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特開2023-164414容器及び二重壁タンクを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164414
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】容器及び二重壁タンクを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/06 20060101AFI20231102BHJP
   B64D 37/30 20060101ALI20231102BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20231102BHJP
   B29C 70/68 20060101ALI20231102BHJP
   B29C 70/32 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F17C1/06
B64D37/30
B64C1/00 B
B29C70/68
B29C70/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075821
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】22382413.7
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521548777
【氏名又は名称】エアバス、オペレーションズ、ソシエダッド、リミターダ、ウニペルソナル
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS, S.L.U.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】マティルデ、デ、ラ、モタ、メンディオラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘスス、ハビエル、バスケス、カストロ
(72)【発明者】
【氏名】アスンシオン、ブトラゲーニョ、マルティネス
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ、バジェステロ、メンデス
【テーマコード(参考)】
3E172
4F205
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB18
3E172BC03
3E172CA13
3E172CA14
3E172DA04
3E172DA20
3E172DA22
3E172EA03
4F205AA36
4F205AD16
4F205AG07
4F205AH55
4F205AR06
4F205AR11
4F205HA02
4F205HA14
4F205HA22
4F205HA37
4F205HA46
4F205HB01
4F205HB11
4F205HK05
4F205HL02
4F205HT22
4F205HT26
(57)【要約】
【課題】容器及び二重壁タンクを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、流体を内部に収容するように構成された容器を製造する方法であって、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造であって、相互に合致するように構成された相補的形状を有し、それにより、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造を提供するステップと、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を、内部容積が画定されるように相互に結合するステップと、相互に結合されたら、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層を巻回するステップと、得られた組立体を硬化させるために硬化サイクルを適用するステップとを含む方法を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を内部に収容するように構成された容器(10)を製造する方法であって、
a)少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(11.1、12.1)を有する形状とされ、それにより、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)を提供するステップと、
b)前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)を、前記内部容積が画定されるように相互に結合するステップと、
c)相互に結合されたら、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層(13)を巻回するステップと、
d)ステップc)から得られた組立体を硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)前に、
- 前記FRP構造(11、12)が完全に硬化される硬化サイクルを完了させるように適合された温度と比較してより低い温度、及び/又は
- 前記FRP構造(11、12)が完全に硬化される硬化サイクルを完了させるように適合された持続時間と比較してより短い持続時間
で部分的硬化サイクルを適用することにより、それぞれの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)を製造するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、FRPプライを含むラミネートを型上に積層するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、
- ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、前記ハニカムコアの内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層するステップと、
- 前記アンサンブル上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込めるステップと、
- 真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で提供される少なくとも1つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)は、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)の内面から、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)がステップb)に従って相互に結合されるときに画定される前記内部容積に向かって突出する少なくとも1つのバッフル及び/又は壁型要素(14)を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)で提供される2つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)は、ドーム形状のFRP構造であり、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)は、凸状外側面及び凹状内側面を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)がステップa)で提供され、前記2つのドーム形状のFRP構造(11、12)は、それぞれの各凹状内側面から突出する円形フランジ(16)を含み、前記少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)は、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)の前記円形フランジ(16)の直径未満であるか又はそれと実質的に等しい直径を有する大きさであり、それにより、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)及び前記少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)は、ステップb)に従って密着して相互に結合され、前記円形フランジ(16)は、前記少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)の境界と重なる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーム形状のFRP構造(11、12)の少なくとも1つは、チューブ(17.1)の挿入を可能にし、且つ前記容器(10)の内側と外側との間の流体連通を確立するように構成された少なくとも1つの貫通孔(17)を提供される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)で提供される少なくとも1つの部分的に硬化されたFRP構造(11、12)は、凸状外側面及び凹状内側面を有するドーム形状であり、及び前記ドーム形状のFRP構造(11、12)の厚さは、前記結合界面(11.1、12.1)から前記ドーム形状のFRP構造の極領域まで徐々に増大する、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
流体を内部に収容するように構成された二重壁タンク(20)を製造する方法であって、
i)請求項1~9の何れか一項に従って製造された容器(10)を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(21.1、22.1)を有する形状とされ、それにより、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)を提供するステップであって、前記内部チャンバは、前記容器(10)が前記内部チャンバ内に収容されるとき、前記容器(10)の外側面と、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の内側面との間に間隙が画定されるように、ステップi)で提供された前記容器(10)を収容するような大きさである、ステップと、
