(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164415
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】容器及び二重壁タンクを製造する方法
(51)【国際特許分類】
F17C 1/06 20060101AFI20231102BHJP
B64D 37/30 20060101ALI20231102BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20231102BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F17C1/06
B64D37/30
B64C1/00 B
B29C70/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075826
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】22382415.2
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521548777
【氏名又は名称】エアバス、オペレーションズ、ソシエダッド、リミターダ、ウニペルソナル
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS, S.L.U.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】マティルデ、デ、ラ、モタ、メンディオラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘスス、ハビエル、バスケス、カストロ
(72)【発明者】
【氏名】アスンシオン、ブトラゲーニョ、マルティネス
【テーマコード(参考)】
3E172
4F205
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB18
3E172BC03
3E172CA13
3E172CA14
3E172DA04
3E172DA22
3E172EA03
4F205AA36
4F205AD05
4F205AD16
4F205AG07
4F205AH55
4F205HA08
4F205HA19
4F205HA22
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HF05
4F205HK04
4F205HK05
4F205HT16
4F205HT26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容器及び二重壁タンクを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、流体を内部に収容するように構成された容器10を製造する方法であって、2つの繊維強化ポリマー構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面120.1を有する形状とされ、それにより、FRP構造が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、2つの繊維強化ポリマー構造を提供するステップと、FRP構造を、内部容積が画定されるように相互に結合するステップと、FRP構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップとを含む方法を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を内部に収容するように構成された容器(10)を製造する方法であって、
a)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(11.1、12.1)を有する形状とされ、それにより、前記内側FRP構造(11、12)が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)を提供するステップと、
b)前記内側FRP構造(11、12)を相互に結合するステップと、
c)少なくとも2つの外側FRP構造(110、120)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(110.1、120.1)を有する形状とされ、それにより、前記外側FRP構造(110、120)が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRP構造(110、120)を提供するステップであって、前記外装は、前記内側FRP構造(11、12)を、それらがステップb)に従って結合された後に包囲し、前記内側FRP構造(11、12)にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
d)前記外側FRP構造(110、120)を相互に結合し、前記内側FRP構造(11、12)を包囲するステップであって、前記内側FRP構造(11、12)の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
e)前記外側FRP構造(110、120)を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
内側FRP構造(11、12)間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第1の継ぎ目プロファイル(14)を提供するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外側FRP構造(110、120)間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第2の継ぎ目プロファイルを提供するステップを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記内側FRP構造(11、12)及び/又は前記外側FRP構造(110、120)は、前記対応する結合界面(11.1、12.1、110.1、120.1)上に提供される相補的結合手段を含み、前記相補的結合手段は、それぞれ前記内側FRP構造(11、12)がステップb)に従って結合され、及び/又は前記外側FRP構造(110、120)がステップe)に従って固定されるとき、相互に組み合うように構成される、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で提供される前記内側FRP構造(11、12)の少なくとも1つは、前記FRP構造(11、12)の表面から、前記内側FRP構造(11、12)がステップb)に従って相互に結合されるときに画定される前記内部容積に向かって突出する少なくとも1つのバッフル及び/又は壁型要素(13)を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)で提供される前記外側FRP構造(110、120)は、部分的に硬化され、ステップe)は、前記外側FRP構造(110、120)を、それらがステップd)に従って相互に結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを含む、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記内側(11、12)及び外側(110、120)FRP構造は、部分的に硬化され、ステップe)は、前記内側(11、12)及び外側(110、120)FRP構造を、それらがそれぞれステップb)及びd)に従って結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを更に含む、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記外側FRP構造(110、120)は、それらの間に画定される継ぎ目線が、前記内側FRP構造(11、12)間に画定される継ぎ目線と斜角で交差するように結合される、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
流体を内部に収容するように構成された二重壁タンク(20)を製造する方法であって、
i)請求項1~8の何れか一項に従って製造された内側容器(10)を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(21.1、22.1)を有する形状とされ、それにより、前記内側FRPタンク構造(21、22)が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)を提供するステップであって、前記内部チャンバは、前記内側容器(10)が前記内部チャンバ内に収容されるとき、前記内側容器(10)の外側面と、前記内側FRPタンク構造(21、22)の内側面との間に間隙が画定されるように、ステップi)で提供された前記容器(10)を収容するような大きさである、ステップと、
