。
図20図19のII-II’線に沿って見た断面図である。
図21】さらに他の例示的な実施形態による分光フィルタの断面を示す図面である。
図22】例示的な実施形態によるイメージセンサのブロック図である。
図23】例示的な実施形態によるイメージセンサを含む電子装置を概略的に示すブロック図である。
図24図23のカメラモジュールを概略的に示すブロック図である。
図25】それぞれ異なる属性を有する複数のイメージセンサを有する複合カメラモジュールの概略的な構造を示すブロック図である。
図26】例示的な実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置の多様な例を示す図面である。
図27】例示的な実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置の多様な例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して、例示的な実施形態について詳細に説明する。以下の図面において、同じ参照符号は、同じ構成要素を指し、図面上で、各構成要素の大きさは、説明の明瞭性及び便宜上、誇張されうる。一方、以下に述べられる実施形態は、単に例示的なものに過ぎず、それら実施形態から多様な変形が可能である。
【0026】
以下で、「上部」や「上」と記載されたものは、接触してすぐ上下左右にあるものだけでなく、非接触で上下左右にあるものも含む。単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいということを意味する。
【0027】
「前記」の用語、及びそれと類似した指示用語の使用は、単数及び複数の両方に該当するものである。方法を構成する段階について、明白に順序を記載するか、または反する記載がなければ、当該段階は、適当な順序で行われてもよいが、必ずしも記載された順序に限定されるものではない。
【0028】
また、明細書に記載された「…部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、それは、ハードウェアまたはソフトウェアにより具現されたり、ハードウェアとソフトウェアとの結合により具現されたりする。
【0029】
図面に示した構成要素間の線の連結または連結部材は、機能的な連結、及び/または物理的または回路的連結を例示的に表すものであり、実際の装置では、代替可能であったり追加されたりする多様な機能的な連結、物理的な連結、または回路的な連結として表される。
【0030】
全ての例または例示的な用語の使用は、単に技術的思想を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲により限定されない限り、当該例または例示的な用語によって範囲が限定されるものではない。
【0031】
図1は、例示的な実施形態によるイメージセンサ1000の断面を概略的に示す図面である。図1に示されたイメージセンサ1000は、例えば、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサまたはCCD(charge coupled device)イメージセンサを含んでもよい。
【0032】
図1を参照すれば、イメージセンサ1000は、画素アレイ65と、当該画素アレイ上に設けられる共振器構造体80とを含むものでもある。ここで、画素アレイ65は、二次元的に配列される複数の画素を含み、共振器構造体80は、複数の画素に対応して設けられる複数の共振器を含む。図1には、画素アレイ65が4個の画素を含み、共振器構造体80が4個の共振器を含む場合が例示的に示されている。
【0033】
画素アレイ65の各画素は、光電変換素子であるフォトダイオード(photodiode)62と、当該フォトダイオード62を駆動させるための駆動回路52とを含むものでもある。フォトダイオード62は、半導体基板61に埋め込まれるように設けられうる。半導体基板61としては、例えば、シリコン基板が使用されるが、それに限定されるものではない。半導体基板61の下面には、配線層(wiring layer)51が設けられ、当該配線層51の内部に、例えば、MOSFETのような駆動回路52が設けられうる。
【0034】
半導体基板61の上部には、複数の共振器を含む共振器構造体80が設けられている。各共振器は、所望の特定波長領域の光を透過させるように設けられうる。各共振器は、互いに離隔されて設けられる第1及び第2反射層81、82と、第1反射層81と第2反射層82との間に設けられるキャビティ83a、83b、83c、83dとを含むものでもある。第1及び第2反射層それぞれは、例えば、金属反射層またはブラッグ反射層を含んでもよい。各キャビティ83a、83b、83c、83dは、所望の特定波長領域の光を共振させるように設けられうる。
【0035】
半導体基板61の上面と共振器構造体80との間には、第1機能層71が設けられうる。第1機能層71は、例えば、共振器構造体80を透過してフォトダイオード62側に入射される光の透過度を向上させる役割を行うことができる。このために、第1機能層71は、屈折率が調節された誘電体層または誘電体パターンを含んでもよい。
【0036】
共振器構造体80の上面には、第2機能層72が設けられうる。第2機能層72は、例えば、共振器構造体80側に入射される光の透過度を向上させる役割を行うことができる。このために、第2機能層72は、屈折率が調節された誘電体層または誘電体パターンを含んでもよい。第2機能層72の上面には、第3機能層90がさらに設けられてもよい。第3機能層90は、例えば、反射防止層(antireflection layer)、集束レンズ、カラーフィルタ、短波長吸収フィルタまたは長波長遮断フィルタなどを含むが、それらは、単に例示的なものである。
【0037】
前述の第1、第2及び第3機能層71、72、90のうち少なくとも1層は、共振器構造体80と共に後述する分光フィルタを構成することができる。
【0038】
図2は、例示的な実施形態による分光フィルタ1100を示す平面図である。
【0039】
図2を参照すれば、分光フィルタ1100は、複数の第1フィルタアレイ1110及び複数の第2フィルタアレイ1120を含む。図2には、4×4アレイ形態に配列された16個の第1フィルタアレイ1110、及び4×4アレイ形態に配列された16個の第2フィルタアレイ1120が例示的に示されている。図2には、複数の第2フィルタアレイ1120が複数の第1フィルタアレイ1110の下部に設けられる場合が例示的に示されているが、それに限定されるものではなく、複数の第2フィルタアレイ1120は、複数の第1フィルタアレイ1110の上部に設けられることも可能である。図3Aは、図2に示された第1フィルタアレイ1110を例示的に示す平面図である。
【0040】
図3Aを参照すれば、第1フィルタアレイ1110は、二次元形態に配列される複数の帯域フィルタC1~C16を含むものでもある。図3Aには、第1フィルタアレイ1110が4×4アレイ形態に配列された16個の帯域フィルタC1~C16を含む場合が例示的に示されているが、それに限定されるものではなく、帯域フィルタは、多様な形態に配列可能である。例えば、第1フィルタアレイ1110は、3×3アレイ形態に配列された9個の帯域フィルタを含むこともできる。
【0041】
第1フィルタアレイ1110の各帯域フィルタC1~C16は、特定帯域の光を透過させることができる。例えば、第1フィルタアレイ1110は、赤色フィルタ、緑色フィルタ及び青色フィルタを含むカラーフィルタアレイにもなる。この場合、第1フィルタアレイ1110を構成する帯域フィルタC1~C16の種類は3つにもなる。具体的には、帯域フィルタC1~C16のうち一部は赤色フィルタ、他の一部は緑色フィルタ、残りの一部は青色フィルタにもなる。赤色フィルタは、約600nm~700nmの波長帯域を有する赤色光を透過させることができ、緑色フィルタは、約500nm~600nmの波長帯域を有する緑色光を透過させることができ、青色フィルタは、約400nm~500nmの波長帯域を有する青色光を透過させることができる。そのような赤色フィルタ、緑色フィルタ及び青色フィルタを含むカラーフィルタアレイとしては、例えば、液晶表示装置または有機発光表示装置のようなカラーディスプレイ装置に通常適用されるカラーフィルタアレイが使用されうる。一方、第1フィルタアレイ1110は、広帯域フィルタアレイにもなる。この場合、第1フィルタアレイ1110の各帯域フィルタC1~C16は、約50nm~150nmの半値幅(FWHM: Full Width at Half Maximum)を有することができる。