iii)前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を相互に結合し、ステップi)で提供された前記容器(10)を内部に封入するステップであって、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を前記容器(10)から所定の距離に維持するために、前記容器(10)の前記外側面と、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の前記内側面との間に少なくともスペーサ(24)が提供される、ステップと、
iv)相互に結合されたら、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層(23)を巻回するステップと、
v)ステップiv)から得られた組立体を硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項11】
ステップiii)前に、前記容器(10)を包囲する少なくとも断熱層を提供するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップii)前に、前記FRPタンク構造(21、22)が完全に硬化される所定の持続時間及び温度条件下における完全硬化サイクルと比較してより低い温度及び/又はより短い持続時間で部分的硬化サイクルを適用することにより、それぞれの少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を製造するステップを更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、型上に提供されたFRPプライによって形成されるラミネートを積層するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、
- ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層するステップと、
- 前記アンサンブル上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込めるステップと、
- 真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体貯蔵システム及びその製造方法の分野に属する。特に、本発明は、組み立てられ且つ装着されると、後に一緒に硬化される少なくとも部分的に硬化されたコンポーネントを統合することによって容器を製造する方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、二重壁タンクであって、液体水素等の極低温状態の流体を収容する内側容器と、二重壁タンクの外壁との間に断熱が提供された二重壁タンクを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
環境面の理由から、化石燃料の使用削減に向けた課題に一層直面せざるを得ない。この状況では、再生可能エネルギに基づいて製造されるグリーン水素は、効率的なエネルギ供給の妥当な候補である。これは、その高エネルギ密度から、航空機用途のための新たな代替燃料となっている。
【0004】
特に、水素は、高高度の航空機のための燃料として魅力的であり、なぜなら、それに含まれる1ポンド当たりのエネルギは、従来の炭化水素燃料の約2.8倍であるためである。従って、航空機用途では、水素の前記高い比エネルギは、重要な成功要因であり得る。しかしながら、実践的な考察から、その利用が大きく阻まれている。水素の比エネルギは、非常に高いものの、単位容積当たりのエネルギは、比較的小さい。液体水素は、気体の形態と比較してそのエネルギ密度が高くなると同時に、液体の状態での圧力が低いため、水素をその中に閉じ込めるのに必要なタンクの質量を削減することができる。20K及び圧力1バールの液体水素の密度は、88K及び700バールの気体水素が40g/lであるのに対して70g/lである。極低温圧縮水素のみがより高密度であり、38K及び300バールでの数値は、80g/lである。これらのパラメータから、液化された極低温の状態であれば、低圧で効率的な貯蔵が可能となり、長距離運航用航空機にとって現実的な選択肢である。
【0005】
これに関して、LH2クライオタンクは、次世代以降の大推力打ち上げロケット、宇宙探査構造物及び新たなグリーン航空機の構造の主要コンポーネントの1つである。水素貯蔵システムの開発における最大の課題があるのは、航空機であり、これは、軽量化の必要性と、良好な断熱及び透過特性につながる最長の休止期間の要求事項との組合せによる。主な課題の一部は、形状、温度、圧力、透過性、断熱性、水素脆化、真空気密性、タンク内部へのシステムの組込み及び航空機構造へのタンクの組込みである。
【0006】
水素の高い比エネルギを利用するために、関連するタンクは、好ましくは、軽量であるべきであり、且つ断熱されなければならない。タンクの断熱方法は、複数の種類の熱伝達、即ち固体を通した伝導、気体を通した伝導及び対流並びに放射に対応しなければならない。高性能な断熱を有効にする幾つかの方法は、真空を用いて伝導及び対流気体熱伝達をほぼ排除する。
【0007】
上述の状況を考慮して、業界で開発され、現在使用されている解決策は、以下のような構造及び要素を含むタンクからなる:
- 外側ジャケット及び内側金属圧力容器を含む二重壁タンク。これらの容器は、通常、アルミニウム又は鋼鉄で製作され、主にこれらが経済的であり、且つ信頼性が高いことから、使用されている従来のタンクの大部分を占める。しかしながら、これらは、極低温圧縮水素の閉じ込めに使用されタンクのうちで最も重いタイプでもある。
- 複合材による補強用オーバーラップを有する金属製圧力容器/ライナ。金属及び複合材料で構造的負荷が分担される。上述の選択肢より製造コストが安価であり、重量も大幅に軽量化される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の流体を内部に収容するように構成された容器を製造する方法及び請求項10に記載の二重壁タンクを製造する方法により、上述の問題に対する解決策を提供する。従属請求項では、本発明の好ましい実施形態が定義される。
【0009】
第1の発明の態様において、本発明は、流体を内部に収容するように構成された容器を製造する方法を提供し、前記方法は、
a)少なくとも2つの部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造を提供するステップと、
b)少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を、内部容積が画定されるように相互に結合するステップと、
c)相互に結合されたら、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層を巻回するステップと、
d)ステップc)から得られた組立体を硬化させるステップと
を含む。
【0010】
何れのFRP構造又は複合材料の特性も製造プロセスの条件によって決まる。従って、本明細書全体を通して、「部分的に硬化された又は「予備硬化された」繊維強化ポリマー(FRP)構造」とは、それによりFRP構造が所望の化学的及び機械的特性を得ることができる所定の持続時間及び温度条件下での完全硬化サイクルが適用され、且つ従って「完全に硬化された」又は単に「硬化された」ものと考えることができる場合と比較して、不完全な硬化サイクル又は「部分的硬化サイクル」を経た複合材料、特に熱硬化性ポリマーを含む材料からなる構造と理解すべきである。従って、「少なくとも部分的に硬化されたFRP構造」は、不完全又は完全硬化サイクルを経た後に提供されるFRP構造とみなすことができる。
【0011】
「プリプレグ」とは、「予備含浸」繊維と、エポキシ又はフェノール樹脂等の部分的硬化ポリマーマトリックスとから製作される複合材料である。マトリックスは、繊維を一緒に接合するために使用される。硬化プロセスにより、ポリマー鎖間に強力な架橋結合を生じさせて、不溶解性且つ不溶性ポリマーネットワークを生成する化学反応が起こる。十分に高い温度での架橋結合中、材料は、液体からゲルを介してガラス様固体に変化する。
【0012】
従って、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、樹脂フローを低減するために、マトリックスが通常の樹脂よりも大きい分子量を有する硬化度に到達するように処理され、これにより取り扱い、貯蔵及び後の処理特性を促進する特定の硬度が提供される。前記後の又は後続の処理特性の1つとして、例えば、その寸法的安定性及び構造的完全性を維持しつつ、ステップb)に従って相互に結合されるように、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造に十分な硬度が提供され、方法のステップc)に従って提供される材料のための支持物(即ち「工具」又は「型」)として機能する必要性が考慮される。
【0013】
本明細書全体を通して参照される積層技術、即ち自動テープ積層(ATL)又は自動繊維配置(AFP)に関して、両方のプロセスは、機能的に類似し、樹脂含浸繊維材料(いわゆる「プリプレグ」)を適用することを含む。しかしながら、各プロセスは、必要に応じて強度又は硬度を提供するという特定の構造物構築目的を達成するために、異なる方式で使用される。特に、一方又は他方の使用は、主に製造部分の幾何学的複雑さによって決まり、この場合、AFPによってより大きい曲率が可能となる。
【0014】
「工具」とは、FRP構造又は複合材料の製造プロセス作業で使用され、その性能を最適化することに寄与する器具及びツール一式と理解されるものとする。「工具」の例は、
- 型、
- 真空バッグ、
- 当て板、
- 加熱装置
が含まれる。
【0015】
典型的には、複数の複合プライ又はテープが型の上に積み重ねられ、その結果、プライの積層体が得られる。これに関して、「プライ」とは、型の上に積層される複合材料の1つの連続する領域と理解すべきであり、同じ層内の2つのプライは、通常、重複しない。プライの積層により、「ラミネート」又は全体として「プリフォーム」と呼ばれる積層体が形成される。型、マンドレル又は雄型は、型上で部品を製造するための成形表面としてみなされ、それにより、この部品は、少なくとも型に接触するその面において型の形状を取得する。
【0016】
加えて、繊維材料強化材は、ガラス(ガラス繊維強化ポリマー「GRFP」の場合)、炭素(炭素繊維強化ポリマー「CRFP」の場合)、ポリマー繊維又は強化材として使用される他のいずれかの従来の材料であり得る。それらのうちで炭素が好ましい。