iii)前記内側FRPタンク構造(21、22)を相互に結合し、ステップi)で提供された前記内側容器(10)を内部に封入するステップと、
iv)少なくとも2つの外側FRPタンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記外側FRPタンク構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRPタンク構造を提供するステップであって、前記外装は、前記内側FRPタンク構造(21、22)を、それらがステップiii)に従って結合された後に包囲し、前記内側FRPタンク構造(21、22)にその外面に沿って接触するような大きさである、ステップと、
v)前記外側FRPタンク構造を相互に結合し、前記内側RFPタンク構造(21、22)を包囲するステップであって、前記内側FRPタンク構造(21、22)の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
vi)前記外側FRPタンク構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む方法。
【請求項10】
ステップiii)前に、前記内側容器(10)を包囲する少なくとも断熱層を提供するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記内側FRPタンク構造(21、22)は、前記対応する結合界面(21.1、22.1)上に提供される相補的結合手段を含み、前記相補的結合手段は、それぞれ前記内側FRPタンク構造(21、22)がステップiii)に従って結合され、及び/又は前記外側FRPタンク構造がステップvi)に従って固定されるとき、相互に組み合うように構成される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記内側FRPタンク構造(21、22)間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第3の継ぎ目プロファイルを、且つ/又は外側FRPタンク構造間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第4の継ぎ目プロファイルを提供するステップを更に含む、請求項9~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記内側FRPタンク構造(21、22)を前記内側容器(10)から所定の距離に維持するために、前記内側容器(10)の前記外側面と、前記内側FRPタンク構造(21、22)の前記内側面との間に少なくともスペーサ(24)を提供するステップを更に含む、請求項9~12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップiv)で提供される前記外側FRPタンク構造は、部分的に硬化され、ステップvi)は、前記外側FRPタンク構造を、それらがステップv)に従って相互に結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを更に含む、請求項9~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記内側(21、22)及び外側FRPタンク構造は、部分的に硬化され、ステップvi)は、前記内側(21、22)及び外側FRPタンク構造を、それらがそれぞれステップiii)及びv)に従って結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを更に含む、請求項9~13の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体貯蔵システム及びその製造方法の分野に属する。特に、本発明は、後に一緒に組み立てられ且つ装着されるコンポーネントを統合することによって容器を製造する方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、二重壁タンクであって、液体水素等の極低温状態の流体を収容する内側容器と、二重壁タンクの外壁との間に断熱が提供された二重壁タンクを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
環境面の理由から、化石燃料の使用削減に向けた課題に一層直面せざるを得ない。この状況では、再生可能エネルギに基づいて製造されるグリーン水素は、効率的なエネルギ供給の妥当な候補である。これは、その高いエネルギ密度から、航空機用途のための新たな代替燃料となっている。
【0004】
特に、水素は、高高度の航空機のための燃料として魅力的であり、なぜなら、それに含まれる1ポンド当たりのエネルギは、従来の炭化水素燃料の約2.8倍であるためである。従って、航空機用途では、水素の前記高い比エネルギは、重要な成功要因であり得る。しかしながら、実践的な考察から、その利用が大きく阻まれている。水素の比エネルギは、非常に高いものの、単位体積当たりのエネルギは、比較的小さい。液体水素は、気体の状態と比較してそのエネルギ密度が高くなると同時に、液体の状態での圧力が低いため、水素をその中に閉じ込めるのに必要なタンクの質量を削減することができる。20K及び圧力1バールの液体水素の密度は、88K及び700バールの気体水素が40g/lであるのに対して70g/lである。極低温圧縮水素のみがより高密度であり、38K及び300バールでの数値は、80g/lである。これらのパラメータから、液化された極低温の状態であれば、低圧で効率的な貯蔵が可能となり、長距離運航用航空機にとって現実的な選択肢である。
【0005】
これに関して、LH2クライオタンクは、次世代以降の大推力打ち上げロケット、宇宙探査用構造物及び新たなグリーン航空機の構造の主要コンポーネントの1つである。水素貯蔵システムの開発における最大の課題があるのは、航空機であり、これは、軽量化の必要性と、良好な断熱及び透過特性につながる最長の休止期間の要求事項との組合せによる。主な課題の一部は、形状、温度、圧力、透過性、断熱性及び水素脆化、真空気密性、タンク内部へのシステムの組込み並びに航空機構造へのタンクの組込みである。
【0006】
水素の高い比エネルギを利用するために、関連するタンクは、好ましくは、軽量であるべきであり、タンクの断熱方法は、複数の種類の熱伝達、即ち固体を通した伝導、気体を通した伝導及び対流並びに放射に対応しなければならない。高性能な断熱を有効にする幾つかの方法は、真空を用いて伝導及び対流気体熱伝達をほぼ排除する。
【0007】
上述の状況を考慮して、業界で開発され、現在使用されている解決策は、以下のような構造及び要素を含むタンクからなる:
- 外側ジャケット及び内側金属圧力容器を含む二重壁タンク。これらの容器は、通常、アルミニウム又は鋼鉄で製作され、主にこれらが経済的であり、且つ信頼性が高いことから、使用されている従来のタンクの大部分を占める。しかしながら、これらは、極低温圧縮水素の閉じ込めに使用されるタンクのうちで最も重いタイプでもある。
- 複合材による補強用オーバラップを有する金属製圧力容器/ライナ。金属及び複合材料で構造的負荷が分担される。上述の選択肢より製造コストが安価であり、重量も大幅に軽量化される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の流体を内部に収容するように構成された容器を製造する方法及び請求項9に記載の二重壁タンクを製造する方法により、上述の問題に対する解決策を提供する。従属請求項では、本発明の好ましい実施形態が定義される。
【0009】
第1の発明の態様において、本発明は、流体を内部に収容するように構成された容器を製造する方法を提供し、前記方法は、
a)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、内側FRP構造が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造を提供するステップと、
b)内側FRP構造を相互に結合するステップと、
c)少なくとも2つの外側FRP構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、外側FRP構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRP構造を提供するステップであって、前記外装は、内側FRP構造を、それらがステップb)に従って結合された後に包囲し、内側FRP構造にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
d)外側FRP構造を相互に結合し、内側FRP構造を包囲するステップであって、内側FRP構造の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
