(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164416
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】溶接機
(51)【国際特許分類】
B23K 11/06 20060101AFI20231102BHJP
B23K 11/24 20060101ALI20231102BHJP
B23K 11/36 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B23K11/06 101
B23K11/24 335
B23K11/36 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075842
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】2204076
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル、ビッデンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、ローラン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】溶接中に溶接機のパラメータを少なくとも部分的に自動で確実に直接、修正できる溶接機を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの被溶接部品(2)用の溶接機(1)であって、前記溶接機は、少なくとも1つの可動アセンブリ(10)を備え、前記可動アセンブリは、前記可動アセンブリを前記被溶接部品に対して移動させることが意図された少なくとも一対の駆動ホイール(12)と、少なくとも2つの溶接ホイール(16)を含む少なくとも1つの溶接ヘッド(14)であって、前記溶接ホイールの前記被溶接部品に対する転動により前記被溶接部品を固着することが意図された溶接部を生成可能である溶接ヘッドと、を含み、前記溶接機は、前記溶接ヘッドの制御ユニット(30)を備え、前記制御ユニットは、前記溶接機のパラメータを制御可能である溶接機に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの被溶接部品(2)用の溶接機(1)であって、前記溶接機(1)は、少なくとも1つの可動アセンブリ(10)を備え、
前記可動アセンブリ(10)は、
前記可動アセンブリ(10)を前記被溶接部品(2)に対して移動させることが意図された少なくとも一対の駆動ホイール(12)と、
少なくとも2つの溶接ホイール(16)を含む少なくとも1つの溶接ヘッド(14)であって、前記溶接ホイール(16)の前記被溶接部品(2)に対する転動により前記被溶接部品(2)を固着することが意図された溶接部を生成可能である溶接ヘッド(14)と、
を含み、
前記溶接機(1)は、前記溶接ヘッド(14)の制御ユニット(30)を備え、
前記制御ユニット(30)は、前記被溶接部品(2)に対する前記溶接ホイール(16)の接触圧力、および/または前記被溶接部品(2)に沿った前記可動アセンブリ(10)の移動速度、および/または前記溶接ホイール(14)を流れる電流の強度、および/または前記溶接ホイール(14)を流れる電流のパルスの持続時間、および/または前記被溶接部品(2)に対する前記可動アセンブリ(10)の位置、の中から選択される前記溶接機(1)のパラメータを制御可能であり、
前記制御ユニット(30)は、前記溶接機(1)から種々の前記パラメータの値を受け取ってこれらを制御可能である、
溶接機(1)。
【請求項2】
前記溶接機(1)の種々の前記パラメータの前記値を少なくとも表示可能な少なくとも1つの制御インターフェース(34)を備える、
請求項1に記載の溶接機(1)。
【請求項3】
前記制御インターフェース(34)は、前記溶接機(1)の種々の前記パラメータの基準閾値を入力するための機能部である、
請求項2に記載の溶接機(1)。
【請求項4】
前記溶接機(1)は、前記溶接ヘッド(14)の少なくとも1つの冷却装置(18)を備え、
前記制御ユニット(30)は、前記冷却装置(18)のパラメータ値を制御可能である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の溶接機(1)。
【請求項5】
前記冷却装置(18)の前記パラメータは、前記溶接機(1)を流れる冷却材の流量、および/または前記冷却液の温度のうちの、少なくとも1つのパラメータを含む、
請求項4に記載の溶接機(1)。
【請求項6】
前記溶接機(1)は、
前記被溶接部品(2)に対する前記溶接ホイール(16)の接触圧力に関する前記パラメータの値を検出可能な第1特定手段(32a)、および/または、