【0042】
図3Bは、図3Aに示された第1フィルタアレイ1110に配置される第2フィルタアレイ1120を例示的に示す平面図である。
【0043】
図3Bを参照すれば、第2フィルタアレイ1120は、二次元形態に配列される複数のユニットフィルタF1~F16を含むものでもある。ここで、複数のユニットフィルタF1~F16は、複数の帯域フィルタC1~C16に1対1対応するように設けられうる。図3Bには、第2フィルタアレイ1120が4×4アレイ形態に配列された16個のユニットフィルタF1~F16を含む場合が例示的に示されているが、それに限定されるものではなく、帯域フィルタは、多様な形態に配列可能である。例えば、第2フィルタアレイ1120は、3×3アレイ形態に配列された9個のユニットフィルタを含むこともできる。各ユニットフィルタF1~F16のサイズ(S)は、例えば、約0.4μm~100μmになるが、それに限定されるものではない。
【0044】
第2フィルタアレイ1120を構成するユニットフィルタF1~F16それぞれは、可視光波長領域(例えば、約400nm~700nm帯域)内において互いに異なる帯域の中心波長を有するように構成されうる。
【0045】
図3Aに示された第1フィルタアレイ1110の帯域フィルタC1~C16と、図3Bに示された第2フィルタアレイ1120のユニットフィルタF1~F16とが組み合わせて、16個のチャネルを有するチャネルアレイが構成され、当該チャネルを介して、互いに異なる中心波長を有する光が出力されうる。
【0046】
図4は、例示的な実施形態による分光フィルタ1100の断面を示す図面である。
【0047】
図4を参照すれば、分光フィルタ1100は、第1フィルタアレイ1110と、当該第1フィルタアレイ1110に配置される第2フィルタアレイ1120とを含む。図4には、第1フィルタアレイ1110の下部に第2フィルタアレイ1120が配置された場合が示されているが、第1フィルタアレイ1110の上部に第2フィルタアレイ1120が配置されることも可能である。第1フィルタアレイ1110は、二次元形態に配列される複数の帯域フィルタ191、192、193、194を含む。図4には、第1フィルタアレイ1110を構成する4個の第1、第2、第3及び第4帯域フィルタ191、192、193、194が例示的に示されている。第1フィルタアレイ1110は、例えば、カラーフィルタアレイにもなる。図4には、第1、第2、第3及び第4帯域フィルタ191、192、193、194がそれぞれ赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタ及び赤色フィルタRC、GC、BC、RCである場合が例示的に示されている。
【0048】
第2フィルタアレイ1120は、複数の帯域フィルタ191、192、193、194に1対1対応する複数のユニットフィルタ111、112、113、114を含む。図4には、第2フィルタアレイ1120を構成する4個の第1、第2、第3及び第4ユニットフィルタ111、112、113、114が例示的に示されている。
【0049】
第1、第2、第3及び第4ユニットフィルタ111、112、113、114それぞれは、可視光領域(約400nm~700nmの波長領域)内において互いに異なる帯域の中心波長を有することができる。例えば、第1、第2、第3及び第4ユニットフィルタ111、112、113、114それぞれは、赤色光帯域の中心波長、緑色光帯域の中心波長及び青色光帯域の中心波長を有することができる。
【0050】
第2フィルタアレイ1120の下部には、画素アレイ4100が設けられうる。画素アレイ4100は、複数のユニットフィルタ111、112、113、114に1対1対応する複数の画素101、102、103、104を含む。図4には、画素アレイ4100を構成する第1、第2、第3及び第4画素101、102、103、104が例示的に示されている。
【0051】
第2フィルタアレイ1120と画素アレイ4100との間には、画素アレイ4100を保護するための保護層(passivation layer)150が設けられうる。保護層150は、例えば、ハフニウム酸化物、シリコン酸化物またはシリコン窒化物を含むが、それらに限定されるものではない。
【0052】
第1、第2、第3及び第4ユニットフィルタ111、112、113、114は、互いに離隔されて設けられる第1及び第2反射板131、132と、第1及び第2反射板131、132間に設けられる第1、第2、第3及び第4キャビティ121、122、123、124とを含む。ここで、第1及び第2反射板131、132は、それぞれ独立して金属反射板またはブラッグ反射板を含んでもよい。金属反射板は、例えば、Al、Ag、Au、Cu、Ti、WまたはTiNなどを含んでもよい。ブラッグ反射板は、互いに異なる屈折率を有する2以上の誘電体が交互に積層された構造を有する分散ブラッグ反射器(DBR: Distributed Bragg Reflector)にもなる。
【0053】
第1及び第2反射板131、132は、同一物質からなってもよく、互いに異なる物質からなってもよい。例えば、第1反射板131がブラッグ反射板を含み、第2反射板132が金属反射板を含むが、それは、単に例示的なものである。
【0054】
第1及び第2反射板131、132間には、第1、第2、第3及び第4キャビティ121、122、123、124が設けられている。ここで、第1、第2、第3及び第4キャビティ121、122、123、124は、いずれも同一厚みを有することができる。各キャビティ121、122、123、124は、可視光領域(約400nm~700nmの波長範囲)において互いに異なる帯域(例えば、赤色光帯域、緑色光帯域及び青色光帯域)の中心波長を有することができる。このために、各キャビティ121、122、123、124は、約100nm~2000nmの厚みを有することができる。例えば、各キャビティ121、122、123、124は、約200nm~1000nmの厚みを有することができる。
【0055】
各キャビティ121、122、123、124は、キャビティ下部層121’、122’、123’、124’、キャビティ上部層121”、122”、123”、124”、及びキャビティ下部層121’、122’、123’、124’とキャビティ上部層121”、122”、123”、124”との間に設けられる中間光吸収層125を含むものでもある。ここで、キャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びキャビティ上部層121”、122”、123”、124”は、実質的に同一厚みを有することができる。これにより、中間光吸収層125は、キャビティ121、122、123、124の中間高さに位置するが、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0056】
具体的には、第1キャビティ121は、第1キャビティ下部層121’、中間光吸収層125及び第1キャビティ上部層121”を含み、第2キャビティ122は、第2キャビティ下部層122’、中間光吸収層125及び第2キャビティ上部層122”を含む。第3キャビティ123は、第3キャビティ下部層123’、中間光吸収層125及び第3キャビティ上部層123”を含み、第4キャビティ124は、第4キャビティ下部層124’、中間光吸収層125及び第4キャビティ上部層124”を含む。