e)外側FRP構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む。
【0010】
本明細書全体を通して、「プリプレグ」とは、「樹脂予備含浸」繊維と、エポキシ又はフェノール樹脂等の部分的硬化ポリマーマトリックスとから製作される複合材料と理解すべきである。マトリックスは、繊維を結合するために使用される。硬化プロセスにより、ポリマー鎖間の強力な架橋結合を生じさせて、不溶解性且つ不溶性ポリマーネットワークを生成する化学反応が起こる。十分に高い温度での架橋結合中、材料は、液体からゲルを介してガラス様固体に変化する。
【0011】
本明細書中で言及される積層方式に関して、自動テープ積層法(ATL)又は自動繊維配置(AFP)は、何れも機能的に類似したプロセスであり、樹脂含浸繊維材料(いわゆる「プリプレグ」)を適用することを含む。
【0012】
しかしながら、各プロセスは、必要に応じて強度又は硬度を提供するというそれぞれの構造物構築目的を達成するために、異なる方法で使用される。特に、一方又は他方の使用は、主に製造部品の幾何学的複雑さによって決まり、この場合、AFPによってより高い曲率が可能となる。
【0013】
「工具」とは、FRP構造又は複合材料の製造プロセス作業で使用され、その性能を最適化することに寄与する器具及びツール一式と理解されるものとする。「工具」の例には、
- 型、
- 真空バッグ、
- 当て板、
- 加熱装置
が含まれる。
【0014】
典型的には、複数の複合プライ又はテープが型の上に積み重ねられ、その結果、プライの積層体が得られる。これに関して、「プライ」とは、型の上に積層される複合材料の1つの連続する領域と理解すべきであり、同じ層内の2つのプライは、通常、重複しない。プライの積層により、「ラミネート」又は全体として「プリフォーム」と呼ばれる積層体が形成される。型、マンドレル又は雄型は、型上で部品を製造するための成形表面とみなされ、それにより、この部品は、少なくとも型に接触するその面において型の形状を取得する。
【0015】
加えて、繊維材料強化材は、ガラス(ガラス繊維強化ポリマー(GRFP)の場合)、炭素(炭素繊維強化ポリマー(CRFP)の場合)、ポリマー繊維又は強化材として使用される他の何れかの従来の材料であり得る。それらのうちで炭素が好ましい。
【0016】
他方で、成形ステップ(いわゆる「予備成形」)は、2種類の方式、即ち温間成形又はプレス成形によって行われ得る。簡単に言えば、温間成形は、膜及び熱を使用する一方、プレス成形は、プレス及び力を使用する。
【0017】
従って、製造プロセスの複数の組合せ(即ちツールの選択肢に関係する)を使用し得る。
【0018】
水素脆化とは、水素を液体状態に保つための極低温範囲により、水素原子が特定の種類の金属中に拡散することから生じる水素損傷の形態である。水素が存在すると、金属材料は、その延性を失い、脆性破壊を起こしやすくなる。亀裂開始及び伝播は、コンポーネントの内部及び表面で発生し得る。
【0019】
ステップa)で提供されるFRP構造は、流体が閉じ込められる内部容積を画定するような方法で組み立てる(即ち相互に結合する)ことができる。この意味で、FRP構造は、相補的な幾何学的形状又は形状が付与され、それにより、ステップb)に従い、ある実施形態では相互に合致するような外形のFRP構造の輪郭及び境界であり得る結合界面によって相互に結合することができると理解されたい。
【0020】
次に、ステップc)で提供される外側FRP構造は、第2の外皮又は外装として内側FRP構造を取り囲む。即ち、結合されると、外側FRP構造は、対応する界面、即ち内側FRP構造の(内側容積に対する)外面及び外側FRP構造の内面を通して内側FRP構造に接触する。このようにして、外側FRP構造は、内側FRP構造を一体で保持し、それにより内側FRP構造の相対位置をロックすることに寄与し、同時に容器の全体的な密閉性を増大させる。
【0021】
有利には、これらの追加的な外側FRP構造を使用することにより、容器の壁がより厚くなり、それによりその耐荷重能力及びガス透過特性が強化される。
【0022】
ある実施形態において、外側FRP構造は、それらの間に画定される継ぎ目線が、内側FRP構造間に画定される継ぎ目線と斜角で交差するように結合される。
【0023】
斜角とは、0度又は180度の角度と異なる角度であると理解されたい。即ち、この実施形態によれば、内側FRP構造の結合によって画定される継ぎ目線と、外側FRP構造によって画定される継ぎ目線とは、特定の角度で交差する(即ち平行でないか又は一致しない)。有利には、容器の密閉性は、前記継ぎ目線が平行であるか又は一致する実施形態の場合のような継ぎ目線に沿った連続的な流体経路がないために向上する。
【0024】
好ましい実施形態において、ステップd)において、外側FRP構造は、それらの間に画定される継ぎ目が、内側FRP構造間に画定される継ぎ目と少なくとも15度の角度、有益には少なくとも40度の角度、幾つかの実施形態では90度の角度で交差するように結合される。
【0025】
FRP構造が、内側FRP構造の場合にはステップb)に従って且つ/又は外側FRP構造の場合にはステップd)に従って結合されると、外側FRP構造が固定され、それにより内側FRP構造の相対位置をロックし、結果として得られた組立体は、壊れず、即ちFRP部品の分離が防止され、内側容積内に収容された流体の漏出も防止される。
【0026】
本発明の実施形態によれば、容器の製造に関わるFRP構造(即ち内側及び任意選択により外側)は、対応する結合界面上に設けられた相補的結合手段を含み得、前記相補的結合手段は、FRP構造の相対位置がそれによりロックされるように相互に組み合うように構成される。これに関して、FRP構造の結合を容易にし、その後の密閉性を向上させる相補的幾何学的形状の例は、さねはぎ、ラビリンスジョイント、フランジ等であり得る。
【0027】
ある実施形態において、方法は、内側FRP構造間に画定される継ぎ目の少なくとも一部の上に第1の継ぎ目プロファイルを提供するステップを含む。
【0028】
ある実施形態において、方法は、外側FRP構造間に画定される継ぎ目の少なくとも一部の上に第2の継ぎ目プロファイルを提供するステップを含む。
【0029】
継ぎ目プロファイルとは、FRP構造間において、それらがステップb)に従って且つ/又はステップd)に従って結合される前に提供される圧縮シール、例えばエラストマーに基づくシールと理解すべきである。前記継ぎ目プロファイルの提供により、結合界面は、追加的なシーリング能力と、FRP構造間の相対移動に対する保護とを付与される。ある実施形態において、前記継ぎ目プロファイルは、カバーを含み、それにより剛体のストリップ又はプラテンが継ぎ目から外に延びて前記継ぎ目を覆い、漏出に対するシーリングによる保護が更に追加される。
【0030】
後の段階で組み立てられて、容器の最終的な幾何学的形状を得る一連の分離された部品(FRP構造)をこのように提供することにより、様々なシステム及び構造的要素を容器の内側に快適な方法で取り付けることが可能となる。特に、複数の内部システム、例えばスロッシング防止壁、パイプ、バッフルリング、光導波路及び/又は液面センサは、FRP構造内において、それが相互に結合される前に別々に取り付けることができる。
【0031】
有利には、本発明の方法によって提案される、FRP構造を結合することによって容器を製造するという連続式の概念のため、システム及び構造的要素は、流体を内部に収容する空間/容器がモノリシックに/単独部品で且つ/又はワンショットプロセスで製造される他の構成と比較して、はるかに効率的且つ柔軟に統合される。
【0032】
加えて、前述の連続式の概念により、この方法は、容器の最終的な幾何学的形状に「不連続部分」を付与することも想定し、前記不連続部分は、パイプ、チューブ又は他の補助的なシステム支援物などの外部要素を設置及び/又は挿入するように適合される。この意味で、「不連続部分」とは、プライ及び/又はラミネートの連続性の欠如、即ち切欠き部、ノッチ又は貫通穴等として理解されるものとする。
【0033】
従来の製造プロセスによれば、この種の不連続部分は、通常、何れかの仕上げ作業(例えば、数値制御の切削プロセス)によって別のステップで提供されるため、製造ステップ数が増える。
【0034】
それに対して、本発明の方法によれば、任意の不連続部分は、FRP構造の積層プロセス中、FRP構造の中央部分に又は輪郭(即ち結合面)の倣い削りによっての何れかで導入され得る。特に、結合面の相補的な幾何学的形状は、FRP構造がステップb)に従って結合されるとき、前記不連続部分がFRP構造間の継ぎ目に沿って形成されるように成形することができる。例えば、各FRP構造に半円穴を形成し得、それにより2つのFRP構造が結合されると、その接合部に管を通すための穴ができる。
【0035】
流体が収容される容器の内部容積を画定し、構造的負荷に耐える機能並びに気体透過を防止するためのバリアとしての役割を果たす機能を実行するFRP構造のために複合材料を使用することにより、金属部品を使用する従来の容器と比較して、はるかに軽量な容器が得られる。更に、熱劣化温度指数(GI)、即ち容器/タンクの重量対液体水素の重量も金属製のものと比べて改善される。