前記被溶接部品(2)に沿った前記可動アセンブリ(10)の移動速度に関する前記パラメータの値を検出可能な第2特定手段(32b)、および/または、
前記溶接ホイール(16)を流れる電流の強度に関する前記パラメータの値を検出可能な第3特定の手段(32c)、および/または、
前記被溶接部品(2)に対する前記可動アセンブリ(10)の位置に関するパラメータの値を検出可能な第4特定の手段(32d)、および/または、
前記溶接ホイール(16)を流れる電流のパルスの持続時間に関する前記パラメータの値を検出可能な第5特定の手段(32e)を備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の溶接機(1)。
【請求項7】
前記溶接機(1)は、前記可動アセンブリから離間した支持体(22)であって、前記可動アセンブリにワイヤハーネス(24)により接続した支持体(22)を備え、
前記制御ユニット(30)は、前記可動アセンブリ(10)または前記支持体(22)に支持される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の溶接機(1)。
【請求項8】
前記可動アセンブリ(10)は、少なくとも1つの電気コンバータ(28)を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の溶接機(1)。
【請求項9】
前記電気コンバータ(28)および前記制御ユニット(30)は、同一のプリント回路基板に支持される、
請求項8に記載の溶接機(1)。
【請求項10】
前記パラメータの制御および/または前記パラメータ値の受け取りは、前記可動アセンブリ(10)の始動位置と前記可動アセンブリ(10)の到着位置との間において、連続的に実施される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の溶接機(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の溶接機(1)による少なくとも2つの部品(2)の溶接を制御するための方法であって、前記溶接制御方法は、
- 前記溶接機(1)の少なくとも1つの第1パラメータの基準閾値制御インターフェース(34)への入力ステップ(100)と、
- 前記制御ユニット(30)が前記溶接機(1)の前記第1パラメータの少なくとも1つの側定値を受け取るステップ(200)と、
- 前記制御ユニット(30)が前記第1パラメータの少なくとも1つの側定値を前記第1パラメータの前記基準閾値と比較するステップ(300)と、
- 前記第1パラメータの前記測定値が前記第1パラメータの前記基準閾値に対して収束しない場合、前記制御ユニット(30)が前記溶接機(1)の前記パラメータのうちの少なくとも1つを制御するステップ(400)と、
を少なくとも備える制御方法。
【請求項12】
前記チェックするステップ(400)は、前記溶接部品(2)の溶接時に、前記溶接機(1)の前記パラメータのうちの少なくとも1つを調整して、前記第1パラメータの前記測定値を前記第1パラメータの前記基準閾値に収束させるステップ(401)を含む、
請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記チェックするステップ(400)は、前記第1パラメータの少なくとも1つの前記測定値が前記第1パラメータの前記基準閾値から5~20%を超えて逸脱する場合に前記被溶接部品(2)の溶接を停止するステップ(402)を含む、
請求項11または12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記方法は、前記可動アセンブリの始動位置と前記可動アセンブリ(10)の到着位置との間において連続的に実施される、
請求項11~13のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ホイールの形状の電極を備える溶接装置であって、被溶接部品を一体に溶接することができる溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の溶接機は、駆動ホイール、ならびに被溶接部品を溶接することができる溶接ホイール、ならびに少なくとも駆動ホイールを被溶接部品に沿って回転駆動することができる駆動部材を備えている。溶接ホイールには、溶接機の移動中に電流ユニットにより電気が供給されて、被溶接部品の溶接が確実に行われる。現行の溶接機は、前記溶接機による溶接方法の実施に先立ってオペレータが入力した溶接指示に従うことができる。
【0003】