【0017】
他方で、成形ステップ(いわゆる「予備成形」)は、2種類の方式、即ち温間成形又はプレス成形によって行われ得る。簡単に言えば、温間成形は、膜及び熱を使用する一方、プレス成形は、プレス及び力を使用する。
【0018】
従って、製造プロセスの複数の組合せ(即ちツールの選択肢に関係する)を使用し得る。
【0019】
水素脆化とは、水素を液体状態に保つための極低温範囲により、水素原子が特定の種類の金属中に拡散することから生じる水素損傷の形態である。水素が存在すると、金属材料は、その延性を失い、脆性破壊を起こしやすくなる。亀裂開始及び伝播は、コンポーネントの内部及び表面で発生し得る。
【0020】
事前硬化されたら、ステップa)で提供されたFRP構造は、流体が閉じ込められることが意図される内部容積を画定するような方法で組み立てる(即ち相互に結合する)ことができる。この意味で、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、結合界面を利用してステップb)に従って相互に結合し得るように相補的な構造又は形状を提供され、結合界面は、ある実施形態では相互に合致するような外形の少なくとも部分的に硬化されたFRP構造の輪郭又は境界であり得ると理解されたい。
【0021】
FRP構造の結合を促進し、且つその密封性を後に改善するための相補的形状は、舌及び溝、フランジなどであり得る。
【0022】
後の段階で組み立てられて、容器の最終的な幾何学的形状を得る一連の分離された部品(少なくとも部分的に硬化されたFRP構造)を提供することにより、様々なシステム及び構造的要素を容器の内側に快適な方法で取り付けることが可能になる。特に、複数の内部システム、例えばスロッシング防止壁、パイプ、バッフルリング、光導波路及び/又は液面センサは、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造内において、それが相互に結合される前に別々に取り付けることができる。
【0023】
有利には、本発明の方法によって提案される、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を結合し、次いでこれらが包まれ、且つこれらに最終的な硬化プロセスが施されることによって容器が製造されるという連続式の概念にため、システム及び構造的要素は、流体を内部に収容する内部容積がモノリシックに/単独部品で且つ/又はワンショットプロセスで製造される他の構造に対して、はるかに効率的且つ柔軟に統合される。
【0024】
加えて、前述の連続式の概念により、この方法は、容器の最終的な幾何学的形状に「不連続部分」を付与することも想定し、前記不連続部分は、パイプ、チューブ又は他の補助的なシステム支持物などの外部要素を設置及び/又は挿入するように適合される。この意味で、「不連続部分」とは、プライ及び/又はラミネートの連続性の欠如、即ち切欠き部、ノッチ又は貫通孔等として理解されるものとする。
【0025】
有利には、これらの不連続部分は、例えば、前記構造を包む(即ち包囲する)FRPと共に、相互に結合された少なくとも部分的に硬化されたFRP構造が硬化されるステップd)で適用される硬化サイクルで圧力をバランスさせることにも寄与する。
【0026】
従来の製造プロセスによれば、この種の不連続部分は、通常、何れかの仕上げ作業(例えば、数値制御の切削プロセス)によって別のステップで提供されるため、製造段階の数が増える。
【0027】
それに対して、本発明の方法によれば、任意の不連続部分は、FRP構造の積層プロセス中、FRP構造の中央部分内に又は輪郭(即ち結合面)の倣い削りによっての何れかで導入され得る。特に、結合面の相補的な幾何学的形状は、FRP構造がステップb)に従って結合されるとき、前記不連続部分がFRP構造間の継ぎ目に沿って形成されるような形状であり得る。例えば、各FRP構造に半円穴を形成し得、それにより2つのFRP構造が結合されると、その接合部に管を通すための穴ができる。
【0028】
少なくとも部分的に硬化されたFRP構造がステップb)に従って結合された後、得られた組立体が包まれ、これにより好ましくは自動繊維配置(AFP)又はフィラメント巻回技術によってFRP材料の層を提供することにより、好ましくは組立体全体が包まれる。
【0029】
「フィラメント巻回」方式に関して、主に中空部品、例えばパイプ及び容器等、一般に円形又は楕円形の断面を有するコンポーネントに使用される、熱硬化性樹脂を含浸させた張力をかけられた補強用繊維フィラメント及び/又はテープを、雄型又はマンドレルに巻き付けることからなる複合材料構造物製造プロセスと理解すべきである。従来、前記雄型を回転させ、その間にキャリッジが水平に移動して、繊維を所望のパターンで方向付ける。雄型がフィラメントの所望の厚さ及び分布パターンで完全に被覆されると、樹脂が硬化され得る。樹脂が硬化した後、雄型が取り外され(型外しプロセス)、中空の最終製品が残る。
【0030】
フィラメント巻回は、自動化可能なプロセスであり、フィラメントの張力を慎重に制御することができる。フィラメントの向きも慎重に制御して、層をその前の層と異なるように積層し、方向付けられることができる。下層の繊維が形成される角度によって最終製品の特性が決まる。
【0031】
有利には、この方法では、工具の概念が簡素化されて、関連するリソースコストが削減され、なぜなら、ステップb)に従って少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を結合した後に得られる組立体自体が、フィラメント巻回プロセスが実行される雄型の役割を果たすからである。即ち、結合された少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、ステップd)による繊維の積層及び最終的硬化サイクルの連続的なステップのための工具として機能する。更に、巻き付けられるフィラメントにかけられる張力も、それらを巻き付けている間にFRP構造を相互に押し付けて維持する。
【0032】
構造的負荷に耐える機能を実行し、且つ気体透過を防止するためのバリアとして機能するためのFRP構造及びそれを包む外側層の両方のための複合材料の使用は、金属製部分を使用した従来の容器と比較してはるかに軽量の容器をもたらす。従って、金属製の選択肢と比較して重量計測インデックス(GI)、即ち容器/タンクの重量対液体水素の重量も改善される。
【0033】
加えて、上述のような複合材料による製造技術を使用して、結合されるとこれらを包むためのFRP構造及び外側のFRP材料層を製造できることによって得られる汎用性は、プライ及びラミネートの厚さの最適な選択につながり、それにより容器の透過性を制御することができ、低温脆化による微小亀裂現象の出現が防止される。
【0034】
より具体的には、方法の汎用性により、「薄型プライ」と「標準プライ」とを組み合わせて、FRP構造の部品及びそれを包むために使用されるFRP材料であるラミネートを形成することが可能となる。
【0035】
この意味で、プライの厚さは、通常、0.1mmより厚いと理解されたい。プライの厚さをこの限度まで削減したものは、通常、薄型プライと呼ばれる。本発明に関連して、薄型プライは、0.04mm~0.1mmの厚さのプライと考えられる。
【0036】
組合せは、前記薄型プライを用いて製造されることが望まれる容器の全体の厚さの比に依存する。ある実施形態において、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、薄型プライのみで構成され、及びステップc)に従って提供されるFRP材料の層は、標準的なプライのみから製造され、これにより積層作業の合計時間を最適化する構造的な組合せが得られる。
【0037】
ステップd)の組立体、即ちステップc)に従って提供されるFRP材料の層によって後に包まれる、ステップb)に従って相互に少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を結合した後に形成される組立体の硬化プロセスに関して、硬化サイクルを適用するための器具又は工具として好ましくは使用される加熱手段は、オートクレーブ又は代替的にオーブンである。
【0038】
ある実施形態では、方法は、ステップa)前に、
- FRP構造が完全に硬化される硬化サイクルを完了させるように適合された温度と比較してより低い温度、及び/又は
- FRP構造が完全に硬化される硬化サイクルを完了させるように適合された持続時間と比較してより短い持続時間
で部分的硬化サイクルを適用することにより、それぞれの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を製造するステップを含む。
【0039】
ある実施形態では、方法は、部分的硬化サイクルを適用する前に、自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、FRPプライを含むラミネートを型上に積層するステップを含む。
【0040】
ある実施形態では、方法は、部分的硬化サイクルを適用する前に、
- ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層するステップと、
- アンサンブル上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込めるステップと、
- 真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
を含む。
【0041】
有利には、これらのステップによって得られ、且つハニカムコアを含むパネルを有する少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、注入された樹脂がハニカムコアの開放セル内に進入することを防止するための最適化されたコア封止解決策を提供され、従って特に湾曲した又は非常に湾曲したパネルにその機械的特性が改善される。
【0042】
ある実施形態では、ステップa)で提供される少なくとも1つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造の表面から、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造がステップb)に従って相互に結合されるときに画定される内部容積に向かって突出する少なくとも1つのバッフル及び/又は壁型要素を含む。
【0043】