【0057】
各キャビティ121、122、123、124は、可視光領域(約400nm~700nmの波長領域)内において互いに異なる帯域の中心波長を有するように構成されうる。例えば、各キャビティ121、122、123、124は、赤色光帯域の中心波長、緑色光帯域の中心波長及び青色光帯域の中心波長を有するが、それは、単に例示的なものである。
【0058】
キャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びその上のキャビティ上部層121”、122”、123”、124”は、同一誘電体パターンを有することができる。キャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びキャビティ上部層121”、122”、123”、124”は、それぞれ第1誘電体126aと、当該第1誘電体126a内に配置され、パターンを形成する第2誘電体126bとを含む。ここで、第2誘電体126bは、第1誘電体126aと異なる屈折率を有することができる。具体的な例として、第1誘電体126aがシリコン酸化物を含み、第2誘電体126bがチタン酸化物を含むが、それは、単に例示的なものである。キャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びキャビティ上部層121”、122”、123”、124”のパターンサイズやパターン模様によって、誘電体パターンを変化させることができ、これにより、キャビティ121、122、123、124の有効屈折率を調節することができる。
【0059】
図5Aないし図5Dには、図4に示されたキャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びキャビティ上部層121”、122”、123”、124”に適用可能な例示的な誘電体パターンが示されている。また、図6A及び図6Bには、図4に示されたキャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びキャビティ上部層121”、122”、123”、124”に適用可能な他の例示的な誘電体パターンが示されている。
【0060】
キャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びその上のキャビティ上部層121”、122”、123”、124”は、同一誘電体パターンを有することにより、実質的に同一有効屈折率を有することができる。例えば、キャビティ下部層121’、122’、123’、124’の有効屈折率と、キャビティ上部層121”、122”、123”、124”の有効屈折率は、約10%以内の差を有することができる。
【0061】
キャビティ下部層121’、122’、123’、124’及びその上のキャビティ上部層121”、122”、123”、124”は、実質的に同一厚みを有することができる。例えば、キャビティ下部層121’、122’、123’、124’の厚みと、キャビティ上部層121”、122”、123”、124”の厚みは、約10%以内の差を有することができる。
【0062】
キャビティ下部層121’、122’、123’、124’とキャビティ上部層121”、122”、123”、124”との間に設けられる中間光吸収層125は、特定中心波長を吸収して除去するように構成されうる。具体的には、中間光吸収層125は、キャビティ下部層121’、122’、123’、124’とキャビティ上部層121”、122”、123”、124”との組み合わせによって発生する2以上の中心波長のうち特定中心波長を吸収して除去することができる。
【0063】
中間光吸収層125は、約5nm~80nmの厚みを有するが、それに限定されるものではない。中間光吸収層125は、例えば、Ag、Au、Al、W、TiまたはTiNなどを含む金属物質を含んでもよい。また、中間光吸収層125は、可視光帯域の光吸収率が高い誘電物質(例えば、Siなど)を含むこともできる。
【0064】
中間光吸収層125により、各キャビティ121、122、123、124は、互いに異なる帯域内の中心波長を有することができ、ここで、各キャビティ121、122、123、124は、各帯域別に1つの中心波長を有することができる。例えば、各キャビティ121、122、123、124は、3つの中心波長、すなわち、赤色光帯域の中心波長、緑色光帯域の中心波長及び青色光帯域の中心波長を有することができる。
【0065】
図7Aは、反射板31、32間にSiOキャビティ10が設けられたユニットフィルタ11を示す図面であり、図7Bは、反射板31、32間にSiOキャビティ下部層10a、中間光吸収層15及びSiOキャビティ上部層10bが設けられたユニットフィルタ12を示す図面である。図7Bに示されたSiOキャビティ下部層10a及びSiOキャビティ上部層10bの厚みの和は、図7Aに示されたSiOキャビティ10と同一である。
【0066】
図8には、図7Aに示されたユニットフィルタ11の透過スペクトル、及び図7Bに示されたユニットフィルタ12の透過スペクトルが例示的に示されている。ここで、「A」は、図7Aに示されたユニットフィルタ11の透過スペクトルを示し、「B」及び「C」は、図7Bに示されたユニットフィルタ12の透過スペクトルを示す。「B」は、中間光吸収層15として20nm厚のTiを使用した場合を示し、「C」は、中間光吸収層15として40nm厚のTiを使用した場合を示す。
【0067】
図8を参照すれば、図7Aに示されたユニットフィルタ11は、400nm~700nmの波長帯域において互いに異なる中心波長を有しており、図7Bに示されたユニットフィルタ12は、図7Aに示されたユニットフィルタ11の中心波長のうちP1、P2中心波長を除いた中心波長を有している。これから、図7Bに示されたユニットフィルタ12において、SiOキャビティ下部層10aとSiOキャビティ上部層10bとの間に設けられた中間光吸収層15が、図7Aに示されたユニットフィルタ11の中心波長のうちP1、P2中心波長を吸収して除去したことが分かる。また、図7Bに示されたユニットフィルタ12は、赤色光帯域の中心波長、緑色光帯域の中心波長及び青色光帯域の中心波長を有していることが分かる。
【0068】
図9には、図7Bに示されたユニットフィルタ12において、中間光吸収層15の材質による透過スペクトルが例示的に示されている。図9において、「D」は、中間光吸収層15として40nm厚のAgを使用した場合を示し、「E」は、中間光吸収層15として12nm厚のAlを使用した場合を示し、「F」は、中間光吸収層15として20nm厚のTiを使用した場合を示す。
【0069】
例示的な実施形態による分光フィルタ1100においては、第1フィルタアレイ1110の各帯域フィルタ191、192、193、194が特定帯域の光を透過させ、第2フィルタアレイ1120の各ユニットフィルタ111、112、113、114が互いに異なる帯域の中心波長を有することができる。これにより、帯域フィルタ191、192、193、194とユニットフィルタ111、112、113、114との組み合わせにより構成されたチャネルは、400nm~700nmの波長帯域においてチャネルと1対1対応する互いに異なる中心波長を有することができる。例えば、各ユニットフィルタ111、112、113、114が赤色光帯域の中心波長、緑色光帯域の中心波長及び青色光帯域の中心波長を有している場合に、第1ユニットフィルタ111の上部に赤色フィルタRCである第1帯域フィルタ191が配置されれば、第1帯域フィルタ191と第1ユニットフィルタ111との組み合わせにより構成された第1チャネルは、赤色光帯域の中心波長を有することができる。そして、第2ユニットフィルタ112の上部に緑色フィルタGCである第2帯域フィルタ192が配置されれば、第2帯域フィルタ192と第2ユニットフィルタ112との組み合わせにより構成された第2チャネルは、緑色光帯域の中心波長を有することができる。また、第3ユニットフィルタ113の上部に青色フィルタBCである第3帯域フィルタ193が配置されれば、第3帯域フィルタ193と第3ユニットフィルタ113との組み合わせにより構成された第3チャネルは、青色光帯域の中心波長を有することができる。