しかしながら、現行の溶接機では、溶接プロセス中に溶接指示を連続的にモニタリングすることができないため、溶接機のパラメータを制御できる手段がないという問題がある。また、現行の溶接機には、溶接プロセス中に溶接機のパラメータを直接的に修正する手段がなく、溶接プロセス中に修正が必要となる都度、停止させなければならない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、溶接プロセス中に溶接機のパラメータを連続的に制御できる溶接機であって、被溶接部品の溶接中に溶接機のパラメータを少なくとも部分的に自動で確実に直接修正できる溶接機を提供することである。したがって、本発明は、溶接プロセスのモニタリングおよび制御において少なくとも部分的に自律的である溶接機を提供する。
【0005】
したがって、本発明は、少なくとも2つの被溶接部品用の溶接機であって、前記溶接機は、少なくとも1つの可動アセンブリを備え、前記可動アセンブリは、前記可動アセンブリを前記被溶接部品に対して移動させることが意図された少なくとも一対の駆動ホイールと、少なくとも2つの溶接ホイールを備える少なくとも1つの溶接ヘッドであって、前記溶接ホイールを前記被溶接部品に対して転動させることで前記被溶接部品を固着することが意図された溶接部を生成可能である溶接ヘッドと、を含み、前記溶接機は、前記溶接ヘッドを制御するためのユニットを備え、前記制御ユニットは、前記被溶接部品に対する前記溶接ホイールの接触圧力、および/または前記被溶接部品に沿った前記可動アセンブリの移動速度、および/または前記溶接ホイールを流れる電流の強度、および/または前記溶接ホイールを流れる電流のパルスの持続時間、および/または前記被溶接部品に対する前記可動アセンブリの位置、の中から選択される前記溶接機のパラメータを制御可能である溶接機に関する。
【0006】
本発明による溶接機は、例えば、液化天然ガス等の極低温製品を貯蔵および/または輸送するためのタンクの壁を構成するシール膜の2つの隆起した縁部を一体に、および/またはアンカーウィングに溶接するために使用され得る。
【0007】
この目的のために、溶接機は、制御ユニットに制御される駆動部材を介して、可動アセンブリの被溶接部品に沿った直線溶接方向(溶接機の前進方向とも称される)における移動を提供する少なくとも一対の駆動ホイールを備える。駆動部材は、例えば、電気駆動部材、油圧駆動部材、空気圧駆動部材、あるいは機械的駆動部材であり得る。好適には、本発明の文脈における駆動部材は、電気モータである。
【0008】
溶接ホイールにより、被溶接部品のうちの少なくとも1つ(これは、アンカーフランジの隆起した縁部のうちの少なくとも1つであり得る)との接触により溶接部を生成することができる。より詳細には、本発明の非限定的な例によれば、被溶接部品を溶接する際、溶接機の被溶接部品に対する移動により、被溶接部品に対する溶接ホイールの回転が生じ、電気供給ユニットにより供給されて前記溶接ホイールを流れる電流により、溶接ビードを前記被溶接部品上に形成することができる。被溶接部品に対する溶接ホイールの圧力は、制御ユニットに制御される加圧装置により確保され得る。加圧装置は、例えば油圧シリンダであり得る。
【0009】
さらに、溶接ホイールを流れる電流の強度が、制御ユニットにより制御され得る電流コンバータにより管理される。電流の脈動回数(pulsation times)は、変圧器を併用して制御ユニットに制御される。
【0010】
被溶接部品に対する可動アセンブリの位置は、制御ユニットに制御される位置決め部材により確保され得る。
【0011】
溶接機の制御ユニットの機能は、溶接機のパラメータの一部を少なくとも部分的に制御することである。「制御する」という用語は、制御ユニットが、前記パラメータの値等の前記パラメータに関して受け取った情報を、一方でそれをこれらのパラメータに関する期待される基準閾値に確実に一致させること、他方で必要であればこれらの値を調整してそれらを前記基準閾値に向けて収束させることを目的として処理できることを意味する。したがって、このような制御ユニットの利点は、それ自体で、少なくとも部分的に自律的な態様で、溶接機パラメータのモニタリングおよび調整をすることが可能であることである。
【0012】
また、溶接ホイールを流れる電流のパルスの測定は、前記電流が前記溶接ホイールに投入されたときに実施されることが理解される。各パルスは、2つの値、すなわち、溶接ホイールを流れる最大電流強度に対応する第1の値と、溶接ホイールを流れる最小電流強度に対応する第2の値とにより定義される。したがって、溶接ホイールを流れる電流のパルスは、交互となるこれらの最大電流強度およびこれらの最小電流強度に対応する。それでもこれらのパルスは、連続的な溶接をなすことに留意されたい。
【0013】
溶接ホイールに最大強度が流れる時間をホットタイムと称し、溶接ホイールに最小強度が流れる時間をコールドタイムと称する。
【0014】
最小強度は、最大強度よりも小さい。好適には、この最小強度は、ゼロでない。
【0015】
好適な例によれば、最小強度は、最大強度の10%に等しい値を有する。この特徴により、連続的な溶接部を生成するために必要なエネルギーが最適化され得る。