【0036】
加えて、上述のような複合材料による製造技術を使用してFRP構造を製造できることによって得られる汎用性は、プライ及びラミネートの厚さの最適な選択につながり、それにより容器の透過性を制御することができ、低温脆化による微小亀裂現象の出現が防止される。
【0037】
より具体的には、方法の汎用性により、「薄型プライ」と「標準プライ」とを組み合わせて、FRP構造の部品であるラミネートを形成することが可能となる。
【0038】
この意味で、プライの厚さは、通常、0.1mmより厚いと理解されたい。プライの厚さをこの限度まで削減したものは、通常、薄型プライと呼ばれる。本発明において、薄型プライとは、0.04mm~0.1mmの厚さのプライと考えられる。
【0039】
組合せは、前記薄型プライを用いて製造することが望まれる容器の全体の厚さの比に依存する。ある実施形態において、FRP構造は、薄型プライのみで構成される。
【0040】
ある実施形態において、ステップc)で提供される外側FRP構造は、部分的に硬化され、ステップe)は、前記外側FRP構造を、それらがステップd)に従って相互に結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用することを含む。
【0041】
この硬化プロセスにより、存在する外側FRP構造を、単独部品のCFRPとして、均一な壁構造特徴を有する容器を得るような方法で一体化し、統合することが可能である。このようにして、硬化された外側FRP構造は、内側FRP構造を所定の位置にロックする。
【0042】
ある実施形態において、内側及び外側FRP構造は、部分的に硬化され、ステップe)は、内側及び外側FRP構造を、それらがそれぞれステップb)及びd)に従って結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを更に含む。
【0043】
この硬化プロセスにより、存在する内側及び外側FRP構造を、単独部品のCFRPとして、均一な壁構造特徴を有する容器を得るような方法で一体化し、統合することが可能である。内側及び外側FRP構造は、硬化中、単独の容器が形成されるように相互にロックされる。
【0044】
何れのFRP構造又は複合材料の特性も製造プロセスの条件によって決まる。従って、「部分的に硬化された又は「予備硬化された」繊維強化ポリマー(FRP)構造」とは、それによりFRP構造が所望の化学的及び機械的特性を得ることができる所定の持続時間及び温度条件下での完全硬化サイクルが適用される、「完全に硬化された」又は単に「硬化された」ものと考えることができる場合と比較して、不完全な硬化サイクル又は「部分的硬化サイクル」を経た複合材料、特に熱硬化性ポリマーを含む材料からなる構造物と理解すべきである。
【0045】
ある実施形態において、方法は、ステップa)前に、自動繊維配置(AFP)又は自動繊維積層法(ATL)技術により、型の上に提供されるFRPプライによって形成されるラミネートを積層し、前記ラミネートが積層された後、
- 真空下での硬化サイクル、又は
- 部分的硬化サイクル
を適用することにより、FRP構造を製造するステップを含む。
【0046】
ある実施形態において、方法は、ステップa)前にFRP構造を以下のステップに従って製造するステップを含む:
- ハニカムコアと、前記ハニカムコアの少なくとも片面において、内側から外側に硬化型接着剤層及びアモルファス熱可塑性フィルムとによって形成される集合体を積層するステップと、
- 集合体の上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 前記乾燥繊維及び集合体を片面型上に配置し、真空シートを前記片面型上に配置することにより、それを気密空間内に閉じ込めるステップと、
- 前記乾燥繊維層に真空下で樹脂を含浸させるステップと、
- 真空下での硬化サイクル、又は
- 部分的硬化サイクル
を適用するステップ。
【0047】
有利には、これらのステップによって得られる、ハニカムコアを備えるパネルを含むFRP構造は、含浸樹脂がハニカムコアのオープンセル内に浸入することを防止するための最適化されたコアシーリング手段を提供され、従って特に湾曲した又は曲率の大きいパネルの機械的特性が改善される。
【0048】
ステップa)及びc)で提供される内側及び外側FRP構造が完全に硬化される実施形態において、全てのFRP構造には、前記ステップa)及びc)前に真空下で硬化サイクルが全体に適用され、従って本発明の方法による二重壁タンクの製造に関わるステップの総数及び関連コストが削減される。
【0049】
ある実施形態において、ステップa)で提供される内側FRP構造の少なくとも1つは、前記FRP構造の表面から、ステップb)に従って内側FRP構造が相互に結合されるときに画定される内部容積に向かって突出する少なくとも1つのバッフル及び/又は壁型要素を含む。
【0050】
スロッシングは、よく知られた望ましくない現象であり、容器又はタンク内に貯蔵される液体に不利な影響を与え、特に容器が車両に取り付けられる場合、容器が揺さぶられることによって生じる。このように揺さぶられた結果、横方向の力によって液体に推進力が生じ、容器壁の縦方向の範囲に沿った不均一な流体の流れと、関連する容器の幅にわたる流体の不均一な分散とを引き起こす傾向がある。
【0051】
流体のスロッシング運動は、大きい構造的負荷及び剛体による障害を誘発する可能性があり、これらは、制御システムの動作に悪影響を与え得る。容器の内側容積内に取り付けられ、内面から内側に向かって延びる前記バッフル及び/又は壁型要素の存在は、スロッシングを減衰させるのに役立つ。
【0052】
ある実施形態において、方法は、硬化サイクル又は部分的硬化サイクルを真空下で適用する前に、ラミネートを積層して少なくとも1つのバッフル及び/又は壁型要素を形成するステップを含み、ラミネートは、好ましくは、ATL又はAFP方式で積層される。
【0053】
ある実施形態において、ステップe)は、ステップd)に従って外側FRP構造を結合した後、
- 少なくとも1つのFRP材料の層を外側FRP構造の少なくとも一部に巻き付けるステップと、
- 前記FRP材料の層を巻き付けることから得られた組立体を硬化させるステップと
を含む。
【0054】
前記FRP材料の層は、好ましくは、自動繊維配置(AFP)又はフィラメント巻回法により、組立体の少なくとも一部を包んで提供される。
【0055】
前記「フィラメント巻回」方式に関して、主に中空部品、例えばパイプ及び容器等、一般に円形又は楕円の断面を有するコンポーネントに使用される、熱硬化性樹脂を含浸させた張力をかけられた補強用繊維フィラメント及び/又はテープを、張力をかけて雄型又はマンドレルに巻き付けることからなる複合材料構造物製造プロセスと理解すべきである。従来、前記雄型を回転させ、その間にキャリッジが水平に移動して、繊維を所望のパターンで方向付ける。雄型がフィラメントの所望の厚さ及び分布パターンで完全に被覆されると、樹脂が硬化され得る。樹脂が硬化した後、雄型が取り外され(型外しプロセス)、中空の最終製品が残る。
【0056】
フィラメント巻回は、自動化可能なプロセスであり、フィラメントの張力を慎重に制御することができる。フィラメントの向きも慎重に制御して、層をその前の層と異なるように積層し、方向付けることができる。下層の繊維が形成される角度によって最終製品の特性が決まる。
【0057】
有利には、方法のこの実施形態では、工具の概念が簡素化されて、関連するリソースコストが削減され、なぜなら、ステップd)に従って外側FRP構造を結合し、即ち内側FRP構造を包囲して、前記内側FRP構造の相対位置がロックされるようにすることから、その結果として得られる組立体自体が、フィラメント巻回プロセスが実行される雄型の役割を果たすからである。更に、巻き付けられるフィラメントにかけられる張力も、それらを巻き付けている間に内側及び外側FRP構造を相互に押し付けて維持する。
【0058】
組立体の硬化プロセスに関して、硬化サイクルを適用するために使用される加熱手段は、オートクレーブ又は代替的にオーブンであり得る。
【0059】
第2の発明の態様において、本発明は、流体を内部に収容するように構成された二重壁タンクを製造する方法を提供し、前記方法は、
i)第1の発明の態様の方法の実施形態の何れかに従って製造された内側容器を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記内側FRPタンク構造が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造を提供するステップであって、前記内部チャンバは、内側容器が内部チャンバ内に収容されるとき、内側容器の外側面と、内側FRPタンク構造の内側面との間に間隙が画定されるように、ステップi)で提供された容器を収容するような大きさである、ステップと、