【0070】
第1フィルタアレイ1110を構成する帯域フィルタ(例えば、図3AのC1~C16)の種類によって、第2フィルタアレイ1120を構成するユニットフィルタ(例えば、図3BのF1~F16)のキャビティのうち2以上は、同一有効屈折率を有するように構成することができる。具体的には、ユニットフィルタF1~F16のキャビティのうち2以上は、同一誘電体パターンを有するように構成することができる。例えば、第1フィルタアレイ1110をカラーフィルタアレイとして構成し、第2フィルタアレイ1120の各キャビティが赤色光帯域の中心波長、緑色光帯域の中心波長及び青色光帯域の中心波長を有している場合には、3つのキャビティが同一誘電体パターンを有しつつ、互いに異なる中心波長を有するように構成することができる。
【0071】
より具体的に説明すれば、第1フィルタアレイ1110の帯域フィルタ(例えば、C1~C16)と第2フィルタアレイ1120のユニットフィルタ(例えば、F1~F16)とが組み合わせて、N個のチャネル(例えば、16個のチャネル)を有するチャネルアレイが構成されうる。ここで、帯域フィルタの個数がA個であるとき、互いに異なる有効屈折率を有するキャビティの個数N’は、N/A≦N’<Nを満たすことができる。例えば、チャネルアレイが16個のチャネルを有し、帯域フィルタが3つを有する場合に、互いに異なる有効屈折率(すなわち、互いに異なる誘電体パターン)を有するキャビティの個数は、6個以上、かつ15個以下にもなる。
【0072】
図10A及び図10Bは、例示的な実施形態による分光フィルタに適用可能な第1及び第2フィルタアレイ1110、1120の例示を示す図面である。
【0073】
図10Aには、第1フィルタアレイ1110の例示としてカラーフィルタアレイが示されている。図10Aを参照すれば、帯域フィルタC1~C4それぞれは、青色フィルタBCを使用し、帯域フィルタC5~C8及びC14それぞれは、緑色フィルタGCを使用し、帯域フィルタC9~C13及びC15~C16それぞれは、赤色フィルタRCを使用した。
【0074】
図10Bには、第2フィルタアレイ1120の例示が示されている。図10Bを参照すれば、第2フィルタアレイ1120は、7個の互いに異なる誘電体パターンPT1~PT7を含む16個のユニットフィルタF1~F16を含む。具体的には、ユニットフィルタF1、F10、F14のキャビティは、第1誘電体パターンPT1を有しており、ユニットフィルタF2、F9のキャビティは、第2誘電体パターンPT2を有しており、ユニットフィルタF4、F11のキャビティは、第3誘電体パターンPT3を有しており、ユニットフィルタF3、F5、F12のキャビティは、第4誘電体パターンPT4を有しており、ユニットフィルタF6、F13のキャビティは、第5誘電体パターンPT5を有しており、ユニットフィルタF8、F15のキャビティは、第6誘電体パターンPT6を有しており、ユニットフィルタF7、F16のキャビティは、第7誘電体パターンPT7を有している。
【0075】
図11は、図10Bに示された第2フィルタアレイ1120のみを透過した光の透過スペクトルを示すシミュレーション結果である。そして、図12は、図10A及び図10Bに示された第1及び第2フィルタアレイ1110、1120を透過した光の透過スペクトルを示すシミュレーション結果である。
【0076】
図11及び図12を参照すれば、第2フィルタアレイ1120を構成するユニットフィルタF1~F16の一部が同一誘電体パターンを有する場合にも、第2フィルタアレイ1120の上部に帯域フィルタC1~C16を含む第1フィルタアレイ1110を配置することにより、互いに異なる16個の中心波長を具現することができることが分かる。
【0077】
図13は、他の例示的な実施形態による分光フィルタ1200の断面を示す図面である。図13に示された分光フィルタ1200は、第2フィルタアレイ1130がエッチング停止層141、142をさらに含むことを除いては、図4に示された分光フィルタ1100と同様である。
【0078】
図13を参照すれば、中間光吸収層125とキャビティ上部層121”、122”、123”、124”との間に第1エッチング停止層141が設けられうる。第1エッチング停止層141は、キャビティ上部層121”、122”、123”、124”の形成のためのパターニング工程をより容易にする役割を行うことができる。第1エッチング停止層141は、例えば、約5nm~100nmの厚みを有するが、それに限定されるものではない。
【0079】
第1エッチング停止層141は、例えば、チタン酸化物またはハフニウム酸化物などを含むが、それに限定されるものではない。第1エッチング停止層141は、キャビティ上部層121”、122”、123”、124”を構成する誘電物質よりエッチング速度が2倍以上(例えば、5倍以上)遅い物質を含んでもよい。具体的な例として、キャビティ上部層121”、122”、123”、124”がシリコン酸化物を含む場合に、第1エッチング停止層141は、ハフニウム酸化物を含む。第1反射板131とキャビティ下部層121’、122’、123’、124’との間には、第2エッチング停止層142がさらに設けられてもよい。第2エッチング停止層142は、キャビティ下部層121’、122’、123’、124’の形成のためのパターニング工程をより容易にする役割を行うことができる。
【0080】
前述の実施形態においては、第1フィルタアレイ1110がカラーフィルタアレイである場合が例示的に説明された。しかし、それに限定されず、第1フィルタアレイ1110は、互いに異なる帯域の光を透過させる複数の広帯域フィルタを含む広帯域フィルタアレイにもなる。ここで、各広帯域フィルタは、約50nm~150nmのFWHMを有するが、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0081】
図14は、例示的な実施形態による分光フィルタの第1フィルタアレイ1110に適用可能な例示的な広帯域フィルタ2510を示す図面である。
【0082】
図14を参照すれば、広帯域フィルタ2510は、互いに離隔されて配置される複数の反射層2513、2514、2515と、当該反射層2513、2514、2515間に設けられる複数のキャビティ2511、2512とを含むものでもある。図14には、3層の反射層2513、2514、2515と2個のキャビティ2511、2512とが例示的に示されているが、反射層2513、2514、2515及びキャビティ2511、2512の個数は、多様に変形可能である。
【0083】
反射層2513、2514、2515それぞれは、分散ブラッグ反射器(DBR)にもなる。当該反射層2513、2514、2515それぞれは、互いに異なる屈折率を有する複数の物質層が交互に積層された構造を有することができる。そして、キャビティ2511、2512それぞれは、所定の屈折率を有する物質を含んでもよく、互いに異なる屈折率を有する2以上の物質を含んでもよい。
【0084】
図15は、例示的な実施形態による分光フィルタの第1フィルタアレイ1110に適用可能な他の例示的な広帯域フィルタ2520を示す図面である。
【0085】
図15を参照すれば、広帯域フィルタ2520は、互いに離隔されて配置される2層の金属ミラー層2522、2523と、当該金属ミラー層2522、2523間に設けられるキャビティ2521とを含むものでもある。
【0086】
図16は、さらに他の例示的な実施形態による分光フィルタ1300の断面を示す図面である。
【0087】