【0016】
本発明の特徴によれば、前記制御ユニットは、前記溶接機から種々の前記パラメータの値を受け取ってこれらを制御可能である。
【0017】
制御ユニットは、溶接機の種々のパラメータの値を受け取ってそれらを処理するとともに、溶接機の前記パラメータのモニタリングを可能とすることが理解される。
【0018】
本発明の特徴によれば、前記溶接機は、前記溶接機の種々の前記パラメータの前記値を少なくとも表示可能な少なくとも1つの制御インターフェースを備える。
【0019】
溶接機のパラメータの値を受け取った制御ユニットが、前記値を制御インターフェースに送ることにより、溶接プロセス中に、オペレータが溶接機のパラメータを直接的にモニタリングできることが理解される。
【0020】
本発明の一特徴によれば、前記制御インターフェースは、前記溶接機の種々の前記パラメータの基準閾値を入力するための機能部である。
【0021】
制御インターフェースは、オペレータが入力した基準閾値をまとめて、それらを制御ユニットに伝えることにより、制御ユニットは、オペレータが制御インターフェースに入力したそれぞれの基準閾値に対する、受け取ったパラメータの値を処理することが理解される。
【0022】
本発明の特徴によれば、前記溶接機は、前記溶接ヘッドの少なくとも1つの冷却装置を備え、前記制御ユニットは、前記冷却装置のパラメータ値を制御可能である。
【0023】
溶接機冷却装置は、冷却液を溶接ホイールのできる限り近くで循環させる内部回路を備える。この回路は、タンクおよびポンプをさらに備える。
【0024】
本発明の一特徴によれば、前記冷却装置の前記パラメータは、前記溶接機を流れる冷却液の流量、および/または前記冷却液の温度のうちから、少なくとも1つのパラメータを含む。
【0025】
本発明の一特徴によれば、前記溶接機は、前記被溶接部品に対する前記溶接ホイールの接触圧力に関する前記パラメータの値を検出可能な第1特定手段、および/または前記被溶接部品に沿った前記可動アセンブリの移動速度に関する前記パラメータの値を検出可能な第2特定手段、および/または前記溶接ホイールを流れる電流の強度に関する前記パラメータの値を検出可能な第3特定手段、および/または前記被溶接部品に対する前記可動アセンブリの位置に関するパラメータの値を検出可能な第4特定手段、および/または前記溶接ホイールを流れる電流のパルスの持続時間に関する前記パラメータの値を検出可能な第5特定手段を備える。
【0026】
特定手段は、例えば、種々のパラメータの値を特定するセンサ、または、他の場所で測定された別のパラメータからパラメータの値を特定可能な装置であり得る。特定手段により、パラメータの値を検出し、それらを制御ユニットに送信して、制御ユニットがそれらを処理できることが理解される。
【0027】
本発明の一特徴によれば、前記溶接機は、前記可動アセンブリから離間した支持体であって、前記可動アセンブリにワイヤハーネスにより接続した支持体を備え、前記制御ユニットは、前記可動アセンブリまたは前記支持体に支持される。
【0028】
溶接機の支持体は、溶接機の特定の要素、例えば、冷却装置のタンク、または電気供給ユニット、および制御インターフェースを支持することが意図されている。本発明の好適な実施形態によれば、制御ユニットは、溶接機の可動アセンブリに支持される。
【0029】
本発明の特徴によれば、前記可動アセンブリは、少なくとも1つの電気コンバータを含む。コンバータは、とりわけ、整流ブリッジ、コンデンサ、インバータを含み、特に、溶接機の電力供給ユニットから供給される50Hzの交流電流を1000Hzの交流電流に変換し、1000Hzの交流電流を溶接ホイールに供給されるパルス電流に変換する変圧器/整流器にこれを送ることを可能にする。
【0030】
本発明の特徴によれば、前記電気コンバータおよび前記制御ユニットは、同一のプリント回路基板に支持される。好適な実施形態によれば、コンバータおよび制御ユニットを担う印刷回路基板は、溶接機の可動アセンブリに支持されることが理解される。
【0031】
本発明の特徴によれば、前記パラメータの制御および/または前記パラメータ値の受け取りは、前記可動アセンブリの始動位置と前記可動アセンブリの到着位置との間において連続的に実施される。
【0032】
換言すれば、パラメータの制御および/またはパラメータ値の受け取りは、被溶接部品を溶接するプロセスの全期間に亘って、連続的に実施される。
【0033】
また、本発明は、上述の特徴のいずれか1つに記載の溶接機による少なくとも2つの部品の溶接を制御するための方法であって、前記溶接制御方法は、
- 前記溶接機の少なくとも1つの第1パラメータの基準閾値制御インターフェースへの入力ステップと、
- 前記制御ユニットが前記溶接機の前記第1パラメータの少なくとも1つの側定値を受け取るステップと、