iii)内側FRPタンク構造を相互に結合し、ステップi)で提供された容器を内部に封入するステップと、
iv)少なくとも2つの外側FRPタンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記外側FRPタンク構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRPタンク構造を提供するステップであって、前記外装は、内側FRPタンク構造を、それらがステップiii)に従って結合された後に包囲し、内側FRPタンク構造にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
v)外側FRPタンク構造を相互に結合し、内側FRPタンク構造を包囲するステップであって、内側FRPタンク構造の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
vi)外側FRPタンク構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む。
【0060】
この方法によって製造された二重壁タンクは、以下の3つの基本的構造要素:流体を内部に収容することが意図され、いわゆる二重壁タンクの内壁と考えられる、ステップi)で提供される第1の発明の態様による内側容器、前記内側容器を、内側FRPタンク構造がステップiii)に従って結合された後に取り囲むように提供される外壁及び内側容器(即ち内壁)と外壁との間に配置される中間間隙又は空間を本質的に含み、前記中間空間は、水素等の極低温圧縮流体を収容する場合、極低温にさらされる内側容器を断熱することが意図される。
【0061】
ステップi)で提供される内側容器の内部容積と同様に、タンクの外壁は、ステップii)で提供される内側FRPタンク構造をステップiii)に従って結合することによって提供される。
【0062】
特に、ステップii)で提供される内側FRPタンク構造は、それらが製造されると、ステップi)で提供される内側容器が収容されることが意図される内部チャンバを画定するような方法で組み立てる(即ち相互に結合する)ことができる状態である。この意味で、内側FRPタンク構造は、相補的な幾何学的形状又は形状を付与され、それにより、これらは、ステップiii)に従って結合界面によって相互に結合し得ると理解されたい。ある実施形態において、前記結合界面は、内側FRPタンク構造の、相互に合致するような外形の輪郭及び境界である。
【0063】
外側FRPタンク構造は、第2の外皮又は外装として内側FRPタンク構造を取り囲む。即ち、外側FRPタンク構造は、結合されると、内側FRPタンク構造と、対応する界面、即ち内側FRPタンク構造の(内側チャンバに関して)外面及び外側FRPタンク構造の内面を通して接触する。このように、外側FRPタンク構造は、内側FRPタンク構造を一体に保持することに寄与する。
【0064】
有利には、これらの追加的な外側FRPタンク構造の使用により、内側容器の壁がより厚くなり、その耐荷重能力及び断熱能力が強化される。
【0065】
FRPタンク構造が、内側FRPタンク構造の場合にはステップiii)に従って且つ/又は外側FRPタンク構造の場合にはステップv)に従って結合された後、外側FRPタンク構造が固定され、内側FRP構造の相対位置がロックされ、それにより、結果として得られる組立体は、壊れないようになり、即ち、FRPタンク部品は、分離しない。
【0066】
本発明の実施形態によれば、二重壁タンクの製造に関わるFRPタンク構造(即ち内側及び任意選択的に外側)は、対応する結合界面上に設けられた相補的結合手段を含み得、前記相補的結合手段は、相互に組み合うように構成され、それによりFRPタンク構造が固定される。これに関して、FRP構造の結合を容易にし、その後のその密閉性を改善する相補的な幾何学的形状の例は、例えば、さねはぎ、ラビリンスジョイント、フランジ等であり得る。
【0067】
ある実施形態において、方法は、内側FRPタンク構造間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第3の継ぎ目プロファイルを提供するステップを含む。
【0068】
ある実施形態において、方法は、外側FRPタンク構造間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第4の継ぎ目プロファイルを提供するステップを含む。
【0069】
ある実施形態において、内側容器の外側面と、ステップiii)に従って結合された内側FRPタンク構造の内側面との間に少なくとも1つのスペーサが提供される。
【0070】
有利には、内側容器の周囲の、その外側面とタンクの外壁との間に配置される中間間隙又は空間を画定するために、少なくとも1つのスペーサは、タンクの外壁が内側容器から所定の距離だけ分離された状態に維持することに寄与する。
【0071】
ある実施形態において、方法は、内壁と外壁との間の距離を維持するために、内側容器の周囲に分散された複数の個別の機械的スペーサを提供するステップを含む。
【0072】
ある実施形態において、内側容器の外側面と、ステップiii)に従って結合される内側FRPタンク構造の内側面との間にポーラマウントが提供され、それにより、これらは、所定の距離だけ離れた状態に維持される。
【0073】
ポーラマウントは、内側容器と外側容器との間のそれらの長手方向(又は反対側)端部の付近に取り付けられる。
【0074】
後の段階で組み立てられて二重壁タンクの外壁の最終的な幾何学的形状をもたらす一連の分離された部品(FRPタンク構造)をこのように提供することにより、タンクの内側に様々なシステム及び構造的要素を効率的且つ柔軟に提供し、組み込むことが可能となる。特に、FRPタンク構造が相互に結合される前に、複数の内部システム、例えばパイプ、チューブを、FRPタンク構造内及び/又はタンク(即ちステップi)で提供される内側容器)の内壁とタンクの外壁との間に画定される空間内に別々に取り付けることができる。
【0075】
ある実施形態において、方法は、内側容器とタンクの外壁との間に画定される中間間隙内から空気を排出し、その後、このエンペローブを周辺大気からシールし、このようにして真空断熱を実現するステップを含む。
【0076】
ある実施形態において、方法は、ステップiii)前に、容器を包囲する少なくとも断熱層を提供するステップを含む。
【0077】
ある実施形態において、タンク(即ちステップi)で提供される内側容器)の内壁とタンクの外壁との間に画定される空間内において、真空に保たれる絶縁材が提供される。真空及び絶縁材は、熱伝達を減少させ、それにより流体、より詳細には内側容器に貯蔵され得る液体酸素、液体窒素又は液体アルゴンのボイルオフを低減させるのに役立つ。
【0078】
加えて、前述の連続式の概念により、この方法は、二重壁タンク、より詳細にはタンクの外壁の最終的な幾何学的形状に「不連続部分」を付与することも想定する。前記不連続部分は、パイプ、チューブ又は他の補助的なシステム支援物などの外部要素を設置及び/又は挿入するように適合される。
【0079】
ある実施形態において、結合面の相補的な幾何学的形状は、FRPタンク構造がステップiii)に従って結合されると、前記不連続部分がFRPタンク構造間の継ぎ目に沿って形成されるような形状であり得る。
【0080】
タンクの外壁の不連続部分の少なくとも1つは、内壁と外壁との間から空気を抽出し、従って真空断熱を得るための真空ポートとして使用され得る。
【0081】
有利には、ステップiii)による製造プロセスにおける品質検査及び取り扱いも、この方法のステップ式の流れ及び工具の簡素化の恩恵を受け、従ってより効率的に、よりリソースを必要とせずに実現され得る。
【0082】
ある実施形態において、ステップiv)で提供される外側FRPタンク構造は、部分的に硬化され、ステップvi)は、前記外側FRPタンク構造を硬化させるために、それらがステップv)に従って相互に結合された後に真空下で硬化サイクルを適用するステップを含む。
【0083】
ある実施形態において、内側及び外側FRPタンク構造は、部分的に硬化され、ステップvi)は、前記内側及び外側FRPタンク構造を硬化させるために、それらがそれぞれステップiii)及びv)に従って結合された後に真空下で硬化サイクルを適用するステップを含む。
【0084】
ある実施形態において、方法は、ステップii)前に、FRPプライによって形成されるラミネートを型上に自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層法(ATL)技術によって積層させ、前記ラミネートが積層された後、
- 真空下での硬化サイクル、又は
- 部分硬化サイクル
を適用することにより、FRPタンク構造を製造するステップを含む。
【0085】
ある実施形態において、方法は、ステップii)前にFRP構造を以下のステップに従って製造するステップを含む:
- ハニカムコアと、前記ハニカムコアの少なくとも片面において、内側から外側に硬化型接着剤層及びアモルファス熱可塑性フィルムとによって形成される集合体を積層するステップと、