図16を参照すれば、第1及び第2フィルタアレイ1110、1120の上部にマイクロレンズアレイ1150が設けられている。第1及び第2フィルタアレイ1110、1120は前述したので、それについての説明は省略する。図16には、第1フィルタアレイ1110の下部に第2フィルタアレイ1120が配置された場合が示されているが、第1フィルタアレイ1110の上部に第2フィルタアレイ1120が配置されることも可能である。
【0088】
マイクロレンズアレイ1150は、第1フィルタアレイ1110の帯域フィルタ191、192、193、194に対応する複数のマイクロレンズ1150aを含むものでもある。ここで、各マイクロレンズ1150aは、外部の光を対応する帯域フィルタ191、192、193、194に集束させて入射させる役割を行うことができる。
【0089】
図16には、マイクロレンズ1150aが帯域フィルタ191、192、193、194に1対1対応するように設けられた場合が例示的に示されているが、それは、単に例示的なものであり、1つのマイクロレンズ1150aに対応して2以上の帯域フィルタ191、192、193、194が設けられることも可能である。
【0090】
図17は、さらに他の例示的な実施形態による分光フィルタ1600の断面を示す図面である。
【0091】
図17を参照すれば、第1及び第2フィルタアレイ1110、1120の上部にナノパターンアレイ1250が設けられている。各ナノパターン1250aは、外部の光を対応する帯域フィルタ191、192、193、194に集束させて入射させる役割を行うことができる。図17には、ナノパターン1250aが帯域フィルタ191、192、193、194に1対1対応するように設けられた場合が例示的に示されているが、1つのナノパターン1250aに対応して2以上の帯域フィルタ191、192、193、194が設けられることも可能である。本実施形態は、第1フィルタアレイ1110の下部に第2フィルタアレイ1120が配置された場合だけでなく、第1フィルタアレイ1110の上部に第2フィルタアレイ1120が配置された場合にも同様に適用される。
【0092】
図18は、他の例示的な実施形態によるイメージセンサを示す図面である。
【0093】
図18を参照すれば、画素アレイ4100上に分光フィルタ1100が設けられており、分光フィルタ1100の上部には、シングルイメージングレンズ(single imaing lens)9500が設けられている。ここで、分光フィルタ1100は、複数のチャネル1131を含む。複数のチャネル1131は、前述のように、第1フィルタアレイ1110の帯域フィルタ191、192、193、194と第2フィルタアレイ1120のユニットフィルタ111、112、113、114との組み合わせによっても構成される。
【0094】
このように、分光フィルタ1100の上部に、対象体のイメージを形成するためのシングルイメージングレンズ9500を設けることにより、分光イメージを得ることができるカメラを単純な光学系で具現することができる。
【0095】
以下の例示的な実施形態は、第2フィルタアレイのユニットフィルタの位置によって、キャビティの有効屈折率を変化させることにより、入射光の主光線角度の変化による発生する中心波長シフトを補償することができる分光フィルタを提供する。
【0096】
図19は、例示的な実施形態による分光フィルタ1500において、互いに異なる位置に配置されたユニットフィルタF1、F1’、Fl”を示す平面図である。図20は、図19のII-II’線に沿って見た断面図である。図19及び図20には、便宜上、複数の第2フィルタアレイ1151のみが示されている。ここで、分光フィルタ1500を構成する第2フィルタアレイ1151それぞれのユニットフィルタのうち、同一中心波長を有し、互いに異なる位置に配置された第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”を例として説明する。
【0097】
図19及び図20において、L1は、入射光の主光線角度がθである第1位置を連結した円を示し、L2は、入射光の主光線角度がθ(>θ)である第2位置を連結した円を示す。F1は、分光フィルタ1500の中心にある第1ユニットフィルタを示し、F1’は、入射光の主光線角度がθである第1位置にある第1ユニットフィルタを示し、F1”は、入射光の主光線角度がθである第2位置にある第1ユニットフィルタを示す。ここで、互いに異なる位置に設けられた第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”は、いずれも同一中心波長を有することができる。
【0098】
図19及び図20を参照すれば、第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”それぞれは、前述のように、互いに離隔されて設けられる第1及び第2反射板131、132と、第1及び第2反射板131、132間に設けられる第1キャビティ9121、9121’、9121”とを含む。ここで、各第1キャビティ9121、9121’、9121”は、第1キャビティ下部層、中間光吸収層125及び第1キャビティ上部層を含む。第1及び第2反射板131、132と、第1キャビティ9121、9121’、9121”については前述したので、それについての説明は省略する。第1反射板131の下部には、画素アレイ4100の画素101、201、301が配置され、第1反射板131と画素アレイ4100との間には、保護層150が設けられうる。
【0099】
本実施形態では、入射光の主光線角度の変化によって発生する中心波長シフトを補償するために、第1キャビティ9121、9121’、9121”(より具体的には、第1キャビティ下部層及び第1キャビティ上部層)は、第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”の位置によって有効屈折率が調節されるように構成される。
【0100】
第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”の位置が変わるにつれて、第1キャビティ9121、9121’、9121”のパターンを変化させることにより、第1キャビティ9121、9121’、9121”の有効屈折率を変化させることができる。ここで、第1キャビティ9121、9121’、9121”の有効屈折率は、入射光の主光線角度によって発生する中心波長シフトを補償する程度に調節されうる。第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”の位置が分光フィルタ9100の中心から外側に行くほど、入射光の主光線角度が大きくなり、これにより、中心波長シフト効果は増大する。したがって、中心波長シフトを補償するためには、第1キャビティ9121、9121’、9121”のパターンは、第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”の位置が変わるにつれて、そのサイズが変化するように形成されうる。具体的には、第1キャビティ9121、9121’、9121”のパターンは、第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”の位置が分光フィルタ9100の中心から外側に行くにつれて、サイズが変化するように形成されうる。
【0101】
以上のように、本実施形態では、第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”の位置が変化するにつれて、第1キャビティ9121、9121’、9121”の有効屈折率を変化させることにより、入射光の主光線角度の変化によって発生する中心波長シフトを補償することができ、これにより、互いに異なる位置に設けられた第1ユニットフィルタF1、F1’、F1”がいずれも同一中心波長を有することができる。
【0102】
図21は、さらに他の例示的な実施形態による分光フィルタ1400の断面を示す図面である。以下、前述の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0103】