- 前記制御ユニットが前記第1パラメータの少なくとも1つの側定値を前記第1パラメータの前記基準閾値と比較するステップと、
- 前記第1パラメータの前記測定値が前記第1パラメータの前記基準閾値に対して収束しない場合、前記制御ユニットが前記溶接機の前記パラメータのうちの少なくとも1つを制御するステップと、
を少なくとも備える制御方法に関する。
【0034】
ここで、第1代替例によれば、制御部は、第1パラメータを、前記第1パラメータの次の測定値が第1パラメータの基準閾値に収束するように変更できることが理解される。さらに、第2代替例によれば、制御ユニットは、第1パラメータとは異なるパラメータを、第1パラメータの次の測定値が第1パラメータの基準閾値に収束するように変更することができる。
【0035】
本発明の特徴によれば、制御ステップは、被溶接部品の溶接中に、第1パラメータの測定値が第1パラメータの基準閾値に収束するように、溶接機のパラメータのうちの少なくとも1つを調整するステップを含む。換言すれば、制御ユニットは、溶接機のパラメータのうちの少なくとも1つの障害を自律的に修正して、第1パラメータの次の測定値を前記第1パラメータの基準閾値に収束させ得ることが理解される。
【0036】
本発明の一特徴によれば、前記制御するステップは、前記第1パラメータの少なくとも1つの前記測定値が前記第1パラメータの前記基準閾値から5~20%を超えて逸脱する場合に前記被溶接部品の溶接を停止するステップを含む。
【0037】
パラメータの測定値が基準閾値から外れ過ぎた場合、例えばオペレータにより修正がなされるように、制御ユニットは、溶接方法を停止することが理解される。
【0038】
本発明の特徴によれば、前記方法は、前記可動アセンブリの始動位置と前記可動アセンブリの到着位置との間において連続的に実施される。
【0039】
本発明の一特徴によれば、受け取るステップにおいて、制御ユニットは、種々のパラメータの測定値を記録する。
【0040】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、図面に関連して表示のために以下になされる説明を読むことで、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、極低温製品を貯蔵および/または輸送するためのタンクであって、タンクのシール膜を形成する少なくとも2つの被溶接部品を備えるタンクの全体斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の2つの溶接部品を溶接することができる本発明による溶接機の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明による溶接機による被溶接部品の溶接を制御するための方法のステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面には本発明がその実施のために詳細に記載されているが、これらの図面は、必要に応じて本発明をより良好に定義するために当然に使用され得ることにまず留意されたい。また、これらの図面は、本発明の例示的な実施形態を示すに過ぎないことにも留意されたい。最後に、全図面において、同一の参照符号は、同一の要素を指定するものである。
【0043】
図2は、少なくとも2つの被溶接部品2に沿って移動するように構成された溶接機1を示す。より詳細には、被溶接部品2は、
図1に示す、液化天然ガス等の極低温製品を貯蔵および/または輸送するためのタンク8の壁6のシール膜4を構成している。
【0044】
溶接機1は、少なくとも1つの可動アセンブリ10を備えている。可動アセンブリ10は、実質的に平行六面体の形状を有するとともに、溶接機1の長手方向Lに対して平行な主延在方向Pにおいて延びている。溶接機1の可動アセンブリ10は、被溶接部品2に沿って移動することが意図されており、この目的のために、前記溶接機1を被溶接部品に対して移動させることが意図された少なくとも一対の駆動ホイール12を含んでいる。より具体的には、駆動ホイール12は、被溶接部品2に、例えば油圧シリンダ等の加圧装置13により接触して配置されている。そして、図示しない駆動部材により、それらを被溶接部品に対して回転駆動することができ、これにより溶接機1の可動アセンブリ10が移動する。駆動部材は、例えば、電気駆動部材、油圧駆動部材、空気圧駆動部材、あるいは機械的駆動部材であり得る。好適には、本発明の文脈における駆動部材は、電気モータである。本発明の図示例によれば、溶接機1の可動アセンブリ10は、可動アセンブリ10の主延在方向Pにおいて、互いに対向して配置された二対の駆動ホイール12を備えている。
【0045】