- 集合体の上に乾燥繊維層を積層するステップと、
- 前記乾燥繊維及び集合体を片面型上に配置し、真空シートを前記片面型上に配置することにより、それを気密空間内に閉じ込めるステップと、
- 前記乾燥繊維層に真空下で樹脂を含浸させるステップと、
- 真空下での硬化サイクル、又は
- 部分的硬化サイクル
を適用するステップ。
【0086】
ステップii)及びiv)で提供される内側及び外側FRPタンク構造が完全に硬化される実施形態において、前記ステップii)及びiv)前に全てのFRPタンク構造が真空下で硬化サイクルを全体で受けるため、本発明の方法による二重壁タンクの製造に関わるステップの総数及び関連するコストが削減される。
【0087】
ある実施形態において、ステップvi)は、ステップv)に従って外側タンクFRP構造を結合した後、
- 少なくとも1つのFRP材料の層を外側FRPタンク構造の少なくとも一部に巻き付けるステップと、
- 前記FRP材料の層を巻き付けることによって得られた組立体を硬化させるステップと
を含む。
【0088】
前記FRP材料の層は、好ましくは、自動繊維配置(AFP)又はフィラメント巻回技術により、組立体の少なくとも一部を包んで提供される。
【0089】
有利には、方法のこの実施形態では、工具の概念が簡素化されて、関連するリソースコストが削減され、なぜなら、ステップv)に従って外側FRPタンク構造を結合し、即ち内側FRPタンク構造を包囲して、前記内側FRPタンク構造の相対位置がロックされるようにすることから、その結果として得られる組立体自体が、フィラメント巻回プロセスが実行される雄型の役割を果たすからである。更に、巻き付けられるフィラメントにかけられる張力も、それらを巻き付けている間に内側及び外側FRPタンク構造を相互に押し付けて維持する。
【0090】
組立体の硬化プロセスに関して、硬化サイクルを適用するために使用される加熱手段は、オートクレーブ又は代替的にオーブンであり得る。
【0091】
本明細書(特許請求の範囲、説明及び図面を含む)に記載される全ての特徴及び/又は記載される方法の全てのステップは、相互に排他的な特徴及び/又はステップの組合せを除き、あらゆる組合せで組み合わされ得る。
【0092】
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、単に例として提供され、それに限定されない本発明の好ましい実施形態から明らかとなる本発明の詳細な説明を、図面を参照して読むことでよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】本発明のある実施形態による、容器を製造する方法のステップに従って提供される2つの内側FRP構造の斜視図を示す。
【
図2】本発明のある実施形態による2つの内側及び2つの外側FRP構造の斜視図を示す。
【
図3】本発明のある実施形態による、相互に結合された2つの内側FRP構造の周囲に提供された2つの外側FRP構造の斜視図を示す。
【
図4】本発明のある実施形態による、二重壁タンクを製造する方法のステップに従って容器の周囲に提供された2つの内側FRPタンク構造の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0094】
本発明は、流体を内部に収容するように構成された容器(10)を製造する方法を提供する。
【0095】
この方法は、少なくとも以下のステップを含む:
a)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(11.1、12.1)を有する形状とされ、それにより、前記内側FRP構造(11、12)が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、内側FRP構造(11、12)を提供するステップ、
b)内側FRP構造(11、12)を相互に結合するステップ、
c)少なくとも2つの外側FRP構造(110、120)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(110.1、120.1)を有する形状とされ、それにより、外側FRP構造(110、120)が相互に結合されるとき、外装が画定される、FRP構造(110、120)を提供するステップであって、前記外装は、内側FRP構造(11、12)を、それらがステップb)に従って結合された後に包囲し、内側FRP構造(11、12)にその外面で接触するような大きさである、ステップ、
d)外側FRP構造(110、120)を相互に結合し、内側FRP構造(11、12)を包囲するステップであって、内側FRP構造(11、12)の相対位置がそれによりロックされる、ステップ、及び
e)外側FRP構造(110、120)を、それらが相互に結合された後に固定するステップ。
【0096】
図1は、ある実施形態による、容器(10)を得るために本願の方法がとる製造ステップの幾つかを示す。特に、
図1は、ステップa)による、2つの内側FRP構造(11、12)、より詳細には第1(11)及び第2(12)の閉じた半円筒形FRP構造の提供を示し、前記内側FRP構造(11、12)は、前記半円筒形の中央部分及び前記半円筒形の中央部分の両端に配置された2つの球形部分を含む。より詳細には、両方の内側FRP構造(11、12)は、相補的であり、結合されると、これらは、それぞれの球形キャップ部分によって各端が閉じられるカプセル型の構造を画定する。
【0097】
図の特定の実施形態では、両方の半円筒形構造(11、12)は、真空下で完全硬化サイクルを適用することによって事前に製造されている。前記硬化サイクルを適用する前に、第1(11)及び第2の(12)のFRP構造のプリフォームを得るために実行される積層技術に関して、上述の方法の異なる実施形態によれば、積層技術は、以下の1つであり得る:
・型上に提供されたFRPプライによって形成されたラミネートを自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層法(ATL)技術によって積層すること、
・ハニカムコアと、前記ハニカムコアの少なくとも片面において、内側から外側に硬化型接着剤層及びアモルファス熱可塑性フィルムとによって形成される集合体を積層し、集合体の上に乾燥繊維層を積層し、前記乾燥繊維及び集合体を片面型上に配置し、真空シートを前記片面型上に配置することにより、それを気密空間内に閉じ込め、前記乾燥繊維層に真空下で樹脂を含浸させること。
【0098】
図1からわかるように、第1(11)及び第2(12)の半円筒形構造の各々は、それぞれに対応する内面から、半円筒形構造(11、12)が上述の方法のステップb)に従って相互に結合されるときに画定される円筒形の内部容積に向かって突出する2つの壁型要素(13)を含む。
【0099】
図の特定の実施形態において、前記壁型要素(13)は、スロッシング防止壁である。前述のように、容器(10)内に収容される流体のスロッシング運動は、大きい構造的負荷及び剛体による障害を誘発する可能性があり、これは、制御システムの動作に不利な影響を与え得る。容器(10)の内側容積内に取り付けられた、内面から内側に延びる前記スロッシング防止壁(13)の存在は、流体のスロッシングを減衰させるのに役立つ。
【0100】
前記スロッシング防止壁(13)は、相補的な幾何学的形状を有するように示されている。特に、図のスロッシング防止壁(13)は、半分に分割され、これらは、それぞれ半円筒形構造(11、12)の対向する各面に提供され、半円筒形構造(11、12)がステップb)に従って結合されるとき、相補的なスロッシング防止壁(13)が、容器(10)の特定の断面において、相互に対向し、ある距離だけ分離され、それらの対向する輪郭によって容器(10)内に収容される流体がそこを通して流れることができる長方形の間隙が画定されるように配置される。
【0101】
各半円筒形構造(11、12)の内面にスロッシング防止壁(13)を提供するために行われる積層技術に関して、本発明の方法のある実施形態は、真空下で硬化サイクルを適用する前に、第1(11)及び第2(12)のFRP構造を製造するために、半円筒形構造(11、12)上に各スロッシング防止壁(13)を形成する、対応するラミネートを積層するステップを含み、ラミネートは、好ましくは、ATL又はAFP技術によって積層される。
【0102】
図1に示される第1(11)及び第2(12)のFRP構造に対して、
図2は、本発明の容器(10)を得る方法のある実施形態のステップd)による、2つの外側FRP構造(110、120)、より詳細には第3(110)及び第4(120)のFRP構造の提供を示す。
【0103】
特に、前記第3(110)及び第4(120)のFRP構造は、相互に合致するように構成された相補的結合界面(110.1、120.1)を有する形状であり、それにより、第3(110)及び第4(120)のFRP構造が相互に結合されるとき、外装が画定され、前記外装は、第1(11)及び第2(12)のFRP構造を、それらがステップb)に従って結合された後に包囲し、第1(11)及び第2(12)のFRP構造にその外面で接触するような大きさである。