スロッシングは、よく知られた望ましくない現象であり、容器又はタンク内に貯蔵される流体に不利な影響を与え、特に容器が車両に取り付けられる場合、容器が揺さぶられることによって生じる。このように揺さぶられた結果、横方向の力によって液体に推進力が生じ、容器壁の縦方向の範囲に沿った不均一な流体の流れと、関連する容器の幅にわたる流体の不均一な分布とを引き起こす傾向がある。
【0044】
流体のスロッシング運動は、大きい構造的負荷及び剛体による障害を誘発する可能性があり、これらは、制御システムの動作に悪影響を与え得る。容器の内側容積内に取り付けられ、内面から内側に向かって延びる前記バッフル及び/又は壁型要素の存在は、スロッシングを減衰させるのに役立つ。
【0045】
ある実施形態では、ステップa)で提供される2つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、ドーム形状のFRP構造であり、それぞれのドーム形状のFRP構造は、凸状外側面及び凹状内側面を有する。
【0046】
相互に対するこれらの部分(即ち少なくとも部分的に硬化されたFRP構造)の向き及び姿勢について、凹状内側面は、ドーム形状のFRP構造がステップb)に従って相互に結合されるときに画定される内部容積に向かって方向付けられることを理解されたい。
【0047】
構造的且つ幾何学的観点から、ドーム形状のFRP構造は、本発明の意味では、球状キャップ、即ち平面によって切断された結果として得られる球体の任意の部分として理解され得る。これは、例えば、パラボロイド形状などのわずかに異なる凹状 - 凸状形状を有することもできる。
【0048】
ある実施形態では、ステップa)は、2つの少なくとも部分的に硬化されたドーム形状のFRP構造及び1つの少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造を提供するステップを含み、それぞれのドーム形状のFRP構造は、凸状外側面及び凹状内側面を含み、ステップb)に従い、2つのドーム形状のFRP構造のそれぞれは、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造の異なる端部に結合される。
【0049】
ある実施形態では、2つのドーム形状のFRP構造は、それぞれの各凹状内側面から突出する円形フランジを含み、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造は、それぞれのドーム形状のFRP構造の円形フランジの直径未満であるか又はそれと実質的に等しい直径を有する大きさであり、それにより、それぞれのドーム形状のFRP構造及び少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造は、ステップb)に従って密着して相互に結合され、円形フランジは、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造の境界と重なる。
【0050】
ある実施形態では、ステップb)は、それぞれのドーム形状のFRP構造及び部分的に硬化された円筒形FRP構造間の結合界面に吸着カップ及び/又は接着剤フィルムを提供するステップを含む。
【0051】
有利には、吸着カップシステムの単独の提供又は結合界面における接着剤フィルムの適用と一緒の提供は、関連するFRP構造間の相対的な位置の固定に寄与する。
【0052】
ある実施形態では、ステップe)で得られる容器は、球状容器である。
【0053】
前記球状容器は、2つの半球状のドーム形状FRP構造の結合によって得られる。
【0054】
ある実施形態では、ステップa)は、1つの少なくとも部分的に硬化されたドーム形状のFRP構造及び球状部分によってその端部の1つで閉鎖された1つの少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造を提供するステップを含み、ステップb)に従い、ドーム形状のFRP構造は、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造の開放端部に結合される。
【0055】
ある実施形態では、ドーム形状のFRP構造の少なくとも1つは、チューブの挿入を可能にし、且つ容器の内側と外側との間の流体連通を確立するように構成された少なくとも1つの貫通孔を提供される。
【0056】
ある実施形態では、ステップa)で提供される少なくとも部分的に硬化されたFRP構造は、2つの半円筒形の構造である。
【0057】
ある実施形態では、ステップa)で提供される少なくとも1つの部分的に硬化されたFRP構造は、凸状外側面及び凹状内側面を有するドーム形状を有し、及び少なくとも1つのドーム形状のFRP構造の厚さは、結合界面から前記ドーム形状のFRP構造の極領域まで増大し、極領域では、厚さは、その最大値を有する。
【0058】
上述のように球状キャップ形状を有するものとみなされるドーム形状のFRP構造の極又は頂点は、ドーム形状のFRP構造の結合界面部分を含む平面又は換言すれば球体が前記球状キャップを得るために切断される平面の上方における最大高さの地点に対応することを理解されたい。極又は頂点は、一般に、判定された方向、特定の場合にはその長手方向に沿って組み立てられると、容器の端部に対応する。
【0059】
上述のように、上述の複合製造技術を使用して結合されると、これらを包むためのFRP構造及び外側FRP材料層を製造できることによって得られる汎用性は、プライ及びラミネートの最適な選択につながる。
【0060】
有利には、本発明のある実施形態に従い、パイプ、チューブ又は他の補助的なシステム支持物などの外部要素が、容器の内部への且つそれから外への流体の提供及び抽出のために挿入される容器の領域内で構造的補強が実現される。前記構造的補強は、前記チューブが、ドーム形状のFRP構造を包囲するFRP材料の層をステップc)に従って提供する前のステップで挿入される場合に特に有利である。チューブは、実際、極区域内におけるFRP材料の前記テープが付与された層の提供を妨げることになるであろう。
【0061】
加えて、その極区域の周りのドーム形状のFRP構造の漸進的な厚さの増大は、パイプ、チューブ又は他の補助的なシステム支持物の存在に起因して極区域で作業することが不可能であるにも関わらず、ステップc)に従って構造の残りの部分上に提供されるFRP材料の量を制御することにより、均一な厚さを得ることを可能にするであろう。
【0062】
ある実施形態では、方法は、ステップd)に従い、ステップc)から得られた組立体を硬化させた後、
- 少なくとも2つの外側FRP構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、外側FRP構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRP構造を提供するステップであって、前記外装は、ステップd)から得られた組立体を包囲し、組立体にその外面で接触するように大きさである、ステップと、
- 外側FRP構造を相互に結合し、ステップd)から得られた組立体を包囲するステップと、
- 外側FRP構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む。
【0063】
外側FRP構造は、第2スキン又は外装として、ステップd)から得られた組立体を閉じ込め、即ち少なくとも部分的に硬化されたFRP構造及び前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造の少なくとも一部上に提供されたFRP材料の層も包囲する。これにより、結合されると、外側FRP構造は、ステップd)から得られた組立体と接触する。この結果、外側FRP構造は、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造及び前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造の少なくとも一部上に提供されたFRP材料の層も1つに保持することに寄与し、これにより容器の全体的な密封性も増大する。
【0064】
有利には、これらの更なる外側FRP構造の使用は、その負荷支持能力及び気体透過特性を補強する容器のより厚い壁をもたらす。
【0065】
外側FRP構造が固定された後、得られた組立体は、分解することを防止され、即ち、容器の分離が防止され、内側容積内に収容される流体の漏出も防止される。
【0066】
ある実施形態では、提供された外側FRP構造は、部分的に硬化され、方法は、前記外側FRP構造を、それらが相互に結合され、ステップd)から得られた組立体を包囲した後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを含む。
【0067】
この硬化プロセスは、CFRPの単一片として、均一な壁構造特徴を有する容器を得るような方式において、存在する外側FRP構造を統合及び連結することを可能にする。この結果、硬化された外側FRP構造は、定位置で内側組立体をロックする。
【0068】
ある実施形態では、外側FRP構造は、対応する結合界面上に提供された相補的結合手段を含み得、前記相補的結合手段は、外側FRP構造の相対位置がそれによりロックされるように相互に組み合うように構成される。これに関して、FRP構造の結合を促進し、且つその密封性を後に改善するための相補的形状の例は、舌及び溝、ラビリンス継ぎ目、フランジなどであり得る。
【0069】
第2の発明の態様では、本発明は、流体を内部に収容するように構成された容器を製造する方法を提供し、前記方法は、
- 少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、内側FRP構造が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造を提供するステップと、
- 内側FRP構造を相互に結合するステップと、
- 少なくとも2つの外側FRP構造であって、相互に合致するように構成された相補型結合界面を有する形状とされ、それにより、外側FRP構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRP構造を提供するステップであって、前記外装は、それらが相互に結合された後に内側FRP構造を包囲し、内側FRP構造にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
- 外側FRP構造を相互に結合し、内側FRP構造を包囲するステップであって、内側FRP構造の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