可動アセンブリ10は、少なくとも2つの溶接ホイール16を含む溶接ヘッド14をさらに備えている。前記溶接ホイール16を被溶接部品に対して転動させることにより、被溶接部品を固着することが意図された溶接部が生成され得る。本発明の図示例において、溶接ヘッド14は、可動アセンブリ10の主延在方向Pにおいて、二対の駆動ホイール12の間に配置されている。溶接ヘッド14は、溶接ホイール16を被溶接部品2に対して加圧するための少なくとも1つの装置15をさらに備えている。加圧装置15は、例えば油圧シリンダの形態を取り得る。
【0046】
溶接機1は、少なくとも溶接ヘッド14を冷却することが意図された少なくとも1つの冷却装置18をさらに備えている。より具体的には、冷却装置18は、冷却液を溶接ホイール16のできる限り近くで循環させる内部回路(図示せず)から構成されている。冷却装置18は、冷却材タンク20と、ポンプ(図示せず)と、冷却ユニット(図示せず)と、をさらに備えている。このような冷却装置18により、特に、溶接機1の作動中における溶接ホイール16の過熱を回避することができる。
【0047】
溶接機1は、可動アセンブリ10から離間した支持体22であって、ワイヤハーネス24により可動アセンブリ10に接続する支持体22も備えている。ワイヤハーネス24は、とりわけ、可動アセンブリの動作に必要な電気的接続部および油圧接続部を含む。支持体22は、特に、溶接機1の要素、例えば、溶接機1の電力供給ユニット26、ならびに、冷却装置18のタンク20、ポンプおよび冷却ユニットを支持するように構成されている。
【0048】
電力供給ユニット26の機能は、特に、少なくとも駆動ホイール駆動部材12に電流を供給することで、溶接機1の可動アセンブリ10を移動させるように駆動ホイールを回転駆動すること、および溶接ホイール16に電流を供給することで、この電流がそれらに流れるときに被溶接部品2を溶接できるようにすること、である。さらに、電力供給ユニット26からの電流は、交流電流である。したがって、溶接機1は、電気供給ユニット26と溶接ホイール16との間の電流経路に配置された電気コンバータ28(以下コンバータと称する)を備えている。コンバータ28により、電力供給ユニット26の50Hzの交流電流を、溶接ホイール16に必要な1000Hzの交流電流に変換することができる。コンバータは、特に、少なくとも1つの整流ブリッジ、コンデンサ、およびインバータを含む。コンバータ出力における電流は、1000Hzの交流電流を溶接ホイール16に送られるパルス電流に変換する変圧器/整流器に導かれる。
【0049】
本発明によれば、溶接機1は、溶接ヘッド14用の制御ユニット30を備えている。制御ユニット30は、被溶接部品2に対する溶接ホイール16の接触圧力、および/若しくは被溶接部品2に沿った可動アセンブリ10の移動速度、および/若しくは溶接ホイール16を流れる電流の強度、および/若しくは被溶接部品2に対する溶接機1の位置、の中から選択される溶接機1のパラメータを制御することができる。つまり、制御ユニット30は、溶接ホイールを加圧するための装置、および/若しくは駆動ホイール駆動部材12、および/若しくは電力供給ユニット26により供給される電流の強度、を少なくとも制御可能であることが理解され、並びに/または、被溶接部品2に対する溶接機1の位置をその前進速度に応じて決定することが理解される。
【0050】
制御という用語は、制御ユニット30が、これが受け取った溶接機1の種々のパラメータの値を、被溶接部品2上での溶接機1の可動アセンブリ10の始動位置と可動アセンブリ10の到着位置との間で、オペレータが溶接方法を連続的にモニタリングできるように処理できるということを意味する。始動位置は、溶接の開始が望まれる被溶接部品2上の可動アセンブリ10の位置として理解され、到着位置は、溶接の終了が望まれる被溶接部品2上の可動アセンブリ10の位置として理解される。可動アセンブリ10のこのような位置は、任意で可動アセンブリ10に搭載された溶接機の構成要素としての位置決め部材により決定される。この部材は、制御ユニット30により制御される。
【0051】
本発明によれば、制御ユニット30は、溶接機1の可動アセンブリ10または支持体22により支持されている。本発明の好適な実施形態によれば、制御ユニット30は、可動アセンブリ10により支持される。
【0052】
さらに、本発明の一例によれば、コンバータ28は、溶接機1の可動アセンブリ10により支持される。より具体的には、コンバータ28および制御ユニット30は、同一のプリント回路基板に支持され、前記プリント回路基板は、可動アセンブリ10に支持される。
【0053】
本発明の一例によれば、制御ユニット30は、冷却装置18のパラメータ値を制御することができる。より具体的には、冷却装置18のパラメータは、溶接機1を循環する冷却液の流量および/または前記冷却液の温度のうちの、少なくとも1つを含む。
【0054】