【0104】
図からわかるように、第3(110)及び第4(120)のFRP構造は、
図2の両端に示されているように、第1(11)及び第2(12)のFRP構造と同様の幾何学的形状を与えられ、即ち、これらは、閉じた半円筒形の幾何学的形状であるが、それよりわずかに大きい。
【0105】
この幾何学的形状により、第1(11)及び第2(12)のFRP構造が本発明の方法のステップb)によって結合された後、第3(110)及び第4(120)のFRP構造は、第1(11)及び第2(12)のFRP構造を第2の外皮又は外装として包囲する。即ち、結合されると、第3(110)及び第4(120)のFRP構造は、第1(11)及び第2(12)のFRP構造と、対応する界面、即ち第1(11)及び第2(12)のFRP構造の外面並びに第3(110)及び第4(120)のFRP構造の内面を通して接触する。このようにして、第3(110)及び第4(120)のFRP構造は、第1(11)及び第2(12)のFRP構造を一体で保持する役割を果たし、それにより容器(10)の全体的密閉性も増大させる。
【0106】
各FRP構造(11、12、110、120)を製造するために行われる技術に関して、ある実施形態において、これらは、1ステップで全体的に真空下での硬化サイクルを受け、従って本発明の方法による容器(10)の製造に関わるステップの総数及び関連するコストが削減される。
【0107】
代替的実施形態によれば、図の第3(110)及び第4(120)のFRP構造は、部分的に硬化され、即ち、ステップc)によって提供される前に、これらは、既に、前記第3(110)及び第4(120)のFRP構造が完全に硬化されたとした場合の所定の持続時間及び温度条件下での完全硬化サイクルと比較してより低温及び/又はより短時間の真空下での部分的硬化サイクルを経ている。この代替的実施形態によれば、方法のステップe)は、前記第3(110)及び第4(120)のFRP構造を、それらがステップd)に従って相互に結合された後、第1(11)及び第2(12)のFRP構造の周囲で硬化させるために、真空下での硬化サイクルを適用して、容器(10)を得るステップを更に含む。
【0108】
別の代替的実施形態によれば、第1(11)、第2(12)、第3(110)及び第4(120)のFRP構造は、部分的に硬化され、方法のステップe)は、前記第1(11)、第2(12)、第3(110)及び第4(120)のFRP構造を、それらがそれぞれステップb)及びd)に従って結合された後に真空下での硬化サイクルを適用して、容器(10)を得るステップを更に含む。
【0109】
図3は、
図2に示される第1(11)、第2(12)、第3(110)及び第4(120)のFRP構造を組み立てることによって容器(10)を得るためにこの方法がとる製造ステップの幾つかを示す。特に、
図3は、ステップb)に従って既に結合された第1(11)及び第2(12)のFRP構造を示す。
【0110】
追加的に、
図3は、ステップd)に従って第1(11)及び第2(12)のFRP構造の周囲で相互に結合されているプロセスの途中段階の第3(110)及び第4(120)のFRP構造を示す。特に、上側のFRP構造、即ち第3のFRP構造(110)は、説明のために、容器(10)の内部の詳細が示されるように後方にずらして示されている。
【0111】
図からわかるように、第1(11)及び第2(12)のFRP構造は、それらの間に画定される継ぎ目の図示された部分に第1の継ぎ目プロファイル(14)を設けられている。
【0112】
図3に示される方法の実施例は、第3(110)及び第4(120)のFRP構造を結合するステップd)の中間段階のものであるが、前記ステップd)が完了し、両方のFRP構造(110、120)が相互に結合されたところでそれらの間に画定される継ぎ目は、第1(11)及び第2(12)のFRP構造間に画定される継ぎ目と直角に交差することがわかる。この意味で、第2の継ぎ目プロファイル(図示せず)は、第3(110)及び第4(120)のFRP構造間において、それらがステップd)に従って結合されるときに画定される継ぎ目に提供されることが想定される。
【0113】
本発明は、流体を内部に収容するように構成された二重壁タンク(20)を製造する方法も提供する。
【0114】
この方法は、
i)請求項1~8の何れか一項に従って製造された内側容器(10)を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(21.1、22.1)を有する形状とされ、それにより、前記内側FRPタンク構造(21、22)が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、内側FRPタンク構造を提供するステップであって、前記内部チャンバは、ステップi)で提供された内側容器(10)を収容するような大きさである、ステップと、
iii)内側FRPタンク構造(21、22)を相互に結合し、ステップi)で提供された内側容器(10)を内部に封入するステップと、
iv)少なくとも2つの外側FRPタンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記外側FRPタンク構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、タンク構造を提供するステップであって、前記外装は、内側FRPタンク構造(21、22)を、それらがステップiii)に従って結合された後に包囲し、内側FRPタンク構造(21、22)にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
v)外側FRPタンク構造を相互に結合し、内側FRPタンク構造(21、22)を包囲するステップであって、内側FRPタンク構造(21、22)の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
vi)外側FRPタンク構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む。
【0115】
図4は、二重壁タンク(20)を得るためにこの方法がとる製造ステップの幾つかを示す。特に、
図4は、
図2及び3に示されるFRP構造(11、12、110、120)を本方法のある実施形態のステップに従って結合し、固定することによって得られた内側容器(10)の、ステップi)による提供を示す。
図4は、2つの内側FRPタンク構造(21、22)、より詳細には第1(21)及び第2(22)の半円筒形FRPタンク構造の提供も示し、これらは、ステップiii)により、内側容器(10)の周囲で相互に連結されるプロセスの途中段階で示されている。特に、後方に示されている第1のFRPタンク構造(21)は、説明のために、二重壁タンク(20)の内部の詳細が示されるように後方にずらして示されている。
【0116】
図からわかるように、ステップii)で提供される第1(21)及び第2(22)のFRPタンク構造は、方法のステップiii)に従って結合されると、その中に内側容器(10)を収容する。第3の継ぎ目プロファイル(図示せず)は、第1(21)及び第2(22)のFRPタンク構造間において、それらが結合されるときに画定される継ぎ目に設けられることが想定される。
【0117】
加えて、
図4に示される方法の実施形態は、第1(21)及び第2(22)のFRPタンク構造の結合を完了させるステップの一部として、第2及び第3の継ぎ目プロファイルに結合される2軸マウント(図示せず)も提供し、ステップiii)に従って結合された内側容器(10)並びに第1(21)及び第2(22)のFRPタンク構造がそれにより関節接合されるようにすることも含む。内壁(即ちステップi)で提供される容器(10)の第2の継ぎ目プロファイル及びタンク(20)の外壁の第3の継ぎ目プロファイルに取り付けられる前記2軸マウントの提供により、前記第2及び第3の継ぎ目プロファイルは、2自由度で関節運動し、それにより容器(10)とタンク(20)の外壁とを柔軟に結合することができる。
【0118】
最後に、
図4の方法によって製造された二重壁タンク(20)の実施形態は、ステップi)で提供される容器(10)を取り囲む断熱層(図示せず)も含む。このような断熱層は、タンク(20)の内壁(即ち容器(10))とタンク(20)の外壁との間に画定される空間内に配置される。ある実施形態において、方法は、前記断熱層を真空に維持するステップを含む。
【0119】
更に、内側容器(10)の周囲に配置される中間間隙をその外側面とタンク(20)の外壁との間に画定するために、複数のスペーサ(24)が内側容器(10)の外面に提供されて、タンク(20)(
図3に示される特定の例ではFRPタンク構造(21、22)で2つの半円筒形によって形成される)の外壁を内側容器(10)から所定の距離に維持する。
【0120】
図からわかるように、前記スペーサ(24)は、長方形の断面が設けられ、容器(10)の周囲に分散された複数の個別の機械的スペーサ(24)として具現化されている。