- 外側FRP構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む。
【0070】
第3の発明の態様では、本発明は、流体を内部に収容するように構成された二重壁タンクを製造する方法を提供し、前記方法は、
i)第1の発明の態様又は第2の発明の態様の方法の実施形態の任意のものに従って製造された容器を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造を提供するステップであって、前記内部チャンバは、容器が内部チャンバ内に収容されるとき、容器の外側面と、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造の内側面との間に間隙が画定されるように、ステップi)で提供された容器を収容するような大きさである、ステップと、
iii)少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造を相互に結合し、ステップiで提供された容器を内部に封入するステップであって、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造を容器から所定の距離に維持するために、容器の外側面と、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造の内側面との間に少なくともスペーサが提供される、ステップと、
iv)相互に結合されたら、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層を巻回するステップと、
v)ステップiv)から得られた組立体を硬化させるステップと
を含む。
【0071】
方法によって製造された二重壁タンクは、3つの基本的構造要素:流体を内部に収容することを意図され、いわゆる二重壁タンクの内壁と考えられる、ステップi)で提供される第1又は第2の発明の態様による内側容器、ステップiii)に従って少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造を結合した後に前記内側容器を取り囲むように提供される外壁及び内側容器(即ち内壁)と外壁との間に配置される中間間隙又は空間を本質的に含み、前記中間空間は、水素等の極低温圧縮流体を収容する場合、極低温にさらされる内側容器を断熱することが意図される。
【0072】
ステップi)で提供される容器の内部容積と同様に、タンクの外壁は、ステップii)で提供される少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造をステップiii)に従って結合することによって提供される。
【0073】
ある実施形態では、相互に結合されたら容器をもたらすFRP構造及び前記容器を内部に閉じ込めるタンクの外壁をもたらすFRPタンク構造は、単一の段階において真空下で部分的硬化サイクルを受け、従って本発明の方法による二重壁タンクの製造に関わるステップの総数及び関連するコストが削減される。
【0074】
具体的には、ステップii)で提供されるFRPタンク構造は、これらが予備硬化されると、ステップi)で提供される容器が閉じ込められるように意図される内部チャンバを画定するような方式で組み立てる(即ち相互に結合する)ことができる。この意味で、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造は、相補的な幾何学的形状又は形状が付与され、それにより、それらは、結合界面を利用してステップiii)に従って相互に結合され得ることを理解されたい。ある実施形態では、前記結合界面は、相互に合致するような外形の少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造の輪郭及び境界である。
【0075】
その外側面とタンクの外壁との間で容器の周りに配置された中間間隙又は空間を画定するために、分離されたタンクの外壁を内側容器から所定の距離に維持するために、少なくとも1つのスペーサが容器上に提供される。
【0076】
ある実施形態では、ステップiii)は、内壁と外壁との間の距離を維持するために、容器の周りに分散された複数の別個の機械的スペーサを提供するステップを含む。
【0077】
二重壁タンクの外壁の最終的な形状をもたらすために、後の段階で組み立てられる一連の別個の部分(少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造)を提供するこの方式は、効率的且つ柔軟な方式でのタンクの内側における様々なシステム及び構造的要素の提供及び統合を可能にする。具体的には、パイプ、チューブなどの複数の内部システムは、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造が相互に結合される前に、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造内及び/又はタンクの内壁(即ちステップi)で提供された容器)とタンクの外壁との間に閉じ込められた空間内に別個に設置することができる。
【0078】
ある実施形態では、方法は、容器とタンクの外壁との間に画定された中間間隙内から空気を排出するステップと、次いで外側雰囲気からこのエンベロープを封止し、従って真空断熱を生成するステップとを含む。
【0079】
ある実施形態では、方法は、ステップiii)前に、容器を包囲する少なくとも断熱層を提供するステップを含む。
【0080】
ある実施形態では、タンクの内壁(即ちステップi)で提供された容器)とタンクの外壁との間に閉じ込められた空間内には、真空に維持された断熱材料が提供される。真空及び断熱材料は、熱伝達を低減し、且つ従って容器によって貯蔵され得る流体、より詳細には液体酸素、液体窒素又は液体アルゴンの蒸発損失の低減に役立つ。
【0081】
加えて、前述の連続式な概念により、この方法は、二重壁タンク、より詳細にはタンクの外壁の最終的な幾何学的形状に「不連続部分」を付与することも想定する。前記不連続部分は、パイプ、チューブ又は他の補助的なシステム支持物などの外部要素を設置及び/又は挿入するように適合される。
【0082】
ある実施形態では、結合面の相補的な幾何学的形状は、FRPタンク構造がステップiii)に従って結合されると、前記不連続部分がFRPタンク構造間の継ぎ目に沿って形成されるような形状であり得る。
【0083】
タンクの外壁の不連続部分の少なくとも1つは、内壁と外壁との間から空気を抽出し、従って真空断熱を得るための真空ポートとして使用され得る。
【0084】
有利には、これらの不連続部分は、例えば、前記構造を包む(即ち包囲する)、提供されるFRP層と共に、相互に結合された少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造がそれに従って完全に硬化される、ステップv)で適用される硬化サイクル中に圧力をバランスさせることにも寄与する。
【0085】
有利には、本発明の二重壁タンクを製造する方法では、工具の概念が簡素化されて、関連するリソースコストが削減され、なぜなら、ステップiii)に従ってFRPタンク構造を提供及び結合した後、得られる組立体は、二重壁タンクの外壁を包むために提供されるFRP材料の層が自動繊維配置又はフィラメント巻回技術によってその上部に提供される雄型としての役割を果たすからである。
【0086】
更に、ステップiii)及びiv)による製造プロセスにおける品質検査及び取り扱いは、方法のステップ式の流れ及び工具の簡素化の恩恵も受け、従ってより効率的に、よりリソースを必要とせずに実現され得る。
【0087】
ある実施形態では、方法は、ステップii)前に、FRPタンク構造が完全に硬化される所定の持続時間及び温度条件下における完全硬化サイクルと比較してより低い温度及び/又はより短い持続時間で部分硬化サイクルを適用することにより、それぞれの少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造を製造するステップを含む。
【0088】
ある実施形態では、方法は、部分的硬化サイクルを適用する前に、自動繊維配置又は自動テープ積層により、型上に提供されたFRPプライによって形成されるラミネートを積層するステップを含む。
【0089】
ある実施形態では、方法は、部分的硬化サイクルを適用する前に、
- ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層するステップと、
- アンサンブル上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込めるステップと、
- 真空下で前記ドライ繊維層に樹脂を注入するステップと
を含む。
【0090】
ある実施形態では、方法は、ステップv)に従い、ステップiv)から得られた組立体を硬化させた後、
- 少なくとも2つの外側FRPタンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記外側FRP構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRPタンク構造を提供するステップであって、前記外装は、ステップv)から得られた組立体を包囲し、組立体にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
- 外側FRPタンク構造を相互に結合し、ステップv)から得られた組立体を包囲するステップと、
- 外側FRP構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む。
【0091】
外側FRPタンク構造は、第2スキン又は外装として、ステップv)から得られた組立体を閉じ込め、即ちこれにより少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造及び前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造の少なくとも一部上に提供されたFRP材料の層も包囲する。これにより、結合されると、外側FRPタンク構造は、ステップv)から得られた組立体と接触する。この結果、外側FRPタンク構造は、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造及び前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造の少なくとも一部上に提供されたFRP材料の層を1つに保持することに寄与する。