本発明によれば、制御ユニット30は、溶接機1から、ユニット30が制御可能な種々のパラメータの値を受け取ることができる。より具体的には、溶接機1は、被溶接部品2に対する溶接ホイール16の接触圧力に関するパラメータの値を検出可能な第1特定手段32a、および/または被溶接部品2に沿った可動アセンブリ10の移動速度に関するパラメータの値を検出可能な第2特定手段32b、および/または溶接ホイール16を流れる電流の強度に関するパラメータの値を検出可能な第3特定手段32c、および/または被溶接部品に対する溶接機1の位置に関するパラメータの値を検出可能な第4特定手段32d、および/または溶接ホイール16を流れる電流のパルスの持続時間に関するパラメータの値を検出可能な第5特定手段32eを、少なくとも備えている。
【0055】
特定手段32a、32b、32c、32d、32eは、例えば、溶接ホイール16の加圧装置15により及ぼされる接触圧力、および/または駆動ホイール12の回転速度、および/または溶接ホイール16を通流する電流の強度、および/または溶接部品に対する溶接機1の位置、および/または溶接ホイール16を流れる電流のパルスの持続時間等のパラメータのうちの1つの値を検出するように構成されたセンサである。特定手段32a、32b、32c、32d、32eは、他の場所で測定された別のパラメータからパラメータのうちの1つの値を特定可能な装置であってもよい。例えば、特定手段32dの1つは、センサの1つにより検出された移動アセンブリ10の速度の値の関数として被溶接部品2に対する、および可動アセンブリ10の始動位置に対する可動アセンブリ10の位置を特定可能な装置であり得る。
【0056】
溶接機1は、溶接機1を循環する冷却液の流速に関する値を検出することを可能とする第6特定手段32f、および/またはタンク20に配置された第7特定手段32gであって、前記冷却液の温度を特定することを可能とする第7特定手段32gも備え得る。より具体的には、第6特定手段32fは、ポンプの回転速度を特定することを可能とする。
【0057】
そして、特定手段32a、32b、32c、32d、32e、32f、32gは、上述のように制御ユニットが測定値を処理するように、パラメータのうちの少なくとも1つに関する少なくとも1つの測定値を制御ユニット30に送る。制御ユニットによる溶接を制御するための方法について、詳細な説明の残りの部分で後述する。
【0058】
本発明によれば、溶接機1は、制御ユニット30が受け取った溶接機1の種々のパラメータの値を少なくとも表示できる少なくとも1つの制御インターフェース34を備えている。より具体的には、本発明の一例によれば、制御インターフェース34は、支持体22に支持され、溶接プロセス中にオペレータが溶接機1のパラメータにおける変化を追跡することを可能とする。また、制御インターフェース34により、オペレータは、溶接機1の種々のパラメータの基準閾値、すなわち、溶接機1のパラメータの各々に関する所定の値および/または所定の値間隔を入力することができる。「基準閾値」という用語は、溶接プロセス中に溶接機1の種々のパラメータに関してオペレータが期待する値および/または値間隔を意味する。図示しない本発明の別の例によれば、制御インターフェースは、支持体とは別の携帯型装置に支持され得る。
【0059】
以上から、制御インターフェース34と制御ユニット30とが互いに相互通信することができることにより、制御インターフェース34は制御ユニット30が受け取った値を表示でき、かつ制御ユニット30は、制御インターフェース34に入力された基準閾値に対する受け取った値を処理できることが理解されるであろう。
【0060】
次に、本発明による溶接機1による少なくとも2つの部品の溶接を制御するための方法について、
図2および
図3に関して説明する。
【0061】
制御方法は、少なくとも1つの入力ステップ100を備えている。入力ステップ100は、オペレータが、溶接機1のパラメータのうちの少なくとも1つについての基準閾値を制御インターフェース34に入力するステップに対応する。本発明の一例によれば、オペレータは、溶接機1のすべてのパラメータについての基準閾値のセットを入力する。したがって、基準閾値の入力後、それらは制御インターフェース34により制御ユニット30に伝達される。制御ユニット30は、制御インターフェース34に入力された基準閾値を、溶接機1のパラメータの各々についての期待値または期待値間隔として使用することが理解される。同様に、制御ユニット30および制御インターフェース34は、互いに相互通信するように構成されていることが理解される。
【0062】
また、制御方法は、入力ステップ100に続くステップ200を備えている。ステップ200において、制御ユニット30は、特定手段32a、32b、32c、32d、32e、32f、32gが検出したパラメータの値を、溶接機1から受け取る。
【0063】