図21を参照すれば、分光フィルタ1400は、第1フィルタアレイ1110と、当該第1フィルタアレイ1110の下部に配置される第2フィルタアレイ1140とを含む。第1フィルタアレイ1110は、それぞれ特定帯域の光を透過させる複数の帯域フィルタ191、192、193、194を含む。第1フィルタアレイ1110は、例えば、カラーフィルタアレイにもなる。図21には、第1、第2、第3及び第4帯域フィルタ191、192、193、194は、それぞれ赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタ及び赤色フィルタRC、GC、BC、RCである場合が例示的に示されている。第1フィルタアレイ1110は、広帯域フィルタアレイにもなる。
【0104】
第2フィルタアレイ1140は、複数のユニットフィルタ411、412、413、414を含む。図21には、第2フィルタアレイ1140を構成する4個の第1、第2、第3及び第4ユニットフィルタ411、412、413、414が例示的に示されている。ユニットフィルタ411、412、413、414それぞれは、可視光領域(約400nm~700nmの波長領域)内において互いに異なる帯域の中心波長を有することができる。
【0105】
第2フィルタアレイ1140の下部には、複数の画素101、102、103、104を含む画素アレイ4100が設けられうる。第2フィルタアレイ1140と画素アレイ4100との間には、画素アレイ4100を保護するための保護層450が設けられうる。図21には、第1フィルタアレイ1110の下部に第2フィルタアレイ1140が配置された場合が示されているが、第1フィルタアレイ1110の上部に第2フィルタアレイ1140が配置されることも可能である。
【0106】
第1、第2、第3及び第4ユニットフィルタ411、412、413、414は、互いに離隔されて設けられる第1及び第2反射板431、432と、第1及び第2反射板431、432間に設けられる第1、第2、第3及び第4キャビティ421、422、423、424とを含む。ここで、第1及び第2反射板431、432は、それぞれ独立して、金属反射板またはブラッグ反射板を含んでもよい。
【0107】
各キャビティ421、422、423、424は、可視光領域(約400nm~700nmの波長範囲)において互いに異なる帯域の中心波長を有することができる。このために、各キャビティ121、122、123、124は、約100nm~2000nmの厚みを有することができる。例えば、各キャビティ121、122、123、124は、約200nm~1000nmの厚みを有することができる。
【0108】
各キャビティ421、422、423、424は、キャビティ下部層421’、422’、423’、424’、キャビティ上部層421”、422”、423”、424”、及びキャビティ下部層421’、422’、423’、424’とキャビティ上部層421”、422”、423”、424”との間に設けられる中間光吸収層425を含むものでもある。具体的には、第1キャビティ421は、第1キャビティ下部層421’、中間光吸収層425及び第1キャビティ上部層421”を含み、第2キャビティ422は、第2キャビティ下部層422’、中間光吸収層425及び第2キャビティ上部層422”を含む。第3キャビティ423は、第3キャビティ下部層423’、中間光吸収層425及び第3キャビティ上部層423”を含み、第4キャビティ424は、第4キャビティ下部層424’、中間光吸収層425及び第4キャビティ上部層424”を含む。
【0109】
キャビティ下部層421’、422’、423’、424’、及びその上にあるキャビティ上部層421”、422”、423”、424”は、同一誘電物質を含み、実質的に同一厚みを有することができる。これにより、キャビティ下部層421’、422’、423’、424’、及びその上にあるキャビティ上部層421”、422”、423”、424”は、同一光学距離(optical path)を有することができる。また、中間光吸収層425は、各キャビティ421、422、423、424の中間高さに位置しうる。
【0110】
各キャビティ421、422、423、424は、その厚み(具体的には、キャビティ下部層421’、422’、423’、424’及びキャビティ上部層421”、422”、423”、424”の厚み)を変化させることにより、光学距離を調節することができ、これにより、第1、第2、第3及び第4キャビティ421、422、423、424は、互いに異なる中心波長を有するように構成されうる。図21には、第1キャビティ421から第4キャビティ424に行くほど、次第に厚くなる場合が例示的に示されている。
【0111】
中間光吸収層425は、特定中心波長を吸収して除去するように構成されうる。前述のように、中間光吸収層425は、キャビティ下部層421’、422’、423’、424’とキャビティ上部層421”、422”、423”、424”との組み合わせによって発生する2以上の中心波長のうち特定中心波長を吸収して除去することができる。中間光吸収層425は、例えば、約5nm~80nmの厚みを有することができ、例えば、Ag、Au、Al、W、TiまたはTiNなどを含む金属物質を含んでもよく、可視光帯域の光吸収率が高い誘電物質(例えば、Siなど)を含んでもよい。
【0112】
中間光吸収層425により、各キャビティ421、422、423、424は、互いに異なる帯域内の中心波長を有することができ、ここで、各キャビティ421、422、423、424は、各帯域別に1つの中心波長を有することができる。
【0113】
例示的な実施形態による分光フィルタ1400においては、第1フィルタアレイ1110の各帯域フィルタ191、192、193、194は、特定帯域の光を透過させ、第2フィルタアレイ1140の各ユニットフィルタ411、412、413、414は、互いに異なる帯域の中心波長を有することができる。これにより、帯域フィルタ191、192、193、194とユニットフィルタ411、412、413、414との組み合わせにより構成されたチャネルは、400nm~700nmの波長帯域においてチャネルと1対1対応する互いに異なる中心波長を有することができる。
【0114】
第1フィルタアレイ1110を構成する帯域フィルタ(例えば、図3AのC1~C16)の種類によって、第2フィルタアレイ1140を構成するユニットフィルタ(例えば、図3BのF1~F16)のキャビティのうち2以上は、同一厚みを有するように構成することができる。第1フィルタアレイ1110の帯域フィルタと第2フィルタアレイ1140のユニットフィルタとが組み合わせて、N個のチャネルを有するチャネルアレイが構成されうる。ここで、帯域フィルタの個数がA個であるとき、互いに異なる厚みを有するキャビティの個数N’は、N/A≦N’<Nを満たすことができる。
【0115】
図22は、例示的な実施形態によるイメージセンサのブロック図である。
【0116】
図22を参照すれば、イメージセンサ1000は、分光フィルタ9100、画素アレイ4100、タイミングコントローラ4010、ロウデコーダ4020及び出力回路4030を含むものでもある。該イメージセンサは、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサを含むが、それらに限定されない。
【0117】