【0092】
外側FRPタンク構造が固定された後、得られた組立体は、分解することを防止され、即ち二重壁タンクの分離が防止される。
【0093】
ある実施形態では、提供された外側FRPタンク構造が部分的に硬化され、方法は、前記外側FRPタンク構造を、それらが相互に結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを含む。
【0094】
ある実施形態では、外側FRPタンク構造は、対応する結合界面上に提供された相補的結合手段を含み得、前記相補的結合手段は、外側FRPタンク構造の相対位置がそれによりロックされるように相互に組み合うように構成される。これに関して、FRP構造の結合を促進し、且つその密封性を後に改善するための相補的形状の例は、舌及び溝、ラビリンス継ぎ目、フランジなどであり得る。
【0095】
第4の発明の態様では、本発明は、流体を内部に収容するように構成された二重壁タンクを製造する方法を提供し、前記方法は、
- 第1又は第2の発明の態様の方法の実施形態の任意のものに従って製造された内側容器を提供するステップと、
- 少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記内側FRPタンク構造が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造を提供するステップであって、前記内部チャンバは、内側容器が内部チャンバ内に収容されるとき、内側容器の外側面と、内側FRPタンク構造の内側面との間に間隙が画定されるように、提供された容器を収容するような大きさである、ステップと、
- 内側FRPタンク構造を相互に結合し、提供された容器を内部に封入するステップであって、内側FRPタンク構造を内側容器から所定の距離に維持するために、内側容器の外側面と、内側FRPタンク構造の内側面との間に少なくともスペーサが提供される、ステップと、
- 少なくとも2つの外側FRPタンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記外側FRPタンク構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRPタンク構造を提供するステップであって、前記外装は、内側FRPタンク構造を、それらが相互に結合された後に包囲し、内側FRPタンク構造にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
- 外側FRPタンク構造を相互に結合し、内側FRPタンク構造を包囲するステップであって、内側FRPタンク構造の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
- 外側FRPタンク構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む。
【0096】
本明細書(特許請求の範囲、説明及び図面を含む)に記載される特徴の全て及び/又は記載される方法の全てのステップは、相互に排他的な特徴及び/又はステップの組合せを除き、あらゆる組合せで組み合わされ得る。
【0097】
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、単に例として提供され、それに限定されない本発明の好ましい実施形態から明らかとなる本発明の詳細な説明を、図面を参照して読むことでよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】本発明のある実施形態による、容器を製造する方法のステップに従って提供される2つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造の斜視図を示す。
図2】本発明のある実施形態による、容器を製造する方法のステップに従って1つに結合され、且つ少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を包囲するFRP材料の層によって包まれた3つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造ステップの斜視図を示す。
図3】本発明のある実施形態による、容器を製造する方法のステップに従って1つに結合され、且つ少なくとも部分的に硬化されたFRP構造を包囲するFRP材料の層によって包まれた3つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造ステップの斜視図を示す。
図4】本発明のある実施形態による、二重壁タンクを製造する方法ステップに従って容器の周りに提供された2つの少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明は、流体を内部に収容するように構成された容器(10)を製造する方法を提供する。
【0100】
この方法は、少なくとも以下のステップを含む:
a)少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(11.1、12.1)を有する形状とされ、それにより、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)を提供するステップ、
b)少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)を、内部容積が画定されるように相互に結合するステップ、
c)相互に結合されたら、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層(13)を巻回するステップ、及び
d)ステップc)から得られた組立体を硬化させるステップ。
【0101】
図1は、ある実施形態による容器(10)を得るために本方法が従う製造ステップの幾つかを示す。具体的には、図1は、ステップa)による2つの閉鎖された半円筒形の少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)の提供を示し、前記FRP構造(11、12)は、円筒形の中央部分を含み、前記円筒形中央部分の反対側端部に2つの球状部分が配置される。より詳細には、両方のFRP構造(11、12)は、相補的であり、結合されると、これらは、個々の球状キャップ部分を利用してその端部で閉鎖されたカプセル型構造を画定する。
【0102】
図示の特定の実施形態では、両方の半円筒形構造(11、12)は、FRP構造(11、12)が完全に硬化される所定の持続時間及び温度条件下における完全硬化サイクルと比較してより低い温度及び/又はより短い持続時間で部分的硬化サイクルを適用することによって予め製造される。
【0103】
前記部分的硬化サイクルの適用前にそれぞれのFRP構造(11、12)のプリフォームを取得するために実行される積層技術に関して、上述の方法の異なる実施形態によれば、積層技術は、
・自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、型上に提供されるFRPプライによって形成されたラミネートを積層するステップと、
・ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層し、アンサンブル上に乾燥繊維層を積層し、片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込め、及び真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
の1つであり得る。
【0104】
図1でわかるように、それぞれの半円筒形構造(11、12)は、半円筒形構造(11、12)が上述の方法のステップb)に従って相互に結合されるときに画定される円筒形の内部容積に向かって、それぞれの対応する内面から突出する2つの壁型要素(14)を含む。
【0105】
図示の特定の実施形態では、前記壁型要素(14)は、スロッシング防止要素である。上述のように、容器(10)内に収容される流体のスロッシング運動は、制御システム動作に悪影響を与え得る大きい構造的負荷及び剛体の障害を誘発し得る。内面から内側に向かって延びる容器(10)の内側容積内に設置された前記スロッシング防止壁(14)の存在は、流体のスロッシングを減衰するのに役立つ。
【0106】
前記スロッシング防止壁(14)は、相補的形状を有するように描写されている。具体的には、図示のスロッシング防止壁(14)は、半円筒形構造(11、12)がステップb)に従って結合されるとき、相補的なスロッシング防止壁(14)が容器(10)の特定の断面内に配置され、これにより相互に対向するような方式において、且つその反対側の外形が、容器(10)内に収容される流体がそれを通して流れることを可能にするためにほぼ矩形の間隙を画定するように所定の距離だけ分離されるような方式において、異なる半円筒形構造(11、12)の反対側の表面上にそれぞれ提供される2つの半体に分割される。
【0107】
それぞれの半円筒形構造(11、12)の内面上にスロッシング防止壁(14)を提供するために実行される積層技術に関して、本発明の方法のある実施形態は、部分的硬化サイクルを適用する前に、半円筒形構造(11、12)上にそれぞれのスロッシング防止壁(14)を形成する対応するラミネートを積層するステップを含み、ラミネートは、好ましくは、ATL又はAFP技術によって積層される。
【0108】
別の実施形態によれば、図2は、本方法の製造ステップの幾つかを示す。図2は、ある実施形態による容器を得るために本方法が従う製造ステップの幾つかを示す。具体的には、図2は、上述の方法のステップa)による2つのドーム形状のFRP構造(11、12)の提供を示す容器(10)の長手方向断面図を描写する。
【0109】
図示の実施形態でわかるように、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)は、凸状外側面及び凹状内側面を含み、凸状内側面は、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12、15)の全てがステップb)に従って相互に結合された後、容器(10)の内部容積に向かって方向付けられる。
【0110】