【符号の説明】
【0121】
10 容器
11 内側FRP構造
12 内側FRP構造
13 スロッシング防止壁
14 第1の継ぎ目プロファイル
20 二重壁タンク
21 内側FRPタンク構造
21.1 相補的結合界面
22 内側FRPタンク構造
22.1 相補的結合界面
24 スペーサ
110 外側FRP構造
110.1 相補的結合界面
120 外側FRP構造
120.1 相補的結合界面
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を内部に収容するように構成された容器(10)を製造する方法であって、
a)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(11.1、12.1)を有する形状とされ、それにより、前記内側FRP構造(11、12)が相互に結合されるとき、内部容積が画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)構造(11、12)を提供するステップと、
b)前記内側FRP構造(11、12)を相互に結合するステップと、
c)少なくとも2つの外側FRP構造(110、120)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(110.1、120.1)を有する形状とされ、それにより、前記外側FRP構造(110、120)が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRP構造(110、120)を提供するステップであって、前記外装は、前記内側FRP構造(11、12)を、それらがステップb)に従って結合された後に包囲し、前記内側FRP構造(11、12)にその外面で接触するような大きさである、ステップと、
d)前記外側FRP構造(110、120)を相互に結合し、前記内側FRP構造(11、12)を包囲するステップであって、前記内側FRP構造(11、12)の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
e)前記外側FRP構造(110、120)を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
内側FRP構造(11、12)間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第1の継ぎ目プロファイル(14)を提供するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外側FRP構造(110、120)間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第2の継ぎ目プロファイルを提供するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記内側FRP構造(11、12)及び/又は前記外側FRP構造(110、120)は、前記対応する結合界面(11.1、12.1、110.1、120.1)上に提供される相補的結合手段を含み、前記相補的結合手段は、それぞれ前記内側FRP構造(11、12)がステップb)に従って結合され、及び/又は前記外側FRP構造(110、120)がステップe)に従って固定されるとき、相互に組み合うように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で提供される前記内側FRP構造(11、12)の少なくとも1つは、前記FRP構造(11、12)の表面から、前記内側FRP構造(11、12)がステップb)に従って相互に結合されるときに画定される前記内部容積に向かって突出する少なくとも1つのバッフル及び/又は壁型要素(13)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)で提供される前記外側FRP構造(110、120)は、部分的に硬化され、ステップe)は、前記外側FRP構造(110、120)を、それらがステップd)に従って相互に結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記内側(11、12)及び外側(110、120)FRP構造は、部分的に硬化され、ステップe)は、前記内側(11、12)及び外側(110、120)FRP構造を、それらがそれぞれステップb)及びd)に従って結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記外側FRP構造(110、120)は、それらの間に画定される継ぎ目線が、前記内側FRP構造(11、12)間に画定される継ぎ目線と斜角で交差するように結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
流体を内部に収容するように構成された二重壁タンク(20)を製造する方法であって、
i)請求項1~8の何れか一項に従って製造された内側容器(10)を提供するステップと、
ii)少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面(21.1、22.1)を有する形状とされ、それにより、前記内側FRPタンク構造(21、22)が相互に結合されるとき、内部チャンバが画定される、少なくとも2つの内側繊維強化ポリマー(FRP)タンク構造(21、22)を提供するステップであって、前記内部チャンバは、前記内側容器(10)が前記内部チャンバ内に収容されるとき、前記内側容器(10)の外側面と、前記内側FRPタンク構造(21、22)の内側面との間に間隙が画定されるように、ステップi)で提供された前記容器(10)を収容するような大きさである、ステップと、
iii)前記内側FRPタンク構造(21、22)を相互に結合し、ステップi)で提供された前記内側容器(10)を内部に封入するステップと、
iv)少なくとも2つの外側FRPタンク構造であって、相互に合致するように構成された相補的結合界面を有する形状とされ、それにより、前記外側FRPタンク構造が相互に結合されるとき、外装が画定される、少なくとも2つの外側FRPタンク構造を提供するステップであって、前記外装は、前記内側FRPタンク構造(21、22)を、それらがステップiii)に従って結合された後に包囲し、前記内側FRPタンク構造(21、22)にその外面に沿って接触するような大きさである、ステップと、
v)前記外側FRPタンク構造を相互に結合し、前記内側RFPタンク構造(21、22)を包囲するステップであって、前記内側FRPタンク構造(21、22)の相対位置がそれによりロックされる、ステップと、
vi)前記外側FRPタンク構造を、それらが相互に結合された後に固定するステップと
を含む方法。
【請求項10】
ステップiii)前に、前記内側容器(10)を包囲する少なくとも断熱層を提供するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記内側FRPタンク構造(21、22)は、前記対応する結合界面(21.1、22.1)上に提供される相補的結合手段を含み、前記相補的結合手段は、それぞれ前記内側FRPタンク構造(21、22)がステップiii)に従って結合され、及び/又は前記外側FRPタンク構造がステップvi)に従って固定されるとき、相互に組み合うように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記内側FRPタンク構造(21、22)間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第3の継ぎ目プロファイルを、且つ/又は外側FRPタンク構造間に画定される継ぎ目の少なくとも一部に第4の継ぎ目プロファイルを提供するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記内側FRPタンク構造(21、22)を前記内側容器(10)から所定の距離に維持するために、前記内側容器(10)の前記外側面と、前記内側FRPタンク構造(21、22)の前記内側面との間に少なくともスペーサ(24)を提供するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ステップiv)で提供される前記外側FRPタンク構造は、部分的に硬化され、ステップvi)は、前記外側FRPタンク構造を、それらがステップv)に従って相互に結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記内側(21、22)及び外側FRPタンク構造は、部分的に硬化され、ステップvi)は、前記内側(21、22)及び外側FRPタンク構造を、それらがそれぞれステップiii)及びv)に従って結合された後に硬化させるために、真空下で硬化サイクルを適用するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。