分光フィルタ9100は、前述の実施形態で言及された分光フィルタ1100~1600のうち1つにもなる。画素アレイ4100は、複数のユニットフィルタを透過した、互いに異なる波長の光を感知する複数の画素を含む。具体的には、画素アレイ4100は、複数のロウと複数のカラムとに沿って、二次元に配列された画素を含む。ロウデコーダ4020は、タイミングコントローラ4010から出力されたロウアドレス信号に応答して、画素アレイ4100のロウの1つを選択する。出力回路4030は、選択されたロウに沿って配列された複数の画素から、カラム単位で光感知信号を出力する。そのために、出力回路4030は、カラムデコーダとアナログ・デジタル変換器(ADC: analog to digital converter)とを含む。例えば、出力回路4030は、カラムデコーダと画素アレイ4100との間で、カラム別にそれぞれ配置された複数のADC、またはカラムデコーダの出力端に配置された1つのADCを含むものでもある。タイミングコントローラ4010、ロウデコーダ4020及び出力回路4030は、1つのチップまたはそれぞれ別個のチップによっても具現される。出力回路4030を介して出力された映像信号を処理するためのプロセッサが、タイミングコントローラ4010、ロウデコーダ4020及び出力回路4030と共に、1つのチップによっても具現される。画素アレイ4100は、互いに異なる波長の光を感知する複数の画素を含み、ここで、画素の配列は、多様な方式により具現可能である。
【0118】
前述の分光フィルタ1100~1600を含むイメージセンサ1000は、多様な高性能光学装置または高性能電子装置に採用可能である。当該電子装置は、例えば、スマートフォン(smart phone)、携帯電話、PDA(personal digital assistant)、ラップトップ(laptop)、PC(personal computer)、多様なポータブル機器、家電製品、保安カメラ、医療用カメラ、自動車、事物インターネット(IoT; Internet of Things)機器、その他のモバイルまたは非モバイルのコンピューティング装置であるが、それらに制限されない。
【0119】
該電子装置は、イメージセンサ1000以外にも、イメージセンサを制御するプロセッサ、例えば、アプリケーションプロセッサ(AP: Application Processor)をさらに含んでもよく、該プロセッサを介してオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラムを駆動し、多数のハードウェアまたはソフトウェアの構成要素を制御することができ、各種データ処理及び演算を遂行することができる。該プロセッサは、GPU(Graphic Processing Unit)及び/またはイメージ信号プロセッサ(Image Signal Processor)をさらに含んでもよい。該プロセッサにイメージ信号プロセッサが含まれる場合、イメージセンサにより獲得されたイメージ(または、映像)を、プロセッサを利用して保存及び/または出力することができる。
【0120】
図23は、例示的な実施形態によるイメージセンサを含む電子装置の一例を概略的に示すブロック図である。
【0121】
図23を参照すれば、ネットワーク環境ED00において、電子装置ED01は、他の電子装置ED02と通信するか、あるいはサーバED08と通信することができる。電子装置ED01は、プロセッサED20、メモリED30、入力装置ED50、音響出力装置ED55、表示装置ED60、オーディオモジュールED70、センサモジュールED76、インターフェースED77、カメラモジュールED80、電力管理モジュールED88、バッテリED89、通信モジュールED90及び/またはアンテナモジュールED97を含む。電子装置ED01には、当該構成要素のうち一部構成要素(表示装置ED60など)が省略されてもよく、他の構成要素が追加されてもよい。当該構成要素のうち一部は、1つの統合された回路により具現可能である。例えば、センサモジュールED76(指紋センサ、虹彩センサ、照度センサなど)は、表示装置ED60(ディスプレイなど)に組み込まれて具現可能である。また、イメージセンサ1000に分光機能が含まれる場合、センサモジュールの一部機能(カラーセンサ、照度センサ)が別途のセンサモジュールではないイメージセンサ1000自体で具現可能である。
【0122】
プロセッサED20は、ソフトウェア(プログラムED40など)を実行し、プロセッサED20に連結された電子装置ED01のうち1つまたは複数個の他の構成要素(ハードウェア、ソフトウェアの構成要素など)を制御することができ、多様なデータ処理または演算を遂行することができる。データ処理または演算の一部として、プロセッサED20は、他の構成要素(センサモジュールED76、通信モジュールED90など)から受信された命令及び/またはデータを揮発性メモリED32にロードし、揮発性メモリED32に保存された命令及び/またはデータを処理し、結果データを不揮発性メモリED34に保存することができる。
【0123】
メモリED30は、電子装置ED01の構成要素(プロセッサED20、センサモジュールED76など)が必要とする多様なデータを保存することができる。該データは、例えば、ソフトウェア(プログラムED40など)、並びにそれと関連した命令に係わる入力データ及び/または出力データを含む。メモリED30は、揮発性メモリED32及び/または不揮発性メモリED34を含む。不揮発性メモリED34は、電子装置ED01内に固設された内蔵メモリED36と、脱着可能な外装メモリED38とを含む。
【0124】
プログラムED40は、メモリED30にソフトウェアとして保存され、オペレーティングシステムED42、ミドルウェアED44及び/またはアプリケーションED46を含む。カメラモジュールED80は、静止画及び動画を撮影することができる。カメラモジュールED80は、1つまたは複数のレンズを含むレンズアセンブリ、図1のイメージセンサ1000、イメージシグナルプロセッサ及び/またはフラッシュを含む。カメラモジュールED80に含まれたレンズアセンブリは、イメージ撮影の対象である被写体から放出される光を収集することができる。
【0125】
図24は、図23のカメラモジュールの例示を概略的に示すブロック図である。
【0126】
図24を参照すれば、カメラモジュールED80は、レンズアセンブリCM10、フラッシュCM20、イメージセンサ1000(図22のイメージセンサ1000など)、メモリCM50(バッファメモリなど)及び/またはイメージシグナルプロセッサCM60を含む。レンズアセンブリCM10は、イメージ撮影の対象である被写体から放出される光を収集することができる。カメラモジュールED80は、複数のレンズアセンブリCM10を含み、その場合、カメラモジュールED80は、デュアルまたはマルチカメラ、360°カメラまたは球状カメラ(Spherical Camera)にもなる。複数のレンズアセンブリCM10のうち一部は、同一レンズ属性(画角、焦点距離、自動焦点、Fナンバー、光学ズームなど)を有するか、または異なるレンズ属性を有することができる。レンズアセンブリCM10は、広角レンズまたは望遠レンズを含む。デュアルまたはマルチカメラモジュールにおいて、フィルタアレイの属性が相異なる組み合わせを有することができる。
【0127】
フラッシュCM20は、被写体から放出または反射される光を強化するために使用される光を放出することができる。フラッシュCM20は、1つまたは複数の発光ダイオード(RGB(Red-Green-Blue)LED、White LED、Infrared LED、Ultraviolet LEDなど)及び/またはキセノンランプを含む。イメージセンサ1000は、図1で説明したイメージセンサでもあり、被写体から放出または反射され、レンズアセンブリCM10を介して伝達された光を電気的な信号に変換することにより、被写体に対応するイメージを獲得することができる。イメージセンサ1000は、RGBセンサ、BW(Black and White)センサ、IRセンサまたはUVセンサのように、属性が異なるイメージセンサのうち選択された1つまたは複数のセンサを含む。イメージセンサ1000に含まれたそれぞれのセンサは、CCDセンサ及び/またはCMOSセンサによっても具現される。
【0128】