更なる少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(15)がステップa)に従って提供される。わかるように、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)は、2つのドーム形状のFRP構造(11、12)に結合される。具体的には、2つのドーム形状のFRP構造(11、12)は、それぞれの各凹状内側面から突出する円形フランジ(16)を含む。少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)は、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)の円筒形フランジ(16)の直径未満であるか又はそれと実質的に等しい直径を有する大きさである。
【0111】
わかるように、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)は、ステップb)に従い、少なくとも部分的に硬化されたFRP円筒形構造(15)の異なる端部に密着して結合され、円形フランジ(16)は、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)の境界に重なる。
【0112】
図1の半円筒形構造(11、12)と同様に、2つのドーム形状のFRP構造及び少なくとも部分的に硬化されたFRP円筒形構造(15)は、3つのFRP構造(11、12、15)が完全に硬化される所定の持続時間及び温度条件下における完全硬化サイクルと比較してより低い温度及び/又はより短い持続時間で部分的硬化サイクルを適用することによって予め製造される。
【0113】
前記部分的硬化サイクルの適用前にそれぞれのFRP構造(11、12、15)のプリフォームを取得するために実行される積層技術に関して、上述の方法の異なる実施形態によれば、積層技術は、
・自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、型上に提供されるFRPプライによって形成されたラミネートを積層するステップと、
・ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層し、アンサンブル上に乾燥繊維層を積層し、片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込め、及び真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
の1つであり得る。
【0114】
図2に示される方法の実施形態では、ステップb)は、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)及び少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)間の結合界面(11.1、12.1)に吸着カップ及び/又は接着剤フィルムを提供するステップを含む。
【0115】
図2は、複数のパイプ(17.1)が容器(10)の内部への且つそれから外への流体の提供及び抽出のために挿入される、幾つかの貫通孔(17)の、1つのドーム形状のFRP構造(11)内における提供も示す。
【0116】
光学ガイドの形態における流体レベルセンサも、破線によって表される容器(10)の内側に配置された状態で示される。
【0117】
最後に、図2に示される実施形態は、ステップb)に従って相互に結合されると、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12、15)を包囲するFRP材料の層(13)のステップc)による提供も表す。具体的には、得られた組立体は、前記層(13)によって完全に包まれた状態で示され、これは、本発明の方法の異なる実施形態によれば、好ましくは自動繊維配置(AFP)又はフィラメント巻回技術によって提供することができる。例示を目的として、FRP材料の層(13)は、容器(10)全体の外形を取り囲む破線によって表される。
【0118】
代替実施形態では、ステップa)は、1つの少なくとも部分的に硬化されたドーム形状のFRP構造及び球状部分によってその端部の1つで閉鎖された1つの少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造を提供するステップを含み、ドーム形状のFRP構造は、ステップb)に従い、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造の開放端部に結合され、容器(10)の結果的な形状は、図2に示される容器(10)のものと同一である。
【0119】
図3は、図2のものに類似した実施形態を示す。具体的には、図2と同一の方式により、図3は、上述の方法のステップa)による2つのドーム形状のFRP構造(11、12)の提供を示す容器(10)の長手方向断面図を描写する。
【0120】
図示の実施形態でわかるように、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)は、ステップb)に従い、少なくとも部分的に硬化されたFRP円筒形構造(15)の異なる端部に密着して結合される。
【0121】
しかし、図3に示される実施形態では、複数のパイプ(17.1)が挿入される幾つかの貫通孔(17)が提供されたドーム形状のFRP構造(11)の厚さは、少なくとも部分的に硬化されたFRP円筒形構造(15)との結合界面から前記ドーム形状のFRP構造(11)の極領域まで徐々に増大することがわかる。
【0122】
有利には、複数のパイプ(17.1)が挿入される容器(10)の極領域内で構造的補強が実現される。
【0123】
これに関して、図2に示される実施形態は、ステップb)に従って相互に結合されると、少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12、15)を包囲するFRP材料の2つの層(13、13’)のステップc)による提供も表す。具体的には、得られた組立体は、2つの層(13)を含んで示され、これらは、例示を目的として、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)と、少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)との間の結合界面を取り囲む破線によって表される。
【0124】
これにより、FRP構造(11、12、15)が相互に結合される容器(10)の特定の領域でのみFRP材料を巻回することにより、容器(10)の重量を最適化することができる。
【0125】
本発明は、流体を内部に収容するように構成された二重壁タンク(20)を製造する方法も提供する。
【0126】
この方法は、
i)請求項1~9の何れか一項に従って製造された容器(10)を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(21.1、22.1)を有する形状とされ、それにより、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)を提供するステップであって、前記内部チャンバは、容器(10)が内部チャンバ内に収容されるとき、容器(10)の外側面と、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の内側面との間に間隙が画定されるように、ステップa)で提供された容器(10)を収容するような大きさである、ステップと、
iii)少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を相互に結合し、ステップa)で提供された容器(10)を内部に封入するステップであって、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を容器(10)から所定の距離に維持するために、容器(10)の外側面と、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の内側面との間に少なくともスペーサ(24)が提供される、ステップと、
iv)相互に結合されたら、少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層(23)を巻回するステップと、
v)ステップiv)の結果から得られた組立体を硬化させるステップと
を含む。
【0127】
図4は、ある実施形態による二重壁タンク(20)を得るために本方法が従う製造ステップの幾つかを示す。具体的には、図4は、ステップi)による容器(10)の提供及びステップii)による2つの半円筒形の少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の提供も示す。
【0128】
図示の特定の実施形態では、両方の半円筒形タンク構造(21、22)は、半円筒形タンク構造(21、22)が完全に硬化される所定の持続時間及び温度条件下における完全硬化サイクルと比較してより低い温度及び/又はより短い持続時間で部分的硬化サイクルを適用することによって予め製造される。
【0129】
前記部分的硬化サイクルの適用前にそれぞれのFRPタンク構造(21、22)のプリフォームを得るために実行される積層技術に関して、上述の方法の異なる実施形態によれば、積層技術は、
・自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、型上に提供されたFRPプライによって形成されたラミネートを積層するステップと、
・ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層し、アンサンブル上に乾燥繊維層を積層し、片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込め、及び真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
の1つであり得る。
【0130】
図4の方法によって製造された二重壁タンク(20)の実施形態は、ステップi)で提供された容器(10)を包囲する断熱層(図示されない)も含む。前記断熱層は、タンクの内壁(即ち容器(10))とタンク(20)の外壁との間に閉じ込められた空間内に配置される。ある実施形態では、方法は、前記断熱層を真空に維持するステップを含む。
【0131】
更に、その外側面とタンク(20)の外壁との間に容器(10)の周りに配置された中間間隙を画定するように、複数のスペーサ(24)は、内側容器(10)から所定の距離において、(図4に示される特定の例では2つの半円筒形の少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)によって形成される)タンク(20)の外壁を維持するために容器(10)の外面上に提供される。