続いて、制御ユニット30は、上述の特定手段32a、32b、32c、32d、32e、32f、32gのうちの1つによるパラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの受け取った値を、前記値の基準閾値に対して比較するステップ300を実施することができる。換言すれば、制御ユニット30は、種々の特定手段32a、32b、32c、32d、32e、32f、32gが検出した値を溶接機1から連続的に受け取り、これらの受け取った値をパラメータの各々について入力された基準閾値と比較する。
【0064】
さらに、本発明によれば、制御ユニット30が受け取った値は、オペレータがモニタリングできるように制御インターフェース34にも送られる。本発明の一例によれば、本発明の一例によれば、制御インターフェース34は、制御ユニット30が受け取った値を記録することができる。これにより、溶接機1のパラメータの前記値のデータベースが構成される。
【0065】
比較ステップ300の実施後、制御ユニット30は、特定手段32a、32b、32c、32d、32e、32f、32gのうちの少なくとも1つが受け取った値と前記パラメータの基準閾値とが収束しない場合、溶接機1のパラメータのうちの少なくとも1つをチェックするステップ400を、任意で実施する。換言すれば、制御ユニット30が受け取ったパラメータの値と前以て入力された基準閾値との間にずれがあると比較ステップ300が結論した場合、制御ユニット30は、制御ステップ400、より具体的には制御ステップ400を調整するステップ401を実施する。ステップ401では、パラメータおよび/または少なくとも1つの他の別個のパラメータが、次に受け取るパラメータの値が前記パラメータの入力された入力閾値に向けて収束するように修正される。このような制御ステップ400は、溶接機1のすべてのパラメータに適用されることが理解される。
【0066】
さらに、この調整ステップ401から、パラメータのうちの1つの修正は、別の異なるパラメータの調整を含み得ることが理解されなくてはならない。例えば、溶接ホイールを流れる電流の強度を、その入力閾値に近づけるように補正する場合、制御ユニットは、電力供給ユニットの出力において、電流の強度を直接的に調整する。
【0067】
換言すれば、各パラメータについて入力された入力閾値は、固定である。調整ステップは、入力された入力閾値とこのパラメータにおいて実施された測定の値とが収束するように実施される。調整ステップは、溶接機の単数または複数のパラメータに関与し得る。
【0068】
制御方法の利用の一例によれば、パラメータのうちのすくなくとも1つの受け取った値が基準閾値から、例えば溶接ホイール16を流れる電流のパルスの持続時間について5%を超えて、および/または前記溶接ホイール16の接触圧力について20%を超えて逸脱している場合、制御ユニット30は、制御ステップ400を停止するステップ402を実施する。ステップ402において、制御ユニット30は、溶接機1による被溶接部品の溶接を停止する。換言すれば、調節ステップ401において、受け取ったパラメータの値が調整すべき基準閾値から外れ過ぎた場合、制御ユニット30は溶接部品の溶接を停止する。これにより、オペレータは、溶接機1の単数または複数のパラメータを手動で修正することができる、または溶接機またはメンテナンス機の制御動作を実施することができる。メンテナンス作業は、例えば、溶接ホイールおよび/または駆動ホイールが詰まっている場合、これらを清掃することであり得る。
【0069】
また、比較ステップ300が、受け取ったパラメータの値と前記パラメータの基準閾値とが一致したと結論した場合、制御ユニット30は、前記パラメータの変更を行わず、制御方法を、受け取るステップ200において再開することが理解される。
【0070】
したがって、制御ステップ400または比較ステップ300の実施後、溶接機1のパラメータの基準閾値に変更がない場合、制御ユニット30は、制御方法を、受け取るステップ200から繰り返す。パラメータの閾値の変更が必要な場合、本方法は、入力ステップ100から繰り返される。
【0071】
本発明の一例によれば、制御ステップ400の調整ステップ401と停止ステップ402において、制御インターフェース34は、これらのステップ401、402の実施について、音による信号および/または目に見える信号によってオペレータに示す。
【0072】
また、制御方法は、可動アセンブリ10の始動位置と前記可動アセンブリ10の到着位置との間において、連続的に実施されることが理解される。制御方法のこのような連続性により、被溶接部品2の溶接方法の最適なモニタリング、ひいては、より良好な溶接の品質が保証される。
【0073】
ただし、上述の本発明は、排他的に説明され図示された手段や構成に限定されることはなく、すべての同等の手段や構成、またそのような手段や構成の任意の組み合わせに適用される。
【外国語明細書】