メモリCM50は、イメージセンサ1000を介して獲得されたイメージの一部または全体のデータを次のイメージ処理作業のために保存することができる。例えば、複数のイメージが高速に獲得される場合、獲得された原本データ(Bayer-Patternedデータ、高解像度データなど)はメモリCM50に保存し、低解像度イメージのみをディスプレイした後、選択された(ユーザ選択など)イメージの原本データがイメージシグナルプロセッサCM60に伝達されるようにするのに使用可能である。メモリCM50は、電子装置ED01のメモリED30に統合されているか、あるいは独立して運用される別途のメモリで構成される。
【0129】
イメージシグナルプロセッサCM60は、イメージセンサ1000を介して獲得されたイメージ、またはメモリCM50に保存されたイメージデータに対し、イメージ処理を遂行することができる。該イメージ処理は、デプスマップ(Depth Map)生成、三次元モデリング、パノラマ生成、特徴点抽出、イメージ合成及び/またはイメージ補償(ノイズ低減、解像度調整、輝度調整、ブラーリング(Blurring)、シャープニング(Sharpening)、ソフトニング(Softening)など)を含む。イメージシグナルプロセッサCM60は、カメラモジュールED80に含まれた構成要素(イメージセンサ1000など)に対する制御(露出時間制御またはリードアウトタイミング制御など)を行うことができる。イメージシグナルプロセッサCM60により処理されたイメージは、追加処理のためにメモリCM50に再び保存されるか、あるいはカメラモジュールED80の外部構成要素(メモリED30、表示装置ED60、電子装置ED02、電子装置ED04、サーバED08など)に提供される。イメージシグナルプロセッサCM60は、プロセッサED20に統合されるか、あるいはプロセッサED20と独立して運用される別途のプロセッサで構成される。イメージシグナルプロセッサCM60がプロセッサED20と別途のプロセッサで構成された場合、イメージシグナルプロセッサCM60により処理されたイメージは、プロセッサED20により追加のイメージ処理を経た後、表示装置ED60を介して表示可能である。
【0130】
再び図23を参照すれば、電子装置ED01は、それぞれ異なる属性または機能を有する複数のカメラモジュールED80を含む。その場合、複数のカメラモジュールED80のうち1つは広角カメラであり、他の1つは望遠カメラである。同様に、複数のカメラモジュールED80のうち1つは前面カメラであり、他の1つは背面カメラである。また、カメラモジュールED80は、従来のRGBの3色フィルタを有するイメージセンサと、分光フィルタで構成された分光イメージセンサとが組み合わせられ、組み合わせられた2つのイメージセンサのデータを統合処理する組み合わせ型カメラモジュールでもある。
【0131】
図25は、それぞれ異なる属性を有する複数のイメージセンサを有する複合カメラモジュールの概略的な構造を示すブロック図である。ここで、第1イメージセンサ100は、従来のRGBイメージセンサであり、第2イメージセンサ200は、マルチスペクトルイメージ(MSI: Multispectral image)センサである。
【0132】
このとき、RGBイメージセンサは、CMOSイメージセンサでもある。RGBセンサは、ベイヤーカラーフィルタアレイ(Bayer color filter array)を使用して、R、G、Bを示すスペクトルをそれぞれセンシングした3つのチャネルの映像を生成することができる。また、他の種類のカラーフィルタアレイを使用可能であることはいうまでもない。MSIセンサは、RGBイメージセンサとは異なる波長の光をセンシングして示す。MSIセンサは、チャネルの数をより多く有することにより、より多くの種類の波長の光をセンシングすることを特徴とする。
【0133】
プロセッサ500は、各イメージセンサ100、200から獲得された映像情報を処理し、所望の方式によりデータを組み合わせて、イメージの画質を改善するか、あるいはイメージの対象体を識別する性能を向上させることができる。
【0134】
実施形態によるイメージセンサ1000は、図26(a)に示されたモバイルフォンまたはスマートフォン5100m、図26(b)に示されたタブレットまたはスマートタブレット5200、図26(c)に示されたデジタルカメラまたはカムコーダ5300、図26(d)に示されたノート型パソコン5400、あるいは図26(e)に示されたTVまたはスマートTV 5500などに適用可能である。例えば、スマートフォン5100mまたはスマートタブレット5200は、高解像イメージセンサがそれぞれ搭載された複数の高解像カメラを含む。該高解像カメラを利用して、映像内の被写体の深さ情報を抽出するか、映像のアウトフォーカシングを調節するか、あるいは映像内の被写体を自動的に識別することができる。
【0135】
また、イメージセンサ1000は、図27(a)に示されたスマート冷蔵庫5600、図27(b)に示された保安カメラ5700、図27(c)に示されたロボット5800、図27(d)に示された医療用カメラ5900などに適用可能である。例えば、スマート冷蔵庫5600は、イメージセンサを利用して、冷蔵庫内にある食べ物を自動的に認識し、特定食べ物が存在するか否か、入庫または出庫された食べ物の種類などを、スマートフォンを介してユーザに報知することができる。保安カメラ5700は、超高解像度映像を提供することができ、高い感度を利用して、暗い環境でも映像内の事物または人間を認識可能にする。ロボット5800は、人間が直接接近できない災害または産業現場で投入され、高解像度映像を提供することができる。医療用カメラ5900は、診断または手術のための高解像度映像を提供することができ、視野を動的に調節することができる。
【0136】
また、イメージセンサ1000は、図27(e)に示されたように、車両6000に適用可能である。車両6000は、多様な位置に配置された複数の車両用カメラ6010、6020、6030、6040を含み、それぞれの車両用カメラ6010、6020、6030、6040は、一実施形態によるイメージセンサを含む。車両6000は、複数の車両用カメラ6010、6020、6030、6040を利用して、車両6000の内部または周辺に係わる多様な情報を運転手に提供することができ、映像内の事物または人間を自動的に認識し、自律走行に必要な情報を提供することができる。
【0137】
前述の分光フィルタを具備するイメージセンサ及びそれを含む電子装置は、図面に示された実施形態を参照して述べられたが、それは例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者ならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。権利範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に表されており、それと同等な範囲内にある全ての相違点は権利範囲に含まれたものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0138】
101 第1画素
102 第2画素
103 第3画素
104 第4画素
111 第1ユニットフィルタ
112 第2ユニットフィルタ
113 第3ユニットフィルタ
114 第4ユニットフィルタ
121 第1キャビティ
122 第2キャビティ
123 第3キャビティ
124 第4キャビティ
121’ 第1キャビティ下部層
122’ 第2キャビティ下部層
123’ 第3キャビティ下部層
124’ 第4キャビティ下部層
121” 第1キャビティ上部層
122” 第2キャビティ上部層
123” 第3キャビティ上部層
124” 第4キャビティ上部層
125 中間光吸収層
126a 第1誘電体
126b 第2誘電体
131 第1反射板
132 第2反射板
150 保護層
191 第1帯域フィルタ
192 第2帯域フィルタ
193 第3帯域フィルタ
194 第4帯域フィルタ
1100 分光フィルタ
1110 第1フィルタアレイ
1120 第2フィルタアレイ
4100 画素アレイ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27