【0132】
わかるように、前記スペーサ(24)は、矩形断面が提供され、且つ容器(10)の周りに分散された複数の別個の機械的スペーサ(24)として実施される。
【0133】
最後に、図4に示される実施形態は、ステップiii)に従って相互に結合されると、半円筒形のタンク構造(21、22)を包囲するFRP材料の層(23)のステップIV)による提供も表す。具体的には、得られた組立体は、前記層(23)によって部分的に包まれた状態で示され、これは、本発明の方法の異なる実施形態によれば、好ましくは自動繊維配置(AFP)又はフィラメント巻回技術によって提供することができる。例示を目的として、FRP材料の層(23)は、1つの半円筒形のタンク構造(21)上の平行なグレーストリップによって表される。
【符号の説明】
【0134】
10 容器
11 少なくとも部分的に硬化されたFRP構造
11.1 相補的結合界面
12 少なくとも部分的に硬化されたFRP構造
12.1 相補的結合界面
13 FRP材料の少なくとも1つの層
14 バッフル及び/又は壁型要素
15 少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造
16 円形フランジ
17 貫通孔
20 二重壁タンク
21 少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造
21.1 相補的結合界面
22 少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造
22.1 相補的結合界面
23 FRP材料の少なくとも1つの層
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を内部に収容するように構成された容器(10)を製造する方法であって、
a)少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(11.1、12.1)を有する形状とされ、それにより、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)を提供するステップと、
b)前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)を、前記内部容積が画定されるように相互に結合するステップと、
c)相互に結合されたら、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層(13)を巻回するステップと、
d)ステップc)から得られた組立体を硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)前に、
- 前記FRP構造(11、12)が完全に硬化される硬化サイクルを完了させるように適合された温度と比較してより低い温度、及び/又は
- 前記FRP構造(11、12)が完全に硬化される硬化サイクルを完了させるように適合された持続時間と比較してより短い持続時間
で部分的硬化サイクルを適用することにより、それぞれの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)を製造するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、FRPプライを含むラミネートを型上に積層するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、
- ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、前記ハニカムコアの内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層するステップと、
- 前記アンサンブル上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込めるステップと、
- 真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で提供される少なくとも1つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)は、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)の内面から、前記少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)がステップb)に従って相互に結合されるときに画定される前記内部容積に向かって突出する少なくとも1つのバッフル及び/又は壁型要素(14)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)で提供される2つの少なくとも部分的に硬化されたFRP構造(11、12)は、ドーム形状のFRP構造であり、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)は、凸状外側面及び凹状内側面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)がステップa)で提供され、前記2つのドーム形状のFRP構造(11、12)は、それぞれの各凹状内側面から突出する円形フランジ(16)を含み、前記少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)は、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)の前記円形フランジ(16)の直径未満であるか又はそれと実質的に等しい直径を有する大きさであり、それにより、それぞれのドーム形状のFRP構造(11、12)及び前記少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)は、ステップb)に従って密着して相互に結合され、前記円形フランジ(16)は、前記少なくとも部分的に硬化された円筒形FRP構造(15)の境界と重なる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーム形状のFRP構造(11、12)の少なくとも1つは、チューブ(17.1)の挿入を可能にし、且つ前記容器(10)の内側と外側との間の流体連通を確立するように構成された少なくとも1つの貫通孔(17)を提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)で提供される少なくとも1つの部分的に硬化されたFRP構造(11、12)は、凸状外側面及び凹状内側面を有するドーム形状であり、及び前記ドーム形状のFRP構造(11、12)の厚さは、前記結合界面(11.1、12.1)から前記ドーム形状のFRP構造の極領域まで徐々に増大する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
流体を内部に収容するように構成された二重壁タンク(20)を製造する方法であって、
i)請求項1~9の何れか一項に従って製造された容器(10)を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(21.1、22.1)を有する形状とされ、それにより、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの少なくとも部分的に硬化された繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)を提供するステップであって、前記内部チャンバは、前記容器(10)が前記内部チャンバ内に収容されるとき、前記容器(10)の外側面と、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の内側面との間に間隙が画定されるように、ステップi)で提供された前記容器(10)を収容するような大きさである、ステップと、
iii)前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を相互に結合し、ステップi)で提供された前記容器(10)を内部に封入するステップであって、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を前記容器(10)から所定の距離に維持するために、前記容器(10)の前記外側面と、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の前記内側面との間に少なくともスペーサ(24)が提供される、ステップと、
iv)相互に結合されたら、前記少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)の少なくとも一部上にFRP材料の少なくとも1つの層(23)を巻回するステップと、
v)ステップiv)から得られた組立体を硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項11】
ステップiii)前に、前記容器(10)を包囲する少なくとも断熱層を提供するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップii)前に、前記FRPタンク構造(21、22)が完全に硬化される所定の持続時間及び温度条件下における完全硬化サイクルと比較してより低い温度及び/又はより短い持続時間で部分的硬化サイクルを適用することにより、それぞれの少なくとも部分的に硬化されたFRPタンク構造(21、22)を製造するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)技術により、型上に提供されたFRPプライによって形成されるラミネートを積層するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記部分的硬化サイクルを適用する前に、
- ハニカムコアによって形成されたアンサンブルと、前記ハニカムコア上の少なくとも1つの側において、内側から外側まで、硬化可能な接着剤層及び非晶質熱可塑性フィルムとを積層するステップと、
- 前記アンサンブル上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 片面型上に前記乾燥繊維及びアンサンブルを配置し、且つ前記片面型上に真空シートを配置することによって気密空間内にそれを閉じ込めるステップと、
- 真空下で前記乾燥繊維層に樹脂を注入するステップと
を更に含む、請求項12に記載の方法。